森夏「はつ恋」(359)

富樫勇太。

高校に入学し、初めてできた私の友人。

同じ部活に所属する、気の置けない友人。

そして、

私の、とてもとても大切な人。

いつからだろうか。

気がつけば、彼のことを目で追っていた。

気がつけば、彼と通学路で鉢合わせるよう登校時間を調整していた。

彼が笑うと私も嬉しい。彼が悲しむと私も哀しい。

富樫勇太。

大好きな大好きな、私の友人。

そんな彼には、付き合っている女の子がいた。

名を小鳥遊六花。

背の小さい、可愛らしい女の子。

私の友達。

二人の関係はとても仲睦まじいものだった。見ているこっちが暖かい気分になるものだった。

そんな二人が、別れた。

喧嘩別れ?そんなわけがない。性格の不一致?二人の相性は抜群だった。

理由は簡単。物理的な距離の問題。

小鳥遊さんは、お姉さんに連れられイタリアへと旅立った。

遠距離での恋愛は難しいと二人で話しあい、二人で出した答えのようだった。

二人で出した答えとは言ったが、果たしてそれは二人が本当に望んだものであったのか。

事実、小鳥遊さんが転校してからの富樫くんは抜け殻のようになってしまった。

友人として富樫くんがあんな状態を放っておくわけにはいかない。

故に、これは仕方のない事なのだ。

森夏「おはよう、富樫くん」

富樫「…………ああ、丹生谷か。おはよう」

私は彼を支えなければいけない。

そう。私は彼の友人なのだから。

私が彼に特別な感情を抱いていたとしても、それだけは変わらないはず。

『友人』という言葉を免罪符に、私は彼の傍に居続ける。

年が明け、三学期が始まる頃には富樫くんもかなり元気を取り戻してきた。

時折感傷に浸っている様を見かけるが、それでも彼なりに心の整理がついたように見受けられる。

私も支え続けた甲斐があったというものだ。

森夏「あれ?今日富樫くんお弁当じゃないの?」

勇太「ああ、今日は忘れちゃってさ。これから購買」

森夏「そうなんだ。実は今日私も弁当忘れちゃってさ」

勇太「丹生谷が?珍しいな。じゃあ購買行くか?」

森夏「うーん、せっかくだから学食行きましょうよ。私ちょっと憧れてたの」

富樫くんが立ち直ったのであれば、もう富樫くんの傍に居続ける理由はないのでは?

馬鹿な事を言うな。私は富樫くんの友人なんだ。

友人なんだから、仲良く一緒にいるのは当たり前。そうでしょ?



