女「ねぇ男ー」男「男って誰だよ」 (149)

女「……え?何言ってんの?」

男「だから!男って誰だよ!!」

ガタンッ

女「な、何?何切れてんの……?」

友「どうしたんだよ男、急に切れるなんてらしくないぞ」

男「だからその男ってのは誰なんだよ!」

友「……は?何言ってんだこいつ」

女「だよね……急におかしくなったんだよ」

男「俺は確かに男だ。だが男って呼ぶ奴がいるか?
なんで性別で人を呼ぶんだよ。だったらこの世界には男か女しかいねぇじゃねぇか!」

女「え?え?どうしたの?急に……」

友「受験勉強のストレスでおかしくなっちまったか……」

ガララ

先生「おーしお前ら席つけー。授業はじめるぞー」

女「せ、先生……男くんがおかしいんです」

先生「は?」

男「……先生、俺は男であっても、男じゃないんで」

先生「……は?は?」

友「先生、男の奴、頭がおかしくなったんです」

先生「なんだー?中二病ってやつか?先生も中学生の頃は良くな……」

バンッ!!

男「ふざけないでください!!」

先生「えっ」

先生「お、落ち着け男……どうしたんだ?何が不満なんだ?」

男「先生までそういうんですか。俺は男じゃないでしょう!?ちゃんと名前があるでしょう!?」

先生「だからこうして名前で呼んでるじゃないか。ほら、『男』って」

男「男は性別であって名前じゃねぇって何回言えばわかるんだよ!!」

ガシャァァン!!

クラスメイト1「きゃあああ!!」

友「大丈夫!?クラスメイト1さん!」

男「クラスメイト1ってなんなんだよ!!!」

クラスメイト1「!?」

先生「おい!本当にどうしたんだ!?」

男「男とか女はわかるよ。まだわかる。でも『クラスメイト1』ってなんなんだよ!!
語呂も悪いし、そもそも俺たちだってクラスメイトだろ!!どういう分け方でそうなってんだよ!!」

