玄「宮永さんを尾行しよう」(113)

東京

玄「・・・・はぁ~」テクテク

玄(準決勝、二位通過出来たのは凄い嬉しいけど・・・・決勝か~・・・・どうすれば宮永さんに勝てるんだろう・・・)

玄(ううん、勝てないまでも点棒を減らされないようにするにはどうしたら・・・)

玄(気分転換にお散歩してみたけど・・・・全然いい方法が思いつかないなぁ・・・)

玄「むむー・・・・・・ん?」

照「・・・・」テクテク

玄(あれは・・・宮永さんもお散歩かな?)

照「・・・・」テクテク

玄(雑誌で特集されるぐらいの有名人でも一人で歩いたりするんだ。知らなかった)

玄「・・・・あ」

玄(そうだよ!私、宮永さんのことを全然知らない。牌譜だけじゃ情報不足なんだよ!)

玄(宮永さんの後をついて行って、宮永さんのことをもっと知れば・・・こないだより戦いやすくなるはず!)

玄(敵を知って自分を知ってれば100回勝てる、って誰かの孫が言ってたもんね!)

玄(そうと決まれば・・・・あ!・・でも私が後をつけてるってバレたらまずいよね・・・どうしよう)

晴絵「あれ?玄じゃん。何してんの?」

玄「わ、赤土さん。ちょっとお散歩がてら考えごとを・・・って、あ!それ・・・サングラス!」

晴絵「ん?そうだけど。まぁ、一応私も有名人とまでは言わなくても・・・ね?いや、気付かれてもいいんだけどさ、その」

玄「貸してください!お願いします!」ペコ!

晴絵「へ?別にいいけど・・・はい」

玄「ありがとうございます!!・・・よし、これでバレない!行ってきます!!」ダダダッ

晴絵「?・・・いってらっしゃい」

通行人「・・・・」テクテク

晴絵「・・・・・・」ンー

通行人「・・・・」テクテク

晴絵「・・・・・・」ケータイ ミミ ニ アテル

晴絵「もしもし、赤土 晴絵ですけど!はい、実業団で活躍していた赤土です!」

通行人「・・・・」テクテク

晴絵「・・・・誰も気付かない・・・・か・・・・はは・・」

照「・・・・」テクテク

玄(よし、追いついた。この距離を保とう)コソコソ

照「・・・・」ピタ

玄「!」ササッ

照「・・・・」

玄(ん?自動販売機の前で止まった。お財布出して・・・飲み物買うのかな?)

照「・・・・」チャリチャリ...

玄(110円入れて・・・)

照「・・・・」ゴソゴソゴソ..

玄「・・・・」

照「・・・・」ゴソゴソ..

玄「・・・?」

照「・・・・」クイッ..チャリーンチャリーン

玄(キャンセルした?あと10円がなかったのかな)

照「・・・・」チャリチャリ..

玄(今度は100円玉2枚・・・・どうせ買うなら、わざわざ一旦取り出さなくても続けて入れればいいのに・・・)

照「・・・・」ウーン

玄「・・・・」

照「・・・・」ピッ..ガコーン!

玄(ミルクティーか・・・なるほど、宮永さんはミルクティーを飲む、と)メモメモ

照「・・・・」ヨイショ..サテ

玄(次は・・・?)

自販機『ピピピピピピ・・』

照・玄「?」

玄(当たりつきのかぁ・・・私、1回も当たったことないよぉ)

照「・・・・」チラ..チラ

玄(宮永さんも当たるとは思ってないみたい。横目で期待してないよーって感じで見てる)

自販機『7・・7・・』ピピピ

照「!?」ググッ

玄(食いついた!)

照「・・・・」ドキドキ

自販機『・・9』ピッ

照「・・・・」

玄(外れ・・・・)

照「・・・・」ゴソゴソ..チャリチャリ

玄(あ、またお金入れてる・・・今日は運がいいかもしれないから次こそ、って思ったのかな?)

