真、千早「お鍋を作る」 (53)


真・千早「お昼ごはんを作る」の続きになります。


〜♪〜♪〜♪

真「あれ、千早から電話なんて珍しい」ピッ

千早「もしもし、真?」

真「うん、千早から電話をくれるなんて珍しいね」

千早「明日、お鍋を作りたいんだけど……」

真「急にどうしたの?急なのはいつものことだけど」

千早「今日、愛する春香から相談を受けたの」

千早「春香が言うには、高槻さんを助けるのを失敗したらしいんだけど……」

真「やよいを助けるのに失敗?言ってる意味が分からないよ」

千早「ええ。でも高槻さんが助けを求めてるというのは間違いないらしいの」

真「それとお鍋を作るのに何の関係があるの?」

千早「おいしいご飯を食べさせれば元気が出るらしくて……高槻さんらしいわね」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1367229772

できれば前スレのURL貼ってほしい


真「お鍋はどこから出てきたの?」

千早「どうせなら作ろうと思って」

真「じゃあボクは材料を適当に持っていくよ」

千早「ありがとう、真。時間と場所はメールで送るわね」

真「分かったよ。また明日ね」

千早「ええ、おやすみなさい」

真「おやすみ、千早」

>>2
真・千早「お昼ごはんを作る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366801760/)


