垣根「復活して学園都市戻ったら居場所がなくなってた……」 (511)

垣根「なに? 解放だと?」

オティヌス「色々あったが悪かったな。詫びに元の肉体は再構成してやったから学園都市に戻っていいぞ」

垣根「……………本当だ。完全に生身の体に戻ってやがる」ツンツン

垣根(散々俺のこと利用してくれやがったこの糞アマに意趣返しの一つでもしてえところだが、また変なことになりそうだしやめるか)

垣根(バレーボールの次はなんだ? ペットボトルかストーブか……それともぺんぺん草か?)ブルッ

オティヌス「じゃあ元気でやれよ」バイバーイ

垣根「お、おう」

垣根「………………………」

垣根「ま、帰るか」


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――――学園都市


学生A「ペチャクチャペチャクチャ」

学生B「ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ」

垣根「相変わらず学園都市は学生だらけか。人口の殆どが学生なんだから当たり前っていや当たり前だが」

垣根「ずっと冷蔵庫になっていたが、特に地理的に変わったところはねえみてえだな。スクールみてえな暗部組織がよりにもよって一方通行の糞野郎に解体されたのは気に入らねえが」

子供A[あ、カブトムシさんだ!」

垣根「は? カブトムシ? つぅか、誰?」

子供A「カブトムシさん。またドッチボールして遊ぼう!」

子供B「えぇー。ドッチボールは昨日やったじゃん。今日は野球しようぜ」

垣根「おいおい。昨日ってなんだよ。俺は今日学園都市に戻ってきたばかりだぞ。昨日俺がいるわけねえだろ。人違いじゃねえのか」

垣根「大体な。なんで俺がテメエ等みてえな餓鬼共と遊ばなきゃならねえんだ。俺は脳内までメルヘンになった覚えはねえぞ」

子供A「で、でも昨日は……」

子供C「お、おい。なんかカブトムシさんの様子おかしくないか?」

子供D「そう言われたらなんか目つきがおっかない……」

子供E「俺、TVで見たことあるぜ。この世に三人は同じ顔な人がいるんだって」

子供たち『………………』

垣根「あ?」

子供たち『ご、ごめんなさい!!』タタタタタタタッ

垣根「なんなんだよ一体」

これ新約9巻あとですか

>>6
大体そんなイメージです。



垣根「なんだ。街は前と変わらねえのに何かがおかしい」

お婆さんA「あら、カブトムシさんじゃないかい。この前は荷物を運んでくれてどうもありがとうねぇ」

垣根「人違いだ」

フレメア「あ、カブトムシさん。大体この前スキルアウトから助けてくれてありがとう」

垣根「……人違いだ」

警備員A「おう! カブトムシじゃねえか。この前の銀行強盗はお前のお蔭で誰も犠牲にならず助かったぜ」

垣根「……違う」

女生徒「あ、あの! 実は私、カブトムシさんに助けて貰って……そ、それで宜しければ私と、その」

垣根「人違いだっつってんだろうが!」カッ

女生徒「え、う、嘘? ご、ごめんなさい!」タタタタタッ

垣根「どうなってやがる? 第三位みてえに俺のクローンが徘徊でもしていやがんのか、こりゃ」

垣根「俺に間違って声をかけてくる奴が必ず出してくるフレーズが『カブトムシさん』だ」

垣根「カブトムシ……って昆虫だよな。まさか俺のクローンは昆虫……なわけねえか。人間のクローンが昆虫ってどういうことだよ」

垣根「っていうとなんらかの能力名、もしくは渾名か。昆虫クローンよりは信憑性がありそうだが」

垣根「ああくそっ! カブトムシのことについて思い出そうとすると頭が割れるように痛ぇ」ズキズキ

垣根「まるで他人の記憶みてぇにぼんやりしてるってのもあるが、それ以上になにか思い出しちゃいけない―――――いや、思いだしたくないことがあるような気がする」

垣根「世にも奇妙な物語の世界に入り込んだみてぇだ。どっかでタ○リが俺のこと見てんのか?」

垣根「駄目だ。考えが纏まらねえ。分からないことが多すぎる。ずっと死んでた弊害だな」

垣根「取り敢えずこのままだと頭がどうにかなりそうだ。こういう時は……」

垣根「そうだ。カブトムシとかいう奴じゃなくて、垣根帝督を知ってる奴に会えばいい。そいつならカブトムシのことについて知ってるかもしれねえし、俺がいねえ間の学園都市のことも聞けるだろ」

垣根(問題は誰に会うかだが、自虐じゃねえが『LEVEL5の超能力者』として俺を知ってる奴は腐るほどいても、直接俺とそれなりに面識がある奴はそんないねえ)

垣根(俺を知ってる奴となると……一方通行? 論外だ。あの野郎なんかに会ったら見た瞬間に殺っちまいそうだ。麦野? ねぇな。話が通じねえ)

垣根(ゴーグルは死んじまったし、スクールの制御役は生きているか分からねえし。となると一人しかいねえか)

垣根「心理定規。あいつならたぶんまだ生きてるだろ」

垣根「さて、と。心理定規に連絡連絡……………って俺、ケータイ持ってねえじゃねえか」

垣根「金はATMだから大丈夫だったが、この分だと俺の家も残ってねぇかもな。仕方ねえか、住む所は後でおいおいと決めるとして先ずはケータイを買っておくか」テクテク

学生A「カブトムシさん。この前はどうも――――むがっ」ゴボッ

垣根「人 違 い だ。オーケイ?」ギロッ

学生「~~~~~!」コクコク

垣根「チッ。どいつもこいつもカブトムシカブトムシ。学園都市はいつから昆虫愛好会になりやがったんだ」

垣根「ん。あ、あいつは――――」




心理定規「あのカレー屋、美味しいって評判のわりには大した事なかったわね。帝督。次は何処へ行く?」

カブトムシ「すみません。私はこういったことには慣れてないので、貴女に付き合いますよ」

心理定規「つ、付き合う!?」

カブトムシ「ええ。なにかおかしなことを言いましたか?」

心理定規「貴方がそう言うなら、私は構わないけど……その」モゴモゴ

カブトムシ「良くは分かりませんが、今日は私も暇ですので幾らでもお付き合いします」



垣根「……………………」

垣根「は? なんだよ、これ」

垣根「よう。随分と仲睦まじいじゃねえかお二人さん」

心理定規「っ! 嘘!」

カブトムシ「貴方は――――『垣根帝督』。それも生身の」

垣根「はははははははは。おいおいなんだよ心理定規。ちょっとみねえ間に彼氏見つけてたのかよ。水臭せえじゃねえか、俺に紹介してくれねえなんてよ。ああ今まで俺死んでたんだから言いたくても言えねえか」

心理定規「……帝督が、二人? 貴方は、死んだんじゃ……」

垣根「地獄から戻って来たんだよ。露出狂の魔神様のお蔭でな」

心理定規「まさか貴方は本物の、垣根帝督なの? 偽物とかじゃなくて」

カブトムシ「心理定規。彼は〝垣根帝督〟は危険です。下がってください」

垣根「おうおうクールに恰好付けるじゃねえかよ。その様子だとテメエがカブトムシさんってわけか。人の面ァ使って俺の名前語って善人ぶるとはどういうつもりだ。糞野郎?」

カブトムシ「語ってなどいません」

垣根「なに?」

カブトムシ「私は『未元物質』を操る学園都市第二位の超能力者、垣根帝督です」

垣根「絶望してえらしいなコラ」

カブトムシ「嘘は、言ってません。私は未元物質の能力により復活した『垣根帝督』から自分が『垣根帝督』となることでシステムを乗っ取り中心となった垣根帝督です」

カブトムシ「カブトムシと呼ばれているのはこの通り」

垣根(俺の姿をしていたのが白いカブトムシになった!?)

カブトムシ「システムを奪うまでの私がカブトムシ05という名の兵器だったからです」

垣根「――――――あ」

垣根(思い出した。生身としての俺じゃねえ、能力で復活した垣根帝督。だから生身の臓器で動く俺はそのことを覚えていなかったが……そうかこいつが)

垣根「クククククククッ」

心理定規「て、帝督?」

垣根「はーははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッッ!!」


ブワッ!


心理定規(帝督の背中から白い翼が)

カブトムシ「…………………」

垣根「ムカついた」

心理定規「帝督、待って……! 違うのよ、これは」

垣根「あぁ?」

心理定規「私はずっと貴方が死んでいると思ってて、そしたら帝督の顔をした彼を街中で見つけて、それに彼も垣根帝督の一人なのよ。だって彼は貴方の優しい心が表面化した存在で――――」

垣根「うるせぇよ!」


ドバァァアアアアアアアアアアアアッ!!


カブトムシ「クッ……!」

垣根「ガードしたか。仮にも垣根帝督を僭称するくれえだ。それくれえはやってくれねえとな」

心理定規「や、止めて帝督!」

垣根「あのなぁ心理定規。俺は別にお前が男作ったことにキレてるんじゃねえんだよ。つぅかお前、なに俺の女になった気でいんの? うぜぇんだよ」

心理定規「っ!」

垣根「俺がムカついてんのはなぁ。そいつの存在そのものなんだよ。垣根帝督はこの俺だ! 糞ったれな悪党で下衆野郎だがこの俺だけが垣根帝督なんだよ!」

カブトムシ「……………」

垣根「それをなんだ? 善人で人助けが日課のカブトムシが『垣根帝督』だと。ふざけんじゃねえ」

垣根「ふざけんじゃねぇえええええええええええええええええええええええ!!」

垣根「垣根帝督は俺一人だけだ。他の誰でもねえ俺だけが垣根帝督だ。テメエは……存在が邪魔なんだよ」

カブトムシ「やるしかないようですね」

垣根「チッ。俺の顔と声で喋るんじゃねえよ」


ドバッ!


カブトムシ「――――!」

垣根「やるしか、ねえだと?」


ゴォォォォオォォオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーー!


垣根「殺られるしかねぇんだよ」ニヤァ

垣根「先ずは右足を貰った。今度は左足、それから両腕を貰う」

カブトムシ「それはどうでしょう」ゴボゴボゴボ

垣根「消し飛んだ右足が回復しただと?」

カブトムシ「私の未元物質は未元物質を使っての人体細胞の構築を獲得しています。腕を消し飛ばしたくらいで死にはしません」

垣根「テメエのじゃねえ。俺のだ」

垣根「人体細胞の構築手段があるから腕がもげても足がもげても回復できる。故に不死身」

垣根「だから諦めると思ったかぁ?」ニタリ


ブワァァアアアアアアアアッ!


心理定規「帝督の白い翼が更に大きくなった……」

垣根「無限増殖と無限再生。こう聞けば万能に見えるがそれだけじゃねえだろ」ドガッ

カブトムシ「クッ――――」

垣根「テメエは無限増殖で生み出された兵器の一つだ。だが増殖で生み出されたテメエはシステムの中心にあった個体に反逆してシステムを乗っ取った」

垣根「つまり無限に増殖と再生を繰り返しなんかすりゃお前自身が反逆される可能性もあるってことだろ?」

カブトムシ(流石は未元物質をこの世に齎したオリジナル……! 未元物質について知り尽くしている!)

垣根「つまり今のテメエは増殖もなにもしていねえ。ここにいるテメエがカブトムシ、テメエ自身の全てってことだ」

垣根「要はここにあるテメエを跡形もなく消滅させりゃお前はジ・エンド。死ぬ」ズバッ

カブトムシ「早いっ!?」

カブトムシ「ぐっ……肉体の七割が一度に」

垣根「俺を誰だと思ってやがる。俺は自分の脳味噌を弄られてからずっと未元物質って能力を研ぎ澄ませてきた」

垣根「そして暗部での経験が俺の未元物質をより戦闘用に鍛え上げた。対してテメエはなんだ? システムを乗っ取ろうとテメエは生まれてほやほやの餓鬼……」

垣根「理解したか? テメエと俺じゃ経験値が違うんだよ」

カブトムシ「ですが、私にあって貴方にはないものもある!」ブワッ


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!


垣根「未元物質で生み出した槍っ!?」グサッ

垣根「チッ。槍が掠りやがった……」

カブトムシ「私と違って生身である貴方は私のように体を潰されたからといって簡単に再生することはできない」

カブトムシ「貴方にも自分の細胞を構築しての再生くらい簡単でしょうけど、それをすればまた『本来の肉体』と『未元物質』の境界があやふやになる恐れがある」

垣根(仮にも俺の名を語るだけあってそれなりに知恵は回るようだ。だが……)

垣根「俺の未元物質に常識は通用しねえ」

カブトムシ「っ!?」

カブトムシ(これは身体が、動かないっ!?)

垣根「俺の能力はこの世に存在しない素粒子を生みだし、それを操る能力だ。カブトムシ、テメエの体は未元物質で出来てるんだろう」

カブトムシ「まさか!」

垣根「だったらこの俺に操れねえはずがねえ」

カブトムシ(不味い。肉体の支配権を奪われる前に―――)

垣根「掌握、終わるぞ」

カブトムシ「がっ、あ。体が、停止」ガチガチ

垣根「純粋に未元物質体のテメエ。生身の俺。再生力や未元物質の製造速度もテメエが早ぇ。認めてやるよ」グググッ

カブトムシ「――――っ――――!!」

垣根「だが支配権の絶対性なら生身っていう確固たるものをもつ俺の方が上のようだ」

カブトムシ「―――――」

垣根「さて、と。後は止めを刺すだけだな」

心理定規「帝督! お願い待って。なにも殺す必要は―――」

垣根「勘違いするんじゃねえ。殺すんじゃねえよ。滅ぼすんだよ、この世界から欠片も残さずな」

心理定規「やめてぇええ!」

垣根「あばよ偽物!」


ドバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!


カブトムシ(……………意識が、ある。死んで、ない?)

???「よォ」

垣根「なっ! テメエは」

一方通行「生身のテメエとは久しぶりだなァ。メルヘン野郎ォ」

垣根「一方通行ァ!!」ギリギリ

垣根「退け。今はテメエに関わってる時間はねぇんだよ。俺に用があんなら後で殺しに行ってやるから、テメエはそこでシコシコやってな」

一方通行「俺もテメエなンぞに用はねェ。だがなァ。あの餓鬼が五月蠅ェンだよ。そこのカブトムシを助けて助けてってよォ。お陰で珈琲すら落ち着いて飲めやしねェ」

垣根「はっ! 見ねえ間に落ちたな一方通行。学園都市第一位のLEVEL5が餓鬼のパシリかよ」

一方通行「メルヘン野郎と比べりゃ幾分かマシだろォ」

垣根「言いやがる……」

心理定規「あ、あの」

一方通行「下がってろ、邪魔だ」

一方通行「そこのカブトムシ野郎を助ける義理なンざ糞ほどもねェが、そいつにはうちの餓鬼のことで借りがあンだよ」

垣根「上等だ、糞野郎ぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!」

一方通行「気が済んだかよ三下ァ」

垣根「畜生……」ボロボロ

一方通行「殺しはしねェよ。暗部の方は卒業しちまったンでなァ。だがそこのカブトムシ野郎は兎も角、うちの餓鬼に手ェ出せば容赦はしねェ」

心理定規「て、帝督。大丈夫、なの?」

垣根「触れるんじゃねえ!」

心理定規「っ!」ビクッ

カブトムシ「………………………」

垣根「失せろ。俺に殺されたくなけりゃあな」ドクドクッ

カブトムシ「追わなくて宜しいのですか?」

心理定規「―――――いいのよ、もう。行きましょう、カブトムシさん」

カブトムシ「……ええ」

垣根「畜生……畜生、一方通行。あの野郎っ。あいつが邪魔しなけりゃ今頃は……」ボロボロ

少年F「カブトムシの兄ちゃん! どうしたんだよ怪我してるじゃんか。病院に」

垣根「カブトムシじゃねえって何度言わせんだよコラ!!」

少年F「ひぃ! か、カブトムシの兄ちゃんじゃねえ。た、助けて!!」ダダダダッ

垣根「どいつもこいつもカブトムシカブトムシカブトムシカブトムシっ。糞がァ!!」ドガッ

警備員「き、君! 掃除ロボットを蹴り飛ばすのは止めないか」

垣根「あ?」ギロッ

警備員「ひっ!」

垣根「三下が……」ダダダッ

警備員「に、睨まれただけなのに死んだと思った……」ガクブル

垣根「俺が死んでる間に自分の名前を名乗って善人化」

垣根「復活して学園都市戻ったら居場所がなくなってた……」

垣根「そりゃ世の中からすりゃその方がいいよなぁ。外道の糞野郎なんかより聖人君子のカブトムシが垣根帝督の方が都合がいいだろうな」

垣根「……下らねえ。一方通行の野郎より俺の方がよっぽど落ちぶれてるじゃねえか」

垣根「我ながら無様過ぎる。これが悪党の末路ってわけか」

垣根(―――――――恨んでやる、一方通行。テメエがあの日、綺麗さっぱり脳味噌までこの俺を消し飛ばしてりゃこんなことにはならなかったんだ。中途半端な殺しのせいで、俺じゃねえ奴が俺になっちまったじゃねえか)

垣根「この世に俺が垣根帝督の方が良いと思ってる奴なんて一人もいねぇんだろうな」

垣根「もう学園都市にいても、うざってえだけだ。折角オティヌスの糞アマのせいで魔術サイドなんてもんがあることを知ったんだ。いっそ魔術に鞍替えでもするか……」

垣根「いや、いっそ死んだ方が良いかもな。こんな糞野郎」ハハハッ

垣根「自殺かぁ。復活した学園都市第二位が首つって自殺。新聞の見出しくらいにはのるか?」

垣根「いや駄目だ。首吊ったくれえで学園都市が俺を死なすはずがねえ。どうせ首吊って死んでる状態から無理矢理蘇生させて、また妙な機械に繋げるに決まってる」

垣根「それにこの俺が死ぬんだぞ。首吊りなんてチープな死に方は許さねえ。死ぬにしてももっとこう……なにかがねぇとな」ブツブツ

垣根「電車に投身自殺……? 駄目だ。ンなことすりゃ迷惑過ぎる。出来る限り一般人に手を出したくはねえし」

垣根「俺の脳味噌を完全に破壊して尚且つ劇的な自殺法、なんかねぇかなぁ」フムフム

垣根「って俺はなに考えてんだ? 苛められてる中学生かよ。……ん?」

???「え~と、ここじゃないし。ここにもない。結局ここじゃなかったって訳よ!」

垣根「なんだ。こんな路地裏で探しもんか。おい、テメエ」

フレンダ「え?」←下半身無し

垣根「は?」

フレンダ「えと」

垣根「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! テケテケだとぉぉおおおおおおおおお!!」

フレンダ「だ、未元物質ぁあああああああああああああああああ!!」

垣根「糞ッ! まさか木原一族が生み出したテケテケ型ロボットか!? それともこれが虚数学区・五行機関の正体!? いや第五位の心理掌握の干渉を受けてんのか!?」

フレンダ「嫌ぁぁああああああ! 後生だから命だけは、命だけはお助けを!!」

垣根「舐めるなよ。俺の未元物質に常識は通用しねえ。相手がテケテケだろうがろくろ首だろうがミンチにしてやる」

フレンダ「こうなりゃ自棄よ! 結局、私ってば第三位ともそこそこ戦えたわけだし第二位もサクッとやっちゃうんだから!」

垣根「来い、テケテケ!」

フレンダ「どっからでも来なさい!」

垣根「…………………………」

フレンダ「………………………」

垣根「OK。一旦落ち着こう」

フレンダ「うん」

垣根「お前、良く見るとアイテムの……えーとフリンダだったっけか?」

フレンダ「フ・レ・ン・ダよ! なによフリンダって。私、不倫なんかしたことないし」

垣根「まぁその体型じゃ不倫相手としては論外だよな」ジー

フレンダ「ど、どこ見てんのよ! む、胸なんか胸なんかなくったって私には自慢の脚線美が」

垣根「下半身ねぇだろ」

フレンダ「そ、そうだったわ」ガックリ

垣根(露骨に落ち込んでやがる)

フレンダ「自慢の脚線美だったのにぃ」ウジウジ

垣根「おい」

フレンダ「ひゃぁ!? 急に声かけないでよ!」

垣根「別に急にかけたつもりはねえんだが」

垣根「結局、テメエなんなんだよ。どうして上半身だけで浮いてこんな所にいる」

フレンダ「どういう訳って」

垣根「お前、俺にアイテムの情報下呂った後にテメエが第四位にも内密に作っていた拠点に引きこもってたはずだろ。そのテメエがどうして上半身だけになってんだ」

垣根「っていうか上半身だけで空に浮くってどんな能力だよ」

フレンダ「能力じゃないわよ」

垣根「じゃあなんでこんな所にこんな姿でいる?」

フレンダ「だって。私、幽霊だし」

垣根「ゆ、幽霊!?」

フレンダ「信じないわよねー。私も最初に死んでから幽霊になって目覚めたときは信じられなかわよ。お陰で『生きてるー!』って糠喜びしちゃったし」

垣根「らしいこと言や信じるとでも思ってんのか」

フレンダ「そういえば私が死んだのって結局、あんたが脅して情報を喋っちゃったからよね。元をただせば私が死んだのアンタのせいじゃない! どう責任とってくれる訳よ! 呪うわよ!」

垣根「やんのか?」ギロッ

フレンダ「ひぃ! う、嘘嘘嘘嘘。ちょっとした学園都市ジョークよ。私が第二位を呪えるわけないじゃない。というか呪いなんて口から出任せだし。呪いどころかそこらへんのゴミ一つにすら触れられないし」

垣根(……こいつは幽霊なんてふざけたことを抜かしてやがるが、幽霊なんてもんがいるはずがねぇ)

垣根(人間の人格や記憶なんていうのも結局のところは能力と同じで脳味噌に宿るもんだ。脳味噌がねえのに動き出す人間がいねえように、脳味噌まで焼かれてる癖に霊魂だけで動くなんてありえねえにも程がある)

垣根「ということはテメエは学園都市が開発したホログラムや、立体映像ってところか」

フレンダ「私の話し全く信じてない!?」

垣根「大体な。良く考えろ」

フレンダ「なによ」

垣根「足がねえのは良い。幽霊っていうのは足がねえのがお約束だしな。だが幽霊っていうやつは人間には見えねえんじゃねえのか? なのに俺は間違いなくお前が見えてるし」ギュッ

フレンダ「きゃっ! か、かかか勝手に人の手を掴まないでよ!」

垣根「こうして直に〝触れる〟こともできる。これがテメエが幽霊じゃねえっていう証拠だ」

フレンダ「……………そういえば。今まで聞きたくて聞けなかったけど、結局なんで私の姿が見える訳? これまでフレメアとか滝壺の前に行っても誰も気付いてくれなかったのに」

垣根「まだしらばっくれるか。いいぜ暇潰しに証明してやる」グイッ

フレンダ「いたたたた! 引っ張らないで……」

垣根「テメエのことを他の連中に見せてやる。そうすりゃテメエも降参すんだろ」

――――とあるマンション


垣根「一方通行ァァァア!! いるか!! 出てこい!!」

フレンダ「あ、一方通行って結局第一位のところじゃない! なんでえこんな所に」

垣根「一方通行ァ! 出てこねぇなら不細工なドアぶち壊すぞコラ」

一方通行「うるせェンだよメルヘン野郎ォ! ついさっきやられてまだ懲りてねェのかァ。ここまでやってくるなンざ舐めた真似すンじゃねェかよ垣根くン」

打ち止め「あ、あなた……」

黄泉川「どうしたじゃん一方通行!」

一方通行「下がってろ。垣根帝督、第二位が仕掛けて来やがった」

番外個体「へぇー。カブトムシじゃないオリジナルの第二位? カブトムシからしたらミサカにとってのお姉様なのかな? あなたに似て悪人面だね」

一方通行「俺に似ては余計だ。お前は黄泉川と餓鬼連れてさっさと逃げろ」

垣根「仲良くくっちゃべってんじゃねえ! それよりも一方通行、これを見ろ」バン

フレンダ「ど、どうも~」

一方通行「………………ンだと? 見ろって、なにをだァ」

垣根「テメエの目の前にいるだろうが! 下半身がねぇ金髪女が! こいつだよこいつ!」ユビサシ

一方通行「打ち止めァ。なンか見えるか?」ヒソヒソ

打ち止め「なんにも見えないよってミサカはミサカは正直なことを言ってみる。黄泉川はってミサカはミサカは話を振ってみたり」

黄泉川「え、えと目の前に目つきの悪いヤクザとホストを足して二で割った様な少年がいるじゃん」ヒソヒソ

一方通行「それは分かってる。問題はあいつが見ろって指差しているなンにもありゃしねェところだァ」ヒソヒソ

番外個体「ミサカにもなんも見えないけど」ヒソヒソ

垣根「おい、冗談言ってるんじゃねえぞ一方通行」

一方通行「え? 俺が冗談言ってるのかァ?」

垣根「お前等も良く見ろ! ここだ、俺が右手で首根っこ掴んでるこの女だ。フレンダとかいう餓鬼だよ!」

一方通行「フレンダァ? そォいやあの下っ端顔のやつンところにいる餓鬼の姉の名前がフレンダだったかァ」

打ち止め「あ、あなた。フレメアのお姉さんは確かもう死んじゃったよってミサカはミサカは悲しげに伝えてみる」ヒソヒソ

垣根「テメエらな。まさか本当に見えねえとかぬかすなよ! こいつ、ここだよ! こいつ幽霊だとかふざけたこと言ってんだよ!」

黄泉川「一方通行……」

一方通行「あァ」

垣根「はっ! そうか分かったぜ。テメエ等もグルか。グルでこの俺を嵌めようって魂胆だな」

フレンダ「だから幽霊だから人には見えないって言ったじゃない」

垣根「五月蠅ぇ! お前は黙ってろ!」

番外個体「なんにもないとこに一人で怒鳴ってる。これは重傷だよ」

一方通行「垣根……」ポン

垣根「な、なんだよ」

一方通行「病院行くぞ」

垣根「はぁ!? どうして俺が病院なんざ行かねえとならねえんだ」

一方通行「お前に自覚がねェのは分かってる。だがお前を何度もミンチにしちまったのは俺だからなァ。善人気取るつもりはねェが病院にくれェは連れてく」

垣根「おいコラ。離せ! 俺は健康だ!」

一方通行「心配するな。あの医者ならどンな患者だろォと見捨てねェよ。テメエの病気もしっかり治してくれるはずだァ」

垣根「人の話を聞けぇえええええええええ!!」

垣根「ひ、酷い目にあった」ゼーゼー

フレンダ「だから言ったじゃない。幽霊だから見えないって」

垣根「チッ。街中にいる奴を捕まえてテメエを見せてのノーリアクション。ああもう認めてやるよ、テメエは幽霊だ」

フレンダ「フ、勝ったわね」

垣根「勝負なんかしてねえよ」

垣根(それによくよく考えりゃ魔術なんてものが存在するんだ。幽霊がいても不思議じゃねえ……のかもしれねえ)

垣根「で。テメエが幽霊だとしてだ。なんで俺に幽霊が見えてんだよ」

フレンダ「知らないわよそんなの。私の姿が見えたも触れられたのも貴方一人だけだし。はっ! まさか実は寺生まれとか?」

垣根「ねぇよ」

垣根(……未元物質のせいかと思ったが、もう一度カブトムシ捕まえてこいつ見せてもノーリアクションだったしな。本当なんで俺だけ)

垣根(まてよ。俺はこれまで何度も死んだり蘇生したりを繰り返してきた。その結果、俺という人間が死者に限りなく近い生者になって幽霊が見えるようになったとかいうそんな)

フレンダ「はぁ。どうせなら第二位じゃなくて鯖缶に触れられるようになりたかった訳よ」グデー

垣根「なわけねえか」

垣根「まぁいい。テメエが幽霊だろうとなんだろうと関係ねぇ。成仏するなり地縛霊するなり勝手にしてくれ」

フレンダ「へ?」

垣根「じゃあな」

フレンダ「ま、待った!」グイ

垣根「もがっ! なにしやがるテメエ!」

フレンダ「これもなにかの縁だし、ちょっと手伝って欲しいことがあるの」

垣根「なんで俺がんなことしねえといけねぇんだよ。俺みてえな悪党じゃなくて善人様にでも頼みゃいいだろ」

フレンダ「だ、だって頼もうにも私が見えるのは貴方しかいないし……」

垣根(俺だけ、か。……ああくそっ!)

