【オリジナル】闇と暗部と殺し合い (689)

この作品は自分のオリジナル作品となっております。
内容はシリアスで多少というかほんの少しグロが入ります

遅筆なのでだいぶ時間がかかると思います。

それではスタートッ!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1367382798

書き溜めれよ


#プロローグ


 「はぁ……はぁ……」


ここは都会の深部。闇のうごめく場所だ。


「クソッ。なんだってあんなやつらがっ……!」


裏路地で学生鞄のような平たい鞄を持った中年の男は呟く。そしてその直後


 「まあまあ、そう逃げんなよ」


その声が聞こえた瞬間、前方の壁が吹き飛ばされる。そこから出てきたのは金髪のチャラそうな少年だった。少年は都会ならば確かにいそうな雰囲気だ。が、右手の平から放っている1mほどの火の剣が少年の異様さを、象徴していた


 「の、能力者……!」


中年の男はややうろたえつつも進行方向を、左へと変える。


そこで異常な光景を見た。中年の仲間が全て凍りついていた。ただ一人立つ茶髪の少年が口を開く


「本当にこの人達は『運び屋』なんでしょうか?あまりにもよわすぎて」

「……!」


声すら出ない。ただただ走る。男の本能が早くここを立ち去れと、いっているのだ。その時、中年の腕から鮮血が吹き出す


「あァァァああああああ!!」


一瞬意味がわからなかった。後ろを振り向くとそこには闇のように真っ黒の髪の少年がいた。


「嘘だろ……!?」


少年の手には拳銃。但しその距離は200mほどあった。


「もうお前は終わりだよ」


黒髪の少年が頭に手をやると髪から火花が散った。そして中年との距離を200mの距離を一瞬で詰める。


「残念だったな」


直後中年の顔面に凄まじい衝撃がはしり、中年は意識を失った




彼らは『ジャック』。この世界の暗部のメンバーだ




 #エピソード1


黒髪の少年、神崎透はマンションの一室のジャック本拠地へ向かっていた。おそらくすでに二人は来ているだろう。


「……」


神崎は無言で扉を開けると12歳ぐらいの少女愛野鳴が近づいて来る


「神崎さん!あの二人をどうにかしてくださいよ!」


あの二人とは昨日の鞄争奪戦の二人だ。その二人は言い争っていた


「なんだとオラァ!氷也!テメエコーヒーの良さがわかんねえのか!」

 「わかりますけど、ブラックなんて飲む意味ないじゃないですか」

「……」

氷也と呼ばれた茶髪の少年の名前は郡氷也。金髪の少年は日野炎波という。が神崎にそんなことはどうでもよかった。それより


「コーヒーなんてどうでもいいだろーが!」

「コーヒーなんてってどういう意味だァ!」

「コーヒーの議論で部屋を破壊すんなって言ってんだよ!」


半壊した家具を指指しながら神崎は叫ぶ。どうやら破壊の傷を見るとほとんどは炎波の能力のようだ。そこに氷也が口を挟む


「それより透。例のものはどこでしょうか?」

「あぁ、ほいっ」


神崎は昨日の鞄を氷也へと渡す。神崎が横を見ると、炎波もすでに仕事のスイッチが入ってるようだ


「……普通コーヒーはブラックなのに」


……勘違いかも、いや勘違いだった


(炎波に静かさを求めた俺がバカなんだよな……)


一人神崎は机に突っ伏していた。その光景には一切目を向けない氷也は鞄の中に入っていた書類を見ていた。


「どんな感じです?」

「さぁ、まだ全てに目を通しておりませんので。しかし軽く見た限りでは能力のレポートのようですね」

「レポート?」


鳴は氷也に尋ねると


「ええ。この世界には80%能力者がいますよね。これには、それは何故生まれるのか、という研究結果が書かれています」


「……難しいです。その説明」


げんなりしている鳴にちょっとずつ教えながらレポートを適当に見ている氷也はあるページで手をとめた


「……姫川…詠里…?」


その少女は写真と、共に記されていた

とりあえず今ははここまでです。シリアスは初めてだからむずい……

夜にまた会いましょう

80%能力者がいるって無能力者のほうが少数派?

>>10
そうです。主に能力に必要な条件をもってない人が無能力者です。(例えば幼児など)老人で観測できないレベルで能力があれば能力者となります

ちょっとだけ投下します(夜は夜でします)

ふいんきしりあす()ぶらっくこーひー()


すると不意に扉が開いた


「ほらほらみんな『依頼』だぞ」

「あ、所長」


所長と呼ばれた女性は彼ら直属の上司だ。いかにもキャリアウーマンという感じだ。 神崎は机に突っ伏した状態から顔だけを、彼女へと向け


「次の依頼は何ですか?」

「あぁ、それはだな」

所長がいい終わる前に氷也が


「姫川詠里の救出ですよね」


テメエは何を言ってんだ、という目で炎波が見ていたが


「そのとおりだぞ、氷也。何わかった?」

「いえ、この資料に目をとおしてみると、そうかなと」


そういうと氷也は件の少女の写真を取り出す。



神崎はようやく体を起こした。仕事のスイッチが入ったようだ(炎波は論外)そして鳴は、写真と一緒に書かれている文を読む


「『多重能力者』の可能性……?」


原則能力とは一つだ。なぜなら能力とは『条件』が揃いそして、脳の覚醒によってできるもの。つまり多重能力とは脳にもの凄いダメージがあるのだ


「だが彼女には『多重能力者』の可能性がある。それを研究者共が全身にメスを入れようとしてるのだ」

「……!」

「……さすが腐った研究者だな」


神崎は憎そうに呟く。そこで炎波が珍しく議論に入る


「それで俺達に保護しろってか」

「あぁ」


そして一呼吸


「任せろ」


神崎の一言で全員の意思は決まった


###


大きなビジネスホテルのような風貌だがここは研究者とその研究者が雇った武装部隊がたてこもっていた。


「それでは作戦通り行くぞ……!」


神崎はケータイで彼らと連絡を取り合う。神崎は氷也と共にホテル付近の一室で待機していた


「あのバカ、大丈夫かね」

「まぁ、大丈夫でしょう。あちらの目的は特攻隊。相手の混乱を誘うだけです。戦闘狂のバカはこういうものは得意でしょう」



バカ、もとい炎波はホテルの自動ドア前に一人たたずんでいた。


「さーて……」

「行きますかァ!」


瞬間、炎波の右手の平から1mほどの炎剣が飛び出した。

彼の能力は『燃焼断斬』バーンカット。両手から、炎を噴射することが出来る。が、炎波自身、最大出力でいくと辛いので剣のような形にし焼ききるという戦闘方法を使っている


炎波は炎を爆発させるように使い、扉を壊して突入する。そこには武装している男達が戦闘体制となっていた。炎波は口端をつり上げ、そして武装した男達に一言


「ま、死なないようにはしてやるんで我慢しろよ」


炎の殺戮ショーが始まった

炎波くん大暴れ、というとこで一旦切らせていただきます。では、また夜に


一方その頃、鳴と所長はホテルの上空、ヘリの中で待機していた。


「いやぁ、所長。まさかヘリまで操縦できるんですね」

「ふふっ。まぁな」


その後鳴は扉へ向かいため息をする。下では爆音が響いている

「はぁ」

「せっかく自慢のショートカットが……」


そう呟くと、一気に扉を開け放つ。


「行ってきまーす」


直後鳴はホテルに向かって『飛んだ』。
彼女の能力は『圧力変換』パスカルチェンジ自分に関わる『圧力』を増減させることができる。この能力を応用し、落下時の自分への圧力を減らし自分から出る圧力を増やす。つまり


「な、なんだ!砲弾か!」

「違う!人だぞ!」

「なんで窓から人が飛んでくるんだよ!」

「……おいおい。嘘だろ。あのヘリからきたんじゃねえよな!?」


戸惑う男達の中に何人か研究者もいるようだ。だが鳴には、そんなことはどうでもいいようだ


「お、お前、誰だ!?」

「私ですか?」

「通りすがりの美少女です」


そう言った瞬間、男達は手持ちの銃で鳴を容赦なく撃ち殺す。が、鳴は変わらず立っていた。


「チッ、能力者かよ!?」

「……っ!」


無言のまま鳴は男達を襲撃する。それは物凄く単純で、ただ鳴が男達を殴るというもの。但し鳴の能力は、圧力を操るというもの。破壊力は尋常ではない。


「ぐがァァァあああ!!」


ものの10分で10人ほどいた男達は倒れていた。だが、恐らく何人かは戦闘中に逃亡しているだろう。


「……こんなもんですかね」


特攻隊の仕事をこなした鳴は窓から外へと、飛び出した


###


武装集団は謎の襲撃をくらい、混乱していた。仲間の人数も大幅に減り戦力も低下していた。

しかし男達の目的は変わらない。ここにいる姫川という少女を誰の手にも渡さないことだ。

すると件の少女が口を開く


「何が……起きているんですか……?」

「チッ」


男は舌打ちしたまま黙る。



###


神崎と氷也は炎波が入って行ったドアから、ホテルで侵入した。そこにはうめく男達が転がっていた。


「いつもやり過ぎなんですよ。炎波は……」


飽きれ顔でバカの顔を思い出す二人の目に銃を持った男達が角から曲がってくるのが見えた。


「……っ!」


神崎と男達は共に銃を素早く手に取る、が神崎の反応は異様に早く男達は追い付けない。
神崎は、躊躇なく引き金を引く。


(さすがですね。自身の能力には制限があるからなんでしょうけど……能力者でここまで射撃の実力があるのは少ないですよ)


男達に弾丸は全て的中していた。神崎がそれを確認しようとすると、突然横から弾丸が飛んできた。幸いにも神崎には当たることはなかった


「まだいたのか…!」

「ここは自分が引き受けます。透は先に行ってください」

「わかった」

今日はここまでです。
改めて見返すと、だいぶ読みにくいですね。地の文は初めてなので難しいです……

また明日も読んでいただけると幸いです

乙です

能力名とかのルビはは<<>>でやることをおすすめしまする

>>22
わかりました。ご指摘とご声援ありがとうございます。

それでは本編スタートッ!


すると集団の一人が神崎を逃がすまいと狙い発砲する。幸い神崎にそれは当たらなかったが、他の男達も構えをしているので恐らく当たるのは時間の問題だろう。

その男達の中に氷也は、立っていた。いつここにいたのかはわからない。だが氷也を敵と見定めた数人が戦闘体制となる


「……っ!」

「まあまあ、落ち着いてください」


と、氷也は男の肩にそっと手を触れる。彼らにとっては何げない動作だったかもしれない。何の意味もない動作だったかもしれない。だが気づいたときにはもう遅かった。

「……なんだ?どうした!?おい!返事をしろ!」


触れられた男はそれっきり動かなかった。まるで凍りついたような感覚だった。

氷也は、神崎の走って行った道を塞ぐように立ち、男達にこう呟く


「ここから先は絶対零度の地獄です。さっさと引き返すのが身のためですよ」


天使のような笑みをこぼす少年は悪魔のような力を振るい、彼らに本物の地獄を見せる


###


氷也の指示通り姫川を探す神崎は三階へと、かけ上がっていた


(所長の情報だとこの辺だっけか)


辺りは長い廊下とたくさんの会議室のようなもののみだった。突然奥の方から音がしたと思うと廊下の向こうから金属音と共に人影が見えてきた。

大きさはだいたい180cmほどだろうか。黒いスーツを着こなしているその男の髪はやや脱色しており頬には火傷のようなあとがあった。一つ奇妙なところをあげるとしたらコインを、手で弄んでおり、見た限りではポケットにも入っているようだ。その男は神崎を見つけると


「みぃーけっ!。ふーん。お前が報告にあった能力者か?」

「……だったらどうする」

「まぁ、死んどけば?」


その男はこちらの返事を聞く前に、2、3枚ほどのコインを手に握ると、野球のサイドスローのようにコインを投げる


「なんだよ。そっちも能力者か!」


神崎が叫びながら避けたコインは、神崎の頭上で爆発した。

男は笑みをこぼしながら、こちらに近づいてくる。一方神崎は頭に手をやりそして、能力を行使する。

今日はここまでです。今までカットしてきた能力バトルがやっと出てきます。

>>22さんのように何かご指摘がありましたら是非よろしくお願いします(声援なんていらないんだからねっ!)

今日も読んでいただきありがとうございました

それでは今日も投下させていただきます。


男は神崎の髪から飛び散る火花を見て、神崎は電撃使いと推測する。レベルはどれほど高いかは知らないが、報告がなかったところを見ると高位能力者ではないだろう。

などと、男が推測していると神崎が全力疾走で突進してきた。その右手は、スタンガンのように、音を鳴らしていた。男はそれに応じるかのように、コインを投げ、爆発させる


「クソッ!いやな能力だな!」

「テメエみてぇに弱い能力じゃねぇからなァ!」


神崎を弱いと言ったのは、スタンガン程度の能力しか使えないことを言ったのだろう。が、神崎は笑みをこぼしながら


「ほざいてろよ『二流』」

「なんだと……!」


「誰を『二流』なんて言ったんだァ!?テメエみてぇな人間スタンガンなんかに俺が負けるとでも思ってんだァ!!」


突進する神崎に向かい、そのコインをさらに投げる。それを神崎は高速で動き回避する。


(なんだ……?今のスピードは……?)


そのコインは、常人ならば避けられない一撃だったはずだ。だが、神崎には当たらない。異常な身体能力によって軽々と避けられる。神崎と男の距離は、2mほど

そして今が反撃の時

神崎は一気に男の懐へと潜り混み、帯電する右手を押し付ける。そのパワーはせいぜいスタンガン程度。ではない。その力は高位能力者のそれだった。


(……っ!コイツ、能力が強くなってんのか!?いや、そんなことはねぇはずだ。能力の強さは 『知能』×『身体能力』のはず。いきなり強くなるなんて……)


男は神崎を蹴飛ばし、電撃から逃れる。男は混乱していた。神崎の実力は予想をうわまあっていたからだ。自分が読み間違えていたのか。それとも神崎が出し惜しみしていたのか。

その思考を遮るように、神崎が電撃を放つ。先程よりも高出力で


「ぐがぁぁぁあああああ!!」


男は絶叫する。だが、痙攣したその手で次のコインを手に取る。次の手でやつを倒す為に


(そうだ……この俺には能力がある……こんな中学生に負けるはずはねぇんだ!)


俺はがむしゃらにコインを投げる。手にあるコインを全てを

それに対し神崎は、全身で帯電しながら、人間離れしたスピードで男のもとへと向かう


「能力に溺れるからそんな戦い方しかできねえんだ」


大量のコインへと向かう神崎はぽつり、と呟くとコインへ向かい帯電する右手を掲げる。すると、神崎へと向かっていたコインは急に進路を放った本人である男に変更した


「な、なんで……!?くそ!なんでだよ……!?」


轟音を出しながら、コインは爆発する。


電磁石の力で磁力を操り、コインを弾き返した神崎は男に向かって


「楽勝だったよ。『二流』」

一旦終了です。
また夜に

乙乙

すいません↑のは誤爆です

もうそろそろ投下します


###


その男との戦闘を終えた神崎の携帯から電子音がなる。連絡が入った。


「どうした?氷也」

『あなたの近くに例の姫川がいます。急いで回収してください!』


珍しく大きな声を出したと思ったら、電話は途切れた。恐らく戦闘中なのだろう。携帯をパタン、と閉じ廊下の奥を見据える

神崎は火花を散らしながら、走る。


###


二階を徘徊していた炎波は、退屈そうに、首を鳴らしていた。


「あーあぁ。手応えのあるやつはいないのかよ。ここ」


本来の目的を忘れて敵を探す炎波の目に、角からくる人影が見えた。炎波は一気に戦闘態勢となったが、その人物は予想外の人物だった。


「あ、あなたは……?」


ふわふわとした髪はやや染められており、長いその足などはモデルなどのものと遜色ないだろうが、服はぼろぼろになっていて、粗末な印象を与えられた。

炎波には、その少女に見覚えがあった。その少女は……


「見つけた……!姫川詠里でいいんだよな?」


少女、姫川は少々驚いた様子でこちらを見ていた

終了です。>>31ではすいませんでした。他の作品にレスしようとしたら……

次回から姫川さんの登場です!

時間があるのでちょっとだけ投下


姫川を見つけた炎波は彼女の肩に手をまわし、こう呟く


「お嬢さん、これからランチでも?」

「アホかぁぁぁあああああ!!」


ゴンッ、と不意に炎波の頭に衝撃がはしる。炎波は謎の襲撃者へと、騒ぎたてる


「テメェ……!透!何しやがる!」

「お前はなんで仕事中に保護対象をナンパしてんだよぉぉぉおおお!!」

「そこに女が居たかゴハッ!」


身体能力をあげた状態で炎波を殴った神崎は、姫川へと目を向ける。すると姫川はようやく口を開く


「あの……後ろ……」

「後ろ?」

二人は後ろを振り替えると、先程神崎が、倒した男がふらつきながらこちらへ向かっていた


「誰あれ?」

「ゲッ……さっき俺が倒した爆弾男」

「とりあえず敵ってことか?」


二人は状況を確認していると、急に男がコインを投げてきた

神崎はとっさに姫川を引っ張り、爆発から逃がす。

禁書リスペクト感が半端ないけど面白い



だが逃げそびれた炎波は爆発に巻き込まれる。その光景を見た姫川はおもはず叫ぶ


「え……!大丈夫ですか!!」


もくもくと立ち込める煙の中で、炎波はけろりとした様子で、立っていた。


「炎を使うこの俺が、爆発ごときに負けるわけねぇだろーが」


炎波はすでに炎剣を出していた。戦闘態勢となり、炎波は男の目の前にたち塞がっていた。


「透、逃げろ!ここは俺が食い止めるからよ!」

「頼むぞ、炎波!」


そういうと炎波は、姫川を連れてこの場を立ち去る。が、男はそんなことを許さない

どこからか出した鋼鉄ワイヤーを、神崎と姫川へ投げつける。神崎は焦りつつも、姫川をお姫様抱っこしてワイヤーの脅威から、逃れようとする。


だがもう遅い


轟、と空気を飲み込みながらワイヤーは爆発する。まるで燃える大蛇だった。全長3mの大蛇は燃えながら、神崎達へと猛威を振るう。



爆風に巻き込まれた神崎達は、5mほど思いっきり吹き飛ぶ。


「ぐっ……!」


なんとか体制を立て直すと、姫川の方に目をやる。気絶しているようだが、目だった外傷はないようだ。

また、神崎は逃走をはかる。するとまた、後ろから轟音が響く。炎波が爆発を食い止めているのだろう。

神崎は姫川を抱えながら一気に階段をかけ降り一階へと到着する。しかし、次は武装した男達に、見つかる。


「……!次から次へと……」


この場合、戦うことが勝利ではない。逃げることが、先決だ。

弾丸が飛び交う中、神崎はここへ入ってきた時の扉を、潜り抜ける。ようやくの外。だが、弾丸は止まらない。

そこに、遠くから猛スピードの自動車が走ってきた。所長と鳴だ


「透さん!急いでください!」

「鳴!後部座席のドアを開けろ!」


弾丸を避けながら、神崎は叫ぶ。が、その提案に鳴は戸惑う。


「はぁ!?何いってるんですか!?」

「いいから早く!」


言われた通り鳴はドアを開ける。神崎は全力疾走で猛スピードの自動車へと走る


「うおぉぉぉおおおおお!!」


神崎はその開いたドアから車内へと、飛び込んだ。


「うわっ!何考えてるんですか!?こんなスピードの車に飛び込むって!」


普通の人間なら無理だろう。だが、神崎は今常人以上の身体能力と頭脳を持つ。その力がこの奇跡を掴んだのだ。


「所長。とりあえず姫川は保護しました!」

「よくやった。あの二人は?」

「まだ中です。」

「え!?大丈夫なんですか!?」

「あの二人なら死なねえよ」


幾度となく死線を越えてきた仲間に後ろは託した。

とりあえず昼はここまでです。夜投下できるかわかりません。先に言っておきますが、明日は投下できません

>>37
マジですか……
禁書は確かに大好きです。愛野鳴は好きなキャラであるアリサの鳴と絹旗のイメージを取り入れてます。

ご声援ありがとうございます!

乙です!

また水を差すようで申し訳ないのですが
オリジナルならば人物の服装の説明や戦闘場所又はその背景、
後、敵との間合いの説明を入れるのおすすめします。

批評みたいで申し訳ございませんが
参考までに

>>41
わかりました。主要メンバーはちょっとずつ、これから出てくるキャラは、しっかり描写していきます

こういうアドバイスはとても嬉しいので、これからもお願い致します。(あと声援も)


なんとか8時頃には投下できると思います



###

「はぁ……はぁ……ははっ」


神崎達が逃走を成功した頃、炎波も爆発男を殲滅していた

その廊下はまさに惨劇だった。壁はほとんどが破れ一部はまだ燃えており、会議室へと繋がるドアは、全てとれていた。

そして一番異様だったのは、そこに一人たっていた少年だ。白を基調としたTシャツは真っ赤に染まり下のジーンズは焦げたかのように黒くなっている

さらにその少年、炎波の隣には黒焦げになった死体があった。


「あーあぁ。終わったかぁ」


首のない黒焦げの肉塊を、あとにし炎波はまた歩き出す。



###

ようやくジャック本拠地へと帰還した神崎、鳴、所長、姫川はそれぞれの行動に移していた。

神崎はこれからのことについて姫川と相談しようと鳴の部屋にいる姫川のもとへと向かったわけだが……


「……」

「……」


そこには姫川が一人立っていた。恐らく鳴は服でも探しているのだろう。その一瞬、神崎の目に入ってきたのは、美しい光景だった。

決め細やかな肌。透き通るような濁りのない目。そしてそのふわふわとした髪は若干の水を含んでいた。

その美しさに普通の男ならば、見とれていたかも知れない。だが神崎は全力で回れ右をし、走り際にこう叫ぶ


「すいませんでしたぁぁぁあああああ!!」

「何女の子の風呂上がり見てんですかぁぁぁあああああ!!」


姫川が顔を真っ赤にしているなか、神崎vs鳴の方からは、コメディではすまない轟音が響いていた。



###

神崎ら四人は、リビングに集結していた。そこで神崎は


「だいたい神崎さんは、なんであの時私の部屋に来たんですか!それさえなければこんなことにはならなかったんですよ!!」

「すいません……」


説教を受けていた。


「所長はどう思いますか!?」

「見たかった私のをみればいいのだぞ」


所長は自慢の巨乳をここぞとばかりに、出してくる。それを鳴(Bカップ)は悔しそうに見ながら


「そういうことじゃありません!」

「まあまあ。いいのか?せっかく詠里ちゃんが久しぶりの睡眠をとっているというのに起こしてしまうぞ?」

「ぐっ……!」


今姫川は鳴の部屋で休ませてある。今後のために休養をとっているのだ。

そこに、玄関からドアの開く音が聞こえる。二人が帰って来たのだ。


「ちぃーす。ただいまーってうお!?透!なんだその顔!」

「ものすごく可哀想なことになってますね」

「あぁそれがな……」





話しを一通り聞き終わる前に炎波が神崎に襲いかかる。


「おまっ……何すんだ!?」

「え?女の敵を殺そうと思って」

「誰が女の敵だ!ていうかオマエがなんで女の敵を殺すんだよ!」

「女の敵は俺の敵」

「ふざんけんな!」


もう本題からそれまくっていた。



###

所長が咳払いをし、騒ぐ三人(氷也を除く)を黙らせる。


「さて、本題に戻そうか……」

「何故詠里ちゃんの裸は見れて、私の裸はダメなのかという……」

「もういいですよ!!」


むぅ、そうか。所長は不満げに言うと、本当に本題を話し始める。


「これから詠里ちゃんをどうしていくかと言うことだが」

「所長、一個だけわがまま言っていいですか?」

「ん?なんだ?」


神崎は思いのままを伝える。


「彼女を俺達のところで、ここジャックで保護しませんか?」


全員が驚いていた。この男の性格を考えるに、彼女を光の指す場所へと戻したいと、言い出すと思ったからだ。


「確かに彼女を光の指す場所へと戻したいですけど……結局こんな事件がまた繰り返されると思うんです」

「……!そうだな。そうしよう」


残りのメンバーも同じ気持ちだ。


もう二度、こんな悲劇は繰り返さない。

今日の投下は終了です。

>>41のアドバイスはこれから実施させていただきます。


では、また明後日に会いましょう

乙です

そういや、世界の暗部ってジャックだけですか?
後、人々の能力に対する価値観はどうなってるんですか?

こんにちはケイです!

>>48
暗部はたくさんあります。種類もたくさんあって政府公認の暗部や、非公認の暗部、また上層部がいない単独の暗部があったりします。ジャックは非公認の暗部です。

人々の価値観については学校をイメージしてください。例えば、能力をあげるために努力する=勉強やスポーツを努力する。
他にもDQNのような人々達は勉強がダメなように能力もダメだったり、上位の点数の人が下の人を見下す=高位能力者の人が下の人を見下すといった感じです。

まぁでも基本的に便利なものや、自分自身のステータスという考え方が大半です。


今日は7時から8時の間に投下します

人間の約80パーセントが能力者なんだっけ?
なら警察組織や軍隊も能力者中心に構成されるよね。
そして拳銃とか既存の兵器が役立たず・火力不足になる。
なぜなら無手に見えて炎出せたり電撃出せたりする人がいるんだから。
近代兵器 能力 人海戦術とかじゃないと犯罪能力者の取り締まりとか無理だろう。


>>50
そうです。
でも警察にもその分、能力者もいるし知脳×身体能力なので警察は訓練などで、割りと強かったりします。


強すぎる相手には、>>50の言う通り近代兵器などが投入されます。


それでは投下スタートッ!



###

その男は依頼者の研究員達と、話していた。男の名前は甲坂、武装集団のリーダーだ。

その体はスラッとしているが、そのスーツ下はボクサーのような体型だ。武装集団達の中で、ほとんどの人間が傷を負っているなか彼だけは、傷一つない体だった。

暗い部屋で何人いるのかわからない。闇の中から研究員の一人が甲坂へと話しかける。


「依頼と違うじゃないか。姫川は奪われてるぞ。」


甲坂は、その言葉を聞くと呆れるように頭をかく


「あーあぁ。わかってねぇなぁ。姫川は、大丈夫だよ。」

 「なぜそう言い切れる」

「もう場所はわかってるからなぁ」

 「世界最高レベルの精神系能力『完全制御』<<ソウルコントロール>>。アイツは渡さねぇ」


研究員達には最後まで意味がわからなかった



###

ジャック本拠地では、作戦会議がおこなわれていた。炎波はいつものように、興味が無さそうにソファーでだらけている。神崎は氷也と所長に質問をする。


「そもそも、あの子の能力は何なんだ?確か多重能力者の可能性つってたけど」

「……いえ可能性ではなく、恐らくすでに『開花』しています」

「彼女の能力は『完全制御』<<ソウルコントロール>>。学会を震撼させた力です」

「学会?確かに強そうな能力ですけど?」


鳴が、問いかけると次は所長が答える。


「元々彼女は精神系の能力。そこまで脅威的な能力じゃなかったんだ」

「と、先にこちらを見てください」


氷也が一枚の資料を机へと置く。これは能力が人間へとなぜ生まれるか、という論文が書いてある。
神崎と鳴はこれに目を通していく


脳は全体の10%しか活動させていない。この残りの場所に能力が宿ると言われている。以前、能力による戦争が行われてから能力者は、無数に増えて言った。

この能力者には最低限、条件がある。


それは『願い』


ほとんどが自分の気づいてない内に『願い』を持ち、そしてそれと同時に能力を得ることとなる。

これが、能力の正体であり全てである。



一通り目を通すと、所長はまた話しを進める。


「そこに書いてある論文。彼女はそれを裏付けてしまった」

「『願い』を、ですか?」

「あぁ。彼女はな……」

「脳にある他人の『願い』をコピーしてその能力を使用することができるんだ」


神崎は驚く。それと同時に彼女を心配した。『願い』をコピーするということは、場合によっては悲劇を見てその悲しみさえもコピーしてしまうのではないか、と。


「……酷い能力ですね」


彼女は何を思い、この能力を得たのか。

彼女は何を思い、この力をふるうのか。

彼女は何を思い、今生きているのか。


それを想像した神崎は、いや全員がこう思う。


(絶対に助けて見せる……ッ!)


その瞬間、寝ているはずの彼女の声が聞こえる。


『別に助けなんていらない……』


直接脳に、語りかけてくるようだった。その声は続く


『私には助けなんていらない。私は好きに生きたいの』


すると、急に寒気がした。まるで能力者と対峙しているかのような寒気が。


『私の……』

『私の……』

『私の……!』

『邪魔を、しないで……ッ!』


瞬間、リビングの隣にある鳴の部屋が炸裂した。

今日はここまでです。

能力は願いによって生まれる。TBSのSPECと同じ考え方でおkです。
ちなみに、甲坂が姫川を最高レベルといいましたが元々は普通でいろんな人をコピーするに連れて能力の相乗効果が起きて結果的に強くなった、というわけです。(普通に相乗効果なしでも行使できますし、他の能力も相乗可能です)

やべえめっちゃ面白そう

現状は姫ちゃん守るのが目的か

>>56
ありがとうございます!これからもっと面白くしていきます!

>>57
姫ちゃん、ナイスネーミング(*`・∀・´)bグッ


それでは本日も投下していきます。


スタートッ!



「なっ……!」


神崎達には、理解できなかった。何故、彼女はここから逃げようとしているのか。何故、彼女は今の攻撃で『自分達を殺さなかった』のか。

その思考を断ち切るように、次は玄関の方から男達が乗り込んでくる。その中の黒いバトルスーツを着た男が一人が前に出てきた。


「え~。こちら甲坂。姫川を奪いに来ました。」


その言葉を聞いた瞬間、所長が容赦なく甲坂へ向けて発砲する。その距離2m。だが、それは甲坂の体を傷付けることはなかった。次は甲坂が所長へ向けて発砲する。


「ぐっ……」


力なく倒れこむ所長の後ろから、鳴が襲撃する。


「……『圧力変換』か」

「!?」


甲坂は余裕そうに呟くと鳴の腹部を思いっきり蹴りつける。そして届くはずのないその蹴りは何故か鳴に届く。


(な、んで……!?)



「能力者ですか……!」


氷也は呟きながら、甲坂へと手を伸ばす。が、氷也は後方からの謎の爆発によって吹き飛ばされる。姫川の力だ。神崎と炎波がそちらを振り向いた時にはもういなかった。甲坂の隣で二人に向けて殺気を放っている。そして一言


「助けなんて要らなかったのに」

「……!ふざけんなよテメエ!?」


その言葉に炎波は激怒する。


「神崎がテメエをどれだけ苦労して助けたと思ってんだ!?神崎がどれだけテメエを助けてぇと思ってたか知ってんのか!?」


その言葉を聞き終わる前に、その二人は虚空へと消える。炎波は男達を炎剣で蹴散らしながら奥へと進もうとする。その目に神崎が頭に手を伸ばす姿が見えた。


「バカ野郎!!テメエの力は制限があんのは自分が一番知ってんだろうが!!」

「うるさいッ!」


構わず能力の『スイッチ』を入れる。髪が火花を散らす。もうすでに、体力はきれかかっている。神崎の体には3日徹夜したかのような重圧が押しかかる。だが、神崎はそのまま男達を潜り抜け、二人がいるであろう車へと向かう。


「間に合え……!」


一気に階段をかけ下がって行った。



神崎がマンションの玄関を通り抜けると、そこには計ったかのように彼女の乗る車が通り過ぎる。その瞬間、彼女が直接脳へと言葉を送ってきた。


「!?」

「ふざけんなァァァあああああ!!」


その言葉を聞いた神崎は、その車を追いかける、が到底間に合わない。車が見えなくなると、神崎は四つん這いにたおれこみ、彼女の言葉を思い出す。


『ごめんね』


少年の叫び声は、上階の爆発音でかきけされた。

本日はここで終了です。
ちなみに爆発で男達は殲滅されました。

では、また明日

乙です!

喫茶店も面白かったぜい

面白いんだけど所々文章がおかしい

>だが、それは甲坂の体を傷付けることはなかった。
これは所長が狙いを外したの?それとも甲坂がかわしたの?能力とかで防いだの?

>甲坂は余裕そうに呟くと鳴の腹部を思いっきり蹴りつける。
鳴と甲坂が格闘戦の射程にいるか分からんかったから、普通に蹴りつけられたのかと思ったわ
この書き方だと甲坂が直接鳴を蹴ってる絵が頭に出てきて、その直後で否定さらるから読んでる方としては「えっ?」ってなる

あと甲坂の見た目がよくわかんない
大人なのか子どもなのか、神崎たちと同年代くらいなのか
イケメンなのか強面なのかブサイクなのかおっさんなのか
勝手に木ィ原クンみたいな感じで想像してたけど

>>63
前作から読んでいただきありがとうございます!これからも応援よろしくお願いします。


>>64>>65
これは>>1の文章能力の無さが原因です。大変申し訳ありませんでした。こちらで補足説明させていただきます。

まず所長の件ですがこれは甲坂が能力で防いだ、ということです。

鳴の方は、甲坂が能力で蹴り、『本来圧力変換で打撃は喰らわない鳴に届いた』という意味です。蹴り自体も届いています。
一応その後、氷也が「能力者ですか」と呟いているのですが不十分でした。

甲坂の見た目については私も木原クンイメージだったのでそれでお願いします。

今後からは、もっと読み安いように努力します。


それではスタートッ!



###

一通り『掃除』をしたジャック本拠地に5人は、集結していた。全員椅子やソファーに座っており、神崎だけが下を向きうつむいていた。所長が受けた銃による傷以外は、目立った傷を負ったものはいなかった。

炎波は飲んでいたコーヒーを膝ほどの高さのテーブルに置くと、全員へ向けて質問する。


「これからどうすんだ?」


誰も答えられなかった。一日に二度もの死闘を繰り広げたからか。それとも姫川に裏切られたことが精神的にきているのか。

その中で、テーブルの反対側にいた神崎だけが不意に口を開いた。


「……助けに行く」


その言葉を聞いた瞬間炎波は思わず、テーブルに片足をのせ、神崎の胸ぐらを掴んでいた。



「ハァ!?何言ってんだテメエ!?裏切ったんだぞ!!あの女は命をかけて助けたお前達を裏切ったんだぞ!!」


感情のまま炎波は怒りをぶつける。ここで炎剣を出さないだけましだったのだろう。

神崎は胸ぐらを掴まれたまま静かに答える。


「……確かにそうかもしれない。あの娘は俺達を裏切ったかもしれない。」

「でも!!」

「そんな娘があの時!俺があの娘と最後に会った時!!」



「なんであんな泣きそうな顔で俺に『ごめんね』なんていうんだよ!?」


炎波は答えられなかった。

それが、自分達には向けられなかった本心なのか。それが、神崎に向けられた本心なのか。

彼女の本心を聞いた彼らはもう迷っていない

神崎は炎波の手を首からはずし、そして全員へと言い放つ。


「あの娘は絶対に助ける……それがあの娘を今救うたったひとつの手段だ……」

「行くぞ!!!」


彼らは迷わず立ち上がる。もう一度戦場へと向かうため

一旦終了です。7時か8時にもう一度投下します

本日は投下できそうにありません。

また明日会いましょう

乙乙

>>71
ありがとうございます!

それではスタートッ!


###

中学校の体育館に、武装集団(主力を除く)の残兵は集結していた。数は百人程度。体育館を埋めつくしていた。そこで、これからの作戦を話し合っていた。

だが、その5分後事態は一変していた。たった二人の少年と一人の少女によって殲滅されていたのだ。だが、一人も負傷していない。ただ、武器がへし折られていたり、焼ききられていたり、凍っていただけだった。

本来、炎波は殺すことを楽しむ。だが今回は違っていた。まるでメインディッシュを待っているかのような笑みを溢していた。その手にはどこからもってきたのか、拡声器が握られていた。

男達は武器がとられた後、能力で抵抗したが軽々とあしらわれた。そのことにただおびえるしかなかった。

体育館の中心で炎波は男の一人の肩に、右手をのせる。炎波の後ろには飽きれ顔をした鳴と氷也がいた。
男は咄嗟に自身の能力で払い除けようとした。その瞬間男の左肩から左腕が『落ちた』。

事態の処理に脳がついていかなかった。ただ炎波の右手から炎剣が噴射されている。ようやく事態がわかった男に激痛が襲う。叫びのたうちまわる男の肩からは、血が一滴も出ていない。焼かれて傷口が塞がれているのだ。血が出ていない床に落ちた左腕は壊れたマネキンのようだ。男達からはざわめきが聞こえ、再び戦闘態勢となる。

そして炎波は、左手にもっていた拡声器を右手にもちかえ体育館の中心で男達を黙らせるようにメッセージを送る。


「さぁ!始まりましたぁ!今日のビッグイベント『人生ゲーム』!ルールは簡単!あなた方のリーダーと姫川の居場所を俺達に教えるだけ、という親切ルールゥ!?」


男達は何を言っているのか意味がわからなかった。ただ左腕の無い男の叫び声しか聞こえない。その男を氷也はうっとおしそう触ると叫び声はピタリととまる。凍ったのだ。またざわめきが出る前に炎波はまたしゃべり出す。


「優勝者はたった一人だけ!それ以外の方には死んでいただきます!!優勝商品はあなたの命!!一番最初に教えた方が優勝です!それでは……はじめ!!!」


ふざけているようにしか見えなかった。だが一人の男がその場所を答えると、炎波はメインデインッシュを目の前にした子供のような目でこう告げる。


「ざーんねーんでーしたー!?」


その遊びに氷也達は加わらない。



###

所長の乗る車で黒いパーカーをかぶっている神崎は炎波から連絡を受ける。


『あ、うん。そうそう。そこ。その立体駐車場ね』


電話の向こうからは『なんで私があと片付けなんか……』という鳴のげんなりした声が聞こえてくる。

炎波からの連絡を受けた神崎はパタン、とケータイを閉じると前の運転席にいる所長へと場所を伝える。


その車は静かに発進した。



###



ヒーローみたいだと思った。



彼は私を『絶対助ける』と言ってくれた。彼らは私を『守ってみせる』と言ってくれた。

初めてだった。初めて心の底から『助ける』と言ってくれたのは、彼らだけだった。

今まで『助ける』と言ってきた人はたくさんいた。だけどその心の奥にはどす黒い欲望しかなかった。


だけど彼は『助ける』と言ってくれた。初めて心の底から言われた言葉だった。だからヒーローみたいだと思った。


だけどヒーローは私には似合わない。


ヒーローはヒロインを助けるものだ。私のような村人Aには似合わない。私のような村人Aのために傷を負わせたくない。だから、彼らを裏切った。

とても胸が痛かった。苦渋の決断だった。でも、それが最善の策だと思った。


それなのに……。
それなのに!


「見つけた……!」


何故、あの少年は、あのヒーローは私の前にまた立っているのだろう。


どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして……どうして!?






「どうして来たの!?」







立体駐車場の三階地点の扉を開いたところでようやく彼女を見つけた。


「見つけた……!」

「どうしてきたの!?」


ほとんど泣き出しそうな顔だった。暗い立体駐車場の中に一人立っていた彼女と、まだドアノブをようやく放した彼との距離は10mほどあった。だが、心の距離はもっと。もっともっと離れているだろう。


「どうして!?私は裏切ったのに!!私は嘘つきなのに!!」


そんな言葉を投げ掛けられた。それでも、神崎は彼女の元へと無言で向かう。だが、彼の心の叫びが姫川へと届く。


『この娘は絶対に不幸にはさせないッ!』

「!?」


彼はまだ私を助けると言ってくれる。姫川は驚きと共に無意識に拒絶してしまった。

そう『拒絶』。


つまり『能力の暴走』


神崎に向かい火炎やかまいたち、龍のようにうねる水流。直撃すればまず命は無いだろう。だがこれらを神崎は『よけない』。

そしてそれらは、神崎を『かすめた』。そう『かすめた』のだ。姫川は無意識の内に拒絶していたのと同時に、助けたいとも思ったのだ。


彼我の距離は2m


そしてぽつり、と神崎は呟く。


「お疲れ」


この戦いのことを言ったのかもしれない。私の人生に。ずっとこんな悲劇の中にいた私に言ってくれたのかもしれない。

その言葉を聞いた瞬間体の力が抜けた。その体を神崎は胸に抱き抱える。

ぎゅっと、力強く。


もう二度と離さぬように

今日はここまでです。
どうして神崎がここまで姫川を助けようとしているかは一応理由がありますが、それはまた今度。

それではまた明日

age忘れた

本日も投下していきたいと思います。

それではスタートッ!



「ハイハイ。おめでとー。ナニコレ?幼稚園のお遊戯?」


不意に神崎の後ろから声が聞こえる。甲坂だ。先程神崎がいた扉にうっかかり適当に、拍手をしながらこちらを見ている。その服は黒いバトルスーツのようなもので顔と手だけが露出している。

神崎は、姫川を抱き抱えたまま半身になり銃口を甲坂へと向ける。


「ふ~ん。このお遊戯の主役は勇者様ってわけね。俺はさしずめ悪竜?」


ニヤニヤと笑うその顔は悪竜というより、猛獣とよぶべきだろう。なんの前触れもなく神崎はその顔に向かい発砲する。が、弾丸は甲坂の顔に直撃した瞬間壁にぶつかったようにはねかえる。


(所長の時と同じか……)


神崎は考察していると、胸元にいる姫川が神崎にだけ聞こえるで呟く。


「(あの人の能力は『身体硬化』<<ハードロック>>と言って自身の体と触れているものを硬化する能力なの。)」


神崎は静かにうなずくと目をうごかし周囲の状況を改めて確認する。車は周囲の壁と内側にそって止められており、上から見ると回のような形になっている。神崎達はこの左上の通路にて対峙していた。

距離は10m。

神崎は姫川から戦いに巻き込ませぬように離れる。甲坂は神崎のこの決断に対し


「なるほど、なるほど。彼女は巻き込ませませんってか。いいねぇその心意気。」


だがと付け加え、扉に預けていた体を起こす。


「その心意気は闇じゃ要らないんだわ」


瞬間神崎は『スイッチ』を入れる。全身に嫌な汗が吹き出る。それでも神崎は甲坂元へと歩く。



ふらつきながらこちらへ来る神崎へ甲坂は余裕そうに世間話をするように告げる。


「俺はお前がここの組織にいるって報告があった時嬉しかったよ」

「最高出力を誇る電撃使い『雷神』に対し最高レベルの実力を誇る『最低出力』<<ワーストボルト>>」


神崎は怪訝そうな顔をしたがそれでも甲坂は続ける。


「『最低出力』その正体は完全に電気を支配する力。出力が弱い変わりに最高の技術を有する力。お前の異常な身体能力と頭脳。そして能力はこれの力だ。」


神崎の体からさらにいやな汗が流れる。能力のせいではない。完全に自分の能力が看破されようとされているからだ。
甲坂はつまり、と区切りそして看破する。


「テメエは完全支配した生体電気を効率的に操り頭脳と身体能力をそこあげしている。」


「だが、それだけじゃ終わらねえ」


「頭脳と身体能力は底上げされ能力の支配力も上がる。これで文字通り『一秒ごとに強くなる』んだろ」


まぁ結果的に最後には出力も半端ないんだろうがよ、と呆れたように吐き捨てる。


そんなことは本来ありえないことだ、と学者はいうだろう。だが、能力の前には既存の常識が当てはまらないことも多々あるのだ。


「……!」


これで条件は同じ。能力はみせあった。あとはどう撃破するかだ。

怪物同士の戦いが始まる。



まずは神崎が動いた。鉛のように重い体を動かし、甲坂へと突き進む。右手をスタンガンのように使う。いくら固くても性質はそのままだと思ったからだ。そして一瞬で距離を積める。射程圏内。スタンガン以上の力を持つ右手を、腹部へと押し付ける。

が、甲坂が倒れることはない。神崎は驚きを隠せない。甲坂はその右手を払いのける。


「能力対策はこうじてるつつーの」


右手と甲坂の間にあるバトルスーツ。あれは恐らく表面にゴムを使用しているのだろう。

そして今後は甲坂がゼロ距離でダイヤモンドレベルの硬さを持つ足で蹴り飛ばす。


神崎は5mほど転がる。その体はぐったりとしていてとても戦える状態ではない。


「透くん!!」


姫川は叫ぶがその声は届かない。


甲坂は神崎へと近付きながらまたさっきの口調で話出す。


「テメエの能力は強いようだが弱点もいくつかある」

「一つ目は最初は弱いこと。こりゃ当たり前だな」

「二つ目は制限時間があること。体を120%使うから体に相当な負担があるんだろ」


そして最後に


「三つ目は痛みも増幅されんだろ。」


神崎は動かない。いや、動けない。それでも甲坂は続ける。


「どうしても頭脳と身体能力を上げる時にあがっちまうみたいだな」


完全に、神崎は全て看破される。甲坂はにやけながら


「もうゲームオーバーだよ」


神崎は動かない。

今日はこれで終了です。

神崎の能力は実際あり得ないでしょうね。でも、能力に常識は通用しねぇ!


それではまた明日

なにこれ汎用性高すぎだろ!

?~?から選びなさい。
?「待たせたな、神崎!」と炎波たちが助けに来てくれる。
?「もう私は逃げない」と姫ちゃんが助けてくれる。
?イケメンの神崎は甲坂を倒す名案を閃く。
?助からない。現実は非情である。

>>85
一方さんよりましです。

>>86
ネ、ネタバレはよくないんだぞ(震え声)

それでは本日もスタートッ!


甲坂がとどめをさそうとしたその時、寸前で甲坂の手が止まる。


「……日野、炎波か」


甲坂は後ろを振り向く。そこには炎剣を携えた金髪の少年がいた。


「……透、ざまぁねぇな。でもよくやった。あとは任せろ」

「ハッ。テメエみてえのが何すんだよ」

「殺しができると聞いたもんで」


二人の怪物が対峙する



まず炎波がしかけた。全速力で甲坂へと向かう。甲坂は、にやけながら横合いへと走る。


「逃げんなっつーの……!」


甲坂を追いかける。自動車をはさんで両者は向かい合う。炎波は自動車ごと焼ききるとそこにはゴチャゴチャとした機材をつけたホースを手にしている甲坂がいた。


「能力対策ってやつだよ。準備してたんだよ。高圧洗浄機。これだけならギリギリ大丈夫だろうがこれを硬化させたらどうなると思う?」

「まず……っ!」


躊躇なく甲坂は蛇口をひねる。硬化した高圧の水は拡散することなく槍のように、炎波の心臓へと突き刺さるだろう。炎波は水は焼ききれない。目をつぶりそしてこう思う。


負けた。


そう思った炎波の体に高圧の水が叩きつけられた。そう、突き刺さるのではなく叩きつけられた。炎波が目を開けるとそこには


「……」


神崎が立っていた。



何を言うでもなく左手を地面と平行に上げていた。神崎は二人の間に割って入るような構図だった。その左手は水に濡れていた。今にも倒れそうになっている神崎は甲坂を睨んでいた。そう痙攣しまるで『感電』したかのように地面に転がっている甲坂を。甲坂は仰向けのまま痙攣し神崎へと口を僅かに動かし告げる。


「この、程度で、終わる、と思ってんじゃあ、ねぇ……!」


甲坂の体からは痙攣は消え立つ。その顔にはうっすらと笑みを浮かべていた。

神崎からは焦りなどは見えない。いや、その顔自体やや下向き黒い髪に隠れている。


自分の能力が破られた甲坂は拳銃を取り出す。が、その手は異様に震えていた。痙攣しているからではない。

『恐怖』

まるで猛獣と対峙しているかのようだった。炎波もこの感情を抱いていた。

震える手から拳銃が落ちる。まずい、と思った時には遅かった。顔面に雷激を浴びせられたからだ。そのまま無気力に倒れこむ。


この時、甲坂は疑問を抱いていた。今までこのような戦いは幾度となくあった。だが、このような恐怖は一切なかった。そしてこの恐怖は神崎からうけているのではなく、炎波でもなく。



つまりはこういうことだ。


「姫川ァァァあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


甲坂目にはは、精神系最高レベルの能力者がこちらを見据えているのが見える。


「地獄に堕ちろ……クズが『光』を喰ってんじゃねぇよ……!」

地面で叫ぶ甲坂に向かい神崎は容赦なく電撃を叩きつける。




一人の男の『死』と一人の少年の『変化』をもってこの戦いは終了した。



本日は終了です。

一人の少年の変化とは!?

ではまた明日



炎波さんあかんやんか



>>87
比較する対象を間違えてるwwwwww

>>93
いや、炎波は百人以上殺してますからね

>>94
じゃ、じゃあミコっちゃんで


それでは午前中はちょっとだけスタートッ!


###

全治一週間だった。


神崎が目を覚ますとそこは白い四角形の部屋だった。神崎の左には同色の白。右側には窓がついており、ベッドの数からして二人部屋のようだった。

ここで五分前全治一週間の宣告をされたのだ。この病院は普通の患者はもちろん暗部の人間もOKというトンデモ病院だった。神崎のベッドの隣の椅子には緑の患者衣を着た姫川が座っている。(隣のベッドには爆睡の鳴)


「……」

「……ごめんね。透くん。私のせいで」

「いいや。別にいいよ」


と、笑って返すが彼女が来る前に所長に「しばらく現場復帰はダメだな」といわれ若干落ち込んでいた。


「なんで私を助けてくれたの?」


依頼だから、の域を越えた救出劇に姫川は素直に疑問を抱えていた。だが、神崎は「別に」と答えそれ以上の会話はなかった。



###

病院のすぐ前の広場にあるベンチに所長は腰をおろしていた。周辺には患者やその親族が遊んでいた。

彼女はいつものベージュのスーツを着ていて傷は跡形もなく消えていた。不意に彼女の携帯がなる。今回の依頼人だ。所長は通話ボタンをおすと老人の男性の声が聞こえた。


『終わったのか』

「ええ」

『なら、早く姫川を引き渡せ』


そう、これが今回の依頼内容。だが所長はニヤリと笑い。


「まぁ」

「いやですよ」

『なに?』


瞬間携帯から老人の悲鳴とバキバキバキと、人間を凍らせたような音が聞こえた。

面倒くさそうに所長は携帯を閉じるとため息をし


「……こんなもんか」


正真正銘、この戦いは終わった。

これで#エピソード1は終了です。

夜からは#エピソード2です!おたのしみに!

おつん

この生産速度
あぁ~^いいよいいよ~ー^

>>99
ありがとうございます!

>>100
どうもっす

#エピソード2は8時頃から


#エピソード2


入院してから3日後、神崎は退院していた。だが、体が本調子ではないため車椅子を使用していた。しかし何故かジャック本拠地まで鳴が押してくれた。

ジャック本拠地につく前、彼らは所長と姫川に出会い、神崎は冷たい目線で「あぁ……うん……」と何かを納得されてしまった。


今はリビングのソファーに横たわり、年下の女の子に介抱されたことを悔やんでいた。

当の鳴は自慢の甘栗色のショートヘアーをゆらし、ピンクのエプロンをつけ神崎のために昼御飯(彼女の得意料理オムライス)を作っていた。その時、玄関から二人の少年が言い争いをしながらリビングに入ってきた。

日野炎波。髪を金色に染めていて黒い革ジャンとジャラジャラとチェーンのついたジーパンを着ていた。その風貌はホストやチンピラなどの軽薄な男を連想させていた。

対して、もう一人は染めているわけではない茶髪で、白を基調とした爽やかな服装をしていた。その名は郡氷也。テニス、デスクワークなど全てが似合い全ての人から好かれるような容姿だった。



「チッ。これだから氷也は。ってオイ。透ソファー独り占めすんな」

「うるさい。俺、怪我人」


炎波は、容赦なく神崎をソファーから突き落とし、腰をかける。が、神崎は地面を這いながら炎波のすねを殴り応戦していた。

一方、氷也は鳴がいるキッチンへ行き、鳴とオムライスを交互に見てから呟いた。


「……乙女ですね」

「包丁がすべったァァァあああああ!!」


思いっきり包丁を投げる鳴。だが、氷也は軽々とそれを避ける。鳴は氷也は睨みながら調理を再開する。氷也は冷蔵庫から、自身の昼御飯(鮭弁)を取り出しテーブルへと向かう。


鳴も皿に盛り付けた2つのオムライスをもってくる。それを見た炎波は


「あれ?俺のは?」

「あぁ。どうぞ」

「……ちょっとまてオラ。何故に魚肉ソーセージなんだ。しかも賞味期限きれてんだろこれ!?」


そんな炎波の叫びを無視し鳴は神崎へとオムライスを差し出す。が、神崎は怪訝な顔をし


「なんでアーン……?」

「い、いいじゃないですか」


そしてその瞬間リビングの扉が開く。

ふわふわとした髪。すらりと伸びた足。ジャックの一輪の花(鳴は暴力少女)姫川詠里はその二人の光景を見て


「……」

「待って!無言で扉を閉めないで!そんな男の趣味って脳内で変換しないで!!」


なんというか今日も平和だ。

今日は終了です。
しばらくは日常回かも……

神崎と鳴のやり取りはなんとなく喫茶店の垣根と絹旗イメージですた。

ではまた明日



包丁を投げる乙女wwwwww

>>105
仕方ないよ。暴力少女だもん。


それでは本日もスタートッ!


