幼女「最近、魔王がニートになってしまったんだが」 (64)

?「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

?「(村が真紅に染まっている…血なのか炎なのか、分からなくなるくらいに)」

?「(黒焦げて、腐敗臭が鼻に絡みつく。吐き気がする)」

?「(まだ、村には皆がいるのに)」

?「(でも)」

?「(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い)」

?「(見るのが怖い)」

?「(知るのが怖い)」

?「(死にたくない…!)」

?「(逃げよう逃げたい逃げよう逃げよう逃げよう逃げよう逃げよう…!)」

?「(私だけ逃げてしまえば良い)」

?「お母さん、っはぁ…お父さん、お兄ちゃん」

?「お母さん!お父さん!お兄ちゃんっ!!」

?「はぁっ、はぁっ、ううっ、ぐす、はぁぁっ」

?「ごめっ、ごめなさ、ご、ううう」

?「うぁあああああああああぁんっ!」

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【ヤラナイオ村 ニート宅】

母「ニート!ニートってば!」ドンドンドン!

ニート「ん…ぁあ…何だよ…今寝るとこなんだよ、話しかけんな」

母「何言ってんのもう朝なのよ!いい加減生活態度を改めなさい!」

ニート「………はぁ」

ニート「で、何の用?」

母「城下町からの新聞によると、今日が世界から勇者を選出する日だそうよ」

ニート「へー。魔王を倒す奴だっけ?俺にゃ関係ねぇー」

母「あたしもあんただけは絶対になれやしないと思うけどね」

ニート「そりゃ良かったね」

母「あーごめんごめん」

ニート「チッ」

母「それで今日ね、城下町で勇者任命セレモニーがあるの。ニートも行かない?」

ニート「行かね」

母「あの可愛い幼馴染ちゃんも、一緒に行きたいって言うのに?」

ニート「行かないっつってんだろ。町に行くなら行くでさっさと出てけ」

母「…あ、そう。じゃあお母さんと弟と幼馴染ちゃんだけで行ってくるからね。行かなくていいのね!」

ニート「勝手にしろよ…」

母「………」ガチャッ

弟「はは、どうせまたダメだったんだろ」

母「まあ…」

弟「ねえ母さん。あの馬鹿兄貴は仕事もしないし能力も無いし、もう見限ったほうがいいよ。あんなのただの穀潰しだ」

母「……うーん」

弟「へえ、否定はしないのか。だったら尚更だね」

母「……」

弟「」ニヤニヤ

母「…幼馴染ちゃん呼んでくるから、待ってなさい」ガチャ、バタン

弟「ああ…」

弟「(例え、家族だとしても。その関係を薄めてしまえば消え去る。残るのは腐った切れかけの鎖だけ)」

弟「(人間なんてそんなもんだ。理想の関係を築こうもんなら常に気を張ってなきゃいけない)」

弟「(ああ、世の中を捨ててる兄貴なんて死んでしまえばいいのに)」

期待

【ヤラナイオ村 空上】

幼女「……」ピューン

幼女「(ここがヤラナイオ村、か…)」

幼女「(小さな村じゃ。大きな魔物の群れに襲われれば一溜まりもない)」

幼女「(しかし、このような辺鄙な村に…本当に魔王候補など居るのじゃろうか)」

幼女「(しかも…勇者候補にも選ばれる予定という逸材……)」

幼女「(当然、それほどの魔翌力などこの村からは微塵も感じられぬ)」

幼女「(むむぅ。魔王様は一体何を考えていらっしゃるのじゃ)」

幼女「そういえば、次期魔王の名前は…」

幼女「そうじゃそうじゃ。『ニート』だったな」

幼女「よし、さっそく探しに行くぞい」ビュー

ニート「(何もする気が起きない。考えたくない)」

ニート「(腹も空いたが食べたくはない。生きはしたいが如何せん能力がない。人望もない。愛と勇気さえ)」

ニート「(何で俺は生きてんだ)」

ニート「(別の場所で生まれれば何か変わったんだろうか)」

ニート「(勇者なんてどうでもいい。魔王なんてどうでもいい)」

ニート「(痛みを伴わず消えたい)」

ニート「(全て嫌いだ。俺の思考も嫌う俺も嫌いだ)」

ニート「俺は、どうして…」

幼女「そちじゃな!色白無気力髪の毛ぼさぼさ自宅警備員っちゅーのは!写真と欠片も違わないぞい!」

ニート「へ」

幼女「ふふん、よーやく見つけたのじゃ」

ニート「(俺、窓にも部屋にも鍵かけたはずだよな…いやいやそんな事より重要なのは)」

ニート「(目の前に着物を来た可愛いロリが一人という事実…!)」

ニート「(漆黒で艶のある髪にピンクのピン留め、唇や頬の透明な肌に差した赤がよく似合っている)」

ニート「(これなんてエロゲ?」

ニート「ってかお前、誰?座敷童とかお化けの類なの?」

幼女「違う!そんなもんではない。妾はれっきとした半モンスターじゃ!」

ニート「は、半モンスター?てことはお前魔界の…」

幼女「さ、行くぞ!」

ニート「行くってどこに?!」

ドンドンドンドン!

ニート「?!」

幼女「!」

ニートサマハイルカー!ニートサマハイルカー!

ニート「え、俺?」

幼女「───見つかる前に、急ぐぞ!」ガラガラ

ニート「えっ」

幼女「早く、じゃ!」

期待

ドンドンドンドンドンドンドンドン!!

