和「私の彼女と幼馴染が修羅場すぎる」(122)

咲「原村さん、そのジャージ着た猿みたいなやつ誰?」

穏乃「和、宮永家の人間と一緒にいたら病院送りにされちゃうぞ」

和「あはは……」

はよ

咲「はぁ?病院送りにしたのはお姉ちゃんだよね?猿は姉妹の区別もできないの?」

穏乃「いやだから『宮永家』って言ったじゃん。てかあんた自身にも『家一軒放火した』ってウワサたってるし」

和「えっと…」

咲「はっ、何?そんなウワサ鵜呑みにしてんだ。常識的に考えてあるわけないよね、そんなこと」

穏乃「ありそうだからウワサがたってるんだろ」

和「あの…」

咲「……」ビリビリ

穏乃「……」ビリビリ

咲「…もういいよ。こんな猿ほっといて行こっ、原村さん」

和「えーっと…」

穏乃「和!行っちゃダメ!燃やされるよ!」

咲「だからさぁ……それデマって言ったでしょ?脳みそも猿なの?」

穏乃「デマとか言ってなかったじゃん」

咲「言ってなくてもニュアンスで分かれよ」

穏乃「ん?猿だからわからなかったよ」

咲「…チッ」

和「あわわ…」

咲「というかさ、私と原村さんは付き合ってるわけ。幼馴染のあんたにとやかく言われる筋合いはないよ」

穏乃「幼馴染だから言ってんだよ。何?『私以外の女と話しちゃダメ~』ってこと?束縛かよ。キショッ」

咲「あーあー。今言っちゃいけないこと言っちゃったね。誰か調教してくれないかなーこいつ」

穏乃「あっ、図星?図星だった?ごめん、ごめーん」

咲「…チッ」

和(誰か助けてください)

穏乃「そういえば、お互い名字で呼びあってるよね?付き合ってるのに。おかしくない?」

咲「いやいや、二人の時は名前で呼びあってるよ。今はお前に気を使ってたんだよ察しろ」

穏乃「うわっ、なにそれ。他人がいると名前で呼びあっちゃいけない程度の関係だったんだ。あーこれはすぐ破局するわ」

咲「あーあ。もういいよ。ゲロ甘なイチャラブ見せつけてやるよ」

穏乃「えっ、ゲロ甘?イチャラブ?…ぷっ、いつの時代の人間だよ…ぷくくっ」

咲「お前は紀元前の猿だろ黙ってろ」

穏乃「そもそもさ、和はなんでこんな犯罪者と付き合ってんのさ。脅されてるの?」

和「え!?あっ…あのですね」チラッ

咲「……」ギロッ

和「!」ビクッ

和(……ええ。その通りですよ、穏乃…)

和(…宮永さんのお姉さんが重度のシスコンらしく、諦めさせるために私に仮の恋人を演じろと…)

和(…断った場合、私が中学時代に書いた妄想本『レジェすこ!~健やかでない伝説~』をネットでばらまくと…)

和(…それは絶対に阻止しなければなりません)

和(穏乃が私のためを思っているのはわかりますが、宮永さんには逆らえないのです…)

和「…み、宮永さんが魅力的だからですよ!ほら、麻雀も強いし可愛いし!」

咲「もうっ、和ちゃんったら!恥ずかしいよ///」ドヤァ

穏乃「ふ、ふ~ん。ま、和がそう言うんなら…」

咲「もういいでしょ?私と和ちゃんはこれからデートに行くの。早く帰れば?」

穏乃「いやだね。それとこれとは別。和とは、ずっと前から今日遊ぶって約束してたんだ。急に入れたデートなんて認めない」

咲「はぁ…察しろよ…。彼女とのデートと幼馴染との遊び。どっちの優先基準が上か、猿でも分かるでしょ?」

穏乃「約束が早かったほうに決まってるだろ」

咲「はいはい。じゃあこうしよう。和ちゃんにどっちと遊ぶか決めてもらお。それなら納得してくれるよね?」

穏乃「…いいよ。和は昔から約束は破らないんだ。私と遊ぶよね、和?」

咲「彼女をほっといて他人と遊びに行くほど和ちゃんは冷たい人じゃないよね?もちろん私とデートするよね?和ちゃん」ニコォ

和(どどどどうすればいいんでしょう…)

