男「とてつもない能力に目覚めた」マネ「信!」 (123)

野球部 部活中

エース「行くぞっ!」ビュッ

1年「くっ……」ブンッ

部員「やっぱあいつすげぇ……」

部員「あいつ一年のくせに何て速さだよ……」

部長「監督、エースは凄いですね」

男「………」ブンッブンッ

監督「ああ、今年は狙えるぞ」

部長(あの現実主義の監督が甲子園を狙えるって!?)

監督「だが、ウチの部活は人数が足らなかったせいか、やる気の差が激しい」

部長「そうですね。それは僕も憂慮しています……」

監督「よし……全員集めろ」

部長「はい、……全員集合!!」


部員達「「はいっ!!」」ダダダッ


マネ「何が始まるんだろ……?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1390150054

監督「お前ら、甲子園に行きたいか?」

部員達「は、はいっ」

監督「………」ハァ…

部長「声が小さい!!」

部員達「はいっ!!」

監督「……よし、今から甲子園を目指す組とそうでない組に分ける」

部員達「えっ」ザワッ

監督「エース」

エース「はいっ」




監督「いつもより距離を半分にして投げろ」




一同「えっ!?」

マネ「そんなっ」

監督「本気で甲子園を目指す者なら、立てるはずだ」ギロッ

部員達「「………」」ザワザワ




部長「行きます!!」




一同「!!」ザワッ

エース「本当に本気で投げていいんすか」

監督「ああ、遠慮するな」

部長「……思い切り来い」

エース「………じゃあ、遠慮なく」グッ

部長「………」ドクンドクン

マネ(怪我だけはしないで……)

男「………」

エース「………ふっ!」ブンッ




―――ドォォォオオンッ!!




部長「………っ」ガクガク

部員「あ、あの部長が一歩も動けなかった……」

監督(それはそうだ……150キロを超す弾をそんな至近距離で反応できるはずがない……)

監督「よし、部長はさがれ! 次!」

部員達「………」

監督(お前ら……分かれ。これはただの度胸試しだ。お前らを甲子園に連れていくための通過儀礼だ……)

部員達「………」




男「じゃあ、俺行きます」




部員達「!!」ザワッ

監督(こいつは……?)

部長「男、お前本当にやるのか?」

部長(言っちゃあ悪いが、お前は二年の中でも一番下手くそだぞ……)

男「うす、俺も野球部なんで……」

部長(やる気があるのは買うが、バッターボックスに立つだけなら勇気などいらん。その場の雰囲気で立たれても困るんだよっ)

部長「お前、下手くそだから打てなきゃ失格な」ボソッ

男「………うす」

部長「………」テクテクテク


部長(俺は……甲子園に行きたいんだ…)


マネ「男っ」

男「マネ、何?」

マネ「危ないよ、怪我しちゃうっ」

男「でも、そうしないとお前を甲子園に連れてけないし」

マネ「あう……それは…」

男「大丈夫、……な気がする」アハハ

マネ「………男」



エース「………」



エース回想


マネ「ごめんねエース君」

エース「………」

マネ「私、ずっと好きな人がいるんだ」エヘヘ///

エース「誰すか」

マネ「……い、言えないよぉ///」

エース「……野球部員すか?」

マネ「………」コクン

エース「………」



エース「お前だったのか」ギリッ

男「?」

エース(この距離ならこいつにだけ聞こえるように言えるな)

エース「俺はお前の実力を知っているから忠告してやる」

男「なんだよ」

エース「お前下手くそなんだから辞めろ」

男「……エース、確かにお前はすごいけど、部活ってそういうのじゃないだろ」

エース「ふんっ、それは下手くそどもが負けの言い訳のために用意した戯言だ」

男「甲子園に行くことだけが全てか?」

エース「……はっ、んな訳あるか。俺にとって甲子園なんてただの通過地点だよ」

男「………」

エース「俺が目指すのはメジャーだ。そのための障害は全て取り除く」

男「なんか野球漫画に出てきそうだな」

エース「だから、お前は邪魔なんだよ」

男「いいじゃねぇか。下手くそならレギュラーになれねーし、お前の邪魔はしねーよ」

エース「……エースは美人マネージャーと付き合ってるもんだろ?」

男「……は?」

エース「お前がいる限りマネ先輩は俺のもんにならねーんだよ」

男「………」

エース「さぁ行くぜ。……もし、俺の弾にかすりでもしたら」バッ




エース「俺が野球部を辞めてやるぜ!!」ブンッ




男「………」

監督「部長、あいつは使えるのか?」

部長「いえ、全く」

監督「そうか、なら体よく断らないとな」

部長「大丈夫です。あいつには打てないと不合格だと言い渡してます」

監督「……今年こそ絶対に行くぞ」

部長「はい……」




―――カキーーーーーンッ!!




監督&部長「「えっ??」」キョトン

エース「」

男「………」イタイ…

部員達「ま、マジかよ……」




部員達「「すげぇええええ!!」」ワァアアアア!!

マネ「男っ……」ポロポロ

エース「う、嘘だ!」

男「もう一回やるか?」

エース「あ、当たり前だ!」グワッ

エース(入学してからまだ誰にも見せてないフォークで!!)ビュッ



―――クンッ!



監督「!!」

監督(エース、お前フォークまで使えたのかっ!)

部長(やはり今年こそ甲子園に!!)



―――カキィィィィィンッ!!



監督&部長「「Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)」」

部員達「「ひゃっはーーーーっ!!」」

エース「な……なんで…」ガクッ





男「………」





翌日 教室 休み時間。


男「………」ボーッ

友「男ー、今日はギリギリに来てたけど、朝練行ってないのか?」

男「あ、うん」

キョロ充「お前下手くそだもんなっ」ハハッ

イケメン「運動神経なさそうだもんな」

女子「ぎゃははっ、かわいそうだよっ」

男「………」

友「気にするな。あいつらはお前の努力を知らないんだ」


――ガラッ!!


部員「男!」

男「先輩?」





部員「何で野球部辞めたんだ! お前がいないと甲子園いけないだろ!!」バンッ





キョケ女子「」

男「………」

友「男……お前なんで…」



男「俺、約束したんすよ」

部員「約束?」

男「マネを甲子園に連れて行くって」

部員「そ、それならっ!!」

男「……意味ないじゃないすか」

部員「えっ」





男「部員同士の絆もないチームで甲子園に行ったって、意味ないじゃないすか」




キョロ充「かっけぇ……」

イケメン「………」ギリッ

女子(かっこよすぎぃいい!)ズキューンッ

部員「………」

男「でも、先輩が俺以上に努力してたのは知ってます。エースがいればきっと大丈夫ですから、ぜひ甲子園に行ってください」

友「………」

部員「……分かった。…だけどな、男」





部員「お前が毎朝一番最初にグラウンドへ立ってたことを、俺は知ってるぞ」





男「……先輩が二番目に来てたことも知ってますよ」ニコッ

部員「……諦めないからな」ボソッ

廊下

男「………」

友「………」


生徒「あの人だって」ボソボソ

生徒「エース君から何度もホームラン打ったんでしょ?」ボソボソ

生徒「今朝の名言、ツイッターで拡散されてるよ」ボソボソ

生徒「エース君、すごいけど顔は今一つだから、あの人がエースになればよかったのに」ボソボソ



男「………」ダッ

友「お、おいっ!」ダッ

校舎裏


男「……はぁはぁはぁ…」ウッ…

友「男!?」

男「……くっ…がっ…」ドサッ

友「ど、どうしたんだ!?」

男「だ、大丈夫……だから…」

友「一体どうしたんだよ!?」

男「……反動だよ…」

友「反動?」



男「俺は一日の体力や集中力を凝縮できるんだ」



友「ど、どういうことだ?」

男「友は連続で何時間集中できる?」

友「……そりゃあ…よくて一時間かそこらだろ…」

男「それを一日に何回できる?」

友「どうだろ……休み休みでも良ければ何回もできると思うけど…」



男「僕の場合は、その一日に数十分を何回かできるはずの集中を一回に重ねることができる」



友「それはつまりあれか。重ねれば重ねるほど……」

男「……うん、すごく集中できるし、力も発揮できる。……こんな風に反動があるけどね」

友「……一体どうやって…」

男「普通の人ってさ、いかに今を集中するか、それを長続きさせるか考えるよね」

友「ああ」

男「俺は野球が下手くそだったし、運動神経もなかったから、色んな方法で自分の能力を上げようとしたんだけど、どれもダメだった」

友「お前の努力は知っているよ」

男「ある時、気付いたんだ」

友「気付いた?」



男「何で死ぬ気でやってるのに、ちょっとしたらまた死ぬ気でやれるんだって」



友「………確かに」

男「それからはもう自己暗示の日々だよ。お前はこれをしたら今日一日動けないんだって自分に言い聞かせて、実際に全く動かないようにした。何度も何度も繰り返した」

友(部活をしながらそんなことまで……)

男「もちろん、最初はうまくいかなかった。けど、思い込みってすごいね。だんだん集中力が増してきたような気がしたんだ。そして、それをした後は凄い疲労感で動けなくなった」

友「そして……完成した、と」

男「うん」

友「え、でも、今は何で反動が来てるんだ? ただ廊下を歩いていただけだろ?」

男「……実は…」

部室

マネ「~~~♪」フキフキ

マネ(男が辞めたのは残念だけど、怪我しても困るからなぁ~)フキフキ

マネ「いやー、男が辞めたなら私も辞めちゃおっかなぁ」



エース「おいおい、誰の許可で辞めて良いって?」バンッ



マネ「!?」ビクッ

マネ(エース君!?)