兵士「ニート様は居るか!ニート様は居らっしゃるかー!」

弟「…はい、はい」?ガチャ

弟「兄に何かご用です…って!」

兵士「おお、家のものか」

弟「へ、兵士?!」

兵士「ニート様を勇者に任命しろという国王様の命で来た者だ。ニート様はここにいらっしゃらないのか?」

弟「え…ゆ、勇者…?」

弟「(どうして兄貴が…どうしてアイツが?!)」

弟「…………」グッ

弟「呼んで来ます」







弟「あれ……?」

弟「い、居ない…?」

【ヤラナイオ村 空上】

ニート「やべ、俺空飛んでるわ!5年ぶりの外出がタケコプターかよ!」

幼女「(此れ位ではしゃぐとは、まるで風格が感じられぬな…)」

幼女「この薬は一時的に身体を軽くするものでな、魔王様が発明なさった」

ニート「魔王?ってことはやっぱお前、魔界の奴なのか。人間にしては肌白すぎると思った」

幼女「ああ、スライムと人間のハーフじゃ」

ニート「(スライム…?スライムとのハーフ?肌の白さを取れば、人間にしか見えないんだけどな…)」

幼女「…さ、ここで長居していては薬の効果が切れて真っ逆さまじゃぞ」

ニート「うぇっ…」

幼女「それが嫌ならさっさと魔界へと向かおうではないか。説明は酒場でするから安心して良いぞい」

ニート「(逆らったら怖そうだし素直に従っておこう…)」

ニート「ああ、分かった」

【魔界の酒場】

ニート「(ここが魔界…思ったより人間界とは変わらなそうだな、空も快晴で綺麗だったし)」

魔人「ウェヒヒwwwご注文はwww」

ニート「(でも住んでる奴は悪役らしいのが多いんだな…)」

幼女「エールと…ニート、お主は?何か好きな食べ物はあるか」

ニート「え?ポテチとかあんの」

幼女「…それでよく太らないのう」

ニート「昔から少食なんだよ。何か出されても全部は食えねえと思うぞ」

幼女「…ご主人、魔界チップスとエール一つずつ。チップスは少なめで」

魔人「アーイヨwww」

ニート「…それで、お前は何で俺をこんなところに攫ったんだ」

幼女「む。まずは自己紹介から行くとするか」

幼女「妾の名は幼女。さっきも言った通りスライムと人間のハーフで、これでもぴちぴちの18歳。魔王直属四天王隊の補佐をしておる」

ニート「合法ロ…げふん、四天王か。聞いたことあるぞ。凶悪な魔王を守ってる超強い兵士だとか」

幼女「ああ。まあ、同じ四天王とはいえど能力も性格も様々じゃが」

ニート「補佐…てことはお前、けっこう強いの?」

幼女「補佐になるための試験は主席で合格じゃったぞ。余裕余裕」

ニート「(逆らわなくて良かった)」

幼女「ところでお主、その前髪を何とかせんか」

ニート「え?」

幼女「髪に隠れて目が見えない状態になっている。相手の目を見て話すのが礼儀ってもんじゃろう。違うか?」

ニート「あー…まあ、そのうち、な」

幼女「うむ」

ニート「(…………)」

幼女「で、単刀直入に言うが」

幼女「…先代の命令で、お前には魔王になってもらう」

ニート「魔王?何で?」

幼女「えっ」

ニート「いやだから何で俺なんだよ」

幼女「…さあ、妾にも分からないな。決めるのは魔王様じゃからな」

ニート「ふーん」

幼女「(いや、本当に分からない…何故あの方が此奴を選んだのかが)」

幼女「(全く覇気など感じられぬ…前髪で目は見えないし…やはり、ただの人間…?)」

ニート「その推し量るような目、やめろよ。気持ち悪い」

幼女「あ、ああ、すまん」

ニート「…さて、帰るか」

幼女「え?」

ニート「俺が魔王なんてあり得ねえんだよ、第一。もう疲れたんだ。帰って寝る、あの飛べる薬くれ」ガタッ

幼女「ちょ、ニート…!」

ニート「もうこれ以上嫌いになりたくねえんだ…自分を」

幼女「……っ…」

ニート「(あ、駄目だ。モンスター怒らせたら多分痛い目に合う)」

ニート「(よし)」

ニート「…なーんちゃっ幼女「……ニート!!」

ニート「な、ななななんだよ。ドキドキするだろ」

幼女「変わろう!!」

ニート「え?」

ザワワッ

…ナンダアイツ…サケビダシタゾ…

幼女「お前は間違いなくお前なのじゃ!」

ニート「(わぁい、何言っちゃってんのこの子)」

幼女「そして、お前という存在が魔王なのじゃ!」

アイツガマオウ?アリエネエ…
ツノモハエテナイクセニ、ナマイキダナ
ガキジャン

ニート「(あちゃちゃー)」

幼女「だがお主もまだまだひよっこ!魔王と呼ぶには相応しくない!」

幼女「だから、」

幼女「一緒に変わって行こうではないか!」

ニート「(…)」

ニート「(変わる……か)」

ごめん、ヤラナイカ村に見えた
おもしろいから期待してます

>>12ふざけんなwwwww
期待

幼馴染『ニートくん、外に出ようよ』

ニート『何で出る必要があるんだよ。元はと言えばお前も原因なのに、何で今更』

幼馴染『ええ今更よ。でも私、ニートくんと一緒に変わろうって思ったの。自分勝手なのは分かってる。それを承知の上での、ニートくんへの依頼なの』

ニート『嫌だよ…出てけよ。勝手に弟が嫉妬してくるから…迷惑なんだ』

幼馴染『………』

幼馴染『私、変わらないで待ってるから。ニートくんのこと』

──────
────────

ニート「(幼馴染。あいつは、今でも俺のことを待っているんだろうか)」

ニート「(何色にも染まらずに?)」

ニート「(ずっと、俺が変わるのを)」

幼女「…………」

ニート「……」

ニート「………もう、いい。行こう」

幼女「ニート!」

ニート「ここじゃ場が悪いだろ。さっさと、何だ、魔王城とやらに行こうぜ」

幼女「……!」

ニート「(チップス、テイクアウトできるかな)」

【魔王城】

幼女「ここだ」

ニート「…でけえな。あと硬そう」

幼女「魔王様はここの頂点にいらっしゃるぞ。案内をつけるか…妾は仕事があるのでな」

幼女「…いるか?……ああ…例の…………うむ、じゃあな」ピッ

ニート「で?」

幼女「1秒後にくるそうじゃ」

ドォォオン!