友「おい、クラスメイト1さんが気に入らないなら、素直にそう言えばいいだろ!
何だよその言い方は!」

クラスメイト1「えっと……あの」

女「大丈夫?クラスメイト1さん」

クラスメイト1「え、うん……」

先生「これは困ったことになったな……おい、委員長、生活指導の先生を呼んできてくれ」

委員長「はい」

先生「男?どうしたんだ?不満なら聞く、だから落ち着いて話し合おう」

男「じゃあまずその男ってのをやめてください」

先生「えっ、お、おう……なんて呼べばいいかな?」

男「名前があるでしょう。先生は名簿があるからわかってるでしょう?」

先生「……えっとな男、先生は名前を呼ぶなと言われたんだが」

男「……ラチがあかない」

女「それはこっちのセリフだよ男!」

友「そうだよ。お前は一体さっきから何を言ってるんだよ」

男「……まだわかんねぇのかよ」

女「不満なら聞くって言ってるじゃない!言ってくれないとわからないよ!」

男「さっきから言ってるだろ!!聞こうとしなかったのはお前らじゃないか!」

友「だから何の話だよ!男とか女とか、そんな哲学的な事俺たちにわかるわけないじゃないか!」

男「哲学的な話なんて誰もしてねぇよ!
俺は名前で呼べって言ってるんだ!!男とか女とか性別じゃなく!名前で!」

友「……は?だからさっきから名前で」

男「それは俺の名前じゃねぇって言ってんだろ!!」

友「……つまり男、お前は自分の本当の名前が違うって言いたいんだな?」

男「……ニュアンスが大分違うが、間違ってはないな」

女「……つまり、男の事、私たちはずっと『男』って名前だと思ってたけど、違うってこと?」

男「そうだよ。当たり前だろ。『男』なんて馬鹿みたいな名前をつける奴がどこの世界にいるんだ」

先生「男、自分の親御さんを馬鹿にするような発言は先生ちょっと」

男「先生は黙っててください!!」

先生「はい」

生活指導「おい、生徒が暴れてるってのはここか」

委員長「そうなんです。男くんが……」

生活指導「男?あの真面目な奴がなぜ……」

男「……何か用ですか」

生活指導「いや何、お前が暴れてるって聞いたからな。落ち着いたのか」

男「今の所は」

生活指導「で、どうしたんだ。若気の至りか」

男「みたいなもんですね」

女「先生、男くんは、自分の名前が違うって言いだして……」

生活指導「自分の名前が?」

友「『俺は男じゃない』って叫びまわってたんです」

生活指導「……それはアレじゃないのか」

女「あれ?」

生活指導「解離性人格障害……いわゆる『二重人格』というヤツだ」

女「!!」

友「そんな……!男が人格障害だなんて!」

生活指導「俺も話を聞いてそう判断しただけだ。まだ詳しくはわからん」

男「……すくなくともそういうのではない事だけは確かですよ。先生」

生活指導「……なんだまともじゃないか。誰だ暴れて手が付けられないとか言い出したのは」

委員長「すみません。私が見た限りでは机を投げ飛ばしたり大変だったんで……」

生活指導「なんだって?机を投げ飛ばした?」

委員長「はい」

生活指導「どうしたんだ男……お前はそんなことする奴じゃないだろ」

男「男じゃありません」

生活指導「は?」

男「ですから、俺は性別は男かもしれませんが、男ではありません。
男と呼ばれる理由がわかりません」

生活指導「……こいつは何を言ってるんだ」

女「さっきからずっとこの調子で……」

生活指導「それは……なるほど」

男「興奮して机をなぎ倒したりしたのは謝ります。なので俺の話を聞いてください」

生活指導「おう」

先生「……」

男「まず俺は男なんて名前じゃありません。そこにいるのも女でもないし、友でもありません。
あとそこの女の子はクラスメイト1なんて奇妙な名前じゃありません。そもそも日本でそんな無茶苦茶な名前をつけてる人はいません」

女「ちょ、無茶苦茶な名前って……!」

友「流石にひどくないか?」

生活指導「まぁ聞こうじゃないか」

男「おかしいんですよ。ここは。まるで俺が『男』って名前なのが当たりまえ見たいで。
そりゃ俺は人から見ればただの『男』かもしれませんよ?でも同じ所にいるこいつらまで俺の事を『男』って呼ぶのが気持ち悪くて」

友「……やっぱり意味がわからん」

女「……つまり、私たちの名前が気に入らないってこと?」

男「気に入らないわけじゃない。常識的におかしいんだ」

友「は!?」

生活指導「興奮するな、落ち着け」

男「『男』や『女』や『友』は役割なんだよ。俺たちはそんな名前じゃない。
だから呼び合う時まで『男』じゃなくていいだろ、俺はそう言いたいんだ」

女「……ごめん、私わかんなかった」

友「俺も」

生活指導「……」

クラスメイト1「……あの」

先生「どうしたクラスメイト1」

クラスメイト1「……その気持ち、わかるかもしれません」

女「え?」

友「は?」

生活指導「……どういうことだ?」

クラスメイト1「……いや、別にその、何か確信がついたわけじゃないんですけど」

クラスメイト1「私はクラスメイト1って呼ばれてます。『クラスメイト1』って名前なんだって思ってます。
でもテストの時にクラスメイト1って書いたり、家にいる時にクラスメイト1って呼ばれた記憶がないんです」

