絵里「あら? まだ海未しか来てないの?」 (102)

海未「あ、絵里。穂乃果は先生に呼び出されて、ことりはその付き添いです」

絵里「そう。海未は二人と一緒に行かなかったのね」

海未「私は新曲の作詞を進めたかったので」

絵里「へー、珍しい」

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海未「珍しいですか……? 私はいつも作詞していますが…」

絵里「ああ、いや、そういうことじゃなくて。海未が二人と一緒じゃないなんて珍しいなってこと」

海未「そんなに四六時中一緒ではありませんよ」

絵里「そうかしら。あなたたち三人はいつも一緒にいるイメージがあるけど」

海未「まあ幼馴染ですし、多少は……」

海未(ここはやはり愛してるとか、ストレートな歌詞の方がいいでしょうか…)カリカリ

絵里「それにしても海未と二人きりなんて久しぶりね」

海未「そういえばそうですね。絵里がμ'sに入ってからは初めてです」

海未(いや、やっぱりこのフレーズはなしにして…)カリカリ

絵里「なかなか二人になれることってないから嬉しいわ」

海未「そうですね」

海未(あ、これはいい感じな気がします)カリカリ

絵里「…ところで今度の新曲はラブソングなの?」

海未「そうですが……よく分かりましたね」

絵里「だって私の席から、海未の手元にある紙、丸見えだし」

海未「か、勝手に見ないでください!///」バッ

絵里「いいじゃない。どうせ完成したらみんなに見せることになるんだから」

海未「それでも作業過程を見られるのは苦手なんですっ」

絵里「はいはい、悪かったわ。それにしても、海未の歌詞って、いつも可愛らしいというか、甘い感じよね」

海未「……私のキャラにあっていないことは重々承知しています」

絵里「いや、別にバカにしたわけじゃなくて……。そういう歌詞考えるときって、やっぱり誰かのことを思い浮かべてたりするのかなぁって」

海未「誰かのことを…?」

絵里「うん。……ラブソングとか、好きな人のこと考えながら書いた方が、筆も進みそうだし」

海未「えっと……」

絵里「」ドキドキ

海未「正直、その発想はなかったです」

絵里「」ガクッ

絵里「ま、まあ、海未らしいといえば海未らしいわね…」

海未「それは褒められているのでしょうか」

絵里「海未は好きな人とかいないの?」

海未「考えたこともありませんね」

絵里「海未って時々、びっくりするくらい女子高生らしくなくなるわよね」

海未「世の女子高生がみんな恋愛に興味があるわけではないですよ」

絵里「つまらないわ」ムゥ

海未「つまらなくて結構です。
   そもそも、そういう絵里はいるんですか?」

絵里「好きな人?」

海未「はい」

絵里「気になる?」

海未「少し」

絵里「そう……まあ、海未にだけは教えないけど」

海未「……もしかして絵里は私のことが嫌いなんですか?」

絵里「そんなわけないじゃない。私、嫌いな人とは話したくもない派だもの」

海未「ならいいのですが…」

海未(って、こんな話をしてる場合じゃありませんでした……早く詞を完成させなくては)カリカリ

絵里「ねえ海未」

海未「なんですか?」カリカリ

絵里「海未は誰かと付き合いたいとか思ったことないの?」

海未「」ボキッ

絵里「シャー芯、折れたわよ」

海未「分かってます」カチカチ

海未「というか、いきなりなんなんですか。今日の絵里は妙なことばかり言いますね」

絵里「誰もいなくて暇だからよ」

海未「だからといって、何も恋バナなんてしなくてもいいでしょう」

絵里「せっかく海未と二人きりなんだし、今までしたことのない話をしようと思って」

海未「そういう話は、穂乃果たちとやってください」

絵里「穂乃果たちはダメよ」

海未「何故ですか?」

絵里「聞きたくないことを聞いちゃうかもしれないもの」

海未「聞きたくないこと…?」

絵里「鈍感な海未には分からないでしょうけどね」

海未「…やっぱり私のこと嫌ってません?」

絵里「嫌ってないってば。むしろ海未のこと大好きよ」ニコー

海未(うさんくさい…)

絵里「ね、それよりさっきの質問の答え、まだもらってないんだけど」

海未「質問?」

絵里「誰かと付き合いたいって思ったことないの?」

海未「…………、…ないですね」

絵里「今の間はなに?」

海未「ちょっと真剣に考えてみただけです」

絵里「そう。……ねえ海未」

海未「なんですか?」

絵里「私はあなたと付き合いたいって思ったことあるわよ」

海未「…………、はい?///」

絵里「すっごい間抜けな顔してるわよ」

海未「だ、誰のせいだと思ってるんですか!///」

絵里「ごめんなさい。そんなに驚くとは思わなかったから」

海未「誰だって驚きますよ……まったく…絵里もそういう冗談を言うんですね」

絵里「冗談?」

海未「ええ。ああいうことを言うのは穂乃果とことりくらいだと思ってましたよ」

絵里「ふーん……あの二人にも似たようなこと言われたことあるの?」

海未「まあ、ちょくちょくと……。あまり人をからかわないでほしいです」

絵里(多分からかったつもりはないと思うけど…)

絵里「ねえ海未」ガタ

海未「…なんですか?」

海未(急に立ち上がって…)