??「………」

シュウゥウ…

ニート「(全身黒装束の……東国の文化、確か…忍者か?それみたいな奴が落ちてきた!)」

幼女「こら、四天王B!そのように粉塵を撒き散らしては、妾の着物が汚れてしまうじゃろうが!」

ニート「(四天王かよコイツ…道理で強そうな筋肉だと思った…)」

四天王B「生憎だが……説教も自己紹介も後にしてくれないだろうか」

幼女「……何ゆえ?」

四天王B「魔王様が危ない状態でな。幼女、お前も来い。おそらくあと一時間も持たない…」

幼女「…!そうか、魔王様が……」

ニート「え、魔王ってそんなジジイなの?」

幼女「まあな。…のんびりしている暇は無さそうだ…妾も共に行くぞ、ニート」

ニート「お、おう」

【魔王の部屋】

四天王B「…魔王様……連れて参りました、ニートです」

ニート「あ…」

魔王「ぁ…………ぐ……」

幼女「老衰じゃな…危篤で喋ることはできない状態に陥っておる」

ニート「(…この人が、魔王)」

ニート「(なんていうか……魔王らしくない魔王だな。皺くちゃの老人で弱そうって以前に、縁側でのんびりしてそうな…朗らかというか…)」

四天王B「………魔王様っ……!ううっ、うおおおっ…!」

ニート「!?」

四天王B「…あなたは、昔から、俺が生き物を[ピーーー]ことを許しませんでしたね

四天王B「とても魔王とは思えないあなたは俺の憧れで、父親のような存在で、希望でした」

四天王B「魔王様、俺がここまで、全うな『人間』として生きられたのも魔王様のお陰です…!」

ニート「(…?この人、モンスターじゃなかったのか?)」

魔王「ぁ……ぁあ……ぁ」

四天王B「魔王様!…あなたは父のような存在じゃない…。間違いなく、俺の父上だったっ…!!」

四天王B「…たとえ地獄であろうとも、俺はあなたに着いて行くつもりです!お許しになっていただけますか?」

魔王「…ぐ……」

魔王「……………ぅ」

ニート「………」

幼女「…………」

四天王B「……ッ」

幼女「……微かな気配が…途切れた。……亡くなったか…」

四天王B「……………」

ニート「あ、あの……」

四天王B「…ハッハッハ!」

四天王B「これで某が魔王の座を狙えるというワケだな!」

ニート「?!」

幼女「いや、次期魔王はこのニートだ。先代が御選出なさった」

四天王B「なるほど、そういえばそうであったな。ハッハッハ、畜生!我まっこと愚かなり!」

ニート「…」

幼女「(ニート、この忍者服を着た者は四天王の一人だ。昔から魔王様に育てらられていた者でな。…少し一人にさせてやろう)」

四天王B「いや、その必要はないぞ幼女!拙者は全く哀しんでなどいないのだからな!」

幼女「…聞こえていたか」

四天王B「昔から鍛えた某の五感を舐めるなってばよ!だ!」

ニート「てばよ…?」

ニート「(NATORUか?)」

幼女「此奴は私と同じ東の国出身…ではなく」

四天王B「東の国の忍者が大好きな人間にござる!」

ニート「ヘえ…成る程」

ニート「(いや、成る程じゃねえな。忍者好きな悪党なんて聞いたことない)」

幼女「そうだ、今日は四天王Bの部屋に泊まらせてもらうと良い。妾は魔王様の身辺整理という仕事が入ってるのでな」

四天王B「ああ、案内しよう」

ニート「お、お願いします」

四天王B「…幼女」

幼女「分かっている」

四天王B「いや、それでも一応言わせてくれ…………あとで、手伝わせてくれるか」

幼女「ああ。勿論じゃ」

ニート「……」

四天王B「よし…ニート、行くぞ」

ニート「は、はあ」

【四天王Bの部屋】

四天王B「ここが某の部屋だ」

ニート「おお」

ニート「(四天王っつーか忍者の屋敷だなこりゃ…やけに整頓されてるし)」

四天王B「タンスには手裏剣などの武器、本棚には忍者の心得、クローゼットには服が入っている」

ニート「へえ」

四天王B「魔界用だがパソコンもあるぞ。彼処の押入れには布団があるから自由に使うと良い」

ニート「(本棚に入ってんのって全部NATORUかよ)」

ニート「まあ…武器とかはともかく他は有難く使わせてもらうわ」

