【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第28位【アラフォーマーズ】 (1000)

・京太郎主人公

・安価スレ

・某掲示板ネタ

・原作本編の8年後。京太郎はプロになってる

・基本ギャグ仕立て時々しんみりシリアス

・でも腹パンとか川落ちとか関係ない

・京太郎は麻雀ガチ勢(ランキング13位)

・でもドラマに出たり(松実宥とゲスト同士共演)、料理番組を持ってたり

・異名は「オカルトスレイヤー」。堅実な技術を持つオールラウンダー。闘牌時は非常に獰猛

・でも上位ランカーのオカルト持ちと打つと、ミンチより酷い状態になる。プロ以外なら初見の魔物もルール次第で

・高校生の頃の恋人は高鴨穏乃。進学などの関係により、破局している

・大学時代、晴絵に息抜きとして連れていかれた先で鷺森灼と出会い、そして恋仲になる。

・なお、関係は切れている。灼が京太郎をフッた(身を退いた)

・同じ大学(T大)なのは、江崎仁美・辻垣内智葉・弘世菫・小瀬川白望(2年上級生)
 鹿倉胡桃(浪人)・臼沢塞(浪人)・荒川憩(1年上級生)、原村和・新子憧(同級生)

・カリス……ではなく、一とは高校時代に一緒にゲーセン行ったり、夏祭り行ったり、バッセン行く程度の仲

・脚力がヤバイ。女子サッカー日本代表にPK対決で勝利

・オカルトスレイヤーの愛称は、出演ドラマから
 超能力ヒーロー学園ものドラマ。超能力者に対抗する、唯一の魔法使い(物理)

・戦闘スタイルは完全にシャコさん

・大学2年時に、オカルトを暴走させた夢乃マホと対局し、敗北

・男友達はちゃんといるよ

・ムエタイの達人。パルクール(フリーラン)を習得

・バイク大好き。愛車には話しかけたりする

・ちょい熱い高校生→陰りのある大学生→三枚目の社会人、へと進化

・カピバラとは死別。死因は細菌性の消化器潰瘍。ピロリ菌。ゴキブリ殺す

・高校時代の最終成績は男子インターハイ個人戦2位

・Bパート(Bは暴のB)は嘘喰い仕様

・T大の皆は仲良しでほのぼの

・チームメイトは、小走やえ・弘世菫・南浦数絵・清水谷竜華である


    須賀 京太郎 日[ ● ]本

   23歳 ♂ 184cm 76Kg
  『M.A.R.S.ランキング』 13位
    M.O.手術 〝昆虫型″
    ━サバクトビバッタ━


※有志の方のありがたいまとめwiki

http://www54.atwiki.jp/ocltslyrkyo/pages/1.html

※ネタ拾って気軽に編集してくれると嬉しい所存ー


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1390664910

※前スレ
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」
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【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 Part.2
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【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第16位【アラフォーマーズ】
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【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第18位【アラフォーマーズ】
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【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第19位【アラフォーマーズ】
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【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第21位【アラフォーマーズ】
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【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第22位【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第22位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1385036684/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第23位【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第23位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1385990078/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第24位【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第24位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1386945958/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第25位【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第25位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387738236/)

【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第26位【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第26位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389447788/)
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第27位【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第27位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1390010291/)

・安価を出して、安価先の内容を基に、
 そういう「そういう事があった」「そういうトピックのスレッドが立ってる」としてそれに絡めた話を書きます
 例えば安価先が【小鍛治健夜結婚】なら


引用元:【リアルババ抜き】 小鍛治健夜、結婚 【ターンエンド】

1 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ソースはブログ。すこやんが男の手料理を食べたとかなんとか

2 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
すこやんみたいな干物が手料理をごちそうになる……これは結婚ですなぁ

3 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
やっとすこやんにも春が来たんだね……遅すぎるとしても

4 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
釣りかと思ったらマジだった

5 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
【悲報】ついに人柱がささげられる

6 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
勇者ありがとう。お似合いだよ……どんな人かはしらんけど

7 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
おめでとうすこやん!これで俺も安心できる

8 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
なんだこれは……たまげたなぁ

9 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
しつぼうしました。うえのさんのふぁんになります

10 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
ん、でもこれさ……この背景……スッガが出てる料理番組じゃないか……?

11 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
糸冬 了

12 名前:名無しさんリーチ 投稿日:20XX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:???
やっぱりそんな都合がいい話がすこやんにあるはずがなかった


・と言う感じで、これならその番組ですこやんで絡んだシーンとか

・開始時の人間関係はフラットです。安価で人間関係が決まります

・安価についても、明示された部分以外にはキュゥべえ理論展開されたり

・いちゃいちゃとかルートとかコンマで闘牌とか今のところ予定はない。今のところ

安価でお題を3つくらい募集
お題については以下

①いつもの掲示板形式
②掲示板によらない京太郎のオフの日の話
③高校・大学時代の話とか、作中で触れられたけどキンクリされた話(淡ラキスケ、やえタッグ)とか


一応のルールとか

【見出し系】
・基本、恋愛&マイナス結果確定系はNG
 状況なら確定系は可。
 例えば、『須賀プロ、○○プロと路上で口論』。
 但し、『須賀プロ、○○プロと路上で口論。その後、暴行』はNG
 同様に『○○プロ、須賀プロと共演。須賀プロを激怒させる』

・状況確定系でも恋愛関係確定はNG
 『恋人の○○と~』は駄目。
 『恋人と噂される○○と~』はギリOK
 あんまり恋人と噂が多いとなんか悪いこと起こるかもね

・順位確定系もアウト
 『須賀京太郎、M.A.R.S.ランキング2位に』みたいのは駄目

・暴行&下衆&鬱&エログロネタはNG
 AVデビューとかいじめ、強姦被害とか自殺とか薬物中毒とか元風俗嬢など。
 不良に絡まれたとかならまあよし

【ファンスレッド系】
・「○○プロ応援スレ」など
・一般人についてはNG

【質問、目撃スレ】
・「スッガと話したけど質問ある?」のような
・恋愛関係確定系はNG(彼女・元彼女など)


これ+同一IDの連続取得については再安価とします
なお、ズレて取得になった場合もこれにカウント

好感度

★12
大星淡:やたら絡んでくるアホの子ライバル。麻雀人生をやってもいいよ。黙ってろアホの子。膝に乗るな

★11
ハギヨシ:師匠にして友人にして悪友にして戦友。この人抜きじゃ生きていけない。ほ、ほら……俺が傍に居ますから!

★8
弘世菫:菫さんは最高です! 菫さんのおかげで戦えるんです! 菫さんを目標に大学決めました! わりとお茶目なお人
宮永照:強大な目標。勝負事では頼りになる人。なんか放っとけない。次こそは、勝つ……! 花田さんを番組に呼びたい……だと……

★7
辻垣内智葉:姐さん、一生ついてきます! 姐さんがいたからあの大学に……! 正直俺も調子に乗りました
宮永咲:気のおけない幼馴染み。絶対の目標にして憧憬を覚えさせた存在。ったく、仕方ねーなぁ……咲は
松実玄:おっきくてやわらかい。軽く残念な人。結婚したいんだけど、その場合俺はどうしたらいいんだろうな

★6
小走やえ:頼りになる小走先輩だけど、やっぱ相棒としてやえさんのフォローもしないと……
赤土晴絵:師匠! 師匠がいなかったら俺は……。何でそう、一々ツボに入る事いうんですか?
新子憧:高校大学と、本当に世話になった女友達。いい女。何年後かで、フリーなら結婚したい。ファン1号。あんまり酷いと押し倒すぞ?
松実宥:なんでも共演。寒がり大変そう。正直おもちあるし結婚したい。その場合、二人とも須賀プロになるのか?松実プロになるのか?

★5
姉帯豊音:大きな小動物可愛い。大天使豊音。酔うとやばいよこの人
天江衣:ころたんいえーい。あの、ハギヨシさんのことを苛めないで下さい。俺の大事な人なんです。甘え衣かぁ……かわいいなぁ……(庇護欲的な意味で)
鷺森灼:天の道を往き、総てを灼きつくす女。色々かわいい。バーニングこけしカワイイヤッター
高鴨穏乃:元恋人。ありがとう……穏乃、本当にありがとう……。お前以外と付き合ってたら、多分俺はこうはなれなかったよ

★4
国広一:一さんといると落ち着くんだよなぁ……僕っ娘いいよな。一本取られた
鶴田姫子:立てばセクハラ、座ればビッチ。歩く姿は猥褻物。でもなんか助けられたような気が……

★3
三尋木咏:流石の火力っすね……三尋木プロは。ごめんなさい、俺もやりすぎました
小瀬川白望:シロさん、元気そうでよかったなぁ。思えば昔は色々あったよな
原村和:初恋……だったんだ。まあ、いい思い出って奴だよなぁ
東横桃子:消えても追える。俺たち、バスケなら世界狙えたんじゃねーの?
竹井久:部長がくれたあの言葉――俺は覚えてます。……悪癖も貰っちゃったけど。なんか部長に会いたいな

★2
亦野誠子:お互い大変っすよねー……今度、海釣り行きましょうよ!
片岡優希:いい女になったな
龍門渕透華:すっげえスポンサー
対木もこ:小動物可愛い
夢乃マホ:可愛い可愛い後輩。何かあったら、今度こそは俺が止める
渋谷尭深:大学時代紹介されたし、おもちあるしおしとやかでタイプ……なのになんだか寒気する
荒川憩:先輩のおかげで、俺、かなり体もいいとこまで行きました! 先輩笑顔可愛い、癒される!
江崎仁美:先輩の適当さに、結構俺って癒されてたんですよ? 政界、おめでとうございます!
愛宕洋榎:当意即妙。いや、流石にお笑いはやりませんから……
花田煌:聖人。デートの約束ですよね?
清水谷竜華:おもちもちもち。頼りになるチームメイト。その眼はヤバイ。結婚したい
南浦数絵:一緒に戦う仲間。大丈夫だって、前に言ったよな? その辛辣キャラはなんなんだよ……
池田華菜:KMG(華菜ちゃんマジゴッド)。正直男前過ぎて今すぐ告白したい
エイスリン・ウィッシュアート:ニンジャはいない。いいね?

★1
佐々野いちご
瑞原はやり
小鍛治健夜
愛宕絹恵
野依理沙
染谷まこ
加治木ゆみ
新免那岐
福路美穂子
白水哩
薄墨初美
石戸霞
滝見春
狩宿巴
戒能良子
江口セーラ
上重漫
鹿倉胡桃
臼沢塞

13位「オカルトスレイヤー」 須賀 京太郎
ベーススタイル:『技術昇華』

攻撃力:40/40 防御力:40/40 速度:40/40
技術:60/60 幸運:10/10 気力:80/80

★麻雀スキル
・『情報(0)』
・『分析(0)』
・『対策(0)』
・『オカルトスレイヤー(10)』
・『最古の害虫(10)』
・『偽・闇を裂く雷神(10)』
・『偽・神眼の拳闘家(10)』
・『偽・悪魔の天敵(10)』
・『偽・天上の荒武者(10)』


☆スキル
>『爽やかな笑顔』
>女性キャラと(ゲーム的には初登場)遭遇時の判定について
>内容や判定に正の補正が加わります

>『プロ並のシュートセンス』
>スポーツや運動関連の判定について
>内容や判定への正の補正が加わります

>『愚行権』
>彼は本当の意味での凡人だ
>運があろうが実力があろうが、とにかく分かりやすい華はない
>因縁めいた偶然なんて存在しない
>物語の補正なんてのは、ない
>だからこそ、普通と違う誰かには、もの珍しく映ったり……
>【……思考が常識離れしている相手の好感度に影響】

>『反響定位』
>舌打ち音の反響により、無視界でも通常通りの活動が可能
>音感関連の判定や『反響定位』が活用可能な判定について
>内容や判定への正の補正が加わります

>『マッハ!!!!!』
>大学時代限度ギリギリまで打ち込んだ古式ムエタイの成果
>立っている人間の肩を足場に走れる、肘でヘルメットを割れる等々……
>タイってスゲー。仏像や象さんに手を出すのはやめよう
>格闘やアクション判定について
>内容や判定に正の補正が加わります

>『舌使いが上手い』
>種を残して食べたサクランボを舌で結べる程度には舌の使い方が上手く、繊細で精密
>味覚を用いた判定や舌を使用する判定について
>内容や判定への正の補正が加わります

?位 「???」 宮永 照
ベーススタイル:『技術昇華+運+オカルト』

攻撃力:30+?/60 防御力:30+?/60 速度:30+?/60
技術:45/60 幸運:30+?/60 気力:60/60

・『照魔鏡(0)』
・『黄金回転の連続和了(0)』
・『黄金回転の連続和了Act.2(10)』
・『連続和了Act.3(10)』
・『連続和了Act.4(10)』
・『神砂嵐(20)』


3位 「赤き腕を持つ帝王」 荒川 憩
ベーススタイル:『技術昇華+オカルト』

攻撃力:50/60 防御力:60/60 速度:35/60 
技術:45/60 幸運:50/60 気力:60/60
※(35+45)/2+50=90 コンマ10以上にて聴牌
※50×(50+45/2)=3650 これをコンマ一桁倍

・『赤き腕を持つ帝王(0)』
・『赤き腕を持つ帝王(10)』


5位「???」 宮永 咲
ベーススタイル:『技術昇華+運+オカルト』

攻撃力:?/60 防御力:?/60 速度:?/60
技術:?/60 幸運:?/60 気力:60/60

・『???』
・『???』
・『???』
・『???』


7位「退くことなき双剣の騎士」 小走 やえ
ベーススタイル:『技術昇華+運+不運』

攻撃力:45/60 防御力:45/60 速度:40/60
技術:55/60 幸運:35/60 気力:60/60
※(40+55)/2+35=83 コンマ17以上で聴牌
※45×(35+55/2)=2835 これをコンマ一桁倍

・『退くことなき双剣の騎士(0)』
・『退くことなき双剣の騎士(10)』


8位「神眼の拳闘家」 清水谷 竜華
ベーススタイル:『技術昇華+運』

攻撃力:60/60 防御力:45/60 速度:35/60
技術:55/60 幸運:40/60 気力:60/60
※(35+55)/2+40=85 コンマ15以上にて聴牌
※60×(40+55/2)=4050 これをコンマ一桁倍

・『神眼の拳闘家(0)』
・『神眼の拳闘家(10)』
・『神眼の拳闘家(15)』


9位 「悪魔の天敵」 辻垣内 智葉
ベーススタイル:『技術昇華+運』

攻撃力:40/60 防御力:40/60 速度:60/60
技術:50/60 幸運:40/60 気力:60/60
※(60+50)/2+40=95 コンマ5以上にて聴牌
※40×(40+50/2)=2600 これをコンマ一桁倍

・『悪魔の天敵(15)』
・『神速(0)』


10位「夢を盗む天使」 エイスリン・ウィッシュアート
ベーススタイル:『技術昇華+オカルト』

攻撃力:30/50 防御力:35/50 速度:35/50
技術:40/50 幸運:40/50 気力:60/60
※(35+40)/2+45=78 コンマ22以上にて聴牌
※30×(45+40/2)=1950 これをコンマ一桁倍

・『夢を盗む天使(0)』
・『夢を盗む天使(10)』


12位「天上の荒武者」 弘世 菫
ベーススタイル:『技術昇華+運』

攻撃力:30/50 防御力:40/50 速度:40/50
技術:50/50 幸運:40/50 気力:60/60
※(40+50)/2+40=85 コンマ15以上にて聴牌
※30×(40+50/2)=1950 これをコンマ一桁倍

・『天上の荒武者(0)』
・『シャープシュート Mk.Ⅱ改 トランジスタ・スライダーICBM(5)』


13位「オカルトスレイヤー」 須賀 京太郎
ベーススタイル:『技術昇華』

攻撃力:40/40 防御力:40/40 速度:40/40
技術:60/60 幸運:10/10 気力:80/80
※(40+60)/2+10=60 コンマ40以上にて聴牌
※40×(10+60/2)=1600 これをコンマ一桁倍

・『オカルトスレイヤー(10)』
・『最古の害虫(10)』
・『偽・闇を裂く雷神(10)』
・『偽・神眼の拳闘家(10)』
・『偽・悪魔の天敵(10)』
・『偽・天上の荒武者(10)』


15位「視えざる空の支配者」 南浦 数絵
スタイル:『技術昇華+オカルト』

攻撃力:40/50 防御力:40/50 速度:35/50
技術:50/50 幸運:40/50 気力:60/60
※(35+50)/2+40=83 コンマ17以上にて聴牌
※40×(40+50/2)=2600 これをコンマ一桁倍

・『視えざる空の支配者(0)』
・『視えざる空の支配者(10)』


44位「蒼い血の死神」 大星 淡
ベーススタイル:『オカルト』
攻撃力:20/60 防御力:20/60 速度:30/60
技術:20/60 幸運:60/60 気力:60/60
※(30+20)/2+60=85 コンマ15以上にて聴牌
※20×(60+20/2)=1400 これをコンマ一桁倍

・『蒼い血の死神(0)』
・『蒼い血の死神(5)』

一応の時系列

告白(穏乃)
 ↓
バッドインシデント・パッドアクシデント
 ↓
離別(灼)
 ↓
プロローグ
 ↓
天江衣、新人女流王
 ↓
(オカルトスレイヤーKYO)
 ↓
松実宥ふぁんすれっど
 ↓
SUGA'sキッチン
 ↓
大星淡に三倍満直撃
 ↓
熱愛発覚。飯屋で遭遇
 ↓
VS照・透華・玄
 ↓
MOCO's キッチン
 ↓
孤独じゃないグルメ
 ↓
プールに浮かぶ水死体
 ↓
やえさんとタッグフォース
 ↓
突撃、隣の辻垣内組
 ↓
PK勝負
 ↓
写真集発売
 ↓
夏休み麻雀教室
 ↓
インハイ解説
 ↓
ワールドイズマイン/君の知らない物語
 ↓
VS照・憩・智葉
 ↓
人為変態戦士マーズレッド
 ↓
同然だった自分の隣に&彼に同行、女の子
 ↓
須賀プロ執事体験
 ↓
鹿児島、行こう
 ↓
ギャルゲ主人公&コードマーズ
 ↓
YOU's キッチン
 ↓
(キンクリ・桃子とバスケ)
 ↓
ブランコを漕いだ日/積乱雲グラフィティ&真夏の夜の16ポンド&酒の席
 ↓
(キンクリ・淡の家で勉強会したり)
 ↓
この世界における麻雀プロ制度について
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10/27 愛に気付いてください(咲ちゃん誕生日ネタ)
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Saki's キッチン
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(秋)咲ちゃんファンスレ
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12/15 マシンガントーク/みゅーじっく・あわあわー
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12/20 アノニマスに花束を/夢乃マホは電気鰻の夢を見るか
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12/24 メリー・ゴーアラウンド・クリスマス
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12/31~1/1 大晦日とお正月

>>1000なら親戚の結婚式に出たら相手の身内に淡がいた
あのさぁ……



えーっと、相手の身内っていうのは親戚の家内って事でもいいんだよね(マジキチスマイル)

親戚:アド○フ・ラインハルトさん
その家内:大星淡さん

これで万事解決やん!

まあ、そんなんは冗談だとしても……


君たちに聞きたいんだけど、次の話のヒロインは

①松実宥
②南浦数絵
③エイスリン・ウィッシュアート
④大星淡
⑤池田華菜

の誰がいいでしょうか。まあ、固定枠(回想枠)は一人既にいるんですがね

次、安価だすでー


①松実宥
②南浦数絵
③エイスリン・ウィッシュアート
④大星淡
⑤池田華菜

↓3~10 反転コンマが高いレスのを採用でござる

ふぇぇぇ……もう淡書きたくないよぅ

連続ってどっか被ってた?

あ、別に連続はなかったのね。りょーかい


・VS 中国班
・ヒロイン
・44位
・「アンタのことは好きだったよ、艦長……」


キマシタワー

まあ、安価どおり順当に淡ヒロインで行きますが、華菜ちゃんも登場って感じでいいんじゃないですかね。ヒロインではないけど
例によって闘牌中は掲示板は(疲れるので)やりませんのであしからず

・モブ(中国班)
・大星淡(44位・元ネタ中国班)
・池田華菜(21位・元ネタ日米合同)
・須賀京太郎(13位・ただしこの話においては艦長相当)

楽しくなってきましたね

明日はあっちを進めるんで、おやすみー

あ、劉さんはレイプ目の艦長をじっと(しかも唇を)見つめてたり、蟹さんにそっちのケはないって言われたり、艦長が年食ってから同性にモテるからホモいよね

麻雀プロが古式ムエタイに精通してなきゃならないという風評被害。訴訟

なんで1が訴訟されなきゃならないのか。訴訟
って訴訟忙しいなオイ。どんだけ訴訟さんを働かせ(ry

デレデレ淡凄く書きやすいけど、書いてて楽しいのはツンツンしてるというジレンマ
まあ、次の話でヒロインって言ってもこっちは基本コメディチックなのであっちとアプローチはだいぶ変わりますがよろしゅう
あと、エピソードのヒロインはまあ、言った通り別にいますのでよろしゅう

明日の夜はこっちを進めますんで、まあよろしゅう
ああ^^~京久とか京照とか京灼とか京桃とか書きたいんじゃ~

15分後から始めるんでー

宥姉には首締めが似合うけど、クロチャーには尻叩きが似合うよね。あと太股に蚯蚓腫れとか鬱血とか
そろそろ、ほのぼの力をチャージする為にも畜生SS短編スレとか必要なのかもしれない

始めるでー




【VS WEAPON 対人兵器】



京太郎「ふー」

京太郎「ココアって、秋が一番美味いよな。気分的に」


 独り語散るが、返答はない。

 いつもならここらで大概誰かからツッコミが入るのだが――残念ながら、今日はコンビ戦でもないため不在。

 番組でもないために、誰かと一緒にいる――ということもない以上、京太郎に掛かる声はない。

 こうして、独り誰ともつるむことはないというのは実に久しぶりである。


 ……それにしても、我ながら思うが。

 毒にも薬にもならないそんな言葉を呟いて、誰かの反応を見るなど――どこまで自分は彼女に影響されているのだろうか。

 最近、特に顕著だった。悪癖として現れていると言っても過言ではない。

 一体自分は、いつからそうなってしまったのか。

 意識すれば止められるが、逆に言うなら無意識的にはそれが現れてしまうというもの。

 なんとも、しょうもない話であろう。


京太郎(……まったく、あなたは本当に酷い女(ひと)っすよね……)

京太郎(あー、本当さ)

京太郎(この性格どうにかしないと、気遣いの男じゃなくて天邪鬼須賀とか呼ばれるかもなぁ)