垣根「いいぜ。話だけ聞いてやる」

フレンダ「ほ、本当!?」

垣根「…………話だけだ」

フレンダ「こうして幽霊してる私だけどただフラフラと漂っていたわけじゃなくて、私にも幽霊してる目的がある訳よ」

垣根「目的? 殺した相手……第四位に復讐でもしてえのか?」

フレンダ「むぎ、の―――――」

垣根(なんだ顔が蒼白に)

フレンダ「い、嫌っ! お願いっ! 命だけは、助けて! いや、いやぁ! 死にたくないの、許して麦野。何でもするから、命だけは助けて!」

垣根「おい」

フレンダ「嫌だ嫌だ嫌だ、死にたくない! 死にたく――――」

垣根「おい!!」

フレンダ「ひっ」ビクッ

垣根「落ち着いたか?」

フレンダ「……ごめん。ちょっと殺された時のこと思い出しちゃって」

垣根「まぁ自分が殺される瞬間ほど寝覚めが悪ぃもんはねぇよな」

垣根(一方通行に殺されたこと思い出すと今でも腸煮えくり返るし)

垣根「落ち着いたようだから改めて聞くが、お前の目的ってなんなんだ?」

フレンダ「ふふーん。よくぞ聞いてくれました。聞きたい? 聞きたい?」

垣根「帰る」クルッ

フレンダ「嘘よ嘘! お願い聞いて!」

垣根「……ったく。さっきまでギャーギャー泣き喚いた癖に切り替え早ぇなおい」

フレンダ「私には自慢の脚線美があったんだけど、その、殺された時に上半身と下半身があれしちゃって」

フレンダ「だから私の下半身を取り戻すのが私の目的って訳よ!」ババーン

垣根「………………」

フレンダ「あれ? あんまりリアクションが良くない」

垣根「下半身を取り戻すって生きてる人間から奪い取ってどうこうっていう系?」

フレンダ「違うわよ。そもそも触れたくても第二位以外触れられないし」

垣根「じゃあどういうことだよ」

フレンダ「そのまんま。切断された私の下半身を見つけること。それが目的」

垣根「お前の下半身ってとっくに処分されてるんじゃねえのか?」

フレンダ「生身の方はね。けど私のように幽霊化した下半身が学園都市のどっかにある筈なのよ。それを取り戻さないと死んでも死にきれないわ。自慢の脚線美だし」

垣根「テメエが殺された場所にはなかったのかよ」

フレンダ「それが、その……」モゴモゴ

垣根「はっきりしろ。なんだ?」

フレンダ「殺された瞬間は覚えてるんだけど、死んだショックのせいか私が殺された場所をうっかり忘れちゃって。テヘッ!」テヘペロ

垣根「テヘッ、じゃねえよ! 自分が死んだ場所忘れる幽霊ってなんだよ」

フレンダ「仕方ないじゃない。幽霊として目覚めた時はもう学園都市をふわふわ浮いてたんだから」

垣根「纏めるとお前は自分と同じように幽霊化した自分の下半身を探していて、そいつは自分の殺された場所にあるはずだが、肝心の場所を忘れちまっているってことだな」

フレンダ「うん」コクコク

垣根「じゃあな」

フレンダ「待ったぁ!!」

垣根「んだよ。話は聞いてやったろう」

フレンダ「一生のお願い! 私の下半身、一緒に探してくれない?」

垣根「死んでるのに一生も糞もねえだろ」

フレンダ「細かいことはいいのよ」

フレンダ「私一人で虱潰しに探すには学園都市は広すぎるし、話しても誰も聞こえないから助けだって借りれないし、誰かに聞き込みしたくても出来ないし。頼れる人が他にいないのよ」

垣根「……………」

フレンダ「お願い! もし私の下半身見つかったら……死ぬほど嫌だけど私の脚線美スリスリさせてあげるから」

垣根「帰る」クルッ

フレンダ「あーーーー! あーーーー! ディーフェンス! ディーフェンス!」

フレンダ「結局、なにが不満な訳よ。自慢の脚線美なのよ!?」

垣根「いや幽霊に欲情するって常識的にねぇだろ。死姦通り越して霊姦。俺には霊感があるってか。うわっ。自分で言っといてつまらねえ」

フレンダ「全面的に同意するわ。ここまで面白くないダジャレは生まれてはじめてよ」

垣根「はぁ。フレンダつったか。お前は根本的に間違ってるんだ」

フレンダ「な、なにが?」

垣根「俺は悪党だ。間違っても善人じゃねえしお人好しでもない。無償の奉仕とか人助けとかは善人のやることなんだよ。悪党が動くのはな。自分にメリットがある時だけだ。お前を助けても俺にメリットなんざ欠片もねえ。一人で頑張るんだな」

フレンダ「め、メリットならあるわ!」

垣根「……また脚線美がどうのこうの言ったら今度こそ有無を言わさず帰るぞ」

フレンダ「え!? えーと、その、えと……」ダラダラ

垣根(また脚線美とか言うつもりだったのかこいつ。懲りねえな)フッ

垣根「分かったよ。今回だけテメエの頼みを聞いてやる」

フレンダ「ほ、本当!?」

垣根「どうせなんもすることねぇで暇だったしな。断っても付き纏ってくるだろうし、それならさっさと成仏させた方がマシだ」

フレンダ「よ、よっしゃあああああああ!! 第二位の力があれば結局、百人力って訳よ! にゃーはははははっ! 見ていなさい私の脚線美! 必ず取り戻してやるんだから!」

垣根「……第二位って言うのは止めてくれねえか。俺には垣根帝督っていう名前があるんだからよ」

フレンダ「え、あ、ごめん。えーと、垣根」

垣根「取り敢えずテメエの下半身捜索は明日だ。もう夜だしホテルでも行くか」

フレンダ「ほ、ホテルぅぅぅぅうう!! あ、アンタ……やっぱりそう言う気だったの!?」

垣根「勘違いすんな。復活したばかりで家がねぇんだよ。野宿するわけにもいかねえだろ、幽霊のテメエと違って」

フレンダ「そ、そっか。良かったわ」ホッ

垣根「なにしてる。行くぞ」

フレンダ「う、うん!」バッ

垣根(はぁ。なんか妙なことになっちまったな。だが……良い暇潰しにはなるか)

今日はここまでです。
復活した垣根によるシリアスな復讐を楽しみにしてくれた方は申し訳ありません。
このssは幽霊が見えるようになってしまったメルヘンとお亡くなりになったキャラとの物語です。

未元物質でフレンダの身体作ってそこに魂入れられないの?

かみやんはでてこないのかな?

垣根が常識的とか言っててワロタ
常識は通用しないんじゃなかったのかよ

垣根の理屈なら死んだり蘇生したりを垣根よりはるかに繰り返してる上条にも霊は見えるはずだよな

>>57
仮にやれたとしても完全な死者蘇生にはならない……というのがこのssでの設定です。

>>62
上条さんは自分の周囲でお亡くなりになった人があんまりいない上に、幻想殺しが幽霊に鬼門なので。

>>68
あくまで自分と自分の能力に常識が通用しないだけで、常識知らずなわけではない……と、思います。

>>69
限りなく死に近い状態でずっといた&死と復活を何度も繰り返した&本人の素養のトリプルパンチです。
上条さんは幻想殺しがある上に素養がないから幾ら死にかけても駄目という設定です。

垣根「ふぁ~あ。もう朝か」

垣根「……………なんだかこうして普通に朝起きるのが凄ぇ懐かしい気がする。朝はなに食うか」

フレンダ「はいはーい! 結局、鯖缶がお勧めって訳よ!」

垣根「そういや昨日幽霊拾ってきたんだっけな。つぅか朝からやけに元気だなおい」

フレンダ「幽霊だし眠る必要なんてないのよね。こうやってプカプカ浮いてても疲れなんて感じないし」

垣根(つくづく非科学的だな。どうなってんだ一体?)

フレンダ「で、で、で。鯖缶は?」

垣根「……別に鯖缶だろうとなんだろうと腹ァ満たせりゃなんでもいいけどよ。そもそもお前、食べれんの?」

フレンダ「あ。それは盲点だったわ」

垣根「ちょっとは幽霊としての自覚もてよ」

垣根「お前に言われて買ってみたが、鯖缶もそこそこいけるな。毎日食うと飽きそうだが」ムシャムシャ

フレンダ「鯖缶が目の前にあるのに自分じゃ食べれないなんて。これが本当の生き地獄って訳よ……」シクシク

垣根「まぁまぁ遠慮するな。俺も鬼じゃねえんだ、ほら一つやるぜ鯖」ポイ

フレンダ「あ、はむっ!」パクッ


スカッ


垣根「口の中に飛び込んだ鯖がすり抜けた。やっぱり食えねえのか」

フレンダ「分かってたけど……! スーパーの試食コーナーで試して分かっていたけど悔しい……!」

垣根「はー、美味かった」マンプク

フレンダ「食べ物を食べれない私の前で私の好物食べるってドSなの?」

垣根「いやテメエが鯖缶鯖缶って言ったんだろうが」

垣根「満腹になった所でお前の下半身の件だが」

フレンダ「真面目な顔で私の下半身とかいうと結局キモいわよ」

垣根「えーと、一流除霊師の電話番号はなんだったっけな」ピポパポ

フレンダ「うそうそうそうそ! 垣根はキモくなんかないから! イケメンだから!」

垣根「どうもテメエは立場を理解していねぇようだな。お前は俺にお願いしてる立場で、俺はそれを渋々聞いてやってる立場なんだよ。そこんところもう一度足りねえ頭に叩き込んでおけ」

フレンダ「うぅ……せめて私が下半身があれば垣根なんかに頼らなくてもいいのに」グチグチ

垣根「な に か 言 っ た か ?」ギロッ

フレンダ「何にも言ってないわよ!」ブンブン

垣根「話を戻すぞ。お前の下半身の場所についてだが、テメエのしてたみてえに虱潰しに探すなんてのは論外だ。面倒臭ぇしな」

垣根「となるとお前の下半身があるだろう場所。つまりテメエが殺された場所を見つけるのが手っ取り早いってことだ」

フレンダ「けど私は記憶をなくしてるし」

垣根「誰もブロンド女のアホの記憶力に期待なんかしてねえよ」

フレンダ「酷っ! ブロンド=馬鹿なんて結局ただの偏見よ偏見!」

垣根「じゃあお前が殺された場所は?」

フレンダ「そ、それは―――――この学園都市のどこかにあるんじゃないかなー」ニヘラ

垣根「はぁ。……お前の記憶があてにならねえ以上、お前が殺された事を知る他の奴に聞くしかねえ」

フレンダ「そ、それってもしかして」

垣根「麦野沈利。直接お前を殺した加害者のあいつならお前の殺害現場も知ってるだろ」

フレンダ「麦野……なら、知ってると思うけど……だけど」ブルブル

垣根「なんだよ。言いてえことがあるならはっきり言え」

フレンダ「麦、野に聞くのは――――やめない? ほら麦野じゃなくてもアイテムの上役とか、死体回収役も知ってるかもしれないし」

垣根「なんだよお前。まさか死んでる癖に今更第四位にビビってんのか?」

フレンダ「っ!」ビクッ

垣根「チッ。図星かよ。お前が既に死んでる以上、原子崩しを一発二発喰らったところでなんともねぇんだ。ビビる必要はねぇだろ」

フレンダ「け、けど……」

垣根「面倒臭ぇツルペタブロンド女だ」

フレンダ「ツルペタは余計よ!!」

垣根「御託を抜かすな。行くぞ」

―――とあるファミレス


垣根「ここがお前等アイテムが愛用していたファミレスか?」

フレンダ「そうだけど。あっ! あそこ」


浜面「ほらよ。アイスコーヒーとお茶」コトン

絹旗「なにやってるんですか浜面! 私が頼んだのはブラックコーヒーです。超違うじゃないですか!」

滝壺「北北西から信号が来てる……」


垣根「ありゃアイテムの絹旗最愛に滝壺だったか。あともう一人の下っ端Aみてぇえな面の野郎は…………LEVEL0の癖して麦野をやりやがったラッキー野郎か」

フレンダ「へ!? 浜面が麦野を倒したって結局どういうことなの!?」

垣根「後で教えてやる。行くぞ」

フレンダ「ちょ、ちょっと! 幾ら第二位だからってここファミレス! ブレーキブレーキ! 絹旗ー! 滝壺ー! 逃げてー! そこに鬼が行く訳よ!」

垣根「お前も来るんだよ」グイッ

フレンダ「はぶっ!」



絹旗「それでですね。この前見たC級映画っていうのが超チープでしてね。メイクとかなにまで素人感丸出しなんですよ」

浜面「へいへい、その話これで三度目だよ」

???「よう」

浜面「ん? ってお前は!?」

垣根「こうして顔付き合わせんのは久しぶりだな、アイテム」ニィ

浜面「だ、第二位の垣根帝督!?」

絹旗「超カブトムシじゃありませんね。どうやら生身の方の第二位が復活したって話は超本当だったようですね」スッ

滝壺「……………」

フレンダ「ど、どうしよう」オロオロ

浜面「なにしにきやがった第二位。またフレメアになんかしようってのか?」ギラッ

垣根「は? フレメア?」

フレンダ「ちょっと! またフレメアに、ってどういうこと!? まさか垣根、フレメアになんかしたんじゃないでしょうね!」

垣根「耳元でギャーギャー騒ぐな馬鹿。俺じゃなくてカブトムシ前の未元物質体のやったことだよ!」

浜面(なんだ、いきなり誰もいない所に怒鳴ったぞ?)

絹旗(散々一方通行にボコボコにされて頭が超おかしくなったんでしょうか?)

滝壺(垣根帝督の隣りに変な揺らぎがあるようなないような)ボー

垣根「まぁいいや。今日お前等のとこに来たのは他でもねえ」

絹旗「……!」ギュッ

浜面「く、来るなら来やがれ!」

垣根「そう構えるな。別に戦いに来たわけじゃねえんだ。ただちょっとテメエ等に聞きてえことがあってな」

滝壺「……私達に、聞きたい事?」

垣根「大したことじゃねえよ。アイテムの中でスクールに情報下呂って麦野に粛清されたフレンダっていたろ。そいつが殺された場所が知りてえんだ」

浜面「な、なんだって!?」

垣根「それだけ吐けば今直ぐにでも退散してやるよ。別にお前等には特に恨みなんてねえしな。俺烏りゃアイテムなんざ限り無くどうでもいい存在だ」

絹旗「どういうことですか?」

垣根「ん」

絹旗「超どういうことですかって聞いてるんですよ!」

フレンダ「き、絹旗……?」

絹旗「第二位、貴方がこっちに興味がないように私達アイテムも貴方みたいな男に超興味はありません」

絹旗「ですがもしも『アイテム』になにか仕掛けようっていうなら超容赦しません」

垣根「おいおい。前に俺と戦ってなんも出来ずにやられたのを忘れたか?」

絹旗「勝てない相手だからって退けない時が超あるんですよ」

浜面「答えろ第二位。フレンダが死んだ場所なんて聞いてどうする気だ? また学園都市の命令でよからぬことを企んでるんじゃねえだろうな」

滝壺「……」ジー

フレンダ「滝壺、もしかして私のこと分かってるの?」

滝壺「なんだか頭の悪い力場がある気がする」

フレンダ「滝壺!?」

垣根「どうやらテメエ等は状況を正しく理解できてねえようだ」

絹旗「っ!」ゾクッ

浜面「うっ!」ゾクッ

垣根「なぁ。今どういう状況が分かるか? 俺がちょいと俺の操る能力に動けと命じればお前達を消し飛ばすことができる。例えるなら……軍人に銃口眉間に突きつけられた捕虜がお前等だ」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………


垣根「ここで死ぬ、か?」

浜面(こいつ……本気だっ。俺みてえなチンピラがしてたような目じゃねえ。暗部の頃のアイテムと同じ殺す目ってやつだ!)

浜面(俺の懐には銃があるけど第一位とまともに戦えるような化物相手に拳銃なんてチャチな武器がきくとは思えねえ)

浜面(どうする? どうすんだよ浜面仕上!)

フレンダ「ちょっと! 浜面はどうでもいいけど滝壺と絹旗を殺すなんて止めて!」

垣根「あぁ? こっちの方が手っ取り早いだろうが。下半身を取り戻す為だろうが」

フレンダ「それでもよ。わ、私だって絹旗や滝壺を殺してまで下半身を取り戻したくなんかないわよ! 浜面はどうだっていいけど)

滝壺「さっきから垣根は誰に話しかけてるの?」

浜面「さ、さぁ。つぅか下半身ってなんだよ」

絹旗「やっぱり頭が超おかしくなったんでしょうか」

垣根「……はぁ」

浜面(殺気が引っ込んだ?)

垣根「なぁ。どうして喋らねえんだ。第二位の名にかけて誓ってやるが、別にフレンダの死に場所を聞いたところでテメエ等が損をすることなんざねぇよ」

垣根「そもそもフレンダなんて自分の命惜しさにお前達の情報下呂った言うなりゃ裏切りもんだぞ。別に庇う価値もねぇだろ」

フレンダ「ひ、酷くない?」

垣根「本当のことだろうが」

フレンダ「それは、そうだけど」シュン

垣根「それにフレンダはもう『死んだ』んだ。死人を庇って命を無駄にするなんざこれほどアホらしいこともねぇだろ」

絹旗「確かにそうですよ」

浜面「絹旗?」

絹旗「フレンダは超お調子者でマヌケで、腕はそこそこ悪くないのに爪の甘さと超油断癖でいつも私達に迷惑かける超アホでした」

フレンダ「そ、そこまで言わなくてもいいじゃない。私だって長い暗部生活でそこそこ長生きだったのよ」

絹旗「麦野に粛清されたことだって麦野にも責任は超ありますが、ヘマしてスクールに捕まった挙句に情報を下呂ってアイテム全員を危険に晒したフレンダにも超責任がありますよ」

フレンダ「うぅ……」

絹旗「けどそんなアホでマヌケなフレンダでも、私達アイテムにとっては超掛け替えのない仲間だったんですよ……!」

フレンダ「!」

垣根「…………………」

絹旗「死んでいるか生きているかは関係ありません。私にも超意地があるので、悪いですが仲間は売れません」

垣根「誇りと命を天秤にかけるか? クールだが現実的じゃねえな」

絹旗「くそったれな現実なら散々渡り歩いてきましたよ。そんな現実逃げ出して光の中で超生きてるんです」

絹旗「私達を殺す気ならそっちも超覚悟しておくことですね。どんな手段を使ってもアイテム全員生還してやりますから」

浜面「絹旗だけにやらせはしねぇぞ。アイテムに手を出すなら俺だって戦う」

滝壺「私だって、アイテム」スッ

垣根「ふん。いつから暗部組織は慣れ合い上等の仲良し集団になりやがったんだか。気に入らねえ。やっぱり殺すか、こいつら」

フレンダ「垣根!?」

垣根「……冗談だよ。復活したばかりだってのに、ンな下らねえことで暴れるつもりはねぇよ」

垣根「邪魔したな、アイテム。もうお前等に聞きはしねぇよ。俺の方で勝手に探す」

フレンダ「アイテム、か」ハァ

垣根「どうしたんだよ露骨に溜息ついて」

フレンダ「なんでもないわよ。ただちょっと」

垣根「ふーん」

フレンダ「それよりこれからどうするの? アイテムの皆には結局私の死んだ場所を聞けなかったし」

垣根「おいおい。何言ってんだ。まだ本命の本命、大本命から話聞いてねえだろうが」

フレンダ「それって!?」

垣根「第四位に決まってんだろうが。これ以上時間浪費すんのも面倒臭ぇし、次は強引な手を使っても情報を吐かせてやる」」

フレンダ「で、でも麦野がどこにいるのか分かるの?」

垣根「心配ねぇよ、ほれ」ヒョイ

フレンダ「これって絹旗のケータイじゃない。どうしたの?」

垣根「未元物質で脅しをかけた時にな。アイテムの中じゃ麦野に次ぐナンバーツーみてえな感じだったし、このケータイを使えば麦野を見つけるなんて楽勝だ」

フレンダ「ど、どうやるの?」

垣根「簡単だよ。えーと『麦野、実はちょっと浜面や滝壺さんには内緒で超相談したいことがあるんですけど。第七学区にある○×工場に来てくれませんか?』っと。送信」

フレンダ「あくどい」

垣根「メールってのは良いよな。簡単に成りすましができるんだからよ」

今日はここまでです。

麦野「一体どうしたのかしら。あの絹旗がいきなり相談だなんて」

麦野「まさか浜面がなんかしたんじゃ……。いえ、それはないわね。絹旗は浜面なんかにどうこうされるほどひ弱じゃない。そもそも浜面にそんな度胸ないしし

???「なぁに。久々に会ったハンサムな超能力者にケータイ盗まれただけだよ」

麦野「テメエ。第二位」

垣根「垣根帝督って言って欲しいなって言わなかったか? 第四位」

麦野「しかも生身の方だって。また地獄から這いあがってきたわけ? アンタも懲りないわねぇ。大人しく死んでれば良かったのにさ」

垣根「ハッ。懲りないってのはテメエだろ? 単なるLEVEL0に三度も敗北しやがった第四位」

麦野「安い挑発ねぇ。それで私がプッツンするとでも?」

垣根「ちょいと前のお前ならしたんじゃねえの。ま、これでブチギレねぇで原子崩し乱射しねえ辺りテメエの沸点もマシになったみてえだな」

麦野「絹旗のケータイ盗むなんてまどろっこしい真似してこんな場所に誘き出してなんのようだ? 私はアンタみたいなクタバリ損ないに構う時間ないんだけど」

垣根「時間がない? わりと暇なんじゃねえのか。暗部だって解体されたんだろ」

麦野「聞こえなかった。アンタに割いてやる時間はねえって言ってんのよ」

垣根「ククククククッ。吼えるじゃねえか格下。前に叩きのめしてやったの忘れたか?」ニヤ

麦野「過去の栄光にしがみつく男ほど情けねぇものはないわね」ペッ

フレンダ(ど、どうしよう。このままじゃ垣根と麦野が……戦うと、やっぱり麦野が負けるわよね……。前の戦いでも負けたし……)

フレンダ(そしたら麦野も死んじゃってまた再結成したアイテムがまたなくなっちゃうのかな……。私がいない、麦野たち四人だけのアイテムが……)

フレンダ(ああもうっ! 結局どうしたらいい訳よ)オロオロ

垣根「お前への要件は一つだ。テメエがフレンダを殺した場所を教えろ。それだけ言やテメエみてぇな格下は見逃してやるよ」

麦野「私が、フレンダを殺した場所だと?」

麦野(どういうことだ? 第二位は糞××野郎だが無意味な真似をするような奴じゃない。単なる気紛れで絹旗のケータイで私を誘き寄せるなんて真似はしないだろうし)ジッ

フレンダ「ね、ねぇ。私、幽霊よね。麦野の原子崩しでまた体が吹き飛んだりしないよね?」

垣根「ンなの俺に聞くな」

麦野(なんもない所に訳の分からないこと呟いてる……。頭がおかしくなって意味不明なこと口走ってるだけ? だけどこいつの頭がパーになっていたとしても、私がフレンダを殺した場所を聞き出す理由が分からない)

麦野(フレメア関連で学園都市が変なこと吹き込んだってのはないわね。学園都市なら私から聞かないでも私がフレンダを殺した場所くらい分かるし)

麦野(……考えれば考えるほど訳が分からないわね)

麦野「…………」ジッ

垣根「どうした? さっさと言え。俺もお前と同じでな。時間が惜しいんだよ」

麦野「答えろ。どうして私がフレンダを殺した場所なんて聞く? アンタからしちゃフレンダは脅してアイテムの情報を吐かせただけの相手に過ぎないだろう」

垣根「俺がお前の問いに正直に答えるとでも」

麦野「だろうね。だったら私もアンタに正直に答えてやる必要はないわよねぇ」ニヤァ

垣根「――――はぁ。やっぱこうなるよなぁ」ポリポリ

フレンダ「どうするの、垣根?」ヒソヒソ

垣根「どうするかだって? んなの決まってるじゃねえか」


轟ッ!!


麦野(……風っ!? だが原子崩しを円形にしてガードすれば)バァ

垣根「こうすんだよ」

フレンダ「い、いきなり戦わなくても色々理由を話せば……」オロオロ

垣根「話し合いだぁ? 寝言ほざくんじゃねえよ。気に入らねえなら叩き潰す、口を割らしたけりゃ痛めつける。目的のための障害は殺す。それが悪党のやり方ってもんだろうが」ニィ

垣根「おう第四位ィ。記憶曖昧なんだけど、お前って一方通行と一緒にカブトムシ野郎の前のシステムのマスターぶっ潰したんだって」

垣根「あんなのに勝たれたくらいで第四位>第二位なんて思われるのも癪だからな。もう一度現実ってのを教え込んでやるよ」

麦野「あんまり舐めてるんじゃねぇえぞ第二位ぃぃぃいい!!」コォォオ

垣根「原子崩しか。そんなもんが――――」


バヒュゥンッ! ゴォォ! ドガァッ!


垣根「今更俺に効くとでも?」

フレンダ「白い盾を生み出して麦野の原子崩しを防いだ! 嘘でしょ……。原子崩しに貫けない物なんて存在しないのに」

垣根「それが未元物質だよ。成仏する前に足りねえ頭に詰め込んでおけ。俺の未元物質に常識は通用しねぇ」


ドガッ!!


麦野「ちぃっ! 相変わらず面倒臭い能力ね」

垣根「そういうお前はシンプルな能力だな。お前相手に本気を出すまでもねぇ」バンッ


ドガッァァアアアアアアアンッ!


麦野「がっぁああーーーーっ!」

麦野(……なんもない空間が、いきなり爆発しやがった……。未元物質を使ってなにかしやがったのか)

麦野「はぁ……はぁ……」ボロッ

垣根「ほら。もういい加減に理解しただろ。お前の原子崩しじゃ未元物質には勝てねえ。勝ち負け以前にそういう公式が成立してんだよ」

垣根「それにテメエの方は精神的にどうだか知らねえが能力的には成長してねえのに対して、俺の方はこの通り」


ゴボゴボゴボッ!