###


若者がよく使うような喫茶店で20~30代と思われる女性。子供達からは所長と呼ばれる彼女はタピオカの入ったドリンクをすすっていた。
すると、彼女の座っている席の反対側に同じく20~30代の若い男が何もいわず座ってきた。所長はさも当然のようにそれを受け入れる。


「待ち合わせぴったりだな。『最年少政治家さん』?」

「ははっ。そんなことは今は関係ないでしょう?」


そうだな、と所長は笑ってみせるが若い男の目は笑っていない。


「さて、本日の依頼は何かな。というか君のような若い男が闇に手を染めるとはもったいない気がするがな」

「若いなんてあなた方のチーム。いやジャックには14歳ぐらいの子しかいないでしょう?」

「……どうやら知りすぎでは?」

「ふふっ。姫川詠里の争奪戦も知っていますよ」


……この男にはかなわない。この年で政治家になった天才の思考にはついていけない。彼は黒のスーツのポケットに、手を突っ込み立つ。そして振り向きざまに、依頼。いや忠告をする。


「……姫川詠里。この強力なカードを持ったジャックは全力で潰されるんじゃないんでしょうか?」

「……」


それでは、と彼は立ち去っていく。彼の座っていた方のテーブルに名刺をおいて。


「相良、策師。……めんどうだな」


所長は最後のいっぱいを飲み干す。


###


炎波と姫川は、昼御飯を買いにコンビニにいた。


「詠里ちゃんはさ。どういうのが好きなの?」

「?ヘルシーなのかな……」

「いやいや、そういう意味じゃなくてさ」


姫川は首を捻り意味がわからなかった。炎波ははぁ、とため息をつき


「だから詠里ちゃんは透が好きなの?」

「へ、へ?そそそそそそ、そんなわけないよ!?」


首がもげるかというほど横にふっている。その顔は真っ赤だ。そして炎波はこう思う。

またか、あの野郎。


昼御飯を買い終えた二人は本拠地へと向かっていた。コンビニ袋は炎波が持っている。姫川はうつむいたまま顔を真っ赤にしたまんまだった。炎波はニヤニヤとしながらそれをみていた。が、急に後ろを振り替えると姫川の手を掴む。


「チッ!まずいな」

「え?え?」


状況が理解できない姫川を引っ張り炎波は走る。日射しが照りつける中、人ごみをすり抜けていく。状況がつかめない姫川は炎波の脳内を覗く。


『クソ!襲撃者かよ!なんだってこんなところに……!』


そして周辺の人物を手当たりしだいに覗いていく。するとこんな声を見つけた。


『あれが完全制御か……!』


暑い炎天下の中、冷や汗が止まらない。

投下終了です。

姫ちゃんはもともとの精神系は普通に使えますが他の能力を使うと頭痛がします。(使えるっちゃ使える)

投下終了です。

姫ちゃんはもともとの精神系は普通に使えますが他の能力を使うと頭痛がします。(使えるっちゃ使える)

乙です

>>112
ありがとうございます!これからも頑張ります

それではスタートッ!


とりあえず炎波は人目のつかないような路地裏へと走る。姫川は隣で息切れしながらも炎波について行く。


(チッ。どうする?俺はこういうの得意じゃねぇんだが……やるしかねぇか!)


薄暗い路地裏、というよりも広場というべき場所で炎波は後ろを振り返る。恐らくここは不良などが使うような『公園』なのだろう。だが炎波からしてみれば子供の遊び場とさして変わらない。特筆するようなものが何もない灰色の『公園』に襲撃者は走る勢いを緩めながら正面に立つ。


「……おいおい。女かよ。やりにくいな」


炎波は挑発するような目でその女を見る。その髪はポニーテールのようにしていて背中辺りまでのびている。 スレンダーな体は180cmほどだろうか。その端正な顔だちとあわせればモデルとしてもやっていけるだろう。

が、ここは『闇』。そんなことは関係ない。その女は炎波が姫川を守るように前に立つと、すぐさまゼロ距離まで縮めてきた。


「うぉ……!?はや……ッ!?」

「……ッ!」


彼女は炎波に絡み付き右腕に得体の知れない間接技を決めてきた。肉弾戦では男にかなわないと判断したのか。それとも元々これが彼女のスタイルなのか。

力でふりきれない炎波はいつものように炎剣の刀身が噴射されている右手で牽制する。



本当ならば彼女の腹部に直撃していたはずだ。だが、彼女はそれを避けた。

自身の背骨をあり得ないほど曲げて。


「なっ……!」

「うそ……でしょ?」


二人共驚きが隠せない。なぜなら、彼女は横に体をUの字にして曲げていたからだ。


「私の体に稼働域なんて言葉は必要ないのよ」


舌打ちをしながら炎波は炎剣を振り回す。彼女は余裕そうに炎波から離れると、バックステップし5mの距離をとる。そして彼女は口を開く。


「姫川さんを渡してもらえません?」

「あァ?誰にもの言ってんだァ!?」


炎波は両手に炎剣を出し彼女へと突進する。対して彼女は右腕をしなるムチのように炎波の右肩へと叩きつける。


そうまた右に。


炎波の視界の右側がぶれた。彼女は次々と炎波へムチを叩きつける。そして最後に足で蹴飛ばす。

炎波さん炎剣出せても剣術の心得はあんまりないっぽいね



炎波は薄汚れた地面にうつ伏せに倒れていた。

そして、炎波をチラッと見るとすぐに姫川を狙う。彼女が炎波の隣を通過しようとしたその瞬間


「よぉく頑張ったよ。おねーさん。」


彼女はすぐさまその場を離れる。炎波は彼女に興味が無さそうに服の汚れをはたく。


「ん~?年は18かな?4歳年上かぁ」


彼女に意味がわかったのは5秒後だ。

つまり彼女を女として品定めしているほど余裕だった、ということだ。くすくす笑いながら炎波はこう告げる。


「お疲れ様です。おねーさん。帰りおくってこっか?」


彼女は本能的に炎波を襲う。が、炎波は爆風だけで吹き飛ばす。


「んじゃ」


炎波は姫川を引っ張りかえって行く。追おうとする彼女の携帯に組織のリーダーから連絡がはいる。


『やめとけ』


炎波は今日も絶好調だ。

彼女は絶好調でも彼にはかなわない。

終了です。

>>116
独学ですな。まぁ、当たれば焼ききれるし。


次回は彼女の組織とは!?的な感じで。

ではまた明日

それでは本日も張り切って投下していきます。


###


ようやく本拠地へと帰ってきた炎波の体には打撲のようなあとが無数にあった。


「よぉ。大丈夫か?」

「ハハ!まぁな」


炎波は笑ってごまかす。

先程の戦いで重要だった、こちらの戦力の底をみせないという炎波が苦手とし氷也が得意とする知能戦。神崎はこの戦いがあったことをすぐ察したようだ。

氷也はコーヒーをテーブルにおくとさも当然のようにいいはなつ。


「やはりきましたか」


その発言に神崎は怪訝な顔をする。氷也という男はいつもこうだ。会う人々からは天才と呼ばれ、ジャックの中でもずば抜けた能力を持つ。さらには所長と共に作戦まで決めているのだ。

それなのに奇襲の可能性を(炎波にだけ)伝えないということが、しばしばあった。


(本当仲悪いな……)


炎波は勢いよく椅子に座り鳴にコーヒーを要求する。姫川は神崎の隣に座ると、氷也へと質問する。


「これからどうするの?」

「相手を知らないとなんとも。炎波、相手はどうでした?」

「18歳。Dカップ」

「女ですか」

「……ちょっとまて。炎波、氷也。お前らのやり取りおかしいだろ」


女二人はため息をつく。


###


家族向けのファミレスに『無稼働域』<<オーバージョイント>>の女性はいた。向かい側の席にはオレンジ色のタンクトップを着た大男が座っていた。額には何やら同色のバンダナを巻いている。そして彼らの前にはパソコンが一台ずつある。


「……どうだ。そっちのようすは」

『一応本拠地は突き止めましたけど。突っ込みます?』


大学生ぐらいの男がパソコンの画面には写っていた。


「いや……あいつらの切り札は郡とかいう男か」

『実戦の記録なんてゼロに等しいけど?』

「いいから今はいくな」


了解、と気の抜けた返事と共に通信は遮断された。二人はパソコンを閉じながら話し出す。


「郡という男もですが他のメンバーも強いようです」

「確かにな。だが人海戦術というのも乙なもんだぞ?葵?」

「!!……なるほど」


葵と呼ばれた女性は大男、いや総勢128人の組織『バグ』のリーダー熊谷の意見に賛同する。


「姫川か……『必ず助けるからな』」


そして再び闇は動きだす。

今日は終了です。

今更ですけど禁書みたいに能力者にはレベル○をつけた方がいいですか?


ではまた明日

乙です

>>122
どうせなら、ファーストとか違う書き方でやることをお勧めしまする。
その方がオリジナル感が出るかも

>>123
ありがとうございます!それでは
弱 1st 2nd 3rd 4th 5th 強
でいきます。価値観的には禁書で

午前の部スタートッ!


###


ジャック本拠地から出て神崎、鳴、姫川の三人は大通りを歩いていた。神崎は車椅子に座っている。
炎波、氷也の二人は物陰に隠れ様子をうかがっていた。彼ら五人の首もとにはついた小さい無線機のようなものがついていた。


「どう、いる?」

『いえ。こんなにたくさんの人間がここは歩いていますので特定は難しいかと』


確かに鳴が押す車椅子は大通りで邪魔になるほど人がたくさんいる。隣にいる姫川は通りすがる人に申し訳なさそうに頭を下げていた。
そこに、無線機の向こうから炎波が妙にテンションが聞こえた。


『発見。つかこれやべぇわ』

「おい。それってどういう……」


瞬間、神崎達前方で爆音が響く。それをかわきりに歩行者の二分の一が一斉に神崎をにらむ。あれは闇特有の目だ。

鳴はそれを見ると、姫川に車椅子を預け人混みに消えて行く。


「姫川逃げるぞ!」

「うんっ!」


二人は回れ右をして逃走を図る。それはすぐに囲まれてしまった。神崎は一瞬戸惑ったがその思考を塞ぐように、異様な光景が目に写る。

同士討ち。

二人を囲まんでいた十人はその能力を使い同士討ちを初めたのだ。こんなことをできるのはここには一人しかいない。


「透くん。いくよ」

「おう」


今日はとことん神崎は役にたたない。


大通りは騒然となっている。なぜなら能力者が大規模の戦闘をおこなっているからだ。
特殊能力対策第三課、通称ジャッジの二人は困惑していた。


「先輩、どうします?これ」

「ニンジンくん。あとは頼んだ」

「レベル1stに無茶言わないでください。つーかニンジンくんって呼ぶのやめてください」


ニンジン色の頭の青年とヘッドフォンをつけた緑髪の女性も戦乱へと紛れる。


###


車が全く通っていない交差点で神崎と姫川は所長と合流していた。


「所長。これヤバイんじゃあ」

「あぁ。本格的にマズイな」


これからのことについて話していると姫川が遠くを見据えて小さな声で呟いた。


「……来ました!」


突如神崎達が集まっていた付近の道路が5mほど盛り上がる。瞬時にこれをよけ三人は『彼』を見つけた。


「ふん……さすがに避けたか」


そこにはオレンジ色のタンクトップをきた男がいた。神崎は『立ち上がり』二人の前に出る。


「え?立てたの」

「……うん」

「そのことについては後程聞こうか」

「はい……」


二人は神崎のご厚意にあやかり逃走する。男、熊谷はそれを特に追おうとしない。神崎は憎そうにそれを見る。


「チッ。そういうことか。俺をリーダー直々に足止めしにきたっつーわけね」

「……足止めで終わるといいけどな」


熊谷がしゃがみ地面に手を触れる。そして再び地面が盛り上がる。神崎はなんとかそれを避けるがバランスを崩していた。熊谷は突進しその距離を10mまで縮ませる。神崎は苛立ちながら『スイッチ』を入れる。

神崎は『スイッチ』を入れると一秒ごとに強くなる。が、最初はやはり出力は低いのだ。だから彼はいつもスタンガンを持ち歩いている。スタンガンのスイッチを入れると空気を引き裂くような音と共にスタンガンから電気の剣が伸びる。スタンガンの電気を操作して剣の形状を作っているのだ。

熊谷は特に驚くこともなく地面に触れる。するとコンクリートが分解され次の瞬間、剣の形状をなしていた。


「いくぞ。オラ」

「姫川……助けてやるからな」


二人の剣が交わり轟音が響く。


剣を交わらせながら神崎は思う。


(なんだろう。このモヤモヤした感じ……)


熊谷は次々と剣を降り下ろす。神崎はギリギリで受け止めてなんとか応戦する。

そこに予想外の攻撃があった。火炎弾だ。それは神崎の右肩に直撃する。


「ぐがぁぁぁァァあああああああ!!」


神崎は能力使用中はダメージを常人以上に受けるのだ。

そして火炎弾を放った張本人はやたらと気の抜けた声で熊谷に近づく。


「リーダーお疲れ。あとは俺がいくよ」

「……ああ」


熊谷は姫川が逃げた方へと立ち去る。神崎は焦げた黒いパーカーを脱ぎ捨てる。


(チッ。『火炎直球』<<フレイムストレート>>ってところか)


火炎直球は右手に軟球ほどの火炎弾を作りそして投げた。が、その程度では今の神崎はとらえられない。一歩でゼロ距離に縮めアッパーカット気味に火炎直球を殴り飛ばす。

ふらつきながらも立ち上がる火炎直球に神崎は告げる。


「なんでテメエらは姫川を狙うんだよ」

「ハハッ!な~に言ってんの。そっちこそ姫川に何する気?」


ふらついてるがおどけた雰囲気を崩さない火炎直球の言葉に神崎は顔をしかめる。


(『姫川に何する気』?意味わからないな)


すぐに火炎直球は次の行動を取る。右手の指の間にピンポン玉ほどの火炎弾を作り思いっきり投げる。四球。銃弾を避ける神崎はこれを避けるぐらい容易い。が、火炎弾が地面に当たった瞬間に起爆し神崎は足元をとられる。

午前の部は終了です。それではまた夜


しかし神崎はバランスを建て直し、その距離をゼロまで縮める。火炎直球は攻撃を仕掛けようとするが遅い。

神崎はスタンガンの剣を横に使い火炎直球の脇腹を切る。


「んぐっ……!」


火炎直球はそのまま力なく倒れ混む。神崎はため息をすると熊谷達が消えていった方へと走る。


「間に合うか……?」


彼の体には汗がびっしょりついている。


###


とある船着き場で所長と熊谷は対峙していた。所長は姫川をある場所に逃がしていて、完全に足止めをする気だ。

所長はその長いカラスのような黒髪を揺らし臨戦態勢となっている。


「君たちは何故そこまで姫川くんを狙う?」


その質問に対し熊谷は首を鳴らし、そして姿勢を低くして答える。


「……答える義理はない」

「っ!そうか……ならば容赦はせんぞ!」


ダンッ!と二人は前に一歩踏み込む。瞬間、熊谷の全身に壁に突っ込んだかのような衝撃が走る。


(念動力系か!?)


熊谷は上半身をのけぞらせながら地面に手をつく。すると熊谷の手から所長にかけて無数の槍がはえてきた。

所長はこれを自分の周辺のものだけを念動力で粉砕する。そこで熊谷は立ち上がり余裕そうに自身の能力について語る。


「俺の能力は『分解錬成』<<トールメイク>>アンタなら……この能力が何を表すかわかるか?」


所長はその言葉をまともに聞かず腰から拳銃を抜き、そして撃つ。が、熊谷が右手を前に出し銃弾にふれるとそれは消失した。


(分解したものを再構築するだけじゃなく原子レベルまで分解しとどめたのか!?)


所長はやや距離を取り、念動力で熊谷を押し海へと突き落とした。


するとそこに空気が轟!と吸い寄せられ、そして爆発した。所長は15m思いっきり吹き飛ぶ。コンクリートの地面に這いつくばりながら誰にも聞こえないほど小さい声で呟く。


「(形状、変化だけじゃ、なくて原子に……分解した、ところで気づくべきだったか……)」


水を分解すると水素と酸素となる。そう『水素』に。

いつの間にか上がっていた熊谷はびしょ濡れで髪の毛も例外ではない。額に巻いていたバンダナを取り髪をかきあげる。その額には深い傷跡があった。


「もう……やめにしないか。死人がでるぞ……」

「ふふっ。わかっているさ。」


熊谷は怪訝な顔をする。だが、と所長は付け加えフラフラとたちあがる。そのベージュのスーツはところどころが黒く変色していた。そんなことは気にせずよろつきつつもしかし力強くこう告げる。


「それでも……」

 「やっと『ヒカリ』を得た女の子を!やっと『ヒカリ』を見た男の子を!やっと『ヒカリ』を知った男の子を!」

「私は絶対に裏切らない!」


それが彼女の信念。誰にも折ることはできない信念だ。これには熊谷は敬意をはらう。彼も127人の命を持つリーダーだからか。

だが、熊谷は冷淡な声で呟く。


「……残念だ」


二度目の水素爆発が所長を襲い海へと吹き飛ばされた。

水って分解したら酸素と水素だよね?


ではまた明日。(そういやニンジンくん忘れてた)

乙です

H20だからあってるはず

んじゃ、今日も投下していきます。

んじゃ、今日も投下していきます。


所長が海に落ちた瞬間、熊谷の後方から声が聞こえる。


「所長ォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


神崎は海へと飛び込む。熊谷はそれを興味なくそれを見ていた。


「大丈夫ですか。所長……」

「あ、あぁ……」


神崎はすぐに所長を引き上げる。とりあえず意識はあるようだ。そして神崎は所長を安全なところに寝かす。

そして神崎は熊谷をにらみつけそして呟く。


「もう俺の沸点はめちゃくちゃこえてんだよ……!」


姿勢を低くして戦闘態勢となる。熊谷もこれに応じた形で戦闘態勢となった。


「容赦は……しない」

「もう『スイッチ』は入ってんだよ……強いってわかってんだから初めから全快でいいよな!?」


神崎は以上なスピードで熊谷に近づき拳を振り抜く。が、コンクリートの壁に止められる。


「ぐっ……」

「ふん……この程度か」


熊谷はコンクリートの壁を崩し神崎の顔面を殴り跳ばす。だが、神崎はまた熊谷を襲う。


「なぜ……そこまで」

「仲間が倒され、仲間が狙われてんだ!当たり前だろうが!!」

「姫川が……仲間……?」


熊谷は奥歯を噛む。今まで冷静だった熊谷の顔が歪む。こちらも沸点は越えた。


「ふざけるな……!どの口が仲間などと……」


熊谷は地面に思いっきり拳を打ち付ける。瞬間、コンクリートの無数の槍が次々と神崎を襲う。



「ふざけるな!姫川が……姫川が仲間だと!?」

「ならば何故……仲間の体にメスを入れるのだ!?」

「メス……!?」


二人は息を切らし、立ち尽くしていた。そして、神崎は小さな声で問いかける。


「メスって……どういう意味だよ……?」

「とぼけるな…アンタらが……姫川にしていることだ……」


意味がわからない。歯車が足りない。
そこに所長の声が挟まれた。


「それは違う。……誰から聞いた」


普通ならばここで答える暗部の人間はいない。だが、熊谷は真実を求め答える。まるで、自分にも歯車が足りないというように。

「……相良策師だ」

「!?」


歯車がようやく動きだした。


###


率直に言うと混乱していた。ニンジン色の頭の青年(以下ニンジン青年)はせっかく交差点を崩壊させた犯人の一部、30人ほど捕まえた(他の人間は闇に消えるように消えた)。


……のだが。


「はぁ!?全員釈放!?ナニソレ。意味わかんねぇ!?」

「先輩……上司に向かってその言葉はいいんですか?」


緑髪の女性は電話越しに釈放を命じた上司に噛みついていた。正直に言うとニンジン青年も疑問を感じていた。


(なんでだ?あれって確実にテロレベルなのに……しかも俺達二人しか突入しなかったし)


光の世界の人間に闇の世界はわからない。

ちょっと席をはずします。もしかすると夜になるかも。
書くときはageて連絡します



「相良…策師だと……!?」


所長は顔をしかめる。神崎もその人名は知っていた。最年少政治家であり、非常に高いIQを持つと言われている。世間からは『天才』や『英雄』と呼ばれて、弱きを助け強きを挫くという闇には一切関係のない人間。だったはずだが……

所長はボロボロのまま立ち顎に手をあて考察する。


「いやそんなはずは……奴は我々にこの襲撃を知らせた……だが、バグにも依頼をした。『間違った情報を加えて』……まさか!?」


熊谷もことの重要さに気づいているようだ。所長と目を合わせて確認する。そして所長は神崎へと伝える。


「奴は……相良策師は我々ジャックから姫川を救出しろとバグに命じた。」

「だが違ったんだ。奴はバグが姫川を救出してくることが目的じゃない。我々ジャックとバグをわざとぶつからせその間に姫川を奪おうとした……」

「ってことは!?」

「姫川が危ない!!!」


###


ポニーテールの女性、葵と火炎直球こと下里はリーダーからの通達を見ていた。


『今からお前達が読むのは嘘ではなく真実だ。しっかりと読んでくれ』

『今回の騒動の黒幕はジャックではなく依頼者、相良策師だ。この男は今姫川詠里を狙っている。』

『今から俺はジャックのメンバーと共に姫川を助けにいく。』

『強制ではない。むしろ不信感を持つものもいるだろう。だが、俺について来てくれるという者は今すぐここに来てくれ。』


その文面の下には地図がのっていた。


「どーする?葵さん」

「もちろん行くに決まっているでしょう!」

「さっすがぁ♪ま、俺も行くけどさ」


二人は我らがリーダーのもとへ走る。

策士さん戦力あるのかな


###

炎波、鳴の二人はニンジンくんの襲撃から逃れ公園に待機していた。のだがそこに神崎から通達が入る。


「あちらも大変そうですね」

「まぁ、こっちもこれからだろ」


誰もいなかった公園に虫がわくように人々が現れる。雰囲気、見た目からしてバグではないようだ。


「相良って人も行動早いですねぇ」

「ざっと数えて50人ってところか」


完全に二人は囲まれている。が、炎波は余裕そうに笑うと右手から炎剣を出す。

火でできた刀身だけの剣におくさず彼らは炎波達を襲う。鳴は拳を握りこう呟く。


「5分で潰してやりますよ」

「ガキが……っ!なめるな!!」


鳴に向かっていった男の右足がボトリと突然頼りなく落ちた。彼らは驚きを隠せない。中には逃げようとしたものもいた。その悲劇を起こした炎波は帰り血を拭わず、


「いいや。3分だ」

今日は終了ですよぉ。

>>143
能力もわりと強いです。あとは暗部雇えばなんとでもなる。

ちなみにジャック男三人と姫ちゃんは14歳。鳴は13歳だゼ。(何故に今頃)

ではまた明日

今日は自分休みなのでいっぱい書いてきます。(休憩を挟みつつ)

それではスタートッ!


###

神崎達は仲間に通達を送ったあと三人で会議をしていた。


「バグは何人来そうだ?」

「……多くて20人だろう」


そうか、と神崎は呟く。

そうあくまでもここは闇の世界。堕ちた人間がくる世界。リーダーとは名ばかりで依頼を伝えると言ったぐらいのことしか普通はしないのだ。

その闇の例外達は次の行動にでようとする。が、


「貴様らがジャックか?」

「!?」


そこにはいつの間にか数十人の人間がいた。神崎達は知るよしもないが炎波達を狙った連中と同じ組織だった。

一人の女が前にでてきそしてこう問いかける。


「姫川はどこにいる」

「!?所長!何も考えちゃダメだ!!」

「……っ!しまった」


所長は憎そうに唇を噛む。恐らくさっきの女は読心術者だろう。所長に問いかけることで、その答えることのない答えをよんだのだ。

読心術者は後ろに下がりそして無線機で場所を伝える。それを守るように男達は立ち塞がる。

対して熊谷は所長から聞いた場所へといくためにしゃがみ、そして


「時間がない……蹴散らしてくぞ!」


熊谷はコンクリートの槍柱とコンクリートで作ったメイスで男達をなぎはらい、所長は念動力で海に突き落としそして神崎のために道を開く。


「いけ!!神崎!姫川を頼む!!」

「了解!!」


神崎は全力で走る。


男たちは二人をにらみ、


「……なんの真似だ。ヒーローごっこはやめろ」


熊谷はクスリと笑いこう告げる。


「ヒーローか……」

「昔は憧れたもんだよ」


熊谷は男たちが立っているコンクリートを陥没させ下へ5mほど落とす。
熊谷は立ち上がると次はメイスを持ち他の男たちへと向かう。


「ヒーローっていうのは……誰も傷つけないやつをいうんだ」

「あのバカみたいな……やつをなぁ!!」


全長2mのメイスは彼らに猛威を奮う。


###

誰も使っていないような駐車場には珍しく二人の影があった。

一人は『完全制御』こと姫川詠里。

そしてもう一人は……


「相良さんがなんでここに……!?」

「お久しぶりです。姫川さん?」


紳士的な態度とは裏腹にニヤニヤと笑みを浮かべる相良は、スーツのポケットに手を突っ込んだまま姫川に、歩みよる。


「前にあった時はあの武装集団があなたを保護した時ですかね?」

「……っ」


姫川は表情を変えまいとしているがやや顔が歪んでいる。


「あなたは……!次は何をたくらんでいるの!!」


奥歯を噛む姫川はまず相良の心をよむことにした。相良が何を考えているのか。まずそこからだと思ったのだ。

が、姫川の頭に先に流れこんだのはビジョン。


『白い骨』 『歪んだ空間』 『笑う相良』


「!?」


姫川は咄嗟によむのをやめた。頭を抑え顔を再び歪ませる。

しばし休憩



「何……コレ……!?」


姫川はその三つの映像と妙な違和感を感じていた。言葉ではいい表せないような違和感が。


「まぁ。よんでくるのはわかっていましたのでね!」

「……!」


相良は前方へと走り姫川に近づく。それに対し、姫川は右手から炎剣を出し振り回す。そう、炎波の能力『燃焼断斬』だ。

だが、相良はこれを軽々と避ける。バックステップで距離をとる相良を姫川は睨みつける。


(……っ!頭がッ!!)


頭が割れるような頭痛が姫川を襲う。精神系以外の能力を使った時の代償だ。

その隙に相良は姫川に近づき後頭部を叩きつける。すると力なく姫川は倒れた。



###


「間に合え……!」


薄暗い住宅街を走る神崎は焦っていた。恐らく相良という男は姫川をいいようにはしないだろう。もしかすると死に至るかもしれない。

と、神崎の足元に突然釘が飛んできた。


「くそ!次はなんだよ!?」


そこにいたのは長髪の女性だった。その長い髪を揺らす姿は遥か遠くの屋根の上。顔もよく見えずぼんやりシルエットが見える程度。手にはいくつかの釘が握られている。


「あんなところから……」


彼女の能力は『直線投的』<<アタックスロー>>投げた物体は他の物体に直撃するまで速度を変えずに直進する、というものだ。


神崎は舌打ちしながらまた姫川の元へと走り出す。今はこんなところで止まっている場合ではないのだ。

だが、それでも長髪の女は釘を数本投げてくる。神崎はそちらに右手を差し出し


「邪魔だ!」


磁力を操り釘を跳ね返す。直後、果実を潰したような音と共に悲鳴が聞こえてくるが神崎は止まらない。

すると次は後ろから暴風や爆風がやっときた。神崎はそれでも挫けず走り続ける。恐らく後ろには数十人の襲撃者がいることだろう。

そして、神崎の目の前にはさらに四人の影があった。



「よぉ……」

「助けに来てやったぞ。オラ」


そこにいたのは炎波、鳴、葵、下里が立っていた。決して無傷というわけではない。むしろボロボロで葵にいたっては立っているのも辛そうだ。だが


「あとは任せてもらいます」

「そういうことなんで早く言ってください」


下里、炎波の二人はすでに戦闘を初めていた。そして鳴も戦地へと向かう。その時すれ違いざまに


「姫川さんをよろしくお願いします」


神崎は黙ってうなずくと再び走り出す。



###

姫川を縄で柱に縛った相良はどこを見ているのかわからない焦点のあわない目のまま呟く。


「5分……もうそろそろでしょうか」


辺りは赤い夕焼けに染められていた。

ちょっと出掛けてきます。次は夜かな?


###

赤い夕焼けに染められた駐車場に立つ相良の目には燃え盛る夕日をバックに立つ少年が見えた。

その少年はファスナーのない黒いフードを着ていて、その下には無地の白いシャツが見える。下は濃い緑の長ズボンをはいていた。


「来ましたか……」


相良はポツリと呟く。少年はフードをゆっくりとはずす。その下には闇のように黒い髪とそれ以上の眼光がちらついていた。そしてついにその口が開く。


「もう時間がないんだ……全力でいくぞ!!」


ダンッ!と神崎は踏み込みそして相良の懐に潜り込む。スイッチは入れっぱなしだ。常人を越えるスピードの拳が相良の端正な顔をとらえる。


……はずだった。


相良は首を横に振り拳を軽々と避ける。神崎が驚く隙をつき相良は蹴りを腹部へと叩き込む。


「ぐぁ……っ!」


ボテッボテッと、壊れかけの人形を投げたように神崎の体は転がっていく。


(なん、だ……今の……)

(俺の……攻撃を、見て避けたんじゃない……くる前から…首は動き始めてた)


神崎は地面に這いつくばりながらも状況を判断する。そしてそのまま雷激を発射した。

そう神崎のスイッチはすでに入っている。つまり、出力も上がっているということだ。

しかしこれも相良は軽々と人に道を譲るように雷激を避けた。


それでも神崎はたちそして相良を狙い拳を放つ。が、それも軽々と避ける。
何度も拳を叩き込みそして避けられる。


何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も!!


「チクショウ!!なんでだよ!?」


相良は神崎を嘲笑うように避け続ける。そして相良が反撃に出る。

まずはさっきと同じ腹部に蹴りをいれる。神崎はなんとか持ちこたえるが、そこに相良は容姿なく拳を叩き込む。

神崎はいつの間にか吐血していた。だが、相良は死んだような目で、感情のないような目で神崎を殴り続ける。

途中、神崎は何度も避けようとした。しかし相良はそれを許さない。まるで避ける場所がわかっているかのように拳を叩き込む。


最後にもう一度蹴りをいれる。もう神崎は抵抗することもできず地だらけのままコンクリートの地面に投げ出される。


ゴミ虫を見るような目で神崎を見ると、歩きながら近づき拳銃を取りだし銃口を神崎の頭へと向ける。

次の瞬間、


「もうやめて!!」


相良がゆっくりと声の主の方へと目を向ける。そこには縄を能力でとき力強く立つ姫川が立っていた。

目には溢れんばかりの涙を浮かべていた。そして


「もう、やめてよ……透くんを傷つけるのはもうやめて!!」


女性特有のかん高い叫び声が駐車場を包む。相良は冷たい目で姫川を見るとそちらに銃口を向ける。そして冷たい声で


「『邪魔なんだよ……!実験体がよぉ……!!』」


今までの優しい口調ではなかった。しかし妙に納得できた。まるでこっちが本当だと言わんばかりに。


「『黙ってろ』」

「テメエがな」

「!?」


二人の会話に割り込んできたその声は神崎でも炎波でも鳴でも氷也でも所長でも熊谷でも葵でも下里ない。


「大丈夫か?」


その声の主は姫川に近寄る。姫川は涙声のままその声の主に尋ねる。


「あ、あなたは……?」

「ん?俺?あぁ、俺はな」


その声の主は……


「神崎紅夜だよ」


ニンジン色の頭の少年だった。

今日はここまでです。

ちなみに透と紅夜に通じる『神崎』は意図的です。(ミスとかじゃない。決して)

あと質問とかあればなんでも答えるZE☆

ではまた明日

今日はここまでです。

ちなみに透と紅夜に通じる『神崎』は意図的です。(ミスとかじゃない。決して)

あと質問とかあればなんでも答えるZE☆

ではまた明日

『炎波』の読み

>>162
あ~。わかり憎かったですね。こちらが読みです。他のもありますよ!


神崎透(かんざき・とおる) 日野炎波(ひの・えんは) 郡氷也(こおり・ひょうや) 愛野鳴(あいの・めい) 甲坂(こうさか) 熊谷(くまや) 葵(あおい) 下里(しもさと) 相良策師(さがら・さくし) 神崎紅夜(かんざい・こうや)


と、こんな感じです。下記漏れがあったら教えてください。

では本編スタートッ!


姫川は神崎と名乗る少年を見つめている。少し離れたところで相良も怪訝そうな顔で彼を見つめる。


「か・ん・ざ・きだぁ!?なんだよ、そりぁ!こいつの兄弟かよ!?」


地面に倒れている神崎を指差し相良は叫ぶ。しかし紅夜は眉間にしわをよせ知らねぇよ、と否定する。


「じゃあテメエは誰なんだよ」

「警察」


今警察には能力者対策として強い能力をもつ学生を雇ったりすることがある。

相良は警察に圧力をかけ動きを封じていたはずなのだが。相良は奇妙に思い紅夜に尋ねる。


「で、警察サンは何のよう?上司から言われたわけじゃねぇだろ」

「あぁ。勤務時間外だよ。が……」


今までのおどけた雰囲気が突然崩れる。神崎の方を一瞥しそして姫川の頭に手をのせる。


「こんなとこ見せられたら黙ってられるわけねぇだろうがよぉ!!」


ガクランを思いっきり脱ぎ捨てカッターシャツとなる。その間相良は紅夜の戦力を伺っていた。


(能力対策ったぁ普通レベル3thぐらいか。……うし)


相良は勢いよく踏み出す。紅夜もそれに応じ姫川を後ろに押し退け前に出る。

直後紅夜の左手が火に包まれる。だが手のひらから数cm程度だ。相良は余裕そうに笑う。


「ハハッ!その程度かよ!?警察サンも衰えたんだなぁ!そうなんで守るとか言ってんのかよ!」

「……そういう問題じゃねぇよ」


そう呟くと紅夜は燃える左手を相良の頭につき出す。が、相良はかろうじて避けた。


そうかろうじて。


(うぉ!?嘘だろ!?)


相良は急いでバックステップを取るがすぐに紅夜はおいつく。利き手ではないのか紅夜は不器用に左手を横に払う。なんとか背中を丸め回避するが、それは相良の動きに追い付いていた。


身体能力を上げ頭脳を上げ、そして能力まで上げた神崎すら届かなかった相良に紅夜は今追い付こうとしている。


相良は憎そうに呟く。


「なんでだよ……!?」


紅夜はようやく攻撃の手を止める。相良は息切れしながらも紅夜と距離をとる。


「テメエの能力は『未来予知』<<フューチャールック>>」

「なっ!?」


相良は能力が言い当てられ驚くが紅夜は構わず続ける。


「肉弾戦ではその少し未来を見て、次の一手に備える。」


そう。相良はこの能力を使い神崎を追い詰めたのだ。
紅夜はしかし、と付け加え、


「IQ198をもつ俺にはきかねねぇんだよ」

「顔に出まくってるんだよ。『天才』さん?」


勝ち誇ったように紅夜はいい放つ。相良は奥歯を噛みそして叫ぶ。


「それがなんだよ!?なんだっつうんだよ!?こんなレベル1stにレベル4thが負けるとか思ってんのかよォォォおおおおお!!」


ダン!と相良は強く踏み出す。相良の目が一瞬、ほんのコンマ一秒だけ焦点があわなくなる。詠んだのだ。『次』を。紅夜は先程のように心理学的によむ。

相良は右拳で紅夜の腹部を狙う。これを紅夜は体を半身にして受け流す。それをよんでいた相良は紅夜の足を絡め転ばせる。

一切下をみないで。


(しまっ……!座標自体もよんでそこに足を当ててきた……!)


仰向けの紅夜には相良の銃が向けられる。


「!?」


夕焼けに染まる駐車場は乾いた銃声に包まれた。


夕焼けの光を打ち消すように鮮血が飛び散る。赤黒い光を放つ液体と共に呻き声のようなものも聞こえた。

それは神崎紅夜のものではない。厳密に言うと銃声も相良の銃からはっせられた音ではなかった。

神崎透。そしてそれを支える姫川がそこには立っていた。


「クソがぁ……!」


空き缶を踏み潰すように紅夜の左手を踏みつける。骨の擦れる嫌な音がした。紅夜は激痛と共に意識を失う。

後は瀕死寸前の神崎と能力使用に制限のある姫川だけだ。神崎は笑みを浮かべながら紅夜へと呟く。


「さんきゅー『ヒーロー』……後は任せろ」


二人の目には闘志が宿る。

やっと見つけましたよぉ!!!!

はい……すいませんいきなり。実は神崎(透さん)の顔イメージでいい絵がありましたので報告します。

禁書17巻の神裂さんのポニーテールを手で隠して見てください。……そうです!その感じ。ちなみに氷也は海原です。(基本的に禁書イメージだなぁ)

炎波とかその他はまた今度見つけて来ます。

今日も来ました。ケイですよ。

それでは本日も投下スタートッ!


相良はもはや、目の前の敵をなめたりしない。全身全霊を尽くして殺し尽くす。それだけだ。

相良は未来をよむ。が、それに対し姫川は相良の心を。相良が今見た光景をよむ。相良はさらにその後をよみ、姫川もさらによむ。

すでに目には見えないところで戦いは始まっている。そしてその均衡を破るものがいた。神崎透。

彼は流れるような足取りで相良の懐に飛び込む。バリバリバリィッ!!と心臓に悪い音を右手から発しながらそれを相良の胸に押し付けようとする。


「そうくることはわかってんだよ。クズ」


体を半身にして避け、右拳を神崎の顔に叩き込む。神崎の鼻から全体にかけて鈍痛が走る。

神崎が大きく後ろに退けぞる。そして次は後ろから姫川がこちらに向かっていた。


次の瞬間、姫川を中心に見えない爆発が発生する。その爆発は神崎はもちろん、その他のものに当たってもすり抜けていくだけだった。相良だけを除いて。


「ガァッ……!?」


相良の体が1mほど吹き飛ぶ。その攻撃を仕掛けた張本人、姫川も頭を押さえて倒れこんでいた。

それを見た相良はすぐさま態勢を立て直し姫川へと銃口を向ける。内心勝った、と思った。クズを殺す。そういった感情があふれでる相良の右手に異変があった。いや、性格には右手に握る拳銃。銃口の部分が誰かの手によって押さえられていたのだ。


「クズがァ!今更何のよォだよォ!!!」


相良は拳銃を握る手に力を込める。撃つこのクズを撃ち殺す。それしか考えていなかった。

だが、その手からいとも容易く拳銃がポロリと落ちる。相良は何か考えようとした時本当の異変に気がついた。

痺れ。

手が何故か小刻みに震えている。それは何故か。そういえば、目の前にいる少年は電気を操る能力者ではなかったか。


相良は先程のように痺れる手で神崎の顔面を殴ろうとする。しかし、神崎は蜘蛛の巣を払うように相良の手を弾く。

神崎はゆっくりと拳を握る。その拳は閃光を放っている。


「……確かに俺はクズだ。目の前の少女一人傷一人なく助けられないクズ中のクズだ。だけどなぁ……!」


その声には相良への怒り以外にも他の感情が込められていた。例えば自分への怒り。姫川が苦しむことへの悲しみ。様々な感情を込めながら神崎は続ける。


「それが!見逃していい理由にはならねぇんだよ!!いくら俺がクズでも目の前の少女を助けてはいけないなんて、そんなことあるはずがねぇだろうが!!!」


そして遂にその拳を振り抜く。


「テメエみたいな大人<<クズ>>がいるからこの世界は腐っていくんだ」


ゴッ!という音が夕闇が包む駐車場に響く。

相良は力なく倒れこむと痙攣しながら白目を剥いていた。


###


闇に染まった夜。暗部御用達のバーのカウンター席で氷也はある人物と話していた。


「で、例の相良はどうするんですか?」


氷也は数時間前に神崎に破れた相良について問う。


「あぁ。それについてはこちらで処理しますよ」

「お願いしますね。『相良さん』?」


そう、目の前にいるスーツに身を固めた男も相良である。人相、雰囲気どれをとっても相良本人だ。相良は柔和な笑みを浮かべながら


「ええ。もちろんです。相良の秘密を握るあなたの頼みを断るわけにはいきませんから」


その言葉を聞いた氷也は声の調子を変えずやや笑みを浮かべながらそのまま話す。


「あぁ。いえ。あなたに言ってるのではなくて」


相良は顔をしかめるが不意に無表情に固定化される。


『……へぇ。ここまで知ってるんですか』


その口から発せられた声はボイスレコーダーを再生したかのような声だった。


「『複数存在』<<パブリックドメイン>>である相良さんの本物とはなかなか珍しいものです」

『ふふ。そうですか。私はいつも見ていますが』

『で、私を呼び出したということは何か要件があるんでしょうか?』

「いえ。今日はあなたとコンタクトを取ることが目的でしたので」


それでは、とカウンターにお代を置き相良の肩に軽く手をのせる。鈴の音のなる扉から氷也は出ていった。


(さて。どうしたものですかね)


氷也は笑みを浮かべながら闇に消えていった。



……数時間後。バーのカウンター席でまるで凍ったかのような凍死体が発見された。

今日はこれで終了です。明日からはエピソード#3だゼ。

質問、アドバイス引き続き募集中です!ではまた明日

乙です

>>174
ありがとうございます!エピソード#3もよろしくお願い致します。

それでは本編スタートッ!


 エピソード#3


あの日から3日。左手に包帯を巻いたニンジン色の頭の少年、紅夜は自身のクラスでぼんやりと空を見ていた。

寄り道せずに帰るように、と担任が注意している。その途中で妙な視線を感じた。そちらをふりかえるとにぱぁ☆、という笑顔を浮かべる少女がいた。一方、紅夜はうんざりとし顔に縦線をいれている。

担任のながったらしい話が終わり挨拶をすると、そのまま彼女は近づいてくる。その髪は茶髪と金髪の間ぐらいの色でツインテールのように短く右にまとめている。胸も高校生にしては大分大きい。ここまでの総合評価は満点だ。……毎日のこれさえなければ


「よっしぁー今日も一緒にかえろーよっ」


フライング抱きつきを軽くあしらった紅夜はエナメルバッグをからうとため息をつき、すぐさま帰ろうとする。が、彼女は紅夜の足を掴みそれを阻む。


「やめろ、杏!足を離せ」


紅夜に呆れた調子で呼ばれる少女、桜梨杏はえぇー、と頬を膨らませる。紅夜は床に寝そべる彼女の姿を見ながら頭をかく。


「つーか。お前、もうそろそろ仕事の時間だろ」

「サボる」


ちなみに彼女の仕事は暗部でも警察でもない。一応アイドルだ。わりと売れてる新人アイドルだ。

はぁ、とため息をつく紅夜の後ろでドパーン!と教室の扉が開く。次はなんだよ、と教室中の全員がそちらに注目する。そこには眼鏡をかけた女性が立っていた。


「むげっ……」

「オイ。アイドル、むげっはないだろ。むげっは。あ、マネージャーさんこいつ連行お願いします」


軽く敬礼をしたマネージャーさんは杏を引き釣りながら連行していく。

やっと終わった、と思う紅夜には男子の嫉妬の視線が突き刺さるように向けられていた。


###


この日本には未成年の警察がいる。これは主に強能力者を討伐するために若い強能力者を収集する、という目的があるからだ。なのでもちろん強能力者中心に収集される。

これにはちゃんと給料も貰えるので学生達はやる気をもってとりくんでいる。

その特別制度の例外、神崎紅夜は能力対策第三課の活動室のデスクに座っていた。周囲には後二つ、上司のデスクとホワイトボードがある。それぞれのデスクには一台ずつパソコンがおいてあり、他はそれぞれでアレンジしている。

そこに二人の上司が入ってきた。


「おいーす。ニンジンくん。」

「だー……面倒くせぇ」


最初に話した女性の名は佐山翠。髪型は緑色のボブで首にヘッドフォンを引っ掻け身長は160cmを越える程度だ。

もう片方の妙にだらけた男は下里悠徒。猫背がデフォでニートという言葉が似合いそうな風貌をしている。

その本性は元『バグ』の構成員だ。が、今はジャックの傘下についている。


二人は自分のデスクに座る。下里はデスクの上を片付けて仮眠を取り、対して翠はヘッドフォンを耳につけ、音楽を聞いている。


(なんで俺の周りには変人しかいないんだ……)


わりと本気で悩む紅夜はパソコンを立ち上げる。すると、すぐにこんな警告が出た。

『ウイルスが侵入しています』

紅夜はIQ198の頭脳をフルに使いそれをすぐさま排除にかかる。紅夜の存在のせいで第三課はその辺の機密データを持つ研究所よりもサーバーテロに対し強くなっている。

タァン!と、エンターキーを叩きウイルスを排除した紅夜には小さな疑問があった。


(仮にも警察のサーバーに攻撃を仕掛けてきてこの程度か……?違う、これはッッッ!)


次の瞬間、ディスプレイ一面に警告ポップが出てきた。


「うわっ!」


見たことのない量の警告ポップが次々と画面を蝕んでいく。だが、紅夜はそれらをすぐに解除していく。


「どうしたのニンジンくん?」

「サーバーテロかもです!」

「ニンジンくんで対処できないって……ちょっと報告してくるわ」

今日は終了です。

コウヤだすと能力バトルしにくいのでネット対戦です。今回神崎でるかな……

質問、アドバイスドンとこい!ではまた明日


天才だとかIQ高いキャラは凄さを強調するのが難しい
作者が超絶天才になるか他のキャラのレベル下げないと

ある小説家が「探偵役の疑問や発見を他のキャラは『なんで気付かないんだよ』と思いながら書いている」と、いうのを読んだ覚えがある……その小説家の表現力不足かもしれないけど

毎日更新してるからこのSSは結構好きだわ

>>180
そう思って彼の周りは変人がたくさん集まっています。

最後の一文、涙が出そうになるぐらい嬉しかった。本当にありがとうございます!

それでは投下します(涙声)


紅夜が今相手にすしているウィルスを報告しに翠は第三課室を出る。

件の紅夜はキーボード特有の軽快な音と共にウィルスを撃退していく。警告ホップを消し、そしてまた新しい警告ホップが出てくる。その繰り返しだった。しかし急にその侵食が止まる。そのつきをついて警告ホップを全滅させた紅夜の目にあり得ない光景が見えた。

下里のパソコンが一人でに起動し始めたのだ。


「……あァ?ナニコレ……」

「ちょっと退いてください」


眠りを妨げられややキレ気味の下里を座る車輪付きの椅子ごとどかす。数秒後に壁に当たった音が聞こえたが今はそんな場合ではない。


ブゥン、という虫の羽音のような音と共にパソコンが起動する。そこには大量のウィルスがご丁寧に置いていかれてる。だが、それ以上の侵食はない。怪訝な顔をする紅夜の見る画面の中央にはいきなりこんな言葉がはじき出された。


『まだまだだね。そんなんじゃどんどんおいていっちゃうよ?』


さすがにイラッときた紅夜は乱暴に(下里の)キーボードを叩いていく。


(そういや、なんで俺のパソコンから下里さんのパソコンに攻撃対象を移したんだ?っていうかここまでのハッキング技術とウィルスがあれば警察の機密データは簡単にとれるはず……こいつの目的はなんだ?)


謎は深まっていく。


###

その頃、翠は上司と言い争っていた。


「だーかーらーっ!サーバーテロだっつってんだろうが!!」

「貴様!いい加減その言葉使いを改めろ!!」


ちょびひげを携えるおっさんと翠は周辺の人間への迷惑はまったく考えていないようだ。


「何故君のところはこうも問題ばっかりだしてくるんだ!?」

「問題って……!?そんなの今までなかっただろう!?」

「何を言う。その他の問題は置いといてこの部署を三回ほど壊滅しているやからはそうそういないがな」


図星をつかれて翠は押し黙る。その瞬間、上司の携帯がなった。何事かと上司は携帯を開き見ると大変なことになった。擬音で表すと。

パカ。じじじじじっ……ボシュウ……


火花を噴いて壊れたのだ。まるでむちゃくちゃに携帯をあつかったように。

翠はドヤ顔でうなだれる上司の顔を見る。すると次は周囲の人間が騒ぎ始めた。


「なんだろう。このメール……」


それを開けば高性能ウィルスが。


「あれ?操作できない!?」


遠隔操作のようにパソコンは操られていく。そこには無数のポップが上がっていた。意味のわからない数列が嵐のように流れていく。
それはその道の者が見ればこう言ったかも知れない。

ハッキングの技術だ。それも高い技術者の。

一気に署内はパニックになる。次々と『それ』はパソコンを移動するようにハッキングしていく。すでに周囲の電子機器の自由はゼロに匹敵していた。

約一台。紅夜のパソコンを除いて。

今日はここまでです。

犯人の目的とは!?ではまた明日。

乙です

>>186
ありがとうございます!本日もがんばっていきます。

それではスタートッ!


###


紅夜はIQ198をフルに使い、下里のパソコンのウィルスを除去していく。そこに例のチョビヒゲの上司がやや不機嫌そうな顔で第三課室に入ってきた。その後ろには上司に向かって中指をつきたてるドヤ顔の翠がいる。


「神崎!まだ、ウィルス除去は終わらんのか!!」

「一応今終わりましたケド。っていうか、サーバーテロ班に任せればいいじゃないですか。犯人もすぐ捕まりますよ」

「うっ……それはだな」

「あぁ。ウィルスに手いっぱいで犯人なんかとてもとても捕まえられないと」


紅夜は呆れ顔で上司を見る。図星をつかれた上司は目を泳がせていた。

と、とにかくと、上司はわざとらしく咳払いをして仕事を押し付ける。


「神崎紅夜、及び第三課の諸君につぐ。現在、この部署をサーバーテロするウィルスの除去と、犯人の確保を命ずる」


その指令にえぇー、と下里と翠は不満そうに口を尖らせる。普段真面目な紅夜も珍しく面倒くさそうな顔をしていた。


###

紅夜は部署内を走り回っていた。それはなぜか。紅夜は犯人の特徴としてこんなものを見つけた。


一つ一つ電子機器をハッキングしているのだ。例えばAのパソコンをいじりウィルスを置く。次はBのパソコンへと、また携帯のようなものもいじられている。


そこで紅夜はこう考えた。現在進行形で一番被害の多い電子機器を犯人はハッキングしていると。


ということで、二階の第三課室から四階の別の部屋へと行くため階段をかけ上がっていた。階段には人一人おらず止まることなくその部屋へとたどり着いた。

そしてスライド式のドアを勢いよく開ける。


「はぁ……はぁ……パソコン…どれ、ですか……?」


息切れする紅夜に一台のパソコンが差し出された。紅夜は椅子に座るとカタカタカタカタッー!と素早いタイピングでウィルスを除去していく。

すると、一瞬画面がぶれた。それは今までのウィルスとは完全に違う。こちらの動きを邪魔するのではなく、こちらを遠隔で操作しようとする『人間』の匂いがする動きだ。


「来た……!」


紅夜はうっすら笑みを浮かべる。


ここからが勝負だ。



周囲で見守る人間達には理解のできない戦いだった。画面がぶれ、警告ポップが出て、そして消える。

そんな戦いが今10分も続いている。逆に言えば紅夜がそれだけ防ぎきっているということだ。


その戦いに変化が生じた。手応えが急に消失した。そう、犯人がそこから逃走しようとしているのだ。


「こんにゃろ……っ!」


だが、紅夜はそれを許さない。次々と、逃走経路を塞いでいく。内心、勝ったと思った。しかし次の瞬間


「はぁ!?エラー!?ここで!?」


逃走経路を塞いでいた壁が取り壊されていく。奥歯を噛む紅夜の目に妙なものが見えた。


青色のデスクトップを紫色の何かが通って行ったのだ。そして、それを隠すように新たなページが開かれる。


 宣戦布告  7月 27日 9:46


私、『エミ』は本日pm10:30にあなた方警察の機密データを盗りに行きます。あなた方はそれを阻止しようとするでしょう。

そこでは、某SNSサイトの戦闘ゲーム『チャレンジ』のルールをもって食い止めることをおすすめします。場ならしは私がやりますのでご安心を。



それではまた後ほどお会いしましょう。

今日はここまでです。

犯人の正体は!?ではまた明日

どうもケイです。

それでは、少なめですが今日も張り切って投下していきます。


 ###


 「エミ・・・」

それが犯人が明かした唯一の情報だ。紅夜達はその名前を聞き、少しではあるが恐怖をかんじていた。


理由は二つ。


一つ目は、偽名ではあるが名前あかしてきた、つまり余裕だと言うことだ。

そしてもう一つはたった今見た宣戦布告。おそらく場ならしというのは『チャレンジ』の舞台にするという事だろう。


ここで一つの問題があった。肝心の『チャレンジ』で使用するアバターがいないのだ。いや、確かに部署内にもしているものはいる。しかしエミとの対戦に勝利できるレベルがいるかと言われると誰も手を挙げることはできなかった。



 「どうするんですか?」


紅夜は上司に問う。

 
「お前は高いスペックを持つアバターを手に入れろ。こちらでは三条中にいる天才を臨時で収集する。名は郡と言ったか?IQはお前を超えているとのことだ」


郡という男など、そんなことはどうでもいい。問題はアバターをどう手に入れるかだ。当然紅夜は持っていないし、周辺に持っていそうな人間はいない。


 「……いや、いる」


幼馴染のアイドルの顔が脳裏をよぎる。

最近時間がヤバイ。
では、また明日

こんにちはケイです。
それではスタートッ!