四天王B「そういえば自己紹介がまだだったな…」

ニート「お、そうだな」

四天王B「我の名は四天王B…魔王の守護者の一人だ!趣味は裁縫、一流の忍者を志す者なり!よろしく頼むぞ!」

ニート「お、おう…」

四天王B「…よろしく頼むぞ」

──────
───


ニート「(Bさん魔王の遺体んとこに行っちゃったし…暇だなー。プレステ持ってくりゃよかった)」ゴロゴロ

ニート「…………」

ニート「俺が魔王、ね」

ニート「(…よし)」

ニート「(パソコン立ち上げよう)」

ニート「(魔界のネットがどんなんか調べるのも魔王のつとめだよな。うん)」

ニート「(そういやあの人、人間だったっけ…)」

ニート「…………」カタカタッターン

ニート「(オークションとかもあるのか…うわ、四天王のくせにコスプレ衣装とか売ってるよ…それも忍者服ばっか)」

ニート「(履歴に…ああ、やっぱくノ一ものが好きなのか……)」

ニート「(……な、なかなかいい趣味してんじゃねぇか……ふぅ)」

ニート「(もうちょっと見たら寝よ)」

【魔王の部屋】

幼女「…ふむ」

四天王B「……やったか」

幼女「ああ、これで魔界全体に魔王の死が伝わった。遠からず、盛大な葬式を行うことにしよう。同時に次期魔王の紹介もできればいいのじゃが」

四天王B「…そうだな」

幼女「おお、人間界にて勇者のセレモニーが始まったようじゃぞ。遠くに歓声を感じる」

四天王B「全く力は感じなかったが、ニートは仮にも勇者なのだったな。もしや代わりを立てたのだろうか?」

幼女「…待て、今調べる」

幼女「…………!!」

幼女「…………四天王B」

幼女「…人間界の勇者は、」




ワーワーワー!…ワーワー!

??『……初めまして』

??『僕が勇者の、』





幼女「ニートの弟だ…!!」
弟『弟です』




ワアァァァァ…!

─────────────────
──────────
────────

【人間界の城】

国王「あぁ、困った。勇者が居なくなったとすれば、セレモニーはどうすれば良い?外にはもう多くの国民が集まっている」

母「申し訳ありません、申し訳ありません国王様…!今すぐに私があの子を探してっ」

弟「………」

国王「うむ…」

兵士「どうされますか、国王陛下」

国王「…勇者は毎回、伝統的な家系の呪術師様が決めてらっしゃるのだ…」

国王「(それと同じく、魔界に向かい、生きて帰ってきた勇者も確認されていないというわけだが…)」

国王「うーむ、どうするか」

弟「僕にやらせてください」

国王「む」

母「?!」

弟「(上に、なりたかった)」

弟「僕も、兄さんの弟です。本人ではないとはいえ、少なからず勇者の素質はあるはず」

弟「(兄貴よりも、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと上の、価値のある存在に。愛される存在に)」

国王「だが…」

弟「お願いします」

弟「(だけど。現実では、俺より頑張っていない兄貴のほうが得をしていた)」

弟「(好きな人も、親の心配も、全部、全部兄貴に取られて)」

弟「僕で…」

弟「(嫉妬で狂いそうだった)」

弟「………ッ」ギリリッ

弟「僕で、妥協してください」ガバ

母「ど、土下座…!」

国王「(…)」

国王「……分かった」

国王「……顔を」

国王「顔を上げよ」

─────────────────
──────────
───────

弟「(兄貴が、今どこに居るかは分からないけど)」

弟「(俺は越えて見せる)」

弟「(────ニートを!)」






幼馴染「!」

幼馴染「あれは…」

幼馴染「…………弟くん…」

今日はここまで

>>4>>7>>12>>13
ありがとうございます
期待に沿えるよう頑張ります

できれば幼馴染のスペックを

>>22
承知しました

【幼馴染】
ブロンド長髪の、今のところ偶像的な存在。取り敢えず弟にはあまり興味無い。ニートを好きかは不明。好きな食べ物は納豆。

期待

ものすごく期待

期待

期待
鬱ある?