女「……え?」

クラスメイト1「……いや、私も何言ってるのかよくわかりません、ごめんなさい」

男「謝るな!!」

クラスメイト1「ひぇっ」

男「……そうだ、そうなんだよ!気づいてくれたか!」

生活指導「……どうやら正解みたいだぞ」

友「わけわかんねぇ……」

男「考えても見ろよ!クラスメイト1なんて、クラスの中じゃなきゃ使えないだろ!?
だから家に帰ったら別の役割があるんだよ!俺たちは役割で呼び合ってるんだよ!!」

女「や、役割で呼び合ってる……?」

友「なんかややこしい話になってきたな……」

生活指導「……つまり私たちは『実名ではなく、役割で呼び合っている』
そう言いたいわけか」

男「そうです」

友「頭こんがらがってきた……役割とか実名とか、何を言ってんだよ」

女「……ん」

友「あれ!?お前もなんかわかっちゃったのか!?」

女「そんなわけないじゃん。私もわけわかんないよ。でも……」

友「でも?」

女「男ならわかる。でもクラスメイト1ちゃんまで、そんなおかしな事言うと思う?」

友「……あれっ?確かに」

先生「クラスメイト1は成績も優秀だしな!先生素晴らしい生徒にめぐまれてうれ」

男「先生は黙っててください」

先生「はい」

クラスメイト1「えっと……あの、私もよくわかってないんですけど」

男「いや、俺は正直、さっきの一言だけで十分だよ。ありがとう」

クラスメイト1「は、はい!?」ドキッ

友「(こいつ……!この状況下でフラグを!?)」

男「皆聞いてくれ。俺は気がくるってるわけじゃない。
今の名前が嫌いなわけでもないんだ」

女「お、おう」

男「俺たちは『おかしい』んだよ。何か妙な意思が何かしらんが、
変なものに操られてるんだ」

友「……いや、おかしくなったのはお前じゃないのか」

生活指導「まずは話を聞くぞ。興味深い」

友「へーい……」

男「俺たちはそもそも『男』なんて名前じゃない。名前ってのは日本人なら、
苗字があって名前があって……最低でも二文字あるはずだろ」

女「でもフルネームでは呼ばないよね」

友「うんうん」

男「当たり前だ。でもそもそも『男』っておかしくないか?全国の半分は男だ。
なのに俺が『男』って呼ばれたら、誰の事だ?ってならないか?」

友「んー?『男』は『男』だろ。お前以外の誰でもない」

男「じゃあお前の性別なんなんだよ」

友「は?男に決まってんだろ」

女「……あれ?」

友「……ん?」

男「お前、今違和感を感じなかったか?」

友「え?あれ?何だろ……今すげぇ何かひっかかった気がするんだよ」

生活指導「……確かに、何だ?今のは」

男「俺は『男』だ。まずこれはわかる。でもお前の性別も、
先生の性別も『男』なんだよ」

友「……あれ!?あれ!?」

女「ど、どういうこと!?余計わかんなくなってきちゃったよ!」

クラスメイト1「ええと……つまり『男さんの名前と、先生方の性別が一致している』という事ですね!?」

友「え?そんなの当たり前……は?あれ?」

女「そうだね。なんかおかしいよね」

生活指導「なるほど、確かにそれは、考えたこともなかったな……」

男「だろ?おかしいんだよ。俺たちは性別はあっても性別じゃない。
そもそも性別で呼ばれる事自体がおかしいんだ」

女「でも私たち、男の事性別で呼んだことないよ?」

男「それだよ」

女「え?」

男「今俺の事なんて呼んだ?」

女「……男」

男「苗字は」

女「え?」

男「俺の苗字は何だよ」

友「何だよそれ?クイズか?」

女「……」

友「おい?どうしたんだよ」

女「……え?あれ?」

友「何?新しいギャグ?」

女「……わかんない。男の苗字って、何だっけ?」

友「は!?何言ってんだよ!苗字がわかんねぇはずないだろ!!
俺たち何年一緒にいると思ってんだ」

女「いや、何かすっぽり抜けててさ……ド忘れしちゃった」

友「先生!名簿持ってるでしょ!?」

先生「持ってるけど……」

友「見せてください!」

バッ

友「……あれ?」

生活指導「どうした」

友「……わかんねぇ」

女「は?」

友「いや、俺にもわかんねぇよ。でもこの名簿を見ても、男の苗字が何かわかんねぇんだよ」

女「そんなわけないじゃん!あんたまでおかしくなった!?」

友「おかしくなってねぇ!!俺は正常だ!まともだ!!」

生活指導「……どういうことだ」

女「ちょっと貸して!」

バッ

女「……え」

友「……」

パラッ パラッ……

女「……なにこれ」

友「……わかったか?」

女「……なにこれ!なに、何なの!?これは!」

生活指導「載っていなかったのか?」

女「違います!!載ってるんです!!」

生活指導「ではなんて書いてあるか読めるだろう」

女「……『男』としか書いてません」

生活指導「は?」

女「だから、名前しか書いてないんです!!」

生活指導「……」

男「……そうなってるのか」

友「お前は何で、この状況で落ち着いてられるんだよ!?」

男「俺はなんとなくわかってたからな」

友「……は?」

男「おかしいんだよ。お前らも、この世界そのものも」

友「おいおい……どうしたんだよ?この世界ってお前、
お前の苗字が載ってないことが、誰かの野望とでも言う気か?」

男「強ち間違いじゃないかもな」

友「……は!?ふざけてんのか!?」

バンッ!!