 ###


某テレビ局で夜8時頃の音楽番組の収録を終えた杏はサングラスの、司会者と談笑していた。談笑といっても相槌をうつ程度なのだが。

 
 (帰ってご飯作らないといけないのに……)


やや顔ひきつって司会者のマニアックな話を聞く杏に助け舟が出た。マネージャーだ。


 「おーい。杏ちゃんちょっと電話」

 「え、誰ですか」
 
 「神崎くん」


ちょっと失礼します、と言い残し光のようなスピードでマネージャーの持つ自身の携帯を奪い取る。


 「どう、したの……紅、夜?」

 「いやお前がどうした。全速力で走ったみたいに息切れして」

 「うんうん、なんでもないよっ。それより何?紅夜から電話なん―ハっ!?まさか愛の告白!?ど、どうしよう、心の準備が出来てないよっ」

 「とりあえず、心の準備じゃなくて脳外科に行ってこい」

 「ヒドイッ!借りにも一緒に暮らしてる幼馴染に対して!」

 「バ、バカ。おっきな声でいうな!」


はあ、と紅夜はため息をつくと本題に入る。


 「そういや、お前チャレンジで強いアバター持ってたよな」

 「う、うん。けどなんで?」


素直な疑問を杏はぶつける。

おそらく杏は携帯を持って来いといっても仕事があるというだろう。一刻をあらそうこの時に仕事を待ってる場合じゃない。そこで紅夜は治安のために、自分のプライドのために身を削る。


 「急いでこっちに来い。15分以内に来たら今日一緒に寝てやる」


それを聞いた杏は無言でダッシュする。その顔には不気味な笑みとよだれがあった。


 ###

携帯を閉じた紅夜のもとに上司と一人の少年がやってきた。紅夜はそちらを振り向くとそこには、茶髪の少年が脇にノートパソコンを抱えていた。


 「こちら郡氷也くんだ。お前と共にエミ討伐にあたってもらう」

 「ただいまご紹介いただきました。郡氷也と申します。」


深くお辞儀をし柔和な笑みを浮かべる氷也の喋り方に紅夜は戸惑う。


 (うわ~。敬語!すげ~!?)


笑みを崩さない氷也は翠や下里にも挨拶をすませる。


するとtそのだだっ広い会議室のドアが突然力強く開かれた。


 「よっしゃ!!紅夜の初めてゲットダゼ!!」

 「寝るってそういう意味じゃない!!」


時間を5分余らせてやってきた杏。その手には携帯がしっかりと握られている。
そして上司に代わり氷也が仕切る。


 「……全員そろいましたか?それでは作戦会議と行きますか」

なんだか杏が思うようなキャラからそれまくってく……

しつもん、アドバイス、ドんと来い!ではまた明日


ニンジンはIQ198あるのに1stって事はよっぽど運動ができないのか?
知能×身体能力だよね
それとも、よっぽどショボい能力なの?

こんにちは

>>201

御坂美琴を思い出してください。彼女は幼い頃から才能はあったもののレベル1でした。その後才能
開花しレベル5になりました。つまり彼はまだ発展途上なのです。この章ででます。とりあえず今は『左手着火』<<レフトファイア>>とでも思ってください

それではスタートッ!


 ###

紅夜、氷也、上司、翠、そして杏は会議室に集結していた。氷也は前方にある黒板ほどの大きさのディスプレイの前に立っていた。その他は椅子に座りそれを見ている。


 「まずはこれを見てください」


そう言うと氷也はディスプレイを操作しある画像を表示する。そこに写っていたのはある少女だ。その少女は紫色のジャージと髪を持っていた。ジャージの裾は肩からてにかけて徐々に広がっている。ツインテールの髪は腰にまでとどいていた。


 「ねぇねぇ紅夜。これ誰?」

 「さあ。そもそも人間なのか、こいつ」


その二人の問に氷也が答える。


 「いえ。おそらく人工知能です」

 「人工知能?」


なるほど、と紅夜は頷く。それならあの移動ハッキングの理由がわかった。


 「んで、その人工知能はどう倒すんだ」

 「彼女のアバターでです」


と、氷也は杏を見る。


 「え、え、私!?」


必勝のキーは彼女に託された。

今日は終了です。んじゃまた明日

今日も張り切って行きます。

スタートッ!


###

昼になった頃一時帰宅という形で休憩が取れた紅夜と杏の二人は、自身のアパートにて昼食をとっていた。


 「杏、何食う?」

 「紅夜」

 「カップ麺ね」


杏を適当にあしらう。これは日常の一コマだ。紅夜はポットから二つのカップ麺にお湯をそそぐと安っぽいテーブルに置く。はしを取り出す杏に紅夜は問う。


 「お母さんいつ帰って来るって?」


杏の両親は海外にて生活をしている。その為天涯孤独の紅夜は居候という形でここに住んでいるのだが。


 「わかんないって。お金はそっちで頑張ってってさ」


なんとか二人はお金を稼いでいるのだが、それをほったらかしというのもどういうものか、と紅夜は思う。


いただきます、と二人は手を合わせると勢いよく麺をすすっていく。紅夜は食べなだら杏と喋る。


 「なぁ。お前のアバター見せて」

 「うん。どうぞ私の『私物』!」


えらく私物を強調しながら、携帯を差し出す。

そのアバターは顔は杏そのものなのだが、服はライブで使うピンクの派手な衣装だった。


 「うお……きついなこれ」

 「マネージャーさんに使うならそうしろってさ」

 「お前バトルの時もこれだったの?」

 「うん」


フリル満天の最強少女が目に浮かんだ。紅夜は一度、携帯を閉じ自身のパソコンで改めてログインする。


 「さて、どうしますかね……!」


 ###

氷也もジャック本部に帰宅していた。そこにはソファーを独占する黒髪の少年、神崎と椅子に座る金髪の少年、炎波がいた。


 「なになに?仕事っすか。熱心すなぁ」


炎波はバカにするように氷也に問うが氷也は答えない。氷也は辺りを見渡す。


 「おや?女性陣はどちらに?」

 「買い物。夏服買ってくるとさ」


そうですか、と氷也は答えると、冷蔵庫を開ける。中から缶コーヒー(微糖)を取り出し飲み始める。


 「どんな仕事なの?」

 「まぁ……面白そうですよ。いろいろと」


じっと見つめられる神崎は不思議そうに首をかしげていた。

今日は終了です。もうそろそろバトりたい!

質問、アドバイスドんと来い!ではまた明日

きょうは書けそうにない゚(゚´Д`゚)゚
明日も書けないかも……ゴメン

なんとか今日は投下していきます

それではスタートッ!


 ###

そして、10:20分。とうとう勝負の時が来た。だだっ広い会議室の真ん中の机には2台のパソコンが置かれている。さらに前方には巨大なディスプレイがありパソコンの画面を映し出していた。その画面の中には何やら重要そうなファイルが無数にある。


 「もうそろそろか」


紅夜は傍らで紅夜と同じようにパソコンに向かう氷也へと話しかける。


 「ええ」


無表情の氷也は真剣というよりも退屈そうな雰囲気があふれでている。それを杏達が不安そうに見る中、氷也の表情にへんかがあった。巨大なディスプレイの右下にある小さなデジタル時計にはこう表示されていた。


 PM10:30


瞬間、やたら小難しい画面がパズルのピースをはずすようにめくれていく。その下の画面は立体的な格闘ゲームそのものだ。水色一色の異質なステージはこれから始まる異様な戦いを表していた。


 「おーおー。機密データのサーバーをこんな風にすんなよなぁ」


呆れたように紅夜は呟く。画面には二人の少女がいた。かたや紫色のジャージのツインテールの少女。かたや杏を模し、
陸上の選手のユニフォームを着た少女。そのユニフォームはおもに胸の部分が盛り上がっている。紅夜はため息をし再び画面に目を向ける。


 「さて、戦闘開始と行きますか……!」


 #LOG IN#

エミはツインテールを揺らしクスクスと笑う。


 「ふぅん。そう来るか……」


彼女は余裕そうに笑う。杏――もとい『アン』は表情を一切変えない。エミもようやく笑うのをやめる。


 「行くよ……!」


エミがそう言うと画面の中央に赤い文字で『レッツスタートッ!』と、出た瞬間両者はゲームの中でもトップスピードで激突する。右拳がぶつかり合うと同時にHPがやや減っていく。これでもまだ小手調べ。次は上段の蹴りを放つ。それをエミはかがみ、軽々と避ける。


 「……っ!?」


バランスを崩したアンにエミは思いっきりアッパーを決める。大きく仰け反るアンに追撃が加えられる。エミは垂直跳びの容量でやや跳び、そのままアンの顔をボールを蹴飛ばすように大きく蹴りぬく。

が、アンはブリッジのように避け、その後前に跳びやや距離を取る。この間、15秒。それだけレベルが高い戦いだということだ。


 「……」

 「……」



両者共動けないでいた。

しかし、その均衡は破られた。エミが目にも止まらない、という表現でも足りない速度で近づく。しかし


 「甘いっつーのっ!!」

 「!?」


アンは予想していたようにカウンターパンチを放つ。それは顔面をきれいに捉え、いやな音をたて2Mほど飛んでいく。


 「はぁ…はぁ…おわった……?」


ぐったりとしたエミを見アンは呟く。

今日は終了!しっかり書ける才能が欲しい……

ではまた明日

おつかれ
この世界の技術力はどれくらい?
禁書みたいなオーバーテクノロジー満載な感じ?

>>216
いえ。こちらと同じくらいです。でも、天才二人が改造してるんだよなぁ……

本日はゆっくり投下しますので夜でageから読むことをおすすめします。
それではスタートッ!


 「んなわけないじゃん!!」

 「ッッッ!?」


突如、エミが爆発するように飛び上がり突進してくる。エミはダンッッッ!!と跳び両手を振り上げる。そして


 「なんだよッ!?」


振り下ろされた手には巨大なハンマーが握られている。ギリギリで後ろに飛び退いたアンへと、さらに横なぎの衝撃がふるわれる。


 「あぐッッッ!!」


子供が人形を投げ飛ばしたようにアンが遠くに吹き飛ぶ。

……かのように見えた。ハンマはアンのすぐ横にとまっていた。その間には金属質な槍が一つ。3M程の槍を大きく振りエミをなぎ払う。


 「ふっ」


大きなハンマーを持っているとは思えない程大きくバッグステップをし距離をはかる。


 「チャレンジには武器の機能はないはずだけど?」

 「お互いさまっしょ」


 #LOG IN#

画面内でおこなわれている激戦を目の前にしている杏達はただただ口を開けて見るしかなかった。


 「紅夜……やっぱりすごい!!」

 「そりゃ、どうも」


依然画面から目を離さない二人のキーボードから軽快な音が休みなく響く。そこで杏は一つ疑問に感じた。

氷也は何をしているんだ?

画面にはアンしかいない。この男はどこにいるのだろうか。それは、すぐに答えが来た。氷也はエンターキーを叩く。


 「解析終了です。……いきます!」


 #LOG IN#

お互いの武器をぶつけ合う。横、縦、ナナメ。怒涛のラッシュがアンを襲う。


 「グッ……!」

 「うりゃうりゃうりゃあ!!」


ゴンッ!ゴンッ!と金属のぶつかる音が聞こえる。アンのHPは残りわずかだ。そしてとどめと言わんばかりにエミは横なぎの一撃を放つ。今まで受け続けてきたアンはいきなり槍を地面に突き刺し、棒高跳びのようにエミを飛び越える。


 「今さら逃げても無駄じゃない?」

 「そうか?そうおもってんなら俺の勝ちだな」


エミは怪訝な顔をする。ボロボロの顔で笑うアンはどこか余裕そうな雰囲気がある。


 「何いってんの?」

 「解析終了だ。真っ暗な世界で眠ってな」


瞬間、エミの真下に真っ黒の巨大なサイコロの展開図のようなものが現れる。そして一瞬でそれはエミを閉じ込める。


 「!?」


すぐに他の電子機器に移動しようとする。が、それはできない。


 (解析終了ってそういうことか!?)


顔を歪ませたままエミは立ち尽くす。

とりあえず休憩。


 #LOG OUT#


ようやくエミを捕らえた紅夜達は安堵の表情をうかべ和んでいた。


 「いやぁ~さすが紅夜。あんな奴ちょちょいのちょいだね」


まるで自分の手柄のように喜ぶ杏は紅夜に抱きついていた。とくに紅夜は気にした様子はない。隣では自身のパソコンを片付ける氷也の姿があった。


 「何もう帰んの?」

 「えぇ。やることがありますので」


氷也はパソコンを脇に抱えてたちあがりドアまで歩くと一度だけこちらを振り返る。


 「気をつけてくださいね。紅夜さん」


それだけ言うと氷也は帰っていった。

今日はこれで終了っす。
このエピソードはまだまだ続く

ではまた明日

乙ー

こんにちは

>>225
ありがとうございます!やっぱりこういうレスは嬉しいですね。

それでは本日もスタートッ!

すいません。PCの調子がヤバイです。必ず明日に投下します

本当にすいません

待ってる

>>228
ありがとうございます。頼んだぞPC!!

それではスタート!


 ###

真っ暗になった帰路を杏と共に進む紅夜は携帯をいじっていた。そのデジタル時計は11時をまわっている。


 「紅夜。何してんの?」

 「ん?三条中の生徒データのハッキング」

 「犯罪だよね。それ」


珍しくまともな事を言う杏を無視し紅夜は続ける。


 「郡……郡と。あった!」

 「おぉ?どれどれ……?」


身をのり出して携帯を覗き込む。そこには驚愕の事実が記されていた。


 「う、そ……?」

 「まじかよ……!?」


そこにはこう記されていた。



三条中学校  2-4

郡 氷也


成績優秀であり本校開設以来の天才である。また身体能力も並の肉体系能力者を凌駕するほどだ。
ただ、周辺にいる友人がレベル1thの神崎透や、問題児である日野炎波などであるため細心の注意が必要である。(日野炎波についてはこちらを参照)


備考

本人は能力を『接触凍結』<<タッチフリーズ>>と公言している。が、これが本物の実力かは判断不能である。(能力査定時に手を抜いているとの証言あり)


現段階、彼の能力は世界で数十人のレベル5thの称号を手にしている。


 「紅夜とは大違い」

 「っるせぇな!!」


暗い夜道の中二人の言い争いを封じるように携帯がブブッとなった。


 『マスターちょっと』


それは例のAI、エミだ。あの一件の後、見張りとして紅夜に任されたのだ。


 『一個言いたいことがあるんだけど――さすがにこの時間に学生服の二人が帰るのはよろしくないよ?』


携帯を投げ捨てたくなる衝動を抑えエミを睨む。


 「で、本題は?」

 『逃がしてくんない?』

 「無理」


イライラする紅夜の裾を小さく引っ張る人物がいた。


 「杏。どうし――」


言い終わる前にその意味がわかった。

一本道の暗い住宅街の奥から人物像が現れる。20代後半くらいの黒ずくめの男はゆっくりと近づいてくる。


 「そのAI。渡してくれないか」

 「いやっていったら?」

 「殺す」


まじかよ、と呟き杏を引っ張り元きた道を引き返す。が、後方にも同じ姿の男がいた。


 「くそっ!!」


囲まれた紅夜はポケットに手を入れ金属の球を取り出す。それを左手に持ち帰ると発火させ天高く投げた。それは発火し数秒のタイムラグの直接とてつもない閃光を放った。


 「走れ!!」


目を覆うような閃光の中紅夜は杏を引き連れて走る。

今日は終了っす。
ちょっとその前に……


絹旗が遂にしゃべったぜェェェええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!


……はい。すいません。

質問、アドバイスドんと来い!ではまた明日

はい!来ました

今日もスタートッ!


 ###

謎の追っ手からの襲撃を逃れるため、二人は息を切らしながら夜道を逃げていた。


 「こここここ紅夜!あ、あれなんなの!?」

 「知るか!とりあえず一般人じゃねぇよ」


マグネシウムを使い逃走した二人の後ろには追っ手の姿は見あらない。足を止めた杏は近くの家の塀に背中を預け息を整えている。それに対して紅夜は携帯で現在地を確認して、逃走ルートをいくつか考えていた。そこには


 『あの~』


携帯の画面の端っこにバツが悪そうな顔をしたエミがいた。やや息切れしている紅夜は汗だくの顔で彼女(?)を見つめる


 「どうした」

 『いや~。これって私のせいかなって……』


これ、というのは今の状況を指しているのだろう。紅夜は一度息を切らし地面に座り込んだ杏を見る。そして優しい口調で


 「確かに今は最悪の状況だけどさ」

 「それはお前が抱えなくちゃいけない責任じゃねぇだろ」


一度はっとし面くらったと言わんばかりの顔をするエミを見て紅夜はこう思う。


――彼女はおそらく助けを求めてここにきたのではないのか、と


複雑な心境の紅夜に杏がいきなり叫ぶ。


 「来た!!」


それを聞いた紅夜は奥歯を噛み締め携帯を勢いよくしめる。そして杏の手を握るとさらに奥へと走る。



闇の奥へと


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ほとんどの民家が明かりを消して寝静まる中、一件だけ明かりのついた白い建物があった。二階建ての建物の前には普通よりやや広い駐車場と、縦長の看板があった。

今田特別小児科

普通の小児科と違い能力の暴走や、不調の子供を診察する辺りでは有名な病院だ。

そこには白衣をきた医者のような人物が二人佇んでいた。一方はメガネをかけた若い男だ。手にはカルテ用のタブレットがある。

もうひ一人はだいぶ歳をとった老人だ。だが弱々しい、という印象よりも禍々しいという印象が与えられる。老人はニヤリと笑う。その唇の隙間から数本の金歯がちらつく。


 「どうだね『彼』の様子は?」

 「彼というと?」

 「あー。プライドの塊のほうだ」


その例えに若い男は思わずクスリと笑ってしまう。確かに『彼』にはその例えは適切だろう。メガネを整えタブレットを見ながら告げる。


 「ええ。順調です。実験体のほうもこちらで誘導して人目のつかないゴミ処理場に追い込んでいます」


結構、とだけ老人は告げる。そしてなにかを思い出したように付け加える。


 「試作品は?」

 「実験体と共に行動しているようです」

 「そうか……では、そろそろ我々も行くとするか」


パチンッ、と電気を切ると彼らは『彼』を連れて進みだす。

なんか誤字が最近多いな。気をつけます。

質問、アドバイスドんと来い!ではまた明日

PCよ頑張れ…

本日もゆっくり投下。スタートッ!


 ###

 『これなんか誘導されてますよ』

 「知ってるよ!」


誘導されているとわかっていながらそのコースから逃れられない紅夜は内心焦っていた。しかし杏を心配させないよういつもどおりを装っている。追っ手から逃げる二人は汗をにじませながら夜道を走っていた。辺りからは住宅が消え、潰れた店などがちらほらと見えるだけだ。
 

 「はぁ……はぁ……」

 「大丈夫か?」

 「う、うん」


どれだけ走っただろうか。確かにこの距離は普通の女の子が走るにはそうとうの距離だろう。などと考えているとなにやら異臭がしてきた。いつの間にかどこかに入ってしまったようだ。


 「ゴミ処理場か……?」


薄暗くわからないが紅夜は嗅覚を頼りに考察する。頭上には野球場にありそうなライトがチカチカと点滅している。


頭がクラクラする。恐らく紅夜自身も相当の疲労がたまっている。朦朧とする視界に突如謎の白衣の二人組が映った。その二人は紅夜達のことには目もくれず話し合っていた。

 「……ふむ。やはり実験体は多いに越したことはないのだが」

 「それでも彼らは『あの計画』の使い回しでしょう?」


若い方の男が突然紅夜を見据える。紅夜は杏を抱き寄せ警戒する。すると次は老人が談笑するように紅夜にむかって話しだした。


 「まぁまぁ。落ち着きたまえ。……全く、実験体は黙ってればいいものを」


途中からは呆れたようにため息混じりだった。紅夜はこの男が発言した『実験体』という言葉を聞き頭の奥にチリチリと痛みを感じた。紅夜は老人を睨みつける。


 「なんのようだ」

 「いやいや。そこの女の子にはなにもしないよ。ついでに言うとそのAIも。お、そうだ。そのAIの秘密教えてやろうか」


ニヤニヤとする老人の口元からは金色の輝きがみえている。老人はポケットに手を入れリモコンのようなものを取り出して見せた。そこにあるボタンに触れそして押す。


 「身をもってな」


ドクンッ!と紅夜の体は波をうつ。

食事と休憩。書くときはageますね


 「カハッ……!?」


ぐらり、と紅夜の体がよろめく。その手からは携帯が手放さられた。隣では小さな悲鳴をあげる杏がいた。胸を抑え焦点の合わない目で白衣の科学者達を見据える。


 「なにを、した……!?」


その問に答えるように老人は口を開く。


 「そこに落ちているAIは『肉体と精神を切り離す』実験が行われた。そしてその後電脳体に精神はインプットされそこにいる」


見下すように、あざ笑うようにエミと紅夜を見る。それが聞こえたのか携帯からはサイレンのような音が数秒だけ鳴り響いた。


 「そしてこの実験でもある人物の精神を切り離し、お前の体に組み込んだんだ」


さも当然のように老人は告げる。紅夜は何かを言おうとする。が、それをねじ伏せるように紅夜に何かが襲った。物理的にではない。紅夜の『中』で。


紅夜の手はだらしなく下にぶら下がり無気力になっていた。しかしそれはおとなしいというものではなく、嵐の前の静けさというべきだった。老人は面白そうにそれを眺めながら呟く。


 「もともとコイツには素質はあったのだ。だが、願いが低く宝の持ち腐れになっていた」

 「しかしこれで『願い』という条件は揃った」

 「行くぞ……何びとたりとも手を出せなかった……『自然超越』<<ナチュラルオーバー>>の次元に!!!」


老人が叫んだ瞬間紅夜の体に変化があった。正確には左手。今まで左手を覆う程の炎しか出なかった能力は完全に変わり果てている。紅夜は天へと向けた左手を右手で支えている。その手からは2Mほどの黒炎が吹き出ていた。そしてそれをなぎ払うように漆黒の剣が姿を現す。金髪の少年のように手のひらから刀身がでているのではない。むしろ炎でできている事が不思議なくらいだ。

そして紅夜自身にも変化があった。ニンジン色の髪は漆黒に染まり、さらには両目は血の色に変わりきっていた。


杏は口を塞ぎ怯えていた。それしかできなかった。紅夜はもう『紅夜』としてそこにはいなかった。この地獄を作り出した本人はただただ笑い続けている。


 「素晴らしい!!これが『自然超越』……!!ハハッ!!」


なにも気にせず目の前の状況を楽しむ老人と若い男はもう満足という雰囲気だった。瞬間、彼らの視界がずれた。いや違う。上半身の位置がずれた。



一閃


『紅夜』は横なぎの斬撃を放っていた。一切の距離を無視して。

そして次は隣の人物を。杏を見据える。無機質な赤い目で。大きく黒剣を振り上げる。その時、杏が口を開いた。


 「紅、夜?どうして……?なんでこんなことするの?」


ボロボロと涙をこぼしぐちゃぐちゃの顔で紅夜に問う。


 「なんで!?やめてよ!?もうこんな事はやめて!?いつもみたいな紅夜に戻ってよ!!!」


これが精一杯だった。これが全てだった。この言葉は届くことがないということもわかっていた。目をつぶり後はまつだけだ。『紅夜』の容赦ない一撃が放たれる。




杏にはみえなかった。黒剣に亀裂がはいっていたのを。



伏線が下手な>>1が通りますよっと。
ホントうまく伏線がはれない……

質問、アドバイスドんと来い!ではまた明日

乙です


急展開だな

>>249
今日も頑張ります!

>>250
な、なにも聞こえない(~ω~;)))

今日もスタートッ!


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真っ白でどこまで広がっているのかわからない空間に『紅夜』はいた。ただただ広がる空間で『紅夜』は立ち尽くす。漆黒の髪をもつ赤眼の『紅夜』は誰ともなくこう語る。


 「これでようやく願いが叶うってわけか」


静かに笑みをこぼす紅夜はかつての復讐のため。くそったれな科学者を殺すため、この体を手に入れた。手段なんてどうでもいい。やつらへの復讐を果たせればそれでいい。『紅夜』は拳を握る。

その時、妙な違和感があった。

体全体にノイズがはしったのだ。まるでこの空間から拒絶されるように。『紅夜』の顔色は一瞬で変化した。


 「な、ぜだ」


この現象に驚いたのではない。それよりも恐ろしいものが『紅夜』の後方にいたのだ。『紅夜』は恐る恐る振り向く。そこにいたのは……


 「……」

 「テ、テメエは……ッッッ!!!」


ニンジン色の髪の少年だった。


いきなり現れた。『ここ』はもう彼の世界ではないのに。


 「なんで、まだいんだよ……!?」


『紅夜』は自分が思っているよりもそうとう焦っていた。そしてニンジン色の髪の紅夜はうつむいたまま呟く。


 「別に。『ここ』にも世界にも未練なんてねぇし」

 「別に俺は誰が傷つこうと、誰が死のうと、世界が滅びようとどうでもいい」


フラリ、と動きそして力強く前を向く。その顔には迷いなんてものはなかった。


 「でもな」

 「杏が傷つくってんなら」

 
 「俺は誰かを傷つけてでも、誰かを殺してでも、世界を滅ぼしてでも助けてみせる」


その言葉を言い終わると同時に紅夜の左手に剣が出現した。ただしそれは黒剣と同じ形でありながら紅蓮の輝きを放っていた。片方だけ赤くなった右目で『紅夜』を睨みつける。

『紅夜』は奥歯を噛み、黒剣をにぎる。そして両者はその剣を。自分の生き様をぶつける。


復讐のために世界を滅ぼすチカラ。

大切なものを守るために世界を消し去るチカラ。




決着はすぐについた。


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なにもおきなかった。そういうべきだろうか。目をつぶり覚悟を決めた杏の身には何も起きず突然いやな汗をかいた紅夜が倒れ込んできたのだ。その髪。その眼。その雰囲気。全てをとっても神崎紅夜そのものだ。


 『こう、や?』


呼びかけても応答はない。

その時遅れて警察達が続々とやってきた。


 「み、翠さん」

 「大丈夫?怪我はない?」


はいなんとか、とだけ答えた。

ようやく終った戦いに杏は安堵と紅夜の安否が気になる感情で埋め尽くされていた。

あーもう。>>254の『こう、や?』は「こう、や?」です。今週中にはこのエピソードを終わらせたいと思います。そこで『神崎』について触れていきます

質問、アドバイスドんと来い!ではまた明日

遅くなりました。

本日は少なめ投下スタートッ!


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同時刻。紅夜達が逃げてきた道には無数の凍死体が大量に転がっていた。

郡氷也は面倒くさそうな顔で辺りを見渡しため息をつく。


 「とうとう彼もこちら側にきてしまいましたか……」


恐らくこの事件は闇全体を揺るがす事になるだろう。動いたのは氷也だけではなかった。


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事件終了の数分後。ある研究所でも闇は動いていた。


 「うわぁぁぁああああああああああああ!!!」


瞬間閃光が研究所をつつむ。数名の生き残りの中にいる誰かがこう叫ぶ。


 「なんで……なんでこんなところに『雷神』がいるんだよ!?」


『雷神』と呼ばれた黄金の髪と同色の目を持つ少年は右手を前につき出す。そしてもう一度閃光がはしった。叫び声を無視して『雷神』は呟く。


 「僕はもうお前達を許さない……ッ!!」


隣では灰色の髪の少年が笑っていた。

もうそろそろ章替え。

質問、アドバイスドんと来い!ではまた明日

今日も張り切って投下スタートッ!


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白い四角の病室で紅夜は眠っていた。なのだが


 「紅夜っ!来てやったよ!!」


紅夜は無言で扉の逆方向に寝返りをうつ。それをみた杏はふふん!と鼻をならしガサゴソと手に持っている紙袋をあさり始めた。


 「ふ~ん。そんな反応するんだぁ?じゃあこのたこ焼きは私が食べちゃ――」

 「先に言え」


杏が言い終わる前に紅夜は上半身を起き上がらせる。杏は紅夜の大好物『TAKOYAKI☆』12個入りを取り出し爪楊枝を紅夜に渡した。


 「どう?調子は」

 「うまい」

 「いやそっちじゃなくて」


黙々と食べ続ける紅夜は完食(この間2分)するとようやく口を開いた。


 「一応精神科でカウセリングだと。なんか二重人格の兆候が見られるって」

 「えぇ!?大丈夫なの!?」


まぁ、と紅夜は答える。しんみりとした空気になったその時。


 「杏!!仕事さぼってんじゃないわよっー!」


すぱーんッ!と病室のドアが開けられるとそこにはややお怒りのマネージャーさんがいた。がしィ!!と杏の襟元を掴むと引きずっていった。


 「……」


ようやく静かになった病室。紅夜は静かに包帯を巻いた左手を眺める。


 (あの時俺は……)


紅夜の脳裏にあの事件がしっかりと焼きついている。あの時見た光景。制御不能の体。そして、紅夜の中での激闘。


 (あの男。見た目は俺自身だった。けど、あいつは俺じゃねぇし、それよりもあの雰囲気……あれは……あれは!!)


紅夜の体はいつの間にか震えていた。


 「あの時の実験の被害者だ……」


血の惨劇とも呼べる光景が蘇る。



この世界の命は軽い。

エピソード#3終了

エピソード#4は夜からです。


 エピソード#4


都会の夜にはここまで月の明かりが届く部屋はないだろう。この真っ暗なビルの下には赤い光の点滅とやけに耳にさわるサイレンが鳴り響いている。部屋の中に黄金の髪の少年はただ一人たっていた。その服には赤い赤い血が染み込んでいる。


 「……っ」


辺りにはもはや人間とは呼べないほど真っ黒になった肉塊が転がっていた。


 「……当然の報い。受け入れてよ」


そう彼が呟くと同時に急に扉が開いた。


 「!?」

 「ふひひ。おいおい、こわいなぁもう」


灰色のロングヘアーを全て体の前においている少年は両手をひらひらとさせる。『雷神』を目の前にしてこの態度。彼もまた規格外のチカラを保有している。


 「とりあえず終ったから帰ろうぜぃ」


雷神は無言で窓の外を見る。



 「あぁ?警察ならぶっ殺せばいいだろー」


完全に人の命というものを舐めきったこの男。雷神はある事情でこの男と組んでいるがどうもうまが合わないようだ。


 「一般人はきずつけたらダメだって」

 「うぃ」


この完全に囲まれた空間を彼らは切り開く。



――死者23名のこのテロの襲撃者二人の逃亡劇の死者は0人。それどころか負傷者もいなかった。


 ###

 『――この一連のテロは4回とも同一犯とされており』


ジャック本拠地。都会の隅っこにある安っぽいアパートに神崎達はいた。全員がそれぞれの動きをしている。ただ一人ソファーでくつろぐ神崎は炭酸の黒いジュースを喉へと流し込んでいる。


 「神崎さん。以来がないからってだらけすぎでしょ」


ショートヘアーの少女。鳴はため息をつく。そして彼女もソファーに座り込んだ。だらだらとながれるニュースに神崎は見入っている


 「テロですかー。大変ですね警察も」

 「……」

 「神崎さん?」

 「あ、あぁ。そうだな」

 「?」


腑抜けというよりも他のことに集中しているという感じだ。淡々とニュースは流れ続ける。


 『これが犯人の写真なのですが』


えらくぼけた写真が画面場に表示させる。暗い部屋に二人いるということしかわからない。が、神崎は妙にくいついていた。


 「どうしました?」


神崎は無言で立ち上がる。どこか焦った表情だった。妙な胸騒ぎを押さえつけ鳴はニュースを見ていた。

最近ネタ切れ。もうそろそろ潮時かな

質問、アドバイスドんと来い!ではまた明日


ネタギレ……だと?
じゃあ鳴を主人公にして短編エピソードやっとくれ
学校とか日常を舞台にして、七不思議探索や迷子の親探しに不本意ながら巻き込まれるとかちょっとコミカルな感じで

乙です。

事件のネタなら
darker than blackが多少参考になるかも

>>268
いいですね。この章が終ったら短編の日常回でも書きますね。

>>269
資料ありがとうございます。参考にさせていただきます。

それでは本日も投下スタートッ!


外に出ていった神崎と入れ替わるようにビニール袋をもった炎波が部屋に入ってきた。


 「あ、炎波さん」

 「よぉ。氷也知んない?」

 「いえ。どうかしました?」

 「アイツ、警察に呼ばれた日からみてねぇんだよ」


炎波は鳴の前の椅子に座るとビニール袋から缶コーヒーを取り出し飲み始める。


 「神崎さんも様子が変なんですよねえ……」

 「なんで?」

 「さぁ。でもなんか焦った感じで」


コトッと缶コーヒーをテーブルに置くと誰ともなく呟いた。


 「……アイツら、なにやってんだ」


 ###

黒いパーカーを着ていつものスタイルで外に出た神崎は顔を隠すようにフードをかぶる。そしてポケットから携帯を取り出しトップニュースを確認する。


 『現在もテロ犯は逃走中です』


パタンと、携帯を閉じそして一番最後にテロがおきた現場に向かう。


 ###

都会のどこにでもあるようなビルだ。今は黄色いテープが引かれ潜入不可能となっている。やじうまを抑えるヘッドフォンをつけた女が騒いでいた。神崎はそんなことには目もくれず目を閉じる。そして神経を研ぎ澄まらせる。


 (電撃使いが能力を使うとくっきりと電磁波の痕跡が残る。俺のチカラならそれを終えるはずだ……)


一瞬の静寂。そして勢いよく目を見開いた。


 「やっぱりこの電磁波はアイツのか……」


そこで妙な感覚に襲われた。まるで高位能力者が近くにいるような。まるで探しているアイツが近くにいるような。


 「探したよ」

 「――っ!?」

それでは夜も投下スタートッ!


後ろを振り向こうとしたその瞬間、辺りを眩い光と耳を引き裂くような轟音が轟いた。神崎は反応できずトラックに激突したかのような衝撃がはしる。


 「うぐっ!?」


野次馬達のいる中へと吹っ飛ぶ。野次馬達は這い蹲る神崎を避けるように逃げていった。そして神崎は気づいた。今のは宣言。野次馬達が逃げる時間を与え、巻き込まないようにしっかりと考えられている。件の男の顔は奇妙な仮面が付けられていて確認できない。


 (でも……ッ!この髪の色は!)


黄金の髪をちらつかせ青い閃光を手にちらつかせている。そしてその右手を正拳のようにつき出す。それと連動するように横なぎの稲妻がはしる。


 「がァ!?」



神崎は素早く地面から跳ね上がると壁を押すように稲妻を受け止める。一瞬でそれは空気へと消えていく。『最低出力』のチカラの本質は電気の完全支配。電撃使いには負けるはずがないのだ。しかし目の前にいる男は単純に力技だけで破ろうとした。


 「やっぱりお前は……ッ!!」


神崎が告げる前にその男は仮面を脱ぎ捨てた。そしてそこにいたのは。


 「久しぶり。トオル」

 「渡!!」


神崎渡だった。


 ###


ガチャりと唐突に扉が開いた。姫川、そして氷也が帰ってきたのだ。


 「氷也!!おま、どこいってたんだ!!」

 「ごめんね。ちょっと調べものを手伝ってもらったの」

 「調べもの?」


すると氷也は手に持っていたA4の茶封筒を机に置く。


 「これは?」

 「まぁ、簡単に言いますと透の過去。透が置かれていた環境についての調査です」

 「なんでまたそんな事」

 「この前ね。神崎って人とあったの。なんか関係あるのかなって」


炎波は茶封筒をあけながら問う。


 「で、結果は?」

 「大成功ですよ」


頭にはてなマークを出しながら中の資料を読み始める。

今日は終了です。
次は神崎のレポートから。今度キャラのプロフィールでもつくろっかな。

質問、アドバイスドんと来い!ではまた明日

今日も張り切ってスタートッ!


自然超越人工到達計画


もともと才能を持つ子供達に人工的に強い願いを植え付ける。これが簡単の内容である。強い願いを植え付けるのには理由がある。ようは能力の質だ。同じスペックでも願いが薄ければ質が落ちる。

これらの事を理由に実験を開始する。



まず孤児院などからとにかく子供達を収集する。落ちこぼれはさらに貴重な実験体、72号や134号を無駄にしないためにその犠牲とする。また、落ちこぼれでありながら異色の才能を持つ22号は現状、保留としておく。


日頃からの薬物投与。これにより本番での暴走を軽減させる。ただこの投与だけで拒絶反応がでたものが約一名いたためそのものは、別の管轄ではあるが『精神奪取計画』のほうに募人する。


 ###

 「なん、ですか……これ……?」


目を丸くし驚く鳴が持つ資料を炎波がぶんどる。汚いものを見るようにそれを一瞥する。


 「で、これが何なんだ」

 「その一番最後。読んでみて」


その資料の一番最後には数行こんなことが書いてあった。



実験途中に実験体が数人逃亡した。首謀者は電撃使い最強で『雷神』の称号を持つ『最高出力』<<ファーストボルト>>72号。またの名を神崎渡。彼らは自らを『神崎』となのる。また共犯と思われる人物は三人。


未来の優等生134号 『世界絶滅』<<アルマゲドン>>神崎紅夜

異端者189号 『立体映像』<<ホログラフィ>>神崎勝

異色の才能22号 『最低出力』<<ワーストボルト>>神崎透


この暴動から計画の中断をするしかないだろう。

今日は終了!

ここで神崎のプロフィールでも書きますのでよかったらどうぞ↓

質問、アドバイスドんと来い!ではまた明日


 神崎 透

14歳 8月26日 身長162cm 体重48kg

O型


好きなもの:甘いもの アニメ 妹という響き  嫌いなもの:苦いもの 勉強 なんか化粧が濃い人

 特徴

黒い髪でそこらへんにいる中学生となんら遜色はないが、たまに尋常じゃない殺気を放つ。黒いパーカーを好んできている。家事全般をなんでもこなせるが勉強が一切できない。やや、オタクの匂いがある(クラスメイトのせい)現在は桜野中学校に通う。2-4


 『最低出力』<<ワーストボルト>>

詳細:非常に微弱なチカラで本来は静電気程度の出力しかない。しかし、尋常ではない技術力を駆使し生体電気を操ることで一秒ごとに頭脳、身体能力、さらには能力までをも底上げすることができる。その際に頭に手を触れることで『スイッチ』をいれる。一応、スイッチなしでもミリ単位の操作をできる。

また、能力を極限まで使うと体が動かなくなるため大きな事件の後は鳴に介護してもらっている。


 家族構成

親に幼い頃に捨てられたので不明。ただジャックのメンバーを家族と思いくらしている。

↑の桜野中学校は違って三条中学校です。

今日も投下スタートッ!


 ###

正直吐き気がした。それがレポートをみた感想だ。こんな実験があるということも、そもそもレベル5thを超える自然超越なんてものがあることすら知らなかった。そして鳴は口を抑えもう一つの事実を思い出す。


この地獄のような実験に神崎透が参加させられていたということだ。


 「問題の様子がおかしいというのはこの神崎渡という人物のせいでしょう」

 「どうしてですか?」

 「今、ニュースで騒がれているテロは彼が関わっていると思われます」

 「!?」


この会話を遮るように姫川の携帯がなった。急いで出るとそれは所長からだった。


 「はい。はい、え!?テロ現場で透くんが戦闘中ですか!?」


そのさけび声に全員が振り返った。


 ###

横なぎの稲妻を放ちそれを受け流す。ただただそれだけのことだった。だが、その一連の動きで付近のビルは半壊していた。

裏拳のように拳を使い稲妻を受け流す神崎は渡に向かって叫ぶ。


 「渡ッ!!なんでこんな事をするんだよ!?」


かつて自分達を救ってくれたはずの『ヒーロー』はそれに答えない。黙々と稲妻を放っていく。目の前が閃光で埋め尽くされる光景を脱するためやむをえず次の一手をとる。右手を前に突き出し、放たれた稲妻を『蓄電』した。そして直後それを放つ。

稲妻と稲妻

それは相殺され閃光のみが場に残った。神崎はこの一瞬を見逃さない。『スイッチ』を即座に入れダンッ!!と渡の懐に潜り込む。そして高速のアッパーカットが渡の顎を捉える。


……はずだった。


渡は無機質な瞳で神崎を見ると容赦なく下方へと稲妻を放つ。一気に地面は崩れ神崎の攻撃は外れる。



 「殺す気でこないと僕には触れることもできない」

 「――ッ!?」


そして辺りが再び閃光に包まれる。


 ###

辺りは爆心地のようになっていた。その中心に立つ黄金の髪の少年には傷どころか髪の毛一本揺れていない。彼は神崎のうもれている瓦礫の山へと近づく。その瓦礫の隙間からは決して少なくない量の血が流れている。渡がその瓦礫の一部を吹き飛ばすとそこには血まみれの神崎がいた。神崎は口から血を吐くと倒れた姿そのままで話し始めた。


 「なん、でこんなこと、するんだ……」


その体を見て渡は顔を歪ませる。すぐさまその表情を消し、隠すように答える。


 「自然超越……これは僕たちを地獄へと貶めた最悪の存在だ。その最悪の存在が今日本を壊そうとしている。そんな情報が回ってきたんだ」

 「そして僕はアイツの力を借りて自然超越を見つけたんだ」

 「その名は郡氷也。トオルの仲間だ」

 「アイ、ツが……!?」

 「そう。だからそいつを殺すためにもトオルは邪魔だったんだ。……本当はこんなことはしたくないんだよ」


それを聞いた瞬間、神崎は迷いなくたち上がった。決して戦えるような状態じゃない。が、それでも立つ。


 「なんだよ、それ。氷也がそんなこと、するわけ、ない、だろ……!」

 「そうとは限らない」

 「アイツはそんなことはしねぇ!」


渡は再び顔を歪ませる。


 「……邪魔するなら殺すまでだ」

 「『ヒーロー』なら他のやりかたがあるはずだ」

 「『ヒーロー』なんてもういないんだよ」


血まみれの最弱と無傷の最強が激突する。

今日はここまで!>>289では炎波のプロフィールがありますよ

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


 日野 炎波


14歳 7月7日 身長172cm 体重59kg

B型


好きなもの:可愛い子 綺麗な女性 ブラックコーヒー  嫌いなもの:ブサイクな生物 甘いもの 郡氷也

 特徴

そめた金髪とその軽薄な雰囲気を氷也からチンピラと評されている。そこそこ頭はいいが能力の大半は身体能力で補っている。戦闘中でも女を見定めるほどの女好きである反面、極度の戦闘狂で返り血がつくようにと白い服を着て戦闘する。三条中学校に在籍。2-4


 『燃焼断斬』<<バーンカット>>
 

詳細:両手から炎を噴射する能力。レベル4th。通常は手のひらから刀身のみの炎剣を飛び出させて戦闘している。使い方しだいでは切り口を一瞬で熱することで出血なしで切ることもできる。



 人物背景

人殺しの家系に生まれる。ある日その精神を受けづいた炎波は5分という短時間で132人もの人間を殺した。(この中には親も含まれている)そのチカラを認められ罪を払拭するという条件で闇入りを果たした。このころから氷也とは面識がある。

現在もたまに病気ともいえるその症状がで、大量殺人を犯すことがある。

>現在もたまに病気ともいえるその症状がで、大量殺人を犯すことがある。
炎波さん危険人物過ぎるwwwwwwww



炎波さんチンピラってレベルじゃねえ


俺の中では炎波の方が木原くんのイメージだったから中学生という設定に違和感があった

>>290
>>291
今はその制御役を氷也さんがやってくれています。

>>292
個人的には垣根を殺人狂にしたイメージです。ちなみに所長以外はジャックは中学生メンバーです。

それでは本日もスタートッ!


ゴッッッ!!!と、自然界ではありえない轟音が辺りを包む。光が全てを支配する。そしてその雷撃は空に浮かぶ大きな雲にぽっかりと穴をあけている。ようやく視界がはれた頃にはすでに神崎が拳を叩き込もうとしている。しかし渡はその拳にぶつけるように稲妻を放つ。


 「ッッッ!!!」


大型車に激突したように神崎は宙を舞う。遅れて赤い血がそれをおっていった。

もはや戦闘不能。


例え立てたとしてももう相手にならないだろう。


 「……」


悲しげな顔でかつての仲間を見るとすぐに後ろを振り向く。


――こんなことでいいの?『ヒーロー』になりたかったんじゃなかったの?

 
 「……うるさい」


――平和のためだとか、必要な犠牲だったとか言い訳するつもり?


 「うるさい……!」


――どう言い訳しようとこの事実は変わらないよ。


 「うるさいッッッ!」


奥歯を噛む彼の言葉の言葉は誰にも届かない。


 ###

 「よぉ。実験動物さん?フヒヒ」


灰色のロングヘアーの少年――真野破音は雷神が戦闘しているすぐ近くで不気味に笑っていた。そこにはもう一人少年が佇んでいる。


 「お前、誰だ」


ニンジン色の髪が風に揺れる。その顔はなにかを決断した男の顔だった。


 「べつにぃ。あんたにようがあるんだ」


不気味な笑みを浮かべたまま破音は瓦礫の山に腰掛ける。


 「あのさ。俺達の仲間になんない?」

 「テロ集団の仲間なんて願い下げだ」

 「そうかね。結構大事なことしてんだけど」

 「例え、お前らがどんなことをしていようとも」


ひと呼吸おき、そして。


 「杏のもとから離れる気はないんでね」


瞬間、紅夜の手から炎で形成された聖剣が現れる。右目には赤い光が宿っている。


 「フヒヒ。そうか」

 「じゃあはじめちゃいますかぁ?」





今日はここまで!


↓では鳴のプロフィールですよ
やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

 愛野 鳴


13歳 5月9日 身長152cm 体重39kg

B型


好きなもの:かわいいもの 甘いもの 神崎が好きなもの全般  嫌いなもの:きもい生物(カエルとか) お化け系 神崎がきらいなもの全般

 特徴

可愛らしい茶髪のショートヘアーを携えている。基本的には神崎の趣味に影響されているため、私服はパーカーを着用していることが多い。神崎には恋心というよりも家族愛というほうが強い。やや中二病。三条中1-2



 『圧力変換』<<パスカルチェンジ>>
 

詳細:自身に関わる圧力を増減させる能力。レベル3rd。このチカラを使うことで銃弾ぐらいは防ぐことができる。また、自身に関わる圧力なので武器の圧力も変更できる。



 人物背景

小学生の頃、闇が引き起こした戦闘に巻き込まれる。その際に姉と自分を守るために守った両親をなくす。現在姉は遠くの地でひっそりくらしている。(ちなみに姉は鳴は死んだと思っている)
この戦闘を起こした闇に復讐するため闇入りするが、神崎を含めた4人にその組織は壊滅させれていた。やることをなくした鳴を神崎らがジャック入りを勧め、現在に至る。

できれば、神崎たちと共に闇を脱したいと思っている。

それじゃ今日も投下スタートッ!


破音に向かい紅夜は聖剣を振り下ろす。対して、破音は右手を上に掲げるだけだ。その聖剣がその右手もろとも切り落とす。


 「んぐっ……!?」


はずだった。

紅夜の左手にバットで壁を殴ったような鈍痛がはしる。


 「これが、俺のチカラ。てめぇみたいな『未熟者』に破れるほどやわじゃないんだ。フヒヒ」


破音の右手をよく見ると液体とも個体ともいえない妙な黒い物質が浮いていた。それを視認できた瞬間、その黒い物質が肥大し聖剣を弾いた。紅夜はおもわずよろめくが破音はそれを無理に追わない。いや、いつでも殺せるという余裕の表れか。

紅夜はなんとか距離を保つため時間稼ぎする。


 「お前らの目的はなんだ?」


姿勢を低くして臨戦態勢を整える。しかし破音はとくに何もせずその問に答えるだけだ。


 「俺ら?今、日本を壊そうする自然超越郡氷也を倒すことだよん」


 (……?アイツがそんなことするはずは――)


 「『ってのは建前でぇ!!ホントは郡と渡っちを戦わせて相討ちしてもらうってのが『俺』のモクテキッ!ちなみに
日本を壊そうとしてんのは破音なのです!』キャハ☆いっちゃたはずかち」


完全に人をバカにした態度の破音は笑いながら周囲に黒い物質を無数に漂わせている。紅夜は別にそれに対していかっているのではない。この男は確かこういった。



郡と渡を相討ちさせると。
そう、あの自分達の唯一無二のヒーローを。


その言葉を聞いただけで沸点は超えていた。紅夜の聖剣はいつの間にか黒に姿を変えている。



 「お前、今の本当なんだな?」


紅夜は殺気を放ちながら問うとと破音は一度だけフヒヒ、と笑いこう答えた。


 「今から死ぬやつに教える義理はねぇんだよ」



珍しくドスの効いた声が聞こえたと思うと破音が右手を横に地面に並行にあげていた。そこには二つの円錐の面どうしをあわせたような黒い槍が出現していた。破音は右手を振り躊躇なくそれを放つ。


 「――ッ!?」


紅夜はそれを間一髪で避けた。その黒い物質は紅夜にはあたることはなく勢いよく地面にぶつかった。いや、ゴッソリ地面をえぐっていた。どちらかというと地面を構成していた原子そのものを消失させたような。


 (原子が消える?そんなことあるわけ――まさか!?)


紅夜は破音を睨みつける。その目は赤。血を塗りたくったかのような赤。紅夜とは違い完全にチカラを開放した両目の赤。その赤は自然の法則から外れるどころか自然の法則は捻じ曲げるものの特徴ではなかったか。



 「最初にいっただろ?『未熟者』が勝てるわけがないって。フヒヒ」


破音はすでに次の槍を用意している。そしてそのまま世間話をするように口を開いた。


 「俺のこのチカラは『原子消失』<<アトムバニッシュ>>ってな。まぁ天才のお前なら説明はいらねぇかにゃ?」


そのふざけた態度のままその槍を投げる。紅夜はそれを聖剣で横に受け流す。原子を消失するという『常識』を無視して。


 「まぁ、そんなことはわかってるんだけどね」

 「!?」

破音はまるでよんでいたとでもいわんばありに『二個目』を投げる。紅夜はそれをなんとか聖剣で防御する。しかしその衝撃はトラックが衝突したなんてものではなかった。


もはや流星。


紅夜はそのままありえないほど吹っ飛びテロ現場付近へと一直線に消えていった。


 ###

この『救出劇』に渡は憤っていた。なぜこんなことをしなくてはいけないのか。なぜ救うのに傷つく人間がいるのか。なぜ自分の仲間が傷つかなくてはいけないのか。

そんな思考を取り去るようになにかが流星のごとき速度で飛来してきた。


 「!?」


渡は咄嗟に磁力などを操りそれを受け止める。その人物は昔共に戦った仲間、神崎紅夜だった。異常な速度で飛んできたがとくに目立った外傷はない。問題はなぜこんな速度でとんできたかだ。そんなことをできるのはあの男しかいない。


 「ハアト。なにもここまでする必要はないはずだ!」

 「ん?そう?お、そこにいんのは……!」


破音は倒れた神崎を見るとなにか呟き始めた。


 「……じゃまなやつは消えた。後は郡と」

 「お前だけか!!!」


にかぁ、と不気味に笑うとゆっくりと渡に近づきていた。


 「フヒヒ。そうかそうかあとはお前だけか」

 「ハアト?」


瞬間、破音は槍を出現させた。


 「よぉく、今まで頑張ってくれた。しかーし残念ながらお別れの時間だ」


躊躇なくそれを放つ。渡は焦りながらもギリギリで避けきる。そこで抱えていた紅夜がなんとかというおぼつきで口を開いた。


 「アイツは……お前を利用してただけだ……逃げろ……渡」

 「余計なこというな」


ゴッッッ!!!と黒い槍を放つ。なんとか逃げる。それが精一杯だった。紅夜を抱えたまま逃げるので精一杯だった。そこで破音の顔つきが変わった。


 「これじゃきりがないな。ここはこうすべきかにゃ?」


黒い槍の矛先を変える。その槍は倒れた神崎に向いていた。

終了です。死亡フラグや~んとかいったら鳴さんからのビンタがあります。

今日のプロフィールは姫ちゃんです。
やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

 姫川 詠里


14歳 ?月?日 身長158cm 体重42kg

AB型


好きなもの:かわいいもの 動物 笑顔  嫌いなもの:汚いもの お化け系 チャラい人

 特徴

ふわふわの髪がトレードマークの少女。バストはD。私服はほとんど所長と鳴が買ってくれたもの。夏休み明けから三条中学校2-4



 『完全制御』<<ソウルコントローる゙>>
 

詳細:もともとはレベル4thの能力。しかし他人の思い出などを自由にコピーできるようになってしまう。頭を見た人の全ての能力を使用できる。しかし精神系以外は相当のダメージがある。また、つかいかた次第では他人の脳にもコピーが可能。 現在はレベル5th。



 人物背景

幼少期から薬品と争奪戦の毎日をくらしていた。争奪戦のなかで「助ける」といった言葉いうものは多数いたが全員が薄っぺらい感情で世界に失望していた。何度も自殺しようとしたが自身の防衛本能 が働き能力が邪魔をして死にきれなかった。甲坂はここにつけ込み「ちゃんと仕事をしたら殺してやる」と本心でいい、当時腐っていた姫川はヒーローに見えた。しかしその後本物のヒーローが駆けつける。

現在はこのチカラを仲間のために使おうと誓っている。

乙です

>>306
今日も頑張るゼ

本日もスタートッ!