 ふと、思い返してみる――。




 京太郎『うおっ……』

 久『あらあら、危ないねー』

 京太郎『うわー、びっくりした……ひょっとしたら怪我してたかも』

 久『まあ、小指を打つのが怪我の内に入るならそうなんじゃないのかしら』

 久『それにしても、もうちょっと気を付けたらどう?』

 久『注意一生、怪我一秒っていうでしょ?』

 京太郎『部長、それを言うなら「注意一秒、怪我一生」っすよ……』

 久『……』

 京太郎『……』

 久『ふふん、甘いわね……須賀くん! 甘々よ!』

 久『スイパラに通ってケーキをあーんしあう尼と海女のカップルくらい甘いわよ! ちなみに新婚!』

 京太郎『……ツッコミ難いボケしないで下さい。あんまり美味いこと言えてないっすからね?』

 久『ふむふむ……。須賀くんはスイパラのケーキを不味いと思ってるから、デート場所にしない方がいい……っと』

 京太郎『誰もケーキの話はしてないし、デートの予定もねーっすから!』

 久『いけずねー』


 京太郎『で、なんなんですか? 何が甘いって……』

 久『……?』

 京太郎『いや、言いましたよね……部長』

 久『あー』

 久『じゃあ、仕切り直していくわよ?』

 京太郎『……仕切り直すほどの内容でもないんだよなぁ』

 久『あわいわね、須賀くん! あわあわよ!』

 京太郎『しかも、仕切り直せてない!?』

 久『ふっふーん』

 久『須賀くん、雪のことを淡雪とか言ったりするわね?』

 京太郎『まあ――確かに、言いますね』

 久『ちなみに、淡い竹と書いて“淡竹(はちく)”と読んだりするわ。これ、豆知識』

 京太郎『誰も豆知識なんて聞いてないっすけど……』

 久『そうね。言うなればこれは……竹知識だったわ』

 京太郎『いや、そうでなくて……』

 久『竹井久の出す竹についての豆知識――即ち、略して竹知識よ!』

 京太郎『……もういいです』


 久『ちなみに何故淡いと言ったかと言えば――特に意味はないわ』

 京太郎『ないんですか?』

 久『と、見せかけて!』

 久『降ってきた雪にメープルシロップをかけたら、甘々っぽいという高度なギャグなの』

 京太郎『……高度過ぎて地球の熱圏を突破してますね』

 久『そこであえて外気圏と言わずに熱圏っていうなんて、流石は須賀くんね』

 京太郎『いや、あの……』

 久『辛うじてまだ人のところに近い――理解できるギャグと言う意味と、自分が理科に詳しいというアピール。中々のエスプリね』

 京太郎『そのー』

 久『凄いわね。憧れちゃうわー』

 京太郎『……そこまで深いこと考えてなかったんですよ。ごめんなさい』

 久『あらあら、謙遜なんていいのに』

 京太郎『やめて下さいよ……いや、ホント。……っていうか、判っていて言ってますよね?』

 久『須賀くんの反応が楽しかったんだからしょうがないじゃない。特に誉め殺しにされてるときの、言い出しにくそうな気まずそうな顔とか』

 京太郎『鬼! 悪魔! ロッカー!』

 久『なに? またロッカーに入りたい?』

 京太郎『ノーセンキューで』


 京太郎『……で、何が甘いんですか?』

 久『ん?』

 久『注意一秒、怪我一生って……注意を一秒怠ったら、一生ものの怪我をするって意味でしょ?』

 京太郎『はい』

 京太郎『なんか深い言葉ですよね。色々、真理みたいな感じで……』

 久『その発想が甘いわ!』

 久『注意一生、怪我一秒という言葉は――』

 久『注意は一生続けなくちゃならない! 凄い怪我の所為で一秒で命が失われるかもしれないから、って意味なのよ』

 久『だから、須賀くんもちゃんと前に注意して歩きなさい。どこに危険が転がってるのか判らないのよ?』

 京太郎『なるほど』

 京太郎『……』

 京太郎『でも、部長』

 久『なにかしら?』

 京太郎『それ、あなたの生徒議会の書類運ばされて前が見えない俺の前で言います?』

 久『さあ?』

 京太郎『……』



 改めて――ああ、なんかこう酷い。酷い人だ。人として酷い。

 いやまあ、それでいていいところはあるし憎めない人なんだけどさ……。

 具体的に言うと、犬を助けたり花を踏まなかったりするカーズくらいのいい人。

 元々肉の芽がない――というかカーズに肉の芽をブッ込んでも吸収されるだけになりそうなので――憎めない人だ。

 ……いや。

 岸辺露伴くらいにはいい人かもしれない。きっと。


 ――っと。


淡「ひゃっ」


 考え事をして歩いてたら、マジで“注意一生、怪我一秒”になりかけた。

 よろしくない前方不注意である。


淡「ご、ごめん!」


淡「でも、それにしてもそっちも前見てよ――」

淡「あ、須賀」

京太郎「あわあわ」

淡「!?」


 間違えた。

 竹井久との雑談を回想してたもんだから、間違えた。

 なんもかんも部長が悪い。

 部長は悪魔。ロッカーは魔物。狭いとこがおちつくのってなんだろうねあれ。

 ちなみに落ち着かなかった。

 ロッカーの立て付けが悪いから見てくれと頼まれて調べようとしたら即閉じ込めボンバーである。しかも独りで。

 なんかただ悲しかった。


京太郎「悪い。……大星?」

淡「――」

淡(なによこいついきなり人の名前を気安く呼んでくれちゃってっていうかむしろ渾名じゃん!)

淡(べつに私はあんたなんかと渾名で呼びあう関係になるつもりなんてないんだからねこのばか須賀!)

淡(っていうかー、私は渾名なんかよりも下の名前で呼びあう方がいいんだよねーだって名前ってちゃんと意味あるでしょ?)


京太郎「大星さん?」

淡「――」

淡(って、べつに須賀なんかのばかと名前で呼びあう関係になんてなりたくないよねっ、そんなの薄気味悪いし気持ち悪い!)

淡(ライバルなんだから勘違いすんなー、って! 私とあんたはあくまでもライバルだから馴れ合うつもりなんて全然ないっての!)

淡(で……でもでもー、須賀がどーしてもーって言うならちょっとは考えてあげてもいいかもしんないだってこいつ一応はライバルだし長い付き合いになりそうだし)

淡(な、長い付き合い……べつに意味なんてないから。ただのライバルであってそれ以上の意味はないし確かに格好いいしイケてるし根性あるけどそれ以上の関係なんて求めてないっ)

淡(だから、あんたなんて須賀で十分だよねっ。ばか須賀なんだから須賀でいーんだよ。そこまで気安くしてあげる理由もないからさ――)


京太郎「……おい、大丈夫か?」

淡「じゃ、じゃあきょーたろーって呼んだげる!」

京太郎「……何がだよ」


 ・
 ・
 ・


京太郎「つーか、お前もこの大会に出るんだな」

淡「んゆ? そだよー」

淡「だってほら、賞金多いじゃん!」

京太郎「あー」


 外資系がスポンサーとなる、この大会。賞金額が桁外れに多く、注目を集めていた。

 それを狙って、様々なプロが集まっていた。

 純粋に、大星淡のように賞金目当てのもの。そんな、通常の大会には中々出てこないフリーランスとの戦いを望むもの。そして、何より――


淡「そーゆー須賀はどーなの?」

京太郎「俺か?」

京太郎「俺は、そうだな……」


 最大の理由は――。

 これが少なからず、国民麻雀大会の選抜にも影響するのではないかという話。

 もう既に、開催日も近付いており――当に選抜は済んでいるだろうが……。

 これだけの賞金。ならば、必然的に注目を集める。

 だからひょっとしたら大会の結果如何では、国民麻雀大会の選抜も変更されるのではないか――という噂も出ていた。


 それまで、選抜されるに相応しい成績を残せなかったものは最後のチャンスとして。

 選抜されると確信しているものについては、いずれ闘う相手との前哨戦として。

 この大会に、臨んでいた。


京太郎「……まー、国麻の為だな」

淡「ふーん? 選ばれないから、挽回するってこと?」

京太郎「……。……言っとくけど俺、手酷い負け方はするけど基本的に堅実だからな?」

淡「ああ、そーかもね」

淡「だったら……なんで参加するの? 普段堅実でも、逆にこの大会のせいで手酷く負けたら台無しでしょ?」

京太郎「……ん、ああ」

京太郎「人事を尽くして天命を待つ――ってな」

淡「なにそれ?」

京太郎「これに出るか出ないか……出といて駄目なら、出なくて駄目よりもマシだろ?」

淡「……そーゆーもん?」

京太郎「そーいうもんだな」
 


 そう――“あちら”には、選ばれなかったし。選ばれてもどうにもならなかっただろうが。

 だから代わりにという訳ではないが、こちらには選ばれたかったのだ。

 そういう、約束をしたのだから。


淡「……ま、なんだっていいか」

京太郎「ん?」

淡「やるとなったら、全力で潰してあげるから――精々楽しませてよね」


 ふわりと、髪を掻き上げる大星淡。

 その金糸が、宙に翻った。一本一本が力を持つ触腕のような、それが。

 先程までの浮わついた雰囲気などどこにもない。

 大いなる輝きを放つ甕星――ランキングで隠した実力とは異なり、高校時代は魔物と称された姿がそこにはあった。

 瞳孔が拡がり、気配が静かな圧力を放つ。

 普段話している、無邪気で馬鹿で能天気で煩く明るいあの態度は、消えていた。

 戦闘モードということなのだろう。


京太郎「んじゃ、正々堂々いい勝負にしようぜ」


 笑いかけつつ、握り拳を出してみるが――意外にも、空かされた。

 そのまま、ぷいと反転し、背を向けて歩き出す淡。

 これ以上、京太郎と語ることなどないと――或いは、興味など失ったといいたげな背中。


京太郎(……なんなんだよ)


 僅かながらに戸惑いが生まれるが、それだけ。

 大星淡の訳の判らない態度なんて今に始まったことではない。気紛れな性質の女なのだ。

 普段のあのまるで阿呆な態度。麻雀における無慈悲な死神という面を持つ態度。

 どちらが本当の大星淡なのか――捉えどころのない女である。軟体生物か。


京太郎(……?)


 そんな、大星淡に曲がり角から現れた男が声をかける。淡も、それに応じる。

 自分にはあんな態度をとったくせに――――判らない奴だ。


京太郎(ま、いいか。たしか、予選はランダムで卓を作って、一定数試合だったよな)



 ◇ ◆ ◇


いつも元気にツンアホしてる淡にいつものノリでやりとりしてたら急に黙っちゃって「なんだよ、らしくねーぞ」って、まあこれぐらい言ったら怒るよなって思って
わざと怒らせて普段通りにしようと若干テンパりながら煽ったら背中向けちゃって、「なんだよお前」って声かけても反応なくて、実は淡は啜り泣いてて
やっべーこれ誰マジで淡?と思いつつも「チョコやるから笑えよ」とか冷静を装いつつ必死におどけたり宥めたりして淡の笑顔を取り戻そうとして
「いつもそんなんじゃないだろ」「どうしたんだよ、なんか悪いことしたなら謝るから」とか言っても涙ながらに首振るだけで、これは本格的にヤバイと思ったら
「きょーたろーにいっつも変な風に接しちゃうから」「直そうと思ったけど上手くいかなくて」って涙を拭いながら答えて
「あれ、こいつかわいいかもしんねー」とか「こんな顔できるんだな」とか「酷いこと言ってごめんな」って淡の頭に手を置いたりしたところで、
「やーい、騙されてるー。ばかきょーたろー」ってやっと少し悪戯っぽく笑ってくれる

って様子を夕飯のときに咲に報告して「彼女の前で他の女の話する?」ってジト目で見られたところに「だって俺咲一筋だし」って二人は幸せなキスをして終了する
京淡誰かください

淡は不幸かわいい(断言)
憧ちゃんは不憫かわいい(断言)
やっぱり京咲はナンバーワン。咲ちゃんが死ぬと特に


あ、どうでもいいけどポルノって言ったら、大学時代のツッコミ苦労人残念バカ3人組+3番目の男のテーマはNaNaNaサマーガールっぽいよね

始めるゆえ――


京太郎(やっぱ、賑わってんな)


 ふむ、と顎に手を当てる。

 アマチュア、セミプロ、プロ、M.A.R.S.ランカーと――中には見知った顔の雀士も参加していた。

 やはり、賞金だけあって規模も大きい。参加者も多い。

 予選は、東風戦のオカありウマなし。25000点の30000点返しの赤4枚。

 ダブル役満なし、嶺上開花は責任払いなど――あのときのインターハイ、M.A.R.S.ランキング戦と同じルールだ。

 まあ、ひっかかるとしたら、これだけの規模にも関わらず意外なほどメディア露出が少ないこと。

 イカサマ防止用のカメラを覗いて、中継用のカメラなど見えない。


 ……まあ、一般参加者もいるのである意味当たり前か。今更だが。


華菜「おっす」

京太郎「あ、池田先輩。お疲れさまです」

華菜「うんうん、ちゃんと敬語が使えてるようで何よりだし!」

京太郎「ハハハ」

華菜「あ、そうそう。うちの妹たちから伝言。『ありがとうございます。応援してます』だってさ」

華菜「……まったく。同じランカーなんだから、華菜ちゃんを応援しろし」

京太郎「あー、ほら、家族は別枠なんじゃないっすかね?」

京太郎「別にファンとして好きな雀士はいるけど……家族としては応援してる、みたいな」

華菜「そーかー?」

華菜「でも、あいつら反抗期だからなぁ」


 うむむ、と腕を組む池田華菜。

 やっぱりかわいい。あと、なんだかんだ面倒見のよさが見えて素敵だと思う。


京太郎「それに――」

華菜「ん?」

京太郎「俺は、池田先輩の打ち方好きですね。ファンって言っても、いいかも」

華菜「御世辞はいらないって」

京太郎「いやいや! 引き付けての、ピンチからの逆転って格好いいと思うんだけどな」

華菜「ムラっけがあるだけ、なんて言われるし……」

華菜「自分より上位に言われても、嫌味みたいで嬉しくないし」

京太郎「あ……す、すみません」


 やっちまった、と思った。

 自分の場合は誰から認められても誉められても、それだけで嬉しいものであるが――。

 しかして他人が同じとも限らない。

 そういうところを忘れるなんて、実に初歩的だ。

 これでは宮永咲に「最近、いい意味でも悪い意味でも高校生の頃に戻ってない?」と言われる訳だ。

 どうにも、親しさや気安さを感じると気遣いというのが鈍ってしまう。由々しき事態である。


華菜「なーんてな!」

京太郎「へっ?」

華菜「流石に冗談だし! そんなのに気付かないって、らしくもなく緊張してるんじゃない?」

京太郎「……謀りましたね、池田先輩」

華菜「いやー、神算鬼謀のオカルトスレイヤーを騙せるなんて華菜ちゃんも中々だし」

華菜「お陰様でこっちも自信がついたよ」

京太郎「……そうですか」


 思わず、池田ァって叫びたくなった。

 やめてほしい。心臓に悪いから。


華菜「ま、それじゃあそっちもがんばれなー」

京太郎「俺の台詞ですよ、21位」

華菜「ランキングのことは言うなし! あとで覚悟しとけよ!」

京太郎「はい。また――後で」

華菜「おう!」


 ・
 ・
 ・


京太郎「……」

京太郎(トップには跳満直撃が条件……または倍ツモ)

京太郎(で、上家には筒子が安い。下家は典型的なタンピン気配)

京太郎(俺は――筒子が高いと見せかけた。それ以外は安いと)

京太郎(で、そんな条件の対面)


 ドラ:ニ萬(表示牌:一萬)

 捨て牌:一萬 西 ⑨筒 {2索} 東 七萬
      {9索} {西} ③筒


京太郎(さて……)

京太郎(俺の手牌は、こんな形で――)


 四 九九九萬 ④【⑤】【⑤】⑤筒 【5】7999索

ツモ:6索


京太郎(こうなった)

京太郎(俺は満貫出和了でトップなんだが……)


東四局
(東家)上家:25600
(南家)京太郎:29500
(西家)下家:37300
(北家)対面:17600



京太郎(四萬を切ってリーチは――しない。当然だけどな)

京太郎(真ん中の三色風味だけど、俺が⑤筒を三枚使いしている以上その可能性は薄い……ないとは言えないが)

京太郎(……)

京太郎(ツモで倍満にまで仕上げるなら、リーチをかける前提なら、面前でリーチ・ツモとは別に最低6役)

京太郎(タンピン三色、純チャンイーペーまたは平和、三暗刻対々和にあと2つ。面前混一色にあと3つ。一気通貫にあと4つ)

京太郎(他にはまあ、清一色か。あとの細かいのは考慮するが一応はいい)

京太郎(これはリーチツモの場合だ)

京太郎(リーチかけちまって、結局出和了でした。トップ捲れません……じゃあ、話にならない)


 ただしこれはトップ前提の話。

 相手の方針がラス回避なのか、トップなのか、プラス収支なのかによる。

 この予選においては、上位が本戦進出の為にラスになるのは致命的。ラスになってしまったら、浮上は難しい。

 トップはオカの分、明らかに有利であった。

 まあ、ここは無難に2位あたりでも良いかもしれないが――。


京太郎(違うな)

京太郎(アイツは臆病なタイプだ。臆病だからこそ――ここで勝っておきたいというタイプ)

京太郎(顔が僅かに緩んだ……チャンス手が入ったんだろうな。最初に)

京太郎(多分、裏期待や高目期待、ツモなどの条件がない――臆病な人が安心するってのは、そういうときだ)


京太郎(他には、臆病な人間の特徴としては……『過剰な防御』や『真っ直ぐに行かないこと』だったよな。部長曰く)

京太郎(あとは――周りくどく周到に、なにかを仕掛けて出和了を狙ったり)

京太郎(さて。ここまでが、単純な状況設定……)


 ふう、と息を漏らす。

 山をカウントする必要はないだろう。まあ、この順目では有効性が欠片もないし(オカルト持ちがいない限り)。

 つまりは、疲れる技能を使用する必要はないと言うわけだ。幸いなことに。

 とりあえずは習慣として身に付いている、些細な表情変化やツモ速度などの違和感の記憶。それぐらいで充分。

 一応は記憶したが、少し印象に残ったもの以外は捨てる。これが強敵相手だったら、初めから全開で覚えるか――それとも全力で思い出すかだが。


京太郎(あの安心の表情からして……配られた段階で高打点が保証されていた。たぶん速度もか)

京太郎(その後の手出しの数から考えると、役による打点が保証って感じはない)

京太郎(で、場には、二萬が見えてないから……誰かの手牌で使われている)

京太郎(……んで、この人の傾向から考えるなら――ドラの二萬が2枚あって、ドラを生かしたかったから)

京太郎(そこで一萬を打つってことは、三萬は二枚ないって事だ)


 『一二二三三萬』の形から、一萬を見切るのは考えがたい。あり得るとしたら四萬を二枚引いてきた場合。

 『一二二四萬』の形から、一萬が打たれるかというのは微妙だ。

 ただ、他に面子があるか速度を求めるなら三萬の二度受け嫌いはある。

 『一二二四五萬』こんな形なら、充分に一萬打ちもあり得るだろう。他の面子次第だが、ここに一萬があっても役に立ち難い。



 こんな風に、頭の中で様々なパターンを想像する。

 材料として、印象に残ったものを使用しながら。


京太郎(あの七萬は手出しだけど……空切りだ)

京太郎(七萬子は手牌にある――それも暗刻で)

京太郎(つまりは――こうだな。こうなる)


 手牌:■二二■■■■七七七■■■


京太郎(二萬は頭。もしくは暗刻)

京太郎(向こうから見て一番右に動きはない――③筒が左端から打たれたことを考えるなら、一番右にあるのは八萬または字牌)

京太郎(素直に並べてれば――だけどな。まあ、並べ方は判ってる。この場合は素直でいい)

京太郎(タンヤオ対々和三暗刻にドラ、タンヤオ三暗刻にドラと、面前混一色対々和三暗刻にドラ、面前混一色三暗刻にドラ)

京太郎(面前混一色対々和三暗刻ドラ3なら、リーチかければ三倍満で全方位から和了可能になる。……だから、恐らくこれはない)

京太郎(リーチの足止め効果は判る筈だ。ましてや……4位のリーチなんかかかったら、この親の人以外は引く状況だしな)

京太郎(タンヤオ三暗刻にドラ3だと足りない。……ま、ひたすら直撃狙いかもしれないけど)

京太郎(ってなると――)


 プロ棋士は脳内で数百通りを考えると言うが、今の須賀京太郎はまさにそれだった。

 勿論、プロ棋士には及ばない。それほどの可能性をシミュレートできるならば――麻雀が好きでなければ――棋士になっているだろう。

 しかし、京太郎は速い。


 ゾウの時間、ネズミの時間と言うが――生物は個別に、それぞれの心拍数に応じた時間の流れを持っている。

 それでいて、一生に打たれる鼓動の回数はどの生物とも似通っているらしい。鼓動の回数こそが寿命であり、その生物の一生。

 ここで、どの生物もそれぞれの生物が主観的には同じ長さの一生を送るとしたのならば。鼓動と鼓動を一単位と考えるのならば。

 一秒で十回脈打つ生物にとっての一単位は〇.一秒。一秒に一回鼓動を打つ生物の一単位は一秒。

 一単位が、その生物にとっての行動にちょうどいい時間だとするなら、前者は同じ時間で後者の十倍行動できる。

 つまり――相対的に見れば、身体の小さな生物ほど――速い時間の流れを生きていることになる。


 それは、昆虫も同じである。


京太郎(――よし)


 そんな、ある意味異なる時間の流れに生きるに相応しい彼の速度を言うなれば――“疑似神経加速(タキオン・エミュレート)”と呼ぶべきだろうか。

 須賀京太郎は、他者から見れば流れるような速度で、打牌を行った。

 一般に、段位が二つ違えば生物が違うとまで呼ばれるが――。


京太郎「――ロン」


 この場の誰もが、六段・須賀京太郎の思考と動きを把握できなかった。


 ◇ ◆ ◇


京太郎「ふぃー」


 予選を無事通過して、肩を撫で下ろす。

 いつもほどの消耗はない。

 思考もまた、肉体の鍛練と同様に、繰り返せば繰り返すだけ研かれる。

 即座に結果がでるものではないが、続ければ続けるだけ速度を増していくのだ。僅かながらでも、成長している。

 だから、以前ほどの消耗もなくなるのだ。


 なんて――それ以上に判りきっているのはある。

 単純に、いつも戦う相手が化け物過ぎるのだ。

 京太郎のそれには素質も必要だが、訓練次第では人として充分に到達可能なもの。

 だが、オカルトは違う。“特性(能力)”は違う。

 素質などでは達し得ない、純然たるギフトのオンリーワン。

 或いはギフトではない、オカルトではなく技術を磨いた末のスタイルというのも多いが――。


 それでも、突き詰めてしまえばどちらも怪物だ。ただの人間には荷が重い。

 せめて自分にも他のプロのように運があればなー、と思わなくもない。


京太郎(ま、これが俺だし……これはこれで楽しいからいいよな)

京太郎(それに……)

京太郎(俺が泣き言言ってたら、しょーがねーもんな)

 

× だが、オカルトは違う。“特性(能力)”は違う。
○ だが、オカルトは違う。“特性(のうりょく)”は違う。

 “特性(能力)” → “特性(のうりょく)”


淡「……ふう」

京太郎「よ、大星。予選じゃ当たんなかったな」

京太郎「池田先輩もそうだったし、他にもランカーとは当たんなかったから……ひょっとしたら予選の抽選も仕組まれてるんじゃねーのかな」

京太郎「なーんてさ。お前の方、どうだった」


 笑いかけながら、缶を差し出してみるが――冷たく一瞥されただけ。


京太郎「な、なんだよ。これ……お前が好きな奴だよな?」

淡「……」

淡「邪魔。どっか行ってよ」

京太郎「は?」

京太郎「お前、その言い方は――」


 思わず口を尖らせそうになって、黙る。

 この大会――規模も大きい。賞金も高額で、国麻への足掛かりにもなる。

 なら、集中して然るべきだ。

 集中の仕方は人それぞれである。大星淡と須賀京太郎のそれは、当然違う。

 なら、こうして京太郎が話しかけること自体が、彼女の邪魔となってしまいかねないのだ。


 普段があまりにも気安い為に、忘れがちだったが……。大星淡も大星淡なりの流儀があるのだ。


京太郎「ごめんな、俺……無神経だったよ。すまん」

京太郎「その、でもさ、これ……よかったら、飲んでくれないか? 折角買ったんだし……」

京太郎「じゃ、じゃあな。ごめん、邪魔して」


 缶を置いて、淡に背を向ける。

 なにか気まずかったし――それ以上に、居たたまれなかった。

 いつもの彼女の辛辣さや口煩さのそれとは違って、なんだか心を抉られるようであったのだ。


淡「……はぁ」

淡「……」

淡「どうしよーかなー、もう……」


 ・
 ・
 ・


京太郎(まずまずか)


 本選の立ち上がりの結果は、M.A.R.S.ランカーとしては及第点というもの。

 湯気が立つ風呂だと思って飛び込んだ先が、ドライアイスだらけの氷風呂だった――。

 そんな、傾奇者の悪戯に嵌まったような気持ちから一転、麻雀では平常を取り戻していた。

 ……が。終わってしまえば。

 やっぱり、気になるのが常である。あんな態度されたんだから。


 まあ、大星淡とは仲がいいという訳ではない。

 何だかんだとお互いをぞんざいに扱い、何だかんだと近寄ったかと思えば互いに突き放したりする。

 言うなれば、ト○とジェ○ーか。○ンパンマンと○イキ○マンではない。似てるけど。

 だから、ある程度打ち解けこそはすれ――さっきのような態度は当然なんだろうが。

 なんだろう。


京太郎(だけど……いっつも、あそこまで冷たくはないよな? 何だかんだ会話はしてくれたし)

京太郎(うーん、俺……なんか怒らせるようなことしたか?)

