サン「人間は嫌いだ」(44)

サン「食らええええ!」ズダダダダダダダダダダ

ゴンザ「ひゃあああああ!」

アシタカ「マシンガンなんかどこで……」

ゴンザ「エボシ様!ひとしきりぶっ放して逃げていきますぜ!」

サン「また来るからなあ!」ブォンブォン,ブロロロロロ……

アシタカ「この斜面をビッグスクーターで……」

モロ「首尾はどうなってる」

ショウジョウ「は!ショウジョウ部隊全員に武器が行き渡るまで、もう一息であります!」

モロ「よし、どんどん山を削れ。少しでも多く鉄を作り武器を鍛えるのだ」

ショウジョウ「は!」

コダマ「っ!モロ様!レーダーに侵入者反応!パターン青、人間です!」

モロ「なに……?」

サン「ああもう、弾のストック忘れるなんて……ん?」モッタイナイカラモッタイナイカラ♪

サン「もしもし母さん?どうしたの?え、人間?この辺に?あ、わかったー。うん、うん、はーい。じゃあとでねー」 ピッ

サン「めんどくさいなあ……」ブロロロロロ

アシタカ「確かこっちのほうに……もののけの姫は」

ブロロロロロ……

アシタカ「しかしもののけの姫って言っときながらもののけ感0だったな……マシンガン持ってるし……ビッグスクーター乗ってるし……」

ブロロロロロロロロロロ……

アシタカ「……ん?」

ブロロロロロ……

サン「っらぁ!」ブロロロロロバキャァァァァァアッ!

