【モバマス】俺の妹(姉)はアイドルである (420)

前スレ

【モバマス】今夜は寝かせない - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389625118/)


で要望があった中から姉or妹モノで書いていきたいと思います。

前スレとは違ってゆっくり書いていく予定です。


そしてもちろん多少のオリジナル要素が加わったりしますのであしからず。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1390750488

【未央(妹)編】



俺の妹はアイドルだ



こんな事突然言い出したら、バカかと思われるかも知れないが事実なのだからしょうがない



名前は本田未央。現役女子高生アイドルとして絶賛売出し中



どうも事務所のお気に入りなのか、最近色んな番組で見るようになったし、モデルなんかもやっている

この間なんて少年誌のグラビアの仕事を取って来たらしく、駅やコンビニで自分の妹の水着写真が載った雑誌が平積みされていた時は何とも言い難いむず痒さを感じた



とは言え、その事を他人に自慢したりましてSNSに書いたり出来ないのが、地味に歯はがゆい



玄関で買ってきたばかりの下着を転んでぶちまけた話とか、昨日リビングで「むにゃむにゃ…もう食べられないよぉ…」とアニメでも見なくなったような寝言を言ってた話とか…



ファンが諸手挙げて喜ぶネタはいくらでもあるのだが、そんな事したら実家が特定されたりするらしいし、まして妹の仕事の邪魔になるのだけは絶対に嫌だ



リビングで寝ていた件だって、ここ最近続いた仕事と日課になっているランニングで疲れていたからであって、努力の証みたいなもんだ



まぁ、そのせいで風邪ひいてりゃ世話無い話ではあるが








という訳で、今朝より絶賛風邪っぴき中である妹の世話を任せれたのだ


妹の部屋をノックする




兄「未央ぉ入るぞー」

未央「はぁ~い…」




ゆっくりとドアを開け中に入ると、気だるそうにベッドで寝転ぶ未央の顔が見える


「ありがとう…えへへ~」とか言って笑ってるが、具合は…聞くまでも無く芳しくないようだ


顔は赤く、礼を言う声にハリが無い

とりあえず常備薬の風邪薬とポカリを置いて帰ろう




未央「お兄ちゃん…暇だから話相手なってくんない?」

兄「はぁ?良いから風邪っぴきは寝てろ」

未央「やぁーだぁー…暇ぁー…」



やれやれ…変なところは子供のまんまだな、コイツ


まぁ、最近コイツも忙しかったし…たまにはいいか…




未央「でねー…そしたらしぶりんがねぇ…」

兄「へぇ…」


とは言え、共通の話題なんて殆ど無い


話題の殆どは一方通行で、会話と言うより半分は報告のようですらある


小さい頃は一緒にヒーローごっことかままごとしてたのに、時の流れとは切ないものだ

だけど俺の話なんて5分と経たず終わるのに、妹は色んな話を聞かせてくれた


仕事の話も多いが、何より事務所のアイドル仲間の事を話す時の顔は朗らかで、まるで自身の自慢話のように語ってくる

コイツは誰とでもすぐ打ち解けられる事が自身最大の才能だから、それ自体はまぁ珍しい話では無いが

と言うかしぶりんって、あの渋谷凛だよな…?


テレビで見るクールな立ち振る舞いがカワイイと思ってたけど…素の方が以外に抜けててカワイイのか…


……お見舞い来ないかなぁ…







2時間後…ネタが尽きた


女の子からしたらこんなもんなのかも知れないが、男の俺からしてみたら十分過ぎるほどだ


おっと、洗濯機回しっ放しだった。もう終わってるな


俺は未央に一言言って部屋を出た。だいたいアイツだって病人の癖に喋り過ぎだ



俺は洗濯機から洗濯物を取り出しベランダに干す。いつもは母親の仕事だが、看病ついでに押し付けられてしまった



あーダルいな…さっさと終わらせ…ん?




未央の下着…か


ついこないだまで子供ぱんつだったと思えば色気づきやがって…


大体なんだこれ、黒?いやいや黒はないだろ黒は


妹よどう考えてもお前のパーソナルカラーは黄色とかオレンジだぞ?あ、ピンクもあるのか。ピンクは許す





………





アイツ何カップなんだろ…

いやいや、いやらしい気持ちは微塵も無い。妹のだぞ?


アイツの胸なんざまっ平らから膨らみ初めまでまで見てるんだ。今さら何とも思わない


…が、膨らんだ今は知らないからな。ほら、アレだ…知的好奇心てヤツだ


あくまでも好奇心、エッチな気持ちはない…よしっ


そうやって自分に言い聞かせた俺は妹のブラジャーを手に取り、タグの部分の小さな文字をしげしげ見つめた










アンダー 65
バスト  85
――――――
  D65









ほ…ほほーう…D…Dか…


女性が最もスタイルよく見えるカップサイズであり、女性が最もなりたいカップサイズとも言われるあの…


なるほどなぁ…しかも15歳でDだろ?という事はまだ伸びしろがある…


妹よ…大きくなったなぁ…


お兄ちゃんは嬉しさ半分切なさ半分だ



ん…?これは…











うちの母さん……ただのデブじゃなくて、デブで巨乳だったんか…






さて、昼飯も作らねば…と言っても買ってきておいたお粥を温めるだけなんだけどな


えっと、未央のお椀は…あぁこれだ


さて、レンジに放り込んだら後は待つだけか







このリビングも狭くなったな


小さい頃は家中遊び場だったってのに、今じゃ手狭なこの家から出ることばかり考えてしまう

俺は出窓に置いてある写真立てを見た。まだちっちゃい頃の俺と未央が写っている


て言うかこの写真、何で俺はおでこに星型のスタンプ押してんだ?俺クリリンよりもヤムチャの方が好きだったはずだけど


写真に写る俺は今の自分では信じられない程無邪気な笑顔で写っているが、対照的に未央は顔歪めて泣いていた


小さい頃の未央は泣き虫で、いっつも俺の後ろにくっついて来ては俺に振り回されていた


俺や俺の友達と遊んでは、無茶やって怒られて、そのたんびにビービー泣いて…


それが今じゃあ俺がフリーター、アイツがアイドル様だもんな。世の中不思議なもんだ


思えば今のアイツの社交性やタフネスも、あの時に養われたのかも知れないな






ロリ未央「アタシね!おっきくなったら、おにいちゃんのおよめさんやるー!!」


未央「あ、お兄ちゃん。アイス買ってきて。ガリガリ君」






…許さん


そりゃあアイドルである以上、気軽にコンビニに行くのも憚れるのかも知れないが、俺はパシリじゃない兄貴だ


妹なら妹らしく、たまには兄に懇願してみろってんだ

ドタンッ!



ん?なんだあの音



未央「いたたたぁ~…」

兄「お前…何やってんだ?」

未央「いや…トイレ行きたかったんだけど躓いちゃって…えへ」



見れば、風邪でフラフラ歩いていたところを足元に積んであった古雑誌にぶつかったらしい

兄「はぁ…立てるか?」

未央「うん…大丈夫だよ…えへへ…転んで助けてもらうなんて、何か子供の時みたいだね」

兄「はぁ?今でも子供だよ。体ばっかデカくなりやがって」



Dカップだもんな



兄「トイレまで連れてってやるから手ぇ貸せ」

未央「いいよ…別に…大丈夫」



またこの顔だ

いつの頃からかよく見るようになった笑顔

自分が無理している時や人を気遣うときに見せる笑顔



こういう小手先の技術ばっかり覚えやがって、バレバレだっつーの



兄「ほら、いいから立て。それとも俺にお前が漏らしたションベン拭けってか?

妹「なっ……もういい、大丈夫だし…」



お、怒ってる怒ってる

俺が煽ってやんないと素にもなれねぇのか、この妹は

兄「はぁ…なら行って来い」

未央「うん…」



コイツも誰に似たのか負けず嫌いだからな。こういう時は煽ってほっとくのがお互いのためだ




バタンッ




お、無事にトイレに着いたみたいだな

大でも小でもゆっくりしてこいよぉー




ツルッ

兄「おわっ!?」



あっぶねー…なんだ?アイツがさっき散らかした雑誌か…

やれやれ、結局俺が後始末か…


あ?これ…未央のインタビューか…?



インタビュアー『なるほど~。未央ちゃんの小さい頃ってどんな子だったの?』

未央『そーですねー…昔っからやんちゃで、いっつもお兄ちゃんと悪さして怒られてました☆』

インタビュアー『へぇ~、昔から元気一杯だったんだね』

未央『そうなんですよ~。でも、怒られてる時は大体お兄ちゃんが一緒だったので、半分以上お兄ちゃんが怒られてましたけど(笑)』

インタビュアー『お兄さんとは仲良いの?』

未央『小さい頃はいつも一緒でしたからね。今思えばアタシの初恋はお兄ちゃんだったのかも(笑)』

インタビュアー『可愛いですね(笑)』

未央『まぁ、今はそんなに喋らないんですけどね(苦笑)』











初恋なぁ…




アイツ猫かぶり過ぎだろ

どこの世界に兄に恋する少女が居るってんだ。いたら俺んとこに連れて来い。俺が兄貴になってやる





ジャーッ

ガチャッ



未央「………ニヤニヤしながら何やってんの?」

兄「はぁ?ニヤニヤなんて…してねぇし」

未央「変態…」

兄「それどういう意味だよ…おい」

未央「あれ…?その雑誌…」

兄「ん?あぁ、何でも大人気アイドル本田未央の初恋の人が書いてあるらしいぞ」

未央「あ!?お兄ちゃん返して!!」バッ

兄「は?だってコレ捨てる本だろ」ヒョイ

未央「いいから…!かえ…して…てばっ!」バッ

兄「ふははー届くまい」



妹よご自慢のDカップが当たってるぞ~

兄「えーなになに…『小さい頃はいつも一緒でしたからね。今思えばアタシの初恋は…』」

未央「きゃーっ!?お兄ちゃんのバカ!変態!ロリコン!」

兄「バカを言うな、俺はDカップ以上しか認めぬ巨乳紳士だぞ」

未央「いいから…返し…」



ピンポーン



兄「あれ…?お客だ。リビングにお粥あるからそれ食って寝てろブラコン」

未央「なっ…もう!」




兄「はーい」


ガチャ

凛「こんにちは、私美央さんと同じ事務所に所属している渋谷凛と申します。未央さんのお見舞いにきました」ペコリ


艶やかでなめらかな黒髪、澄んだ泉のように美しい瞳、凛として整った顔立ち。こんな美人テレビでしか…


ん…凛?渋谷…凛?

兄「あ…もしかして、しぶりんさん…?」

凛「はい…?未央ったらお家の人にまで…」

兄「あぁ、すいませんつい…おい!未央お客さんだぞ」

未央「ほぇ?…え!?しぶりん!?」

凛「お見舞いに来たよ。何だ思ったより元気そう」

兄「まぁ上がってってくださいよ」



芸能人が家に来るなんてそうある事じゃないしな

未央「お兄ちゃんはあっち行ってて」

兄「へいへい」

凛「別にいいじゃない未央の大好きなおにい…」

未央「しぶりん!…はい、さっさと行く!」

兄「分かったから押すなって…」



何で妹って奴はこんなに兄を疎ましく扱うんだ、まったく

仕方ない…部屋でごろごろしてっかぁ






小一時間後、玄関から声がする。どうやらしぶりんちゃんが帰るらしい

どれ最後にご挨拶でも…


バタンッ


あ、行っちゃった

兄「未央ーしぶりんちゃんは~?」

未央「今帰った…ていうか妹の友達をあだ名で呼ばないでよ…」






そいつは残念だ。が、この残り香だけでお兄ちゃんはご飯3杯いけるぞ



………それよりも


兄「ていうかお前もうだいぶキツイだろ?」

未央「うん…ゴメン…肩貸してくれると嬉しいかも…」

兄「やれやれ…」


やっぱりな。ホントに無茶ばっかりしやがる



兄「部屋でいいか?」

未央「うん…ごめん」

兄「お前はもっと甘える事に慣れた方が良いな?そのうち風邪じゃ済まなくなるぞ?」

未央「えへへ…そだね…」



こりゃあんまり反省してねぇな

兄「ホラ、大人しく寝てろ」

未央「うん…ありがと…」



明らかにさっきより症状が重い。友達が来たからって気を張ってたのか、いや俺がからかったせいか



兄「ゴメンな」

未央「え?」

兄「病人をからかったりして悪かった」

未央「あぁさっきの?…大丈夫だよ…別にそんなんじゃ…」



そう言う未央の顔は疲れきっている。力無く横になる姿は見ていて痛々しい

未央「何か悔しいなぁ…」

兄「…何が?」

未央「昔のまんまじゃん…このやりとり」



照れるような苦笑いを浮かべて未央は続ける

未央「何かさ…昔一緒に遊んで怒られた時は…いつもお兄ちゃんにかばわれて…」

兄「あぁーそうだったっけ?」

未央「そんで結局2人してわんわん泣いちゃったりして…」

兄「そうだったな…」



まぁ兄貴なんて大体そんなもんだろ

未央「成長してないなぁ…アタシ」

兄「外では泣かなくなったじゃないか。兄貴としてはそれだけで十分だよ」

未央「外ではね…もう泣きたくないし」



そう言って未央は俺から目を逸らし、寂しいような苦しいような目で虚空を見つめている


……身内とのシリアスな空気は苦手だ。独特の居心地の悪さがあるし、未央のこの顔は好きじゃない

兄「体も大人っぽくなったしな」

未央「………キモい」

兄「はははー」



うん、これこれ。この距離感だ

兄「まぁ何にしても早く治せ。週末はまた仕事だろ?」

未央「うん…」

兄「じゃあ黙って寝てろ。お前が見たがってた番組が始まる前には起こしてやる」

未央「うん…ありがと…」



そう言って俺は立ち上がり背を向ける、すると未央が何事か呟いている



未央「…お兄ちゃん」

兄「どした?」

未央「さっき子供の頃の話で思い出したんだけど…

兄「え?」




未央「元気になったら…三ツ星くれる…?」

三ツ星?…三ツ星……そうだ…あの写真の星は…


俺は子供の頃、どうやって手に入れたか思い出せないが、俺はお気に入りの星型のスタンプを持っていた。そのスタンプを未央がどうしても欲しいって言うから


『一日泣かなかったり、いい事したらスタンプ押してやる。すっげえ良い事したら3つ押してやる』


俺は未央にそう言っていた。当時の俺はテレビか何か影響で、三ツ星は花丸と同じかそれ以上に凄いと思っていて

一等賞が三つだ。3倍だ!くらいの気持ちでいたのだろう。ことあるごとに未央の顔やノート、家のあちこちにスタンプを押しまくった


結局そのせいで、親にこっぴどく怒られた挙句にスタンプは捨てられたんだっけ…

俺はもう一度未央に向き直る。未央は急に恥ずかしくなったのか、布団の中で顔の下半分を隠しながらこっちを見ていた


その顔に10年近く前の未央の顔が重なる。その顔はどっちも涙目で、どっちも同じ瞳を俺に向けている


俺は心の奥からこみ上げてくるそれを、抑える事はできずに




兄「ぷっ…」

未央「?」

兄「あっはははははっ!いいぞ押してやる!いくらでも押してやるぞ!!」



吹き出した。自分でも不思議なくらい笑いがこみ上げてきて、ただひたすら可笑しかった

あえて言い換えるなら「嬉しい」に近いのかも知れないが、くすぐったいようで居心地のいいそのモヤモヤを、正確に表現する術を俺は持っていない

だけどただ一つハッキリしている事は、目の前の妹が滅茶苦茶愛しく思える。ただその一点だ

未央「ちょ…笑わなくてもいーじゃん…」

兄「いや、やっぱり妹はいいなぁ。世の妹萌え諸君の気持ちが初めて分かったわ」

未央「バカにしてるっしょ…」

兄「まあな、バーカバーカ」



こんな未央の膨れっ面も久々だ。最近は妙に大人ぶってやがったからな、今日はいいもんが見れた

兄「ま、三ツ星欲しけりゃさっさと寝な」

未央「…うん」


そう言って俺は自分の部屋に戻った。何だか俺も今日は疲れた気がするな…うたた寝でもするか

俺は自分のベッドに横になり勉強机の方を向く

ガキの頃から使ってるヤツで、あちこちにシールを貼ったり剥がしたりした後があるが、その中で一つ目を惹くものがある

色あせて消えかかった三つの星型。理由もいつからあるかも分からないけど意味は分かる

俺と妹との絆の証


この世に一つの


血を分けた二人の


ちっちゃな三ツ星




しっかり治ったら何かくれてやらなきゃな


世界に一人だけの、俺の妹に


















さて、夜になった

例の番組も始まる時間だし、起しにいってやるかぁ


だが待てよ、ぐっすり寝ている時にノックで起されるのは存外腹の立つもんだ


ここは兄としての気遣い。優しく起こしてやろうではないか


暖房のせいでかいた寝汗をキレイ流して、フローラルで爽やかな香り漂うお兄様に起されるんだ。悪くないだろう


まぁ起きなかったらそん時は「返事したのに起きなかった」とでも言っておこうか


よし、じゃあ行くか








ギィ…


兄「おじゃましまー…」











未央「え?」ヌギ…

兄「え?」


あれ?ここお風呂だっけ…?違うよね?部屋だよね?

じゃあなんでコイツ裸で…




未央「き……きゃあああああああああああっ!?」ヒュンッヒュンッ

兄「痛い!?痛い痛い!!??投げるな…物を投げるな!!」

未央「出てけ!出てけぇ!!」ブォンッ!


あ…これはアカンヤツだ…

さすがに椅子が飛んで来たら無事で済む自信無いもん

まぁいいか…妹の成長具合を改めて見れた訳だし



え?見たい?未央の裸が?


ダメダメ、そんなに見たかったらすっごい良い事してもらわなきゃ




え?何故って?



だって、星が三つ無いと大事な所が隠せないd…ドゴシャッ!










*********************************

未央(妹)編おしまい


今夜はここまで。明日には杏(妹)編上げれるように頑張ります

ここの住人が俺を殺しにかかって来ていることは伝わった(白目)



さ、杏(妹)編行くよー

*********************************







俺の妹はアイドルである…らしい




らしい。なんて曖昧な言い方するのには訳がある


想像してみて欲しい。つい数ヶ月前まで自室にひきこもってた妹がいきなりアイドルになっていた…


そんな非現実的な出来事が起きたら、誰だって俺と同じ事を言うだろう


そしてそんな波乱万丈な人生を邁進中の我が妹様はと言うと


俺の足元で腹を出していびきをかいている



世間よ。これが双葉杏だ






お気に入りのぬいぐるみを枕にしながら、涎を垂らして寝ている姿は決してファンの皆様にはお見せできない光景だ


おい、そのぬいぐるみは昔俺がくれてやったやつだろ。大事にしろよ


だけどまぁ、コイツのファンの半分くらいはロリコンだろうし、こういう無防備な姿も堪らんのかもしれない


が、貸したゲームをなかなか返さない妹に対し慈悲は無い

世の兄諸君は寝ている妹を優しく起こしているのかも知れないが、うちの妹はその程度じゃ起きないどころか起きても寝たふりを続けるので生ぬるい起こし方では無意味だ

なので頭をアイアンクローの状態で揺すってやる


兄「杏ちゃ~ん朝だよー起きないと口の中にセンブリ茶流し込むよ~」

杏「ん~…ん~……んーっ!」

兄「おう、いい加減起きろや。雑巾の絞り汁飲ますぞ」

杏「んー…何だよアニキぃ…アタシは久しぶりのバカンスを満喫中なのにぃ…」



一週間ぶりの仕事が終わった翌日にその台詞とは流石我が妹、恐れ入ったぜ

杏「だから、杏は今日何もしないよ」

兄「許さん。ゲーム返せ」



俺は杏の首根っこを掴んで持ち上げる。母親に咥えられた子猫のようにぶら下がる杏は非難の目でこちらを睨む

杏「何だよぉ~杏は権力には屈しないぞ」

兄「うるせぇ、さっさと返せ」

杏「やだよーだ、杏まだクリアしてないも~ん」

兄「お前相変わらず上手くなんねーのな」

杏「ゲーム会社が悪いんだよ。杏みたいなユーザーの事を考えないなんてダメな会社だよ」



小さい頃から裏技やらアクションリプレイに頼るからこうなる

楽してズルして頂いていいのはホントに出来るヤツの特権だ

兄「ていうか、アレ貸して随分経つけど今どの辺なの?」

杏「…後半くらい」

兄「…半分か」

杏「ぅ…」



バレバレだな、コイツ


しかし、俺だってあのゲームを友達に貸す約束をしてる手前、これ以上は待てない

兄「仕方ねえな。おいクリアすんぞ」

杏「えぇ?」

兄「半分だったら今日中にクリアできる。今日中にクリアして明日には友達に渡す」

杏「えぇ~やだよ。杏はアニキと違ってじっくりプレイするのが好きなの!これだから効率厨は…」

兄「うるせぇ!ほれ、コントローラー持て」

杏「ぶー」



杏はぶーたれた顔しているが何だかんだコントローラーを持つあたり、やる気はあるらしい

杏「げぇ、アニキそのキャラ使ってんの?」

兄「何だよ、コイツが一番使いやすいんだよ」

杏「エロー、ロリコーン」

兄「お前が言うと何か説得力出るな…」



いや、実際ロリコンには非常におモテになるのだ。うちの妹は


昔から不思議と人を惹きつける才能のある妹は、学校でも人気者だったらしい

人気者といっても自分から率先して目立ち、クラスの中心にいるような俗っぽい人気者では無く、クラスの輪の隅っこにいるはずの妹を、みんなが気にかけてクラスの中心に持ってくるような、不思議な人気だった

それ故に家族、親族、クラスメイトに近所の人、そして変質者の類にまで愛されるのだ

下校途中に声をかけられる事数度、家に警察官が訪ねて来たのだって一度や二度じゃない


まぁそれがコイツの引きこもりの遠因では無いかと考えてるのは、きっと俺だけなのだろうが


何にしてもコイツにはアイドルの才能みたいなもんがあったんだろうな



兄「っていうかお前半分どころじゃねぇじゃん!」

杏「あれ~、そうなの?」

兄「こりゃ思ってたより時間がかかるなぁ」







杏「飽きたー、寝るー」

兄「まだ1時間もしてねぇじゃねえか!」






兄「よし、今だ!魔法をぶちこんだれぇ!」

杏「Zzz...」

兄「寝てんじゃねぇー!?」



そんなこんなで3時間経った。さっきまで前半ステージで止まっていたゲームは既に後半戦へと差し掛かっていた



兄「ふぃー…ちょっと休憩すっか」

杏「杏…もうダメ…」



杏のヤツはもう寝るモードらしいが、ここで寝られては明日までにクリア出来ない。



兄「お、そうだ近くのコンビニに新しいアメ入ってたから買ってきたぞー」

杏「マジ!?」

兄「ほれ」ヒョイ

杏「ぱくん……あんま~い…」ニヘラ~



ふふん、何年コイツの兄貴をやってると思ってんだ

コイツの動かし方なんて…




杏「がりっがりっ、もごもご…………Zzz...」

兄「って、おいいい!?」



いかんなぁ最近アメ攻撃にも慣れてきやがった


何でも最近は事務所でいっぱいアメ舐めてるからだそうだが、こちらとしては迷惑極まりない


っていうかそれホントに大丈夫なアメか?杏がこんな風になるなんて、ハッピーになっちゃう粉でも入ってんじゃないか?