京太郎(……思い当たりしかないってのが困る)

京太郎(でも、いつもの怒り方とはなんか違うし……)

京太郎(まあ、集中……したかったんだよな。だったら悪いこと、してるかぁ)

京太郎(でも……それを言ったらアイツだってこの前、辻垣内先輩たちとの対戦前に俺の控え室に来たよな)

京太郎(自分はよくて――俺は駄目ってことかよ)


 そう思うと、怒りが沸々と沸いてくるが……消沈する。

 なんか、それが理由とは思えないのだ。


京太郎(……ま、いいか。大星にも事情があるなら、それで)

京太郎(……)

京太郎(別に俺はあんなぱーぷりんと喋れなくたって気にならねーよ。むしろ、静かで清々するよな!)

ハラパンマンに見えた?(難聴)


 ま、それは置いておこう。麻雀には関係ないし。

 とりあえず、今の自分のランクはどうかな――――と、ランキングディスプレイを探してみる。

 本選とは言え、たった半荘数回で結果は出ない。実力は出ない。

 だから、別に――


京太郎「な……ッ」

京太郎(池田先輩が、マイナス……!?)

京太郎(そんな……はは、なあ、4位って……マジかよ)

京太郎(確かに、麻雀には好調不調があるから当然だし、そういうのが普通だけど……)

京太郎(あの人、M.A.R.S.ランカーなんだぞ!? 戦ってるのも別に上位ランカーでもないし、何があったんだよ……)


 須賀京太郎はともかくとしても、それ以外のM.A.R.S.ランカーは上位に近付くほど圧倒的だ。

 単なる運・不運を、ものともしない力がある。運を制圧する。卓を制圧する。

 勿論、好調もあれば不調もある。同じ上位近くのランカー同士で戦えば、その辺りの影響もあって結果は絶対的ではなくなる。


 だけれども、M.A.R.S.ランカー。M.A.R.S.ランカーなのだ。

 上位近くでは、単純な技術では抗えないほどの引きの強さが露になるし、シューターが華麗に3Pシュートを決めるかのごとく、自らのスタイルを発現させる。

 明確に決まりのスタイルを持たないのは、精々が京太郎ぐらいだ。(対応すると言う意味での変幻は他にも多いが)

 


京太郎(……相手は)


 丁度、卓が終わったところなのだろう。実際に解散するのに先駆けて、結果が表示されたのだ。

 池田華菜。の、他には男性が三人。

 一人は予選前に、大星淡に声をかけていた男だった。

 特に強者特有の気配なるもの――京太郎にはオカルトあれこれは判らないが、目付きや所作で実力をある程度測る――は感じられない。

 だから、尚更信じがたかった。

 よっぽど綺麗に、ラッキーパンチが当たったのだろうか。麻雀である以上に、それは十分にあり得る。


京太郎(でも……)

京太郎(……残念だけど、こういうこともあるよな)

京太郎(だって……それが、麻雀ってもんだよな)


 目を閉じて、気持ちを切り替える。

 確かにショックであるし――実に残念であるが、麻雀とは得てしてこういう競技だ。

 M.A.R.S.ランキングという曲者揃いのランキングの中ではあまり起こらないが故に、失念しがちであるが……。

 むしろ、同卓した人間を讃えるべきだろう。

 上位ランカーでもないのに、上位近くのランカーに競りかったのだから。


京太郎(……4位になるとリカバーが大変だろうけど、案外池田先輩ならどうにかするかもなぁ)

京太郎(よぉーしっ)

京太郎(俺も頑張らないとな!)


 しかし、京太郎のそんな爽やかな気持ちは――ギャラリーが漏らしたある一言で、雲散霧消。

 ――否。

 そんな感情は、“裏返える”こととなった。




京太郎「“イカサマ(ぶき)”を持ったままで――構わない」


 この試合を目撃した、弘世菫は後にこう語る。

 今までかつて、あそこまで激しく静かに怒る須賀京太郎を見たことはない――――と。

 元々が温厚な気質であり、剽軽ではあるが真面目で誠実な性質で、陽気な男である。

 そんな須賀京太郎が、口を尖らせることや親しい仲での冗談めいたやり取りで声を荒らげることはあっても、正しい意味で怒ることは稀だ。


 だけれども、この場においては――。

 鷹揚に笑いはしない。気障ったらしい、緊張を解す諧謔や冗談もない。

 ひたすらに、静かに黙して卓についていた。

 これこそが、何よりの警告音であると弘世菫は告げる。

 その優しさが故に、これまで彼が見せたこともない――――獰猛さと凶悪さが顔を覗かせるのだ、と。


京太郎「一列に並べ……!! 外道ども」



←To be continued...

オカルトスレイヤー復活ッオカルトスレイヤー復活ッオカルトスレイヤー復活ッ

という訳で今日はここまででー
ちゃんと無双するから安心してて欲しい。うん、安心しててね
ここまでは投薬前で人為変態前だからね

それじゃあおやすみー

京ちゃんが事故に遭って失明したけど、幸いにも一緒に事故に巻き込まれた咲ちゃんは軽傷だったので以前にも増して
甲斐甲斐しく世話してくれて―――まあポンコツなのは変わらず、二人は一気に距離を縮めてほどなく結婚して
事故で亡くなってた咲ちゃんの振りを生涯続ける照さんと、京ちゃんもそれに気付かない振りを生涯続ける京咲。

咲ちゃんの死がもたらすものはつまるところこのようなもの。それとも>>1は…駿河三十五万石を引き換えにされても
このような京咲がご覧になりたいと仰せられるか?(陰腹を召しつつ) あ、乙。

F.K.「それをオカルトスレイヤーが成敗するまでがシナリオ!」

まあほらあれも蜂さんですしおまけに電気使いますしおすし>鬼虫
あとは蹴り技得意なバッタって言ったらタキオンでクロックアップですしおすし

蜻蛉の兄貴強すぎです

>>196
咲ちゃんを殺した運転手に復讐するためにエコロケ駆使する盲目の復讐鬼と、咲ちゃんが眠る墓を見るためにMO手術される京太郎にしかならんよそんなん
なお淡は水底に沈み、アコチャーはふきゅっし、姫子は変態になる模様

さあ、京咲の時間(ショータイム)やでー


京太郎「よろしくお願いします」


 卓に着く京太郎と、その他三人――。

 ここでは仮に――火暴喜一、中谷高俊、鳥地真紀としておこう。

 オカルトという奇々怪々なる特性が故に、得てしてM.A.R.S.ランカーというのは女性が多い。

 そういう意味では、このように男性のみで卓が立つというのは非常に稀であろう。

 勿論、これは――M.A.R.S.ランキング戦ではないにしても、だ。


京太郎(……池田先輩が焼き鳥か)

京太郎(そんなこと――あるのか? 確かに麻雀って、『どんなことも起こるしどんなことも起こらない』って言えるけど)

京太郎(仮にも……上位に近くて、しかもあの“まくりの女王”の藤田プロに直接指導されてたのに)

京太郎(やられっぱなしで、終わるのか?)


 池田華菜はオカルトというものを持たないが――ある種の豪運を持っていた。

 彼女が諦めないかぎり、天から救いの糸が途切れることはない――と、言おうか。

 或いは、またある種不屈で前向きな彼女が、気合いで引き寄せると言うか。

 ピンチこそチャンスだとでも言いたげに、池田華菜はしばしば驚異的な逆転劇を発揮していた。


 もっとも、そこらのオカルト使いや魔物ならいざ知らず、それだけで上位ランカーに通用するほどこの世界は甘くはないのだが――。


京太郎(見た感じ……そこまで強い風には見えないけどな)

京太郎(ランキングも……そこまで、って程でもないし)




 京太郎は北家。

 火暴喜一が上家――西家。

 鳥地真紀が対面――南家。

 中谷高俊が下家――東家。起親。

 そのような形で、始まった。この対局は。


京太郎(さてと……まあ、“見(ケン)”しかないよな)


 手牌:四七七萬 ①①⑤⑨筒 579索 西北発
 ドラ:九萬(ドラ表示:八萬)


京太郎(相変わらず――っていうか、なんていうかな)

京太郎(ひょっとして、大星のオカルト食らってる方がまだマシなんじゃないか? これ……)

???「テレパシーがあっても、運と実力がなければ意味がないよね……兄さん」

????「そうだな、オルバ」


真紀「ポン」

京太郎(……っと、早いな。一巡目で鳴き入れますか、ふつー)

京太郎(あそこらへんを一鳴きしたいっていうと……三色同刻、混一色、その他手が早い)

京太郎(まあ、現時点じゃなんともなぁ……)


 南家:[五]五五 ■■■■■■■■■■


 手出しは、⑨筒。

 まあ、全ての可能性を絞るに値しない打牌である。

 そもそも、神ならぬ京太郎には、このなんの条件もない状態から相手の手牌を理解できるほど、狂気じみてはいない。


 そのまま、順目が進む。

 京太郎は、その他家にとっていずれ安牌になるであろう牌を確保しつつ進んでいくが――。


京太郎(駄目だ……全然、進まない)

京太郎(衣さんがいるんなら――これはあの人のオカルトだって、対応ができるんだけどな)

京太郎(今のままじゃ、単なる不運なのかそういう特性なのかが……全く判らないぜ)

京太郎(……やれやれだよな。データなしってのはさ)


 ボヤいても、始まらない。

 他家の状態を観察――彼らの視線の移動、思考時間、牌の整理から手の進み具合を計ってみる。

 だが、読めない。

 平常を保ったままとしか、京太郎には見受けられなかった。

 池田華菜を上回るなら――しかも彼女を焼き鳥にするなら――、そろそろ聴牌の一つでも出来るほどの引きの強さを見せてもいいと思うが。

 それとも、他家も総じて手が進まないのだろうか。

 そんな無風状態というのは、麻雀ではしばしば見られた。尋常な麻雀なら。

 M.A.R.S.ランキングに於いても、小走やえが全力で技能を発揮すれば、そんな状況も起こりうる。


高俊「リーチ」


 おいおいマジかよと、内心眉を上げた。

 聴牌気配がまるで読めない――とは、あの鹿倉胡桃のようではないか。

 彼女の、あのある種ステルスには目を見張るものがある。

 一番恐ろしいのは東横桃子に違いないが……。

 なお、バスケットボール以後、しばしば連絡をとっていたりする。ステルス談義で割りと盛り上がる仲だ。


 まあ、清水谷竜華とは異なり、彼女ほどの精度で見抜きが出来ない自分を上回る打ち手――なのかもしれないが。

 それがオカルトや特性なら、リーチを掛けねば和了できないか。

 或いは決め手にはリーチなのか。リーチをしたらより打点が伸びるのか。即リー派か。デジタルか。牽制狙いか。

 何にしても、データなしでは自分にとって確信に至る証明がないということなので――全ての案を想定しつつ保留する。



 東家捨て牌:(五萬) 西 1索 ②筒 {北} 7索
         6索 九萬 [⑤筒]


京太郎(うーん……)


 手牌:四七七萬 ①①①筒 579索 西北北発  ツモ:西


京太郎(安牌でオリる……か)



 そしてその後、数順の後に。


高俊「――ツモ。6000オール」


 高俊(東家)手牌:三四【五】六六 八八萬 ③④⑤筒 345索 ツモ:八萬


 リーチ、ツモ、タンヤオ、三色同順、ドラ1で親が和了した。

 開幕のインパチは、かなり痛い。


京太郎(……)


東一局
中谷高俊(東家):43000 (+18000)
鳥地真紀(南家):19000 (-6000)
火暴喜一(西家):19000 (-6000)
須賀京太郎(北家):19000 (-6000)

赤五筒切って立直?

>>245
すまんち

【五】【⑤】【5】……各種赤牌
( ) ……他家に副露された
[ ] ……捨て牌においては立直宣言、手牌においては副露
{ } ……ツモ切り



 続く、東一局一本場。

 須賀京太郎は静かに手牌を開いた――。


 手牌:二四六萬 ③③④⑤【⑤】【⑤】筒 89索 南西 ツモ:6索


 先ほどの牌に比べたら、言うまでもない。

 ドラを手の内で抱えられているのはよい。イーペーコーも見える。

 6索ツモによって、最終形はタンヤオ見込みがほぼ決まり。

 不満があるとしたら、聴牌時には弱点が残りやすいことだろうが――まあ、おまけのようなもの。


 打:南。この手牌は余計なことを考えず、真っ直ぐに進むべきだ。

 次順、ツモ5索。不要牌は西。二度受けペンチャンの89を先に見切ってもいい。

 ただ、ここでペンチャンを見切るには早い。


 手牌:二四六萬 ③③④⑤【⑤】【⑤】筒 5689索 西


 二度受けは痛いが、7索引きで打③筒の亜リャンメンとリャンカンの一向聴。

 多分、これが最速だろう。最後に急所が残るのがいただけないが。

 理想としては、六萬や③筒に何かがくっつくこと。

 先にリャンカンが埋まるか、或いはそれらにくっついたなら89索を見切ればいい。

 ここで、後の為に西を温存――などというのは、臆病風に吹かれて見誤っているだけ。

 京太郎は、他者から見れば突っかかるとも呼べぬ早さで、牌を打った。


 打:西


喜一「――ポン」


 火暴(西家)手牌:■■■■■■■■■■■ 西西[西]


 応えるように、鳴きが入る。



 上家と下家を飛ばして回ってきたツモは五萬。

 ありがたいと手牌に入れて、打:8索。

 次順、掴んだのは4索。さして迷うことなど欠片もなく、打:9索と手を進める。

 それから二巡、南引きと9索引きによる無駄ヅモを挟む。


 手牌:二四五六萬 ③③④⑤【⑤】【⑤】筒 456索


 一・三・四・七萬。①・②・③・④・⑤・⑥筒にて、聴牌となる一向聴。

 続くツモは――③筒。


京太郎(五面張か。早目だってのに、ありがたいぜ。ツイてるな)

京太郎(リーチ掛ければ、最低でも満貫確定)

京太郎(高めなら跳ねるし……ああ、幸先が悪くない手だぜ)


 手牌:二四五六萬 ③③③④⑤【⑤】【⑤】筒 456索
 

京太郎(……)

京太郎(……確かめるか)

京太郎「――リーチ!」


 須賀京太郎(北家):南 (西) 8索 9索 {南} {9索}
              [二萬]




 はたして、その結果は――。


高俊「聴牌」

真紀「ノーテン」

喜一「ノーテン」

京太郎「聴牌」


 和了できず、場に供託立直棒を提出したにとどまる。

 高め、速度十分、待ちが広い手牌が結果として潰れてしまったのならば、誰もが嘆息するだろう。

 勿論、常識外れの怪物の集い、M.A.R.S.ランキングの末席に身を連ねる須賀京太郎とて――それは同じ。

 ある種確信めいた打牌を行う彼女たちとは異なり、須賀京太郎はあくまで普通の人間である。

 何となくという切っ掛けで誘われて麻雀を始めて、麻雀自体の面白さに魅せられ、麻雀が好きになり、牌に悩み――紆余曲折の末に再び麻雀の楽しさを取り戻した。

 だから、全力で悔しがりつつ、これも麻雀だと己を納得しようとさせ、やはり残念であると息を漏らす。

 京太郎は、そんな人間である。


京太郎(……はぁ)


 ――それが、“結果として潰れてしまったのならば”。


京太郎(……ああ)

京太郎(そういうことか……)

京太郎(よくわかったぜ――ああ、“よくわかった”)


 京太郎は確信した。

 ここで今まさに、イカサマが行われている――と。

 池田華菜は、この、イカサマでありコンビ打ちにいいように弄ばれたのだ――と。

 須賀京太郎は、確信した。

 それと同時に京太郎は、例の注射器――型のペンを取りだし、首筋に当てた。電流が、神経を刺激する。


 ――チキ、チキ、チキ。


 何かの音が聴こえた。

 牙を打ち鳴らすような――大顎を噛み合わせるような、音が。

 それが己の心が鳴らす/変容する――怒りの音だとは、京太郎は気付かない。


京太郎(……イカサマか)


 残酷なことを言うかもしれないが……。

 プロである以上、M.A.R.S.ランカーである以上、たとえイカサマを使われようが何しようが、勝たねばならない。

 そんな気持ちは、池田華菜に対しても変わらない。誰が相手だろうと――小走やえ相手だろうと――きっと須賀京太郎はそう思うだろう。

 自分自身、派手に負けるが故に人のことを言えた義理ではないが――。

 プロというのはつまり、そういうことだ。


 だから、イカサマで負けた池田華菜に対してまず思うのはそれだ。

 残酷であるかもしれないが、M.A.R.S.ランカーであるというのはそういうことだ。

 高々イカサマ風情に負けるというのは、「恥ずかしい」と悔やみこそすれ、「卑怯だ」と憤るのは筋違いである。

 火星の名を――軍神の名を冠するランキングにおいては、それこそが真実である。

 辻垣内智葉はその卓越した感性と経験から。弘世菫はその視野と判断から。

 清水谷竜華はその眼力で苦労なく、小走やえはその技術で他愛なく。

 南浦数絵は、荒川憩は――本気を出した彼女たちは、たかがイカサマ程度では止められない。


 しかし――そんな常識や真実を噛み締めた上で。心で強く握り締めた上で。


京太郎「“イカサマ(ぶき)”を持ったままで――構わない」


 須賀京太郎は、怒りを露にした。

 場末の賭場ならいざ知らず、こいつらは、麻雀を愚弄した。

 日本の麻雀に関わる、全てのプロ雀士を愚弄した。

 何よりも――


京太郎「一列に並べ……!! 外道ども」


 今このとき、日本の麻雀界を背負い――単身世界に赴く宮永咲を愚弄した。

 許せるはずが、なかった。


 須賀京太郎が違和感を感じたのは、あの五萬打ち。

 それまでのツモによる手牌への挿入と、解答――つまりツモでの手牌の開示を合わせると、始めの手牌はこうなった。


 高俊(東家)手牌:四五【五】六六萬 ②④筒 13456索 西
 ツモ:7萬 打:五萬


 これから打五萬というのは、明らかな異常である。

 そしてその後の手牌の変化についてであるが……。

 京太郎は、牌が中央の奈落に飲み込まれるまでの隙に除き見た。

 残りの七萬は王牌に二枚。四萬も王牌に。

 2索、5索、8索は場と他家によって使いきられていた。


 さらに二度の対局にて立て続いた、早い順目の副露。

 あれによって須賀京太郎には、上の段の牌が当てられた。

 本来の北家なら、ツモは下。東家と西家が、上をとる形となるのである。

 さらに加えるのは――あの、五面待ちの立直。

 早い順目であり、京太郎は実質四種類の牌しか出していない――おまけにあの時点でドラの所在が明らかにもなっていないに関わらず。

 誰一人として、心底慌てなかった。

 須賀京太郎が和了不可能なことを、知っているように。


京太郎(……ガンパイだよな)

京太郎(三人が三人、揃いも揃ってガンパイ使いで……しかもコンビで打っている)

京太郎(ここは――そういう卓だ)


高俊「並べなんて言われても、座ってるしなあ?」


 中谷高俊は、残る二人に笑いかけた。

 相手の待ちが完全に判り、ズラしてやればその後のツモが判る以上、負ける筈がなかった。

 互いの手牌が判るということは即ち、極めて効率的にピンポイントで鳴かせあえるということで、攻撃役の人間以外は妨害も容易い。

 下段の牌が見えないという点は問題ではあるが……どの色か判る程度には細工が施されているし。

 普通に打つよりは、余程容易く一人を陥れることができる。


 須賀京太郎の手牌が判っている以上、彼が鳴けるところを出さなければよい。

 そのまま永遠に、彼は削られ続けて負ける。

 適度に稼いだら親を変わり、全員が――須賀京太郎を残して、ある程度均等に和了すればいい。

 そうすれば、須賀京太郎は一人沈む。


京太郎「……」


 ――否。

 須賀京太郎だけではなく、全ての上位ランカーを沈めさせるのだ。

 今現在他の卓においても、これと同様の行為が実施されていた。

 M.A.R.S.ランカーとの闘牌を想定――というより、彼らを殺す為の対人ならぬ対ランカーとして。

 高俊ら、フリーランスのランカーは雇われていた。


 そもそもこれは、大会側の仕込みである。

 フリーランスの麻雀プロたちは、この大会に出てきた上位ランカーたちを敗北させる為に集められた。

 ただし、その為に、余計なオカルトや特性は必要ない。

 代わりに、誰にでも扱える“武器(イカサマ)”を与えられた――――と言っても与えられた彼ら以外には使用不可能だが。

 故に全員、馬鹿正直にガン牌などしている筈もない。

 そんな傷や仕組みを作ってしまったら、ともすれば逆手に利用されるかもしれないから。


高俊「まあ、トラッシュトークはともかくとして……続行しようか」


 勝てないまま、嬲り殺されるのが相応しい。

 上位ランカーたちは、この場においての贄であるのだから。

 この大会の、最初から仕組まれていたのだ。そもそもの大会からして、その為に作られているのである。


高俊「さて、じゃあ、二本場だ」

という訳でここまででー

無双は、うん、するよ。きっとする

(え、冒頭で十分絡んだよね……?)