 ###

……俺は何をやってたんだっけ?体が全然動かない。あぁ、そうだ渡と戦ってたんだ。
そうだ、氷也があぶねぇんだ。……なんだ、これ?血?渡?

おい、渡なんでそんな顔で笑ってんだよ。

なんでそんな汗だくなんだよ。

なんで両目共赤い目なんだよ。



なんで……なんで……なんでッッッ!!!


お前の胸には穴があいてるんだよ……っ!


 ###


 「わた、る……?」


渡は神崎の方を向き腕を横に大きく広げまるでかばうようにそこに立っていた。視界に奥には怪訝な顔をした破音がいる。床に座り込んでいる神崎のもとにドサリ、と渡が倒れ込んできた。汗だくの渡を慌てて受け止めるとなにやらヌルりとした感触が神崎の手を襲った。


それは紛れもない渡の鮮血だった。


神崎がぽかんと口を開けていると渡が弱弱しくしかし一口一口しっかりと口を紡いだ。


 「ごめん、な。俺……何も、できなかったよ……」


神崎にも聞こえるかどうかのか細い声がゆっくりと紡がれてる。

 
 
 「『あの時』みんなで誓ったよな……誰も不幸にしないヒーローになるって」


 「なぁ、トオル。俺は」





 「ちゃんとヒーローになれたかな」




それ以上の言葉はなかった。言い切ったと同時に渡は目を閉じ地面へと力なく倒れこむ。渡は数秒も立たないうちに血の海に沈んでいく。美しい笑顔がみるみるうちに消えていく。


 「渡?嘘だろ……?」


神崎の目には溢れんばかりの涙が溜まっている。震える口で自分だけに聞こえる声で彼はこういった。


――自分のせいだ。
 

 「あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


叫びとも咆吼ともとれない悲しい声が辺りを包む。

その空気が気に入らないなか破音は無慈悲な顔で黒い槍を出現させている。しかしそれを静止する声が聞こえた。


 「そんなことさせるとでも思ってるんですか」


そこには氷也を先頭としたようやくジャックメンバーが立っていた。


 「炎波は透を。鳴と姫川さんはあの警官をお願いします」

 「お前はどうするんだ」

 「奴を食い止めます」


炎波は珍しく氷也の指示に従い神崎を肩に担ぐ。しかし肩に担がれた神崎はまるでだだをこねる子供のように暴れだした。


 「はなせッ!渡!渡ッ!」


いくらのばしても届くことのない手は空をきる。炎波は苦虫を潰したような顔でその場を立ち去っていく。


 「渡ッ!いかないで、渡ッ!渡ゥゥゥうううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!」


涙をとめどなくなく神崎を担ぎ炎波は遠くへと消えていく。鳴達もすでに行ったようだ。場に残った二人だけだ。


 「へぇ。お前は残るんだ。別に俺はそれが目的だからいいけどね」


珍しく殺気を放つ氷也は冷徹な声で呟いた。


 「別に誰かを殺したいとか日本を壊したいとかそんな小さい事情はどうでもいいんですよ」

 「もう沸点は超えてますんで……!」


そういった瞬間、氷也の体全体から霧のようなものが吹き出した。それはみるみるうちに辺りを包んでいく。その目は赤色に染まっていた。

今日は終了です。もうそろそろコメディ短編エピソード鳴ですけどなんかこういうのがいいってあったらお願いします。なかったら>>268の案を使います。
今日のプロフィールは氷也さん。ちょっと明日のネタバレになるかも


やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

 郡 氷也


14歳 12月24日 身長167cm 体重49kg

AB型


好きなもの:本 微糖コーヒー パソコン  嫌いなもの:子供 炎波

 特徴

誰にでも好印象であろう柔和な笑をいつも浮かべている。茶髪は自毛。スポーツ、勉強、人間関係どれをとってもトップレベル。

  『接触凍結』<<タッチフリーズ>>
 

詳細:肌に触れた物質を問答無用で凍らせる能力。レベル5th。また自身の体に薄い氷の膜を貼り攻撃を滑らせ避けることができる。

 『自然超越』<<ナチュラルオーバー>>

 『完全停止』<<パーフェクトストップ>>


詳細:自身が放った霧内を座標指定で凍らせる能力。座標に凍らせるので空中にとどめることができる。また、通常の凍結とは一部違う性質を持つ。能力使用時は両目が赤く染まる。

 人物背景

もともとレベル5thだったがあるとき自然超越が発動し、指先一つ動かすより簡単に殺人を犯せるようになった。それからは人と関わろうとせず人と距離をとるため敬語で話し続けていた。しかし炎波と出会い彼の世界は一変した。

ちなみに今も敬語なのはくせがどうしてもぬけないらしい。


更新する度に読んでる

謎の多い所長のプロフィールやっとくれ

>>315
おkです。いつも読んでいただきありがとうございます

今日も行くぜ。投下スタートッ!


その霧を見ても破音の表情は一切変わらない。むしろ楽しんでいるようだ。ニタニタと笑う破音の周りには霧が避けるように円を描いている。


 「さすがにこれだけで殺れるとはおもいませんけど」

 「フヒヒ。無駄話はよそうぜ。早速始めよう」


突如破音の両手に漆黒の槍が携えられる。氷也はただ立ち尽くすだけだ。


 「おいおい。そんな余裕でいいのかよぉ!?」


破音が思いっきり放った槍は後数メートルというところで透明の氷塊に防がれていた。


 (破戒される前にすぐに再生してんのか?ならッ!!)


破音が両手を前につき出すとそのやや前方に直径2cmほどの黒い球が発生した。未だ二つの槍を食い止める氷也へとそれらを放つ。さすがにこれだけの量を相手にするのは無理だろう。が、その予想は大きく外した。


巨大な氷の柱が地面から射出されたのだ。これは黒い球、そして槍すらも上空へと吹き飛ばした。


 「チッ」


破音は一旦体制を立て直す。その時氷の柱が変形した。バキバキバキッッッ!!といやな音を立てそれは全長50メートルの巨大な剣となる。それはゆっくりビルが崩壊するように破音のもとへと振り下ろされる。


 「……まだです」


砂塵が吹き荒れる中氷也はその爆心地へと突っ込む。瞬間、風を切るような音共にその中心の砂塵、そして氷剣はふき飛ばされる。破音はもちろん無傷だ。しかしその表情は完全に変わっていた。


 「ヤロォ……!!」

 「その程度でッ!この俺に勝てるとか思ってるわけねぇよなァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


破音が叫ぶと同時に破音の後ろに視界を埋め尽くさんとする大量の黒い球が現れる。


 「――ッ!」


氷也は唇を噛むと迷いなく走り始める。黒い球の津波が氷也を容赦なく襲う。



 「……あ?」


破音は柄にもなく間抜けな声を出していた。なぜなら今この瞬間異常な光景を見ているからだ。体感的には時が止まった。そう感じるほどの光景だった。完結にいうと黒い津波が止まっていたのだ。比喩ではなくそのままの意味で。


 「ま、まさか……!」


次の瞬間黒い津波が割れた。まるで『氷を叩き割ったように』
その奥には全力で走ってくる氷也が見える。それを見て破音は安堵した。もうこの男には攻撃を防ぐことしかできないんだなと。


 「ハ、ハハッ!そこまでだったなぁ!」


破音は3メートルという至近距離で黒い槍を放った。しかしその時氷也の顔には微かな笑があった。嫌な予感を拭き去るように氷也の左腕が消失した。その断面からは血が吹き出している。


いや、待てよ。

血が吹き出してる?この『霧内の物質を自由に凍結させそれを自由に変形させる』この男の血が。


まずい、と思っても遅かった。氷也はその3メートルという距離の中で自身の血を凍結させその形を変える。左肩からのびたような鮮血の刄は破音の心臓をえぐっていた。


信じられないものを見るような目で自身の胸を見るとドサリ、と汚い地面に倒れこむ。


 「な、んで。この、おれが……!?」


それだけ言うと破音は目を閉じ動かなくなった。氷也は能力を消す。目はいつもの色だ。血が流れぬよう氷で止血する氷也は息切れをしながら。その場を立ち去った。

エピソード#4は終了です。明日からはエピソード鳴です。時系列的にはエピソード#3.5です。

↓ではご希望通り所長プロフィール
やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

 篠宮 静


29歳 2月9日 身長175cm 体重59kg

A型


好きなもの:動物 嫌いなもの:人間

 特徴

いつもメガネをかけており髪は後ろに束ねている。ベージュのスーツをきているため傍から見るとキャリアウーマンに見える。

  『念動圧壁』<<サイコキネシス>>
 
詳細:直接触れなくても対象に圧力を与えることができる。レベル3th。いつも壁のようにして足止めなどをする。




 人物背景

両親とも闇の住人であり幼いころから闇ですごしてきた。いわば闇のサラブレッド。闇に育てられた性格は非常に残忍で人殺しには一切のためらいがない。かつてその姿を炎波に見られたとき炎波までもが引いていた。前までは上司からの命令に素直に応じていたが神崎達に出会い心を入れ替えた。

ジャックの創設者でもあり、ジャック本部の管理人でもある。一応ジャック全員の保護者。

乙です。

>>323
あじゃッ――あざっす。(噛んだ)

今日からは鳴が主人公のエピソード#鳴です。
それではスタートッ!


 エピソード#鳴


夏休みも後半に差し掛かり表向きは学生である私達は最強の敵と対峙していた。


――そう夏休みの宿題と!


始まりは姫川さんの「学校って宿題っていうのがあるんだよね」という無邪気な一言だった。しかしその言葉により事態は一変した。みんなダッシュで課題を持ってきて机に向かい出しペンをはしらせる。……よくありますよね。こういうこと。


ソファーに座りのんきにコーヒーをすするこの人は氷也さんです。勉強もスポーツもなんでもできる天才です。

あわわ、と慌てるこの娘は姫川さん。なんでもすっごい人だとか。やっぱり天才です。

10分程ペンを持つ手を止め焦るこの人は神崎さん。馬鹿でコミュ障でオタクですけど戦闘ではたよりになる天才です。

素行不良のバツとして通常の3倍の課題をこなすのは炎波さんです。女性大好きの変態です。


 「ものすごく失礼なモノローグが流れた気がするんだが」

 「気のせいです」


かくいう私、鳴も宿題に取り組んでいます。そこで炎波さんが妙なことを言い出した。


 「氷也は宿題ねぇのかよ!」


確かに。さっきからなにもしている様子はない。そこで氷也さんは驚愕の事実を口にした。



 「いや、先生が「お前宿題しても意味ねよなぁ」とかいってくれませんでした」


……え?なにそれ。


 「いやぁ。自分もしたかったんですけどねぇ。ホント残念です」


ニタニタと笑う(なんかテンションの高い)氷也さんのイラっとくる言葉を私は受け流す。そう、私はあと数学のプリントだけ。それを終わらせればこの地獄から脱することができるんだ。さて、やってしまおうじゃりませんか!最後の宿題<<エモノ>>をっ!


 「あれ?神崎さん、私の数学のプリント知りません?」

 「知らねぇ。学校に忘れたんじゃね?」

 「ええ!?困りますよ!」


まずい。今は夜。明日の朝にいってもいいんですけど、帰宅部が青春を謳歌する部活組に混ざるのはきつい。


 「あの……神崎さん?ちょっと一緒に夜の学校探検しません?」

 「お前とそういうホラー系に行くと腕が数本折れるからいや」

 「大丈夫です。一本で我慢しますから」

 「問題はそこじゃねぇ!!」


わがままな人だ。



 「結構おもしろそうじゃん」

そういったのは炎波さんだ。それと同時に姫川さんが手を挙げた。

 
 「私も学校、行ってみたいな」


そっか。姫川さんは学校行ったことないんだっけ。非常に慌てふためく神崎さんをよそに氷也さんも参加表明をした。私は拳を握ると大声を出す。


 「それじゃみんな夜の学校いくぞー!」

 「「「おー!」」」

 「おー……」


不服そうな顔をしながらもなんだかんだで神崎もついてくるのだった。

一人称てめっちゃ難しいですね。自分の作品のキャラがキャラ崩壊するという謎の現象がおきていてちょっと焦っています。

↓では紅夜のプロフィール
やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

 神崎 紅夜


16歳 9月18日 身長168cm 体重49kg

A型


好きなもの:アニメ 友達 ゲーム  嫌いなもの:勉強 エミ

 特徴

ニンジン色の髪を除けばどこにでもいそうな少年。IQ198を持つ。杏の家に居候している。 三条高校1-3

  『左手着火』<<レフトファイト>>
 

詳細:左手に炎をまとう能力。レベル1st。自然超越のリミッターのような役割もあるので目に見えるチカラ事態は小さい。しかしリミッターを応用し左手への衝撃を防ぐチカラもある。

 『自然超越』<<ナチュラルオーバー>>

  『世界絶滅』<<アルマゲドン>>


詳細:聖剣のような形で炎で作られている事自体が疑問に思えるほど美しい。感情によってその色を変える。その名のとおり世界を滅ぼしうるチカラを有する。今は発展途上中だが、完全に開花するとひと振りで地球の表面を抉りとり球状という形を変えることができる。まだ完全に開花してないので右目のみ赤色。

 人物背景

実験施設から逃げ出した後追っ手から逃げるため全員はぐれてしまった。公園で倒れているところを杏に救われ現在も一緒にくらしている。

今日も来ました。ケイです

本日も投下スタートッ!


 ###

黒い壁。飛び交うカラス。重々しい雰囲気の校門。これが私達の学――学校ですか、これ?


 「ななななんですか!?この地獄の要塞は!?」

 「夜になると影の関係でこうなるんだって」

 「そういうレベルか?これ」


カラスのかん高い声で私達の声は消えてしまいそうだ。そこで氷也さんが口を開いた。


 「そういえば、この学校には7不思議的なものがありましてね……」

 「やめて!氷也くん、それここで言わなきゃダメ!?」


姫川さんも涙目だ。よし、同士がいた。しかし、恐らくこの人も驚いたら神崎さんに飛びかかるだろう。いくら同士と言えどそこは譲れない。と、そんな事を考えていると神崎さんが重苦しいため息をして校門を開けた。ギィ、と音を立てながらゆっくりと道が広がっていく。


 「おら、さっさと行くぞ」


そそくさと神崎さんは歩いていく。それに続き男二人もスタスタと歩いて行った。炎波さんは何やらニヤニヤしながらこちらを向く。その顔を見ると姫川さんと私はダッシュで三人についていった。



――この時はまだ知らなかった。あんな悲劇が起きるとは……


 ###

真っ暗な廊下で私は神崎さんの袖を掴み歩調を合わせて歩いていく。炎波さん達もその後ろをついてきている。


 「つーか。お前の教室どこ?」
 
 「……」

 「おい?鳴?」

 「……」

 「目開けろ鳴!」

 「あひゃあ!?な、何!?」

 「はぁ……」


ヤバイ。絶対今「うわwwwこいつwwまじキモいんですけどwwwwwwwww」的な感じに思われた。仕方ないですよ。ほら姫川さんも怯えてますし、炎波さんだってきっと……!

あれ?


 「炎波さんは?」

 「そういえばいませんね。まぁ、死んでないでしょう」


ホント仲悪い。この二人。そんな会話をしていると遠くから聞こえた。


 『ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!』


炎波さんの悲鳴が。

終了です。クソッ……ギャグ系は台本形式に慣れてるからムズイ。まぁ、経験ということで。暖かい目で見守ってください。

プロフィールは杏だぜ
やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

 桜梨 杏


16歳 10月10日 身長162cm 体重44kg

B型


好きなもの:動物 紅夜 両親(仮) 嫌いなもの:両親(実)

 特徴

片方だけに髪を束ねた少女。一応アイドル。だがちょいちょいサボる。紅夜にベタ惚れでよく暴走する。三条高校1-3

  『本音共鳴』<<ハートボイス>>
 
詳細:自分の言葉を相手に全て本当と思わせる能力。レベル2nd。身内などを騙したり遅刻の言い訳に使用。紅夜には一回も使ったことがない。




 人物背景

幼いころに性的虐待を受けていたが、当時の先生に助けてもらい裁判の結果先生へと引き取られた。その後なんとか社会復帰したのだがやはり人間不信に陥っていた。そんな時紅夜に出会いその『ヒーロー』性に憧れ好意を寄せる。

たまーにヤンデレが垣間見える。

面白いよ

地文と台詞の間に二回改行、台詞の前に空白は読みやすくて良い
自分もSS書く時に参考にしたい

>>335
自分もなんかのssを見て真似ました。拙い文なんで読みやすくと思って。ss頑張ってください!!


今日も行くゼ!投下スタートッ!


 
 「「「「……」」」」

 「おい!?この学校やべぇぞ!?帰ろう!?」

 「被害がでる前に早く出たほうがいいですね」

 「最低ですか!あなた達!!」


まぁ。賛成だけど。そんな時私の携帯がなった。そこにはfrom炎波さんの文字が。


 「炎波さんからメールが来ました!」

 「なにぃ!?鳴、なんてかいてある!?」

 「えーと……」



from:日野 炎波
     
件名:
日付:20yy/m/d 22:40
───────────────
たsけてえ



 「「「……え?」」」

 「そういえば学園7不思議で、『一部の男子が悲鳴をあげて失踪しその後女性恐怖症になる』というのがありまして――ちょっと二人共拳を下げてください」


ホントこの人は空気を読まない。恐怖に包まれる暗い廊下に4人は立ち尽くすわけにもいかず私の教室へと向かう。





 ###


 「大丈夫ですかね。炎波さん」

 「アイツは大丈夫だろう」

 「問題はここに俺たちしかいないことだ」


そう、1-3がある二階についた時には既に二人の姿が消えていたのだ。光源は月明かりのみでその二人を見つけるのは至難の技だ。ということで私と神崎さんは先にプリントを取りに行こうと考えた。しかし、1-3の前には私達の天敵とも呼べる理科準備室がある。


 「あの教室嫌いです」

 「確かにな。あそこの責任者浜田先生だっけ?」


浜田先生。教師としてプライドがないと有名なダメ人間の鏡だ。

そして、理科準備室の前を通過する。その時――


 なぜか扉が開く音(ガラッ)

 人体模型が倒れてくる音(ボトッ)

 私がそれを踏み砕く音(ボゴォォォン!)


ふう、危ない。危うく驚いた拍子に神崎に右ストレートがとぶとこだった……。


 「……地面まで凹んでるぞ」

 「気にしません」

 「しろよ」

 


もはや、プラスチックの残骸となった何かを飛び越え1-3へと向かう。


 「ていうか、なんであれ出てきたんですか?」

 「さぁ?」

戦慄私をよそに神崎さんは教室へと向かう。



ようやく、教室につき扉を開こうと神崎さんが手をかけたところで、階段からバタバタッと、忙しなく走る音が聞こえる。もしかして。


 「姫川さーん?氷也さーん?」


あの二人かなと思い大声を出す。神崎さんもあの二人だと思っているようだ。しかし、帰ってきた返事は予想外のものだった。


 『ふひひひひひひひひひひひひ!』

 
 「「」」


あ、今の私の頭見ます?


 恐 恐 恐

 恐 恐 恐

 恐 恐 恐


 「……行こっか」

 「そうですね」


悟りを開いたような神崎さんと共に教室へと入る。


 「え~と。あった!」


よし!これで後、姫川さんと氷也さんを連れて帰るだけ。

うしっ。終了。なんか皆さん学校の怪談的なものあります?自分そういうのうとくて

プロフィールはエミだぜ
やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

 神崎 エミ


?歳 ?月?日 身長?cm 体重?kg

?型


好きなもの:イタズラ 渡 嫌いなもの:研究者 実験

 特徴

基本的には紫色の髪と服。髪型、服装などは自由に変更可能。電脳世界で生きる元人間。体がないのでデリートされてもかるく生きる。ほぼ不死身。どんな強固なサーバーだろうと文字通りチカラ技で突破する。

  『なし』<<>>
 
詳細:身体能力が存在しないためとくになし。強いて言うならば1と0の世界を自由にできる。




 人物背景

神崎達の一人。研究者達に不良品と呼ばれ精神を切り離す実験へと回され結果、電脳体に当てはめられた。ちなみに紅夜を襲った『紅夜』も同等の存在


今は紅夜の携帯に居候中。

>>340
怪談といえば七不思議だろJK

>>342
わすれてたぜ!!
試しに友達に怪談知らないって聞いたら


友達「またお前厨二病こじらせたのかよ……」

ケイ「ごめん……」


ちゃんとググったぜ(涙)


今日も投下スタートッ!


 ~~姫川サイド~~


暗い廊下に取り残された二人はとりあえず今からどうするか考えていた。


 「氷也くん、どうするの、これから?」

 「まぁ、とりあえず透と鳴を探さなくては」


……炎波はどうするのだろうか。

探すと言ってもまず現在地を特定しなくてはならない。辺りは真っ暗でよく見えず闇が広がるだけだ。と、思っていた廊下になにやら足音が聞こえてくる。それと同時に氷也の携帯がなった。


 「透く~ん?鳴ちゃ~ん?」

 「おっと透からですか」


姫川はその足音に対して確認をとる。氷也はそちらにも興味をわかせながら携帯を開いた。


差出人:神崎透
     
件名: 無題
日付:20yy/m/d 22:50
───────────────
一応用事終了。

いまどこ?てかどうしてる?



返信しようと氷也がメールをうってると姫川が小さな悲鳴をあげた。


 「ひっ……」

 「どうしました、姫川さ――」


そこまで言い切ると氷也は姫川を引っ張りそれから全力で逃げる。そう、歩く骸骨から。


 『ふひひひひひひひひひ』

 「なにあれぇぇぇ!?」

 「ちょっとやばいやつですけど大丈夫です。炎波レベルのきもさです」

 「きもいィィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」


ケラケラ笑う骸骨は田中星人ばりの動きで彼らを追いかける。


 ~~鳴サイド~~


 『『ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!』』


姫川さんと氷也さんの断末魔の叫び声を聞き、顔に縦線を入れる私達のもとに氷也さんから返信がきた。


差出人:郡 氷也
     
件名: Re:無題
日付:20yy/m/d 22:53
───────────────
骸骨から逃走中

ニコニコ動画で実況してるよwww


 「結構余裕ですね!!」

 「アイツ、ネラーの鏡だ……」


あえて口は挟むまい。

そんなことを言っていると、教室の外の廊下から足音が聞こえてきた。


 「ヤバイですよ!骸骨が来て、うわっ」


私が涙目で神崎さんに訴えていると、神崎さんが私の服を引っ張り教壇の下に隠れた。


 「(しばらくここに隠れよう)」

 「(おけーです)」


なんとか平静を保つが自分でも顔が赤いのがわかる。なんというか近い。


 (はわわ……!近いですよぉ。心臓の音聞こえてませんよね)


今時のバカップルでもこんなくっつかないだろう。抱きかかえられた形のまま神崎さんの顔を見る。


 (どうせ、なんとも思ってないんでしょうね。どうせなら(おわ!やべぇ、やべぇよ!妹キャラだからこそできるこのシチュエーション!)とか思えばいいのに)


一方無表情の神崎は


 (おわ!やべぇ、やべぇよ!妹キャラだからこそできるこのシチュエーション!ちょ、ギャルゲーでもねぇよ。)

 (頼む……ッ!俺の理性……ッ!)

終了です。神崎爆ぜてしまえ

下では熊谷のプロフィール!

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

 熊谷 豪


34歳 7月24日 身長189cm 体重74kg

O型


好きなもの:妻 娘(7歳) 子供 仲間 嫌いなもの:闇 娘をたぶらかす男

 特徴

大柄の体で髪は短く切っている。プロレスラーのような体つきでオレンジのタンクトップはぴちぴちになっている。表では高校の体育教師をしている。

  『分解錬成』<<トールメイク>> 
 
詳細:物質を原子レベルで分解し再構築することができる。発動条件は対象の物質に触れること。人間は不可能。




 人物背景

ある日娘が闇の事件に巻き込まれそれを殺人で救った。これの報復を防ぐため闇入りを志願。そこで出会った下里悠徒や泉葵などと共に仕事を行ってきた。

元バグのリーダーであり現在はジャック下部組織セカンドのリーダー。

今日も頑張って投下スタートッ!


互いに心臓を鳴らす中、突然教室のドアが開いた。私達はビクゥ!と体を震わせるとさらに息をひそめる。


 『……あの…か…子…』


何やら声が聞こえてきた。恐らく骸骨(!?)が喋っているのだろう。私は耳を澄ませる。


 『さっきの娘、マジでタイプだわ……!』

 「お化けならお化けらしくしろォォォおおおおおおおおおお!!」


しまったー。いつもの炎波さんのやり方で突っ込むでしまった。あぁ、私はこれから魔界とかに連れてかれるんだろうな。そしてそこでなんかエロいことされて最初は嫌がるけど最後は堕ちるという同人誌っぽい展開がまってるんだ。うわぁ、どうせ地獄には炎波さんしか来ないよぉ。


 「……(しくしく)」

 「どうした鳴!ってうわぁ!?何この人!?」


炎波さんも混ざるんだぁ。あのド変態に犯されるのかぁ。いやだなぁ。芸能界で言ったらノンスタイルの井上に犯されるぐらいやだよぉ。


 「鳴。この人誰?」

 「ふぇ?」


この『人』?


そこには20代後半ぐらいの男の人が立っていた。だらしなく灰色のスーツを着ている。なんというかイケメンなのにモテない、その例を見ているようだった。


 「神崎さん。この人誰ですか?」

 「さぁ」

 『ん?あぁ私?私の名はマークだ』


思いっきり日本人顔じゃん。


 「で、そのマークさんは何してるの?」

 『いやぁ。迷っちゃって』


どういう経路で中学校の二階に迷いこむのだろう。


 「マークさん。どうでもいいんですけどここ、骸骨が動くんですよね」

 『うそ!?そんなものがこの学校にいるの『ぎゃあああああ!!』いるんだな』


話しが早い。さっきの叫び声が近づいてきていることは忘れよう。


 ~~姫川サイド~~

 「あの骸骨いつまでおってくるの!」

 「いやぁ。閲覧数が半端ないですね」


全力疾走で逃げる姫川に対し氷也は後ろ向きに走り撮影を続ける。


 『ふひひひひひひひひひひひひひひひひ!!!!!!!!!!!!!!!!!』

 「いやぁぁぁあああああああああ!!!」


後ろ向きで走る氷也の足が何かにぶつかった。それに気づき姫川も足を止める。そこにあったのは。


 「」←顔のない人体模型

 「「……」」

 「「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!」」

終了です。
新キャラマーク。コメディ回に出してくよ☆

本日のプロフィールは葵

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

 泉 葵


28歳 1月2日 身長182cm 体重57kg

A型


好きなもの:動物 子供 仲間 嫌いなもの:闇 お化け 爬虫類

 特徴

腰まで長いポニーテールを携えたモデル体型の女性。普段はクールに振舞っているが結構女性的思考で可愛いもの好き。普段は幼稚園で働いている。そこには熊谷娘がおりあった時は恥ずかしさで死にかけたという伝説がある。その後下里がきた祭には蹴り飛ばした。

  『無稼動域』<<オーバージョイント>> 
 
詳細:関節を自由自在に曲げられる。レベル2。戦闘時は柔道技などの体技で戦う。咄嗟の回避も得意。




 人物背景

元彼がもともと闇の人間で引きずり込まれた。彼女は彼を恨みそして殺した。これではれて闇入りとなる。絶望していた頃熊谷に救出され現在に至る。

現在はセカンドの構成員として働く。

とりあえずオレの所長回を是非

>>356
いいですよ。でもまた今度になるかも。ていうか所長好きにびっくり。ちょっと今度キャラ投票でもしよっかな。

スタートなんだからねっ!


 ###

暗い教室にいる私達のもとにバタバタとうるさい足音が入ってきた。


 「ととととと透くん!骸骨がッ!」

 「閲覧数がこれまでにない数字を……ッ!?」


その二人を追うように例の骸骨が入ってきた。カタカタと不自然な動きがさらに恐怖心を煽る。


 「「「「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!?」」」」


四人は体をビクゥ!震わせ驚く。マークさんは興奮気味に「おぉ、これが生きる骸骨か!」と叫んでいる。私は反射的に骸骨に右ストレートを飛ばした「きもい!!」けど「グロイ!」なんともない様子でカタカタと糸に吊るされたように修復されていく。


 「逃げるぞ!!」


神崎さんの掛け声と共にみんな一斉に走り出す。もう早く帰りたい。何この学校!

教室を出たすぐ近くで私の足が止まった。何者かに足を掴まれたからだ。


 「」←鳴の右足を掴む人体模型の腕

 「すいませんでしたぁー!!」



あやまったところでこの右腕(ッ!?)は一行に離そうとしない。これが呪いってやつか……!

呪いの右腕を振り払おうとする。私に神崎さんと氷也さんが近づいてきた。神崎さんは仏のような目で私の肩に右手をポンッとのせる。


 「……古来から戦いというものは尽きなかった。そしてそれと共にたくさんの命が消えてったんだ」

 「しかし、その命は今の私達の生活に少なからず貢献しています。これは無駄な命などない、という証明なんです」


……は?何言ってるんだ?この人たち。


 「俺たちもこんなことしたくないんだ……!でも、でもッ!」

 「やめなさい、透。鳴に失礼です」

 「え、ちょ、なにいって」

 「ごめんな」


まさかこの人達……!


 「「さらばだっ!」」


それだけ言うと氷也さんと神崎さんは姫川さんを連れて逃走した。


 「裏切りものぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


私の断末魔の叫び声は狭い廊下で無残に響いていた。


 ###


なんとか右腕を踏み潰した私はなぜか逃げなかったマークさんと一緒に出口を目指していた。


 「もうそろそろですよ」

 『ふ~ん。私は別にどうでもいいけどな』

 「……そうですか」


見覚えのある廊下が見えてきた。私達が最初らへんにいたとこだ。ちょうど炎波さんとはぐれたところだ。そこに妙な影があった。


 「うぅ……」

 「ひぃッ!?」


地面に這い蹲るそれは。その正体は。


 「鳴……」

 「いやぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」



下着姿の炎波さんだった。


 ~~神崎サイド~~


神崎達が一応校門前にいると、マーク。そして顔を変形させた「すいませんでしたぁ……」炎波の首元を持ち引きずる鳴がやってきた。


 「おぉ、鳴大丈夫だったか」

 「いや、それよ「怪我はありませんか」あ、はい。だからあの時「ほれ水」ありがとうございます(ゴックン)私が言いたいの「汗ふけよ。はい、タオル」すいませ――ってうるさーい!」


二人はチッ……という表情をする。


 「あのー、鳴怒ってます?」

 「いえ」

 「そうですか、ならよかった」

 「でもまぁ。一個だけお願い聞いてもrっていいですか」

 「お、おう。いいぞ」

 「最近ストレスが溜まってまして」

 「サンドバッグ役お願いします」

 「「」」


あれでごまかそうとする二人にはようやく天罰が下った。


 ~~後日談~~

 
神崎「あの骸骨はまちゃんが作ったラジコンなんだって」

鳴「何ですか、その無駄な才能」

所長「私も見たかったなぁ。その骸骨」

姫川「やめたほうがいいよ」

炎波「なになに?みんなもなんかあったの?俺も大変だったよ」

神崎「どうしたんだ(棒読み)」

炎波「いやぁ。あの時女子更衣室に行ったんだけどさぁ」

鳴「前提から最低ですね」

炎波「そこでさぁ。暗闇から14ぐらいの女の人が出てきて『のぞいたなぁ……!?』て言ったんだよ」

炎波「そしたら意識がなくなって鳴にボコボコにされたんだよ」

炎波「流石にきつかったな、あれは。でも、そうかぁ。はまさんのラジコンか。あはは!――なんでそんな目で見るの?」

全員(((本物ー!?)))



鳴「そういやマークさんは?」

マーク『む?私はいつも君の近くにいるぞ』

終わりです。明日からは本編に入ります。>>356さん。この次になると思う。

ちょっと次回予告


 エピソード#5

神崎と自然超越をめぐる争いは一人の少年の死により幕を閉じた。表ではようやく学校も始まり新学期に突入――しかし神崎は欝で引きこもり、氷也は謎の失踪!?そんななか一人の生徒が暴走して!?

神崎、氷也の二人が不在の中、学校を舞台にした新たな戦いが今始まる!!


紅夜、この携帯の娘と私、どっちを選ぶの(怒)?by杏


プロフィールは下里さん。
やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

おっつおつ

 下里 悠徒


21歳 7月10日 身長183cm 体重60kg

B型


好きなもの:熊谷 葵 嫌いなもの:仕事

 特徴

大学生ぐらいの男でどこか気だるそうな雰囲気。髪は短く切っている。表では警察に勤務しスパイ活動を行う。熊谷に絶対従う。

  『火炎直球』<<フレイムストレート>> 
 
詳細:レベル3rd。手から数cmの距離で球状の炎を発生できる。大きさはピンポン玉ほどからバスケットボールほど。ただ、速さは本人が投げるスピードで変わる。




 人物背景

もともと警察にいた。しかし上司の身勝手な行動が闇に触れ巻き込まれた。その後は葵同様熊谷に救われた。闇の事件をいち早く察し取り締まることで驚異の実績を誇る。

熊谷には警察の動向を逐一連絡する。

>>365
ありがとうございます。今日も全力投球で頑張るゼ。

では早速投下スタートッ!


 エピソード#5


いつもの部屋ではなく借りた一軒家に神崎は滞在していた。あの事件の直後、所長から休暇を言い渡され、しばらくここにいることにしたのだ。

カーテンをしめた暗い寝室で神崎はミノムシのように布団にくるまり横になっていた。外からは登校中の学生の声ががやがやと響き続ける。そんな声を塞ぐようにさらに布団に潜る。一週間、ずっとこんな生活だ。たまにネットを開き逃げる生活。ただこんな生活を送っているというのに神崎の目の下にはものすごいくまができている。睡眠なんてとってないからだ。なぜならば蘇ってくるからだ。


まぶたを閉じれば鮮明に蘇るあの時の光景が。

夢を見れば生暖かい鮮血のあの感触が。

目をそらせば決して忘れることのないあの声が。


神崎は右手を見る。その時、あの光景が。あの感触が。あの声が蘇ってきた。


 『トオル。なんで君がそこにいるんだ』

 「ごめん……ごめん……!」

 『トオルのせいだ……トオルの……!』

 「あ、あぁ…あ…ぁ」


右手を震わせ小さな声で呟く。


――俺が殺したんだ。


 ###

学生が溢れかえる通学路。そこには半袖のカッターシャツをきた炎波とセーラー服を着た姫川と鳴が共に登校していた。しかしそこには本来いるはずの神崎と氷也がいなかった。神崎のことは所長から聞いた。だが、氷也は別だ。あの時から一切連絡がつかない。それ以来三人で仕事をこなしてきた。いつか帰ってくる。そう思ってすごすしかないのだ。

そんな心境の三人のもとに、元気な女の子の声が聞こえた。


 「はよーす!炎波!鳴ちゃん!」

 「おはよう。炎波、この娘誰?」

 「あ、どうも。沙織さん。綾乃さん」


沙織と呼ばれた体育会系の女子、大島沙織。髪は女子にしてはだいぶ短くボーイッシュな印象を与えられる女の子だ。

綾乃と呼ばれた文系の女子。その名は佐々野綾乃。セミロングの黒髪がおとなしさをより際立たせていた。二人友2-4組だ。

綾乃から名前を聞かれ姫川は答える。


 「こ、こんにちは!詠里って言います」

 「ほー。詠里ちゃんか」

 「透よりは言語がつうじるね」

 「どういう意味?」


姫川の質問に対し炎波が小馬鹿にした雰囲気で答える。


 「あいつ、コミュ障なんだよ」

 「あー……」

 「そういえば、氷也と透は?」

 「欠席だよ」

 「初日から?」

 「家庭の事情ってやつだよ。っていうか時間やばくね!?」


炎波がそういうと同時に全員が校門目指して走り出した。



 ###

一言でいうと不機嫌だった。


学校にくる途中、いや家でもずっとべったりくっつかれもはや人形のごとく扱われていた紅夜は「教室にはいったらストップ」という命令を出し杏の抱きつきを未然に防いだ。それまでなら、杏もそれまでなら許せたのだ。しかしあろうことか紅夜は携帯をいじりエミとの会話(に見えるエミの一方的なおしゃべり)を楽しんでいるではないか。


 「……」


周りには久しぶりの再会を嬉しがる『本当』の友達がいる。アイドルとしての杏ではなく桜梨杏として見てくれる友達が。しかしその友達達も、いやクラス全体が異変を感じ取っていた。というか杏が負のオーラを纏っているからなのだが。


 「(杏ちゃん、どうしたんだろう)」

 「(なんで紅夜の奴は携帯に叫んでいるんだ?)」


杏は不穏な空気をまといながら席を立ち紅夜に抱きつこうとする。しかし


 「まて、杏」

 「なに?」

 「なに?じゃねぇ。その体制はなんだ」

 「愛の確認的な」

 「はぁ」

 『おやおや~ww嫉妬って奴ですかwwまじうけ――はい、すいません』


杏はしっかりと紅夜を見つめそして。


 「私とエミちゃん。どっちが大事なの!?」


杏がそう叫んだ瞬間、ガタッー!と教室のドアが開く。『杏ファン倶楽部』の皆さんだ。明らかにむさい感じの男達が紅夜の襲いかかる。


 「「「紅夜殿ー!杏様になんてことをッ!!!」」」

 「だぁ!ちくしょう!なんで朝から……!」


紅夜は窓を跳びむさい男達から逃走する。バタバター!という足音が消えた頃には杏とエミが取り残されていた。


 ###

セミの鳴き声が鳴り響く中神崎はいつもの格好で外に出かける。ファッションなんて疎いがいつも黒いパーカーだけは着用していた。アイツに似合っていると言われたからだ。フードを深めにかぶり耳に黒いイヤホンを当てる。流れてきたのはボーカロイドの曲だ。しばらくは人の声を聞きたくない。


 「暑いな……」


近くの自販機に行くと紫色の炭酸を買う。歩きながらキャップを開けると冷たく刺激的な炭酸が音を立てた。それを一気に喉へと流し込む。


――そういやアイツは炭酸苦手って言ったっけ


水滴のついたボトルを右手に持ち、目的もなく歩く。大通りは人ごみに溢れ熱がそこらを支配していた。溢れかえる人混みに混ざると飲み終わったペットボトルを見知らぬ人のバッグへと入れ込み裏路地へと入っていく。そこには頭の悪そうな男達が3、4人程溜まっていた。


 「――」

 「――!?」

 「――!!」


何か叫んでいるようだがイヤホンを付ける神崎には届かない。痺れを切らした男の一人が神崎のイヤホンを乱暴に取り外した。フードをかぶった神崎の目が彼らを見据える。


 「ひっ!?」


フラリ、と神崎は体を揺らめかすと口を少しだけ動かしてこういった。


 「邪魔だ……」


能力すら使わなかった。

終了です。プロフィールが一通り終わったら人気投票でもしますか?

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

 神崎 渡


18歳 2月18日 身長176cm 体重52kg

A型


好きなもの:仲間 甘いもの 妹(故) 嫌いなもの:闇 炭酸

 特徴

黄金のような金髪と目を持った少年。神崎のリーダーとも呼べる人物。基本的には優しく仲間思い。

  『最高出力』<<ファーストボルト>> 
 
詳細:レベル5th。確認された中では歴史上最強の電撃使い。自由自在に稲妻を放つことができる。技術力も高いが透には及ばない。



 人物背景

孤児院で生活していたが実験体として引き取られた。地獄のような実験の中で孤児院で見たヒーローのようになると誓い神崎達を救う。その後は散り散りに別れたが神崎達の動向は伺っていたもよう。その後、破音にそそのかされ氷也殺害に向かう。しかし本当の計画を知った渡は神崎をかばい心臓に穴を明け死亡。この時、自然超越のチカラが発動していたもよう。これにより神崎に攻撃は届かなかった。

ちなみに神崎という苗字は『神』の『先(崎)』をいくもの、という意味。

うぃす。今日も投下!

スタートッ!


 ###

息を切らし、汗だくの炎波達が教室についたときにはもうホームルームが始まっていた。


 「ったく。遅いぞ!問題児達!」

 「テメェ、生徒を問題児扱いとはどういうことだこの野郎!!」

 「入学早々体育館半壊させた奴が何言ってんだ」


教室室が沈黙に包まれる。確かにこの問題児は体育の能力の実技で体育館をぶった切った男だ。その後も問題行動しかおこしてないのでフォローできるものなど誰もいない。沙織、綾乃は無言で席に座り姫川は教卓のほうへと行く。


 「おら、日野座れ。さっきも言ったとおり転校生が来てるから。自己紹介して」

 「あ、姫川詠里といいます。よろしくお願いします」

 「「「いぇーい!!!(パチパチ)」」」


主に男達が大歓声をあげる。なんというかテンションが高すぎる。沙織はつまらなそうにそれを見ている。別に姫川を妬んでいるわけではない。ただ、この男達の反応が気に食わないのだ。


 「はぁ~。これだからブサイクどもは……」

 「「「黙れ、脳筋」」」

 「なんだとオラァ!!」


姫川は顔を引きつらせそのやり取りを見ていた。


――これが学校かぁ……


 ###

ゆらゆらと揺れる陽炎が神崎を包む。時間帯のせいか辺りには誰もいない。神崎は目的地に到着した。


 「ここか……」


そこは白い壁に囲まれた研究所だ。扉の電子ロックを外すと強引に中に入っていく。そこはアルコールなどの匂いが混ざった廊下が長く長く続いていた。神崎はすぐに気づいた。アルコールの匂いの中に血の匂いが混ざっているのを。

まずは照明のスイッチに触れる。明かりを求めたわけではない。スイッチを通じて研究所全ての電気の流れを支配するためだ。使い道は至極簡単。高電圧を放出し研究所を物理的に消し去る。

光すらも消えた。そう感じる程のチカラだった。ある一部を除いて真っ黒に消えてしまっていた。その取り残された一部には『神崎』の名を持つ少女だ。彼女は気を失っているのか目を覚ます気配は一切ない。神崎はつまらなそうにその場を立ち去る。この行動には彼の意思などなかった。ならばなぜこのようなことを、と問われればこう答えるしかない。


ヒーローの受け継ぎと。


 ###

いろいろと集会が終わった後1-4は無駄に広い運動場へと向かった。脳力検査。夏休み中の成果が顕著の現れるこの検査は学生達にとっても大事なのだ。ということでいつものメンバーで検査に行く炎波、沙織、綾乃、姫川は担任の浜田を連れ運動場の中心に来ていた。浜田片手にストップウォッチを持つときっちり100M距離をとり大声で合図した。


 「よし、大島始めろ」

 「りょーかいっ!姫ちゃん見ててね。うちの実力!」


沙織は陸上選手のように身をかがめるとダッ!とスタートを切った。いや、性格には跳躍。砲弾のように飛んでいくとあっという間に浜田のいる位置よりやや前に着地した。


 「『脚力増加』<<レッグアップ>>?」

 「詠里ちゃん。よく知ってるね」


遠くでは沙織にレベル3th宣告する浜田先生の声が聞こえた。


 「次は佐々野か?」

 「あ、はい!行ってくるね詠里ちゃん」

 「うん」


沙織が立っていた位置へと綾乃が立つ。先ほどとは違い浜田先生は隣に立っている。


 「炎波くん、綾乃ちゃんの能力ってなんなの?」

 「んー。俺の天敵?」

 「よし、佐々野始め!」

 「とりゃ」


可愛らしい掛け声と共に前に突き出した両手から多量の水が噴出した。『多水放出』<<ウォータージェット>>。これが彼女の能力だ。綾乃はレベル2ndと言われがっくりしているようだ。次は二人の番。暗部で鍛えたチカラは並じゃない。


 「そんじゃ、行きますか」

 「う、うん」

プロフィールまだ誰か書いてないのいるっけ?

人気投票しますか?何度も聞くのはあれですよ。してもだれも書かないのが怖いんですよ。

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

>神崎という苗字は『神』の『先(崎)』をいくもの、という意味。
いい厨二っぷりだ

厨二好きだぜ

人気投票はやらない方が良い。まだ登場しただけのキャラ多いし、悲惨な結果になると思う。

でも炎波さん好きになった。

>>379
もう、ホント神崎達は厨二病なんですよ。ホント困っ――はい、すいません。俺でした。

>>380
わかりました。やりませんね。

今日も投下スタートッ!


 ###

音一つしないジャック本拠地に氷也は来ていた。あの事件以来、その日しのぎの生活をしていた彼にとっては安息の地である。誰もいないうちに荷物をまとめ、また逃亡生活しようと考える彼の耳に予想外の声が聞こえた。


 「氷也。お帰り」

 「……どうも」


暗闇から姿を現したのは所長だ。氷也は所長にも聞こえないような舌打ちをし会話を続ける。


 「どうされましたか?」

 「こっちのセリフだぞ。今までどこに行ってきた。なぜこのタイミングで帰ってきた。……いや、その前に聞くべきことがあるか」


所長は一度目を閉じそしてある一点を見つめる。


 「『なぜお前の左腕はないんだ』」

 「……」


氷也は押し黙る。いや、どちらかというと気迫で所長を黙らせようとも見える。しかし所長にはそんな無意味。話しを強引に続ける。


 「他にも聞きたい事は山ほどあるぞ?そうだな。次はこれを聞こうか。何故あの時君たちの戦いを写した監視カメラには赤い目の君がいる?」

 「あの時話していた『自然超越』とはなんだ。氷也に関係するのか?」


次々と繰り出される質問に氷也はようやく答える。


 「……この左腕は透を守るために負ったものです。暗部ではこの程度珍しくないでしょう?」

 「その他の質問は炎波が集めた資料から見ればわかりますよ」


それだけ言うと氷也は玄関へと向かう。これまで通り『一人で戦う』ために。


 「まて。まだ聞きたいことがある」

 「何故あの子達に会わない?」


氷也は至極当然と言った雰囲気でこう答える。


 「彼らをこの戦いに巻き込みたくないからですよ」


静かに扉を閉めどこかへといってしまった。所長には追えなかった。その行為が彼の信念をくだいてしまうような気がして。


 ###


 「おらァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!」


炎波の掛け声と共に振り下ろされた炎剣は目の前に置かれた分厚い鉄板を紙のように焼き切っていた。


 「今年もレベル4thだな」

 「マジっすか」


この学校でも数人しかいないレベル4thがこんな奴だと思うと胸が苦しくなる。そんな気持ちを抑え浜田先生は姫川のもとに向かった。


 「え~と。お前は精神系だったか?」

 「はい」


精神系の能力検査は無造作に選ばれた人間の掌握や心の読み取りなどだ。それらを姫川に伝えると浜田先生はスタートの合図を出す。次の瞬間、炎波、沙織、綾乃、浜田先生を除くグラウンドにいた人間全員がグンッ!とこちらを向く。無機質なその目はまるで精密に作られたロボットのようだった。


 「レ、レベル5thだ」

 「はい」


目の前で異常な光景を見せられた綾乃と沙織はこう思った。


――この娘は敵に回してはいけないッ!


 ###


能力検査も終わり、昼食となった学校ではそれぞれが思い思いの場所で食事をとっていた。炎波達は風通しのよい屋上(校則違反)で昼食をとっている。


 「姫ちゃん、あれすごかったね」

 「そ、そうかな」

 「おれは?おれは?」

 「あ~、うん。よかったんじゃない」

 「なんか俺だけドライ!?」

 
沙織は弁当の卵焼きを取り口にほうばる。


 「そういや、あの、バカ二人は?」

 「ん~休みだ」

 「何それ」

 「まぁまぁ沙織ちゃん。家庭の事情もあるし」


そこまで言ったところで炎波の携帯(校則違反)がなった。画面には所長と表示されている。みんなから少し距離をとると小声で電話にでた。


 「もしもし。どしたの?」

 『上から通告があった。学校に暗部が紛れ込んでいるらしい』

 「ハァ!?そんな大人みてねぇが」

 『いや、大分前から潜伏していたところを見ると生徒だろう』

 「そんなあやしいや――」


その言葉を遮るように耳を引き裂くような爆音が聞こえた。それを聞くと炎波の顔付きが変わった。


 「行ってくる」

 『あぁ。頼んだぞ』


まずはこいつらの避難だ、と炎波は行動を考えていった。


 
 「なに今の!?」

 「沙織ちゃん、詠里ちゃん大丈夫!?」

 「うん」


炎波は奥歯を噛むと彼女らに叫んだ。


 「沙織!綾乃!お前らはこっから落ちても死なねぇだろ」

 「ま、まぁ。そうだけど」

 「いいから、逃げろ!」


そう言うと炎波は二人の首根っこを掴み下にほおり投げた。後でなんと言われようと今ここにいるよりここから落ちたほうが安全だと判断した上での判断だ。しかし、炎波はずっと顔をしかめている。


 (あいつらナシでどこまで行ける?鳴がまずどこにいるか探さねぇと)


彼としては珍しく慌てていた。頼れる仲間が欠けているという事態に。

終了です。プロフィール欄が終わったから投下後コーナーがなくなったなぁ。

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


 ###

 
 「クソッ。どうすりゃいいんだァ!?」


屋上で慌てる炎波の耳には絶え間なく爆音が続く。姫川がよろめきながらもこちらに近づいてきた。


 「炎波くん。とりあえずみんなは避難してる。けど学校内に生徒じゃない反応がいっぱいあるよ」

 「わかった。じゃあ暴れていいんだな?」

 「うん、多分」

 「アハ☆そうか、そうか」

それをきくと炎波の目が変わった。これは仕事の時の目ではない。大量殺人を起こすときの狂気の目だ。何も言わず無言で下の階へと行く。その舌なめずりの音はえらく湿っぽくて悪寒がはしった。


 「楽しくなってきたなぁ……!」


それを間近で見、恐怖を感じていた姫川は信号を受け取った。そして鳴の教室がある2階へと意識を向ける。


 『フハッ!楽しいね。テロなんてしたことないけど』


……違う。


 『しっかし、人質はいらないんだな』


……違う。


 『姫川さんこっちです!』


いた!
姫川は目を閉じ意識だけの会話を行う。


 『鳴ちゃん、そっちは大丈夫?』

 『えぇ、まぁ。なんとか。相手は雑魚ばっかですけど人が多くて人海戦術って感じです。そちらは?』

 『屋上。今から私も行くけど、炎波くんが……』

 『いつものですか?』

 『うん』

 『とりあえず、熊谷さん達が来てくれるのを待ちましょう。所長が連絡してるでしょうし』

 『わかった。じゃあ頑張ってね』

 『そちらこそ』


そこでプツッと回線が切れる。下からは明らかに大人の悲鳴が聞こえる。炎波が暴れてるのだろう。


 (テロリストがカーテンを閉めててよかった)


そんな事を考えながら戦場へと走る。


 ###

避難した生徒は一旦自宅待機という処置を得て帰宅した。通報を受け来た警察はニンジン色の髪の少年、紅夜と翠、そして下里だ。目の前にある中学校は爆音が支配し、とても日本の光景とは思えない。しかし、闇の一端を掴んだ紅夜は苦虫を潰したような顔だ。


 (これは、あの時の。渡の時とおんなじ感じだ。もしかしたら失踪したとかいう仇に会えるかもしれねぇ)


校舎の中に行こうとしたところで一人の中年を見つけた。古びた白衣を着ているいかにも冴えない男だ。


 「あの、ここからは僕達がやりますんで」

 「いや、俺も手伝うよ。他の奴らは自分が可愛んだろうな。すぐ帰った。けど、俺は行くぞ」

 「部外者が来ていいところじゃないんで」

 「部外者?」


その言葉に中年は露骨に眉毛を動かす。


 「ふざけるな!あそこにはまだ俺の生徒がいる。バカと言われようが!問題児と言われようが!アイツは俺の生徒なんだよ!!」

 「なんで先生がそこまでする必要があるんですか!」


思わずと言った雰囲気で紅夜は叫ぶ。翠と下里はさして止めようともしない。その中年は、浜田先生は、躊躇なく言葉を紡ぐ。


 「そりゃぁ、あたり前だろうが!教師って仕事はただ子供に勉強を教えるためにいるんじゃねぇ!!子供達の未来をつくるのが教師だ!」

 「……!」


面喰らった紅夜の肩に手を乗せ下里は浜田に告げる。


 「まぁ、来てもいいけどさ」

 「死ぬなよ」


冷淡な声だった。闇を味わっているからこそ出せる声。一般人なら絶対に耳にしない声。しかし浜田はうろたえない。


 「わかってる」

 「よし、いこうか」


目を見開く紅夜を連れ下里は進む。その後ろを翠、そして浜田が続く。

その背中には何かを背負うものの風格があった。


 ###

黒いフードの少年、神崎透も三条中学校に来ていた。両手には一本ずつ大きな鉄釘を持っている。スイッチは入りっぱなし。電気が落ちた薄暗い廊下で青白い火花が彼を取り囲むようにはじけている。


 「おいおい、てめぇだれだぁ?チッ、依頼者さんは目的の野郎がいないって切れてるっつうのに。ちょっと暇つぶしさせてくれや」


武将ヒゲを携えた男が神崎に近づく。その距離2m。銃を向けたその男は勝ち誇ったような顔で引き金を引く。鮮血が舞う。壁に体が押し付けられている。しかし、それは決して神崎ではない。


 「あ、あぁ?なん、で?」


視認は愚か感覚すらない。いつの間にか『鉄釘が両手を貫き壁に突き刺さっていた』のだ。それはイエス・キリストとも受けてれたかもしれない。しかしその前にいるのは天使ではなく、殺意の塊。釘に全体重をかけ鉄棒にぶら下がるように顔をうつむかせている。顔は一切見えないしかいか細い声だけは聞こえた。


 「なぁ。この前さ。理科の実験でさ、ウインナーの端に釘をさして電気を流す、っていう実験をしたんだ。そしたらさ、負荷がかかったかなんかで焼けたんだよね」


全く理解できない。いや、本能的に理解しないだけか。そして次の瞬間狂気の言葉が発せられる。


 「ちょっと復習させてくれよ」


男が何か叫ぼうとしたがもう手遅れだった。高出力の電気が鉄釘をとおり流れ出す。みるみるうちに体が熱くなり皮膚が焦げていく。それだけではない。血液が沸騰していくのが直にわかる。喉は枯れ言葉も出ない。涙も出ない。いや、目も白濁とし人間としての形を失いつつある。最後には体の中央から縦にブチブチブチッッッ!と避けていく。命など確認する必要もない。


神崎は表情を変えず鉄釘を抜き、別の獲物を探す。

今日は終了。次は炎波や所長がでる予定

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

今日も行きます!