絵里「海未は私と付き合える?」

海未「で、ですからそういう冗談は嫌いだと…」

絵里「冗談じゃないって言ったらどうするの?」

海未「え?」

絵里「海未」ギュッ

海未「ええええ絵里!?///」

絵里「こうやって抱きしめるのは初めてね」

海未「そ、そうですね…! ではなくて、何故急に…///」

絵里「あのね、海未」ギュー

海未「!///」

絵里「私ね、本当に海未のことが……」


ガチャ


にこ「遅れてごめーん! 真姫ちゃんの足が遅くってー」

真姫「ちょっと! なに人のせいにしてるのよ!」

ドンッ、バンッ、バタンッ

海未「に、にににににこ! それに真姫! 遅かったですね!///」

にこ「? なんかあんた顔赤くない?」

海未「き、気のせいですよ!///」

真姫「というか、なんで絵里はあんなところで倒れてるの?」

海未「さ、さあ? 足でももつれさせたんじゃないですか?」

真姫「はあ……? 絵里、大丈夫?」

絵里「え、ええ、なんとか」

絵里(海未に思い切り突き飛ばされた……)

にこ「ま、どうせあんたがなんかしたんでしょ」

絵里「失礼ね……私は変なことはしてないわよ。ね、海未」

海未「……」

絵里「無視された…」

にこ「やっぱり何かしたんでしょ」

穂乃果「なになに? 海未ちゃんと絵里ちゃん、なにかあったの?」

にこ「それが私にもよく分からないんだけどね……って、あんたいつの間に!?」

穂乃果「ついさっきだよー。廊下で凛ちゃんと花陽ちゃんと希ちゃんと合流したから、これで全員集合だよね?」

真姫「一気に集まったわね」

凛「というか、真姫ちゃんひどいにゃー。凛とかよちんおいて、さっさとにこちゃんと行っちゃうなんてー」

真姫「り、凛がとろとろしてたからでしょ」

凛「えー! 凛、帰り支度だけは誰よりも早いって先生に褒められたことあるんだよ!?」

ことり「それって褒められてるのかな…」

希「まぁまぁ凛ちゃん。真姫ちゃんはにこっちと二人の時間を少しでも増やしたかっただけなんや。許したげて」

真姫「なに言ってんのよ希!///」

にこ「もー真姫ちゃんってばー、本当にこのこと好きなんだからー」

真姫「だから違うってば!///」

凛「まー凛はかよちんさえいればそれでいいんだけどねー」

花陽「り、凛ちゃん…///」

希「あーあ、みんな仲良くてええなぁ……ことりちゃん、いっそウチと付き合わへん?」

ことり「ええっ!? いや、あの、ことりは、その、ええっと…!///」

希「いや、冗談やから。そんな慌てんでも」

ワイワイ

絵里「なんか急に騒がしくなったわね」

海未「そうですね……って絵里、いつの間に隣に…」

絵里「ねえ海未。さっきのこと、気にしないでね」

海未「え、あ…」

絵里「あれ、冗談だから」

海未「……私、ああいう冗談は嫌いだと、何度も…」

絵里「ごめんごめん。照れる海未が可愛くてつい、ね」

海未「か、からかわないでください!///」

穂乃果「…なんか、海未ちゃんと絵里ちゃん、随分仲良しだね」ジトー

海未「ほ、穂乃果!? いえ、決してそんなことはなくてですね…!」オタオタ

絵里(そんな必死に否定する方が逆に怪しいと思うんだけど……まぁいっか)

穂乃果「ふーん……。ねー海未ちゃん」

海未「は、はい、なんですか?」

穂乃果「今日の放課後、海未ちゃんの家に寄っていい?」

海未「え? いいですけど……なにか用ですか?」

穂乃果「用がなきゃ行っちゃダメなの?」

海未「いえ、そういうわけでは…」

海未(何故か穂乃果の機嫌が悪い…)

穂乃果「じゃぁ約束ね! えへへ、楽しみだな~」ニコニコ

海未(と思ったけど、そうでもない…?)

絵里「いいわね、海未の家。私も行きたいわ」

海未「え、えぇっ!?」

絵里「冗談よ。そんなに嫌がらなくてもいいじゃない」

海未「い、いえ、嫌がったわけではなく……ただ、恥ずかしいというか…その…///」

絵里(可愛い)

穂乃果「…」ムゥ

にこ「ちょっとあんたら! さっさと練習はじめるわよ!」

絵里「あ、ごめんなさい、すぐ行くわ。
   じゃぁ海未、穂乃果、行きましょ」タッタッ

海未「あ、はい……って、穂乃果? 行かないのですか?」

穂乃果「……今日の海未ちゃん、なんか変」

海未「変?」

穂乃果「絵里ちゃん相手に赤くなったりして…」

海未「あ、赤くなどなっていません」

穂乃果「……海未ちゃんは穂乃果のなんだからね」ボソッ

海未「え?」

穂乃果「絶対絵里ちゃんには負けないんだから! もう、早く行くよ、海未ちゃん!」グイグイー

海未「ちょ、ひ、引っ張らないでください! というか穂乃果、今なんて言ったんですか?」

穂乃果「おしえない!」

海未「何故ですかっ」





穂乃果「海未ちゃんの家、久しぶりー」

海未「そうですね。ただ、ことりが用があって来れなかったのは残念ですが」

穂乃果「そうだねー。まぁ私は海未ちゃんと二人でも全然…というより、むしろ二人のほうが」

海未「あ、今お菓子持ってきますね」

穂乃果「う、うん」

穂乃果(スルーされた……というか、聞いてなかったのかな…)

穂乃果(……海未ちゃんの部屋、相変わらずきちんと整理されてて綺麗だなぁ……女子高生っぽくはないけど。
    あ、これ海未ちゃんのパジャマ……すごいきっちり畳んであるなぁ。海未ちゃんのパジャマ…)