照「・・・・」ピッ..ガコン

自販機『ピピピピピピ・・』

照「・・・・」ドキドキ

玄「・・・・」

自販機『5・・5・・』

照「!!」オォー..

自販機『・・・・9』

照「・・・・」ムァー..

玄(やっぱり・・・)

照「・・・・」ア!

玄(・・・最初の2つは絶対揃うタイプのスロットだって気付いたのかな?・・私も昔、引っかかったよ)ナツカシイ..

照「・・・・・・・っ」ガコガコガコガコ!

玄(ああー!腹いせに返却レバーをガコガコしてる!大人気ない!!)メモメモ

照「・・・・・」ガタッ..トリダス

玄(怒りが収まったみたい・・誰かに見られる前でよかった)ホッ

照「・・・・・」クルッ..テクテク

玄(次はどこに行くのかな?)テクテク

照「・・・・・」テクテク

玄「・・・・・」コソコソ..

通行人「あの!すいません!白糸台高校の宮永選手ですよね!?」

玄(お?)

照「?・・・そうですけど・・」

通行人「わ、私、大ファンなんです!よかったらあの、サインとかしてもらってもいいですか!?」

照「はい、いいですよ」

玄(さすがだなぁ・・・有名人だ)スゴーイ

通行人「ありがとうございます!!このノートにお願いします!!」ササッ

照「あの・・・私、今ペンとか持ってなくて・・その」

通行人「あ、私持ってます!これ・・・どうぞ!」ハイ

照「ありがとう。・・ちょっと待って下さいね。ジュースを・・・」ワキ ニ ハサンデ..ツルッ..コトーン!

玄(ああ・・脇に挟もうとして落としちゃった・・あるある。あ、ジュースが転がって・・・)

照「わ・・・待て待て・・・」カガンデ オイカケル

玄「あ」

ゴッツーン!!

照「痛っ!?」

玄(ガードレールに頭ぶつけた・・・・うわぁ・・痛そう・・)

通行人「・・・」ジュース ヒロウ

照「・・・・」イッター...

玄(無防備だったもん・・・痛いよね・・・宮永さん可哀想・・・)

通行人「あの・・・だ、大丈夫ですか?これ、ジュース・・」

照「・・だいじょうぶ。元気です・・・ありがとう・・・サイン書いてる間、ジュース持っててもらっていいですか?」ズキズキ

通行人「あ、はい」

照「・・・すぐ書きますから」サラサーラ

玄(わ、カッコいいサイン・・・私もこんなサイン書きたいな)メモメモ

照「はい、どうぞ」

通行人「ありがとうございます!!一生大切にします!」

照「そうしてくれたら私も嬉しいです」ニコリ

玄(いい笑顔・・・・でもなんか・・ちょっと違和感・・・なんでだろう?)ンー

通行人「あ!これジュースです!どうもありがとうございました!失礼します!」

照「はい」

通行人「~♪」タッタッタッ

照「・・・・ふぅ」

玄(あ、また無表情に戻っちゃった。・・・こっちが素なのかな?)

照「・・・・・」テクテク

玄(今度はどこへ向かうんだろう?目的がいまいち分からない・・・)ササササッ

○□スーパー

照「・・・・」

玄(ん?スーパーの前で立ち止まった?何かをじっと見てる)

照「・・・・」ンーム

玄(大安売りのワゴンかな?ポテトチップス系のお菓子が1袋60円・・結構安い)

照「・・・・」アー..

玄「?」

玄(缶ジュース見つめて・・・どうしたんだろ?)

照「・・・・!」パカッ..ゴクゴクゴク

玄(いきなり飲み出した・・・?なんで・・・・あ!)

照「ぷはぁ!・・・・ごくごく・・」

玄(分かった!宮永さんはスーパーで買い物すると決めた。でも缶ジュース2本を持ったまま入ると万引きと勘違いされるかもと思って・・)

照「ふぅ・・・・っごくごくごく・・・」

玄(全部飲んでからスーパーに入る作戦だね、なるほどなるほどー)メモメモ

照「・・・ぷぁ・・・・はぁ・・」

玄(おお、ミルクティーを一気に飲み干した。凄い)

照「・・・・・」

玄(でももう1本ある・・・これもいくのかな?)