フレンダ「未元物質が空中に沢山増殖した!?」

垣根「こういう感じにイイカンジにパワーアップしてんだ」

麦野「………………」

垣根「もう一度だけ聞いてやる。お前がフレンダを殺した場所を教えろ」

麦野「は、はははははははははははははははははははははは!!」

垣根「……なにが可笑しい」

麦野「そうやってテメエの超能力見せびらかせば素直にケツ振ると思ったら大間違いだ。私はテメエがこれまでヒーヒー言わせてきた女と違って尻軽じゃないのよ」

垣根「そりゃ残念」

麦野「テメエなんぞに下呂るくれえなら自分の頭、原子崩しで消し飛ばした方が一兆倍マシよ」

垣根「下らねぇな。なんだ? それも自分が殺したフレンダへの贖罪ってやつかよ」

麦野「……………」

フレンダ「麦野……」

垣根「下らねえよ」

垣根「一方通行の糞野郎だけならまだしも、どうも暗部が解体されてヒヨっちまったらしい。アイテムの奴等も仲間だのなんだのってつまんねえ綺麗事ほざきやがるし」

垣根「それでもテメエほど裏にどっぷりつかってやがった外道の糞アマならちっとは〝らしさ〟ってのが残ってるんじゃねえかと思ったが結局それか」ハァ

麦野「なにが言いたい?」

垣根「闇の中からおさらばして表側で罪を償うだって? 随分と舐めてやがるな」

垣根「悪党ってのはな。一生裏の中でのたうちまわって同じ糞な悪党にぶっ殺されてピーピー泣きながら死ぬか、表側の奴等にとっ掴まって電気椅子に座ってくたばるもんだ」

垣根「それが悪党の末路ってもんなんだよ。表で罪を償うなんて出来るわけねぇだろうが」

麦野「……まぁそりゃそうだろうね。フレンダのことだって暗部闘争の中での殺しな以上、私が警備員に捕まって刑務所送りになってどうこうってのはないだろうし……」

麦野「フレンダの妹のフレメアだって一生この私を許さないだろうねぇ」

垣根「だったら」

麦野「けどそんなの関係ねぇんだよ。ロシアで私にもう一度アイテムになれるなんて馬鹿を言った大馬鹿がいた。そして他の奴も『アイテム』に戻ることを望んでいた。むしの良いことにこの私含めてね」

麦野「だったら私は表の光に焼かれてのたうちまわってもアイテムを貫き通す。今更テメエみてえな童貞不能野郎にどうこう言われて揺らぐようなたまじゃねぇんだよ!」

垣根「ククククッ! はーははははははははははははははは!! 黙って聞いてりゃ寝言をピーチクパーチク」

垣根「そんな第四位に俺から特別プレゼントだ。受け取りな」パチンッ

麦野「っ!」


ギュルッ! ギュルルルルルルルルル! ガシッ!


フレンダ「白い未元物質が麦野を拘束して……なんなの、これ? まるで――――」

垣根「断頭台」

フレンダ「っ!」

垣根「この場合は断腰台かぁ? ギロチンの刃は首じゃなくて上半身と下半身の境目に落っこちるわけだからなぁ」

麦野「女を拘束して×××おっ勃る趣味でもあったのか。この××野郎が」

垣根「ははははははは。んなんじゃねえよ。テメエみてえなヒステリックビーム女、こっちから願い下げだ」

垣根「それに感謝して欲しいくらいなんだぜ俺は。なんたってお前に――――罪を償うチャンスをくれてやるんだからよ」

麦野「罪を償うチャンスだって? はっ! なにあんた。散々悪党だなんだのとかほざいておいて今更必殺仕事人でも気取るわけ?」

垣根「なわけねえだろ。んな柄じゃねえよ、俺は」

垣根「別に俺は殺しが好きなわけじゃねえし、殺る時はサクッと殺る性質だ」

麦野「ならどういうつもりだ?」

垣根「クククッ。聞いて驚くなよ、実はな――――」


垣根「俺には死人の声が聞こえるんだ」


麦野「……は? 遂に能力じゃなくて頭までメルヘンになったか」

垣根「嘘だと思うだろ。だけど嘘じゃねえんだよ。何度も何度も殺されるうちに霊感に目覚めっちまったんだよ」

垣根「だから俺にはお前が殺したフレンダ=セイヴェルンの声が聞こえる。フレンダ=セイヴェルンの声を聞いて、フレンダ=セイヴェルンの代わりにお前を裁けるってわけだ」

垣根「ミステリーとかでよく刑事役が言うテンプレートな台詞にあるだろ。復讐なんて○○さんも望んでませんっていう」

垣根「だけど俺はそうはならねぇ。なんたって殺された奴に復讐してえかどうか直接聞いてから、そいつに代わって刑を執行するんだからな」

麦野(死者の声が聞こえるだと? そういや生身じゃない方のこいつが残留思念をどうこうしてたが……)

垣根「そういうことだ。フレンダ、お前のターンだぜ」

フレンダ「わ、私!?」

垣根「他に誰がいるんだよ。ここにお前を殺した張本人がいて、そいつの命は今この俺の手の中だ。俺が殺そうと思えば直ぐにでも殺せる」

垣根「箸を持ち上げる程度の労力すらねえ。本当に思うだけ。それだけで良い」

垣根「だが死刑執行にOKサインを出すのはお前の意志だ」

フレンダ「……!」

垣根「どうした? お前を殺した奴に殺す絶好の好機だぞ。ここでお前が殺せと俺に言うだけで麦野沈利は死ぬ。お前を殺した相手に復讐できる」

垣根「お前だってまさかこいつが改心したから自分を殺したのはチャラ、なんて思ってるわけはねえだろ。こいつにビビってる以上に憎んでいるはずだ」

垣根と上条さんの絡みが見たいな……
無理ならいいんで、出来たらお願いします!!

>>108
上条さんは原作九巻で今の垣根と同じような目にあっている経験があるから、たぶん垣根の気持ちも分かってしまうわけで。
そうなるとお人好しMAXな上条さんが垣根を助けようとする可能性も高いわけで。ただどこかしらで絡めればいいなぁとは思ってます。



フレンダ(に、憎んでるってそりゃ)チラ

麦野「……………………」

フレンダ(アイテムの情報を喋った私が悪かったって思うけど、だけど私だってもっと遊んだり買い物したり……アイテムの皆と一緒にいたかった!)

フレンダ(フレメアとだって、もっと話したいことあったし絹旗とC級映画回りとかもう一度したかったし、滝壺とも)

フレンダ(麦野があの時、私を殺してなければきっと私にもそういう未来があって、アイテムの皆と一緒にいれたのかなぁ)

垣根「どうした? なにをグダグダしてんだ。お前の一存で復讐できんだぞ。お前と同じ苦しみってやつを第四位にも味わわせれるんだ」

フレンダ「私は……私は……」

麦野「――――――――」

フレンダ(だけど――――確かに垣根の言う通り、麦野を恨む気持ちはゼロじゃないけど、私は麦野のことだって好きだったし。恐いけど大好きだったし)

フレンダ(それに麦野が死んじゃったらまた戻れたアイテムがまたなくなっちゃうかもしれないし)

垣根「さっさとしろ!」

フレンダ「分からないわよ!」

垣根「なに?」

フレンダ「結局……私は、どうすればいいのよぉ。麦野が憎いけど麦野が大好きだし、アイテムだってなくなって欲しくないし」ボロボロ

フレンダ「うぅ……うわああああああああああああん」

フレンダ「うぅぅ、うわああああああああああああああああああん」

垣根「チッ」

麦野「……どうしたの? 私を殺さないわけ?」

垣根「くそっ! そんなに死にてえなら死なせてやるよ。あばよ、第四位!!」バッ

フレンダ「だ、駄目!!」ガシッ

垣根「なにしやがる!?」

フレンダ「はは、は……。麦野どころかそこいらの物一つ動かせない私だけど、結局、何故か知らないけど垣根にだけは触れられるのよね」グググッ

フレンダ「……もう、いいわ。麦野を、殺さないで」

垣根「こいつはテメエを殺した相手だぞ! そいつをテメエは許すっていうのか!?」

フレンダ「許す許さないとか……訳分からないわよ……。でも麦野を殺すのは、嫌なの」

垣根「俺がそれに従ってやる義理は――――」

フレンダ「死刑執行にサインするのは私なんでしょ。私はさ。結局サインなんかしない訳よ! これでもうアンタは麦野を殺せない! どうだ、参ったか!」

垣根「あ?」ギロッ

フレンダ「な、なんちゃってー」

垣根「分かったよ。確かにこいつを殺すか殺さないかの生殺与奪をテメエに委ねたのは俺だ」

垣根「……テメエが殺さないって言うなら、この場は殺さねぇでおいてやる」バッ

フレンダ「良かったぁ」ホッ

麦野(拘束を解いた? さっきから何にもない場所と口論していやがったが、まさか第二位。本当に――――)

垣根「ふんっ」

麦野(まさかな)

垣根「じゃあな第四位」ザッザッ

フレンダ「……結局、麦野から聞けなかったけどさ。どうするの?」

垣根「元暗部の連中に聞くさ。死体処理係の奴ならお前の死体があった場所を覚えてるかもしれねえし。いざとなりゃ監視カメラの過去履歴から大まかな場所を特定すりゃいい」

フレンダ「なんだか最初からそっちをしてた方が変に疲れなくて良かった気がするんだけど」

垣根「自覚はある。ああくそっ。もう昼の二時じゃねえか。腹減ったぞ」

麦野「――――――おい、第二位」

垣根「なんだよ?」

麦野「教えてやるよ。私がフレンダを殺した場所。第一八学区の○○○○ってところだ」

フレンダ「!」

垣根「……どういう風の吹き回しだ?」

麦野「さぁ。答える義務はないでしょ。もう用は終わり?」

垣根「ああ。それだけ聞けば十分だ」

麦野「ねぇ」

垣根「まだなんかあんのかよ」

麦野「アンタさ。暗部が表に戻ることが随分と気に入らないみたいだけどさ」

麦野「もしかして自分が戻れないからって嫉妬でもしてるんじゃないの?」

垣根「………………………お前。拾った命、ドブに捨ててぇのかよ。俺が表に戻りたい? ハッ! 俺をテメエ等みてえな半端者と一緒にするんじゃねえよ」

フレンダ「垣根?」

垣根「俺の居場所なんてものはな。表の世界にはねえよ。行くぞ」

フレンダ「ま、待って!」フワフワ

麦のん戦が終わったので今日はここまで。

ギャグかと思えばシリアス、雰囲気がころころ変わってるな。
そこが面白いんだけど。

下半身には穴しかないんだよな
ゴクッ

>>115
上条さんとかならコミカルにいけるところが、メルヘンだと無駄にシリアスになってしまいます。

>>125
やはり下二つと上一つで穴は三つないと……

垣根「良かったじゃねえか。なんか知らねえけど麦野の奴が下呂ったお蔭でお前の死んだ場所も見つかって」

フレンダ「………………」

垣根「後は麦野の言っていやがった場所でお前の下半身を見つければ――――お前も成仏ってやつができて後腐れなくあの世に旅立てるんだろ」

フレンダ「…………うん、そうなのよね」

垣根「なんだよ。折角目的が果たせそうってのに浮かねえ顔じゃねえか」

フレンダ「あは、は。ちょっといざ成仏するんだなーって思ったら成仏した後どうなるのか気になっちゃって」テヘヘ

垣根「ンなの地獄行きに決まってんだろ」

フレンダ「ちょ、そこは嘘でも天国っていっておきなさいよ!」

垣根「馬鹿かテメエ。馬鹿でヘタレでマヌケつってもお前だって暗部出身の悪党だろうが。知らねえのか? 悪党が死にゃ閻魔様に地獄送りにされるんだぜ」

垣根「ん? お前ブロンドだし閻魔様じゃなくてイエス様だったか?」

フレンダ「……結局、科学の街で閻魔様もイエス様もない訳よ」

垣根「それもそうか」

垣根「ま、閻魔だろうとイエスだろうと関係ねえ。兎にも角にもお前が下半身取り戻して成仏すりゃ俺も面倒臭ぇブロンド女から解放されて好きに――――――――」

フレンダ「?」

垣根(好きに……………なにすんだ、俺? スクールもなくなっちまって、カブトムシとかいう野郎が俺に成り変わって第二位になっちまった世界)

垣根(また学園都市の狗に成り下がって扱き使われんのか。それともカブトムシ野郎をぶっ潰すか……)

フレンダ「どうしたの垣根? なんか深刻そうな顔して」

垣根「――――なんでもねぇよ」

フレンダ「ふーん。…………ね、ねぇ。どうせなら最後の最期にやっておきたいことがあるんだけど」

垣根「やっておきたいことだと?」

フレンダ「結局、一度成仏したらここに戻って来れないと思うしだったらやり残したことをすませておこうかなぁと」アハハ

垣根「…………」

フレンダ「どう、かな?」モジモジ

垣根「仕方ねぇ。ここまで付き合ったんだ。お前が成仏するまでは幾らでも付き合ってやるさ」

フレンダ「本当!」パァ

垣根「垣根帝督に二言はねぇ」

垣根(どうせ他にやることなんてねぇしな。こうしてなんかしてた方が気が楽だ)

フレンダ「よ、良かったー。垣根って麦野以上に性格捻くれてるからOKなんて絶対してくれないと思ってた」

垣根「お前、物理的に成仏させてやろうか」ギロリ

フレンダ「冗談よ冗談!」

垣根「で、最後の最期にやっておきたいことってなんだよ」

フレンダ「……………」

垣根「どうした?」

フレンダ(ダメ元で適当に言いましたなんて答えたら物理的に成仏させられる)ブルッ

フレンダ「えーと……その……」アセアセ

垣根「はっきりしろよ」

フレンダ「え、映画に行きたいかなぁ……とか、なんとか」

垣根「映画ぁ? 確かに映画なら幽霊のお前でも見れるな」ウン

フレンダ「そうなのよ! やっぱり成仏する前に見たかった映画見ておかないと死んでも死にきれない訳よ!」

垣根「ふーん。どんな映画が見てぇんだ?」

フレンダ「え?」

垣根「成仏する前に見てえってくらいならどんな映画見るか決めてんだろ」

フレンダ「あう……あう、はーひーふーへーほー」ホケキョー

垣根「?」

フレンダ「げ、劇場版ゲコ太が見たい訳よ!!」

――――映画館


フレンダ(なんで私、ゲコ太とか言っちゃったんだろ。せめてル○ン三世VS名探偵コ○ンとかマシなタイトルあるのに)

垣根「なんで俺まで……。つぅか他の客が餓鬼しかいねぇし」

垣根(幽霊のフレンダはまだしも明らかに俺浮いてるじゃねえか。フレンダ、後で絞める)ギロッ

フレンダ(こ、こっち睨んでるーーーー!)ブルブル

垣根「……ん?」

白井「はぁ。お姉様、常盤台が誇る超能力者ともあるものがこのようなお子様向けの、それも何度目ですの?」

御坂「うっさいわね。まだたったの10031回よ」

白井「え゛?」

御坂「本気にしないでよ。流石の私もそんなに見てないって」

垣根「餓鬼だけだと思ったら中坊もいるのか」

フレンダ「嘘……! あれって第三位じゃない」

垣根「んだと? ってことはあれが常盤台の超電磁砲。御坂美琴か」

フレンダ「あ、始まるわよ」

ゲコ太『ピョン子……実は前から、君のことが――――』

ピョン子『ゲコ太。私も貴方が』

ケロヨン『ピョン子!!』

ピョン子『け、ケロヨシ!?』

ケロヨシ『信じていたのに……君の事を信じていたのに……! もういい。君を殺して俺も死ぬ!』

ゲコ太『止めるんだケロヨシ! 殺すなら、殺すならこのゲコ太だけにしろ! ピョン子は関係ないっ!』

ケロヨシ『ゲコ太ぁあああああああああああああああああああああああああっ!!』



垣根「なんだこれ」

フレンダ「お子様向けのキャラがドロドロの昼ドラ展開……シュールね」

御坂「うぅ……」ポロッ

垣根&フレンダ「!?」

垣根「あれで泣く、だと?」

フレンダ「第三位はどういう神経してるの」

白井「涙目のお姉様」ハァハァ

垣根「そして隣りにいるアレはなんなんだ?」

御坂「はぁー。楽しかったー! やっぱりゲコ太は最高ね!!」

白井「私も私とお姉様との愛のメモリーが一つ増えて満足ですの」ツヤツヤ

垣根「疲れた……」ゲッソリ

フレンダ「なんか映画より第三位とその後輩見てた方が面白かったわ」ハァ

垣根「何言ってんだ。成仏する前にこれが見てえって言ったのお前だろ」

フレンダ「そ、そうだったわね」アセアセ

垣根「……? 変な奴だ」

フレンダ「あはは」

フレンダ「………………」

垣根「じっとすんな。さっさと行くぞ」グイ

フレンダ「きゃっ!」

垣根「すること済ませたんだ。心残りはもうねぇだろ。お前の殺された場所に行って下半身取り戻すんだよ」

フレンダ「ま、待った! 別に今日じゃなくて成仏は明日……いやいや一週間後にしない? 私にも心の準備ってもんがあるし」

垣根「待たねえよ」グイグイ

フレンダ「ストップ! 心に余裕をもっていったほうがいいと思う」

垣根「そうやっていつまでもグダグダしてたらキリがねぇんだよ」

フレンダ「待てって、言ってるでしょうが!」ポカッ

垣根「痛っ! なにしやがる!」

フレンダ「え、えーと……その……兎に角、今は嫌なの!」タタタタタッ

垣根「待て!」

垣根「くそっ! あいつ自分が幽霊なのをいいことに人混みをすり抜けていきやがって! ここまできて逃がすかよ」ダッ

不良A「おーっと兄さん」

不良B「ここを通るにゃ通行料が必要なんだぜぇ。痛い目に――――」

垣根「失せろ」ドガッ

不良A「がぁあああああ! お、俺の腕がぁぁぁぁコンニャクみてぇにぃぃぃぃ!!」

不良B「ひぃぃぃぃいいいいいいい!!」

垣根「ふん。暗部出身は伊達じゃねえわけか。咄嗟にスキルアウトがいる路地裏方向に逃げるとはな」

垣根「だがな。この俺から逃げられると思ったら大間違いだ」バサバサッ

今日はここまで。

乙乙

>フレンダ「え、えーと……その……兎に角、今は嫌なの!」タタタタタッ

この効果音はいったいなんなのか……

おつ
スカート身に付けてない少女を追いかけ回す第二位

断面どうなってるんだろうな…
死に方的に考えると悪霊だしやっぱりグロいことになってるのだろうか

>>139
あ、あれは……イメージです(震え声)

>>140
死んだ場所にポトンと落ちている下半身はつけてますよ。

>>149
黒ずんでぼんやりしているか、ちぎれた内蔵が飛び出てるかはご想像にお任せします。
あと悪霊はフレンダじゃなくて木原くンです。

垣根「空飛んで見回しているが……」バサバサッ

垣根「完全に見失ったか」バサバサッ

垣根「…………幽霊のあいつは俺以外のものは全て通り抜けることができる。それこそ人間だろうと建物の壁だろうと」

垣根「おまけに俺以外の誰もあいつを見ることはできねぇときている」

垣根「警備員に捜索願いを出す事もビラ撒いて探すこともできねぇんだ。逃げに回られちまったら探すのには一苦労だろうな」

垣根「だが俺の未元物質にその常識は通用しねぇ」ゴポゴポッ

無数の極小球体「――――――――――――――――――――」ズラアアアアアア

垣根「アレイスターが使っていやがった滞空回線……今の俺ならあれを再現することも難しいことじゃねえ」

垣根「独自判断力を備えたAIを与えるとカブトムシ野郎のように万が一にも俺の制御下を離れるかもしれねえからな。AIは与えず俺の分割思考で全管理する」

垣根「いけ!」

無数の極小球体「――――――――――――――――――――」バァァアアアア

球体A『――――――――』ジッ

浜面『麦野!? どうしたんだボロボロで……。まさか第二位の奴にやられたのか!』

麦野『ああこれ。その分だとそっちにも来たみたいね、あいつ』

滝壺『それじゃあやっぱり第二位はむぎのの所にも聞きに行ったんだね』

麦野『……まぁね』

絹旗『ところで麦野。話の流れを超ぶったぎるようで申し訳ないんですけど、私の携帯がどこへ行ったか知りませんか? さっきから探してるのに超見つからないんですよ』

麦野『あ、それなら第二位が持ってたわよ』

絹旗『な、なンですとぉぉおお!?』

垣根「これでもねえ」

球体B『――――――――』ジッ

上条『見ろインデックス! 今日の夕ご飯は豪勢に寿司だぁぁああああああああ!!』

インデックス『す、凄いんだよ! とうまが御寿司を買ってくるなんて、これは世界終末の前触れかも』

上条『ふふふふ。甘いなインデックスさん。今日の上条さんは一味違うんですよ。特売で売ってた賞味期限ぎりぎり90%OFF。貧乏学生たちの戦いを潜り抜け手に入れたものこそ、この御寿司なのですよ』

インデックス『賞味期限ぎりぎり?』

上条『ああ。丁度今日の夜6時までだ』

インデックス『けどとうま。もう7時だよ?』

上条『え? って上条さんの時計一時間遅れてる! 不幸だーーーーーーーーーー!!』

垣根「これでもねえな」

球体C『――――――――』ジッ

白井『ぐ、へへへへへへへへへへへ。お姉様のパンティーをゲットですの……』

白井『い た だ き ま す』

白井『クンカクンカスーハースーハーペロペロペロペロクンカクンカスーハースーハーペロペロペロペロペロ』

御坂『黒子』

白井『スーハースーハクンカクンカ――――――って、え! お、お姉様!? 何故ここに……。お姉様はさっきお出かけになったばかりですのに』

御坂『忘れた財布を取りに戻ったら……アンタってば人の下着でなにやってるんだか。覚悟は出来てるんでしょうね』ビリビリ

白井『――――――優しくして欲しいですの?』

御坂『するかぁあああああああああああああああああああ!!』バリバリバリィ

白井『ぬっほおおおおおおおおおおおおおお!!』

垣根「……………………見なかったことにしよう」

球体D『――――――――』ジッ

フレンダ『はぁはぁ……な、なにも考えず逃げてきちゃったけど撒けたみたいね』

垣根「見 つ け た」

フレンダ『急に逃げ出しちゃって垣根には悪いことしちゃったかな。でも……』

垣根「さて、と。逃亡者を見つけたことだし、サクッと首根っこ捕まえて死に場所に連れていくとするか」

フレンダ『私は―――――』

垣根「要らねえ手間かけさせやがって。学園都市中に散布した球体は自壊させてっと。流石に学園都市中に目をばら撒いて一括管理すんのはちと疲れたな」

垣根「この分の礼はきっかりと」

フレンダ『結局、逝きたくなんかない訳よ……』ポロポロッ

垣根「――――!」

フレンダ「また一人になっちゃったな……」

フレンダ「幽霊なんだし。こっちから顔出しにいかない限り、垣根も見つけられないよね」

フレンダ「垣根だっていつまでも私なんか探すほどお人好しじゃないし。私に付き合ってくれたのだってただの暇潰しみたいなものなんだろうし、もう私のことなんて忘れてホテルでヌクヌクしてるのかなー

フレンダ(こうやって思い返すと、垣根と一緒にいてそこそこ楽しかったのかも。勿論アイテムの皆と一緒にいた時の方が愉しかったけど、幽霊になってから誰かと喋るなんてしてないし)

フレンダ(だからって今更垣根に会いに行くわけにもいかないよね)グスッ

垣根「随分と逃げたじゃねえかフレンダ」

フレンダ「う、嘘! どうしてここが分かったの」

垣根「何度言わせんだよ。俺の未元物質に常識は通用しねえんだよ」

フレンダ(未元物質。前から出鱈目な能力だと思ってたけど、まさか幽霊の私を探しだすなんて。結局とんでもない能力な訳よ)ヒヤッ

垣根「もう逃がしゃしねえ。さっさと行くぞ、お前の死んだ場所に」

フレンダ「頼んでおいて悪いんだけどさ……。私、やっぱり下半身を取り戻すのはやめようかなーなんて」

垣根「分からねえな。地べた這いつくばってテメエの下半身探してたのはテメエ自身だろうが」

フレンダ「き、気が変わったのよ!」

垣根「じゃあなんだ? わざわざお前に付き合ってやった俺は骨折り損ってわけかよ。第二位を扱き使って目的達成目前にポイってか。舐めてやがるな、余程愉快な死体になりてえとみえる」

垣根「ってもう死んでたかお前は」

フレンダ「うぅ……こうなったら、三十六計逃げるって訳よ!」ビューン

垣根「はぁ。逃げ足――――足はねえが、逃げる速度は速ぇな」

垣根「だがもう無駄なんだよ。お前がそういう行動に出るのは予測済みだ。既にこの辺り一帯にゃ未元物質を散布済み。後は」ダンッ

垣根「テメエをあの場所に追い込むだけだ」バサバサッ

フレンダ「ついてこない? 今度こそ諦めたの」

垣根「誰が諦めたって」ニヤリ

フレンダ「ぎゃぁぁあああああああ! そ、空から降ってきたぁぁあああ」ビューン



フレンダ「今度こそ逃げ切った訳よ」ゼーハー

垣根「逃げ切ってねえよ」バーン

フレンダ「冷蔵庫の中に潜んでたぁあああああああああああ!」ビューン



フレンダ「なんで逃げる場所逃げる場所に垣根が先回りしてんのよ。だけどアイテム時代の隠れ家の一つだったここなら」

垣根「ようフレンダ。この隠れ家、中々快適だな」ノビノビ

フレンダ「ぎゃあああああああああああ!! なんか勝手にジュース出してくつろいでるぅぅうううううう!」

フレンダ「つ、疲れたわ……結局、幽霊も全力で飛び回れば疲れる訳ね……」

フレンダ「はぁ……はぁ……はぁ…………あれ、ここどこだろ」


シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン


フレンダ「どこかの廃ビルみたいなところだけど、見覚えがあるようなないような」

フレンダ「っ! あ、あれって!」

下半身「」ポツーン

フレンダ「ま、間違いないわ! あれは私の下半身……。じゃ、じゃあ結局ここって――――」

垣根「そうだ」

フレンダ「!」

垣根「埒が明かなかったんでな。ここまでお前を誘導させて貰った」

垣根「ここがお前の死んだ場所だよ、フレンダ」

麦野『フレンダぁ。アイテムの情報洗いざらいスクールに下呂ってテメエは自前のアジトでのんびりたぁ良い御身分だねぇ』ニヤァ

フレンダ『む、麦野……』ジリジリ

麦野『テメエも仮に暗部だ。裏切り者の末路ってもんくらい分かってるわよねぇ』ニタリ

フレンダ『お願い! 許して麦野!! 悪気はなかったのよ、私だって麦野たちのことを喋りたくなんてなかったの! ……で、でもアイテムの情報を喋らないと殺すって言われて』

麦野『なら死ねよ』ダンッ

フレンダ『ひっ!』ビクッ

麦野『いっつもヘマやって私達に尻拭いさせてきたアンタだけど、ここまでやってくれるなんて悪い意味で驚きだわ。使えねえ道具はさっさと殺処分しないとねぇ』

フレンダ『やめて!! 謝るから、今度は絶対に裏切ったりしないから!! 今度は絶対、スクールだって倒すから!! わ、私には妹だっているし、死にたくないの! 死にたくないのよ……ここで殺すより、生かしておいた方が麦野の役に立つ訳よ』

麦野『………………』

フレンダ『ごめんなさい……死にたくないのぉ。許して、麦野』グスッ

麦野『死ね』ズバァァアアアアアアアアアアアアアアアア

フレンダ『い』







フレンダ「いやぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

垣根「どうやら思い出したようだな、全部」

フレンダ「そうよ! ここで私は殺されたのよ! 麦野の原子崩しで上半身と下半身を真っ二つにされて死んだのよ!!」

垣根「………………」

フレンダ「信じられないでしょ。余程原子崩しの威力が鋭かったからかな。私ってばさ。真っ二つにされても暫くは生きていたのよ」

垣根「――――そいつは」

フレンダ「上半身だけになっちゃって苦しむ私をさ! 麦野が笑いながら私の手を引っ張って歩いていくのよ! 私が痛いって言ったらもっと面白そうに笑って、そうやって引き摺られているうちに私は死んだの!!」

垣根「テメエも死ぬべき時に死にきれなかった口かよ」

下半身「」ピクッ

垣根(フレンダの下半身が動いた?)


