亀山「右京さん!シャイニーフェスタですよ、シャイニーフェスタ!」(118)

亀山「右京さん、ついに買っちゃいましたよ!」

右京「おや、何をですか?」

亀山「へへ、これっすよこれ、シャイニーフェスタ!」

右京「ああ、それですか」

亀山「あれっ? なーんだ、右京さんも買ってたんすか?」

右京「ええ。もちろん僕が選んだのは『ハニーサウンド』です」

亀山「ですよねぇ、右京さんは、春香ちゃんがお気に入りですもんね」

右京「そういう君は、やはり『ファンキーノート』ですか」

亀山「いやー、初めは伊織ちゃん目当てだったんすけどね、こうしてみると、やよいちゃんもなかなか、こう、愛らしいっていうか……」

米沢「失礼します」

右京「おはようございます」

米沢「おはようございます。実は、特命係のお二人がこちらを購入したと聞きましたので」スッ

亀山「あらら、米沢さんもファンキー?」

米沢「はい、どれにしようか悩んだ挙句、これに」

亀山「右京さんだけ、仲間外れですね」

右京「そのようですねぇ」

右京「おや、冒頭からいきなりアニメのようですねえ」

亀山「右京さん、あとでそっちのも見せてくださいよ」

右京「かまいませんよ。ただし、ひとつだけ」

亀山「わかってますって、俺のも貸しますから!」

米沢「杉下警部、私にもお願いします」

米沢「亀山さん、ステージモードですか」

亀山「ええ、何べんやっても、この、SSってのが出せないんすよ!」

米沢「最高得点はSSSなんですが……」

右京「まずは、歌詞を覚えるところから始めてはどうですか?」

米沢「ええ、そうすればリズムも掴めてくるでしょう」

亀山「いやー、それがなかなか覚えらんなくて……あっ、またミスした」

右京「君は、いつかの下着泥棒を見習うべきかもしれませんねぇ」

亀山「あっ、確かに……って嫌ですよ、そんなの!」

角田「よっ、暇か?」

亀山「暇じゃありません」カチカチ

角田「暇じゃないって……ゲームしてるだけじゃないの?」

亀山「あのね、今集中してるんですから、話かけないで下さいよ!」

角田「お、怒んなくてもいいじゃないの……なあ、何やってんのあれ?」

右京「もちろん、シャイニーフェスタですよ」

亀山「こうやって、曲の映像を見てるだけでも、楽しいっすよね!」

右京「ええ、場面の選択もいいですねえ」

米沢「しかし、作品ごとに収録されている曲のアニメは、やはり完成度が違いますな」

亀山「いやーホント、ここの伊織ちゃんの可愛さったらもう……ねぇ、右京さん?」

角田「よっ、ほっ……と、こりゃなかなか難しいなオイ」カチカチ

米沢「ランクが上がったら、いよいよ『スターオブフェスタ』に出場ですな」

亀山「な、何すかそれ、右京さん?」

右京「五日間のライブで、ポイントを他のユニットよりも多く集め、『スターオブフェスタ』の称号を手に入れるのが目的です」

米沢「まぁ、やることはステージと変わりませんがね」

亀山「なるほど……その、要はその『スターオブフェスタ』ってのになればいいんすね?」

右京「そういうことですねぇ」

亀山「ちょ、ちょっと、これ! 最後のステージが被ってるって!」

右京「ええ、勝てば、相手の名刺が手に入りますよ」

米沢「こうやって集めてみると、アイドルの多さに少々驚きますな」

亀山「たはー、負けちゃいましたよ右京さん」

右京「君もまだまだですねえ」

亀山「あーっ、何度やっても優勝できねえ!」

右京「君はちゃんと『思い出ブースト』を使っていますか?」

亀山「な、何なんすか、それ?」

右京「これを使うのと使わないのとでは、ポイントに大きな差が生じますよ」

米沢「ええ、上を狙うならぜひ活用するべきかと」

亀山「ってことは、まず思い出を溜めないとダメっすよね……」

右京「結局、ステージでレッスンあるのみということです」

亀山「うーん……いや、ステージが嫌なわけじゃないんすけどね? こう、ステージばっかりやってるとさすがに……」

右京「飽きてしまいますねえ」

米沢「それなら、息抜きにショップに立ち寄ってみてはいかがでしょう?」

亀山「ショップ……ですか?」

右京「ここでは、ステージやファン増加ボーナスなどで得たお金を使ってカスタマイズパーツなどを購入できます」