(大丈夫。ちゃんと44位ポジとして出番あるから)
(一時間後あたりに始めます)

先週のアリさんは力持ちといい、体重といい地味に笑いが零れる

さあ、始めようかねー


京太郎「……」

高俊(何をしたって、無駄だよ。あんたじゃなにもできない)


 運やオカルトを、『不確定を支配する力』――――と呼ぶのならば。

 技術は、『正しき道を選択する力』である。

 道無き道を、暗闇の荒野に進むべき道を、切り開く力――それが技術だ。

 可能な限り、経験と判断で――『失敗』を削っていく。正解に近付いていく。そんな力。

 須賀京太郎にオカルトはなく、運はいい意味でも悪い意味でも際立ったものではない。

 彼は、如何に正しき道に近付くかで進んできた男である。


 さて――この場には、正しき道などない。


 卓の上に最早不確定は、ほとんど存在していなかった。

 上に積まれた牌は、高俊ら三人が全て知るところである。

 まさに文明の利器と言おうか――。

 牌の背に描かれた特殊インクと、そのインクの効能を発揮させる特殊な光を放つ照明。

 あとは、それを読み取ることを可能とする特製のコンタクトレンズの力で――彼らフリーランスの雀士は、山のほぼ全てを把握しているのである。

 オカルトなどの特殊なワンアンドオンリーではない。

 誰にでも、使える技術である。この道具さえあれば。



 不確定を支配する豪運があるなら、彼らも苦労をしただろう。

 あの、池田華菜。

 山の並びを見たときに愕然とするくらい、その山は彼女の為に積まれていると錯覚するほどの牌勢を見せた。

 しかし、互いの手牌を把握している三人がかりなら封じ込める。

 技術的な限界で側面にまで完全な細工を施せなかった故に、明確に把握ができない下段と異なり、上段は完全に高俊らの手の中。

 まずそもそも、手牌が判っている時点で間違いなく振り込まない。

 更には互いの手牌を把握した的確な副露で、ツモをズラせる。

 上段に追いやってしまえば、碌に動けもせずに沈黙する。副露さえ許されないが故に、獲物がツモをズラすことは不可能だからだ。


 須賀京太郎は、不確定を支配する力が乏しい。

 一般人の平均値程度だが――麻雀プロとしては、上位ランカーとしては、無に等しい。

 その点では、池田華菜の方が余程強敵となるだろう。

 正しき道を行く技術など、この場では何の役にも立たない。

 後から答えを好きに変えられるのだから、当然である。


高俊(手牌は……)


 捨て牌:9索 {南} ①筒 {九萬} 7索 ④筒
      {1索} 四萬 {北} 6索


 須賀京太郎(北家)手牌:■■■一三萬 ⑥⑥⑦⑦⑧⑧筒 24索
 ドラ:五萬(表示牌:四萬)


 ガン牌をされていることを薄々勘づいてはいるのだろう。

 理牌せずに(便宜上並び替えたが)、その左端の牌を、左手で被っていた。

 マナー違反だが……追求したら、イカサマだなんだと騒ぎ立てるかもしれない。

 なまじ有名であるが故に、須賀京太郎がそう叫んだら厄介なことになる。


高俊(さて……)


 あれほどメディア露出も多い須賀京太郎が騒ぎ立てることで、この大会にケチが付く可能性も否めない。

 それでは困る。

 高俊たちフリーランスのランカーに依頼した大会の運営者は、何も、賞金惜しさに彼らを雇った訳ではない。

 事実、イカサマありきとは言え、最終的に勝利したのなら高俊らに賞金を支払うと言っている(口止めという意味も含まれるが)。

 その先を見た上での、投資である――と。

 この計画への参加者を集めて、主催者は言った。


高俊(そうやって隠して……大方、読み合いに持ち込みたいんだろうが)


 イカサマの構造上、配牌の下半分は見えない。

 であるが故に、須賀京太郎がその手で隠すことで……隠せる限度まで、ブラインドを作ることができる。

 あとは、それを待ちに絡めての――頭脳戦に持ち込ませる算段なのだろうが。


高俊(……)


 須賀京太郎の手牌の運びは、こうだ。


 ■■■ 三四萬 ①④⑥⑦⑧筒 469索 ツモ:7索 打9索
             ↓
 ■■■ 三四萬 ①④⑥⑦⑧筒 467索 ツモ:⑧筒 打①筒
             ↓
 ■■■ 三四萬 ④⑥⑦⑧⑧筒 467索 ツモ:⑦筒 打7索
             ↓
 ■■■ 三四萬 ④⑥⑦⑦⑧⑧筒 46索 ツモ:⑥筒 打④筒
             ↓
 ■■■ 三四萬 ⑥⑥⑦⑦⑧⑧筒 46索 ツモ:一萬 打四萬
             ↓
 ■■■ 一三萬 ⑥⑥⑦⑦⑧⑧筒 46索 ツモ:2索 打6索


 ブラインドされた部分の変化を除いて、こう運ばれていた。

 高俊は須賀京太郎ほど並外れた技術の持ち主ではないが――流石に、見えてる牌について暗記できない訳ではない。

 理牌されて居ないために、些か並べた際の兵牌を想像するのには骨が折れたが、そこは腐ってもプロだった。


 何故9索から落としたのか。

 ブラインド部分を考えなければ、まず初めは①筒でも良さそうである。

 46索のカンチャン、79索のカンチャンと①筒。どちらが上かは決まっている。

 つまりは、9索と①筒が同じ価値か、①筒の方が僅かに価値が高いか。

 それは即ち――①筒に結び付く何かがあったか、4索に既に何かがついていて9索が余ったかだ。


 その後の①筒打ちから、①筒に何かが結び付く可能性というのは除外してよい。

 更にその後の7索打ちから鑑みるに――――恐らくは何かが4索につき、そして、■4索と67索で面子を比べた。

 リャンメンを見切るというのは、役の確定か二度受け。この場合で考えるのならば二度受け拒否であろう。

 つまりは、34索と67索――5索の二度受け。


 ■■ 三四萬 ④⑥⑦⑦⑧⑧筒 4567索


 面子オーバーから、67索を見切ったのだ。



× ■■ 三四萬 ④⑥⑦⑦⑧⑧筒 4567索
○ ■■ 三四萬 ④⑥⑦⑦⑧⑧筒 3467索

すまんち
なんかガッツリ麻雀描写入れてしまって、清々しい無双(須賀だけに)を求めてた人には申し訳ない



 ■■ 三四萬 ①④⑥⑦⑧筒 3469索 ツモ:7索 打9索
             ↓
 ■■ 三四萬 ①④⑥⑦⑧筒 3467索 ツモ:⑧筒 打①筒
             ↓
 ■■ 三四萬 ④⑥⑦⑧⑧筒 3467索 ツモ:⑦筒 打7索
             ↓
 ■■ 三四萬 ④⑥⑦⑦⑧⑧筒 346索 ツモ:⑥筒 打④筒
             ↓
 ■■ 三四萬 ⑥⑥⑦⑦⑧⑧筒 346索 ツモ:一萬 打四萬
             ↓
 ■■ 一三萬 ⑥⑥⑦⑦⑧⑧筒 346索 ツモ:2索 打6索


高俊(いや、これじゃあ――おかしい)

高俊(ツモ一萬からの、打四萬があり得ない)

高俊(こっちから見えてるって判ってるのに……タンヤオと両面待ちが消える四萬を打つ必要がない)


 ■二つが頭だとした場合、須賀京太郎の打牌はあまりにも異常なものになる。

 この状況――自分の聴牌や和了が怪しいこの状況で、タンヤオ・平和を壊して打点を殺す必要はない。

 二‐五萬待ちだろうが、二萬待ちだろうが実質的に待っている牌は変わらないのだ。

 どのみち潰されるとしても、万一の和了に備えて高く広い方を選択するのが必然。

 となると、打四萬に意味がある。あるのだろう。


高俊(一三三三の形……四萬のスジ引っかけ……)

高俊(他には、二三四萬→一二三萬で切り替えて、四萬のスジと見せかけて、まるで関係ない単騎待ち)

高俊(いや、そもそもこれが順子であるとは限らない――)

高俊(あとは、ひとつが3索ではなく……2索や4索での、七対子)

高俊(……厄介な奴だ)


 須賀京太郎の思惑は、こうしてこちらを読み合いの舞台に上げることだ。

 高俊らのツモ和了封じ。

 如何に手番を飛ばせるとしても、須賀京太郎の待ちが判らなければそれは無意味となってしまう。

 推理せざるを得ないのだが――。


高俊(……仕方ない)

高俊(俺が、上側に戻って和了するか)




 高俊は、鳥地の手牌を眺め、彼が必要な部分の牌を切り出した。

 意図を図るように、鳥地真紀が高俊を眺め――逡巡ののち、牌を叩く。


真紀「チー」


 そのまま、手が進む。

 須賀京太郎は、掴んだ一萬を逡巡すらせず河に納める。

 四萬のスジ引っ掻け一萬の可能性は消えた。つまりいよいよ、予測不能な待ちとなっているということだ。


高俊「――ッ」

高俊(他に役とかはどうでもいい……とにかく、こいつがツモる前に決めないと)

高俊「リーチ!」

高俊「一発、ツモ――2000オール!」



東一局一本場~二本場
中谷高俊(東家):51500 (+1500 +6000 +供託1000)
鳥地真紀(南家):15500 (-1500 -2000)
火暴喜一(西家):15500 (-1500 -2000)
須賀京太郎(北家):17500 (+1500 -1000 -2000)



京太郎(……)


 手牌:一二三四萬 ⑥⑥⑦⑦⑧⑧筒 234索


 須賀京太郎は、静かに手牌を閉じた。


京太郎(……)


 瞳を閉じて、思い返す。

 自分を最初に鍛えてくれた――あの女性のことを。


久『いーい、須賀くん?』

久『よく、自分がやられて嫌なことは人にするなって言うけど――』

久『じゃあ、人に嫌がらせするときはどうしたらいいと思う?』

京太郎『なんですか、唐突に……』

久『いいから。ちゃんと答えて』

京太郎『……真面目な話、っぽいっすね』

京太郎『今の流れなら――自分がされたら嫌なことを人にする、ってところですか?』

久『うん、ありがとう。理想の答えよ、それ』

久『ただし――間違いって、意味でね』


 受験勉強をしているというのに、その女(ひと)は頻繁に部活に顔を出し、京太郎に声をかけた。

 受験勉強の息抜きと彼女は称していたが、誰の目にもそれだけでないのは明らかである。

 もっとも、それを指摘したところで認める筈がないので、誰も言い出さなかったが。


久『今の須賀くんの答えは、ある意味で正解なのよ』

久『基本的に人間ってのはね、誰かに嫌がらせをするときは――意識しないかぎり、自分がされたら嫌なことを選択するのよね』

京太郎『なるほど……』

久『だから、誰かに嫌がらせされたら……よく観察しなさい』

久『それが、相手にとってもされたくないことかもしれないから』

久『嫌がらせというのは、ちゃんとやるなら相手の人格に合わせてやるべきなの。やられたら、逆に利用してやっちゃいなさい!』


 須賀京太郎の基礎となる技術の他に――武器を貰った。

 思考を鈍らせ、その打ち筋を掻き乱す毒針を。

 一度刺し、二度刺し、刺せば刺すだけ相手の思考を破滅に追い込む毒針を。


京太郎『流石は嫌がらせのスペシャリストですね』

久『……なんでこの流れで、私があくまで悪女みたいな言われ方しなきゃいけないのかしら』

京太郎『いや、今自分で言ってるじゃないですか。悪魔で悪女、って……』

久『まこー、須賀くんが私を苛めるー』

まこ『……わりゃあ、アホか』


京太郎「……」


 始まる、東一局三本場。

 例によっての一鳴き。須賀京太郎のツモ番が上側に移動――晒される。

 ガン牌とオカルトは、カメラやその証拠を見られていなければ――つまり牌譜の上では、どちらにも違いは見られない。

 明らかに、高俊らの動きは不自然である。牌譜も残る。誰が見たって、何かあると思われる。

 だけれども、オカルトという存在が故に、河のすり替えなどがない限りは――彼らが特殊な打ち手なのかそうでないのかは、判別を付けがたい。


高俊(そろそろ……親番、代わり時だな)


 彼らはそれを隠れ蓑に使った。

 そして、明らかに協力しているとしか思えない動きだが――これにも、建前はある。

 須賀京太郎は明らかな上位ランカー。対する自分達は、彼と比ぶるべくもない木っ端。

 なら、強敵相手に協力して何がおかしいのか――という理論である。

 事実、ここに並んだ須賀京太郎も強敵との戦いに於いてはそれを行っている。

 だから、組んで戦うことはなんら後ろめたいことではないのだ。


 そんな、理屈はあった。

 あとは須賀京太郎を4位に追いやれば終了という運びである。


高俊(……またか)

高俊(しかも、今度は六枚)


 しかし、京太郎は先程までよりも多く――その長い指で、六牌を覆った。

 見えない恐怖に、無自覚の内に三人は震える。


 須賀京太郎:■■■■■■八萬 ②⑤筒 178索 北
 ドラ:6索(表示牌:【5】索)



高俊(……チャンタ系か?)

高俊(今の選択は……流石はプロだな。まあ、それ以上は動けないが)


 打:北といかなかったが故の、その後の須賀京太郎の自風牌――北の暗刻化。

 これは流石と言うべきか、ツイてると言うべきか……。

 チャンタ系に寄せるべきと判断したのが正しかったのか、それとも偶々、結果としてそこを引いたのか。

 なんとも言いようがないが……。


 須賀京太郎:■■■■■■八萬 178索 北北北


 とにかく、自風を彼に持たれてしまったというのは大きい。

 これで副露可能になってしまったのだ。副露部分を止めようにも、ああも隠されていては止めようがない。

 それよりも、困ったことがある。


 端の三牌を握る――――というのはまだ理解されるであろうが、六枚というのはよろしくない。

 明らかに須賀京太郎が、手牌を覗くなと宣言しているも同じである。

 技術が主体の堅実な打ち手とされる須賀京太郎のそんなアピール。

 これは、よろしくなかった。

 池田華菜が焼き鳥で終わったことのように、話はどこからか容易く漏れていく。

 京太郎の態度が噂されたら――。


高俊(普通は、左手で牌を隠すのはマナー違反になる)

高俊(指摘すれば止められるだろうが……そのとき、こいつはどうする?)


高俊(いや……そもそも、六牌全てが有効になるなんて都合のいい話があるわけない)

高俊(だから、待ってれば減るだろう)


 確かに――事実、最終的には以下のような運びに変わる。


 須賀京太郎:■■■■■■八萬 178索 北北北  ツモ:⑧筒 打:八萬
             ↓
 須賀京太郎:■■■■■■⑧筒 178索 北北北  ツモ:八萬 打:1索
             ↓
 須賀京太郎:■■■■■■八萬 ⑧筒 78索 北北北 ツモ:八萬 打:⑧筒
             ↓
 須賀京太郎:■■■■■■八八萬 78索 北北北   ツモ:⑧筒 打:【5索】
             ↓
 須賀京太郎:■■■■■八八萬 ⑧筒 78索 北北北  ツモ:⑧筒 打:9索
             ↓
 須賀京太郎:■■■■八八萬 ⑧⑧⑧筒 8索 北北北  ツモ:⑧筒 打:7索


 明らかに――異様な光景だった。

ミスった。正しくは以下で


 須賀京太郎:■■■■■■八萬 178索 北北北  ツモ:⑧筒 打:八萬
             ↓
 須賀京太郎:■■■■■■⑧筒 178索 北北北  ツモ:八萬 打:1索
             ↓
 須賀京太郎:■■■■■■八萬 ⑧筒 78索 北北北 ツモ:八萬 打:⑧筒
             ↓
 須賀京太郎:■■■■■■八八萬 78索 北北北   ツモ:⑧筒 打:5索
             ↓
 須賀京太郎:■■■■■八八萬 ⑧筒 78索 北北北  ツモ:⑧筒 打:9索
             ↓
 須賀京太郎:■■■■八八萬 ⑧⑧⑧筒 8索 北北北  ツモ:⑧筒 打:7索



 捨て牌:⑤筒 ②筒 {【⑤筒】} 八萬 1索 ⑧筒
     5索 9索 7索


 捨てた牌が戻ってくる――そう言わんばかりに、或いはそれを確信せんがばかりに張り直す須賀京太郎の手。

 ガン牌として予め分かっていたから驚きはない――いや、だからこそ驚いていた。

 須賀京太郎が、その牌を落とした時には内心ほくそ笑んだ。その後の彼の、無駄ヅモが確定したからだ。

 だが、須賀京太郎は恰も――――自分が捨てた牌をいずれ引き戻すと言わんばかりに、打つ。

 そして、牌を兵牌に入れた。当然そうするまでが一連の流れと言わぬばかりに。


高俊(まさか……こいつ自身、持ってるのか……!?)


 オカルトスレイヤー、須賀京太郎。

 彼は、技術のみを突き詰めた男だと言われる。技術のみで、様々な特性やオカルト相手に立ち回る。

 そんな彼が、実は、能力を持っていたのだろうか。

 それともまさか、漫画のように目覚めたのか。この土壇場において。


 ……そもそも。

 オカルトは目覚めたり目覚めなかったりするものなのか、高俊らは知らない。

 オカルトなんてのは、あくまでも公には語られない公然の秘密。

 “オカルト”という呼び方だって、誰かがそう呼べと言った訳ではないし、皆が公に呼ぶ訳ではない。

 ただ、そこにある。麻雀には、単なる確率以上のものが存在しているというだけ。


 ――それよりも。

 須賀京太郎がそんな、恐ろしい特性持ちだとして――。

 この男の、明かされていない部分次第では、恐ろしい役が飛び出すかもしれない。

 そのことの方が、一番恐ろしい。


高俊「お、おい――」


 高俊の、マナー違反を訴える言葉に須賀京太郎は左手を動かした――一番端へと。

 明かされるその手牌に、思わず高俊らは凍り付いた。

 待ちの正体が不明の、四暗刻単騎待ち――――まさか、そんなオカルトが有り得るのか。

 背中が覗けない、最後の一牌。突き付けられた致死級の毒針。


 須賀京太郎:■ 八八八萬 ⑧⑧⑧筒 888索 北北北


高俊(ま、待ちは……!?)


 凍り付いた表情の彼らを他所に、京太郎は左手に握った牌を滑らかなる動作で己の兵牌に沈めた。

 高俊らが、目を見張る。その間に行われるツモ動作。

 理牌されていない、須賀京太郎の手牌。

 目が滑る。待ちが咄嗟に判別できず、彼がツモるその牌が、その和了牌なのかが判らない。


 須賀京太郎手牌:八萬 北 8索 北 ⑧筒 北 ⑧筒 8索 北 八萬 八萬 ⑧筒 8索


 果たして――須賀京太郎が掴んだのは、⑤筒。


高俊(――――っ、ハハ)

高俊(そう簡単にはツモれない……!)

高俊(これで、須賀京太郎(コイツ)の待ちは判った――全部明らかになった)

高俊(絶対に振り込みようがない)

高俊(その⑤筒じゃ和了できない……妙なオカルトがあるかもしれないが……もう、引きようがない……!)

高俊(あと、どんな風に待ちを変えても潰して――――)


 鷹の目とも言えるほどの、鋭い視線/鋭い死線。

 須賀京太郎は、高俊らの目の動きを捉え――――そして、言った。


京太郎「――カン」


京太郎(――――)


 別に須賀京太郎は、唐突にオカルトに目覚めた訳ではない。

 オカルトスレイヤーは、人間でなければならない――――と、須賀京太郎は考える。

 麻雀において、特別な能力を持たぬ、オカルトを持たぬ常人である自分でなければ意味がない。

 人の身で、魔物に並ぶからこそ意味がある。

 人の身を捨てて、彼女たちに勝利しても意味がないのだ。人間である自分が彼女たちに相対するからこそ意味がある。


 ならば、これがオカルトではないのならば、何故京太郎はあのような打ち回しをしたのか。

 あのような奇妙な引きが可能となったのか。


京太郎(……たかが、136牌。表以外の5面なら680パターン)

京太郎(そんなの、1局あれば足りる)


 相手の手牌からの類推や、不自然な切り出しからの待ちの変化による推測。

 それ以外は、明らかになっていた山が崩されるその瞬間に見えた牌を記憶。

 今までの膨大な量の牌譜の記憶。打ち筋の記憶。映像の記憶。言動の記憶。

 ガン牌などというのは、それに比べれば、些事でしかない。

 いや、些事と言うのも愚かしい。ともすれば呼吸よりも容易いのだ。


 そう。その答えは……。

 その答えは、同じ京太郎もガン牌を行ったから――――。


京太郎(けどな、使わねーよ。誰が“イカサマ(そんなもん)”に頼るかよ)


 ――――である筈が、“ない”。



 自身の親友である国広一に対する侮辱となる。であるが故に、須賀京太郎はイカサマを行わない。

 それが一番の理由だけど――ただ、それだけではない。

 玄人風情ではなく、麻雀プロが。

 場末の雀荘ならいざ知らず、今この場で。

 特に何より――――オカルトを隠れ蓑にして、オカルトに擬態するようなイカサマを行った。

 そのことが、何よりも許せない。


 オカルトというのは、須賀京太郎の天敵であり仇敵である。同じくオカルトにとっても、須賀京太郎は天敵であり仇敵となり得る存在だ。

 だから、誇大な表現をするなら、オカルト能力者というのと須賀京太郎は永遠の敵対関係にある。

 だけれども、京太郎は、彼女らのことが大好きだった。

 麻雀での圧倒的な強さにばかり着目されて、オカルトは天然のイカサマ使いだとか、卑怯だという話は聞く。

 それはまあ、確かにそう思う。ある意味ではそう思っている。


 だけれども――――京太郎は、彼女らがプラスばかりを得ていないことを知っている。

 強大な力は何かを引き寄せるという。或いは、何かを対価に強大な力を得るとも。

 現に京太郎は知っていた。

 オカルトを身に宿した運命が故か、大切なものを失ってしまった存在を。
 或いは、自身の生命の危機を引き換えに、その力を得たものを知っている。


 別に、だから不幸で可哀想で守らなきゃいけないなんて差別をするつもりはない。

 不幸だから偉いんです、強くても仕方ないんですなどと嘯くつもりも毛頭ない。

 ただ、碌に対価も払わずに同じことを行おうという根性が気に食わない。

 イカサマなんて、安易で、楽な技術に頼って、オカルトと渡り合おうという根性が気に食わない。

 そりゃあ確かに、習得にはある程度の努力や修練が必要だろうが――


京太郎(そんなもん、やって当然だろ……!)


 そんなの、対価にもならない。

 払って当然のものを払った程度で、デカイ面をするんじゃないと、言いたかった。


 それを、仮にもその道のトップである麻雀プロが行うというのが、何よりも許せない。

 特異な才能を伸ばすもの。あるいは技術を研くもの。地道に石を積み重ねるもの。

 様々な人間が、プロとなっているし……或いはプロになろうと、そのような研鑽を行っている。

 それの前で、「イカサマの方が公平で楽なので使います」と――――そんなことを行えてしまうことが、許せない。


京太郎(……)


 ましてや、コイツらの動きを見るに――この技術を、自分達で会得したのかさえ怪しかった。

 まあ、別になんでも構わないが……。

 オカルトの代わりとしてイカサマを用いるのなら、ならば自分はそれを読み説き打ち破る――だけだ。

 鳥の翼のように。蜘蛛の脚のように。予め持って生まれたに等しいオカルトならば――兎も角として。

 急場凌ぎの後付けでは、相手とするには容易す過ぎた。


京太郎(……“視えた”のは本当だ)

京太郎(ただ……)

京太郎(俺が牌を視たんじゃなくて――――俺は、牌を視たお前らを視ただけ、だけどな)


 須賀京太郎が行ったのは、生理的ストレスを与え、心理的ショックを与えること。

 あとは物理的に――彼らを観察して、そして、その視線の動きや無意識的な動きから類推するだけ。

 何の備えもなしに、ゾーンに入れば行える清水谷竜華と異なり、様々な仕掛けや誘導が必要であるが――。


 一先ずは。


京太郎「――嶺上開花、ツモ」

詳しい解説というか説明というか理由付けのサムシングは明日に
流石に一局云々は格好つけお得意の強がりですのでまあ悪しからず

寝ます故、おやすみー

オカってのは、

最初に25000点×4=10万点配って
回収は30000点×4=12万点なんだけど
じゃあその2万点どこいったの?→1位にくれてやる

って奴やなー

ちなみにウマってのは、順位ウマやサシウマやビンタってあるんだけど、一番一般的な順位ウマで
ワン・スリーなら、1位に30000点をプラス、2位に10000点をプラス、3位に10000点をマイナス、4位に30000点をマイナスってシステムやね


だから

1位32000点
2位28000点
3位22000点
4位18000点

ってゲームで30000点返しなら最終的には……

1位は+52000点
2位は+8000点
3位は-18000点
4位は-42000点

となりますねー

オカ=1位になるとお得
ウマ=(一般的な順位ウマなら)最下位ほど悲惨


でオッケー

ヒッサの麻雀教室の毒抜き版を小走先輩とやりたいね

今日はちょっとお酒を飲んで野獣先輩にお持ち帰られるのでありませんー

>>324(点数ミス)
東一局一本場~二本場
中谷高俊(東家):52100 (+1500 +6600 +供託1000)
鳥地真紀(南家):15300 (-1500 -2200)
火暴喜一(西家):15300 (-1500 -2200)
須賀京太郎(北家):17300 (+1500 -1000 -2200)

そういや明日誕生日だったっけ

一応、アンケートというかあれそれ


①他の誕生日ネタ同様本編に組み込まれるお話
②過去とか回想したらいいんじゃないですかね
③完全なるイフ(もしも憧が選択肢ミスらなかったらとか高校の彼女が○○だったらとか○○ENDを迎えたらとか)


夕方かどっか判らんけど、開始はおいおいー

3多すぎィ

じゃあ、IFということで、後でまた(オカスレのあとに)安価とって書きます
ただ、忘れてはならないでほしいのがこのスレはきわめて健全なコメディ時々シリアススレだということっすよ、ええ
それを目的に読んでくれてる人のためにもね……こう、本番無理、ラブコメの域を超えたハーレム無理、明確な鬱ものやガチ暴力描写は無理だから
そこらへん留意してくださいね。ええ


で、飯ば食ってくるんで一時間~一時間半後あたりからはじめます

IFについては適当に選択肢用意して当てはめとかなんかそんなん考えてるけど(もし○○が彼女だったら。○○に好きな伽羅を)
一応自由安価も用意するんで、まあ
安価を範囲で飛ばして、いけそうなネタを拾う感じでいきたいと思います

>(もし○○が彼女だったら。○○に好きな伽羅を)
好きな伽羅:頚動脈が切れたフリをする伽羅さん

つまり……

もし頚動脈が切れたフリをする伽羅さんが彼女だったら

あのさぁ……

それじゃあ、オカスレの続きいこうかねー
安価は終わってからやるゆえー


京太郎「……よかったな」


 須賀京太郎は正しき道を進むことはできても、不確定を支配できない――と先程述べたが。

 ならばそれが、確定されてしまったらどうなるか。

 そうなったら、そこは、ただの読み合いだ。運の女神が人間に変わってしまった読み合いだ。

 ただの人間の身で、魔物と、神と殴り合いに及ぶ男を相手にして――勝てる道理がある筈がない。

 須賀京太郎は、プロでありながら、その立場とは不適当なほどに運がない。

 小走やえのように戦闘理論として利用できる不運でもなければ、宮永照のごとき総てを凌駕し屠り去る幸運もない。

 ただの人間の、それも、凡人の域を出ない運しかない。


京太郎「ダブルが――なくて」


 しかし――それでも、彼は“13位”。

 南場に突入し、三重の南の風を身に纏い辻垣内智葉を上回るほどの最高速度を体現する――南浦数絵の15位を上回る13位。

 ただ技術のみを磨きあげて突き詰めた果てに、人類としての最高峰の頂きに上り詰めた一人の男。

 そんな彼から――不確定という要素を取り除いたらどうなるか。

 観測されないが故の不確定を、観察して確定させてしまったらどうなるか。


 その結果が、これだ。

 池田華菜が神算鬼謀と称したように、須賀京太郎は神を屠り鬼を下す為のたったひとつの武器を持つ。己に振り向かない運の女神に触れる為の唯一の器物。

 即ち、頭脳。

 人間が人間としてあるための器官を、獣が人と化生するために磨き続けてきた器物を、化け物を刺し貫き穿つ武器として振るう存在。

 それが――須賀京太郎であった。


京太郎「8000・16000は、8300の16300だ」


 全員の顔が蒼白に変わった。

 これまでのすべての仕掛けや仕組みの天秤をフイにして、無に戻す一撃。

 圧倒的な殺傷能力を秘めた、致死にして必滅の一刺。

 獣が如く冴え渡る理論を、人としての理性で制御した魂の一閃。


 これが――――オカルトスレイヤー。

 理不尽な理論を打ち崩すために、その身の総てを獣に変える人間。

 牌に愛された女性たちと、牌に愛されなくとも振り向かれなくとも、牌以上に寄り添おうと希う一人の男である。



東一局三本場
中谷高俊(東家):35800 (-16300)
鳥地真紀(南家):7000 (-8300)
火暴喜一(西家):7000 (-8300)
須賀京太郎(北家):50200 (+32900)



京太郎(心は熱くしても……頭脳と手先は冷静に、だったよな)

京太郎(覚えてますよ――ああ、ちゃんと覚えてます)

京太郎(一さん……あなたから貰ったものは、ちゃんとここにある……!)