帰宅後自室でお弁当をお腹にかき込んだのはここだけの秘密だ。

自慢ではないが、私は頭がいい。

一色ほどではないにしても、定期テストではそれなりの順位につけている。

そんな私の唯一の弱点が数学だ。あればっかりはどうしても好きになれない。

だから、私はいつも専任の講師を雇いしっかりと弱点の補強を行っている。

森夏「というわけでよろしくお願いします。先生」

勇太「えぇ~……?」
森夏「お願い!!今度何かご馳走するからさ!!」

勇太「しょうがないな、わかったよ」

森夏「ありがと富樫くんっ!!もう大好きっ!!」

おどけた口調にしたつもりだが、大好きという部分に力が入ってしまう。

勇太「……で?いつにする?丹生谷さえよければ今日の放課後とかどう?」

森夏「あーっ、ゴメン!今日はちょっとダメなんだ!土曜日とかどう?」

我ながら少しあざと過ぎるだろうか。少し反省。

それでもなんとか土曜日に約束を取り付ける事はできた。図書館で勉強会だ。

そうだ。せっかく街に出るのだから服も買ってしまおう。うん、参考書も買いたい。動いて疲れるだろうから食事もしてしまおう。

ああ、勉強ってなんて素晴らしいのだろう。今から土曜日が楽しみだ。

*「最近丹生谷さんと富樫くんって仲良いよね!!」

唐突な話題に面食らう。まぁ年頃の女子が集まればこんな話もでてくるか。

森夏「そ、そう?そんな事ないと思うけどなぁ……?」

無難な言葉でその場を濁す。顔がにやけていないか心配だ。

*「うっそだぁ!!いつも二人でいるし、この前なんかデートしてるところ見ちゃったし!!」

キャーキャーと黄色い歓声がわく。

チラリと横目で富樫くんの席を確認する。

……………うん、いない。

よし皆の衆。この私が許可するぞ。いかに私と富樫くんがお似合いのカップルなのかそこで語り合うがいい。

あ、私は何も言ってないから。あくまでみんなの意見だからね。

雪。

二限目の現文の授業中、ふと窓に視線を移すと降り始めていた。

午後の授業が終わる頃には、校庭は一面の銀世界になっていた。

帰りのHRが終わり、緊急のクラス委員会議に呼び出される。

クラス委員は、翌朝早く登校し雪掻きを行わなければいけないらしい。

明日の段取りやその他諸々の通達を確認し、クラス委員会議は解散。富樫くんと戸締まりをし校舎を後にする頃には、生徒は殆ど残っていなかった。

勇太「しかし積もったな」

森夏「ほんとね。せっかくだから雪合戦でもする?」

勇太「ばーか、なに言ってん……」

ぼふっと、富樫くんの顔に雪玉が命中する。

富樫「なるほど、よくわかった」

森夏「ふふふ、かかってきなさい」

富樫「女だからって遠慮しないからな?」

きゃーきゃーと雪玉の応酬が始まる。

富樫くんの雪玉が私のコートに当たる。私の雪玉が富樫くんの膝で爆ぜる。

時間にすればおそらく五分ほどだったが、私には至高のひと時だった。

森夏「はぁ、はぁ……あー疲れた!!」

勇太「全く……。丹生谷のせいで散々な目にあった」

森夏「あはは……ごめんごめん。じゃあそろそろ帰ろう…かッ!?」

世界が斜めに回転していく。その進みは酷く遅く、まるでスローモーションの映像を見ているかのよう。

ああ、私は足を滑らせたのか。このままだと転んでしまうな。

痛いのは嫌だなぁと、強く目を閉じ痛みに備える。

……が、

いつまでたっても痛みは襲ってこない。

恐る恐る目を開けると、私の世界は斜めに固定されていた。

状況を把握。なんて事はない。富樫くんが私の腕を掴み、支えてくれていたのだ。

森夏「あ、ありがとう」

富樫「……気をつけろよな」

身体がほてっているのは、雪合戦のせいか、転びそうな自分を見られて恥ずかしくなっているせいか。はたまた……。

森夏「……じゃ、帰ろっか?」

勇太「ああ、そうだな」

森夏「あっ、待って!」

スルリと、私は富樫くんの左手に右手を絡める。

手を『繋ぐ』のではなく、手を『絡める』

富樫くんの五本の指の隙間に、私の五本の指を滑りこませる。

森夏「…………また私、転んじゃうかもしれないからさ」

なぜ急にこんな事をしてしまったのか、自分でもよくわからない。

ただ、

この胸の高鳴りがそのまま答えで良いいんじゃないだろうか。そんな気がした。

富樫くん。富樫くん。富樫くん。

勇太。勇太。勇太。

……そういえば小鳥遊さんは富樫くんの事勇太って呼んでたっけ。

森夏「富樫くん」

うん、しっくりくる。

森夏「勇太」

うん、やっぱり慣れない。

でも、胸の奥にじわりと心地好い温かさが広がる。

うん、これは素晴らしい。という訳でもう一回。

森夏「……勇太」

勇太「ん?なんだ?」





心臓が止まるかと思った。

奇襲を受け大混乱する森夏陣営を必死に落ち着かせる。

理性を総動員し平静を装う。