>>24>>25>>26>>27
ありがとうございます。
恐らくですが鬱レベルのものは無いかと

ニート「うっ……ふぅ」

ニート「………………」

ニート「(さて、と。そろそろ寝るか……)」

ニート「(……今日は色々なことがあったよ、本当に。非日常にも程が有るってもんだが…)」

ニート「(何かもうどうでもいいや。どうせ、誰でもいつかは死ぬんだ。死んだら、それまでの過程なんて無価値に等しい。全部チャラ)」

ニート「(路上で野垂れ死んだって、高級ベッドの上で死んだって、腹上死をしたって結果は同じ)」

ニート「(……それにしても腹の上が温かい)」

ニート「(身動きが取れない…声も出せない。…金縛りか?)」

「あはははは!新しい魔王様、みぃつけた」

ニート「……?!」

ニート「(セクシーな小悪魔風編タイツ女が腹に跨っている…だと……?ま、まさか幽霊?!え、魔界に幽霊っていんの?!)」

「んー。美味しそうだなぁ…!じゅぶじゅぶで甘ーい、熟してる果実もいいけど、たまには青いのも爽やかでいいよねっ…」

ニート「(な…人喰い?!食うのはやめてくれええええ)」

「いただきまーす…の前に…何でこの人目元隠してるんだろ?見ちゃおっかなー、見ちゃおっかなー?」

ニート「(…それはっ…!)」

ニート「ぁ………ぐ……ぁ!」パクパク

「あれ、まだ出せるんだ、声。じゃあもうちょっと魔法強くしちゃうねっ」

ニート「………!!………!」

ニート「(喉が焼けてるみたいに熱い…!苦しい、呼吸が出来ない…!)」

「わぁ……」

ニート「(見られた…!?)」

「んふふ…みーちゃったみーちゃった!魔王様の秘密、見つけちゃったよぉ~っ」

ニート「(くっ…まあ、見られちゃったものは仕方ないか…。諦めよう)」

「それじゃあそろそろお腹も鳴ってきたことだし。いただきまーす…」

ニート「(あぁ…喰われる…)」

これ最終的に弟に不幸になって欲しい

※ここだけエロ

「ん………」

ニート「(うわ、息子を舐めてきた!?いただきますってそういう意味かよ…!)」

ニート「(…何だろうな、嬉しいような悔しいような情けないような…)」

「んっ…ふ、ちゅ…大きさはまずまずらけろ…かたぁい…♪ぷは、トロトロ流れてくる熱~いのがメープルシロップみたい…」

ニート「………ッ!?はぁっ…」

ニート「(床オナより気持ちいい…だと?!)」

「んふふふ…」

ニート「(このまま身を任せたら理性ぶっ壊れて一生腰を振ってしまいそうだ。…けど、声を出そうとするたび喉に激痛が走る…)」

「んふ…声、出せないのつらい?」

ニート「(だ、誰のせいだと!)」

「ああん、そんな怖い顔しないでぇ。だって凄く息荒いんだもん、魔王様…。呼吸も身体もぶるぶる震えさせちゃって、可愛いな~。耳真っ赤だよ?」

ニート「(うるせぇ、意識が朦朧してて悪いか)」

ニート「(う…苦しい通り越して痛みが気持ちいいに変わってく気がする…癖になっちまいそうだ…)」

「辛いなら泣いてもいいし、モチロン出してもいいんだからねっ…すぐボクが舐めたげちゃうから…ふふっ」

ニート「(コイツの中に入れたらどんだけ気持ちいんだろな…やべ、考える余裕が…)」

「ねえ…知ってる?淫魔って、性別を自由に変えられるんだよ。ボクの、この女の子の格好がサキュバス。ボクたちはこの姿で精を取り込んだあと濃縮して、インキュバス…男性の姿で誰かに放出するんだぁ…だから、きみが望めば…♪」

ニート「(もう…お前が男だって女だって、どうだっていいよ…早く気持ち良くしてくれ…)」

「まあ、今は面倒だからこのままの姿でいるけどね…。はぁ…んん、おいし…ちゃーんと裏筋も、出るとこも全部ぜーんぶ弄ってあげるから…♪ボクだけのもの、ボクだけで独り占め……。ああん、こういう時って髪本当に邪魔!耳にかけておかないと。あれ、髪の毛で擦ったほうが良かっt」

?「おい……」

ニート「(……?)」

「えっ?!何できみが…あっ……いや、これは、その………。深~いワケがあるんだよ…?」

?「………来い…」

「やんっ、ちょ、あ、ん、やめてぇっ、連れてかないで~!」

ニート「っ…?」

?「すまない…………」

?「…………迷惑……かけた」

ニート「……い、いえ」

ニート「(あれ、喋れるようになってる)」

ニート「…あ…行っちゃった…」

ニート「……………」

ニート「虚しい……」

ニート「(また…抜くか……)」

【朝】

幼女「おは!よう!なの!じゃ~!」ドッスン

ニート「おわぁっ!急に乗るなよっ」

ニート「(…っ、着物から覗く綺麗な太もものラインがエロい…。くっ、そんなところにホクロとか…!ロリのくせに卑怯だろっ)」

幼女「朝食とお主の部屋の準備ができたぞい!食堂に早く来るのじゃ~!」タタタ

ニート「わ、分かったよ…」

ニート「はぁ…」

四天王B「あれで18とは予想もつかぬものよ…」

ニート「あれ、Bさん。今帰ったの?」

四天王B「ううむ、俗世は不可解なり。そして、面白い!」

ニート「………」

ニート「結局この部屋には戻ってこなかったけど、昨日はどこで寝てたんですか?」

四天王B「いや、昨日は寝る気分ではなかった。魔王様の看病で、ここ一週間ほど徹夜だったしな」

ニート「そうなんですか」

四天王B「ところでニートよ、顔色が昨日より悪くは無いか?しっかり睡眠を摂ることができたのか?」

ニート「え?あー……きっと夢見が悪かったんすね」

?ニート「(あれは……うん。夢、だよな?)」

四天王B「そうか、ならば…!」パアァ

四天王B「これをやろう!特製忍者服風パジャマ…!!いい夢が見られるはずだ!」

ニート「うわぁ…」

はよ

【魔王の部屋】

ニート「(飯の目玉焼きがマジで目玉焼きだとは思わなかった…)」

幼女「ここが今日からお主の部屋じゃ。ベッドは人間並みの大きさに取り替えておいたぞい。何せ、魔王様の背丈はお高かったからな」

ニート「おお…改めて見るとなかなか魔王っぽいな。紫系の色が多くて高貴というか」

幼女「そうじゃろうそうじゃろう。先代の写真もたけかけ…たてかか…たけかっ」

ニート「…舌の短さも幼女なの?」

幼女「うるさい!好きでこうなってるわけじゃないんじゃ!せ、先代の写真も置いておいたからなっ」

ニート「おお…生前のか。うんやっぱり魔王っぽくねえ」

幼女「…………」

ニート「あ、魔王っぽくないってのは悪口だったか?ごめんな」

幼女「いや、良いのじゃ。…人間界では彼が悪者になっておるからな」

ニート「てことは悪者じゃないのか?」

幼女「ちなみに。人間界での魔王様の噂というのは、具体的にどういうものなのじゃ」

ニート「うーん…。人間界を逆恨みしていて、世界中に魔物を撒き散らしている…。何人もの勇者が人間界へと戻って来ないのはあいつのせい…とか?」

幼女「違う…!魔物というものはもともと、どこで生まれたか、どう発生するかも分からない…得体の知れないものなのじゃ」

幼女「魔王様を倒しにきた勇者も一撃で気絶させ…人間であった記憶を消し去り、魔物として生活させたのだ」

幼女「さすがに可哀想だと魔王様も漏らしていたが…。人間界に戻って批判を浴び、肩身狭い状態で生活するよりはマシだろうと…な」

ニート「そうだったのか…」

ニート「(色々と現実味湧かねえなぁ…何で俺を選んだのかもわかんねえし)」

幼女「……魔王様は、一代目の魔王であり、一代目の勇者であった」

ニート「……!」

幼女「悪者の魔王を倒しに、勇者として魔界へと向かった彼は驚愕した…どこを探しても、魔物の発生源であるはずの魔王など見当たらないのだ!
彼は存在しないものを憎み…追いかけていたことを知った」