男「ふざけてるわけないだろ!!」

友「あ……、す、すまん」

生活指導「しかし、苗字はどこにでも存在する……男の家に行けば、
流石に苗字がわかるのではないのではないかな?」

友「な、なるほど!」

先生「授業は」

男「先生、俺今日は体長不良で早退します」

女「私も」

友「俺も」

先生「え、えぇ~っ!?」

クラスメイト1「私も親が急病なので」

先生「あれぇ~!?」

生活指導「私も付き添いで行こう。体調不良の生徒のみで帰らせるわけにはいくまい」

先生「……もう好きにしてください」

――――――――

友「……まだよくわかんねぇ。役割とか、名前とか、どうなってんだ……?」

女「とりあえず……苗字がなかったってことは……おかしいのは、私たちの方かもしれないんだよね?」

友「は?」

クラスメイト1「そうかもしれません……」

友「お前らなに言ってんだよ。なんだ?男が正しくて、他は全部間違ってるってことか?」

生活指導「……そう考えるのも妥当かもしれんな。何せ、男くんの仮説通り、
彼の苗字がわからなかったのだから」

友「はぁ~っ!?」

男「……つきました。ここが俺の家です」

友「結構近いな。そりゃそうか」

女「私たちはずっと来てるしね」

クラスメイト1「とりあえず、ここで表札を確認すればいいわけですよね!」

友「……」

女「……えっ」

生活指導「……なるほど」

クラスメイト「……表札が、ない?」

友「男!お前ん家どうなってんだよ!表札くらいつけろよ!」

男「外した覚えはないけどな」

女「……それって」

生活指導「……仕方ない。家の人に聞こう。彼の両親なら、苗字を知らないというわけもあるまい」

クラスメイト1「ですね」

友「わけわかんねぇ……」

女「……あ、見てみて」

友「なんだよ?」

女「他の人の家には、ちゃんと表札があるよ」

友「え?」

女「ほら、『佐藤』とか『鈴木』とか……」

友「マジだ……どういうことなんだ?」

男「……背景、ってことなのか」

女「え?」

男「いや、なんでもない」

ガチャ

男「ただいまー」

母「どうしたの?何か今日早いじゃない」

生活指導「お邪魔します」

女「お、おじゃましまーす……」

ゾロゾロ

母「……何事?」

男「まぁちょっと。話すから居間に来て」

母「いいけど……」


――――――――――


母「で、どうしたんですか……?まさか、うちの息子が何か不祥事を?」

生活指導「いえ。そんなことはありません。ただ一つ、不思議なことがありましてですな」

母「不思議な事?」

生活指導「男君のお母様。自分の苗字は何か、覚えていらっしゃいますか?」

母「みょ、苗字?あはは……変な事をお尋ねになるんですね。
そんなもの、もちろん……」

女「もちろん?」

母「……あ……れ……?」

生活指導「……」

母「あはは、いや、ちょっとド忘れしたみたいで……。
もう歳なんですかね?」

男「違う」

母「へ?」

男「『ない』んだよ。この世界に。苗字なんてものは」

母「……え?何言ってるの?」

友「……僕らも彼が何を言ってるのかわかりませんでした」

母「もしかして、うちの子がおかしく……」

クラスメイト1「いえ、そうじゃないと思うんです」

母「え?」

女「だから、私たちは、彼の言う事が正しいんじゃないかって、思ってるんです。今」

母「……あなたたち、何を言ってるの?」

友「俺たちも何を言ってるかわかりません!でも事実がそう言ってるように聞こえるんです!」

女「私たちも、男くんがおかしいんだって、最初は思ってました。でも何か違うんです!
何かこう……はっきりとは言えないんですけど、なんかもやもやして」

生活指導「つまり彼は、『世界の真実に気づいた』と……そう言いたいんです」

母「せ、世界の真実だなんて……そんなオカルトチックな。あはは、
確かにそういうのが好きな子でしたけど」

クラスメイト1「お母様!」

母「は、はい!」

クラスメイト1「免許証はお持ちですか」

母「め、免許証……?」

クラスメイト1「なければ保険証でも、ポイントカードでも構わないんです。
あなたの『フルネーム』が書いてあるものなら!」

母「それくらい持ってるけど……」

クラスメイト1「見せてください!今すぐ!」

母「は、はい!?」

ゴソゴソ……

母「あった。このサイフの中に……」

クラスメイト1「見ても構いませんか?」

母「ええ、どうぞ?」

友「……!」

女「……!」

生活指導「……!」

クラスメイト1「……やっぱり」

男「……」

母「な、何?何かあったの?」

友「『母』としか書かれていない……」

女「……ここは絶対に、フルネームを書くはず」

クラスメイト1「だから……」

生活指導「やはり、間違っているのは我々のほうだった、ということか」

男「……やっと、気づいてくれましたか」

母「何?何何?何がどうなってるの?」

男「母さん」

母「え?あ、はい」

男「自分の名前を言ってみて」

母「え?私は生まれたときからずーっと『母』よ?それがどうしたの?」

男「本当に?」

母「そりゃあもちろん……」

男「結婚する前は、なんて呼ばれてたのさ」

母「だから、普通に名前で……」

男「名前で?」

母「……あれ?」

友「お母さん!本当に『母』って呼ばれてたんですか?」

母「あ、あれ?やっぱり歳なのかな……なんかね。昔の記憶がぐちゃぁってなっててね……?」

男「……母さん!」

母「はい!」

男「父さんの会社の電話番号!教えてくれ!」

母「今からかける気!?」

男「今じゃなきゃいけないんだよ!
後でかけると『端折られてしまう』!!」