真「とりあえずある程度材料は買えた」

真「春香からお手製のクッキー生地も貰ったから、おやつとして作れるかな」

真「でも千早の言った集合場所ってどこなんだろ……随分遠かったし」

真「お肉とか大丈夫かな。一応保冷用の氷を保冷バッグに入れたけど」

真「あ、このあたりかな?」




       萩原陶芸工房



真「……」



千早「真、おはよう。遠くまで来てくれてありがとう」

真「おはよう。千早、お鍋を作るんだよね?」

千早「ええ」

真「ここってどう見ても陶芸するところだよね?」

千早「ええ、陶芸工房ね」

真「おかしいなぁ。昨日の話の流れだと料理をするものだと思ったんだけど」

千早「でも料理を作ったりご飯を食べたりするには器が必要でしょ?」

真「お皿ならボクが持ってくるよ……なんなら紙のお皿でも買えば」

千早「紙のお皿で大切な人を持て成すなんてできないわ」

千早「一生懸命作った鍋で作って一生懸命作ったお皿で食べてほしいの」

真「で、でも日持ちしない材料買ってきたし」

千早「入れる鍋がないと意味が無いわ」

真「千早……」

千早「真」

千早「鍋を作りましょう」


千早「今回、指導をしてくれるのは萩原陶芸工房の代表、萩原さんよ」

雪歩「よろしくお願いします」ぺこり

真「雪歩……」

雪歩「今日は真ちゃんと千早ちゃんにいっぱい教えるね」

真「雪歩がここの代表なの?」

雪歩「うん、真ちゃんのお手伝いができるなんて嬉しいな」

真「雪歩が陶芸できるなんて知らなかったよ」

雪歩「穴を掘った時に出た土で作ってるんだよ、萩原土って言うの」

雪歩「えっと……まずは土練りからです。これを練ってください」どーん

真「結構大きいね。うん……硬いなぁ」

千早「本当ね……うんっ……」ぐきっ

雪歩「よく練って硬さを均一にしてね」

真「ちょっとずつだけど柔らかくなってきたよ」

千早「体重をかけるのは辛いわね……」


雪歩「全体が万遍なく柔らかくなったら、次は菊練りです」

雪歩「土の中の空気を抜くために練ります」

雪歩「よいしょ……こういうふうに練っていきますぅ」ぷちっ

真「あ、練ったときの模様が菊みたいだから菊練りって言うんだね」

千早「萩原さんは菊練りが上手ね」

雪歩「わ、私なんてこんなことくらいしかできないひんそーでひんにゅーでちんちくりんですぅ」

千早「萩原さん……次言ったらあなたを菊練りするわよ」

雪歩「」


真「千早、雪歩を脅さないで」

千早「なぜか乱暴な言葉が出てしまったの」

雪歩「ふぇぇ」

真「喧嘩したらダメだよ。もししたら……」

千早「したら……?」

真「今日、春香に料理をするって伝えたらクッキー生地を貰ったんだ」

真「そのクッキー生地を……菊練りする」

千早「!?」

千早「萩原さん、ごめんなさい」


真「もし土の中に空気が入ってたらどうなるの?」

雪歩「ば、爆発して割れたりする原因になりますぅ」

真「結構怖いんだね……」

千早「私の春香への愛は常に爆発してるわ」

真「訊いてないよ……」

雪歩「私も真ちゃんのためなら爆発でもなんでもするよ」

真「今日のボクはアウェーだなぁ」


千早「この土にも一生懸命春香への気持ちを込めるわ」

千早「は・る・か!」

千早「は・る・か!」

千早「だ・い・す・き・は・る・か!」

千早「あ・い・し・て・る・は・る・か!」

真「雪歩、そこにある釜ってどのくらいの温度が出るの?」

雪歩「えっと大体1200度くらいだよ」

真「千早、戻ってこないと1200度の釜でクッキー焼くよ?」

千早「!!」


雪歩「もうこのくらいで練りは終わります」

真「随分と柔らかくなったよ」

千早「もう腕がくたくたね……」

雪歩「えっと……次の工程はろくろでの成形作業になります」

雪歩「まずは私からやるね」

真「おー」

千早「綺麗な手つきね」

真「あっという間に大体の形ができるんだね」

千早「力加減が難しそうね……」

真「入れすぎてぐしゃってならないように気をつけないと」


雪歩「形ができたので、ろくろを止めますぅ。あとはこの紐で土台から切り離せば完成になります」

千早「綺麗なお茶碗ね」

真「なんだかあっという間にできたなぁ」

雪歩「えへへ。次は真ちゃんの番だよ」

千早「真は何を作るのかしら?」

真「ボクも普通の器を作ってみるよ」

雪歩「ろくろ回すね」

真「わっ……泥の感触がちょっと気持ちいい」

雪歩「真ちゃん、形が崩れるからちゃんと集中してね」

千早「レッスンの時のように集中するのよ、真」

真「ボク自身は動けないんだけど」


真「うーん……なかなか形が安定しないなぁ」

雪歩「えへへ」ぎゅっ

真「雪歩ぉ、後ろから抱きつかないでよ」

雪歩「真ちゃん集中だよ?」

真「集中できないよ……」

雪歩「えへへ、でっかいピンチだね」