本編スタートッ!


 ###

グチャリ、と湿っぽい音共に肉塊は崩れ落ちる。鮮血が舞う教室にいるのは日野炎波。人殺しをストレス発散とする彼だが何故か爽快感は得られない。


 「あ~あぁ。ダメだダメだ。これじゃぜんっぜんダメだな」


不調と言った様子で炎波はため息をつく。狭い教室には大量の肉塊と血がコベリついてる。別の場所を向かおうと扉へ向かった炎波の目の前に突如人影が現れた。


 「!?」


その人影が立つ扉の隙間を潜り込むように飛び込む。廊下へとでた炎波はすぐさま後ろを振り返り改めて敵を確認する。


 「こんにちわぁ」


そこにいたのはおかっぱの地味な少女。彼女の制服のところどころは焦げ落ちている。炎波はこの人物に見覚えがある。あまり目立ったことはしてないが三年生の廊下で数回すれ違っている。しかし今はそんな地味な殻を破り殺し屋としての顔を覗かせる。


 「てめぇが首謀者ってことでいいのか?」

 「んにゃ。それは、言えないね!」


急に語気が強くなったのは彼女が能力を使用したからだ。モーションはない。ただ彼女が突き出した右手のひらから爆発が起きる。炎波はこれを打ち消すように炎剣をつき出す。しかしそれは全くの無駄に終わった。手のひらから発せられた放射状に飛ぶ爆発は炎波の炎剣を取り込むように打ち消したのだ。


 「ッがぁ……!?」


ノーガードとなった炎波を爆発の『衝撃波』が廊下の壁に叩きつける。肺から酸素が減少し目が眩む。それでもふらつきながらその場を立ち去る。しかし少女はそれを許さない。次は体全体を起爆させる。音だけで建物を揺らしそうな爆発は縦長の廊下を全て飲み込む。



 「ハハッ!その程度か!?火自体はきかねぇんだよ!!」


炎波は立ち込める煙から炎剣を横に動かす。これを彼女は脇腹の起爆により吹き飛ばす。炎波と同じ系統の能力だが相性が悪い。衝撃は喰らう炎波に対し彼女には炎剣は届かない。


 (ならっ!)



一切能力が関わらない横なぎの蹴りを放つ。彼女は全く動じず炎波の足を支えるように手を添えた。直後、その手のひらは起爆し炎波の片足を90度上に挙げる。


 「しまっ――!!」

 「残念ね。狂犬なんて呼ばれてるらしいけど。この程度ならもう死んだほうがいいわ」


空中で逆さになる炎波を横なぎの爆発によってできた衝撃波が襲う。体をくの字に曲げ勢いよく窓ガラスを割り4階から落下していく。死んだか、と思い割れた窓の外を見ると3階からショートカットの少女が飛び出し炎波をキャッチした。


 「ま、いっか。こっちは郡が出ればいいわけだし」


彼女はさしも気にしてないように廊下を歩く。その時目の前には一人の少年がいた。手にはスプレー缶が握られ二の腕には鉄線が巻きついている。


その少年の名は。

黒いフードをかぶった少年の名は。


 「神崎、透……ッ!?」

 「……」


 ###

所長は『政治家』の相良邸に来ていた。絵に書いたような豪邸でヨーロッパを連想させられた。大きな門の前には警備員が四人。正規ではない。明らかに暗部の匂いだ。


 「通してくれ。相良策士に会いたい」

 「許可できな」

警備員の声が途中で途切れたのは所長が心臓を性格に拳銃で貫いたからだ。


 「てめ、なにを!?」

 「時間がない。手短にな」


そう言うと所長は拳銃を構える男の手を取りダンスのように位置を入れ替える。その滑らかな動きに反し所長に『別の男が撃った銃の盾』した男の血が無様に舞う。それに激昂した銃で同僚を撃った男が殴りかかる。これも簡単に仕留める。まずは、拳を念動力で潰す。直後所長は念動力と力で男の肋骨を貫きながら心臓を潰す。残りの一人は後ろで震えながら引き金を引くが念動力で軽々しく受け止める。そして所長は上あごと下あごを握り破りきった。


 「こんなもんか」


手についた血をハンカチで拭うと相良邸へと侵入する。


するとふざけた拍手が前から聞こえてきた。相良だ。怪訝な顔をする所長を尻目に相良は話し始めた。


 「いやぁ。流石に庭を汚されたら出てきますよね?」

 「ふっ。生きていたのか」

 「いや、死にましたよ」

 「?」

 「自分は前は父親という相良をしてたんですがこっちに来いと命令がありましたので。ところでご用件は?」


あざ笑う相良に所長は真剣な声で告げる。


 「氷也を殺せ、と指示したのは貴様か?」

 「は?」

 「違うお前に言っているんじゃない『相良に聴いてるんだ』」


そう言うと相良の雰囲気が変わる。無機質な目と声。再生される声は相良のそれだ。


 『よく知ってますね』

 「貴様があいつらを学校に送ったのか」

 『えぇ』

 「何が目的だ」

 『あなたに教える必要はないので』

 「そうか」



所長は手を伸ばすと相良の頭を掴み握り潰した。無様に残った口が滑らかに声を出していく。


 『あなたには止められない。郡を失い、不調の姫川そして狂犬にもお嬢ちゃんにもどうしようもない』

 「そう思ってるならそれでいい」


今度こそ頭を踏み潰し絶命した。

終了です。なんとなく最終章に向かって伏線を貼って行きます。

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

炎波さんの戦い方にもうちょっとバリエーションが欲しい

>>398
あるっちゃあるんですけど、まだタイミングがね……

遅れました。本日も投下スタートッ!


 ###

コツ、コツと足音が響く。何故あの男がいるのかはわからないが殺るしかない。臨戦態勢となり彼女は身をかがめる。


 「おいおい。俺に勝てるとでも?」


報告に受けた神崎とは全く違った。性格は無理やり捻じ曲げたようにどこか違和感があるし、そもそもこの男は今謹慎中のはずだ。それでも殺す。こんなちんけな考えしか思い浮かばなかった。


 「当たり前でしょ」


右腕を前につき出し、手のひらに意識を向ける。起爆のサインだ。しかし神崎はそれに臆せず真っ白のスプレー缶に手をかける。


 「さっきの戦い見せてもらった。アンタは炎波の炎剣を爆発で打ち消すとこも」

 「炎波は火は喰らわないから防がない。けどアンタは防いだ」

 「何を言いたいかっていうと」


ひと呼吸置き彼女の弱点を告げる。


 「爆発自体はアンタも喰らうんだろ」

 「ッ!?」


弱点を突かれるがそれでも気丈に振舞う。


 「だ、だからなんだって……!」

 「まぁ、当たんないち意味はないからさ」


そう神崎は言うとスプレー缶をグシャり、と踏む。そこからは白い水蒸気のようなものが噴出してきた。



 「これは正真正銘水だ。電気分解すれば水素が。水素があれば爆発が」


その白い気体はみるみるうちに窓を締め切った廊下に充満していく。


 「そんな水素ばっかの空気中で火花なんて自殺行為だよなぁ?」

 「っ!」

驚いた顔をして反射的に手を引っ込める少女の懐に神崎は一瞬で踏み込む。そしてその拳は躊躇なく腹へと叩き込まれた。


 「あがっ!」


吐血した血が地に付く前に神崎はさらに横なぎの蹴りを入れる。軽いその体はあっという間に飛んでいき汚い廊下に落ちる。彼女はすぐさま立ち上がり衝撃波だけを体全身から放つ。放射状に放たれたそれは迫り来る壁のように神崎を襲う。神崎は大きく体を仰け反らせるがなんとか耐えきる。


 「はぁ、はぁ」

 「もう諦めろ」


それを聞いたボロボロの少女は嫌な笑みを浮かべ告げる。


 「諦める?アンタみたいになにも救えない奴に言われたくないね」


ピクっと神崎の眉が動く。


 「知ってるよ。神崎の戦いも。アンタが雷神を殺したのも」


心にトゲが刺さる。矛盾した言い訳に次々と傷を付ける少女はゆらゆらと立ちながらも圧倒的に優位に立っている。


 「そいつが何。ヒーローの真似?偽善者じゃない?なーに現実から目ぇ背けてんの」

 「ちゃんと見ろよ。ちゃんと言えよ」

 「神崎渡は俺が殺しましたってさぁ!」


震える唇がなんとか言葉を紡ぐ。


 「うるせぇ……」

 「あ、それとこの学校まだ姫川ちゃんがいるんだよね。場所もわかってる」

 「や、めろ」

 「聞こえなーい」


ふざけた調子で少女は言うと神崎の遥か後ろへと衝撃波を放った。小さな悲鳴が上がり神崎は恐る恐る後ろを振り向く。そこには壁に打ち付けられた姫川詠里がいた。神崎の体が小刻みに震える。



また。俺のチカラが無いせいで。

目を背けたから。でも嫌だ。もう見たくない。

どうすればいい?


 『トオルに何ができるの?』


俺には。俺には。何もできない。

……それならもういい。

何もいらない。大切なもの以外なら。


氷也や所長やセカンドのみんなや炎波や姫川や鳴以外なら。

もういらない。


……全部壊してやる。

敵も他人も渡でも全部壊してやるッ!!!




その時神崎のなかで何かが崩れ何かが生まれた。



 「あ?」


あまりの光景に言葉を失う。急に発狂したかと思うと神崎はいきなり静かになった。それ自体はまだわかる。しかし明らかに違うところがある。


紫電。


それが神崎を包むように帯電している。明らかに神崎の『最低出力』ではない。違う能力だ。確かに姫川という例外の多重能力者はいる。しかしそんなことができるのか。そんな思考を遮るように神崎の右腕へと紫電が集結していく。神崎が右腕を裏拳気味に振ると紫電がそれと共に伸びビームソードのような感じになっている。少女はなんとかジャンプして避けるが神崎の攻撃はそれを逃がさない。今まで直線だったビームソードは突如折れ曲がり少女の胸を貫いた。


 「かはっ!」


少女はあっけなく倒れる。あまりにも簡単に決着がついた。神崎の『最低出力』の他の何かが圧倒的なチカラを使って。


終わった。神崎の戦いは終わった。
もう渡の声は聞くことはなかった。


 ###


相良はパソコンに向かい今回の戦闘を解析していた。


 (神崎の新たなチカラ。『最低出力』が進化したのではなく、違う願いが出現したんですかね。これはスイッチを入れてある程度して使わないと姫川同様障害があるようですね)


そこまで考えると別のウィンドウを見る。


 (『郡氷也の作戦』も良好。明日には決行ですね)



相良はパタンと閉じると一人呟いた。


 「楽しみですね」



 ###


警察署にはアザだらけの浜田が紅夜と喋っていた。


 「いつもあんなんなのか?」

 「いや、多分違う何かだと思います」

 「まぁ、でも生き残っちまったなぁ」


闇に触れた一般人の末路は一つだけだ。

中途半端ですが明日はエピソード#6です。


 次回予告


北朝鮮。この国はくだらない理由によって半壊していた。


――郡氷也をおびき出すため。


赤い目をこすりあたりを見果たせば白炎の焼け野原。その中央には白髪の少女が立っていた。氷也をメインとした自然超越争奪戦が始まる。


黒いフードの少年は仲間と共に日本を駆ける……


やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

一つ報告です。少し前に所長の短編を、という方がいらっしゃったのですが所長は出しすぎるとあまりにも物語の確信に近づいてしまうので不用意に出せません。その代わりチラチラ出していきます。

ではエピソード#6スタートッ!


 
 『なんなんだ!あの女は!?』

 『早く逃げろ!死ぬぞ!!』


日本のやや離れた位置にある国、北朝鮮。この国は囮として、見せしめとして壊されかけていた。住人が怒号をあげながら逃げ惑うなか燃え盛る白炎の中心にはたった一人少女が立っていた。そこにはようやく軍隊と戦車が到着し攻撃を仕掛けようとしていた。


 『撃て!!』


鼓膜を破るほどの轟音が響くと同時に巨大な砲弾が発射される。その砲弾は他国からの侵略を食い止めるために、という建前で作られた『半径50Mをまるごと吹き飛ばす』ものだ。もちろん軍隊はこの事を知っている。が、そんなことは気に止めず撃った。その少女は鬱陶しそうに砲弾を直視する。次の瞬間、砲弾を飲み込むような白炎の火柱が天を貫いた。


 「もう、めんどくさいわね」


ヨーロッパ系の白い肌の少女、アリィーナ・ロレンツェはウェーブヘアーをかき揚げ『赤い目』で軍隊をチラッと一瞥する。


一撃必殺。


目を覆うように広がる白炎が消えてしまった頃にはもうそこには誰もいなかった。アリィーナ以外誰も。死体すら残さない業火を作った張本人はある少年を待っていた。


 「ヒョウヤ・コオリ。早く来いよ」


とある少年を。


 ###
病院の個室のテレビではある国が崩壊寸前と特別コーナーで特集していた。ベットに横たわるのは大きい隈をつけた少年、神崎透。少し前までは精神が不安定で欝になっていた。しかし今は無理にではあるが元気に振舞っている。


 「……」


白い扉が突然開く。最初は鳴かと思ったが全く違う人物だった。


 「よっ、透。久しぶり」

 「紅夜……!」


かつて共に戦った仲間だ。最近になり本当に久しぶりに再会したのだがちゃんと話す機会はなかった。


 「どうよ。調子は?」

 「まぁまぁかな」

 「そっか」


紅夜はベットの隣の丸い椅子に腰をかける。


 「今日はさ。見舞いに来たわけじゃないんだ」

 「渡のことか」

 「いや、その件についてはもう終わったことだ」


紅夜は慰めるように言う。しかし次の言葉はもう暖かくはなかった。


 「お前は今どこにいる?」

 「お前はなんで殺しなんてしてるんだ」

 「紅夜には関係ない」


神崎は即答する。しかし紅夜は食い下がった。


 「いいや。関係ある」

 「『ヒーロー』はどうした。渡の意思はどうなった」

 「うるさい」

 「お前は渡を忘れる気か!?」

 「うるさい!」

 「守りたくても守れなかった奴もいた。それでも俺たちは手の届く場所にいた。そんな俺たちが継がなくてどうする!?」


勢いよく神崎の胸ぐらを掴む。それでも神崎の目はぶれなかった。


 「うるさいッ!!お前に何がわかるッ!?」

 「わっかんねぇよ!!なんで渡を忘れなきゃいけない!?そんな必要はないはずだ!!」


その時またもや扉が開く。コンビニ袋を持った鳴だ。


 「神崎さん?」

 「……チッ」


紅夜は手を離すとすぐさま帰っていった。鳴は神崎の体を寝かせながら事情を聞く。



 「どうしたんですか?」

 「いいや、なんでもない。心配すんな」


鳴の胸には妙な焦燥感が生まれていた。


 ###

ジャック本部には炎波と所長がいた。炎波は氷也がいなくなってからここではソファーでずっと不貞寝をしている。


 「……」


所長は所長でずっと椅子に座っているだけだ。


 (どれだけ人を殺そうがやっぱり子供だな。人に言えないか)


そんなことを考える所長の携帯がなる。急いでそれにでると誰かもわからない声が携帯から聞こえてきた。


 『郡氷也。知っているな?コイツが今どこにいるか知りたいならここにこい』


ブツっと乱暴に切れた電話はどうしてもいたずらには見えない。それを後押しするようにメールで地図が送られてきた。そこに刺されているのは昨日所長が攻め落とした相良邸。


 「ちょっと出かけるぞ」

 「……俺も行く」

 「そうか。じゃあ姫川は熊谷達に任せて行くか」


眠そうな炎波は眠気覚ましにいつものストレス発散に行く。狂犬と呼ばれる彼は今日は何人、いや何十人殺すのだろうか。

>>356さん。所長出ますよ!(焦)

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

ちょっと遅れました。

本日もスタートッ!


 ###

日本海、海上。この海をスケートのように走る一人影とそれを包むように展開している霧があった。彼の左腕のあるべき部位には透明の氷の義手が付いている。目線の先、氷也が見据える土地はサイケデリックに染め上げられ戦争後の日本を連想させられた。


 「また、自分のせいで……!」


唇を噛み締め額の汗を拭う。距離はまだ数キロある。しかし氷也はもう臨戦態勢になっていた。目下最大の敵、アリィーナには距離など関係ない。『標的さえ見つければ』反撃可能な彼女に対し、氷也は攻撃圏内に入らないと戦えない。


 「急がない、と……!?」


氷也が何気なく呟いたその時氷也の頭上に白炎の大玉ができていた。


 「もう!?早すぎでしょう!」


海岸線の奥、視認するのも難しいほどの距離に微かにだが人影が見えた。

ギョッとする氷也を無視するようにその大玉は空気を飲み込みながら氷也の元へと落下してきた。なんとか海上を滑り逃げ切るが、攻撃はそれだけではない。まずは大玉が海上のスケートリンクを突き破り水に沈む。摂氏4000度の高熱の塊が一瞬で水を沸騰させ蒸発させた。


 (これで視界が奪えると思っているのなら好都合。相手はこちらが見えませんがこっちは霧をレーダーのように使えば攻撃は避けられます。この水蒸気を操りながら目くらましさせれば!!)


目を覆う程の水蒸気は拡散せずに不自然に氷也付近に留まる。


 ###

全く整備されていないゴミだらけの砂浜に白い肌の少女、アリィーナは髪をいじりながら遠くの海上を見ている。


 「あーあー。やられたわね。そうきたか」


沖合の方の多量の水蒸気を眺める。水蒸気の周辺の海は表面だけ氷付いていた。


 「まぁ。近づかせないのが定石かしら?」


そう言うとアリィーナは先ほどとは違い波打ち際を見る。そこからは突如20M程の白炎の柱が現れた。


 「じゃあ、頑張りなさいよ」


アリィーナはそこから徐々に水蒸気のある元に目を移動させた。それに連動するように白炎の柱は異常なスピードで海面を割りながら斬撃の如く直進した。


 ###

海面を滑りながら移動する氷也の耳に轟音が響いた。次の瞬間、視界を潰す高速の光の塊が氷也を襲う。


 「ッ!?」


氷也は横に跳びなんとか避ける。遠くに消えていく光が白炎の柱だとわかるのにはやや時間がかかった。それほどの攻撃。それほどのチカラ。氷ついた海上は二つに分断され、切り口付近からはまたもや水蒸気が吹き出していた。


 (これじゃだめですね。ならッ!!)


右手を天高く挙げる氷也を中心として氷の剣が数十本、空中に出現する。それは氷也が少女の方に右手を向けた瞬間、音速に誓いレベルで少女へと放たれた。確かに一瞬で制御範囲から出るが後は慣性のチカラで飛んでいくだけだ。しかしその攻撃は失敗に終わった。突如、氷也と少女の間に白炎の壁が生まれ、その剣を防いだからだ。


……氷也の顔には焦りなどは一切ない。むしろ作戦成功というように。むしろ好都合というように。


水蒸気がはれた海上にはギラギラと太陽の光が乱反射していた。

どうだったしょうか?最初から読み直すとなんか今の方が下手な気がする……

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


 ###


 「ありゃあ?殺しちゃったかしら。困難で死ぬなら興ざめね」

真っ白の霧が分かれていきアリィーナはあくびをしそうな顔で近くのゴミの山に腰掛けていた。乱反射する海を眺めながらおもむろに呟く。


 「サガラって男、なんでわざわざ私に以来したのかしら。ジャパンにもあれを倒せるなら何人かいるはずなのに」

 「まぁ。私が強くなれるなら全然いいけど」


そんなことを言っているとようやく水蒸気がはれてきた。アリィーナは目を赤い目を輝かせその奥を確認する。


 「来たわね!さぁ~てどうなってるの?死んでるわけじゃないわよねぇ!?」


余裕そうにアリィーナが叫ぶと海上にも変化があった。水蒸気の裂け目から氷也が現れた。


 「なっ!?どういうこと……?」


アリィーナが驚いたのは氷也が現れたことに対してではない。次々と水蒸気の裂け目から大量の氷也の姿が現れたのだ。


 (氷で分身を形作ったの!?ならば本物は一つしか動かないはず!!)


アリィーナはそう考えていた。しかし氷也達はそれをあっさり覆す。数十人の氷也は同時に、全く同じ動きでこちらに走ってきたのだ。



アリィーナはそれを見、驚きを隠せなかった。自分の考えをあっさり覆され次の一手を打ち込むことができなかった。


 「なんなの……!?」


その間にも氷也は着々と全身している。残り1キロ。この距離はあっても、ないようなものだ。なぜならばこの距離は。アリィーナがもっとも恐れていたこの距離は。


 「射程距離か……!」


そう呟いた直後、足元から徐々に白い霧へと包まれていった。アリィーナは周囲に白炎のオーラのようなものを展開し霧を近づかせないようにする。


 「その程度で逃げきれるとでも?」

 「しまっ――!」


その言葉を言い終わる前に果実を潰すような音と汚い砂浜を赤く染める鮮血が吹き出た。


 「音速……一個防ぎきれなかったわ……!」


アリィーナは臆せず白炎を横なぎに放つ。それにあたった氷也は陽炎のように揺らめくと何事もなかったように走り続ける。その後全員立ち止まり口を動かし始めた。


 「簡単なトリックです。氷の壁を作り光を鏡のように反射させる。たったこれだけですよ」


その音源は何故かひとつだけ。後ろからだった。

すいません時間なくて。ちょっと薄っぺらくなりました


心の悪魔「仕方ねえよ。先輩がうざくてイライラしてたんだろ?」


そうだが……言い訳にはならな――


心の天使「ぶっ殺しに行こうぜー!!」ヒィハー


貴様!?俺の天使はそんな感じか!

……ストレス発散という名の茶番終了です
やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

デュフフコポォwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

ケイ氏からは厨二病の香りがしますぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


誤字はわざとやっているのか?

>>422
貴様変態だな!?今俺の目の前にもい、る……(大きな鏡)

>>423
ホントすいません。完全に僕のミスです……仕方な(殴

本日もスタートッ!


 ###

北朝鮮にて激闘が行われている。同時刻。日本、相良邸では炎波と所長が二人の相良に囲まれていた。


 「あぁ?なんで二人?キモいな、コイツ殺していいか?」

 「待て待て。まずは情報が先だ。」


所長は炎波を押さえ込むように前に出ると相良達に問いかけた。


 「なぁ。氷也の居場所教えてくれないか」


この問に答える相良の挙動はどこかおかしかった。カクカクとした動きで口を開く。


 「マスター ノ 命令確認。 交換条件 同意 ナラ 承諾」

 「交換条件?」


ロボットのように答える無機質な瞳の相良の隣にいる同じような相良がこれに答える。


 「ヒメカワ ヨミリ。マタハ カンザキ トオル ヲ 引キ渡セバ コオリ ヒョウヤ ノ 場所 教エル」

 「そうか……」


所長は残念そうに言うと二人をしっかり見つめるとドギツイ声で冷淡に言った。


 「あいにくあの二人を渡す気はない。……炎波」

 「任せな」


全長1Mの燃え盛る炎剣が炎波の両手から吹き出した。対して相良達は表情を一切と変えず淡々と告げた。


 「二人 ハ 交換条件 ヲ 拒絶。 ヨッテ 殲滅 ヲ 余儀ナイ モノ ト シマス」


瞬間、轟ッ!!!と相良を中心に突風がうずまき始めた。もうひとりの相良は近くにあった大木を棍棒のように振り回している。



 「いやぁ。楽しいね。いつだってやっぱ掛金<<イノチ>>を賭ける戦いってのは」


にぱぁあ、と人間をバカにした笑みをこぼしゆっくりと炎波は歩き出す。黒いスーツがピチピチになるほど筋肉を増加させた相良は大きく大木を振り回し炎波を狙う。


 「殲滅 シマス」


ハンマーのように振り下ろされた大木が炎波を襲う。そのはずだった。次の瞬間大木は縦に引き裂かれ、軌道からそれていったのだ。


 「その程度かぁ?」

 「戦闘パターン 解析中。 シバラク ハ 攻撃 ヲ 受ケ流ス コト ヲ 優先 シマス」


ダンッ!と大きく相良は飛ぶ上がると周辺の電柱にしがみつき逃走しようとしていた。



所長は台風、とはいかないものの強い突風を念動力の壁で防いでいた。


 「……このままじゃジリ貧だな」


そう呟くと同時に念動力の壁をとき、代わりに自身の周りに展開する。見えない鎧をきた所長はその突風をものともせず相良の懐へと潜り込みアッパーカットを放つ。しかしそれは当たらない。相良がなにか呟いたと思うと相良の前身からジェットのように風が噴射し後ろへと下がったのだ。

所長は嫌なものを感じていた。それはこの回避行動に対してではない。その前に呟いた言葉だ。


 「戦闘パターン 解析完了。 コレヨリ 『同ジ 戦闘パターン ニテ 相討チ ヲ 目標 ト シマス』」


少なめですがこれで終了です。相良の口調めんどいんだけど後々のストーリーで生きる予定!一番めんどくさい口調は氷也ですね。


氷也「えっ」

炎波「~~~ッ」プクク


炎波は簡単ですね。DQNの知り合い(クソ)がこんな奴なんで。


炎波「」

神崎「……どんまい」

炎波「俺、強く生きるよ」


あ、こんな感じでキャラとの雑談も予定しています。なんか質問とか聞きたいこととかあればどうぞ

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

来ました!ケイです。

本日もスタートッ!


所長はその不安を払拭するように相良へと殴りかる。念動力をまとった拳は軽々しくコンクリートを突き破るほどの威力だ。当たれば体は原型は止めず吹き飛ぶだろう。しかし、それでも。所長の一撃を相良は喰らわない。いや、『強風が相良を中心に鎧のように吹き荒れて』いるからだ。


 「これは……ッ!」

 「……」


拳を突き出したまま呆然とする所長へと相良は構わずカウンターパンチを決める。……所長のように風の鎧をまとって。体全体に鈍痛がはしるがなんとか踏ん張る。


 「クソッ!」


所長は続けて右足でハイキックを放つ。それをもろともせず相良もハイキックを放つが所長もなんともないようだ。

優勢でもなく劣等でもなく、完全に互角。


 (私の戦闘パターンをコピーしたのか!?ならばッ!)


まだ見せてない戦闘パターンを繰り出す。相良のすぐ上に念動力のハンマーを形成し振り下ろす。地面が揺れるほどの轟音が轟く。ダメージはない。しかし相良の鎧がやや揺らぐ。その隙間が。その一瞬が。所長に勝利という二文字を与える。

一気に相良の懐まで踏み込むと鳩尾へと右ストレートを放つ。


 『がぁ……!』


不自然な動きをしながら相良は倒れすぐ動かなくなった。所長は黒い髪をかきあげると蔑むような目でそれを見る。


 「コピー程度で勝てるものか」

 「オリジナルを連れてこい。ぶっ潰してやる」


動作不良の人形はもう、答えない。


 ###

相良邸上空。炎波の立つ位置から10M程も高度。相良は全身の筋肉を使いスーパーボールのように飛び跳ねていた。地面についているのは1秒もない。ほとんど空中にいる。相良は空中で何気なく呟く。


 『空中 ニテ 反撃 ノ チャンス ヲ 待チマス』

 「安心しろ。そんな暇ねぇよ」

 『!?』


前方から不意にかけられた言葉に相良は驚愕する。ここは空中。しかも日野という男には空中に飛べる術はないはずだ。そんな思考を断ち切るように炎波のかかと落としが相良の顔面を捉える。


 『んぐッ』


地面に突き落とされた相良の肺からは空気が押し出される。胸を抑えのたうちまわる相良の腹を踏みつけるものがいた。両手から炎を噴射させる男、日野炎波だ。


 「どうだ。墜ちた気分は?」

 『何故……!?』


炎波は人を一番嘲笑う笑顔を作りそれに答える。


 「俺ってさぁ、一応10Mまで剣を伸ばせるんだ。けどこんとき反動が大きくてね、まともに使えない」

 「だからそれを利用した。『炎を噴射させてロケットみたいにブースターにした』ってわけ。いい発送でしょ?」


だからあの時足を使ったのだ。手はブースターにするために進行方向の逆にする必要があるからだ。相良は疑問を抱いていた。何故こんな博打をしたのか。



ではなく。


 『日野 炎波 ハ ソンナ 戦イ方 ハ シナイ……』

 「あぁ?知るか。んなもん。……でもまぁ」

 「守る殺しってのを知ったんだよ」


そう言うと炎波はゆっくりと相良の額に手を置く。直後、相良の顔が一瞬で消し飛んだ。

推敲したのにィ!発想ね!発想!!
うし……。あ、炎波の技意味分かりました?

下では息抜きで書いた奴です。よかったらドウゾ

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


マーク「第一回!ジャックの皆さんにきいてみました会~!」

全員「「「?」」」

鳴「どういうことですか?」

マーク「まぁお題出すんで答えろってことだな」

神崎「はぁ……」

マーク「本日のお題はこちらッ!」【一番モテそうなのはだれ!?】

姫川「氷也くんじゃない?なんでもできるし」

鳴「そういや今年のバレンタインもすごかったですよね」

氷也「ふっ」

炎波「おいおい。チョコで決めるなんてひどいぜ。なぁ、親友?」←2個(鳴と所長)

神崎「……だ、だよなぁ」←実は4個(鳴、所長、沙織、綾乃)

所長「姫川はどうなんだ?」

姫川「う~ん」

炎波「鳴とは決定的に(主に胸に)差があるもんな」

鳴「滅べ」

マーク「無難に氷也といったところか?」


神崎「あ、でも俺。体育とか家庭科でめっちゃ頼られる!」ノシ

炎波「あ~。お前そのへん得意だもんな」

姫川「無駄に家庭的だしね」

神崎「無駄、っすか……」orz

炎波「そんなこと言ったら俺だって――」

鳴「あ、そういえば神崎さん」

炎波「スルー!?」

鳴「うるさいクズ。――神崎さんって結構女子と喋ってますね」

氷也「むしろ女子の方が友達は多いですよね」

神崎「あー。男子はどっちかつーと戦友だもんな。(ボソッ)……覗きの」

鳴「なんか言いました?」

神崎「いいえ」

マーク「はい、それじゃ今までの答えを元に表にまとめました」バン


 1位 氷也

 2位 神崎

 3位 姫川

 4位 鳴

   ・

   ・

   ・

論外 炎波


氷也「やりました」グッ

神崎「ふ~ん」

姫川「あんまり考えたことなかったな」

鳴「このメンツ強いです……」

炎波「俺、論外!?ひどくないこの扱い!?」

鳴「何ですか、クズ」

クズ「……すんません」

マーク「以上第一回!ジャックの皆さんにきいてみました会でした~」パチパチ






神崎「こんなグダグダでいいの!?」

今日もきましたよ。ケイです

本日も張り切って投下スタートッ!


炎波は立ち上がると伸びをし所長に話しかける。


 「んで、氷也はどうすんだ?こいつらに聞けなくなったし」


顔のない死体の胴体を空き缶のように踏み潰していると所長は適当に答えた。


 「う~ん。どうしようかな」

 「考えてなかったのかよ」


炎波が盛大にため息をつく。その時所長の携帯がなった。


 「……お、熊谷か。どうした?」

 「……何!?神崎と鳴がいなくなった!?」



 ###


 「あの……神崎さん?」

 「ん?どうした」

 「いや、どうしたじゃなくてですね……まぁ、完結に言うと」

 「なんでこんなところにいるんですか!?」


鳴が驚くのも無理はない。神崎達がいたのは九州の福岡。鳴は神崎に言われるがまま連れてこられたのだ。それはほんの一時間前のことだった。


 ###

鳴は神崎の病室で思わず船をこいでいた。いかんいかんと首を振りベッドにいる神崎を見ようとするのだがそれはできなかった。なぜなら、神崎はそこにいなかったからだ。


 「あれ!?神崎さん!?」


ガタン、と椅子を倒しながら立ち上がると鳴は叫ぶ。鳴は胸に嫌なものを感じていた。何か大事なものがなくなるような。大切なものがなくなるあの少年が感じたような感情を。自分の尊敬する神崎という男は異色の才能と呼ばれ今までいくつもの悲劇を救ってきた。しかしそれを喜ばないものもいたはずだ。

もしもそんな者達が神崎を拐ったのだとしたら?

もしもそんな者達が神崎に殺意を抱いていたら?

鳴はいつの間にか病室を飛び出し走っていた。呼び止める看護師を押しのけ邪魔な患者は飛び越える。


 「神崎さん……!」


いつの間にか息も切れ切れになっている。鳴はそこで足を止めた。いつもと変わらないロビー。笑顔の患者。アルコールの匂い。並ぶ利用者。公衆電話にいる神崎。透明の自動ド――ん?


 「うんうん。さんきゅ。――あれ?鳴、起きたの?」

 「……」

 「え、なんでおこってんの?え?え?」


昼に時間帯。ロビーに響く少年の断末魔と少女の拳から奏でる轟音。


この光景は後に『病院の悪魔』として語り継がれていった。


 ###


 「で、誰に電話してたんですか?」

 「むぎゅは……」


病室に強制的に連れてこられた神崎の顔は肥大した大豆と化している。


 「なにいってんですか」

 「だから、相良だよ」

 「はぁ!?相良!?」


鳴もその男の驚異は所長から聞いていた。姫川を狙う黒幕。神崎達を作り出した張本人。とどのつまりはとんでもないクソ野郎ということだ。そして神崎はさらりとその男の名前を口にし、さらには連絡までとっているというのだ。


 「なんでまた相良と?」


神崎は当然のように答える。


 「俺は相良の計画の核にいるらしい」

 「この計画には数人核がいる。俺、紅夜、勝、氷也、そして姫川。あと一人いるらしいんだがコイツはアンノーンだ」

 「どんな計画かは知らねぇ。が壊しておくほうがいいだろ」

 「だから俺は核のとしての立場を使いこの計画を潰す。それのために今動いてんだ。……まぁ、見透かされてるだろうけど」


 「だから、こんなことを?」

 「あぁ。んでまた行かなくちゃなんだ」


神崎は立ち上がりまた行こうとする。鳴はそんな神崎の裾を掴みそして


 「一人で行かないでください」

 「……サンキュ」


終了でス。ちょっとずつ最終決戦へと進む……

あ、こんど短編で禁書の大覇星祭みたいなのしたいと思ってるんですけど。……どうっすか?



やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


やりたいようにやればいいと思うよ
頑張って盛り上げてくれ
期待してる

>>441
おkです。ご声援ありがとうございますっ

それでは早速スタートッ!


 ###

そんな青春ストーリーの直後、闇専用ジェット機通称『ヒカリ』に乗せられほんの数十分で九州まで連れてこられたのだ。鳴は未だ状況がつかめずあたふたしているが神崎はさして気にしてない様子で歩き始めた。鳴は半ば転びそうになりながら神崎についていく。


 「神崎さん?どこに行くんですか?」

 「相良を潰すには俺だけじゃ無理だ。できればこの計画に利用される奴らが仲間にできればいいなって思って」

 「で、九州に誰がいるんですか?」

 「あぁ。ここで待ち合わせしてんだけど……」


そんなことを言ってると一人の少年が手を大きく振りながらこちらに向かって走ってきた。


 「おーい!透的な感じか!」

 「よっ!勝。久しぶり」


神崎の名を持つ少年達はにこやかな笑顔でハイタッチをする。その後勝は鳴を発見するとおもちゃで遊ぶような笑みを作り話しかける。


 「おぉ?そこの人とはカップル的な?」

 「ち、違いますよっ!?」

 「まぁ。立ち話もあれだし、どっか行こうぜ」

 「いいねぇ。それ最高」

 「それじゃ行きます?」


三人は近くの喫茶店へと向かう。


 ###


 「あ、俺。バニラシェイク的なものお願い」


勝はウェイターにそう告げると丸いテーブルに座る二人の方を向きなおす。


 「んで、要件とは何かな?」

 「……お前が知らないわけねぇだろ」

 「……!やっぱ最高だね。透は」


鳴は会話に全くついていけないことを諦めたのか黙々と巨大パフェ『挑戦!全部のせ☆』と格闘している。一方勝は『かぶっていた猫』をいきなり剥がされるが特に慌てた様子はない。店員からバニラシェイクを受け取るとストローに口をつけながら神崎の話しを聞く。


 「計画に組み込まれたお前だからこそ頼みたいことがある」

 「相良の討伐的な?無理だよ。あんな金太郎飴」

 「お前のチカラを借りたい」

 「む~り~」

 「この日本が崩れるかもしれねぇんだぞ!?」


思わず声を荒げて神崎は叫ぶ。その声に鳴はおろか周辺の客も目を見開く。その叫びに対し勝は目を細め体を前のめりにし、いつになく真面目な口ぶりで答える。


 「……こっちだっていろいろ背負ってんだ。簡単に『居場所』は変えられねぇ」

 「江美。まだ探してんのか?」

 「あぁ」

 「そうか……。じゃあなおさらこっちに来い」


それの真意がわからず勝は首を傾げるが神崎は構わず続ける。


 「俺たち神崎は相良に作られたんだぞ?なら本人に聞くのが一番だろ」

 「……なるほどな」


勝は水色の頭の後ろに手を組み、椅子にもたれかかる。その光景を見ていた鳴は思わず呟く。


 「……やっぱり神崎さん達って似てますね」

 「急にKY的な発言は無しじゃない」

 「あわぁ……。すいません」


慌てる鳴を勝はイタズラな笑みで眺めている。


 「まぁな。そりゃあ体いじられていろいろ揃えられたからな」

 「髪の毛以外はほぼ同じだもんねぇ」

 「そうなんですか?」
 
 「あ、でも勝は例外だぞ」

 「へ?」


鳴が変な声を上げたのは勝を見たからだ。そこには勝の面影などなく忽然と姿を消していた。鳴が再び慌てていると先ほど勝がいた場所に突然勝が現れたのだ。


 「これが俺の能力。最高でしょ?」


『立体映像』使い方次第では見た目も変えられ姿も消せる。使用範囲には限りはなく周辺の景色までかえることができる。神崎や炎波とは違うベクトルの強さを誇るこのチカラは確実に今回の戦闘に役にたつだろう。

神崎は不意に立ち上がり二人に向けて言った。


 「ほら、時間ねぇんだ。行くぞ」

 「いいねぇ。最高だね」

 「はい」



 ###

ところ変わって北朝鮮。整備されていない砂浜には氷也とアリィーナが座っている。


 「なーんで、生かしっちゃったのかしら?」

 「別に。人殺しの趣味はないので」

 「あっそ」


アリィーナはそっけなく答える。あの戦闘は氷也が王手をかけそのまま終わらせてしまった。アリィーナにも思うところもあるのだが敗者はなにも言えない。


 「ところで」

 「ん?」

 「なんでこんなことをしたんですか?」

 「あ?あーサガラって男にね」

 「相良、ですか……」


氷也は顔を俯かせ呟く。


 「まぁ。でもいいや」

 「?」

 「私は楽しそうな方につく。サガラが善人だろうとヒョウヤが悪人だろうとね」

 「どういう意味ですか?」


アリィーナは今までにない笑みを作る。


 「アンタについてくよ」


終了でしゅ。それでは今日の愚痴を。(あ、不快な人は飛ばしてください)


リア充とご飯食べてる時……


ケイ「なぁ、最近どうよ」

リア充「彼女がさぁry」

ケイ「明日遊ばねぇ?」

リア充「いや明日は彼女がさぁry」

ケイ「」イラッ


――ここで怒るのは紳士たる俺的にはによくない(紳士。ここ重要)。そうだこういう時こそ奴らの出番だ!


悪魔・天使「「殺してしまえ」」


こいつら満場一致か。


あ、もちろん殺してませんよwスパムメールっぽいのを数十数送っただけで。

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

いぇい!来ましたよっと。無駄にハイテンションです。

今日も投下スタートッ!


 ###

神崎と鳴が失踪した。

そんな連絡を受けた所長と炎波の二人は一度ジャック本部へと帰還していた。そこには普通に神崎と鳴、そして水色の髪の少年がくつろいでいた。


 「やっと帰ってきた」

 「てめぇ……!どんだけ心配したと…!?」


そこまで言いかけ炎波は無駄だと思ったのか風呂場に向かった。神崎は所長の血だらけの姿を見て目を細める。


 「相良か?」

 「まぁな。心配ないぞ、しっかり倒してきた」

 「そっか」


神崎はホットしたのかソファに倒れこむ。最近神崎は仲間の怪我や体調異常に気にしている。やはりあの少年の死の影響だろうか。


 「そういえばこの子は?」

 「あ、神崎勝です。よろしく」

 「あ、あぁ」


無駄にフレンドリーな勝の態度に流石の所長も身じろぐ。しかし勝は全く気にしてない様子で辺りを見渡す。


 「そういや透。姫川って娘は?」

 「え?」

 「いないのか透」


所長は嫌な予感を感じながら熊谷の携帯に電話をする。それを神崎達は黙って見ていた。虚しく響くコール音が焦燥感をより一層引き立てる。ある程度待ったところで所長は携帯をポケットにしまい申し訳なさそうに言う。


 「……もうひと仕事だ」


神崎はすでに部屋を飛び出していた。


 ###

その少し前、路地裏の広場では熊谷を中心としたセカンドのメンバーはたったひとりの男の手によって壊滅寸前となっていた。確かに主戦力である下里はいない。しかしそんなものはハンデとは言えない程の人数差だ。今は瀕死寸前の葵と肩から血を流す熊谷と腰を抜かす姫川のみが戦場に立っている。いや、もうひとり。

スレーブの相良の中でも圧倒的地位にいる相良のうちの一人が立っている。


 「くっ……油断した……!」

 「もう諦めて姫川を差し出してください」

 「できませんね。そんなこと」


葵は傷だらけのままニヤリと無理に笑みを作る。相良はそれをゴミを見るような目で葵を見ると大きなため息をつく。瞬間正体不明の攻撃が葵を襲った。


 「葵……!?」


葵はスライムのような動きでもといた場所から数十メートルの位置まで吹き飛び、そして意識を失った。


 「……!?」


熊谷が呆気にとられていた隙に相良は姫川を捕獲していた。


 「もうゲームオーバーですね」

 「まだだ……!!」


熊谷はそう言うと地面を勢いよく殴りつける。瞬間熊谷のいる位置から相良の元にへと無数の槍が発射された。ドリルで削るような音と共に粉塵が舞う。しかしもうそこには相良も姫川もいなかった。


 『無茶はしないでください』

 「!?」


その言葉を聞いたと同時に熊谷はその場に倒れ込んだ。


 ###

同時刻、第三課メンバーも殲滅されていた。狙いは紅夜、そして相良の計画の核である翠だ。現状立っているのは翠のみで紅夜は自然超越を使うも相良の能力にねじ伏せられ気絶し下里も立てないでいた。


 「やはり創造主は違いますね」

 「ふん。私達の先祖は別にアンタを求めたわけじゃない」


相良の手には『かつて破音という少年が使用していた黒い物質』があった。相良はそれを躊躇なく放つ。これが当たれば死は確実だ。しかし相良は投げた。なぜならば。



佐山翠はそれを防ぐだだけのチカラがあるからだ。



翠が振るったチカラにより黒い槍は消し飛ぶ。代わりにそこにあったのは腕だ。翠の肩を突き破り不釣り合いに出てきた2Mの腕は黒い光沢を放っている。


 「流石に自分には勝てませんか」

 「でもまぁ自分ならどうですか?」


ゾワリ、と翠の背筋に嫌なものがはしる。その言葉が聞こえた方を見るとそこには。



本物の相良策士が微笑んでいた。

終了です。相良ばっかりwやっとやっと翠投入……!

やってほしい短編、もっとだして欲しいキャラ、このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


 ###

神崎達が路地裏に来た時には既に熊谷達の意識もなく、当然姫川も相良もそこにはいなかった。神崎は小さく舌打ちを熊谷の元に走っていった。


 「大丈夫か、熊谷!?」

 「……」


返事はない。隣では所長と炎波が複数人の男達を担いでいく。鳴もそれに習い葵を担いでいった。三人の顔には憂いと悲しみが含まれている。一方勝は辺りを見渡していたかと思うと急に神崎と熊谷を突き飛ばした。


 「うっ」

 「何すんだ!?まさ――」


そこまで言いかけた神崎はすぐさま状況を理解した。相良策士。クローンでもスレーブでもない本物。そんな男が虚空から姿を現したのだ。


 「逃げろ。透」

 「でも……!」

 「お前がここにいたら最高的な展開にはなんない。いいからいけ」

 「させるとでも?」


瞬間、相良がチカラを使用した。


それは神崎のトラウマのチカラ。

それは神崎の運命を大きく変えたチカラ。

神崎渡を殺したチカラだった。


相良の手には黒い槍が出現する。それだけで神崎の呼吸が荒くなる。いつの間にか汗も出ていた。神崎はえぐられた心を抑えるように胸を強く握り締める。


 「はぁ……はぁ……」


相良はそれを見ると作戦通りと言った体裁でほくそ笑む。そしてそれを発射した。――神崎ではなく勝にめがけて。

この状況をその場にいた所長、鳴、炎波。そして意識を取り戻しかけているセカンドメンバー全員があの時と無意識に重ね合わせてしまった。渡の心臓を貫いたあの時と。



 (まずい……!!!)


これが当たれば勝の命はおろか神崎の精神も崩壊するだろう。しかしここにはこの槍を止める術がない。



絶体絶命。



全員が目をつぶった。こんな悲劇を見ることなんてできない。死になれた炎波や所長でさえもほぼ反射的に目を閉じていた。

















































































……何も起きない。炎波達は恐る恐る目を開く。血は飛び散っていない。そもそも勝は死んでいない。死が足りない光景には他のものが混入していた。予想外の人物。いや、逆に相良がいるならいると判断するべきだったのだろうか。


 「ひめ……かわ……!?」


誰が呟いたのだろう。それすらもわからないほど混乱している。姫川は平然と相良の右手を掴み睨んでいた。いつもの姫川ではない。簡単なところからはその服。普段は鳴や所長と共に買った服を着るのだが、今はシックな黒いドレスをまとっている。

そしてもう一つはその目。今までにはない程の殺意がこもった目は相良をずっと睨んでいる。


 「手を出さない約束のはずだよ」

 「……わかってますよ」


神崎は嫌な予感を感じていた。そうこれは姫川と初めて会い、そして裏切られたあの時と同じ感情。姫川は相良から手を離すと神崎達のほうを見て優しく微笑んだ。


 「ごめんね。みんな。こんなことをして」

 「でも私決めたんだ。みんなをこんな闇から引きずり出すって」


神崎達は何も言えなかった。いや、『精神に鎖をかけられた』のだ。神崎は何か言おうとしているが言えないでいた。姫川は構わず続ける。


 「だからそのためにも。その願いのためにも」

 「私は一人で戦う」

 「……っ!?」


神崎は汗をぬぐい立ち上がり、そして『鎖』を引きちぎる。


 「ばか、野郎。そんな、ことして……」

 「いいの、もう。私は透くんが幸せなら」


そう言うと姫川は神崎達全員の精神に潜り込む。瞬間、全員に感電したかのような衝撃がはしった。


 「さよなら、透くん。私のことはもう『忘れて』……」

 「ひめっ、姫川ァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!」


薄れゆく意識の中、その少女の名を叫ぶ。ひどく切ない少女の笑顔が神崎の心に染みた。




神崎達の中から『姫川詠里』を消した。もう二度と彼女の名は呼べなかった。



めちゃくちゃ急展開ですがこれでエピソード#6は終了です。次からはエピソード#7です。ちょっと物語の都合上大覇星祭は書けませんでした。すいません。

おそれくエピソード#7で終了になるかと思います。
このキャラのプロフィールが欲しい、質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

はいどうも~ケイですっ!

では最終章、エピソード#7スタートッ!

おつかれ


  ???

とある夏の日、少年達は夢を見ていた。

長い長い幻想話しを。


思い出そうとしてもなかなか思い出せない。そんな遠い昔の夢。


しかし、少年達の見た夢は何かが足りない気がした。


    の存在だ。    の姿は思い出せない。    とは誰なのだろうか。


そもそも    は『本当にいたのだろうか』



……わからない



それなら探しに出よう。もう一度立ち上がろう。


それならもう一度だけ。もう一度だけ一緒に。




一緒に前に進もう。



 #エピソード7 終戦の始まり


目が覚めるとそこはジャック本部だった。いつもと変わらない。所長と炎波と鳴と神崎の4人。氷也は今どこにいるのかわからない。しかし氷也を除けば『全員』揃っていた。

神崎はソファから身を起こす。妙な頭痛がするが特に異常はない。


 「あ、やっと置きましたか」

 「……俺いつ寝たっけ?」

 「さぁ?私に聞かれても」


鳴は昼食を持ってきながら答える。


 「はい、どうぞ。今日はオムライスです!」

 「ん、さんきゅ。久しぶりだな。オムライス」

 「そうですね『甲坂部隊殲滅事件』以来ですね」


鳴と神崎はあの時を思い出す。神崎はスプーンでオムライスをすくいながら妙なことを言った。


 「なんであん時甲坂と戦ったんだっけ?」


それに答えたのは鳴ではなく所長だ。


 「なに言ってるんだ。テロリストである甲坂を未然に排除するというのがその時の依頼内容だ」

 「……そっか」


ここまできっぱり言われたのだが神崎は納得できなかった。確かに自分の記憶と所長の意見は一致しているのだが妙に納得いかない。教えられた答えが間違っているような。そんな憤り。

神崎は考えすぎかな、と特に気にもせずオムライスに手を付ける。その時炎波が妙なことを言った。


 「なぁ。なんで鳴の制服二着あんの?」


そう言って持ってきたのは三条中の女子の制服だ。確かに名札のついてない制服が余分にある。


 「さぁ?っていうか私の部屋入りました?」


全員特に気にもせずいつも通りの生活を続けた。




そう、いつも通りの。


 ###

日本空港ロビー。そこに彼らはいた。


かたや日本きっての天才、郡氷也。

かたやヨーロッパの秀才、アリィーナ・ロレンツェ。


この二人だけでもそのへんの小国ならば墜とすことができる戦力である。そんな最強二人はある計画を止めるべくある人物のもとへと向かっていた。


 「ねえ。飛行機の中で聞いた計画の目的ってありゃ本当?」

 「えぇ」

 「いやいやありえないでしょ。計画の中に絶対にありえない生物がいたよ?」

 「ありえないなんて、昔の人間からしたら自分達も同じですよ」

 「……あれとおなじか」


アリィーナはややショックを受けつつも氷也の隣を歩き続ける。氷也は右手に地図のようなものを持ちながら目的地へと進む。



自分がその計画に組み込まれていることは承知で。


 ###

暗い部屋。とある計画のために作られた研究所。そこに本物の相良と神崎達を追い詰めた相良A<<エース>>はいた。


 「どうですか、調子は?」

 「なんのことですかマス、ター……」


相良は怪訝な顔をする。自身の能力『複数存在』が崩れているからだ。相良Aはフラフラとよろめく。次の瞬間、相良Aの顔の半分が割れそこから別の顔が見えた。


 「あぁ!?フヒヒ、ざまぁねぇな、こりゃ」

 「やはりアナタ程になると相良に取り込むのは辛いですね。かといって自分で作ると弱いからだめですけど」


そう、相良Aは破音の体にを相良に取り込んだものだ。


――相良の能力の使い方は二つ。一つは自分で相良を作ること。しかしこれの能力は微弱だ二つ目は生きた人間をベースにして作ること。これはベースの能力が引き継がれるのだ。

普通なら相良に取り込まれるのだが破音は余程自我が強いのかまだ『破音』を保っている。


 「てめぇ、どうなるかわかるよな」


それを聞くと相良は嘲笑した。


 「アナタこそわかっているのですか?」

 「マスターに逆らうということを」


瞬間、相良の手から黒い槍が出現した。これが、マスターとしてのチカラ。破音の能力を。相良Aのチカラを使用しているのだ。破音はこれに反抗しようとするが不可能だった。そもそも体の自由すらない。


 「……っ!?」


相良は笑いながらその槍を消すと相良Aには目もくれず別の部屋へと向かった。


姫川のいる部屋へと。


 ###

杏は部屋でずっと待っていた。紅夜の帰りを。

警察の仕事だからといっても遅すぎる。そう考えていた時杏の携帯がなった。


 「誰だろ……」


杏はおもむろに電話にでた。


 「はいもしもし。……紅夜?」

 『ごめん、帰り遅くなる』


それだけ聞こえると乱暴に切れてしまった。しかし杏はなんとなくわかっていた。紅夜になにかあることを。

>>460
ありがとうございますっ!あとちょっとですけど頑張ります。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

てやっ!来たぜ

今日も張り切ってスタートッ!


