姫騎士「私がオーガには勝てないだと?」(125)

預言者?「はい この世界では姫騎士はオーガに勝てない これがこの世の理なのです」

姫騎士「なにを馬鹿なことを オーガといえば怪力だが、徒党を組まねば我が国の精鋭に勝てないではないか」

預言者?「そのようですね」

姫騎士「その精鋭を指導してる私が、オーガに負けると?」

預言者?「そうです」

姫騎士「なぜ、そう言い切れる」

預言者?「これは預言書といいましょうか何と言いましょうか…薄い本に書いてあるのです」

姫騎士「預言書…」

預言者?「そうです。この”ドージンの書”は各地にいくつもありますが、そのどれも『姫騎士』の称号を持つ
女性はオーガには絶対勝てないとなっております」

姫騎士「ドージンの書か、それを私に見せろ」

預言者?「残念ながらこの書は貴方様には理解できないでしょう」

姫騎士「──幾何学模様だらけでわけがわからん…」

預言者?「これを読める者はこの世界にごく一部だけ そしてこの”ドージンの書”にはこの世界の
いや、この世界以外のことにも摂理らしき物が書かれてあるのです」

預言者?「そしてその内容は高確率で当たります」

預言者?「いいですか姫騎士 オーガを前にしたら逃げるのです
それがオーガに対して貴公が出来る唯一の抵抗です 決して戦おうなどと思ってはいけません」

姫騎士「私に敵を前にして逃げろと… お前はそう言うのかっ!」

預言者?「戦えば必ず負ける 負けたあと貴公には死よりも悲惨な運命が待ち構えています」

姫騎士「ふんっ 戯言を 私がオーガごときに負けるわけがない 死もそれ以上の苦痛も私は怖くない!」

姫騎士「オーガ共を滅ぼさねばこの国の民は安心して生活が出来ない」

姫騎士「姫騎士として民の安全を守るのは当然のこと!予言だのドージンの書だの惑わされはしない!」

預言者?「そうですか…ではお気をつけ下さい」

~数日後~

姫騎士「我が国の精鋭達よ!これより南に巣食っているオーガを殲滅する!」

姫騎士「これは侵略ではない 我が国を守るための戦いだ!」

姫騎士「お主達には守りたい物がある、護りたい者がいる!ならば自らの手で勝ち取るのだ!!」


      「「「「「『『『『オオオオオオオォォォォォォーーーー!!!!!』』』』」」」」」



                     姫騎士「いざ、出陣!!」

偵察オーガ「伝令!伝令!」

姫オーガ「何事です」

偵察オーガ「北の国の人間がこちらに向かって進軍中とのことです その数2500!」

オーガ姫「なんですって!? まさか私共を…」

オーガ王「やはりこうなってしまったのか…」

オーガ姫「お父様…」

オーガ王「…我らはこの根城を捨て、南へと移動する!」

オーガ姫「!?」

オーガ王「北側防衛拠点に兵を集め護りを固めろ 泥でも木でもいいから塊を作り数が多いように見せて時間を稼ぐのだ」

オーガ戦士「はっ!」

オーガ王「雌や子供を優先して、若い雄は年老いた者を!」

偵察オーガ「了解しました!」

オーガ王「…我らは静かに暮らしておきたいだけなのに…どうしてそっとしておいてくれぬのだ…」

偵察兵「姫騎士様」

姫騎士「様子はどうだ?」

偵察兵「すぐ南の防衛拠点に大群が構えております その数2000」

姫騎士「そんなに数が… (そのまま攻め入れるかと思ったのですがここは慎重にいくとしよう…)
後続が到着し隊列を整えるまで一旦停止、野営の準備を」

偵察兵「了解です。私は後続へこの事を」

姫騎士「頼む」

姫騎士(我々が思っているよりも多少知能が高いようだな… 短期決戦で勝負を付けたかったのだが時間がかかりそうだ)

オーガ兵士「急げ!荷物は手に持てるだけにしろ!物は後でも作り直せる!
今は自分の、家族の、知人の命を優先して動け!」

オーガ若者「誰かこっちに手を貸してくれ、この家には寝たきりのばっちゃんがいるんだ」

オーガ兵士「よしきた おいそこのお前も手を貸せ!」

オーガDQN「あ?なんで俺が… チッ おら糞ババァ捕まれ 痛くないか?あぁそうかよ うっせぇよ」

オーガDQN「あのキタネェ箱が大事なもんかよ あ?ジジィの形見? チッ おい!その箱大事扱えよくそが!」


オーガ王「現在の状況はどうなってる?」

オーガ兵士「住民の3割が移動を開始しております 病人の移送に多少時間がかかっている様子です、人間の軍は防衛2キロ手前で停滞」

オーガ兵士「野営の準備をしているようで、進軍は明朝になるかと思われます」

オーガ王「誘導している内の半数を移送に回して、誘導を若者数人に任せるのだ あくまで住民の移動を大事にしろ」

オーガ兵士「はっ」

オーガ王「偵察で数の工作が露見すれば朝を待たずに攻めてくるやもしれん…警戒を怠るな」

オーガ王(頼む…これ以上血を流したくはないのだ…)