フワッ グググググググググッ パァァアアアア


フレンダ「ハァハァハァ……」

垣根「上半身と下半身がくっついた、か」

垣根(なんかの本で見た事がある)

垣根(自分が死んだ事実が受け入れられなかったり、死んだことに気付かなかった霊が死んだ後も自分が死んだ場所に留まり続ける幽霊)

垣根(土地に縛られた霊と書いて確か地縛霊だったか)

垣根(さしずめこいつはその逆だな。『自分が死んだ』っていう事実から逃げて、自分が死ぬ瞬間の記憶を忘却して彷徨う浮遊霊)

垣根(しかも生きたまま引き摺られてたせいで、死んで幽霊になった時は『死んだ場所』から離れていた。そのせいで更に事態がややこしくなっちまった)

垣根(上半身と下半身がくっついたのは、自分が『死んだ場所』に来た事で自分が死んだっていう事実を否応なく突きつけられたからか)

フレンダ「ひくっ……ぐす……うわあああああああん!」

垣根「チッ。胸糞悪ぃ。――――こいつを見ていると、無性に腹が立ってくる」

フレンダ「なんで『アイテム』で私だけが死んじゃうのよぉ」グスッ

フレンダ「死にたくなんて、なかったよぅ。死んでなかったら皆と一緒に幸せだったのに……。麦野だってずっとずっと優しくなったのに。どうして私は死んじゃってるのよ」グスグスッ

垣根「……………それで、逝きたくなんかないってことか。」

フレンダ「はは、は。笑えるでしょ。暗部で散々殺しておいてさ、殺されたのだってわりと自業自得なのに麦野どころか……内心ちょっとだけ滝壺や絹旗のことも恨んじゃってるんだ私」

フレンダ「皆が私のことを忘れてないことなんかみんなの会話聞いてるから知ってるのにさ。私がいない『アイテム』で幸せそうにしていると羨んじゃって、妬んでるの……」

垣根「麦野やアイテムと接触するのを嫌がった理由も本当はそれか」

フレンダ「うん」コクリ

フレンダ「でもね、アイテムのことだけじゃないんだよ」ボロボロッ

フレンダ「前にフレメアがアイテムの皆に囲まれて守られているのを見て、どうしてこれが私じゃなかっただろうなんて思っちゃったんだよ私」ポロポロッ

フレンダ「最低だよ……お姉ちゃん失格だよ………結局、こんなんだから私は死んだんだろうね。ホントどうしようもない訳よ」

パァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーー


垣根「空間が、割れて……光が」

フレンダ「どうやら年貢の納め時、みたいね。幽霊なんかになっちゃって、こうしてフワフワ漂ってたけど、それもおしまい」

垣根「!」

フレンダ「私みたいな自己中。結局さっさと成仏しなきゃいけない訳よね……」

フレンダ「さよなら垣根。……人生終了の先輩として一つアドバイスしとくけど、折角生きてるんだから死んじゃうのは勿体ないわよ。死んだら、もう生きてる人に会えなくなるんだから」

垣根「お、おい!」

フレンダ「短い付き合いだったけど、ありがとね」

垣根「フレンダ!!」

垣根(なにを焦っていやがる……?)

垣根(フレンダの奴が成仏しようと、この世から消え去ろうと俺には関係ねえ。このまま見送って『はい、さよなら』。明日に備えて今日は早く寝るか……それで終わりのはずだ)

垣根(だってのに――――)

フレンダ『さよなら垣根』

垣根(なんでこうも苛々する……!)

垣根(ふざけるなよ。俺は一方通行や第四位とは違う。俺は外道の糞野郎だ。贖罪なんざ糞喰らえだ。人助けなんてもっと糞喰らえ)

垣根(俺は間違っても善人じゃねえんだ。こいつに付きやってやったのだって単なる暇潰し。こいつがどうなろうと知ったこっちゃねえんだ……!)


フレンダ『私がいない「アイテム」で幸せそうにしていると羨んじゃって、妬んでるの……』

フレンダ『前にフレメアがアイテムの皆に囲まれて守られているのを見て、どうしてこれが私じゃなかっただろうなんて思っちゃったんだよ私』


垣根「――――!」


垣根『俺がムカついてんのはなぁ。そいつの存在そのものなんだよ。垣根帝督はこの俺だ! 糞ったれな悪党で下衆野郎だがこの俺だけが垣根帝督なんだよ!』

垣根『垣根帝督は俺一人だけだ。他の誰でもねえ俺だけが垣根帝督だ。テメエは……存在が邪魔なんだよ』


垣根「ああそういうことだよ」

垣根「そうだったのかよ、糞野郎」

垣根(死んで幽霊になっちまって自分の居場所をなくしっちまったこいつ)

垣根(そして復活して学園都市に戻ってきたら、カブトムシが垣根帝督に成り変わっていた俺)

垣根(下らねえことに、俺はこいつと自分を重ねてたってことかよ)

垣根「俺としたことが、ここまでチャチな精神構造だったなんてな。我ながら呆れるしかねえよ」

垣根「だが俺と同じフレンダは自分の醜さってのを悔い改めて大人しく成仏しようとしていやがる。殊勝なことに天の意志に従って成仏しようってわけだ。ククククッハハハハハハハハハハハハッ!!」

垣根「ム カ つ い た」


ドバァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!


フレンダ「きゃぁ! 羽根で光ぶったぎるって……。人が静かに成仏しようとしてたのにいきなりなにすんのよ!!」

垣根「うるせぇ。こんな光なんてのはなぁ。こうだぁあああああああああ!!」ドガドガドガッ

フレンダ「成仏の光が踏み潰された!?」

フレンダ「どうするのよもう。成仏の光を粉々にするなんて。結局、もうどうすればいいのか分からない訳よ」

垣根「おい」ズイッ

フレンダ「な、なによ」

垣根「お前、逝きたくねぇんだろ」

フレンダ「そんなの当然じゃない! 私だってもっと生きていたかったわよ! でも仕方ないでしょ。私は幽霊なんだから成仏しないといけないんだし」

フレンダ「それにアイテムどころか妹にまで嫉妬してる私なんて……」

垣根「生きてる奴等に嫉妬してるから悔い改めて成仏する? いつからお前は善人に鞍替えしてんだよ」

垣根「プライドなんざ投げ捨て、敵の靴舐めて情報下呂って仲間売り払ってでも自分の命最優先。そんな小悪党がテメエだろ」

垣根「だったら下らねえ理由で殊勝に成仏しようとするんじゃねえよ」

垣根「幽霊でいいじゃねえか。飯も食えねえし物が動かせねえでも感覚的には生きてる人間と変わらねえんだろ」

垣根「成仏してあっちに逝くなんざいつでも出来る。だったらお前がもう生きてるの飽きたって思うまで成仏しねえでこのままこっちにいりゃあいい」

フレンダ「で、でも結局、幽霊の私は他の誰とも喋ることもできないし――――」

垣根「何言ってんだ。俺とは喋れるだろ」

フレンダ「!」

垣根「言ったろ。お前が成仏するまでは幾らでも付き合ってやるって。面倒臭ぇがな。俺自身の言っちまったことだ。責任はとってやるよ」

フレンダ「本当に、私と喋ってくれるの?」

垣根「暇ならな」

フレンダ「私の変わりに物を動かしたりとか、してくれるの?」

垣根「…………気が向けばやってやる」

フレンダ「肩揉んでくれたり、チャンネル切り替えてくれたり、部屋の掃除してくれたり、何でもやってくれる訳ね?」ニヤリ

垣根「調子のるなコラ」ポカッ

フレンダ「痛い!」

フレンダ「うぅ。け、けど私と一緒にいてくれるの?」

垣根「その代わり俺がなんかあったら幽霊としてのスキルを活かして役立って貰うぞ」

フレンダ「う、うん! それくらいこのフレンダにお任せって訳よ!」

垣根「なら……まぁ、そういうことだ」

――――垣根の宿泊するホテル


垣根「はぁ。やっぱ元々住んでた場所はもう片付けられてるか。新しい家、探さねえとな」

フレンダ「ね、ねぇ。これなんかいいんじゃないかな?」

垣根「ん? 第三学区のマンションか。なになに家賃一か月……高ぇなおい」

フレンダ「垣根って第二位の超能力者でしょ。だったらこんなリッチな所でもノープロブレムって訳よ!」

垣根「あのなぁ。そりゃ前は奨学金やら暗部での仕事やらで金は入って来たが、今は暗部はねえしンなことに無駄使いしたくねえんだよ」

フレンダ「えぇー!」

垣根「大体んな広い場所に一人暮らしなんざしても掃除がだりい。そもそもここじゃ襲撃された時に不利だ」

垣根「やっぱり住む場所は……ここなんか前のスクールの隠れ家に近ぇ位置にあるな。それに警備員の詰所も近いから、学園都市の糞野郎共も襲撃がしにくい……」

垣根「ここにすっか」

フレンダ「垣根ってさ」

垣根「あ?」

フレンダ「悪党だなんだって言うけど、私の成仏引き留めてくれたりして意外と優しいとこあるのね」

垣根「あぁ! テメエな。悪党の俺が優しさなんて発揮するわけねえだろうが! 微塵切りにしてやんぞ」ギロリ

フレンダ「ほ、ほんの冗談じゃない」

垣根「勘違いしてるようだから言っておくが、俺は悪党だ。人助けなんて死んでもしねえよ」

フレンダ「じゃあ、なんで私を引きとめたりしたのよ」

垣根「……悪党だからな」

フレンダ「答えになってない訳よ」

垣根「チッ。いいか? 生きてる人間を助けて死んだ人間を成仏させんのがヒーローだ」

垣根「だったら悪党ってのはその逆。生きてる人間はぶっ殺して、死んでる人間を成仏させねえもんだろ」

フレンダ「初めて聞いたんだけど、そんな理屈」

垣根「俺がそうって言うんだからそうなんだよ」

フレンダ「まぁなんにせよ、幽霊な私だけどこれから宜しく垣根」

垣根「……ああ」

一段落したところでここまでです。
さて。このまま完結にするか、それとも他の幽霊も出すか…………


もしグダりそうなら要らない

話の展開上必要なら出せばいいんじゃない?

駒場さんとか未練ありそうな無さそうな

イチャイチャはよ

もうこのまま幽霊を集めて新「スクール」を結成すればいいんじゃないか?

だがしかし端から見てるとただの痛い人だという

霊媒物質ていとくん

最近の原作はなかなか主要キャラが死なないし「実は生きてました」な展開もあるから、
間違いなく死亡確定してるキャラの活躍するところは見てみたい気もする

そのうち滝壷や、インさんとかの魔術勢にフレンダ認識されそうだなー。

これは我らが天井さんの出番ですね!

それで生き返りましたー!って作中の死を陳腐化する展開?
やめてくれ
展開的にミソクソ過ぎる

>>176
このssを書いた目的の一つは麦野とかアイテムとかフレメアにドロドロと屈折した感情を抱いているフレンダを書きたい、というところからきていますからね。

>>177
駒場はねぇ。フレンダと違ってドロドロな未練はありません。

>>179
悪党気取っているイケメルヘンのイチャイチャとな。一体どうすればいいんだってばよ?

>>180
おばけにゃ学校も試験もなんにもない

>>182
何もない所に向かって喋るイケメルヘン。あかん傍から見たら普通に薬中や

>>184
霊媒物質ていとくん、もしくは地獄メルヘンていとくん

>>188
原作で人が死にまくれば一杯幽霊出せ……ゲフンゲフン

>>190
インデックスはいつか出したいような気がするキャラです。

>>193
天井さんは生死不明なんですよね。テッラは学園都市にいないし

>>201
垣根以外の生きている人間が幽霊を見るという展開はあるかもしれませんが、少なくとも死者蘇生が起こることはありません。
なのでぶっちゃけフレンダが未元物質の体を得て復活からのハッピーエンドとかはありません。

垣根「…………」ペラペラ

フレンダ「はぁ~~。話し相手が出来たのは良いけど結局、鯖缶が食べられないのは辛い訳よ」ハァ

垣根「なぁ」

フレンダ「なに?」

垣根「お前さ。幽霊だろ」

フレンダ「うん」

垣根「物に触れることとか出来ねぇだろ」

フレンダ「そりゃ見ての通りって訳よ」サバカンスカッスカッ

垣根「だが俺はお前に触れられるし、俺の生み出した未元物質もお前は触れることができる」

フレンダ「だからそれがどうしたのよ」

垣根「いやつまりだよ」

垣根「俺がお前に触れられるってことはだよ。こうやってお前と手を繋ぐこともできるわけだろ」ギュ

フレンダ「え?」キュン

フレンダ(なになになに!? いきなりどうしたって訳!? ま、まさかここで私を……。そ、そんな私にも心の覚悟ってものが)

垣根「なぁフレンダ」

垣根「お前と手を繋いでいると、俺は確かにお前の体温を感じる」

垣根「他の誰にも感じることはできねえが、この俺だけは感じることができる」

フレンダ(まさか……まさか、垣根ってば本当に)ドキドキ

垣根「ということは、お前」

フレンダ「な、なに?」ドキドキドキッ

垣根「エロいことできんの?」

フレンダ「」

垣根「おい聞いてんのかよ。エロいことだよエロいこと」ギャーギャー

垣根「手の体温を感じるってことは他の部分の感覚もあるってことだろ」

垣根「ということは手じゃなくて俺の×××をお前の×××に挿れても感じるってことじゃねえか」マジマジ

フレンダ「」

垣根「要するに幽霊なお前だけど、幽霊に触れられる俺は幽霊と××××できるんじゃね?」

垣根「いや××××だけじゃねえ。××××すりゃ当然俺の×××からお前の××に××が注がれるわけだろ?」

垣根「そして仮にお前が××したとしたら果たして妊○とかすんのか」

フレンダ「」

垣根「さっきから気になって仕方ねえんだけどお前はどう思う?」

フレンダ「うわあああああああああああああ!!」ボカッ

垣根「痛ぇ! いきなりなにすんだ!」

フレンダ「それはこっちの台詞な訳よ! 返せ! 乙女の純情を返せ!!」ワーワー

垣根「え? まさか処女だったの?」

フレンダ「うがぁああああああああああああああああああああああああああ!!」ギャーギャー

垣根「……なんか悪かったな」ポン

フレンダ「同情されると逆に腹立つんだけど!?」ピキッ

垣根「あれだよな。始めては好きな人に……とかなんとか言っておいて後生大事に処女守ってたら、捨てる前に命の方を捨てちまったタイプだろ?」

フレンダ「いいから黙れぇええええええええええええ!!」

垣根「ぬおっ!? 俺の部屋のテーブルが浮いた!? これがポルターガイストってやつか。テメエ、そんな能力があったのか?」

フレンダ「これでも喰らえ!!」ドガァァアアア

垣根「効かねえ」バサバサッ

フレンダ「ぜーはー」ゼェゼェ

垣根「漸く諦めたか。おうおう部屋散らかしやがって。掃除すんの誰だと思ってんだよ」

垣根「まてよ。お前のポルターガイストで掃除とかできねぇの?」

フレンダ「け、結局無理って訳よ……。アンタ相手に激昂してたら勝手に出来ただけだし」

フレンダ「そもそもアンタの未元物質で実験して分かったけど、幽霊の私が物を動かすのにはとんでもない労力がいる訳よ」

フレンダ「具体的には生きてた頃の十倍くらい」

フレンダ「暴れてるときは怒ってて気づかなかったけどもう無理。一歩も動けない……」クテッ

垣根「仕方ねぇな。未元物質で作ってやったベッドでテメエは寝てろ。掃除の邪魔になる」

フレンダ「らじゃーってわけよ」

垣根「はぁ。だりぃ。掃除なんて前は下部組織の奴等にやらせてたってのによ」ソウジソウジ

垣根「いっそ業者でも呼ぶか?」

垣根「…………いや、まてよ。んなことしねぇでも俺の未元物質を使えば……」

垣根「面白ぇ。やってやろうじゃねえか」ニヤァ

垣根「俺の未元物質に常識は通用しねえ」

フレンダ(結局、前よりちょっとだけだけど明るくなってる訳よ)

フレンダ(なんか良いことあったのかなぁ)

フレンダ「ん?」

フレンダ(これ垣根がさっきから読んでた本じゃない)

フレンダ(あの垣根が読む本といえば…………ま、まさか男子学生がベッドの下に隠し持っているっていうあの!)

フレンダ(結局、復讐のチャンスって訳よ)ピカーン

フレンダ(私にあんなセクハラかました分、これをネタに散々からかい倒してやるんだから!)

フレンダ「そうと決まれば、どれどれ」フムフム

フレンダ「………………あり? 『闇の住人達との遭遇』? なにこの本……」

垣根「おい、人が未元物質ロボに掃除をやらせ終わったってのにお前はなにしてんだ?」

フレンダ「!」ギクゥ

フレンダ「これはその、えと」アセアセ

垣根「ああその本か」

フレンダ「結局さ、この本なんなの? 表紙になんかホラー映画に出てくる怪物の三割増しくらいリアルなのがいるけど」

垣根「幽霊とか妖怪とかオカルトに関係する本だよ」

垣根「学園都市で一番デカい図書館からパチってきた」

フレンダ(……パチってって)

垣根「学園都市の科学者に幽霊が見えるんだがどうすりゃいいなんて聞くわけにはいかねえだろ」

垣根「木原一族ならなんか分かるかもしれねえけど、俺あいつら好きじゃねえし」

垣根「だからいっそこういう胡散臭い本の方が参考になるんじゃないかと思ってな」

フレンダ「信用できるの?」

垣根「さぁ。一応書いたのは昔TVでも有名でもう行方不明になっちまった霊能力者の息子らしいが……」

フレンダ「ふーん、これがねえ」ツンツン

垣根「そういや腹減ったな」グー

フレンダ「突然なによ」

垣根「腹減るのは突然なもんなんだよ」

垣根「……外に食いに行くか」

フレンダ「自炊は?」

垣根「お前は、俺が料理する人間に見えるのか?」

フレンダ「ふーん。麦野は偶にしてたけど」

垣根「は? 第四位が料理ぃ……?」モクモクモク



麦野『ぎゃはは!! おーおー、どこから焼いてやろうかしら? この小さなトマトをジュージューやっちゃう? それとも白のドレッシングぶちまけて真っ白にしてやろうかぁ!?』

麦野『関係ねえよ!! カァンケイねェェんだよォォォ!! 大根なんざ包丁なくても能力で100回ブチ切れるんだよォぉぉぉぉぉッ!!』

麦野『しゃぁけーべぇーん』



垣根「恐ぇ」ブルブル

フレンダ「どうしたの?」

垣根「いや第四位の料理風景をイメージして寒気が」

フレンダ「どんなの創造してるか大体の予想つくけど結局そこまで酷くない訳よ」

垣根「本当か?」

フレンダ「そうよ。それに確かに麦野はキレると手がつけられないけど、いっつもあんなんじゃないし」

フレンダ「普段は寧ろ冷静なお姉さんタイプだったかな」

垣根「あの第四位がねぇ。キレてる時のインパクトが強すぎてイマイチ想像できねえ」

フレンダ「気持ちは分かるわ」ウン

垣根「って第四位のこたぁどうでもいいんだよ。んなことより飯だ飯」

垣根「こうして外に出てきたのは良いが」キョロキョロ

垣根「いざ出てきてみると何を食うか迷う」

フレンダ「あそこ! あそこの御寿司屋は鯖が美味しい訳よ!」

垣根「お前は食えねえがな」

フレンダ「……」ショボン

垣根(露骨に落ち込んでやがる。何度目だよこのやり取り。こいつには学習能力ってものがねえのか)

フレンダ「なにか失礼なこと考えなかった?」

垣根「考えてた」

フレンダ「ちょ、そこは嘘でも否定するところでしょ!」

垣根「面倒臭ぇ奴だな。なら考えて無かった。これで良いか?」

フレンダ「……もういいわよ」

垣根「考えても埒が明かねえな」

垣根「考えるのもだりぃしあのファミレスにするか」テクテク

フレンダ「結局テキトーな訳ね」

垣根「うるせぇ」テクテク


ポンッ


垣根「っと。悪ぃな、前見てなかった」

初春「いえ。私も友達と話すのに夢中で前を見て無かったんでお互い様で……す……あ、あなたは!?」

垣根「あぁ?」

白井「どうしたんですの初春? いきなり大声をあげたりして」

佐天「うわ、イケメンだねこの人。初春の知り合い?」

御坂(あれ、こいつどこかで……?)

初春「あ、あなたは…………」

フレンダ「第三位は分かるけど、この頭が花畑なの誰? 知り合い」

垣根(覚えてねえ。誰だこいつ)

初春「この人です、御坂さん! 10月9日にアホ毛ちゃんを狙っていた人っていうのは!」

御坂「!」

垣根「10月9日……? あー、あの時の風紀委員か」

フレンダ「やっぱり知り合いだったわけ?」

垣根「ああ。第一位の糞野郎を誘き出す餌にな。あの野郎が後生大事に抱えてやがるクローンの餓鬼を捕まえようとして、餓鬼と一緒にいたこいつに話を聞いたんだが」

フレンダ「聞いたんだが?」

垣根「こいつが想像以上に強情でな。表側の人間には出来る限り手ェ出したくなかったが、全然下呂しねえんで仕方なくボコった」

フレンダ「なんか脅されて直ぐにアイテムのこと話しちゃった私には色々複雑な訳よ」

佐天(この人が初春に酷いことした人っていうのは分かるんだけど、さっきからなにしてるのか気になって仕方ないなぁ)

白井(この殿方はさっきから何もない場所にさも人がいるかのように話しかけてどうしたんですの?)

初春(そういえばあの時は白い人が割って入って助けてくれたけど、まさかその人にやられて頭がおかしく?)

御坂(こいつ、まさか……)

垣根「という訳だ。あん時は一方通行を誘き寄せるためにあの餓鬼が必要だったが、もう第一位の住んでる場所も分かってるしな」

垣根「俺としてもテメエをどうこうする理由はねえ」

初春「……あなたは」

垣根「あ?」

初春「あの人にやられて、改心したんですか?」

垣根「ハッ!」

垣根「するわけねえだろバーカ。悪党が治るのは死んだ時だけってのがお約束だろ」ニヤリ

初春「っ!」

垣根「で、どうする? 悪党の俺を風紀委員らしく逮捕でもするか?」

白井「そこまでですの。アナタが何者でどんな精神の捻くれた野郎だかは知りませんけど、私の同僚に手を出すなら容赦はしませんの」

御坂「――――黒子、アンタは下がってなさい。やるなら、私がやるわ」ビリビリッ

初春「だ、駄目です御坂さん!」

佐天「なに言ってるのよ初春。御坂さんなら大丈夫だって」

佐天「なんたって常盤台中学が誇る学園都市第三位の――――」

初春「それでもダメなんです! バンクで調べて見ました! 垣根帝督、彼は」

御坂「知ってるわよ。第二位でしょう」

白井(第二位!? お姉様より格上のLEVEL5!?)

佐天「嘘。それじゃこの人が御坂さんより順位が上の超能力者の一人なんですか……」

垣根「分かってんなら話が早ぇ。やるのかよ格下」ニヤリ

御坂「あんまり舐めないでくれる? こちとらね。友達がやられてムカムカしてんのよ」

フレンダ「結局なんでこうなっちゃうかなー」

フレンダ「垣根ってもうちょっと平和的にいけないの?」

垣根「周りが平和的じゃなかったんでな」

御坂「余所見とは良い御身分ね。余裕かましてると痛い目みるわよ?」

垣根「……第三位。お前、前に第一位の野郎と戦って完敗したそうだな」

御坂「っ! それがどうしたのよ」

垣根「あの野郎に一度ぶっ潰されてグチャグチャにされた俺が言うのもなんだが」

垣根「少なくとも今の俺はお前が完敗した頃の一方通行より強ぇ」

御坂(ハッタリ!? だけどこいつの自信は)

垣根「いいぜ。相手してやるよ格下。なに殺しはしねえ。軽く痛めつけてやるだけだ」

御坂(手加減は、不要! 一気に)ビリビリビリビリ

主婦「あ、手元が狂って花瓶が……」


ズコーンッッ!!!


御坂「げこたっ!?」バリバリバリィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ

垣根「なっ!」バサバサッ

フレンダ「きゃっ!」

白井「初春、佐天さん。掴まって!」

御坂「」プークスクス

白井「お姉様! しっかりして下さいですのお姉様!」

佐天「初春! 救急車を」

初春「もう呼んでます! ああどうしてこういう時のコールって長く感じるんでしょう」アセアセ

フレンダ「上から花瓶が落ちて頭にドカンって。なんてベタな」

フレンダ「いつもの第三位なら体から発してる電磁波的なやつで回避なんて楽勝だったのに、無駄に垣根に意識を集中させ過ぎたせいね」

垣根「俺のせいかよ」

フレンダ「だって前に私が同じような攻撃した時は防がれちゃったんだし、そうとしか考えられない訳よ」

フレンダ「おまけに放電寸前にズトンだから、溜められた電気が放出されちゃって大惨事」

フレンダ「幽霊じゃなかったら私もやばかったわ……」

御坂「」コテン

白井「こうなったらこの白井黒子。お姉様のために人工呼吸をしなくては」

初春「白井さん、こんな時くらい抑えて下さい!」

佐天「御坂さーん。もう直ぐ救急車が来るから安心して下さいね!」

垣根「…………アホらし」

というわけで今日はここまで。
本当は今日中に二人目の幽霊出したかったのに、要望のあったイチャイチャ書いてたら辿り着けなかった……
ただこのタイミングでビリビリが登場したということで、二人目が誰なのか予想はできると思います。

駒場が出てきて垣根の隣でフレンダとイチャラブする展開じゃないのか……


>御坂「」プークスクス
てのは?みこっちゃん何を笑ってんの?

初春相変わらず黒いなあww

>>228
駒場とフレンダってフレメアを繋いでの間接的には兎も角、直接的な繋がりってあるのだろうか?

