魔王「勇者が来ない………」 (17)

魔王「おい!いつになったら勇者は来るんだ?確かこの城に入ってもう10時間は経ってるはずだぞ。どう言うことだ爺よ!!」

側近「はぁ、正確には10時間と38分2秒ですが」

魔王「いやそんな秒刻みなんてどうでもいいんだけど」

側近「確かにいくら複雑な作りだからといって少々時間が掛かりすぎですな」

魔王「掛かりすぎなんてもんじゃない!全くぐずぐずしおってからに」

側近「ならば魔女に遠見の水晶を使って勇者らの現在位置を確かめましょう」

魔王「よし!!今すぐ魔女を呼べ!!」

側近「はっ!!」

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魔女「お呼びでしょうか魔王様」

魔王「うむ、今すぐ勇者の位置を確かめよ」

魔女「はっ!!ただ今」

側近「はてさてどこで道草を食っているのでしょうな」

魔王「全くだ。今さらレベル上げなどせんでも十分だろうに」

魔女「魔王様、わかりました」

魔王「そうか、して今どこにおる?」

魔女「そっそれが……」

魔王「なんだ?勿体ぶらずに早く言わんか」

魔女「はぁ、じっ実は……どうやら勇者らは一行は今この城に、いません」

魔王「はぁ?今なんと申した?」

魔女「今この城にいませんと」

魔王「なんだって!!!!」ドカーンッ!!

魔女「ひぃぃぃ!?」

側近「はてさて、どうしたものやら」

魔王「なんでおらんのだぁぁぁあ!!!」

魔王「どう言うことだ!!」

魔女「わかりません」

魔王「わかりませんだと!?貴様本当に隅から隈無く探したと言うのか!!」

魔女「もちろんでございます!!廊下の隅から魔王様の寝室まで隈無く!」

魔王「おい!何故私の許しなく寝室まで探った!!」

魔女「いや、早くと言うからそのうっかり?」

魔王「まさか私のベッドの中もか?」

魔女「……熊ちゃんの抱き枕がありました」

魔王「///」

側近「おやおや魔王様、まだあのようなものをお持ちで」

魔王「貴様!!今なんつった!!あれはゆっちゃん(勇者)から貰った大事な誕生日プレゼントなんだぞ!!それをあのようなものなどと不敬だぞ!!」

側近「いや18にもなって熊ちゃんの抱き枕もなにも」

魔王「可愛いからいいのだ!!」

魔女(いつの間にか話が脱線してる)

魔女「あのー」

魔王「なんだ!今熊ちゃんの素晴らしさをこの石頭に」

魔女「それは一先ず、勇者達の件は?」

魔王「はっ!!そうであった」

側近(ほっ…)ゲンナリ

魔王「でっ、魔女よ。今現在の勇者の行方は?」

魔女「それが、どうやら勇者らは今この世界にはおりません」

魔王「えっ?いない?どうして?」

魔女「それを説明するには彼らの過去の行動を辿らねばなりません。今しばらくお時間を」

魔王「わかった。わかり次第直ぐに報せにこい。それてだな側近、熊ちゃんがどうして可愛いのかはな……ウンタラカンラ」

側近(えっ話終わったんじゃないの?)

魔女(御愁傷様であります側近殿)(^_^ゞ



その後一時間以上魔王の熊ちゃん講義は続いた。

それから数時間後

側近「やれやれえらい目におうてしまった」

幹部「はぁ、それは大変でしたな」

軍師「して、魔王様は?」

側近「話疲れて眠りについてしもうたわ。やれやれ魔王様には困ったものだ。これでは先に逝かれた先代に顔向け出来ぬな」

幹部「確かに、あのように我が儘放題されては我々も身が持たぬし、士気の低下にも繋がる。早くなんとかならぬものか」

軍師「しかし、今さら人間どもと和議を結ぶとは最初申されたときは耳を疑いましたぞ」

側近「あぁ、まさか魔王様があのような若造なんぞに惚れ込まれておったとは」

幹部「確かあれは幼き日に人間界へ赴いたときでしたな」

側近「あぁ、懐かしいな。あの頃の魔王様はそれはそれは可愛いくて、あっ思い出したら鼻血が」ポタポタ

軍師(まったく側近殿は)ポタポタ

幹部(そう言うお主も人の事は言えぬではないか)ポタポタ


閑話休題


側近「んん!話が逸れたな」フキフキ

幹部「しかし何故勇者らはこの世界から突如消えたのだろうか」

軍師「今魔女が精査中と言うが、勇者らがこの城に入ってきてかれこれ一日、城の創りは迷宮とまでいかぬともトラップや仕掛の類いを攻略に難儀していたとしても、遅くとも5時間くらいでつけるはず」

側近「お前の設定が難解過ぎたのでは?」

軍師「いえ、魔王様の言いつけで難易度はEasyで設定しましたから余程間抜けでなければ簡単に進めますぞ」

側近「んーなんか心配になってきた」

魔女「わかりました!!」

側近「おう、魔女よ!ようやった。直ぐに魔王様の元へ向かうぞ」

魔王の寝室

魔王「んんーゆっちゃんzzZ」ムニャムニャ

側近「魔王様ー!!」

魔王「そこはダメよーzzZ」

側近「起きなされ魔王様!!勇者の動向がわかりましたぞ!」

魔王「何!!わかったのか!!」ガバッ

側近「はっ!魔女よ、申せ」

魔女「それより着替えて涎くらい拭いてください」

魔王「むっ私としたことが。ちょっと待っておれ、今支度するから謁見の間にて待っておれ」

側近「はっ!!(涎を垂らす魔王様も可愛い///)」ボトボト

魔女(側近キモい)

謁見の間

魔王「して、魔女よ。勇者らはどうしていなくなった」

魔女「まずは勇者らのこれまでをお話致します」




数十時間前に遡る


勇者「ようやく魔王の間までたどり着いたな」

戦士「長かったな」

僧侶「ようやく旅の最終地点ですね」

盗賊「はっ腕が鳴るな。さっさと魔王を倒して世界を救おうぜ」

勇者「あぁ!!っとその前にセーブセーブ」

記録の結晶でセーブ致しますか?

はい←ピッ

いいえ

セーブ致しました。

勇者「よし!行くぞ!!」



数時間の長い死闘の果てに勇者たちは魔王を討ち果たし、漸く世界は平和となった。


End

魔王「つまりどういうわけさ?」

魔女「いや、私に言われましても……」

側近「もしや最近巷で流行っておるゲームと言うやつのあるシステムを使って我々を倒し、また旅を再開したと言うわけですかな?」

魔王「さっぱりわからん」

側近「だからですね…」


魔王がこの事を理解するのにおよそ10時間はかかった。


一方勇者一行は



勇者「まずは魔王討伐を祝して乾杯ー♪」

一行「「「乾杯ー♪」」」

城から転移魔法を使って近くの酒場で祝杯を上げていた。

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