海未「もうちょっと足を横に向けてください」真姫「嫌よ」 (49)

海未「何故ですか…」

真姫「だって熱源から離れちゃうじゃない」

海未「でもそうしないと私が肩まで温もれないじゃないですか」

真姫「じゃあ私の足に乗せていいわよ」

海未「それは金具で火傷しそうになるから嫌です」

真姫「なによー。じゃあどうすればいいのよ」

海未「さっき言ったじゃないですか。足をもう少し横に向けて下さい」

真姫「しょうがないわねー」

海未「初めからそうすればいいのに…もう」










海未「ふぅ…この時期のこたつは素晴らしいですね」

真姫「そうね」

海未「ところで真姫」

真姫「何?」

海未「何故私の家でこたつに入って寝ているのですか」

真姫「いいじゃない休みなんだし」

海未「まぁ別に悪いとは言いませんが…」

真姫「ならいいでしょー…」ヌクヌク

海未「真姫の家にはこたつはないのですか」

真姫「うち、床暖房とヒーターだから」

海未「そうですか…」










海未「…そっちのほうが十分温かいのではないですか?」

真姫「私はこたつの方がいいのよ」

海未「…お茶が飲みたくなりましたね」

真姫「あ、私も」

海未「…飲みたくなりました」

真姫「うん」

海未「……」

真姫「……」

海未「じゃん」

真姫「けん」

二人「ぽんっ」










真姫「よろしくー」

海未「うぅ…寒い」

海未「淹れてきましたよ」

真姫「ありがと」ノソノソ

海未「」ズズッ

真姫「」コクッ コクッ

海未「…ふぅ。沁みますね」

真姫「そうね…温まるわ」

海未「でも、何か足りませんね…」

真姫「…みかん?」

海未「そう。それかお煎餅が欲しいです」

真姫「お煎餅…」








真姫「買ってきたわ」

海未「早いですね」

海未「寒いのによく外に出ようと思いましたね」

真姫「この真姫ちゃんの行動力を舐めてもらっては困るわ」

海未「羨ましいです」

真姫「はい」

海未「ありがとうございます」

真姫「…あ、お茶がもうない」

海未「こちらも冷めてしまいました」

真姫「またじゃんけん?」

海未「いいえ、その必要はありません」










海未「予めポットをこちらに持ってきました」コポポポ

真姫「かしこいわね」

海未「はいどうぞ」

真姫「ありがとう」

海未「……」ペリペリ

真姫「海苔巻きの海苔剥がしてる…」

海未「すみません。癖でどうしても…」

真姫「別にいいわ。気持ち分かるから」

海未「そうですか」

真姫「うん」












真姫「でも海苔剥がすと表面のタレが指に付いちゃうわよ」

海未「はい。それでいつも後悔しています」ペロペロ

海未「……」ポリポリ

真姫「……」ズズッ

真姫「…時間がゆっくり流れていくわね」

海未「はい…とても心地いいですね」

真姫「みんな今頃なにしてるのかしら?」

海未「さぁ…それぞれ自分の休日を過ごしているのではないでしょうか」

真姫「そうね…」

海未「はい」












真姫「みかん食べたい」

海未「食べてばかりじゃないですか」

真姫「ダメ、何だか食べ始めたら止まらない」

海未「もうすぐお夕飯の時間ですから、あまりお腹を膨らませない方がいいかと」

真姫「そうね…」モゾモゾ

海未「あ、また真ん中に潜り込みましたね」

真姫「ちょっとだけ…」

海未「もう…」

真姫「海未、そっちの枕とってくれる?」

海未「いいですよ。はいどうぞ」

真姫「ん。ありがと」










海未「…真姫、さり気なくこたつ布団を自分の方に寄せないでください。こっちが空いて寒いです」

真姫「あ、バレてたのね」

海未「当たり前です。妙にスースーしてると思ったら…」

真姫「悪かったわよ。そっちから引っ張って」

海未「お茶をこぼさないように机押さえて下さい」

真姫「分かったわ」

海未「よいしょ」ゴソゴソ

真姫「もういい?」

海未「はい。結構です」

真姫「そっ」モゾモゾ












真姫「」ズリズリ

海未「また引っ張ってますから。もしかしてわざとですか」

真姫「布団があると巻き込んじゃう癖があるのよ」