ガチャ

海未「お待たせしました……って、何をしているんですか? それ、私のパジャマですよね?」

穂乃果「えっと…あ、はは……いや、海未ちゃんのパジャマ可愛いなぁって思って!」

海未「そうですか? シンプルなものなので、別に可愛くはないと思うんですが…」

穂乃果「いや、可愛いよ! 海未ちゃんに似合ってるし、いい匂いもするし!」

海未「に、においって…///」

穂乃果「あ! いや、変な意味じゃなくてね? 海未ちゃんの匂いはその、かいでると落ち着くというか、その…」

穂乃果(私さっきからなにを口走ってるんだろ…)

海未「……穂乃果こそ、今日はなんだか様子がおかしくありませんか?」

穂乃果「い、いや、私は別に…」

海未「まあ、とにかく落ち着いて。お菓子でも食べてください」

穂乃果「あ、うん……って、なんでほむまんなの!?」

海未「美味しいですよ」

穂乃果「知ってるよ! うちのだもん!」

海未「まあまあそう言わずに、一つ」モフッ

穂乃果「まさか海未ちゃんの家に来てまで食べることになるとは思わなかったよ…」モグモグ

海未「パジャマの話ですが、私は穂乃果のパジャマも穂乃果に似合っていて可愛いと思いますよ」

穂乃果「か、かわいいって……そんなことないよ」

海未「自分では気づいていないだけですよ」

穂乃果「もー海未ちゃんってば…///」

海未「あ、そういえば新曲のことなんですけど」

穂乃果(なんて唐突な話題変更…。海未ちゃんにとっては今の褒め言葉も世間話の一つでしかないんだろうなぁ…)ガックリ

海未「一応の歌詞が出来上がったんですが、見てもらえますか?」

穂乃果「うん、いいよー」

海未「では、お願いします」

穂乃果「はーい。ふむふむ………、相変わらず海未ちゃんは乙女だねー」

海未「そこはかとなくバカにされている気がするんですけど」

穂乃果「いやいや褒めてるよ? ラブソング書かせたら日本一!」

海未「やっぱりバカにしてますよね…。今日、絵里にも言われましたが、私の歌詞ってそんなに変ですか?」

穂乃果「変ではないよ……って、ん? 絵里ちゃんに言われたの?」

海未「ええ。私の歌詞は甘いと。個人的にはそんなことないと思うんですが…」

穂乃果「ふーん……じゃぁ私より先に絵里ちゃんに歌詞見せたんだ」

海未「え? いえ、見せたわけでは…」

穂乃果「ていっ」ギュッ

海未「ほ、穂乃果?」

穂乃果「私、海未ちゃんがどっかにいっちゃったら泣いちゃうからね」

海未「どこかって、何を言って…………あ、もしかして、絵里に嫉妬しているんですか?」

穂乃果「…そうだよ。悪い?」ギュ

海未「いえ…むしろ嬉しいです」

穂乃果「嬉しいって…海未ちゃん、私のことなんだと思ってるの?」ムー

海未「大切に思ってますよ。だからこそ嬉しいんじゃないですか」

穂乃果「………大切?」

海未「はい。大切な幼馴染です」ナデナデ

穂乃果「……海未ちゃんはズルいよ」

海未「?」

穂乃果(…まぁ、今はまだ幼馴染でいっか)




穂乃果「みんなー、おっはよー!」ガチャッ

凛「穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん、おはよーだにゃー」

にこ「おはようって、もう昼過ぎだけどね」

穂乃果「今日初めて会うときは何時だろうとおはよーって言いたくなるんだよー」

凛「そうだにゃー。にこちゃんは分かってないなー」

にこ「分からなくて結構よ」

凛「なにをー、にこちゃんのくせにー」

にこ「あんた、にこが先輩だってこと忘れてない?」

穂乃果「μ's内では先輩禁止でしょ?」

にこ「そりゃそうだけど、少しは敬いなさいよってことよ」

ほのりん「「にこちゃんを敬えって言われても…」」

にこ「なんですって!?」

海未(あの三人は相変わらず同い年のように気が合いますね)

絵里「海未、おはよう」

海未「絵里、おはようございます」

絵里「穂乃果たちは今日も元気ね」

海未「そうですね」

絵里「……ねえ海未」

海未「はい?」

絵里「昨日は穂乃果と二人で遊んだの?」

海未「ええ。まあ、遊ぶというよりは二人でダラダラと過ごしていただけですが」

絵里「…それだけ?」

海未「…それ以外に何かあるんですか?」

絵里「ううん、なんでも。安心したわ」

海未「?」

ことり「うーみちゃんっ」ガバッ

海未「ひゃっ……って、ことり? 急に抱きつかないでください…ビックリしてしまいます」

ことり「ごめんごめん。それより二人とも、早く行かないと練習始まっちゃうよ?」

海未「え?」

花陽「海未ちゃーん、絵里ちゃーん、早く行かないと、にこちゃんが怒っちゃうよー」

凛「そうだにゃー」

海未「あ、はい! 今行きます!」タタッ

海未(いつの間にみんな出て行ったんでしょう……)

絵里「私たちも行きましょうか」

ことり「うん。……あ、そうだ絵里ちゃん」

絵里「なに?」

ことり「海未ちゃんは渡さないからね」ニコ

絵里「…」

ことり「海未ちゃーん、待ってよー、一緒にいこ!」ギュッ

海未「きゃっ…だ、だからいきなり抱きついたら危ないですよ」

ことり「えへへ、ごめんね」

海未「もう…」

絵里「ライバルが多くてくじけそうになるわね……」ハァ…



ガチャ

海未「あ…」

絵里「あら。また海未一人?」

海未「ええ。穂乃果が日直で、ことりはその付き添いを」

絵里「で、海未は作詞と」

海未「はい。まさかまた絵里しかいないとは…」

絵里「あら、私だけじゃ不満?」

海未「そういうわけではないですけど…希は?」

絵里「クラスメイトに呼び出されてたわ」

海未「にこは?」

絵里「真姫と仲良くゆっくりこっちに向かってるわ」

海未「あの二人仲良いですね…」

絵里「私も海未とそういう仲になりたいわ」

海未「では、作詞を始めます」

絵里「無視された…」

海未「…」カリカリ

絵里「ねえ海未」

海未「なんですか?」カリカリ

絵里「穂乃果たちとは長い付き合いなのよね?」

海未「はい。かなり」カリカリ

絵里「仲良いわよね」

海未「まあ、それなりに」カリカリ

絵里「そっか」

海未「……」カリカリ

絵里「……」

海未(今の会話になんの意味があったのでしょうか…)カリカリ

絵里「穂乃果って可愛いわよね」

海未「そうですね」

絵里「ことりは?」

海未「可愛いですよ」

絵里「じゃあ、私は?」

海未「可愛いと思いますよ」

絵里「…そう」ニヘ

海未(可愛い……って、そうじゃなくて、早く誰か来てください…)ハァ




絵里「あ、海未、穂乃果、ことり。おはよう」

ことほの「「絵里ちゃん、おはよー」」

海未「おはようございます、絵里」

穂乃果「廊下で会うなんて珍しいねー」

絵里「そうね。三人は…移動教室の最中かしら」

ことり「うん。次は音楽だから、早めに音楽室に向かおうかなって」

絵里「そう。授業、頑張ってね」テクテク

穂乃果「うん、まったねー」ノシ

海未「…」

ことり「…海未ちゃん? 絵里ちゃんのほう眺めて、どうかしたの?」

海未「あ、いえ、なんでも」

ことり「ならいいんだけど…」

穂乃果「海未ちゃんってばひょっとして絵里ちゃんに見惚れてたのー?」

海未「そ、そんなことあるわけないじゃないですか!///」

穂乃果「冗談で言ったのに……赤くなったら本当に見惚れてたみたいじゃんっ」ポカッ

海未「いたっ……くはないですが、何故叩くのですか」

穂乃果「海未ちゃんのバカ」

海未「訳がわからないです…」

ことり「ふ、二人とも、とりあえず音楽室にいこ?」




絵里「さっき海未たちと会ったの」

にこ「…それを私たちに言って、どんな反応がほしいわけ?」

絵里「いや、別に。ただ、相談にのってもらいたくて…」

希「えりちがウチらに相談なんて珍しいなぁ」

絵里「私ね、今気になる人がいるの」

にこ(名前を伏せるってことは、まさかバレてないと思ってるのかしら)

希(バレバレなんやけど……まぁ、話合わせよか)

希「で、その好きな人がどうしたん?」

絵里「この間、勇気を出して告白してみたの」

希「おー。それで?」

絵里「でもいざとなったら勇気がしぼんじゃって……告白を冗談ってことにしちゃったの…」

にこ「あんた、変なとこでヘタレね」

絵里「半分はにこのせいじゃない」

にこ「なんでよ!?」

希「で、えりちはどうしたいん?」

絵里「……もう一回、告白したいんだけど、タイミングがつかめなくて…」

にこ「適当に屋上にでも呼び出せばいいんじゃないの?」

絵里「勇気がなくて…」

にこ「じゃぁ諦めなさいよ」

絵里「それで他の人にとられたらどうするの!?」

にこ「知らないわよ! 勇気出すか、とられるの我慢するかしかないでしょ!」

希「せやねぇ……そこはえりちが頑張らなあかんわ」

絵里「……そうね」グッ

絵里「私、頑張って海未に告白するわ」

にこ「ま、頑張りなさいよ」

希「えりち、ファイトやで」

希(海未ちゃんの名前出てもうたけど、ええんやろか)

希「あ、そうや。えりち、これあげるわ」ペラ

絵里「なにこれ? 映画館の無料券?」

希「そ。映画のペアチケット、知り合いからもろたんやけど、ウチにはそういう相手いいひんし」

絵里「ありがとう、希! 私頑張る!」

希「うん。あ、ついでににこっちにもあげるわ。二枚」

にこ「へ? あ、ありがと……って、なんで二枚?」

希「一枚はにこっちの妹さんたちの分。もう一枚は真姫ちゃんとどうぞ」

にこ「な、なんで真姫ちゃんとなのよ」

希「だって、にこっち達ラブラブやん」

にこ「ラブラブじゃないわよ! ただ真姫ちゃんがにこのこと好きなだけで……私の方は別に…///」

希「あーはいはい。えりちはあの二人みたいにならんと、ちゃちゃっと勝負つけてな」

絵里「ぜ、善処するわ」




絵里「海未」

海未「あ、絵里も今から部室ですか?」

絵里「ええ。…海未、一人なの?」

海未「穂乃果が教室に忘れ物をしたので」

絵里「海未は行かなくてよかったの?」

海未「構わず先に行け、とのことでしたので」

絵里「それはなんというか……謎ね」

海未「まあ、穂乃果の言動はいつも訳がわからないですから。せっかくですし、一緒に行きましょうか」

絵里「ええ。……あー、その、海未、今度の土曜日は暇?」

海未「いえ、部活です」

絵里「じゃあ、日曜日は?」

海未「その日は穂乃果たちと遊ぶ約束が」

絵里「」ズン…

海未「ど、どうかしましたか? 急に暗いオーラが…」

絵里「えっと……実は映画のペアチケットをもらったから、海未と一緒に行きたくて……」

海未「映画ですか? 来週の土曜日なら空いていますが……私でいいんですか?」

絵里「もちろん。海未じゃなきゃ意味ないもの」

海未「意味ない?」

絵里「あ、いや、何でもないわ、ごめんなさい」

海未「? 土曜日、楽しみにしてますね」ニコ

絵里「え、ええ、私も楽しみにしてるわ…///」




穂乃果「うーみーちゃんっ」

海未「ほ、穂乃果? どうしたんですか? 今日は遊ぶ約束してませんよね?」

穂乃果「うん、ただ暇だから一緒に遊びたいなーって……って、あれ? 海未ちゃん、どこか出かけるの?」

海未「あ、はい……その、ちょっと約束がありまして」

穂乃果「そっかー。じゃぁことりちゃんと遊ぶことにするよ」

海未「ごめんなさい。せっかく来てくれたのに」

穂乃果「ううん。……あのね、一つだけ聞いてもいい?」

海未「なんですか?」

穂乃果「今日会う相手って…絵里ちゃんではないよね?」

海未「いえ、絵里ですよ」

穂乃果「」

海未「穂乃果?」

穂乃果「あ、いや……、ちなみにどこ行くの?」

海未「映画館です」

穂乃果「……二人で?」

海未「はい」

穂乃果「ただのデートじゃん!」

海未「でっ……!?/// ち、違いますよ! ただ遊びに行くだけです!」

穂乃果「ふーん……まーいいけど。あんまり縛ると嫌われちゃいそうだし…」

海未「縛…? 穂乃果が何を言っているのか分からないんですけど…」

穂乃果「気にしなくていいよ。あ、ねーねー海未ちゃん」チョイチョイ

海未「はい?」

穂乃果「いってらっしゃい」チュッ

海未「……え? ほ、穂乃果、い、今、ほっぺに…き、き……///」

穂乃果「海未ちゃん顔真っ赤ー。あ、日曜は私たちと遊ぼうね! 約束だから! じゃぁね!」タッ

海未「あ、穂乃果……。…今の、なんだったんでしょうか…」

海未「……とりあえず、出かける支度をしましょう」




絵里「海未っ」

海未「絵里、おはようございます」

絵里「ごめんなさい、待たせたかしら…」

海未「いえ、今来たところですから」

絵里「そう、よかった………その、海未の私服、可愛いわ」

海未「ありがとうございます。絵里も可愛いですよ」

絵里「あ、ありがとう。じゃぁ行きましょうか」

海未「はい」

海未(……せっかく絵里と一緒にいるのに、さっきの穂乃果の行動が気になって仕方がない…。……まあ、いつもの悪ふざけでしょうけど…)

絵里「それでね、亜里沙ったらそればっかりで」

海未「……」

絵里「……海未?」

海未「あ、すいません…ちょっと考え事をしてて…」

絵里「大丈夫? 何か悩み事?」

海未「いえ、今自己解決しました」

絵里「そう? それならいいけど……」

海未「で、亜里沙の話でしたよね?」

絵里「ええ。亜里沙ったら、本当に熱狂的なあなたのファンなのよ。だから今日もついてくるってうるさくて」

海未「はは……。あ、でも私も久しぶりに亜里沙に会いたいです」

絵里「じゃあ、今度私の家に遊びにくる?」

海未「いいんですか?」

絵里「もちろん。亜里沙も喜ぶと思うし……私も嬉しいし」

海未「じゃぁぜひ、今度お邪魔させてください」

絵里「うんっ」パァッ




海未「映画、楽しかったですね」

絵里「そうね。主役の子が可愛かったわ」

海未「それで、この後はどうしますか? せっかくだからどこかでお昼でもとりませんか?」

絵里「いいの?」

海未「もちろん。絵里はどこか行きたいところありますか?」

絵里「私は海未と一緒ならどこでもいいわ」

海未「それでは、この近くにあるファミレスにでも行きましょうか」

絵里「ええ」

絵里(ファミレスってなにかしら……ハンバーガーチェーン店と似たようなものかしら)



絵里「おいしい…!」パァァ

海未「よかったです。絵里はこういうお店とも無縁だったんですね」

絵里「あっちにいた頃も、こっちに戻ってからも外食はあまりしなかったから」

海未「実は私も家族ではあまり外食しないんです。ただ穂乃果たちと来ることが多くて」

絵里「そう……穂乃果たちと…」

海未「?」

絵里「…うらやましいわ」

海未「そうですか? ……でも確かに、私も穂乃果たちと幼馴染でよかったと思ってます」

絵里「いや、そうじゃなくて……まあ、いいわ。海未だもんね」

海未「え?」

絵里「私も穂乃果たちも大変だってことよ」

海未「え、えっと……意味が分からないんですが…」

絵里「これ以上は自分で考えなさい」

海未「えぇ……」

絵里「………あ、あのね、海未」

海未「はい?」

絵里「このあと、その、ちょっと買い物しない?」

海未「はい、いいですよ」

絵里「ほ、ほんと?」

海未「ええ、もちろん。なにか買いたいものがあるんですか?」

絵里「うん」

絵里(本当はないんだけど……)




絵里「あ、ほら見て、これ可愛い! くまさんのぬいぐるみ!」

海未「ほんと可愛いですね! …でも少し意外です。ぬいぐるみなんて、絵里は興味ないと思ってました」

絵里「そう? 亜里沙がこういうの好きだから、私も自然と好きになったのかも」

海未「ああ、なるほど……亜里沙が好きなんですか…」ウーン

絵里「? なにか考えてる?」

海未「あ、いえ、なにも。ほら、向こうのたぬきのぬいぐるみも可愛いですよ」

絵里「! ほんと! 可愛い! ハラショー!」タッタッタッ

海未「…今のうちに、買い物を」イソイソ



絵里「このお店のぬいぐるみはどれも可愛いわ! ねえ海未はどれが……って、なにか買ったの?」

海未「はい、ちょっとお土産を」

絵里「お土産…」

絵里(穂乃果たちにかしら……)

海未「それより絵里、向こうに可愛い雑貨屋さんがありましたよ。そっちにも行ってみませんか?」

絵里「そうね。…海未、手を繋いでもいい?」

海未「え、な、何故?」

絵里「なんとなく」

海未「ええ……構いませんけど」

絵里「ありがとう! さ、行きましょ」ギュッ

海未(急にどうしたんでしょう……まあ、悪い気はしませんが)

絵里「あ、このグラス可愛い! こっちのハンカチも素敵!」パァー

海未「絵里はショッピングとか好きなんですか?」

絵里「え? そう見える?」

海未「はい。楽しそうです」

絵里「んー…まあ、ショッピングは嫌いじゃないけど……海未と一緒だから余計楽しいのよ」

海未「え? それはどういう…」

絵里「それよりほら! 向こうに面白そうなお店があるわ! 行きましょ」グイッ

海未「わっ……と、ひ、引っ張らないでください」




絵里「んー……楽しかった!」

海未「はい……私は少し疲れましたが…」

絵里「ごめんね、色々連れ回しちゃって」

海未「いえ、楽しかったですし。絵里のはしゃぐ姿という、貴重なものも見れましたし」

絵里「わ、私、そんなにはしゃいでた…?」

海未「はい。それはもう、小さな子供のように」

絵里「そ、そう……ハラショー…///」

海未(前から思っていたのですが、絵里のハラショーの使い所はたまに間違っている気がします)

海未「でも、可愛かったですよ」

絵里「えっ!?///」

海未「なんだか穂乃果を見ているようで、和みました」ニコ

絵里「穂乃果………そう……それは…よかったわね…」ズーン

海未(な、何故か絵里が落ち込んでいる……やはり穂乃果のようは褒め言葉とはとられなかったのでしょうか……ことりのようにしておけばよかったでしょうか…)オロオロ

絵里「…海未はやっぱり穂乃果たちのことが好きなのね」

海未「え? そ、それはもちろん…大切な幼馴染ですから」

絵里「大切……」

海未「…絵里? どうしたんですか?」

絵里「ねえ海未」ギュ

海未「? はい」

海未(何故手を…?)

絵里「こ、このあいだ、私が部室で言ったこと覚えてる?」

海未「部室で……あ、作詞の話ですか?」

絵里「うん。いや、その話とは違うんだけど、一緒の日の話。付き合う云々の話なんだけど…」

海未「覚えてますが、それがどうかしましたか?」

絵里「……あのとき言ったこと、本当は全部本当なの」

海未「え?」

絵里「つまり……その、私は海未と付き合いたいってこと…なんだけど///」

海未「………。…えっと、すいません。ちょっと混乱してます」

絵里「う、うん、私もいきなりすぎたと思う。…けど本気だから」

海未「……絵里は私が、その、好きなんですか?」

絵里「うん……好き」

海未「そ、そうですか/// その……えっと」

絵里「あ、別にすぐに返事がほしいわけじゃないの。急な話だし、ゆっくり考えてもらえると嬉しい」

海未「あ、はい……」

海未(絵里が私を……? いつから? いや、というより、何故私を…?)チラ

絵里「?」ニコ

海未(ま、まあ、考えても分かりそうにないですが…///)

絵里「じゃあ、また学校で」

海未「はい……また」

絵里「……あの、今日はありがとう、付き合ってくれて。それと……ごめんなさい。急にあんなこと言って」

海未「い、いえ、正直戸惑ってはいますが、嫌ではないですし……むしろ嬉しいです」

絵里「そ、そう? ……嬉しい」

海未「!」ドキ

海未「じゃ、じゃあ、私はこれで失礼します!」タッタッ

絵里「…………無事言えてよかった…」

絵里「これで海未が応えてくれればもっといいんだけど……正直、勝てる気がしないのよね…」

海未「あ、絵里!」タッタッ

絵里「う、海未? どうしたの? 戻ってきたりして…」

絵里(まさか私、もうフラれるの…?)

海未「これを渡すのを忘れていて…」スッ

絵里「これは?」

海未「最初のお店で買ったものです。絵里が気に入っていたくまのぬいぐるみのストラップ版」

絵里(あのとき買っていた…)

絵里「これ穂乃果たちにじゃないの?」

海未「え? いえ、違いますが……穂乃果たちにはいちいちお土産なんて買いませんよ。
   これは亜里沙と絵里に」

絵里「え、わ、私も?」

海未「セット販売でしたので」

絵里「あ、なるほど…」

海未「気に入ってもらえると嬉しいんですが…」

絵里「うん、嬉しい…すごく…」

海未「……」

絵里「…海未?」

海未「…あ、いえ、すいません。じゃあ、改めてまた学校で」

絵里「うん、またね」




海未(生徒会長で、μ'sの頼れるメンバーで、先輩で、大人っぽくて……私は絵里のことを尊敬していますが…)

海未「………それはイコール好きということになるんでしょうか…」




穂乃果「海未ちゃん、なんか変!」

海未「えっ」ギク

ことり「そうだねー…なんだか上の空って感じ」

穂乃果「せっかく三人で遊んでるのに…」

海未「す、すいません。少し疲れてるみたいで……」

穂乃果「ほんとに? なにか悩み事とかじゃないの?」

海未「い、いえ、それは…」

海未(こういうときばかり鋭い……)

ことり「…もしかして昨日、絵里ちゃんとなにかあったの?」

海未「え、何故ことりが絵里とのことを…」

穂乃果「私が話したの。…絵里ちゃんと何があったの?」

海未「いえ、別になにも……」

穂乃果「…海未ちゃん。私たちの間で嘘はなしだよ?」

海未「……ついてませんよ、嘘なんて」

海未(穂乃果たちには悪いですが、さすがに告白されたことを他人に言いふらすのは気が引けます…)

穂乃果「……海未ちゃんのバカ」

海未「どうして急にバカ扱いなんですか」

穂乃果「嘘つくからだよ! 海未ちゃんがなにか隠してることくらい、顔見れば分かるもん!」

ことり「…でも、海未ちゃんがどうしても言いたくないって言うなら、無理には聞かないよ」

穂乃果「まぁ、大体予想はついてるしね」

海未「…すいません。二人に嘘をついてしまって…」

ことり「気にしないで。ことりが海未ちゃんの立場なら、同じことをするよ」

海未「ことり…」ジーン

ことり「ただね、海未ちゃんにはこれを機に知っておいてもらいたいの」

海未「え? 何をですか?」

ことり「海未ちゃんは、ことりたちのものだってこと」ニコッ

海未「…………え、えっと?」

穂乃果「実はね、私たち昨日話し合ったんだよ。それで、いっそのこと海未ちゃんと私とことりちゃん、三人で付き合えばいいんじゃないかなって!」

海未「ないかなって!じゃ、ありません! ど、どういう意味ですか?」

ことり「そのまんまの意味だよ。私たち三人で恋人同士になるの」

海未「いえ、そういうことではなくて……そもそも穂乃果とことりは私のことが好きなんですか?」

穂乃果「好きだよー。昨日ちゅーした時に気付いたと思ったんだけど」

海未「あ、あれはいつものおふざけかと…」

穂乃果「ありゃ」

ことり「ちょ、ちょっと待って、穂乃果ちゃん。海未ちゃんにちゅーしたの?」

穂乃果「うん、絵里ちゃんと遊びにいくって聞いて、思わず」

ことり「思わずって……ずるいよ…ことりだって海未ちゃんと…」

海未「と、とにかく、その話はさておいてですね、三人で付き合うというのはどういう…?」

穂乃果「そのまんまの意味だよ。海未ちゃんを取り合って喧嘩するくらいなら、いっそ三人で」

海未「それは根本的に間違っている気がしてならないのですが…」

ことり「海未ちゃんはことりたちのこと嫌い…?」ウルウル

海未「き、嫌いではありませんが…」

穂乃果「……それとも、他に好きな人がいるの?」

海未「それは……」

穂乃果「海未ちゃん」ギュ

海未「穂乃果…」

穂乃果「私、小さい頃からずっと海未ちゃんが好きなの。頼りないかもしれないけど、海未ちゃんのこと大切に守るから、これからもずっとそばにいてほしい。…私じゃダメ?」

海未「私は………」

海未(穂乃果もことりも大切な幼馴染で、親友で……ずっと一緒にいられたら、それは最高に幸せなことで…)

海未(でも、穂乃果たちの想いに応えたら、絵里は……)グッ

海未「穂乃果、ことり」

穂乃果「なに? 海未ちゃん」

海未「…私には、気になっている人がいます」

ことり「…私たち以外に?」

海未「…はい」

穂乃果「………私たちじゃその人の代わりにはなれない?」

海未「なれません。あの人の代わりになれる人なんて誰もいないし…それに、穂乃果やことりの代わりになれる人だって、絶対に存在しません。
   身勝手ですが、どちらも私にとってはかけがえのないものなんです」

ことり「海未ちゃん……」

穂乃果「……あーあ、負けちゃったかー!」バッ

海未「穂乃果?」

ことり「海未ちゃんが誰を選んでも文句は言わない、それを応援する……本当は昨日、穂乃果ちゃんとそう約束したの」

海未「じゃあ、三人で付き合うというのは冗談だったということですか?」

ことり「ううん、それは本気。海未ちゃんが私たちのどちらかを選んだ場合、そうしようと思ってたの」

穂乃果「なのに海未ちゃんってば他の人を選んじゃうんだもんなー…せっかく両手に花のチャンスだったのに」プクー

海未「りょ、両手に花って……」

ことり「海未ちゃん」ジ

海未「は、はい」

ことり「幸せになってね。…応援してるから」

穂乃果「そうだよー、私たちをフったんだもん。その分、その人を幸せにしてあげなきゃダメだよ。
    で、海未ちゃんも幸せになるの」

海未「………はい。ありがとうございます、二人とも…」

穂乃果「…うん」




絵里「ビックリしたわ。下駄箱を開けたら手紙が入ってたんだもん。ラブレターかと思った」

海未「す、すいません……三年の教室に入る勇気がなくて…」

絵里「別に謝らなくていいわよ。
   …で、朝から屋上に呼び出して話がしたいってことは……土曜のこと?」

海未「はい」

絵里「随分と早いのね。あと何週間は待つことになるかと思ってたわ」

海未「…多分、私だけで考えていたらそうなっていたと思います」

絵里「何かあったのね。…深くは聞かないけど」

海未「はい……、……あの、私は絵里が好きです」

絵里「…ほんとに?」

海未「本当です。ちゃんと私なりに考えましたから、間違いないです。
   絵里のこと、尊敬できる先輩として…一人の女の子として…その、あ、あい、してます///」

絵里「……」

海未「……あ、あの、何か言ってもらえるとありがたいのですが……」

絵里「あ、ご、ごめんなさい…。……うん、私も海未のこと愛してるわ」

海未「っ……、嬉しいです」

絵里「まさか海未から愛してるなんて言ってくれるとは思わなかったけど」

海未「ほ、他に言葉が思いつかなかったんです」

絵里「うん、そのおかげで得した気分。…改めて、私と付き合ってくれる?」

海未「もちろんです。その……ふ、ふつつかものですが、よろしくお願いします!」バッ

絵里(直角90度のお辞儀…)

絵里「ふふ……海未ってやっぱり変わってるわね」

海未「…バカにしてますか?」

絵里「いや、そこが可愛いって意味」

海未「…絵里こそ、私を好きになるなんて物好きもいいところじゃないですか」

絵里「あら、それじゃあ、あなたの大切な幼馴染たちも物好きの仲間になるのね」

海未「……知ってたんですか?」

絵里「見ていれば分かるわ。…私もなんであなたを好きになったのかしらね」

海未「普通、それを私の前で言いますか…」

絵里「だって不思議なんだもの。海未なんて真面目一直線の堅物だし、それでいて影で笑顔の練習とかしてる子だし、ニブいし、怒ったら怖いし」

海未「絵里ってやっぱり私のことが嫌いなのでは……?」

絵里「でも好きなの。不思議ね。亜里沙の影響かしら」

海未「……私は複雑です。絵里はただの気の迷いなんじゃないですか」

絵里「失礼ね。私は海未の嫌なところも知ってるけど、その分ちゃんと良いところも知ってるつもりよ」

海未「……」

絵里「でもこれからは今まで以上に、出来れば穂乃果たちよりも深く、あなたのことを知っていきたいわ」ギュ

海未「…私もです。絵里のこと、知っていきたい」

絵里「うん、私たち両思いね。両思いだわ」

海未「な、何故二回言うんですか」

絵里「いいじゃない、嬉しいんだから。亜里沙が聞いたら羨ましがるわ」

海未「そうでしょうか?」

絵里「確実にそうよ。あの子、この間のストラップもすごく大切にしてるもの。あなたのこと大好きみたいだから」

海未「それは、なんというか……嬉しいです///」

絵里「…浮気しないでよ?」

海未「す、するわけないじゃないですか! 亜里沙は中学生ですよ!?」

絵里「海未とはあまり歳変わらないけどね」

海未「そ、それはそうですが……そもそも、私には絵里がいるんですから……ありえないです」

絵里「…可愛い」

海未「な、なんですか、急に……」

絵里「いや、前々から思ってたことなんだけどね、今なら口に出してもいいかなって」

海未「………え、絵里のほうが、その、何倍も…か、可愛い…ですよ///」

絵里「…ねえ海未。キスしていい?」

海未「えっ、ダメです」

絵里「えっ、ここはOKの流れじゃないの?」

海未「ここは学校ですよ、そんな破廉恥な…」

絵里(キスが破廉恥って……ハラショー…日本人はみんなこうなのかしら……?)

絵里「……じゃあ」チュッ

海未「!?///」

絵里「ほっぺなら破廉恥ではないでしょ?」

海未「え、あ……そ、そうですね……///」カアアァァッ

絵里「海未、顔が真っ赤だけど…」

海未「し、仕方ないじゃないですか! 絵里がいきなりしてくるから……心の準備が…」

絵里「…ほんと可愛いわね。次は学校じゃない場所で、ちゃんとキスしましょ」

海未「っ…………か、考えておきます…」

絵里「うん、考えておいて。…好きよ、海未」

海未「……私も好きですよ、絵里」


─終わり─

ここまで読んでくれた人ありがとう

えりうみ的には蛇足かもしれないけど、あと少しだけ続きます

おまけ


穂乃果「うーみーちゃんっ」ギューッ

海未「ほ、穂乃果……首が…しまって、ます…」

穂乃果「海未ちゃん、部活お疲れ様っ! 今日も弓道してる海未ちゃんはカッコよかったよ!」ギュー

海未「」

ことり「穂乃果ちゃん、そこらへんにしないと海未ちゃんが大変なことになるよ」

穂乃果「あ、ごめん」パッ

海未「はあ……で、二人はどうしてここに?」

穂乃果「海未ちゃんを迎えにきたの!」ギュ

海未(結局抱きつくんですね……)

ことり「一緒に部室に行こうと思って」

海未「え? でも今まで私が部活に寄って行く日は、二人は先に部室に行ってましたよね?」

ことり「それはそうだけど……ほら、ことりたちは海未ちゃんのこと好きだから」

海未「………え?」

穂乃果「海未ちゃんと一秒でも一緒にいたくて!」

海未「あ、あれ? しかし前に、私のことを応援してくれると…」

ことり「海未ちゃんが誰を選んでも文句は言わない、応援する。……けど、諦めるなんて言ってないよね?」

穂乃果「隙あらば奪う気満々だよ!」ニコッ

海未「」

海未「え、あ、あの、」

ガラ

絵里「海未、部活終わった? ……って、穂乃果にことり、こんなところでなにしてるの?」

ことり「海未ちゃんを迎えに。絵里ちゃんもでしょ?」

絵里「そうだけど……で、海未はどうして穂乃果に抱きつかれてるの?」

海未「え、あ、これは…」

穂乃果「私、海未ちゃんのこと好きだから」ニコ

海未「そ、そんな笑顔で…」

絵里「…そう。じゃあ私も負けないように頑張らないとね」ニコ

海未「って、絵里まで…」

穂乃果「うんっ」

海未「もう何が何だか……」

ことり「海未ちゃん頑張ってってことだよ」

海未「他人事のように言いますね…」

ことり「他人事ではないけどね。ことりも海未ちゃんのこと諦めないし。
    海未ちゃんと穂乃果ちゃんとことり、三人で幸せになるのが夢なんだよ」ニコー

海未(もういっそ笑うしかないですね…)


─本当に終わり─

最後まで読んでくれてありがとう

えりうみもっと流行ってほしい

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年09月11日 (金) 22:15:12   ID: 21sqjudE

最高のえりうみだよ。
こういうSSを待ってたんだ。
海未受けは最強最高。
ありがとうございます。

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