 ###


 「あぁー寝みぃ」


炎波はソファの上で伸びをする。今日は無駄に殺伐としている。神崎は補習で学校に。鳴と所長はいつもの洋服店に。今までも確かにそれぞれで行動していた。しかし今のこの状況に炎波は違和感と焦燥感を感じていた。


 「はぁ……また一人ぼっちですか……」


炎波はあの頃を思い出す。闇に入るきっかけとなったあの日を。


 #闇は出会い変わる changechildren


肌に突き刺さる日差し。それを覆うようなビル群。休みのこんな日は観光客もたくさんいるだろう。


そんな都会の夏を悲劇が襲った。


大きな道路は赤黒い何かで覆い尽くされ鉄の匂いが包んでいた。電柱にも赤黒い蠢く何かがこびりついている。


 「はぁ……はぁ……アハハ」


そこに立つのはただひとりの少年。


――日野炎波だった。


 ###


 「なぁ、ここどこ?刑務所にはみえないケド」


炎波は自分の前にいるスーツの男に問うが答えない。炎波は年相応にいじけると狭い廊下の壁を蹴った。スーツの男は気にのせず、ただただ目的地へと向かう。炎波もその空気を読み取ったのか黙りこくった。

数十分後遂にスーツの男が口を開く。しかしそれはとても会話と言えるものではなくどちらかというと業務連絡といった感じだ。


 「豚箱よりも生臭い世界へようこそ、日野くん」


幼い炎波にはその意味がわからない。しかしスーツの男は淡々と告げる。


 「歓迎します。闇の世界へ」


そう言って男は執事のようjに半身をずらし手を向こうへと向けた。そこに広がっていたのは。


 「なんだ……コレ……!?」


――闇の世界だった。


 ###

どこかの研究所。それが何の目的にあって、何の得になるのかは炎波にはわからない。正直この世界の事もほとんどわからない。


 「がァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」

 「……っ!」


しかし『生きる』ために殺す。そう『あの時』のように。

この時点て炎波にわかっている事は一つだ。目の前のものを殺す。これだけでこの世界は生き延びれられる。例えそれが仲間であっても。

悲鳴が轟く研究所はほぼ壊滅していた。炎波はつまらなさそうな顔で研究所をでる。そこには例のスーツの男がいた。


 「やぁ。今日も絶好調だね?」

 「……」


炎波は一言も発さない。


――どうせこいつも裏切るんだ。


炎波は自嘲気味に笑うとハイタッチを求めた。スーツの男は意味も分からずその手に手を合わせてしまった。そう、炎が噴射するその手に。瞬間、男の手は消し飛び、その代わりに血が吹き出していた。


 「ぐがあァァァ!?」


男はたまらずしゃがみこむ。炎波はそれを無視しながらおもむろに歩いていく。目的地はない。どうせ闇が自分を拾うのだから。

少年の顔には闇特有の笑みしかなかった。

炎波過去編記念ッ!……なんてないけど


炎波「うぉい!?」


さてどうだったでしょうか。炎波の病気発症をしっかり書いていきたいと思います。
質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


ついに炎波さんがスポットを当てる時が来たか!

普段は透に美味しい所を持っていかれがちの炎波さんが、大活躍するに違いない

>>473
そうです!炎波回です。活躍するぞ……きっと

それではっ!スタートッ!


 ###


――今日もつまらない一日だった。

炎波はあくびをしながらコンビニに入る。


 「いらっしゃいませー」


気のないアルバイトの挨拶だ。炎波はそれにややいらだちながら目当てのモノの前に行く。ブラックコーヒーとカロリーメイトをカウンターに置くとアルバイトの店員が困った顔をしていた。


 「あの……ブラックでよろしいのでしょうか?」

 「……あぁ」


無愛想な返事を聞きアルバイトはせっせとビニール袋につめる。炎波はポケットに手を突っ込むと小銭を手に掴む。そしてそれをカウンターに置こうとしたその瞬間別の手が割り込んできた。


 「……?」

 「おごってやるよ」


大学生ぐらいだろうか。赤いジャージの青年が炎波の買う商品ぴったりの値段をカウンターに置いたのだ。炎波は不審に思いながらもその言葉に甘えた。店員は常時困惑していたがその二人はさして気にもせず会計を済ましコンビニを出ていった。


 「んで、アンタ誰?」


炎波は率直に聞く。コンビニを出てからずっとついてくる青年はおどけた風に挨拶をした。


 「んあ?俺はカズキ。『ビリーブ』って知ってる?そこの構成員」


炎波は内心焦っていた。なぜならこんなに早く闇が来るとは思わなかったからだ。辺りを歩く人間に悟られぬよう臨戦態勢となる。しかしそんな炎波とは裏腹にいやな笑みを作るカズキの口からは突飛な言葉が出てきた。


 「日野炎波クン。君をビリーブに歓迎しよう!」

 「……はぁ!?」




――日野炎波、12歳。彼が初めて心を寄せたのはカズキという青年だった。


 (アホクセェ……)


炎波がつれてこられたのは若者(笑)がよく使うようなカラオケボックスの一室だ。そこにいたのはネイルを塗る女性と柔道着の青年だった。


 「あれぇ?誰その子。まさか隠し子!?」

 「ちげぇし、キャバ嬢。おら挨拶しろ」


炎波はバンっ!と勢いよく背中を叩かれ前にでる。すると派手な女性が席を立ち炎波の目の前に立つ。


 「どうも……」

 「あら可愛いわ――」

 「隠しきれないシワが……!?」

 「張り倒すわよ」


いきなり亀裂が入りカズキは慌てたように二人の間に割ってはいる。


 「おいおい。これから仕事する仲間なんだから仲良くしろよ」

 「えぇー。この子とー」

 「わがまま言うな」


女性とカズキが言い合う中柔道着の青年が炎波を視線で呼んだ。


 「何?」

 「うるさいだろ。あいつら」

 「うん」


炎波は彼の隣に座る。そのソファは妙に柔らかくて気持ちよかった。一方、背負投で勝ちをもぎ取ったカズキは手でパンパンと場を静寂にする。


 「さーて。新メンバーが入ったところでちょっとした紹介でもしよっか」

 「俺はカズキ。レベル4thの精神系ね」

 「そっちのキャバ嬢はシオン。レベル2ndの風力系だ」


シオンは息を切らしながら軽く会釈をする。


 「んで、そっちの師匠は……あれ?名前なんだっけ?まぁ師匠でいいよ。レベル3rdの念動力系」

 「……ジョウだ」


師匠呼ばれた青年はうんざりしながら付け加える。


 
 「そんで、我らが新メンバー炎波クンっ!能力は知らないけど」

 「あ、『燃焼断斬』です。よろしくお願いします」

 「よろしくねぇ」

 「よろしく」


終始和気あいあいとしたカラオケボックス。ここには闇とは思えない優しさが蔓延していた。


 「なんだとぉ。カズキ、私だって彼氏ぐらいきっと……!」

 「はっ!ほざけキャバ嬢」

 「ぬう。師匠なんか行ってやれ!」

 「……彼女いない歴22年」

 「ブフゥーーー!?」

 「うわ、汚いし!」


いつの間にか炎波も笑っていた。ぬくもりを初めて感じた瞬間だった。

あんましばらくは戦闘はないかも。戦闘みたい人は言ってくださいね。何とかします。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

来ましたケイです。

さぁ今日もスタートッ!


 ###

夜の繁華街。ネオンが目につく人混みの中炎波とカズキは歩きながら駄弁っていた。


 「どうよ、どうよ?ビリーブは?」

 「……まぁまぁかな」

 「素直じゃないねぇ」

 「てめっ、何ニヤニヤしてんだ!?」


顔を真っ赤にした炎波の頭をカズキは撫でる。炎波はワナワナと吹き上がる何かを押さえ込みそっぽを向く。


 「……で、今回の仕事は?」

 「キャバクラ好きの社長の殺し」

 「ふ~ん」


炎波はめんどくさそうに手を頭の後ろに回す。


 「その人はなんの人?」

 「資産家。同業者が殺せ殺せうるさいんだよ」


そこで二人は足を止める。カズキは首をコキコキならし呟いた。


 「行くか」


 ###

やけに鼻につく香水の充満するキャバクラの入口が突然爆発した。


 「なんだ!?」

 「きゃあああ!!」


そこにいた全員が騒ぐ中、ただ一人平然に椅子に座る女性がいた。先に潜入していたシオンだ。


 「あらら。炎波ちゃんもやるわね」


適当に呟くと件の社長の姿を探す。しかし、キョロキョロ首を振りながら探すのだが未だに見つからない。シオンはカバンからタッチ式の携帯を取り出しカズキに繋いだ。


 「ねぇ。社長さん、いないんだけど」

 『はぁ!?何言ってんだ!?つかまえとけって言ったろ!』

 「ごめんごめん。まぁ頑張って探すから」


そう言うとシオンは通話をきる。シオンが顔を挙げる辺りが騒然となる中落ち着いたシオンは目立っているのか白い目で見る人間がちらほらいた。そのずっと奥。人混みに塗りつぶされそうな視界の中、件の社長がいた。


 「みーつけた」


瞬間、シオンはカバンからあるものを取り出した。発炎筒だ。煙はあっという間に建物内を埋め尽くし視界を奪っていく。シオンは風で煙に一線を描く。もちろんターゲットのもとに。


 「うわぁ!?」


ターゲットは情けない声で叫びどこかに行ってしまった。シオンはその光景を見て絶句する。


 「逃げやがった……!?」

ちょっと時間なくて今日はこれで終了です。あ、結局戦闘でした。


悪魔「そんな事もあるさ」


だよねぇ


天使「チッ……クズ野郎が……!」


貴様、本当に天使か!?

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

遅れましたケイです。

それではスタートッ!


 ###

小太りのターゲットは泣きながら店の裏口から猛獣のように逃走した。


 「ばう、はぁ……はぁ、何なんだアイツ……!?」

 「……俺の仲間だ」

 「――!?」


男が一人言を呟くと不意に後ろから声が聞こえた。男は反射的に振り向く。しかし、声の主はそれすらを許さない速度で男を投げ飛ばした。


 「ッ!?」


何をしたのかわからない。しかし突然視界がぶれ、気づいた時には壁に寄りかかっていた。体に力が入らない。状況がつかめない男はをしたいのかバタバタとその場でもがいている。男を高速で投げ飛ばした張本人、ジョウはゆっくりと男のもとに近づく。


 「俺はお前を殺さない」

 「なら、たすっ、たすけてっ」

 「ちゃんと伝えたからな。『俺は』お前を殺さないって」


思考がフリーズしているのか男には意味がわかなかった。今わかるのはこれだけ。柔道着の青年と入れ替わるように金髪の少年がやってきた。悪魔よりも醜悪な目の少年が。



 「アッーハッハッハァ!」


金髪の少年はとち狂ったように炎剣を肉塊に叩きつける。


 「楽しいなァ!?どうだよ、おっさん!自分の焼ける匂いはさ!無様に死ねよ、虫けらァ!!」


ニパァア、と不気味に広がる口には獲物を前にした猛獣のようによだれが溜まっている。瞬間、肉塊がもぞもぞと気味悪く蠢いた。


 「……もう、やめ…!?」

 「あァ?」

 「しに、たくな……」


炎波はその肉塊の言葉に吐き気を覚えた。別にグロテスクな光景をみたからではない。『こんなクズがまだ生きようとしているからだ』炎波はその攻撃の手を止めた。


 「そっか……」


読み取れない肉塊の表情はきっと今笑っていただろう。生きる希望を見出したからだ。しかし次の瞬間炎波の口から予想外の言葉がこぼれた。


 「『死にたくないんだな?』」

 「あ、あ、ぁ」


炎波は再び猛獣の口を開ける。


 「『死ななきゃいいんだろ?』」

 「ち、ちが、ばかや……!?」


男はこの時朦朧とする意識の中一つの事を悟った。


――もう自分は『死んで』いるんだと


地獄の審判が下る。生存確率は0%

終了です。最近時間に余裕がなくてちょっと少ないです。


質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

はい、どうも最近実況プレイ動画にはまっているケイです。

それでは炎波過去編の続きスタートッ!


 ###


 「やりすぎだろ!?」

 「はぁ!?なんで、どうせ殺すんだろ!?」


いつものカラオケボックスではカズキと炎波が言い争いをしていた。その内容は今回の仕事の始末についてだ。殺人狂、炎波が作り出した死体は誰がどう見てもやりすぎだ。そのせいか回収する人間がそれを見て仕事を拒んだのだ。結局、回収はジョウとシオンがやり、そして残りの二人はここで反省会をしている。

そもそもの元凶は特に悪びれることもなくカズキに反論している。


 「別にどう殺すかは俺の勝手だろ!」

 「ターゲットはお前のおもちゃじゃない!」

 「……!知るかッ!!」


炎波はカズキに怒鳴ると勢いよくドアを開け外に出ていった。それと入れ替わるようにシオンが部屋に入ってくる。状況を察したのかニヤニヤとカズキを見据える。


 「あらら、あの子泣きそうな顔してたわよ」

 「……言い過ぎかな?」


シオンはソファに腰掛けると携帯をいじりながら適当に返答した。


 「アナタがそう思うならそうなんじゃない?あの子の境遇をよく知ってるのはアナタだしぃ」

 「そう、だよな……」


カズキは悲しげな顔でドアを見つめていた。


 ###


夜の公園、辺りには子供の姿など当然いるわけなく代わりにバカップルが気持ち悪いほどうじゃうじゃいる。そんな公園の隅っこのベンチに炎波はうずくまっていた。そこで炎波はあることを思い出していた。



思い出していたのは、あの家族のことだ。小さなアパートの一室炎波は両親と暮らしていた。部屋には酒のビンや缶が散乱しタバコの匂いが妙に鼻につく。

そんな環境では幸せに生きていけなかった。

父親は常に暴力を振るい炎波を傷つけていた。母親は特に気にもせずただ淡々と暮らしている。いや、むしろ母親も炎波への暴力に手を染めていた。


 『やめて』


そんな言葉も枯れその理不尽な暴力を耐え続けた。親がいない学校でも炎波は浮いていた。無理やり親に染められた髪の毛。顔じゅうの青あざ。そして一つの噂が学校じゅうに広まっているからだ。


 『知ってるか?アイツの親人殺しらしいぜ』

 『うわ~。絶対関わりたくねぇ』


そんな心ない言葉に幼い炎波の心は簡単に崩れる。


――あの親はどれだけ自分を苦しめたら気が済むんだ。



崩れ去った炎波の心は確実に体を蝕み道連れにしていく。


自殺を考えたこともあった。

自殺をしようとしたこともあった。


しかし包丁を胸に突きつけたところで死ぬことはできなかった。父親が炎波を殴りそれを止めたからだ。父親として息子の命を守った。



……のではない。床にうずくまる炎波の髪を強引に掴み引き上げるとその父親はこういった。


 『お前が死んだら誰が借金返すんだよ』


炎波は答えない。そんな気力すらない。父親は炎波は人形のように投げ飛ばすと高笑いをした。炎波は異臭を放つ畳に這い蹲りながら『願った』


――こいつら殺してやる。


そんなある日炎波は両親に連れられ街に出ていった。親曰く「金を集める」らしい。何故それに炎波が連れられるのかはわかない。しかし一つだけ分かることがあった。恐らく自分は苦しむのだろう。

暗い顔をする炎波を街行く人は全員が驚いた。顔の半分があざに覆われているのだ。仕方ないだろう。両親はそんなことには気づかずニヤニヤと笑いながら目的地へと向かう。そんな彼らのもとに突然声をかけられた。


 『すいません。警察です。その子のあざはどうしたんでしょうか?』


父親は露骨に舌打ちをする。そして次の瞬間、警官の顔から異常な程汗が出てきた。しかし炎波の背ではうまく見えない。ただよく見えるのは父親が警官の腹に刃物を指しているということだ。


 『ったく。うるせーな』


そんな言葉とは裏腹に辺りからは絶叫がほとばしった。それを聞くと父親は顔をしかめ炎波の髪を掴み怒った。


 『オラ!お前のせいだろ!!』


あまりにも理不尽な言葉だった。どこにも炎波の否は見当たらない。



もうどこかで狂ってしまっていた。


愛情なんて俺は知らない。それが意味することさえも。


こんな親ならもういらない。



そうだ。

そうだいっそ。






もう殺してしまおうか。


次の瞬間、父親の頭は消し飛んでいた。右手からは炎が乱暴に吹き出している。絶叫する母親を見て炎波は小さく呟く。


 『……お前も、イラナイ』


次は下半身が消し飛んだ。それと同時に辺りからかん高い絶叫が響く。炎波はうっとおしいそうに振り向くと小さく口を動かした。


 『オマエラはドウデモイイ』


炎波は爆発するように跳躍すると次々に消し飛ばしていく。そこで炎波の目に映ったものがあった。学校で炎波を虐めていた生徒だ。生徒は炎波に睨まれると咄嗟に逃げようとする。しかしそんなことは意味なかった。炎波はすぐさま生徒の近くに行くポツリと呟いた。


 『オマエハコロス……!』


両手から吹き出る爆炎を叩きつける。


何度も


何度も


何度も


今までの悪夢を塗りつぶすように。


総死者132人。とある街で一人の少年が5分で殺した人数だった。

はい終了です。炎波、もう神崎、紅夜に並ぶ主人公レベルですね。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

はいはい来ました。

それでは早速スタートッ!


 ###

ベンチでうずくまる炎波の隣に誰かが座った。


 「……炎波、どうした?」

 「師匠……」


炎波は涙を拭い顔をあげる。ジョウは炎波に炭酸ジュースを手渡す。若干驚いた表情だったが、ひんやり冷たい缶ジュースを手に取るとプルタブを開けた。プシュッ、と小気味よい音と共に炭酸が抜けていく。炎波は炭酸ジュースを口にすると落ち着いたのかようやく口を開いた。


 「あのさ、やっぱり俺って異常なのかな?」

 「……そうだな」

 「……」


顔を俯かせる炎波の目にはうっすらと涙が溜まっている。


 「だがな」


ジョウは付け加える。


 「別にそれが悪いってわけじゃない。世間からはそれが異常と言われるかもしれないが、きっとそれはお前のためになる」

 「そうかな」


自身なさげにいう炎波にジョウは暖かい目で語る。


 「そうさ。だってそれがないと俺たちとも会えなあったろ?」

 「……うん」

 「それだけでも幸せだと思えよ」

 「……うん」


ジョウはまるで父親のように炎波をなだめる。炎波の手にはいつの間にか雫がいくつも溢れていた。



 「炎波ー!!」


突然、夜の公園に炎波を呼ぶ声が聞こえた。その声の主はカズキだ。どれだけ走ったのか体中に汗が吹き出ている。ようやく炎波達のもとに来ると息を切らしながら肩で呼吸する。


 「ゴホッ、ゴホッ。はぁ、やっと見つけた……!」

 「カズキ……!?なんで」


驚愕する炎波の肩に手を置くとカズキは当たり前のように告げる。


 「仲間の事だ。心配だったにきまってるだろ」

 「え?」

 「ん?どうした」

 「仲間?」

 「あぁ。そうだろ」


それを聞くと炎波の顔はみるみるうちに赤くなっていった。炎波は突き飛ばすようにカズキのもとから離れると何やらブツブツ言い始めた。


 「……仲間かぁ。えへ。えへへ」

 「おい、だいぶお前の顔キモいことになってんぞ」

 「うっさい!!」



 「おかえり。お揃いでまた」


カラオケボックスに帰宅した三人はとりあえず飲み物を頼むとソファに腰かけた。シオンはさっきのピリピリした雰囲気と一変したこの状況に疑問を感じていた。


 (あらら。もう仲直りなんて。兄弟みたいね)

 「なにニヤニヤしてんの。おばさん。ぶっ殺すよ?」

 「あァ!?こんの悪ガキ……!?」

 「まぁまぁ落ち着けよ。シオン。……事実だし(ボソッ)」

 「なんか言った!?」

 「いえ、まったく」


 ###

時間も遅くなり睡魔が襲ってきたところで全員一時帰宅となった。しかし炎波の帰る場所はない。

……ということで。


 「なんでカズキのマンションなんだ」

 「文句いうなら別んところ行け」

 「べーつーにー」


炎波はめんどくさそうにフローリングの床に寝そべる。無駄に綺麗な部屋の台所でカズキは料理を作っている。


 「行きたいならシオンのとこ行けばイイだろー」

 「えーおばさんかよ」

 「アイツHカップだぞ」

 「……」

 「……お前、鼻血だすほど嬉しいのか」

 「バカな!?」


何故シオンの胸のサイズをカズキが知っているのだろうか……?

炎波は近くにあったティッシュを鼻に詰め、調理中のカズキのもとに向かう。フライパンを振るカズキの後ろに着くと裾を引っ張り尋ねる。


 「何作ってんの?」

 「ハンバーグ」

 「ハン、バーグ……?」

 「お前、国民的第人気料理HAN☆BA-GUを知らないのか!?」


炎波は小首をかしげる。それを見るとカズキはニヤリとほくそ笑むと適当なことを言い始めた。



 「じゃあ、あれだろ。オムライスも知らないんだろ」

 「なんだそれ!?ライスの上になんかあるぞ!?オムってなんだ?」


カズキは指をピン、と突き上げると得意げに語る。


 「オムって言うのはΩっつー意味でな数学的方法で作られてんだ」

 「なにィ!?じゃあ、とんかつってのはなんだ?」

 「豚の生かし揚げだ!」

 「結構グロイ!?」


こうして炎波には非常識な知識が植えつけられ、カズキと似て女好きになっていった。




ちなみに後日カズキはシオンにぶん殴られた。

炎波が家庭料理を知らない理由は母親に作られないという結構重い理由です。あとオムライスは自分の好きなものでちょいちょいでます。うまいよね、あれ。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

乙です

>>503
どうもです。久しぶりのレスでちょっとびっくりしました。よかった、一人じゃなくて。

それじゃ今日も投下スタートッ!


 ###

暗闇に包まれた部屋。どこかのマンションの一室にその人物はいた。肩手には携帯を持ち誰かと連絡をとっている。


 「えぇ。作戦は順調です。……はい、ご心配なく。相良さんのご期待に答えてみせます。……はい、失礼します」


短い通話の後、彼は携帯をパタンと閉じる。そのままその人物は感情を抑えきれず高笑いをした。


 「クハッーハッ!!いやぁ、簡単だな。人を騙すって」


 ###

いつものカラオケボックス。何度ここに来ただろうか。カズキにあったあの日から依頼をこなしつつ、ここで温もりを感じている。そんな毎日を炎波は送っていた。


 「炎波。カズキは?」

 「あぁ、依頼の確認だって」

 「そう」


シオンはそれだけ言うと朝からワインを飲む。そんな光景も何度もみて諦めた平和な光景だ。炎波とジョウは目を見合わせると呆れた顔をする。そんな時突然ジョウの携帯がなった。ジョウがポケットから取り出した携帯を炎波は覗き込む。


 「んん?だれ?」

 「……カズキか?」


そう呟くとジョウは通話ボタンを押し耳に当てた。

 
 「もしもし。俺だ。どうした?」

 『ジョウ!!逃げろ!』

 「どうした!?」


炎波の位置からも聞こえるほどの大声が携帯から発せられた。それにジョウは何かを察し問う。そしてカズキから衝撃の返答が帰ってくる。


 『そこのカラオケボックス。暗部に狙われてる!!』


カズキがそう言った次の瞬間、狭い個室の壁が勢いよく崩れた。そこにいたのは、明らかに闇の人間だった。髪は汚く茶色に染め上げられているがその男がもつオーラはその辺にいるチンピラとはかけ離れていた。


 「あんたらがビリーブであってんだよな?」

 「……だったら?」

 「おいおい、言わなきゃわかんねぇってほどの頭なのかよ?」


ダンッ!と男は一歩踏み込むとシオンの胸ぐらを掴みジョウに投げつけた。


 「アグッ!?」

 「シオン!?」


そんな光景には目もくれず、男は余裕そうに手を広げる。それはまるで自分の家に客を招待するような、そんな感覚だった。


 「ようこそ、俺の世界へ。クズの皆さん。あんたらはこの俺、天野フミヤが片付けてやるよ」


その顔には不安なんてものは一切なく子供を見るような、嘲笑う目しかなかった。


ジョウは呻くシオンを炎波に預けると一歩前に出た。


 「シオンを連れて逃げろ」

 「でも……師匠は?」

 「食い止める」


無茶だ。炎波はそう思った。コイツは明らかにヤバイ。自分達とは格が違う。直感的に感じた炎波はそう思ってしまったのだ。

それでも、ジョウは動かなかった。別に勝てると思っているわけではない。炎波同様各の違いはわかっている。それでも関係ない。関係ないのだ。いくら殺されると思っていてもここは譲れない。


 「炎波。行け」

 「嫌だ。俺も戦う」


子供のように炎波はジョウの裾を掴む。しかしジョウはその手を振り払った。


 「いいから行け……!!」


そう言うとジョウはシオンと炎波を窓から遠くにほおり投げた。それを黙って見ていた天野は軽く口笛を吹いた。


 「ふ~ん。すごいねぇ。男の意地ってやつ?」

 「うるさい」

 「ちぇ。そっかまぁいいや。ここで殺すからな」


口はしを釣り上げながら天野は手に衝撃波の塊を生み出す。


 「さぁ。死ねよ」

 「……ごめんな。炎波」


直後綺麗な鮮血が飛び散った。


 ###

炎波とシオンが墜落したのはカラオケボックスから100Mほどの位置にある公園の砂場だ。朝も早いせいか辺りには人一人もいない。炎波は咳き込みながらもシオンの安否を確認した。


 「シオン!?大丈夫か……!?」

 「ま、まぁ。なんとか」


シオンは自嘲気味に笑う。そんな彼女の体には汗がびっしょりと吹き出ていた。恐らくさっきの天野の攻撃と今回の緊急回避でダメージが堆積していたのだろう。


 「ホント大丈夫?」

 「大丈夫、大丈夫。ほら師匠が作った時間だ。早く逃げよう」

 「でも師匠はどうすんの?」

 「大丈夫よ。アイツならきっと」


二人は立ち上がり路地裏へと消えた。

今日はこれで終了です。そういやいつの間にか500越えです。はくしゅっ(パチパチ)

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

乙です

>>510
どうもですm(._.)m

今日はちょっとパソコンが調子悪いです。っていうか無線LANが調子悪いです。ということで今日は投下できませんのでご了承ください

昨日はすいませんでした。今日は大丈夫です!

それでは投下スタートッ!


 ###


周囲の人間の事を考えてとりあえず場所を移動した二人だがやはりシオンは限界のようだ。もともと能力を使っての暗殺などの部員ではなく、ターゲットの素性や性格を潜入して調べるいわゆる諜報部員を担当するシオンには、これだけの戦闘は堪えるのだろう。炎波は肩を貸しながら路地裏を進む。


 (クソッ。師匠も助けたいのに……!つーかカズキはどこ行きやがった!?)


携帯にかけても出ない。音沙汰なしのカズキに悪態を付きつつゆっくりと歩いていく。隣では、絶え間なく呼吸するシオンが不安そうに炎波を見ている。


 「炎波……私はいいから、逃げて……!」

 「何言ってんだ!仲間を見殺しできるかっつーの!!」

 「でも……後ろ」


そう言ってシオンは後ろを指す。そこには一本道の裏路地を走るエージェントの姿があった。


 「もう追っ手が……」


エージェントの影は一つではない。三人の黒服が炎波達に近づいてきた。この距離では逃げられない。そう思った炎波はシオンを後ろにやると立ちふさがるように黒服の前に出た。


 「ふん。なんの真似だ?」

 「ヒーローごっこ、かな」


炎波は両手の平に意識を集める。シュボッ、という音と共に炎波の両手からオレンジ色の炎剣が噴出した。

一本道。そう、一本道なのだ。ここで自分が食い止めれば被害は出ない。そう思いながら黒服達を待ち構える。


 「オラ、来いよ虫ケラ」

 「黙れ、ガキがぁ!!」


そう言うと一番前にいた男が拳銃を取り出しこちらに銃口を向けた。確かに炎波の脳呂は拳銃に対して相性が悪い。しかし、この状況ならばそんな事は関係ない。なぜなら『逃げられないほど近くにいる』のだから。


 「甘いんだよ!」


大きく一歩踏み込むだけで黒服の一人は炎剣の射程圏内に入る。まず炎波は右手の炎剣を拳銃を持つ手に叩きつけた。


 「グガッあああああ!?」


人肉が焼ける匂いと共に拳銃が落ちる。いや、拳銃を握り締めたままの手が落ちるという方が正しいだろうか。手のなくなった腕を抑えるようにうずくまる黒服を飛び越えて別の黒服が日本刀を振り下ろしながらやってくる。


 「間に合え……!」


それに炎波は慌てながらも無造作に両手を突き出した。炎剣は出ていない。かと言って白羽取りなどそんな考えは微塵もない。ならどう使うのか。答えは明白だった。

両手の平全体から最高出力の炎を噴射させる。視界が赤に支配される。


汚い地面に叩いつけられた炎波は咳き込みながら黒服の死を確認した。先ほど黒服がいた場所は真っ黒に焦げてしまっている。隣ではシオンが心配そうに炎波の体を支えようとしていた。


 「炎波、大丈夫?」

 「ま、まぁな。とりあえずはこれで――」


ぞくりっ、と背中に嫌なものを感じた。これが本能的な悪寒だとは炎波にはまだ理解できなかった。そして炎波は恐る恐る後ろを振り向く。そこには。


 「やっほー、やっほー、やっほっほいと。オラ直々に俺が殺しに来てやったぜ」

 「天野……!?」

 「おいおい。目上には敬語使えつーの。ったく最近のガキは……」


炎波には不思議と恐怖なんてものはなかった。

確かにこいつの能力は見たこともないようなレベルのチカラだ。確かに普通なら恐怖の対象だ。

しかしそんなもの天野が右手に引きずっている『ジョウの右半身』が目に入った瞬間恐怖は消えてしまっていた。炎波の心にあったのは『悲しみ』と『怒り』


炎波にはこの胸の奥からこみ上げてくるドス黒い何かを抑えることはできなかった。


もはや咆吼。


両手から炎剣をだすとがむしゃらに天野の懐へと全力で向かう。


 「あ゛あ゛あ゛ァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!」


不敵に笑う天野はそれをかるくあしらった。衝撃波の塊を炎波の懐に叩き込む。ただ、それだけ。そんな簡単な動作で炎波は大きく宙を舞いシオンを超え、そして黒焦げの地面を飛び越え裏路地から出てしまった。


 「おぐぁっ!ゲホッ!?ゲホッ!」


再び地面に叩きつけられ炎波は激しく咳き込む。恐らく肋骨も何本か持っていかれているだろう。それでも炎波は立ち止まらなかった。


 「シオンッ!シオンッ!」


泣きじゃくる子供のようにバタバタと走る。目の前は歪み見えなかった。地面に音もなく涙がこぼれていく。


――もう一人は嫌だ。

うっす。終了っす。最近ランニングを始めたっす。汗と後悔しかないっす。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日っす

ではでは本日も投下スタートッ!


簡潔に言うともうそこにはシオンの姿はなかった。あるのは不敵に笑う天野と壁にこびりついた赤黒い何かだった。赤黒い何かは無様に蠢き透明の涙をこぼしていた。


 『この悪ガキ……っ!』


――何なんだ、これは。


 『やっぱり炎波はわがままねぇ』


――どうしてこんなことになってしまったのだろう。


 『ここにいればみんなでずっと笑い合える。それは保証するわ』


 「あ、あぁ……」


思い出と共にとめどなく涙がこぼれ落ちる。天野はその光景を嘲笑しながら見ていた。


 「クハハッ!おもしれー!なになに?家族ごっこでもしてたの?」


天野は口を大きく開けて今にも笑い転げそうになる。その姿はその辺の馬鹿な若者と大差なかった。

対して炎波はこの年では。いや、人間として異常なほど殺気を放っている。それはさながら野生界の百十の王を連想させられた。


 「ひゃあー。怖い怖い。そんなに睨むなよ」

 「絶対に……絶対に許さねぇ!!!」


直後、彼らはいきなり激突した。最初に手を出したのは天野だ。嘲笑いながら適当に衝撃波の塊を投げる。しかしそんなものはもろともせず炎で形作られた炎剣は衝撃波の塊を切り裂き天野の胸へと突き進む。


だが。


 「おっっっそい!そんなんじゃおいてかれるぜ?」
 
 「んなっ!?」


天野は裏拳気味に拳をふる。そこから文字通り空を裂きながら、一点に圧縮された衝撃波が炎波の体を横なぎに吹き飛ばす。横といっても一本道の裏路地だ。すぐ隣の壁に勢いよく激突した炎波に追い討ちをかけるように天野は衝撃波を放った。


 「ッッッ!?」


力なく倒れていく炎波を見て天野はつまらなさそうに髪をいじる。


 「ちぇ……一城が言うにはもっと強いらしかったんだけど。過大評価しすぎだな。」


天野はもう追撃はせず暗い闇の中に消えていった。

はい終了です。炎波過去編も来週には終わるかな?


質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

縺翫▽縺九l

乙です

>>522
どう言う意味?誰か翻訳プリーズ

>>523
どうもです。それでは今日も少ないながら投下させていただきます。スタートッ!


 ###

 「――っ!?」


炎波が目を覚ましたのは廃工場だった。特に何も手は加えられずあの戦いの後そのまま連れてこられたようだった。痛む胸を抑えながら炎波はなんとか立ち上がる。


 「ここは……?」


首だけを動かし辺りを見渡す。寂れたクレーン車や石灰のようなものが入った袋がたくさんある。それらは大分使われてないようでほこりを大量にかぶっていた。


 「そうだ……!アイツは……!?」

 「んん?俺のことかね?」

 「なっ!?」


不意に後ろから奴の声が聞こえ勢いよく振り返る。そこには金髪の天野がいた。そしてその後ろにもおう一つの影があった。薄暗くてわかりにくかったのだが少しずつシルエットが見えてきた。

背丈は炎波よりもやや高いぐらいだろうか。体つきはやせ型で髪は少しはねている。赤いジャージを着たその青年。炎波にはその姿に見覚えがあった。


それは初めてあったまともな人間だった。

それは初めて支えられた人間だった。

それは初めて人間として接しられた人間だった。

それは初めて笑みを見せた人物だった。

それは初めて弱みを見せた人物だった。

それは初めて背中を許した人物だった。

それは初めて心を許した人物だった。



それは、その青年の名は。




 「カ、カズキ……!?」


少ないけどこれで終了です。う~ん時間が

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

こんばんわケイです。

久しぶりにロックマンしたら面白かったです。

それじゃ早速投下スタートッ!



 「な、んで……カズキが……!?」


口を開けたまま呆然とする炎波を横目にカズキは当たり前のように近づいてきた。


 「よぉ。炎波、怪我は大丈夫か?」

 「いや、なんで……カズキがコイツと……!?」


思考がついていかず炎波はただ呆然とする。するとその光景をみて察したのか天野はニタニタと笑いながらカズキの肩にポンと手を置いた。


 「どうした、どうしたぁ?そんな顔をしてぇ、キャハハ」


手を置かれた一城<<カズキ>>は抵抗することもなく仲間同士のように振舞う。その異常な光景を見て炎波はこう考えていた。一城は操られているんだと。しかしそんな考えは一城によってすぐに覆される。


 「おいおい、炎波。『そんなこと』ありえるわけねぇだろ」

 「……!?」

 「ったく。忘れんなよ。言ったよな?俺は精神系だって」



天野は嫌な笑みを含んだ表情をしながら一城の前に出てきた。


 「っつーこと。えーとエンハっつったっけ?」

 「何がっつーことだよ」

 「はぁ?まだわかってないの?」


そう言うと天野は炎波の腹部を手の平を合わせ馬鹿にしたようにこういった。


 「お前は最愛のお仲間さんにう・ら・ぎ・ら・れ・た・の☆」


直後、天野の手のひらにチカラが集まり『衝撃弾丸』<<インパクトガン>>を発動しようとする。それが発動すれば幼い炎波の体は簡単に吹き飛び最悪致命傷となるだろう。

それがわかっていてのチカラの開放。混乱する炎波はその一瞬。ほんの一瞬であることを確かめた。


――カズキなら助けてくれるはずだ。


そんな希望を覆すように一城は口だけを動かしてこういった。


 「死ねよ、怪物」


その後の事はよく覚えていなかった。ただ妙に爽快でゲームをやってるような感覚だった。


ぶれる視界のなかで赤黒いがもの飛ぶ。金髪の残滓をも残さないほどの爆音。黒に染まった地面に炎波。そして一城は佇んでいた。


 「……これほどのチカラが……!?やっぱり相良さんの忠告を聞いておくべきだったか……!?」


後ろ向きで肩で息をする炎波に向かって一城は思わず呟く。直後炎波はゆっくりと力を抜いたままこちらを向いた。

その眼光にはヒカリが点っておらず機械のような無機質さ連想させられた。しかしその目からは人間特有の冷たい液体が溢れ出ていた。炎波は必要最低限だけ口を開き冷や汗を流す一城に聞いた。


 「なんでこんなことしたんだよ……」


ゆらゆらと揺れる炎波を見据えつつ一城は懐から黒い拳銃を取り出した。


 「炎波……お前はお前という存在の脅威に気づいていない。お前が生きてれば闇の世界は掻き回される。だからっ……!」

 「そんなことはどうでもいいんだ。俺が聞きたいのはシオンや師匠をなんで殺したかってことだ」

 「はぁ!?なんであんな奴らっ!?……あぁ、そうか知んねぇのか。あいつらはな、俺が洗脳したその日雇いの下っ端だ」


一城は気丈に振る舞いながら恐怖で震える口で言葉を紡ぐ。炎波の心はそんな一城の言葉で崩れかかっていた。



 「アハ、あはははははははははははっ!」


壊れた人形のように笑う一城は震える手を抑えるようにもう一つの手で抑える。炎波は一城にしか聞こえない言葉で。一城にしか伝わらない言葉で呟いた。


 「      」


一城の小さな悲鳴を抑えるように炎が炸裂した。

べ、べつに炎波の「     」は思いつかなかったんじゃいんだからねっ

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

乙です

>>534
何故、それを言った……

>>535
なんとなくですっ!

ではでは早速投下スタートッ!


 ###


 「どうしたの?所長。深刻な顔して」

 「いやぁそれが氷也がいなくなっちゃって」

 「えぇ!?じゃあ依頼どうすんのさぁ!?」

 「あはは……ホントどうしよ……」

 「頼むよ!チーム作って初めての仕事なのに!」

 「よし、じゃあこうしよう」

 「おぉ!?なんかいい案あんの?」

 「氷也に責任押し付けよう」

 「最悪だな、この外道!!」


 ###


 「あは、アハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」


赤黒い血だまりを踏むように狂った炎波は笑い続ける。


 「アハハハハッ!もういいや!どうでもいいや!全部、全部壊してやるぅ!!」


汚い笑みと共に繰り出された灼熱の大砲はいとも容易く工場の壁を貫く。高温のオレンジ色に染め上げられた壁はドロドロと崩れ落ちていった。

その時、工場の重たい扉が急に開いた。最初は壊れた反動で開いたと思っていたのだがどうやら違うようだ。何者かがこの工場に侵入してきたのだ。


 「誰だぁ?」

眩い太陽の光に照らされその姿は視認できない。どうやらシルエットを見る限り炎波と同じぐらいの背丈の少年のようだ。


 「誰、と聞かれれば『あなたの敵』としか言えないですね」

 「そっかぁ。なら、殺していいんだな?」

 「えぇ、もちろん」




 「……?」


脳の処理が間に合わない。何故自分は今倒れているのか。何故自分は今生きれているのか。

炎波は確かにその少年の心臓めがけて突撃したはずだ。しかし少年の射程圏内とでも言うべきものが炎剣の動きを封じたのだ。驚愕する暇もなく少年の手によりなぎ倒され地面に仰向けで倒されてしまった。


 「……実力はその辺のレベル5thに匹敵しますね。思わず全力で行ってしまいましたが」


顎に手を当て考えごとをする少年に向けて炎波はいきなり攻撃する。


 「おっと、動かないでくださいね?」

 「なんだ、コレ……凍ってんのか!?」


少年は炎波を仰向けのまま拘束する。その後は特に炎波も抵抗せず少年の動きを待った。


 「俺をどうする気?」

 「護衛ですかね」

 「護衛?意味分かんねぇな」

 「そうですか?嫌でもわかると思いますけど」


瞬間、工場の壁が爆発した。しかしそれは外部からの攻撃によるものだった。


 「いたぞ、あれが危険分子か」

 「あぁ。捉えるぞ」


鎧のようなものに身を包んだ屈強な男達十数名が爆発し穴が開いた場所から侵入してきた。


 「きましたか」

 「っておい!この氷取れよッ!」

 「……面倒くさいですね」

 「お前のめんどくさいで死んでたまるか!」



拘束を説いた少年の目は武装した男達を見据えていた。


 (コイツ、俺よりも強いみたいだな。ギリギリまで利用して殺すか)


炎剣を出した炎波の隣では茶髪の少年が軽く笑みをこぼしていた。


 (彼はどこまで動いてくれますかね。この後の戦闘にも備えて温存しておきたいところですけど)


二人の少年達は大勢の男達を倒すべく前へと進む。

炎波クンは人間不審となり透クンはコミュ障というわけで。あ、時系列的に鳴はいないです

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


 ~~小ネタin神崎s~~


透「久しぶりの登場だな」

紅夜「俺最近出てないなぁ」

渡(僕なんてフェードアウトしたし)

神崎s(((コイツ、脳内に直接……!?)))

勝「……おいお前らやめろよ。もっと出てない人に失礼だろ」

透「え?誰」

紅夜「そんなやついるの?」

エミ『……なんだよぅ』

透・紅夜「「すいませんでした」」


 ###

中身のない鎧を砂山のように積み上げその上に座る炎波はブツブツと何かをつぶやいていた。


 「……ハハ。雑魚どもが、俺に挑んでんじゃねぇよ」


うつむきそして静かに笑う。氷也はその光景の前で若干の恐怖を感じていた。


 (……どうしましょうか。彼を狙う勢力は大量にいます。さっきは咄嗟に本気を出しましたが何度も使えば身元がバレますし。かといって彼に任せると死人が増えますね)


氷也は考えをまとめると鎧の上へと目を向けた。


 「……しまった」


誰もいない鎧の山へと。

しかしその言葉とは裏腹に氷也の顔には焦りがなかった。冷静な顔のまま携帯を取り出すとチームメイトに連絡をとった。


 「今ちょっといいですか」

 『氷也!?所長、氷也から電話きた!あ、うん俺がでとく』

 「透、今から出れますか?」

 『いいよ。相手の戦力はどんくらい?』

 「相手は不特定多数。保護対象はどこかに行きました」

 『おお……ふ。結構アバウトだな』

 「まぁとりあえず来てくださいよ」

 『どこに?ねぇ、氷也どこ――ッ』


適当に通話ボタンを押し連絡を切ると氷也は工場を出ていった。


 ###

朝の時間帯。高校生やらサラリーマンやらがぞろぞろと道を歩いている。そんな人混みをかき分けるように炎波は素人でもわかるほどの殺気を放ちながら進む。目的地はない。適当にぶらつくだけ。


 「……どうせアイツも最後には裏切るんだろ。なら先に俺が消えてやるよ」


自嘲気味に笑いながら近場のコンビニへと入っていく。ひんやりとする店内は妙に心地よかった。頭をかきむしりながらブラックコーヒーを手にとる。


 「食いもんはっと」


次は飲み物のコーナーより少し右にある弁当コーナーへと目を向ける。


 「……オムライスか」


炎波はそれを手に取ると手早く済まさせ店を出ていった。


 ###


朝の通勤ラッシュも過ぎた10時頃。炎波は人の少ない自然公園のベンチで早めの昼食をとっていた。

器用に片手でプルタブを開けると苦い液体を口の中に流し込む。


 『まーた悪ガキは背伸びして』

 「……うるせぇよ、シオン」

ベンチの上にコーヒーを置くと膝においていたオムライスの蓋をあけた。ビニール袋から店員からもらったプラスチックのスプーンを取り出し安物のオムライスをすくった。


 『……なんでオムライスを箸で食ってったんだ?』

 「……知らなかったんだよ、ジョウ」


そして口に入れる。あの味とは全く違って何かが足りない気がした。


 『どうだ炎波。うまいか?』

 「まずっ……」


炎波はオムライスもベンチの上に置き空を見上げた。


 「ったく。未練タラタラだな、チクショウ」


その口は妙に震えていた。


 「ちくしょう……みんな……」


その顔は言うまでもなく歪んでいた。

終了です。炎波さん情緒不安定だなぁ……

まぁ、俺のせいですけどね(ゲス顔)

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日



 「どうしたんですか?」

 「……あ゛?」


唐突に茶髪の少年が覗き込むように炎波の顔を見てきた。炎波はあからさまに機嫌が悪い、という返事をするが少年は特に気にもせず炎波の隣に座る。爽やかな偽物の笑顔は透明で何も感じられない。


 「テメェには関係ないことだ」

 「そうですか」


少年は乾いた返事をするとおもむろに立ち上がり目も合わせず小さく呟いた。


 「『信じる』ってなんなんでしょうね」

 「さぁな。まぁ、ろくでもないもんだよ。こんなクソッタレな人生よりも」


炎波は興味もなさそうに遠くを見つめている。


 「ですよね。でもその割には顔に出てますよ。助けてって」

 「そりゃあ、俺じゃなくてテメェだろ。モロバレだよ。寂しがり屋のうさぎちゃん?」

 「そうですかね」


両親に捨てられ、自ら両親を殺害した二人の背中はどこか哀愁を漂わせ同時に絶望も感じさせた。


 ###

自然公園から少し離れた一軒家。そのベランダには黒いジャージと黒マスクの中年がいた。


 「絶好のロケーションだな」

 「あぁ。しかしあんな中坊を殺すだけの依頼とわな」


二人の手には最近製造され実験台として闇に売り出された殺人ライフル、MG5。通称『鷹の目』<<ホークアイ>>が構えられている。二人は同じ人物をターゲットにしていた。そのスコープに映し出されているのは金髪の少年、日野炎波だった。


 「しっかし、なんであんな小僧を殺すんだ?」

 「なんか将来有望なんだとさ。この世界で」

 「ケッ。嫌な野郎だな」


二人は同時に引き金に手を当てる。


 「行くぞ」

 「あぁ」


そして躊躇なく引き金を引く。距離は離れているがこの二人には簡単な仕事だ。今までこんな仕事何件もこなしてきた。それなのに。それなのに。


 「……はず、れた?」

 「……ちょっとまて。アイツ誰だ!?誰か割り込んでるぞ!」


叫んだ男ではないもうひとりの男はもう一度スコープを除く。確かに見知らぬ茶髪の少年が間に割り込んでいる。


 「け、けど。アイツも怪我一つないぞ!?」

 「まさか……高位能力者か?」


二人はスコープを覗き込んだまま呟き合う。瞬間、その少年がこちらに振り向き口を動かした。流石に声は聞こえない。しかし口の動き
だけで意味がわかってしまった。


 さ・よ・う・な・ら・ク・ズ・の・み・な・さ・ん


 ###

その頃、公園では変わりなく炎波がコーヒーを飲んでいた。


 「なーんで助けてくれっちゃったの?」

 「別に深い意味はないですよ。っていうか死にたかったんですか?」

 「あぁ」


即答だった。なんの迷いのない回答に氷也は顔をしかめる。しかし炎波はさも当然といった様子で話し始めた。


 「死にたいね。なにせ空っぽなんだもん」


そう言いながら飲みかけのコーヒーを地面にこぼしていく。


 「大切な人達は死に、信じていた人は殺し、もうなんもないよ」

 「それは、それは。すいませんでした」

 「どうでもいいよ。どうせどこにいても地獄だし」


そう言うと炎波はおもむろに立ち上がりどこかへと歩いていく。


 「どちらへ?」

 「ゴミ掃除」

終了ですよっと。


質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

いぇい☆来たぜぇいケイだYO

今日も投下スタートッ!


 ###

とある一軒家。そのドアが爆発した。爆炎の中から出てきたのは金髪の少年ただ一人だ。


 「おい。アイツ……まさかターゲットか!?」

 「あぁ、そうみたいだな」


ライフルを抱えたまま中年の男二人が階段を下りてくる。両方とも同じ背格好で同じ格好。さらには黒いマスクをつけているから全く判別がつかない。しかし炎波にはそんなもの関係ないようだ。


 「はろはろー。さっきのアンタら?」


中年二人は5Mほどの位置までくるとポケットから小型の銃を懐から取り出した。


 「ちょうどいいな。今ここで殺そう」

 「だな」

 「ほぅ。威勢がいいなぁ」

 「あぁ?なんだクソガキ」


小型の銃を同時に炎波へと向ける。炎波は一切物怖じせず簡単に答えた。


 「いや、別に用なんて言う必要はないかな」


中年達はあからさまに機嫌を悪くする。顔は見えないが雰囲気がそう言っているのだ。


 「はぁ?まさか殺すからとかいう気か?ふざけんなよ」

 「全てに捨てられた子犬ちゃんがよぉ」


ジャキ、と引き金に手を当てる。

この時、二人は殺そうとしていた。特に生かす意味もないし、おしゃべりもこれぐらいだと判断したからだ。しかし引き金は引かれなかった。いや引けなかったといのが正解だろうか。


二人は不意にぞわり、と嫌なものを感じた。目の前に猛獣がいるような、いや得体のしれない何かがいるようなそんな感覚。いつの間にか震える手よりも炎波の呟いた言葉だけが妙に気にさわった。


 「口には気をつけろ、虫ケラ。消すぞ……!」


口の渇きがピークに達した。しびれを切らした二人は咄嗟に発砲する。

炎波の能力は攻撃に特化した正しく暗部向きの能力といえるだろう。しかし、炎波の能力には少なからず弱点がある。攻撃に特化しすぎたということだ。つまり。


 「ぐっ……」


炎波の肩と右脇腹から花びらのように鮮血が舞う。

ちょっと腹痛がヤバイ。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日



 「は、はは。やっぱガキじゃねぇか。おどろかせてんじゃねよ」


肩を抑える炎波に追い討ちをかけるようにもう一発腹部に弾丸が突き刺さる。炎波の視界は揺らぎそして気づいた時には地面にうずくまっていた。


 「はぁ……はぁ……」


ドクドクと脈打つ肩を抑え地面に倒れたまま、しかし驚異的な殺気を持って炎波は男達を睨む。しかし立場が優位になったからか男達は笑いながら銃口を炎波に向けた。


 「ギャハハッ!オラオラどうした?さっきの威勢はよぉ!!]