マネ「ど、どうしたのこんな時間に……」

エース「そういうマネ先輩だってどうしたんだよ」

マネ(なんかエース君怖い……)

マネ「わ、私はボール磨きを……」

エース「……ふっ、マネ先輩は一所懸命で可愛いな」スッ

マネ「………」サッ

エース「………」

マネ「私、断ったよね」

エース「………」

マネ「私には好きな人がいるって、そう言ったよね」

エース「ああ、そうだったっけ? でも、関係ないんじゃない?」

マネ「えっ」


エース「男はもう、辞めただろ?」


マネ「な、なんでそこで男が出るのよっ////」カァ///

エース「……っ」イラッ

エース(何であいつの話題になったらそんな可愛い顔するんだよっ)ギリッ

マネ「お、男とは高校で出会ったばかりだし、コースが違うから同じクラスにもなれないし、そ、そんな関係じゃ///」モジモジ

エース「でも、好きなんだろ?」

マネ「うぅ……///」コクン

エース「だってよ、先輩っ」



イケメン「ふーん」

キョロ充「なんか腹立つー」

DQN「ぎゃははっ、マジで良いのこれ!?」



マネ「だ、誰!?」

エース「男のクラスメイトと、その知り合いでーす」アハハ

マネ「お、男の!?」

イケメン「どもー、マネちゃんみたいな可愛い女子と喋れて光栄だよ」ニコッ

キョロ充「ははっ、イケメン君は可愛い女子とっかえひっかえじゃねぇか」

イケメン「お前、それいうなよー」

DQN「マジ空気よめねー」ギャハハ


マネ「で、出てってよ!」


DQN「あ?」ガンッ!!

マネ「!?」ビクッ

DQN「お前、誰に命令してんの?」ア?

マネ「………」

イケメン「DQNあんま脅すなよー」

エース「そうですよ先輩ー、マネ先輩ビビって泣きそうじゃないすかー」

DQN「良いじゃねぇか。どうせ、今から無理やり犯してまともに生きていけなくするんだからよー」

マネ「………え…」

リア充「うわっ、その顔可愛いーーー!」

イケメン「やっぱ、怯えた顔ってそそるよなっ!」

DQN「ああ、面白すぎ!」ギャハハッ

エース(ふん、俺のことを振った罰だよ)

マネ「………」

マネ(男はエース君に真っすぐ立ち向かった。……私だって!)スクッ

イケメン「おっ?」



マネ「出て行ってください!」



DQN「………」イライラ

エース「お、おい、マネ先輩、あんま先輩を怒らせるなよ」オロオロ

マネ「エース君、あなたは甲子園に行くんでしょ。こんな下らない事をしてる場合なの?」

エース「そ、それは……」

イケメン「うわー、説教されてるし」

キョロ充「だっさwww」

エース「………」

マネ「私はあなた達の脅しに負けないし、屈しないわ」

イケメン「……なんか…」




DQN「マジでクソムカつく」グアッ!!




エース「ちょ、暴力はしねーって言ったじゃないすか!」

キョロ充「お前、マジやめろって、DQN君のじゃましたら殺されるよ!?」

イケメン「下半身は傷付けるなよー。セックスしにくいからよー」



マネ「………っ」

マネ(男!! 助けて!!)




―――パシッ!!




DQN「あ?」グググッ





男「………」グググッ




エース「お前っ!!?」

キョロ充「い、いつのまに!?」キョロキョロ

イケメン「………ちっ」

DQN「離せよ!」バッ

男「………」スッ

男(大体、感覚から言って、レベル最大で一分、この程度の相手ならレベル4で五分の集中力ってところか……)

マネ「男!!」

男「マネ、危ないから下がってて」

男(……全員の動きを読んでおかないと、マネを人質にとられたらまずい)




友「それには及ばないぞ男」グッ




エース「いたっ!!」

イケメン「と、友っ!」

キョロ充「!?」

キョロ充(友は空手の大会で全国制覇したって言ってたし、あの体格からして相手にできるかよ!)ダッ

イケメン「あ! キョロ充てめぇ!!」

友「お前、逃がすと思ってんの?」

イケメン「」



DQN「ぶっ殺す!!」ダッ



男「………」スゥ

DQN「うらっ!!」ブンッ

男(集中最大!)グッ




男(こいつの力の流れが視覚化される……そして、理想の動きがビジョンで現れる……)タッ




男「……はっ」グンッ

DQN「ぐあっ!」グルンッドサッ

マネ「すごい……」


男「友!」

友「おうっ」グイッ

イケメン「ぐあっ」ドサッ

エース「い、痛いっ!」ドサッ

友「……一件落着だな」フゥ…



マネ「男!!」ギュッ

男「マネ……大丈夫だった?」

マネ「怖かったよぉ……」ポロポロ

男「………」オロオロ

友「頭くらい撫でてやれよ」

友(好きな奴がいても、それくらいは許されるさ)

男「………」ナデナデ

マネ「……えへへぇ///」ポロポロ



自宅


友「………」ピンポーン


妹「はーい」ガチャ

友「ちわー、お届けモノでーす」

妹「えっと、どちら様……って、お兄ちゃん!」

男「………」グッタリ

友「あの、入れてもらってもいいかな?」

妹「このお兄ちゃんを誘拐した変態めーーー!」バッ

友「お、おいっ、やめろっ」

妹「ていっ、やぁー!」ポカポカ

友「………」

妹「身体硬いぃ……」ウルウル

友(可愛いな男の妹さん……)



男の部屋

妹「なんだぁ、お兄ちゃんのお友達だったんですかぁ」ニコニコ

友「お、おう」

男「………」zzz

妹「ところで、お兄ちゃんどうしたんですか?」

友「ああ、ちょっと頑張りすぎてな」

妹「頑張りすぎ?」



 友は、男の特殊な能力は隠して今日起きたことを話した。



妹「……お兄ちゃん、また…」

友「また?」

妹「あ、ううん、こちらの話です!」

友「………?」

帰り道


友「妹ちゃんのラインを手に入れてしまった……」

【】←ラインの内容です

妹【今日はお兄ちゃんを助けてくれてありがとうございましたー】

友【ああ、気にするな】

妹【勇敢でたくましい友さんには今度妹から美味しいクッキーのプレゼントがありますよー】

友【マジで!? 嬉しい(´▽`*)】

妹【おやおやー、女子相手に顔文字使うなんて、さては女たらしさんですね!】

友「………」ニヤニヤ

友【そ、そんなことねーよ! 生まれてこの方彼女なんてできたことねーし!】

妹【絶対嘘ですよ!! だって、友さんカッコよすぎるじゃないですか!】

友「………///」

友【あ、ありがとう! それじゃ、クッキー楽しみにしてる!】



友「……男…お兄さん…」

翌日 学校


イケメン「………」チラッチラッ

友「イケメン、そんなビビんなよ」

イケメン「は、はいっ!」

女子「ねぇねぇ、イケメンってダサくない?」ボソボソ

女子「なんか友君と男君にビビってるっつーか」ボソボソ

女子「昨日、野球部のマネージャー襲ったらしいよ」ボソボソ

女子「うわ、最低……」ボソボソ

イケメン「………」




男「皆、ごめん、ちょっと聞いて欲しい事があるんだ」




イケメン「お、男、お前っ!」

友「静かにしてろ」

イケメン「………」ドキドキドキ

クラスメイト「なにー?」

クラスメイト「イケメンのことー?」





男「俺、すごく耳が良くてさ、陰口とか全部聞こえるんだ。あんま好きじゃないから直接言ってもらって良いかな?」




クラスメイト「「………」」シーン…

イケメン「男……お前…」

友「分かるか、イケメン」

イケメン「ほ、本当にすまん!!」バッ

男「いや、俺は別に……」

キョロ充「お、俺もすまん!」ドゲザ

男「だから俺は……」

DQN「悪かった!」

友「……都合いい奴ら」ボソッ

廊下


男「………」テクテク

友「………」テクテク

生徒「ねぇねぇ聞いた?」ボソボソ

生徒「男君伝説? 聞いた聞いた!」ボソボソ

生徒「ほんとすごい人もいるよねー」ボソボソ

生徒「私ファンになっちゃおうかな」ボソボソ

生徒「だめよ、男君にはマネさんがいるんだから」ボソボソ

男「………」

友「……男、すまん」

男「いいよ、別に」




??「あ、せんぱーい」タタタッ




男「………っ!!」カァ///

友(うわ……このタイミングかよ…)

男「お、おう……後輩///」

後輩「呼ばれて飛び出て後輩だよっ」ニシシ

男「よ、呼んでもないし、飛び出てもない///」

後輩「そうですか? 飛び出てないですか?」スリスリ



後輩「……三年後に期待っ!」ブイッ



男「こ、後輩の変態っ」プイッ///

後輩「あぁ! 先輩が言いだしたんじゃないですか!」

男「ち、違うっ」オロオロ



生徒「誰あれ?」ボソボソ

生徒「男君になれなれしくない?」ボソボソ

生徒「マジむかつくんだけど」ボソボソ


友(こうなっちゃうよなぁ……)ハァ…

男「~~~」アハハ

後輩「~~~」エヘヘ

友「……本人らは幸せそうだから良いか…」ハァ



マネ「………」



放課後 テニスコート

後輩「ほんとのほんとに手伝ってくれるんですか!?」

男「ああ、でも、部員じゃない俺が入っていいのか?」

後輩「はいっ! だってコートの数に部員の数が追いついてないですから!」ブイッ

先輩「あらあら、そんなことあなたが決めて良いと思ってるのかしら?」

短髪「そうだぞ後輩……って、お、男か……あの、今朝はごめんね」

男「短髪? ……何で謝るの?」

短髪「だ、だって、クラスの皆が陰口言ってるのを私知ってて止めなかったし……」モジモジ

男「え、ダメなの?」

短髪「?」





短髪「えぇ!? 本当にうるさかっただけぇ!?」

男「………」コクリ

短髪(あうー……今日一日の悩みを返して欲しいよぉ)

後輩「短髪先輩! 男先輩は私のモノなんですからね!」グイッ

男「あう///」

短髪「先輩どうします?」

先輩「まぁ、コート4面に対して部員七人しかいないのだから、初心者の子でも大丈夫でしょ」

男「……うす」ペコリ

後輩「わーい、頑張りましょうね先輩!」

男「………///」コクリ

後輩「まずはですね、この小さなコートで打ちあいをするんですよ」ヒラヒラ

男(こ、後輩のスカート短すぎ……///)

後輩「行きますね」ポンッ

男「お、おう」ブンッ



―――ぱこーん



男「……あ」

後輩「あはは、そんな力んじゃダメですよぉ」

男「す、すまん……」

後輩「もう一回行きますね」スッ

男(こうなったら凝縮してやる!)フゥ…

後輩「とう」ポンッ

男(全員の動きとボールの軌道、それに威力の視覚化により自分の力加減、ラケットの軌道を予測!)ポンッ

後輩「おおっ」ポンッ

男「………」ポンッ


先輩「………うそ」

短髪「男って……テニスもできたの?」



男「うっ」



―――ぱこーーんっ


男「す、すまん……」タタタッ

後輩「………」

先輩「………」

短髪「………」

三人(テニス部に欲しいっ!)