米沢「ええ、ゲームを有利に進めるアイテム等もありますので、進んで利用するべきかと」

角田「っておい、いつまでゲームやってんだよ! 売人の張り込み手伝う約束だろ?」

亀山「あ、すんません忘れてました」

角田「忘れてた、ってお前!」

右京「仕方ありません。行きましょう、亀山くん」

角田「……そもそも、勤務時間中にゲームってどうよ?」

夜 ゲームショップ

アリガトウゴザイマシター
陣川「ふう、やっと買えたわ。明日は非番やし、今日はゆっくり……」

「……ッ!」

ガン

陣川「うっ……」バタッ

「ハー……ハー……」

翌日
亀山「おはようございます」

右京「ああ、亀山くん、ちょうどいいところに。さあ、行きますよ」

亀山「あっ、えっ? ……ど、どこ行くんすか?」

右京「もちろん、捜査です」

亀山「何か、あったんすか?」

右京「昨夜、通り魔事件があったようです。とにかく、車を出してください」

亀山「りょ、了解!」

事件現場
右京「失礼」

伊丹「まーた出た……何しに来たんだよ、特命係の亀山ぁ」

三浦「困りますな、警部殿。特命の出る幕じゃないんですがね」

右京「捜査の邪魔はしませんので、どうぞお気になさらず」

亀山「そうそう、気にしない気にしない」

伊丹「うるせぇ!」

米沢「杉下警部、こちらです」

右京「どうですか?」

米沢「どうやら被害者は、背後から鈍器のようなもので殴られたようですな。搬送先の病院によると、意識はまだ回復していないものの、命に別状はないそうです」

亀山「こりゃ、強盗か何かっすかね?」

米沢「被害者に確認をとるまでは何とも言えませんが、財布も携帯もバッグの中にありました。ただ、少々気になることがありまして……」

右京「気になること、というのは?」

米沢「こちらです」

亀山「右京さん、これって……!」

米沢「ええ、シャイニーフェスタのゲームソフトですな。しかし……」

右京「粉々に破壊されていますねぇ」

伊丹「おい、しゃいにーふぇすたってなんだ?」

亀山「ゲームだよ、アイドルマスターの」

三浦「こいつは『ハニーサウンド』だな……ひでえことしやがるぜ」

右京「それで、こちらは?」

米沢「えー、被害者の所持品の中に、レシートがありました。購入したのはどうやら昨夜のようですな」

亀山「昨日……ってことは、万が一にも自分で壊すわけがない……」

右京「ええ、おそらく犯人のしわざでしょう」

伊丹「警部殿、いい加減にしていただけませんかねぇ?」

亀山「うるっせえなあ、ちょっとあっち行ってろ!」

伊丹「いいからさっさと出てけよバカ亀!」

右京「ご心配なく、もうお暇しますから」

米沢「ああ、それと……」

右京「はい?」

米沢「お二人にはショックかもしれませんが……事件の被害者は、あの陣川警部補です」

亀山「じ、陣川さんが?!」

車内
亀山「……ただの通り魔、なんすかね?」

右京「しかし、壊されていたゲームソフトが気になります」

亀山「ですよねぇ……じゃ、とりあえず」

右京「ええ、陣川くんのところへ行きましょう」

亀山「はい!」ブオーン

病院
亀山「えーっと……この病室ですね」

ガラッ
看護婦「あっ、お見舞いの方ですか?」

亀山「あの、陣川さんの具合は……?」

看護婦「今、意識が戻られましたよ」

右京「すみません、警察の者ですが、少し陣川さんと話をさせていただいてもよろしいですか?」

看護婦「それは……回復したばかりなので……」

ガラッ
陣川「す、杉下さん、ですか……?」フラフラ

病室
亀山「災難でしたね、ホント」

陣川「ええ……全くです」

右京「陣川くんは、あの日、何をしていましたか?」

陣川「あの日は……仕事を終えて、帰りに……ゲームショップに立ち寄りました」

右京「どちらのゲームショップでしょう?」

陣川「確か……○×通りにある店です」

亀山「犯行現場のすぐ近くっすね」

右京「それで、よく利用するんですか?」

陣川「いえ、昨日が初めてで……あ」

亀山「『あ』って、どうしたんすか?」

陣川「あの、自分の荷物などは……?」

右京「署のほうで、お預かりしています」

亀山「安心してください、財布も携帯も無事でしたから」

陣川「では、ゲームもありましたか?買ったばかりで、袋に入ってたと思うんですが……」