それともあのプロデューサーの股間のホットなペロペロキャンディーを…


んな訳無いか…だってコイツはこんな……いや逆に需要があるのか


まぁ、いいや。こいつが誰の何をペロペロしようが関係無い


飲みもんでも取りに行こう

リビングはがらんとしていた。


当たり前だ平日のこんな半端な時間に家に誰もいる訳が無い


壁には何年か前に行った家族旅行の写真が掛けてあった


結構前の写真のはずだが、俺の妹の容姿は全く変わりが無い


それはまるで時が止まったようでもあり、妹はもしかしたら未だにあの時間に生きているのかも知れない





なんて




んな訳無い。あの頃のアイツは義務教育履修のため学校に通っていたし


というか、もしかして最後に家族でどっか行ったのってアレが最後かもなぁ…


ちょっとセンチメンタルな気持ちを堪能しつつ、俺は妹の部屋に戻ることにした





『えぇ?明日…?』


ん?何だ妹の部屋から話声が…


『えー…やだよ、めんどくさい』



あぁ、電話か…アイツにも電話って来るんだな


ま、事務所の人かな





杏「やだよ~杏は絶対行かないからなぁ~」

『ダーメー!明日は杏ちゃんとハピハピしないとぉ~きらりんの杏ちゃん成分が枯渇して、きらりんぱわー☆がきゅぅぅんって下がっちゃうんだにぃ…』

杏「杏の体も労わってよぉ…」



なんだ友達か。って言うか声のデカイ子だな


まぁ何にしてもだ

杏「や~だ~、杏は怠惰を極めるよ!」ニヤニヤ



コイツが幸せそうなので何よりだ


こんな顔見るのは久しぶりだ


最後に見たのはいつだっけな…



杏「えぇ~じゃあさ、せめて杏にもメリット示してよ…」



コイツも友達にはこういう顔するんだな


…寂しくなんかないぞ。ホントだぞ?




30分後やっと電話が終わったものの、電話疲れから回復するのにさらに30分かかった


というよりもコイツも長電話って出来るんだな。甚だ意外である




杏「…」カチカチカチ…

兄「…」カチカチカチ…

杏「……」カチカチカチ…

兄「……」カチカチカチ…


長電話から回復はしたものの、杏の口は回復していないようで、一切会話が無い


時々質問しても「うん」とか「あぁ」とか簡単な返答しか帰って来ない


…別に問題は無いんだが……何か気まずいなぁ…


あ、コイツまた死にやがった

兄「お前さぁ…」

杏「…」

兄「昔より退化してんだろ」



実際昔はもうちょっとこの手のゲームは上手かったはずだ


それが今じゃ毎ステージ毎ステージ最低1回は死んでいる

杏「やーめた」

兄「は?」

杏「杏もう、飽きちゃった。アニキ後やっといて~…んでエンディングになったら起こして」

兄「おい、待て!寝ようとすんなって!」



俺は横になろうとする杏の手を引いた。つもりだったが




ブチィッ



杏「え…?」

兄「あ…」



杏のお気に入りの人形の耳を掴んでいた

いきなり引っ張られた勢いで、耳の付け根が破けて綿がはみ出している



杏「……離して」

兄「あぁ…すまん」



あれ…?やばいマジ怒り?



杏「じゃ、寝るから」

兄「おい、杏」

杏「なに?」



明らかに怒っている…激怒といってもいいくらいに

仕方ない。とりあえず直してやろう



兄「おい、直してやるから…貸せよ」

杏「やだ」

兄「いいから貸せって」

杏「やーだ」



こうなってしまった妹は昔からなかなか引かない。このしぶとさこそがニートを続けてこれた原動力だろうが、とにかく今は厄介極まりない




兄「いいから…!」

杏「いーやーだーっ!」




今日の杏は一段としつこい。いつもなら「じゃあ、勝手にすれば」くらい言って来るところだが、一切譲る気配が無い。

あまりにも聞き分けの無い妹に対しふつふつと怒りがこみ上げてくる



兄「あぁ、もう勝手にしろ!」



気がついた時には大声を上げて杏の部屋を出ていた。頭では誰が悪いのかなんてハッキリ分かってるのに、感情の方がいう事を聞いてくれない

自分の部屋に帰りベッドに寝転ぶ。怒りの感情と自責の念が心の底で渦巻いているが、今更どうしようも無い


悪い事があった時は寝ちまうのが一番だ。寝ちまえばひとまずこの現実から目を逸らせるし、何より今は何もする気になれない


こういうところは似てるんだけどな。似てるからって必ず仲がいい訳じゃないけど


どうでもいいや、寝よ寝よ











『…きろ』


『おいってば…』ペチペチ



誰かに呼ばれてる…?



『おーきーろー』ユッサユッサ



誰だよ人が寝てる時に揺さぶってくるなよ

杏「ふんっ!」ボフッ


兄「ぶへっ!?何だよ!人が寝てるの邪魔しやがって!!」


杏「直して」


兄「は?」



寝ている兄をぶっ叩いておいて、主語を抜いて喋るとはコイツどんな神経してんだ?

兄「直すって…それ?」


杏の手にはさっき俺が耳のところを破いてしまったぬいぐるみが握られている




杏「コレ、直して」


兄「嫌だって言ったら?」


杏「アニキのエロ本をリビングに撒く」


兄「えげつねぇ事するなぁ…」



俺のコレクションを親に見られた日には、俺はこの家から出て行かざる得なくなる


それにこうなった時の杏はしつこい。俺がぬいぐるみを直すまで部屋に居座りかねん



杏「…」



兄「……………わかった。ベッドんとこにでも座ってろ」



裁縫が得意な訳では無いが、断った後の事を考えると要求を受けざるを得ない




兄「やってやるから、裁縫道具くらいお前が用意しろよ?」

杏「えー…めんどくさ~い」




結局、杏を説得するのに15分
何とか杏の部屋から裁縫道具を発掘して作業を開始するのに30分
発掘の際に散らかった部屋を片付けるのに45分

ただぬいぐるみを修復するだけなのに、計1時間半も準備に時間をかけてしまった

さて、始めるか


別に裁縫が得意な訳では無いが、できない訳じゃない

針に糸を通してくるくるーっとすれば終わりだ



杏は俺のベッドの上で寝っころがって漫画を読んでいる

人任せにしておいてあの態度とは…

杏「ねぇ、アニキ」

兄「なんだ?」

杏「アニキ的にはつるぺた一択なの?ロリ巨乳もいける派?」

兄「とりあえずロリコンなのは確定なのかよ」




まったく失礼な妹様だぜ

大体、自分の妹が17年間もガチロリやってるんだぞ?ロリなんて食傷気味だっつーの


とまぁ、こんな感じで時々ポツポツと会話しながらも、せっせとぬいぐるみを修復していった

数十分後



兄「よっしゃーできた」


我ながら見事な出来だ。ぱっと見縫い目もそんなに目立たないし、綿がはみ出してる訳でもない



兄「おい、あん…寝てるし」


杏のやつはすっかり夢の世界に旅立っていた

いつものぬいぐるみが無いと寂しいのか、俺の布団を抱きしめるようにして眠っている

自分の部屋とは当然自分の体に合わせて作るものだ

自分が届く場所にしか物は置かないし、家具のサイズだって必要以上に大きな物は無意味である

つまり何が言いたいのかというと、杏の部屋で見た杏以上に、今俺の部屋、俺のベッドで寝ている杏がいつも以上に小さく見えるって事だ

……




もしも、本当に杏が数年前から時を止めているのだとしたら、その時は幸せだったのだろうか


成長という歩みを止め、ただ日常を消費するだけの毎日を送る事を選ぶほどにあの頃は幸せだったのか


俺はどうだ。ただ言われるがまま流されるがままに勉強し、大学に行った俺と


人に従わず流されず歩みを止めた杏と


どっちが幸せなんだ


どっちが正しいなんて明白だ。客観的に見れば真っ当な人生を送っているのは俺だし、社会の底辺だったのは杏だ


だが、主観ではどうだ


意思の無い成長と意思を持った停滞はどっちがマシなんだ

俺は杏を起こさないように、俺のベッドで寝息を立てる杏の隣に寝転んだ


目の前30センチ先に杏の顔が見える。如何に兄弟といえどこんな至近距離で顔を見る事なんてまずありえない


小さな鼻から寝息が漏れ、桜色の唇は少しだけ開いたまま微かに揺れていた


それはずっと昔に見た杏の顔と殆ど変わらない小さな寝顔だった





杏「…おにいちゃん……」



そう言えば昔はそう呼ばれてたな。もう何年ぶりか分からないけれど


それでも心の奥でそっと輝くこの温もりは、決して不快なものじゃない

アイドルか…


何がコイツをそうまで突き動かすのか知らないが、俺もコイツみたいに頑張れるだろうか


俺も…コイツの…ように……















ん…?おっと…いつの間にか寝てたみたいだ…やはり布団と言うのは魔物だな


杏「ZZzzz…」

兄「!?」

気がつけば杏は俺に抱きつくように寝ていた


しかもシャツはみぞおちの辺りまで捲りあがり、ズボンからは半分尻が出ていた



…相変わらず、酷い寝相だな



しかしどうしたもんか…気持ちよさそうに寝ている杏を起こすのも忍びないし…かと言ってこのままというのはいささか問題である

こんなとこ親にでも見られようものなら…





母「」


兄「」







俺はこの家から出て行かざるを得ない

母「あんた達…」


兄「母さん!待って!!母さんは大きく誤解している!これは…」





ドサッ




母「あら?これ…」



あれは…さっき杏読んでた本か?



母「LO…?」


兄「」












兄「きゃあああああああああああっ!?」


杏「…むにゃ?」




その後、母親による家宅捜索により俺のコレクション数十点が押収された


家族にロリコンが露見した俺は自らの意思で家を出て、現在は一人暮らしをしている


自分の意思だもん…追い出された訳じゃないもん…!






ピンポーン、ガチャ




杏「アニキー、遊びにきてやったぞ」

きらり「うっきゃー!杏ちゃんのお兄ちゃんもちっちゃくてカワイイー☆」

兄「いらっしゃ…デカッ!?」

きらり「初めましてぇ!杏ちゃんの友達の諸星きらりです!おにゃーしゃー☆」





…たった今、新しい性癖に目覚めた






********************************

以上杏(妹)編おわり。次回はまた後日


前回以上に厳しい戦いになるぞこれ…

※リクエスト※
・南条
・肇
・裕美
・きらり
・桃華
・比奈
・美優
・文香
・周子
・響子

きらりはおねえちゃんが似合うかな?そして
杏兄(・・・何コイツ、でかい・・・)
きらり弟(えっ・・・年下?)
って状況がみたい

ちょっとリクエストの順番を変えてお送りします。



文香(姉)編はじまりはじまり~

************************





俺の姉ちゃん。『鷺沢文香』はアイドルだ。


叔父さんがやってる本屋でバイトしながら、大学に通う地味な学生だった俺の姉ちゃんは、何故か今アイドル活動も兼任

している。


まったくもって意味が分からない。


だって、中高と文芸部で図書委員。体育以外は成績優秀で順位は上の下くらい。そんな事くらいしか語れる部分が無い地

味を塗り固めて出来た粘土細工のような姉ちゃんがいきなりアイドルである。


世の中が狂っているのか、俺が狂った幻覚を見ているのか最早分からない。


とは言え、だ


同じ家に住んでいながらも姉ちゃんと疎遠になってしまった俺に、事の真偽を確かめる術は無い。


疎遠になった理由は単純明快





姉ちゃんの部屋に無断で入った事がバレたからである。



いや、何もしてない。何もしてないぞ。


ちょっとたまには本でも読んでみるかと思ってみたけど、自分の部屋に漫画しか無いから姉ちゃんに借りにいっただけだ




そしたら、たまたま床にあった洗濯物に足を引っ掛けて散らかしてしまったんで、仕方なく片付けようと下着を手に取っ

た時に姉ちゃんが入ってきただけだ。


うん、あれは不幸な事故だった。




はぁ…親にはばれて無いのが不幸中の幸いか


どうしたものか…さすがにこのままっていうのも気まずいしな


何か姉ちゃんと仲直りするキッカケがあれば…


ま、いっか晩飯も食ったし漫画読んでシコって寝よ





ガチャ



文香「…」


弟「」


説明しよう。姉ちゃんが俺の部屋で俺のエロ本を手にとったまま固まっている。


何を言っているかわからねえがろうが俺にも分からん。


しかも手に取ったまま一向にページを開く気配が無い上にこちらにも気付いていない。手が微かに震えてなければ、生き

ているのかと疑うほど微動だにしない。


何やら頭から湯気が上がっているような気がするのは気のせいだろうか。


しかし、この状況はどうしよう…







1.声をかける
2.扉をそっ閉じ
3.押し倒す









3は無いな。エロ本の読みすぎだ。

1か…何て声をかけたらいいか検討もつかん「よっ!ねえちゃん何読んでんの?」ってか?

いやいやいやいや、何ってエロ本だよ。巨乳JK生ハメ中出しって書いてあるもん。

ここはやはり、そっ閉じか


それじゃあ何も見なかった事に…



ゴトッ




文香「っ…!?」

弟「あ」

しまった。床に置いてたゴミ箱につまづいてバレた…


姉ちゃんは凄い勢いでこちらを振り返ると、信じられないほど顔を赤くしながら何かを言おうとしているが、上手く言葉

にならないらしい。



文香「あ…あのっ……これは…その…」

弟「…」



姉ちゃんの綺麗な目が涙を含んで輝いている。心の動揺に合わせて揺れる瞳が驚くほど官能的だ。


不意に、ゾワゾワと心臓の辺りから嗜虐心が湧き上がってくる。ワクワクともドキドキとも違う脈動が、五月蝿いほど俺

の胸を打ちつけている。

弟「何やってんの」

文香「え…あの…」



姉ちゃんは小刻みに震えながら、目を泳がせている。何か上手な言い訳を考えているのだろうが、言い訳の余地など無い





弟「何で弟の部屋で弟のエロ本読んでんの?」

文香「それは…その…」



あえて弟という単語を強調する。自分のしている事のはしたなさと背徳が、姉ちゃんの心をギリギリと締め上げていくと

思うと堪らないものがある。

弟「ねぇ、答えてよ」

文香「…その……」



声色を強める。それは質問と言うより、暴力を用いない拷問だ。俺はまるで鞭を打つように言葉を放ち、反撃の暇を与え

ない。



弟「黙ってないで答えてよ。弟の部屋でわざわざオナニーしてたの?そうなんだろ?」

文香「オナッ!?…そんな…こと……」

弟「じゃあ、手に持ってるそれは何だよ?エロ本じゃないか」


文香「これは…………」



俺は自分の行いを棚に上げて姉を責め立てる。姉は俯いたまま肩を震わせ…あれ?

文香「あの……その……ごめん…ね……」



姉ちゃん泣いてる?


よく見ると膝の前で組んだ手の甲に雫がポツポツと滴り落ちている。



文香「ごめん……嫌だったよね…ごめんね…」



俺のなけなしの良心がキリキリと痛んでくる。



文香「ホントに……その…ふぇ…」

弟「あー!待って待ってごめんごめん泣かないで!!」

流石にこの状況で姉ちゃんに号泣されて、親にバレでもしたらなんと弁明したらいいか検討もつかない。



弟「と…とにかくホラ落ち着いて」

文香「…」(コクコク)



結局必死になだめる羽目になった。数分後何とか泣き止んでくれたが、まだぐすぐすと鼻を鳴らしている。



弟「えっと…怒ってないからさ…ね?」

文香「…ごめんなさい」



姉に号泣されるとかどんな拷問だ。妹ならまだ「仕方ない奴だなぁ」とか言って頭でも撫でりゃあ良いんだろうが、年上

にそれってのは逆効果だろうし。

とにかく、事態を収拾せねば…

弟「あのさ…別に怒るつもりなんてないから顔あげろよ」

文香「…」



うわぁ…姉ちゃんやめろよ、目ぇ真っ赤にするまで泣くなよ…

とりあえずここは…仕方ない



弟「その…言ってくれれば貸すから!それ、姉ちゃんに貸すよ!」

文香「え…?」



姉ちゃんは何だかぽかんとした顔をしているが、この期に及んで何をとぼけても無駄である。

弟「そうだよな!姉ちゃんだって一応女だからそういう気分にもなる日もあるよな!」

文香「え…あの……どういう…」

弟「誤魔化すなよ!姉ちゃんもその…え…エロい気分というか…ムラムラする時もあるんだろうし…」

文香「…」



あれ?違うの?

さっきまで落ち着いてたはずの姉ちゃんの顔が、みるみるうちに赤くなる。



文香「え!?あっ…そのっ…ちがっ!」



何やら真っ赤な顔で忙しなく手をパタパタしているが、酷く混乱しているようで全く説明出来そうにもない。



弟「いや分かったから!分かってるから!…あ、でも姉ちゃんにはこっちのソフトな方が…」

文香「だから…その…」


ええい、何だこの押し問答は。




弟「別にオナニーくらい女でも…」


文香「オナニーなんてしてません!………ぁ」



姉ちゃんが再び固まって3秒後、ボンッ!という音と共に姉ちゃんの顔から湯気が上がり、そのまま見たことも無いよう

な勢いで部屋に逃げ帰ってしまった。


何なんだ全く…我が姉ながら意味がわからんぞ

うわ、しかもエロ本持って行きやがった。

アレ、結構お気に入りなんだけどなぁ…



~数日後~


説明しよう。部屋の前にエロ本が置いてある。

とだけ言ってしまえば、姉ちゃんに貸したエロ本が帰って来たかと思われる事だろうが、現実は違う。

全く別のエロ本が俺の部屋の前に置いてあるんだ。

これは一体…

しかし淫乱JK秘密の放課後ねぇ…ふむ


~さらに数日後~


説明しよう。部屋の前にエロ本が置いてある。

ドスケベJDが集う「ヤリサー」密着取材か…なるほど







~もっと数日後~


説明しなくても分かるだろ?エロ本だよエロ本

今度はなんだ…?団地妻ぁ?そんなの俺の趣味じゃ…ほほう…なんとまぁ…








おかしい。


エロ本がこんな新聞や牛乳みたいな感じで届くなんて聞いたことないぞ。


これはやはり内部の犯行…


いや、ていうか姉ちゃんだろ。間違いなく。




という訳で出かけるフリをして自分の部屋で待ち伏せしてみたわけだが


なかなか来ないな…





トストストス…


お?来た来た。このうちでスリッパを使ってるのは姉ちゃんだけだ。間違いない。



……部屋の前で立ち止まった。たぶん周りを確認しているのだろう


トサッ


本を置いたな!今だ!



