美希「961プロの日常」 (45)

第一話

美希「差別だと思うの」

黒井「唐突に何だ?」

美希「オーバーマスターの歌詞、知ってる?」

黒井「もちろんだとも、自分のところの曲だからな。いつでも宣伝できるようにCDだって5枚は常備しているぞ」

美希「じゃあ歌詞カードを見てほしいの。サビの前あたり」

黒井「どれどれ・・・」

やさしさ欲しいと思ってる?
やっぱアンタには高嶺の花ね
心に響き渡らなくちゃ
意味がないのよ

美希「この部分、美希たちフェアリーの名前を使ってるんでしょ?」

黒井「ああ、こういうひと工夫は話題になるからな。マニアは薀蓄が好きだ」




美希「じゃあなんで美希だけ苗字なの?」

黒井「ん?」

やさしさ【星井】と思ってる?
やっぱアンタには【貴音】の花ね
心に【響】渡らなくちゃ

美希「ほら?」

黒井「・・・うむむ」

美希「美希、わざわざ電撃移籍までしてきて新ユニットのセンターだよ?なのにこの仕打ちは酷くない?」

黒井「あ、あれだよ、歌詞の都合というものだ。『みき』よりも『ほしい』のほうが、日本語としてだな」

美希「美希、努力が足りないって思うな!」

            ノヘ,_
    ,へ_ _, ,-==し/:. 入
  ノ"ミメ/".::::::::::::::::. ゙ヮ-‐ミ

  // ̄ソ .::::::::::: lヾlヽ::ヽ:::::zU
  |.:./:7(.:::::|:::|ヽ」lLH:_::::i::::: ゙l   いぇい!
 ノ:::|:::l{::.|」ム‐ ゛ ,,-、|::|:|:::: ノ   道端に生えてる草は食べられる草です!

 ヽ::::::人::l. f´`  _  |:|リ:ζ    畑に生えている草は美味しく食べられる草です!
 ,ゝ:冫 |:ハ、 <´ノ /ソ:::丿
 ヽ(_  lt|゙'ゝ┬ イ (τ"      ホント 貧乏は地獄です! うっう~~はいたーっち!!!

       r⌒ヘ__>ト、
      |:  ヾ   ゞ\ノヽ:    __  .      ri                   ri
      彳 ゝMarl| r‐ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| |                   / |
       ゞ  \  | [,|゙゙''―ll_l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
        /\   ゞ| |  _|_  _High To