幼女「…しかし、そのことを伝えようとも今更よ。人間界では、魔王が悪だという考えが浸透しすぎていた…」

幼女「…魔物たちをこれ以上暴走させないためにも、人間たちの憎しみの矛を受け止めるためにも、彼は魔王になることを決めたのだ……」

ニート「いや俺絶対その人に叶わねえだろもう魔王やめる!」ダッ

幼女「させるか!」ゴッ

ニート「うわああああああああ」ガチャ

?「すいやせーん…ってうわあああああああああドアを開けたら知らない顔が目の前にいいいい」

ニート「お前誰だよおおおどけよおおお」

幼女「逃がすなっ!」

?「えっもしかして泥棒?!てやんでぃ、大人しくお縄についてもらいますでさぁ!」

ニート「!!」

ニート「(操り人形?が飛び出して…俺の腕に絡みついた!?)」

ニート「うわああああああああああ」

?「よっし、縛っておきましたで」

幼女「うむ!よくやったぞ、四天王C!」

ニート「もう逃げないから許してくれよー…四天王使うとか卑怯だろー」

幼女「念のためじゃ。今日一日は縛られたまま大人しくしているんじゃな!」

四天王C「えっと、捕まえたは良いんですが状況が…。幼女っさん、このご主人はどこのお方で?」

幼女「ああ、こいつは次期魔王なのじゃ」

四天王C「ありゃりゃ、魔王っ様でしたか~…盗っ人呼ばわりして申し訳ない。あっし、エルフのCと申します。よろしくでさぁ」

ニート「よ、よろしくお願いします…」

ニート「(やっぱりエルフか…耳が尖ってる。銀髪に…格好は仮面と、スーツ?タキシードか?とにかく、何だかマジシャンみたいな格好だな…)」

四天王C「はて。次期魔王…ということはやはり、じっちゃんは…」

幼女「…お前の予測通りだろうな」

四天王C「あー、そっかぁ。じっちゃん亡くなっちまいましたか……死に目に会いたかったなぁ。あの子達にも知らせておかないと」

幼女「そういえば、お主は別荘に行ってたんじゃな…」

四天王C「ええ…あっしも、出身はあそこですから。少しでも恩返しができればと、食糧や玩具を置いてきてたんでさぁ。…それが、まさか…帰ってきたら…ねえ?」

ニート「別荘?」

幼女「ああ、孤児院のようなものじゃ。魔王様が建てた施設でな、人間魔物問わず、多くの子供がそこで生活しているよ」

ニート「へえ…」

四天王C「ところで、じっさまのご遺体はどこに?お会いは可能で?」

幼女「勿論じゃ、地下室に安置されておる。ああ、戻ってきたらこいつの稽古もよろしく頼むぞ」

ニート「えっ、稽古…?」

四天王C「オーキードーキー!では、早速行ってきますぜ~」

ニート「よ…幼女、稽古って」

幼女「魔王であるからには強くなくてはいかんだろう。なぁ」

ニート「う、うう」

幼女「なに、先代がお選びになったのじゃ。いずれ先代のようになれると信じて頑張ろうではないか」

ニート「はい……」

めちゃ期待

【人間界 酒場】

ワイワイガヤガヤ

僧侶「ああ、貴方が…ゆゆゆ勇者様なのですね!」

戦士「今日からよろしく頼むぜ、勇者」

魔法使い「…宜しく」

弟「ああ……皆、よろしく頼むよ」

僧侶「………っ!!」パアアァッ

戦士「(僧侶ちゃん可愛いなぁ…。俺と付き合わないかな)」

魔法使い「…………」

魔法使い「匂いが………しない」

戦士「え?」

酔っ払い「おうおうおうおう兄ちゃんたち、聞く話によると~…なんだ?そうそう、勇者御一行様って話じゃねーか!」

酔っ払い「魔王を倒しに行くんだってなぁあ!」

弟「ええ………まぁ…」

酔っ払い「なら今日は俺の奢りだ!片っ端から飲んでってくれ!おいご主人、ここの酒高いの全部っ」

戦士「うひょ、タダ酒だってよタダ酒!やったぜ。」

弟「………戦士、火をくれないか。煙草が吸いたい」ギシ

戦士「あぁ、ほらよ。マッチ」

弟「ありがとう」シュボ

僧侶「………っ!……!」

僧侶「(ああ勇者様さすが…何て寡黙なお方なのでしょう…!)」ウットリ

戦士「(そこまでかぁ?)」ヒソヒソ

僧侶「(勇者であることを鼻にかけないなんて、とても謙虚じゃないですか…)」ボソボソ

弟「……………」スパー

弟「(ああ……ここは何て煩い場所なんだ)」

弟「(俺が勇者だと知った途端に皆集まってくる。分かってたとしても、なかなか良い気分ではないな…)」

弟「(しかも俺は、本当の勇者じゃあないし…)」

弟「(いや、違う)」

弟「(あいつが居ない以上、俺は勇者だ。勇者であるべきなんだ。もう今までの生活とは違う……俺は魔王を倒さなくてはならないんだ)」

弟「(………これは、俺が生きる価値であり、義務なんだ)」

「弟くん!」

僧侶「?」

弟「えっ…お、幼馴染ちゃん!?」

弟「うわああっ」

僧侶「………っ?!」

幼馴染「おめでとう!」

弟「(だだだだ抱きついて…!)」

僧侶「(うああ、勇者様の身体に触れてる……!)」カアア

弟「いや、ちょっ、皆見てっ、いやそのまえに当たっ、当た…アタタタタ…」

幼馴染「私、びっくりしちゃった。まさか弟くんが勇者だとは思わなかったもの!」

僧侶「うあああああ」

戦士「(おお…可愛い子が来た…いやでもまだ僧侶ちゃんのほうが)」