アシタカ「ぎゃあああああ!!」

~~~~~

アシタカ「ん、ん……ここは……」

サン「お、起きた」

アシタカ「……」

アシタカ「生きろ……」

サン「いや生きてますけど」

アシタカ「そなたは美しい……」

サン「そりゃ色々美容には気をつけてますから。年ごろの女だし」

アシタカ「……」

アシタカ「……そうか」

サン「あんた何しにきたの?」

アシタカ「……はっ!ヤックル!ヤックルはどこに……」

サン「ヤックル?」

アシタカ「私と一緒にいた……」

サン「ああ、あの鹿みたいなやつ?はい」スッ

アシタカ「……なんだこれは」

サン「ヤックル」

アシタカ「……ビーフシチューにしか見えんが」

サン「うん。得意なんだビーフシチュー」

アシタカ「……」

アシタカ「ヤックルー!!」

サン「……ふーん……腕を祟り神に、ねえ……」モグモグ

アシタカ「ああ……だから呪いを解ければ、とこの地に……」モグモグ

サン「ふーん……その呪いが全身に回ったら死んじゃうのか」モグモグ

アシタカ「ああ……今は腕だけだがな……」モグモグ

サン「……鹿の肉っていまいちね。固いしちょっと臭い」モグモグ

アシタカ「……ヤックル……」グスン

サン「……多分治せるよ、それ」モグモグ

アシタカ「ヤックルは私の……へ?」

サン「その腕。多分治せるよ」

アシタカ「ほ、本当か!?」

サン「うん。ようは腕の痣が全身に回らなきゃいいんでしょ?」

アシタカ「あ、ああ!」

サン「なら多分大丈夫」

次の日

アシタカ「で、だ」

サン「うん。手術は成功だよ。おめでとう」

アシタカ「……ああ。それはいいんだが」

サン「?」

アシタカ「腕が、ないんだが」

サン「うん」

アシタカ「……俺の腕ー!!」

サン「これで呪いが全身に回ることはないね」

アシタカ「だけどさぁ!あのさぁ!」

サン「キャラ変わってきたねあんた」

アシタカ「ああ……俺の腕が……せめて最後に一目会わせてくれ……」

サン「腕に?はい」スッ

アシタカ「……ハヤシライス?」

サン「得意なんだハヤシライス」

アシタカ「俺の腕ー!!」

アシタカ「ていうか大丈夫なのか、祟られてた腕食って」モグモグ

サン「ちゃんと火を通したから大丈夫じゃない?」モグモグ

アシタカ「ていうかそんなに何でも食うなよ……はあ、俺の腕が……」

サン「うーん、やっぱ腕なきゃ不便だよね」

アシタカ「当たり前だろう」

サン「よし、私にまかせて」

アシタカ「……今度はなにをするつもりだ!」

サン「……機械鎧(オートメイル)、って知ってる?」

アシタカ「すげえ!なんだこれ!」

サン「よし、神経接続も問題なし、と。ていうかあんたキャラの原形もないね」

アシタカ「これは驚いた……痛みがないこと以外は完璧にもとの腕のように動く……」

サン「言っとくけどそれ高いからね」

アシタカ「ああ……礼ならいくらでも払おう。ほら、この砂金を」

サン「……全然足らないけど」

アシタカ「なに!?」

サン「全然足らない。消費税分にもならない」

アシタカ「な……」

サン「ならしょうがないよね。体で返してもらおうか」ニヤッ

ゴゥン……ゴゥン……ゴゥン……

サン「……」

アシタカ「なあ、私はどこに連れていかれているんだ?」

サン「私たちの本拠地さ」

ゴゥン……ゴゥン……ゴゥン……

アシタカ「……ここはいったい……」

サン「ジオフロントだよ。更に降りたセントラルドグマってとこにあんたを連れていく」

アシタカ「……わけわからん」

プシュ
ウィーン

サン「母さん、人間を連れてきたよ」

アシタカ「……」

モロ「ああ、御苦労様サン。休んでいいよ」

モロ「さて、人間よ。お前をどうするか、だが……」

アシタカ「腕の恩に報いるため、できる限りのことはするつもりだ」

モロ「ふむ……と、言っても人間になにが出来るとも思わん。しばらくはショウジョウ達の雑用でもしてもらおうか」

アシタカ「了解した」

モロ(……)

ショウジョウ「おう、新入りってのはおめえか若えの」

アシタカ「ああ、よろしく頼む」

ショウジョウ「偉そうな奴だな……まあいい、施設を案内するぜ。ついてきな」

カツカツカツ

ショウジョウ「ここが能力開発室だ」

アシタカ「能力開発……?」

ショウジョウ「ああ、見てみな」

白衣ショウジョウ「では開始します。準備はいいですか?」

小ショウジョウ「はい……」

アシタカ「あの小さいショウジョウ……なにか被ってるが……」

ショウジョウ「ああ。あれを使って脳をいじくるのさ」

アシタカ「な、なに!?」

白衣ショウジョウ「スタート」ポチッ

キュィィィィィィン……ビビビビビビビビ

小ショウジョウ「あ、あ……ああああああああ!!」ガクガクガクガク

アシタカ「なっ……!?やめろ!!」

ショウジョウ「大丈夫だよ若えの」

アシタカ「大丈夫なわけがあるか!あんなに苦しんでいるんだぞ!」

小ショウジョウ「ああああああああ!!」ガクガクガクガク

ショウジョウ「あれを受けられるのは耐性と素質のあるショウジョウだけさ。さらにその中で自ら望んだもののみが開発に参加する。あの子は自分から志願したんだよ」

アシタカ「な、なんでそんな……」

ショウジョウ「そりゃあ誰だって力が欲しいからな」

アシタカ「力……?」

ショウジョウ「ああ、ついてきな」

屋内プール

アシタカ「ここは……」

ショウジョウ「お、始まるぜ。よく見てろよ若えの」

アシタカ「……あのショウジョウは、一体……」

茶髪♀ショウジョウ「……」

ピンッ

茶髪♀ショウジョウ「っ!」

ズガァァアアアアアアアアアアアン!!バリバリバリバリ!!

アシタカ「な……な……」パクパク

白衣ショウジョウ「茶髪♀ショウジョウ、level5です」


茶髪♀ショウジョウ「っふー。プールの水を緩衝材にしなきゃ測定できないのも、考えものよね」

ショウジョウ「へっ、驚いたか?あれがショウジョウ界が誇る最強無敵の電撃姫だ」