美希「やっぱりどちらかに合わせるべきだったと思うの」

黒井「苗字か名前かに統一するということか・・・しかし・・・」

美希「・・・あ、『四条』はまだ『至上』『私情』があるけど・・・『我那覇』は・・・」

黒井「・・・すまなかった」

美希「・・・ううん、社長のせいでも響のせいでも沖縄のせいでもないの。誰も悪くないの」

美希「というか、作詞にそういうのを仕込むつもりだったら、『みき』よりもっといい人を選ぶべきだったんじゃない?」

黒井「他の二人は決まっていたからな、あとは引き抜きかスカウトと思っていたが」

美希「・・・あ、ほら!765でいえばもっと名前が使いやすい人がいるの!春香!」

黒井「・・・美希ちゃん、それは」

美希「これなら名前で行けるの。『はるか』なんて『遥か』とかで実に使いやすくて、なんなら『あまみ』でも無理すれば『甘味』とか」

黒井「美希ちゃん・・・美希ちゃんよ、聞け。天海春香はちょっと不可能だ」

美希「どうして?」

黒井「・・・あの歌唱力では・・・」

美希「・・・ごめんなさいなの・・・」

黒井「・・・私もすまなかった」

美希「ううん、社長のせいじゃないの。これは100パー春香のせいなの」

黒井「そこはかばってやれよ美希ちゃん・・・」

黒井「しかしまあ考えてほしい、ここに765のアイドル名簿があるが」

天海春香
如月千早
萩原雪歩
高槻やよい
秋月律子
三浦あずさ
水瀬伊織
菊地真
双海亜美
双海真美

黒井「この中で、苗字でも名前でもいいから歌詞に使えそうなものを持っているのが何人いる?」

美希「春香と・・・パッと思いついたのは真君ぐらい?」

黒井「うむ、水瀬伊織なども『見なせ』といった変換は出来るだろうが、一番自然なのは菊地真ぐらいであろうか」

黒井「こうして見るとさほどいないということがわかってもらえるはずだ」

美希「ホントだね、意外と少ないの」

黒井「そうだろうそうだろう、苗字と名前両方合わせてもそんなにいないのだから、歌詞が『みき』ではなく『ほしい』の部分を使ったことはどうか許してやってほしい」

美希「・・・あ、もっといい人を思いついたの!」

黒井「先程から思うのだが、ポンポンいい人を思いつくのはそのまま自分と変わってほしいのか?」

美希「別に?美希結構ここ気に入ってるよ?」

黒井「う、ウィ。それはどうもありがとう」

美希「それでほら、愛!愛ならまさにそのままなの!さらに真君とタッグを組んだら最強なの!」

黒井「愛?誰だそれは?」

美希「知らないの?ほら、日高愛。お母さんが日高ま黒井「うおおおおおおおおお!!!」

美希「ど、どうしたの社長!?」

黒井「やめろおおお!!私の前でその名を出すなああああああ!!!」ガクガクブルブル

美希「な、なんなの・・・社長、ひだ・・・その人に何かされたの?」

黒井「はぁ、はぁ、はぁ・・・の、ノンコメントだ」

美希「落ち着いた?」

黒井「ウィ、カッコ悪いところを見せたな」

美希「社長は特にいつもカッコいいとは美希思わないけどね」

黒井「ぐふっ」

美希「ていうかオーバーマスターって結構Sな歌だと思うんだけど、社長そういう相手が好みなの?ドMなの?」

黒井「げふっ」

美希「あ、もうお昼なの。貴音と響とあのコント組連れてお昼いこ?」

黒井「う、ウィ。今日は久しぶりに釜揚げうどんでも食べに行くか」



終わり

第二話

美希「・・・うそつき・・・」

黒井「」

美希「ひどいよ・・・約束したじゃない・・・美希たちがトップアイドルになるまで、全部面倒見てやるって・・・」

黒井「」

美希「今年も海へ行くって・・・いっぱい映画も見るって・・・社長、約束したじゃない・・・!」

黒井「」

美希「なのに・・・なのに・・・!」

黒井「」




美希「経費削減でおにぎり食べ放題禁止なんてひどいの!」

黒井「ええいうるさい小娘が!貴様らのせいで純利益が右肩下がりだ!」

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        ,r'             ;'              ノ.
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黒井「まったく、先ほどの茶番といい何なんだ朝っぱらから・・・途中やたら古い歌も入った気がするが」

美希「あずさがよく歌ってたの」

黒井「ああ、あの765で一番未亡人が似合いそうな三浦あずさか。納得だな」

美希「とにかく!美希は断固抗議するの!ストも辞さない構えなの!」

黒井「うむ、では簡単なお金の話をしてやるからそこになおれ」

黒井「えー、こちらが我が961プロの先月の利益となります。相変わらず黒字で素晴らしいですね」

美希「うんうん、素晴らしいの。だから食べ放題復活なの」

黒井「ですがこの金額が丸々私の懐に入るわけではありません。ローン、維持費、積立金や従業員への給料など様々です。もちろんフェアリーやジュピターへの給料もここから出ています」