母「な、何言ってるの!?」

男「とにかく早く!」

母「……私もう知らないからね!?」

スッ

男「ありがとう!」

ピッピッピ

プルルル……

ガチャ

父『はい。○×出版ですが』

男「父さん!」

父『なんだ男か……いや、なんだ、急用か?』

男「母さんと結婚する前、母さんの事、なんて呼んでた!?」

父『なんだいきなり……今仕事中だってのに……。はぁ。わかったよ。
そりゃあもちろん、名前で呼んでたに決まってるだろ。全く恥ずかしい事を言わせるな。もう切るぞ?』

男「だから、なんて呼んでた!?」

父『だから名前で……それは……ん?』

男「……『母』、って?」

父『……いや、あれ?ちょっとまて、どうなってるんだ?』

男「……もしかして、『女』じゃない?もしくは『彼女』とか」

父『……あれ?おい、男、お前どうしてその事を知ってるんだ?
誰かに聞いたのか?』

男「……それが聞きたかったんだよ。ありがとう」

父『おい男、説明しろ。どういうことなんだ、どうしてお前が――』

男「ありがとう父さん」

ガチャッ

友「……」

女「……」

生活指導「……役割」

クラスメイト1「……なんでしょうか。この感じ」

友「……ああ、なんとなくわかるよ」

女「なんか私たち、危ない事に首つっこんじゃったっぽいよね?」

男「……すまん」

女「いいよ別に。乗りかかった船だし」

母「……あのさ、母さん全然ついていけてないんだけど」

男「ここまでわかれば大丈夫だよ。あとは……」

女「あとは?」

男「『どうやってケリをつけるか』だな」

友「……ケリ?」

男「んー……これは俺が考えるよ。とりあえず今日は解散ってことで」

友「いいのか?俺はまだ半信半疑なんだけど……」

男「でも、『何かがおかしい』って事はわかってくれただろ?なら十分だよ」

女「……私も」

男「ん?」

女「ちょっと私も、お母さんに聞いてみるよ」

友「聞いてみるって」

女「そりゃ、『苗字』と、『結婚する前なんて呼んでたか』だよ」

友「……なるほど」

生活指導「……確かに、男くんの家だけおかしい、というわけでないなら、
女くんの家もおかしくなるはずだな」

友「つまり俺の家も……」

クラスメイト1「……」

女「クラスメイト1さんも……だよね」

クラスメイト1「……私の家は、もっとすごいかもしれません」

友「もっとすごい?」

クラスメイト1「いえ、私にもわからないんです……でもなんか、何かすごく、全然違うんじゃないかって……」

生活指導「……どうやら、彼女が一番真実に近いようだ」

女「ほえー……何かすごいね」

―――――――――

男「じゃあ、また明日」

女「うん……」

友「おう。俺に任せとけ!今回もばっちり解決だ!」

女「さっきまでわたわた狼狽えてた奴のセリフとは思えないね」

友「なんだとこのやろう!」

生活指導「……私も友人すべてに当たってみるよ」

友「ええ!?そこまでするんですか!?」

生活指導「だが気になるだろう。この状況、いくらなんでもおかしすぎる」

女「確かにそうですけど……」

生活指導「……『苗字』と『名前』、これは歴史の授業でも習う非常に重要な事だ。
この事実が根本からおかしくなるような事があって……気にならない教師はいないさ」

友「ヒューっ!先生かっこいー!」

クラスメイト1「……」

―――――――――――――

男「……」

男「……帰ったか」

男「しかし……どうする?俺は事実を知っている。
彼らも事実を知りつつある」

男「……俺の目的はただ一つ、」

クラスメイト1「『この世界がおかしい事を理解してもらう事』」

男「……まだ帰ってなかったのか」

クラスメイト1「嫌な予感がしたんです」

男「嫌な予感?」

クラスメイト1「私はそもそも、何なんですか?」

男「……は?」

クラスメイト1「男さんの仮説が正しいとしたら、私の役割は『クラスメイト1』
じゃあクラスにいない私は?ただの女の子としての私はどこにいるんですか?」

男「……」

クラスメイト1「……家に帰ったら、私は『違うモノ』になっちゃうんじゃないですか?」

男「……それは、俺にもわからん」

クラスメイト1「本当ですか?」

男「ッ……!」

クラスメイト1「本当にそうですか?実は全部わかってるんじゃないですか!?」

男「……」

クラスメイト1「答えてください!私はなんなんですか!!」

男「……『クラスメイト1』……」

クラスメイト1「……ですよね。私にもわかりません。そんなことが、
ましてや貴方にわかるわけがない」

男「……」

クラスメイト1「でも……この気持ちをどうすればいいんですか!?
私は18年間、ずっとこうして生きてきたんです!それをいきなり否定されて……!」

チュッ

クラスメイト1「……は?」

クラスメイト1「え?は?今何したんですか?ごめんなさいちょっと理解が」

男「俺にもわからん。でも俺が『男』で『友』や、『母』がいるなら……」

クラスメイト1「……??」

男「この世界は『俺を中心に回っている』ってことなんじゃないのか」

クラスメイト1「……あの、言ってる意味が」

男「俺にもわからん。わかるわけがないだろ」

クラスメイト1「正気じゃないんですか」

男「正気だよ。くっそ真面目だ。クソ真面目に言ってるんだ」

クラスメイト1「世界は自分を中心に回っていると……本気で思ってるんですか?」

男「そうだよ」

クラスメイト1「……じゃあ、じゃあ私たちはどうなるんですか!?貴方からすればただのモブかもしれない!
そんな私たちは、存在する権利さえないんですか!?貴方の物語に出ない人間は、必要じゃないんですか!!」