空気を裂く音を追いかけるように再び鮮血が舞う。遅れて出てきたうめき声は男達の戦意を沸き上がらせる。


圧倒的勝利。


この未来が二人の背中を押しているのだ。そんな時、ポツリと炎波が呟いた。


 「……われだな」

 「あぁ?なに言ってんだ。聞こえねぇよ」


炎波は少しニヤッとして今まで肩を抑えていた手を床へと押し付ける。そしてもう一度だけ、先ほどの言葉を繰り返した。


 「哀れだな、虫ケラ。こんぐらいなんだってんだ」

 「ブハッ!ここでジョークとかお前もやるなぁ!すげぇわ」

 「そりゃどうも。……あと一つだけいいか?」

 「おう、いいぞ。どうせ死ぬんだし」


余裕そうに男達は言う。銃口は炎波に向けたままだ。しかし炎波はそんなことは一切気にせずにやけながら呟いた。


 「あばよ。愉快でシャイな虫ケラさん」


瞬間、床にぴったりと当てた炎波の手から最大出力の爆炎が噴射した。


爆炎は下だけではなく手全体から噴射しあっという間に小さな一軒家を吹き飛ばした。昼間でも目立つほどの神々しいとも毒々しいとも言えない炎が一軒家があった場所を占拠している。そんな地獄の中心には炎波。そして男二人もかろうじて生きていた。


 「こ、いつ……」


しかしその姿は決して世間一般に見せられるものではなかった。服はほとんどがただれ落ち、残っている部分も皮膚と結合しており脱ごうとすれば皮膚ごといく状態だった。何よりも、その顔。顔はほとんどがただれ落ち、元が人間だったのかと疑うほどだった。そんな状態でも二人はなんとか生きている。もはや、生きているほうが辛いと思える状態で生き残っている。


 「あ゛ぁ」

 「ひゃはははははッ!無様だなぁ。いやぁ、このまま生かせてやりたいほど無様だよ」


この地獄を作り出した張本人、炎波は燃え盛る炎の隙間で高らかに笑っている。


 「どうする、どうするぅ?このまま生きとくぅ?今なら無料で特別サービスだけど」

 「ふぁけ、りゅな……」

 「なんて言ってんの?ふざけるな?別にふざけてないじゃん。この俺の慈悲の心に感謝してほしいな」


それだけ言うと炎波は後ろに振り返り背を向ける。


 「それでは、また会える日まで」


じゃあ、といった風に右手を振りながら炎波は燃え盛る炎の外へと出ていった。

遅くなりましたが投下終了です。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


 ###


 「あ~あ~。血ぃ流しすたか?」


誰も居ない道路で炎波は自嘲気味に笑う。余裕そうに振舞っているがその顔は大きく歪んでいた。


 「ったく、どうすっかな。こんな時に敵が来たら最悪だね」

 「そうみたいだね」


突然かけられた言葉に炎波は驚き、すぐさま後ろに振り返る。しかしその首が回り切る前に豪腕が炎波の顔に叩きつけられた。簡単に炎波の体は吹き飛び宙を舞う。着地もままならずそのまま地面へと墜落する。


 「クッソ。いったい何なんだよ。全く!」


地面に倒れたまま炎波は忌々しそうに呟く。視界はブレ、出血もあるせいか相手の顔を視認できない。ぼやける視界の中で声の主は頬をポリポリとかきながら申し訳なさそうに口を開いた。


 「いやいや、ごめん。話しをするには黙らせるのが基本かなって」


声色を聞く限り女性のようだ。ショートカットでボーイッシュな雰囲気は暗部の人間には思えなかった。


 「なんのようだ」


炎波は無愛想にその口を開く。血の味が染みて嫌な感じだ。


 「用って言うのはあれだよ。勧誘」


その言葉に炎波の顔はさらに大きく歪む。しかし女性はそんなことには気もくれず適当に喋り続ける。


 「狂犬、悪童、そして血吸人。いろんな異名で有名な君をスカウトに来たんだ。ほら、最近襲われること多いでしょ?こうやって戦力拡大する組織を恐れたお偉いさん達が君を殺そうてしてるんだ。僕はその逆だけど」


つまらなさそうに聞く炎波の顔を見て女性はおどけた風に付け足した。


 「あぁ!当然ギャラもはずむよ。どう、来ない?僕達の組織にさ」

 「やめとくよ。そっちの方がいい」

 「ん?何で?君にはメリットしかないよ?」


炎波はあぐらをかきうつ向きながら小さく、しかし鮮明な声でその言葉を放った。


 「メリットとかそういうのホントどうでもいいんだ。ただな……」

 「透けてんだよ。お前らの魂胆はさ」

 「!?」


驚く女性を横目に炎波は血まみれの肩を抑えながらゆっくりと立ち上がる。


 「もう、ニンゲンなんて透けて見えねぇんだよ」

 「見えるのは黒くて汚いココロとかいうもん」

 「もう飽きたよ。ニンゲンごっこしてるクズどもはさ」


そう、ニンゲンごっこ。カズキもコイツもニンゲンごっこ。どうせ、汚い本体があとから這いずり出てくる。そんな光景はいくらでも見てきた。むしろ最初からニンゲンの被り物をしてない両親の方が珍しく、可愛く思える。

女性はその言葉を聞き最初は戸惑いはしたものの、以外にすぐ納得した。


 「……そっか。しょうがないね」

 「わかったんなら帰れ」

 「はぁ?何言ってんの?」


先ほどの言葉とは裏腹に女性は妙なことを言う。当たり前といった体で。


 「君がいなくなるんでしょ。ここから」

 「チッ!今日はラブコールが多いな」


炎波はめんどくさそうに舌打ちをした。


――ぶれる視界のなかで

終了です。ではでは明日の投下もこのじかんで

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

はい、どうもケイです。

ではでは早速投下スタートッ!


ボォ!と空気を飲み込む音と共に両手の平から炎剣が出現する。


 「ひゅう、怖いねぇ」


しかし、女性は恐れることもなく先ほどと同じように整然と立っている。それは女性が戦闘に対して余程の自信を持っているという理由もある。ただ、もう一つだけ挙げるとすれば体の芯がぶれた炎波の体だろう。ボロボロの体は不自然に揺れ、足は一点に立ち止まらない。いくら炎波が戦闘慣れしているとはいえこれ以上のハンデはないだろう。


 「はぁ……はぁ…早く始めろよ……」

 「そう?なら早速」


瞬間、炎波の視界がさらに大きく揺れる。焼けるようにと痛む頬に女性の拳が叩き込まれたと理解するには短すぎる時間だった。仰け反る炎波の体に追撃をかけるかのように横なぎに鈍器のような足が叩きつけられる。


 「グハッ……!?」

 「らくしょー」


無造作に投げ出された炎波の体はコンクリートで削られていく。ボーイッシュな女性は首を鳴らしながら炎波に近づいていく。歪む視界の中でもわかるほどその顔はにやけている。


 「はぁ、興ざめだねぇ。この程度なのかな?狂犬さん♪」


アルミ缶を潰すように炎波の顔を踏み潰す。


 「それとも……」

 「もしかして『死にたいのかな』?」


炎波は、答えない。


 ###

公園のベンチに座っているのは氷也だ。いつも通り涼しげな顔をしているが、困惑しているかのようにやや歪んでいる。


 「助けて、ですか。言ってますかね」


自分の顔を触りながら誰ともなく呟く。バックには黒炎が立ち込めている。


 「彼はどうなったでしょ――」


そこまで言って自分自身の異変に気がついた。初めて人の心配というものをしたのだ。


それは、彼が同じ境遇だからかもしれない。

それは、自分のココロなんてものが変わったからかもしれない。


しかし氷也はそんな思考を切り替えて適当に呟いた。


 「こんなものはシステムエラー。直すのが一番ですね。なんでこんな今さら甘い考えが出てきたんでしょうか」


少しだけ微笑むと氷也は立ち上がった。

生きているのが不思議なほどボロボロの体。武器である両手は踏み潰され原型を留めていない。


 「う~ん。死にたがるなんて余程のことがあったんだね」


哀れみの気持ちを込め女性は呟く。そして細腕を叩きつけるために大きく振りかぶる。瞬間、乾いた音と共に血しぶきが散った。それは決して炎波のものではない。女性のものだ
。反射的に出血する肩を抑えると勢いよく振り返った。

 
 「何やってんだ。アンタ」


身長は150cmぐらいで顔を隠す髪はこれ以上ないほどの黒に染まっている。七分丈のカーゴパンツと黒いパーカーが普通の少年らしさを演出していた。しかしそんなイメージをぶち壊すように手に拳銃が握られている。


 「どれだけ離れてると思ってるのかナ……っ!?」


その距離ざっと100M。銃口から吹き出る硝煙が若干見える程度だ。


 「別にどうでもいいだろ、そんなこと」

 「そいつから早く離れろって言ってんだよ。こっちはさ」


女性はたまらず能力を行使する。空気を裂く音を超えて一瞬で黒髪の少年の懐へと潜り込んだ。


 「『筋力増加』<<パワードアップ>>舐めたら許さないから……!」


華奢な少年の体は嫌な音をたてて一直線に飛んでいく。


 「口ほどにもないねぇ。少年っ!」


仰向けに倒れる少年の腹部にかかとを繰り出す。


 「ングっ!」


噴出された血は無残に地面に落ちる。黒髪の少年は屍のようだ。


 「もうホント困るなぁ。たまにいるんだよね。こうやって闇にいるクズのくせに正義面してさ」

 「そういうのはすぐ死ぬんだよ?わかってる?」




 ###


何やってんだぁ、アイツ?

バカか、馬鹿なのか?なんで俺のために体なんか張っちゃってんの?

死なせてくれよ。きついんだよ、こんな世界。


空っぽのお前に何ができる?

空っぽの俺に何ができる?


ならもういいだろ。やめてくれよ。

何回立ち上がってんだっつーの。

『傷つけたくない』だぁ?ふざけるな。そんな正論は聞きたくない。


マジで、ふざけてんじゃねぇぞっっっ!!


 ###


 「ふざけてんじゃねぇぞっっっ!!」


突如、倒れていた炎波が激昂する。距離の離れていた女性の耳でさえも痛むほどの絶叫だった。何度も立ち上がり続けた黒髪の少年も目を大きく見開いている。


 「何なんだよっ、チクショウ!何回も何回もウザイんだよ!」

 「テメェはあれか正義のヒーローか!?そんなん物語んなかしか通用しねぇんだよ!」

 「どうせ透明なんだろ!?どうせ透けるんだろ!」

 「それなら最初からくるんじゃねぇよッ!」


激昂した炎波の両手が高熱を帯びそして今までの最高出力を塗り替えるような炎が噴射する。


もはや、爆発。


音さえ飲み込み一帯の建造物を消し去った。


 ###


 「すっごい……すごい!ナニコレ!避けなかったら死んでたよ」


テンションが高いボーイッシュな女性が爆心地から大きく離れたところから戻ってくる。そこで妙な光景を見た。


 「なんで……チクショウ……」


涙を流す少年の姿があった。


 「ばかだネ。何してんの?」

 「うる、さい……!」


ボロボロの体で泣きじゃくる炎波は後悔したような顔をしていた。隣にはぐったりとした黒髪の少年が横たわっている。


 「救いなんて求めてたの?」

 「そっか。でも、私はアナタを殺すけどね☆」


 ###


 「どういう、ことですか……これは」


目の前に広がるのはもはや爆心地とも呼べる地面。そして、泣きじゃくる炎波と隣で横たわる最近無理やり仲間になった少年、神崎。そして、不気味に笑う女性だった。


 「誰かナ。君は?」

 「……」


こんな相手ならば触るだけで。いや、本気でやれば指を動かさずとも殺せる相手だ。


しかし今はそれが正解なのか。

何がこの場面での正解なのか。


この場で敵を殺すのは簡単だ。しかし、それが一番のハッピーエンドなのか?それでこの場にいる少年達は幸せなのか?


 「おい」


迷い動けない氷也の意識を呼び戻すように炎波の声が聞こえた。その声は震え、怯えていた。目からは冷たい涙がとめどなく流れている。そんな炎波の口から妙な言葉が出てきた。


 「俺はお前を信じていいのか」

 「……っ!」


答えられない。口が開かない。

ここで正論を言うのは簡単だ。偽善者になるのは簡単だ。しかし、それでいいのか。それが正解なのか。世界の中でも天才という舞台に君臨する氷也の頭脳でも答えは見つからなかった。

なら、正直に答えてみよう。孤独だった今までを吐き出すように答えてみよう。



答えはすぐに出た。



 「……自分は」


震える口でゆっくりと言葉を紡ぐ。


 「……自分は」


今まで思ってきたことを。


 「……自分はッ!」


答えなんて簡単に出た。


 「自分は、アナタに信じて欲しい」


場が静寂に包まれる。


やがて炎波がようやくその口を開いた。氷也同様思いの丈をぶつける。


 「最後くらい、こんなクソッタレな人生の最後ぐらい人を信じさせてくれ!」


涙をこらえ喉が引きちぎれんばかりに叫んだ。そして、氷也は小さくしかし確かにこういった。


 「ありがとう」


女性はハッと我に帰ると反撃しようとする。しかし遅かった。

氷也の手が流れるように女性の頬に触れる。


 「あっ……!?ヤダ、死にたくない……っ!」


先ほどの態度は消え怯える女性はせめてもの抵抗かこんなことを口走った。


 「どうせ、裏切られるんだろ?裏切るんだろ?なら、こんな茶番は無駄なんだよっ!」


もう体の大半が凍りついている女性の背中辺りに炎波は手を当てる。


 「そうだな。でもそれは今じゃない」

 「ひっ!?」


背中に当てた手を横にスライドさせる。もちろん炎剣を出したまま。


 「……終わりましたね」

 「あぁ」


真っ二つの死体を二人は気にせず話し合う。


 「サンキューな。助けてくれて」

 「仲間なら当然でしょう?」


軽く笑い合う二人のもとに新たな声が割り込んできた。


 「ねぇ、俺死にかけなんだけど……」

 「あ」

 「……忘れてましたね」


透はそのまま意識を失った。

今日は割と長かったかな?もうチョイ続く過去編。まぁあと締めだけですね。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

乙です

>>573
ご視聴頂きありがとうございます。暇な時に読んでいってくださいね。

読んでくれる人がいるというのに昨日は投下できませんでした。事故とか病気とかじゃなく



爆睡してました!!!


おかげで体が軽いっ。こんな無駄話しも止めにして投下スタートッ!


 ###

頭の奥がキリキリと痛む。あんなことをしてしまったからだろうか。自分にそぐわない行為はやはり何か胸を締め付けられる痛みがある。


 「まぁ、あそこからそれも抜け出した証か?」


炎波は病院のロビーの椅子で一人呟く。朝も早いせいか辺りには入院中の年寄りしかいない。吐き気のようなものをこらえながら朝のコーヒーを飲んでいた。


 「こんなところにいたんですか?」

 「っていうか、あのカンザキっつたか?そいつの部屋には来んなって言ったのはお前だろ」

 「あぁ……来てもいいですけど」


氷也にしては珍しい表情だった。数少ない炎波の記憶から連想させる言葉は『参観日にできの悪い子供を見ている親』だ。炎波は気のせいかと思いそのまま神崎の部屋へと向かった。


 ###


 「うわぁああああああっ!!!」

 「……」


『神崎』と書かれた個室に入ると一番最初に神崎のかん高い悲鳴が鼓膜を襲った。氷也は小さな声で炎波に耳打ちをする。


 「……極度の人見知りって言いますか。あのー」

 「……コミュ障?」

 「……えぇ」


神崎は包帯だらけの体で布団の中に隠れている。そんな時大人の女性の声が後ろからした。


 「お、透は起きてたか。む、氷也。この子は?」

 「日野炎波です」

 「そうか、そうか。よろしくな」

 「……どうも」


満面の笑みでその女性は強引に握手するとベットの隣へと急行した。隣に着くと右手を大きく振りかぶり布団ごとボフッと叩き神崎を外へと引っ張り出した。


 「ほら、透。挨拶する」

 「……その、あの……ええと。か、神崎です」


天下無敵のキョドりっぷりを炎波は静かに眺めていた。この時炎波は珍しくこんな事を考えていた。



――これから幸せになれるかな



胸の奥がじんわり熱くなっていくのを感じた。


 # 開戦は音もなく密かに訪れる Backtrack Impossible



真夏日。

そんな事も感じさせないほどの涼しさを保つこの部屋。裏側の政界とでも言うべき、脅威の場所。通称、御前会議。

その中央には長方形の高級なテーブルがある。そこに腰かけるのは、五人。


中村浅利。喪服を私服とする無精ひげを携えた男性。何万もの戦力を所有し、この所有する武器のみで一国を落とせるほど。また人材も大変優秀でレベル5thを三人従えている。


西村響。袴をきた年老いた男性。単体で戦力こそはないが御前会議ナンバーワンの権力を持つ。実質トップ。


山村穂村。顔に無数の傷がある中年の男性。能力の実力だけで這い上がってきた武闘派。もちろん頭脳も常人を超えるが身体能力は、人間かと疑うほど。黒いスーツを引き裂かんとばかりに筋肉が盛り上がっている。


木曽瞳子。御前会議、たった一人の女性。黒いウェンディングドレスをまとう。ベールで顔は見えないがどこか異質さをはなっている。経歴は記録に残っておらずメンバーですら詳細不明。


佐藤鋭利。メガネをかけた知的な初老の男性。非常に残忍な性格で目的のために娘を殺している。過去、山村と交戦している。


彼らは今暗部で起きている一つの事件について話していた。中村が咳払いをし口を開く。


 「それで?どうするつもりだ。これ以上奴らをのさばらせるほど気は短くないぞ」


その低い声には少し怒りが含まれていた。


 「別にいいでしょう。我らには関係ない」


西村は適当に意見する佐藤に目を向ける。


 「ふん。それで済むといいが。やつはいくつもの時代を知っている。文字通り肌で感じてきている。そんな時代の化石を我々に止めれるか?」

 「そうね。彼はあまりにも危険すぎる。神崎を作り利用する。その上とうとう幻想話に手を出してきた」

 「幻想話、か……」


西村は低い声で話しをまとめる。


 「そんな幻想話が証明されれば我らの手にはおえんな」

ようやく本編突入っ!今はネタバレになるので何も言えないなぁ。あ、質問で出されたらある程度はね……


質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

乙です

アドバイスと言えば、例えば

 「ふん。それで済むといいが。やつはいくつもの時代を知っている。文字通り肌で感じてきている。そんな時代の化石を我々に止めれるか?」

「ふん。それで済むといいが。やつはいくつもの時代を知っている。
 文字通り肌で感じてきている。そんな時代の化石を我々に止めれるか?」

みたいに改行するとか

地の文をもう少し増やした方がいいと思います。

>>579
了解です。では、今後から長いセリフの改行。それと地の文を増やす事も視野に入れていきます。

最近投下頻度がまちまちになってすみません。できるだけ最低でも二日に一回は投下します。
ということで、今日も投下スタートッ!


 ###


 「……どうゆうことだ?」


学校に補習に来ていた神崎だったがどうやら担任の浜田が居ないのだ。補修仲間の沙織と首をかしげながら二人で教室でたべっていた。


 「だから、わかんないの?もう一回言うよ。あの学校テロの時に浜田先生はあのテロリスト達と戦ったの」


普段休まない浜田は恐らく闇に関与し、生き残ってしまったらしい。普通、一般人が闇に深く関わってしまった場合選択しは二つしかない。一つは闇に加入し人生を棒にふること。そしてもう一つは口封じのための抹殺。浜田は学校一の反面教師として有名だが正義感だけは無駄に強い。自身のクラスメイトが不良が負傷させられたと聞けば不良集団に一人で乗り込むような男だ。決して闇なんてところには入らない。ならば、答えは一つだ。


 「まずい……っ!」

 「ちょっ……!透!?」


沙織の呼び止める声も聞かず神崎は教室を飛び出した。途中、廊下を走るなと注意する教師もいたが神崎は押しのけるように無視していく。


 (くそ、この前のはどこの所属だったか!?そうだ、所長に聞けば……っ!)


校門を通過したところで学生服のポケットから黒いタッチ式の携帯を取り出す。失踪するまま所長にコールし、携帯を耳に当てた。


 「早く出ろよ!チクショウ!!」


いつまでたっても出ない。ただ、携帯からは虚しく電子音が鳴り続いている。いきなり走ったせいか彼としては珍しく息切れをしている。それでも神崎は走り続け、乱れる思考で一つの方法を思いつく。確か所長は鳴と服を買いに行ったのだと。ほとんどディスプレイを見ずいつものクセだけで鳴にコールをかける。


 「……鳴か!?所長と変わってくれ!!」

 『ちょ、どうしたんですか!?落ち着いてくださいよ!』

 「落ち着いてられるかよ。浜田先生が危ないんだよ」

 『え、どうゆう……』

 「いいから所長と変われっ!」


電話の先で小さな悲鳴が聞こえる。あまりの大音量にスピーカーが耐えられず音割れしたのだろう。神崎は後で謝ろうと思いつつ、鳴の返答を待つ。


 『今私も探してるんです』

 「は?」


予想外の返答に神崎の口からはいつの間にか声が出ていた。


 『所長がいつの間にかいなくなって……!私も探してたんですけど見つからなくて……』


鳴の声はどんどん情けなくなっていき今にも泣き出しそうだ。神崎は立ち止まると優しく親のようになだめた。


 「わかった。所長はそっちに任せる。俺は浜田先生を助ける。それでいいか?」

 『……はい。分かりました』

 「できれば、炎波にも連絡入れて手伝ってもらえ。じゃあきるぞ」

 『はい。グス……頑張りましょう』


神崎は通話を切ると再び走り出した。あのニンジン野郎のもとへ。


 ###

相良の隠れ家。その寝室とも言える場所。高級そうな椅子に腰かける相良はグラスに入れた赤ワインを飲んでいた。少しだけ口に含みそれをゆっくりと飲み込む。まるで今までの苦労を飲み込むように。そして、グラスを天高く上げると一人で乾杯の動作をし、そのグラスを手から離した。パリン、という音と共に絨毯へと赤い液体が染み込んでいく。

相良は笑いながらスーツの懐から写真を取り出した。念写の能力者を取り込み使用したものだ。その写真にはみすぼらしい服を着た小さな少女が写っていた。相良は懐かしむようにその写真を抱いた。


 「後少し」

 「後少しで会えますよ」



 ###

同じく、相良隠れ家。寝室から離れた実験室のような部屋には拘束された少年がいた。

神崎紅夜。人類を震撼させるほどのチカラを持ちながらたった一人の少女だけを守り続けると決めた少年だ。
そんなチカラを持ちながら紅夜は拘束されていた。縄などでもなく淡い光のようなもので手足を縛られている。


 「何なんだよ、これ。姫川って娘は透の仲間じゃなかったのか!?」


電灯の落ちた部屋で一人叫ぶ。そんな叫びに突然返答があった。


 「ニンジンくん!大丈夫!?」


緑髪と首にかけたヘッドフォンがトレードマークの佐山翠だ。紅夜は驚き言葉を失った。


その要因は彼女の右腕。


人間の腕でなかった。もとの白く綺麗な腕はパックリと裂け、肩から黒く佐山の身の丈を軽々と超えるほどの腕が生えていた。恐らくその腕の鋭利な爪と圧倒的なパワーで実験室の頑丈な扉を突き破ったのだろう。驚く紅夜を横目に翠はその腕で光の縄を簡単に引きちぎった。


 「翠さん。その腕は……!?」

 「今はそんな場合じゃない。あの娘が……っ!?」


翠がそう言いかけたところで吐き気がした。突然恐怖に襲われたのだ。胸は締め付けられるように痛み、紅夜は自分が縮んだんじゃないかと錯覚するほどだった。その恐怖の主格は、翠が突き破った扉に立っていた。

顔の半分が相良に変わっており特殊メイクでもしているようだった。目の輝きはなく魂という存在さえ感じさせない。長いやわらかそうな髪は蠢きそしてうねっていた。そしてその怪物の周囲には直径十メートルほどの光の球体が数個漂っていた。

さらに球体の一つが突然強く発光し始めた。直後、それは一閃の光へと変貌し紅夜の顔をかすめる。後ろを見なくてもわかる。恐らく後ろの壁は、いや光の直進した場所は消え去っているだろう。

怪物はその絶対的な攻撃を外した、というわけではない。むしろ逆。宣戦布告とでもいえるような一撃だった。

光輝く球体に囲まれ天使とでも見間違えるような怪物に紅夜は見覚えがあった。



その少女はこんな自分にも優しく声をかけるような人間だった。



透のことを気遣う姿はとても可愛らしくて面と向かって話す事なんて一、二回しかないがそれでも優しい人間だとはわかった。


その少女の名は。



怪物と罵られ世界に絶望していた少女の名は。

透を愛して止まない少女の名は。









姫川詠里







姫ちゃんラスボス√です。自分で書いてて思ったんですけどペンデックスさん化している……っ!?

もうそろそろ600だ!質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

投下スタートッ!

紅夜は状況に全くついていけず口を開けたままだった。先輩は異形の能力を使い、仲間側だと思った女性の顔は半分が相良に変わりそして攻撃してくる。こう考えている間も殺人光線が光速で紅夜を飲み込もうとしている。それを翠は一つ残らず物理的に叩き落としている。紅夜の目には屈折した光の残像しかなかった。


 「ニンジンくん!今は逃げよう。後で全部話すから!」

 「……そうですね」


紅夜は聖剣を出現させ左手で強く握る。その目と聖剣の紅蓮の輝きは、破音と戦った時よりも強くなっていた。姫川は相変わらず無表情で横なぎに光の雨を放っている。紅夜は少しずつ姫川のもとへと行く。光の雨を聖剣でそらしながら前に進んでいると後ろから翠の声が聞こえた。


 「私もちょっと、本気出す……!」

 「……っ!?」


ぞわり、と背中に悪寒を感じた。光の雨の脅威があるというのに思わず振り向いた先にいたのは『額から二つの黒い突起物を生やした』翠の姿だった。その目は赤黒く染め上げられていた。


 (なん……っ!?嘘だろ、あの人は本当に人間なのか!?)


紅夜はあまりの光景に根本的なところを疑ってしまう。それは仕方のないことだろう。右肩からは巨大な黒い腕が生え、額からは同色のツノのようなものも生やしている。ましてや目は赤黒く変色しているのだ。


呼吸が止まった。動きが止まった。


姫川にはその『一瞬』があまりにも長すぎた。十数本の光の筋が紅夜の体に届こうとした。


その時、翠があるモーションをおこなった。右腕を振る。たったそれだけ。



しかしそれを得体のしれない腕で、光を超えた速度で行えばどうなるか。人間である紅夜には予想できない。いや、そもそもそんな時間もなかった。

危険を思い出し再び振り返った時には光の雨がガラスのように砕け散っていた。


目を疑いつつも紅夜は再び前へと大きく踏み込む。


 (ここで俺がすべきことは翠さんの能力を聞くことでも姫川を殺すことでもない。
姫川を止めてここから脱出することだ!)


右足で大きく地面を蹴り、身を右にひねらせる。その赤い目は姫川を捉えている。そしてそのまま聖剣を横なぎに振るった。姫川は切っ先スレスレで回避すると『紅夜と全く同じ聖剣』を左手に握り応戦する。まずは突き。フェンシングのような構えから放たれた一撃を紅夜はなんとか聖剣を横にし受け止める。


 「ニンジンくんから離れろ……!」


殺気の込められたその声の主、翠は紅夜達の頭上にいた。紅夜を飲み込むか飲み込まないかのギリギリを黒い腕は地面ごとえぐっていく。


 「翠さん!上だ!」

 「空間移動……っ!?」


紅夜の頭上にいる翠のさらに上。虚空から姿を現した姫川は聖剣を躊躇なく振り下ろす。それを翠は新たに肩甲骨あたりから生えてきた翼のようなものでうつぶせの格好のまま受け止めた。


 「う、あ゛ァ!!」


そのまま力任せに姫川を天井へと突き飛ばす。姫川は落ち着いた様子でやや離れた位置に着地する。


 「……」

 「……人間のクセにやるなぁ」


姫川と翠は互いににらみ合い拮抗状態となる。対して紅夜は高すぎるレベルの戦闘に追いつけないでいた。


 (スピードが桁違いすぎる。しかもまだ二人とも技を出し切ってない……)


そして紅夜は一つの決断を下す。



拮抗を崩すかのように一歩踏み出し一心不乱に聖剣を突き出した。


 「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!」


その後は紅夜は何もできなかった。なぜなら、翠と姫川が音速の領域に達してしまったからだ。二人の戦闘中紅夜は動くことも考えることもできなかった。しかし、思考が追いついた時にはもう決着がついていた。



簡潔に言えば相討ちだった。

はい投下終了です。下にちょっと行間っぽいのを一つ投下しますので暇だったらどうぞ。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


 #行間1

ん?どうした。寝れないのか?なんだ、またあの話をして欲しいのか。仕方ないなぁ。えぇっと本は……あった。


……昔々、名もない村に一人の少年の少年がいました。その少年には当時おかしなチカラがありました。村の人々は彼を『鬼の子』と呼び牢屋に閉じ込めていました。その少年は叫びました。


 「やめてよ。助けて」


その少年にはもう親はおらず誰も助けるものはいませんでした。村人達は牢に閉じ込めるだけじゃ収まらず、一週間に一回広場に晒し刑にしました。生きる気力をなくしている少年に通りすがる村人はこう言いました。

 「この化物が」

 「鬼みたいな面しやがって」


ある人は罵詈雑言を浴びせ、またある人は暴力をふるいました。声は枯れ、もう助けさえ呼べませんでした。まさに生き地獄。

そんな毎日を暮らし丸5年。もはや死体に近い少年の前に少女が立ちました。下を向き無表情の彼にはその少女は優しく声をかけました。


 「私と、同じだね」


その少女の手と足には少年と同じように鉄球のおもりがくくりつけられていました。

遅れましたケイです。

ちょっとだけ投下スタートッ!


 ###

相良隠れ家。豪邸の中では大規模な戦闘が行われているようだ。その玄関はひとりでに開きそして閉じた。


 (どこだ……どこにエミはいる!?)


神崎勝。神崎の生き残りであり実験を受けていた頃当時5歳ながら神崎エミに恋心を抱いていたものだ。彼は光を捻じ曲げ姿を見せないまま侵入隠れ家にしていた。


 (あの実験は相良が裏でしきっていたらしい。なら江美の居場所も知ってるはずだ)


その目つきは真剣そのもの。懐には『鷹の目』を小型化させ拳銃レベルのサイズにした狙撃銃『燕の目』を仕込ませてある。勝は音を立てぬよう奥へと向かう。辺りにはたくさんの扉があるがどれも相良のいる部屋ではない。勝は勘だけで突っ切っていく。


 (つーかなんで俺はこんなとこにいんだ?最っ高にいい場面だがそこだけは思い出せねぇ。
『どういう経緯で俺はここに来た?』)


勝は疑問を持ちながらも目的のために足を早めた。


 ###

率直に言えば、紅夜はいなかった。セカンドのメンバーである下里によると相良に翠もろとも連れ去られたらしい。全ての手をなくした神崎は一人ジャック本部に来ていた。


 「……あまりにも都合が良すぎる。なぜだ?そこまで戦局が傾くほど相良は来ているのか?
クッソ。ピースが足りない。あまりにも足りなさすぎる」


所長、紅夜、翠、そして氷也の不在。どれも理由が釈然としない。神崎には、そもそもこの戦いに挑めていないように感じた。戦うためのピースが足りない。『何か重要なこの戦いの鍵が見えない』


 「何かないのか!?チクショウっ!」


神崎は手あたり次第に不自然そうなものを探していく。普段の生活ならそんなものは見つからないだろう。しかし神崎はあることを感じていた。

例えば、甲坂との戦い。そもそも甲坂とは何故戦ったのか。理由が見当たらない。

例えば、最初の相良との戦い。何を熊谷達から守っていたのか思い出せない。

例えば、この時間。いつも優しく語りかけるものがいなかったか。


 「不自然すぎる。俺はこんな大切なことを忘れるほど馬鹿じゃない!!
みんなもこの違和感をかじられていない。『何か』が俺達を突き放そうとしてるのか!?」


神崎は一番古い違和感のある時期、甲坂戦からの記録を漁る。


とあるレポートには能力の発生について書かれていた。しかし一ページだけ不自然に抜き取られている。


 「おかしい。3ページから5ページにとんでる!
やっぱり何かおかしい!」


神崎は日にちが残るであろう電子機器を調べ始める。


テレビの録画には鳴や所長などジャックメンバーが見ないであろう動物番組が録画されていた。しかし、それでも足りない。

パソコンの検索履歴には「学校 友達」と書かれていた。だが、足りない。

今朝、炎波が持ってきた制服は新しく鳴のサイズともあっていなかった。それでも。


 「足りない……!?でも大分わかってきたぞ。ここには俺達が覚えてない人物がいたんだ。その人物はきっと俺達と同い年ぐらいの女の子で、動物が好きな子だ。
学校も知らない前の俺のような子だ。でも、その子が思い出せない……っ!」


神崎は顔をしかめながら頭を回転させる。能力を使い体力を消費して今もずっとスイッチを入れっぱなしにしている。その頭脳をもってしてもその人物をつかめない。


 「無駄、なのか……?こんなことは」


そんな時、不意に携帯がなった。炎波からのメールだ。


 『そっちはどうだ?こっちは頑張ってるんだがまだ見つからない』


神崎はすぐにとじようとした。しかし、そこでふと気づく。携帯は調べていない。咄嗟に受信箱を開くとほとんど消していないメールを見ていく。その人物と思われるメールはないようだ。諦めようとしたとき神崎の目にある文面が見えた。



 『骸骨から逃走中 ニコニコ動画で実況してるよwww 』


夜の学校体験の時に氷也から送られてきたものだ。ふざけた文面としか思えない。しかし神崎はあることを思い出した。


――この時ジャック本部には所長しかいなかった……!?


神崎は飛び跳ねる様にパソコンの前に立つ。


 「確かあの時鳴と俺は二人で行動していた。炎波は消えた。でも最後に校門の前に集まったんだ。『みんな』!!
その時もあいつは、氷也はビデオを回していた!」


なれた手つきでキーボードを叩いていく。そして見つけた。氷也と書かれたファイルには投稿はされていない動画がある。それを恐る恐る再生する。

 『おーおー。来てますね』

 『氷也くん!?何してるの!?』

 「……ッ!?」


知らない声だ。確信する。この声の主が全てを握っている。そして画面は神崎達のいた教室へと向いた。その画面内で神崎が鳴から離れある名前を呼んだ。


 『大丈夫か?姫川』

 『……うん』


画面は動きふわふわとした髪の娘を移す。記憶の奥底にしまわれた少女を。


 「ひめ……かわ……!?」


ピースは、揃った。

終了でーす。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


 #行間2


 「君の名前は?」


優しく笑いかける少女の顔を見ようともしない少年は一言だけ呟きました。


 「僕は……鬼の子だ……」


その少女は驚くこともなくただ微笑みながら少年の重りをつなげる鎖に触った。


 「私もだよ?」


その時、少年についた鎖は泥のように崩れ落ち少年を自由にしました。少年は初めて顔を上げると少女はただ笑って手を取りました。


 「じゃあ、行こっか」


初めての暖かい言葉は少年の胸を包み込んだ。


 ###

御前会議。改めて言うがこの集会は闇という世界を握るトップである。そのメンバーはもちろん護衛に当たる人物達も猛者ばかりだ。そこに予定外の女性が入ってきた。御前会メンバーとその女性のみのいる部屋はありえないメンツだ。ここにいるメンバー全員を知る者がこの現場を見ればこう言うだろう。


――最悪だ。


そんな緊張感の中御前会の中でもさらにトップの男、西村が思い出したかのように呟いた。


 「貴様……篠宮豪の娘か!?」

 「父を知っているとは光栄です」


その女性、仲間から所長と呼ばれている女性は高いヒールを鳴らしながら、彼らのテーブルへと向かう。


 「そういえば私の部下がここを護衛していたはずだが」


武器や部下を大量に保有する喪服をきた男、中村は所長を見ながら問う。所長は失笑しながら当たり前のように答えた。


 「部下……?あぁ、あれですか。
全く不安ですよ。日本のレベル5thがあの程度では」

 「……っ!?」

 「クス。あら、ごめんなさいね。中村さん」


木曽は思わず笑みをこぼしたがすぐにそんな余裕はなくなった。




 「「「「「っ!?」」」」

 「……」


簡単に言えば、所長は机の上に飛び乗った。御前会を見下す形で。武闘派の山村がそれを引きずり落とそうとするが所長はその手を踏んだ。


 「貴様……今やっていることの意味がわかっているのか?」

 「さぁ。でもまぁ一つだけ。あんたらがチンタラやってる間に相良は動き始めている。
止められるのか。あれを。今に分かるぞ。自分達が放し飼いしていた犬の脅威を!」

 「……」


御前会議の返事はなかった。

ちょっと時間がなく少なめです。

あ、600いきました。初めてだ!質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

うぃす、ケイです。場面変換多くてすいません。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


 ###


 「グハッ!?」


長い一本道の廊下で何もないところから神崎勝の姿が浮かび上がってきた。その口元には血がうっすらとにじんでいる。


 「全く、ここまでしておいて姿を隠したぐらいで大丈夫とでも思ってたんですか?」

 「最っ高……じゃねぇか。どうやら、本物の相良じゃないみたいだし」


先ほどの勝同様、何もない場所から相良が現れた。しかし一つ違うところを上げるとしたら、その顔に余裕の笑みがあるとこだろう。他の相良と同様、黒いスーツを着ている。


 「ご用は何でしょうか?」

 「てめぇにはねぇな。あるのは本物の相良だけだ」

 「一応私の感覚を通じてマスターには伝わりますが?」

 「……そうか。なら」


勝は懐に手をいれすぐさま『燕の目』を構えた。


 「宣戦布告的なことぐらいしといてやるよ」


躊躇なく引き金を引く。もともと長距離の標的を仕留めるための武器だ。それを5Mという至近距離で放てばどうなるか。銃の反動に押しやられながらも勝は持ちこたえる。油断はしない。

なぜなら、この相良は先ほど自分と同系統のチカラを使ったからだ。

予想通り、相良の残像は先ほどと同じように笑っている。瞬間、再び銃声が響いた。勝のものではない。相良の拳銃だ。その弾道は確実に勝のこめかみを貫いた。


 (貫いた!?この拳銃は頭蓋骨を貫通するほどの力はない。ということは全く同じことをッ!?)


姿を消す相良の耳元で突然少年の声が囁かれた。



 「今の銃弾が壁にぶつかった。その位置から逆算すればお前の像は最高に見えてくる」


チャキ……と誰もいない廊下で不自然に音が響く。


 「今の声で私もわかるんですけどねぇ!」


相良は思い切り裏拳気味に、拳銃を振り回す。当たりはしないものの地面によろつく勝の姿が見えてきた。相良はそれを見下ろし勝ち誇ったような笑みをこぼした。


 「ハハッ!何が宣戦布告ですか。この程度で相良に勝てると思わないでください」

 「……」


勝は腰を下ろしたまま相良を見据える。


 「全く。相良も舐められたものですね。一斉に神崎達がきますがこれじゃ計画にはなんの支障もないですね」

 「……」

勝は表情を変えずただ相良を睨み続ける。相良は勝利を確信したのか相良の個体としては珍しくベラベラとしゃべり始める。


 「ふふっ。何も言えませんか。それはそうでしょう。神崎全員の人質がこっちにはある。これが意味するのはよくわかりますか?
神崎透は姫川を相良に取り込み突き放し、神崎紅夜は桜梨杏を偽メールで捕らえた。アナタの大切な人ももちろんこちらの手の中です」

 「……っ」

 「神崎江美は今マスターの手にあります」

その時、勝の体にノイズのようなものが走った。それは『幻覚を解くとき』に起きる現象だった。


 「なっ!?」

 「ったく。この相良なんてこの程度か?」


ゴッッッ!という轟音を後頭部から放ち相良は倒れていく。勝はめんどくさそうにため息をつくと相良の頭を踏みつけ呟いた。


 「江美はそこにいんのか」

 「いつから後ろに……っ!?」

 「最初からだっつーの。んん。もういいやよく話してくれたし」

 「ま、まて……っやめ……!?」


勝は汚いものを見ないように相良を視界から光学的に消す。


 ###

照りつける日差しの中、白衣の浜田は人混みのなかで息を切らしていた。


 (何なんだよ。ホモかあいつらは!?人をストーキングしやがって)


汗を拭いながら人を避けていく。手には古い折りたたみ式の携帯が握られている。


 (姫川の情報を取ろうと家まできやがって。一応教師だから生徒の情報は伏せるけどよぉ!)


後ろからは同じ顔の人間が二、三人追いかけてきているが人が多いせいかうまく走れないようだ。浜田はそれを確認すると素早く道路に出てタクシーを呼び止めた。


 「すいません。警察まで」

 「ひぃ!?じ、自首ですか!?」

 「ちげぇよ!いいから早く!!」


若い運転手はビビリながらもゆっくりと車をはしらせる。浜田は深呼吸するとこれからの計画を立て始めた。


 (とりあえず警察行ってかくまってもらうか。俺みたいな中年がこれ以上逃げ切れるわけないし。
それにしても、何なんだ?この状況。あの事件以来家族にも迷惑かけるし。そう思ったらあのそっくりさんだもんな)


浜田は軽くため息をつき、おもむろにガラス越しに後ろを振り返る。


息が止まるかと思った。


あの男たちを乗せた黒塗りのキャンピングカーが猛スピードで追いかけてきているのだ。


後部座席から身を乗り出すようにして運転手に指示をする。


 「済まない!急いでくれ」

 「へっ!?」

 「頼む!」


運転手は最初は戸惑い慌てていたが後ろのキャンピングカーを見ると突然目つきが変わった。


 「……任せてください」


この男は制限速度といものを知らないのだろか。吐き気を催すほどのスピードで道路を突き進んでいく。


 「お客さん!あの車ですね!」

 「あ、あぁ。ってうぉ!?こんな裏道いけんのか!?」

 

運転手はもちろん、とガッツポーズをすると何やら予想外のことを話し始めた。


 「いやまさかお客さんがヤクザのかたとは。辞めるって言って親玉から追われてるんですね!?」

 「は?」

 「僕も実はこの前までその道のものでね」


わらいながら車が通るべきなのかというほどの道を躊躇なく爆走していく。


 (当たりの……運転手さんなのか……!?)


ひとまずはキャンピングカーはもう見えなかった。

最終話ということでなんとか全員出場させたいですね。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

しばらく投下できずすいません。時間がなくて……

書きだめすらないですが投下スタートッ!


 ###

再び、御前会議。この部屋にある椅子は本来は五つである。しかし今は特例として六つに増えていた。六つ目の椅子に座る所長は足を組みでかい態度をとっている。


 「……ということでね。理解してもらえたかな。相良と佐山翠という存在がどれほど恐ろしいかを」


声のトーンを変えず淡々と告げる所長を嘲笑うかのように幾千もの兵力を持つ中村がほくそ笑んだ。


 「相良はともかく佐山の方は信憑性に欠けるな。この国の、いやこの世界の最高機密が簡単にいてたまるか」


他のメンバーも同じような顔をしている。西村を除いて。

所長はわざと聞こえるように舌打ちをすると、偉そうに右足を机の上に置いた。御前会メンバーからはどよめきが聞こえるが所長は気にせず少しだけ声を低くして呟く。


 「この老害がっ……!」

 「何ぃ!?貴様無礼だぞ!さっきから何をしているのだ!
しかもこの机の意味がわかっているのか!?闇の世界を決めてきた日本の軸だぞ!?」


中村は思わず立ち上がり所長に激昂した。それを所長は鼻で笑うと机の上で脚を組んだ。


 「軸?何を言ってるんだ。基盤も無くなれば支えるあんたらはいらんだろう。
……いいから話しを聞け。これは日本ではなく『世界』そのものに関わるかもしれないんだ」


ホントマジですいません……あ、日曜とかの暇な時に読んでくださればきっと金曜とかでかけてると思うんで。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


 ###

電子機器を探ることで、『姫川』という存在を発見した神崎はそれを手がかりに浜田を捜索していた。携帯で炎波をコールし現状を話す。


 「姫川って知ってるか。どうやらジャックにいたらしい」

 『ヒメカワ……さん、ねぇ。わっかんねぇな。なんか頭がモヤモヤしててあんまり』

 「そうか。所長が何か知ってるかもしれない。そっちも捜索頼むわ」

 『んん。こっちはこっちで大変なんだな』


神崎が怪訝な顔をしたその時、携帯のスピーカーからかん高い音が響いてきた。


 「……っ!?なんだ、どうした!?」

 『絶賛戦闘中だよ。しかも全員相良だ。……っとこれ以上は無理』

それだけ言うと炎波は勝手に切ってしまった。戦闘中の炎波と鳴を気にしつつおもむろにつけっぱなしのテレビに目を向ける。


 『え~、先ほどの国道での速度規制違反のキャンピングカーは現在姿をくらましており……』


アナウンサーが淡々とと告げる中で、その事件の中心であるキャンピングカーが映し出された。その映像は某ハンバーガー店の監視カメラのようでキャンピングカーが通る前の国道の様子も一瞬映った。当然、浜田を乗せたタクシーも


 「みっけ……!」


 ###

紅夜は廊下に誰もいないことを確認すると気を失った佐山のもとに向かった。


 「大丈夫ですか!?佐山さん!」

 「……っいてて。まぁ」


倒れた佐山は突然ケロリとした様子で起き上がった。紅夜は一瞬びっくりするもすぐに安心した顔に変わった。


 「ホント大丈夫ですか!?あの……その腕とか」


紅夜は遠慮しつつ佐山の腕に目をやった。あの戦闘中の黒い体の部位はすべてなくなり綺麗な肌に戻っている。それに気づいた佐山は照れ笑いながら右腕をさすった。


 「ごめん。今は言えないんだ。でも……もう、わかってるかも知れないけどさ。
人間、ではないんだよね」

 「マジ、ですか……」


沈黙が辺りを包む。紅夜も薄々気がついてはいたがこうも口頭で聞くと、ショックだった。というよりも驚きという方が正しいだろうか。なんとも言えない感情が紅夜を支配していく。苦い表情の紅夜はそれ以上なにも言えなかった。

その時、扉の方から足音が響いた。

最近は投下少ない……なんとかします。

有言実行(笑)で頑張るぞ!投下スタートッ!


 ###


 (せっこい手ェ使いやがって。この金太郎飴軍団!)


不自然に人が少ない自然公園で、炎波としては珍しく素手で戦闘を行っていた。なぜなら、後ろに学友である沙織と綾乃がいるからだ。


 「お前ら!早く逃げろ!」

 「い、いやぁ。腰が抜けちゃって……」

 「ったく。透でも呼ぶか!?」


炎波は心の中で本気でうんざりする。この二人は一般人だ。相良に囮にされたからといって闇を見せるわけにもいかない。神崎を探しに来ていたらしいがそんなことはどうでもいい。守るしかないのだ。トモダチを。


 「かといって本気出したらグロいしな……!」


炎波は襲いかかる無数の相良を徒手空拳でなぎ払う。鳴も遠くで奮闘しているようだが、能力を使い本気を出しても見た目的には問題ないだろう。問題は炎波自身だ。相手はいくらレベル2nd程度だからといっても闇で戦える能力者だ。普通の能力者とはわけが違う。さらには全員相良の顔をしている。さすがの炎波も素手で精鋭百人を相手にできるほど強くはない。守りながら戦うというのも足かせだ。


 (相良にしてやられた……!全てにおいて不利じゃねぇか!)

 「炎波さん!右!」

 「っ!?」


前にいる相良を倒すため右ストレートを繰り出した炎波の顔を、クロスカウンターのように別の相良の拳が捉えた。容赦なく叩き込まれたそれは炎波の体を仰け反らせ口の端っこを切った。ふらつく炎波は驚いたような顔で唇に触れ血が滲んでいることを確認した。


 「炎波くん!大丈夫!?」


地面にへたれこむ綾乃が叫ぶが炎波の応答はない。背中を丸めた、ヒドイ腹痛の時のような態勢で炎波はニヤリと笑みをこぼした。だらんと両腕を垂らすとゆっくりと体を起こした。


 「あ~。ダメだ。ダメだダメだダメだッ!こんな勘違い野郎のクローンもどきはこの手で殺さなきゃ気がすまねぇよなぁ!?
そうだろ!?相良クンよォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!?」


先ほど炎波を殴った相良の手を掴むと無造作に炎を噴射させた。切断したのではない。消し飛ばしたのだ。相良まるごと。

沙織と綾乃はあまりの出来事に言葉を失っていた。一瞬の出来事。炎波が掴んだ手の持ち主が消え去った。あるのは黒いゴミだけ。沙織はそれを見た瞬間気絶し、綾乃は黄色い吐瀉物を吐き出していた。


しかし炎波は気の求めない。通りすがりの通行人がクシャミをした、その程度だ。むしろ苛立ちさえも覚えている。

これが狂犬として育ってしまった悪党だ。いくらヒカリに触れようと黒に染まっていく。それを改めて実感させられた。炎波は次々と相良をなぎ払い消し飛ばす。その目はやはり無邪気な子供のそれだった。


 「おォいいい!!もっと頑張れよ、相良クゥゥゥン!?」


目の前の相良の顔を掴む。その手には炎はない。しかし炎の余熱はたっぷりとあった。音を立てながら相良の顔は熱を帯びてスライムのように変形していく。綾乃の小さな悲鳴は炎波の笑い声にかき消されなきものとなっていく。


 「えっ……炎、波く、ん……」

 「なんだぁ?何だァ?何なんですかぁ!?うるさいやつは消しちまわないとなぁ!?
俺のカンに障ってんじゃねぇよォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


理不尽すぎる暴力と虐殺の矛先は綾乃へと向かった。本来守るべきだった綾乃へと。炎波が綾乃の顔を触れようとした、その一瞬の間に炎波のこめかみに再び拳が入った。先ほどの威力よりも明らかに高く、炎波の頭は体ごと吹き飛んだ。


 「ってぇなぁ!?鳴チャン」

 「頭冷やしてください。ひとまず炎波さんはこの辺の相良を殺していいですから。
綾乃さんは私が保護します」


いつもならば。氷也が力づくで押さえ込むところだが今回ばっかりはそうもいかない。鳴は炎波にビビりつつもしっかりと告げた。しかし。


 「はぁぁ!?なーに命令してんだよ。言われなくてもそうするし。そいつは殺しがいがないもんなぁ?」


ニヤリと笑みをこぼした炎波に戦慄しつつ鳴は綾乃を担ぎ上げこの場を去っていく。数十人となった相良がそれを追おうとするが炎波が立ちふさがった。


 「は?何してんの。お前らの人生はもう俺が握ってんだからさぁ。
ん~、そうだな。全員死刑☆でけってーい。大丈夫、大丈夫。怖くないよ。痛みしか感じないほどにぶっつぶしてやるからさぁ!」


――たったひとりで数十人の精鋭に立ち向かう少年の名は、日野炎波。

奪った命は四桁に到達している。


友達にしたくないランキング(ケイ談)一位炎波さんが奮闘、というところで。
スッキリまとめたいなぁ

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

今日は書きだめ文を投下スタートッ!


###

この公園が赤く染まるのは決して太陽のせいではない。鉄の匂いと生臭い匂いに包まれる炎波のせいだ。


 「くっせぇなぁ?オイ。やっぱ生ゴミを燃やしたら臭うか」


グチョリ、という生理的嫌悪をさそう足音をたてながら炎波は公園をあとにする。目的地はない。この殺意を満たす人間を求めておもむろに足を進めた。


 「さぁ。人狩り行きますかぁ?」


適当な冗談を呟きつく炎波の目には、大好物を目の前にする子供のような無邪気さと蟻を潰すような残忍さしかなかった。

警察に向かう神崎の電話が唐突になった。ディスプレイには愛野鳴と表示されている。急いで通話ボタンを押し携帯を耳に当てた。


 「どうした!?」

 『綾乃さんと沙織さんが相良の軍団に襲われてたので下里さんに預けてきたら、浜田先生もいたんですけど』

 「そうか!なら俺も所長搜索に合流する。炎波はどこにいる?」

 『それが、いつもの病気がでたみたいで……公園に置いてきました』

 「わかった。とりあえずもう一回公園に来てくれるか?炎波とも話し合いしたい」

 『おっけいです。では』


プツリと通話が切れたのと同時に神崎はまた走り始める。


能力のスイッチを入れたまま。


相良隠れ家。実験室の扉の方からの足音に紅夜と佐山は警戒していた。息を止め、音を立てぬようにする。


 「(相良の可能性があります。俺が戦ったことがある相良とはきっと別物だと思います。
戦力がわからない相手からは逃げましょう)」

 「(でも……この娘は?)」


紅夜は苦い顔をし決断したように狭山に告げる。


 「(恐らく彼女はもう死んでいます)」

 「(……っ!?)」

 「(相良に取り込まれて姫川という存在は消えた。
あれは姫川の形をした相良です)」

 「(でもッ……!)」


佐山はなんとか食い下がるが紅夜は諦めろと言わんばかりに現実を叩きつける。


 「(それが相良なんです!アイツは人の命をなんとも思わないニンゲンなんです!!)」

 「心外ですね。私はただ自分の目的を果たしたいだけですよ」


心臓を鷲掴みにされた。そう断言していいほど驚いた。扉とは逆方向。実験室の奥から空間移動でも使ったのか相良が現れた。


 「相良……しかも本物」

 「えぇ。まぁ、別に本物なんて常識は私が崩すことも可能ですが」


白いスーツを身にまとうその姿は紳士と呼ぶにふさわしいだろう。しかしその白は、純白ではない。汚れた白とでもいうべきか。相良は姫川を担ぎ上げると紅夜の目をじっと見た。


 「まだ半分しか引き出せていないようですね」

 「なんのことだ」

 「わかっているでしょう?アナタはその程度の能力では止まらない。
世界を滅ぼす程度では終わらない」


相良は手を前につき出す。それは紅夜の心臓に向いていた。相良の手にチカラが集まっていく。相良である姫川のチカラが。

瞬間、紅夜の体があの時と同じように鼓動した。自然超越を初めて発動したあの時と同じように。


 「ッ!う、ううううううううううううううううううううううううううううああああああああああああああああああああああああああああああああああああァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ」


佐山の隣で紅夜が地面をのたうち回る。その目は両方共赤く染まっていき、それと同時に髪も漆黒に染め上げられていく。


 「貴様……何を!」

 「なに。姫川のチカラを使い紅夜の中のもう一人をもう一度呼び出すだけですよ」


紅夜さん覚☆醒

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

うぃす、ケイです。書きだめないんで今日はゆっくりです。

いつも通り投下スタートッ!