美希「そろそろお給料増えてもいいんじゃない?」

黒井「福利厚生も含みますので、特に売れ筋で金の卵であるフェアリーはかなり優遇しております。送迎、食事、娯楽などなど」

黒井「ですが・・・ですがこの度・・・」



黒井「貴様らに使った金が貴様らの稼ぎの85%を超えたのだよ!」

黒井「先々月は80%だった!その前は70%だった!このままだと3ヶ月後には稼ぐ以上に使われる!限界だよ!」

美希「そ、そんなに・・・!?」

黒井「フェアリーの皆に不自由はさせたくないからある程度は削ったさ。そのおかげで今やジュピターは自転車通勤だ」

美希「で、でもおかしいの!本当に美希たちそんなに使ったの!?何かの間違いなのきっと!」

黒井「そこで最初の話に戻るわけだが」

美希「あ、えーと、美希だけ苗字なのはおかしいと思うの!」

黒井「違うそっちじゃない!おにぎり食べ放題がどうのという話だ!」

黒井「まあ美希ちゃんだけじゃなく、三人とも特に食費に力を入れ過ぎだ。経営が傾くほどにな」

黒井「例えば貴音ちゃんなど、ことあるごとにラーメンラーメン・・・」

黒井「だけならまだしも、ラーメンに限らずあらゆるものを食べる。一人で8人分は食べる」

黒井「それをまあ朝昼晩とやられてみろ。一回の食費だけでゴチ一回分弱は飛ぶんだぞ。恐ろしい額だ」

美希「確かに貴音はちょっと食べ過ぎかも・・・」

黒井「ウィ。しかしおにぎりに限定すれば美希ちゃんも似たようなものだ」

黒井「美希ちゃんがコンビニの機械で作ったやつより手作りがいいというから、厨房におにぎり専用のスタッフを24時間体制で常勤」

黒井「しかも具も定番から変わり種まで北は北海道南は沖縄まで全国津々浦々揃えてきたとも」

黒井「もちろん米も具も妥協しない高級品から下町の庶民の味まで幅広く」

黒井「そう、ほとんどたった一人のためにこれだけの設備を投資しているのだ。そしたらどうだ、握る端から食材が消えていくではないか」

黒井「もう何回追加発注を繰り返したか!改めて言わせてもらおう美希ちゃん、食べすぎだ!」

美希「そ、それはやっぱり美味しかったし、出されたものは食べなきゃいけないって思ったから・・・」

黒井「限度というものがあるのだよ、スタッフはついに業務用炊飯器を持ち出したのだぞ」

黒井「美希ちゃんと貴音ちゃんが連れ立って食堂を訪れた日は職員一同恐怖を覚えると言っていた」

美希「ご、ごめんなさい、なの・・・」

黒井「いや、食に真面目なのはいいとも。だが限度があるのだ何事にも、もちろん961プロの財布にも。だから食べ放題は諦めてほしい」

美希「・・・あれ、響は?響ってそんなに食べないよね?」

黒井「ウィ。確かに本人はさほど食べるほうではない。だが」

美希「だが?」

黒井「響ちゃんの場合、ペットというか家族のほうがな」

美希「ああ・・・」

黒井「なかなか特殊な家族だから、食事も特殊になってしまうのだよ・・・だがこちらは責められないので、今迄通り援助する予定だ」

美希「うん、美希も今度散歩のお手伝いしてくるの」

黒井「いい娘だな美希ちゃんは。だがやるなら夜中にこっそり頼むぞ」

美希「・・・あ、美希、お金をそんなに使わないでおにぎり食べ放題にするいい方法を思いついたの!」

黒井「一応聞くがどんな方法だね?」

美希「社長が握るの!お金って人件費が一番高いんでしょ?だったら社長が自分で握ればおにぎりシェフの人件費が浮くの!」

黒井「なっ、このセレブな私がなぜ自分で握らねばならぬ!パンを食えパンを!なければケーキでもよいぞ!」

貴音「黒井殿が手打ちでらぁめんをご馳走してくれると聞いて!」バァーン!

黒井「言っておらん!貴音ちゃんはペヤングでも食べておけ!」

貴音「あれは人の食すものではございません!」

黒井「い、いくら貴音ちゃんでも私の青春の味を貶すことは許せん!勝負だ!」

貴音「臨むところです!ふふ、今宵も私の”ねす”が唸りを上げます・・・」

黒井「ノンノン、真の王者はカービィを使うのだよ!叩き潰してくれる!」



美希「っていうか、セレブな社長の青春の味がペヤング・・・若いころは苦労したのかな・・・?」


終わり

第三話

冬馬「おはよーっす・・・って誰もいねえし」

冬馬「ん、会議室の明かりがついてるってことは皆そっちか。でも今日ミーティングなんてなかったよな・・・?」ガチャ


美希「というわけで、本日の議題はこれなの!」

『ピピン板橋に新しい名前を付けよう!』

冬馬「余計なお世話だオラァ!」

黒井「どうしたピピン、朝から騒がしいな」

北斗「おはようピピン、後ろ髪跳ねてるぞ」

美希「あ、遅いから先に始めといたの。ピピンの席はそっちね」

貴音「おはようございます板前殿」

冬馬「やめろ!そろいもそろってピピンピピンうるさい上に四条のはさらに違う!」

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              人  ー-、   ,..ィ   /  //: :!: : : : :|:/
             >---- ≦   / / / {:.ハ: : : :.j/
             /   /   __/ /  {/ l/  }: : :/