真「千早、雪歩をひっぺがしてー」

千早「はぁ、私も春香に後ろからぎゅってしたいわね」

真「もどってきてー」


真「なんとかできた」

雪歩「えへへ、真ちゃん上手だね」

千早「次は私ね」

真「千早は何を作るの?」

千早「もちろんお鍋よ。大きいけれど頑張るわ」

真「けっこう大変だから頑張って!」

雪歩「私は横からお手伝いしますね」

千早「ええ。なるべく大きなものを作りましょう」

真「じゃあその間にボクはお皿でも作っておくね」


雪歩「千早ちゃん、最近真ちゃんと仲いいね」

千早「そうかしら……料理を手伝ってもらってるのは確かだけど」

雪歩「えへへ、これで千早ちゃんも真ちゃんのファンだね」

千早「私は春香のファンよ……浮気なんてできないわ」

雪歩「好きな人は一人だけなんて決まりなんてないよ?」

千早「そ、そうなのかしら?」

雪歩「春香ちゃんは千早ちゃんにこんなに愛されて幸せだね」

雪歩「でも、春香ちゃんってプロデューサーととっても仲良しだよ?」

千早「……菊練り」ぼそっ

雪歩「ひっ」びくっ


千早「形はこれでいいわね」

雪歩「千早ちゃん、初めてなのにこんなに大きいの作るなんて……すごいね」

千早「それだけ春香への愛が強いということよ」

真「愛って便利だなぁ」

千早「最後に鍋底に『春香LOVE』と」

雪歩「食べにくくなったね」

真「洗いにくくなったね」


真「お皿も鍋もできたし、一通りは終わったのかな?」

千早「ええ」

真「まだ土が余ってるけど何か作る?」

雪歩「私、もう一つお茶碗作りますー」

千早「私は少し創作活動に取り掛かるわ」

真「創作活動?」


千早「……」こねこね

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千早「ζ*'ヮ')ζ<」こねこね

千早「ζ*'ヮ')ζ<うっうー」こねこね

千早「できたわね」



千早「……」こねこね

千早「の」こねこね

千早「の の」こねこね

千早「のヮの」こねこね

千早「完成ね」

真「胴体作ってあげなよ」

千早「適当に人型っぽく作りましょう……これでいいわね」

真「適当すぎるよ……」

千早「案外バランスよく立つものね」

のヮの<鍋の蓋を作れ、鍋の蓋を!

真、千早「!?」

千早「わ、忘れていたわ……」

のヮの<体をあとで作り直せ!


雪歩「お疲れさまですぅ」

真「もう作り忘れはないね」

千早「ええ。じゃあ次の工程に行きましょう」

雪歩「次の工程は乾燥になります。十分に乾燥したら焼きに入ります」

雪歩「乾燥したら素焼き、上薬をかけて本焼です」

千早「萩原さん、あとはお願いできるかしら?」

真「どのくらいで出来上がるの?」

雪歩「すぐにできあがるよ」

真「そうなの?乾燥とか、すごい時間かかりそうだけど」

※本当は乾燥だけで一週間かかります

雪歩「えへへ、萩原土はすごいんだよ!」

千早「萩原さん、できたら事務所に持ってきてくれるかしら?」

雪歩「頑張って綺麗に焼くね」


伊織「……ねぇ」

P「伊織か、お疲れ……やよいの具合はどうだ?」

伊織「全然良くならなくて……食事自体を体が受け付けなくなってるわ……」

伊織「やよい、一生懸命食べようとしてるんだけど……その度に……ぐすっ」

伊織「あんなに体震わせて……凄い怖い目にあったのよ、きっと……!」

P「ごめんな……伊織の家でやよいを世話してもらって」

伊織「あんたに謝られたって……あんたは何も悪くないん……でしょ?」

伊織「やよい……何にも理由言ってくれないのに……ずっとごめんなさいって……」

伊織「なんで……なんでこんなことに……ぐすっ」

伊織「どうしてやよいがこんな目にあわないといけないのよ……ぐすっ」

P「今日もお見舞いに行っていいか?」

伊織「ええ……」


水瀬邸

伊織「やよい、入るわね」

P「やよい……元気か?」

やよい「プロデューサー……」

P「やっぱり点滴は辛いか?」

やよい「はい……なんだかとっても大きな病気になってるみたいです」

P「大丈夫。大きな病気じゃない。少し体が驚いているだけなんだ」

やよい「私、伊織ちゃんが作ってくれたご飯、食べられませんでした」

やよい「あんなに一生懸命作ってくれたのに……私は悪い子です」

伊織「やよい、気にしなくていいの。今は無理しないで」

やよい「私、伊織ちゃん大好きなのに、ずっと泣かせてばかりです」

やよい「伊織ちゃん、私なんかのために泣かないで」

伊織「馬鹿なこと……言わないでよね。やよいのためなら私はなんだってするわ」

伊織「だから絶対に、やよいをまた元気にしてみせるわ」

やよい「伊織ちゃん……ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい……」


バタン!!