男「だから!!」

ガシッ

クラスメイト1「ひゃ」

男「例えば……たとえばの話だ。もしお前が、俺の『彼女』になったとしたら……」

クラスメイト1「……え」

男「その瞬間、お前は、『クラスメイト1』から『彼女』になるんじゃないのか……?」

クラスメイト1「……わけがわかりません」

男「いやだから」

クラスメイト1「でも」

男「……」

クラスメイト1「……試してみる価値はあります。だって、私はずっと貴方の事が好きでしたから」

男「……えっ」

クラスメイト1「気づかなかったんですか?すごいにぶいですよね。
でもずっと前から知ってますよ。貴方が人の好意クソにぶいって事は」

男「そんな口調だったっけ」

クラスメイト1「私だってふっきれたんです」

男「ははっ……じゃあ改めて」

クラスメイト1「はい」

男「『好きです、付き合ってください』」

クラスメイト1「『はい』」

男「……で、どうだ」

彼女「……どうでしょうね」

男「変わったのか?何か?」

彼女「いや、今の形式でしかないですからね……もしかしたら何も変わってないかも」

男「え、困る……」

彼女「あ、私の事名前で呼んでみてくださいよ。流石にクラスメイトの名前くらい憶えてますよね」

男「え?ああ……えっと……あれ?」

彼女「……あ、そっか。貴方は違うんでしたよね。
一度も私たちの事を呼んでないし」

男「……あー」

彼女「……」

ピッピッ

男「何やってんだ?」

彼女「お父さんに電話をかけてるんです。もし私の名前が『彼女』になってるなら、
いつも名前で呼んでるお父さんは私の事を『彼女』って呼ぶはずです」

男「なるほど……」

プルルルル

ガチャ

彼女父『もしもし?どうした?彼女か?』

彼女「おっけー!ありがとうお父さん!」

彼女父『は?』

ガチャ

彼女「……やっぱり『彼女』でしたよ。変わってます」

男「変わってることが理解できるのか」

彼女「メモっておいたんです。私の名前」

男「メモ?」

彼女「ノートにちょちょいって。そのはずなのに、私のノートには『クラスメイト1』って書いてあるんです」

男「それって……」

彼女「……正直、これが私の名前だったのか、って思うとすごく不思議な感じがします。
だって『クラスメイト1』ですよ?モブじゃないですか。完全に」

男「お前……!」

彼女「貴方の言ったことは覚えてます。確か、
『『クラスメイト1』ってなんなんだよ!!』――でしたっけ?」

男「……ああ」

彼女「今ならわかります。確かに意味が解りません。『クラスメイト1』って、性別ですらなく、
完全に役割ですもんね」

男「……(やっと、理解者が)」

彼女「遅くなっちゃったので、もう帰りますね。父にも変な電話しちゃって戸惑ってるでしょうし」

男「ああ、送っていこうか」

彼女「大丈夫です。流石に襲われて死んだりは……しませんよね?」

キョロキョロ

男「……送っていくよ」

―――――――――――

彼女「それにしても、意外と家、近かったんですね」

男「……何度か会っててもおかしくないのにな」

彼女「『会う必要がなかった』とか」

男「ついに発想が完全にこちら側になってきたな……」

彼女「……ふふ、だってもう私、貴方の『彼女』ですよ?
ただのモブから一気にランクアップです」

男「またメタな発言を……」

彼女「……未だに信じられませんけどね」

男「……」

彼女「この世界がおかしい、ってこと以上に、貴方と――」

男「ん?」

彼女「ああいやなんでもないです!送ってくれてありがとうございます!」

男「あ、ああ……いや別に」

彼女「今度何か美味しいものでも振る舞いますよ。
私の手料理をごちそうします。なんたって彼女ですし」

男「はは。期待して待ってるよ」

彼女「ふふっ……じゃあ、また明日」

男「おう。また明日」

ガチャ……バタン

男「それじゃ、俺も家に帰るか」


――――――――


男「……」

男「……ん?」

男「今は夜か?夜……?」

男「どういうことだよ。今日はもう『終わり』のはずだろ」

男「なんでまだ……なるほど」

男「……出てこい」


俺「……よう」


男「お前は……誰だ?」

俺「それはお前が一番よくわかってるはずだが?」

男「お前は……俺か」