帰り道

男「………」グッタリ

友「あはは、お前バカだ」

後輩「あうあう、本当にごめんなさいぃ…」

男「ち、違うんだ……俺が悪い…」ハァハァ

男(ダメだ……疲労で喋れない…)

後輩「でも、先輩の体調が悪いの知らなかったの私だし……」ウルウル

友「それは違うぞ後輩ちゃん」

後輩「えっ?」

友「短距離走と長距離走の違いみたいなもので、男は一瞬の集中はすごいけど、それを持続させることはできないんだ」

後輩「それは野球部員だったからですか?」

友「まぁ、間接的にはね。だから、今までの集中力で持久スポーツであるテニスをしたせいでこんなになったって訳」

後輩「やっぱり、エース君からホームラン打つくらいすごい人は、私みたいなただのスポーツ好きとは身体の造りが違うんですね」

男「そ……それは違うよ、後輩……」

後輩「え?」



男「後輩は……毎朝、一人で練習していた……。だから、……すごい」ハァハァ



後輩「!!」ドキィッ///

友(おいおい、それお前が惚れた理由だろ?)

後輩「な、なんで!? バレてたぁ!?」

友「?」

男「?」

後輩「か、帰ります!!」ダッ///

男「友……今のは?」

友「……さぁ?」

友の部屋


友【わざと?】

妹【そうですよ、絶対にそれしかあり得ませんな】

友【つまり、そいつが朝練してるの知ってたから……】

妹【ええ、だってテニスコートとグラウンドは離れてるんでしょ? それなのに走ってる姿が見えるなんて、見せてるに決まってます!】


友「ああ、そういうことか……」ナルホド


友【じゃあ、A君は脈ありってこと?】

妹【恋愛マスターの私からして、☆五つってところですかね!】

友【恋愛マスターなの?(驚愕)】

妹【恋愛マスター(仮)ですよ!】

友【つまり?】

妹【実戦経験がないから仮がとれません!】


友「……ほんと、可愛いなぁ妹ちゃんは…」ニマニマ


早朝 グラウンド


男「いいのか? マネ」シュッ

マネ「うん、監督はどうしても男に戻ってきて欲しいみたい」パシッシュッ

男「ふーん」パシッシュッ

マネ「だから、私に色仕掛けでなんとかして来いって」パシッシュッ

男「へっ///」ポロッ

マネ「あー、男落としたから罰ゲームね!」ウフフ

男「えっ……」



マネ「私をおぶって校内一周!」ガバッ




男「うっ///」

男(胸の感触が!)カァ///

マネ「………」ギュッ///

校舎周辺


男「はぁはぁ……」タッタッタ

マネ「ほらほらがんばれー」

吹奏楽部員「あー、マネちゃんいいなぁ!」

マネ「へへー、いいでしょー」

吹奏楽部員「男君がんばってー!」プオーッ

男「お、おす……」タッタッタ

吹奏楽部員(マネちゃんいいなぁ……)


体育館周辺


バスケ部員「おっ、男! お前運動できるんだってな! バスケ部来いよ!」

男「見て分かる通り、体力に難ありです!」タッタッタ

バスケ部員「そんなんすぐつけてやるっての!」アハハ

男「かんがえ「男は野球部に戻るのでだめでーす!」

バスケ部員「くっそー! 俺もお前たちみたいにイチャイチャしてーーーっ!」

男「……///」タッタッタ

マネ「………///」ギュッ


テニスコート周辺


男「………」ハァハァ

マネ「本当に体力はないよね男」ギューッ

男「分かったら下りてくれないかな」ハァハァ

マネ「だめっ! 甲子園は体力がいるんだから!」



短髪「あ、男君、可愛い女の子背負って何してんの?」



男「と、トレーニング……」ハァハァ

先輩「今日も練習来るんでしょ?」

男「は、はい……」ハァハァ

後輩「……先輩! 頑張ったら後でジュース買ってあげますよー!」ブンブン

男「楽しみにしてるー」タッタッタ

後輩「………」ウゥ…

先輩「いいのぉ?」ニマニマ

後輩「な、何がですか?」

短髪「男君、エッチな顔してたよぉ?」ニマニマ

後輩「し、してません! 先輩はいつでもカッコ良いんです!」プンプン

短髪「あらまぁ」

先輩「いちずなのね」

後輩「うぅ……先輩たちの意地悪……」グスッ

短髪「顔は五分五分なんだけどなぁ」

先輩「あっちはジャージでも分かるおっぱいだもんねぇ……」

後輩「………」ペターン

短髪「………」ペターン

先輩「………」ペターン



三人((今日から牛乳飲もう……))



一旦離れます! 今回は今日中に終わらないかも!

教室

男「………」ゲッソリ

友「なんか朝練してた頃より疲れてないか?」

男「……も、もうだめ…」ウプ

友「な、なぁ男……」

男「いやだ」

友「おい」

男「だって友がそんな躊躇いながら言うことなんて大抵ろくなことじゃないもん!」

友「……まぁ、確かにそうかもな…」

男「よし、コイバナか、言ってみろ」

友「おい」

短髪「えっ、なになに? コイバナ? 友が!?」

女「それは興味ありますね」

委員長「ぜひ聞かせてください」

女子達「「わいわい」」



イケメン(モテ力で言えば、完全に友がナンバーワンだよなぁ……ホモ疑惑あって誰も手を出さないけど……)

キョロ充「いいなぁ……」

放課後 テニスコート


男(………)ポンッ

後輩「いいですねっ!」ポンッ

男(そうか、こういう使い方があるんだ……)ポンッ

後輩「はいっ」ポンッ

男(身体の集中、頭脳の集中を分けることで、反復練習により身体の集中は自動で必要分だけ行える)スッ

後輩(わ、すごい綺麗なフォーム!)

男(一方頭の集中は、一瞬。相手の動きを読んで、次の手を考えるまでで良い)ブンッ



―――スパァンッ!!



後輩「………」ドキドキ

先輩「……すごい…」

短髪「自信なくなりそう……」

男「これが……テニス」グッ




帰り道

後輩「今日は疲れてませんね」

男「うん、テニスが分かってきたよ」

後輩「でも、どうやってあんな綺麗なフォームを?」

男「ああ、うん、妹もテニス部なんだけど、プロの試合たまに録画してるから」

後輩「えっ!」

男「?」

後輩「あ、あ、あのあの……もしかして、あう……」モジモジ

男「???」



後輩「去年の全英オープン女子ダブルスの試合録画してますか!?」キラキラキラ



男「あ、う、うん……聞いてみないと…」

後輩「あ、そ、そうですよね……」

男の部屋

男「後輩ちゃんのアドレスをゲットしてしまった……」



友【男! お前結局、話聞いてなかったろ!】

男【うん、だってアドバイザーいっぱいいたし】

友【お前じゃなきゃ意味ねーンだよ!】

男【何で?】

友【そ、それは……】



後輩【やっほー先輩、あなたの町の後輩ちゃんでぇす】

男「後輩ちゃんからだ」

男【ビデオあったよー】

後輩【ほんとですか! 先輩大好きです!!(投げキッスのキャラ絵)】

男「/////」

男【い、いや、録ってたの妹だし……】

後輩【妹さんは貸してくれますかね?】

男【ああ、うん、大丈夫。むしろ一緒に見たいって】

後輩【そんなの恥ずかしいですよ!!】

男【それじゃあ俺も一緒にいようか?】

後輩【ほんとですか!?】

男【うん】

後輩【やったーーー!(喜ぶキャラ絵)】



友【おいっ、俺のライン無視して後輩とラインするな!】

男【何で分かったんだよ!】

友【分かるっつの! それで、妹ちゃんは好きな人いるのか!?】

男「は?」

男【何で急に妹の話が出るんだよ!】

友【やっぱ人の話を聞いてなかったのかよ!】

男「え、もしかして……」





男【お前、妹のこと好きなの?】

友【うん】




男「妹ーーーー!」ダダダッガチャ

妹(着替え中)「なっ////」

男「お前もようやく春が来たんだなぁ!」ギューッ

妹「な、なななっ///」

男「よーしよしよし、お兄ちゃんは妹が離れてもお兄ちゃんだからな」ナデナデ

妹「……この馬鹿兄貴は…」ハァ…

男「お前、いつの間に友と仲良くなってたんだよ」

妹「友さん? この前お兄ちゃんを運んで来た日からラインしてるよ」

男「友の事好きなのか?」

妹「は、はぁ!?



 私、彼氏いるし!!」



男「oh...」

屋根上

男「どうしよう……」ボーッ



男【後輩ちゃん今暇?】

後輩【私は先輩最優先なのでいつも暇ですよー】

男【これは友達の話なんだけど】

後輩【はい】




男【好きな人に好きな人がいたらどうする?】





 その日、返事は返ってこなかった。




キリが良いのでここまでにします!

おやすみなさい!