オーガ姫「王子ー 王子ー!!」

オーガ王「どうした」

オーガ姫「王子がいないのです」

オーガ王「なんじゃと!」

オーガ姫「朝まではお部屋にいたのですが…」

オーガ王「まさか!」



オーガ王子(へへっ… おいらだってりっぱな王族なんだ  せんそうのせおりーぐらい知ってるんだ
頭をたたけば、軍はきのうしなくなるって下町のじっちゃんが言ってたもん)

オーガ王子(ひめきしってやつをたおせば、せんそうは終わるんだ!)

オーガ王子(おいらは町で隠れるのいちばんうまいんだ ニンゲンなんかにみつかるわけn)ガバ

兵士「貴様っ!オーガの偵察兵か!」

オーガ王子「うわっ」

姫騎士「何事だ!?」

兵士「オーガを捕まえました」

オーガ王子「はなせ!おいらはオーガ国 だいいち王いけいしゅうしゅうしゃだぞ!」ジタバタ

姫騎士「…子供?」

オーガ王子「お前がひめきしだな おいらがやっつけてせんそうをなくし…て…や…」

姫騎士「ほう…なかなかの威勢の良さだな」

オーガ王子(なんだこれぇーひめきしってこんなきらきらしてきれいなのかー!!)///

姫騎士「第一王位継承者とか言ったな…   おい、そいつを縛って私の部屋に連れて行け 少し聞きたいことがある」

兵士「はっ」

オーガ王子「…」ポッー   「ハッ…はなせよ!」ジタバタ

オーガ王子「くそーはなせよ!」

姫騎士「お前は下がっていいぞ」

兵士「ですが、こいつはオーガですぞ」

姫騎士「私がオーガに負けるとでも?しかも子供の?」

兵士「い、いえ 失礼致しました」


姫騎士「ふぅ…」

オーガ王子「くそぉ~」

姫騎士「あまり騒ぐな」チャキ

オーガ王子「ひっ… おいらをころすのか…」

姫騎士「こら、動くな」バサッ

オーガ王子「ヒッ… あれ?」パラ

姫騎士「縛って悪かったな」

オーガ王子「なんで…いいのか?」

姫騎士「いくら敵とはいえ子供を縛り続けるなどそんなこと出来ないからな」

オーガ王子「おまえいいやつだな!おいらお前すきだ!キラキラしてるしきれいだし!」

姫騎士「なっ!なにを馬鹿なことを 私は敵だぞ」

オーガ王子「キラキラしててキレイなのは、敵とか味方かんけいないだろ」

姫騎士「そ、そうか…そうだな…それは敵味方関係な…そうじゃなくて 敵なのにその…す、すきとか」

オーガ王子「そんなに変か?おいらよくわかんねーけど、おいらはお前のこと好きだからそれでいい!」ニカッ

姫騎士「!?」

オーガ王子「どうした?」

姫騎士「な、なんでもない!」

姫騎士「お前一人で来たのか?」

オーガ王子「そうだ!おいらは王子だからな 国民のためにかんがえこうどうするのが王ぞくなんだ」エッヘン

姫騎士「国民の為に考え行動する…か」

姫騎士(今までに聞き及んでいたことと何か違う…王族とはいえこんな子供が国民の為に危険を顧みず
敵地に来るなど考えられない…)

オーガ王子「どうしたひめきし なんかおいら悪いコト言ったか?」

姫騎士「…いや、大丈夫だ」

オーガ王子「?」

姫騎士「私はオーガのことをよく知らないのだが、聞かせてくれるか?」

オーガ王子「おう、いいぞ!」

オーガ王子「ずっーとずっと南はとっても暑くて、そこをここに向かってずーっと歩くととても寒いんだ、その寒いのをこえて今の場所に来たんだって」

オーガ王子「最初あの場所はとてもあれてたんだけど、父ちゃんたちがみんなで土をたがやして少しずつ緑をふやしていったんだ」

姫騎士「オーガは野菜食べるのか?肉だけじゃないのか?」

オーガ王子「なにいってんだ?野菜大好きだぞ そりゃお肉も食べるけどお肉を作るのにこくもつが7ばい必要なんだぞ」

姫騎士「そ、そうか…」(なんかイメージが全然違うんだが…)

