尭深「さよなら、白糸台」(117)

ID:aXSoJSW10の代行でー!

尭深「福岡に転勤……?」

尭深母「そう。あなたのインターハイが終わるまでは、何とか引き延ばしてもらってたんだけどね? 団体戦も優勝して、ちょうど区切りがついた頃でしょう」

尭深「そう、だけど……」

尭深母「福岡のおばあちゃんの家からなら、ほら、新道寺」

尭深「えっと、準決勝で戦った」

尭深母「あそこに通えるから、麻雀も続けられるし、ちょうどいいでしょう」

尭深「……」

尭深母「夏休み前には向こうに引っ越しとかないといけないから」

尭深「そんな、急に」

尭深母「部活のみんなや、お友達にはちゃんと伝えなさいよ?」

尭深「…………はい……」

淡「あーづーいー」ダルーン

菫「いくらインハイが終わったからと言って、そんなにダラけていてもダメだろ」

淡「あっついのはあついよー、ね? たかみ先輩?」

尭深「……」ポケー

淡「あれ?」

誠子「おい、どした?」

尭深「……あっ」

尭深「す、すみません……お茶、入れますね」アセアセ

誠子「いや、誰もそんなこと言ってないぞ」

照「どうかした?」

尭深「いえ、なんでも……」

淡「多分おもちが大きくて苦しいんだよ、テルーと違って」ニヤニヤ

照「」カッチーン

照「淡よりはある」

淡「えー?」

照「本当に淡よりはある。嘘は言っていない」ギュルルルルルル

淡「ほんとかなー?」ウネウネウネウネ

菫「やめろお前ら」シュッ

淡照「」ドスッ

尭深「ふふっ……」

誠子「……」

菫「そろそろ日も暮れたし、帰るか」

照「勉強しなきゃ……」

淡「え!? テルー勉強してるの!?」キョウガク

照「これでも受験生」ドヤァ

菫「そうだな。これからは部室に顔を出す回数も減ると思う」

誠子「ちょっと、淋しくなりますね」

照「大丈夫。お菓子は欠かさずに食べに来る」

誠子「先輩は勉強しててください」

菫「ほら、鍵かけるぞ」

ガチャリ

菫「それじゃ、鍵、よろしくたのむ。次期部長」

誠子「はい。お疲れさまさまです」

淡「お疲れ様でしたー!!」ビューン

尭深「淡ちゃん、帰るの早い……」

菫「最近彼氏が出来たらしいからな」

照「!?」

尭深「そうなんですか……」ズズッ

菫「ああ。ミニチュアダックスの」

照「……驚かせないでほしい」

菫「はは、すまないな。ほら、帰るぞ」

尭深「お疲れ様でした」

菫「お疲れ」

照「それじゃあ」

誠子「私達も帰ろう」

尭深「うん」


いまさらですが、皆さん支援感謝です!!

誠子「……なあ、尭深」

尭深「ん?」

誠子「なんか悩みとかあったら、聞くぞ? 力になれないかもだけど」

尭深「……ううん、何でもない」

誠子「そうか? でも、」

尭深「誠子ちゃん」

誠子「っ……」

尭深「今日は、帰るね。送ってくれてありがとう……」タッタッタッタッ……

誠子(尭深――――)

尭深「明日から福岡に……?」

尭深母「そう。下見も兼ねてね。おばあちゃんに一回顔見せしないと」

尭深「新道寺……」

尭深母「見学に行ってきなさいよ」

尭深「……」

尭深母「まあ、そういうわけだから。準備してね」

尭深(……土日の部活、お休みするって伝えないと)

ハーバターイーテー

誠子「ん、尭深からか」

from:尭深
件名:ごめんなさい
本文:
明日、明後日の部活は私用でお休みします。
戸棚のお菓子はそろそろ賞味期限が危ないので、
宮永先輩か淡ちゃんにでも食べさせておいてね。

誠子(どうしたんだろ。思い詰めてたようにも見えたし)

誠子「私の思い過ごしだったらいいけど」ポスッ

福岡県

尭深(もう少ししたら、ここで暮らすことになるんだ)テクテク

尭深(東京よりも、静かで、長閑な場所)