亀山「あ」

陣川「ちょ、ちょっと、『あ』ってなんですか?! ねえ!」

右京「残念ですが、破壊されていました」

陣川「は、はかい……?」フラッ

亀山「あっ、陣川さん?!ちょっと!」

陣川「やっと……やっと、あずささんをプロデュースできると思っていたのに……」

右京「突然背後から襲われ、そのまま意識を失った……」

亀山「結局、犯人の特徴はわからずじまいでした、ね」

右京「ええ……しかし、興味深いことがわかりました」

亀山「なんすか、それ?」

プルルルル ガチャ

右京「はい……はい? ……ええ、わかりました。どうもありがとう」

亀山「ど、どうしたんすか?」

右京「米沢さんからです。また通り魔が出たそうです、急ぎましょう」

事件現場
右京「お電話、ありがとうございます」

米沢「ああ、杉下警部。今回の事件も、前回と同様の手口のようです」

亀山「じゃあ、被害者の方は?」

米沢「さほどひどい怪我ではなかったようです。今ごろ、病院で手当てを受けているかと」

右京「米沢さん、ひとつお聞きしたいのですが、ゲームはありましたか?」

米沢「あれっ?何でお分かりになったんですか?」

亀山「えっ、まさか、今回もシャイニーフェスタが……?」

米沢「ええ、財布などには目もくれず、ゲームを叩き壊しています。これは……同一犯でしょうか?」

右京「……」

亀山「こりゃ、プロデューサーを狙った犯行すかね?」

右京「おそらくそうでしょう。しかも計画的でなく、目についたプロデューサーを衝動的に襲っているようですねえ」

亀山「な、なんでそんなこと分かるんですか?」

右京「陣川くんは昨日、初めて利用するお店でシャイニーフェスタを買った帰りに襲われています」

亀山「ええ、そう言ってましたね」

右京「犯人は、そのお店で陣川くんがシャイニーフェスタを買うのを見ていたのでしょう。そして、彼がプロデューサーであることを知った」

亀山「だ、だから、その帰り道を襲ったっていうんですか?」

右京「動機についてはまだ何とも言えませんが、プロデューサーが狙われているのは、間違いないでしょう」

亀山「なるほど……ん?ってことは右京さん、このままじゃ……!」

右京「ええ、さらなる犠牲が出る可能性が高い」

警視庁
中園「例の通り魔事件、また犠牲者が出たそうだな」

伊丹「はい、これで二人目です」

内村「聞けば、最初の被害者は警察の人間だそうじゃないか」

中園「は、陣川です。例の……」

内村「あいつか……とにかく、これを逮捕できないとあっては警察の恥だ。何としても捕まえろ、いいな!」

伊丹「はぁ……」

芹沢「まったく……メンツのことしか頭にないんすかね?」

三浦「今に始まったことじゃねえがな」

右京「とにかく、一度戻りましょう」

亀山「あ……すんません、先に帰っててもらっててもいいすか?」

右京「どうしました?」

亀山「その、せっかく近くまで来たんで……ちょっと土田んとこ、寄って行こうと思って」

右京「……わかりました。では」

特命係
甲斐「どうも、お邪魔してます」

右京「おや、何か用ですか?」

甲斐「いやー、実は杉下さんもこれをやってるって聞いたもんで……」スッ

右京「君はグルーヴィーチューンですか。確かに、星井美希は魅力的なアイドルだと思いますよ」

甲斐「な、何で?!何で、俺が美希ちゃん狙いでコレ買ったってわかったんすか?」

右京「おや、君は星井美希のような子がタイプでしたか」

甲斐「……カマかけやがったのかよ」

甲斐「あー……そういえば、米沢さんから聞きましたよ、例の通り魔事件」カチカチ

右京「君は、この事件をどう考えますか?」カチッカチカチ

甲斐「あ?うーん……確か、シャイニーフェスタを壊してるってのが、共通点ですよね?だったら、やっぱりプロデューサーを狙った犯行じゃないっすか?」カチカチ ピコーン

右京「なるほど」オミソレシマシタプロデューサードノォー

甲斐「あっ……でも俺、犯人は別にアイマスが嫌いなわけじゃないって思うんすよね」トクメイガカリノカメヤマァー

右京「はい?」

甲斐「だって、嫌いならそもそも、こんなことしないでしょ。なんていうか……壊したいほど愛してる、みたいな。ほら、昼のドラマとかでよくある。あーゆうのじゃないかって」