俺「そう俺……そうだよ。わかってるじゃないか」

男「お前がこの世界の……は?あれ?」

俺「お前、今なんつった?」

男「え?何って……」

俺「『お前は俺』、そういわなかったか?」

男「いや、だからお前は……あれ?」

俺「そうだよ。お前は俺で、俺は俺なんだよ」

男「何を言ってんだよ!!わけがわからねぇ!!」

俺「落ち着けよ~。俺同士仲良くしようぜ」

俺「だから『お前』は『俺』で『俺』は『俺』なんだよ。オッケー?」

男「何を言ってるのかさっぱりわからん」

俺「お前がわかんなくても、お前の中身はしっかり理解してると思うぞ」

男「どういうことだよ」

俺「お前は証明しちまったんだよ。この世界は『役割』で呼び合ってるって」

男「あれで正解、この物語は終わりだったってことか」

俺「ピンポンポーンポーン!おめでとう!ご名答だよ!」

男「だからなんだっていうんだよ。俺は家に帰って、明日皆の話を聞いて」

俺「で、そのお前は……さっき、『なんて言った?』

男「……え?」

俺「他の人間は違ったんだよ。いや、もう人間じゃなくて、『キャラ』か?
そいつらは人をなんて呼んでも良かったよ。でもお前はちゃーんと、呼ばなかったよな?最後まで」

男「……え……あ」

俺「そのお前が!今!俺の事をなんて呼んだかって!!聞いてんだよ!!」

男「……お前は」

俺「お前は?」

男「……『俺』?」

俺「正解だ」ニコッ

男「……あ、ああ」

俺「じゃあお前の出番はもう、終わりだよな?」

男「ま……待て!これは違う、これは……!!」

俺「彼女までつくったのになー。残念だったなー。でも」

男「待て!!お前は!!俺じゃない!!!俺は……!!」


―――――――――――

キーンコーンカーンコーン……

俺「おはよう諸君」

女「おはよう!昨日聞いてみたんだけど……やっぱりうちの苗字もおかしかったよ!」

友「俺の家も。ていうか兄貴とか兄貴の友達も皆そうだったよ……」

俺「やっぱりな……この世界は『何かがおかしい』って事に間違いはないみたいだ」

生活指導「しかし、それを調べてどうするんだ。何か怪しい組織に狙われでもしたら」

俺「大丈夫大丈夫。その時はこう何とかなるっしょー」

女「て、てきとーだね!?」

彼女「……おはよ」

俺「おうおはよー!」

友「あー!お前、彼女ちゃんと付き合ってるって本当か!?」

女「マジで!?」

俺「噂流れんのはえぇな!」

彼女「……」

友「いつの間にだよ!教えろ教えろ!」

俺「いてぇよ手加減しろ!!」

彼女「……貴方は、誰ですか?」

俺「えっ!?彼氏を忘れたの!?」

友「忘れられてやんのー!だっせー!」

バンッ

彼女「違う!」

女「え、ちょ、ちょっと、彼女ちゃん……?」

彼女「……わかってるよ。外見もそっくりだし、役割も同じ位置だよね」

友「え?何?どうしたの?今度は彼女ちゃん?」

俺「……じゃあ、わかってるよな?ええ?『俺の彼女』よ」

彼女「……」ギリッ

女「(何この険悪な空気)」

生活指導「おっと、そろそろ授業の準備をしなくては」

友「あー!先生逃げたー!」

生活指導「はっはっは」

女「もう朝っぱらから痴話喧嘩に巻き込むのやめてよ」

彼女「……返して!」

俺「何をだ」

彼女「彼を……」

俺「彼って誰だ」

彼女「彼は……そりゃ彼は!」

俺「……彼って、『誰』だ?」ニコッ

彼女「……あ、う」

友「おい俺、そんなに彼女を苛めてやるなよ……」

女「朝っぱらから趣味悪いー」

彼女「……彼は」

俺「……かれは?」

彼女「……誰、だっけ?」

俺「んー。もちろんわかってるよ。俺は俺。そう君の彼氏だ。
昨日俺から告白して、オーケーしてくれたよね」

彼女「……」コクリ

俺「もちろん自分の事も良く知っている。19××年の×月○日に△市で生まれ、
健康だが頭の良くない子だった。そして苦手だった英語をなんとか克服し、この高校に入り」

彼女「……」

俺「君と初めて出会ったのは一年の夏……俺が、君が落とした書類を拾ったことから」

彼女「……!」

俺「描いているが描いてないかはしらないが、この世界にだってちゃんと『歴史』がある。
徳川家がほろんでちゃんと戦争が起きて、そのあとなんやらあってこの世界があるんだ。
何もなしにできたわけじゃない」