翔太「あはは、しょうがないよピ・・・冬馬君、いつものことだよ、美希さんの気まぐれさ」

冬馬「そんな理由で改名させられてたまるかっての。俺はバカルディか・・・あと今ピピンって言いかけただろ」

響「ま、まあまあ冬馬、あれもきっと美希なりのコミュニケーションってやつさ・・・悪気はないんだぞ、たぶん・・・」

冬馬「本当にお前っていいやつだよな。なんであいつらとコンビ組んでるんだってぐらい常識人だし」

響「そ、そうかな・・・ハム蔵やイヌ美はよく、自分には常識が足りないから先輩の言うことをよく聞いておけ、って叱られるんだけど・・・」

響「この前も局の人への挨拶で戸惑った時に、どういえばいいかこっそりハム蔵が耳打ちしてくれたし」

冬馬「前言撤回、お前非常識の塊だわ」

響「な、なんで!?」

美希「えー、では全員そろったところで、何か案のある人挙手お願いしますなの」

黒井「うむ、今まではどこまでがセーフだったのだ?」

北斗「そうですね、『ちょっとずつ間違える』『ヶしか合ってない』『文字の数しか合ってない』『誤植』までは行きましたよ」

翔太「もう『全部合ってない』ぐらいしか選択肢ないんじゃない?」

貴音「そんなことありません、『音が似ている』などございます」

響「音が似てるってどんなの?」

貴音「ええ、例えば・・・母音を合わせて『羽ばたけこぉら』など・・・」

冬馬「勝手に進めてんじゃねー!」

黒井「わがままを言うな冬・・・ピピンよ、これもお前のためなのだ」

冬馬「なんでわざわざ言い直したんだよ」

黒井「そもそもだな・・・・・・」

冬馬「おう、何が俺のためなのか聞かせてくれ」

黒井「・・・・・・」

冬馬「お、おい?」

黒井「・・・・・・よし、母音を合わせる方向で、いくつか案を出して組み合わせてみようか。ほらピピンも手伝え」

冬馬「あっ、思いつかなかったんだな!適当に誤魔化そうとしたけど諦めやがって!せめて誤魔化してくれよ誤魔化されてやるから!」

・・・・・・・・・・・

美希「というわけで、いくつか案が出たの」

北斗「えーと、まず母音のほうが『あ』『あ』『あ』「え」の構成で、苗字が」


『輝け』『囁け』『戦え』『甘ダレ』『ジャワカレー』『バナナワニ園』


響「で、母音が『お』『う(お)』『あ』の構成の名前が」


『ポプラ』『オクラ』『ローマ』『ヨーダ』『モスラ』『ゴモラ』『ゴルァ(゚Д゚)』


貴音「何という片仮名の多さでしょう・・・私、肩が凝ってしまいます」

冬馬「待て待て、ちょっとツッコむところ多くてついていけないんだが」

美希「苗字案が6、名前案が7なので、全部で42個の名前が出来るの!」

黒井「よかったではないか戦えモスラ、しばらくは安泰だぞ」

北斗「本当だよジャワカレーオクラ、一日ごとに変えても一ヶ月は余裕じゃないか」

翔太「凄いよ輝けローマ君、僕の不名誉なあだ名より偉大な感じが漂ってるよ」

貴音「名は体を表すといいます、名に恥じぬ検討を期待しておりますよ、ばななわに園ぽぷら殿」

響「ごる・・・ごるあ・・・これどうやって発音するんだ?というか、後ろの顔文字は何・・・?」

冬馬「や、やめろ!せめて漢字を!漢字を入れてくれー!」

~後日、ライブ会場~

ヨーダ「今日の俺は甘ダレヨーダだぜ!行くぜ一曲目、ジュピター【verヨーダ】で『Alice or Guilty』!」

キャー!キャー!ヨーダクーン!

美希「・・・プロ根性って凄いの・・・」


終わり

オーバーマスター聞いてたらふと思いついたので また思いついたらやる
黒井大アントワネット
小鳥さ・・・あれ・・・出てない・・・

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