尭深母「ほら、ついたよ。新道寺女子」

尭深「ここが……」

尭深母「ここからおばあちゃんの家、わかる?」

尭深「多分、なんとか」

尭深母「じゃあ、遅くなる前に帰りなさいよ」

尭深「はい……」

支援ぞ

尭深(でも、どこに行けばいいんだろう)キョロキョロ

煌「なにやらお困りのようですね」

尭深「あ……」

煌「おや、もしかして白糸台の」

尭深「ど、どうも」

煌「渋谷尭深さん、でしたね」

尭深「はい、えっと……花田、煌さん?」

煌「覚えていらっしゃいましたか。すばらです!!」

煌「ところで、今日は一体何用で」

尭深「えっと、実は」

尭深(何て説明すればいいんだろう……)

尭深「ちょっと、麻雀部の見学に」

尭深(あ、これ余計にダメじゃないかな)

煌「そうなのですか。それじゃあ、立ち話も何ですし」ドウゾ

尭深(いいんだ……)

煌「部長、すばらなお客様ですよ!!」ガチャリ

尭深「お、おじゃまします……」

哩「お客さん?……って、白糸台の渋谷じゃなかね!?」

尭深「はじめまして……」ペッコリン

姫子「何でここにおっと?」

煌「見学希望だそうで」

美子「見学って……」

尭深「いや、あの……」

尭深(本当のことを言った方がいい、よね)

尭深「実は、夏休み前から、ここに転入するんです」

煌「すばらっ!?」

哩「また、随分突然とね?」

尭深「親の転勤で……インハイが終わるまでは待っていてくれたみたいで」

姫子「そいは大変ね……」

煌「なるほど、それで麻雀部の下見にいらっしゃったと」

尭深「えっと、まあ」

煌「これはこれは、すばらですね」

哩「こいはラッキーよ」

姫子「ぶちょーが抜けた穴、埋めらるっかもしれんですね」

美子「うちらも抜くっとよ?」

仁美「なんもかんも哩が悪い」ヂュゴーッ

哩「そいてん、渋谷が入っとなら心強かよ」

美子「とりあえず、打ってみらん? 卓、あいとるし」

尭深「……お願いします」コクン

東南戦

東家:江崎仁美
南家:花田煌
西家:渋谷尭深
北家:鶴田姫子


仁美(準決勝じゃボコボコにされたけん、やりかえす)

哩(インハイ優勝校の打ち筋、見物やね)

尭深「……」スッ

九萬

姫子(一打目、まだわからんよね)


…………

尭深「自模、1000,2000」

姫子(親でもなかとに、安手で流した……?)

哩(準決の時と同じ打ち方ってわけじゃなかね)

ついにすば尭がきたのか?
そら支援よ

東二局

尭深「……」スッ

九萬

煌(また九萬ですか……嫌な予感がしますね)

…………

姫子「ロン、7700」

煌「すばらっ」

哩(姫子は調子のよかみたいね)

哩(で、)

尭深「……」ズズッ

哩(渋谷は何ば考えちょるとやろか……)


>>34
ご期待に添えるかどうか微妙です

そもそもインターハイって夏休み中じゃないのか?

――――――

オーラス

哩(これは……想像以上やね)

姫子(オーラスまでで10局ちょうど)

尭深「……」ズズズ

姫子(捨て牌は、一萬二枚に、二三四五七萬、九萬二枚)

煌(どーすんでしょ、これ)

仁美(なんもかんも……)

哩(他家が親の時も安手で上がることで、オーラスまでに点差をつけさせんようにする)

姫子(もう、萬子は切れん)

尭深「……自摸」

姫子「っ!!」

尭深「九連宝燈、8000,12000」

哩「渋谷の一人浮き、やね」

尭深「お疲れ様でした……」


>>39
そうでしたっけ……
えっと、その
脳内補完お願いします

煌「渋谷さん、すばらです!!」

姫子「準決の時と比べても、格段に強くなっとるとよ」

仁美「」プシュー

哩「こんだけの力ば持つ選手が、うちに入ってくれると」

姫子「来年こそは、優勝できるかもしれんですね、ぶちょー!!」

尭深(来年のインハイ、か)


さるさん怖いのでペース落とします

おとしたほうがええね

尭深(来年は、白糸台と戦うことになるのか……)

尭深(誠子ちゃんと、淡ちゃんも、敵、になるのかな)

尭深(うん。二人は、白糸台は絶対に上がってくる)

尭深(来年もまた優勝するって、三人で……あれ)

尭深(三人で、約束したんだっけ)