翌日 学校

男「終わった……」ガクッ

マネ「ちょっと、私の顔を見て終わったって失礼じゃない」シュッ

男「いや、ちげーよ」パシッシュッ

マネ「じゃあ、何?」パシッシュッ

男「マネって好きな人いる?」パシッシュッ

マネ「ふぇ?///」スカッ

男「ちょいっ!」タタタッ

マネ(え、なに? これって私の事気になってるの!?)モンモン///

男「おーい、マネー」シュッ

マネ「あいたっ」ポカッ

男「お前、大丈夫か?」

マネ「……あう、痛い…」サスサス

男「うわー、きれいな顔が台無しだなー」

マネ「えっ、き、キレイ!?」オロオロ///

男「いや、それより台無しになるくらいの大怪我なのってツッコんで欲しかったんだけど」

マネ「つ、つっこむ!?」アワアワ///

男「お前……」ハァ…

マネ「//////」

朝練後

男「ほい、ふぁんた」

マネ「わーい、男ありがとー」

男「で、さっきの話だけど」

マネ「えっ!? ど、どれの話!?」ブンブンブン///

男「お前、それ……」

マネ「そ、それ!? ってどこ指差してんのよエッチ」カシュッ

男「うわっ、馬鹿!!」

マネ「きゃっ!!」

男「っ!」グッ




マネ「あ、あれ?」

男「大丈夫か?」オヒメサマダッコ

マネ「わ、私……あわ、あわわ…///」ダッコサレテル

男「お前、軽すぎだろ。飯食ってんのか?」

マネ「えへへ/// 食べても動くタイプなんだ///」

男「太らないタイプじゃないのかよ」

マネ「うんっ! 動かなかったらげき太りだよ!」イエイ!

男「自慢するところか?」

マネ「どうだろ?」サァ

男「このまま教室まで連れて行ってやろうか?」

マネ「……さすがに恥ずか死ぬからやめて///」

教室

男「結局聞けなかったな」

友「何をだこの野郎」

男「好きな人に好きな人がいたらどうするか、だよ」

友「ま、まさかっ、お前っ!!」

男「へ?」

友「妹ちゃんに好きな人がいるか聞い「彼氏いたみたい」



友「」



女子達(ちゃーんすっ)キランッ

友「……ふ、ふふっ、ふふふっ、どうせ俺の初恋なんて……」アウ…

短髪「へ、へぇ、友って今頃初恋なんだぁ」

友「わりーかよ」

短髪「い、いいんじゃない? 私だって初恋継続中だし」

友「へー、誰なんだ?」

短髪「そんなの言えるわけないじゃない!」バシッ///

友「いたっ! な、何で叩くんだよ!」

短髪「友のバカっ!」パシンパシン!

友「お前……」

短髪「な、何よ……」



友「妹ちゃんみたいにおっぱいないぶふぇぁ!」ドサッ



短髪「死ねっ!!」ハァハァ///

男「仲良いなー」

更新12時回ってからになります!

昼休み

友「つまり、俺達の事を濁して聞いたら返事がなかったと」

男「うん、変な風に思われたかな……」

短髪「うーん、どうだろう」

短髪(まさか男君の好きな人が後輩だったなんてちょっとショック……)

友「やっぱ嫌われてるんじゃね?」

男「そうかなー。だったら迷惑かけちゃったなぁ」

短髪「そんなことはないと思うけど?」

友「なんで分かるんだよ」

短髪「だ、だって、人に好意をもたれて嫌がる人はいないと思うし」オロオロ

短髪(両思いなんて言えないっ!)アセアセ

友「じゃあ、あれだ。お前に好きな人がいるってなってショックなんだ」

男「えっ」

短髪「それはあるかも」

男「そ、それって……」


友&短髪「「あー、好きな人いるって思われたねー」」


男「うそー……」ガーン…

友(お前も苦しめ)ケケケ

短髪(うわー、私あわよくば男も狙ってるのかなー)

男「………」ハァ…

昼休み 後輩のクラス



後輩「どどど、どうしよう! 私の事好きだって!」オロオロ///

後輩友女「後輩ちゃんやったじゃん!」

後輩「あ、あう、で、でもいきなりすぎて///」

後輩友男「………」

友女「友男、何で黙ってるのよ、祝福しなさいよっ」

友男「……でもさぁ、おかしくない?」

友女「?」



友男「何で後輩が好きな人いるって流れになった訳?」



後輩「あ……」

友女「確かに……」

友男「もしかして……」

友女「ちょっと友女」




友男「遠回しの告白じゃね!?」




後輩&友女「「それだっ!!」」ビシッ

クラスメイト(こいつら馬鹿じゃね……?)

後輩「あうーーーっ、どうしよう、私無視しちゃったよぉおおおお!」オロオロ///

友女「今すぐ返事しよ! 既読ついてんだから!」

友男「いや、今すぐ教室まで行くべきだ!」

後輩「ちょちょちょ、今日髪形変じゃない!?」オロオロ

友女「可愛いツインテールだよっ!」グッ

友男「友女の100倍かわぐへっ!!」ドサッ

後輩「そ、そうかなぁ///」エヘヘ

クラスメイト(可愛い……///)



ピロンッ♪



後輩「あ、ラインだ」



男【後輩、今日暇?】



後輩「お、おおお、男先輩からラインがきたーーー!」アワアワ

クラスメイト達「「なんですって!!」」ガタッ

友男「えっえっ……」

友女(絶対聞き耳立ててると思った……)ヤレヤレ

男のクラス

男「あ、帰ってきた」

クラスメイト「「うぉおおおおお!」」オッオッオッ!

友「お前ら……」

短髪「今まであんな態度だったのに……」ハァ



後輩【だから私は先輩最優先ですよ!】



クラスメイト「「ぶっしゃぁああああ////」」ドタドタドタッ

友「まぁ、確かにこれは威力あるな……///」

短髪「部活最優先でしょあの子……」



後輩【あ、で、でも、一応先輩に許可を貰いますね!】



短髪「あ、私にもラインきた」



後輩【一生のお願いです短髪先輩! 先輩に今日部活お休みする許可を、許可をぉおおおお!!】



短髪「………」



短髪【学食一週間♪】

後輩【(分かりましたのキャラ絵)】



男「な、なんて送ったんだ?」ドキドキ

友「………」ドキドキ




短髪「………」グッ




クラスメイト「うぉおおおおおお!!」

男「じゃあ、友も空けておいてね」

友「………え?」

放課後 カラオケ


男「後輩ちゃん何飲む?」

後輩「あ、私も行きますっ」

男「あ、うん。じゃあ、二人は待ってて」

妹「はーい」

友「お、おう///」



ドリンクバー

後輩「先輩は何飲むんですか?」

男「俺はウーロン茶かな」

後輩「じゃあ私もっ」

男「妹はココアだな。友はジンジャーエールでいっか」

後輩「妹さんと仲良くなりたいなー」

男「なれるさ。あいつテニス馬鹿だし」

後輩「そうなんですか?」

男「桃城が彼氏とか言ってるからな」

後輩「バーニング?」

男「それは寿司……ちょっとごめん」シッ

後輩「?」ピタッ




<おいエースアルコール買ってこい
<おれたばこもー
<十分なー
<ぎゃはは



男「………」

男(何でこの時間にエースが?)



エース「す、すぐ行ってきます!」ガチャッ

男「………」

エース「お、男っ!?」ビクッ

男「お前部活は?」

エース「………」

男「おいっ」

エース「う、うるせぇ!」ダッ

後輩「きゃっ」グラッ

男「くっ!」タッ

後輩「あ、ありがとうございます」ホッ

エース(後輩……? ……こいつ、マネとできてるんじゃねーのかよっ)クソッ

男「………」

後輩「さ、二人が待ってますよ」

男「そうだね」

友「………」

妹「友さんってテニミュ歌えます?」

友「えっ、テニミュ?」

妹「テニスの王子様のミュージカルですよぉ」

友「あ、え、ご、ごめん」

妹「そっかー、友さん桃ちゃんに似てるから歌って欲しかったなぁ」

友「桃ちゃん?」



男「お待たせ―」ガチャッ



友「お、おう、わりーな」

妹「お兄ちゃん一番に歌ってよー」

男「んー? まぁ良いけど」

後輩「先輩は何歌うんですか?」

男「俺? あんま歌知らないけど、バンプとか好きだよ」

後輩「バンプって天体観測ですか?」

男「古いの知ってるね」

後輩「一番好きな歌はなんなんですか?」

男「けっこうマイナーだけど、リトルブレイバー好きなんだ。ゆっくりな曲だからカラオケには向かないけど」

後輩「へー」

後輩(帰りにCD借りて帰ろう)

帰り道

妹「友さんって歌上手なんですね!」

友「お、おう///」

妹「それに比べてお兄ちゃんの音痴さ……」ジトーッ

男「……いや、なんか音程がとれなくて…」

男(なんだろう……意識と身体のずれが激しいな最近……)

後輩「でも、何にでも一生懸命でかっこいいです!」

妹「だって、お兄ちゃん」ニヤニヤ

男「嬉しいよ後輩」ニコッ

後輩「////」

妹「後輩ちゃん、お兄ちゃんのこと貰ってくださいよー」

後輩「ふぇ!?」カァ///

妹「お兄ちゃんってばお姉ちゃん助けられなかったことをトラウマにして未だに好きな人いないんですよー」



後輩「……えっ?」

友「助け?」



男「………」

妹「お兄ちゃん、二人には言っても良いよね」

妹(じゃなきゃ前に進めないもん)

男「……でも…二人がいやがったら…」チラッ

友「お前なぁ……」

後輩「水臭いこと言わないでください!」

男「……悪い」コクン///

公園

妹「私たちのお姉ちゃんはヤンキーで生傷の絶えないやんちゃな人だったんです」

友「………」

後輩「………」

妹「まぁ、出来事自体は自業自得って言うか、喧嘩を売った相手が敵対してたチームのトップで、あっという間に拉致られちゃったんです」

友(この辺の族と言えば……)