照「・・・っ!!」プシッ

玄(いった!)

プッシュワァー!

照「!!?」ビチャビチャビチャ

玄(わあ!開けた途端に溢れだした!さっき落としたの炭酸だったんだ!)

照「・・・ずずず・・ずず・・・・っ!」ゴクゴクゴク!

玄(おおお・・・溢れた分を吸った勢いで飲み干す作戦!)

照「っ・・ぷはぁ」

玄(でも一気は無理だよね。炭酸だもん)

照「・・ごく・・・はぁあ・・・ごく・・・・っぷあ・・・ごく・・・はぁぁ」

玄(とはいえ、いくらなんでも息継ぎが多すぎるよぉ・・・)

照「ごく・・・っは・・・・・ごく・・・はあ・・・もうやだ」ボソ

玄(もうやだって言った!苦手なんだ!てことは買った時、当たりスロットの方に意識が向かいすぎて適当にボタン押したんだね)メモメモ

照「ごく・・・・・・はぁー・・・・」

玄(それでも飲み干すあたり、さすがの精神力だよぉ)

照「・・・・・」

玄「・・・・・」

照「・・・・・」

玄(?口を半開きのまま急に動かなくなっちゃった・・・・・?はっ!)

玄(分かったぁ!!ゲップを我慢してるんだ!炭酸飲んだもんね、間違いなーい!!)

照「・・・・・」

玄(うんうん!女の子だもん、スーパーの店先でゲップなんて出来ない!宮永さんは女の子らしくゲップを我慢する・・)メモメモ

照「・・・・・・ふぅ」サテ..

玄(おぉ~・・・抑えた・・・これで一安心だ)ホッ

照「・・・・」ワ!

玄(あとはスーパーのゴミ箱に缶を捨てて、買い物だね)

照「・・・・」ジー

玄(捨てない?なんでだろう?・・・あ)

警備員「・・・・」

玄(店で買った物以外をゴミ箱に捨てると怒られるかも、って思ったのかな?)

照「・・・・・」ジリジリ..

玄(あ・・・でもゴミ箱のそばまで近づいて・・・・どうするんだろ?)

警備員「・・・」ヨソミ

照「っ!」

玄(!警備員が違う方を向いてる隙に捨てる気だ!)

照「!!」ガンッ!

照「~~~~~~」オオオォォ..

玄(うわー・・・思いっきり手をぶつけた・・・警備員の動向に気を取られて、ゴミ箱をちゃんと見ないから・・・結果捨てられず・・か)

警備員「?」ンー?

照「・・・・」コソコソ

玄(だよね、撤退しかないね)

照「・・・・!」

玄(あらら・・・すぐ近くの自販機横にゴミ箱あったんだね)

照「~♪」カラン..コ-ン..

玄(缶捨て完了)

照「・・・・」テクテク

玄(で、買い物と。さて、何を買うのかな?)コソコソ

○□スーパー 店内

照「・・・・」

玄(まず表にあった大安売りのお菓子を1つカゴに入れた、と)メモメモ

照「・・・・」テクテク

玄(それにしてもおっきいスーパーだなぁ・・・)

照「・・・」ピタ

玄(お?)

照「・・・・」フーンフム

玄(何を見てるんだろ・・・ふんふん、シャンプーとかボディソープの棚だね)

照「・・・・・・っ!?」

玄「?」

照「・・・・!・・・・?」

玄(2種類のシャンプーを手に持って・・・驚いてる・・・・ん・・・あ!)

照「・・・??・・・・!」

玄(分かった!同じ容量のシャンプーなのにこんなに値段が違う!?って思ったんだね、あるある)

照「・・・・・」クルッ

玄(そうそう!成分が違うのかな?ってついつい見ちゃうよね。でも・・・)

照「・・・・・」フンフン..