和(宮永さんには逆らえないし、かといって穏乃との約束を破れば親友の信頼を失ってしまう…)

和(……うぅ~…)

和「……」

和「……」ゴクリ

和「……さ、三人で…遊ぶのはど、どうでしょうか?なーんて」

咲・穏乃「はぁ!?」

和「ひっ!?…えと、あの……そう!どっちが大切か、とかは関係なくて…ただ単に私はこの三人で遊んでみたい!と思ったんです!」

咲「……」

穏乃「……」

和「二人はまだ知り合って間もないから、ぶつかってしまうと思うんです。一緒に遊べばきっと仲良くなれます!」

和「何より私は二人が仲良くなってくれればなと思っています。だ、ダメですか…?」

咲「……和ちゃんがそう言うなら…仕方ないね」

穏乃「……腑に落ちないけど…まぁそれでいいよ」

和「あ、ありがとうございます!」

和(ふぅ…なんとか乗りきれました……しかし…これからが問題ですね…)

咲「…じゃ、さっそくだけど、どこに行く?デートの予定はお菓子屋さん巡りだったんだけど」

和(…正確には『お姉さんがよく行くお菓子屋さん巡り』なんですがね。イチャラブを見せつけるために)

穏乃「こっちの予定はボーリングとかゲーセンとか、アミューズメント巡りだよ」

和(…穏乃は体を動かす遊びが好きですからね)

和(…さて、どうしましょう)

和(…お姉さんがエンカウントしやすそうでかつ、体を動かせる場所……)

和(あ…確か、お姉さんの友人が遊園地好きらしく、お姉さんを連れまわしていると聞きました)

和(…遊園地なら体も動かせますね!よし!)

和「…遊園地なんてどうでしょうか?」

穏乃「遊園地!?いいね!行きたい!」

咲「……和ちゃん。デートの本来の目的、わかってるよね?」ゴニョゴニョ

和「は、はい。…お姉さんが遊園地に頻繁に出没するという情報があります。お姉さんを見つけたら、その間穏乃はアトラクションに行かせます」ゴニョゴニョ

和「そこでイチャラブを見せつければ問題ありません」ゴニョゴニョ

咲「…ふーん…ま、わかってるならいいよ」ゴニョゴニョ

遊園地――シズニーランド――

穏乃「わーい!遊園地!遊園地!」

咲「あははっ。猿のマスコットが騒いでる。気持ち悪っ」

穏乃「あ?」

咲「あっ間違えた間違えた。キモかわいいだ!」テヘッ☆

穏乃「…私に言ってるの?」

咲「そうだ!シンバルでも持ってたらどう?似合いそう!」

穏乃「ははっ。なんか頭にクチバシ付いたマスコットが騒いでる。気持ち悪っ」

咲「ああ?」

和(…早く帰りたいです)

和「ささっ、行きましょう行きましょう!まずは…ジェットコースターですかね?」

穏乃「おっ、定番だね!行こっ!」

咲「穏乃ちゃん小さいから飛ばされないようにね!」

穏乃「…いきなり呼び捨てかよ…」ボソッ

穏乃「そうだね!咲ちゃんもビビり過ぎておしっこ漏らさないようにね!」

咲「…なに気安く名前呼んでんだよ…」ボソッ

咲「あははっ!猿じゃあるまいし!ないない!」

咲・穏乃「あはははははっ!」

和(…胃薬売ってますかね)

和「ささっ、行きましょう行きましょう!まずは…ジェットコースターですかね?」

穏乃「おっ、定番だね!行こっ!」

咲「穏乃ちゃん小さいから飛ばされないようにね!」

穏乃「…いきなり名前呼びかよ…」ボソッ

穏乃「そうだね!咲ちゃんもビビり過ぎておしっこ漏らさないようにね!」

咲「…なに気安く名前呼んでんだよ…」ボソッ

咲「あははっ!猿じゃあるまいし!ないない!」

咲・穏乃「あはははははっ!」

和(…胃薬売ってますかね)

――ジェットコースター――


和(…どっちが私の隣に座るかもめること数十分。やっとジェットコースターに乗り込めました…)

和(席は咲さんと穏乃が一番前、その後ろに私という形でなんとか収まりました…)

ビーッ!