森夏「ああゴメン。なんでもないの」

勇太「なんだそりゃ。ところで俺はもう帰るけど丹生谷はどうする?」

一緒に帰る事は最早当たり前になっていた。

森夏「うん、私も帰る」

富樫くんの中でも当たり前になりつつある事に気をよくした私は、少し気が大きくなっていた。

だから、ちょっと冒険をしてみる。

森夏「……ねぇ勇太、私お腹空いたんだけど」

勇太「そうだな、どっか寄り道してくか」

森夏「ふふふ、おっけー。じゃあ行きましょっ、勇太!!」

慣れない。慣れないけど、温かい。

ああ、クラスメイトの視線が心地好い。

ある日の放課後、体育館裏に呼び出される。

一昔前の少女漫画のようなシチュエーションの中、私は入学から数えて十四回目の交際の申し込みを受ける。

そして、入学から数えて十四回目のお断りの挨拶を返す。

卒業前に気持ちを伝えたかったと見ず知らずの先輩に言われても、こちらとしては返答に困る。

あの人は何を思って私に告白をしたのだろう。全く時間の無駄もいいところだ。

勇太が待っているであろう教室へ歩を進める。

『終わるまで待ってるから行ってこいよ』

呼び出しに渋る私へ勇太がかけてくれた言葉が頭の中で再生される。

勇太は待ってると言ってくれた。

はなからすぐに終わるものと信じてくれていたのだ。

拡大解釈もいいところだが、勇太からの信頼のようなものを感じる。

自然と足取りが軽くなる。早く勇太に会いたい。

森夏「ごめんね勇太。待った?」

しかし、勇太からの返事は無かった。

それもそのはず。

勇太は机に突っ伏しうたた寝をしていた。

森夏「こんにゃろう、たかだか十分そこいら待たせただけなのにいいご身分な事ですねぇ」

毒のある言葉とは裏腹に、私の頬は緩みきっていた。

森夏「ほらほら。起きろ起きろー」

プニプニと、勇太の頬を指でつつく。眉を潜めて不快さを主張する姿が実に可愛らしい。

勇太「……ん、うう…………めん。ごめん……」

森夏「謝るぐらいならさっさと起きなさーい」

頬をつつく指の力を強くする。こんなくだらない事にすら、今の私は大きな幸せを感じる。

だが。

勇太「……ごめん。ごめん」

勇太の寝言は、そんな私の幸せを無慈悲にも吹き飛ばす。

勇太「ごめん……ごめんよ六花……」

頬をつつく指が止まる。

全身が金縛りにあったかのように固まり、息が詰まる。

勇太「俺が……、俺がはっきりとしなかったせいで……」

なんという事だろうか。

小鳥遊さんとの別れから立ち直った勇太なんていなかった。

勇太の最大の理解者である私なんてもとより存在しなかった。

日を重ねるごとに勇太との距離を縮めていると思っていたが、そんなものは私の都合のいい思い込みだったのだ。

小鳥遊さんへの想いを断ち切れず、勇太は日々悩んでいたのだろう。

そんなそぶりを微塵も感じさせず、気丈に振る舞う勇太を見て私は一人勝手に舞い上がっていたのだ。

自分の身勝手さに腹が立つ。自分の情けなさに恥ずかしくなる。自分の思い上がりが情けなくなる。

溢れんばかりの負の感情が私の頭の中に渦巻く。その激流は私のキャパシティを簡単に超え、気が付けば。





私は、勇太が突っ伏す机の足を蹴っていた。

ビクリと身体を震わせ、勇太が目覚める

勇太「うわっ!?………って丹生谷かよ……」

腹立たしい。

情けない。

恥ずかしい。

でも、

でもそれ以上に。

勇太「ああ、寝てたみたいだ。ごめんな?」

勇太にそこまで想われる小鳥遊さんが羨ましい。

心の奥底にヘドロのようにこびりつく汚い感情に気付いた私は、考える事をやめた。

このひと時だけ、私は自分の欲望に忠実になった。

寝ぼけ眼の勇太。その頬を両手で挟みこみ、問答無用で口づけをする。

自慢にもならないが、キスなどうまれてこのかたした事がない。キスの勝手など知るわけがない。

私のファーストキスは、唇と唇を重ね合わせるだけのひどく味気ないものだった。

ガチリと、私の歯と勇太の歯のぶつかる感触があった。

こうなってしまえば理性の歯止めなどもう期待できない。

初めてのキスだけで満足できなかった私は、二度目三度目のキスを勇太に求める。

二度目のキス。

勇太の上唇をくわえ、舐める。

勇太の下唇をくわえ、吸う。

ひたすらに勇太の唇をしゃぶり続けた。

息継ぎのために勇太の唇から顔を離すと、視界の隅に驚いた顔をした女生徒たちがうつる。

ああそうか。ここは放課後の教室だ。

すぐには帰らず、友人達と教室で談笑する人だっているだろう。

そんな人たちの前で一体私は何をしているのだろう。

まあいい。

もっと、もっと。

ゆうた。ゆうたときす。

ゆうた。ゆうた。ゆうた。

ゆうた。だいすき。

書き溜めなくなた

人生三度目のキス。

勇太の唇に、私の唇を重ね合わせる。

私の舌を、勇太の口内にねじ込ませる。