千早「待たせたわ!」

真 「お待たせ!」


P「千早、真……!」

伊織「騒がしくしないで……やよいがいるのよ?」

真「やよい、大丈夫?」

やよい「真さん……」

真「大丈夫。ボクたちがやよいを元気にしてみせるよ!」

千早「高槻さん、長い間待たせてごめんなさい」

やよい「ち、千早さん……」

真「ボクたちがやよいのために一生懸命作るよ!」


真「分かってたけど、やっぱり伊織の家のキッチンは想像以上に大きいね……」

千早「高槻さんがまた笑ってくれるようにご飯を作りましょう」

真「取り掛かるまでの過程が凄く長かったね、今回」

千早「萩原さんが最後まで仕上げてくれたお鍋とお皿はこれよ」

真「わっ、本当に形になってる」

千早「私もここまで綺麗に焼きあがるとは思って無かったわ……萩原さんは凄いわね」

真「これって雪歩が作ってたお茶碗だね」

千早「ええ。萩原さんから真へ渡して欲しいと言われたの」

真「雪歩に感謝しなくっちゃ」

千早「夫婦茶碗だそうよ。片方は萩原さんが持っていたわ」

真「ゆきほぉ……」

ζ*'ヮ')ζ<うっうー

のヮの<1200度で焼かれた

真「この二つもちゃんと焼けてるんだね」


のヮの<出汁


千早「今回は水炊きを作りましょう」

真「水炊きにした理由とかはあるの?」

千早「ええ。高槻さんはずっとまともな食事をしてないそうだから、胃に優しいものをと思ったわ」

千早「油が多いものは避けて、野菜や豆腐を主力にするわね」

真「今回の出汁は昆布と鰹節(高知県産)でいいかな?」

千早「ええ、お願いね」

真「昆布は小さめに切るね」

千早「出汁を取ったあとに食べれば栄養を無駄なく採れるわね」

真「鰹節(高知県産)はどうする?」

千早「醤油でもかければプロデューサーが食べてくれるわ」


ζ*'ヮ')ζ<うっうー


のヮの<具材投入


真「千早の方はどう?」

千早「白菜を一通り切り終えたわ」

真「鶏肉はどうしよう?」

千早「水瀬さんやプロデューサーもいることだし、入れましょう」

真「じゃあつみれにして入れるね」

千早「人参はお花の形にしようかしら……いえ、生ゴミの元ね。やめましょう」

真「大根切ったよ」

千早「ネギは斜めにざっくり切るわ」

真「えのきもついでに入れようかな」

千早「どうせだから海老も入れてみましょう」

真「糸こんにゃく」

千早「ゆでたまご」

真「ミズナ」

千早「かまぼこ」

真「じゃあ具材を敷き詰めて……と」

千早「水を入れるわね……ふきこぼれを考慮して7分目くらいにしましょう」

真「足りなくなった時に継ぎ足せるように予備の具も切っておくよ」


ζ*'ヮ')ζ<うっうー


のヮの<主食


真「あっ」

千早「大丈夫よ」

真「まだ何も言ってないよ?」

千早「今日はご飯ではなく、うどんを代わりにするわ」

真「時折、千早の勘のよさが怖くなるんだけど」

千早「真のことだもの」

真「え?」


ζ*'ヮ')ζ<うっうー


のヮの<しっかり噛む


真「そういえば、うどんって消化に悪いってイメージがあるんだけど」

千早「それは丸呑みしてるから……きちんと食べればいいはずよ」

真「最近貴音さんがラーメンじゃなくて、ずっとうどん食べてるよ」

千早「どのうどんが一番美味しいか調べて欲しいって私がお願いしたの」

真「そうなんだ」

千早「今のところで四条さんが一番美味しいと言ったうどんを今回使うわね」

真「讃岐うどんだね……でもこれって冷凍じゃないの?」

千早「冷凍なんだけど確かにこれが一番コシがあっておいしいわ」

千早「ただ、喉越しもいいから、きちんと噛んで食べないと消化に悪くなるわね」