>>229
笑ってるんじゃなくて黒焦げになってるだけです

垣根「腹減ったな」グー

フレンダ「昨日も同じこと言ってたわよね?」

垣根「人間は毎日食わねえと死ぬんだよ。だから毎日腹減るのは人間のメカニズムとしてなんらおかしいことじゃねえ」

垣根「しかも昨日は第三位のせいで結局目当ての店に行けなかったしな。今日こそは行ってやる……」

フレンダ「結局そんなに行きたかった訳? ただのファミレスなのに」

垣根「理屈じゃねえよ。第二位としての意地の問題だ」

フレンダ「そう言うけど昨日だってアンタの方が喧嘩売るような態度とんなきゃ別になんにもなかったのに」

フレンダ「御節介かもしれないけどさ。ちょっと抑えた方がいいんじゃないかな~とか、言ってみたり」

フレンダ「正直麦野より沸点低いかもよ?」

垣根「あの第四位よりも、だと?」

フレンダ「うん」コクコク

垣根(第四位より沸点が低い? この俺が)

垣根(馬鹿な。俺がアレより、だと?)

垣根(やべぇ。かなりショックだ)ガーン

フレンダ「どうしたの?」

垣根「………………腹減ってると苛々するもんなんだよ」

フレンダ「?」

垣根「兎に角さっさと目的のファミレスに――――ん? テメエは!」

御坂「あ、アンタ! また!」バッ

フレンダ「あちゃー。二日連続なんて付いてない訳よ。どっちも」

垣根「第三位かよ。今日はテメエみてえな格下の相手をする気はねえってのによ」

御坂「格下って舐められるのは気に入らないけど、今回はアンタと同意見よ」ボロッ

垣根「まぁ頭にそんな包帯してちゃあな」チラッ

フレンダ「あれ? それに服がなんか汚れてる……?」

御坂「別に大した怪我じゃないわよ。リアルゲコ……医者の先生によれば脳にもまったく異常がなかったらしいし」

垣根「悪運の強い奴だ」

垣根(いや悪運の強さなら俺が言えたことでもねえか)

御坂「じゃあね」テクテク

フレンダ「うーん。昨日あんなにアホみたいな感じにノックダンしたのがよっぽど堪えたみたいね」

垣根「第三位のことなんざどうでもいい。それより飯だ飯」


ズテェエエエエエエエエエンッ!!


御坂「誰よ、こんな所に財布落としたのはぁぁあ! お陰で転んじゃったじゃないの!!」

上条「おおぉ! それは上条さんが落としてしまった財布! ビリビリ、お前が見つけて――――」

御坂「アンタのせいかぁぁああああああああ!!」ビリビリビリィィィイ

上条「ぎゃあああ! 不幸だぁああああああああ!!」

垣根「…………騒がしい奴等だ」

店員「ありがとうございました~♪」

垣根「ふぅ。食った食った」

フレンダ「よくあれだけ食べれるわね。結局、男だとあんなに入るの?」

垣根「女だって大概だろ。この前、バイキングでありとあらゆるメニューをブラックホールのように呑み込んでいく白いシスターを見たぞ」

フレンダ「なにそのシスターこわい」

垣根「あのシスターだけじゃねえ。ケーキバイキングとか女がよく並んでこれでもかっていうくれえ食ってるだろうが」

フレンダ「け、ケーキは別腹なのよ!」

垣根「心配するな。どうせお前に腹なんてねえから。幽霊だし」

フレンダ「そうだった。私は幽霊だからお腹なんて……はっ! ということは体重計を気にしなくて食べ放題ってことなんじゃ」

垣根「だから食えねえだろ幽霊は。このやり取りもう数えきれねえほどしたのにまだ学習してねえのか」

フレンダ「……仕方ないじゃない。食欲は人間の三大欲求の一つなんだから。死んでもやっぱり食べたくなることはあるのよ」

垣根「三大欲求ね」

垣根「ハッ!!」

垣根「三大欲求は健在ってことは性y」

フレンダ「言わせない訳よ」

フレンダ「でね。垣根が寝てる間にやってたアニメの主人公がまた――――」ペチャクチャ

垣根「ああ」

垣根(考えりゃ幽霊のフレンダと一緒にいてもう一週間)

垣根(冷静に分析すると俺は幽霊に憑りつかれてることになるのか?)

垣根(だがこんな生活が悪くねえと思い始めている自分が腹立たしい……)ギリッ

垣根(垣根帝督は悪党だ。こんな表に浸って日寄ってるような人間じゃねえってのに)

フレンダ「ちょっと話聞いてる訳?」

垣根「聞いてる聞いてる」

垣根(だがこんな生活が長く続くわけがねえ。どうせもう直ぐ学園都市の闇の方から俺に接触してくるはずだ)

垣根(スクールがねぇ以上、学園都市への叛逆計画も一から練り直さねえといけねえが)

垣根(なに。上手くやってやるさ。俺は学園都市第二位の垣根帝督なんだからよ)

フレンダ「ちょっと垣根」ユサユサ

垣根「ああ、そうだな。面白いアニメだな」アイズチ

フレンダ「なにわけわかんないこと言ってる訳よ! それよりあれ」

垣根「あれ? なんだよあれって、具体的に言わねえと分から……あ」

御坂「………………」

垣根「またテメエかよ第三位」ウンザリ

御坂「第三位?」

垣根「はぁ。ここまでくると神の悪意まで感じるぜ」

フレンダ「二度あることは三度あるって結局本当だったわけねー」フムフム

垣根「なら四度目はねぇわけだな。あばよ第三位、今度こそ会う事もねえだろ」

御坂?「違います、とミサカはいきなり現れた謎のホスト風のチンピラに訂正を促します」

垣根「違う? って誰がホスト風のチンピラだコラ」

フレンダ「結局その口調な訳よ」

垣根「それより違うってどういうことだよ。その制服といい顔つきといい……まてよ」

フレンダ「そうした訳?」

垣根「テメエも話には聞いているだろ。第三位のクローン二万体をぶち殺して一方通行をLEVEL6へ進化させようってイカれた計画」

フレンダ「あ! それなら知ってる訳よ! ぶっちゃけ私達アイテムもちょっとだけ噛んでたし!」

フレンダ「絶対能力進化実験でしょ。仕事の後に麦野に教えて貰ったのよねぇ」

垣根「だが絶対能力進化実験はアレイスターのプランの中心の一つでもあるLEVEL0」

垣根「確か……幻想殺しとかいうのが乱入して一方通行をぶっ倒したことで中止になった」

垣根「それで残ったクローンは学園都市含めた各国の施設に送られて、人間として生きるよう調整が施されている……って風の噂で聞いた事がある」

御坂?「………………」

フレンダ「というとこの第三位は結局本物の第三位じゃなくて」

垣根「実験で作られたクローンってことだ」

ミサカ「ぐぬぬ、とミサカは劇的に正体を暴露して貴方達を驚かせようとしたのが失敗に終わったことを悔しがります」

ミサカ「貴方の言う通りです。ミサカは絶対能力進化実験で生み出されたクローンの一人。検体番号は9982であるとミサカは正しい情報を正確に伝えます」

垣根「どうやら第三位との三度目の遭遇ってのは間違いだったらしい」

フレンダ「そうみたいね」

垣根(……一方通行の実験に消費されるために作られた癖に、いざ解放されても一方通行の代理演算を引き受けているクローンか)

垣根(どこまでいっても被験者様様ってか?)

垣根(所詮はクローンはクローンだったってことかよ)

垣根(気に入らねえ)

垣根「行くぞフレンダ」

ミサカ9982号「もう行ってしまうのですか、とミサカは久々の会話の終わりを少しだけ残念がります」

ミサカ9982号「どうせならもっと話してはいきませんか、とミサカは露骨に可哀想アピールを送ります」チラッチラッ

垣根「そういうアピールは俺みてえな悪党じゃなくて善人相手にすんだな」

ミサカ9982号「仕方ありません。ミサカは自分探しの旅に戻るとします、とミサカは別れを告げます」テクテク

フレンダ「じゃあね、クローンさん」バイバイ

ミサカ9982号「はい。また機会があれば」バイバイ







垣根「――――――待ちな」

ミサカ9982号「どうしたのですか、とミサカは会話の再会を期待しながら振り返ります」クルッ

垣根「……テメエ、確か検体番号は9982号と言ったな?」

ミサカ9982号「はい、とミサカは頷きます。ミサカの検体番号は9982であると改めてミサカは自分の正体を明かします」エヘン

フレンダ「ちょっとどうしたの垣根。いきなりそんなこと改めて聞いちゃって」

垣根「そんなこと? そんなことだと」

垣根「ククククッ。馬鹿言っちゃいけねえよ」

垣根「ついさっき思い出したぜ。LEVEL0が乱入して一方通行をぶっ倒したのは第一〇〇三二次実験の時だ」

フレンダ「それがどうしたのよ?」

垣根「まだ分からねえのか。絶対能力進化実験は二万体のクローンを一人残らず抹殺していくって内容なんだぜ」

垣根「つまり10032未満の検体番号の妹達は一人残らず一方通行に殺されてねえとおかしいんだよ」

フレンダ「あ」

ミサカ9982号「…………………」

垣根「それにお前はさっき俺に向かって『貴方達』って言った」

垣根「俺は兎も角、普通の人間に幽霊のフレンダは見ることができねえ。だってのに貴方達って言ったってことはテメエにはフレンダが見えてるってことだ」

フレンダ「ええとつまりこのクローンは死んでいる筈のクローンで、それに私が見えてるってことは……ま、まさか」

垣根「そのまさかだ。テメエもフレンダと同じ幽霊だな?」

ミサカ9982号「死んでから立体映像のような存在で世に留まっている者を幽霊と呼称するのであれば」

ミサカ9982号「ミサカはその幽霊で間違いない、とミサカは同意します」

垣根「やっぱりか」

フレンダ「へぇ~。そうなんだ。アンタも幽霊ねぇ」

垣根「テメエはこれまで幽霊してて他の幽霊を見たことねえのかよ」

フレンダ「あるわよ。けど前に同業者見つけて声かけたら、一方的に意味不明な罵詈雑言ぶつけられた挙句にどっかいっちゃって」

垣根「……まぁお前がお気楽過ぎるだけで幽霊なんてそんなもんか」

フレンダ「お気楽ってなによ!」

ミサカ9982号「これまでの貴方の言動を踏まえると、9割9分9厘お気楽な人間に該当するとミサカは太鼓判をおします」

フレンダ「失礼な!」

垣根「しかし一方通行に殺されたクローンが幽霊になってるとなると、お前と同じ顔の幽霊があと10030人もいるのかよ」

フレンダ「10030人の幽霊……? なんか恐いわね」ブルッ

ミサカ9982号「いいえ。その心配は無用であると、ミサカは二人を安心させるであろう情報を渡します」

垣根「は? どうしてだ」

ミサカ9982号「ミサカたちは生命活動を行っていた頃よりミサカネットワークに接続しています」

ミサカ9982号「無論死んでからは今のネットワークに繋がってはいません」

ミサカ9982号「しかし理由は不明ですが、死んでからも生死問わず他のミサカを感じることは出来るのです、とミサカは衝撃の真実を明かします」

垣根「死んでからも、だと?」

垣根(馬鹿な。能力は脳味噌あってこそだ。脳味噌がねえ幽霊に能力が使えるはずがねえ。だってのに幽霊になっても能力が限定的に持続するだと)

垣根(いや幽霊なんてオカルトの塊を常識の枠に当て嵌まるのが間違いか。俺らしくもねえ)

ミサカ9982号「なので断言できます。少なくとも今この瞬間、幽霊として活動しているミサカはこのミサカ以外にはいません」

フレンダ「つまり10031体の同じ顔幽霊の軍団とかはないわけね」ホッ

垣根「お前だけが幽霊にねえ」ジー

ミサカ9982号「いやん照れる、と1時間前に見た少女漫画のキャラの真似をしてみます」クネクネ

フレンダ「結局棒読みすぎる訳よ」

垣根「他の個体は普通に成仏しててお前だけが幽霊してるってことは……」

垣根「お前は他の個体にはねえ現世への未練ってのがあんのか?」

ミサカ9982号「…………………」

垣根「おいどうした?」

ミサカ9982号「それが分からないのです」

垣根「は?」

ミサカ9982号「ミサカには第九九八二次実験が行われた日から今日に至るまでの記憶がないのです、とミサカは心中の不安を吐露します」

垣根「な」

フレンダ「な」

垣根&フレンダ「「なにぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!」」

店員「いらっしゃいませ~。御一人で宜しいですか?」

垣根「三人だ」

店員「は?」

フレンダ「………………」

ミサカ9982号「……………」

店員「ですが、そのお連れの方がいらっしゃいませんが」

垣根「ん? ああそうだったな。一人でいい」

店員「畏まりました。では一名様ご案内します」

垣根「なんで腹膨れたのにまたファミレス来てるんだよ俺は」

フレンダ「立ち話がだるいって言ったの垣根じゃない」

ミサカ9982号「正しくは『話が面倒臭ぇ方向にいきそうだから取り敢えず座れる場所で話すぞ』です、とミサカは補足します」

垣根「女二人いると騒がしいもんだ」

子供「ママー。あのお兄さん一人なのにぶつぶつ話してるよー。変なの」

母親「しっ! 見ちゃいけません!」

垣根「……………………」

ミサカ9982号「どんまい、とミサカはポンと慰めるよう肩に手を置きます」

垣根(言い返したくても言い返せねえ)

フレンダ「それでどういうことなの? これまでの記憶がないって。明らかに異常よこれ」

垣根「お前だって似たようなもんだったじゃねえか」

フレンダ「私のとは結局なにもかも違う訳よ!」

フレンダ「確かに私も麦野に殺された瞬間と場所を忘れてたけど、あくまでそれだけだし」

フレンダ「だけどこのクローン……ええと9982号は死んでから今日までの記憶を忘れちゃってるのよ」

フレンダ「明らかに異常って訳よ」

垣根「幽霊の記憶喪失か」

ミサカ9982号「映画化すればヒット確実ですね、とミサカは名作の予感に胸を高鳴らせます」

垣根「しねえよヒットなんざ」

店員「お客様」

垣根「なんだよ? 水のおかわりなら間に合ってるぞ」

店員「い、いえ。実は本日は混んでおりまして出来れば相席を」

垣根「相席だと?」

ミサカ9982号「相席イベントきた、とミサカはお約束のイベント到来に目を輝かせます」キラキラ

垣根「悪いが今深刻な話してる最中なんだよ。他のところにしてくれ」

店員「お話? しかしその」チラッ

垣根(チッ。幽霊が他人に見えねえとこういう時にだりいな)イラッ

垣根「……分かったよ。相席は良い。だが俺も帰る」

???「相席が嫌だから帰るって、第二位はいつから対人恐怖症の引きこもりニートになったわけ?」

垣根「テメエ」

フレンダ「え!?」

麦野「一週間ぶりね第二位」

垣根「……今日は格下LEVEL5とよくあう日だな」

店員(第二位!? ということはこの人が学園都市に七人しかいないっていう。え? それにこの女の人もLEVEL5!?)

垣根「俺はお前に構ってるほど暇じゃねえんだ」

垣根「男に飢えてんならそういう場所にでも行ったらどうだ?」

麦野「相変わらずムカつく男ねぇ。この××野郎が」

垣根「ムカつくこともできねえようにしてやろうか」ギラッ

店員(ひぃぃぃぃぃいいいいいいいい! お昼の混雑がドロドロのLEVEL5激突にぃぃい! なんでバイト初日でこうなるのよぉぉおお!!)

垣根「で、こんな所になんのようだ?」

麦野「ファミレスに来たんだからご飯食べにきたに決まってるじゃない。アンタは違うわけ?」

垣根「さぁな。テメエに話す義理はねえよ」

麦野「あっそ。店員さん、鮭弁一つ」

店員「鮭弁!? と、当店のメニューに鮭弁などは……」

麦野「鮭弁、一つ。お願いね?」ニッコリ

店員「か、かしこまりぃぃぃいいいいいいいいいいいいい!!」ダダダダダッ

フレンダ「可哀想に。同情するわー」

ミサカ9982号「人はそうやって成長するものなんですよ、とミサカは偉そうに目を細めます」

麦野「……ねぇ第二位」

垣根「垣根帝督って言って欲しいもんだ、って何度言わせりゃいいんだよ」

麦野「なら垣根。アンタさ、前に私にフレンダを殺した場所のこと聞いて来たけど」

麦野「結局どうしてだったわけ?」

垣根「お前にはもう関係ねえことだ」

麦野「…………ふーん」

麦野「で、私にあのことを聞いてアンタの目的は果たせたの?」

垣根「ああ」

麦野「そ」

ミサカ9982号「さっきから震えていますがどうしたのですか、とミサカは気遣いの声をかけます」

フレンダ「うん。まだちょっとね」

店員「お待たせいたしました。しゃ、鮭弁になります」ゼーハー

麦野「ありがと」

フレンダ(わざわざコンビニまで買いに行ったのね、この鮭弁)

垣根「おい店員、今度こそ帰る勘定」

店員「し、しかしまだ何にもご注文を頂いておりませんが」

垣根「ああそうだったな。ならただ帰る」

店員「はぁ……」

垣根「何か言いたいことがあるのか?」

店員「いえいえいえいえ滅相もない!」ブンブン

垣根「ならいいんだ」

麦野「――――――おい垣根」

垣根「んだよ」

麦野「アンタ前に死人の声が聞こえるとか言ってたけど……」

垣根「……………」

麦野「いや、なんでもない。忘れて」

垣根「そうかよ」

フレンダ「麦野……」

麦野「らしくないわね」

麦野「人間なんて死んだらそれまで」

麦野「ンなこと暗部で散々人殺して来て身に染みてるってのに」

麦野「これじゃ第一位のこと言えないわねぇ」

麦野「まさか本当の第二位が死者の声が聞けるなら、とかありもしないこと考えちゃうなんてさ」

麦野「…………………」

麦野「あっ!!」

麦野「絹旗のケータイ取り返すの忘れてた」

垣根「…………………」テクテク

フレンダ「それでどーすんの垣根。9982号の記憶喪失」

ミサカ9982号「――――――」テクテク

フレンダ「どうせ暇なんだし、私の時みたく助けてあげたら?」

ミサカ9982号「ミサカとしても自分の記憶を失ったまま彷徨うのは本意ではありません」

ミサカ9982号「第二位の頭脳を借りれたらこれほど頼もしいものはありません、とミサカは頭を下げてお願いします」

ミサカ9982号「ミサカの記憶を取り戻すのを協力して下さい」

垣根「断る」

フレンダ「なんでよ!? 今普通に協力する流れだったでしょ」

垣根「ンな流れ知るかよ」

垣根「俺は悪党だからな。自分の利益にならねえことはしねえんだよ」

フレンダ「私の時はなんだかんだで手を貸してくれたじゃない」

垣根「あれは暇潰しだよ」

フレンダ「だから今も暇じゃない」

垣根「……………」

ミサカ9982号「もういいのです、とミサカは首を振ります」

フレンダ「でも、この広い学園都市で一人で記憶探しはきつい訳よ? 私だって垣根の助けがなかったら今も浮遊霊としてプカプカ浮いてただろうし」

ミサカ9982号「安心して下さい。諦めたわけではありません。ミサカに必勝の策ありです、とミサカはサムズアップします」

フレンダ「必勝の策?」

ミサカ9982号「どうやら垣根帝督、彼はその悪そうな外見同様かなり捻くれた性格をしています」

ミサカ9982号「ミサカがただ頼んだところで余り効果はないでしょう、とミサカなりの分析結果を伝えます」

フレンダ「正しい見解ね」

垣根「おい」

ミサカ9982号「そこでフレンダ。貴方は三国志にこんな話があるのをご存知ですか、とミサカは話を振ります」

フレンダ「三国志?」

ミサカ9982号「三国志には孔明という超絶天才がいるのですが、彼は生粋の引きこもりで決して就職しようとはしませんでした」

ミサカ9982号「そんな彼を負けることと逃げることに定評のある劉備が三度も孔明の家を訪ね、それに感じ入った孔明はやっと就職を決意するという話です、とミサカはウンチクを披露します」

垣根「間違ってねえが間違ってる……」

ミサカ9982号「そこでミサカも同じことをするのです。彼の家を彼がYesと言うまで粘り強く通い、Yesの返事を引き出すのです」

ミサカ9982号「幸いミサカは幽霊ですからストーカー容疑で捕まる心配もありません、とミサカは黒い笑顔で微笑みます」ニヤァ

フレンダ「9982号……恐ろしい子!」

垣根「テメエなぁ」

垣根「分かったよ。お前みてえなのにストーキングされたらおちおち眠れやしねえ」

垣根「フレンダの言う通りやることもねえからな」

垣根「お前の記憶探し……付き合ってやるよ」

ミサカ9982号「よし、とミサカは予想以上に早くYesを引き出せたことにガッツポーズをします」グッ

フレンダ「成程。垣根に言うこと聞かせるにはそうすればいい訳ね」

垣根「感心してんじゃねえよ」

垣根「フレンダ……あんまりテメエがそういう態度とんなら、もうTVのリモコンに付着させた未元物質とってリモコン操作できねえようにするぞ」

フレンダ「酷っ! リモコンを人質にするなんて狡い訳よ!」

ミサカ9982号「貴方だけではなく貴方の能力まで幽霊に触れることができるんですね、とミサカは目の前の不思議をしげしげと観察します」

垣根「自分でも原因は分からねえがな。どうしてか復活してからこういう体質になっちまった」

垣根「ったくオティヌスならなにか分かるかもしれねえが、あの痴女に聞くのは癪だし、そもそも何処にいるかしらねえし」

垣根「……はぁ。復活してから心労がつきねえよ」

ミサカ9982号「言われてますよフレンダ、とミサカは肩を小突きます」

フレンダ「私じゃなくてアンタのことでしょ」

垣根「テメエ等のことだよ!!」

今日はここまで。10031人の幽霊妹達登場を期待していた方には申し訳ない。
10031人も描写したら10スレあっても足りないので9982号だけです。


まぁ、死んだ人間が悉く幽霊になってうろついてたら
人口密度ならぬ幽霊密度が大変なことになるわな


相変わらず面白い
あと幽霊の表面に未元物質コーティングしたら現世で普通に暮らせるんちゃう?と思った

魔術サイド、というかインデックスに聞けば見えるとは言わずとも認識できる方法ぐらいありそうな気もするが……
霊能と魔術は同じオカルトといえど別モンかなぁ?まあ良くはわからんが

■■「ふふふ。生きている私なんかより。死んだ人たちのほうが。はるかに目立っている」

>>266
幽霊になるにはやはり強い未練がないと駄目です。9982号以外の妹達が幽霊にならないのもそのあたりが原因です。
一応学園都市は魔術的記号が全然ないせいで死んだ人間が幽霊になりにくい、とかいう裏設定もありますが……

>>267
幽霊になると未元物質でさえ動かすのにかなり体力使うので、全身コーティングなんかしたら碌に動けません。
そもそもコーティングしても喋ることもできないのであんまり意味はないですね。

>>271
魔術サイドにいけば普通に幽霊が見える人がいます。それこそロシア成教なんてそのものずまりですからね。
インデックスはそれこそ十万三千冊があるので普通の人間が幽霊が見えるようになる方法から、垣根が霊視に目覚めた理由までなんでもお見通し。

>>272
■■……? 誰だっ! お、思い出せない……

垣根「……………確か、前はこの辺りを右に」テクテク

フレンダ「ねぇ」

ミサカ9982号「――――――」テクテク

垣根「なんだよ」

フレンダ「結局さっきから何処へ向かってる訳?」

垣根「そこのクローンの記憶探すんだろ」

垣根「記憶の手掛かりがある場所だろ」

ミサカ9982号「手がかり……。それはどのようなものですか、とミサカは興味津々に尋ねます」

垣根「フレンダの時と同じだよ」

フレンダ「私?」

ミサカ9982号「……………」ジー

フレンダ「わ、私は知らない訳よ! なんなのよ手掛かりって。勿体ぶってないで教えなさいよ」

垣根「お前の死に場所を知るために俺は誰からそれを聞きだした」

フレンダ「あ」

ミサカ9982号「ということは貴方が向かっているのは絶対能力進化実験の被験者だった学園都市第一位のLEVEL5」

ミサカ9982号「一方通行の家ですね、とミサカは名探偵らしく指を突きつけます」ビシッ

垣根「全然名推理でもなんでもねえがそういうことだ」

フレンダ「だ、大丈夫なの? 結局あんたも第一位にボコボコにされて死にかけた……というか死んでたんでしょ」

ミサカ9982号「なんと! 貴方も一方通行に殺されていたんですね、とミサカは貴方との意外な共通点を発見したことに驚きを露わにします」

ミサカ9982号「学習装置によって与えられた知識によれば、同一の女性と関係を持った者同士を穴兄弟と呼称するそうですが」

ミサカ9982号「同一の男性に殺された者同士であるミサカ達は玉兄妹ですね、とミサカは露骨な下ネタ発言をします」

垣根「捨てっちまえンな学習装置」

フレンダ「クローン人間ってもっと無個性でロボット染みたのかと思ってたのに、意外と人間らしいのね……。悪い意味で」グデー

ミサカ9982号「誉めてもなにもでませんよ、とミサカは照れ隠しに手で頭を掻きます」

フレンダ「褒めてない訳よ!」

垣根「まぁお前の死に場所を聞き出すだけが目的じゃねえがな」ハァ

フレンダ「どういうこと?」

フレンダ「てっきりミサカが死んだ日の記憶が丸ごと吹っ飛んでるから、それを聞きに行くだけだと思ってたんだけど」

垣根「バーカ。こいつが忘れてるのは死んだ日だけじゃねえだろ。死んだ日から今日に至るまでの記憶だ」

フレンダ「えーと、同じじゃないの?」

垣根「大いに違ぇ」

垣根「いいか? 幽霊になるってことはな。多かれ少なかれこの世に未練――――幽霊になる『理由』があるってことだ」

垣根「例えばお前は」

フレンダ「麦野に真っ二つにされてなくなっちゃった下半身を取り戻すこと……?」

垣根「そうだ」

ミサカ9982号「下半身……しかしミサカの見た限りフレンダは五体満足ですが、とミサカは監察結果を伝えます」

フレンダ「ふふーん」ニヤニヤ

フレンダ「それがねぇ。垣根ったら下半身を取り戻して私が綺麗に成仏しようとしたら『俺が一緒にいてやるから成仏するな』なんて言って引き留めた訳よ!」キャッ

ミサカ9982号「どっからどうみても捻くれに捻くれた彼がそんな熱い台詞を言ったのですか、とミサカは嘗てない衝撃で吹っ飛びそうになります」

垣根「嘘吐いてんじゃねえ」ポカッ

フレンダ「い、痛っ~~」

フレンダ「ま、まぁ兎に角私は色々あって幽霊になってた理由は解消したけど成仏せず留まってる訳よ」

ミサカ9982(……つまり学園都市第二位の垣根帝督は素直ではない。所謂ツンデレであり自分がフレンダを引きとめたことを認めたくはないのですね、とミサカはこれまでの情報から最も正しいであろう解答を導き出します)