これがいわゆるディープキスというものなのだろうか。よくわからないがどうでもいい。

勇太の口内のありとあらゆる部分を舐める。舐める。舐める。

勇太の歯を舐める。勇太の歯茎を舐める。勇太の頬の内壁を舐める。

勇太の口内を攻める。犯す。侵略する。

勇太に少しでも私の存在を刻み込むように、ひたすらに勇太を求める。

少しずつ、本当に少しずつ。

沸騰していた頭が冷静になってくる。

*「うわぁ……やっぱり丹生谷さんと富樫くんって……」

*「だってお似合いのカップルだったもん」

*「でも教室でこんな事……」

*「やべぇ、なんかすっげえエロい……」

*「丹生谷さん、凄く幸せそう。なんだか羨ましい……」

周囲の声が耳に入ってくるぐらいの余裕は出てきた。

それでもまだ、私は勇太とのキスをやめる事ができない。

この異常な状況に私は酔っているかもしれない。

そして、それはなにも私一人だけではなかった。

私がひたすらに唇を求めている相手。

今の今まで私のなすがままにされていた勇太が、

私の舌に、舌を絡め返してきた。

ああ、だめだ。

もう、だめだ。

勇太がとった行動が、雰囲気に流されたこの場だけの行動だったとしても。

たとえ勇太の気持ちが私を向いていないのだとしても。

もう、関係ない。

勇太に求められた。

その事実が、再び私の理性を粉々に砕いた。

ゆうた。ゆうた。

すき。すき。だいすき。

だめなの。わたしはゆうたがいないとだめなの。

だから、そばにいて。

わたしのそばにずっといて。

すきでもいいから。

たかなしさんのこと、すきでもいいから。

わたしはにばんでもいい。

ううん、さんばんでもよんばんでも、ひゃくばんでもいい。

だから、わたしをゆうたのそばにいさせて。

ゆうた。ゆうたっ。ゆうたっ。

シャワーの温度を冷水に……はちょっとキツイので、ちょっとぬるめにして頭を冷やす。

やってしまった。

たまたま教室に戻ってきた先生にみつかり、生徒指導室でみっちりお説教三時間。罪状は不純異性交遊。

解放されたのは19時過ぎ。

しっかりと勇太と手を繋いで帰ってやりましたよ。ええ。もうラブラブですよ私たち。

…………。

少しだけ、蛇口を捻って水温を下げる。

わかっている。

勇太の心は、まだ小鳥遊さんに向いてる事くらい。

勇太の心は、私を向いていない事くらい。

嫌という程に痛感させられた。

それでも。

それでも別に、構わない。

勇太に愛されてなくても構わない。

サラリーマンがキャバクラに熱を入れるように、

オタクがメイド喫茶に熱を入れるように、

私は、勇太にとってのキャバ嬢やメイドになれればそれでいい。

たとえどんな形であっても、私は勇太のそばにいられればそれでいい。

ああ。

どうして私は、こんなにも勇太の事を好きになってしまったんだろう。

思えば、勇太は私が初めてまともに仲良くなった異性だった。

恋に恋していると言われたらそれを強く否定する事はできない。

男女交際への憧れが、友人への感情と恋愛感情をごちゃ混ぜにしてしまっているのかもしれない。

少なくとも、勇太と私は気の置けない友人関係である事だけは確かだ。これだけは自信を持って言える。

ならば、

ならば、友人として勇太の隣に居続ければ良いのではないか。

…………。シャワーの水温を更に下げる。

違うのだ。ダメなんだ。友人じゃダメなんだ。

段々と自分の思考が支離滅裂なものになっていくのがわかる。

わかっていても、止められない。考えても考えても答えは出ない。

いつしか、シャワーは本当に冷水を垂れ流すようになっていた。

翌日。

いつものように、勇太の登校時間に合わせ家を出る。

いつものように、勇太が歩く姿を見つける。

一回、二回、三回と大きく深呼吸。

大丈夫、やれる。

いつも通り。何事もなかったかのように声をかける。

森夏「おはようっ、勇太っ!!」

勇太「にっ、丹生谷!?」

森夏「おいコラ、人があいさつしてるのに無視ですか勇太さん」

勇太「あっ、ああ……。おはよう丹生谷」

うん、及第点といったところか。

ああ、身体中がとても暑い。

登校し着席して早々に一色に絡まれる。

一色「おい、聞いたぞ丹生谷」

一色の事は嫌いではない。むしろ好ましい部類に入る。

ただ、それでもこのタイミングで話しかけるのはやめて欲しかった。

ああ、身体が暑い。

森夏「何がよ」

一色「何って……。昨日の事だよ」

やっぱりクラス中に広がっているようだ。

ふと、クラス中のから好奇の視線が向けられている事に気付く。

……ああ、なるほど。

ああ見えて一色もなかなか気の利くタイプだ。

一色「あー、なんだ。その、俺もたまには真面目な事言うけどさ」

森夏「?」

一色「逃げない方がいいと思うぞ」

ズブリと、私のなにかがえぐり取られた気がした。