弟「ちょっと待てぇ!」


文香「きゃっ!?」

ドスン!ゴン!



凄い音と共に姉ちゃんが尻餅をついて、頭を押さえている。

どうやら、突然扉が開いた事に驚いて尻餅をついた挙句後ろの壁に後頭部を強打したらしい。

まるで小動物のように小さく丸まって痛みを堪えていた。



弟「ごめん…大丈夫?」



無言で頷いているが、顔を見なくても凄く痛いのが伝わってくる。また泣かせてしまったかも知れない。

俺、姉ちゃんを泣かせ過ぎじゃね?

弟「あの…何やってんの?」

文香「…」



答えない。こないだは俺の部屋からエロ本を奪っていったと思ったら、今度はエロ本を次々置いていくという奇行を繰り

返すこの姉は、一体何を考えているんだ。




文香「あの…」

弟「ん?」


文香「廊下だと…話しにくいから、部屋で…」

弟「俺の?」



姉ちゃんが無言で頷く。いやいやそこは自分の部屋じゃねえのかよ、っと内心ツッコミを入れつつ俺は姉ちゃんを部屋に

入れる事にした。

姉ちゃんは椅子に、俺は自分のベッドに腰掛けた。



姉ちゃんはいつもの部屋着だった。姉ちゃんのズボン姿なんて部屋着くらいでしか見た事が無いのは、きっと姉ちゃんな

りのこだわりなんだろう。ズボンの裾と靴下の合間から見えるくるぶしがやけに白く見える。


だが、そんな姉ちゃんの足元には、姉ちゃん詰問用のエロ本が撒いてある。もちろん姉ちゃんが俺の部屋の前に置いてい

ったものだけだ。


その数は数冊だが、いつも俯きがちな姉ちゃんの顔を上げさせるのにはある程度効果があるようだ。


俺と目が合えば俯き、俯けば裸の女が男のイチモツを咥えこんでる写真が散らばっている。初心な姉ちゃんは頬を赤く染

めながら顔を上げ、俺のいない空間に焦点を合わせる事にしたらしい。

弟「で…何で俺の部屋にエロ本届けてたの?」

文香「…」



答えない。

右に左に目を泳がせながら、何と言ったものか考えているようだが、俺が聞きたいのは真実なのだから、あまりアレコレ

考えて欲しくない。



文香「その…」



姉ちゃんは意を決したように、か細い声を上げた。

文香「勝手に…部屋に入られるのは…嫌だったから…」



何でそれがエロ本と繋がる?



文香「…弟くらいの年頃は…そういう本とか女の子の…その…下着…とかに…凄く興味があるって聞いたから…」

弟「うん?待って待って聞いたって誰に?」

文香「私の…プロデューサーさんに…」

弟「」

まさかこの姉が第3者にこんな事を相談するとは想定外だった。

何もんだそのプロデューサー?

プロデューサーといいながらも本当は彼氏とかなのか?


何にしても、今度うちにあの変に律儀なプロデューサーが挨拶に来たらどんな顔をすればいいんだ。

「姉の下着に興味深々な思春期の弟くんで~す」ってか




文香「だから…そういう本を…いっぱい持ってれば……部屋に来ることも無いと思って…本を取り寄せて…」

そう言って姉ちゃんは手に持っていた本を俺に差し出す。


いかにもエロ本といった装丁で、表紙には扇情的な表情の女がデカデカと載っている。


そして表紙の下には「エロエロお姉さんの脱ぎたてパンティー付き!」と書いてある。


俺はどうリアクションしていいか分からず、姉ちゃんの顔を見る。


その顔は真っ赤で、目はキョロキョロとして落ち着かない。

弟「えっと…」



俺も言葉が出ない。

おそらく傍から見たら俺も相当挙動不審なんだろうが、姉からエロ本を買ってもらってる弟の気持ちにもなってみて欲し

い。




弟「あのさ…もし俺が下着じゃなくて、姉ちゃんの下着にしか興味無かったらどうするつもりだったの?」

文香「え…?」




つい思いついた事を口走ってしまった。

姉ちゃんは目を白黒させながら、意味を飲み込もうとしているが完全にパニックを起こしている。




文香「え…えっと…その……それは…困る…と言うか…」




凄い慌てようだ。ここ数日姉ちゃんのこんな姿ばかり見ている気がする。




文香「その…だって……姉弟で…そんな…それに……私…好きな…人が…」

弟「えっ、マジで?」



おいおい、この姉なんか勝手にぶっちゃけ始めたぞ。





文香「いや…でも……それは…私の勝手な……だし…その…」

弟「ふむふむ」



まさか、この根暗で地味な姉ちゃんの赤裸々な恋バナを聞く羽目になるとは思わなかったが、ちょっとばかし興味がある

ので聞いてみる。




文香「それに…私そもそも…そういう経験が…」

弟「こういうの?」



渡されたエロ本を開いて姉ちゃんの目の前に差し出す。

全裸のモデルが、男の肉棒をガッツリまたぐらに咥え込んでいる写真に姉ちゃんの目が釘付けになる。

文香「ひっ……きゃあっ!?」


ブォン!


弟「うわっ!?参考書投げんな!」



ドンッ!という音とともに、俺の背後の壁に参考書が叩きつけられる。



文香「し…しません!…そんなっ…」

弟「え?しないの?」

文香「それは…そのっ…」



そろそろ姉ちゃんの顔から血が噴出しそうだ。

弟「あー…ごめんごめん。悪かった悪かったって」

文香「…」



姉ちゃんが凄い顔でこちらを睨んでいる。

ホントにアイドルになってから表情が豊かになったと感心してしまう。



文香「だから…その…ごめん…ね」

弟「…」











弟「うん、いーよー」

文香「ぇ…?」



俺があまりにも素っ頓狂な返事をしたせいか、またぽかんした顔をしている。



弟「だって、別に姉ちゃんのパンツとか興味ねぇし。姉ちゃんにも興味ねぇし。だいたい俺明るい子が好きだから姉ちゃ

んみたいのはパス」

文香「」

今の姉ちゃんの表情を説明するのは難しい。弟に近親相姦の願望が無かった安堵感と、馬鹿にされた事に対する苛立ちと

、色々ぶっちゃけてしまった事に対する羞恥心とがない交ぜになった変な顔をしている。


ここいらで決着付けとかないと、面倒だからな。一先ず正直に謝ろう。



弟「ま、何だ…そのゴメン。勝手に部屋に入って」

文香「う…うん」



姉ちゃんは何とか平静を装っているが、まだ表情がぎこちない。

弟「たまには小説でも読もうかと思って勝手に部屋に入ったゴメン」

文香「じゃ…じゃあ……私の下着を持っていたのは…?」

弟「あー…若気の至り。思春期故の誤りだと思ってスルーしていただければ」

文香「…」



納得してくれないよなー…



文香「分かった…」

弟「え、マジ?」



さすが姉、器の大きさが違った。

文香「でも…もうしないで…」

弟「お…おう…」



姉ちゃんは何か思案顔で俯く。



文香「じゃあ…何が読みたいの…?」

弟「へ?」

文香「読みたい本…私が持ってくるから…教えて…?」




そんな事言われても…そんなぱっと思いつくんだったら初めからそうしてる。




弟「姉ちゃんに任せるよ」

文香「……うん…分かった」

そう言って姉ちゃんは部屋から出て行った。

するとすぐに帰って来て俺に一冊の本を渡してこう言う。




文香「その…えっちな本を……返して欲しかったら…それ読んで…」

弟「はぁ?」



そんな事言われても姉ちゃんに奪われたのは一冊だけで、その後姉ちゃんにもらったエロ本も含めた俺のコレクションは

20冊以上だ。わざわざそんな事…


いや、これは姉ちゃんなりの俺への復讐だ。「いっつも漫画ばっかり読んでるような体育会系童貞少年にこの本が読める

かしら?読めないわよね?」と俺を嘲り笑う気なのだ。


上等だ。姉ちゃんは忘れてるかも知れないが、小学校の頃までは俺もそれなりに文学少年だったんだ。キッチリ読ませて

もらおうじゃねえか。

弟「あ…あぁいいぜ。何なら読書感想文も添えて返してやる」

文香「ふふふ…待ってるね」



姉ちゃんが珍しく笑った。その笑顔は柔和で優しくて、思わずドキッとしてしまったが、俺はその裏に隠された腹黒い顔

を知っているんだぜ?


何ならこんな本2~3日で読んでみせるっての。





ん?何だこれ?ドグラ・マグラ…?




ラノベみたいなタイトルだな。馬鹿にしてんのか?
















~数日後~



P「麗奈。いたずらの天才として、悪のカリスマとしてお前に頼みがある。文香のパンツが見たいからスカートを捲って

くれ」

麗奈「もしもし、早苗?今うちの下僕がね…」

P「ぎゃああああああああああああっ!?」



文香「…おはようございます」

P「よぉ、文香!今日のパンツは何色だい?」

麗奈「結局聞くの…」



文香「えっ…あの…その…」

麗奈「アンタも考えないでよ!」

文香「あ…そうだ…麗奈ちゃん……聞きたい事があるんだけど…いい?」

麗奈「何よ改まって…ふん!レイナさまは慈悲深いからね!何でも聞きなさい!」

文香「…取り返しのつかないイタズラをしてしまった時は…どうすればいいのかしら…?」

麗奈「は?」








弟「チャカポコチャカポコチャカポコチャカポコ♪」







***********************************

以上、文香(姉)編おわり






次回予告!

つかの間の平和を取り戻したヒーロー南条光!しかし新たな試練が彼女に襲い掛かる!過酷な運命を前に彼女は生き残れるのか!!


次回!「あにきぃぃッ!!」




的な予定

>>1
ナンジョルノリクエストした身としてはとても楽しみ
「おれの妹を笑ったのはお前か?俺の事も笑ってもらおうか」

日本三大奇書の一冊か。 読んだこと無いがそこまでやばいのか。

>>179

特撮はだいぶ昔で止まってるけど頑張ってみる。


>>181

読んでる最中は色んな意味でマジ気が狂いそうになるけど、不思議とまた読もうかなって思う時がある。




さっ、今日はせっかくの休日だしナンジョルノ編はじめますか(勝手)

俺の妹はアイドルだ


名前は南条光。特撮マニアの人なら聞き覚えがあるかもしれない。


最近はアイドルもいっぱいいるから、多少変でも個性的じゃないと目立つのは難しい。


身長が180センチあるとか、キノコマニアとか、ウサミンパワーでメルヘンチェンジとか…


そんな業界にいるうちの妹の個性はヒーロー、特に特撮オタクだと言う事だ。


特撮ヒーロー好きな女子中学生という得意な個性を持った妹は、アイドルとしては数多いるアイドルの一人でしか無いが、特撮業界ではまるでトップアイドルのような扱いだ。


だが、考えても見てくれよ。


妹は中学生だ。

中学生にもなって日曜朝からテレビの前でキャーキャー騒いでヒーローの真似をして、普通の女子中学生がお洒落に使うお金で変身ベルトを買っちゃうような妹だぜ?


イケメンヒーローに興奮するマダム達とは違う。戦うヒーローに興奮するその姿は小学生男子そのものだ。


少しは色気でも出してみろってんだ全く。大体小学生男子だってちょっとセクシーな悪の女幹部にドキドキするっての。


大体アイツは昔から…







光「アタシの話をきけーっ!!」

ドゴォッ!

兄「ぐはぁっ!?」




怒るとライダーキックしてきやがる。


信じられるか?女子中学生がライダーキックだぜ?

ともかく、このガキにはみっちりお灸を据えてやらねばならんな。




兄「大 切 断!!!」

光「いったぁ!?」



光の脳天に思いっきり手刀を振り下ろしてやった。光は小ぶりな体を小さく丸めて頭を押さえて悶えている。



光「痛いなぁ!縮んだらどうすんだ!」

兄「元からチビだしな」

光「チビじゃない!もう大人だぞ!」



そうだな、赤飯炊いたのも随分前だしな。

光「今日は前方宙返りを教えてくれる約束だろ!」

兄「はぁ?」


あー…そんな約束もしたかもしれない。

とは言っても元々教える気なんて無いんだ。こいつがあまりにもしつこいから適当な返事をしていただけだし、何よりこいつには危ない事をさせられないんだ。

俺の妹は決して身体能力が高い方では無い。

コイツが人より優れているのは、向こう見ずな思い切りの良さと、ヒーローに対する情熱だけだ。

さっき俺に見舞ったライダーキックだって、散々生傷作って習得したんだ。一度だけ骨にヒビが入ったことすらある。

そんな馬鹿に下手な事させられるか。



兄「忘れた」

光「はぁ!?」

兄「そんな約束忘れたね」

光「ひ…酷いぞアニキ!約束を破るなんて!」



光が俺の服を掴んで抗議してくるが、俺は全く意に介さない。



光「なぁ~…いいだろ~…ねぇってば~」

兄「ダメだ」



みるみるうちに光の顔が膨れていく。

すると光は急に俺から距離をとり、何やらディスクを取り出した。



光「そっちがその気なら、これを見ろ!」

兄「ん?」

真っ白なラベルに手書きのタイトルが見える。えー…なになに…




『ウルトラセブン幻の12話』




兄「あああああああああっ!?俺が大金叩いて買ったウルトラセブン欠番回の違法コピーのDVDじゃねえか!?」

光「アタシはアニキがコレを怖いお兄さんから受け取ってる姿を見てるんだぞ!さぁ…私に前方宙返りを教えるんだ!」

兄「この…外道!」

光「失礼な!ヒーローだ!」



人質をとっておいてヒーローを名乗るとはいい度胸じゃねえかこのガキは…

しかし、アレを転売されでもしたら再入手は不可能に等しい。





兄「分かった…教える」

光「ホントに!?やったぁ!アニキありがとう!!」



人々が何故ヒーローを求めるのか。

民衆は常に理不尽な悪に抑圧されているからだ。

そう、まさにこんな感じに。


兄「…じゃあ、濡れても汚れてもいい格好で玄関集合な」

光「わぁい!アニキ大好き!」


……意外に悪くない







数十分後


俺たちは近くの山の麓に来ていた。


ここには小さな滝に水深の深い川がある。ガキの頃に親に内緒でバカしまくった秘密の遊び場だ。



光「うっわー…凄い凄い!アニキなんでこんないいとこあるの黙ってたのさ!」



お前みたいなバカが無茶するからだよ。

ここで遊んでた頃光はまだ小さかったし、年の離れた妹に危険な遊びを教えるわけにはいかないからな。

ここには飛び込みにうってつけの橋が架かってる。昔はそこからよく川へ飛び込んでは、誰が一番カッコよくイカレた飛び込みが出来るか競ったもんさ。

兄「さ、というわけで光。こっから飛び込め」

光「え…?いや…でも…これは…」



俺にとっては懐かしい景色だが、家の近くでしかヒーローごっこをした事が無い光にはとんでも無く高いらしい。

やれやれ…ヒーローが聞いて呆れる。



兄「仕方ないな。俺が手本を見せてやる」



そう言って俺は橋の欄干に登って眼下の川を見下ろす。水面は緑がかった色をしていて、それなりの水深があることが分かる。俺は顔だけ光に向き直る。


兄「何かリクエストある?」

光「え?…えっと…じゃあ、前方宙返りで」

兄「ほーい…よっと」



軽い深呼吸をしたらすんなり跳んでやった。あんまり勿体つけると光が萎縮するかも知れないからな。

世界がくるくると回転する。

しまった。ちょっと張り切り過ぎちまった。こりゃあ、足から着水だな。



バシャーンッ!

川の水温は思っていたより低くない。むしろ昔馴染みに迎えられているかのような温かさすら感じる。

とは言えあんまり川を堪能していると光が不安に思うかも知れないからな。この辺で上がろう。



兄「ぷはっ!光ー!下は気持ちいいぞ!早く来いよ!」

光「お…おーぅ…い、今行くからそこどいてー!」



橋の真下からはもう避けてるんだが…まぁいいそれでアイツが降りてこれるんならどいてやるさ。

俺は近くの岸から陸に上がり、もう一度光に声をかける。



兄「おーい!いいぞー!」

光「お…おう!」



光が橋の欄干によじ登る。光は体がちっちゃいから欄干に登るのもひと苦労だ。

光はへっぴり腰のまま欄干に立ち、下を見下ろしている。

兄「ビビるな!最初から宙返りなんてしなくていい!普通に足から落ちてこい!」

光「う…うん」


その時、さっきまで微風程度だった風が急に強くなった。



光「うわぁっ!?」



アイツ…バランス崩しやがった!

光はそのまま頭から真っ逆さまに落ちてきた。


ドボーンッ!


大きな音と共に光が着水した。







…上がってこない。


どうしたんだ…?頭を打つような水深じゃないぞ…



光「ぷはぁ!?…たす…け……アニキ…」バシャバシャ



アイツ…パニックになってやがる!

ヤバイ!溺れちまう!



そう思った時には体が動いていた。



兄「光!!」



光の所まではひと泳ぎで着いたが、光が暴れて浅瀬まで引っ張って来れない。



兄「バカッ、暴れんな!掴まれ!」

光「アニキッ…」

俺は光を抱き寄せたまま岸へと引っ張った。

光は岸に上がってもしばらく動けなかった。動揺が治まったかと思ったら今度はボロボロ泣き出してしまった。



光「ぐすっ…ぐすん……うぇぇ…」



まったく…何でこういうときだけ年相応の女の子らしくなるかな…

しかも、濡れても汚れてもいい格好とは言ったが、ノーブラでもいいなんて言った覚えは無い。

目のやり場に困るだろうが…

兄「大丈夫か?」

光「ぐす…」


あんまり大丈夫じゃないな…



兄「やめるか…?」

光「…」フルフル



続けられそうも無いくせに…






光はその後も何度か挑戦してみたが、欄干に登る前に足が竦んで一度も飛び込めなかった。



兄「光、もう帰ろう。今日は手本も見せれたし。また今度教えてやるさ」

光「やだっ…!アニキみたくカッコよく飛ぶんだ!」



何度言ってもこの調子だ。

これ以上は無理だ。無理したところでまともな成果は得られない。



???「何やってんの?」

後ろを振り返ると見知らぬ少女が立っていた。



麗奈「あらあら、ヒーロー様がザマ無いわね。このレイナさまがわざわざ佐賀なんてクソ田舎に来てやったってのに何て顔してんのよ!」



レイナ…聞いたことがある。光と同じ事務所のアイドルで光の友達だっていう…あの



光「レイナ…お前の実家だって山形じゃないかぁ…」

麗奈「なっ…うるさい!」



なるほど…光の言うとおり、シリーズ途中で改心するけど結局元仲間に殺される女幹部っぽいな…

麗奈「ふん!レイナさまはアンタみたいな小物とは違うの!見てなさい!」




そう言って、彼女は勢い良く欄干によじ登った。その姿はまるで…


落下する前の光そのものだ。



麗奈「い…いい?見てなさいぃぃ…い…今からアタシが…ててて手本…奴を見せてやるんだから…」



そうは言いながらも、足は目で見て分かるくらい震え、顔は真っ青である。



麗奈「み…見てなさい…!」



そう言うと彼女は、まるで何も無い前方の空間に身を預けるようにして落下していった。



麗奈「ぎゃあああああああああああっ!」


バシャーン!

けたたましい悲鳴と盛大な水音が聞こえた。


俺と光は欄干から身を乗り出し川面を見る。橋から落下した少女は中々浮かんでこない。



バシャア!