垣根「なにか失礼なこと考えてねえか?」

ミサカ9982号「いえいえ、とミサカは白々しく手をふり白を切ります」

垣根「……まぁいい。話を戻すぞ」

垣根「幽霊になった以上、当然お前にもなにか幽霊になる未練があるのは確かだ」

ミサカ9982号「未練、ですか。しかし貴方の言う未練がどうしても思い出せないとミサカは正直に答えます」

垣根「だろうな。死んだ瞬間から今までの記憶がねえんじゃそれも普通だ」

垣根「だからお前の記憶を取り戻すにはお前の未練ってやつを推理するしかねえ」

フレンダ「それが第一位なの?」

垣根「当然だろ。人間自分のものを他人にぶっ壊されれば腹が立つ。それが自分自身の命だってんなら猶更だ」

垣根「実験のための生み出されたクローンが、殺した被験者を幽霊になっても憎み続ける……」

垣根「わりと俺好みの展開だ」ニィ

フレンダ「どうなの? ミサカ、アンタは一方通行が憎くて幽霊になった訳?」

ミサカ9982号「……分かりません。ただ一方通行が憎いかどうかと問われてもピンときません、とミサカは告白します」

垣根「取り敢えず行ってみりゃはっきりするだろ。色々とな」

――――とあるマンション


垣根「一方通行ァァァア! コラ、出てこい! 出てこねぇとドア消し飛ばすぞ」ドガドガドガッ

ミサカ9982号「これがジャパニーズ討ち入りですか、とミサカは目を輝かしながら問い掛けます」

フレンダ「全然違うわよ! 垣根、相手はあの第一位なのよ。もっと穏便に」

垣根「はっ。俺が本当に殺る気ならこのマンションごと消し飛ばしてる。俺は十分に穏便だ」ドガドガドガ

垣根「おい一方通行ァ! 出てこねえとテメエのマンションの隣りの住民の爪削ぐぞ!」ドガドガドガッ

一方通行「五月蠅ェンだよォ! 三下ァ!! 餓鬼が今さっき寝たばっかだってのに起きっちまうじゃねェかァァァ!!」

垣根「知らねえよコラ。テメエはいつから保母になりやがったんだ糞野郎」

一方通行「スクラップになりてェよォだなァ。メルヘン野郎ォ」ピキピキピキ

フレンダ「ほら言わんこっちゃない。完全にプッツンしてるじゃない」

ミサカ9982号「……学園都市第一位、ですか」ジー

垣根「落ち着きな一方通行。テメエを殺るのはまた今度だ」

垣根「今日は戦いにきたんじゃねえよ」

一方通行「あァ」

垣根「それとも此処でやるか? テメエの保護者様や一般人がいるマンション内でよぉ。俺は構わないんだぜ」ニヤリ

一方通行「チッ。なンでまたここへ来た」

垣根「用があるのは俺じゃねえ」

垣根「おい。生で一方通行を見てどうだ? 殺してえとか呪いてえとかあるか?」

ミサカ9982号「………………………」

フレンダ「どうなの?」

ミサカ9982号「いえ。この人物に殺されるためにミサカは生まれたのだという意味で少しばかりの関心はありますが」

ミサカ9982号「言うなればそれは実験体として生み出された本能のようなものです」

ミサカ9982号「〝一方通行〟という個人に対して、こうして見ていても恨みや憎悪などという負の感情を抱くことはありません」

ミサカ9982号「強いて言えば無関心というのが近いでしょうか、とミサカは自己分析の結果を伝えます」

垣根「チッ。外れかよ」

垣根「直接の加害者の一方通行じゃねえとすると……誰だ? 学園都市の研究者共か?」

垣根「いやそもそも幽霊になった理由ってのが恨みじゃねえとしたら……」

垣根「だが普通の人間なら愛だの恋だので世に留まるかもしれねえが、お前達は製造されてから殺されるまで特になんもねえだろ?」

ミサカ9982号「はい。ミサカは生まれてからの殆どを研究所で過ごしてきました」

ミサカ9982号「外出したのは実験で死亡した個体の回収や研修などの数える程度です、とミサカは自分の約三か月の生涯を振り返ります」

フレンダ「うーん。三か月でほぼ研究所住まいで……幽霊になるほどの未練って生まれるの?」

フレンダ「だって幽霊になったのはアンタだけで他の妹達はなってないんでしょ」

ミサカ9982号「……はい」

垣根「くそっ。行き詰ったか……」

一方通行(なにがどォなってるンだァ)

一方通行(まるで意味が分からねェぞ)

一方通行「おい、メルヘン野郎ォ」ガシッ

垣根「なんだよ一方通行。触れんじゃねえよ」

一方通行「――――病院行くぞ」

垣根「はぁぁあ!? ふざけてんじゃねえ! なにが悲しくてテメエに病院連れてかれなきゃいけねえんだよ」

一方通行「……前はどォせ一過性のもンだろォと帰しちまって間違いだった。まさかここまで筋金入りになっちまうとはなァ」

ミサカ9982号「私達の姿は普通の人には見えませんからね」

ミサカ9982号「さしずめ一方通行からは幻覚を見て一人ぶつぶつ呟く麻薬中毒者に見えたでしょう、とミサカは可哀想なものを見る目をします」クスクス

垣根「笑ってるじゃねえか!!」

一方通行「また独り言かァ。こりゃ本格的にやべェみてェだなァ。だが安心していい。あの医者はどんな患者だろォと見捨てねェことを信条としてるらしいからなァ」

垣根「だから俺はどこもおかしくなんてねえよ!」

一方通行「おかしくねェってンなら、それを病院で証明しろ」

垣根「畜生……。酷い目にあった。一方通行の野郎」トボトボ

フレンダ「結局、カエルみたいな顔した医者に徹底的に検査されちゃったわねー」

ミサカ9982号「しかし良かったじゃないですか。どこも異常なしの健康体であるという保証を貰えたのですから、とミサカは傷心の貴方を慰めます」

垣根「元はといえばテメエのせいだろおが!!」

学生A「なんだあの人! いきなり叫び出したぞ!?」

学生B「言うなよ……。きっと遅すぎる厨二病に発祥しちまったんだろ」

学生C「そうだよ。俺も小学生の頃は額に稲妻型の傷の落書きしたりしたもんさ」

学生D「男なら誰しもが通る道だ。温かく見守ってやろうぜ」

垣根「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

フレンダ「ドンマイ」ポン

垣根(この野郎共、いつかシめるっ!)

フレンダ「カエル顔といったら、あの医者って前に映画で見たゲコ太にそっくりだったわね」

ミサカ9982号「ゲコ太?」

フレンダ「そうよ。ほらアンタがつけてるバッチのキャラよ」

垣根(……バッチ?」

ミサカ9982号「これですか? とミサカはお子様向け丸出しのバッチを翳して見せます」

フレンダ「そうそうそれそれ。あれ? でも幽霊の服装って基本的に死んだ時のものよね」

フレンダ「ということはミサカって死ぬ前にゲコ太のバッチつけてたってこと?」

ミサカ9982号「死ぬ前に、このバッチを……」ジッ

フレンダ「うーん。まさかこんなバッチを研究者が渡す訳ないし……。結局どっかに落ちてたのを拾ってつけたとか!」

フレンダ「第三位はゲコ太マニアだったみたいだし、第三位のクローンが同じマニアでも不思議じゃないって訳よ!!」

ミサカ9982号「いやいやねーよ、とミサカはその可能性を否定します」

フレンダ「で、ですよねー」

ミサカ9982号「ですが」

ミサカ9982号「このバッチはとても暖かい。これを見つめていると心がとても安らぎます、とミサカはバッチを胸に当てて目を瞑ります」

垣根「――――!」

垣根「そういう、ことか」

フレンダ「どうしたのよ、いきなり恐い顔しちゃって」

垣根「――――行くぞ」

フレンダ「行くってどこに、きゃ!」

垣根「暗部は解体されたが、もし完全になにもかもが消えてねえなら或いは……!」バサバサッ

ミサカ9982号「良く分かりませんがここは着いていくのが懸命のようですね、とミサカは嘗てない速度で浮遊し追随します」プカー

フレンダ「ま、待ってよ! 置いてかないで!」プカー

フレンダ「ここ、どこ? ショッピングスモールに来たと思ったら、しまってるお店の中入っちゃって」

垣根「スクールのアジトの一つだよ」

フレンダ「ここが?」

垣根「なにも人気のねえ場所だけが隠れ家じゃねえ。人気がある場所の方が隠れ家としてうってつけの時もあんだよ」

垣根「えーと、これだ」

ミサカ9982号「それは絶対能力進化実験の資料……! どうして貴方が持っているのですか、と驚きを露わに尋ねます」

垣根「一方通行が実験を完遂させっちまってLEVEL6になるのは俺としても困ることだったからな」

垣根「奴が実験を完了させる前にぶっ潰すために情報は集めといたんだよ」

垣根「その資料の中に確か―――――あった。第九九八二次実験報告書」

フレンダ「えーとなになに。実験終了後、学園都市第三位が一方通行を襲撃!?」

ミサカ9982号「第三位……お姉様?」

垣根「謎は全て解けたぜ」

御坂「はぁ」グッタリ

食蜂「御坂さぁん。どうしたのかしらぁ。元気だけが取り柄の御坂さんがそんなにぐったりしちゃってぇ」

御坂「……うっさいわね。最近疲れてんのよ」

御坂「あいつの不幸癖でもうつっちゃったのかなー」グテー

食蜂(あの御坂さんがこの私に無防備に? これはかなり重症みたいねぇ)

食蜂(普通の人相手なら私の能力でサクッとやっちゃうところだけどぉ。御坂さんには私の改竄力が効かないしぃ)

御坂「はぁ~あ」

食蜂(どぉしたものかしらねぇ)

垣根「おらぁぁあああああああああああああ!!」ドガッシャーンッ

食蜂「」

御坂「」

フレンダ「なにやってんのよ! 常盤台って男子禁制なのにこんな派手に突撃しちゃって!」

ミサカ9982号「またつまらぬ窓を突き破ってしまった、とミサカは他人のやったことをさも自分のしたことのように呟きます」

垣根「見つけたぜ、第三位」ニヤァ

御坂「はっ! アンタ、垣根帝督! まさか私を狙って!?」

食蜂「だ、第二位ぃ!? 御坂さんそんな人にまで狙われてたのぉ」

食蜂「と驚いていながらえいっ!!」キュィィィン

垣根「効くかぁ!!」バァアア

食蜂「……どうやら彼が第二位なのは本当みたいねぇ。私の改竄力が効きてないわぁ」

垣根「テメエには用はねえ。俺が用があるのは第三位、テメエだけだぁあああああああああ!」ズカ

御坂「え、嘘? 私、飛んで――――」

御坂「あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーー」

ミサカ9982号「あーばよーとっつぁん、とミサカはお決まりの台詞で退散します」

食蜂「」

食蜂「学園都市第二位はとんでもないものを盗んでいきました」

食蜂「御坂さんの身柄です」キリッ

白井「ジャッジメントですのぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

御坂「どういうつもりよ! 私をこんな所に連れてきて!」

垣根「電撃を出す気ならやめておけ。ここじゃ出ねえから」

御坂「――――!」

御坂「本当だ……嘘、どうして?」

垣根「未元物質の混ざった空間、ここはテメエの知る場所じゃねえんだよ」

フレンダ「結局こんな強引に第三位連れてきちゃってどうする訳よ」

垣根「決まってんだろ。そいつの記憶喪失の原因にこの世への未練、その他諸々全部の謎を解き明かしてやんだよ」

フレンダ「!」

ミサカ9982号「!」

御坂「な、なに言ってるのよ一体……?」

垣根「八月十五日」

御坂「っ!」ビクッ

垣根「つまりは絶対能力進化実験の第九九八二次実験が行われた日」

垣根「第三位、お前は実験終了後の一方通行に戦いを挑み敗北した」

御坂「それが、どうしたってのよ……」

垣根「だがそれだけじゃねえ。実は実験前にお前は第九九八二次実験で死んだ妹達の一人、ミサカ9982号と接触していたんじゃねえか?」

御坂「なっ!! どうしてアンタがそのことを――――!!」

ミサカ9982号「…………」ジッ

垣根「そしてお前はミサカ9982号にゲコ太のバッチをプレゼントした……違うか?」

御坂「嘘、そんなことまで。それは私とあの子しか」

垣根「その様子だと、俺の推理は正解だったみてえだな」ニヤリ

フレンダ「そうなのミサカ?」

ミサカ9982号「思い、だしました。貴方の言う通りです」

ミサカ9982号「ミサカは実験前の研修中、妹達の中で最初にお姉様と接触し」

ミサカ9982号「実験開始前にこのバッチを貰ったのです、とミサカは思いだしたことを正直に話します」

ミサカ9982号「補足するならば実験の途上、落としてしまったこのバッチを片足を失っても……私は――――」

フレンダ「ミサカ……」

ミサカ9982号「だからこのバッチが大切だったのですね。これはミサカとミサカたちが、お姉様に最初に貰ったものだから」

フレンダ「けど、記憶を思いだしたらもう全部解決ね」

ミサカ9982号「それがミサカが殺された日のことは完全に思いだしたのですが、幽霊になってから今日までのことはまだ」

フレンダ「そ、そんな。それじゃ肝心なことが駄目じゃない」

垣根「心配するな。推理はしてある」

垣根「当然、ミサカ9982号が幽霊になった理由についてもな」

垣根「もう一度質問するが第三位。テメエ、最近不幸が続いてるんじゃねえか?」

御坂「……!」

御坂「…………ええそうよ。昨日アンタに会った時、植木鉢が頭に激突してからどうも悪いことが続いて……」

御坂「不幸だーって叫んでるあいつの気持ちが分かりかけてたところよ」

垣根「やはりな」

垣根「今日会った時に服が薄汚れていたり財布にすべって転んだりしてたからな。ピンときたぜ」

フレンダ「なにがやはりなのよ! 一人で納得してないで私にも教えて欲しい訳よ」

垣根「前提が間違ってたんだよ。ミサカ9982号はお前と違って単なる幽霊じゃなかったってことだ」

フレンダ「単なる幽霊じゃないって、それじゃミサカは一体全体なんなのよ」

垣根「――――――守護霊だ」

フレンダ「守護霊?」

垣根「そう。生きている人間に憑いて、その人間を災難から守ったりする良い幽霊の代表格だよ」

垣根「例えば交通事故から守ったり、おみくじで大吉だしたり、落下してきた植木鉢の直撃で普通なら死んでたのを命に別状がない程度にしたりってふうにな」

フレンダ「植木鉢の直撃って、確かに第三位はアンタと会った時に植木鉢直撃して倒れたけど」

垣根「普通、守護霊っていうのは対象の人間にぴったり憑いているもんなんだがな」

垣根「偶になんかの拍子に憑いてる守護霊が抜けっちまうことがある」

フレンダ「じゃあ植木鉢が直撃した時に?」

垣根「だろうな。おまけに当たったのが頭だったからか記憶まで吹っ飛んじまったあたり災難という意外にねえが」

フレンダ「けどミサカが守護霊だっていう根拠はある訳?」

垣根「こいつが昨日から不幸続きなのがなによりもの証明だろ」

垣根「災難から守る守護霊がいなくなるってことは、災難に対して無防備になるってことと同じだ」

垣根「必然的に守護霊がいなくなった人間の運勢はがた落ち。不幸が連続するようになる」

垣根「良く言うだろ? 一度悪いことが起きると連続するって」

垣根「だから仮になんかの理由で生まれてからずっと守護霊がいねえ人間なんてのがいたら、常識的には有り得ねえ不幸体質になっちまうわけだ」




上条「くしゅん!!」

インデックス「とうま、風邪?」

上条「そ、それは勘弁して欲しいな。薬を買えるほど財政に余裕ないし。誰か噂でもしてんのかなぁ」

垣根「ミサカ9982号」

垣根「片足が一方通行にもがれても、戦ってる間に落としたバッチを探したってことは」

垣根「それだけお前は第三位のことに執着したってことだ」

垣根「第三位と単に一緒にいたかったからなのか。それとも第三位を守りたかったからなのかは俺には分からねえが」

垣根「一方通行に殺されたお前は、死んでから第三位の守護霊になった」

垣根「そして植木鉢落下の衝撃で第三位の体から抜け出て、おまけに記憶まで失って浮遊霊になった……」

垣根「どうだ、俺の推理は不正解か?」

ミサカ9982号「いえ。ありがとうございます。お陰で全てを思い出す事が出来た、とミサカは心からお礼を伝えます」

フレンダ「じゃあアンタは垣根の言う通り」

ミサカ9982号「はい。ミサカは死んでからも……きっとお姉様ともっと一緒にいたかったのです」

ミサカ9982号「だからミサカは死んでからお姉様の守護霊になったのでしょう、とミサカは空を見つめながら回想します」

ミサカ9982号「改めて自己紹介します。お姉様の守護霊をしていたミサカ9982号です、とミサカはお辞儀をします」ペコリ

垣根「だがこれで本当に解決だ」

垣根「守護霊がいなくなって暫くすりゃ新たな守護霊が憑つくことになるが」

垣根「今の第三位には守護霊が憑いてねえまま。お前がこいつんとこに戻れば元通りっていうわけだ」

御坂「……………ねぇ」

垣根「あぁ?」

御坂「アンタ……さっきから何を訳の分からないこと言ってるのよ……」プルプル

御坂「守護霊とか……9982号とか………抜け出しちゃうとかさ……」

御坂「ま、まるでそこに…………あの子が、いるみたいじゃない……」

ミサカ9982号「お姉様……」

御坂「ねえ本当なの? 本当にそこに、あの子がいるの? お願い、答えて!」

垣根「………………」

ミサカ9982号「貴方にはミサカの記憶探しだけを頼んでいましたが」

ミサカ9982号「お願いします。ミサカのかわりに答えて下さい。私の口になって下さい、とミサカは嘆願します」

フレンダ「そ、そうよ垣根。ここまで来たんだからさ」

フレンダ「幽霊の私達は垣根以外の人と直接話すことはできないんだから」

垣根「分かったよ。今度限りだぞ」

垣根「ああそうだよ。何度も殺されたせいかしらねえが、ちっとばかし前から幽霊が見えるようになってな」

垣根「ミサカ9982号ならテメエの隣りに立ってるよ」

御坂「私の、隣に……」

ミサカ9982号「お姉様、こうして向かい合うのはあの日以来ですね、とミサカは生前を懐かしみます」

垣根「向かい合うのはあの日以来だってよ」

御坂「驚かせないでよ……。アンタが私の守護霊だったなんて。私はアンタに謝りたいことが山ほどあったっていうのに……」ポロポロ

御坂「ごめんなさい! 私があの日、実験の前に一方通行を倒せていたら!」

御坂「ううん。私がもっと早く気付いていたら、アンタは死ぬことなんてなかったのに……!」ポロポロ

御坂「ごめんなさい、あなたを助けるのが間に合わなくて……。10031人の貴女達を見殺しにしてしまって」

ミサカ9982号「どうしてお姉様が謝るのですか? お姉様は実験の協力者だったわけではありません」

ミサカ9982号「それに実験を拒否せず実験に赴いたのはミサカ自身です、とミサカは垣根の翻訳頼りに疑問をぶつけてみます」

垣根「……実験の協力者でもなくて、自分の意志で実験に行ったってのにどうしてお前が謝るんだって言ってるぜ」

御坂「だって私がDNAマップを提供しなかったら、貴方達が殺されることなんてなかったじゃない!」

御坂「あんなイカれた実験だって起こらなかったはずよ」

ミサカ9982号「ですが、お姉様がDNAマップを提供しなければミサカたちは生まれてくることもありませんでした、とミサカは反論します」

垣根「テメエがDNAマップを提供しなけりゃ自分達は生まれてこなかった……ってよ」

御坂「け、けど!」

ミサカ9982号「普通の人間と比べたら短い間でしたが、あの実験で生まれてきたお蔭で私はお姉様に会う事ができました」パァァ

御坂「え、……ミサカ9982号……」

フレンダ「まさかミサカが見えているの!? 垣根以外の人間に? ほ、ほれほれ~」ブンブン

御坂「………………」

フレンダ「ミサカは見えてるのに、私のことは見えてない? 結局どういうことなの?」

垣根「―――――科学の街でこんな非科学的なこと馬鹿げてるが、奇跡ってやつかもしれねえな」

ミサカ9982号「お姉様、だから」

ミサカ9982号「生まれてきて良かった、と心からの笑顔でミサカは告げます」

御坂「――――、――――――!」

ミサカ9982号「お姉様はこんなことを言われて迷惑に思うかもしれませんが」

御坂「迷惑なんかじゃないわ! 私も、アンタと会えて良かった! 一日だけしかなかったけど、本当の姉妹ができたみたいで嬉しかった!」ポロポロ

ミサカ9982号「それじゃあお姉様。ミサカがお姉様の幽霊でお姉様は良いですか、とおずおずと確認をとります」

御坂「いいに決まってるわよ! 守護霊でもなんでも、アンタが望むならずっといてくれてもいいわ!」

ミサカ9982号「それを聞いて安心しました、とミサカは微笑みます」スゥゥ

御坂「9982号……? どうして消えちゃうのよ! もっと話を――――」

ミサカ9982号「神様の奇跡もここまでのようですね、とミサカは少し残念な気分になります」

垣根「もう戻るのか?」

ミサカ9982号「はい。もう二度と話す事など出来ないと思っていたお姉様ともう一度話すことができました」

ミサカ9982号「もう満足です、とミサカは頷きます」

垣根「そうか」

ミサカ9982号「ではお姉様。また末永く宜しくお願いします、とミサカはお姉様に憑き治していきます」スゥゥ

御坂「―――――――あ」ピクッ

フレンダ「どうやら第三位のところに戻ったみたいね」

垣根「のようだ。第三位、最後の伝言だ。末永く宜しくだってよ」

御坂「そう、なんだ。あの子ったら、私の中にしっかりと……いてくれるのね……」

御坂「良かった……消えちゃったのかって心配しちゃったわ……」

垣根「兎も角、回り道しちまったがこれで本当の本当に解決か」

フレンダ「結局、疲れた訳よ」

垣根「テメエはなんにもしてねえだろうが」グー

垣根「やべえな。そろそろ晩飯の時間じゃねえか」

フレンダ「またファミレス?」

垣根「ファミレスに行くのもだりぃ。今日は出前とる」

フレンダ「出前!? それならお寿司がいいと思う訳よ!」

垣根「何度も言うが鯖寿司頼んでも食えねえからなお前は」

御坂「待って!」

垣根「まだなんかようか?」

御坂「今日は、ありがとう。アンタのお蔭で、またあの子と話ができたわ」

垣根「別にテメエのためにやったんじゃねえ」

垣根「覚えておきな。悪党ってのはな、自分の為にしか動かねえんだよ」

垣根「今回の件は単に俺の暇潰しがまれまれお前の利益になった。ただそれだけのことに過ぎねえ」

垣根「くれぐれも俺を善人なんだとか愉快な勘違いするんじゃねえぞ」

御坂「それでも、ありがとう」

垣根「…………チッ」

フレンダ「うーん。前に戦った時はおっかなかったけど、笑ってる時はそこそこ良い線いってるわね」

フレンダ「あのツインテ風紀委員が入れ込む訳よ」

垣根「五月蠅ぇ。行くぞ」

フレンダ「はいはい」

今日はここまで。無事にミサカ9982号編終了です。


垣根が見えるのは浮翌遊霊だけってことなのかな


魔術側で死んでるのってテッラくらい?