ζ*'ヮ')ζ<うっうー


のヮの<もやし


千早「沸騰してきたわ」

真「灰汁も大分無くなったよ」

千早「豆腐を投入するわね」

真「うどんはどうしよう?」

千早「麺は最後ね。暖めてからすぐに食べないと食感が悪くなるわね」

真「そういえば、もやしは入れなくてよかったかな?」

千早「入れてすぐに食べたのなら良い食感なんだけど……」

真「時間が経つとふにゃふにゃになっちゃうかな」


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のヮの<調整


真「ちょっと味薄いかな?」

千早「そうね……少し薄いかもしれないわ」

真「だしの素を少し入れてもいい?」

千早「ええ」

真「じゃあ入れてと」ぱさぱさ

真「うーんと……これくらいならいいかな」

千早「最後にうどんを入れましょう」どぼーん


ζ*'ヮ')ζ<うっうー


のヮの<できた


真「あとは一煮立ちしたら完成だね」」

千早「私は先に食器を並べてきてもいいかしら?」

真「うん、じゃあ持っていくね」

千早「真……その……高槻さんは食べてくれるかしら?」

真「大丈夫!やよいもきっと元気になってくれるよ。千早と一緒に作ったんだから」

千早「そうね……真と一緒に作ったんだものね」


ζ*'ヮ')ζ<うっうー


のヮの<普通の四角テーブル


P「千早、今日は何を作ったんだ?」

千早「普通の水炊きです」

P「そうか。真と千早の料理は旨いから期待しないとな!」

千早「はい、美味しく作れたと思います」

伊織「……」


ζ*'ヮ')ζ<うっうー


伊織「…………ょ」ぼそっ

千早「水瀬さん、何か言ったかしら……?」

伊織「なにやってんのよ……」

千早「えっ」

伊織「今のやよいを見たら分かるでしょ」

伊織「やよいは今何も食べられなくて苦しんでるのよ?」

伊織「なのに、目の前で食べようとするなんて、何かの当てつけなの?」

伊織「真と二人で突然押しかけてきたと思ったらこんなことをして、どういうこと?」

やよい「伊織ちゃん、やめて!」

伊織「やよいは黙ってて。千早、あんたもやよいのこと好きなんでしょ?」

千早「ええ、大好きよ」

伊織「だったら何でこんなことするのよ」

千早「高槻さんが好きだからに決まってるわ」


千早「私は高槻さんが好きよ。だから元気になってもらうために作ったわ」

千早「高槻さんがどうしてこうなったのかは分からない」

千早「何も食べられなくなるくらいだから、とても辛いことだったと思うわ」

千早「でも元気になってもらうからには食べるしかないと思ったの」

千早「水瀬さんが反対しても、高槻さんには無理にでも食べてもらうわ」

千早「高槻さんが元気になるのなら、私は水瀬さん……高槻さん……いいえ、春香に嫌われても構わないわ」

伊織「!!」

千早「私は春香からいっぱい勇気を貰ったわ。だから私も高槻さんに勇気をあげたいの」

千早「だから高槻さん、私を食べて!」

P「(良いこと言ってるけど全部千早が原因なんだよなぁ)」


真「お待たせしましたーって、千早、やよいの口に何指突っ込もうとしてるの?」

やよい「ひはひゃはーん」

千早「高槻さんに食べてもらおうと思って」

真「なにを?」

千早「私を」

真「何を食べさせようとしてるのか訊いてるんだけど」

千早「高槻さんに私を食べてもらおうと思って」

真「言ってる意味がわかんないよ……プロデューサーも止めてくださいよ!」

P「いや、真剣なのか遊んでるのか判断付かなくてな」

真「いつものことじゃないですか!」

千早「私は真にそんな風に思われていたのね……」