ガタン…ガタン…ガタン…

咲「始まった!風が気持ちいいんだろーなー。あっでもでも、風で穏乃ちゃんのジャージ脱げちゃわないか心配だよー」

穏乃「咲ちゃんも風で角増えたりしない?これ以上魔王要素増えるのは勘弁だよー」

咲・穏乃「あはははははっ!」

和(…ジェットコースターよりもこの二人の会話のほうがドキドキします)

ガタン…ガタン…ガタタン!

和(頂上に着きました。…二人の様子は…)

咲「……」ビクビク

穏乃「……」ビクビク

和(?……あれっ、もしかしてこの二人……)

ゴォォォォォォォオオオオオオオ!!!

咲「うあああぁああぁあぁああああ!!!」

穏乃「ひゃああぁあぁぁああぁぁああああ!!!」

和(なるほど…見栄を張っていたんですね…)

ゴォォォォォォォオオオオオオオ!!!

…………

咲・穏乃「……」ゲッソリ

和「……もう。苦手なら苦手って言って下さいよ…」

咲「……別に苦手じゃないもん」

穏乃「……右に同じ」

和「ふふっ、そうですか。あっ、飲み物買って来ますね。二人は休んでいてください」

咲「…ありがとう和ちゃん…」

穏乃「ありがとー…」

和(今は二人とも弱ってますし、大丈夫ですよね)

和「では、行って来ます」タタッ

咲「……」

穏乃「……」

咲「……」

穏乃「……」

咲「……ねぇ」

穏乃「……わかってるよ」

咲「……そう」

穏乃「……うん。一緒にトイレ行こう…」

咲「……うん……あっでも言っておくけど、私は数ミリリットルだけだからね」

穏乃「……それなら私は数ミリミリリットルだから」

咲「……」

穏乃「……」

咲「……行こっか」

穏乃「……うん」

咲「……」ゴクゴクッ

穏乃「……」ゴクゴクッ

咲・穏乃「ぷはっ!」

和「…気分、良くなりましたか?」

咲「うん!ありがと和ちゃん」

穏乃「元気百速!さっ次行こ次!できれば激しくないやつ」

和「ふふっ、そうですね。ここからだと…一番近いのはお化け屋敷ですね」

穏乃「よし!それなら大丈夫!咲ちゃんは怖くないよね!」

咲「…それ、私が悪魔っぽいからってこと…?」

穏乃「あははっ。違うよー。悪魔じゃなくて魔王だよー」

咲「…チッ」

和(…大人しくなったと思ったら、互いに罵り合う元気がなかっただけですか)

――お化け屋敷――


和(このアトラクションは三人一組で入るみたいです。…良かったような良くなかったような…複雑です)

咲「うわー、雰囲気出てるねー」

穏乃「でも、そんなに怖くないなぁ。もう半分くらい?」

咲「ははっ。さっき私の袖引っ張ってたでしょ」

穏乃「あ、あれはただ道連れにしようと!咲ちゃんこそずっと私の後ろに隠れてたじゃん」

咲「そ、それは生け贄にしようとしてただけ!」

和「…仲、良くなりましたね」

咲・穏乃「ないない!」

カツン…カツン…

咲「え…何の音…?」

カツン…カツン…

穏乃「何かが…近付いてきてる…?」

カツン…カツン

和「…後ろ…からですか?」

三人「……」クルッ

大きな人「…おおお……追っかけるどぉーーー!!」バッ!

咲「ぎゃああああぁぁあぁぁぁあああ!!!」ダダタッ!

穏乃「うおわあああぁあぁあああぁあああ!!!」ダダタッ!