玄(イマイチよく分からないから、もういいやってなる)

照「?????」モドシモドシ

玄(やっぱり)メモメモ

照「・・・・・」テクテク

玄(今度はお肉売り場だ・・・)

照「・・・・・」ヘー

玄(お肉の値段とグラム数を見比べてる・・・お料理とかするのかな?意外かも・・・)

照「・・・・・あ!」ベリ

玄(!!・・・お肉のパックを手に取った時に、重ねて置いてあった下のパックが破れちゃった・・・)

照「・・・・・・」

玄(運が悪いというかおっちょこちょいというか・・・)

照「・・・・・・」

玄「・・・・・・」

照「・・・・・」サッ...

玄(手に取った方を戻して、破れた方のパックをカゴに入れた!・・・宮永さんは責任感が強い、と)メモメモ

照「・・・・」テクテク

玄(あれ?もうレジに行っちゃうんだ)

公園

照「・・・・・」テクテク

玄(スーパーで買い物した後に公園?)

照「・・・・・!」テクテ..

玄(止まった?)

クルッポー..クルポー

照「・・・・」キョロキョロ

玄(ハトがいっぱいいる・・・)

照「・・・・」ダダダァッ!

玄「!?」

クル!?バサバサバサー!

照「・・・・・」フィー..

玄「・・・・・」

玄(いや、突っ込みたくなる気持ちは分からないでもないけど・・・宮永さん・・・)メモメモ

照「・・・・・♪」スワリ

玄(機嫌よくベンチに座ったけど、休憩なのかな?)

照「・・・・・」ガサゴソ

玄(あ、お菓子を食べるんだ、なるほど)

照「ぱりぽり・・・・さくさく・・・」

玄(見てたらお腹空いてきたなぁ・・・)

照「・・・ちゅぱ・・・はむ・・」

玄(あ・・・やっぱり宮永さんも指を舐めてる・・・そうだよね、お菓子つまんでるとベタベタするもん。おねーちゃんはお行儀悪いよって言うけど)メモメモ

照「ぱりぽり・・・ぽり・・・」ボーッ

玄(いいなぁ・・・景色を見ながらベンチでお菓子食べて・・・)ホワァ..

照「ぽり・・・ん?・・・・わぁあ!」バッ!

玄(あれ?急に立ち上がって・・・・あーあー・・・お菓子が袋ごと地面に落ちちゃったよ・・)

照「っ!っ!」バサバサ!

玄(!・・・スカートに虫がついてたんだ!)

照「っ!っ!」バサバサ!

玄(宮永さんは虫が嫌い、と・・・東京の人だからかな?)メモメモ

照「ふぅ・・・」

クルッポークルッポー

照「ん?」

玄(あ、立ち上った時に落ちたお菓子を食べにハトが集まってきた・・・袋の中のはまだ無事だから急がないと!)

照「!!」ダッ!

バササササ!!

照「!!」ビクーン!

クルッポークルッポー!バサササア!

玄(うわぁ・・・もうダメだ・・いっぱい集まっちゃった・・・袋の中のも食べてるよ・・・宮永さん、どうする?)

照「・・・・・」

クルポクルポ

玄「・・・・・」

クルポッポー

照「・・・・・」サッ!クルポ!

玄(お菓子は諦めたけど、袋はゴミだから回収した・・・偉い・・・)

照「・・・・・」ゴミバコ ニ ポイ!

クルポポポ

照「・・・・・」トボトボ..

玄(あ、肩を落として出口に・・・肉は無事だしそこまで落ち込まなくても・・・って、追いかけないと)タタッ

照「・・・・・あ」

照「・・・・・・」シュン..トボトボ..

玄(今、看板を見て気まずそうな顔したけど、なんて書いてあったんだろ?)

看板『ハトにエサをあげないでください』

玄(良心を痛めてる!宮永さんのは不可抗力だよ!傷付かないでー!)