>>43-44
感謝です
以前回避してたらdat落ちしたことがあってトラウマ

点数が違うような気がするけど気にしない

尭深(絶対に、優勝してみせるって)ポロ

尭深(淡ちゃんが、『テルーに、菫先輩に、見せてあげようよ!!』って)ポロ

尭深(誠子ちゃんが、部長になって、みんなを引っ張って)ポロポロ

尭深(先輩達が作り上げた、白糸台が、最高、だったって)ツーッ

ピチャン

尭深「まだ、みんなと、打ちたかった、な……」ボロボロ

煌「渋谷さん……」


>>46
うおっ 凡ミス申し訳ない

煌(わかります。私も長野を離れるとき、どんなにつらかったか)

煌(でも、あなたが育ててきた友情は、とてもすばらな物のはずです)

尭深「あっ……ごめ、なさ……」ボロボロ

哩「……」

ギュッ

尭深「ふぇ……?」

哩「何も言わんでいい」ギュッ

哩「つらか時くらい、年上に甘えとき」

尭深「……はい」ボロボロ

――――――

哩「落ち着いた?」

尭深「はい……お見苦しいところを」シュン

哩「そがんことは気にせんでよか」

姫子「もうすぐ本当のチームメイトになるとやけん」

美子「でも、本当に転校してよかと?」

仁美「親御さんに頼んだり、せんで」

尭深「……多分、私の中では、もう結論は出てたんだと思います」

尭深「お母さんにも迷惑かけられないし、いつかこうなることはわかってましたし」

哩「……チームメイトには、ちゃんと伝えんと」

尭深「はい。自分で、決めたことです」

哩「なら、心配はいらんね」

煌「頑張ってください、渋谷さん」スバラッ

白糸台一軍部室


淡「おかえりーたかみ先輩!!」

尭深「ただいま……はい、これ。お土産です」ゴソゴソ

照「にわかせんぺい……!!」キラーン

淡「テルー知ってるの?」

照「当然。ニワカは相手にならんよ」

誠子「何ですか、それ」

菫「しかし、福岡か。二日間お前の淹れたお茶が飲めないだけでも、結構さびしかったんだ」

誠子「そうだぞ、尭深」

尭深「ご、ごめんなさい……」

淡「この顔菫先輩に似てるね」ポリポリ

照「確かに」ポリポリポリ

菫「誰がだ」シュッ

淡照「」ズドン

尭深「えっと、ちょっといいですか……?」

淡「ん? どしたの?」

尭深「みんなに……みんなに、言わないといけないことがあります」

尭深「私、今学期で、福岡に転校します」


淡「……えっ?」

淡「や、やだな尭深先輩。たちの悪い冗談はダメですよ」

尭深「……黙っていて、ごめんなさい」

菫「それは、前から決まってたことなのか?」

尭深「……私も、知ったのは先週です」

淡「……いやだ」

照「淡、お前」

淡「いやだ、いやですよ!! 約束したじゃん!! 三人で、来年も優勝するって!!」

菫「おい、落ち着け大星」

淡「嘘だったの!? 尭深先輩は、私たちがいなくてもいいの!?」ボロボロ

淡「私は、私は寂しいよ!!」

ガタッ

淡「……亦野先輩」

誠子「すみません、今日は帰ります」

照「……」

誠子「大星、鍵、頼むな」

タッタッタッタッタッ……

尭深「……」

照「尭深」

照「追わなくていいの? なんて綺麗なことは言わない」

照「追いかけろ。先輩命令」

尭深「……」

淡「追いかけてください、先輩」

尭深「でも」

照「尭深も誠子も、まだ私の後輩」

照「正しい道に導く役目が、私にはある」

尭深「……行ってきます……!!」

タッタッタッタッタ

菫「……ふう。また格好つけて」

照「格好つけてなんかいない。本当のことを言ったまで」

淡「……嘘つき。テルー泣いてるじゃん」

照「……泣いてない」ウルッ

淡「私も取り乱しちゃった。笑顔で送り出してあげないといけないのに」

菫「そうだな……」

淡「亦野先輩、大丈夫かな……」

照「あの二人は大丈夫」

淡「?」

照「尭深は、誠子を追いかけるのは馴れてるから」

尭深「……ってよ」

尭深「待ってよ誠子ちゃん!!」

誠子「……尭深」

尭深「っ……けほっ、けほっ」

誠子「何で追いかけて来たんだよ」

尭深「ずっと追いかけてたよ」

誠子「……」

尭深「一年のころから、ずっと追いかけてた」

淡「たかみ先輩って、今年からレギュラーになったんだっけ」

菫「ああ。能力は強かったんだが、ずっと二軍止まりだったんだ」