和「あ…」


和「…置いていかれました…」ポツン

和「……」

大きな人「……」

和「……えっと」

大きな人「……ぼっちじゃないよー」

和「え、あ、はい」

大きな人「……一緒に出口まで行ってあげる」

和「……お願いします」

?「ななななんでこんなとこに咲が!?」

?「それになんでピンクとジャージと一緒に遊んでいるんだ!?」

?「…いや、普通に友達同士で遊びに来ただけだろ…」

?「…ウワサでピンクと咲が付き合ってるって聞いた。認めてないけど」

?「…おい、私の話聞いてるか?」

?「仮に、万が一、あり得ないけど、付き合ってるのが本当なら、なぜジャージがいる!?」

?「…あれか?咲ちゃんはハーレムを作ろうとしているのか?私も入りた…いやけしからん!」

?「姉として、止めさせなければ!ついでにピンクもつぶす」

?「…菫、急用ができた」

菫「はぁ……まぁいい。私はシズニーマウスと戯れてるから」

菫「行ってこい。あんまり問題起こすなよ?照」

照「ピンクつぶすジャージつぶすピンクつぶすジャージつぶす……」ブツブツ

菫「……妹さんがんばれよ……あっシズニーマウスだ!こっちこっち!わあ!かわいい~!」

和(……あれからいくつかアトラクションを回りました)

和(メリーゴーラウンド、ゴーカート、フリーフォール…)

和(この数時間であの二人は…)

咲「穏乃ちゃん穏乃ちゃん!あれ見て!すごく大きな山!登ってきたら?」

穏乃「うわぁ!火山だ!火とか咲ちゃん似合いそうだから咲ちゃん登れば?」

咲「あっ、穏乃ちゃんほっぺたにアイス付いてるよ?猿の赤ちゃんみたい!汚いけど取ってあげる!」ヒョイッ

穏乃「ありがと!汚いなら私が食べるよ!」ガブッ

咲「あははっ!痛い!痛いよ穏乃ちゃん!食い意地張った猿だね!」

穏乃「ひれーになへてあふぇる!」ペロペロ

咲「あははっ!くすぐったい!」

キャッキャッ

和(……うん。すごく仲良く…なったと思います思わせてください)

穏乃「あー!かなりはしゃいだな!」

咲「うん!たまには遊園地もいいもんだね!」

和「良かったです。楽しんでもらえたみたいで」

穏乃「あと行ってないのは……観覧車か」

咲「そろそろ夜景が綺麗な時間だね!行こっ」

和「ふふっ、じゃあ観覧車でしめましょうか」

穏乃「まだまだ遊び足りないけどねー」

咲「今はまだ空いてるみたい。次のに乗れそう」







照「……そこの三人…待ちなさい」

咲・和「っ!?」

穏乃「?」

照「……咲…一体、どういうこと…?お姉ちゃんを差し置いてピンクジャージとハーレ…遊ぶなんて」

咲「……」

和(…くっ、嫌なタイミングでエンカウントしました…)

和(……おそらく、ずっと影から見ていたんでしょうね…)

和(…今穏乃を引き離してももう意味がない…イチャラブ作戦ができなくなりました…)

和(…さて、どうしますか)