オーガ王子「おいらからも一つきいていいか?」

姫騎士「なんだ?私が答えられることなら何でも答えよう」

オーガ王子「なんでおいらの国せんそうしかけるんだ?」

姫騎士「それはお前たちオーガが我が国にとって危険だからだ」

オーガ王子「きけん?なんでだ?」

姫騎士「オーガは人間を襲うだろ」

オーガ王子「オーガはそんなことしない!他人をきずつけるのはよくないことだ!そんなこと子供でもしってる!」

姫騎士「しかし、実際に襲われて逃げ帰ってきた国民もいるんだ」

オーガ王子「そういえば、何人かが近くの森でニンゲンに出会って顔見たしゅんかんにひめいあげて逃げてったっていってた
ニンゲンからみたら、おいらたちは少し顔こわいからなー でも決してきずつけるようなことはしないぞ おいらの命をかけてもいい」

姫騎士(そういえば、逃げ帰ってきたというだけで行方不明も傷ついた人がいたなどとは聞いてないな…)

オーガ王子「われらは争いをこのまないんだ」

姫騎士「では、あの防衛拠点はなんなんだ?」

オーガ王子「えっと、ずっと昔ここにきたときにおまえらの国の王とこのばしょから北に国はのばしませんって
きめたせんびき?みたいなものらしいぞ」

姫騎士「え?」

オーガ王子「だからむかーし、おまえのとこの王さまとおいらのひぃひぃじいちゃんが決めたこっきょう?みたいなもんだ」

オーガ王子「ずっと昔はぶつぶつ交換とかしてたってじぃちゃんいってたぞ?」

オーガ王子「ニンゲンは牛や豚を増やしたり狩ったりするのがうまくて、おいらたちオーガは野菜をつくるのが得意だからなー」

姫騎士「オーガは狩りが苦手なのか?怪力だと聞き及んでいるが…?」

オーガ王子「そりゃぁ荒れた土地を耕したり、岩をどかしたりしてたんだから力もつくさー 野菜だって水分が多いからそれなりの量になればじゅうりょうもあるしなー
でも、力はあっても狩りは下手だぞ- 動きが早いどうぶつ捕まえられないんだ」

姫騎士「な、なるほど」

オーガ王子「なっとくしてくれてよかったぞ」

姫騎士(あれれ?オーガって悪くなくない?あれ?私達のほうが悪い?あら?)

オーガ王子「?」

姫騎士(い、いやまてまて 敵の言葉を鵜呑みにしてはダメだ いくら子供とはいえ敵国の王子だ)

オーガ王子「ふわぁ…  眠くなってきた」

姫騎士(くっ… このまま攻めるべきか… 一度国へ帰って事実確認をするべきか…)