 今回、須賀京太郎が行ったことは三つほど。


 四萬を切っていなければ和了が確定し、さらにはその後一萬にてツモ和了しているのも関わらず、宣言しなかった理由。

 まず一つは、確かめるため。

 相手がガン牌をしているとして――一体、その視野はどこまで及んでいるのかを確認する必要があった。

 それまで京太郎のツモを上側にズラしている以上、彼らのガン付けは上側で行われているのが基本であるというのはもはや自明の理であったが……。

 下側にも、同様の細工が行われていることは十分にありえた。

 事実京太郎から見て、いささか不可解な切り出しを行っていたのだから……下側も上側と同様に、すべて見えている可能性があったのだ。

 しかし結果は、相手は本来のツモに帰還――京太郎の聴牌を崩すために、上側のツモを自分で引くことを選んだ。

 つまりは、下側の牌については京太郎の和了を止めるだけの役割を果たせない――それほど正確に見える訳ではないということ。



久『知ってる、須賀君?』

久『あそこにいる雀蜂の毒って言うのは、一度目に刺される事よりも……二度目の方が危ないのよ』

久『アナフィラキシーショックって言って……身体が、一度、雀蜂の毒を受けて――その毒で殺されないように抗体を作る』

久『この、抗体の過剰反応が――死なないために身体が作り出した抗体の過剰反応が、逆に人間の命を奪うの』

久『なんとも皮肉よねー』

久『……あ、だからあの巣を無理に取ろうとしなくていいわよ? 普通に、先生たちに言って業者さんに頼むから』



 あそこで単純に和了をしてしまっていたのならば……。

 高目で点数を引き戻せることができたであろう。

 勿論その後、役満を和了できるなどと決まっていた訳ではないので、こちらの方が堅実な手段であった。

 そう。

 ただ単に、点数を取り替えそう――という意味ならば。

 取り返して、後は放銃を避け続けて逃げ切ろうというのであれば。


京太郎(……その一刺しは致命傷でなくてもいい)

京太郎(行動はそのとき意味がない風に見えても、布石になるのだから)

京太郎(相手の心を惑わせるためには……)

京太郎(最終的にその思考に止めを刺す『毒』には、いくつもの仕掛けが必要だ――――ですよね、部長)


 あそこは、和了してはならなかったのだ。

 和了したら相手に、その待ちに対する予想が間違いであれ正解であれ――答えを与えてしまう。

 そこで正解していたのならば相手はより勢いづくし、間違えていたのならば余計な警戒を抱かせてしまう。

 謎のまま伏せるからこそ、相手の思考に攻撃が食い込む。その印象が身に刻まれる。

 そして、一発ツモを決めようが何しようが、『得体の知れない須賀京太郎から逃げるために和了した』という、負い目を与えることができるのだ。

 単純な点数如何よりも、こちらの方がよほど得るものが多い。

 勿論――これ単体では、まさしく毒にも薬にもならない布石でしかないが。



一『マジック? いや、別にいいけど……僕はスパルタだよ?』

一『マジックの秘訣は……そうだね。多分、“滑らかさ”だ』

一『滑らかさってのは、速さと正確さのことかな。精密さって言ってもいいけどね……スタープラチナみたいに』

一『単純に早くても、そこに精密さが伴ってなければただのスピードでしかない。』

一『そうそう。じゃあ、まずは身近な練習から』

一『まずはペン回し。ペンを、時計回りでも半時計回りでも変わらない速度で回すこと。勿論、落としちゃだめだし最初は遅くても駄目だ』

一『これができたら、次は消しゴムを回して』

一『その次はコイン。次はカード……クレジットカードみたいな固いやつがいい』

一『じゃあ、これを次にあうときまでにやってくること。君の努力しだいで、ボクもマジックを教えるかどうか決めるから』


一『そう? じゃあ、見せて』

一『うーん……まあ、合格って言ってもいいかな? あんまり手先は器用でもないけど、要領の良さと熱心さは認める』

一『じゃあ、次は火のついたタバコを回してみようか』

一『……』

一『……タバコ持ってる?』

一『……』

一『い、いやだな。冗談だってば! 冗談! これは緊張をほぐそうとしてただけだから!』

一『……それに、ボクはスパルタって言ったし』

一『……』

一『……はぁ』

一『うん、今のは何もない。何もないからマジックの基本原理について説明しようか。いいよね?』

一『いいよね?』


 そして、本当の意味はまた別に存在する――。

 牌を隠すということ。

 牌を隠されていると、面倒であるということ。

 隠されていた牌が待ちに関連しているということ。

 その意識を相手に刻み込むことにあったのだ。それこそがまた仕掛けであった。


京太郎(マジックの基本にして真理は、“意識を操ること”)

京太郎(視線を誘導するのも、相手に疑問を抱かせるのも――――いや、マジックそのものがそうだ)

京太郎(人に笑いを与える。楽しさを与える。そんな風に、幸せという意識に向けてやる)

京太郎(それが……マジックの意味。マジックの力)


 京太郎が牌を隠すことで相手の意識はそこに集中する。相手の警戒すべき最上位に、それが位置する。

 人というのは得てしてそうであるが――。

 一つのことに集中してしまっている場合、どうしてもそれ以外がおろそかになってしまう。

 これは、鍛えに鍛え上げたトップアスリートでも変わらない。

 常人より、遥かに視野が広いだろう。並列並行してさまざまなことを考えられているだろう。周囲のいかほどにも注意を払えるだろう。

 だけれども。いくら百戦錬磨と言えども。

 たとえばストライカーは、確実にシュートを打つと決めたその状況では、ゴールに集中する。

 それまでどれほど意識を外に払って、多数に分散集中させて俯瞰していたとしても、どうしても集中する瞬間が訪れてしまう。

 これは人間である限り、勝負である限り変わらない。どこまで鍛えても消せない、性だ。


京太郎(……だから、ごめんなさい。一さん)

京太郎(俺はあなたから教えられたことを――――誰かを笑顔にすること以外に使ってしまった)


 あのときのブラインドに対して、彼らは注意をやっていた。

 それまで極力表情に出さぬように――あるいは、気取られぬように注意していた動作を怠った。

 須賀京太郎に恐怖した。須賀京太郎の思考誘導に乗った。

 牌を隠蔽されることが、もっとも面倒なことであると――京太郎はそう思わせた。それが恐ろしいことだと。


 確かに、ブラインドし続ければ相手に和了を飛ばされずにツモ和了できるかもしれない。

 だが、ガン牌に対して手を隠すことなどはあまりにも有り触れた回答。

 彼らがそれをマナー違反であると指摘したらそこで終わり、そして、ガン牌に対する唯一の回答を失った――と相手に思わせてしまって、調子付かせてしまう。

 それはやってはならない。勝ち目を作らせてはならない。わずかでも相手に優越感を与えてはならない。



一『まあ、マジックを学ぼうって発想はいいんじゃないかな?』

一『須賀くんが教わってるのって、ボクが当たったあの人でしょ?』

一『だったら多分――こういう、思考誘導ってのはピッタリだ。きっとスタイルに合ってるよ』

一『別に卑怯じゃないよ? 戦いなんだから、こういう心理戦なんて初歩の初歩でしょ』

一『だから、気にしなくていいよ? これを麻雀に生かしたって……別に、ボクが教えたことをイカサマに使ったわけじゃないんだからさ』

一『ほらほら、それよりも集中集中』


 後は相手から零れ落ちた、その僅かな動作から心理を拾う。

 京太郎が打とうとした牌でほくそ笑む相手から――。

 それを切ってしまったら、後に無駄ヅモをする――――つまりは京太郎がいずれそこを引く、ということを考える。

 そうして、対子を集める。刻子を作る。手の内に牌を重ねていく。

 あの日のように、彼女のように。


 理牌をしないのは相手の思考に余計な計算を加えさせるため。

 そして何よりも、あの一瞬で嶺上開花を決めるために必要な仕込みだった。


 理牌しないことで、牌を隠蔽させた。木を隠すならまさに森というが――。


 須賀京太郎手牌:八萬 北 8索 北 ⑧筒 北 ⑧筒 8索 北 八萬 八萬 ⑧筒 8索


 ここには、北が四枚ある。そのことに気づかせるのを一瞬遅らさせたのだ。


 須賀京太郎の一番端に隠してある牌は――それ以前のブラインドを布石として――そこが和了となる待ちだと思わせた。

 当然彼らは、この四暗刻単騎待ちの頭が何かということだけに注目する。

 単騎待ちである――つまり一牌であるという先入観から、視線を広いものではなく狭いものに変える。

 これが多面待ちならば、彼らは全体を把握しようとして京太郎の仕込みに気づいたかもしれないが……。

 それ以前の仕込により、また、京太郎への恐怖やその驚異的な役により視野が狭まった彼らは――“次に京太郎が和了すること”だけが心配となった。

 だから、注目して探した。

 一から鍛えられた手先の器用さで、明らかとなっている牌の中に流れるように収められた『明らかでない一牌』を集中して探した。

 京太郎の待ちがどこであるか、次に引くことになる牌が、彼らのもっとも懸念することであったから。


 そして、違和感に気がつく前にツモ引いた⑤筒。

 それが須賀京太郎の手の内にはないことで、彼らは安心した。そして、安堵したが故に無意識にどこにあるのかを探ってしまった。

 既に河に二枚打たれて、残り一枚となった⑤筒が――嶺上牌であることを改めて確認したのだ。

 その安堵の溜息を漏らした瞬間に、京太郎は発声する。毒針を――破邪を意味する獣の滅槍を突き入れた。


 人間は、呼吸を吸う瞬間が一番無防備であるから仕掛けるならそこだ。

 というのは、師匠である国広一の言葉である。

 結果として彼らは……ただ役満を和了される以上に、心理的な衝撃を受けた。心を揺さぶられた。その精神に毒液を注ぎ込まれた。


京太郎(だけど……俺はこいつらが許せない)

京太郎(日本代表として、世界で戦うことになった咲の足を引っ張るこいつらが……)

京太郎(心底、許せないんだ……!)


 ――チキ、チキ、チキ。


 目を閉じる。

 あの――気弱で、引っ込み思案で、控えめな幼馴染が。

 そんな少女が……宮永咲が……日本の代表として世界で戦っているのに……。

 日本で――日本の大会で、こんなことが行われているだなんてことは、少なからず日本代表である咲にとってマイナスになるであろう。

 京太郎の記憶力を持っても、暗記が容易でないほどの新品の牌。

 それを、対戦者が完全に暗記する――それも三人も――なんてのは、もう、大会側が手を貸していると予想しても、間違いではないだろう。

 この時期に……。

 こんな、注目を集める大会で……。


京太郎(ここまでやられちまったら……もう、殺らなきゃならねえ……!)


 何の企みがあるかは知らない。

 おそらくは大会の主催者側は……この後の国民麻雀大会に対しての何らかの意図を含めていたり、するのであろうが。

 そんなことはどうでもいい。

 そんな利権や思惑などはどうでもいい。

 思うのは、世界に旅立つこととなった幼馴染のことだけだ。



咲『それじゃあ京ちゃん……行ってくるね』

京太郎『おう。ま、こっちのことは任せろって。ちょっと旅行に行ってくるーなんて気分で行けばいいんじゃねーの?』

咲『……うん』

京太郎『……』

咲『……』

京太郎『おっ、さては俺と離れることが引っかかってるんだな?』

咲『へっ!?』

京太郎『お前ってば、方向音痴だもんなー。そりゃ、外国なんて行こうとしたら火星まで行くんじゃないかって不安にもなるか』

京太郎『ごめんな? いやー、悪い悪い。気付かなくってさ』

咲『うるさいよ、ばか! ばか京ちゃん!』

京太郎『いやー、だって事実だろ?』

京太郎『お前がどうしてもーって言うなら、俺がついてってやってもいいけどなぁ』


咲『……むっ』

咲『いらないよ、そんなの』

京太郎『へー』

咲『いらないから』

京太郎『ふーん』

咲『いらない』

京太郎『ほー』

咲『なに、そのしたり顔……』

京太郎『いやー、別に?』

咲『……』

京太郎『……』

咲『……うん』

咲『決めた! 絶対に全員倒して、迷わずに京ちゃんのとこに行くから!』

咲『帰ってきたら、真っ先に京ちゃんのことを爆破させてあげるからね?』

京太郎『……ネットでのスラング的な名前、自分で使っちゃいますか』

京太郎『せめてミンチは勘弁してくれない?』

咲『駄目ですよー、だ』





京太郎(……ああ)


 そんな咲の手は、震えていた。

 そのことを京太郎に悟らせまいと笑った。

 思い返すだけで心が震え電撃が奔り――――そしてそれは、闘争本能へと変化する。


京太郎(プロになっても、照さんと比べられて……ちゃんと名前で呼ばれることすらも稀で……)

京太郎(そんなアイツが……引っ込み思案なアイツが……)

京太郎(世界なんて大舞台で戦うことになったことを……! そんな舞台に立てたことを……!)

京太郎(絶対に、邪魔させない!)


 ――感応能力が高い人間は、時として麻雀において“何か”を見るというが。

 このとき、この卓の人間は幻視した。

 なんの能力も持たず、さらにはオカルトに対する察知能力さえない須賀京太郎ですら、幻視した。

 己の両腕に番えられた――一対の毒針を。


京太郎(お前らは麻雀を侮辱した……)

京太郎(この国の麻雀を背負って戦う咲を侮辱した……)

京太郎(ここで――俺が……ッ! 全員まとめて、何もかも――)


 ――ゴッ。


京太郎(――――倒すッ!)



BGM:http://www.youtube.com/watch?v=Z8H0g3Au2k0


 須賀京太郎がかつて宮永咲と、江口セーラと、大星淡と争ったタイトル。

 元来のプロ麻雀での鳳凰を捩ってそれは――“蜂王(ほうおう)”と呼ばれた。

 大いなる麻雀におけるタイトルホルダー――蜂王、須賀京太郎プロ六段。


 須賀京太郎が仕掛けた毒は、まず先に対戦者の“協力”という役割を致死させる。

 四位になることが、この本戦においてはどれほど致命的であるか。

 もう、協力だのなんだのとは語れない。いかにして自分が目の前の大雀蜂に殺されないか、そこだけに集中する。

 互いの手を必要以上に伺うその目線は、彼らの手牌を晒す。翻って、山の姿を晒す。

 須賀京太郎には見えてしまった。自分が何を引くのか、彼らが何を引くのか。

 あとそうなれば――その組み合わせから、如何に読み合うかという一点に帰結する。


 ここで誰はどのような対応をするか。

 それに対してどうしたらいいか。

 あるいは相手がそれを読んだときにどう立ち回るべきか。

 そうなったら――。そうなったら――。


 そこから先はただ純然たる思考力の勝負だった。

 運という要素がない、相手との謀りあい。いかにして思考の裏を掻くか。その真を読み取るか。

 普段、運という不確定要素を背負ったままでも、読みあいに興じ――さらにはそれにて他者を貫くこともある須賀京太郎。

 残る三人が、対抗しうる筈がなかった。


 ……だが。


京太郎「――ポン」


 既に手の内にに三枚揃っている牌を、あえて副露。

 勿論、嶺上牌は京太郎の有効牌ではない。そして、ここで鳴いてズラしたところで誰が不利にも有利にもならない。

 だからこそ打たれた牌を、明刻子にて晒す京太郎。


京太郎「カン」


 次順、手の内の残る一枚を加槓。

 その際、勢いよく牌を叩き付けて――――そして、割った。


京太郎「おっと……これ、チョンボか」


 雀荘などで強打が疎まれる理由として、マナーが悪いなどの理由があるが……。

 もっとも強いのは、牌の消耗が早まるから。

 実際に、強く打ち続けていたら、牌が割れてしまうという事例は現実として起こりうるのだ。

 ここで京太郎は、副露した刻子を卓の角に置いてエネルギーの逃げ場をなくし、そして手に収めた牌の角を勢いよく叩き付けることで、その消耗を早めた。

 砕ける牌に、残る三人の顔が呆然となり、動きが止まる。


京太郎「……こりゃ、牌を交換する必要があるかもなー」


 そして、三人を睨み付ける。

 これは「清聴しろ」という最後通牒だった。巣に近付く生物に対してスズメバチが歯を打ち鳴らすのと、同等の警告であった。

 壊れた牌の交換に、一時的に卓は止まるだろう。

 その間に、ガン牌の仕込を解除しろ――そう伝えたのだ。


 それがあると厄介であるからではない。

 それがあると、もはや麻雀としての勝負が成り立たないからだ。

 彼らに公正なる勝ち目が用意されるとしたら、イカサマをやめて、何もない状態で須賀京太郎と打つしかない。

 そうしろと――京太郎は、最後に告げた。


 ◇ ◆ ◇


 京太郎たちの卓が止まったのは、他の卓からも見て取れた。

 それを眺めつつ――弘世菫は嘆息する。


菫(……どんな力でやったらそうなるんだ?)


 いや、握力が90キロを超えているという話だし、なるほど、やろうとすれば砕けるかもしれない。

 自分も砕いてみるかな――と、手の内で牌を弄びつつ、小さく笑いを零す。

 重要なのはそこではない。そんなの、判りきっていた。


菫(須賀が……京太郎は、麻雀好きだ。あいつは麻雀に惚れてる)

菫(もともと几帳面で丁寧な奴であるし、ものも――動物なんかも――大切に扱う)

菫(そんなアイツがあんなことをやるだなんてな……)


 先ほど眺めたそのときに、ただ事でないほど怒っているのを見て取った。

 あれに並ぶのは、新子憧が絡まれた――それをムエタイで撃退した――というときだろうか。

 「まあ、結果としては問題なかったんで……俺がいてよかったです」と笑っていたから、今の怒りはそれ以上かもしれない。


 菫のいる卓で行われていることが、あちらの卓でも行われているのだろう。

 そして、彼が怒りを露にしたのは自分に対して卑怯な手を使われたから――ではない。

 M.A.R.S.ランキング15位より上の――上位ランカーと称される――プロに対しては、イカサマは通用しない。

 鍛え抜かれた観察眼によって、あるいはそのオカルトの副次的な特性によって、イカサマというものを察知する。

 仮にも13位である京太郎が、たかがイカサマ程度にどうにかされるとは思いがたいので……。


菫(……宮永絡みか)


 須賀京太郎がああも感情的になるとしたら、後ろに誰かがいるとき。

 自分一人のことではなく、誰かのためにこそ怒りを露にするのが須賀京太郎である。

 この場合は――世界に旅立った宮永咲。

 彼の交友関係から、そして状況から判断するにはそれしかいない。


菫(こちらの卓にも、あちらの卓にも……おそらくはもっとほかにも、この手の輩は紛れ込んでる)

菫(予選からしてランカー同士の対戦が発生しないあたり、大会が仕組んでいると見ていいだろう)

菫(狙いは……そうだな)

菫(この大会で上位ランカー以外が上位ランカーを倒すという劇的な形)

菫(多分、このあたりだ)

菫(それを主軸に売り出しをかけていって業界に新たに食い込むのか……それとも、何らかの取り決めがあって……)

菫(この成績を元に、国麻の進出に駆けるのか……あるいはその両方か)

菫(何かの利権を後ろに乗せて……動き出そうとしている、といったところか)


 顎に手を当てて、考える。

 元々賞金の額の多さの割りに――テレビ中継がほとんど行われないということに、違和感を抱いていた。

 そうしてスポンサーを集めなければ、賞金の元手が帰ってこない。

 まさか企業が――麻雀が好きすぎて、とにかく金を出したいというなんてことはありえないだろう。社長が龍門渕透華ならともかく。


菫(……それが表沙汰になれば、世界からは日本の麻雀界が非難されるだろうな)

菫(あるいは、外資系がこのスポンサーであるため……それが目的かもしれんが)

菫(この時期に何らかのスキャンダルが起これば……それは、宮永の不利益になる。だから、須賀はああして怒った)


 きな臭いとは思っていたが、まさかここまでとは。

 菫としては――こんな大会に関わっていたというのが、後に何か不幸を呼び寄せはしないかと、もう敗退するつもりでいたのだが……。

 可愛い後輩が怒ったこと。そして、決意したということがあってはそうも言ってられない。


菫(つまりは……このイカサマ持ちどもを全員蹴散らして我々が勝ちあがってしまえば、少なくとも主催者側の目的のどこかは削がれるということだな)

菫(……)

菫(なら――いいだろう。付き合ってやるよ、お前に)


菫「……悪いな。気が変わった」


 さて、そのあとはどうしたものか。

 今度は買ったのもイカサマだなんだと騒ぎ立てられたら、それこそ手に負えない。

 理想としては、賞金をすべて辞退し、同時にここで行われていたことを――何らかの形で記録に残すこと。潔白を証明すること。

 まあ、そのあたりについては辻垣内智葉と協力して当たるしかないだろう。

 変に誤魔化そうとするよりは、さっさと明かしたほうがいいとは思わなくもないが……。


 ……とにかく今は、それはいい。

 あるいは勝ち上がって、奴らの手駒を国民麻雀大会に出さないだけで、これ以上ないほどの打撃を与えられるかもしれない。

 そのあたりは、考えても仕方がないことだろう。


 ――とにかく、今は。


 この、卑怯な手を使って麻雀を侮辱した輩に鉄槌を与えるほかあるまい。

 気持ちが変われば運が変わる――などというつもりはないが、これまで十分に見させて貰った。

 それに、こういう長距離――つまりは点数が離れている場合の方が、射抜くのには向いていた。自分の特性からして。


菫「可愛い後輩の為だ――お前らを、射抜かせてもらうぞ」


 弘世菫の双眸が変貌する。

 それまでのどこか半眼で、場の流れを見守っていた瞳ではない。

 一撃の下、的確なる狙いで天上から相手を射抜き殺す――――鷲を思わせる荒武者のごときそれとなる。

 そして彼女は、その羽を広げた。



 ・
 ・
 ・


 再び開かれた卓にて牙を剥く三人を鎮圧し。

 須賀京太郎は、新たな卓に着いた。

 主催者側が――何かしらを仕掛けている以上、どこまでの規模で何が目的かはしらないが、他にもあのような輩がいると考えて。

 そしてそこで……見てしまった。聞いてしまった。


淡「あーあ、だから言ったよねー」

淡「須賀京太郎は強くて厄介だって」


 呆れ顔で、京太郎が先ほどまで卓を囲んでいた面子に語りかける。

 そういえば、大星淡もフリーランス。

 今思い出したが――この三人のうち一人は、予選前に、大星淡と会話をしていた。


京太郎「……大星」


 まさか――という思いすらなかった。


 ――大星淡は、孤高である。


 朝焼けの中にあっても、夕暮れの中にあっても、唯々一際強く輝く大いなる星だ。

 日常生活においてはともかくとして――――麻雀においての彼女は、一人で完結した、唯一無二にして唯我独尊の甕星であるのだ。

 そんな彼女が、こと麻雀において、誰かと組むことなんてあり得ないと断じていい。

 それほどまでに圧倒的で――眩しい女なのだ。大星淡という奴は。

 そのあり方には、ある種の憧憬や敬意すら抱いていた。

 多分……何もかもを敵に回したとしても、いつも通りでいられると言うのは須賀京太郎の力では真似できない、確固とした個を持っているということだから。


 だからこそ、この場面においても須賀京太郎は――大星淡が彼らと手を組んでいるとは考えなかった。

 彼女の実力にしても、彼女の性格にしても……そんなことがあるのではないかと想像するだけで、彼女を凌辱しているに等しい侮蔑であるのだ。

 須賀京太郎はその、沈着を保つ面持ちとは対照的に、内心ではかつてないほど驚愕し動揺していた。


淡「アンタといるのは楽しかったけど――」


 愛を囁くような顔で呟くその声色は、冷え切っている。


淡「戦争に勝つのは、私たちだから」


 その言葉と共に、背を向ける淡。

 先ほど須賀京太郎が叩きのめしたあの男を引き連れて、離れていく。

 これから対局があるというのに――――その前に、二人で大事なことを話すと言いたげに。


 京太郎は、静かに目を閉じた。













淡(――まあ、嘘なんだけどねっ)



 実際のところ、協力なんてしている筈がなかった。

 そもそも、そんなことは必要ないから。というか何が起こっているのかさえ碌に把握もしていない。

 話しかけられたのは、昔馴染みだから。

 淡は――勿論殊勝に段位を一つずつ取るというタイプではないので――かつてチームに所属していた。

 そのときのチームメイトであった男を見かけたので、声をかけただけだ。


 ……まあ、なにやら企んでいるというのは知っていた。

 先ほど、淡も打った際に――そいつらが、仕掛けているのには気付いたから。

 ただ、仕掛けようが何しようが淡が勝ったというそれだけの話であるが。

 まあ、なんとなく結構集まってやってるんだろうなーと思って、須賀京太郎にヒントを与えがてら「私たち」という表現をしてみた。

 どんな理屈があるのかはしれないし、何が企まれているのかもまるで知ったことではないが……。

 あるいは自分のその一言が、須賀京太郎の思考の閃きに携わるのかもしれないと期待しながら。


 あとは――それ以上に何より。


淡(……そーだよ。やっぱり、そーこなくっちゃ)

淡(アンタはまあ、悪い奴じゃないと思うし……その、話してても別に嫌じゃないよ?)