咲「……お姉ちゃんには関係ないよ」

照「ある。なぜなら私は咲のお姉ちゃんだから」

照「そんなピンクとの交際は認めない」

咲「…私が誰とどうなろうと私の勝手でしょ!」

穏乃「えっ…宮永照?なんで?どういうこと?」

照「…阿知賀のジャージか。お前は別にどうでもいい。咲と仲悪いみたいだし」

照「……問題はピンク。お前だ。何勝手に人の妹に手を出してんだよ。お?」

和「……」

照「どうせその無駄な脂肪で色仕掛けしたんだろ。咲は騙されてるんだ」

咲「……っ!」

照「良いように扱われてるだけだ。好意なんて欠片もないんだよきっと」

咲「お姉ちゃん!!」

和「……好意、ですか……ふふっ」

和「ありますよ。私は咲さんが好きです」

咲「!?」

照「…ほう」

和「それだけじゃありません。私は穏乃も同じくらい好きです」

穏乃「えっ」

咲「えっ」

照「えっ」

和「……もちろん、二人とも『親友』として!」

穏乃「ビックリした……ん?」

照「…親友?お前、咲と付き合ってるんだろ?どういうことだ?」

咲「和ちゃん!」

和「咲さん。ここは私に任せて下さい」ゴニョゴニョ

咲「…でも、全部バラしたらまた……」ゴニョゴニョ

和「大丈夫です。心配いりません」ゴニョゴニョ

和「穏乃!咲さんを連れて観覧車へ!」

咲「えっ?」

穏乃「え、う、うん!」

和「……咲さん、もう気付いてるはずです。偽りでない本物の恋に!嘘を吐くのはもう終わりです!行きなさい!」

咲「……わかった。ありがとう和ちゃん」

穏乃「行こう!咲ちゃん!」

ダダタッ!……

照「……行ったか。まぁいい。当初の目的はお前をつぶすことだからな」

照「で?さっきのはどういうことなんだ?やっぱり咲を騙してたのか?」

和「……頼まれたんですよ、咲さんに。お姉さんの前では恋人のフリをしろと」

照「は?なんでそんなこと……」

和「気付いてないんですか?咲さんはあなたのその束縛に嫌気がさしてたんですよ!」

照「なっ!?」

和「…あなたから解放されたいがために偽の恋人を作った。歪んでます」

照「さ、咲はそんなことしない!!」

和「あなたがそうさせたんですよ!!」

照「っ!」

和「……妹が心配になる気持ちはわかります。でも、少しくらい信じてあげたらどうですか?」

照「……でも咲に悪い虫が付いたらと思うと…」

和「悪い虫かどうかはあなたが決めるものではありません。咲さん自身が決めるものです」

照「……」

和「……見ていたでしょう?…穏乃と楽しそうに話す咲さんの笑顔。あれは穏乃じゃないとできないんです。あなたにはできません」

照「……」

和「……でも、あなたしかできない咲さんの表情もあるはずです。穏乃にはできない。それに気付いてください」

照「……私にしかできない…」

和「そうです。きっとすぐに見つかりますよ!」ニコッ

照「!!」

照「……お前、意外といい奴だったんだな」

和「……いいえ、咲さんの過ちを正すことよりも自分の保身を選んだ、愚か者ですよ…」

照「……あの二人は…恋人になるのかな…?」

和「……ええ、きっと。ふふ、穏乃なら咲さんを任せられますよ」

照「……ふふっ、お前がそう言うならそうなんだろうな」

――観覧車――


咲「……」

穏乃「……和」

咲「えっ?」

穏乃「和…大丈夫かな?」

咲「…うん。きっと」

穏乃「…だよね」

咲「……」

穏乃「……」

咲「…あのね、穏乃ちゃん」

穏乃「うん?」

咲「私、今日すごく楽しかった」

穏乃「…うん、私も」

咲「…穏乃ちゃんと遊ぶってなったときはどうなることかと思ったけど」

穏乃「あははっ、おんなじだ」

咲「でも今はすごく仲良くなれたと思う」

穏乃「ううん、思う、じゃなくて仲良くなったよ」

咲「ふふっ、そうだね」

穏乃「和には色々迷惑かけちゃったね」

咲「……」

咲「……あのね」

咲「……それで私、気付いたんだ」

咲「……自分の本当の気持ちに」

咲「私は――」

穏乃「待って」

咲「え?」

穏乃「もうだいたい言いたいことはわかった」

穏乃「……咲ちゃんに先に言われるのは、なんか悔しい。えへへ」

咲「あはっ。…そうだね。じゃあ一緒に」

穏乃「……いくよ。せーのっ!」

咲・穏乃「「私は――――」」

照「あっ、戻ってきたみたい」ポロポロ

和「本当ですね…チュロスこぼれてますよ」