麗奈「ぶはぁっ!?助け…アタシ…泳げな…」






兄・光「「お前もかああああああっ!?」」







本日2度目の人名救助をする羽目になった。

俺ライフセーバーになろうかな。名前もヒーローみたいでカッコいいし





麗奈「ぜぇー…ぜぇー…死ぬかと思ったわ…」



それにしても、泣きまくった光に比べ案外この子はタフだった。涙目だけど



光「麗奈…なんだってこんな事を…」

兄「そうだぞ。泳げもしないのに…」


麗奈「…アンタが弱いからよ」



涙をいっぱいに浮かべた瞳で彼女は光を睨んだ。

麗奈「何よ…遊びに行くって言ったのにそれを忘れてお兄さんとヒーローごっこなんかして…しかも何よあのへっぴり腰。ヒーローが聞いて呆れるわ…」

光「そ…それは」

麗奈「正義の味方が悪より勇気が無いなんてね…だからアンタのは『ヒーローごっこ』だって言ってんのよ…」



凄いな。

兄である俺が言わないようにしていた事をズバズバ言いやがる。



光「そんな…アタシは……だって」



さすがの光も何も言い返せまい。嘘をつくのはヒーローの矜持が許さない。でも弱さを認める事が出来ずに黙り込むしか出来ないのだ。

光「アタシは…アタシは……うえぇぇ…」ボロボロ

麗奈「ちょっ…何マジ泣きしてんのよ…ちょっと…ねぇ!」



まぁそうなるわな。

今日は帰るしかあるまい。

俺は二人を連れて家に帰る事にした。


家に帰ってから両親にこってり絞られたが、まぁ二人とも無事だったので結果オーライである。


やれやれ、今日は酷い目にあった…



コンコン



光『アニキ…入っていい?』

兄「いいぞー」



光が部屋に入ってきた。

どうやら風呂上りらしい、ライダーのパジャマがこんなに似合う女の子を俺は知らない。

兄「麗奈ちゃんは?」

光「先に寝ちゃった」


結局彼女は今晩泊まっていく事になった。というか友達が泊まりに来る予定忘れるか?普通

光が何やら入り口付近でもじもじしている。

コイツ何をしに来たのかは分かる。謝りに来たんだ。迷惑をかけたと


でも、そんなの聞いてやる義務は俺には無い。



兄「おい、DVD見ようぜ」

光「へ?…う、うん」



俺はそう言ってDVDプレイヤーの電源を入れる。

光は俺のベッドに腰掛け膝を抱える。俺もその横に座って部屋にあるテレビを眺めた。


いつ聞いてもアガるOPは今日はいつもとは違う感じに聞こえる。



そのまま30分くらい過ぎただろうか、さっきまで黙って見ていた光が口を開いた。



光「ねぇ…やっぱりヒーローになんてなれないのかな…」



それは毎日口にする『ヒーロー』よりもずっしりと重みを感じる言い方だった。

光「アニキみたいにでっかく無いし、筋肉も無けりゃ、身軽でもない…アタシもやっぱり普通の女の子みたいに大きくなるしか無いのかな?」



普通の女の子。

オシャレして、友達と遊んで、恋をして、運命の男を探す普通の女の子。

血湧き肉躍る展開も、正義も悪も関係ない普通の女の子。



光「アタシってば結局女の子なんだ…普通で、弱くて、どこにでもいる…」



光は既に涙声だ。


弱々しくて情けない。


小さな小さな嗚咽をエンディングテーマに


画面の向こうではヒーローが去っていった。

























次の話のOPが始まる。曲はいつものアノ曲だ



兄「カッコつけてるつもりで得意になって♪」

光「…?」

俺は重い空気を跳ね飛ばすように大声で歌い始めた。ご近所さんなんて知ったことか、立ち上がって歌い続ける。




兄「足踏みしてるだけじゃ進まない♪」



サビに差し掛かり俺は一層声のボリュームを上げる。



兄「おぉとこならああああああああああああっ!」



多分隣の部屋どころか下の階にもハッキリと聞こえるであろう大声で歌ってやった。親が抗議に来るのも時間の問題だろう。

だけどもうちょっと…もうちょっとだけ歌わせて。

兄「転んでもいいよ~♪また立ち上がればいい~♪」



神様、ここだけは歌わせてくれ




兄「ただそれだけできれば…」




そうつまり、たったそれだけの事




兄「えいゆううううさあああああああああっ!」







まぁ、そう言うこった。









光「…」

兄「(ドヤァ…)」











光「ぶっ…アハハハハハハッ!やっぱアニキはアニキだなぁ!一人だけ大人になったフリして、昔から全然変わんないじゃん!」

兄「何を言う。家でもパチ屋でも牙狼を嗜むくらい大人になったさ」



俺は懇親のドヤ顔で光を見下ろすが、光はケラケラと笑い転げている。



光「ねえアニキ!いつもアレやってよ!ダイレンジャーの名乗りの完コピ!」



光が今日一番の笑顔で俺を見ている。瞳をキラキラと輝かせて見上げるこの構図は最高に癖になる。


兄「いいぜ!やってやる!気力!転身!」







麗奈「アンタ達うるっさいのよ!!」バァン


兄「天馬星!ショウジ!」ゴスンッ


麗奈「へぶっ!?」



大きく振り上げた右足を下ろした先に突然現れた妹の親友は、脳天に踵落としをくらい床に叩きつけられた。

結局その物音で親が駆けつけ、再び説教が始まるのである。













~翌日~



光「いっ…いくぞー!」

兄「おう!」



俺たちは懲りずにあの川へ来ていた。

橋の欄干に光が立ち、それを後ろから俺と麗奈ちゃんが見守る構図だ。

たった一日で立ち直るとはわが妹ながら感心してしまう。



麗奈「いいからさっさとやんなさいよ!」

光「見てろぉ!次レイナがイタズラしたらコレをお見舞いしてやる!」



いや、自分の親友にクウガ式のライダーキック決めんなよ。

光「とぉっ!」バッ



光の体が宙に舞う。やらんでもいい宙返りを試みて前方に回転しようとするが、あれじゃあ回転が足りない。あのままだと…


バッシャーン!


やっぱり背中から落ちやがった。



光「ぷはっ!いったぁー!…でも出来たよアニキ!見ててくれた!?」

兄「見てた見てた。宙返りはまだまだだけどなー」


光はまたあのキラッキラの目で橋の上の俺を見上げる。それは昨夜以上に輝いていて、今まで見せたどんな笑顔よりも喜びに満ちていた。

ショタA「うわっ!?すっげー!!」

ショタB「姉ちゃん凄くね!?かっけー!!」



不意に後ろから声がした。見ればうちの近所のガキどもじゃないか。



ショタA「ねぇねぇ、俺にも教えてよ!」

ショタB「俺にも俺にも!」



少年達は先ほどの光と同じ目で光を見ていた。

その横顔はまるで日朝の光の顔そのものでもあった。

ヒーローの多くはバカで無茶だ。だからこそ人を惹きつけるし、子供が真似する。

人はそれを憧れといって優しく見守ったり、子供っぽいと言ってバカにしたりする。



だけど、そんなガキどもの中から次のヒーローが生まれるんだ。



俺はアイツにヒーローとは何たるかを教えてやった。

今度はアイツがガキどもに教える番だ。

そうしてヒーローは巡り、子供は夢を見続ける。



ほらな?ヒーローになれたじゃないか。規模も体も小さくても、お前は立派なヒーローさ。




よし、そろそろ行くかな…














俺はTシャツを脱ぎ捨てる。バッキバキに鍛え上げられた肉体が露わになり、俺はさり気ない決めポーズで麗奈ちゃんにキメ顔をする。





兄「しがないスーツアクターの見習いさ…とうっ!!」





ショタA・B「すっげー!?3回転半ひねり!」


麗奈「…ガキっぽいのは遺伝なのね」









************************************

麗奈「そういえばアンタ何の仕事やってるの?」

兄「ん?俺か?」












俺はTシャツを脱ぎ捨てる。バッキバキに鍛え上げられた肉体が露わになり、俺はさり気ない決めポーズで麗奈ちゃんにキメ顔をする。





兄「しがないスーツアクターの見習いさ…とうっ!!」





ショタA・B「すっげー!?3回転半ひねり!」


麗奈「…ガキっぽいのは遺伝なのね」









************************************

↑オチを貼り間違えたから連投



というわけで、ナンジョルノ編おしまい。


ネクサスも牙狼もちろっとしか見たこと無かったから、リクエスト来た時はちょい焦った。




※リクエスト一覧※

・肇
・裕美
・きらり
・桃華
・比奈
・美優
・周子
・響子
・ゆかゆかのりこ
・ままゆ
・ちっひ
・奏
・藍子
・千枝
・しぶりん
・きらり
・菜々
・智絵理
・里美
・とときん
・ユッキ
・日菜子

※全員は書けないので、誠に勝手ながら選んで書いていきます。

アリガト、ウ・・・ >>1・・・
「英雄」でなぜかスッキリしたわ「青い果実」もいい曲だよ!「飛び立てない私にあなたが翼をくれた」もね!
ナンジョルノにウルトラファイト(ゼロファイトに非ず)やレッドマン見せたらどう思うのだろうか

なんかいまんところはありかなって範囲だし礼子さんの兄とか幸子の弟みたいな
絶対いねーよなやつを見てみたいわ

かわEきの子の声を聞け!

>>222

橋の上から飛び立てないまだまだ青い果実な光ちゃんにアニキが翼をあげました。つって

それ見てでライダー寄りになった可能性が微レ存…?


>>223

ちょっと考えてみます



>>226

きの子かわいいよきの子ぉ!

*****************************










五十嵐兄「ヤバイ。俺の妹がめっちゃカワイイ」


A「は?」
B「あ?」



五十嵐兄「ヤバイ。妹ヤバイ。まじでヤバイよ、マジヤバイ。
妹ヤバイ。
まずカワイイ。もうカワイイなんてもんじゃない。超カワイイ。
カワイイとかっても
「オードリー・ヘップバーンくらい?」
とか、もう、そういうレベルじゃない。
何しろ世話好き。スゲェ!なんかお姉さんとかじゃ無いの。母親とか聖母とかを超越してる。妹だし超カワイイ。
しかも成長してるらしい。ヤバイよ、性徴だよ。
だって普通は妹とか成長しないじゃん。だって自分の部屋の妹がだんだんババアになったら困るじゃん。私お嫁に行きますとか困るっしょ。
化粧とかケバケバしくなって、変な香水臭くなって、皺一つないぷりぷりの肌が皺くちゃになったら泣くっしょ
だから俺の妹とか嫁入りしない。話のわかるヤツだ。けど妹は…」


A「待て待て待て」

五十嵐兄「ん…何だよ、俺の妹自慢を遮ってまでする話があるか?」


B「お前の妄言を遮る為の話だ」


五十嵐兄「なんだと!?俺の妹が可愛くないと申すか!?」


A「あーもう違う違う」


五十嵐兄「ふん!貴様らにはわかるまい。うちの妹の可愛さが」


B「言ってろ言ってろ」


五十嵐兄「おいB、言っておくがお前の妹よりも可愛いからな」


B「んだとコラァ!?」


五十嵐兄「今日こそ決着をつけてやろうじゃねぇか!」


A「あー…また始めちゃったよ」





五十嵐兄・B「「勝負!!」」

五十嵐兄「俺の妹は昔からクラス!いや学校中の男子生徒から告白されまくってきた!」


B「ふん!俺の妹なんて県外からラブレターが来たことがあったね!」


五十嵐兄「それくらいこっちもあるわ!」


B「俺の妹は料理が上手いし編み物だってできる!」


五十嵐兄「ふん!バカめ!うちの妹なんか我が家の家事全般を任されてるんだぞ!女子力ならこっちが上だ!」


B「お前の妹のオカンみたいなガサツな料理とは違う!こう…何ていうか…もの凄く女子女子した可愛い奴だ!」


五十嵐兄「伝わんねぇよ!」


B「うるせぇ!」





五十嵐兄「俺の妹はな!今朝も早起きしてみんなの朝ごはんを作って…作って……」

A・B「「え?」」

五十嵐兄「うえええぇぇぇぇぇx…」

A・B「「何泣いてんの!?」」

五十嵐兄「いやな…今朝、いつも通り妹が朝飯作ってくれたんだけど…洗濯物干すのを俺に押し付けて出かけちまったんだよぉ~…」

A「妹さんだって予定があるだろうし、別にいいじゃないか」

五十嵐兄「だってさぁ…何か野菜とか食材持って超キラキラした顔で出掛けてくんだぜ…」

B「あーこれは男だな。間違い無いわ」

五十嵐兄「きっさまああああああっ!?」

B「黙れ近寄るな、非処女が妹に移ったらどうするんだ」

五十嵐兄「殺す!殺すぅ!」

A「あーはいはい落ち着いて…」

B「ははは、いい気味だな」

A「そう言えばお前妹さんからマフラー貰ったのか?」

B「え…?」

A「何かこないだ妹さんがマフラー編んでくれてるって…」


B「うええええぇぇぇぇぇぇ…」


A「お前も泣くのかよ!?」





B「えぐ…えぐっ…殺す…アイツ絶対殺す…」

A「あー…別の男に渡しちゃったかぁ…」

五十嵐兄「あー…その後滅茶苦茶セックスしたな、そりゃ」

B「まずはてめぇだあああぁぁぁぁぁっ!」

A「辞めろって馬鹿!」

五十嵐兄「Aはいいよなぁ…Aの妹はそういう話きかねえもん…」

B「そう言えばそうだな」

A「ん?…あぁそうだな。うちの妹ってちょっと根暗だし、昔ちょっといじめられたりもあったからな」

五十嵐兄「そうなの?」

A「うん…まぁ顔は悪く無いし、何か弱々しいからついつい男子が面倒見たがったり、ちょっかい出したがるみたいでな」

B「あー…いるいるそういう奴」

A「だからお前らが羨ましいよ、五十嵐の妹さんはしっかり者だし、Bの妹さんも優しそうじゃないか」

五十嵐兄「まあな」

B「ふふん」

A「そこは謙遜するところじゃないのかよ」

五十嵐兄・B「「俺の妹の可愛さは天地創造レベルだからな」」

A「仲良しじゃん…」

五十嵐兄「趣味無いの?趣味」

A「妹に?」

五十嵐兄「そうそう。うちの妹は家事だし、Bの妹は料理と編み物とセックスだろ?」

B「五十嵐…東京湾でスキューバーダイビングするか…?」

A「んー…引っ込み思案で部屋に引きこもりがちだからなぁ…」

五十嵐兄「何か無いのかよ?」

A「うーん…草むしり?」

五十嵐兄・B「「はぁ?」」

A「何か時々嫌な事あったりすると、庭で草むしってる時がある」

五十嵐兄「…」

B「…」





五十嵐兄「B…いいメンタルヘルス知らないか?」

B「お医者様に相談だな」

A「おい、やめろ」

五十嵐兄「いやだって絶対ヤバイだろ、リストカットとかしてるんじゃないのか…?」

A「し…してない…!と…思う…」

B「やべぇよ…やべぇよ…」

A「い…いやあれだ!好きな芸能人の追っかけ!」

五十嵐兄・B「は?」

A「何か部屋に芸能人の写真がいっぱいある!」

五十嵐兄「わりと普通だな」

B「好きな芸能人て誰?」

A「それが分かんないんだよなぁ…顔はわりと普通だからアイドルじゃなくて俳優か何かだと思うんだけど…」

五十嵐兄「へぇ~…あ、うちの妹もそんな感じの持ってる」

B「あぁ!もしかしてうちの妹が部屋中に貼ってる写真もそいつかも!!」

A「マジで?何だろ?流行ってんのかな?」

B「さぁ…わが妹ながら渋い趣味してんなぁなんて思ってたけど…俺の妹、毎日その写真に話しかけてるわ」

A「うわぁ……」





『大好きだよ♪あなただけよ♪』




B「あれ、電話だ。もしもし」

???「おぉ、佐久間ぁ今暇?」

佐久間兄「うん、五十嵐と緒方と駄弁ってた」

緒方兄「誰?」

佐久間兄「ん、水本」

水本兄「今日の講義終わったから俺んちに遊びに来いよ」

佐久間兄「おういいぜ」

水本兄「あ、ただし。お前ら妹自慢禁止な。こないだゆかりんがコンクールで賞とったから、その演奏を聴かせてやろう」

佐久間兄「死ね。妹の縦笛でも舐めてろ」

水本兄「縦笛は舐めてない!」

佐久間兄「はいはい、ていうか3人も押しかけて大丈夫か?」

水本兄「大丈夫。今ゆかりんは友達とスタバでおしゃべりしてるし、これから映画観に行くみたいだし」

佐久間兄「おぉそうか」

五十嵐兄「確かに俺も逆の立場だったら、アイツに妹会わせたくないわ」

緒方兄「俺もー、うっかりうちの妹に会って惚れたら粘着しそうだし」

佐久間兄「お前らも十分気持ち悪いよ…じゃあお邪魔するわ」

水本兄「ほーい、じゃなー」

佐久間兄「じゃあ行くかー」

五十嵐兄「うぃー」

緒方兄「よいしょ、っと。やれやれ水本の奴のシスコンもいよいよ病気だな」

五十嵐兄「そろそろアイツ妹押し倒すんじゃないか?」

佐久間兄「お前らもだろ?」




佐久間兄「(まぁて言っても、五十嵐の妹どうせ通い妻系ビッチみたいだし)」

五十嵐兄「(緒方の妹メンヘラだしなぁ)」

緒方兄「(佐久間の妹ってヤンデレだったのか…)」





水本兄「ゆかりんのフルート美味しいれす(^q^)」













4人「しかも俺の妹アイドルだし。いやぁ~やっぱりうちの妹が一番天使だわ」








********************************

思いつきでやった。後悔はしてるし反省している。



次はもうちょっとマシなの書きます。

※リクエスト一覧※


・肇
・裕美
・きらり
・桃華
・比奈
・美優
・周子
・ゆかゆかのりこ
・ちっひ
・奏
・藍子
・千枝
・しぶりん
・きらり
・菜々
・里美
・とときん
・ユッキ
・日菜子


※全員は書けないので、誠に勝手ながら選んで書いていきます。

**********************************








ボクのお姉ちゃんはアイドルです。


遠い星からやってきたスーパーアイドル・ナナちゃんとして人気絶頂大熱狂なんです。



だけど、今日はお休み。今日は一緒にお家でゴロゴロしてます。



弟「おねえちゃーん…お菓子とって~」

菜々「えぇ…?自分でとんなさいよぉ…」


今日のお姉ちゃんは完全にオフモード。お昼からお気に入りのビールを片手に撮り貯めていた韓流ドラマを見ています。

ボクは気だるい体を起こし、ちゃぶ台の上の煎餅に手を伸ばします。お姉ちゃんもつまみ代わりにぼりぼりかじっていて、まるで本物のウサギさんみたいです。

まぁ当然ですよね。ウサミン星からやってきた女の子なんですから



菜々「もぉ~ホントに甲斐性の無い男よね!そんなの『俺に任せろ』ってガツーンと言って、ズキューンとキスすりゃイチコロよ!」



お姉ちゃんがテレビにツッコミを入れます。こういう時のお姉ちゃんはむしろご機嫌なので、ボクは気にせずお姉ちゃんの方を見ます。

お姉ちゃんはちっちゃな頭をゆらゆらさせながら微笑んでいます。

最近忙しかったお姉ちゃんにはいいお休みです。

お姉ちゃんはテレビでもイベントでもいつも元気で、時々こっちが心配になるくらい体を張って頑張っています。

お姉ちゃんが着ているTシャツの襟元から見える湿布がとっても辛くて可哀想です。

菜々「あぁー…あっつい…暖房強すぎ…」



お姉ちゃんは部屋着をパタパタとさせながら、暖房を睨みます。お姉ちゃんの大き目のおっぱいがふるんふるんと揺れていてちょっぴりエッチです。

するとお姉ちゃんはズボンを脱ぎ始めて、パンツ一枚になります。弟としてはお姉ちゃんのグレーのパンツにムラムラする事は無いですが、ファンの方々には見せられない姿です。



菜々「あぁ~…結婚してぇ~…」



お姉ちゃんの最近の口癖です。

お姉ちゃんは昔からわりと結婚願望が強くて、若い頃から花嫁修業をかかしませんでした。

それ故にその腕前を振るう機会が無くてちょっぴり悔しいみたいです。



菜々「大体ねぇ…私の周りの男が馬鹿なのよ…」



今日もお姉ちゃんの愚痴が始まりました。

お姉ちゃんの周りの男の人は馬鹿だ、EDだと言って机に突っ伏します。

確かに、お姉ちゃんは若くてカワイイし、わりと尽くすタイプだと思います。

だから言い寄る人がいてもおかしくは無いはずなんですが…




『アイラービュ~♪今だぁけは悲しい歌~♪』



菜々「んにゃ?電話だぁ………はっ!?」



お姉ちゃんは電話を見て一瞬固まります。どうしたんでしょうか?