一色「タイミングってのを逃すと色々面倒だからな」

ちくしょう。

一色のくせに、一色のくせに。

「お前に何がわかる」という言葉をすんでのところで飲み込み、適当な相槌をうつ。

ああくそう。身体が暑い。

明日も仕事だから寝ます

ごめんなさい
仕事から帰ってきたら書くんで

一色の言っている事は正しい。

そんな事ぐらい私もわかっている。

瞳を閉じ、思考の世界に身を沈める。

かつて電脳世界で名を馳せた愛の化身、モリサマならば今の私にどんな言葉を贈るのだろうか。

『迷える子羊森夏よ。自身の気持ちを今すぐに想い人にぶつけるのです』

『貴女がいかにその人を愛しているのか、全身全霊の力をもって伝えなさい』

『貴女のその想いは、必ずや彼に伝わる事でしょう』

『よしんば貴女の願いが成就しなかったとしても、悲嘆にくれる事はありません』

『失恋の経験は人を成長させます』

『一時の悲しみと引き換えに、貴女は人間として大きく』

馬鹿馬鹿しい。

くだらない。くだらない。くだらない。

遅筆すぎワロタwwww
ヤル気無さすぎだろ(´・ω・`)
書く気あんのかks

はよはよ

おいコラ
もう30分たってんじゃん(´・ω・`)
スレ伸ばしたいなら伸ばそうか?

……まいっか(´・ω・`)
後はIDころころ変えてるID:cGew9OYA0に任せるわ
今日もガッツリ保守頼むで☆(ゝω・)v

自分がこんなにも弱い人間だとは思わなかった。

失う事が、怖い。

勇太を失いたくない。

勇太の驚いた顔。

勇太の困った顔。

勇太の泣きそうな顔。

勇太の怒った顔。

勇太の拗ねた顔。

そして、

勇太の笑った顔。

勇太のいない生活など、想像もできない。耐えられようはずもない。

関係が壊れるリスクを犯してまで、勇太との関係を進めようとは思わない。

つまりは現状維持。

私は勇太の友人であり続ける。

友人である限り、私は勇太の隣にいる事が許される。

私は、私のために全力で勇太の友人であり続ける。

春が訪れ、私たちは二年生になった。

自分のクラス表に富樫勇太の名を見つけた時には歓喜のあまり叫びだしてしまいそうだった。

新しいクラスの初めてのHR。

去年に続き、勇太はクラス委員になった。

去年に続き、私はクラス委員になった。

これで勇太との時間を合法的に確保する事ができた。

新年度早々幸先が良い。

人間という生き物は、環境の変化に適応する事に長けていると思う。

肉食動物が『狩り』に特化した生物であるように、

草食動物が『逃げ』に特化した生物であるように、

人間は『慣れ』に特化した生物であると思う。

自分がかつて経験した事のない、未知の環境に置かれた時。

人間は自然とその環境に合わせようとする。

私が初めて勇太の手を握った時、勇太はひどく驚いていた。

だが、私が『勇太の手を握る』という行為を行い続けた結果、勇太は私の手を自然と受け入れるようになっていた。

『手を握る』という行為が勇太の中で当たり前のものとなり、抵抗が薄れていったのだ。

私はこの人間の習性に気付き、

この習性を利用する事を考えついた。

勇太「まったく。面倒くさいな」

森夏「そんな事言わないの。新入生を歓迎するのは先輩の努めでしょ」

勇太「はいはいっと」

森夏「そっちはあとどれくらいで終わりそう?」

勇太「あと十分くらいかな」

森夏「なんだ、もう少しじゃない。頑張りなさいよ」

勇太「へいへい」

・・・・

勇太「…………っと。やっとできたぞ」

森夏「どれどれ……」

森夏「ふんふん、よくできてるじゃない。勇太えらいえらい」

母親が子供を褒めるように、私は勇太の頭を撫でる。

初めこそ抵抗の意思を見せていたものの、今ではむすっとした顔をしながらも私のなすがままにされている勇太。

かわいい。

余裕のある女を演じる。

苗字ではなく、名前で呼ぶのは当たり前。

ボディタッチなどのスキンシップも当たり前。

そう自分に言い聞かせる。

勇太の名を呼ぶだけで口が乾く。

勇太の手を握るだけで身体中から汗が吹き出す。

それでも、絶対にそんなそぶりを見せてはいけない。

そう、これは友人同士なら当たり前の行為。

そう。

森夏「じゃあ帰りましょっか」

勇太「なにか食べてく?」

これは。

森夏「あー……、実は今月ちょっと厳しくってさぁ」

勇太「じゃあ今度にするか?」

友人同士のじゃれ合い。

森夏「うーん、おごってくれない?」

勇太「仕方ない、おごってやろう」

そんなに気負うものではない。

森夏「やっりぃ!!勇太だいすきっ!!」

勇太に抱き着き、その勢いで唇を重ねる。

なんて事はない。友人同士のじゃれ合いだ。

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