小鞠「し、知ってるもん。回るんでしょ・・・?」
蛍「確かに回りますが・・・」
夏海「えっ、姉ちゃん回転寿司行った事あんの!?ずっけー!」
小鞠「うぅ・・・」
れんげ「うち、回転寿司に行った事ないのん!」
夏海「この辺には回るお寿司屋さんなんてないもんなー」
蛍「でしたら週末にみんなで行ってみませんか?」
れんげ「行くのん!なっつんもこまちゃんも行くのんな?」
夏海「当ったり前じゃん。姉ちゃん、回転寿司行った事あるんなら連れてってよ」
小鞠「あ・・・うん、任せてよ!」
小鞠「ごめんくださーい」
駄菓子屋「ん?今日は一人か。どうしたんだ?」
小鞠「えっと・・・いんたーねっとを使わせて欲しくて・・・」
駄菓子屋「何だ、パソコンが使いたいのか」
小鞠「えっと・・・まあ、そんな感じです・・・」
駄菓子屋「ふーん。じゃ、30分で100円な」
小鞠「お金取るの!?」
駄菓子屋「当たり前だろ。こっちも商売だ」
小鞠「じゃ、じゃあ、とりあえず100円」
駄菓子屋「おう、毎度。ところで、パソコンの操作はできるのか?」
小鞠「・・・何となくは」
駄菓子屋「今、目が完全に泳いでたぞ。しゃーねぇ、側で見ててやるよ。壊されたり変なとこに接続してもアレだからな」
小鞠「ありがとう」
駄菓子屋「で、何を調べたいんだ?」
小鞠「えっと・・・」モジモジ
駄菓子屋「何だ?エッチなサイトはダメだからな?」
小鞠「エッチなとこなんて調べないもん!」
駄菓子屋「じゃあ何を調べたいんだよ?こうしてる間にも、お前が払った100円の料金分の時間は過ぎてってるんだぞ?」
小鞠「回転寿司!回転寿司を調べてっ!」
駄菓子屋「回転寿司?まあいいけど、この辺にゃそんなとこないぞ」
小鞠「わかってるもん!だから、ここから行ける一番近いとこ探して!」
駄菓子屋「ま、言われりゃ探すが・・・。えっと、こっから一番近い回転寿司だとここかな」
小鞠「あ、ここ知ってる!」
駄菓子屋「まあ、チェーン店としては国内最大手といっても過言じゃないからな」
小鞠「テレビのコマーシャルで見た事ある」
駄菓子屋「でも、この辺には一店もないってのが笑える」
小鞠「えっと・・・。あの、どうやって行くのかとかわかりますか?」
駄菓子屋「行きかたや簡易地図なら掲載されてるからコピーしてやるよ」
小鞠「わぁ、ありがとうございます」
駄菓子屋「コピーは一枚20円だからな」
小鞠「くっ・・・。暴利を貪るなんて酷い・・・」チャリチャリン
駄菓子屋「何言ってんだ。街のネットカフェなんかうちの数倍以上の金取ってんだぞ?ありがたく思え」
小鞠「うぅ~・・・」
小鞠「結局、延長料金と印刷代で240円もかかっちゃった・・・」
小鞠「でも、回転寿司の知識はだいたい覚えたし、行きかたもバッチリだから、こないだの焼肉みたいなことにはならないはず・・・」
小鞠「でも、240円は痛かったな・・・」
小鞠「一応500円持って出かけたけど、今の所持金は140円しかない・・・」
小鞠「ごくごく・・・。ぷはぁ、ジュース美味しい♪」
小鞠「前回の焼肉では失敗したけど、今度の回転寿司では私がお姉さんだってことを思い知らせてやるんだから!」
日曜日
小鞠「はい、全員整列ーっ。よし、みんな揃ったね」
れんげ「うち、お小遣い姉ねぇから貰ったん。でも、失くすといけないからこまちゃんに預けるようにって」
小鞠「わわっ、5000円もある!」
夏海「姉ちゃん、着服すんなよ」
小鞠「しないわよ!」
蛍「今日のこまセンパイ、何だか大人っぽいですね」
小鞠「そ、そうかな?えへへ・・・」
夏海「別にいつも通りに見えるけどな」
小鞠「あんたにはわかんないのよ、この溢れ出る大人の余裕って奴がね」
れんげ「こまちゃん、電車まだなん?」
小鞠「大丈夫、まだ余裕あるから。もしかしてトイレ?」
れんげ「ううん、念のために聞いておいただけなん」
夏海「うぉ~、街だ、れんちょん!」