淡(でも――違うんだよね、なんていうか)


 かつて自分を射抜いたときの。

 あの、須賀京太郎の鬼気迫る瞳。命を奪う(あるいは奪われる)という瀬戸際に立ったかのような鋭い視線。

 あれが、一番、イイ。


 笑っているときでも、怒っているときでもない。格好つけてるときでもない。

 その目が、一番、イイのだ。

 大星淡の胸に電撃のようなものを叩き込んだ、あの一撃を放ったときの目が――。


淡(親しくするってのは別にいーけどー、なーんか、馴れ合うのは違うよね?)

淡(これから戦うってのに、ふつーに喋りかけてくれちゃってるしさー)

淡(そーいう緊張感がないのって、どうって話で)



 それではただの、仲良しこよしではないか。

 ……いや、別にそれはそれで嫌いではないし捨て去ったり二度と構うなとかいうつもりもないし大会が終わったら普通にしてくれたらそれがいいんだけど。

 って別に須賀京太郎のことなんてどーでもいーし、ただのライバルでしかないからこう腑抜けたところが見たくないっていうか。

 なんていうかそれだと張り合いってものにかけるし、こう、あのときみたいにちょっと本気を出してほしかったっていうかそーゆー顔が見たかったっていうか。

 なんか最近唯の残念と化してるっていうかもーちょっと本当はちゃんとやるときはやるんだからそういうのを思い出してほしいっていうかなんというか。

 いや別に須賀京太郎がどーなろーと知ったことじゃないしそんなのは気にしないけどでもライバルがこう張り合いないとなんか嫌だっていうかなんというか。

 普段仲良くしてくれるのは……いや、仲良くこっちからしてやってるのはいいんだけどそういうのってちゃんと分けて考えたほうがいいんじゃないかなっていうか。

 いや違う別にそもそも仲良くなんてしてないし、生意気にもこっちに張り合ってきてくれちゃってるから仲良くしようとも思わないし勝手にすればいいじゃんっていうか。

 それでも勝手に落ちぶれられたらライバルとしてのこっちの格が下がるっていうか約束したのになんか一人で勝手に微妙な奴になられたらつまんないじゃんっていうか。

 別になんにも持たないくせにあそこまで喰らいついてくるのって珍しくていいんじゃないのっていうかだからそれがなくなったら勿体無いよねっていうかそれだけであって。


 ……。


 ともかくとして。

 ともかくとして。


淡(無駄に馴れ合ってたら、肝心なときに手が鈍っちゃうかもしれないし……)

淡(ここは本気で、殺す気で来てもらうけどね?)

淡(だってさ……じゃなきゃ――面白くないじゃん)

淡(あの蟹対策に作らせて貰った私の新技――あんたで試させてもらうから)


 一応はライバルであるのだし。

 こう、最初にお目見えさせてやってもいいだろう。最初をくれてやっていいのだ。


淡(なんていうかー、色々調べてたらー……こーやっぱり、あんたってムラっ気あるんだよねー)

淡(だからこうして……お膳立てさせてもらったよ)

淡(そういう勿体無いの削ってって……本気、見させて貰っちゃうから!)



 とりあえず、一緒に連れてきた馬鹿その一には、いつまで付いて来てるんだと言っておいた。

 とっても微妙そうな顔をしてどっかにいった。

 その先には、あの金髪外国人――エイスリン・ウィッシュアート――がいたので多分酷い目にあうんじゃないかな。どうでもいいけど。

 だって今一番大事なのは、この状態の須賀京太郎と戦えるということなんだから。


淡(あはっ)

淡(そーそー、その目……その目だよ)

淡(やっぱ――――あんたって、サイコーにイケてんじゃん!)


 卓に座った淡を、静かに睨み付ける須賀京太郎。

 その目には漆黒の殺意があった。命のやり取り――どんな形かは知らないが――を経験している光があった。

 過去に、彼自身の命を含めて――誰かの命を奪わねばならないと決意した何かがあったのかもしれない。


 だけれども、それも、どーでもいい。

 せっかく編み出した技があるのだ。

 わざわざまた嫌な思いをしてまで、あの、阿知賀の大将に協力させてまで作り出した新技が。

 それすらももう、どうでもいい。

 何をしようが何があろうが須賀京太郎は今ここにいて、こうして本気で、大星淡と打とうとしている。

 そして――淡を倒そうとしている。


 その事実が一番大事で、それが全てだ。

 須賀京太郎がここにいるというので必要十分すぎる。

 それだけで――ゾクゾクと、寒気にもにた何かが背筋を這い上がって、自然と頬が歪んで口角が吊り上がる。

 この感覚だ。

 この感覚を――もっと楽しみたいのだ。


淡(あはっ……来なよ、須賀京太郎)

淡(あんたのそーゆーとこ……いっぱいいっぱい、身体中ぜーんぶ使って……目一杯、愉しんで上げるから……!)

淡(あんたも――愉しんでよねっ)




【大星淡の好感度が上昇しました!】

【池田華菜の好感度が上昇しました!】

【竹井久の好感度が上昇しました!】

【国広一の好感度が上昇しました!】

【宮永咲の好感度が上昇しました!】

【弘世菫の好感度が上昇しました!】

【大星淡の強化フラグが成立しました!】


好感度

★13★
大星淡:やたら絡んでくるアホの子ライバル。麻雀人生をやってもいいよ。……えっ、あ、なんだ、お前は協力してなかったのね

★11
ハギヨシ:師匠にして友人にして悪友にして戦友。この人抜きじゃ生きていけない。ほ、ほら……俺が傍に居ますから!

★9
弘世菫:菫さんは最高です! 菫さんのおかげで戦えるんです! 菫さんを目標に大学決めました! だからこの人普段は頼りになる人だって何度も……

★8
宮永照:強大な目標。勝負事では頼りになる人。なんか放っとけない。次こそは、勝つ……! 花田さんを番組に呼びたい……だと……
宮永咲:気のおけない幼馴染み。絶対の目標にして憧憬を覚えさせた存在。ったく、仕方ねーなぁ……咲は。お前を守るためなら……!

★7
辻垣内智葉:姐さん、一生ついてきます! 姐さんがいたからあの大学に……! 正直俺も調子に乗りました
松実玄:おっきくてやわらかい。軽く残念な人。結婚したいんだけど、その場合俺はどうしたらいいんだろうな

★6
小走やえ:頼りになる小走先輩だけど、やっぱ相棒としてやえさんのフォローもしないと……
赤土晴絵:師匠! 師匠がいなかったら俺は……。何でそう、一々ツボに入る事いうんですか?
新子憧:高校大学と、本当に世話になった女友達。いい女。何年後かで、フリーなら結婚したい。ファン1号。あんまり酷いと押し倒すぞ?
松実宥:なんでも共演。寒がり大変そう。正直おもちあるし結婚したい。その場合、二人とも須賀プロになるのか?松実プロになるのか?

★5
姉帯豊音:大きな小動物可愛い。大天使豊音。酔うとやばいよこの人
天江衣:ころたんいえーい。あの、ハギヨシさんのことを苛めないで下さい。俺の大事な人なんです。甘え衣かぁ……かわいいなぁ……(庇護欲的な意味で)
鷺森灼:天の道を往き、総てを灼きつくす女。色々かわいい。バーニングこけしカワイイヤッター
高鴨穏乃:元恋人。ありがとう……穏乃、本当にありがとう……。お前以外と付き合ってたら、多分俺はこうはなれなかったよ
国広一:一さんといると落ち着くんだよなぁ……僕っ娘いいよな。一本取られた。会いたいなぁ……

★4
鶴田姫子:立てばセクハラ、座ればビッチ。歩く姿は猥褻物。でもなんか助けられたような気が……
竹井久:部長がくれたあの言葉――俺は覚えてます。……悪癖も貰っちゃったけど。なんか部長に会いたいな。あんとき、俺に蜂の巣撤去させるのかと思ってました

★3
三尋木咏:流石の火力っすね……三尋木プロは。ごめんなさい、俺もやりすぎました
小瀬川白望:シロさん、元気そうでよかったなぁ。思えば昔は色々あったよな
原村和:初恋……だったんだ。まあ、いい思い出って奴だよなぁ
東横桃子:消えても追える。俺たち、バスケなら世界狙えたんじゃねーの?
池田華菜:KMG(華菜ちゃんマジゴッド)。正直男前過ぎて今すぐ告白したい。あ、あれから全部1位……ハハハ

★2
亦野誠子:お互い大変っすよねー……今度、海釣り行きましょうよ!
片岡優希:いい女になったな
龍門渕透華:すっげえスポンサー
対木もこ:小動物可愛い
夢乃マホ:可愛い可愛い後輩。何かあったら、今度こそは俺が止める
渋谷尭深:大学時代紹介されたし、おもちあるしおしとやかでタイプ……なのになんだか寒気する
荒川憩:先輩のおかげで、俺、かなり体もいいとこまで行きました! 先輩笑顔可愛い、癒される!
江崎仁美:先輩の適当さに、結構俺って癒されてたんですよ? 政界、おめでとうございます!
愛宕洋榎:当意即妙。いや、流石にお笑いはやりませんから……
花田煌:聖人。デートの約束ですよね?
清水谷竜華:おもちもちもち。頼りになるチームメイト。その眼はヤバイ。結婚したい
南浦数絵:一緒に戦う仲間。大丈夫だって、前に言ったよな? その辛辣キャラはなんなんだよ……
エイスリン・ウィッシュアート:ニンジャはいない。いいね?

★1
佐々野いちご
瑞原はやり
小鍛治健夜
愛宕絹恵
野依理沙
染谷まこ
加治木ゆみ
新免那岐
福路美穂子
白水哩
薄墨初美
石戸霞
滝見春
狩宿巴
戒能良子
江口セーラ
上重漫
鹿倉胡桃
臼沢塞

Q:この話のヒロインは誰ですか?
A:わっかんねー。ヒロインだと思った伽羅がヒロインでいいんじゃね?

前に強化フラグが立ってたので、今回の好感度上昇に伴い強化されました
闘牌系で出たら、強化技のお目見えがされます

というか、このエピソードの投下の初めも初めで「これ主催者グルじゃね」って見抜かれたときには焦ったでござる

Q:牌って割れるもんなんですか?
A:強打されまくってると欠けたり割れたりするって雀荘勤めてた人に聞きました。質がよくないとなおさら
  青峰が決めるすごいシュートがマジで現実に存在しているって程度には現実的だと思ってください(なお、稀)


じゃあ、次のお題決めてー
そんで、京太郎の誕生日ネタ決めましょうかねー

お題
・【栄光の】須賀氏、新作TVドラマにてスタントなしでのバイクアクションを披露【プロ雀士】

・南の島に漂流

・【牌の】小走・須賀両プロがにわか共に送る新作映画評論【…なんだこの人達】

・そうだ、龍門渕、行こう。(メイドフラグ回収)

>>1000なら椿野美幸と神戸を巡る旅番組で共演

・【果たして】スッガ、逃走中に出演【捕まえられるのか】

・昔の照、咲、京太郎の日々

・仕事帰りにエレベーターの中に淡と一緒に閉じ込められる

・憧とツーリングに

・雷帝、戦闘態勢。 (VS 小鍛治健夜)

・プロ麻雀せんべいの写真撮影

・マッサージでチームメイトの女体を極楽に誘う

・あらたそキッチン(おゆはん編)

・全国プロアマタッグ開催。なお小走先輩は別の人と組む模様……な須賀京太郎の元に「オカルトスレイヤー・グレート」を名乗る人物が

・レジェンドとか先輩とかとの師弟対決

>>1000なら親戚の結婚式に出たら相手の身内に淡がいた

①【summer/少年時代】(照過去編。シリアス要素なし)

②南の島で、逃走中(メンバーを安価)

③京太郎「オフだしハギヨシさんと一さんに会える!」(京太郎、マネージャーメイドを手に入れる)

④【牌の】小走・須賀両プロがにわか共に送る新作映画評論【…なんだこの人達】

⑤あらたそキッチン

⑥あたらしドライブ

⑦ニセ彼女(エレベーターの中にいる俺たち(ラブコメorヒロイン度上昇)&結婚式とか)

⑧写真撮影しようか(登場人物安価)


はいこんなところですー
闘牌はちょっと連荘するには疲れるねん……


①【summer/少年時代】(照過去編。シリアス要素なし)

②南の島で、逃走中(メンバーを安価)

③京太郎「オフだしハギヨシさんと一さんに会える!」(京太郎、マネージャーメイドを手に入れる)

④【牌の】小走・須賀両プロがにわか共に送る新作映画評論【…なんだこの人達】

⑤あらたそキッチン

⑥あたらしドライブ

⑦ニセ彼女(エレベーターの中にいる俺たち(ラブコメorヒロイン度上昇)&結婚式とか)

⑧写真撮影しようか(登場人物安価)


選ぶのです僕たち!

↓3~9 コンマ反転。一番高いレスのものを採用

というわけで③ですー
やったね京ちゃん、メイドが増えるよ!

ではでは、IFネタ行こうかねー

これも範囲コンマ安価して、そのうちの上位3~4から1が選んで書くって書くって形でええやろうかー

んじゃ、IFネタよこしやがれですー


↓3~11 コンマ反転。上位4つのうちから

・もしも心が一度折れる前にマホの解放に成功していたら
・穏乃エンド
・阿知賀の地雷爆発&魔王姉妹とあわあわ襲来
・もしもドッキリ回で本当にレジェンドとヤッていたら


わーい
じゃあ、ちょっと即興で書くんでお待ちをー





  【DANDAN心惹かれていた/君が好きだと叫びたかった】



「……ふう」


 夕暮れの空を眺めながら、携帯灰皿片手に息を漏らす。

 なぜ煙草の煙が紫煙と言われるかは――蛍光灯の明かりがある暗闇なら理解できるだろうが、これでは生憎判らない。

 紫どころか、唯の白い煙だ。

 不完全燃焼を起こさないだけマシかもしれないが。火事なんてのは、御免である。なんか灰色の怪物になりそうな気がする。


「ちょっと、何黄昏てるのよ」

「……憧か」


 後ろから、背中を叩かれた。

 軽くよろめく。

 女の細腕と言っても――京太郎も、軽くトレーニングしている以外は唯の常人と変わらないので、不意打ちをされればそりゃ当然よろける。


「ん、いや……俺もこれで二十四歳かなーって思ってなぁ」

「なに、爺むさいこと言ってんのよ。あと、生徒の教育に悪いから没収」

「……マジっすか」

「ほら、早く」

「いや、だって一口しか……」

「いいから」


 はいと、肩を落として灰皿に煙草を仕舞う。

 まだ長い煙草が、フィルターと火口の中間で折れた。三つ折になったその姿が、どこか悲しい。


「でもさ、結構生徒にはワイルドで格好いいって言われるんだぜ?」

「ばかなの?」


 やれやれと、フェンスに寄りかかった。

 せっかく買ったのに……これでは……きっと……。


「はい、残りも」


 案の定であった。

 ここで見逃してくれるほど――新子憧は、心優しい人間ではないようだ。知ってはいたが。


「というかさ、アンタ……やめたんじゃなかったっけ、煙草は」

「んー」


 やめたのだ。生徒の教育にも、差支えが出るから。

 須賀京太郎二十四歳――阿知賀女学院の教諭。麻雀部の顧問。T大教育学部卒。

 女子高に男子の教諭が――それも年若い――がいてもいいのかと思うが、割となんとかなっている。

 まあ、バレンタインデーやら調理実習やらなんやらでは、中々に良い目を見させて貰っていた。

 生徒としてもまあ、身近に男がいるというそのシチュエーションがうれしいのだろう。

 なんだかんだ高校生活で、男子と触れ合いたいと思っているらしい。


 ただ、そういうものはそういうもので、本気で京太郎と付き合いたいとかどーこーなりたいと思っている人間はいないと思う。

 ……いや。

 時々はラブレターを貰ったりもするが――憧曰く「浮気したらとっちめるから」だそうなので、勿論手は出していない。

 時々、中々すばらしいものをおもちな生徒もいるので――軽く揺らぎそうではある。


「なんていうか、色々あったよなって思ったら……つい吸いたくなってさ」

「色々って?」


 