右京「愛してるがゆえに……壊したい……」

プルルルル ガチャ
右京「もしもし」

亀山『あっ、右京さん、大変っすよ! また通り魔が出たみたいっす!』

右京「すぐに行きます、場所はどこですか?」

事件現場
亀山「これで三人目かよ……くそっ!」

米沢「手口も同じ、ゲームも同じ……これは完全に同一犯でしょう」

伊丹「おい、『ファンキーノート』の亀山ぁ」

亀山「何だよ、今ごろいらっしゃったのか」

伊丹「うるせえ! こちとらさっさとホシを挙げねえとなんねえんだよ」

芹沢「先輩たちは何か掴んでないんすか?」

亀山「……現在、調査中だよ!」

伊丹「チッ、役に立たねえな……警部殿、我々は捜査がありますので、お引き取りいただけませんかねえ」

右京「ええ、どうも失礼しました」

亀山「まずいっすよこのままじゃ……ねえ右京さん!」

右京「……『ハニーサウンド』」ボソッ

亀山「はい?」

右京「また……『ハニーサウンド』ですねえ……」

花の里
たまき「えっ?壊してしまいたいほど愛している?」

右京「ええ、女性として、そのような感覚についてどう思うか、お聞きしたいと思いまして」

たまき「そうねぇ……やっぱり、不安なんじゃないかしら」

右京「はい?」

たまき「『壊したい』っていうのはつまり、束縛して自分のものにしたいっていう気持ちから起こる行動なんじゃないかなぁって」

右京「束縛……ですか」

たまき「右京さんは私のこと、そんな風に思ったりしませんでした?」

右京「ありませんねぇ……しかし、大事な家族だと思っていますよ」

たまき「ふふっ、お上手ね」

右京「……どうもありがとう」ガタン

プルルルル ガチャ
右京「もしもし、杉下です。亀山くんですか?」

夜 ゲームショップ
亀山「あのー、すんません!」

店員「はい、どうされましたか?」

亀山「いやね、ゲームを探してるんすけど、見つかんなくって」

店員「何というゲームでしょうか?」

亀山「あー、あれあれ、アイドルマスターのね、シャイニーフェスタ、ってやつなんだけど」

店員「しょ、少々お待ちください」

亀山「あ、『ハニーサウンド』ってやつだから!間違えないでー!」


店員「お待たせしました、こちらでよろしいですか?」

亀山「いやー、可愛いでしょ、特にこの青い髪の子、如月千早ちゃんて、いうんすけどね」

店員「は、はあ……?」

亀山「もうホンット可愛くて、アイドルの中じゃ一番可愛いんじゃないかってね、なんつってね」

「……」ギリギリ

アリガトウゴザイマシター
亀山「ふんふふんふーん」スタスタ

「ハー……ハー……」スタスタ

亀山「……」スタスタ

「……ッ!」グワッ

右京「そこまでです」

「?!」サッ

右京「通り魔事件の犯人は……あなたですね?」

通り魔「な、なんのことだよ?」

亀山「じゃあ何で、店から俺をつけてたんだ?」

通り魔「知らねえよ!だいたい、しょ、証拠があんのかよ、証拠が?!」

右京「先ほど、あわてて懐に隠したものは何ですか?」

通り魔「さあ……何のことだか」

右京「おそらく、犯行に使っていた凶器……違いますか?」

亀山「……ってことは、そいつを調べて被害者の血液反応でも出りゃ、決定的な証拠になっちまうな?」

通り魔「な……なんなんだよお前ら!」

右京「警察です。もっとも、プロデューサーでもありますが」

亀山「被害者の人たちには、ある共通点があった」

右京「ええ、それは、被害者全員が、シャイニーフェスタを買った日に襲われていたということです」

右京「犯行現場は、三か所ともそう離れていなかった……したがって、犯人はこの近辺に住んでいると考えました」

亀山「ま、それだけじゃあ到底、犯人にはたどり着けっこない……」

右京「そこで、亀山くんに囮になってもらいました」

亀山「案の定、お前は俺を狙って店からついてきた……」

右京「この状況で、まだ言い逃れをするつもりですか?」

通り魔「……」

亀山「何でこんなこと……襲われたプロデューサーたちが、何したってんだ!」

通り魔「あいつらが何をしたか、だって……?」