兵士「姫騎士様!!」

姫騎士「何事だ」

兵士「オーガの軍勢がこちらへ進軍してきます!」

姫騎士・オーガ王子「「なんだと(って)!」」

オーガ王子「そんな…」

姫騎士「一軍二軍は即臨戦態勢へ三軍は弓矢と投擲の準備を急がせろ」

姫騎士「夜襲とは卑怯な…」

オーガ王子「違うっ!なにかのまちがいだ!父ちゃんはこんなことしない!」

姫騎士「…ならば来い 自分の目で見るがいい」

兵士「およそ1キロ手前で停止 その数…4000!?」

オーガ王子「そ、そんな… 国民のほとんどじゃないか… なんで…」ガックシ

姫騎士「やはり争いは避けられぬな」

姫騎士「全軍戦の用意を!」

オーガ王子「まってくれ!これには何かわけがあるとおもうんだ!!」

姫騎士「理由だと?お前が言っていることが本当なら国民の殆んどがあの場にいるんだ」

姫騎士「それほどまでの理由とはどんなものだ?相手を滅ぼすためではないのか!?」

オーガ王子「オーガはそんなことしないんだ… ひとりのきけんにたいして国ぜんいんがなんとかしようとするぐらいいい国なんだ…」

姫騎士「そんな国がどうして大群で  ん?一人の危険に国全員?」

オーガ王子「そうだ!みんな家族みたいなものなんだ!!」

姫騎士「ん~」

オーガ王子「なんだよ…」

姫騎士「いくぞ」

オーガ王子「え?」

兵士「姫騎士様!」

姫騎士「ついてこなくていい」

兵士「しかし!」

姫騎士「無用だ」

オーガ王子「お、おい」

姫騎士「お前を送り届けてやる」

オーガ王子「いいのか?おいらほりょじゃないのか?」

姫騎士「違う いくら王族とは言え子供を捕虜になんてしない それに」

オーガ王子「それに?」

姫騎士「私は騎士として、はぐれた子供を親元へ返すだけだ 何を心配する必要がある?」

オーガ王子「にひひ」

姫騎士「なんだ?」

オーガ王子「やっぱお前すごいキラキラしててすっごくキレイだ!」

姫騎士「!?  ふ、ふん… 急ぐぞ」

飯&風呂 落ちたらここで終わり

オーガ兵士「王様 ニンゲンが近づいてきます」

オーガ王「なに?複数か?」

オーガ兵士「いえ、馬一頭にふたりほど乗っているもよう」

オーガ王「全員に伝えろ 攻撃することは許さん 我の前まで丁重に迎え入れろ」

オーガ兵士「はっ」



オーガ兵士「ニンゲンよ とまれー」

オーガ王子「おー みんな元気だったかー」

オーガ兵士「お、王子!!ご無事で!」

オーガ王子「だいじょうぶだぞー」

オーガ兵士「ニンゲンの方、我らが王がお呼びです。よろしければご案内いたします」

姫騎士「…(会話もでき、冷静な判断も出来る それに礼節もわきまえてる…)

姫騎士「御願いたします」

オーガ王子「父ちゃんただいまー」

オーガ王「このバカタレが!」ガッ

オーガ王子「いたっ!」

オーガ王「みんなに散々心配かけおってからに!」

オーガ王子「だって…」

オーガ王「だってもくそもあるものかっ!」ガッ

オーガ王子「ぎゃあー」

姫騎士「あの…」

オーガ王「おお、すまなんだ ニンゲンの者よ 王子を送り届けてくださり感謝いたします」ペコ

姫騎士「い、いえ 滅相もございません」

オーガ王「私はオーガ国の王 オーガ王でございます この度はこの馬鹿王子がご迷惑をおかけいたしました」

オーガ王「そして何より、国民全員でこのようなところへ押しかけてしまい大変申し訳ありません」

姫騎士「いえ、その言葉ありがたく頂戴いたします 私は王国近衛兵騎士団の姫騎士です」

オーガ王「おお、あなたがあの噂に名高い姫騎士殿であったか 色々と聞き及んでおります」

オーガ王子「ふたりともわかりやすくしゃべろうよ」

オーガ王「お前は黙っておれ」

姫騎士「我が野営地点にこちらの王子が迷い込まれており、状況的に色々と聞かせていただきました」

オーガ王「ふむ」

姫騎士「勿論乱暴は一切行なっておりません」

オーガ王子「うん 姫騎士は優しかったぞ あとなんかキラキラしててキレイだった」

オーガ王「キラキラ?」

姫騎士「ゴホンッ 私が国で聞き及んでおりますオーガの印象とは違いましたので、その認識を確かめると同時に
ご子息でございます王子を送り届けるため私が参りました」

オーガ王「なるほど… しかし、いくら王族に説明されたからといっても所詮は子供の言うこと
それを信じ、一人で敵陣 しかも大群の中に来るなど正気の沙汰とは思えません」

オーガ王「例えば、王子の喋り方からなにまで演技だったとしたら?」

オーガ王「色々教えられたのでしょう?幼い言葉遣いなのに納得できてしまうような理由で…」

姫騎士「…何が言いたいのですか?」

オーガ王「貴公達が攻めてきた時からすべて仕組まれていた としたら?」ニヤリ

オーガ王「貴公は我々の事をどう聞いていた?狡猾で乱暴で残虐…もしそうだとしたら?」

姫騎士「なるほど…ですがそれはまったく意味がありません」

オーガ王「ほう…」

姫騎士「最初からそれを仕組んだとして、たかだか私一人捉えるためだけにそこまでする意味が無い」

姫騎士「やるなら軍全体を騙すようなやり方じゃなければ滅びるのはあなた達なのだから」

オーガ王「ははは 確かにそうだ 試すようなマネをして申し訳ない」

姫騎士「仮にそうであったとしたら、私はここで朽ち果てようとも貴殿の首を撃ち落とす覚悟があります」

オーガ王「はっーはは 気に入った!姫騎士とか言ったなここへ来たのも他意があってのことであろう」

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