「色々だよ……本当に、色々」


 ちらりと――フェンスにかかっていた新聞を眺める。

 『荒川憩プロVS大星淡プロ 因縁の対決』――楽しそうに、色とりどりの文字が躍っていた。

 遠い世界の話。

 そんな遠い世界に、知り合いがいるというだけの話。


「……ああ、プロになりたかったんだっけ」

「一応はな。そっちも考えてたんだよ……約束もあったから」


 しかし須賀京太郎は結局、プロになることを諦めた。

 自分が麻雀を続けていたのは――。

 あの日、穏乃との約束に身を任せていたのは――。

 きっとあの日に、ああなってしまった夢乃マホを止めるためだったんじゃないかと思う。


 最後の最後、心が折れそうになったそのときに――穏乃と交わした約束を杖に、立ち上がった。

 そうして、かろうじて浴びせたその杖の――槍の一撃が、夢乃マホを正気に戻したのだ。

 ……もう、マホはああはならない。

 そう確信したそのときに――須賀京太郎の中にあった何かは、消えてしまった。


 その杖に――槍に食われるように、魂とも呼べた部分がなくなったのだ。

 一撃に全てを懸けた。

 そして、その一撃と引き換えに、京太郎の中の麻雀に懸ける魂というのは喰われてしまった。

 だけれども――寂しさはあっても、後悔はない。

 巡り巡って後輩を助けるために、あの約束があったのだと確信しているから。


「ああ、シズとの約束……」

「応。まあ――それはそれは、大切な約束だったんだよ」


 交わした約束を忘れない――。

 それが京太郎を前に進ませた。それがあったから弘世菫や辻垣内智葉などを有するあの大学を目指すことに繋がったのだから。

 多分、なければこうして今ここにはいないだろう。

 あの日の涙はこの日の笑顔のために――などと格好をつける気はないが。

 いつまでも女々しく引きずるつもりも、思い出すつもりもなかった。

 思い出はセピア色に――――という奴だろう。


「でもまあ、今はこれでよかったんじゃないか――って思ってる」

「女の子に囲まれてるから?」

「……まあ、それもあるかも」

「サイッテー」


 半眼で睨む新子憧に、冗談だと掌を振る。

 愛する人がいるのに――そんな馬鹿みたいなことをまさか、本気で言うはずがない。

 まさか、新婚早々浮気だなんだという理由で離婚とかはやめてほしい。かなり避けたい。真面目に嫌だ。


「それともまあ――所謂、マリッジブルーなのかもな」

「へぇ……新婚なのに、そういうこと言うんだ」

「いやー、その、まあ……なんていうかあるんじゃないのか? やっぱり、そーゆーのってどこにでもさ」

「なにそれ」

「大人だって、こうして中学生みたいに黄昏るときがあるってことだよ、うん」

「黄昏刻だけに?」

「……憧さん?」

「なんでもないわよ。忘れなさい」


 ぷいと顔を背ける憧を見て、笑う。

 そういう照れ隠しの仕方は、昔から変わっていない。

 どれほどの付き合いになるだろうか。

 高校、大学ときて――これからも一緒になる。もっと長い付き合いになっていくのだ。新子憧とは。


「おまたせー! ご、ごめん京太郎ー!」


 ――そう。同僚として、親友として。


「遅いわよ、しず!」

「ごめんごめん! なんか、店にすっごい人が来ちゃってさ!」

「へぇ? 俺も知ってる人か?」

「うん、京太郎もきっと――驚くと思うよ! 多分、まだいるから」


 走りやすいように髪を括った高鴨穏乃の左手には、指輪が輝く――。

 正しくは、高鴨ではない。須賀穏乃だ。

 すがしずの。

 語呂がいいような悪いような、不思議な気持ちである。


「誰なんだ? それとも、会ってからのお楽しみとか?」

「うーん、どうしよっかなー」

「はは、なんだよそれ」


 阿知賀に教官として赴任したのは――清澄ではなく阿知賀を選んだのは、全てはこのためだった。

 夢乃マホを正気に戻したその足で、須賀京太郎は奈良へと足を運んだ。

 穏乃との約束のおかげで後輩を助けることができたこと。

 それがどれほどまでに嬉しく有難かったのかということ。

 そして――自分が今でも、どれだけ穏乃のことを大切に思っているのかということ。

 それら全てを、戸惑う彼女の前で晒した。並べ立てた。


「ほら、勿体つけずに言いなさいよ」

「んー? 憧がそう言うなら、仕方ないかぁ……」

「誰なんだ? まさか、松実プロとか? それとも、清水谷プロとか?」

「……ハハハ」

「しず、目が笑ってない」


 だってさ、と京太郎は内心言い訳する。

 そりゃあ――穏乃は可愛い。非常に可愛い。愛している。穏乃以外を愛するなんてのは、無理だ。

 でも、おもち、ないんだもん。

 これは浮気ではない。ただ、テレビの中の住人に興奮するのぐらいは大目に見て欲しい。


「まあ、残念。違うよ……来たのは、大星プロ」

「大星プロって言うと……穏乃と咲が、決勝で戦ってた――」

「そうそう! なんか、荒川プロ対策として新技の開発に付き合って欲しいんだって」

「……無茶苦茶だな、オイ」

「でも、ちゃんと売り上げに貢献してくれたからね。おかし、大好きなんだって」

「へー。和菓子のこと、好きになってくれるといいけど」


 そのとき、改めて穏乃に誓った。

 必ず迎えに来ると――今度はもう絶対に離さないと。

 それから教員免許を取得して、何のかんのとツテを辿って、阿知賀女学院に赴任したのだ。

 インターハイ、インターミドルと好成績だったのも後押しになったのかもしれない。

 阿知賀女学院は、高鴨穏乃や新子憧が属していたそのときのように――今度も、麻雀によるニューレジェンドを狙っているとかいないとか。


「夕飯も朝もお昼もそれでいいって」

「……え。っていうか、そのプロこっちに泊まるのか?」

「直ぐに必殺技ができればいいんだけどねー」

間違えた>ミドル

正しくは……インターハイ、インターカレッジで


「なんか、玄さんのところに泊まって修行してくらしいよ。『絶対あの蟹にリベンジする! 百回倒す!』だってさ」

「蟹……? 憩さんが……蟹……?」

「らしいよ。よく判んないけどさ」


 たはは、と頭を掻く穏乃。

 なんだかんだと人付き合いがいいというか、お人よしというか……。

 まあ、売り上げに貢献してくれるというし……有名人であるというし……。

 それなら、修行に付き合うのも良いのかもしれない。穏乃がそれで言いと言うのであれば。


「じゃあ、帰ろうか」

「おう。カラスが鳴くからかーえろってな」

「カラス? 蛙じゃなかったっけ?」

「いや、そんな駄洒落みたいな……なあ、憧。どっちだっけ?」

「……知らないわよ」


 確かに。

 小学校の教諭ならいざ知らず、中学高校で童謡なんてのは専門外である。

 特に、憧も京太郎も音楽の教師ではないのだから。


「なーんか、待たせたら『遅いー!』って言われそうだな。業界の人って、我侭かもしれないし」

「……ハハハ」

「ひ、否定しないのか……? えっ、いや、そんな人だったら本当にお引取り頼むぞ……?」


 妻をぞんざいに、あるいは召使や付き人のように扱われたらいい気がするはずがない。

 穏乃が良いと言っても、そのあたりはキチンとしておくべきだろう。夫として。

 ……なんて考えは、古いのかもわからないが。


「じゃあ、しずと京太郎は走って帰ったら?」

「えっ、そんなの悪いよ……憧を独りにできないし」

「ああ、そうだって。有名人かもしれないけど……そりゃ、それで友人ほっぽりだしてたら仕方ないだろ?」


 そんな京太郎と穏乃の提案に、憧は手を振って応じる。


「別にこんなとこ、熊や変質者が出るわけないから大丈夫よ」

「あー、確かに……田舎だもんなぁ」

「熊は出なくても、鹿はでるんじゃ……」

「鹿が出たとして、人数揃ってても意味ないでしょ?」

「いや……なんとか……できる……かも?」

「俺は無理だぞ。そんな、正義のヒーローじゃああるまいし」


 野生動物と相対して大丈夫だなんて、そんなことはとてもではないが言えない。

 勿論――穏乃と憧を守るためだったら、熊でも鹿でもライオンでもスズメバチでも、その前に立ちはだかって見せるが。

 ……。

 ……ごめん訂正。やっぱり、ちょっと怖い。割と無理くさい。

 そりゃあ、穏乃と一緒に山登りをしてるから、体力には多少なりとも自信があるが――野生動物をどうにかできるかなんてのは、無理って話だ。


「まあ、いいから行った行った。あたしも買い物があるし……その人の機嫌損ねても困るでしょ?」

「でも……」

「いいんだってば。ほら、京太郎。さっさと行っちゃいなさいよ」


 後ろ髪をその場に留まりたがる穏乃の背中に手を回す。

 憧がこう言ってるなら、多分大丈夫だ。彼女の言葉が外れたことなんて、ないのだから。

 さすがに頼りになる女だった。こうして穏乃と結婚できたのも、彼女の援護によるところが大きい。


「んじゃ、また明日な」

「憧、知らない人からお菓子を貰ってもついてくんじゃないぞー!」

「あたしは子供か! ……ったく。じゃーね、また明日ー」

































「……あはは」


 先を行く自分の親友と――初恋の相手の背中を見て、新子憧は独り語散た。


「ちゃんと、言い出してたら……もしかしたら、違ったのかな……?」


 その声は、風に溶けていった。

自暴自棄になってないから、ムエタイはやってない
目が悪くなってるからエコロケを使おうと修行程度はしたり
カピは何とか間に合って一命を取り留めましたとさ。その後天寿を真っ当


という世界線です

残りのネタについては、ひょっとしたら書くかもしれないけど……鎧武に備えて寝ます
あしたはあっちをやるけど、ちょっと知り合いの誕生日プレゼントを購入するので開始が遅くなるやもしれん

それじゃあ、おやすみー
アコチャーは京松実スレで結ばれるから別にいいんじゃないかな?

高校生

憧「まさか、しずに先を越されちゃうなんて……」

憧「はぁ……」

憧「あたしって……自分で言うのもなんだけど――かわいい方だと思うんだけどな? 気を使ってるし……」

憧「宥姉とか玄みたいにナチュラルー……って訳じゃないのが癪だけど……うーん」

憧「……」

憧「あたしと遊ばない?(裏声)」

憧「あたしと一緒にいて欲しいの(裏声)」

憧「こんの……っ、バカもやし――――ッ!(怒声)」

憧「……」

憧「なにやってんだろ、あたし」


憧「まー、きっとすぐ彼氏できるでしょ。あの二人みたいに」

憧「あんまり理想がどうこう言わないけど……」

憧「やっぱり――清潔で、話が面白くて、優しくて、明るくて、爽やかで、気さくで、あんまり真面目過ぎてもあれだけど……ちょっと真剣な芯があって」

憧「スポーツマンなら、なおよし。でもちょっとバカなのはちょっとなー? なんかガツガツしてそうで怖いし……」

憧「でも、ガリ勉はパス。まぁ……勉強できるに越したことはないし、頭いい人ってカッコいいけど――そればっかりなのはちょっと……」

憧「麻雀は――好きだといいわね。話があうって、やっぱり大事だよね。でも……玄みたいにオカ持ちだと、うーん」

憧「……彼氏かぁ」

憧「彼氏ができたら、あたしも……」

憧「……」

憧「ふきゅっ」

憧(いいいいいいいい今の想像は京太郎がしずとどうなってるか聞かせるからそれであって別にあたしはすけべじゃないんだからぁ――――!)

大学生(初め)

憧「腹立つわね、あのバカ……」

憧「ヘタレで――さんざんしずと付き合う前相談してくるし――、すけべで――智葉さんやシロや和にデレデレしてるし――」

憧「なんか結構てきとーなとこあるし、ほっといたら勝手に雑用し始めるし、家が隣だからやたら顔合わせるし――ストーカーなの?――」

憧「なんかあたしより家事ができるし、アイツの作る晩御飯美味しいし、なんか一々気遣いしてくるし、それなのにあたしには結構ぞんざいな口利くし……」

憧「ムカつくわね。高校の頃は、こんな奴だなんて思わなかった」

憧「……」

憧「しずと一緒のときは、どうだったんだろ……」

憧「アイツ……あんなんだけど……。無理して、明るく振る舞ってないわよね?」

憧「……はぁ」

憧「恋人かぁ……あたしも大学生なんだから、彼氏できるよね?」

憧「どっかに……いい人いないかしら?」

憧「……」

憧(やややややややややややややややややだ……なんであたし、京太郎で想像してるんだろ)

憧(うー……)

憧(……)

憧(今、この壁の向こうに……京太郎、いるのよね……)

憧(……)

憧(……んっ)

大学生(途中)

憧(……京太郎、向こうで寝てるんだ)

憧(やっと……やっと、笑ってくれるようになった……)

憧(このまま……前みたいに……)

憧(……)

憧(なんで……なんであんたが、こんな目に逢わないといけないのよ……)

憧(誰よりもがんばってて……麻雀が好きで、真剣にやってて、強くなってきてたのに……)

憧(こんなの……酷い……)

憧(京太郎じゃなくても、いいじゃない……京太郎がこんな目に逢わなくても……いいでしょ……?)

憧(なんで、京太郎なのよ……どうして……)


憧(……)

憧(……京太郎が辛そうにしてるのを見ると、あたしも辛い)

憧(京太郎が無理してるって思うと……)

憧(なんとか、慰められないの……かな)

憧(今、向こうの部屋に行けば……)

憧(でも……京太郎の弱味に付け込むみたいで……そんなの……)

憧(駄目よ。そんなの、絶対駄目)

憧(でも……)


憧(んっ)

憧(ごめん、ごめん京太郎……)

憧(あんたがこうなってるのに……! あたし、あたし……!)

憧(でも、こうしないと……我慢、出来なくなっちゃうから……っ)

大学生(最後らへん)


憧「……はぁ」

憧(彼氏できないまま二十歳過ぎた彼氏できないまま二十歳過ぎた彼氏できないまま二十歳過ぎた彼氏できないまま二十歳過ぎた)

憧(っていうか……)

憧(大学卒業目前なのにまだ経験がない大学卒業目前なのにまだ経験がない大学卒業目前なのにまだ経験がない大学卒業目前なのにまだ経験がない)

憧(なんでなのよ!? あたし、そんなに魅力ないの!?)

憧(お洒落もお化粧も気を使ってるし……スタイルも、いいと思うんだけどなぁ……なんでなのよ!?)

憧(でも……)

憧(なんか、男の視線ってやらしくて怖いし……これだけ話してないと、かなり抵抗あるし……)

憧(別に……そんなに理想が高いって訳じゃないと思うんだけど……)

憧(……)

憧(最低限、京太郎ぐらいには気を使って欲しいわよね)

憧(アイツみたいに、やらしい感じ意識を目に出さなきゃこっちも……話ぐらいできるのに……)

憧(……はぁ)


憧「京太郎、格好いいのよねー……頼りになるし、背高いし、頭いいし、イケメンで、スポーツできるし、家事もできるし、爽やかで優しいしさ」

憧「どっかに、いないかな……そういう奴」

憧「はぁ……恋人欲しい」

憧「……」

憧(う、ちょっと……変なキモチに、なって来ちゃったかも……)

憧(べ、べつにあたしはすけべでもえっちでも変態でもないんだから!)

憧(さすがに毎日はやんないし、そんなに連続でできるのもあんまりないし、四六時中そんなこと考えてないから!)

憧(こ、これは練習なのよ! そうよ!)

憧(彼氏ができたときに、『いい歳して処女とか面倒』って思われないように予習と復習してるだけ! あたしはえっちじゃない!)

憧(……)

憧(京太郎は、そういうのどう思うんだろ……あたしのこと、どう思ってるんだろ……)

憧(……んっ)

っていう、HOAのこれまで。本編に関係あるかも知んないしないかもしんない
本当はあの世界線入れるためだったんだけど、鬱くなるので結局カットという本末転倒小松暴投


あと、鎧武見逃して死にたい

なお本編の憧ちゃんが実際にこうなのかは明言しないので悪しからず
もしも素直に「好き」と言ったら二つ返事で受け入れられた模様。なんもかんもツンデレが悪い

あっちには本当に申し訳ないけど、こっち進めます
AtoZのディレクターズカット版を手に入れたので、テンションを上げて最終回に臨みたい


で、誕生日小ネタやってから、一ちゃんに行こうか

あと、wiki編集してくれてる人は真面目にありがたいから、本当、なんかリクあったら言ってくれたら叶えるんで
いや、真面目に結構な労力ありがたいです。超感謝してます



 【さくらんぼキッス~爆発だもーん/なお桜の実にはシアン化合物が含まれているらしいので余程の食べ過ぎには注意が必要】



憧「きょーう、たろっ!」

京太郎「ん? なん――――むぐっ、ううっ」

京太郎「ん、ひっ、んぐっ、ふ、んぐっ、ぷ、うぁっ、んちゅ、ぐ、んんっ」

京太郎(憧の舌が、口の中を……っ!? ううっ、やめてくれよ……こんなの、俺は――)

京太郎「ぷはっ……な、なにすんだよっ」

憧「え? キスだけど?」

京太郎「キスだけど、じゃねーよ……」

憧「嫌だった?」

京太郎「決まってるだろ! いきなりキスされて、嬉しいなんて奴の方が――――むぐっ、ううっ、ん、ふぐっ!?」

憧「――ぷはっ。うるさいお口は封印ふういーん♪」

京太郎「こ、こいつ……くそ」

憧「ほらほら、嬉しいくせにー? 皆に見られて興奮してるんじゃないのー?」

京太郎「みんな……?」

京太郎「……あ」


穏乃「あわあわあわあわあわあわああああああああ……」 ガタガタ

灼「わーお……」

宥「……」

玄「えええええええええええええええええええ……!?」


京太郎「死のう」


憧「ん、イキたい?」

京太郎「言ってねーから。イってるのはお前の頭であって俺は一言も言って――――ふ、むぐぅぅぅ!?」

京太郎「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ」

京太郎「はぁ、はぁっ、憧……お前」

憧「グッタリしちゃって……かわいい……!」

京太郎「こんなこと、皆の前でするなんて……絶対に許さ――――むうぅぅぅ、んぐっ」


穏乃「ああああああああああ、憧も京太郎のこと!?」

灼「落ち着くといいと思……」

玄「憧“も”って、穏乃ちゃんも……?」

穏乃「え゛っ」

穏乃「い、いや……私は高校生のころ付き合ってただけであって――――」

玄「えっ」

穏乃「し、しまったぁぁぁぁぁぁぁあ――――っ!?」

灼「しょーもな」

宥「お酒……あったかぁ~い」


穏乃「い、いや……これはその……なんていうか、あの……」

玄「そ、そうなんだね……へ、へー」

穏乃「あー、いや、その、大丈夫です!」

宥「?」

穏乃「灼さんも彼女だったんで!」

灼「え゛っ」

灼「いや、ちょ……っていうかなんで知って……」

穏乃「し、しまったぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああぁあぁぁぁあ!?」

玄「――」

穏乃「あわあわあわあわあわあわあわあわあわあわわわわ……」


淡「呼ばれて飛び出て、淡ちゃんとうじょーう!」 ババーン

京太郎「ぅ、むぐっ、う、んちゅ、ふ、んんっ、んふぅ、んんっ」

憧「――ぷはっ。あんたの苦しそうな顔って、スッゴイ続々する……っ!」

淡「なにしてんの」

京太郎「え、あ……いや、その」

憧「キスだけど?」



穏乃「い、いやそのこれは……誤解であのー、たはは、えっと」

灼「自爆に巻き込まれても……というか、どして私のこと……」

穏乃「い、いやー……風の噂?」

灼「なにそれ……」

玄「……うう」

玄「京太郎くん……おもち好きだって思ってたのに……」

宥「玄ちゃん……?」

玄「だ、だって……!」

玄「だって、駄目だって言ったのに私のおもちを揉んでたんだよ!? 駄目って言ったのに、何度も何度も!」

穏乃「え゛」

灼「あー」

宥「玄ちゃん……」


淡「うー」

淡「あんた、じょーしきないの!? きょーたろー嫌がってんじゃん!」

京太郎「あ、淡……」

憧「うっさい。黙ってなさい」

淡「へー、私に喧嘩売るんだー」

憧「喧嘩っていうか、身体でも売ってなさいよ」

憧「その間にあたしはこうやって――――んちゅっ」

京太郎「!?」

淡「!?」


京太郎「た、たすけ……んんっ!?」

淡「きょ、きょーたろーがキスされちゃってる……キスされちゃってるよ……」

憧「~♪」 チラッ

淡「う、うう……」

憧「――ぷはっ」

憧「あはっ、京太郎ってば面白いわね。なんか、無理矢理される女の子みたいで……」

淡「……ッ」

淡「あんたが、勝手に発情しようが何しようが構わないけど……須賀まで、巻き込まないでよ!」

淡「コイツ、頑張ってるの! 頑張ってるのに、なんで苛めんのよ!」

憧「うっさい」

憧「なーんか同じ空気を感じるから言っといてあげるけど……そーいういい女とか思いやりある感じじゃコイツは振り向いてくれないから」

憧「そのへん、考えれば?」

淡「……っ」

京太郎「だ、誰か……」

京太郎「ハギヨシさん……やえさん……」

京太郎「咲ぃ……」


咲「――呼んだ?」

照「京ちゃんのピンチと言えば私。アギトは私一人でいい」


玄「酷いよ……だって、あんなに私のおもちを触ったのに……」

玄「やめてって言ってるのに……私のおもちじゃないおもちになりそこないのおもちを……」

穏乃「玄さん……」

灼「玄……」

玄「ううっ……」

灼「でも、それでおもちじゃないとか喧嘩売ってるから」

玄「!?」

穏乃「そうですよ!」

穏乃「いくら、『気にしない。俺はこれも含めてお前が好きだ』とか『大丈夫、可愛いよ』とか言われたとしても……」

穏乃「やっぱり、玄さんくらいあった方が京太郎も喜びますから!」

玄「!?」

穏乃「灼さんもきっと、そうでしたよね!」

灼「え゛、いやちょっ……」

宥「……お酒、なくなっちゃった」


淡「テルー! 咲まで!」

憧「うっ」

憧「な、なによ……」

照「別に」

照「ただ、京ちゃんと私は結婚の約束をしてるから」

淡「!?」

憧「!?」


京太郎「咲……俺さ、怖くてさぁ……」

咲「よしよし、大丈夫だよ……京ちゃん」

京太郎「咲ぃ……」


咲「大丈夫だよ。私が、京ちゃんを守るから」

京太郎「咲……」

咲「京ちゃん……」


淡(て、テルが……テルまでこんな奴の毒牙に……)

憧(結婚…………新婚初夜!?)

照「……」

照「あのときの京ちゃんは可愛かった。京ちゃんはいっつも可愛い」

淡(うう……て、テルをきょーたろーなんかに渡さない! 渡したくない!)

憧(あ、“アノ”とき!? きょ、京太郎の奴宮永プロとも……!?)

憧(それに、可愛いって……ふきゅ)

照(京ちゃんは子供の頃から変わらない。優しくて可愛い)

照(ただ……)

照(結婚の約束をしたかどうかは覚えてない。昔過ぎて)


玄「きょ、京太郎くん……」

咲「あ、えと……その、あわわわっ」

咲「どう……したんですか……? 京ちゃんが、何か……」

京太郎「玄さん……?」

玄「京太郎くんは、おもち好きなの!? おもち嫌いなの!?」

京太郎「…………へっ?」

玄「京太郎がおもち好きだったら玄の裸見てもいやらしい気持ちになったりしないよね!?」

咲「!?」

京太郎「!?」


京太郎「いやまてその理屈はおかしい」

咲「おかしいのは理屈だけじゃないよ……」

玄「私のはおもちじゃないおもちのなりそこないだから、私のおもちを見ていやらしい気持ちになったら京太郎お兄ちゃんはおもちが嫌いなんだよ!」

京太郎「ひっ」

咲「……っ」

咲「京ちゃん、私がこの人を宥めるから……。ね?」

京太郎「さ、咲……すまんっ」


宥「ごめんね、京太郎くん……玄ちゃんが」

京太郎「……あ、ああ。松実プロ」

京太郎「いや、酔って羽目を外しすぎるっていうのは誰にでも――」

宥「思ったの」

京太郎「へ?」

宥「玄ちゃんの、京太郎お兄ちゃんって……京太郎くんにお兄ちゃんになって欲しがってるんだ……って」

京太郎「は?」

宥「義兄で……いいよね、玄ちゃん」

京太郎「!?」


京太郎「ま、松実プロ……?」

宥「あの……ね……?」

京太郎「ま、松実プロ……その、近いです近いです」

宥「宥って……呼んで?」

宥「あったかくなること……しよ?」

京太郎「い、いや……あの、その、俺との間にそんなフラグも何もなかったんじゃ……」

宥「……?」

宥「……」

宥「……玄ちゃんが、お兄ちゃんを欲しがってるから?」

京太郎「理由ぅぅぅ!?」


京太郎「は、ハギヨシさん……一さん、たすけ――うごっ」

淡「どーん!」

京太郎「お、大星!? お前、なんのつもりなんだよ……!」

淡「うっさい。こっちみろ」

京太郎「は……?」

淡「ん、ちゅっ――――ぷはっ」

京太郎「――」

淡「て、テルをあんたなんかに渡さないから! あんたにテルは勿体ないから私が貰うよっ!」


憧「あ、あんた京太郎になんてを……」

照「あなたがそれを言うのも……どうかと思うけど……」

淡「まったくもって!」

京太郎「そうだそうだ」


照「……って、淡」

京太郎「照さん!?」

淡「て、テルー」

淡「テルには悪いけどさ……こんな馬鹿でスケベでえっちで馬鹿でイケてて馬鹿で残念な馬鹿、テルには近付けさせないから!」

京太郎「いや、馬鹿はお前……」

淡「うっさい!」

淡「お、大人しく私のになりなよ! あんたにテルは勿体ない!」

京太郎「いや、それが理由ってお前……嫌すぎるぞ。普通じゃない」

淡「うう……」

淡「で、でも……きょーたろーはイケてるからさ……わ、私は嫌じゃないからね?」

京太郎「淡……?」

淡「きょーたろーのこと、結構好き……だよ。うん」

京太郎「淡……」

憧「うぐっ……」


憧「あ、あたしは違う!」

憧「結構なんてもんじゃなくて京太郎が好き! 大好きなのよ! ずっとずっと前から、京太郎のことが!」

憧「京太郎の一番安心できる場所になってあげたかったから、頼りにしてほしかったから言い出さなかっただけ!」

憧「だって……京太郎に、苦しい思いをして欲しくなかったから」

京太郎「憧……」

照「さっきから度々、京ちゃんを酸欠で苦しめてるんだけどそれは」

憧「……でも、その、気付いては欲しくて」

憧「コイツ鈍感だから……あれぐらいやれば、気付くかなって……」

京太郎「逆セクハラとしか思わなかった」


憧「とにかく……あたしはね! 京太郎のことが大好きなの! 京太郎のことが好きで好きで仕方ないの!」

憧「隣の部屋から音がしたら、京太郎が暮らしてるんだって思ってムラムラして!」

憧「京太郎がシャワーで鼻唄歌ってるときは今裸なんだってムラムラして!」

憧「京太郎が家に来たら、京太郎が私がムラムラした場所に座ってたんだってムラムラして!」

憧「京太郎のことが大好きなのよ!」

淡「うわぁ……」 ヒキッ

照「ムラムラしかしてない……」

京太郎「メスゴリラかよ……」

憧「誰がゴリラが!」

京太郎「なんで大学初めのノリに戻ってるんだよ……」


憧「と、とにかくっ」

憧「あたしは京太郎のことが昔から好きで好きで好きで好きで仕方なかったんだからぁ!」

穏乃「そ、そうだったのか……憧」

灼「なるほ」

憧「し、しず!?」

穏乃「なのに……憧のことに気付かないで……私、京太郎と……」

憧「し、しず……これは違う…………違うのよっ」


京太郎「結局、どっちなんだよ……」

憧「うっさい!」

穏乃「京太郎、ちょっと静かにしてて」

京太郎「はい」

京太郎「なんで俺が袋叩きなんだよ……」

照「今のは京ちゃんが悪いよ」

淡「まったくもって!」

照「でも、私はおねーちゃんなので許してあげます」

淡「あー、テルーってばずーるーいー!」

照「お姉ちゃん特権。京ちゃんが辛くなったらすぐ甘やかす」

淡「私も誕生日から言ったらお姉ちゃんだから! ほら、きょーたろー!」

京太郎「ああ、うん」


照「ところで京ちゃん、やけに落ち着いてるみたいだけど――どうして?」

淡「なに、よゆーブッこいてるのかな?」

京太郎「ん、ああ……」

京太郎「これって、ドッキリなのかなって」

照「……」

淡「どゆこと、それ」

京太郎「現実感がなさすぎて、信じられないんですよね」

京太郎「どこにカメラが仕掛けられてんのかなって……そう思って」

京太郎「はは……ハギヨシさん、いるんですよね……?」

京太郎「ねえ、出てきて下さいよ……ハギヨシさん……」

途中で中断するけど始めるゆえー

こーこちゃん:31歳(この時点)
えりちゃん:36歳(この時点)