住宅街

照「・・・」トボトボ

玄(なんか見てるこっちが悲しくなる後ろ姿だなぁ・・・)

照「・・・・」トボトボ

ニャー

照「・・・・?」

猫「ニャァーオ」

玄(わぁああ・・・猫ちゃんだ・・・可愛い・・・)ホワァァ..

照「!・・おいで・・」

猫「?」

照「・・・おいで・・・おいで・・おいで・・・おいで・・おいで・・」ミギテ ヲ マエ ニ ダシテ クイクイ..

猫「・・・??」ナウー

照「おいで・・・おいで・・・おいで・・・」クイクイ

玄(宮永さん、無表情だけど夢中で呼びかけてる・・・猫好きなんだね)メモメモ

照「おいでー」クイクイ

猫「??」

玄(寄って来ないけど、逃げないってことはそのうち警戒を解く・・・かも。よく見たら首輪してるし、飼い猫だね)

照「おいでおいでおいでおいで」クイ ククイ ククイ クイ ククイ ククイ

猫「??」

玄(宮永さん・・・どうしても猫と遊びたいんだね・・・リズムを変えてきた)

照「おいでおいでおいで」ヒダリテ モ マエ ニ ダシテ クイクイ

玄(今度はダブルだ・・)

猫「ふぁ~ぅ」アクービ

30分後

照「おーーーーーーーーーーーーーーー・・・・いで!」クィクィ!

猫「・・・・」

玄(凄い執念・・・立ち位置を変えたり抑揚をつけたり・・・でも全然猫ちゃんは反応しない・・・)メモメモ

照「ぅおーーーーーーーー・・・・・・お~~~~~い・・・・・っで!」ククィ!

猫「??」

玄(じれったいなぁもう・・・こうなったら・・・)スタスタ!

照「ぅおー・・・む?」

玄「ニャーニャー」

猫「!」ピクン

玄「猫ちゃん、おいで~」シャガミ

照「・・・・・」

玄「ニャー」

猫「・・・・」トコトコ..

照「!」

玄「わー、ありがとー。いい子いい子~」ニッコリ

照「・・!」

猫「~♪」ゴロゴロ..

玄「よーしよし」ナデナデ

猫「♪♪」ゴロロ

照「・・・・・」イイナー..ナデタイ..

玄「猫ちゃんが怖がらないように優しく撫でてあげれば大丈夫ですよ」

照「ほ、本当?」

玄「はい」ナデナデ

猫「♪♪」

照「・・・・」シャガミ

猫「?」ピク

照「・・・いーこいーこ」ナデ..ナデ

猫「♪」

照「わ・・・」ナデナデ

猫「ごろごろ・・」

玄「・・・・」クス

照「かわいい・・・」エヘー

玄「あ・・・」ドキン

玄(宮永さん・・・こんな風に笑うんだ・・・雑誌の写真とは違って・・・なんか・・自然体で・・凄く可愛い・・)ドキドキ

?「タマー!ご飯だよー!」

猫「!」

照「?」

猫「・・・っ」タタタタッ!

照「あ・・・」

玄「飼い主さんかな」スクッ

照「・・・・」スクッ

玄(・・っと、このままじゃ宮永さんに正体がバレちゃう。そろそろ引き時だね)

照「松実さん」

玄「いっ!?」

玄(バレてる!?サングラスしてるのに!)ワァァ..

玄「え、えと・・・誰かと勘違いしてませんけ?」

照「け?」??

玄(おおお、落ち着こう私!)

照「?」

玄「・・・私は松実ではありません。人違いです」

照「・・・ううん、人違いじゃない。あなたから感じる雰囲気で分かる」

玄「え?」

照「・・・松実さんのことは、鏡で見たから」

玄(鏡?)ンー

照「松実さんは・・・家族思いで友達思いの優しい子・・」

玄「ふぇっ///」

照「一緒にいるだけで心が温かくなる存在。そういう本質を持っている」

玄(ま、真顔で凄いこと言われてるよ~!)カァァ..