するとお姉ちゃんは居住まいを正し、急に引き締まった顔になります。

すぅ~はぁー…と深呼吸をして電話に出ました。

菜々「ピピピッ!プロデューサーさんからの電波を受信しました!貴方のアイドル菜々でーっす☆」



あっ、お姉ちゃんがお仕事モードになりました。どうやらお姉ちゃんのプロデューサーさんみたいです。



菜々「えぇ?やだな~ナナはウサミン星にてバカンス中ですよぉ~♪」



心なしかお姉ちゃんの声が弾んでいます。顔の緊張も綻んでちょっとニコニコです。




奈々「えぇ~やだなぁもぉ~…………え…?あ、はい…はい」





どうしたんでしょう?様子がおかしいですね。





菜々「………はい…それでは…はい~…」ピッ

弟「?」



菜々「…弟」

弟「何?」

菜々「手伝いなさい」




そう言ってお姉ちゃんは立ち上がります。その目は決意の色に染められた戦士のようでもあり、同時に追い詰められた獣のようでもありました。






















P「ここが菜々の家かぁ…何か昭和の匂いがする家だな」


ピンポーン


菜々「はぁーい☆お帰りなさいませご主人様♪ウサミンハウスへようこそ!」

P「お前…オフでもそんな格好なの?」

菜々「何を言ってるんですか!?ウサミン星では、お客様はこの格好でお・も・て・な・し☆するんですよ!?」

P「…」

菜々「何ですかその可哀想な人を見るような目は!?」

P「うん、いやいいんだ」



???「こんにちわ」

P「あ!?申し訳ありません!お休みのところお邪魔してしまって…」

菜々「紹介しますね!歳が離れてる上に老け顔な菜々のお兄ちゃんです!」

兄?「どうも、うちの菜々がお世話になっています」

P「あ、これはこれはご丁寧に…」

菜々「ささっ!名刺の交換なんていいから上がってください」

P「え…あ…ちょっと」

P「何と言うか…外観の割りに凄いファンシーな内装だな…」

兄?「そうですか?ウサミン星の一般的な住宅ですが」

P「え…?あ、そうなんですかーへぇ~」

菜々「お待たせしました!ウサミン星のご馳走でナナの十八番!ニンジンケーキですよ!」

P「え…ニンジン…?」

菜々「ニンジンといってもそんなにニンジンの味はしませんから大丈夫ですよ!!」

兄?「菜々の得意料理なんです。美味しいですよ」

P「は…はぁ…」


パクッ



P「あ…ホントだ…美味しい」

菜々「ホントに!?ホントに美味しいですか!?」

P「あぁ、凄く美味いよコレ」

菜々「やったぁ!…良かったぁ…練習した甲斐が…」

P「え?十八番ってさっき…」

兄?「ナナの得意料理なんです」

P「あ…はい」



P「へぇ~…菜々さんのちっちゃい頃ってそんな感じだったんですね」

兄?「えぇ、よく母親の手伝いをしていたのを覚えていますよ」

菜々「ウサミン星の女の子は小さいときから、そうやってお嫁さんの修行をしてるんです♪」

兄?「当時の写真もありますよ。見ますか?」

P「ええ、是非」




P「………昔はお兄様の方が小さかったんですね」

菜々「なっ…ナナは発育のいい子だったので!」

兄?「えぇ、昔は随分虐められたものです」

P「でもネームの学年もナナの方が上…」

菜々「ああああっ!?そ…それは!?背伸びしたいお年頃だったんです!」

兄?「えぇ、ナナは背伸びしたがりな子でしたから。初めてセクシーな下着を買ったのも…」

菜々「ぎゃあああああああああっ!?ナ…ナナは今もウサミンパンツですよぉ!!」

P「(さっきグレーのパンツ見えたけど…黙っておこう)」





菜々「あっ!そうだ!プロデューサーさん、ナナ新しい振り付け考えたんです!」

P「へぇ、どんなのだ?」

菜々「へへ~それじゃあお兄ちゃん、ミュージックスタートォッ☆」

兄?「うむ」




<ミミミン!ミミミン!ウーサミーン!




菜々「ミミミン!ミミミン!ウーサミーン!」

兄?「ミミミン、ミミミン、ウーサミーン」

P「ぶっはぁ!?」






菜々「ゼェー…ゼェー…どうでした…?」

P「お…おう、何ていうか…破壊力満点の絵面だったぞ?」

兄?「ぜぇー…ぜぇー…?」







P「すいません、それじゃあそろそろお暇します」

兄?「近くまでお送りしましょうか?」

P「いえいえ!そんな恐れ多いといいますか、滅相もない!」

兄?「そうですか」

菜々「プロデューサーさん今度は事前にアポイントとってから来てくださいね!一週間前ですよ!!」

P「早いな…」

菜々「キャハ☆」

兄?「きゃは☆」

P「………お…おぅふ…」




菜々「バイバーイ♪」

P「おーぅ」










「おーぅ」












菜々「…行ったね」

兄?「…」



菜々「はぁぁぁ…疲れたー…」

弟「お姉ちゃんお疲れ様」

菜々「もう……今日はこれから飲み直そ…ほらっ!あんたも付き合いなさい」

弟「うん。今日は秘蔵のアレ、飲んじゃおうか」

菜々「お!太っ腹じゃなーい♪…えへぇ…晩酌♪晩酌~♪」




弟「…」




ピッピッピッピ…Prrrrr





弟「私だ」



弟「例の計画はどうなっている?あぁそうだ、局の株は実質何%集められる」



弟「うむ、そうか。あの狸親父には女と金さえやれば十分だ、吉原の知り合いに聞いてみよう」



弟「何?ヤクザが怖くて仕事になるか、貴様この業界に何年いるんだ。なぁに成功の暁にはお前に課長でも部長でも、好きな役職に座らせてやろう」



弟「あぁ、それと今から言う男の身辺をもう一度洗ってくれ。女性関係を特にだ」



弟「あぁ、頼むぞ」




ピッ













お姉ちゃん。


ボクが出来る事はこれだけです。


だけど、必ずトップアイドルにして見せます。



ボクの大好きなお姉ちゃんのために









********************************

以上、ナナ編でした。


ナナさんは裏表のないカワイイ人です





※リクエスト一覧※


・肇
・裕美
・きらり
・桃華
・比奈
・美優
・周子
・ゆかゆかのりこ
・ちっひ
・奏
・藍子
・千枝
・しぶりん
・きらり
・里美
・とときん
・ユッキ
・日菜子


※全員は書けないので、誠に勝手ながら選んで書いていきます。

いきなり何も書けなくなって、半月も放置してしまいました。申し訳ないです。



それでは再開したいと思います。

*****************************






俺の兄貴が結婚した。


地元を離れて上京したかと思えば、いきなり結婚とか言いだしやがって、相変わらず訳の分からん事しやがるぜ、うちの兄貴様は


そして更に訳が分からんのは兄貴の奥さんがアイドルだと言う事だ。


名前は十時愛梨。押しも押されぬトップアイドルで、最近じゃあ色んな番組で見かける。兄貴はそのプロデューサーだ。


プロデューサーとアイドルなんて周囲は随分白い目で見たし、黒い噂も聞いたけど、それでも2人はそんな周囲の声も意に介さず交際を続け、遂に先日結婚した。




だけど、本当の問題はここからだ。



俺も兄貴に遅れる事数年、パティシエになるために上京したが、まぁ色々あって兄貴の家で暮らす事になった。

新婚の2人の新居に世話になるなんて気が引けたが、幸い兄貴の家には空き部屋があったし、俺も背に腹は代えられなかったから結局世話になることにした。

そこで俺は初めて義姉の悪癖に気づくことになる。






脱ぎ癖だ。






義姉は暑がりで兄貴は寒がり。そんな2人が一つ屋根の下生活をともにすれば結果は考えるまでもない。

義姉はところかまわず脱ぐ。Tシャツ一枚だろうがバスタオル一枚だろうが、裸以外であればとにかく脱ごうとしやがる。

兄貴も一応止めはするものの、自分はとっくに慣れたからって適当にしか止めようとしない。正直…



義理の姉がエロ過ぎて身が持たない。
















弟「はぁ?出張?」

兄「あぁ、1週間くらい留守にするけどよろしくな」



兄貴からの突然の言葉に俺は一瞬固まってしまった。



弟「いいけど…義姉さんは?」

兄「?…俺は専属のマネージャーじゃないんだ、いつも一緒って訳じゃない」



分かっちゃいるが、という事は明日から1週間義姉さんと2人っきり…

いやいやいや無理。無理だ…俺ではあの天然脱衣魔の義姉さんを止める事は出来ない。

想像してみてくれよ、巨乳のトップアイドルが裸でウロウロしている家で一切欲情せず平常心でいられるか?


不可能だ。そんなのホモか不能だけだ。


俺はホモでも不能でもない。巨乳なんてむしろ大好物だ。



弟「新婚旅行もまだだろ、義姉さんも連れてけよ」

兄「あのな、俺は遊びにいく訳じゃないんだ。それにアイツもこっちで仕事があるんだ。連れてけ無いよ」

そうだろうな、何せトップアイドル様だ。今日だって収録が遅くなっているのか、深夜近くなってもまだ帰ってこない。




弟「分かった。まぁ一週間なんてあっという間だろ」

兄「そうさ。…寝取るなよ?パンツ嗅ぐくらいなら許してやるから」

弟「しねえよ!兄貴の精液臭ぇパンツなんて願い下げだっつーの」

兄「何を言う!愛梨のパンツの匂いはさながらアップルパイだぞ!?」




林檎だけに禁断の果実ってか。

しかもパイが女性器のスラングってとこまでかけてる。



弟「その香ばしいアップルパイに練乳ぶっかけてる兄貴の脳みそは、芯までトロットロのゲロ甘だな」

兄「…」ニタァ



あー、殺意って結構簡単に湧くんだなー

愛梨「ただいまー」

兄「おう、マイハニー!会いたかったぜ♪」

愛梨「ふわぁ~今日も疲れたぁ~…」



俺と兄貴が下品な会話を交えていると義姉が帰ってきた。

義姉はちょっと地味だけど上品さを漂わせた装いで、その美しさは帰ってきただけで照明が一個増えたみたいに周りが明るくなる。

兄貴が静かに微笑みながら近づき、そっと口付ける。



チュッ


兄「疲れを吸い出してやる」

愛梨「…えへ♪」





なぁ、信じられるか?これは現実でここは日本なんだぜ?

愛梨「弟くんもただいま♪あ、そうだスタッフの人からお菓子もらったよ。一緒に食べよ♪」



それでもこの笑顔を見るだけでどうでも良くなるんだから、つくづくこの人にはアイドルの才能がある。


アップルパイか…


兄貴のシナモンスティックを添えるには勿体無い女性だ。



そんなこんなでみんなで深夜のティータイムを楽しみ、俺たちは寝ることにした。

明日からは試練の日々が始まる。みんな、この一週間を無事に乗り越えたら俺を尊敬してくれ。


ひとまず寝ちまおう。




……寝ちまいたいのに…





愛梨『やっ…あんっ…あんっ…激し…の……好きぃ…ぁ…もっとぉ…』





どうやらお隣さんは一週間分のセックスを今夜前払いしちまうらしい。

























翌日のバイトは遅刻ギリギリだった。

バイト先の菓子屋までチャリをかっ飛ばし、到着した頃には汗だくだ。

菓子屋のバイトなんて大したこと無いと思う奴もいるかも知れないが、レジ打ちオンリーでもない限り結構な重労働だ。

ふわふわのホイップだってボウル一杯にもなればそれなりの重さだし、カスタードなんてその何倍も重い。

それを作るための牛乳だって業務用サイズの馬鹿デカイやつだし、砂糖や小麦粉なんて子供一人分の重さはある。

寝坊と重労働で俺の体は試練の初日からボロボロだ。

帰り道は朝とは違いゆっくり帰ってきた。

疲れてそれどころじゃないし、何より心の準備が欲しかった。

そして自転車を置いたら、家の玄関で深呼吸をする。

この扉を開けば試練の始まりだ。

俺の理性と常識が試される。


そんな重苦しい気持ちで扉を開く。


さぁ来い。


何が起きても負けやしないぜ。



弟「ただいま」


愛梨「あ!弟くんお帰り。ご飯できてるよ♪早く食べよ☆」








神様、この試練厳し過ぎやしませんか…?








翌日のバイトはバッチリ間に合った。

体の疲れはいくらか取れているが、メンタル面ではボロボロだ。

エプロン姿のトップアイドルと囲む食事は最高の気分だったが、脱ぎだす義姉を止めるのに精一杯であまり味の方は覚えていない。

今晩の夕食だってそうだ。

そりゃあカレーが付いてしまった服を脱ぎたいのは分かるが、いつもノーブラにTシャツ一枚だという事をいい加減認識して欲しい。

まぁいいや…後は風呂入って寝るだけだ。



愛梨「弟く~ん、お風呂空いたよー」

弟「はーい…って、うわああああっ!?義姉さんタオルタオル!何でバスタオルじゃなくて体洗う方の奴で隠そうとするの!?」



これで本人に誘ってるつもりが無いんだから厄介だよなぁ…








三日目



凄いだろ。全然手を出してないんだぜ?

しかも今日はバイト先の先輩から菓子作りを教えてもらえる事になっている。

立派なパティシエになる為に気合いれてやるぜ!



弟「先輩!おなしゃす!」

先輩「おう、それじゃあ今日はアップルパイを教えてやる」

弟「」



偶然って凄いよね。俺の兄貴が十時愛梨のダンナだって誰にも言ってないはずなのに、一瞬バレたかと思ったよね。



先輩「レッツゴー♪バターとりんご♪そしてグラニュー糖♪」



バレて…ないよね?

先輩「ラム酒をふって○ンポ汁♪」



………あ~…いかんいかん目眩してきた。



先輩「あー…愛梨ちゃんのアップルパイにボクちんのお汁かけたいよぉ~…ん?どした?」

弟「大丈夫っす…続けてください…」

先輩「おう」



終始こんな感じだったが、美味しいアップルパイの作り方は教わった。

ついでに知りたくも無い先輩の性癖についても聞いてしまったが、忘れることにしよう。

何だよ背中から腰にかけての背筋の窪みって…








四日目は平穏だった。

義姉さんは朝早く仕事に出かけたし、義姉さんが帰って来た頃には俺は寝ていた。

夜中一瞬目を覚ましたときに隣室から、義姉の苦しそうな切ないような声を聞いた気がしたがきっと気のせいだろう

あぁ、気のせいだ


気のせいだ









さぁ、五日目だ。


後半戦も気を引き締めていかなきゃな。

さて、まず今現在対処すべき問題は…






愛梨「すぅ…すぅ…」




俺のベッドに潜り込んで来た義姉さんをどうするかだ。

酔っ払ったり寝ぼけたりして何度か俺の部屋に入って来た事はあったが、さすがにベッドに潜り込んで来たのは初めてだ。

ていうか服着てるのか?あぁ着てるのか。はだけ過ぎて殆ど見えなくなってるけどパジャマらしきものは辛うじて見える。

義姉さんを起こさないようにそっと首を上げ、周囲を確認する。






使用済みのティッシュ…無し



及びコンドーム……無し



脱ぎ捨てられたパンツ…………確認





待て待て、落ち着け。

ベッドの横に義姉のものと思われるパンツが落ちているからと言って、今義姉さんがノーパンとは限らないじゃないか。

この世の中には不思議な事がいっぱいだ。義姉さんのパンツが突然現れたりする事もあるだろう。

そうだ。きっと義姉さんが寝ぼけて持ってきて落としたんだろう…



愛梨「…ん……」ギュウ…


ふおっ!?義姉さんの胸が当たってる…って脚を絡め…!?






シャワ






【速報】うちの義姉がはいてない




という事はこの殆どはだけてるパジャマの下は何も穿いてないというのか…


本当に俺ヤって無いよね?大丈夫だよね?




お口でゴックンすればティッシュはいらない、生ですればゴムはいらない…



自分の股間をまさぐる。一応パジャマは着ているが、安心は出来ない。


何か分泌液が乾燥してし固まったような感じは…ない…


お掃除か!?俺は正気を失いながらもお掃除させたのか!?



…兄貴をどんな顔をして迎えれば……





愛梨「……んー…」



チュ



弟「!?」



義姉さん寝ぼけてる!?

愛梨「んんっ…んーっ♪」



チュゥゥゥゥ…チュル…レロ…ハム……チュ…




義姉さん俺と兄貴を間違えてるのか!?それとも…それともまさか!?




弟「んー!?んんんんんー!!」


愛梨「んふー♪……んん?……ん?……ほぇぇ?」




義姉さんが閉じていた瞼をゆっくりと開ける。寝ぼけた義姉さんは数秒固まっていたが、みるみるうちに義姉の瞳は戸惑いの色に染められていく。




愛梨「あれ?…え?…なんで?…弟くんが…えっ?」



義姉さんはキョトンとした顔で俺を見るが、俺自身何をどう言ったらいいかまったく検討もつかない。

すると、義姉さんはうっすら頬を赤く染めながら俺のほうを見る

愛梨「あのね…弟くん…ダメだよ?…私、兄くんのお嫁さんだし……こういう事は彼女とかと…」



何を言ってるんだこの義姉は。

どうやら俺が夜這いをかけてきたと勘違いしているようだが、残念ながらここは俺の部屋である。

義姉の困り顔もなかなかそそるものがあるが、今はそんな事は言ってられない。



弟「あの…ここ…俺の部屋…」



俺がそう言うと、義姉さんはゆっくりと周囲を見渡しシーツの色や家具の配置を確認し始めた。

みるみるうちに義姉さんの顔がサァっと真っ青になったかと思ったら、今度はカァっと真っ赤になっている。



愛梨「ごごごごごめんなさい!?わ…私ったら…すぐ出るね!」

弟「あああああ!?ストップストップ!!?」



俺は義姉さんの腕を掴んで布団から出て行くのを防いだ。

義姉さんは赤い顔でキョトンとしているが、今義姉さんに出て行かれる訳には行かない。

弟「義姉さん、下!下!」

愛梨「え?」



義姉さんは数秒固まった後、自分の下半身を覆う違和感に気づいたらしく、ほんのり赤かった顔がこれ以上無い程に赤くなっている。



弟「俺が先に出るから!義姉さんはそのまま!ね!?」

愛梨「う…うん」



俺はなるべく布団をはだけさせないよう、滑るようにベッドから抜け出た。

義姉さんは布団に隠れるように包まりながらこっちを見ている。その目は微かに潤んでいて非常に官能的だ。

これ以上その顔を見てしまうとさすがに魔が差しかねないし、何より今そっちを向けない別の理由が俺の下半身に起きているので、背中ごしに俺は極めて冷静に、事務的な連絡をする。