後輩(そんな世界あるんだぁ……)

妹「お兄ちゃんはチームの人からそれを聞いて、すぐに飛び出したんです」

友「お前すげーな。相手は族だろ?」

男「いや、姉のことが心配で……」

後輩(うわー、漫画の主人公みたい……)

妹「結局、お姉ちゃんは殺されちゃってお兄ちゃんも意識不明の重体になったんです」

友「………」

後輩「………」

妹「だからお兄ちゃんは人に対して積極的になれないっていうか。一人黙々と生きるようになったんです」

友(それで一年の時はあんな暗かったのか…)

友「でも、最近はそんなことないよな」

妹「あ、それはたぶんマネさんのおかげだと思います」

後輩「えっ」

後輩(マネ先輩って男先輩と噂になってる……)

妹「マネ先輩は去年塞ぎこんでたお兄ちゃんを野球部に入れて、甲子園に連れて行ってもらう約束をした偉大な人です」

友「お、おう、それは知ってるが、どうして妹ちゃんがマネ先輩のことを?」

妹「マネ先輩って、お姉ちゃんの相棒だった不良さんの妹さんなんです。だから、男が入院中何かと二人でお世話をしてくださって……」

男「そ、その話は良いんじゃないかな」アセアセ

友「でも、マネとお前って高校で出会ったんじゃ……」

男「うん、意識不明だったから」

友「あ……そういうことか」

男「俺はマネへの恩を返したかったんだけどな」

友(マネが男の退部を反対しなかった理由は、心配だったのか……)

男「マネのおかげで俺は人並みの感情を取り戻せた。マネのおかげでまた笑えるようになった」

後輩「………」ズキズキ

後輩(先輩……心が苦しいです…)ウゥ…

男「だからいつか、あいつが困ってる時は飛んでいくんだ。……まぁあいつは凄い奴だから俺の世話なんて必要ないかもしれないけど」アハハ

後輩「………」ツーッ

妹「後輩ちゃん!?」

友(まぁ……そりゃそうだろうな)

男「あ、え、えっと、どうしたの!?」オロオロ

後輩「す、すみませんっ、な、何でもないです!」グスッ

妹「まぁそういう訳で、二人ともお兄ちゃんのことをよろしくです」ペコリ

友「おう」

後輩「まかせて……ください…」

男「重たい話を最後まで聞いてくれてありがとな」

友「な―に言ってんだよ」バシッ

後輩「そうですよっ、ぐすっ、もっと男先輩の事好きになりました!」



男「………」



後輩「先輩?」

友「男?」ニヤニヤ

妹「お兄ちゃん?」ニヤニヤ






男「////////」カァ///






後輩「!!」カァ///

妹「あらあらー」

友「これはこれは」

男「さ、さぁ、送ってくぞ後輩ちゃん!」アハハ///

後輩「は、はいっ///」

男「友は妹を送ってやってくれ」

友「おう」

妹「おねがいしまーす」ギューッ

友(う、腕組まれた///)

後輩「先輩はマネさんのこと好きじゃないんですか?」

男「えっ、好きだよ」

後輩「それは……異性としてですか?」

男「あー、それはないなぁ」

後輩「何でですか?」

男「マネは俺にとってお母さんみたいな存在だからなぁ。俺マザコンじゃないし」アハハ

後輩「そっか……」ボソッ

男「ん?」

後輩「あ、あの……先輩っ!」

男「ん?」




後輩「私と、今度二人でデートしてもらえますか!?」ジッ///




男「……………………えっ?」

後輩「/////」モジモジ

男「……………デート?」

後輩「……はいっ」ニコッ///

男「……夢じゃない…」

後輩「へっ?」



男「夢じゃないぞーーーーっ!」



後輩「………やっぱり両思いだよね、うん…」エヘヘ///




エース「………」ジーッ

ヤンキー1「ぐっ……」ドサッ

ヤンキー2「こいつ……」フラフラ

ヤンキー3「つえぇえ……」ドサッ



友「………」

妹「友さん……」ギュッ

友「危ないから離れるなよ」

妹「はいっ!」



ボクサー「やれやれ、お前らは役にたたぶふぇっ!」ドサッ



友「強そうな奴は出鼻をくじく。戦いの鉄則な」シュゥゥゥ…

族長「ふぅん、おめーつえーな」ヒヒッ

妹「あ……」

友「?」


族長「久しぶりだなぁ、えっと、死んだ女の家族」


妹「も、もう出所したの?」ガクガク

友「出所?」

友(まさか男と妹の姉を殺した張本人!?)


族長「ひひっ、主犯は別の奴になすれば、俺の罪なんてすぐ帳消しになんのよ!」ハハハハハッ


友「じゃあ、やっぱり……」グッ

族長「おいおい、俺は何もする気ねーっての」

ヤンキー1「つっ……」

ヤンキー2「覚えてろよ……」

ヤンキー3「族長さん……」

族長「よし、行くぞ」

ヤンキー達「「うすっ」」

友「……何だったんだ…」

妹「………」

友「大丈夫?」

妹「ふにゃぁ……」ペタン

友「妹!?」

妹「こ、怖かったぁ」ギューッ

友「………」

妹「すみません。おぶってもらって」

友「気にするな」

妹「……結局、進めてないのは私も一緒だったんですね」

友「?」

妹「私は……人が怖い…」ギュッ

友「妹ちゃん……」

妹「お姉ちゃんは……本当に馬鹿だけど喧嘩ばっかりだったけど、優しかった。優しかったんです」ポロポロ

友「………」

妹「それなのに……あんなボロボロになって…」ウゥ…

友「………」

妹「私、私……」



友「俺がいる」



妹「……えっ?」






友「俺が、妹の支えになってやる」






翌日 学校


黒板

≪俺が、妹の支えになってやる≫



女性陣「」チーン

男「はい、これが妹をゲットする方法です。モテナイ男子はちゃんとノートに100回は書くように」

男子達「「はいっ!!」」

友「やめろ……///」

男「ふん、俺の可愛くて大事なおっぱいの小さい妹と付き合ったことに対する洗礼だ」

友「………お兄様…」ボソッ



男「やめろ気持ち悪いっ」ゲシゲシ



友「お兄様ぁあああ!」

女性陣「」タチナオレナイ……

屋上

マネ「へ、へーーっ、デートするんだ?」

男「おう、良いだろ」

マネ「……良いなぁ…」ボソッ

男「そう言えばマネは好きな奴いないのか?」

マネ「ふぇ!? わ、私っ!?」

男「だって、エースのことは振ったんだろ?」

マネ「……うん、だって私面食いだし」

男「だったらイケメンは?」

マネ「あんな最低男嫌だよ」

男「今は改心して真面目だぞ」

マネ「でもダメなのっ」

男「うーん、マネはわがままだなぁ」

マネ「私はっ!!」ガバッ

男「おわっ」ドサッ



短髪「か、重なり合った……」ドキドキドキ

短髪(友から男に乗り換えようと思ったらとんでもない場面に遭遇してしまった!!)

先輩「これはゆゆしき事態ね」ピロリン

短髪「あ、わ、私も」ピロリン

二人(マネ変わってくれないかなァ……)///

マネ「男!」ドキドキ

男「ん?」

マネ「好きです!」カァ///


短髪「!!」

先輩「言っちゃった……」


マネ「………///」ドキドキ

男「おう、俺も好きだ。大好きだ」ニコッ

マネ「!!」パァッ///


短髪「あ、あれ!?」

先輩「………」



男「これからも、仲良くやってこうな」ニコニコ

マネ「………」ハァ…

マネ(分かってた! 分かってたよ!)モウッ!



二人「………」ホッ…

短髪(良かったね後輩)

先輩(少しハラハラしたわ……)

一旦離れます!

多分、もうちょっとで終わります!

放課後 テニスコート


男「……ふっ!!」パコォンッ!


―――バカーーーンッ!!


後輩「凄いです! 10回連続で缶に当たりましたよ先輩!」

男「………」

短髪「世の中にはこういう世界規模の人間がいるんだろうね」

先輩「もったいない話だわぁ」

男(能力が“強くなってる”……?)

後輩「先輩?」ヒョコッ

男「………」

短髪「いけっ!」パコンッ

後輩「あひゃっ///」ピョンっ



――チュッ!!



先輩「あら」

短髪「わお」




男「………えっ?」

後輩「んーーーっ///」タタタタタッ

男「い、今、柔らかいモノが……」




部室

後輩「………」ドキドキドキドキ///

後輩(ななな、なんてことを!?)ドキドキドキ

後輩「……………」ドキドキドキ




後輩「………やった…」ボソッ////




路地裏


友「………はぁはぁ…」ボロボロ

ヤンキー「」

ボクサー「」

友(こいつら……毎日毎日しつこいっ……)

族長「ひゃはっ、おめーそんな頑張ってどうする気だ? 逃げれば良いじゃねぇか」

友「……うるせぇな…」ハァハァ

友(お前らの目的は……分かってんだよ…)ギロッ

族長「……へっ、ばれてるって訳か」

友「……どうしてそこまで男に執着する」

族長「ちげーよ。全然ちげー」チャキッ

友「………」




族長「俺はな、姉が欲しいんだよ」




友「姉……? 男の姉は死んだんじゃ……」

族長「あいつらの心の中で生きてるじゃねぇか……」

友「なっ、お前、それはお前みたいなやつの台詞じゃねぇだろっ」

族長「ひゃはっ!! あいつのことを想う人間は俺だけで十分なんだよぉおおお!」クイッ




―――パァンッ!!