れんげ「都会なのん!」
蛍(都会・・・)
小鞠「はいはい、はしゃがないはしゃがない」
夏海「おっと、そうだった。今日のメインイベントはまだだもんね」
れんげ「うち、回転寿司なんてテレビでしか見たことないから緊張するのん」
蛍「大丈夫だよれんちゃん。なんといっても、今日は経験者のこまセンパイがエスコートしてくれてるんですから」
小鞠「ま、任せといてよ!」
小鞠(一応、駄菓子屋でマナーとかも見せてもらってきたから何とかなる・・・はず・・・)
小鞠「ここが目的地だよ」
れんげ「すごい大きいのん!」
夏海「何だよあれ・・・。マスコットが緑の水棲妖怪だなんて気持ち悪いんですけど・・・」
れんげ「あれは・・・多分、カッパ巻きとかからイメージしたマスコットなんじゃない?・・・多分」
蛍「それにしても迷わずに来れるなんてさすがセンパイです♪」
小鞠「ま、まあね」
小鞠(よし、ここまでは完璧・・・。問題は中に入ってから・・・。一回も入った事がないってのをバレないように振舞わないと・・・)
店員「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
小鞠「4人です」
店員「かしこまりました。カウンター席とテーブル席、どちらになさいますか?」
小鞠「えっ・・・」
れんげ「うち、カウンターがいいん」
夏海「えぇ?知らない人と隣同士になったらヤダよ」
れんげ「じゃあこまちゃんに決めてもらうん。こまちゃん、どっちにするん?」
小鞠「えっと・・・」
蛍「・・・」
小鞠(確かに知らない人が隣に来たりしたら、私だって嫌だ・・・。でも、他のお客さんの様子が見れるというのは私にとって恥をかかない上での大きなアドバンテージに・・・)
小鞠「カウンター席でお願いします」
夏海「うへぇ、勘弁してよ姉ちゃん」
蛍「いえ、さすがはこまセンパイだと逆に私は感心しました」
夏海「何でさ?」
蛍「回らないお寿司屋さんだと、カウンターと握り手さんと差し向かいですよね。回らないお寿司屋さんとはいえ、そういうとこに目がいくなんてさすがセンパイは通い慣れてるんだなって」
小鞠「そ、そうかな」
れんげ「ねえ、こまちゃん。これ、何なん?」
小鞠(あっ、これ、駄菓子屋のいんたーねっとで見た奴だ!)
小鞠「ふふふ、それは生姜が入ってるんだよ、れんげ」
れんげ「ショウガ・・・。食べてもいいのん?」
小鞠「もちろん。しかも無料なんだよ」
夏海「マジで!?すっげー」
蛍「あ、でも、たくさん食べてはお寿司が食べられなくなりますよ」
れんげ「確かに・・・」
夏海「それは困る。何せ、夏海ちゃんは今日の為に朝ごはん抜いてきたんだもんねー」
小鞠「ちゃんと食べてきなさいよ、もう」
れんげ「なっつん、食べる前に手を洗うのん」
夏海「おっと、さすがれんちょん、いいとこに気が付く。ちょうど手前に備え付けの水道みたいのがあるから使おうぜ」
れんげ「それじゃあなっつん、お先にどうぞ」
夏海「悪いね、れんちょん。それじゃお先に・・・」
蛍「待って下さい!」
れんげ「えっ・・・?」
夏海「な、何、ほたるん・・・?」
小鞠「ど、どうしたの・・・?」
蛍「その水道からは熱湯が出るんです・・・」
れんげ「ほんとなのん・・・?」
蛍「嘘だと思うのならその湯飲みに水を出してみて下さい」
ドッジャー モワワッ ホッカホッカ
夏海「お、お湯が出た・・・。こんなので手を洗ったりしたら・・・」
れんげ「皮膚が火傷で大変な事になりますのん・・・」
蛍「幸い私が注意書きに気付いたからいいようなものの、何でれんちゃんや夏海先輩に注意してくれなかったんですか、センパイ・・・」
小鞠「え・・・いや・・・」
蛍「あわや大惨事だったんですよ!」
小鞠「ごめん・・・」
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