弟「じゃ…じゃあ俺…朝飯作ってくるから」


今はそんな事を言うのが精一杯だった。

今朝の朝食は終始無言でギクシャクしっ放しだった。自分で味見もしたくせにろくに味も覚えていない。

俺はそんな空気から逃げるように、早めにバイトへ出かけた。

いつもより随分早くバイト先に着いたが、なかなか仕事に身が入らずちょっと残業する羽目になってしまった。

だけど今朝の出来事を考えたら、家に帰り辛くてしょうがない俺としてはむしろ好都合でもあった。




一体どんな顔で後2日とちょっと接すればいいのか…




そうこうしているうちにキッチンの掃除も終わり、道具も片付け終わってしまった。

帰らねばならないが、帰りたくない。

とは言っても、近くに泊めてくれるような友達もいないし、どこかに泊まろうにも小銭しか持ってない。

5分ほどあれこれ考えてみたが、やはり我が家に帰るしかないという結論になり、渋々サドルに腰掛けた。

ため息を一つつき体重を前にかける。

ペダルを漕ぐ脚は重く、どんなに疲れた夜よりもゆっくりとしたスピードで帰路に着いた。


どんなに時間をかけても自分の家に向かっている以上、いつかは着いてしまう。

こんなに気が進まない帰宅は久しぶりだ。いや、兄貴と喧嘩した日だってこんなに嫌な帰宅は無い。

ゆっくりと鍵を差込み、大きく深呼吸をする。


よし、大丈夫。平常心平常心だ。


そう自分に言い聞かせ勢いよく扉を開け、できる限り明るい声を出す。


「ただいま」


家の中は真っ暗だ。義姉さんが帰っているなら点いているであろうリビングの電灯が点いてないところを見るとまだ帰っていないらしい。

俺は義姉の不在に拍子抜けしてしまう一方、胸を撫で下ろしていた。

問題が解決された訳でも無いのだが、今は先延ばしでも十分だと思えた。


とりあえずさっさと家事をしてしまおう。そして部屋で酒でも飲んでさっさと寝ちまう。

うん、それがいい。どうせ明日から2連休だ

結局部屋にあったのは調理用のラム酒だけだったが、酔えれば何でも良かった俺はそれを飲んでさっさと寝てしまった。












6日目



義姉さんは昨夜遅く帰ってきて、今朝は早くに出て行ってしまった。

正午手前に起きた俺は義姉さんが用意してくれた朝飯を食いながらアレコレ考えていた。

俺が家を出て行けばいい話だが、生憎そんな金も無い。

とは言えギクシャクしたまま生活するのは厳しいし、何よりこのままでは兄貴に怪しまれかねない。


何か…何かしなくては…


そう思いながら俺は自分の部屋を見渡す。部屋を見渡したところで何かある訳でも無いのだが、とにかく落ち着かなかった。

不意にあるものが目に入ってくる。いつも職場に持って行っているメモ帳だ。

俺はそのメモを手に取りパラパラとページをめくる。

びっしりと汚い走り書きで埋まったページに目が止まる。

そうだ、この手があるじゃないか。

俺はメモ帳を片手に本棚を見つめ、犯人を突き止めた名探偵のような顔をする。




やってやるさ




その日も義姉の帰りは遅く、結局顔を合わせぬまま7日目を迎えた。


今日は驚くほど空が高い。こんなに清々しい青空は久しぶりに見た気がする。



俺も義姉さんも今日はお休み。

もう昼過ぎだというのに起きてこないところを見ると、よっぽど疲れているらしい。


だが、こちらとしては非常に好都合だ。



俺はエプロンの紐をギュッと締め、袖をまくった。

傍から見ればお菓子つくりの好きな草食系男子に見えるかもしれないが、気分は入場をゲートからリングへと向かう格闘家のような気持ちだった。

お菓子が何故甘いのかと聞かれれば「人を幸せにするから」と俺は答えるだろう。

お菓子を何故人に作るのかと聞かれれば「その人の笑顔が見たいから」と俺は答える。



それが俺がお菓子が好きな理由であり、こうやって生地を練る俺が最高にカッコイイと思う理由だ。

見たまえこの力強い手捌きを。女子の弱々しい力では出来ない芸当だ。


そして俺はめん棒を取り出し、こねた生地を薄く延ばし始める。

左右はもちろん前後にも均等に力を加え、素早く手際良く行っていく。



俺にはこんな事しかできない。こんな事しか出来ないならこんな事を全力で行うしかない。

例えこれが徒労に終わったとしても、何もしないよりはマシだ。


パイ生地の中にスライスしたリンゴと砂糖、バター、シナモンを入れてパイ生地で蓋をする。



後はオーブンでじっくり焼くだけだ。



…上手に出来るだろうか……

アップルパイ自体は美味く出来るだろう。腐ってもパティシエの卵だからな、そうそう失敗なんぞしない。


問題は義姉さんが起きてきてからだ。


まず何を話すべきだろう…



Case.1


弟「義姉さんが勝手に布団に入ってきたんだ!」


うーん…例え事実でもいきなり言うと余計な混乱を招くかも知れない。





Case.2


弟「義姉さんの体…柔らかかったですよ」


いやいや、これは事後の台詞だ。確かにぷるんぷるんのぽよぽよだったけども、完全にアウトだ。




Case.3


弟「夜這いとは昔の村社会ではありふれた性交渉の一形態であり、そこに女性蔑視や強姦などといったものは無く…」


いや、待て。そんな豆知識なんの意味も無いし。夜這いをかけてきたのは義姉さんな訳だし…




うーむ、なんと説明したものか…











ガチャ



愛梨「ただいまー♪」

愛梨「…弟くーん?…あら?……くんくん…この匂いって…」


愛梨「弟く~ん?」ヒョイ





弟「俺…義姉さんの事が好きだ!」



愛梨「ふぇ!?」







弟「いやいや、これは違う…これは違うなぁ…」


弟「義姉さん…兄貴のチュッパチャップスは飽きたろ…?俺の逞しいロールケーキを頬張って…って…え?」


愛梨「…」


弟「」





弟「アイエエエ!?ネエサン!?ネエサンナンデ!?」






愛梨「あの…」


弟「はい…なんでしょう…?」


愛梨「…ロールケーキは私も好きだよ……?」



弟「………今度作ります…」




















愛梨「そうなんだぁ~バイト先で教えて貰ったんだ~♪」

弟「そんなんすよ~、先輩ふざけてばっかですけど菓子作りだけは上手いんです。あはは…」


義姉さんの好物をチラつかせ、何とか誤魔化す事に成功した。

どうやら義姉さんは寝ていた訳では無く、朝早くに出かけていたらしい。手には小さな紙袋を持っている。



弟「ところでどこに行ってたの?」

愛梨「え?あっ、これ?えへへ~実は…」



義姉さんはゴソゴソと紙袋の中から小さな包みを取り出す。あれは…



弟「茶葉…?」

愛梨「うん♪今日は一緒にお茶しようと思って…」

弟「そうなの…?」

愛梨「えへへ…………こないだのお詫びも兼ねて…ね?」



そう言って義姉さんはちょっとだけ頬を赤らめる。俺は努めて平静を装うが、血流が頭部に集まる感覚がする。きっと義姉さんからみたら俺も真っ赤になっているのだろう。

愛梨「あの時は…その……寝ぼけてたみたいで………私何にもしてないよね…?」

弟「してないよ」

愛梨「弟くんは?」

弟「天に誓って、何も」



自分の性欲よりも家族の絆を優先したあたり、俺にも兄弟愛はあるらしい。



愛梨「でも…弟くんも兄くんと同じ匂いがするんだね…」

弟「…」



ごめん。残念ながら今日ほど兄貴の弟だという事を恨んだ日は無いかも知れない。

兄貴がいなければそもそも出会えなかったと言えばそれまでだが、兄貴の代わりに俺が出会っていたらと考えてしまうのは許してほしい。



愛梨「それはよくって…今日は私がお菓子を作って一緒にお茶しようかと思ってたんだけど…大丈夫みたい♪」



どうやら俺は義姉さんの邪魔をしてしまってたらしい。義姉さんも同じ事を考えていたというのは嬉しい事だが、どうやら余計な事をしてしまったらしい。


弟「あ…ごめん」

愛梨「ううん!いいのいいの!むしろ同じ事を考えていてくれたんだなって…ちょっと嬉しくなっちゃった♪」



この人は職場でもこんな感じなんだろうか。だとすれば業界中に俺と同じ気持ちの連中がいるのだろう。

手が届く範囲に手が届かない存在がいるのに手を出せない。

そしてこんなジレンマを、一般的には「片思い」と言うのだろう。

どうしていい歳をしてこんな気持ちを味わわねばならんのか。これじゃあまるで初恋に苦しむ中学生だ。



愛梨「じゃあ、私紅茶淹れてくるね」

弟「あ、そのくらい俺が…!」



ゴンッ



弟「おわっ!?」

愛梨「きゃっ!?」



ドサッ


机の角に足の小指を思いっきりをぶつけて蹴躓いた。

ギリギリで義姉さんの後頭部に手を回し保護する事に成功したが、つまりは義姉さんを抱きかかえる形になった訳で…



プヨンッ



リビングの真ん中で義理の姉を押し倒す弟の図の出来上がりだ。

弟「ごめん!義姉さん大丈夫!?」

愛梨「う…うん…弟くんこそ大丈夫?」

弟「俺は別に何とも…」




嘘だ。

心臓は今にも破裂しそうだし、俺の股間は暴発しそうだ。




愛梨「何だか弟くんとはこんな事ばっかりだね…」

弟「そ…そっすね」

愛梨「ごめんね。こんなお姉ちゃんで」

弟「いや…そんな事は…」



義姉さんはちょっと困ったような照れ笑いを浮かべ、身を縮める。

その体は小さくて柔らかくて、魅力的だ。




とても、とても





アイドルとは罪深き職業だと、そう思う時がある。

日本中にこの苦しみを振り撒き、その虜にさせる。

そのトップともなれば、大犯罪者みたいなもんだ。


いや、今の義姉さんは蛇だな。

エデンの園にある林檎の樹に巻きついて、アダムとイヴをそそのかす黄金の蛇。


愛梨「あの……そろそろ…どいてくれると嬉しいな…」



義姉さんの声が聞こえる。

そうだ。アダムを誘惑したのは正しくはイヴだ。

イヴがアダムをそそのかし、アダムは禁断の果実に手を伸ばすんだ。



プヨン




愛梨「きゃ!お…弟くん!?」





そう、そしてアダムとイヴは禁断の果実を口にして、それに気づく事になるんだ。



自分たちが男と女だという事を。



弟「義姉さん…俺……」

愛梨「…弟くん……?」




そしてアダムは果実を口にして…その後は









兄「ただいまー!愛梨ー!!お前のダーリンのお帰りだぞー☆」


弟「」









楽園から追い出されるのよね。










兄「おーい…あい…り?」

弟「ぎゃああああああああああああああ!?」

愛梨「あ、おかえりなさーい☆」

兄「おどりゃあクソ愚弟!貴様何してくれとんじゃい!?」























数十分後


さっきの件は何とか事故という事にして、ギリギリ助かった。

兄貴の右ストレートと腹パンと慰謝料と黒い交際の存在をチラつかせられたが、一先ずの恩赦と寝床は頂けた。



兄「ほう…で…お兄様の嫁のおっぱいの揉み心地はどうだった?腐れ外道のクソ愚弟くぅん?」



そして今は土下座のまま兄…お兄様のおみ足に頭を踏まれ…踏んでいただいてもらっている状況です。



愛梨「兄くん…そろそろその辺で…」



こんな状況でも俺を庇ってくれる義姉はやはり天使。



愛梨「私が愛してるのは兄くんだけだよ?」



そして同時に悪魔でもある。


???「そうですよ~…私もよく転ぶじゃないですかぁ~」

兄「そりゃそうだがな、里美…」




そして未だ顔が見えないお客さんマジ天使。




里美「こないだの私とプロデューサーさんで同じ感じでしたよぉ~?」

兄「わっ!?馬鹿っ!里美!」

愛梨「えっ…?」




お、修羅場か?修羅場か?




里美「3日前くらいでしたっけ?ホテルのベッドで…」

愛梨「兄くん…?ちょっと私と寝室へ来てくれませんか…?」

兄「お…おい……愛梨?」

愛梨「(ニッコリ)」

兄「…………はい」



俺の頭からクソ下衆豚畜生兄貴様の汚い足がどけられ、兄貴は義姉さんに連れて行かれてしまった。

ざまぁである。本当にざまぁである。

しかし、本当に良かった。この寒空の下放り出されたら凍死しかねない。

義姉さんも怒ってはいないみたいだし、今はそれどころじゃないだろうし。

寝室の方から豚野郎の情けない嗚咽が聞こえるが、こんなにスカッとするBGMは無い。

ともかく、どんなに蜜が甘くとも禁断の果実は禁断の果実、手を出してはならない。



…あんな可愛いイブとなら楽園を追い出されても良かったけど。

里美「あの~…」

弟「え」


しまった。お客さんに無様なところだけ見られてしまった。

どうしよう…今更取り繕っても、兄嫁に手を出した男にしか見えてないだろうし、撤回の余地が無い。

とりあえず、普通にもてなさねば。人として最低限の礼儀として…




弟「いやぁ~すいません、お見苦しいところ…を…」




そう言って後ろを振り返ると、惨めな俺の目の前に天使が舞い降りていた。


里美「いえいえ~…私もプロデューサーさんとの出張帰りに突然お邪魔してしまってぇ…あ、これお土産ですぅ」




そう言って彼女は持っていた袋から紙袋に包まれた箱を差し出す。ラベルには有名なチョコレート専門店の印字が見えた。




里美「さっきこちらに帰ってきてから買ってきたものですけど…」




黄金の蛇が俺の耳元で囁く。


彼女は砂糖菓子のように甘い香りを漂わせ、砂糖たっぷりのミルクティーような声で俺に話しかけてきた。




里美「ハッピーバレンタインですよぉ♪」




そして目の前には豊かな実りが二つ。



見つけたぜ…俺だけのアップルパイ。

**************************




というわけで愛梨編おしまい。




皆様も良いバレンタインを





※リクエスト一覧※


・肇
・裕美
・きらり
・桃華
・比奈
・美優
・周子
・ゆかゆかのりこ
・ちっひ
・奏
・藍子
・千枝
・しぶりん
・きらり
・里美
・ユッキ
・日菜子

諸事情あったとかそんな言い訳考えてたけど、とりあえず遅くなってごめんなさい。



四の五の言わず『荒木比奈(姉)編』始めます。

俺の姉貴がアイドルだと?


いやいや待って、待ってくれよ。

確かに客観的に見て、俺の姉貴は並以上なのかも知れない。

でもいくら何でもアイドルってなんだよ。


大体、汚いマンガ喫茶みたいな部屋で一日中マンガ読んだりマンガ描いたりしてるようなオタクで引きこもりな姉貴が、コンビニに行ったらアイドルにスカウトされるってどういう事だ。

人生何が起こるかわからないって言うけど、限度があるだろホント。



まぁ、いいや。何を言ったところでこないだテレビに出る姉貴を見て現実を知っちまったからな。

もう現実を見る覚悟は出来た。

※私個人の勝手な解釈で一部口調が変わりますがご了承下さい。















そして俺は今、姉貴の引越しを手伝いに姉貴のアパートに来ていた。


何でももうちょっと治安が良くて、セキュリティのしっかりしたところに引っ越すらしい。



それはともかく前述した通り姉の部屋の物量は凄い。

実家でも凄かったのに、一人暮らしを始めてからさらに増えたようで、もう何箱目のダンボールかもわからない。

そして当の本人はと言うと…





比奈「あははは、そんな事無いッスよ…えぇ…えぇ…大丈夫でスって」





玄関近くで誰かと電話中だ。

さっきから楽しそうにニヤニヤデレデレしやがって…少しは働けってんだ。

何だ彼氏か?それにしては敬語だし片思いか?

やれやれアイドルになった途端女らしくなりやがって…

実家の姉貴の部屋には何度かマンガを借りに入った事はあったが、実家に住んでいた時には殆ど見かけなかった化粧品や美容関連の品々が明らかに増えていた。

これがいわゆる女子力ってやつなのか。

相変わらずマンガの類は多いし男物か女物かも分からないジャージのなんかもあるものの、実家の部屋に比べれば圧倒的に『女の子の部屋』という感じである。





比奈「よしっと…お待たせ」



姉貴が電話を終えたらしくこちらに戻って来た。

その顔は真顔に近かったが、僅かに口元が緩んでいる気がする。

おーおー恋する乙女みたいな顔しやがって、ただのオタク女だったころが懐かしいぜ。

比奈「どしたの?ジロジロ見て」

弟「別にぃ~、姉貴にも好きな人いるんだなって思っただけー」

比奈「………何言ってんの?」



図星だなコレ。




比奈「いいから手、動かして」

弟「へいへい」




俺は適当に返事をして作業に戻る。

黙々と作業しているうちに姉貴のマンガも半数近くダンボールにしまい終えていた。

するとさっきから黙っていた姉貴が口を開く。




比奈「ねぇ、進路決まったの?」

弟「はぁ?…一応進学だけど…」




姉貴は荷造りを続けながら、顔も向けずに話しかけてきた。

その手はテキパキと動いているが、意識はこちらに向いているようだ。

比奈「へぇ…どこ行くの?」

弟「立教」




ふいに姉貴の動きが止まる。

何か立教に思うところでもあるんだろうか?知り合いでもいるのか?




比奈「…って事は野球も続けんの?」

弟「もちろん、甲子園にゃ行けなかったからな。神宮では胴上げ投手になってやっかんな」

比奈「弱小野球部のエース様がよくもまぁ…」

弟「うるせぇ!」




確かに俺の高校の野球部は弱小だった。

勝率は50%、守りはそこそこ出来るから打てるか打てないかが勝負の分かれ道。

守りの野球と言えば聞こえは良いものの、要はどうしようもなく貧打のダメ野球部だったのである。

比奈「あー…その…何て言うか……バイトは選んでね?」

弟「は?」

比奈「いくらバイト代が良くても、やったらいけない事もあんの」




何言ってんだ?何だよ、やったらいけないバイトって

あー、でもアレか。ここ最近どこの大学でもヤバイ話聞くからな。

大麻やらヤリサーやら…

まぁ姉貴なりに心配してんのかな?




弟「大丈夫だよ。それにそういうのって一度手ぇ出すと抜け出せねえらしいしな」

比奈「へ…へぇ…詳しいね…」

弟「そうか?普通だろ」


姉貴は顔に困惑の表情が浮かべながらメガネを直す。

邪魔にならないように後ろで一本に束ねられた癖っ毛を揺らしながら、姉はなおもお喋りを続けた。




比奈「…野球部とかって割りとそういう事あんの?」

弟「は?……んーまぁ…上下関係厳しいかんな。先輩に言われて仕方なくみたいなのはあるんじゃねーの?」

比奈「…ふぅん……体育会系らしいね」




さっきからなんなんだこの姉貴は。


姉貴はメガネを直しながらこちらに向き直る。




比奈「じゃ…やっぱり…ホ……」

弟「ほ…?」



姉貴は何かを言いかけて固まってしまった。



比奈「いや、何でも無いっス」

弟「???…そっすか」



突然敬語になるからこっちまで敬語で返してしまった。

結局終始こんな感じで本棚の片付けはちゃくちゃくと進んでいって30分もすれば全てダンボールに収まっていた。









さて次はクローゼットである。

アイドルのクローゼットと聞けばさぞ可愛い服がずらりと並び、いい香りが漂っているのであろうと思う人も多いのかもしれない。

が、目の前のクローゼットは非常に地味で鼻に漂う匂いも安い芳香剤の匂いだけだった。



比奈「こっちはアタシがやるから弟は本棚バラしといて」

弟「はいよ」



まぁそんな事だろうとは思っていたが、俺としても服の畳み方云々で小言を言われたくないしちょうど良かった。

そう言って俺はドライバーを手にとり、棚板外しに取り掛かった。

姉は姉で箪笥の中身の整理を始めている。

地味なジャージとスウェットばっかりのイメージだったが、意外にお洒落着も持っているようだ。それにしたって少ないとは思うけどな

次は上の棚板外すか



そう言って俺は立ち上がり次々ネジを外していく。





パサッ…




ん?なんか足元に…









パンツ……だと…!?








しかも、ピンク色でレースが付いててお尻側がちょっと透けそうなくらい薄い生地の…



姉貴…こんなパンツ履くようなお年頃に…

思い返せば女体に興味深々のはずの中学時代。


姉貴がどんなパンツ持ってるのか気になって洗濯物漁ってみた時のガッカリ感。


あんな…あんな地味パンばっかりの姉貴がこんな女らしいパンツを履くときがくるなんてなぁ…


見れば俺の傍に置いてあるダンボール類には下着類が入っていて、そこにはピンクや白の見目麗しい下着達が入っているではないか。


ふ…姉貴の女の部分を垣間見ちまったぜ…まぁいい…喜ばしい事じゃないか




そして俺はそのパンツを手にとって、感慨深くこう言った。






弟「姉貴…パンツ、落ちてるぜ…?」

比奈「へ?…あっ」




この後の展開は大体お察しの通り。


女らしくなっても姉貴の張り手は相変わらずで、しばらく叩かれたとこがヒリヒリしていた。




そうそう、女物のボクサーパンツみたいなのもあるのな。姉が地味パン派じゃなきゃ知らんかったわ。










比奈「よし…じゃあこの辺のダンボール玄関近くに運んでって」

弟「はいはい」


殆どの荷物をダンボールにつめ終わり、部屋中ダンボールだらけの部屋で姉貴が俺に指図する。

どうやらまださっきの事に怒っているらしく、その声色は厳しい。



弟「よっと…」


衣類などのダンボールは軽いが、さすがに書籍類の類は小さなダンボールでもとんでもなく重い。

特に『資料』と書かれているダンボールは画集や写真集の類が入っているのでなお更である。



弟「よっ!…ぅ重っ!?」

比奈「野球部の癖にだらしねえな?」

弟「うるせぇ!」



まったく弟を奴隷か何かだと思ってんのか?この姉は…

弟「姉貴、ちょっと通るぞー」


俺は床に座り込んでいる姉貴がぶつからないように、一声かける。

姉貴は「んん」とか何とか唸り声のような返事をしてきたが、微動だにしない。

にしてもこのダンボール重いな…くそっ






ズルンッ





弟「んな!?」


俺の右足が何かを踏んでしまい体が大きく傾く。


隣には姉貴がいる。このまま倒れたら姉貴にダンボールが直撃してしまう。



比奈「ん?」

弟「よけろおおおおおおっ!!!」

踏ん張りすら利かない俺にはそんなことを言うのが精一杯だった。

目の前の景色がスローモーションになる。

姉貴のいつもやや気だるげな目が大きく開かれるのがハッキリ見える。

だが二人とも突然の事態に成す術はなく、俺は咄嗟にダンボールを姉貴への直撃コースを逸らすのが精一杯で、そのまま姉めがけて倒れ込んだ。



ドンッ!!



弟「ぶっ!?」

比奈「うぎゃ!?」



とんでもなく鈍く大きな音と共に俺は床にヘッドバッドを決めた。


バサバサッと中にしまってあった本が周囲に散らばる。


そして姉貴はというと




比奈「むー!!??」



俺の下敷きになっていた。

比奈「むぅっ!むぅっ!」ドスッ!ドスッ!

兄「痛い!痛い!掌底!?掌底痛い!!??」



とにかく…早く退かねば






ピンポーン





は?このタイミングで来客…?





比奈「ふへ…?…………むーっ!むーっ!」ゴスッ!ゴスッ!ゴスッ!


弟「ごっふぁあ!?グー!?グーは無しだろ!?」



このクソ姉貴何しやがる!?


俺は姉の上から飛び退くように体を離した。

周囲にはさっき落としたダンボールの中身が散らばって…ん?

何だこれ?イケメン同士が半裸で抱き合ってる絵…?