病院

妹「いやぁああああ!!」

男「そんな……」

短髪「友……」ポロポロ



友「へ、へへ……俺は銃に勝った男だぜ」ボロボロ



妹「桃ちゃんが包帯グルグル男にーーーーっ!」

男「は?」

短髪「桃……ちゃん?」

友「お、おい、皆の前ではやめてくれって言ったじゃねぇか」

妹「だって……私の好きな友ちゃんと桃ちゃんを同時に楽しめるんだもん」グスッ

一同「………ぷっ」アハハ

友「男、あいつはお前と妹を狙ってる。気をつけろ」

男「………」コクン

妹「お兄ちゃん……」

友「殺す気でしばいたから、当分は動けないと思うが……」

友(あいつらイカれた人種は怪我でも……)

男「………」

マネの家

男「お久しぶりです」

不良「男っち……」

男「相変わらず綺麗ですね」ニコッ

不良「よ、よせやいっ、姉の方が綺麗だったよ」

男「そんなことないです。この子も……とても可愛い…」ナデナデ

不良息子「?」バブバブ

不良「……今でも後悔してるよ」

男「何をですか?」

不良「あの時、姉が喧嘩を売ったのは、私が相手の族長に告白して、あいつは姉を差し出すなら付き合ってやるって言った。……馬鹿だったよ…」プルプル

男「不良さん……」

不良「男、あんたはこっちのことに関わんな。旦那が話をつけてくれるから」

男「………」

不良「大丈夫。旦那はあー見えてウチのチームのトップだったんだ。負けないよ」

男「………」

不良「それより、マネといつ結婚するんだい?」

男「え?」

不良「え?」

男「やだなぁ、マネと結婚する訳ないじゃないですか」アハハ




不良「ぁああん? おめー、あんな献身的に尽くした女に対して責任とらねーのかよ!?」グイッ




男「」

帰り道

男「ててて……なんで殴られなきゃならないんだ……」

男(マネが俺と付き合う訳ないだろ。あんな可愛くて綺麗で可愛くておっぱい大きい女の子……)


道路

子供「パパー」

パパ「!? 子供! 何で飛び出して!?」


男「!?」

男(間に合わない!!)グッ

男(今日一日分じゃ無理だ! 今後一週間分の力と集中力を!!)




―――ダンッ!!!




一週間後


男「……ここは?」

後輩「!!」ハッ

妹「……バカお兄ちゃん…」ポロポロ

友「へへっ、やっと目が覚めたかお仲間さん」

男「……あ、俺…」

男(一週間分の力を使って……)

友「事情を知ってたから良かったものの、お前、無茶しすぎな」

男「いや、友に言われたくはないけど」

後輩「おどごぜんばいいいいい!」ギューッ

男「こ、後輩///」オロオロ

妹「あらまぁ」

友「うらやましい」

妹「あ?」

友「嘘ですごめんなさい」



後輩「先輩、先輩、先輩!」ギューッ

男「だ、大丈夫だから」アハハ…



妹「本当に無事でよかった……」

友「ああ……」

友(……だが、男は“簡単に”一週間分の力を使った……。実際は一週間分ではないだろうが、身体はきっちり一週間動かなかった)



友「もし……一生分を使ったら…」ボソッ



妹「?」

友「……なぁ、後輩ちゃん、ちょっとジュース買いに行くの付き合ってくれねぇか」

後輩「えっ、あ、はいっ」

友「男ー、ちょっと後輩ちゃん借りるぞー」

男「俺に確認とるなっ///」

後輩「////」

屋上


後輩「男先輩が……一生…?」

友「ああ、今のあいつじゃきっと簡単に一生の力を使う」

後輩「そんな……」

友「あいつは今、自分の力のでかさに振り回されている。使いどころを分かってないんだ」

後輩「で、でも、子供を助けるために……」

友「見ず知らずの人間が自業自得で事故を起こした時」

後輩「えっ?」



友「あいつは、状況も考えずに自分の命と引き換えに目の前の人物を助けるぞ」



後輩「………」

友「それは、飛び降り自殺している人間を飛び降りて助けるようなもんだ」

後輩「………」

友「後輩ちゃんは男がそんな風に死んでいくのを見ていたいか?」

後輩「そんなわけないじゃないですか!」ポロポロ

友「だよな」

後輩「でもっ、……男先輩は優しいから……きっと……」ポロポロ

友「……だから、頼む」グッ

後輩「ふぇ……?」




友「男の鎖に……なってくれ」




後輩「………」

後日、病院。


マネ「アンタバカじゃない?」

男「………」シュン…

マネ「……でもまぁ、頑張ったんだね」イイコイイコ

男「気が付いたら身体が動いてた」テヘッ

マネ「反省しろっ」ボコッ

男「痛い……」

マネ「男……そうやって、死んだら、残された人間は辛いよ?」

男「……分かってる」

マネ「分かってない」

男「分かってる」

マネ「分かってない」

男「分かってるって」



マネ「分かってないって!!」ポロポロ



男「!!」




マネ「私は男が好き! 異性として好き! 大好き!」



男「マネ……」

マネ「だからあんたが死んだら私生きていけない! あんたが死んだら私も死ぬ!」

男「お、おい……そんな無茶苦茶な…」

マネ「無茶苦茶じゃない!」

男「………無茶苦茶じゃ……ないな」

マネ「ねぇ男……」スッ

男「……俺は…なんてことを……」ブルブル

マネ「男?」



男「俺は、後輩を残して死んでたかもしれないのか!?」ガクガク



マネ「こう……はい?」

男「謝らなくちゃ……」ヨロッ

マネ「動いちゃダメ!」

男「俺は……俺は…」ヨタヨタ

マネ「ダメだって!」



男「俺は後輩が好きなんだ!!」



マネ「あ……」ガクッ

男「俺と同じ思いを後輩に……」

男(俺はなんてことを……)フラフラ

マネ「お、おと――」



後輩「………」ポロポロ



男「こ、うはい?」

マネ「………」

後輩「私……私……」グスッ

男「後輩!! すまん!!」ゴンッ

マネ「!!」

後輩「せ、先輩っ、頭上げてください!」ポロポロ

男「俺が、俺がバカだから! 目の前のことで頭がいっぱいになるから! お前の事好きなのに! 大好きなのに!!」

後輩「私もです! 私も先輩の事好きです! だから大丈夫! 大丈夫だから!」グイッ




後輩「一緒に、デートしましょう先輩」ニコッ




男「………」コクン

マネ(男……男ぉ…)ポロポロ

どこか


不良「頼む、頼むからやめてくれ」

族長「はぁ? 何でお前にそんな権限があんの?」

不良旦那「」ボロボロ

不良息子「んぎゃぁあ! んぎゃぁあ!」

族長「うるせぇぞガキ!!」ブンッ

エース「あぶなっ!」ガシッ

ヤンキー「おお、さすが元高校球児」

ヤンキー2「ナイスキャッチ」パチパチ

エース「へへ……」アザッス

族長「脱げや」

不良「えっ……」

族長「ここで脱いで、しょんべんとうんこしろ」

不良「……そ、そんなの…」



族長「おっけーおっけー、お前らはそういう奴だった、よ!!」グイッ




不良旦那「」ボキッ

不良「旦那ぁあああ!」

エース(うわー、こえー……でも…この人ならあいつに……勝てる)

病院


男【明日退院(`・ω・´)シ】

後輩【何時ですか!?】

男【昼前?】

後輩【じゃあ授業中だ……】

男【明日、楽しみにしてる】

後輩【私もです!】

男【どこに行く?】

後輩【水族館!】

男【なんで?】

後輩【クラスの皆で決めました!】

男【クラス公認なんだ(笑)】

後輩【はいっ♪】



男「楽しみだなぁ……」


ピロンッ


男「メール? 珍しいな」ピッ

男「!?」




 そこには、裸で土下座する不良さんの写真があった。


 その先には族長が偉そうにソファーに座っていて、横にはエースが不良さんの息子を抱いている。


 ソファーに寄りかかるように血だらけで倒れているのは不良さんの旦那だろうか。




 ―――ぷつり。




 一つ、何かの感覚が抜け落ちた。なんだろうか、思い出せない。

 でも、行かなくちゃ。

 不良さんは幸せに生きているんだ。

 助けなくちゃ。




 姉みたいにしては……いけない。




 

どこか。


族長「ひゃはは! 見ろよ! 人妻の裸だぜお前ら!」

ヤンキー「族長! 後でやらしてくれんすか!?」

族長「あ?」ギロッ

ヤンキー「」ビクッ

族長「……んー、そうだなぁ…」

不良「………」カタカタ

族長「なぁ不良」

不良「!!」ビクッ

不良「は、はい……」カタカタ

不良(怖い……)



族長「お前、子供食えや」



不良「……え?」

不良(食え? え? この人何言って……)



族長「おーい、誰かあれ調理して来い」

エース「え、ま、マジすか……」

ヤンキー2「抱えてんだからお前やれや」

ボクサー「うわぁ、こえー」ヒャハハ

不良「ま、待って……」



族長「動けば旦那殺すぞ」



不良「っ……」ピクッ

族長「んー、あー、もっと良い事考えた」

エース「………」ホッ

族長「不良の妹、あれなんて名前だっけ」

不良「………っ」ピクッ

族長「たしか……マネ?」

エース「えっ?」

族長「そうだ、マネだ。あいつ! あいつのラインどれだ? あー、これかこれか」

不良「………だ…」カタカタ

不良(こ、声が出ない……)




族長「姉妹でどっちが締まりが良いか試してみようぜ」ヒャハッ!!




エース(ま、マジかよ……すげぇ偶然…)

族長「……ん? なぁ不良」

不良「………は、い」









族長「お前の妹って、男の事が好きなの?」








男「……どこだ…」ハァハァ…

男(ダメだ……さっきから聴覚を高めても全然分からない…)

男「早くいかなくちゃダメなのに……」

友「ん? 男ー、どうしたんだー?」

男「あ、友……」ピタッ

男(友を巻き込んで良いのか?)