照「そんな人は滅多にいない。ということは、同じ雰囲気を持つあなたは松実さんで間違いない」

玄「あうあう・・・///」

照「・・・・・」ジー

玄「う・・・・」

玄(・・・準決勝の時は麻雀に集中してたから意識してなかったけど、こうして近くで見ると宮永さんって美人・・・)ドキドキ

照「・・・・・」ジー

玄(さっきまでの結構おっちょこちょいな面を見てただけに・・・)

照「・・・・・」ジー

玄(今のキレイな宮永さんとのギャップが・・・・)ドキドキ..

照「・・・・・決勝の対戦相手と2人っきりで話さない方がいい・・・ってことなのかな?」

玄「え・・」

照「・・それも確かに一理あるか・・・変な誤解を招くかもしれないし・・・じゃあ私はもう行く」

玄「あ、あう・・・えと・・・」

玄(いや、呼び止めても・・何を話したらいいか・・・尾行してたなんて言えないし・・・)ウゥゥ..

照「いいものを見せてくれてありがとう」

玄「へ?いいもの?」

照「・・撫でられて喜ぶ猫と、あと・・・」

玄「?」

照「・・・・猫を撫でて微笑んでいる松実さんの笑顔」

玄「っ!?」

照「準決勝終わりの笑顔も素敵だったけど、さっきの表情はそれ以上に魅力的だった」

玄「////」カァァァ...

照「・・・それじゃ、また決勝で」クルッ

玄「あぅ・・・・はい///」

照「・・・・・」テクテ..ギュッ

犬「ワンワン!!」

照「わあああ!」ビクーン!

飼い主「あら、ごめんなさいね」

照「い、いえ・・・私が尻尾を踏んじゃったみたいで・・・こちらこそごめんなさい」ペコリ

犬「フゥー・・・」

照「・・・・ワンちゃんも・・・ごめんね?」

犬「ッ!?ワンワンワン!!」

照「ひぃー!」コワイ!

犬「ワワワワン!!」

照「ごめんなさーい!!」ダダダダッ!

玄「・・・・行っちゃった・・・」

玄(ワンちゃん・・・怒ったっていうより、お肉に反応してたっぽいけど・・・)

玄「・・・・・・・」

玄(・・・・・宮永さん・・私の笑顔が魅力的・・・って・・・)ドクンドクン...

玄(それは宮永さんにも言えることだよ・・・・猫を撫でた時の笑顔・・・すっごく可愛くて・・・だから私・・・)

玄「・・・・・」

玄「~~~////」メモメモメモメモ!

♪~

玄「っ!?・・・・・もしもし?」

穏乃『もしもし、玄さん?赤土さんが1時間後に作戦会議をするって言ってますけど、今どこにいます?』

玄「ホテルからちょっと離れたところだけど、一時間以内に戻れるから大丈夫」

穏乃『分かりました!』

玄「・・・・穏乃ちゃん」

穏乃『はい?』

玄「決勝戦、頑張ろうね!」

穏乃『はい!!』

玄(そう・・・今はインハイに集中するんだ!頑張って頑張って、優勝を目指すよ!)

玄(・・・・・///)

玄(準決勝の時みたいに情けない顔、見せられないもんね!!)フムン!

[宮永さんデータメモ] ◎阿知賀専用だよ!

・ミルクティーを飲む

・当たりつき自販機に八つ当たりをすることがある

・サインがカッコいい ※真似しよう

・スーパーに入る時は手持ちのジュースを飲んでから入る

・炭酸が苦手

・ゲップを我慢する

・大安売りのスナック菓子を買った

・シャンプーの成分を見てもイマイチよく分からない

・責任感が強い(破ってしまったお肉パックを買う)

・ハトの群れに走って突っ込む

・虫がきらい

・お菓子を食べてる時、ベタベタになった指を舐める

・猫が好き

・↑に追加。色々な方法を試しながら30分ぐらい呼び続けるくらい猫が大好き

・猫をなでている時、凄く可愛い表情をする

・とても美人さん

・真顔でドキドキすることを言う

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

そんな宮永さんを好きになってしまったかもしれない

【完】

読んでくれた人どうもありがとう!

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