照「……ほんと、いい笑顔になってる」ポロポロ

和「……穏乃のおかげです…チュロスこぼれてますよ」

穏乃「和ぁー!」タタタッ

咲「和ちゃーん!とお姉ちゃん…」タタッ

和「…もう大丈夫ですよ、咲さん。ほらお姉さん?」

照「うっ……さ、咲……その今までごめんなさい!これからは咲につきまとわったりしない!咲の恋人に文句言ったりしない!」

咲「お姉ちゃん……ううん、私のほうこそごめんなさい。騙すようなマネして」

照「いや元はといえば私が悪いんだし…」

咲「お姉ちゃん……ありがとう!」パァッ

照「!!」

照「ピンク!見て!私にもできた!」

和「はい。これからもよろしくお願いしますよ?」

照「うん!」

穏乃「うぅん!…えーと、和。私達、話したいことがあるんだ!」

咲「和ちゃん、聞いてほしいの」

和「ふふっ、もうわかってますよ!…ですがお二人の口から直接聞きたいです。お姉さんも一緒に。ね?」

照「…ああ」

穏乃「あれっ、バレバレだったか。へへ」

咲「……じゃあ一緒に言うね!」

咲・穏乃「「私は――――」」




咲・穏乃「「――――和ちゃんのことがだぁーい好き!!」」



和・照「えっ」

和・照「ええぇええぇぇえええぇぇええぇええええ!!!?」

照「おおおい!!ピンク!!どういうことだ!?」

和「えっ?えっ?なんで!?ええ!?」

咲「……私気付いたんだよ。私をずっと支えてくれてたのは和ちゃんだったってこと」

咲「偽りの恋人を演じてくれてたときも、お姉ちゃんに立ち向かって行ったときも…」

咲「穏乃ちゃんと仲良くさせようとしてくれたときも。全部私のためを想ってくれていた」

咲「…私はずっと使い勝手のいい人として扱ってたのに、それでも離れないでいてくれた」

咲「……もっと早くに気付くべきだった。色々迷惑かけてごめんなさい!!」

和「……」

咲「…傲慢だと思うだろうけど……もう嘘は吐きたくない」

咲「…私は和ちゃんが好き!私と本物の恋人になってください!」

穏乃「待って!私も言う!」

和「……」

穏乃「……私、和に咲っていう恋人ができたって聞いて、イライラした」

穏乃「…そのイライラは咲の口の悪さのせいだと思ってた」

穏乃「…だけど気付いた。和に恋人ができたってこと自体にイライラしてたんだ!」

穏乃「……咲と同じくらい好きって言われて、驚きと一緒に嬉しいと思ってる自分がいた」

穏乃「…親友として、じゃなくて恋人として好きになってほしい!これが私の今の気持ち!」

穏乃「和、好きだ!付き合ってください!」

和「……」

和(…これは…夢なんでしょうか…)

和(…親友だと思ってた二人に同時に告白される…)

和(……そんなオカルトありえません…)

和(…しかし……)

咲「穏乃ちゃん!ズルい!なんでちょっとカッコいい告白してんの!」

穏乃「咲ちゃんが抜け駆けしたからだろ!」

咲「だって私、元恋人だよ?親友止まりの穏乃ちゃんは黙ってて!」

穏乃「恋人って…偽物だったじゃん!そんなもの親友より格下だよ!」

照「……」ポロポロ

和(チュロスの屑が目に入って痛い……これは紛れもなく現実……)

和「ちょ、ちょっといきなり過ぎて…頭が回りません!」

和「考える時間をください!!」

数日後


咲「の~どかちゃん!」

和「わっ!さ、咲さん。どうしたんですか?」

咲「んふふ~。恋人に抱きついただけ~」

和「もう。……穏乃も離れてください」

穏乃「え~。さっき抱きついたばっかじゃん!もう少し~」

咲「ほら、穏乃ちゃん。和ちゃん嫌がってるでしょ?早く離れて!」

穏乃「やだやだ~。咲ちゃんは悪魔らしく憑依でもしてなよ!」

咲「あーあー。また悪魔って言ったね!そんな悪い子はこうだっ!」コチョコチョ

穏乃「あははっ!あははははははっ!!や、やめて!反則!あはっ!」

照「…二人とも暴れないで。お菓子がこぼれる」ポロポロ

咲「ぶー、お姉ちゃんだけ和ちゃんの膝独占してズルい!」

照「私はお菓子タイムだからいいの。ピンク、あーん」

穏乃「わっ!あーんしてるいいな!次私!」

咲「もう!順番守って!」

和「……」





和「……はぁ」














和「私の彼女と彼女と彼女の姉が修羅場すぎる」

カン!

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