友「どうしたんだよ、退院は明日だろ?」

男「あ、ああ……」

友「………お前…」

友(さっそくかよ…)





友「男!!」バキッ




男「くっ……」フラッ

友「お前、分かってんのか!」

男「ああ、分かってる!!」

友「ならどうして警察に任せない!!」

男「警察は姉を助けなかった!!」

友「お前は姉と知り合いを天秤にかけるな!!」

男「何でだよ! 俺が助けられる! なら行くべきだ!!」

友「ふざけんな!!」ブンッ

男「ふざけてない!」ガッ

友「っ……ふざけんてんだよ!」ガシッ

男「くっ……」

男(筋力を一時的に増大!)バツンッ

友「くそっ、厄介な能力だぜ」ハァハァ…

男「行かせてくれ。頼む」

友「いいや、行かせない。絶対にだ」

男「後悔したくないんだ」

友「後悔するんだよ! 行ったところでな!」

男「しない!」

友「する!!」

男「なんで分かる!!」




友「俺がそうだったからだ!!」




男「!!?」

友「俺が誰も好きにならなかった理由、教えてやる」





友「俺を助けるために人が死んだからだ」

男「え……」

友「交通事故だ。だが、その人は俺を助けなければ死ななかった。多くの人にその人は称えられたが、家族は誰ひとりとして笑ってなかった。……俺の方を見て、ジッと睨めつけてたんだよ」

男「………」

友「そして、数ヵ月後に自殺した。無理心中だ」

男「な……」

友「分かるか。躊躇いのない力は多くの不幸を招くんだよ」

男「………」

友「それでも、やっぱり俺だって男だ。一目ぼれには勝てない。……妹のことを好きになっちまった」

男「それならなぜあんな怪我まで負って……」

友「それは妹に危害が及ぶと思ったからだ!! 関係ねー奴のために鉄砲と戦ったりしねーよ!!」

男「………」

友「分かるか男。俺達は人間だ。簡単に死ぬ。それはお前も分かっているだろう」

男「………」

友「お前は、誰のために生きてるんだ?」

男「俺は……」



後輩『先輩♪』



男「………」




ピロンッ




男「?」ピッ



 あ、ダメだ。



 友、すまん。



 俺……もう、無理だ。




男「………」ガシャッ

友「お前、スマホ落としてどうし―――」



【裸にされたマネと不良の写真】



友「これはっ」ゾクッ

男「……友……のとき……のむ」ボソボソ

友「えっ」




男「……………一生分の聴覚をください」ドクンッ



友「お前!!」

男(あ……なんだこれ…すごい……世界中の音が水のように……)

友「     !」

男(あはは、これじゃあダメだ。近くの人間の声すら判別できない……)

男(あ、でも、たしか聖徳太子は七人同時に聴き分けたんだよな……なら)




男(一生分の集中力を、この一時間に)ドクンッ




不良「お願いします!! 妹だけは!!」

不良息子「おぎゃぁあ! おぎゃぁあ!!」




男「……みつけた…」フラッ

友「おと―――」

男「一生分の運動能力を、この一時間に」ダンッ

友「っ!?」スカッ




友「男ーーーーーっ!!」




廃ビル


ヤンキー「族長さぁん、まだなんすかー?」

族長「あわてんなや、やってる時に男が来たらかっこわりーだろ」

マネ「うぅ……」ポロポロ

不良「ごめん、ごめんねマネ」ポロポロ

エース「はぁはぁ……」

エース(マネの裸……///)

ヤンキー2「うわっ、お前勃起しすぎだろ」

族長「エース、だっけか?」

エース「あ、は、はいっ、すみません!」

族長「お前、後輩って奴のアドレス知ってんの?」

エース「!!」

エース(この人……どこまでも狂ってやがる…)ニヤァ…


道路

通行人「今日も寒いね」エヘヘ

通行人「そうだね」ウフフ

通行人「この後、ホテル寄ってく?」

通行人「う―――」



―――ドゴォンッ!!



通行人「な、なに!?」

通行人「なんか壁にぶつか……え?」



男「……はぁはぁ…」ボロボロ

男(曲がるのがめんどくさい……)ダンッ


通行人「……ば、ばけものだ…」ガクガク

マネ「エース、やめて」

エース「へっ、さっきまで泣いてたくせによっ」

マネ「……そこのあなた、やめさせてください」

族長「ふぅん、おめー、なんか姉に似てんな。態度とか」

マネ「おねがいします。私は何でもしますから」

エース(もう遅いけどな)ピッ



エース【○○の廃ビルで男拉致ってる。お前来ないと殺すから】



族長「……そうだなぁ、じゃあ、お前、ロシアンルーレットて知ってる?」

マネ「………」コクン

族長「じゃーーーん、ここに本物のチャカがありまーす」

ヤンキー達「おおっ」パチパチパチ

不良「まさか……」ゾクッ

族長「なんとこれはリボルバータイプなのでーす。それを弾丸一発にして回転させます!」

マネ「………」ガクガク

族長「ほらっ」ガシャッ

マネ「……それを頭に向けて撃てばいいの?」

族長「ちげぇちげぇ全然ちげぇよバカ」

マネ「?」






族長「おめぇのあそこにぶっ刺して撃つんだよ」




一同「!!?」ゾクッ

マネ「………」ガタガタ

不良「そんなことっ!」

族長「なら、今すぐ犯されるか? あ?」

不良「………っ」

マネ「やる」スクッ

エース「えっ」

エース(お、お前ただの学生だろ! なんでそんな勇気あるんだよっ)

族長「ひゃははっ、勇気あるじゃん! 一発できたら後輩呼び出しはなしにしてやるよ。あと一発すればお前解放してやる。もう一発すれば赤ん坊を、さらに一発で旦那か不良を解放してやるよ!」

マネ「……約束よ」カタカタカタ

族長「ああ、もちろんだ」ニタァ

マネ(男……大好き…)スッ



――くちゅ



マネ「っ……」ビクッ

マネ(怖いっ……)

ヤンキー達「「おおっ」」

エース(めっちゃエロい……)ハァハァ

回想

男「えっ、君が俺を?」

マネ「うん、お姉ちゃんの付き添いで」

男「ごめん……」

マネ「何で謝るの?」

男「だって、俺何かのために…」

マネ「そんなこと言わないの」ナデナデ

男「えっ……」

マネ「大丈夫だからね」ニコッ

男「………うん」

マネ「何でそんな泣きそうな顔してるのよっ」

男「……う、嬉しくてっ!」

マネ「っ///」ドキッ

男「で、でも、俺、何も持ってない! マネさんに何も返せない!」

マネ「……んー、それじゃあ」

男「?」





――私を甲子園に連れてって、なんてね。





マネ「……男、大好きだったよ」ポロポロ

マネ(本当は……甲子園なんてどうでも良いから男に私の名前を……)ポロポロ

マネ(ずっと私だけを見ててほしかったよ……)グッ







男「マネ!!!!!」バンッ!!







マネ「!!」

マネ「だめだよ……来ちゃぁ…」グスッ

マネ(大好きが……溢れちゃうよ…)

男「マネ!!」

マネ「お……とこ…」

マネ(ああ、いつも見てた……あの綺麗な顔…)

マネ(大好き……大好きだよ……男…)フラッ

不良「マネ!!」ガシッ



族長「ひゃはっ!! マジで間に合いやがった!」

エース「マジかよ……こいつ…」


男「はぁはぁ……全員放せ」

族長「あ? 何でお前の言うこと聞かないといけねーの?」

男「……放せ」ハァハァ

族長「?」

エース「なんか様子が」

族長「おい、男! お前耳聞こえてんのか!?」

男「……放せ」




マネ「耳が……聞こえて…ない?」




男(くそ……ギリギリで間に合わなかった…)

族長「ひゃははっ! それじゃあ何言ったって無駄じゃねぇか!」

ヤンキー「さっさとぶっ倒して、こいつら犯そうぜ!」

ヤンキー達「「おう!!」」



男(全員で20人以上……くそっ、体力が持つか?)



族長「やれっ!!」

ヤンキー達「ひゃっはぁああ!」

男「くっ!」シュンッ

ヤンキー「はや――」ドサッ

男「………」


ヤンキー2「なっ……」

ボクサー「こいつ……化物か?」ゴクリ


族長「なにぼさっとしてんだ! 相手は武器も持ってねぇンだぞ!」

男「………」シュンッ


ヤンキー4「うっ……」ドサッ


ヤンキー3「おらぁ!」ブンッ

男「………」ガシッ

ヤンキー3「えっ……」

男「………」ブンッ

ヤンキー3「ぐえっ」ドサッ


マネ「男……なんで…」ポロポロ

不良「………」ゴクリ


男「……放せ…」

男「………」ハァハァ

ヤンキー×8「」

族長「こいつ……」

不良「いける……」

マネ「男……無理しないで…」


エース「……貸せっ!」パッ


マネ「あっ」

エース「族長さん!」

族長「なーいす♪」パシッ


男「!?」


族長「さぁて、経験を生かす俺は、誰を狙うでしょう」スッ

マネ「えっ……」


男「マネ!!」ダッ


族長「しねっ♪」グイッ



―――パァンッ!!



マネ「あ……」

族長「は?」

エース「え……」





男「はぁはぁはぁ……」ポタッポタッ



エース(こいつ……手で掴みやがった…)

族長「おめぇ、何もんだよ……」

男(もうすぐ一生分の視力と握力を失う……相手の声も聞こえない……どうする…)


男「お前ら全員、今すぐ両手を上げろ。敵意があると判断したら……」





男「殺すぞ」





ヤンキー達「………」ゴクリ

男(頼む……視力があるうちに大丈夫だと判断させてくれ……じゃないと……)





――俺は、ここにいる人間を皆殺しにしてしまう。





マネ「えっ……そんな…」

エース「………」ニヤリ

男「?」クルッ




男「こう……は、い?」




後輩「先輩!!」

 


      なんでこんな所に後輩が?



  どうすればいい?



          後輩を殺したくない。
 

     でも、見えなくなれば人が判断付かない



      どうする?