フレンダも第二位といちゃいちゃしてないで妹の守護霊になってやれよ。

ぬ~べ~を思い出すような話だ

>>310
他に地縛霊とか背後霊とかその他諸々も見れます。
守護霊の場合は憑りついているので見えません。憑りつくのを止めて出て来れば見ることができます。
同様の理由で上条さんが右手で他人に触れても、その人の守護霊が消えたりすることもありません。

>>312
記憶破壊=死と捉えるとインデックスとアウレオルスも死んでいたり。
他にも探せば死亡者も結構いますが、学園都市で死んだ人となるとかなり限られてきますね。

>>316
フレンダはドロドロと鬱積した感情をもってるから、色んな意味でフレメアの守護霊にはなれないしなることはありません。
そしてフレメアには既に駒場という守護霊が……

>>321
話しの方向性は本棚の奥から引っ張り出したぬ~べ~を久しぶりに見て決めました。

――――――学園都市某廃墟

アケミ「うーん。外から見たら不気味だったけどさ。中に入るとそこまででもないねぇ」

むーちゃん「いやいやいやいや。どうしたらそんな風に思えるの? そこの廊下なんて今にも出てきそうだし……」ブルブル

アケミ「ねぇルイコ。確かここを右だっけ? 幽霊が出たっていう場所?」

佐天「そうだよ」コクン

佐天「ネットの掲示板に書いてあったことによるとね」

佐天「警備員とかに見つからないように潰れて廃墟になった研究所で、隠れて煙草を吸ってたとある中学の三年生が、黒いモヤモヤしたものを見たんだって」

佐天「そしたらその三年生……一週間後に学園都市の医学でも解明できない謎の病気にかかって死んじゃったんだって」

マコちん「し、死んだってまさか」プルプル

佐天「その死んだ三年生は死ぬ間際までこう言ってたらしいよ。頭が、頭が割れるように痛い!! 誰か助けて!! ……って」

佐天「もしかしたら幽霊に憑りつかれて呪い殺されちゃったのかも」ニヤァ

むーちゃん「お、驚かさないでよ」ガクブル

佐天「ま、単なる信憑性皆無の噂話の一つなんだけどね」

むーちゃん「ほ、本当にただの噂なの?」

アケミ「そりゃそうでしょ。学園都市でも原因不明の病気なんて、そんなものが見つかったんならちょっとした騒ぎになってないとおかしいって」

マコちん「はぁ。良かったー」

佐天「二人とも恐がりだなー」アハハ

むーちゃん「………………ね、ねぇ」クイクイ

佐天「むーちゃん、どしたの?」

むーちゃん「……あ、あああ、あれってまさか……」

謎の人影『―――――――――――』

佐天「う、嘘……! まさ……か。なにかの悪戯でしょ。科学の街で幽霊なんて」

謎の人影『――――ッ!!』カッ

「いやぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」ダダダッ

垣根「だから、なんか仕事ねえのかよ。邪魔者の排除とかテロリスト抹殺とか研究所潰しとかそんなの」

元暗部『やれやれ。それが絶賛無職の人間の面接態度ですか?』

垣根「あ゛?」ギロッ

元暗部『ほんの冗談ですよ。とはいえ貴方に回す仕事などないというのは本当です』

元暗部『嘗て貴方が属していた暗部はね。第三次大戦後の一方通行が持ち掛けた取引により軒並み解体されているんですよ』

元暗部『そうでなくても貴方が引き起こした10月9日で暗部組織の精鋭がグループ以外壊滅してますしね』

垣根「そう言われると痛ぇが」

元暗部『再結成した「新入生」も一方通行と浜面仕上のせいで事実上壊滅状態ですし……』

元暗部『そもそも上も貴方みたいな反乱予備軍に組織力を与えることを恐れていますからね』

垣根「別にスクール再結成しろなんて言ってねえだろ。どうせ暗部解体つっても本当に馬鹿正直に解体したわけじゃねえんだろ?」

元暗部『そりゃ暗部解体といっても影でこそこそきな臭いことはしてますよ』

元暗部『しかし暗部が縮小傾向なのは間違いなく本当のことですし、わざわざリスクを犯して学園都市第二位の力を借りるような仕事はないんですよねぇ』

元暗部『そういうわけですので。私、そろそろデートの約束があるので。じゃ』ピッ

垣根「切やがった……。使えねえなあいつ……」

フレンダ「結局どうだった訳?」

垣根「俺に回すような仕事はねえとよ。ああくそ。やることねえ」ドサッ

フレンダ「やることないなら結局ゲームでもしない? やっぱり一人プレイより二人プレイよね」

垣根「そのゲーム、昨日散々やったじゃねえかよ。飽きた」ハァ

フレンダ「分かってないわね。こういうゲームはやり込んだ時間と流した汗の分だけ達成感を得られる訳よ!」

垣根「時間を浪費するがな」

フレンダ「あっ! このゲームを馬鹿にする発言は許さない訳よ!」

垣根「馬鹿にしてるわけじゃねえよ。事実を言っただけだ」

垣根「にしても暇だ」

垣根「やることがあり過ぎるのもだりぃが、いざやることが皆無になんのもそれはそれでダリィ」

フレンダ「そんな暇なら結局……えーと、学校とか行くとか?」

垣根「学校?」

フレンダ「そう! 結局垣根も暗部とかなんとか言うけど学生な訳でしょ」

垣根「アホか」

フレンダ「少しは考えてくれたっていいじゃない」

垣根「なんで今更俺が呑気な餓鬼共みてえに学校なんざ行かなきゃいけねえんだよ」

垣根「ンなことするくれえなら適当にスキルアウト狩りでもした方がマシだ。やらねえけど」

垣根「…………つぅか、そもそも俺って学校に所属してんの?」

フレンダ「私に聞かないでよ」

???「つまり貴方はニートということですね、とミサカは社会の底辺を可哀想な目で見つつ嘲笑します」

垣根「なっ!?」

フレンダ「あ、アンタ!」

ミサカ9982号「お久しぶりですね二人とも。一週間と一日ぶりですね、とミサカは丁寧にお辞儀をします」ペコリ

フレンダ「ミサカ! アンタって結局第三位の守護霊に戻ったんじゃないの? なんでここに」

垣根「まさか第三位が死んだとか?」

ミサカ9982号「いえいえお姉様は元気一杯ですよ。この前も自動販売機蹴り飛ばしてましたし、とミサカはお姉様のプライバシーをさらっと暴露します」

垣根「するなよ暴露。守護霊だろ」

ミサカ9982号「しかし幽霊とは便利ですね。どんな壁でもすり抜けられるのですから、とミサカは改めて幽霊の特権にしみじみとします」

フレンダ「それで第三位が死んだわけじゃないのになんでここに来た訳よ。

ミサカ9982号「それならもう直ぐ分かりますよ」

垣根「あ?」


ピンポーン


ミサカ9982号「チャイムです。出ないんですか?」

垣根「……………そういうことかよ」

フレンダ「ミサカが第三位の守護霊をやめたんじゃなくて、第三位の方がこっちに来たって訳ね」

垣根「第三位が、来ただと?」

ミサカ9982号「ミサカと同じ顔の新鮮ピチピチ美少女女子中学生がお待ちですよ、とミサカは二人を急かします」

垣根「それって遠まわしに自画自賛してね?」

フレンダ「結局どうする訳。あいつと戦った私の意見だけど、第三位はやる時はドアくらい平気で吹き飛ばす訳よ」

垣根「………………ま、なんの用かは知らねえが、居留守使って大人しく帰るような奴でもねえだろうな」

垣根「仕方ねえ」テクテク


ガチャ


垣根「何の用だ、第三位」

御坂「なんでドア開ける前から私だって分かるのよ」

垣根「テメエの親切な守護霊が教えてくれたんでな」

御坂「あの子が?」

垣根「そら、さっさと元の宿主のとこ戻りやがれ」グググ

ミサカ9982号「あ~れ~、とミサカはお姉様のもとにカムバックします」シュゥゥゥ

垣根「守護霊がフリーダムに出てくるんじゃねえよ」ハァ

垣根「で、第三位。どうしてここに来た?」

御坂「友達にこういうことが得意な風紀委員の子がいて調べてくれたのよ」

垣根「そういうことを聞いてるんじゃねえよ。……って勝手に人の家調べるって風紀委員としてどうなんだ?」

御坂「大丈夫。人の荷物から下着漁ってる風紀委員も私の後輩にいるし」

垣根「おいおい」

垣根(暗部も相当にイカれた連中が集まっていたが、風紀委員も似たような奴いるのか?)

垣根「いや風紀委員のことはいいんだよ。良くはねえけど」

垣根「第三位、テメエがここに来たのはどういう訳だ? いつかの続きで殺し合いだってんなら構わねえぞ」ニヤリ

御坂「そんなことのために、わざわざ友達に居場所調べて貰ってまで来ないわよ」

御坂「ちょっとアンタにしか出来ない相談があって来たの」

垣根「恋愛相談なら余所でやんな」シッシッ

御坂「だ、だだだだ誰が恋愛相談しに来たって言ったのよ!」カー

垣根「特別サービスで教えてやる。好きな奴がいたら取り敢えず押し倒せ。上手くいく時は上手くいく」

御坂「ああああああああ゛!!」ビリビリ

垣根「効かねえよ」ファサファサ

御坂「相変わらず出鱈目な能力ね、未元物質」ハァハァ

フレンダ「騒がしいわね。結局まだなんかやってるの?」

垣根「心配するな。もう終わるところだ」

垣根「そういうわけだから第三位。誰を狙ってるかは知らねえが、さっさと玉砕してこい」

御坂「だ・か・ら! 恋愛相談じゃないって言ってるでしょうが!」

御坂「仮に私がこ、恋のことで悩んでたとしてもアンタに相談しないわよ!!」

垣根「……………金なら貸さねえぞ」

御坂「間に合ってるわよ!」

垣根「分かった分かった。時間の無駄だから聞くだけ聞いてやる。なんの相談だ、一体」

御坂「それが私じゃなくて私の友達のことなんだけど――――――」

――――とあるファミレス

垣根「………………で?」

佐天「一昨日の夜なんですけどね。友達と季節外れの肝試しに行こうって話になって今はもう潰れた研究所に行ったんです」

佐天「そ、そしたら本当に幽霊がいたんですよ!! こう黒くてモヤモヤしたのが!!」

垣根「馬鹿だな」

初春「本当ですよ。夜に外出歩くならまだしも、研究所に侵入なんてなにしてるんですか?」

白井「……男子禁制の常盤台中学の窓を突き破りお姉様を掻っ攫っていった殿方が仰っても説得力の欠片もありませんが」

御坂「あ、あの時のことはもういいのよ。ちょっと私のお願いを聞いて貰ってただけなんだから」アセアセ

垣根「おい。俺はテメエなんぞの頼み――――もがっ!」

御坂「いいから話し合わせなさいよ。あれからアンタのこと誤魔化すの大変だったんだから」コソコソ

フレンダ「結局、後先考えないで派手に突撃かますからこうなる訳よ」

垣根「さて、と。ゲームのコントローラーにつけた未元物質剥がすか」

フレンダ「ごめんなさい許して下さい」

垣根「それで、そこの餓鬼が幽霊見たからなんだってんだよ」

垣根「トラウマ解消してえんなら俺じゃねえで第五位にでも頼むんだな。一瞬で忘れさせてくれるぜ」

佐天「いやぁ。別に幽霊がトラウマっていうわけじゃないんですよ。寧ろ研究所から出た後、皆で幽霊はいたーって大騒ぎしたくらいですし」

初春「知ってますか佐天さん。不法侵入って普通に犯罪なんですよ」

佐天「嘘です。反省してます」シュン

白井「佐天さんの都市伝説好きにも困ったものですの」ハァ

白井「そもそも本当の本当に幽霊だったんですの? なにかの見間違いということは」

佐天「それだけはないです。私しっかり見ました! あれは絶対に幽霊ですよ。だって――――」

垣根「御託はいい。さっさと本題を言いな」

御坂「垣根。えーと、アンタってさ。幽霊が見えるんでしょ」

垣根「さーて。知らねえな」スットボケ

御坂「とぼけないでよ。この前、私の……死んじゃった知り合いと会話させてくれたじゃない」

フレンダ「ふーん。どうやら」

垣根(こいつの友人だっていう三人は妹達について詳しくは知らねえみてえだな)

垣根(ま、表の住人の臭いしかしねえし当然か)

白井「未だに半信半疑なのですが……本当ですの? その話。お姉様の亡くなられた御友人と再会させてくれたというのは」

白井「失礼は承知ですが、なにかの精神干渉を受けているという可能性はないですの?」

御坂「信じられないだろうけど全部事実。こいつが幽霊が見えるっていうのも、佐天さんが幽霊を見たっていうのもね」

佐天「み、御坂さん」ウルウル

フレンダ(うーん。LEVEL5の第三位に、空間能力者に、ハッカーに無能力者か。結局てんでバラバラな仲良し組な訳よ)

フレンダ(でもちょっとだけ雰囲気がアイテムに近い気がするかも)

垣根「お前等の身内話はおいておいてだ」

垣根「もし俺にその肝試しした場所にいる幽霊を除霊して欲しいってんなら他を当たりな」

垣根「人助けなんざ俺の性質じゃねえんだ」ガタッ

佐天「ま、待って下さい! そうじゃないんですよ! 実は……うっ」ズキッ

垣根「あん?」

フレンダ「およ」

初春「佐天さん。まさか、また」

佐天「あ、頭が、ぁああああああああああああああああああぁぁぁーーーーーーー!!」ズキズキガチグガァ

垣根「っ!」ジロリ

佐天「ごめんなさい。私のせいで店追い出されちゃって」

白井「そんなことお気になさらないで。それよりもう痛みはないですの?」

佐天「お蔭様で……」

垣根「今のは?」

御坂「幽霊の呪いよ」

フレンダ「呪い? 呪いってあの……」

垣根「藁人形とかのアレか? 遠距離にいる人間を呪殺する」

御坂「そうよ」

佐天「じ、実は私の調べた噂話にその幽霊を見た人は、頭が割れるような原因不明の痛みが連日のように襲ってきて」

佐天「最終的には頭が割れて死んじゃうんですよ」

初春「呪いなんて有り得ないって、ただの偶然だと思ってたんですけど。佐天さんを病院に連れて行ったら」

垣根「原因不明だったってことか」

御坂「どこの医者に診せても原因不明だし、あいつに触れさせても一時的に治ってもまた元通りになっちゃうし」

御坂「もう頼れるのがアンタしかいないのよ」

御坂「お願い。佐天さんを助けてあげて」

佐天「お、お願いします!」ペコリ

垣根「……………」

初春「お願いします」

白井「ですの」

垣根「そこの頭花畑。お前の目の前にいんのは10月9日にテメエの頭踏んでた男だぜ。そんな奴に頭下げて恥ずかしくねーの?」

初春「私のチンケなプライドより、佐天さんの命の方がよっぽど重要です」

佐天「初春……」

垣根「ふん。熱い友情じゃねえか」フッ

佐天「じゃ、じゃあ」

垣根「断る」

佐天「」

初春「」

御坂「ど、どうして断るのよ! このまま放っておいたら佐天さんが死んじゃうかもしれないのよ!」

白井「そうですの! 死んだらどうする気ですの!?」

垣根「埋める」

御坂「埋めるな!」

フレンダ「結局、垣根はいつも通りって訳よ」

フレンダ「今回は第三位に義理立てするつもりはないし、好きにすればいいんじゃないかな」

垣根「ああ好きにする。じゃあな、餓鬼共。暇なら葬式には出てやるよ」

佐天「待って下さい!」

垣根「うるせぇな。忙しいんだよ俺は」

初春「なにで忙しいんですか?」

垣根「…………………。…………………、……………。昼寝」

白井「今かなり考えてたでしょう! それと考えた結果の答えが昼寝ってなんですの!?」

御坂「アンタやっぱ暇なんでしょう! 暇なのよね!? だったらYesって言いなさい!」

佐天「お願いですよ。もう頼れる人がいないんです! どうかこの通り、お願いします」

垣根「…………」ポリポリ

垣根「いいだろう。暇だからやってやるよ」

佐天「!」パァ

垣根「ただし一千万円だ」

佐天「」

初春「」

白井「」

御坂「」

フレンダ「そういえば昨日ブラック○ャックがやってたわねー」

佐天「い、一千万円って……」

垣根「テメエの命が助かるんだ。安いもんだろ」

御坂「安くないわよ!」

垣根「じゃ諦めろ」

佐天「一千年ローンとかは」

垣根「じゃあな」

佐天「せ、せめて百万年! 百万円を五十年ローンで!!」

垣根「サービスで999万円にまけてやるよ」

佐天「一万円だけじゃないですかぁ!」

白井「人の足元を見るなんて、なんて恥さらしな」

垣根「おう風紀委員様。今後のため善人と悪人の違いを教えてやる」

垣根「善人は人の為に動くが、悪人ってのは自分のため以外には動かねえ」

垣根「悪党の手を借りようっていうんだ。俺にも相応のメリットってものがねえとな」

垣根「どうする? 払うか払わねえのか?」

佐天「わ、私は……」

フレンダ「鬼ねぇ。暗部の稼ぎがあるなら兎も角、学園都市じゃ底辺のLEVEL0がそんな大金もってるわけないのに」

佐天「……親に、説明したらお金出して……くれるかな………。こんなことならマネーカード、風紀委員に届けるんじゃなかったな」

御坂「分かったわ。一千万円でしょう。私が払うわ」

佐天「御坂さん!?」

御坂「学園都市から貰う奨学金とかかき集めれば一千万円くらい……」

初春「――――待って下さい」キッ

垣根「あ?」

初春「貴方は10月9日に私を暴行しましたよね」

垣根「お前に暴行したから、その償いにそいつを助けろってか?」

初春「違います。別に貴方の謝罪は要りません」

初春「ただ私に暴行した慰謝料を払って下さい。一千万円」

佐天「!」

垣根「慰謝料だと?」

初春「そうです。あなたのせいで私は心身ともに多大な損害を受けました。だからその分の慰謝料です」

垣根「俺が馬鹿正直に払うと」

初春「払わないならネットとか御坂さんの知名度でもなんでも利用して、貴方を社会的に追い詰めます」

初春「私への一千万円の慰謝料。佐天さんの一千万円の支払い。これでチャラです。もう私も貴方に暴行されたことを水に流します」

初春「どうですか?」

垣根「ほう」ニヤリ

初春「!」

垣根「気に入った」

垣根「持てる手札全てを利用して目的を実行する……。俺好みのやり口だ。風紀委員の癖して腹黒いじゃねえか」

初春「なら」

垣根「ああ。お前への慰謝料払ってやるよ。こいつの依頼を受けるって形でな」

フレンダ「垣根を説得するなんて、この風紀委員。やるわね」

垣根「早速やるか。お前等は下がってろ」

御坂「分かったわ。初春、黒子」

初春「はい」

白井「ですの」

佐天「それじゃ私も」

垣根「テメエはこっちだよ」ガシッ

佐天「わわわ……」アセアセ

垣根「動くなよ。じっとしてろ」パァァァ

垣根(生み出した極小の素粒子をこいつの体内へ送り、情報を入手)

垣根(―――――――――どうやら幽霊に呪われたってのは嘘じゃねえようだ。いやがる)

垣根(だが大したことはねえ。これくらいなら未元物質で刺激してやれば)

佐天「う、」ズキッ

幽霊A「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

白井「佐天さんから黒い影みたいなのが!」

初春「幽霊、いたんですねホントに」

幽霊A「グルルルルルルルルル! グァアアアアアアアアアアアアッッ!」ブワン

垣根「遅ぇよ」ファサファサッ

垣根「テメエも運が悪かったな。死んだ幽霊にこんなこと言うのもおかしいが敢えて言ってやる」

垣根「死ね」


ズバァァッ!!


幽霊A「ガァッァァァァァーーーーーーーーーーーーーー」シュゥゥゥゥ

御坂「消えて、いく?」

佐天「わ、私……助かったの?」

フレンダ「今回はあっさりだったわね」

垣根「つまんねえ仕事だったな。帰るか」

佐天「あの! ありがとうございます」

垣根「礼には及ばねえ。一千万円のためにやっただけだ」

今日はここまで。

とんでもない悪霊だな

途中に出てきた超常現象の本の作者ってぬ~べ~?気になってしょうがない

>>352
仕事自体はあるけど、第二位の戦力が必要なほどでもないものばかりというのが現状。

>>358
あれを書いたのは何故か左手だけに手袋をしてる人です。

初春「どうですか佐天さん。頭はもう痛くないですか?」

佐天「お蔭さまで」エヘヘ

佐天「今日はありがとね初春。初春が垣根さんを説得してなかったら今頃やばかったかもだし」

初春「なに言ってるんですか。困ってるときはお互い様ですよ」

佐天「初春……」

初春「お礼は一千万円でいいですよ」ニッコリ

佐天「初春ゥゥゥゥ!?」

初春「冗談ですよ」

佐天「なっ!? 騙したなぁ。今日のパンツは何色じゃぁあ!」ガバー

初春「甘い! こんなこともあろうかと御坂さんにならって短パンを穿いていたんですよ!」バーン

佐天「なっ!」

初春「ふふふ。これでもう佐天さんのスカートめくりも無駄」

佐天「ならば短パンをずり下げるまで!」


ズリッ!


初春「○△☆!?」

佐天「初春もまだまだ修行が足りないねぇ」ニヤリ

初春「酷いですよ佐天さん!」ポカポカポカ

佐天「いやぁ。やっぱ抵抗されると逆に燃えちゃって」

初春「燃えないで下さいよ!」

佐天「あははははははは――――――――うっ」ズキンッ

初春「佐天さん?」

佐天「あ、あ、あ、あ、あ……」ガタガタ

初春「どうしたんですか佐天さん? 佐天さん!」


ドバァァアアアアアッ!


佐天「あ、ぁああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」ズキズキドバァ

初春「頭から血がっ!? びょ、病院に! 救急車を呼ばないと!!」

垣根「それで?」

佐天「幸い命に別状はありませんでしたが、この通りです……」

フレンダ「うわぁ。結局、頭に包帯巻いてると重病人感が半端ない訳よ」

初春「どういうことなんですか? 昨日しっかり佐天さんに憑りついている悪霊を除霊? っていうのをしたんじゃないんですか?」

御坂「もしも騙していたっていうんなら私にも考えがあるわよ」ビリッ

垣根「騙しちゃいねえよ。これでも仕事は真面目に取り込む主義でね。あの日、お前に憑りついていたやつは排除した。間違いはねえ」

白井「ですが事実佐天さんはまた同じ頭痛に苦しみ、頭部から出血までしたんですのよ。これはどういうことですの?」

垣根「ですのですの五月蠅ぇな。ですの風紀委員」

白井「なんですの!?」

垣根「まぁ愉快な口調のツインテ風紀委員はおいておいてだ。あの日その餓鬼に憑いていた霊は消え去ったんなら、また別に霊が憑りついたんだろ」

佐天「別の、ですか?」

垣根「そうとしか考えられねえだろ」

垣根(とは言ったものの全く別の霊が同じような呪いを憑りついた人間に引き起こすとも考え難い)

垣根(別に善人気取るわけじゃねえが、一度引き受けた仕事を中途半端に投げ出すのは俺の主義じゃねえ)

垣根(仕方ねぇか)

垣根「こうなりゃ行くしかねえか」ガタッ

御坂「行くって何処によ?」

垣根「決まってんだろ。そいつが肝試ししたっていう研究所だよ」

初春「あそこは立ち入り禁止なんですけど」

垣根「風紀委員だろ。適当にスキルアウトが潜んでいたとか言い訳しときゃいいじゃねえか」

白井「この殿方の指示に従うのはそこはかとない不満はありますが」

御坂「それしかなさそうね」

フレンダ「垣根。その研究所に着く前に呪いで死んじゃったらどうする訳?」

垣根「ああそういうこともあるな。それじゃ」ガシッ

佐天「え? いきなりなにを――――」


ズバッ!!


垣根「こうして今憑りついてるやつを消しときゃ、取り敢えず今直ぐ死ぬこたぁねえだろ」

佐天「お、おぉ」

フレンダ「なんか手馴れてきてる訳よ」

――――とある研究所


御坂「ここが佐天さんたちが肝試しをしたっていう所?」

佐天「は、はい……」

初春「お昼なのに奥は日の光が差し込まないせいで暗いですね」

白井「電気も通ってないようですの」

垣根(なんとなくスクールが潰したことのある研究所に似た雰囲気だな)

フレンダ(結局アイテムで潰してた研究所に似た雰囲気な訳よ)

御坂(前に潰した絶対能力進化実験の研究所に似た雰囲気ね)

佐天「ここです。私が幽霊を見たのは」

フレンダ「なんかの実験場みたいね。わりと広い訳よ」

垣根「ふーん。ここでねぇ。成程、いやがる」ニィ

御坂「っ!」ミガマエ

垣根「おら。出てきやがれ」バシュゥ

謎の人影『――――――――』スゥ

佐天「あ、あれです! あれが私の見た幽霊です!」

御坂「……なにあいつ。人間の形してる癖に人間的なものが全然感じられない」ブルッ

御坂(それにどっかで会った事がある様な)

フレンダ「か、垣根あいつ……」

垣根「ああ。分かってる。俺やお前以外の人間にも見えることもそうだが」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


謎の人影『――――――――』

垣根「ありゃこれまでの奴とは段違いだ」

フレンダ「どうするの?」

垣根「どうするってそりゃ…………こうすんだよ!」


ドバァアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!


フレンダ「いきなり先制攻撃!?」

垣根「いいか? 先制攻撃ってのはな。相手がなにもしてこねえうちにするもんなんだよ」

垣根「並みのLEVEL5でも防ぎきれねえ火力の一撃。どんな奴かは知らねえが、これで」

フレンダ「っ! 垣根、あぶない!!」

垣根「!」


ドガッ!!


垣根「が、ぁあ!!」

謎の人影『――――』ニィ

垣根(馬鹿な……! なんだこの速さは!?)

垣根「ツインテ風紀委員! テメエ、確か空間移動能力者だったな!」

垣根「今すぐテメエのお友達三人連れて消えろ! 邪魔だ!」

白井「私のテレポートは二人一緒に飛ぶのが限界ですの。三人は――――」

垣根「なら」

御坂「黒子、佐天さんと初春さんを連れて先に逃げて」

白井「お姉様!?」

佐天「駄目ですよ御坂さん! 元々は私の問題なんだから、残るんなら私が」

御坂「大丈夫。幽霊と戦った事はないけど、私だってLEVEL5よ。簡単には死なないわ。黒子!」

白井「はいですの。お姉様、どうかご無事で」ヒュン

フレンダ「うひゃー。結局私なら真っ先に逃げるのに、最近の女子中学生は肝が据わってるのね」

垣根「お前と違ってな」

フレンダ「否定できないのが辛いわ」

謎の人影『――――――』ニタニタ

垣根「チッ。調子にのってるんじゃねえよコラ!」

垣根「くたばれ!」


ドッパァアアアアアアアアアアアアアッッ!!


御坂(っ! 凄い風! これが学園都市の第二位……! 前に戦った第四位とは能力の出力が桁違いだわ)

フレンダ「容赦ないわね。でもこれで」


スタスタスタスタスタ


フレンダ「って普通に生きてるゥーーーーー!」

垣根「やっぱり他の幽霊の常識は通用しねえようだな。――――っ!! テメエは!?」

御坂「嘘……! なんでアンタがここにいるのよ」

フレンダ「え? なにがどうなってんの!?」





一方通行「zohgi殺yfioabi」ニヤァ

垣根「一方、通行ッ!」ギリッ

一方通行「znklfan死uhuain」ガッ

御坂「あ、一方通行! アンタ、こんなところでなにを」

一方通行「uiehnuin消huheng」


ドゴォ!!


垣根「問答無用ってわけかよ」

フレンダ「ね、ねぇ! 結局どういうことな訳!? 第一位がここに居た幽霊の正体って!?」

垣根「俺が知るか! だが一つ言えるのは」


ドッパァアアアアアアアアアア!!


一方通行「biuhfuiah排除uhunvuu」

垣根「ここにいる一方通行の糞野郎の強さは本物だってことだ」

御坂「くっ! なんでアンタがこんな所にいるか知らないけど……」ゴォォ

フレンダ「第三位の周囲から黒いものが……これって砂鉄?」

御坂「『反射』で私の電撃が通用しなくても、砂鉄で視界を覆うくらいは」

一方通行「blghni狂ttgagygaghauigba」スッ

御坂「反射するでもなく、擦り抜けたですって!」

垣根「!」

垣根「……砂鉄をすり抜けたってことは、こいつが幽霊なのは間違いねえみてえだな」

垣根「となると。ふんっ!」バサッ


バァアアアアアアアアアアア!!


垣根「大量の未元物質で生み出した壁だ。これで時間稼ぎにはなるだろ」

御坂「時間を稼いでどうするのよ?」

垣根「あ? そりゃ先ずは」

白井「お姉様、遅れて申し訳ありませんですの!」

御坂「黒子!?」

垣根「お前をさっさと逃がすことをしとかねえとな」

フレンダ「第三位はあの風紀委員のテレポートで逃げたけど、それでどうする訳?

垣根「こうすんだよ。えーと確かここらへんにアイテムの絹旗から盗んだままのケータイが……」ガサゴソ

垣根「あった。えーと」ピポパ

トゥルルルルルルルルル……


打ち止め『もしもし、ってミサカはミサカは丁寧に電話に出てみる』

垣根「一方通行ァ!! 一方通行ァはそこにいるか!?」

打ち止め『だ、誰!? まさか最近はやりのオレオレ詐欺ってミサカはミサカは警戒心を露わにしたみたり』

垣根「誰がオレオレ詐欺だ! テメエに用はねえ。一方通行にかわれ」

打ち止め『あの人なら今丁度TVのニュースを見てるとこってミサカはミサカは正直n』ガチャ

一方通行『なンだよメルヘン野郎ォ。電話越しで五月蠅く怒鳴りやがって』

垣根「一方通行!? テメエ、生きんのか!?」

一方通行『はァ?』

一方通行『お前、やっぱり頭がイカレっちまったの治ってねェンじゃねェのかァ』

一方通行『だがあの医者が言うには頭に異常はなかったらしいが……まさか、あいつでも治療できねェほどやべェのかァ?』

垣根「いいから答えやがれ。死んだのかお前?」

一方通行『あのなァ。死んでる人間がどォやって電話に出るンだよ』

垣根「そうか! つまり生きてるんだな! お前は生きてるんだな!?」

一方通行『お、おォ』

垣根「良かった…………いや、良くねえよ。寧ろ死ねよ。今死ね、直ぐ死ね、骨まで砕けろ」

一方通行『ホントにさっきから意味不明なンだよテメエは!! なンだ突然!』

垣根「じゃあな。今度は殺してやるから、首洗って待ってやがれ」プツン

フレンダ「どうだった?」

垣根「第一位は生きている。だからあいつは――――」


ドガァアアアアアアッ!