うーんこの……


淡「あんたさー、それ、失礼だと思わないの?」

淡「さっきのあの娘だって、勇気出してんだよ?」

淡「なのに……ドッキリ扱いとか、酷いよ……そんなの……」

京太郎「淡……」

京太郎「俺は、もう、騙されないからな!」

淡「え……」

京太郎「ドッキリんときは、よくもやってくれたよな!」

京太郎「なーにが『きょーたろー』だ! 普段があれの癖に、こんなときだけここぞとばかりに猫なで声出しても怪しいんだよ!」

京太郎「もう、俺は騙されないからな! 騙されるのはやめだ!」

淡「――」


咲「だから、ほら……落ち着いて下さい。京ちゃんは、おもち大好きだから……」

玄「でも、でもでも……」

咲「幼馴染みの私が言うんだから、本当ですよ」

咲「京ちゃんは昔からおもちが大好きです! 初恋は、幼稚園のおもちがおっきな保母さんです!」

玄「……本当?」

咲「いや……近所の高校生のお姉さんだったかも……」

玄「……」

咲「……」

玄「……おもち、好きなの?」

咲「はい! どっちも確か、松実さんぐらいのおもちでした!」

玄「私が……京太郎くんの……初恋のおもちと一緒……?」

咲「はい! 初恋のおもちです!」

玄「……」

玄「頑張るよ!」 フンス

咲「はは……頑張って下さい」

咲「……」

咲「……なにやってるんだろう、私」


照「京ちゃん、あの、そのへんにしといた方が……」

京太郎「いいや、言わせて貰いますね!」

京太郎「まず、俺は同年代でもそこそこ稼いでる方です! 自分で言うのもなんだけどスポーツもできますし、身なりにも気を使ってます!」

京太郎「一応は上位ランカーだし、ドラマの主演もやってた! 嫌な言い方だけど、学歴も悪くはないです!」

照「う、うん……」

京太郎「なのに……まったくと言っていいほどモテません! 実際そうなったら困るけど、モテません!」

京太郎「いいですか? 俺は、モテません!」

京太郎「あげく、応援してるって飯屋に行っても気付かれないどころか……不審者扱いされるわ! 一般の人からサインをねだられたこともないわ!」

京太郎「俺は……俺は、モテないんだよ!」

照「……う、うん」


京太郎「それなのに……おもち持ち二人がモーションかけてくるなんてありえない! 俺には一番縁がない!」

玄「へ」

宥「え……」

京太郎「酔って酒癖が悪くなる親友に、いきなり唐突にオナペット告白されてもどうしたらいいか判らない!」

憧「――」

穏乃「京太郎……」

灼「……」

京太郎「ましてや、そこのバカが! 一度は人を嵌めてくれたバカが! 変に甘えてきても信じる訳がない!」

淡「――」

京太郎「俺はもうハギヨシさんしか……いや、あの人もドッキリ仕掛けてきたから――――やえさんと咲と一さんしか信じない!」

照「……え、私は」

京太郎「もう……絶対に騙されないからな!」

照「え……ね、ねえ……」


灼(……虐待され続けた犬のような目をしてる)

穏乃(私も……か。仕方ないけどさ、寂しいよ)

淡(――)


咲「京ちゃん」

京太郎「あ、さ、咲……」

咲「皆に謝ろうよ」

京太郎「……」

咲「色んなことが一度に、急にあったからビックリしちゃったんでしょ?」

咲「お酒飲んでたから、つい大きな声出しちゃったんだよね?」

咲「京ちゃん、普通なら絶対そんなこと言わないよね?」

京太郎「俺は……」

咲「駄目だよ、京ちゃん。そんなこと言ったら、京ちゃん自身のことを……傷付けるだけだから」

咲「ほら、判ってるんでしょ? 皆、ドッキリなんかじゃなくて――真剣な顔をしてるってさ」

咲「気付いてるけど、いきなり過ぎて認めにくかっただけだよね?」

京太郎「咲……」

京太郎「判ったよ……判った」

咲「うん」


咲「ところで、なんで彼女さんたちを入れなかったの?」

京太郎「え?」

京太郎「だって二人とも別に……付き合ってたって、言っただけだからな」

京太郎「そんだけだし……別に、そこは事実だし……」

京太郎「あの二人……変に巻き込んじゃうのも、悪いからな……」

咲「そっか」

穏乃「……」 ホッ

灼「……」 ドヤッ

咲「……って」

咲「国広さんに、小走プロに、私は巻き込んでもいいってこと?」

京太郎「あー」

京太郎「……悪い。ごめんな」

咲「……」

咲「別にいいけどさ……」




晴絵「――――お疲レジェンド&遅レジェンドー! いえーい!」



憧「は、ハルエ!?」

灼「ハルちゃん……!?」

宥「あ、赤土先生ぇ……?」

玄「赤土さん!?」

穏乃「あ、今晩は――じゃなくて、どうしたんですか?」

淡「ひぐっ、ひっく……酒臭っ」

照「……赤土プロ」

京太郎「……なんですか、師匠」

京太郎「いくら師匠でも……悪いけど今、これ以上酔っぱらいの相手をしてる暇は……」

晴絵「だってさ、酔わなきゃやってらんないんだから」

京太郎「?」


京太郎「何があったんですか?」

晴絵「ここだと……言いにくいんだけど………………まあ、酔っぱらってるしいいか」

京太郎「……?」

晴絵「あー、いやー、その……京太郎?」

京太郎「なんですか?」

晴絵「実は……あれから生理が来てないんだよね」

京太郎「え゛」

京太郎「それってつまり……」

晴絵「孕まさレジェンドってこと」

京太郎「……」 イラッ


晴絵「医者の診断書もあるんだけど……見る……?」

京太郎「……いや、結構です」

晴絵「……」

京太郎「……」

晴絵「あ、あのさ……」

京太郎「順番が逆になってるし、こんな場で言うのもどーかって話だけど――――結婚しましょう、晴絵さん」

晴絵「へ?」

晴絵「い、いや……でもさ。私、若い娘じゃないし……年上過ぎるし……」

京太郎「構わないっていうか、だからこそっていうかな……」

晴絵「え?」

京太郎「今も変な風に茶化しながら、内心不安なんですよね? 判りますよ、それぐらいは」

晴絵「で、でも……」

京太郎「そーいうとこ、可愛いと思います。二度も言わさないで下さいよ」

晴絵「京太郎……」


京太郎「んじゃ、そういうことだから……悪いな! 俺、抜けるわ!」

宥「はぁい」

照「……判った」

玄「……ええぇぇ」

穏乃「そ、そっか! お、男の子なら京太郎似で格好よくなるよね!」

灼「お、女の子ならハルちゃん似で可愛くなると思……」

憧「…………初恋の相手がデキ婚初恋の相手がデキ婚初恋の相手がデキ婚初恋の相手がデキ婚」 ブツブツ

淡「…………あはっ、きょーたろーとぷーるの約束してるんだったねきょーたろー遊びに行かなきゃきょーたろーきょーたろー」 ブツブツ


京太郎「ありがとうな、咲!」

京太郎「お前が先にああ言ってくれなかったら……俺、今、男として最低なとこ言うところだった!」

京太郎「ありがとう……ありがとうな、咲!」

咲「……幸せにね、京ちゃん」

京太郎「おう!」












玄「ねえ……よかったの?」

咲「何が……ですか?」

玄「だって、宮永さんも……京太郎くんのこと……」

咲「……」

咲「……いいんです」

咲「この先何があるか判らないですし……」

咲「京ちゃんがどんなに汚れても、最後に私の隣にいればそれで」

玄「……」

玄「……清澄の、ラオウ」


 なお、翌日、諏訪湖で冷たくなっている淡が発見され、吉村と村田は病院で静かに息を引き取った。

 

                                                             カン!

「清澄のラオウ」と「孕まさレジェンド」を言わせたかっただけやねん
くれぐれも地雷処理には気を付けよう!

じゃあ、また40分後くらいに

プールの約束は入水だから仕方ないよね

Q:どうしたら京太郎を落とせますか?
A:大勢でやるからドッキリだと思われんねん

それじゃあ、始めようかー
あ、Ifだからこんなノリになっただけで本編では地雷はこんな爆発しないし人も死なないから




【僕たちの歌/Life is SHOW TIME】



京太郎「……なんか、ひっでー夢」


 詳しくは覚えてないが、赤土晴絵とデキ婚をして、彼女が天寿を全うした後に宮永咲と再婚する夢だった。

 なお、大星淡は夭逝していた。吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った。

 大概、夢の内容というのは記憶してないが、この三つがやけに記憶に残っている。

 深層心理になんやらあるんだろうか。知らんけど。


京太郎(……まあ、楽しみ過ぎて眠れなかったしなぁ)


 久しぶり――そう、久しぶりに国広一たちに会えるのだ。

 遠足前の小学生のように気持ちが昂って、中々寝付けなかった。元々睡眠時間はあまり確保されていないが。

 なので、バイクでの移動の後、適当なSAで仮眠をとっていた。


京太郎「よし、行くか」


 夏休みはとうに過ぎ、国民麻雀大会も終わったある日のことだ。

 どうでもいいが、東横桃子とはバスケのウィンターカップを観に行く約束をしているし、花田煌とのデートの約束も消化されていない。

 南浦数絵からは祖父――南浦聡の元に顔を出せと言われているし、まあ、唯でさえ無に等しいオフは更にカッツカツ。

 あと、親戚の結婚式がいつぞやにあるんだったか。

 貧乏暇なしなんて言わないが、働けば働くほど貧しくなってる気がする。心とか。



 さて、到着しました龍門渕。

 長野の北信の方である。東京からバイクだとぶっちゃけダルい。小瀬川白望じゃないが。

 門は顔パス。

 なんか髪の紅い中々おもちな門番さんが眠ってた気がするが多分幻影なので無視。ここにはPADちょ――弘世菫はいない。


京太郎「……」


 どうでもいいが、京太郎は弘世菫のことをPAD長などと呼ぶ気はない。

 弘世菫というのは、完全で瀟洒な部長で先輩である。

 時々、真面目さ故に思い込んだり勘違いしたり、意外なところでお茶目なボケ方をするが、基本的に誠実で面倒見がいい誇らしい先輩なのだ。

 しかも師匠だし。


一「君は須賀京太郎だね?」

京太郎「そういう君は、国広一」

ハギヨシ「いらっしゃいませ、京太郎くん」

一「紹介するよ! ボクの愛犬で、ハギーっていうんだ!」

ハギヨシ「は?」

一「……ほら、早く」

ハギヨシ「いえ、何を……」

一「ハギヨシさんが駆け寄ってかないと、京太郎くんが続きできないじゃないですか」

ハギヨシ「……」

一「……」

京太郎「……」


 ここは……。


京太郎「『キング・クリムゾン』ッ!」

一「ハ、ハギィィィイ――――――!?」

一「なっ! 何をするだァ――――! 許さん!」

京太郎「俺は犬が嫌いだ! 怖いんじゃあない! 人間にへーこらする態度に虫酸が走るのだ!」

京太郎「いいか? これからは俺に――」

ハギヨシ「……あの」

京太郎「なんですか、ハギヨシさん?」

一「そうだよ、今、いいとこなのに……」

ハギヨシ「いえ……差し出がましい真似をしてしまって、大変恐縮の至りではありますが……」

ハギヨシ「京太郎くんの荷物を国広さんが拾いに行って、手を捻られるシーンが抜けてませんか?」


 ……あ。


一「これは盲点だった……」

京太郎「さすがはハギヨシさんだ……! 正に、パーフェクトっすよ!」

ハギヨシ「いえ、私はあくまで執事ですので」

ハギヨシ「……いや、ここは」

ハギヨシ「『……やれやれだぜ』」

京太郎「うおー、ASBの承太郎の声だ!」

一「流石だよねー。これでボクたちのジョジョごっこも先に進めるからさ」


 笑いながら、手を叩きあう。

 こういうノリは――――高校生のあの頃から、変わってない。


一「おかえり、京太郎くん」

京太郎「ただいまです、一さん」

ハギヨシ「…………そこはメイドとしては、いらっしゃいと言うべきじゃないかと」

一「あはは……まあ、久しぶりってことで」


 ・
 ・
 ・


純「おっす、須賀」

京太郎「どうもどうも、純さん。……あとこれ」

純「おっ、まさかの……」

京太郎「タコスっすよ、ハイ。作りたてが良かったんですけどね……」

純「いやいや、いいっていいって! サンキューな!」

京太郎「まあ、ハギヨシさんに教えてもらったから……ハギヨシさんの方が上手いんじゃないかと思いますけど……」

純「いやー、でも、ヨッシーは日常的にタコス作ってる訳じゃないだろ?」

純「で、少なくとも高校の頃……タコス娘に作ってた分、須賀の方がなー」

京太郎「そうっすか?」

純「そうそう。そうなんだよ」

純「いやー、なーんかあの2年のときのインハイからタコスに嵌まっちまってなー」


 ガブリと、タコスに食らいつく井上純。

 それでいて食べこぼしたり、口の端にソースを付けないあたりが、流石だと思う。

 やっぱり女性である。いや、今も昔も――――というか今は尚更。


 タイトなファッションはそのままだが、銀髪を伸ばして肩にかかるかかからないか位に下ろしてある。

 日本人離れした、モデルのようなスタイルだ。

 硬質ナイフのような美貌――というべきか。

 異性も同性も見惚れさせるような、凄味のある美貌だ。


純「で、あれはどーだ?」

京太郎「えっと、あれって……?」

純「亜空間殺法だよ。教えたよな?」

京太郎「あー」

京太郎「そもそも……俺、運とか流れとかがちょっと……」

純「判らないんだったっけ。ま、なら仕方ないか」


一「なーんて言って、純君結構気にしてるんだよねー」

純「ちょ、国広君――」

一「『亜空間殺法を使いこなせればもっとだいぶ上に行けるのにな』とか……」

一「『あーあ、オレも京の字の師匠って面してみてーなー』とか、言っちゃったりね」

純「あー」


 バツが悪そうに片手で顔を覆うと、待ったとばかりに逆側の手のひらを向けてくる。

 よく言えば竹を割ったようで、悪く言えばガサツそうな井上純であるが――――実はこういう面があるってところを、内心可愛いと思っている。

 美形で可愛いとは、なんともお得な人なのだ。


純「なにも、バラさなくてもいいだろ……バラさなくても」

一「いやー、試合の中継であれだけ騒がれたら……ねえ?」

ハギヨシ「ええ、透華お嬢様も『これでは解説が聞こえませんわ!』とご立腹でしたね」

純「あー、勘弁してくれよ」


 お手上げ、と手を翻して波打たせる。

 そこで、また笑いが生まれた。アットホームな職場というか、まさにアットホームである。この職場は。


京太郎「麻雀プロ駄目になったら、いっそここで雇って貰うのもアリだよなぁ」

純「まあ、アリだよな。アリだけど――」

京太郎「だけど?」

純「お前に限って、駄目にはならないって」

京太郎「純さん……」



一「……なーんて、一番ハラハラしながら見てるのにね」

純「ちょ、国広君!?」

京太郎「ハハハ」


 本当に……。

 本当にこの家って……優しくて、暖かいんだよな……。


京太郎「あ、沢村さんは?」

一「ん、ともきー?」

純「智紀ならさっきまでその辺りに居たような……って、あれ? ヨッシーも……?」


 直後、何かの激しい足音が聞こえてきて――――


ハギヨシ「このメモリースティックは没収です」

智紀「ああああ……それは……」

ハギヨシ「駄目ですよ、沢村さん」

智紀「ううう……酷い……」

ハギヨシ「僅かながらとは言え、完全に二人の死角を突いたのは尊敬に値しますが――――ツーショットなどを撮ってどうするおつもりで?」

智紀「……」

智紀「……聞きたい?」

ハギヨシ「……ッ」 ゾクッ

ハギヨシ「い、いえ……結構です……」


 あれ、あの人あんな速さで動けるんだっけな、と目をしばたたかせる。

 ちょっと、イメージとそぐわない。

 相変わらずの黒髪ロングの前髪パッツンであるが、眼鏡には気を使っているのか、以前のそれよりもデザイン性が高い。

 フレームは細身で、見方によっては寡黙ながら有能な秘書兼エンジニア――のようである。


智紀「……あ」

智紀「いらっしゃい」

一「……いや、ともきー、今更平静を装ってもさ」


京太郎「えーっと、お邪魔してます……沢村さん」

智紀「……」

智紀「……おかえり」


 あとこれ、とディスクを手渡される。

 今日会うことが判っていたので、予めネットで牌譜集めを頼んでおいたのだ。

 近頃の――というか夏休みのあの異様な忙しさと言ったらなかったので――最近、手が回り切らないところがあった。


京太郎「じゃあ、これ……中野で言われたの買ってきました」

京太郎「あと、ケーキ。ここの奴……前に食べたいって言ってたって聞きましたんで」

智紀「……ありがとう」


 ぺこりん、とご丁寧にお辞儀をされる。

 暗いとか、じめっぽい――――という印象は持たない。彼女は、寡黙なだけで根は明るい。

 ただ、言葉で表現するかどうかの違いである。

 ……尚更、先ほどの全力疾走が不思議でならない。夢でも見ていたのだろうか。


京太郎「えーっと……あれ?」

智紀「?」

京太郎「なになに……『須賀プロが泣きながら川越シェフにボレーシュート決めてる画像集』……?」

智紀「!?」 バッ

京太郎「うおっ」

智紀「……ふう」

京太郎「あの、沢村さん……今のは……」

智紀「ニンジャは実在しない。いいね?」

京太郎「アッハイ」


 なんだ今の速度

 ……やっぱ、夢じゃなかったのかも。

須賀プロが麻雀している画像下さい!

>>904マジで悪質なコラ画像扱いされそうだから困る


智紀「ごめん、こっちだった」

京太郎「あ、そうですか……ハイ」

京太郎「えーっと…………『須賀プロが大雀蜂に変身しながらすこやんにカウンター貰いつつあわあわが涙目になってる画像集』……?」

京太郎「あの、これ――」

智紀「!?」 バッ

智紀「間違った。こっち……」

京太郎「ああ、はい」


京太郎「『須賀プロが咲ちゃんにシャイニングウィザード食らわされながら照英の前に料理を出してる画像集』……?」

智紀「!?」 バッ

智紀「こっち……」


京太郎「『須賀プロがチャック・ノリスのコピペを再現してる画像集』……?」

智紀「!?」 バッ

智紀「こ、こっち……」


京太郎「『小走プロが照英をガードベントしてベノ川越カーと一緒にライダーにファイナルベントしてる画像集』……だって……?」

智紀「!?」 バッ

智紀「ち、違った……」


京太郎「『姉帯さんが進撃にでたらスレの支援画像集』……?」

智紀「!?」 バッ

智紀「こ……っちの、方」


京太郎「『エイちゃんが各漫画で「イザナギだ……」してる画像集……』」

智紀「!?」 バッ

智紀「……こっ、ち、だった」


京太郎「『プロ雀士が地球生物ベースに変身して麻雀してる画像集』……?」

智紀「!?」 バッ

智紀「こ、こ……れ……っ」


一「ともきーは、少し落ち着いたほうがいいと思う」


寝乙じょう神

スッガは愛されてるからなー(肉棒)

まあテラフォもその口の作品だし、濃口の作風を読むのも書くのも好きそうですし
もう少し薄味が良いのはわかるけど合わないなら仕方ないね

エイスリン「スッガは犠牲となったのだ……古くから続くミンチの因縁、その犠牲にな」

エイスリン「オレオ」

エイスリン「仲間一人救えねェ奴がプロになんてなれるかよ」

スッガ「」グサッ

テッル「宮永は雀卓にて最強」

憧「お体に触りますよ…」

(天井って何ですか)


京太郎「世界中の誰もがオカルト持ちを化け物だって否定しようと、俺は絶対に妥協しない」

こわい(小学生並みの感想)

真面目な考察してくれてんのはおもろいなー。一応闘牌に力入れて書いてるし(ルーキーズより上テニヌ未満黒子並みのはっちゃけで)
まあ、議論は楽しいけど荒れん程度にな

とりあえず、

・M.A.R.S.ランキングは咲本編の運要素の強いインハイルールに慣れ親しんだ奴用
・奨励会やユースにあたるセミプロ→プロコースもある
・京太郎は運が常人並み(10)の技術特化(60)で不運を補うスタイル
・運と技術のゲームステでのレートが運1=技術2
・なので、運がインハイ常人トップ(20)あれば技術はあんまりいらないでステは京太郎になる

ってとこは言っとく故

それと、運+技術=特性は

・小走やえ
・辻垣内智葉
・弘世菫

という、技術が上な京太郎よりランキング上のお歴々がいるのでまあ


次スレ立ててくるのでお待ちを

【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第29位【アラフォーマーズ】
【安価】京太郎「プロになったはいいけれど……」 第29位【アラフォーマーズ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1391513849/)

ほい次スレー

咲に関しては天使と大天使で被っててアレだったんで、公式書店ポスターの『爆ぜる報仇の女王』ってステッキーな方を導入させて貰いました
今週か来週でステッキーな二つ名が出たら変更しますゆえ

りゅーかは、描写からはそうは見えないけど原作で「関西最高平均素点」設定だったので8位
ネキやセーラよりも上なんだよね、りゅーか。まさにシャコ

こっちはなんか埋めようかね。3~5程度のネタでもやって

>唐突だが登場キャラ1名

↓3

登場してねーよ!無理だよ!ズレるよ!

じゃあのどっちなー


in大学


和「ところで、須賀くん」

京太郎「ん?」

和「憧とは本当に何もないんですか?」

京太郎「え」

京太郎「いや……うーん、いいのかな、これを言って」

和「ぜひ、聞きたいですね」

京太郎「意外だな……和がそんなに食い付くなんて」

和「それは、まあ、年頃ですので……」

京太郎「……」

和「何か?」

京太郎「いや、なんでも……」

和「そうですか?」

京太郎「あ、ああ……」

京太郎「それとも――――」

京太郎「も、もしかして俺の異性関係気になるの……か?」

和「いえまったく」

京太郎「……あ、そう」

和「何か?」

京太郎「いや……別に……」

和「?」


京太郎「いやー、なんていうかさ……」

和「はい」

京太郎「こう……あいつ、その、可愛いだろ?」

和「はい。ちょっとビックリするぐらい、変わっちゃいましたね。お洒落になって……」

京太郎「その、いや……昔は知らないからなんとも言いようがないけど」

京太郎「まあ、あいつ……美人だよな? 普通に可愛いって言うかさ……」

和「はい」

和「ですが……意外ですね」

京太郎「ん?」

和「須賀くんが、憧のことをそんな風に評価してるなんて……」

京太郎「う……」

京太郎「こ、これは憧にナイショにしといてくれよ! な!」

京太郎「あいつ絶対調子に乗ってそのことネタにしてくるから、頼む! なあ、本当!」

和「ふふ……」

和(憧と同じことを言ってますね、須賀くんも)

京太郎「笑ってないで、頼む! お願いしますよ、和さま!」

和「さて、どうしましょう?」


和「まあ、須賀くん次第ということで……」

京太郎「あー、カフェテリアでなんか奢るからさ!」

和「なんて、冗談ですよ。そんなことする風に見えますか?」

京太郎「あー……」

和「須賀くん……?」

京太郎「……わりと見えるかも」

和「もう!」

和「酷いですよ、そんな風に見てたなんて!」

京太郎「い、いや……その、悪い意味じゃなくてだな!」

京太郎「その、なんか、前と違って和は悪戯っぽくなったよな……って」

和「悪戯っぽく、ですか?」

京太郎「いや、本当悪い意味じゃないんだ! むしろ、もっと親しみが持てるって言うかさ!」

和「……ふむ」

和「まあ、そう言われるなら悪い気はしませんが……」

京太郎「よかった……」



和「ところで、憧とは?」

京太郎「え゛」

和「話を逸らそうとしても、駄目ですよ?」

京太郎「あー……」


京太郎「実はさ、この間コンパみたいのがあって……憧と行ったんだけどさ」

和「はい」

京太郎「あいつ、例によって人見知りするだろ? やっぱり、男に話しかけられてテンパってたんだよ」

京太郎「まあ、フォローはしたんだけど……」

京太郎「やっぱり、怖かったからか知らないけど……飲みすぎちまったみたいで……」

和「ふむふむ」

京太郎「終電逃すし、皆がそうしろって言うから俺が憧を送ってったんだよ」

和「そ、それで……!」


京太郎「とりあえずまあ、朝までカラオケ行くかって話になって……個室入って」

京太郎「……」

京太郎「言わなきゃ駄目か?」

和「はい。証人喚問ですから、虚偽のないように」

京太郎「……いつからここは法廷になったんだよ」

京太郎「……」

京太郎「あー」

京太郎「いや、俺は別に軟派とかそんな訳じゃないし、いつでも変なこと考えてる訳でもないし紳士的なんだけど――」

和「須賀くん」

京太郎「はい?」

和「いいから、続きを」

京太郎「アッハイ」

>>1000なら
辻垣内組に入り浸っていたらいつのまにかヤクザ界隈で超新星ヤクザSの噂がたってしまった須賀プロ

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