菫「あいつらはずっと一緒にいたんだけどな。亦野がレギュラー入りして、部室が離れても」

照「誠子に追いつくって言って、一軍の練習が終わるまでずっと牌譜研究してたり」

淡「へえ、なんかちょっと意外。お茶飲んでるイメージが強いからかな?」

照「あれも、一軍で少しでも役に立てたら、ってお茶汲み始めたのが始まり」

淡「知らなかったなー、たかみ先輩のこと」

照「……」

淡「もうちょっと、一緒にいたかったな……」グスッ

照「ん……」ギュッ

淡「テルー? 突然どしたの?」

照「こうすればいいって、誰かが言ってる気がした」

淡「あはは、なにそれ」

淡「ん、でも」

コテン

淡「ありがと、テルー」

尭深「私がレギュラー入りできたのも、インターハイで頑張れたのも」

尭深「誠子ちゃんがいたから」

誠子「……じゃあ、何で」

誠子「何で黙ってたんだよ」

尭深「だって、誠子ちゃん」

尭深「泣いちゃう、でしょ?」

誠子「……っ!!」ポロッ

尭深「知ってるよ、準決勝の時」

尭深「控室に戻ってくる前、一人で泣いてたの」

尭深「淡ちゃんは何も言ってなかったけど、そうでしょ?」

誠子「……」ポロポロ

尭深「誠子ちゃん強がりだから……でも」

尭深「黙っていてごめんなさい」

誠子「……もう、決めたんだな」

尭深「……うん。私、新道寺に行く」

誠子「約束。私たちとの約束は」

尭深「それは……ごめんなさい」

誠子「許さない」

尭深「っ……そんな」

誠子「だから」

誠子「だから、来年のインターハイ」

誠子「新道寺を倒して、私たちが優勝する」

尭深「誠子ちゃん……」

誠子「そういうことだから。絶対に、上がってこいよ」

尭深「うん。約束」

誠子「ああ」

キュッ

尭深(この場所で、みんなと出会えてよかった)

尭深(ここで蒔いて、育てたものは、きっと、ずっと枯れることはない)

尭深(だから、私は前に進める)

尭深「さよなら、みんな」

尭深「さよなら、白糸台」

一年後

恒子「インターハイもついにけっしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおう!!」

健夜「声大きいよこーこちゃん!?」

恒子「そんなことより、この試合の注目はどこですか?」

健夜「そんなことって……えっと、昨年準優勝の清澄高校と姫松高校は、昨年の注目選手が再び力をつけてきたように感じます」

恒子「当たり障りのないコメントですねー」

健夜「ひどいよ!?……コホン、ですが、やはり一番の注目と言われると、白糸台の大星選手と亦野選手、そして」

健夜「新道寺の鶴田選手と渋谷選手ですね」

恒子「渋谷選手といえば、昨年は白糸台からの出場ですね」

健夜「はい。この選手は昨年よりも防御性、爆発性において飛躍的な伸びを感じます」

恒子「今年は新道寺推しですね」

健夜「嫌な言い方しないでよ!! 白糸台の亦野選手も、昨年の雪辱を晴らすために相当な力をつけてきているようですね」

恒子「なるほど~」

恒子「さあ、まもなく決勝戦先鋒戦、対局開始です!!」

ビーーーーーーーーーーッ

支援

…………

尭深「……行ってきます」

煌「ファイトです!!」

姫子「白糸台との点差は6400点、渋谷、頑張って」

尭深「うん」

尭深(この試合が、私の高校生活の最終試合《オーラス》)

尭深(三年間、地に蒔いた種が木々になり、実る頃――)

誠子「やっと、約束守ってくれたな」

尭深「うん。ただいま」

誠子「おかえり。ただ、負ける気はない」

尭深「私だって、いつまでも誠子ちゃんを追いかけてるわけじゃない」

尭深「……それじゃあ、お願いします」

恒子「大将戦、対局開始いいいいいいいいいっ!!」


尭深(収穫の時《ハーベストタイム》――――!!)


カン!

乙ですわー
白糸台のメンバーが良い子たちで読んでて面白かった

>>99
なんでや漫ちゃんおるやろ!

おしまいです
ここまでお付き合いいただきありがとうございましたペッコリン

なんか三点リーダ多くて読みにくかったですね

応援、支援、アドバイス等々してくださった方々
本当にありがとうございました

いずれ他校で書こうかとも思うので、リクエストありましたら
年明けてから書こうかなー、とか思います

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