一方通行「hvbuuhv発見yzuhgnoai」

垣根「本物の第一位じゃねえ第一位の姿と力をもった幽霊ってことだ」

今日はここまで。

乙ゥ
幻想片影的な何かみたいな

居場所が無くなったと言うスレタイだけど、何だかんで自分の新たな立ち位置が固まりつつあるていとくんにほっこり

しかしこの幽霊、台詞的に垣根が最初に死んだときの記憶(トラウマ?)をベースに再現してるようにも思えるが果たして…

聞いた話だと一方は「オマエ」は使っても「テメエ」は使わないと聞いたんだけど原作読んだ人教えてくれ
あと後期はカナ小文字が少ないってのも

おつですの

>>388
原作で一方通行の二人称は「オマエ」だけど、アニメで「テメエ」も使ってるからアニメ基準なら間違いではないんじゃないかな?
「ァィゥェォ」は「ー」の代用品で初期はチンピラみたいなネチっこい喋り方だったんだけど、第二の主人公になってからは減ってる

なんだかんだちゃんと相手してくれる一方さんwwww

>>376
少なくとも『本物』の一方通行ではありません

>>380
気付けば何故か学園都市在住の霊能力者ポジになってるていとくん

>>388
なんやて!?

>>391
一方通行は垣根がおかしくなったのは自分の責任だと考えているので……

一方通行「yyubhfvan殺iuvuihuia殺vuyyab殺」ガガガガガッ

垣根「まるで暴走特急だな。うおっ!」サッ


ドシャァア!


垣根「この俺に冷蔵庫を投げつけるとは良い度胸してるじゃねえか」ピキピキ

垣根「しゃらくせえんだよ、モヤシ野郎。お返しにタンスでも喰らえ!」バッ

一方通行「rtfgvbh無駄cvbhj」キュィン

フレンダ「ばかぁぁぁ! 結局なにしてる訳よ! 一方通行には『反射』があるのにタンスアタックなんて通じるはずないじゃない!」

垣根「知ってるんだよ、んなことはよ」

一方通行「tgyhnfa逃亡ghjioffna不可yunva」

フレンダ「ああもう! 第一位も第一位よ! 結局さっきからなに言ってるのか意味不明な訳よ!」

フレンダ「あれって何語なの? ロシア語、アラビア語、スワヒリ語、エスペラント語? ま、まさかゼントラーディ語!?」

垣根「ヤックデカルチャー……ってアホかテメエは! なんで一方通行がゼントラーディ語なんて話しながら襲い掛かってくるんだよ」

垣根(あの所々にノイズが奔る言葉遣いは10月9日に、例の真っ黒い翼を出した時と同じだ)

垣根(だがこれまで戦った感触だと別にアイツは黒翼を出してはいねえ)

垣根(そもそも出してりゃ俺が五体満足で傷一つなくピンピンしてるってことはねえからな)

垣根(となるとあいつはなんだって話だが……)

垣根(生きている第一位なら未元物質を使って逆算や解析も出来るんだが……)

垣根(相手は幽霊。肉体のねえ霊体なのは確かだ)

垣根(そのせいで科学的な解析があれには通じねえし、だからこそ未元物質を纏わせたタンスを投げ飛ばすみてえな単純な攻撃でえ一方通行の能力を確認してきたわけだが)

垣根(反射といいあのエネルギーといい一方通行の能力は見た目的には本物だ)

垣根(だがそれが本当に『ベクトル操作』によるものなのかは判断がつかねえ)

一方通行「yuhinm潰ncaoio三下bviueioa」

垣根「チッ。追い付いてきやがったか」ギラッ

一方通行「tuyhnkm残骸yuiom」

垣根「なっ!」


轟ッ!!


フレンダ「え、嘘っ! わ、私ぃ!?」

垣根(あの野郎、俺じゃなくてフレンダを……!)

一方通行「yuihjkmb肉片uihvioh消滅tyhn」

垣根「そいつに手ぇ出してんじゃねえ!」

一方通行「tyhnmk邪魔vbkl」

垣根(10月9日、テメエの黒翼を見たことで進化した未元物質。それによるテメエが無害と認識しちまう新たなる有害。これなら)


ギュィィィィンッ!


垣根「なんだと!?」

一方通行「plmnbvg雑魚edcvbnmk」

垣根「あっさり反射しやがった、だと……」

垣根「やべえ。翼でガードを!」


ドガァァ!


垣根「く、そ野郎がっ」ボロ

フレンダ「か、垣根!!」

垣根「こっち来るな。テメエがいると、満足に力も振るえやしねえよ」

一方通行「yungaiog退屈yuijg」

一方通行「bnmkh愉快yuih妥協yiu上層yuuih」

垣根「……………ふん。第一位もどきが粋がりやがって」

フレンダ「ねえ。もう逃げた方がいいんじゃない? 相手は幽霊の第一位とかいう最悪の奴だし、あんなの倒しても一銭にもならないんだしさ」

垣根「断る」

垣根「第一位に逃げるってのもうぜえのに、第一位もどきに逃げるだと?」

垣根「ンなことするくれえなら死んだ方がマシだ」

垣根(とは言ったもののやべえな。このままだとジリ貧だ)

垣根(せめてあいつの正体でも掴まねえと)

フレンダ「垣根……」

垣根「よし。作戦変更だ」グイ

フレンダ「どうするの?」

垣根「取り敢えず戦略的に後退する」

フレンダ「……それって逃げるってことなんじゃ」

垣根「逃げるんじゃねえ。後退だっていってんだろ」

垣根「あいつの足止めをしながら、この研究所中を虱潰しに探し回ってアレの正体っぽいのを掴む」

垣根「それまでタイマン勝負はお預けだ」

垣根「ふんっ!」


ジュパァァアアアアアアアアア!!


フレンダ「うわっ! また白い壁みたいのが」

垣根「さっきのやつの十倍の強度と厚さだ。これを破るのはそう簡単じゃねえだろ」

垣根「一方通行はまだ来てねえな」

フレンダ「うん。結局あの壁に通せんぼされてる訳よ」

垣根「よし。じゃあ探すぞフレンダ」

フレンダ「え? 私も?」

垣根「今は人手が欲しいんだよ。ほら、未元物質手袋で物に触れられるようにしてやる」パァァ

フレンダ「お、重い……」ズッシリ

フレンダ「幽霊の私がこのサイズの物をつけるのってかなり体力消耗するんだけど」

垣根「気合」

フレンダ「まさかの精神論!? 科学の街なんだからもっと科学的なことを言って欲しい訳よ」

垣根「じゃ気迫」

フレンダ「さっき言った事と変わらないし」

垣根「いいから、やれっての」ドガッ

フレンダ「酷い……。結局幽霊使いが荒いって訳よ」グチグチ

フレンダ「そりゃ私だって下半身取り戻すのに協力してくれたし。垣根には感謝してるけどさ」グチグチ

フレンダ「私だって、その……死んだとはいえうら若き少女だし」グチグチ

フレンダ「こんなにゾンザイな扱いされちゃうと、私だって傷つく訳よ」グチグチ

フレンダ「仮にも同棲状態だっていうのに垣根は垣根で、私がどんだけ脚線美の魅力を訴えても見向きもしないし」グチグチ

垣根「黙って手を動かせ」

フレンダ「はいはい、分かってますよーだ」ゴソゴソ

フレンダ「……あれ? これって」

垣根「なんかあったのか?」

フレンダ「うん。これ」ペラ

垣根「餓鬼共のプロフィールの書かれた書類の束、か。きな臭ぇ臭いがプンプンしてたがビンゴってわけかよ」

フレンダ「……………」

垣根「まだなにかあるのか?」

フレンダ「う、うん。そのプロフィールの束の中にさ。絹旗の写真もあるのよねー。これって、どゆこと?」

垣根「絹、旗だと。確か絹旗ってのは」

フレンダ「アイテムにいたでしょ。背は一番小さいショートカットの」

フレンダ「LEVEL4の窒素装甲。アイテムの主に前衛担当だった訳よ」

垣根「絹旗最愛……窒素装甲……アイテム……それに一方通行」

垣根「まさか、だがそういうことなら」

垣根「ええと確かこのあたりに」ガサゴソ

垣根「あった」

フレンダ「それって絹旗のケータイじゃない。まだ返してなかったの?」

垣根「わざわざまたアイテムのとこ顔出すのも面倒くせぇからな。だがこれで手間が省ける。ええとこいつでいいか」


トゥルルルルルルル……


浜面『もしもし――――』

垣根「俺だ」

浜面「は? 俺?」

滝壺「どうしたのはまづら」

絹旗「食事中に電話なんて超マナー違反ですよ」モグモグ

麦野「誰から? まさか愛人とか――――」

滝壺「!」ガタ

浜面「本気にしないで下さいね滝壺さん。愛人なんていないからね俺!」

絹旗「そうですよ。浜面に愛人なんて作る度胸は超ありませんから」

滝壺「それもそうだね」ナットク

浜面「………………」

麦野「で、誰なの?」

浜面「それが俺だけとしか。ええともしもし。一体アンタは――――」

垣根『そうだ。察しの通り俺だ』

浜面「察してねええええええ!」

垣根『早速だが用件を伝えるぞ』

浜面「いやいやいやいや。名前教えてくれないと答えようありませんからね?」

垣根『あぁ! テメエこの俺の声を忘れたとか言うんじゃねえだろうな』

浜面(滅茶苦茶怒ってる!? ということは俺の良く知ってる人からなのか)

浜面(やべぇな。丁度ケータイ買い換えたばっかで、アドレス帳の再登録これからなんだよな)

垣根『おい本当に俺のことが分からねえのか?』

浜面「そ、そんなことねぇよ!」

浜面(言っちゃったァーーーーーーーーーーー!)

垣根『ははははは。そうかよ、だったら話は早ぇな』

浜面「あ、ああ。それで用件ってなんなんだ?」

垣根『………………』

浜面「な、なんだよ」

垣根『お前さ。本当に俺が誰だか分かってんの? もしかしてただ話を合わせてるだけじゃねえのか?』

浜面「!」

浜面「なに言ってんだよ、そんなことないって」ハハハ

垣根『……本当か?』

浜面(やべぇよこいつ鋭い)

垣根『じゃあお前。俺の名前を言ってみろ。当然俺のことを知ってるなら言えるよな』

浜面「え、ええ!?」

垣根『ほら早く言え今言え』

浜面(やべぇえ! どうしよう!? ホント誰なんだこいつ。口振りからしてそこそこ付き合いの長い奴ってことだろ)

浜面(半蔵……は流石に声は覚えてるし、こんなドスがきいた声じゃねえ。駒場のリーダーはとっくに死んでるし)

浜面(後は後はあとは……ああああああああああああぁぁああああああああ! 友達の名前忘れるなんて俺の薄情者! この馬鹿野郎!)

垣根『……やっぱり覚えてなかったのか』ガクッ

浜面「…………………すまねえ。友達の名前忘れるなんて薄情者だよな」

浜面「だけど! そんなのはこれっきりにする! もうどんなことがあっても声含めて名前を忘れねえって努力する!」

浜面「だからお前が良かったら、改めて名前を教えてくれ」

垣根『垣根帝督だ』

浜面「うぉぉぉおおおおおおおおおおおい!! 友達でもなんでもねえじゃねえかよぉぉおおおおおおおおおおおお!!」

垣根『ガタガタうるせぇな。』

浜面「さっきまでの俺の悔恨とか諸々どうしてくれるんだよ! 友達の名前忘れたのかと思ってガチでパニックになったじゃねえかよ!」

垣根『は? なんで俺がお前なんかの友達になってるんだよ。馬鹿じゃねえの?』

浜面「お前が思わせぶりなこと言うからだろうが!」

垣根『まぁいいや。アホ面しいたけ、用件を伝えるぞ』

浜面「浜面だよ!? 浜面仕上だよ俺の名前は! なんだアホ面しいたけって」

垣根『知らねえよ。絹旗のケータイのアドレス帳にそう登録されてたんだよ』

浜面「は? 絹旗のケータイ?」

絹旗「浜面、超ケータイ貸して下さい!」バッ

浜面「あ」

絹旗「垣根帝督! 私のケータイ超今直ぐに返して下さい!」

絹旗「そのケータイにはアドレス帳だけじゃなく色々なデータが超入ってるんですよ」

垣根『んなことはどうでもいいんだよ』

絹旗「超良くないです!」

垣根『お前、絹旗最愛だな。LEVEL4の窒素装甲の』

絹旗「だから――――」

垣根『○○区画の×××研究所。このフレーズに覚えはあるか?』

絹旗「ッ!」ガタッ

垣根『覚えはあるか?』

絹旗「どうして、そんなことを」

垣根『暗闇の五月計画。学園都市第一位のLEVEL5、一方通行の演算パターンを参考に、各能力者の「自分だけの現実」を最適化、能力者の性能を向上させようっていういかれたプロジェクト』

垣根『この分だとここがそのプロジェクトが行われてた場所ってのは間違いねえらしいな』

絹旗「今更あのプロジェクトのことを聞いて超どうする気ですか?」

垣根『それだけ聞けばもう用はねえ。じゃあな』プツン

絹旗「なっ! 一方的に言いたいことだけ言って切るとは、第二位は超自分勝手ですね」ガタッ

浜面「絹旗?」

絹旗「すみません皆。これから映画の予定でしたが超ドタキャンさせて貰います」

絹旗「少し行く所が出来たので」

垣根「分かったぜ、あの『一方通行』の正体が」

フレンダ「ここが絹旗が前にいた『暗闇の五月計画』がやってた場所ってだけで」

フレンダ「いや確かに一方通行の演算パターンを植え付けるって内容だったけどさ。だからって」

垣根「お前の言いてえことは分かる」

垣根「確かに一方通行の演算パターン、ひいてはその精神性を植え付けたらそいつが一方通行になるわけじゃねえ」

垣根「そりゃ言動や性格が一方通行に近付くことはあるかもしれねえが、その人格が100%上書きされるなんてことはねえよ」

垣根「当然実験の被験者が一人死んで幽霊になったところで、そいつが一方通行の能力と形を手に入れるなんてこともな」

フレンダ「でしょう?」

垣根「だが一人じゃなかったならどうだ」

フレンダ「一人じゃ、ない?」

垣根「暗闇の五月計画は暗部の実験だ。アイテムの絹旗みてえに優秀な成績を出して生き残った奴がいる一方で、成績が出せねえで廃棄される実験体や、実験に耐え切れず死亡するのもかなりいたはずだ」

垣根「そんなふうに死んだ実験体の幽霊の集合体、それがあの一方通行の正体だ」

フレンダ「で、でも幾ら幽霊が集合したってあんなふうに一方通行の形になるものなの?」

垣根「忘れたのか? 実験体には全員一方通行の精神性を植え付けられていたんだぞ。一つ一つは大したことねえかもしれねえが、チリだってつもりゃ山になるんだ」

垣根「失敗作100人分の精神性と実験体にされた恨みや憎悪が集まれば、そりゃ一方通行の再現くれえできるようになるだろ」

垣根「当然科学的じゃなく霊的にだがな」

フレンダ「だったら佐天だったっけ? あの子を呪い殺そうとしたのはどういう訳なの?」

垣根「あの一方通行の形をした幽霊が取り込んだのは恐らく実験体だけじゃねえ。実験体の暴走で死んだ研究者たちもだ。するとどうなると思う?」

フレンダ「まさか研究者の精神性も混ざっちゃったとか?」

垣根「だろうな。『研究者』たちの狂った探究心と一方通行の精神性にある嘗てLEVEL6を目指した時のような『強い力』を求める渇望」

垣根「その二つが最悪な方向性で混ざった結果、ここに来る奴に自分の一部を憑りつかせて、呪いで頭をかち割った後に自分に取り込もうとしたんだろうな」

垣根「暗闇の五月計画で死んだ実験体が一方通行を再現した幽霊に取り込まれたのと同じように」

フレンダ「沢山の幽霊の集合体かぁ。道理で強い力がある訳よ」

垣根「もっとも完全に『一方通行』のわけじゃねえ。ベクトル変換は一方通行だけの能力だし、そもそも実験体全員がベクトル能力者ってわかじぇねえしな」

フレンダ「うん。絹旗も窒素を使う能力者だしね」

垣根「言うなりゃあいつはポルターガイスト現象で一方通行の能力を再現しているだけ」

垣根「『反射』にしても本当に反射しているわけじゃなくて、自分に向かってきた力をポルターガイストでそっくりそのままの勢いで押し返してるだけだ」

垣根「そりゃ未元物質で無害と偽装しての有害による攻撃なんて意味ねえわな」

一方通行「yuihovkabguvn発見tyjmkl」ガァァ

垣根「漸くのご登場かよ、偽物野郎」

フレンダ「どうするの? 正体は分かったけど、相手は沢山の幽霊の集合体なんでしょ」

垣根「忘れたのか? LEVEL5ってのは個人で軍隊を相手取れる化物の巣窟なんだぞ。多対一は望むところだ」

一方通行「vbnmk殺害yuiknm」

垣根「来やがれ」

今日はここまで。

垣根(あの偽一方通行の能力は『一方通行』じゃなく、ただのポルターガイスト現象……)

垣根(無数の霊の力が合わさることで、一人分では微々たる力しかねえポルターガイスト現象は、学園都市第一位の超能力を再現するほどに凶悪になってやがる)

垣根(ならば――――)


ブワッ!


フレンダ「は、羽が研究所を突き破るほど大きく……? 結局どうするつもりなの!?」

垣根「簡単なこった。あの偽物野郎が途轍もない出力のポルターガイストで一方通行を再現しようっていうんなら、それ以上の出力を発揮すりゃ奴の防壁を突破できる」

フレンダ「そんな力任せな。相手は何人分の幽霊の集合体か分からないのに。ここは一旦退却して体制を整えた方がいいと思う訳よ」

垣根「ハッ。何百体だろうと何千体だろうと関係ねえ。徒党組んだ凡才共の数の暴力を、イカれた才能で踏みつぶすのが学園都市のお約束ってもんだろうが」

偽一方通行「tghyk死bnmi不許iuabnean」

垣根「それに所詮あれは一方通行を真似てるだけの偽物。一方通行にすらなれなきゃ、自分すらねえ惨めなジャンクだ。俺の敵じゃねえよ」

偽一方通行「cvbnmkh狂yui」

垣根「来いよパチモン野郎。『本物』の強さってのを教えてやる」

垣根「どらぁぁあああああ」ズバァァアアアアア

偽一方通行「noiugau脅威ybn不mpoiurhy礼hg」ゴォォォ

フレンダ「す、すごっ! 垣根が押してる訳よ……。麦野の傍でLEVEL5の戦いっていうのは結構見てきたって思ってるけど、やっぱり第一位と第二位は規格外な訳よ。片方は偽物だけど」

垣根「ははははははははははーッ! どぉした偽物野郎ォ! もう足にガタァきてんじゃねえのか?」

偽一方通行「tyuiolvbnm夢rtyu双dt」

垣根「って幽霊だから足なんざなくても浮けんのかぁ。だったらンな足は要らねえだろ!」


ズバァァァッ!


偽一方通行「uiocghk障oiuhn」

垣根「クククッハハハハハハハ! ただでさえ細ェのに半分になって細く短いモヤシになっちまいやがって。これじゃ食材としても使えねえじゃねえかぁぁああああああ!」

フレンダ「上半身と下半身を真っ二つってえげつない訳よ。うぅ、過去のトラウマがぶり返しそう」

垣根「どうしたぁ! 楽しいなら笑えよ。なぁぁ笑えよぉぉぉ! なぁぁああああああ!!」ギャリギャリギャリ

偽一方通行「inagoan化iwnga不能nmkak」

垣根「絶望しろコラ」

フレンダ「うわぁ。もう完全に虐殺じゃんこれ。まぁここまでやれば一方通行の偽物もタジタジね」

垣根「……いや」

偽一方通行「vbnmkiu無事rtyuk」

フレンダ「嘘でしょ。あんだけボコボコにされてたのに傷一つないじゃない。真っ二つにされた足も何故か復活してるし」

垣根「奴は無数の霊の集合体。幾ら奴を爆発させようと切り裂こうと分裂するだけで元に戻るってことかよ」

垣根「厄介なもんだ。この俺の常識の通用しねえ物理的除霊が通じねえのは初めての経験だ」

偽一方通行「bnmikuygb殺oiuytfc」

垣根「いいぜ。なら何度でも殺してやる」

フレンダ(……最初は垣根の超能力の無茶苦茶な出力で圧倒してたけど)

垣根「ハァハァハァ。くそっ。しぶてえ野郎だ」

偽一方通行「bnmkijh殺vbnm」

フレンダ(ぶっ続けで三十分も全力攻撃を出してれば疲れる訳よ)

フレンダ(超能力者だって無限に能力を使い続けられるわけじゃない。私が前に戦った第三位だって疲労が限界に達したら、得意の超電磁砲もぶっ放せないくらいになるし、麦野だって全力の原子崩しをずっと連射し続けるなんて出来ない)

フレンダ(第二位の垣根は能力の持久力でも第三位や麦野より格上かもしれないけど、それにも限界がある)

フレンダ(対する偽物の一方通行は幽霊だから体力切れなんてない)

フレンダ「どうするの垣根! このままじゃ結局、先にアンタの体力が尽きる訳よ!」

垣根「チッ。言われなくても分かってんだよ」

フレンダ「だからやっぱり一旦退くべきだって! アンタまで死んじゃ元も子もない訳よ」

垣根「……ま、だろうな。だが退く気はねえ」

フレンダ「なんでよ! そんなに佐天って第三位の友人を助けたいの?」

垣根「なわけねえだろ。ただな……俺は垣根帝督なんだよ。本物の、この世界に一人だけの垣根帝督なんだよ」

垣根「その垣根帝督が、だ。一方通行相手ならまだしも、たかが一方通行の偽物如きに負けたら俺まで本物じゃねえみてえになるだろ」

垣根「テメエ等もテメエ等だよ」

偽一方通行「rtyuikl死bnm」

垣根「科学者共に植え付けられた一方通行なんてものに死んだ後も縛られやがって。気に入らねえんだよ。そんなに自分より一方通行が大切か?」

垣根「俺は絶対に誰にも渡さねえぞ。垣根帝督は俺だけのものだ。超能力も体も心臓も、指先から脳天に至るまで全て俺だけのものだ」

垣根「誰になる気もねえし、誰に渡す気もねえ」

偽一方通行「yuiow殺ertlvk殺gbhnk殺tybnm」

垣根「だから――――」


轟ッ!!


偽一方通行「yuioi損傷vyu重大cvbnm」

垣根「テメエ如きには死んでも負けねえよ」

垣根(とはいえ冗談ぬきでやべぇな)

偽一方通行「vbnm回復tyui」

垣根(ただでさえ俺の最大出力を出し続けてだるいってのに、こうもノーダメージじゃ堪える……)

垣根(周囲を完全に覆ってから押し潰すとか、色々と工夫してみたがアレには届かない)

垣根(ったく。地球を持ち上げようと地面に手を押し当ててる気分だ。歯応えが皆無ってのはきついなこりゃ)

垣根(本物の一方通行は持久力に関して全然だから、徹底的な持久戦を挑むのがベストな戦術だが、偽物のこいつは逆に持久戦に滅法強いときていやがる)

偽一方通行「tyulbnm殺tyuikkmn」

垣根「そうかい。あれだけバラバラにされてもまだ遊び足りないってことかよ。なら今度は跡形も残さず消し去ってやるよ!」ブワッ

絹旗「そこで……超なにしてるんですか!?」

垣根「っ!」

フレンダ「き、絹旗!?」

絹旗「変な電話を貰ったから気になって糞忌まわしい古巣に戻って来てみれば……」

絹旗「超巨大な翼が研究所の壁突き破っているわ、中では第一位と第二位が殺しあってるわ」

絹旗「一体全体なにがどうなってるんですか?」

垣根「ここはテメエみてえなチビの来る場所じゃねえよ。帰って寝んねしてろ」

絹旗「超失敬な!?」

フレンダ「そうそう。垣根の言い方は悪いけどホントにここ危ないから帰った方がいい訳よ」

絹旗「……私も第一位と第二位の争いに介入するほど超命知らずじゃありませんよ。だけどその前に私のケータイを――――――」

偽一方通行「tuyighiookp絹旗boigavbun」

フレンダ「っ! 絹旗、危ない!」

垣根「くそっ。世話のかけ――――――なに?」

偽一方通行「kinuhata……キヌハタ…………絹旗……………絹旗最愛」

フレンダ「な、なに? 偽一方通行の雰囲気が変わった?」

絹旗「ちょっと! 超どうしたんですか一方通行!?」

偽一方通行「懐かしい絹旗だ/妬ましい……/お前のせいで/久しぶり/無事で良かった/なんでお前だけ」

フレンダ「一方通行の偽物から沢山の声が。どういうことなの? さっきまで変なノイズ音しか発してなかったのに」

偽一方通行「一緒に来い/絹旗だけでも幸せに/呪われろ/死にたくなかった/恨めしい/早く消えたい」

垣根「……そうか。絹旗最愛は暗闇の五月計画を生きぬいた一人。こいつ等からすれば自分達と同じ被験者だ」

垣根「自分と同じ被験者が自我をもって『絹旗最愛』として生きているのを見たせいで、植え付けられた一方通行の精神性に従うだけだった無数の霊が其々の自我を芽生え始めやがったんだ」

フレンダ「そ、それじゃあ!」

垣根「一体一体の霊が自我に目覚めたんなら、もはやあいつは一方通行を形作る霊の集合体じゃねえ。ただ一か所に集まってるただの霊だ」

垣根「今なら倒せる!」バッ

偽一方通行「絹旗/絹旗/絹旗/絹旗/絹旗」

垣根「物理的にあの世に行けぇぇええ!!」

偽一方通行「―――――――――――」シュゥゥゥゥ

垣根「ふぅ。除霊、完了……だ」

フレンダ「一時はどうなるかと思ったけど、ギリギリで勝てたわね。ああ疲れた」

垣根「テメエはなにもしてねえだろ」

フレンダ「精神的な疲労な訳よ!」

絹旗「第二位。一人で勝手に納得してないで超説明して下さいよ。あれはなんだったんですか?」

垣根「知る必要はねえことだよ。ちゃんと生きてるお前にはな」

絹旗「だけど消えた一方通行みたいなの。あの声は一方通行じゃなくて、暗闇の五月計画の――――」

垣根「ふん。悪い夢でも見たんだろ。ああくそ、今日は糞下らねえ慈善事業なんかに精を出しっちまったいせで胸焼けがする。帰って朝まで寝る」

フレンダ「えぇー! 今日はマリ○カートしないの!」

垣根「疲れてんだよ、じゃかあしい」

絹旗「待って下さい! 私のケータイ! 私のケータイ、今直ぐ超返して下さいよ! その為に来たんですから」

垣根「あぁ、あれか。細けぇことをしっかり覚えてやがるなお前ぇ。はいよ」

絹旗「超良かったです。これで……」

ケー/タイ「」チーン

絹旗「……超なんですかこの、フレンダみたくなったケータイは」

垣根「さっきドンパチしてる最中にな。ま、これはこれで味があっていいじゃねえか」

絹旗「全然よくないですよ! どうしてくれるんですか私のケータイ! 超弁償して下さい!」

垣根「じゃあな」バサバサバサッ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月25日 (火) 02:11:11   ID: fFyQlK9W

麦野『しゃぁけーべぇーん』

ワロタww

2 :  SS好きの774さん   2014年07月16日 (水) 23:09:24   ID: 7WibL3sI

伏線の貼り方が上手くて驚いた(特にミサカ編)

あと、今まで想像すらしなかったけど垣フレもなかなか良いなww

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