右京「そう、動機……それがずっと気になっていました。そして、なぜ犯人がわざわざゲームソフトを壊していたのか……」

亀山「えっ、そんなの……アイドルマスターが嫌いだからなんじゃ?」

右京「嫌いなもののために、わざわざ犯罪者になるようなことをしますかねえ」

右京「逆だったんですよ……あなたは誰よりも、アイドルマスターが好きだった」

通り魔「……」

右京「そして特に、『ハニーサウンド』にいるアイドルの誰かが」

通り魔「……!」

右京「愛しているからこそ、壊したい……」

右京「そして、被害者が購入していたシャイニーフェスタは、全て『ハニーサウンド』でした。このことから考えられることは、ひとつ」

亀山「ど、どういうことっすか?」

右京「アイドルに対する異常なまでの支配願望……」

亀山「支配……願望?」

通り魔「……」

右京「いかがですか?」

通り魔「……ああ、そうだよ」ボソッ

右京「はい?」

通り魔「許せなかったんだよ……はるるんを無視して、他のアイドル目当てで『ハニーサウンド』を買っていくやつらが!」

亀山「なにぃ……?」

通り魔「はるるんさえいればいいんだ……だって、トップアイドルになれるのは一人だけなんだろ? なら、他のアイドルなんて必要ないんだよ。はるるんが一番に決まってるんだから」

右京「……」

通り魔「……お前らもそうじゃないのか? どうせ自分が好きなアイドル以外は、心の中じゃ見下してるんだろ?! ……同じなんだよ、俺とお前たちは」

亀山「お前みたいなプロデューサーがいるからな……お前みたいなプロデューサーがいるからなあっ!!!」ガシッ

右京「亀山くん!」

亀山「……っ」パッ

通り魔「……なんだよ、文句でも言いたそうな顔だな」

右京「あなたがいくら天海春香を好きでも、それと同じように、他のアイドルを愛しているプロデューサーがいる……」

右京「そんな簡単なことに、なぜ気づかないッ?!」

通り魔「……」

右京「あなたは、自分が最も愛するアイドルを、自らの罪で汚してしまった……そんなあなたに……」

右京「プロデューサーを名乗る資格など、ありませんよ」

回転寿司
小野田「聞いたよ、例の通り魔、捕まえたんだって?」

右京「ええ」

小野田「安心したよ、僕も近々『ハニーサウンド』を買おうとしてたから」

右京「まだ、買っていなかったんですか?」

小野田「孫に『グルーヴィーチューン』をねだられてね……お金なくなっちゃった」

右京「……あまり面白くない冗談ですねえ」

小野田「……やっぱり?」

小野田「それで?本当はどう思ってる?」

右京「はい?」

小野田「お前は言ってたよね、どのアイドルも、必ず誰かに愛されているって。本当にそうかな、アイドルに差はない?」

右京「……ないと、僕は信じています」

病院
右京「失礼します」

亀山「陣川さん。退院、おめでとうございます」

陣川「あっ! 聞きましたよ、犯人捕まえたって! どこのどいつなんですか?! 一発ぐらいぶん殴らないと、気がすみませんよ!」

亀山「まあまあ、落ち着いてくださいよ。ほらこれ」ガサッ

陣川「? なんですかコレ……あー!コレ、『ハニーサウンド』じゃないですか!」

右京「我々からの、ささやかな退院祝いです」

陣川「杉下さん、亀山さん……ありがとうございます!」

亀山「陣川さん、喜んでましたね」

右京「そうですねえ」

亀山「ま、囮捜査の時に買ったヤツなんすけどね」

右京「いいじゃありませんか」

亀山「……そうっすね。陣川さんは、いいプロデューサーみたいですし……」

右京「……一杯やっていきましょうか」

亀山「お、いいっすね! ……あ、そうだ右京さん、こういうのはどうっすか?」

右京「はい?」

亀山「コレで得点の低い方が、今日の分、おごるっていうのは?」スッ

右京「……かまいませんよ。曲は、君が選んでくれて結構です」

亀山「あっ、言ったなー、こうなりゃ絶対勝ちますからね!」

右京「では、いきますよ」カチッ

この物語はフィクションです

終わり

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