みるみるうちに紅夜の髪が目が別の色に染まっていく。髪は闇の象徴である漆黒に。目は限りなく黒に近い赤に。その変化に連れ紅夜の左手に何かが集まってきていた。


 「あぅぅあ……あ゛!?ヤメ、ん……あ゛ァ!!!!」


紅夜はエビのように体を反らせながら絶叫する。血管がところどころに浮き出ており目からは血の涙を流していた。


 「ニンジンくん!?どうしたの!?」


相良は空間移動で気を失ったままの姫川をどこかに飛ばすと、クスリと笑みをこぼし指を鳴らした。


 「出てこい。私の最高傑作よ」


鼓動。


咆吼。


そして、覚醒。


瞬間、紅夜の左手には世界を掴むチカラが備わった。もうだれも彼を止められない。


 ###


 (なんだ……あれ……!?)


勝は姿を消したまま実験室を遠くから見ていた。全開になっているドアからはかろうじて三人見えた。そこにはかつての戦友である紅夜の目の色が変わり、彼の最大の特徴であったニンジン色の髪が漆黒に染まっていた。

そしてもっとも特筆すべきであろうところは左手。元々は左手が真っ赤な炎に包まれる程度の能力だったはずだ。しかし今は黒く禍々しい何かに覆われている。それに対し、勝の本能が危険信号を出していた。


 「何やってるんだ、アイツ!相良もいるし……だーもう!行くしかねぇだろ」


超軽量狙撃銃『燕の目』を構えると相良の心臓を狙い、そして発砲した。その銃弾は螺旋を描きながら、ただただまっすぐと進む。空気抵抗を最大限に減らすために加工された弾は確実に相良の心臓へと確実に向かっていた。

乾いた発砲音が響く屋内で『燕の目』によって放たれた銃弾は。相良を殺すために放たれた銃弾は。


空中で動きを止めていた。


空中に縫い付けられたかのような銃弾の隣には、整然と立つ紅夜がいた。その握られた左手には黒い何かが集まっている。そして紅夜がポツリ、とおもむろに呟いた。


 「……世界を掴むチカラを」


その時、相良は笑っていた。

紅夜さんの「世界を掴むチカラを」はワンピのローみたいな感じで、空間を無視して目標に干渉します。まだまだ紅夜さんの技はありますよ。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

はい、どうも。今日も淡々と投下していきますよ。

ではでは投下スタートッ!


驚愕する勝と佐山を横目に紅夜は握っていた左手を離した。するとそれに連動するように空中に止まっていた弾が落下していった。その後、紅夜はこれといった動作もせずただ立ち尽くしている。


 「ニンジン、くん……?」

 「どうなってんだ……!?」


重力も慣性も何もかも無視をしたこの現象は、明らかに世界の常識から外れていた。

相良はおもむろに落下した弾を拾うと紅夜に軽く投げつけた。すると紅夜は裏拳気味に左手を振るい、弾を手の甲に激突させた。


 「……世界を砕くチカラを」


衝撃波。そのような言葉では表現できないほどの波が空気をかけた。それは音速を超えて佐山を強襲する。地面をえぐりながら放たれた直径3Mの空気の波は佐山を完全に捉えその華奢な体を軽々と吹き飛ばした。それに相良は歓喜し手を叩いた。


 「素晴らしい。あの一族を凌ぐチカラ。あの娘を受け止める器としてはやはり紅夜が正解でしたか!」


実験室の壁ごと貫き吹き飛んだ佐山の体は瓦礫にうもれ、見えなくなっていた。

勝は焦りながらも相良に向けて再び拳銃を構える。次は姿を消し5M前に像を移しているため、紅夜の正体不明の攻撃は当たらないとふんだ。しかしそれすらも紅夜に対しては通用しない。


 「世界を見渡すチカラを」

 「世界を裁くチカラを」



凄まじい音と共に何もない場所から腕が落下した。その後、勝の姿が霧が晴れるようにあらわになっていく。その肩からはとめどなく血が噴射している。


 「あ゛ッ!?」


勝の視界は朦朧としこの一撃だけで、敗北の寸前までに来ていた。

だが、彼にも目的がある。江美を助けるためにも相良を殺さなければならない。しかし、邪魔者がいる。かつての戦友だ。かつての戦友なら、戦えない?かつての親友なら殺せない?

答えはNOだ。


 「邪魔……すんなよ……!おい、紅夜。てめぇ、俺が世話してやったこともあったな……
長い付き合いだ。でもなぁ。ここでお別れだ、バカ野郎」


残った左手で勝は引き金を引く。躊躇はしない。目的のためならば。


 「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 「世界を――チカラを」

紅夜を強くしすぎたかな?作中最強キャラだもんなぁ

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

こんばんは。

また地震があったみたいですね。大丈夫でしたか?自分は九州なんで大丈夫でした。

投下スタートッ!


次は、左足が飛んだ。次は、右腹をえぐった。何をしたのかわからない。しかし、結果そうなっている。勝が放った銃弾はもうすでに跡形もなくこの世界から排除されていた。すべてが無駄に終わった。勝はあっけなく地面にひれ伏し倒れている。一つだけ奮闘したのは紅夜の目の前まで来れたということか。


 「紅夜。もうそいつはいらないでしょう?準備体操用のゴミはもう捨てなさい」

 「……」


人格が消えたのか従順に従う、というよりは何も分からない子供のように紅夜は左手を構える。勝は血だまりから残っている左手を紅夜の足首に伸ばした。


 「こうやぁ……ふざけてんじゃ……」


勝の左手は紅夜の右足を握る。紅夜はそれが気に障ったのかチカラを振るい、その左手を風船のように炸裂させた。


 「うぁぁあああああああああああッ!?」


両腕を失った勝は涙を流しながら紅夜の足にかじりついた。


 「クソォ……江美はお前らには渡さねぇ……絶対俺は……俺はっ……」



 「世界を滅ぼすチカラを」


勝の叫びを無視して紅夜は黒い聖剣を握る。その目には慈悲なんてものはなく、姫川同様感情が無いようだった。


 「ハァ……!覚えてろよ、紅夜。俺はお前をゆるさ――」


荒野は適当に聖剣を振るった。たったそれだけの動作で生命を消し去る。たったそれだけの感情で仲間を消し去る。勝の顔はなくなり、その血だまりには大きく裂けた胴体と右足しかなかった。


 「さぁ、もういいでしょう?行きましょうか。アナタの使命を果たしましょう」

 「……しめい……?」

 「えぇ。アナタが生まれてきた意味を肯定する儀式です」


紅夜は無言で頷くと相良に近づいた。相良は静かに笑うと、紅夜と共に空間を跳び、そして消えた。


 ###

公園にようやく到着した神崎は鳴と合流していた。


 「炎波はどこだ?」

 「ヤバイですね。一般人に手を出していたら」

 「いや、すぐに見つける」

 「どうやって?」


神崎は目を閉じて集中する。そして、炎波の携帯から放たれている電波をたどり始めた。


 「これがおれの本来のチカラの使い方だ」

 「目閉じたまま大丈夫ですか?」

 「大丈夫だ。問題ない」


二人はゆっくりと炎波を追っていく。

きっと神崎は明日バトルだと思うんだ……

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

どうもです。えー今回は神崎さんでません!

投下スタートッ!


 ###

神崎達が捜索している炎波は現在、何の因果か相良の隠れ家の前にに来ていた。


 「ギヤァハハハッ!?いいねぇ。血の匂いがするなぁ、オイ」

 「フヒヒ。なーにしてんのかなぁ」

 「あァ?」


玄関を壊そうとしたとき不意に炎波に声がかけられた。炎波が振り向くとそこには見覚えのある青年が立っていた。顔の左半分は相良に覆われ、右半分は人をバカにしたような笑みをこぼしている。


 「なーんか見覚えあるなぁ?だーれですか?」

 「フヒヒ。破音チャンっていえばわかるぅ?
まぁ、厳密には相良<<マスター>>が破音の死体を再構築し、そんでもって脳にある記憶から破音っつー人格も再構築したんだけど」


こめかみ部分を人差し指で叩きながら破音(?)ははにかむ。炎波はその笑みが気に食わないのか舌打ちをした。


 「どーでもいい、けど一応死んどく?どうする?やめとく?
めんどくさいから死んどけよ」

 「フヒヒ。レベル差わかってんの?」


空気を引き裂きながら破音の右手に黒い物体が球状に収集していく。それに炎波は特に驚きもせず呆れた目で見ている。


 「オイオイ、ナルシス野郎。テメェのせいでだいぶ萎えちまったんだが」

 「あっれぇ?興奮してたの?」

 「黙ってろよ、生ゴミ」


破音もなおケラケラと笑いながらこの状況を楽しんでいる。


 「フヒヒ。生ゴミって言われちゃった、キャハ☆
まぁ、否定はしないけどねぇ」

 「そうか、じゃあ……廃棄処分していいか?」

 「フヒヒ」


炎波は無造作に右手を横に振る。その時炎を右手から炸裂させることで、広範囲への爆炎を放った。


 「お前の能力は原子を消すんだったか?なら、燃焼っつー現象は消せねぇだろ!」


紅蓮が破音を吹き飛ばそうとする。しかし、破音に到達する一歩手前で全てが急に消え去った。


 「フヒヒ。現象には必ず理由があるんだぜ?なら、それを消せばいいだけの話じゃん?
空気中のチリ、酸素。これだけで十分だろうが」


破音は姿勢を低くし、決して真剣なトーンではない声で小さく呟いた。


 「……自然超越。なめてんじゃねぇぞ」


破音の目が不自然に赤く染まった。


何もない空間からこの世には存在するべきではない物質が、破音の右手のひらに集まっていく。右腕を押し出すような形で破音はそれを飛ばした。一撃必殺の物質。かつて、人類トップクラスの氷也の腕を奪った一撃。それが、炎波の心臓を狙い放たれた。


 「な、消えた!?」

 「せっかく三次元に生きてんだ。もっと空間を活用しやがれ」


破音の真上。両手からジェットブースターのように炎を噴射している炎波がいた。両手を上に上げ、炎の大剣を掲げながら落下していく。


 「キャハ。狙い撃ちだぜぇ!?」


その言葉通り破音は黒の槍を上空に放つ。炎波は慌てることもなく手を前につき出すことで横にスライドしていく。綺麗に着陸した炎波はにやけながら地面に手をついた。


 「この辺のコンクリはちょっと湿ってんなぁ」


笑う炎波の体を白い気体が包み始めた。


 「フヒヒ。水蒸気なんて俺にかかれば紙よりカンタンに裂けんのに」

 「そう思ってんなら好都合だな」

 「……?」


破音には見えていなかった。炎波の下のコンクリートが溶け始めていたのを。

コンクリってどんくらいの温度で溶けるんすかねw

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


破音は距離を縮めながら黒の槍を両手に備える。ターゲットはもちろん、水蒸気に包まれる炎波だ。槍を打ち込もうとした瞬間、水蒸気の狭間から微笑む炎波の顔が見えた。


 「なぁ……自然超越は頭もいいんだろ?」

 「今さら何を」

 「じゃあさぁ……」


両手をダラリと下げたまま炎波は破音を睨んだ。


 「水蒸気爆発ってのも知ってるよな?」

 「コイツ……っ!?」


破音のが飛び跳ねる前に炎波を起点にして、衝撃波と爆炎が炸裂した。空気を音速に近い速度で駆け巡る衝撃波は確実に破音に向かっていた。もちろん、炎波の体も無事ではない。アッパーカットを顎に喰らったように、体を大きくのけぞらせ口から吐血している。しかし、その顔には苦悶の表情はなく、余裕そうな微笑みと共に破音に嘲笑を向けていた。


 「さっきお前は俺の炎自体は消せなかった。そう、お前は現象は消せねぇんだ。
なら、答えは簡単。衝撃波っつー現象で叩けばいい話だ」


砂塵が立ち込める中で炎波は勝ち誇る。辺りは砂塵が邪魔で視界が悪く、破音の姿は見えず生死は確認できない。しかし炎波とは違い爆炎も受けているはずだ。恐らく、瀕死の状態だろう。


少なくとも当たっていればの話だが。


 「フヒヒ。狙いはおーけー。だが、ダメだな。全く、学習しねぇなオイ」

 「ッ!?」


砂塵を切り開いて破音は君臨する。その体には傷一つない。


 「あっれぇ?まさかその顔。今のが本命だったのかなぁ?ごめんねぇ、キャハハ」


生理的嫌悪を与える汚い笑みを作りながら破音は炎波との距離を縮める。



 「たーしーかーにー。狙いはいいんだがなぁ。さっき炎が届かなかったのは覚えてねぇの?」

 「まさか……真空に……!?」

 「そう。空気中の物質を全部けしてみました☆」


破音は右手を天に掲げ、黒い物質を生成する。


 「そもそもがさ。レベルが違うんだよね。う~ん、言うなら猫とチーターっていう感じ?ま、いっか」


そして、その物質をそのまま上に飛ばした。それはある程度まで行くと重力に従い、炎波のもとに落下していった。それは黒の雨。範囲も広く、当たれば絶対的な一撃。


 「チェックメイトだ」


黒の雨が無情にも地面を貫いていく。文字通り蜂の巣。だが、その蜂の巣には炎波の死体はなかった。黒の雨が地面を貫く直前、確かに破音には見えた。黒髪の少年の飛び蹴りによって炎波が射程範囲から吹き飛ばされるのを。黒髪の少年は紫電をまき散らしながら蜂の巣の道路に佇んでいる。


 「何人様の仲間に手出してんだ。コラ」


炎波はこの二人から大きく離れた位置で血をにじませながらうずくまっている。

破音は炎波を視界から外し、神崎へと目標を変えた。


 「フヒヒ。あらら、これはこれは神崎の生き残りクンじゃーん。
渡クンはお元気かな~?」


果てしなく人をバカにした表情の破音は爆笑しながら神崎から距離をとる。


 (フヒヒ……。おかしいだろ、こりゃあ!?レベル5th級じゃねぇか!?
覚醒なんていう主人公補正ですかぁ!?)


冷や汗を拭いながら黒の槍を作り出した。そう、渡を殺した一撃を。


 「ホラ!渡クンと同じように殺してやるよ!」

 「バカか、テメェは」

 「フヒヒ。だーかーらー、目上は敬うって幼稚園で習わなかった?」

 「あいにく目上とは思わないんでね」


神崎は紫電をまき散らし破音を牽制しながら突進する。すでにスイッチは入り、時間も十分にたっている。ただの突進でもそのスピードは自動車に匹敵する。破音は黒の槍で応戦しようとするが、あまりにも遅すぎる。神崎はラリアット気味に破音を押し倒し、顔面を踏み抜く。


 「いっ……!?」

 「遅いぞ。自然超越」


神崎の舌打ちと同調して、目を覆うような閃光が破音を襲う。


 「その……程度で、勝てると思ってんじゃねぇよ!!」


閃光を塗りつぶすかの如く漆黒が生まれる。神崎はそれを危険と察知したのかバックステップをして、距離を取る。


 「逃げやがって……っ!」

 「ホントバカだな」



グシャり。

鈍い音と共に再び破音の顔面が陥没すつ。


 「誰だ……どこから出てきたんだ」


血のにじむ破音の視界に甘栗色の残滓が残る。神崎の後ろから完全に死角に入り拳を振るった鳴は追い討ちをかけようとする。


 「くらえっ」

 「フヒヒ。そう何度も喰らうとでも思ってんのかぁ!?」


鳴が殴ろうとした眉間に黒の球が出現する。鳴は急いで腕を引こうとするが体が追いつかない。その鳴の服を引っ張り神崎が鳴を退けさせる。


 「フヒヒ。余計なことすんなよ。面白い光景が見れそうだったのにさ」

 「俺たちはお前みたいにゲスな趣味じゃないんだよ」

 「そうか?」


破音は両手を広げる。



 「ニンゲンなんてゲスなもんだろう?フヒヒヒッ!無様に偽善者が死んだり、命乞いとしてんのは見てて爽快でしょ」

 「……確かにそうだな。人が死ぬのを見るのは興奮するってのはわかるなぁ」

 「神崎さん!?」

 「フヒヒ。んだろ?」


神崎は鳴を後ろに追いやるとはにかんで呟いた。


 「ホント、お前みたいなのがバカが死ぬのは見てて気持ちがいいよ」

 「……かっちーん。うぜぇ野郎だな
……死ねば?」


神崎が先手を取る。紫電の大砲を躊躇なく破音に向けて放つ。しかし、破音は臆することなく黒の壁で防いで見せた。


 「その黒いのを破るのが鍵だな。行くぞ、鳴」

 「はい」


神崎は勢いよく地面を蹴り低姿勢で地面を駆ける。鳴もやや遅れて前に進む。鳴が行った行動は平たく言えば牽制だ。もちろん、神崎が本命である。


 (できるだけ奴の視界から神崎さんを出す!)


鳴は黒の壁を横から潜り抜け破音の腹部にフックを放とうとするが、これはゆうゆうと躱された。だが、鳴の役割は完全に果たした。神崎は素早い動きで破音の後ろをとっている。


 「俺は自然超越だゼ?いくら雑魚が来ようとまぐれでも勝てねぇんだよ」


神崎が全力で紫電を放つが、破音全体を包み込むように黒の壁が展開され防がれる。舌打ちする神崎と鳴に不意打ちとでも言わんばかりの攻撃が放たれた。破音を包んでいた黒の壁が放射状に粒になって彼らを襲った。


 (まずい……これはよけられないっ!?)


今度こそ回避不可能。神崎と鳴の体を黒い粒状の物質がいくつか貫いた。神崎は右の太ももと心臓付近を。鳴は両足の膝をかすり取られた。


 「っ!」

 「いっ、いたぁいィィ……!?」


破音は髪をかき揚げ誇らしげに口を開いた。


 「よう、雑魚。ようよう雑魚サン。ご気分はどうかな」


鳴は両足をやられ立ち上がることができない。しかし、もっとも注目するべきは神崎だ。神崎は能力の特性を覚えているだろうか。生体電気を完全に操り、時間が経つごとに身体能力、知能、能力を上げることができる。この万能に見える能力にもデメリットはいくつかある。

一つ目はスイッチを入れた直後はチカラが平均レベルだということ。

二つ目は制限時間があること。

そして、三つ目は痛みが増幅されるということだ。

書きだめいっぱいしてても書き込んだら意外と少ない。よくあるよねー

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

今日もなんちゃって書きだめと現行で投下スタートッ!


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俺はこの世で一番汚くて最悪で有害なゴミだった。理由もなく人を殺し続け全てに迷惑をかけていた。そんなことは言われなくてもわかってる。なんせ、今もそうなんだから。


でも、アイツは俺と会った時こう言ってくれたんだ。


 「理由もなく人を殺した奴はただの犯罪者だ。確かにそいつはこの世にはいらないし、いて欲しくもない」




 「でもさ」



 「理由があって、そいつなりのけじめがあって殺しをしたんなら、そいつはただの悪党になれる。そう、思うんだ」



理解できなかった。同い年なのに変に持論を持ってるんだな、と俺はその時は受け流していた。


でも、今ここで俺はようやく理解した。


思い出そう。アイツの笑顔を。

思い出そう。あのバカの温もりを。


そして、俺は立ち上がる。





俺は悪党に成り下がってみせる。



瀕死の神崎。行動不可能の鳴。絶体絶命の状況だった。破音は顔の血を拭いながら一歩ずつ一歩ずつ、足を進めいていた。神崎を見下ろす体勢になると冷たい声でこう言い放った。


 「フヒヒ。手間ぁかけさせやがって。そんなに死にたいならそういえっつーの!」


ゴッ!と鈍い音が鳴に神崎が蹴られたと知らしめる。鳴は当然激昂した。


 「神崎さん!?……こんのクソ野郎がッッッ!」

 「オイオイ。女の子がそんな言葉使いはダメでしょうが。
悪い子は寝んねしときましょうねッ!」

 「……っ!」


神崎同様鳴も腹部を蹴られ地面を転がっていく。あまりの蹴りの威力に気絶しているのか反応はもうなかった。


 「さーて、どいつから殺しますかね。フヒヒ」

 「俺のオススメはお前からだな」


不意にかけられた言葉に破音は後ろに勢いよく振り返る。炎波だ。目立った外傷もない彼は左手を水平に構えいつでも戦闘可能という意思表示をしていた。


 「お前みたいなのは死ぬべきなんだよ。いつまで経っても人に迷惑しかかけられないお前みたいなのはさ」


怪訝な顔をする破音のことなんて気にもせず炎波は続ける。


 「お前に言ってんだよ。『相良』」

 「……『どう言う意味でしょうか』」


ガラリと破音の雰囲気が変わる



破音と言う人格を押し殺し相良本人の意思が表に出てきたのだ。いや、正確には相良全体の総意思とでも言うべきだろうか。ここで驚くべきは炎波が相良というシステムを理解していたということだ。


 「『私達のチカラの本質を知っていたとは驚きです』」

 「氷也だよ」


炎波は右手をポケットに突っ込み携帯を取り出し起動した。そこにはメールでもメモでもない奇怪なページがあった。そこには相良のチカラの説明。そして相良が事実上不老不死ということが記されていた。


 「あのバカがいなくなった時送られてきたこのデータがこんなとこで役に立つなんてな」

 「『で?私を呼ぶ出したのはどう言う意味でしょうか?』」

 「別に」


炎波は素っ気なく答えた。しかしその目は確実に相良を捉えていた。


 「理由なんてない。だけどなあいつらを殺すってんならその首は飛ばさないといけない」

 「『……やれるものなら』」

 「いいのか?『全ての相良』だ。後悔すんなよ」

 「『ふふ。何をいうかと思えば。何人いると思ってるんですか。
この周辺の地域にいるだけで7000人は超えていますよ。全員殺す気ですか』」


炎波は驚きもせず焦りもせず、ただ当たり前と言わんばかりに呟いた。


 「当たり前だ。クソッタレ」

炎波は考えがねじ曲がった不良少年という感じで。善人になろうともせず悪人で妥協する。ジャックの中で一番暗部っぽく書いてます

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

だぁぁぁあああああああ!!まさかのPC故障!?ネット=ライフラインなのに……

久しぶりですが投下スタートッ!


破音(相良の姿のままの相良のスレーブ)は表情を変えず両手を水平に広げた。


 「『ふふ。ふふふふふふふふふふ。いいでしょう。それならば私がテストをしてあげます。
アナタが相良の敵にふさわしい』かなぁ!!」


再び雰囲気がガラリと変わる。破音は右足で地面を蹴りながら裏拳気味に右腕を振るった。直後、それに連動するかの如く黒の物質は現出したと同時に炎波に向けて撃たれた。何度でも言おう。この一弾は人体にかすりでもすればその部分を削り取る。絶対的な一撃なのだ。かつて、自然超越でもトップレベルの氷也を苦しめ左腕を奪った一撃。


それを炎波は軽々と避けた。


一秒にも満たない回避行動。右手を水平に横に構え、炎を全力で噴射させることで左にスライドしたのだ。炎波が考案した高速移動。もとい緊急回避。場所単位で地面を削り取る黒の雨の有効射程外に炎波は行くと、両足で地面を踏みしめバランスを取る。その態勢はボクサーの構えのように見えたかもしれない。しかし、これは違う。人を殺す構え。


 「ゼロ距離で槍でも受けてみっかぁ!?フヒヒッ」


まさにゼロ距離。


破音は疾走する勢いのまま黒の槍を炎波の顔面に向けて振るった。


ズゥゥンと空気を引き裂く音がした。破音の制御下から離れトップスピードで螺旋を描きながら黒の槍は飛ぶ。それが当たれば上半身はなくなりお釣りで太ももまでついてくるだろう。血すらも消し、元人間がいた場所の残りは膝から下だけの足だけが残るだろう。

当たればの話だが。


 「……足りねぇなぁ」

 「は?」


破音の口からは意図せずバカみたいな声が出る。それは破音の膝の高さから聞こえてきた声のせいだ。全長10M、円の大きさとして50CM。当たれば絶対の一撃。炎波はこれをしゃがみ、そしてそのまま破音の元へ走ったのだ。

ありえない行為。考えれば思いつくものは幾人もいるだろう。しかし、実行にうつすのはどうだろうか。チェーンソーで料理をするような、それほど危険な行為。それを炎波は当たり前のようにこなしてしまう。


 「足りてねぇぞォォォ!?オイ!!」


恐怖。絶望。焦り。緊張。吐き気。逃避。



そのような思想を殺意で塗りぶして、塗りつぶして、塗りつぶして、塗りつぶす。『殺しを正当化した』狂犬はあまつさえ舌なめずりすらしていた。


 「この程度かよ、相良クン。その程度じゃ俺やアイツらには追いつかねぇよ。
……追いつこうたって透達の邪魔すんなら俺が殺してやるよ」

 「『相良はこれでは負けるわけにはっ……!?』」


相良の言葉を全て無視する。炎波の手は相良の心臓に当たる部分に構えられていた。


 「破音ならば俺を殺せたかもなあ?でも所詮テメェは相良だ。
なんせ殺意が足りてねぇんだからよォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


本物の破音ならば炎波は死んでいただろう。しかし、所詮相良。破音が使っていたチカラを使おうと『願い』すらないのだ。

なんか地の文多かったですか?

いい感じのとこまで行ったら佐山サンと相良ズのプロフィールを公開しようと思います。


質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


ようやく殺意が収まった。炎波は辺りを見渡し神崎と鳴を見つけた。ひとまず一番近くにいた鳴のもとに走った。横たわり意識を失った鳴の体を揺らし、声をかけた。


 「オイ。鳴大丈夫か?」

 「……んぅ。……炎波、さん?アイツは……?んぐっ!?」


意識を取り戻したと同時、えぐれた膝を抑えてくるみだした鳴の額に炎波は手をやり誰ともなく呟いた。


 「チッ。どうするか、こっから」


鳴の汗を拭う炎波の耳にコツコツと硬い音が聞こえてきた。炎波はおもむろに振り返るとそこには今まで探していた所長がいた。


 「所長……今までどこにいたんだ」

 「話しはあとだ。後ろにセカンドを呼んでるから透と鳴を預けるぞ」

 「話しは後、ね」


炎波は呻く鳴を肩に担ぎ、運ぶ。神崎は所長に任せようと思っていたのだがそう簡単にはいかないらしい。別に所長が怠慢なわけではない。神崎が立ち上がってしまったのだ。姫川<<ヒロイン>>を助けるために何度でも立ち上がる神崎<<ヒーロー>>が。


 「所長、あんたは姫川をどこまで知っている……」

 「少なくとも透よりは。ほら、無茶すると死ぬぞ」

 「んなこたぁどォでもいいんだよ!!」


体を震わせながら神崎は所長の胸ぐらを掴んだ。それだけの動きでも神崎は息を上げている。全身の筋肉が悲鳴を上げ、傷口からはとめどなく血が溢れ出ている。それでも神崎は激昂していた


 「なんでわかってて助けようとしない!?俺よりも知ってんだろ!?顔も、性格も、趣味も、笑顔も!」


所長は無表情のまま神崎の手を離し、冷たい口調で告げた。


 「私も覚えていないことはたくさんある。記録から考察した人物像しか私は知らない。それは友人から聞いていた別の友人というレベルで不確かなものだ」

 「それでも俺達の仲間だったんだろうが。俺達は覚えてなくても姫川は助けてって言ってるかもしれないだろうが。それをなんでそんな簡単に諦めてるみたいな口調でいえるんだ!」


突然、ガクンと神崎の体が崩れ落ちた。体の限界だろうか。それでも神崎の目は揺らがなかった。所長は膝を折り神崎と目線を合わせ、これまで以上に冷たく言い放った。



 「透。決めろ。赤の他人同然の姫川を助けるために1%の可能性に命を賭けるか。それとも姫川を忘れて100%の安泰の中でこれまで通り暮らすか」

 「……姫川を絶対助けてこれまで通り暮らす」


一度はハッとしたものの所長は呆れたようにため息をつくと神崎の頬を叩いた。


 「オイオイ。所長。一応怪我人だぜ?」

 「いいんだ。……どうだ、目は覚めたか?いい加減気づけ。
透はいつも求めすぎだ。全部助けようとするし、全部手に入れようとする。それじゃあ、ホントに欲しいものは手に入らない」


所長は再び神崎の目を見た。


 「一つに絞れないならそれはただの偽善だ」

 「……っ」


所長は無言で立ち上がり立ち去ろうとする。そこに鳴を担いだままの炎波が近づいてきて、耳打ちをした。


 「……いいのか。透をここに置いていって。絶対に行っちまうぞ?」


所長は憤怒迷うことなく、ただ当たり前といった風に笑ってみせた。


 「透だけに背負わせるわけには行かない。透が欲しいって言うんならそれの手伝いをしなければならない。
透が苦しいって言うんなら守ってあげなきゃならない。透が戦うって言うんなら背中を押してあげなければならない。

それが私達大人の役割だ」


 ###

誰もいなくなった。ジリジリと神崎の肌に照りつける太陽も沈もうとしていた。あれから何分たっただろうか。もしかすると数秒しか経っていないのかもしれない。神崎は地面に座ったまま傷口を抑えていた。


 (それでも俺は行かなくちゃダメだ。ここまできたんだぞ?立ち上がらなきゃいけないだろうが!)


筋肉が悲鳴をあげる。骨と筋肉が分離するような痛みが全身にはしった。内蔵も締め上げられ吐き気というよりも内蔵その
ものが飛び出るような錯覚さえ覚える。それでも立った。たった一人で立ち上がった。

目だけを動かして改めて相良の隠れ家を確認する。先ほどは戦闘に必死で気がつかなかったが大分奇妙な建物だ。家というには縦に長すぎるし、ビルというには低すぎる。小さな城とでも表現すべきだろう装飾は相良の趣味だろうか。神崎は千鳥足にも見えない歩き方でようやくドアノブに手をかけた。


 (この扉を開ければもう引き返せない。いや、もうこの時点で引き返せないか)


ガチャりと重たいドアが開く。神崎は中に入ろうとしたが妙な違和感を覚えた。午後過ぎにしては暗すぎる。カーテンを閉めているわけではない。光が窓から差し込んでいないのだ。見えない何かに遮られているようだった。


 「……何かのチカラが働いてその過程でこんな変な現象が起きてるのか?明らかにこれは普通じゃないぞ」

 「ですよね」


パチンと指を鳴らす音が響く。突如、部屋に光が生まれた。まぶしさのあまりに目を覆いたくなるが神崎はなんとか目を開ける。確認できたのは体育館ほどの広さがあるこの場所と奥の壁にもたれかかっている白いスーツの男だけだ。


 「お前が相良だな」

 「ほぅ?」


相良は興味深そうに声をあげる。


 「炎波から聞いたんだ。アンタの能力、そして相良の歴史もな」

 「……」


相良は表情を一切変えず焦ることもなかった。相良というシステムの全貌をバレているのを承知で。

うしうし。明日は神崎くんによる相良の説明回ですたい

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

遅くなりすいません。とりあえず書きだめ分を

投下スタートッ!


神崎は震える足を抑えながら不敵に笑みを浮かべて相良に揺さぶりをかける。


 「お前の能力は『複数存在』簡単に言えば相良っていう人物が何人もいるってわけだ。本物の相良、自分のDNAから生み出した雑兵のような相良、相良ではない別の人物を飲み込んで生まれる相良、こんぐらいか?」


相良は特にこれといった反応は見せない。


 「そして本物であるお前は別の相良の能力を自由自在に扱える。
そうここが問題なんだ。このシステムのせいでお前は不老不死を手に入れている」

 「そう、ですね。数々の肉体操作を裏技的に使い肉体の細胞分裂を繰り返しています。
裏技、というのはあなたが一番実感があるでしょう?」


肉体操作の裏技。ゲームようなシステムを能力というものは実現させてしまう。それは相良同様、神崎も身をもって体感していることだ。

神崎はため息をつくと陸上選手のように上半身を沈ませた。


 「お前は何年生きている、なんてことはきかねぇ。俺が聞きたいのは姫川の居場所だ。それだけでいい」

 「……教えるのは自由ですが渡しはしませんよ?彼女は『製造者』なのですから」

 「『製造者』……?」


意味が分からない。ただ、ロクでもないことだとは本能的に分かった。


 「ここまでたどり着いていないなら情けでも教えられませんね」


相良は壁に預けていた体を起こすとその口角を釣り上げた。


 「ところであなたは『人の能力をコピーする人間』を見たことがありますか?」


瞬間、神崎の体が崩れ落ちた。



 ###


 「っ!?何だ……!?」


神崎の体はうつぶせに倒れ一向に立つ気配はない。地面に這い蹲る形になっている神崎はなんとか自分の頭に手をかざし本日二度目のスイッチを入れた。


 「『重力増加』というものです。それよりいいのですか。
裏技とは使い過ぎるとバグを起こすものですよ?」

 「うる……さい!」


こみ上げる吐き気を抑え、神崎は異常なまでの重力に抗う。体感的には体が見えない手によって引きずり降ろされる感覚だろう。


 (多分これは範囲制限がある。なら、こっから出るしかない!)


重力の鎖から逃れるため神崎は前方の床に身を投じる。着地する手前、体が浮いたような感覚とともに強重力空間から逃れることができた。これでようやく戦える。そう思った神崎だったがそんなものは甘い考えだとすぐに実感させられた。

別に相良の攻撃を喰らったわけではない。体が動かないのだ。全身の筋肉は脳からの指令を受けず酷い倦怠感さえ覚える。


 「一応忠告はしておきます。ここから先はあなたの領分ではない。どちらかというと郡氷也や日野炎波のほうが適任です。
あ、それと別に敵意はないので攻撃はしませんよ」


体を動かせない神崎は目だけを相良向けたが、もうそこにいなかった。


 ###

全身が痛む。表現はそれであっているだろうか。内蔵すらも潰れているような感覚と共に吐き気がこみ上げてくる。


 (敵地の真ん中で倒れてるなんて、しかも生かされてる……
完全に力不足……クソ、こんなんでいいのか俺は!?)

 「あんま、背負い過ぎんなよ」


ポカッと神崎の頭に軽い衝撃がはしる。誰かと神崎はなんとか後ろを振り向けばそこには炎波がいた。右手にはスポーツタオルが握られている。それを強引に神崎の頭にかぶせると炎波は遠い目で語り始めた。


 「俺が言えることなんてない。そりゃあ、トップクラスのクズだし?
ホラ、自分で引き金引ぃたんなら自分で片付けろ」


炎波は手を差し出す。神崎が立ち上がるための手を。


 「……厳しいな」

 「お前も厳しいじゃん。自分に対して」


 ###


 「間に合いますかね。相良の計画は材料さえあればすぐに執行できるんですから」

 「わかってるわよ。ただ、一番まずいのはコウヤ・カンザキが取り込まれることじゃない?」

 「取り込まれる、ということはないでしょう。相良というシステムではあれを押させ込めるだけの容量はありませんから。
まぁ、深層心理。つまり本能の部分を詠里のチカラで操作されたらまずいですが」

 「……それって結構まずいんじゃあ……?」

 「……そうですね」

 「気づいときなさいよ!天才キャラ!」


今日もちょっと投下スタートッ!


 ###

だだっ広い体育館並の玄関の側面には十数個の扉が備え付けられていた。そして中央には上層部へと登るための階段がある。神崎と炎波は一階の扉をしらみつぶしに開けて入っていた。


 「クッソ、相良のクローン以外なんもねぇな。隠蔽でもしてんのかっつーぐらい
……オイ、神崎、体大丈夫かよ」

 「問題ない。さっさと姫川を助けていつもの生活に戻ろう」


炎波は顔の血を拭うと次室への扉へと手をかけた。そこで炎波は妙な感覚に襲われる。これは、


 「なんか近づいてきてるな……ドアノブ触った瞬間、殺気みてぇなのが上からビンビン出てきやがった。しかも扉には鍵までかかってやがる。
なんかあるぞ、この部屋」

 「多分相良達だろ。さしずめ動く監視カメラってところか。
本人は流石に来ないだろうが高位能力者だったらやばいぞ。拳銃だけでいけるか……?」


二人は玄関の中央にある階段を注目する。神崎は拳銃を、炎波は炎剣を構えている。唾すら飲むのもためらわれるほどの静寂。その静寂を壊すように相良は出現した。二人の頭上の天井を破戒しながら。


 「上からきやがった!」


炎波は神崎を蹴飛ばし回避させると自分も転がるような態勢で飛び退く。砂塵が相良を包む。やがて砂塵が晴れたとき相良の姿に二人は驚愕した。明らかに人間ではない。シルエットはなんとか人型を保っていたが、それを形どるはヘドロに似た何か。顔すらも確認することはできない。その相良は顔であろう部位を神崎にむけると、そちらに左手をかざした。生理的嫌悪を与える光を放つ左手を。そして、その左手がより強く光ろうとしたと共に神崎の体が宙を舞った。


 「なん……っ!?」

 「透ッ!」


驚くべき対空時間の後神崎は、ほぼ垂直に床へと落下した。それを間近でみて炎波は確認した。


圧倒的実力。


理解のできないチカラは音もなく何をするでもなく炎波の精神を蝕んでいく。


 (うそ、だろ?何なんだよ、これ。
勝てる気がしない……戦車でも相手にしてんのか俺は)


たった一発の攻撃だけで炎波の精神を蝕んだ相良にも異変があった。ドロリ、と。顔であろう部分が床にただれ落ちたのだ。


ビチャビチャと汚い音を立てながら今まで顔の構成を作っていた相良の右半分の顔が床に落下していく。意識が朦朧としている神崎にはそれに見覚えがあった。

かつて研究所にいた頃、『劣等生』が薬によって発病した『拒絶反応』だ。恐らく今回の拒絶反応の原因は薬ではなく、その強大すぎる能力だ。そして神崎はこの強大な能力にも見覚えがある。

研究所時代、研究者に対して激昂したときの紅夜のチカラだ。今は『願い』を押し殺し使用不可能にしていたはずが……。


 (それより……紅夜もヤバイってことか)


相良の顔は神崎の方は向いていない。神崎は拳銃を握り締めると倒れたまま相良の心臓部に構えた。


 (いける……やってみせるッ!)


パガガガガガガガガッ!と神崎は連射する。銃弾は全て相良の体を捉えていた。これでも倒れない。だが、神崎もこれで倒せるとは微塵も思っていない。


 「トドメは頼むぜ……っ!」

 「気持ちワリーけどな!」


相良の頭部を弾き飛ばした炎剣は水平に振るわれていた。ヘドロのような頭部は水っぽい音と共に床へと落ちた

速筆の才を誰かくれ……っ!


質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

どーもです。今日もわずかながら投下シマス。

ではでは、投下スタートッ!



 「一体、何なんだよこのヘドロマン」

 「いてて。わかんない。でも、能力は紅夜のものだった」

 「ふぅん。とりあえずこの部屋入ってみるか」


炎波は炎を炸裂させ扉をこじ開ける。部屋の中は電気がついておらずほこりっぽい。なんというか倉庫という印象を与えられた。その中にガムテープで拘束された少女が眠っていた。


 「この娘……杏っていったっけ?紅夜の彼女さんだ」

 「はぁ?なんでそんな娘がここに?まさか紅夜クンもここにいますとかなよな」


神崎は杏の口に貼り付けられたガムテープを引き剥がすと体を揺らしその名を呼んだ。少しの時間の後小さな声とも取れない音が口から漏れた。


 「んぅ。……ってて。あっ!あのドッペルゲンガーズは!?」

 「ちょっ。落ち着けよ」

 「あ……えーと、ごめん。君は……紅夜の弟さんだっけ?」

 「そんなもんだ。それよりどうしてここへ?」


神崎は手首のガムテープも外しながら問う。杏はもともとの性格なのか特に慌てた様子ではない。ポケットに手を突っ込むと携帯を取り出した。


 「紅夜からなんか変なメールがきて……それで」

 『これ紅夜くんからのメールじゃないよっ』


杏から携帯を借り画面を覗き込んでいた神崎と炎波は、その声にギョッとし声が出そうになる。そんなソプラノの声に神崎は聞き覚えがあった。


 「この声……江美姉ちゃん!?」

 『そうそう。覚えてて良かったよ。
もともと紅夜くんとは面識ないから彼は私だって知らないけど』


数年前、研究室で生活を共にした人物だ。妙に勝になついていたのをよく覚えている。確か『劣等生』で殺処分されたと聞いていたが、その情報は間違っているようだ。ひとまず江美にこの状況を聞いたほうが良さそうだ。


神崎は江美のいる携帯に話しかけるように口を近づける。


 「今二人はなんでここにいるんだ?」

 『わからない。誰かが私達をおびき寄せて拘束したんだ』

 「二人をおびき出す……?なんの目的で?」


悩む神崎の後ろから炎波が珍しく真面目なトーンで発言した。


 「人質だろ。その紅夜って奴がもしも相良に必要な奴だったら足かせとして保有するのもアリだしな」

 「そうっぽいな。ひとまず二人を逃がしたいが……」

 「もうそろそろ所長とセカンドが来る。そっちに任せれば問題ないだろ」

 「後で所長から俺殺されるかな……」


土日はきっと大量投下だと思う(不安しかない)

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

こんにちはです。今日もまったり投下。

2、611

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 「例えばの話よ?相良の計画に必要な場所と材料が揃えばどうなるのかしら」

 「この世界に新しく命が生まれます。
……ただ、その代償に世界の法則が乱れる可能性があるんです」

 「世界の法則?」

 「えぇ。世界という天秤に『あるべきではないもの』が乗せられると不自然に傾いてしまうんです」

 「……スケールがでかすぎてバカみたいな話ね」

 「でも、そのバカみたいな話が実現してしまえば困るのは私達人類だけではないんですよ?」

 「わかってるわよ。
それにしてもあんなバケモノが存在したのね……」

 「まぁ、自分たちも同じようなものでしょう?」

上の2、611はミスです。申し訳ない。


 ###


白いスーツを着た相良は嬉々とした表情で吐血していた。


 「ふふ。姫川に神崎紅夜の能力をコピーさせましたが……容量が大きすぎて数千程度の脳では収まりきれませんでしたね。
まぁ、いいでしょう。それほどのチカラでなくてはこの世を捻じ曲げることはできない」


口元の血を拭い相良は天井を仰ぐ。その目には希望が満ち溢れていた。


 「あと……少しで君に会える……」



杏と江美を助け出した神崎と炎波はその場を動かず、所長達の到着を待っていた。


 「結局、相良の目的ってなんなんだ?それが姫川って奴と関係があるのか?」

 「さぁ。でも『神崎』を作ったのはあいつらしい。なんか関係してんのかもな」


そう言うと神崎は床に座り込む。やはり体は限界へと走り続けているようだ。大粒の汗を流す神崎の姿を見て、ふと炎波は思い出した。

いつだっただろうか。神崎の能力に疑問を持ったことがある。『最低出力』と呼ばれる彼だが、その強さは能力からくるものではなく、いわゆる『技術』だ。日本刀を持った相手に果物ナイフで勝利するような技術。


確かに何度も何度も努力を積み重ねればできるのかもしれない。机上の空論と言われようとできてしまうのかもしれない。

しかし。どこでその使い方を知ったのだろうか?どこでそのバグ技ともとれる使い方を覚えたのだろうか?そもそも、それは神崎が編み出したバグ技なのだろうか?


一度だけ聞いてみたいと思っていた。炎波は特に考えもなくおもむろに聞こうとするがそれは出来なかった。


 「透ッ!炎波ッ!今すぐこの建物から出ろ!!」

 「所長?それにセカンドのメンバーも。どうしたんだそんなに慌てて……」


そこで神崎も違和感を感じた。明らかにおかしい。建物が捻じ曲がっている。違う。空間そのものがスライムのように歪んでいる。


 「なんだこれ!?みんな逃げるぞ!」

 「そうしたいのは山々なんだがあいにくもう手遅れみたいだぜ?本格的にやべぇよこれ……」


音もなく次々と空間が歪んでいく。そして遂にその魔の手は神崎達にも下った。


 「クソッ!クソッ!どうなってやがる!?」


必死の抵抗をするもそれは虚しく失敗に終わった。


――そこで彼らの意識はとぎれた。



 ###


 「遅かったようですね」


氷也とアリィーナは渦を描く建物を目の前に歯噛みしていた。『自然超越』である二人だがこれには流石に対処できない。アリィーナは焦ってるというわけではないが真剣な顔つきで能力を振るった。


『視認焼失』<<ターゲットバーン>>視界の中で自然界の炎を超えた『炎』を自由に扱うことができる。また、周辺の炎であれば死角でも操作することができる。つまりは、炎系能力者のトップである。その最強の炎がねじ曲がりつずける建物に向かった。しかしそれは途中までいくと消えてしまう。


 「やっぱり。これ空間移動の派生版ね。ここまで規模を大きくして何するき?」

 「『自然超越』級……邪魔はさせないということでしょうか」

 「ふざけてる……っ!」


歪む建物に変化があった。渦巻く建物が渦の中心へと飲み込まれていっているのだ。空間移動。簡単にいうがこれだけの大きさのものを移動させるなど聞いたことがない。氷也は珍しく舌打ちをすると諦めたように呟いた。


 「これは……自分達の、完敗ですね」


建物は渦の中に消えていった。



 『なんだ……あれ?』

 『さぁ、急に出てきたぞ……?テレポートって言うんだっけ。そう言う感じだった』

 『はぁ?俺大学で空間移動専攻だったけどこんなでかいもの転移できるなんて聞いたことないぞ!?』

 『ねぇ……ちょっと』

 『どうした、佳奈』

 『なんかあれ変形してない?』

 『ホントだ……スカイツリーみたいになってる』

 『スカイツリーなんて規模じゃねぇ!てっぺんが見えないゾ!』

 『どうなってるんだ……!?』



 ###


 「……ん。神崎さん!」


朦朧とする意識の中、神崎の目に写りこんできたのは足に包帯を巻いた鳴だった。状況からして膝枕されているらしい。神崎は急いで立ち上がろうとするがめまいと倦怠感が体を押し倒した。


 「大丈夫ですか!?」

 「はは。もっと体強くしとけば良かったよ」


神崎は無理して笑おうとするが大粒の汗のせいで完全にバレてしまっている。


 「そういやここは……?」

 「わからないです。所長に内緒であの家に来てたんですけどなんか転移されたみたいで……
みんなも今どこにいるかわからないです……」

 「そっか」


神崎は寝たきりのままで辺りを見渡す。壁や床は白一色に統一されており清潔感というより『別の世界』という雰囲気だ。白い壁は二つとも歪曲を描いており、昔神崎が行った東京タワーの展望台と酷似している。そして壁には無数の窓があった。神崎は飛び跳ねるように起き上がるとふらつきながら壁に寄り、窓から外を確認した。


 「……う、そ……!?」

 「神崎さん無茶しちゃダメですよ!……どうしたんですか、窓の外に何か……え?」


その窓から見た風景に二人は驚愕した。高すぎる。それだけだった。雲にも届きそうな高さの位置に彼らはいた。下にはミニチュアのおままごとに使うような大きさのビルが並んでいる。神崎は窓を開けて上を見上げる。


 「どんだけ高いんだよ。この塔は!?雲なんてとうに突っ切ってるぞ!」

 「こんな建物今までありませんでした。相良が作ったんでしょうか……?」

 「相良一人でこれをか!?能力がいくら万能だからって規模がデカすぎる!」


改めて彼らは痛感する。自分たちはこれだけの怪物に向かって行っているのだと。

最終ステージ突入ゥゥゥううううううううううううううううううううううううううううう!!!

この相良塔(仮)の造形はスカイツリーっていうより白い円柱です。通路は今のところ外枠だけなので真ん中のエレベーターに当たる部分は謎にしといてください。

やっと相良塔出せたよ……物語のラストを最初に考える派なので早く出したくてワクワクしてましたwww質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

最終ステージ突入ゥゥゥううううううううううううううううううううううううううううう!!!

この相良塔(仮)の造形はスカイツリーっていうより白い円柱です。通路は今のところ外枠だけなので真ん中のエレベーターに当たる部分は謎にしといてください。

やっと相良塔出せたよ……物語のラストを最初に考える派なので早く出したくてワクワクしてましたwww質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日


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炎波が転移された位置には他の人物はいなかった。目眩に頭を揺らしながら立ち上がる。胸がやたらとモヤモヤするのは『あの日』の事や彼らの事を思い出しすぎたからだろう。今でも罪悪感や焦燥感に追われてしまう。

炎波はその重圧を抑えながら辺りを見渡す。どうやら、今までいた建物ではないらしい。白い壁に覆われた展望台ともとれる通路が別世界にいるような感覚を与える。炎波は白い壁にある無数の窓の一つに手をかけた。


 「おわっ。なにこれ、真っ白。空気も妙に薄い。雲の中とか言うなよ、マジで」


炎波は頭をかきむしるとポケットにある携帯に手を伸ばした。GPSで自分の今いる位置を確認するためだ。


 「都心部か?けど、ここはビル群ってなってるな。
クソッ。意味わかんねぇ、どうなってんだ?」


悪態をつく炎波の体が突然、グラリと大きく揺れる。今日は何度目だろう。妙にあの日が頭から離れない。まぶたの裏に焼きついている。


そうだろう。


そのせいだ。


『目の前にカズキ見える』なんて異常以外の何者でもない。


 「よぉ。炎波元気だったか?」

 「幻覚をみるまで俺ァ、未練タラタラだったっけか……っ!」


苦虫を潰したような表情の炎波が見つめる先には確かにカズキの姿があった。そう、炎波自身が殺した『恩人』が。それだけではない。後ろからはシオンが。ジョウがゆらりと現れる。

炎波は目を疑った。死んだはずの人間が今、ここにいるのだから。しかし間髪入れてすぐに悟る。これは『相良』だ。三人の死体を利用し、脳から性格を割り出し作り出した人形だ。

それならば割り切れる。


これは殺していいニンゲンだ。


 「ぶっ殺す……ッ!」

 「こい。炎波。俺がテストしてやるよ」



炎波は当たり前のように炎剣を出す。出力は最大。反動の勢いで動きが制限されない程度まで。


 「あっれぇ?殺すのかなぁ、また俺達を殺すのかなぁ!?」

 「テメェらは……相良だろうが!」


猛獣が狩をするかのごとく、炎波は爆発的に跳躍する。炎剣の切っ先はカズキの首元を捉えようとしていた。


 「……また、見捨てるんだ。私達のこと」

 「っ」


シオンの言葉に動きが止まる。理屈ではわかっているのだ。これは敵なのだと。殺しの対象なのだと。


それでも。


同じ顔、同じ声でそんなことを言われてしまえば動きに隙ができてしまう。


 「はぁ……やっぱりか」


炎波の動きが完全に止まる。その姿は殺人鬼なんてものではない。親に叱られる子供そのものだった。


 「俺の精神系の能力ってさ、結構範囲広いのはお前も知ってたよな」


カズキは直立不動のままのジョウの後ろにまわり肩を組む。


 「確かに実力差ってのはある。元特攻隊長は俺達じゃ切り崩せねぇ。

でも」


カズキは静かに懐に手を回すと黒い拳銃をを手にとった。それをジョウのこめかみに押し付けると同時、炎波にこう言い放った。


 「内側から切り崩せば問題ないよな?」


ジョウの頭が消し飛んだ。



 「あ……」


止められなかった。動けなかった。感情すらも、もはやなかった。


あるのは、咆吼。


 「あ゛ぁあ゛あああああ゛ぁぁぁああぁ゛ああああァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!」


ビリビリと耳に響く叫び声がフロアをこだまする。炎波の次のアクションはなかった。ただ、壊れたように涙を流し、立ち尽くしていた。


 「あ、あ、ああああ……」


任務を終えた炎波は帰ろうと踵を返すが後ろから声をかけられた。正確には後方のやや低めから。床を突き破って出てきた二人の子供達の目には子供が持つべきではない何かが込められていた。


 「お前……何やってんだ……っ」




なんかこのss書いててホント炎波が好きになってくる。

質問、アドバイス、その他諸々ドんと来い!ではまた明日

皆さん、こんにちは。

突然ですが連絡です。非常にじぶんとしては残念ですが投下できなくなりました。ちょっと入院してきます。まだ、期間はわかりませんが早々の回復は難しそうです。


こんな拙い文を読んでくださった皆様。少しでも目を通してくださった皆様。レスをくれた皆様。ホントにありがとうございました。心の中で「乙」と呟いてくださると本当に光栄です。

では( ´ ▽ ` )ノシ

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