魔法使い「………」

弟「ちょま、たばっ、タバコの火、消すから…!」

幼馴染「え?………あ、ごめんね」パッ

弟「いや……だ、大丈夫だよ」

戦士「(あ、やっぱあいつむっつりスケベかよ)」

僧侶「(羨ましい…)」

酉バレ失礼しました。
変えます。

アンパンマンw

弟「……幼馴染ちゃん……」

幼馴染「話があるの。ちょっと、外に来てくれないかな」

弟「あっ、うん…」ドキドキ

戦士「(デレッデレだな…)」

僧侶「うぅぅ…」

──────
───


弟「それで、話って…?」

弟「(告白……なわけないか)」

幼馴染「……あのね」

幼馴染「駄目だよ」

弟「……え?」

幼馴染「魔王退治なんか行っちゃ駄目」

弟「お、幼馴染ちゃん…どうして」

幼馴染「私、弟くんのこと信じてる。だけど…助からないかもしれないっていう可能性を考えちゃうのが、どうしても嫌なの」

幼馴染「…ニートくんだって、どこに行っちゃったのかわかんないし…!私一人だけ村に残るなんて、嫌……!」

弟「………幼馴染、ちゃ…」

幼馴染「………なーんちゃって、ね」

弟「え?」

幼馴染「…あはは、ニートくん交えて、三人で小さいころよくやってたよね。『なんちゃってごっこ』。ありもしないことを言って、最後に必ず『なんちゃって』って言うの」

幼馴染「……だから……行ってきて」

弟「…………」

幼馴染「生きて、帰ってきてね。じゃないと…デコピン、するから…」

弟「……それは困るね。すごく困る。俺、世界一幼馴染ちゃんのデコピンが嫌いなんだ」

幼馴染「ふふ、そうだよ。弟くんは私のデコピンが死ぬほど嫌なの」

幼馴染「………頑張ってね」

弟「うん…」

弟「……………」

弟「俺、もし帰ったら…!」

弟「……!」

弟「………居なくなってる」

弟「………」

弟「……はは、は」





弟「(…死んでも、帰ろ)」

今日はここまで。
一応ですが>>1から今までのあらすじをメモ程度に置いておきます。

~簡潔編~
弟「死んでも帰る」
ニート「働きたくない」
俺「アンパンマンは君さ」

~kwsk編~
ニート、幼女に連れられ魔界へ
幼女→四天王の補佐
ニート→次期魔王そして勇者
四天王の登場
魔王の死
弟、勇者になる
淫魔に襲われるニート、止める誰か
再度四天王の登場
弟、出発の時

>>37期待ありがとうございます。

弟の死亡フラグェ

弟が幼馴染を無理やり…かと思ったらチェリーだった

支援

スペックありがとうございます
続きに期待

>>48
すいませんsage忘れました

弟がはげしくうざいな

さんざんなめにあってほしい

弟悪くないやろ……

弟の方がマシじゃね

俺的にはむしろ
周りに流されてるだけで
自分の意思をまだ持ってないニートの方が心証悪いんだが

まぁ、どちらもこれからに期待

ニートだからね。しょうがないね

これは……刺し違えて両方伝説になればみんなハッピーなんじゃね?

主人公以外の男キャラは無条件にdisる人が少なからずいるからなぁ
弟の方が人間的でいいとおもうよ
どんなに頑張っても親の関心は無能の兄に向いちゃうって考えたら同情しちゃうし
幼馴染みに対する愛情は結構純な感じだし

まさに無条件でニートやってる訳じゃないだろうしその辺が語られてからじゃないとニートは評価できないね
弟はまあ可哀想だけど歪んでる方が話盛り上がるし

【翌日 鍛錬場】

ニート「稽古って…こ、こんな広いとこでやんのか」

四天王C「えぇ、まぁ。あっしらも初めて見た時は驚きでしたからねぇ~」

四天王C「…さて」スッ

ニート「け、剣?!殺さないでくれ!」

四天王C「あっはっは、大丈夫でさぁ。あっし、生き物を殺したことは一度もありません」

ニート「そうなの…か?」

ニート「(そういえばBさんも言ってたような…)」

四天王C「第一許されませんでしたからねぇ。やるとしてもせいぜい悪党を気絶させるくらい、あとは生け捕りにして逃がしますよ」

ニート「へぇ…」

四天王C「ではニートのご主人、この剣をお持ちになって。ノルマは…そうですね、幼女っさんに勝つことができるくらいには鍛えて、明日くらいには対戦を申し込んでみましょか」

ニート「えっ」

四天王C「(勇者と魔王…同時に選ばれるほどの逸材。きっと大丈夫でさぁ)」

四天王C「まずは武器に慣れるため、基礎練習無しで剣握ってみましょか」

─────────
─────


ガキッ!キィン!ドンッ!

四天王C「ホラホラ、どうしましたんでさぁ!そんなんじゃ魔王になんてなれっこありやせんよ!あっしが言ったノルマ、覚えてないんですか?!」

ニート「クソ……っ!」

ニート「(久しぶりに運動するからか身体が思うように動かねえ…。あぁ、Bさんから貰った服は動きやすいけど…なんだか一試合目から目が眩んできたぞ…?)」

四天王C「(………これはヤバイ)」

四天王C「(ヤバイ)」

四天王C「(何がヤバイって、とにかくヤバイ…幼女っさんに勝つなんてノルマ…付けなきゃ良かった)」

四天王C「(こりゃあ、モノホンの凡人でっせ…!)」

ギイィン!