見ればそこら中に散らばる本の殆どがそんな感じの絵である。



俺は何とか立ち上がって玄関に向かおうとする姉貴を呼び止めた。




弟「姉貴…これって…」

比奈「えぇ?……………………ああああああああああああっ!?」



突然姉貴がけたたましい声を上げる。いつも脱力気味の瞼が目一杯開かれ、口も大きく開かれている。



姉貴「ちょ!?バ…早く早くしまって!隠して!」


姉貴が半ばパニック状態で俺に命令してくるが、いまだかつて見たことの無い姉の慌てぶりに、俺はポカンと口を開けて固まってしまった。

ピンポーン



もう一度玄関のベルが鳴る。



比奈「もう、何やってんの!早くしまって…!」

俺が動き出すより先に姉貴がダンボールの中身を片付けだした。俺も一呼吸遅れて片付け始めるが、何故か薄い本ばかりで片付け難い。


片付けども片付けども男の半裸と男の半裸と………ん?女の裸もあるな、ってコレ…



弟「姉貴…」

比奈「何やってんの早く……あ」



まごう事無きエロ本である。しかも男向けの



比奈「にああああああああああああああああっ!?」




姉貴は顔を真っ赤にしながら再度大声を上げる。

比奈「くぁwせdrftgyふじこlpくぁwせdrftgyふじこlp」

弟「姉貴!?姉貴!?おい!しっかりしろ!?」



姉貴はパニックの余り虚ろな目で意味不明の言葉を連呼したまま、帰ってこない

どうしよう…外にはお客がいるのに、この有様ではとても応対なんて…




ガチャ




弟「へ?」



???「おい!どうした大丈夫か比奈!?」



なんか入って来たぞ!?

弟「ちょ!?えっ…どちらさま!?」


???「きっさまあああっ!?俺のアイドルに何をしたぁ!?」グイッ



この人なに!?何なの!?

姉貴はパニック、俺は見知らぬ男に胸倉を掴まれてやはりパニック。

終いに目の前の男は怒髪天を突く勢いである。


弟「ちょっと!ちょっと待って…」


???「天誅ー!!」ブオンッ


瞬間、世界が猛烈な勢いで回転しだした。


弟「ちょ…ま…ああああああああっ!?」



その日俺は生まれて初めて背負い投げという技を食らった。

同時に何故体育の授業で柔道をやらなかったのかと死ぬほど悔やむ羽目になった。









P「いやー弟くんだったのか…ごめん!本当にごめん」



そう言って俺を投げ飛ばした犯人は頭を下げた。

何でも姉貴のプロデューサーらしく、引越しの手伝いに来たそうだ。

で、俺の事をレイプ魔かなんかだと思って投げ飛ばしたと、まぁそんな感じであった。



比奈「いやぁいいんスよ。コイツも鍛えてますから、何てこと無いッス」



この姉貴は勝手な事を…

そもそも、姉貴が床に雑誌なんて置かなければこんな事にはならなかったのに、本人はこの態度である。



弟「いやぁいいんすよ。誤解も解けましたし…」



無意識に姉貴と似たようなリアクションをしてしまった。

それを見てプロデューサーはクスクス笑っているが、姉貴は心底嫌そうな顔をしていた。

P「いやぁでもビックリしたよ。ここには何度も来てるのに比奈があんな本を隠し持ってるなんて」

比奈「いや、アレは…!その…ユリユリがッスねぇ…」

P「BLならともかく、こっちの女性アイドルがファンにエロい事されるやつも?」

比奈「ギャーッス!?」




そう言ってプロデューサーは落ちていたエロ本を広げて姉貴の方に向ける。

そこには穴という穴にナニをぶち込まれて両手でピースサインをするアイドルの姿が描かれていた。

正直エロマンガなんかより実写が好きな俺から見れば、相当エグイと思うんだが姉貴はこんなのがいいのか。




比奈「それは!その…創作の資料用に!」

P「ほぉー、お前はアイドルとエロマンガ家を兼業しようとでも?」

比奈「いや…あの…」




あーぁ、怒られてやんの。

P「全く…あ、弟くんなんか飲む?コーヒーと紅茶くらいならすぐでるけど。確かこの辺に…って片付けてるか。」

弟「いや、いいっすよ別に!」

P「そうだ!引越し業者来るまで時間あるだろう?コンビニで菓子でも買ってくるよ。どうせ最寄のコンビニまで5分くらいだし」



この人はこういう性分なのだろうか?世話好きというかなんと言うか、人に好かれる事に必死という感じである。

そんなにさっきの件を気にしているのだろうか?まぁ、人を投げ飛ばしたらそんなものかも知れないけど。



弟「はぁ…それじゃあお言葉に甘えて…」

P「よし!じゃあ行ってくるわ!」



そう言ってプロデューサーは立ち上がり、玄関へと歩き出した。



比奈「あ、プロデューサー!アタシも行くッス」



プロデューサーに続いて姉貴も立ち上がった。



比奈「悪いけど留守番してて!」



おいおい、家主留守にするのかよ。

引越し業者来ても知らねぇぞ?

P「ごめんね。すぐ戻るからー」



そう言って結局二人は出かけてしまった。

どうすんだよ、姉の部屋に一人取り残されて何してろって言うんだ。


はぁ、仕方ない。片付けの続きでもするか。




ん?姉貴の奴洗面台周り全然片付けて無いじゃん。



えーとこういう小物類は…




ん?歯ブラシが二つ?



掃除用?予備?それとも…















P「で?どしたのあのエロ本?」


比奈「最近…全然来てくれないからッスよ…」


P「しかた無いだろ、今はこの事をバラされる訳にはいかないんだから」


比奈「新しいお家なら来てくれるッスか?」


P「あの本見たいにシて欲しいのか?」


比奈「~~っ////」













俺が大学に入学して程なくした頃、姉貴が週刊誌に業界人との熱愛をすっぱ抜かれてちょっとした騒ぎになった。


まぁ、俺も面識が無かった人では無かったし両親も二人の仲を認めたらしく、籍をいれるのもそう遠い未来の話では無いだろう。


一方俺も志望していた大学に入学、野球部に入部して毎日忙しくも充実した毎日を送っていた。


ちょっと大変なのはお金が無いって事かな。






先輩「お待たせ、アイスティーしか無いけどいいかな?」

弟「あ~いいっすねぇ、ちょうどのど渇いてたんすよ!あざっす!」



そんな折、先輩が何かいいバイトを知ってるらしく、その話を聞くついでに先輩の自宅へお邪魔する事になったのだった。



弟「しっかし、凄いとこに住んでるんすね!」

先輩「屋上もあるから夏になれば日サロ要らずだしな」

弟「マジっすか!?うっわー…ヤバイっすね」



この先輩は、なんでもそのバイトで得た収入で一軒家を借りてるらしく、明らかに一人暮らしには十分過ぎる広さだった。



弟「で…さっそくバイトの話なんで…す…が……」



あれ?おかしいな…急に…眠く……





それから程なくして、荒木比奈は熱愛とは全く違う件で週刊誌に載る事になり、一部のファンから「遠野姉」と呼ばれるようになったとか…










比奈「え?日本ペイントのイメージガールっすか?あ^~いいッスね」

比奈姉編終わり



ネタ切れと思考のドン詰まりを解消してくれた比奈先輩マジありがとうございます。

いいっすわぁ・・・
千秋(妹)
紗枝(姉)
とかあれば

すっかり月一更新になってしまいました。やっとこさ続きが書けたのでアップしていきます。


という訳で【里美編】です。今回は長め

****************************









俺の妹がアイドルになっていた。




俺が仕事で世界中を飛びまわっているうちに、大人しくて清楚でいっつも俺の後ろを付いて来ていた妹が、いきなりアイドルになっていたんだ。




名前は里美。俺の妹、榊原里美は少年誌のグラビアから火が付いて、歌にバラエティにと精力的に活動し、今やトップアイドルの一員だそうだ。




帰国してその話を聞いた時には心底驚いた。




驚いたと同時に聞いた瞬間に眩暈を起こし、症状が落ち着いてからテレビに出ている妹の姿を見ても、全く信じられないほどだったが、そんな俺にとどめの一撃が待っていた。




妹が結婚するらしい。





その話を聞いたところで俺の意識は遠のいた。





結婚?妹が?アイドルで?結婚?





ダメだ…意味不明の急展開に頭が変になりそうだ…





そして今日、結婚の報告を兼ねて帰省してくるらしいが…どんな顔をして会ったらいいか検討もつかない。





どうする…今ならまだ間に合う、バックレて海外に高飛びするか…?

爺や「坊ちゃま。お車のご用意が出来ております」



あれやこれやと逡巡している俺の背後から、低く落ち着いた老紳士の声がした。


うちに使える老執事だ。ご苦労なことに俺がバックレる事を阻止しに来たらしい。



兄「……仕方ない。俺が運転していく」



爺や「では、お付きの者を…」



兄「逃げないから安心しろ」

俺は腹を括った。今更逃げようとしても無駄だろうし、この爺のことだからきっちり車に発信機を付けているだろう。



爺や「左様ですか。それではお気をつけて」



兄「あぁ」



俺は重たい脚を車庫へと向かわせ、頭の中は妹の事でいっぱいだった。



大人しくて純真で、泣き虫で弱虫だった俺の妹。


いつも俺の後を追い、俺が置いていってしまった俺の妹。



キーを差込み左へ捻った。軽い振動とともエンジンが回りラジオが付く。






DJ「…という訳で、お送りします曲は『アイミじゃないよアツミだよ』さんからのリクエストで…榊原里美『シュガーリィ☆ハニー』です、どうぞ」




俺は電源のスイッチに手を伸ばしたものの、そのまま何もせずハンドルを握りなおしてアクセルを静かに踏んだ。


車がゆっくりと滑り出し、景色は静かに流れていった。





















あっという間に最寄の駅へ着いてしまった。



最寄駅なんて言っても俺の家から車で40分以上かかるんだが、あれやこれやと考えていたらあっという間に駅に来ていた。



一応それなりに金持ちである俺達兄妹が、山形なんてクソ田舎に住んでいたのには訳がある。



そもそも榊原家は結構な金持ちだ。俺の親父が爺さんから受け継いだ榊原グループは都心にデカいビルをいくつも持っているような一流企業だ。



俺が小さい頃、子供は窮屈な都会よりも田舎でのびのびと育てた方がいいとか何とか親父が親父が言い出して、山形にある母親の実家に俺ら兄妹を預けた。



そうして親父は俺たちに家を与え金を与え、執事と侍女とうんざりするほど豊かな自然を与えた。



そして仕事の忙しい父親は東京に残り、俺たちは一家の団欒を失った。

そんな環境で妹が俺にべったりになってしまったのはなんら不思議では無いだろう。



そして、俺が妹を次第に避けるようになっていった事もまた然り。




俺は自分の腕時計に目を落とした。時刻は12時半を少し過ぎたところで、予定通りであればもう到着しているはずだった。


とは言っても俺の妹は重度の方向音痴だ。家の中で迷子になった事すらあるような妹が、そうすんなりと到着するはずが…




???「お兄ちゃん…?」



不意に背後から、遠く記憶の奥をくすぐる甘く懐かしい声がした。


俺はゆっくりと後ろを向く。


そこには俺のすぐ後ろ、大きな旅行鞄を抱えて佇む妹の姿があった。


それは昔見た妹の面影にそっくりのようで、全く印象が違う。懐古と新鮮さが同居するその姿に、時の流れの感じずにはいられない。



里美「お兄ちゃ…お兄様、ご無沙汰しております。」



里美はぺこりと礼をし、ふんわりとした長髪を揺らした。

静かに上げた顔には、元々持っていた淑やかさに自信が加わり、気品すら漂う彼女の顔は驚くほど大人びていた。



兄「ご無沙汰ってお前…こないだ会ったばっかりだろ。それに二人しかいないんだからそんなに畏まるな」


里美「ぁ…えへへ~…」



妹がふにゃりと表情を緩ませる。こういう表情は歳相応どころか幼さを感じさせる。


帰国してすぐ空港で再会した時には、往来でわんわん泣かれて随分困ったものだが、今日の里美の表情には随分余裕が感じられた。


ようやく妹に会えた。心地よい暖かさと柔らかさが俺の胸の奥でじんわりと広がっていく。

兄「電車移動疲れたろ。ほら、荷物寄こしな」


里美「あぁいいんです~、アイドルの仕事で移動には慣れてますし~新幹線でたった2時間ですから~」



しばらく会わないうちに、あのか弱かった妹が強くなったものだ。


いや、しばらく放って置いたうちに、というのが正しいのか。



兄「とにかく乗れよ。急ぐ理由も無いけど、無駄にゆっくりする理由も無いしな」


里美「あ、そうだ!せっかくお兄ちゃんと一緒だし、寄り道して行きましょう?」



里美がこんな事を言い出すのは甚だ以外だったが、元々コイツが遅刻する事を十分見越して出発したせいで時間は十分すぎる程あったし、断る理由も無い。



兄「そうだな、お前も地元は久々だろ。たまにはあちこち寄ってみるか」


里美「はい♪」

そう言って俺と里美は、俺の車へ向けて歩きだした。


里美は俺の隣でニコニコと笑っている。まるであの頃のようなのに、懐かしさよりも新鮮とすら思える。


俺はささやかな違和感を胸につかえながら、自分の車に乗り込んだ。


里美「~♪」


車内での里美は妙にご機嫌で、どこかで聞き覚えのある歌を口ずさんでいる。


一緒に住んでいた時だってこんな表情はなかなか見せなかったのに…


人とはこうも変わるものなのか、いやこれも成長と呼ぶべきなのかも知れないが、何か言いようのない悔しさを感じる。


そう、いつの間にか成長を…性徴…



里美「~♪」タフンタフン




デカイ

妹は音楽に合わせて体をゆったり揺らすが、体を傾けるたびに柔らかそうなおっぱいがシートベルトに押し付けられて形を変えていた。


いやいやいや、育ち過ぎだろ。


確かに、確かに発育はいい方だった。小学校4年生の頃にはブラジャーしてたし、中学入学時でDカップくらいはあったはずだし、確かに昔からその素養はあったんだが…


今いくつなんだ?F?G?それ以上???とにかく俺の記憶の何倍もデカく育ってやがる。


まぁ、女の子は恋愛によって胸が大きくなると聞いた事があるしな、こんなもんなのかも知れない。

そうか…コイツの旦那が毎晩毎晩…


前から揉んだり後ろから揉んだり上から揉んだり下から揉んだり…


揉んではこねて揉んではこねて摘んで引っ張って…アレはさんだりソレをナニしたり…


人の妹の乳であんなことやこんなことしてるんだろうなぁ…





………殺す。すり潰して殺す。



里美「~♪お兄ちゃん、ところで、どちらへ連れてってくれるんですか?」


妹が笑顔で首を傾げる。俺は我に返って周囲の景色を確認するが、フロントガラス越しに見える景色は見慣れた実家への道では無かった。



兄「…腹減ってるだろ?ラーメンでも食べに行こうと思ってな」


里美「うわぁ、ちょうどお腹空いてたんです~ありがとうお兄ちゃん♪」



苦し紛れに適当な事を言ってしまったが、存外お気に召したようで助かった。


幸いこっちの方向には昔よく行ってたラーメン屋があるし、言ってしまった以上行くしかないだろう。確か次の交差点を左だ。

兄「左へ曲がりま~す…」


里美「は~い♪」



俺は少々乱暴にハンドルを左に切った。きっと妹のおっぱいもシートベルトのせいで窮屈そうにしているんだろうが、これ以上余計な事を考えると次は道を間違えるだけじゃ済まなそうだ。


今は運転に集中だ。集中。












里美「ふぅ~、ふぅ~…あむっ、ずりゅりゅりゅ~…ちゅるん♪」



と、いう訳で昔の行きつけだったラーメン屋に来た。


住宅地のど真ん中にポツンとあるこの店は、中学時代に同級生から教えてもらって以来、俺が地元を離れるまで長らく行きつけになっていた所だ。


あちこちに張られた時代遅れのポスターや聞いたことも無い著名人のサインが、貧乏臭さを演出していて非常に味わい深い。もちろんいい意味でだぞ?

俺の地元では蕎麦屋がメニューの一つとしてラーメンを出す事も多く、この店のようにテーブル席と座敷の席が半々で分かれているところが少なくない。


俺はいつも席、座敷の隅の田んぼと山しか見えない窓際の席で妹とラーメンをすすっている。



里美「~♪」



山形県民はラーメン好きと言うが、里美も例に漏れず好物の一つだった。


まぁコイツの場合は菓子類が上位30位を占めてるランキングの31位くらいの好物だから、本当に好物かと言われると結構微妙なところではあるのだが。



兄「相変わらず美味そうに食うな」


里美「えへへ~、美味しいですから~」



漫画やアニメなんかで美味しいものを食べた時に、キャラクターの後ろに淡くてカラフルな水玉みたいなのが飛ぶだろ?俺の目には妹の背後にアレが漂ってるがありありと見える。

里美「あぁ、そう言えば先日ですねぇ~。765プロの四条貴音さんとお仕事したんですけど~」


兄「へぇ~…あの四条さんと…」



こうやって何気ない日常の報告なんて何年振りだろう。


昔は毎日のようにこんな話をしていたのに、実家に住んでいた最後の1~2年はそういった話をした覚えが無い。


思春期なんてそんなもんか。きっと日本中の一般的な兄妹も似たようなものだろう。違うか?


だいたい、いつまで経っても兄離れ出来ないとかな、妹の教育にもよくないしな。うん。



里美「ぷひゅ~…お腹いっぱいですぅ~」プヨン



とりあえず、胸を机に乗せるの止めなさい。









兄「さて、と。そろそろ行くかー」


里美「はい~…えへへ、汗かいちゃいましたぁ~」



里美は手でパタパタと顔を扇ぎながら苦笑いを浮かべている。


妹にとっては久しぶりの実家だしな。綺麗な顔で実家の門をくぐりたいのだろう。

里美「あの…お兄ちゃん……お風呂…行きませんか?」


兄「は?」



風呂?風呂だって…?



里美「この辺りって小さな温泉ありましたよね?」



言われてみれば、この辺に銭湯があったはずだ。というか山形は県内全市町村どこ行っても温泉が沸いてるから、ちょっと探せば温泉なんてすぐ見つかる。




里美「ダメですか?」



可愛い妹が首を傾げるように俺を見上げて来た。目は微かに潤み、子猫のような無邪気な瞳が俺を映す。


こいつは昔からこういうあざとい行動をする時があるが、未だに素かワザとなのかよく判らない。


ただしハッキリしている事が1つ。こういう時いつも俺の答えはこうだった。



兄「しかたないなぁ…」


まったくもってだらしない台詞である。

申し訳ねぇ。後半書き直すから続きは今日の夜か明日にでも書きます。

乙です

作品の設定上外国人アイドルが出しにくそうなのが辛い

>>366

書こうと思えば書けるかも知れない。総選挙でケイトに投票した俺なら出来るはず。たぶん

まぁ多少その国の文化とかも調べなきゃだけど

ヘレン?佐渡島でしょ?





さぁて、続きです。









カポーン



さすが平日の昼間、浴場に俺一人である。


受付のオバちゃんも今にも寝そうな顔してたし、田舎ならではと言うか何と言うか…


結局、受付のオバちゃんと俺と入れ違いで出て行った爺さん2人としか顔を合わせていない。

という訳で、この狭いか広いかよく分からん大浴場に俺一人しかいない。


あちこち痛んだ内装にくすんだタイルが何とも言えない哀愁を漂わせているが、硫黄臭いあたり一応温泉なのは間違いないようだ。小さいながら露天風呂もあるし。


とは言えだ、珍しくこんな小汚い銭湯に来ているんだ。状況を楽しむ事にしよう。


こういう貧乏臭い風呂ってのもたまにはいいもんだし、目の前の開放感溢れるデカイ窓の外を見てみれば、母なる最上川の河川敷と奥羽の山々が一望…








ん…?あれ?



低っ!?垣根低っ!!?向こうから風呂場が丸見えじゃねーか!




いやいや…さすがにこんなザルな垣根は有りえんだろう…きっと向こうの河川敷もこの銭湯の敷地で立ち入り禁止区域に…




ブロロロ…



そうそうハイエースが通ったりする程度で




……




うん、ザルだな。大丈夫なのかこの銭湯

待てよ…もしかしてここって女風呂覗けるんじゃ


そうだよな、外からも丸見えなんだ。隣くらい余裕で…



壁…隙間なし

天井…隙間なし

露天風呂…3メートルの壁



いやいや、おかしいだろ。どうして外向けにはザルの垣根で、男湯と女湯の間には3メートルの壁なんだよ。


というか里美はアイドルだぞ、入浴中のところをパパラッチにでも撮られたらどうするんだ…


どうする…やはりここは壁越しに声をかけてさっさと上がった方がいいのか…


いや、そもそもアイツが露天風呂にいるとは限らないし…うーむ…






ヒョコヒョコ


ん?あれは…


里美「~♪」ヒラヒラ


おぉなんだ、里美はそこにいたのか。なんだ露天風呂にいたんならさっさと声をかければ良かったな。


あーあーあー、年頃の女の子がそんなタオル一枚で…お兄ちゃんは激おこですよ?まったく…



まったく…









兄「おいいいいいいいいいっ!!??里美ぃ!?」ガラッ!