海未「真姫だけに巻き込むですか」

真姫「つまんない」

海未「すみません」

真姫「もう一回そっちから引っ張ってくれない?」

海未「全くもう…これで終わりにしてくださいよ」

真姫「ごめん。気をつけるわ」

海未「分かればいいです」












真姫「」グイグイ

海未「私を外に追いやろうとしないでください。寒いですってば」

まきちゃんってみかん嫌いじゃなかったっけ

真姫「何でバレちゃうのかしら…」

海未「むしろバレないと思っている真姫にビックリしました」

真姫「むぅ…」モゾモゾ

海未「少し温度を上げましょうか?」

真姫「お願い」

海未「分かりました」モゾモゾ

真姫「……」












真姫「……」モゾモゾ

海未「何故真姫まで中に潜るのですか」

>>20
忘れてた
すまん

真姫「んと…海未の家のこたつの中ってどうなってるのかなって」

海未「こたつなんてどのご家庭でも変わりませんよ」

真姫「そうね」

海未「えっと調節ネジは…こっちにありませんね」

真姫「…あ、こっちにあったわ」

海未「ではそっちからお願いします」

真姫「分かった…はい、温度上げたわよ」

海未「ありがとうございます」












海未「…何故潜り込んだままなのですか」

真姫「そっちこそ何で出ないのよ」

海未「…肩がちょうどいい具合に温まるのですよ」

真姫「私も。ちょっと体勢キツいけど」

海未「ふふっ…何だか子供の頃を思い出します」

海未「よくコタツの中に潜って母に叱られましたっけ…」

真姫「ふぅん」

海未「頭に金具が当たって熱い思いをしたこともありました」

真姫「結構無邪気だったのね」

海未「家の中では、ですけどね」

真姫「そう…」










真姫「…こたつの中って、秘密基地みたいね」

海未「分かってくれましたか。嬉しいです」

真姫「…そろそろ息苦しくなってきたわ」

海未「私もです。出ましょうか」

真姫「そうね」モゾモゾ

海未「ふぅ…」ボサボサ

真姫「…海未、髪凄いことになってるわよ」ボサボサ

海未「人のこと言えませんよ真姫」

真姫「え…やだ、ホント」

海未「私の部屋に櫛があるので溶かし合いっこしましょうか」

真姫「いいわね…お願いするわ」








海未「ではどっちが取りに行くかジャンケンを…」

真姫「私海未の部屋のどこに櫛があるのか分からないから」

海未「くぅ…そうでした」シブシブ

海未「取ってきました…うぅ寒い」

真姫「ありがとう。私が先にしてあげるわ」

海未「お願いします」

真姫「ちょっと後ろ向いて」

海未「はい」

真姫「……」スッ

海未「……」

真姫「この櫛、すごく溶かしやすい」

海未「つげ櫛です。これで溶かすと抜け毛が少なくなるなるそうです」

真姫「へぇ~いいわね。私も買おうかしら」

海未「それほど高くはないので、是非使ってみてください」






真姫「……」イジイジ

海未「さり気なく三つ編みにしないでください。バレてますから」

真姫「終わったわよ」

海未「ありがとうございます。では私の番ですね」

真姫「うん。よろしくね」

海未「……」サッサッ

真姫「…私の髪、溶かしにくくない?」

海未「いいえ、とても触り心地がいいですよ」

真姫「…そう」

海未「……」

真姫「……」








海未「あ、白髪がありました」

真姫「嘘!?」

海未「冗談です。ふふっ」

真姫「もう…びっくりするじゃない」

海未「すみません、ちょっとからかってみただけです」

真姫「まったくー」

海未「はい。終わりましたよ」

真姫「ん、ありがとう」

海未「ふぅ…」モゾモゾ

真姫「……」モゾモゾ














海未「…何故あちら側で寝転がらないのですか?」

真姫「あっちに行くまでが寒いからしょうがないじゃない」

海未「それぐらい我慢して動いてくださいよ」

真姫「いや」

海未「でもこのままでは狭くないですか?」

真姫「別に問題ないわ」

海未「ならいいですが…」モゾモゾ

真姫「そういうこと」モゾモゾ

海未「……」

真姫「……」












海未「スゥ…スゥ…」 zzz...