エース「こっちだっ!!」グイッ

男「!!」

後輩「きゃぁ!!」

族長「お前使えるじゃねぇか!」

エース「へへ、これで形勢逆転だ男」

男「……頼む、放せ放してくれ」

エース「聞こえてね―だろうが言ってやる。



エース「俺はお前が大嫌いだ! 過去に何かあったがしらねーが、自分は不幸ですよーって顔して淡々と生きてやがる!」



エース「多くの人間に愛されてるくせにそれに気づかずにのうのうと生きやがって!」



エース(まるで才能だけで生きてる俺を否定してるみたいなんだよ!!)



エース「心底むかつくんだよ!」ビリッ



後輩「いやぁあああ!」




―――ぶつんっ。




 大きな何かが、    切れた。





男「あぁあぁあああぁあああああああああああああ!!!!」グググググググッ!!

エース「なっ……何が…」

族長「なんだこいつの身体……、岩見て―に膨れ上がってやがる……」

後輩「先輩!!」



ヤンキー11「くっそーーー!」ブンッ



―――ガキィンッ!!



ヤンキー11「は?」

ヤンキー11(鉄製のバットだぞ? なんでそんな地面を叩いたみた―――)ボゴンッ

ヤンキー11「」ドサ



男「………」ドスッドスッ



族長「ばけ……もん…」ゾクッ






  曖昧なことはやめよう。




 一生なんて甘えだ。




 不必要なものは“捨てよう”。




   必要なものだけ“残そう”。




 必要なのは、“殺す”……あと、なんだろう…。






男「それだけで……いいか」ビュンッ





族//長「」ドサッ

エース「えっ……」

ボクサー「首が……と………」ドサッ

ボク//サー「」ドクドクドク



ヤンキー達「う……うわぁああああああ!!!」



男「」ビュンッ!!



ヤン//キー12「」ドサッ

マネ「男ぉ! やめてよぉおお!」

マネ(これ以上やったら壊れちゃうよぉおおお!)

エース「に、逃げないと……」

後輩「動いちゃだめ」

エース「えっ」ビュッ

エース「………」タラーッ



ヤン//キー13「」ドサッ



エース「うわぁあああ!」ドサッ

マネ「男……男ぉ……」フラフラ

不良「だめっ!」ギュッ

マネ「放してよぉ!」

不良「殺される!!」

マネ「嫌だよ! 男が死んじゃうよぉおお!」

不良「だめったらだめぇえええ!」



ヤン//キー15「」ドサッ



男「」シュゥゥゥゥ…

エース(摩擦熱で……煙が出てやがる…)ガクガク





 なんだっけ。




 えーっと、殺す。




 あと……えっと、殺す。




 ちがう、それ殺す。




 だから、そ殺す。




 殺すが殺すで殺すから殺すために殺すとして殺すんなら殺す。




 ああ、そうだそうだ。






 全員殺すんだった。






 






男「がぁあああああああああ!!」ドンッ




エース「こっちにきた!!」ビクッ

不良「マネ!」ギュッ

マネ「っ!!」

後輩「………」

男「がぁああ!!」ブンッ


後輩「例えば、日陰で揺れるこの花をなぜか愛おしく思い」~♪


男「!?」ピタッ


後輩「どうにかして、日向へと出られたら、少し強くなれる」~♪


男(振動……うた………歌?)


マネ「後輩……ちゃん…」




 例えば、大事な人のなく姿に言葉が出なくても



 とっておきの唄を聞かせてあげれば涙も止められる




後輩(先輩……この唄…、まるで先輩のようです……)




 そのポケットの隅を探すのさ きっと勇気のかけらが出てくるだろ




 自信を持って良いはずさ。 僕ら時には勇者にでもなれるんだ。




後輩「守るべきモノがあればリトルブレイバー」ギュッ



男「………」



後輩「守るべき人がいればリトルブレイバー」ポロポロ



男「こ……う…」



後輩「!! どうにかして、ひなたでとっておきの……歌を聞かせて……あげよ…う」ポロポロ



マネ「………」ポロポロ



後輩「だからもう……泣かないで…」スッ








 僕が守るから






 

男「………」ドサッ

マネ「男……」

後輩「先輩!!」ギュッ

後輩(熱い……でも…)ジュゥゥゥ…




エース「……くそっ…」グッ




エース(お前のせいで俺は何もかも失った……失ったんだ!!)プルプル




マネ「!! 危ない!!」バッ




エース「死ねぇえええええ!!」グイッ




後輩「!!」

不良「マネ!!」





エース「」ドサッ




友「……ふぅ、間一髪…」

友(男が速すぎてどこに行ったのか分からんかった……)ハァハァ…




マネ「友……男が…男がぁ……」ポロポロ

友「お前っ、そ、その前に服着ろ!」

マネ「そんなのどうでもいいからぁ……男を助けてぇええ」

友「くっ、後輩ちゃん! あいつらに服を着せて警察と病院に電話して!!」

後輩「は、はいっ」



男「」ビクンッビクンッ



友(なんだこれ……関節が全部折れてる…いや……“全身が肥大化した筋肉に潰されてる”……)

友「……無理だろ…これ……」ハハ……



後輩「無理じゃないです!!」



友「!」

後輩「無理なことなんて、この世界に存在しないんです!!」

友「……くそっ、すまん!! 弱気になっちまった! でも、どっちみち俺じゃ無理だ! 変わってくれ!」

後輩「先輩! 絶対に助けますから! デートの約束守ってくださいね!」ギューッ

後輩(少しでも熱を奪って、身体を冷やさなきゃ!)ジュゥゥゥ……



男「」ビクンッビクンッ



マネ「男……」



男「………」ブンッブンッ

男(毎日1000回振れば、少しは打てるようになるかな)ブンッブンッ

部員「おっ、今日も早いな男」

男「先輩、おはようございます」ブンッブンッ

部員「なぁ男、あれ見てみろ」

男「?」

部員「一年の子だけどさ、可愛いよな。毎朝頑張ってるし」

男「ああ、はい。毎朝駐輪場で挨拶してくれるんですよ」

部員「はぁ!? 聞いてねぇぞ! くそーっ、俺も電車の時間があえばなーー!」

男「だめですよ」

部員「えっ」

男「だめです」ジッ


後輩「………」タッタッタ


部員「ああ、そういうこと」

部員(お前はてっきりマネ狙いかと思ってたよ)

男「………可愛いな」ボソッ


後輩(先輩……見てくれてるかな)タッタッタ


二人((付き合ってくれないかなァ……))




エピローグ 水族館



後輩「先輩っ、見てください! ラッコですよラッコ!」

後輩「うわぁ! イルカです! かわいい!!」

後輩「カニさんだ! カニさん! タコさんもいる!」

後輩「マンボウ!」

後輩「クジラさんだ!!」

後輩「いっぱい魚さんがいて、楽しいですね!!」


後輩「うわぁ! 綺麗なクラゲ……」

後輩「先輩! あれ、ニモですよニモ!!」

後輩「……ファインディングニモって……なんだか私と先輩見たいですね」エヘヘ



子供「ママー、あのお姉ちゃん、誰と喋ってるのー?」

ママ「余計なこと言わないの」グイッ



後輩「………」

後輩「変な人扱いされちゃいました」エヘヘ

後輩「先輩と……手を繋いで…」グスッ


後輩「先輩ぃ……寂しいですぅうううう」ポロポロ

スタッフ「ど、どうされました!?」オロオロ

後輩「寂しいんですぅううう!」ウェェェェン

スタッフ「えぇ!?」オロオロ

後輩「先輩、観覧車ですよ」

後輩「あ、そうだ。一つだけお願いがあるんです」

後輩「先輩の事、名前で呼んでも良いですか?」

後輩「……男…君///」モジモジ

後輩「や、やっぱり駄目です!」キャーっ///

後輩「……男…////」モジモジ

後輩「きゃーーー、名前だけで呼んじゃったぁあああ///」



後輩「………」ツーッ



後輩「ぜんばぃいいい、ざみじぃでずぅうう」ポロポロ

スタッフ「はい、下り…て!?」

後輩「寂しいですぅうううう!」ポロポロ

スタッフ「い、いや、そ、そう言われても!」オロオロ

後輩「公園です! 先輩! デートの定番ですね!」

後輩「うん、ここで言おう」ドキドキ

後輩「あのね、男君……」モジモジ




後輩「いっぱい……キスしたい…です///」




後輩「……えへへ、言っちゃった」

後輩「大好きです」

後輩「それじゃあ、先輩……またデート…しましょうね」ニコッ

病院


後輩「////////」モジモジ

男「//////」



友「うわぁ……」

妹「さすがに引くわぁ」

マネ「これを一人でやってきたのよね」

短髪「すごい……」



後輩「だってだって、先輩は動けないですもん!」



友「動けるようになってからで良いじゃねぇか。わざわざビデオに撮らんでも」

後輩「……こうすれば、先輩はいつだって私を見られるじゃないですか」モジモジ///

男「う、うれしいっ////」

後輩「ですよねっ!」ギューッチュッチュ



一同(このバカップルめ!!)

友「でも、本当に良かった」

妹「うん、お兄ちゃんがいなくなったら私も死んでたかも」

男「……わりぃ」

短髪「ほんと、映画みたいな話だね。今でも使えるの?」

男「いや、もう無理だと思う」

男(先生は脳の傷の問題だって言ってたし、それは時間と共にどっちみち治ってたって……)



男「もしかしたら……姉ちゃんがあの力をくれたのかも……」



マネ「………うん、きっとそうだよ」

男「ありがとう姉ちゃん。そして、皆も」ニコッ

一同「「ぞんなごどいうなよぉおおお」」ポロポロ

男「あはは、綺麗な顔とカッコ良い顔がだいなしだー」

一同「うるざいっ」

男「……なぁ後輩」

後輩「?」




男「俺と、結婚を前提にお付き合いしてください!!」




完!

まさかのこんな時間…八時起きなのに……orz

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