友「お、おい?」

俺「その上で、俺は君の良く知っている『彼氏』なんだよ。どうだ?何か反論してみろ」

彼女「……いいえ」

俺「おうそうか。じゃあ授業が始まるな。座ろうか」

彼女「……はい」

女「(な、何この空気……?)」

―――――――――

先生「つまりだ。この時の文章を日本語に直すと
『メアリーは缶けりの最中にケン君を蹴り倒した、よってケン君は死亡した』となる」

先生「『よって』などの接続語は得てして間違えやすい。But、because、however。
複数あるからちゃんと覚えておいてくれ」

コンッ

彼女「……?」

カサカサ

彼女「……(なにこれ、メモ?)」

先生「じゃあ次のページの最初から、彼女ー」

彼女「は、はい!」

ガタンッ

――――――――――

キーンコーンカーンコーン……

友「やっと授業終わったぁぁああ!!やったぁ解放されたぁあぁ!!」

女「あんたは大げさなのよ、いちいち……」

友「おーい俺!遊びに行こうぜ!」

俺「んー?いいぜ!どこ行くよ!」

友「はっはっは……それは後で話すよ」

俺「おいおい、もったいぶるなぁ……」

女「何よそれ、私も行く」

友「だめでーす!!だめでーすはいだめでーす!」

女「うざっ!?」

友「これはなぁ……女の子には教えられないとこなんだよ」

俺「おいおい……そんな事ここで好評しちゃっていいのかよ」

友「グフフッ……いいんだよ。俺たちは18歳の、血気盛んな男子高校生だからなぁ……
多少なりけりたまるものがあるってのさ」

彼女「……」

女「ほら!彼女ちゃん絶句してるよ」

友「仕方ないよなー。俺だって男なんだから。たまるものはたまるよ」

女「うわ、ひどい下ネタ」

友「下ネタじゃないしー」

彼女「……ですね」

女「え?」

彼女「彼だって、男なんです。そりゃ溜まりますよ。色々と」

女「た、達観してるぅ……」

俺「流石俺の彼女、理解あるな……」

友「な!お前も男だもんな!」

俺「おう!俺だって男だ!こればっかりは仕方な……」

俺「……ん?」

彼女「……」ニコッ

友「言ったな?」

俺「……は?お前ら、何を言ってるんだよ」

友「お前、今なんて言った」

俺「はっ?」

女「そりゃ人を騙しても、自分が騙されるなんて思ってないよね。だって見てなかったもの」

俺「お前ら……何言ってんだ」

友「たとえばだよ?お前さ、俺達が帰った後の話知ってる?」

俺「は?そりゃ、俺が彼女に告白して……」

女「その前だよ」

俺「……何言ってるんだよ」

友「そりゃ知らねぇよな。だってどこにも『書いてない』もんな」

俺「……おい、まさか」

女「反則とか言わないよね?だって私たちにも『歴史がある』」

友「俺たちはこの舞台にいないときは死んでるってわけじゃねぇんだ。
普通に生活するし、今の時代は……」ピッ

『もしも彼女の様子がおかしければ』

俺「……まさか」

友「俺たちだってこんなことになるとは思わなかった」

女「油断したよね。彼はもう完全に『主人公』の立ち位置なのに」

彼女「その後に出てきたポッと出野郎なんて……こうなる運命に決まってるじゃないですか」


俺「……きさまらァ!!」

男「よう」

俺「俺を……ハメやがったな!?」

男「……え?」

俺「……ちょ、ちょっとまて、これは、え?つまり……

男「残念だったな。つまり『そういうことだ』

俺「

――――――――――――

キーンコーンカーンコーン……

女「……で、よかったの?これ?」

男「……おう」

友「……何が変わったの。マジで」

彼女「全然違いますよ。見てくださいほら、目つきとか」

女「……(わかんない)」

友「(微塵もわからない)」

女「で、これからどうするの?何かと戦うの?」

男「もうやめだ」

女「え?」

男「確かにこの世界はおかしい。俺は本当はこんな名前じゃないかもしれない。
でもいいんだよ」

友「いいって、昨日あんな騒いでたのに……」

男「一度自分の役割を取られて気が付いたんだよ。もうずっとこうして生きてきたんだって」

彼女「描かれてはないですけどね」

女「……何か二人、通じ合ってるね」

男「そうか?」

友「なんかムカツクな……リア充め」

男「お前も彼女ができるとこうなるさ」

友「この上から目線!!!」

女「何その呼び方!」

男「ははは……」

彼女「……こうやって、」

男「そう、こうやってずっと」

友「……終わりなのか?」

男「いや、終わらないさ、俺たちは前からずっとこうだったじゃないか。
高校生活をすごして、大学に行って、そして就職して、色んな人生があるんだよ」

女「……」

男「だから俺たちは、いつも通り、この人生を続けるだけなんだよ。
つまり、一言で言うとだな――――」



                                           おわり


世にもっぽいな

で、お前らの役割は何よ
お前ら1「」
お前ら2「」
じゃないだろうな

いつもいつも『男』とか『女』とか呼び合ってて本人達は気にならないのかなって思って立てました。
ありがとうございました。

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