里美「お邪魔しま~す♪」



俺は露天風呂への扉が壊れんばかりの勢いで開け放つ。タオル一枚の里美はニコニコと手を振っていた。

兄「お前なんで、どうして入って来た!?」

里美「ふぇ?何だか垣根に穴が空いてたので~」

兄「いや、そうじゃなくて…」



うちの妹が天然だとは思っていたが、これは天然とかもうそういう問題じゃない。


全裸にタオル一枚で垣根の隙間から外に一回出て、男湯に忍び込むなんてまともじゃない。


嗚呼、清楚で引っ込み事案で大人しい妹はどこへいったのか…

頭を抱えながら妹をもう一度見やる。その顔はやや赤いものの笑顔のままだ。



里美「一緒にお風呂入りましょ~♪」

兄「お前…何を言って…」



目の前にはタオル一枚の巨乳の妹。その背後には胸の高さほども無いスカスカの垣根しかない。




ブロロロ-…



まずい、さっき行ったハイエースが戻ってきやがった!



兄「おい!里美隠れろ!」

里美「ほぇ?」

兄「いいからしゃがめ!」

里美「あぁ♪温泉に入れって事ですね~」



いや、そうじゃないんだが…まぁいい、とりあえず体は隠せる訳だし。



里美「それじゃあお先に失礼しま~す」チャポン



コイツってこんなに積極的だったっけ?それとも男を知ってからいきなりこうなったのか…

里美「ほらほら、お兄ちゃんも~☆」グイグイ


兄「おい、コラ引っ張るな!…」



里美は俺の手を引き湯船に導く。一旦腰まで使っているから、タオルが体のラインに張り付いていて非常に官能的だ。


…正直これは湯船に浸からないとヤバイ。


ナニがアレしかけていて、このままでは腰のタオルにテントを張りかねない。さすがに妹の前でそれは避けたいところだ。

里美「お兄ちゃんとお風呂なんて久しぶりですね~♪」


兄「あ、あぁ…」



妹と横並びになる形で湯船に浸かる。向かいあうのも背中合わせになるのも不自然だし、これが一番マシだろう。


まさかこの年になって妹と風呂に入る羽目になるとは…


それにしても…



里美「いいお湯ですね~、空気も美味しいです~」フヨンフヨン



大きなマシュマロが2つ、タオルに包まれたまま浮かんでいる。


服の上からでもデカかったのに、それでもまだ押さえつけられていたのか…



里美「?…どうしたんですか?お兄ちゃん」


兄「何でもない」



まさか妹のオッパイに見とれてましたなんて言える訳もない。



里美「変なお兄ちゃん♪」



男湯に侵入する妹には言われたくない。


こんなところを誰かに見られたら、お互いただじゃ済まないというのに妹は至極上機嫌である。

里美「…小さな頃はお風呂も寝るのも、いつも一緒でしたね~」


兄「そうだな…」



俺たちの通っていた学校は小学校中学校共に生徒数が少なかった上に、田舎特有の閉鎖的な空気か結構あったせいか、東京から来た金持ちというだけで随分珍しがられたものだ。


お陰様で俺は不良のあしらい方も、一般人からの嫉妬の回避方法なんかを身につけてられたせいで、その演技は社会に出てから随分役に立った。


日本において謙遜は美徳。控え目に生きれば大概何とかなるものである。

だが、妹は違ったのだ。


決して自分の生まれを鼻にかける事は無かったが、嘘が苦手で駆け引きの出来ない妹はいつまで経ってもクラスの珍獣扱い。


イジメに近い事をされるのは日常茶飯事で、小学校の高学年くらいからそれは日常化していた。


親しい友達がいない訳では無かったようだが、結局里美の本当の安住の地は自宅しか無い。


そして自宅には数人の他人と、ピースの欠けた家族だけ。

里美「一緒にお風呂入らなくなったのっていつ頃でしたっけ…」


兄「そんなのいちいち覚えてないよ」


里美「ですよねぇ~」



里美の目は遠くの空を見つめている。そんなところに過去なんて映っていないのに。



里美「お兄ちゃん知ってました?私苛められてたんですよ?」



知ってたよ。


田舎ってのは家との間隔は広いのに人との間隔は近い。


東京から来たお嬢様なんて目立つ存在の噂が聞こえてこない訳が無い。


それが東京から来たお坊ちゃんの耳でもだ。



里美「あの頃は毎日どうしたらいいかわからなくて~…下校の時が一番幸せだったんですよ~」


兄「…」



それでも下を向いて歩かなかったじゃないか。

里美「私の幸せはお家の中に殆どありました。優しい執事さんにメイドの皆さん、そして大好きなお兄ちゃんがいましたから~」


兄「お前な…」



妹に好かれるのは悪い気分じゃないが、お互いいい歳なんだ。何ていうか…そういうのは違う気がする。



里美「とにかく私は弱くてダメダメで…誰かに手を引かれなければ歩けないような子だったんです。だから…」


兄「そんなことは…」

俺は反論をしようと妹の方を向いた。


妹の瞳の色が変わっいる。


それはまるで何かを睨みつけるようでいて、強い意志を感じさせる見たことの無い光を放っていた。


僅かな間に目の色がくるくる変わる。


そして妹は重々しく、出来る限り優しい声を絞り出した。



里美「だから…お兄ちゃんを嫌いにもなれなかったんです」



…どういう意味だ?


里美「お兄ちゃんがいなくなって…頭の中が真っ白になっちゃいました。それから毎晩ベッドでこう考えるんです『私は捨てれたんじゃないか』って…」


兄「そんな馬鹿な話が…あるもんか」



妹を見捨てるなんて事が出来るはず無い。




里美「だから私、右も左もわからないのに家を飛び出して、お兄ちゃんを探しに行ったんです。」



そこをスカウトされたってところは前に聞いていた。


だけど、こないだその話をした時とは打って変わって重苦しい空気が流れている。








里美「お兄ちゃん…時々私に内緒で、私の部屋に入って来てましたよね?」



ぎゅう、と心臓が軋んだ。


まるで止まった時間の只中にいるような息苦しさが胸を締め付ける。



里美「そうですよね?…お兄ちゃん……」



頭が真っ白で言葉が出てこない。


それどころかうめき声一つ出せないほど俺の体は緊張していた。

里美「私は…ダメな子でしたからどうしたらいいかわかりませんでした……お兄ちゃんがどうしてそんな事をするのか理解も出来なかったんです」


兄「…里美っ、それは…」



何とか声を出せたが後が続かない。


今の俺には何を言うべきか検討もつかない。



里美「でも私にはお兄ちゃんを否定する事は出来なかった…否定してしまったら…本当にひとりぼっちになってしまいますから…」


兄「……里美…」

里美が俯く。


漂う湯気で、湯船に映る空は曇り空になっていた。



里美「私…変な子ですよね……そんな事をされていたのに…お兄ちゃんがいなくなった時、『あぁ、私は捨てられたんだ』って思っちゃって…」



やめろ



里美「右も左もわからないのに家を飛び出して…今のプロデューサーさんにスカウトされたんですよ…うふふ、プロデューサーさんお兄ちゃんに似てるから、私間違って抱きついちゃって」



やめてくれ



里美「私ったらお兄ちゃんがいない寂しさをプロデューサーさんや、事務所のみんなといる事で紛らわせてたんです…辛い事から逃げていたんです。有名になればお兄ちゃんが見つけてくれるって建前で…里美はきっと悪い子なんです」



違う、お前が悪い子なんじゃない。



里美「みんなにはいつか謝らなきゃって思っているんです。でも、その前にお兄ちゃん。ごめんなさい」



何でだ、何で謝る。本当に謝らなきゃいけないのは俺の方なのに。

里美「お兄ちゃんの事をほったらかしに…」


兄「違う」



何も分からない。何を言ったらいいか分からないが声は出た。



兄「違う…違うんだ。逃げていたのは俺の方だ」



声は出る。言葉も出る。だけど本心はどうだろう。上手に出せるだろうか。

兄「俺は怖くなったんだ。お前が女になっていく事で刺激される自分の本性が」



指先が震えて、視点が定まらない。まるで親父に説教を食らう幼児のように下を俯き、か細い声で弁解を続ける。



兄「俺もそうだ。お前と同じでいつも一人だった。友達といても何をしていても一人になった途端、自分の孤独を痛いほど感じたんだ。結局俺の身近にはお前しかいなかった。」



里美はどんな顔をしているだろうか。怒っているだろうか、泣いているだろうか。



兄「妹の下着で興奮する変態だと言うのも事実である以上、何を言われてもしょうがないし、思春期特有の過ちだ、なんて言い訳はしたくない。だけど…」


俺は息を深く吸い込む。


兄「罪を重ねれば重ねるほど、お前が懐いてきて…お前に好かれれば好かれるほど、俺は自分を殺したくなった。知ってるか?俺、お前が寝ている時に部屋に入った事あるんだぜ?」


里美は何もしゃべらない。動いている気配もない。

兄「鏡に魔除けの力があるってのはホントだな。あの夜、お前の部屋に侵入した俺が見たのは自分の醜い顔だけだったよ…そして思い知った。俺がお前に好かれる価値も無いゲス野郎だってな」


兄「だから俺は逃げた。親父のコネで入った会社で、無理やり海外出張の多い部署に入ってでも逃げたかった。でもな、逃げてたのはお前からじゃない。醜い自分の本性からなんだよ」



頬から口の端あたりへ雫が流れるのを感じる。汗じゃないのは分かるが、涙であることを認めたくは無い。妹にそんな無様な姿を見せるなんて耐えられなかった。



兄「だからお前は悪くない…悪く無いんだ…悪いのは俺だ。俺だけなんだ…」



無様だ。変態行為の告白を涙ながらにする兄貴なんて、世界で一番無様に違いない。


自業自得、因果応報。


俺にはもう逃げ場は無かった。


里美はじっと黙り、遠くを見つめている。まるで遠い青空に答えが書いてあるように、視線を空から動かさない。











不意に里美が立ち上がる。


バシャアっという音ともにタオルで前だけを隠した裸体が露わになって、里美はこちらを向いた。


メリハリがありながら柔らかさを感じさせるそのスタイルは、驚くほど清らかで美術館の女神像のような美しさがある。


俺は恐る恐る顔を見上げる。そこにあった里美の顔は驚くほど柔和だった。



里美「お兄ちゃん」


わたあめ。

柔らかく甘ったるい妹の声が耳に響く。

里美「私はお兄ちゃんを許しません」



妹の言葉は厳しい。なのにどうしてコイツは微笑んでいるんだ。



里美「妹の私の事が好きなお兄ちゃんはえっちでダメな人だと思います。でも…そんなお兄ちゃんを受け入れようとすら考えた私もダメな人なんです」



妹の顔には憐憫と自嘲の笑みが浮かんでいた。



里美「私はお兄ちゃんが好きです。だからお兄ちゃんにはずっと近くにいて欲しいです。でも、お兄ちゃんを許すことは出来ません。でも、きっとそれでいいんだと思います。私達は兄妹で家族なんですから、許しても許さなくてもそれはずっと変わりませんから」



兄「…そうだ。そうだな……そればっかりは何をしようと逃れられるものじゃない」



生まれたその時から死ぬまで、いや死んでもそれは不変だ。家族とは血であり絆であり歴史だ。俺たちを知るものがいる限り俺達はずっとずっと家族なんだ。

里美「お兄ちゃん、知っていますか?今度家族が増えるんですよ?」



知っている。その報告に来たんじゃないか



里美「私、もう寂しいのは沢山です。そしてこの寂しさは新しい家族には感じさせたくないんです。だからお兄ちゃん、私の傍にいてください。例え住処は離れていても心だけは逃げないで」



そして妹は自分の裸身を隠していたタオルを湯船に落とした。


芸術的な肢体が目の前に現れ、体に纏った水滴が大粒のジュエリーのように輝いている。淫猥さを感じさせない神々しいその姿に、俺はただ妹を見上げる事しかできなかった。

里美「お兄ちゃん、里美は大人になりましたよ。だから大人の私はお兄ちゃんにこう言うんです『しかたないな』って♪」



妹が前に屈んで顔を近づける。その顔は優しい微笑みを浮かべているが、瞼の裏には涙が湛えられている。


俺の目の前にいるのは本当に妹だろうか。この安らかな笑顔はもはや姉、いや母親のようではないか。


俺が逃げている内に置いてかれてしまったのだろうか。いや、妹もまた逃げていたのだ。ならば明暗を分けたのはそこじゃない。


俺は現実に背を向けて逃げ回ったのに、妹は現実と向かい合いながら逃げたのだ。


そして今、現実と戦う意思を持って歩み始めた妹は大きな存在になって、俺の前に現れた。それに対して俺は未だ前を向けずにいる小僧だ。


こうなったらもう俺の言うべき事は…

兄「仕方ない…そこまで言われちゃったらな…妹様の厚意に甘えるとしようか…ごめんな、里美」


里美「仕方ないですね~♪里美は大人なので許してあげてもいいんですよ~♪」



許される理由も許されない理由も『家族だから』でいい。俺とコイツの間柄も『家族』で十分だ。


だってそんなもんだろ?家族なんて。仕方ないのさ。



兄「そんなにデカイ乳ぶら下げてるお前が子供な訳あるかよ」


里美「…やっぱりお兄ちゃんはエッチです~」




妹が胸を隠しながらプイと後ろを向く。お乳隠して尻隠さず。やれやれエロい体に育ったもんだ。

里美「こんなエッチなお兄ちゃんじゃ新しい家族に……ぁ」



妹が固まる。時が止まったかのようにピタリと動かなくなってしまった。



農家のジジイ「はぁ~…こいつぁ凄い。眼福じゃあ~眼福じゃあ~…」



腰の高さほどしかない垣根の向こう、目と鼻の先で農作業帰りと思われる老人がまるでお地蔵様に拝むように手を合わせていた。



兄「…」

里美「…」

農家のジジイ「ありがたや~ありがたや~…」



このジジイ。妹を豊穣の女神かなんかと思ってるのか

とにかく!このスケベジジイをどうにかしなければ!!!





バキューンッ!




切り裂くような破裂音が辺りに響き渡り、農家のジジイが後ろに倒れた。


この音は…銃声!?


俺は音の主を探るが案外すぐに見つかった。俺の後方、地上4メートルほど。銭湯の屋根の上にソイツはいたのである。



爺や「坊ちゃま、お嬢様。お迎えにあがりました。」

うちの執事が、どう考えてもこの距離で使うような代物ではないライフルを構え屋根の上にいる。



里美「ほぇ…あぁ~爺や~ただいま~♪」



目の前で農家の爺さんが撃たれたというのに呑気なもんである。



爺や「お嬢様…大きくなられましたなぁ…」



爺やは目を細めて感慨深そうにしているが、鼻の下が伸び伸びだ。


スケベジジイを撃ち殺した犯人もスケベジジイのようである。

兄「おい、ジジイ。お前あの爺さんどうすんだ」


爺や「ご安心ください。あの者の処分…いえ、処置は抜かりなく行いますので」


兄「さすがに殺してないよな?」


爺や「ええ、もちろん」ニッコリ



あまり考えないことにしよう。


とにかく、いつまでも妹の全裸を晒しておくわけにも行かない。さっさと妹を女湯に帰さねば。

兄「里美、もうスッキリしたろ?ほらさっさと女湯に帰るんだ」



俺は妹のお尻をピシャリと叩いて帰りを促す。



妹「きゃっ!?…も~お兄ちゃんったら開き直っても許しませんからね~」


兄「わかってるよ。いいから行け」



妹は頬を膨らませながら、垣根の穴に向かって歩きだした。だが途中で踵を返しこちらへもどってきた。

兄「???どうした、戻らないのか?」


里美「えへへ…お兄ちゃん。ずっと一緒ですよ?」







チュッ






唇…唇!?



兄「ぉ…おい!?里美!!??」


里美「………それじゃあ、お外で待ってますねぇ~♪」

結局、里美は俺になんの説明もせずに、垣根の向こうへと行ってしまった。



信じ難いほど柔らかいのに、信じられないほど衝撃的なキス。おそらく死ぬまで今日の事は忘れないだろう。




そして…














兄「おいジジイ。女湯まで見送る理由を簡潔に述べろ」


爺や「………チッ」











里美「ただいま帰りました」

兄「ただいま」



俺たちはそれから程なくして実家へと帰った。日が西に傾き、もう少しで夕暮れ時である。


玄関には家政婦が荷物を預かりに2人と、俺たち兄弟とスケベ執事の5人。

兄「あれ?親父は?帰って来てるんだろ?」


執事「旦那様は今応接間にいらっしゃいます」


兄「応接間?客でも来てるのか?」



執事が不思議そうな顔をしている。


なんだ?その何を言ってるんだコイツみたいな顔しやがって…



???「おお、帰っていたのか」



応接間から人が出てきた。一人は見慣れた顔、もう一人は…

父「遅かったな。随分待ちくたびれたぞ、里美」


弟「は…はじめまして!私、里美さんと結婚させていたっ…いただきます!弟と申します!!」



写真でしか見たことは無かったが間違いない里美の婚約者がそこにいた。



中肉中背、短めの髪をピシッと整えているところ以外は至って平凡そうだが、意思の強そうな面持ちをした不思議な青年だ。

兄「あ、あぁ…こちらこそ、はじめまして…親父、これは…」


父「ん?何だ聞いてなかったのか?里美から少し遅れて彼が来る事になっていただろう」




俺はそんなの聞いていない。俺が今回の帰省の件を聞いたのは…



里美「~♪」



コイツか。


わざわざあの話をするためにワザと俺にこの情報を教えなかったのか。おそらくこの妹は俺が寄り道を提案しなくても自分から、提案してあの流れに持っていくつもりだったのだろう。

父「まぁいい、おかげで彼ともゆっくり話ができたしな。夕食の用意は?」


執事「18時は用意が完了するかと」


父「うむ、任せる。さぁ里美、お前も疲れたろ。こっちに来て座りなさい。お腹の子に障るかもしれない」


里美「そうですね~ありがとうございます。お父さん」



まったく昔から里美には甘いんだからうちの親父は…そりゃあ移動ばっかりで疲れてるだろうから、お腹の子のためにも……













ん?









兄「はあああああっ!!??お腹の子ぉ!!??」



思わず大声を出した俺に周囲が目を見開いて驚いている。だが、間違いなくこの場で一番驚いているのはその大声の主である俺だ。



兄「え!?なに!?どういうこと!?妹が…アイドルになって…結婚で…オメデタ!?」


父「何だ、兄の癖にそんな事も知らんかったのか…」



親父がやれやれといった顔をするが、そんな顔をされても知らないものは知らない。むしろ何故みんなは知っているのか教えて欲しいくらいだ。

里美「私、「新しい家族」とは言いましたけど、それが旦那様だけとは言ってませんよ?♪」



里美が今まで見たことも無いようなしたり顔で微笑んでいる。それはそれで新鮮なのだが、今はそれどころではない。



父「結婚前の娘を孕ませた不届き者と思っていざ会ってみればなかなかどうして、芯のある好青年じゃないか。私も彼に惚れたよ。里美、結婚おめでとう」


里美「はい…お父様」



里美の顔は晴れやかで優しい色で笑っていた。









兄「………ねぇ、弟くん」


弟「はい!なんでしょう…?」


兄「屋上へ行こうぜ…屋上へ…久しぶりにキレちまったよ…」


弟「……はい?」



この男が俺の可愛い妹をたぶらかし、あまつさえ子種を注ぎ込んで孕ませたと思えば思うほど頭の中が真っ赤に染まっていくのを感じた。



殺す。捻じ切って殺す

兄「なぁに…ちょっとお話するだけだから付き合ってよ…ねぇ、弟くぅん?」


弟「なっ!?えっ!?ちょっ…お義兄さん!?」


兄「誰がお義兄さんだ!!」



やはりこの男を生かして置くわけには行かぬ。俺は彼の頭をむんずと掴んで、引きずっていった。



弟「えっ!?あのっ!?…里美っ、助け…助けてーっ!?」


兄「この後に及んで里美頼りとは情けない!いよいよ生かして帰すわけにはいかん!」


弟「ぎゃああああああああああああああああっ!!!???」












父「ふぅ…アイツも相変わらず短気で仕方ない奴だな…」


里美「クスクス、えぇ…仕方ない、ですね♪」






*************************

おしまい。


先日、リアル妹の結婚祝いに実家帰ったときに思いついたネタを元にしてます。ちなみにその時行った銭湯は本当にこんな感じでしたw





※リクエスト一覧※


・肇
・裕美
・きらり
・桃華
・美優
・周子
・ゆかゆかのりこ
・ちっひ
・奏
・藍子
・千枝
・しぶりん
・きらり
・ユッキ
・日菜子

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月27日 (木) 16:40:07   ID: GtB-aIIL

面白かった

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom