小鳥「大雪で帰れなくなった…」(147)

<大雪降りしきる中、小鳥が一人>

小鳥「ガクガクブルブル…」

小鳥「寒い…寒いし…」

小鳥「何よ、この雪ーーー!?」


小鳥「帰る帰りたい帰らせて…」

小鳥「で、電車電車…」


小鳥「何よこの行列…!駅の外まで列が飛び出てるじゃない!」

小鳥「バスバス…」


小鳥「何よこの行列(以下略」

小鳥「もうこうなったら、タクシー、タクシー…」


小鳥「人が並んでるだけでタクシー1台もないしーー」

小鳥「焦ってもしょうがないわね」

小鳥「まずはどこかで暖を取ろう…」


小鳥(ついでだからアルコールで体を温めよう…)


『申し訳ありませんー』


小鳥「どこもかしこも混んでるじゃないのーっ!」

小鳥「どういうこと?明日は平日よ?なんでどこの居酒屋も混んでるわけ!?」


小鳥「まて、今日は何の日…」

小鳥「成人の、日…」


小鳥「何も今日あわててお酒飲むこともないじゃないのーっ!」

小鳥「明日仕事は?学校は?今日はもう早めに寝たほうがいいんじゃないの?」


小鳥「そ、そんなこと言ってられない!もうどこでもいいから寒くて死ぬ!」

小鳥(もう諦めて、いったん事務所に戻ろう…)

小鳥(これはもう災害よ、緊急事態よ。)

小鳥(明日になったら、天気が良くなると信じて…)


小鳥「社内野宿もやむなし」


小鳥(コンビニで、晩御飯買って行こう…)

小鳥(あーもう雪で足元ぐちゃぐちゃ…転んだらお終いだわ…)


小鳥(どんな不恰好な歩き方をしてでも、転倒だけは断固回避…!)

<コンビニ>

「らっしゃいあせー」


小鳥(ふう、建物に入れば大分落ち着くわね)

小鳥(何にしようかしら…)

ズルッ

小鳥「うおぉっ!?」

小鳥「す、滑ったぁ…!」

小鳥(コンビニ店内の床は滑るわね…気を付けないと)


小鳥「あ」

小鳥(『黒いスーガーラーメン』売ってるんだ)

小鳥(番組では『スーガーカップ』だった気もするけど)

小鳥(どんな味なのかしら)


小鳥(怖いもの見たさで1つ買おう…)

小鳥(笑ってはいけないのキャンペーンでもやってるのかしら)


小鳥「あった。明太子ソースのペンネグラタン…」


小鳥(『グラタン 風邪ひいても 俺全然いっちゃうけども…』)

小鳥「ふブッ…!」

小鳥(はっ!いけない、つい思い出し笑いしちゃった…)


小鳥(去年の『笑ってはいけない』、この昼食の即興川柳が面白かったわね)

小鳥(有名人出せば面白い的な風潮があるけど)

小鳥(私は、それはそれで結構好きだけど)


小鳥(テレビマンなら、もっと企画力で勝負してもいいと思うわ)

小鳥(今年の年末には、この系統の企画に期待したいところね!)

小鳥(じゃあ、ペンネグラタンとグラタン風おむすびでいこうかしら)


「884円になりあーす」

小鳥「…1004円で」

「120円のお返しでーす、あーしたー」


小鳥「ふっ…」

小鳥(グラタンとグラタンで、かぶってしまった…)


小鳥(一度この台詞を言ってみたかった)

小鳥(言ってないけど、思っただけだけど)


小鳥「今日は765プロ事務所で事務所飯ね…ってうぎゃあ!!」


ドシーン!!!

小鳥「…ぎゃおおおん!!」

小鳥「冷たい冷た…痛い痛い痛い!」

小鳥「冷たすぎて痛い!!打ったお尻も痛い!!」


ざわっざわっ…


小鳥「はっ!」

小鳥(世間様の冷ややかな注目を浴びてる…に、逃げないと…っ!)



小鳥(いかん…これはいかん…)

小鳥(寒いし、冷たいし)

小鳥(これは絶対に下着まで逝った…)


小鳥(ドンキホーテまで行ければ何か売ってそうだけど…)

小鳥(ダメ、そんな悠長なことをしている暇はない)

小鳥(一刻も早く、この凍り付いた服をキャストオフしないと…っ!)

<何とか事務所に到着>

小鳥「まずは暖房よ、暖房」

カチッ  ゴォー


小鳥「だ、大丈夫だと思うけど…念のためブラインドは閉めて…」

ヌギヌギ

小鳥「あー…。すっかりスカートがぐしょぐしょに…」

小鳥「泥がついてない(目立ってない)のがせめてもの救いね…」


小鳥「これは暖房の前に干して」

小鳥「干してるスカートの代わりに、このひざ掛け用の毛布を…腰に巻いて、っと」


小鳥「これでよし!」シャキーン

小鳥「う、う~ん…」

小鳥(結構下着もダメージが…冷たくて気持ち悪い)


小鳥(でもさすがにノーパンは…こんなところで…)

小鳥(……)

小鳥(とりあえず乾くまで!乾くまでおかせてもらおう…)


ヌギヌギ


小鳥「ふぅ、これでひとまずすっきりー…、じゃなくて、安心したー」

小鳥「体が完全に冷え切ったわね…」

小鳥「じゃあ、この『黒いスーガーカップ』をいただくことにしましょ♪」

小鳥「お湯、お湯っと…」


小鳥「へぇ、ノンフライ麺なんだ」

小鳥「結構お値段高いと思ってたけど」

小鳥「中身的にはあの『どこどこ監修本格ラーメン!』みたいなものに近いのかも」


小鳥「熱湯4分」

小鳥「4分なら3分30秒で次工程に移るのが私のジャスティス」

小鳥「えっと、時間がたったら、この特製スープと調味油…」


小鳥「調味油、黒っ!」

小鳥「これは高木社長も黒井社長もびっくりの黒さね…今度教えてあげよっと」

小鳥「でもこれ、本当に体に悪くないのかしら…」


小鳥「できたけど…これはもう、トンコツじゃなくて見た目イカスミじゃない…」

小鳥「まあいいわ…いっただきまーす」


ズルズル


小鳥「んー、味は普通にとんこつかな。可もなく不可もなく…」

小鳥「価格を考えたら、ちょっと不可」


小鳥「でも今日は寒いし、こんな状況なので良しとしよう!」 ドヤ

小鳥「…。まだ深々と降ってるわね…もう、あきらめよう」

小鳥「人間、諦めが肝心よ。うん」


小鳥「律子さんがお泊り用の寝袋を隠し持っていたはず…」


ゴソゴソ


小鳥「あれ、ない…」

小鳥「お洗濯にでもだしちゃったのかな…」

小鳥「え~、期待してたのに困っ…あ!あったあった、あるじゃない!」


小鳥「あれ、なんかこれ大きい…」

小鳥「っていうか、ここプロデューサーさんの棚…」



小鳥「プロデューサーさんの、寝袋…」ゴクリ

小鳥「つ、使っても洗って返せばOKよね!?うん!OKだよ?」

小鳥「そうよ、外の天気がこんなだし、事情が事情だし!」

小鳥「話せばわかってもらえるハズ。話せばわかる!」


小鳥「そう!決して、やましい気持ちなど、一切…」 ドキドキ


モゾモゾ…


小鳥「ん~、これはあったかい~♪」

小鳥「思ってたよりフカフカしてるわね、この寝袋。もしかして冬用なのかな?」

小鳥「暖房切っても大丈夫なくらいかも。いい物もってるなあプロデューサーさんっ♪」

小鳥(この寝袋で、プロデューサーさんも寝てたのかな…)

小鳥(年末は何度か会社でお泊りしてたみたいだし…)


小鳥「くんくん…」


小鳥(ん…。ほのかにプロデューサーさんの香りが…)


小鳥(なんというか…妙な気持ち)

小鳥(汗のにおいとか、そういう刺激的な匂いじゃない)

小鳥(でも、香水とか石鹸のような甘い匂いでもない)

小鳥(なんだか…気持ちがすごく落ち着く…)

小鳥(落ち着いて…眠く…なる…)





小鳥「zzz…」

……


P「まいったなぁ…。帰れるのかな今日…」

P「いっそのこと、どこかビジネスホテルで一泊しちゃうか…」

P「でも今月はなんかいろいろあって厳しい…」


P「あ!」


P「事務所に寝袋おいてたっけ。」

P「場合によっては社内野宿もやむなし!」



P「あれ?」

P「事務所の電気…ついてる?」


P「律子でもいるのかな…」

ガチャッ


P「お疲れ様でーす…」


P(誰もいない…でも、電気はついてる…)

P(でも人がいた形跡はあるな)

P(…というか、とんこつラーメンの匂いが)


P「誰かいますかー?」

P「ん」

P「うおっ!?」


小鳥「zzz…」


P「なんだ小鳥さん…」


P「っていうか、な、なんで俺の寝袋で寝てるの…」

P「……ん??」


P「あれは…どういうことだ…」

P「暖房の前にスカート…。」

P「いや、それはよしとしよう」


P「その隣の…手のひら大のピンク色の布は……なんだ……」

P「そして、ここで寝ている小鳥さん…」


P(…事件の予感がする。)

P(嫌な予感が、本能が、俺に逃げろと告げている…)


P「気づかれないように、静かに、出よう…。俺は、一切何も見なかった…」


ガンッ!

P「!!!」

小鳥「ん……?」

P(しまった!?)


小鳥「あ、あれ…私、寝ちゃって…」

小鳥「ん?」


P「あ、あはは…おはようございます…」

小鳥「えっと、おはようございま……」

小鳥「ぷ、プロデューサーさん!??」


P「ききき、気にしないでください!そのまま、そのまま…俺はもう帰りますからっ…!」

小鳥「ま、待ってくださいプロデューサーさん!話せばわかるんですっ!」 ニュルッ



P「……こ、こと…り…さ……」

小鳥「え?ど、どうしました?」


P「あの…。悪いこと言わないんで…音無…小鳥さん、今すぐ…寝袋に戻ってください…」

P「たぶん、大事なもの…いろいろ置き忘れてると思い…ます…」


小鳥「大事なもの…?」

小鳥「なんだか体の底がスースーするなー。まるで生まれたての私のよう…」

小鳥「………。あ、あれぇ~?腰に巻いてたひざ掛けは…」

小鳥「 っ て い う か  パ  ン  ツ  ど こ い っ た 」


P「あ、あのですね…俺の記憶では暖房の前のところに、それっぽいような物体が……」


小鳥「い」


小鳥「い、いやああああああああああっっっっっ!!!!」

小鳥「うぅ、えぐっ、うえええええ…」

P「小鳥さん…もう過ぎたことです。忘れましょう、俺も忘れますから…」


小鳥「う、うえっ、ええうう…」

P「大丈夫です、口外とかしませんし、この状況を正確に誰かに伝えられる技量が俺にはありません」


小鳥「ひっひぐっ、あうう、ううぅぅ…」

P「そうですね。ショックですよね…俺も正直色々な意味でショックというかトラウマというか…」


小鳥「あぅ、うが、あうぐっ…ひっく…」

P「あ、す、すいません。トラウマは言いすぎですか…確かに失言でした…」


小鳥「ぐすっ、ううぅ、ひぐぅう…」

P「ええ、そうです、俺もそう思います…。こんな大雪が降る異常気象が悪いんです」

小鳥「ひっぐ、うぅぅ、えぐ、うぐぅ…」

P「いやいや、責任って…。そんな怖いこと言わないでくださいよ…。」


小鳥「えぇう…あぅう…うえぇん…」

P「あはは…こんな時に冗談なんて、きついなあ、小鳥さん」


小鳥「…う、ぐすっ、ぐすん…」

P「気にしないでください。もともと俺がビジネスホテル泊まる予定だったし。」


小鳥「うえ、えぐ…うぅぅ…」

P「そんなわけにはいきません。小鳥さん置いて、社内野宿なんてさせませんよ?」


小鳥「う…うぅ…うぐっぐ…」

P「そんなことありません。普通です。俺じゃなくても、たとえば社長でもそうするでしょうし」

小鳥「ひぐっ…うっ…うぅえぅ…」

P「どうしてもっていうなら…今度また、一緒に飲みましょう?今日のことを忘れて、スカッと!」


小鳥「うぅ…はぐっ…うぐううぇえ…」

P「ええもちろん。約束です。」


P「こんな形になっちゃいましたけど…」

P「改めて、今年もよろしくお願いします、小鳥さん」


小鳥「……。よどじぐおでがいじまず…ぐすっ…」



<おしまい>









小鳥「関東のみんなー?明日出かけるときは、転ばないようにするんだぞっ?」 ドヤッ

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