真姫「…クー」 Zzz...

海未「…んぅ」

海未「あ…寝ていました」

真姫「んん…何?」

海未「起きてください。それ以上寝てると風邪引きますよ」

真姫「ん…ふぁーぁ」グシグシ

海未「今日は確か…父と母が遅くなる日でしたね」

真姫「そうなの?」

海未「はい、だから自分でご飯を作らなければ…」

真姫「…この寒い中台所に立たないといけないのね」

海未「……」








海未「店屋物にしましょう」ピポパ

真姫「私の分も頼んで」

海未「いただきます」

真姫「いただきます」

海未「」ツルツル

真姫「…そのうどん、美味しそうね」

海未「食べてみますか?」

真姫「一口くれないかしら」

海未「ではお互いに一口交換ということで」

真姫「ありがとう」

海未「……」モグモグ

真姫「……」ツルツル






海未「…こちらの玉子丼も美味しいですね」

真姫「でしょ?」

海未「ふぅ…ご馳走様でした」

真姫「あ、お金ここに置いておくわね」

海未「はい。ありがとうございます」

真姫「」モゾモゾ

海未「食べてすぐ寝転がると胃に悪いですよ」

真姫「分かってるわ…でも食べてる時肩が冷えちゃって」

海未「…ちゃんちゃんこならありますけど」

真姫「何それ」

海未「ちょっと待ってて下さい」ノソノソ










海未「はい。母の愛用でよければどうぞ」

真姫「なにこれすごく暖かそう」

海未「どうですか?」

真姫「うん。温まってきたわ」

海未「それはよかったです」

真姫「昔の人ってすごいわね…こんなの作っちゃうのだから」

海未「天才はいつの時代にもいますからね…」

真姫「そうね…」

海未「……」














真姫「そう言えば、こたつって誰が作ったのかしら?」

海未「さぁ…寒い地方の方でしょうか?」

真姫「あ、お茶淹れる?」

海未「お願いしていいですか?」

真姫「いいわよ」コポポポ

真姫「…あ、ちょっと出が薄いかも」

海未「構いませんよ。後で入れ直してきます」

真姫「分かったわ。はい」コトッ

海未「ありがとうございます」

真姫「……」ズズッ

海未「……」フーッ










真姫「…幸せ」

海未「はい…そうですね」

真姫「そろそろ帰らなきゃ…」

海未「そうですか…送っていきましょうか?」

真姫「ううん、お母さんにメールしたら迎えに来てくれるって」

海未「そうですか」

真姫「…ねぇ、こたつで食べると美味しい料理って何かしら」

海未「こたつでですか…そうですね」

海未「鍋物は定番ではないでしょうか?寄せ鍋やおでんとか…」

真姫「…今度みんなで鍋パーティしない?」

海未「いいですね。鍋は何にしますか?」

真姫「人数多いから二種類あったほうがいいかもしれないわ」

海未「では話し合って決めましょうか。材料や調理も分担して」

真姫「そうね」

海未「では決まり次第みんなを招待しましょう」

真姫「楽しみね」

海未「はい」

真姫「あ、お母さんもうすぐで来るって」

海未「そうですか」

真姫「…出たくない」

海未「気持ちは分かりますが…待たせてしまってはいけませんよ」

真姫「もうちょっとだけ…」

海未「もう…」







真姫「…こたつっていいわね」

海未「そうですね」


~おわり~

5000円の安物のこたつ買ったら支柱が折れて使い物にならなくなった。今年の冬は寒い。つらい
読んでくれありがとう。みかんごめん

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月16日 (月) 15:57:09   ID: EsIc5lcK

おお~この二人。和んだ。

2 :  SS好きの774さん   2015年07月05日 (日) 19:33:03   ID: c8yYnFy5

みかん嫌いの設定とはなんだったのか

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