茶髪♀ショウジョウ「ん?ちょっと!何見てんのよあんたたち!」ビリビリ

ショウジョウ「おっとまずい。ずらかるぜ若いの」

アシタカ「あ、ああ……」

茶髪♀ショウジョウ「こらー!待てって言ってんだろごらぁー!バチバチバチバチ」

アシタカ「っあーびっくりした……」

ショウジョウ「若えのキャラ変わってるぜ。おっと着いたぜ、ここが俺とお前の持ち場だ」

プシュ
ウィーン

ショウジョウ「よう、調子どうだい大将」

乙事主「ああ、おかげさんで」

アシタカ「な……!?」

ショウジョウ「へへ、驚いたか?」

アシタカ「き……」

アシタカ「鉄の、猪……?」

乙事主「見かけは鉄でも、魂は誇り高き猪じゃよ、若いの。ほほほ……」

アシタカ「な、なんだこれは……」

ショウジョウ「お前さんの腕と一緒だよ」

アシタカ「なに?」

乙事主「ワシももう歳での……人間と戦うには些か不安があったものでな」

ショウジョウ「体を機械に入れ換えた、ってわけさ。俺たちゃこの機械の体をゾイドと呼んでる」

アシタカ「ゾイド……?」

ショウジョウ「ああ。お前さんにはこいつや他の猪をゾイド化する仕事をやってもらう。忙しいぜ」

乙事主「優しく頼むよ、若いの」

アシタカ「……」

数ヶ月後

モロ「首尾はどうだ……」

ショウジョウ「いつでも出れます!」

モロ「よし、総員に伝えろ」

モロ「明日、タタラ場に攻めこむ」

ショウジョウ「はっ!」

ショウジョウ「整備は完璧だ。いつでも行けるぜ大将」

乙事主「ああ、感謝するよ……行くぞ!戦士たちよ!!」

プgyyyyyyyyyy!!



茶髪♀ショウジョウ「やっと来たわね……」

白髪ショウジョウ「待ちくたびれたぜェ……クカカッ」

黒髪ツンツンショウジョウ「お前ら、張り切りすぎでショウ条さんに流れ弾はやめてくれよ……?」



サン「……」

アシタカ「……サン」

サン「ん、アシタカじゃん」

アシタカ「なんだ?その格好は……」

サン「これ?プラグスーツ。多分あれが必要になるから着とけって母さんが」

アシタカ「あれ?」

ピンポンパンポーン

『ゾイド整備士アシタカ、ゾイド整備士アシタカ、モロ司令が司令室にてお待ちです』

パンポンピンポーン

アシタカ「なんだ?」

プシュ
ウィーン

アシタカ「……」

モロ「よく来た人間よ。まあ掛けろ」

アシタカ「ああ」スッ

モロ「さて……お前、私になにか言いたいことがあるんじゃないか?」

アシタカ「なに?」

モロ「お前は義に厚い男だ。こっちから聞いてやらんと言わないだろうと思ってな」

アシタカ「……」

アシタカ「……なあ、モロ」

モロ「ん?」

アシタカ「おかしいとは、思わないのか……?」

モロ「なにが、だ?」

アシタカ「森と生きるあなたたちが、こんな、科学の技術を使って……びっくりするぐらい使いまくって……人間達と争うなんて……」

モロ「ふむ……科学は人間にのみ使うことが許されると?」

アシタカ「ちがう。だが……なんというか……」

モロ「アシタカよ、人間だって自然の力を振るうではないか」

アシタカ「なに?」

モロ「奴らが使う刀や銃は鉄で出来ている。その鉄はどこから来た?」

アシタカ「……」

モロ「鉄を溶かすには火を炊かねばならん。その火はなにを燃やした?やつらは何を食って生きている?」

アシタカ「それは……」

モロ「奴らが自然の力を振るうのに、我らは科学の力を振るってはならんと?そういうことさ」

アシタカ「だが……」

モロ「結局は同じなのだよ。我らも人間も。今さらどうしようもないよ。ここまで来たらあとはどちらが強いかだけだ」

アシタカ「勝負は、目に見えている……」

モロ「だろうな。そのために我らは一致団結し力を蓄えた。もう一時間もすればタタラ場は壊滅。髪の毛一本も残るまいよ」

アシタカ「だったらもう!」

モロ「攻撃をやめろ、と?」

アシタカ「ああ……」

モロ「さっきも言ったろう。今さらどうしようもない。かつて我らの同胞が人間にやられたように、今度は人間がやられる。それだけだ」

モロ「それともなにか?お前が今から人間側について戦況をひっくり返すか?ならやってみるといい。私は止めんよ。人間の陣地まで無傷で送り届けてやろう」

アシタカ「……」

モロ「なあ、アシタカよ」


モロ「貴様に人間が救えるか?」

ビーッ!ビーッ!

コダマ「モロ様!出ました!ダイダラボッチです!」

モロ「やはり来たか……」

アシタカ「なんだ……?」

モロ「シシガミだよ。コダマ、サンに出撃命令を」

コダマ「はっ!」

アシタカ「サンだと?あの子になにをさせようと……」

モロ「これだくこ派手にやりあえば、いずれは出てくるだろうと思っていたさ。そのためのあれだ」

アシタカ「あれってなんなんだよ!」

モロ「サン聞こえるか?」

サン『うん。母さん』

モロ「準備はいいな?」

サン「ばっちり」

コダマ「ダイダラボッチ、ジオフロントに接近!」

モロ「我らの最大の的が同じ森のものとはなんとも皮肉じゃないか……たがな、シシガミよ。シシガミの森はもう終わりだ」

モロ「いや、とっくに終わっていたのだよ。お前がニヤニヤしている間にな」

コダマ「システムオールグリーン!行けます!」

モロ「サンゲリオン、発進!!」

サン『行ってきまーす!』

アシタカ「なっ?」

ズドォォォォォォ……

アシタカ「あれは……」

モロ「ふむ、ここからでもよく見えるな。あれが我らの科学の粋……」

ダイダラボッチ「……」

サンゲリオン「……」

モロ「人型決戦兵器、サンゲリオンだ」

アシタカ「……」

アシタカは考えるのをやめた

全てが終わって

サン「人間は嫌いだ。でもアシタカは……」

サン「……うん」

サン「……微妙」

アシタカ「……」

微妙に完

以上です

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