ニート「ぐ………!」

ニート「(何だこれ、腕が痺れる…!刃物なんて鉛筆削り用のナイフしか持ったことねえのに…剣ってこんなに重くなんのかよ!)」ヨロッ…

ニート「いてっ…」ドスッ

ニート「(し、尻餅…)」

四天王C「…………」チャッ

ニート「ぶは、ちょ、待て待て待て待て…タンマタンマ…!汗が……!」

四天王C「………そうですねぇ」

四天王C「ちょっくら休憩をとりやすか…」

ニート「ああ、頼む…ひぃ、ふー…」

四天王C「…………」

四天王C「(駄目だ…あっしは買いかぶりすぎていたみたいでさぁ…)」

四天王C「(このご主人を、明後日まで幼女っさんレベルに仕立て上げる自信が無い…)」

四天王C「(ああ…自分で自分が嫌になりまっせ…)」

四天王C「(もう…諦め半分でやっていきましょーか……はぁ…)」

「はぁ…」


【ヤルオ洞窟】

僧侶「(もう…諦めるしかないんですかねえぇ……勇者様のこと)」ヒソヒソ

戦士「(いや、早ぇよ!まだ出発して一日も経ってねえんだぜ!?)」コショコショ

僧侶「(だって…だってだって、先頭の二人…)」

弟「この辺りはコウモリの群れが多いが…幸いモンスターは居ないみたいだな」

魔法使い「…そうね。あまり魔力の気配はしない」

弟「あぁ、そこ。足場悪いから気をつけろよ」

魔法使い「あら、ありがとう。勇者は優しいのね」

僧侶「(うぅぅ…あんな綺麗な人に勝てっこないですよぅ、私!)」

戦士「(俺は寧ろ僧侶ちゃ…何でもねぇ。でもよ、必ず魔法使いが勇者に惚れてるとは限らないんじゃねえの?なんか平然としてるし)」

僧侶「(そうじゃなくても勇者様がほ、惚れてしまう可能性だってあるわけじゃないですか…っ!…それに…さっき、勇者様に抱きついてたあの人だって…勇者様、デレデレしてっ)」

戦士「(……あぁ…まぁな…あれはな)」

僧侶「(うわぁん、もう!四面楚歌ですうぅぅっ…)」

魔法使い「…………」

弟「…うーん」

僧侶「…?勇者様、どうか致しましたか?」

弟「ああ…歩いても歩いても全く外が見えない、と思って。どうやらゴールまでは長そうだ…仕方ない」

弟「もう外は夕暮れだし、今日はここで寝ることにするけど…。皆、良いか?」

魔法使い「まあ、いいんじゃない」

戦士「俺は別に良いぜ~」

僧侶「ふぇ、お泊ま…じゃなくて!りょ、了解ですっ!」

【夜 魔王の部屋】

ニート「………」

ニート「(もう夜か……)」

ニート「(うっ、身体の痛みで寝返りすら打てねえ…)」

ニート「(俺、こんなんで幼女に勝てんのかよ……?)」

ニート「(………いや、無理だな)」

ニート「…………」

ニート「(…何か目が痛いなぁ…どっかでバルスでも唱えられたかなぁ…)」

ニート「…………寝よ」

【朝 鍛錬場】

マズカンタンナホイミカラ…
エッナニモッカイ
ホイミデサァホイミ

幼女「おお!やっとる、やっとるのうぅぅ」

四天王B「今は魔法の練習のようだな」

幼女「剣の道はどうやら合わなかったとのことじゃが…魔法ならもしくは!」

バルス?
ソノミミフシアナダッタンデスカ?

四天王B「…………」

バルス!
ギャアァアアメガァアアメガァアア

幼女「………………」

イイデスカ、ホイミデヤスヨホイミ…
バルス?
ダカラホイミ!ホ・イ・ミ!

幼女「ああ、ちゃんと唱えればいけるのじゃ。そうじゃ」

…ホイミ!
メガアァアアアァアアアアア

幼女「………おーぅ」

四天王B「my gosh」

幼女「お主忍者のくせに」

四天王B「……で、ござる」

幼女「何でもかんでもござるを付けりゃいいってもんじゃないんじゃ。分かるか?」

四天王B「はい」



幼女「(…今日の午後には、妾との対戦か)」

幼女「(ニートの為にも手を抜くことは出来ない…が、弱すぎるな…ぐぬぬ、どうしたものか)」

【ヤルオ洞窟】

モンスター「グゲゲゲゲ……ゲゲゲ」

弟「はぁっ!」ザシュ

モンスター「グゲェ…グゲェッ…!」

僧侶「ほ、ホイミ!ホイミホイミ!」

戦士「あぁ…身体が癒されていくぜ、おりゃっ」グザッ

モンスター「ウウ……ウ…」

魔法使い「メラ」

モンスター「グ…ギ………」ドサッ

魔法使い「………倒したようね」

僧侶「あぁ…疲れたぁ」

魔法使い「大丈夫?魔力、使いすぎたんじゃないかしら」

僧侶「あ…ご心配かけてしまって、すみません。私は大丈夫です、仕事ですから」

魔法使い「そう?ならいいけど……」

僧侶「(凄いな魔法使いさん…汗ひとつかかずに)」

弟「さ、もう外は目の前だ。行くぞ」

戦士「おう!」

僧侶「あ、待って!」タタタ

魔法使い「…………」

モンスター「」

魔法使い「(…ザオリク)」

モンスター「………」

モンスター「グゲ……?」

魔法使い「(早く逃げて)」

モンスター「グゲ、グゲェ!」タタタタッ

戦士「……?」

戦士「おーい魔法使い、何やってんだ。早くしないと置いてくぞ」

魔法使い「ああ、ごめんなさい。少し疲れちゃって」

戦士「僧侶ちゃんにホイミして貰ったらどうだ?気持ちいいぞー」

魔法使い「いいえ、僧侶さんの手を煩わせるわけにはいかないし、そこまでの疲労でもないから。行きましょ」

戦士「それもそうだな!」

魔法使い「……………」

魔法使い「(勇者………ねぇ)」

ホイミ(意味深)

期待

まだ?

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