千早「真に怒られたから別の方法にするわ」

千早「高槻さん、目を閉じてくれる?」

やよい「はい……」

千早「高槻さんの大切な人を思い浮かべて」

やよい「はい……」

千早「それって誰かしら?」

やよい「伊織ちゃんです」

伊織「やよい……」


千早「その水瀬さんはどんな顔をしてるかしら?」

やよい「伊織ちゃん、泣いてます」

千早「じゃあ水瀬さんの笑ってる顔は思い出せる?」

やよい「……」

千早「私は悲しいことがあったら春香の笑顔を思い出してるの」

千早「どう?思い出せた?」

やよい「まだ、です……」

千早「それはきっと、高槻さんがこうなってから水瀬さんが笑ってないからよ」

やよい「伊織ちゃんは悪くないです!」

千早「元気にする側の人が悲しんでたら、どうやっても相手を元気にできないものよ」

真「……伊織」

伊織「わ、分かってるわよ!」


伊織「やよい、目を開けてくれるかしら」

やよい「うん……やっぱり伊織ちゃん泣いてます」

伊織「私は今、やよいの笑顔を思い出してるの」

伊織「私にはできて、やよいにはできないなんて、不公平よね」

伊織「いい?ちゃんと私の顔を見て」

伊織「もう絶対にぜっーーったいに、私の笑顔を忘れたなんて言わせないんだから…」

伊織「……今から言うことも絶対に忘れちゃダメなんだから」

伊織「あ、あと、これは泣いてるんじゃないんだから……!」



伊織「やよい、私はずっとずっとやよいのことが……だーーいすき!!」


やよい「伊織ちゃん……ごめんなさい、ごめんなさい」

やよい「私、ずっと伊織ちゃんに酷いことしてました」

やよい「私も伊織ちゃんを悲しませてたんです」

やよい「ずっと落ち込んでばかりで、笑うのを忘れてました」

やよい「伊織ちゃん……だからだから……私もいっぱいいっぱい笑うね!」

伊織「そうよ……やよいはずっとそうやって笑ってないと許さないんだから!」

P「……真、千早、鍋が少し冷えてしまったみたいだ」

真「そうですね」

千早「ええ、暖めなおさないといけないわね」

P「うんっと熱くしてくれ」


真「やよい、白菜でいい?」

やよい「はい、ありがとうございます」

伊織「やよい、何度も言うけど絶対に無理はダメよ」

やよい「伊織ちゃん、手握ってもらってもいい?」

伊織「もちろんよ」ぎゅっ

やよい「いただきます!」

P「……」

千早「……」

真「……」

伊織「……」

やよい「……ぐすっ」

伊織「やよい?」

やよい「おいしいです……とっても……おいしいです」

やよい「千早さん、真さん、とっっても、おいしいです!」

やよい「とってもおいしいのに、何だか涙がでちゃいます」

真「ゆっくり食べてくれていいからね、まだまだいっぱい準備してるから」

千早「水瀬さん、プロデューサーも食べましょう」

P「ああ、そうだな。じゃあ遠慮なくいただこうか」

伊織「まったく、やよいのせいでせっかくのお鍋がしょっぱくなっちゃうじゃない……ぐすっ」


P「それじゃあこのあたりでお暇するよ」

P「やよい、まだ病み上がりなんだから無理はするな」

やよい「はい、伊織ちゃんと一緒だから大丈夫です!」

P「伊織、すまないけど今日もやよいのこと頼むな」

伊織「ええ、やよいにはもっと元気になってもらわないと困るんだから……にひひっ」

P「まったく……泣いてぐしゃぐしゃになった笑顔なんて、ファンには見せられんな」

やよい「千早さん、真さん。今日はどうもありがとうございました!」

千早「高槻さんが元気になってくれて嬉しいわ」

真「まだ万全じゃないから気をつけて。みんなやよいの元気な姿を見たがってるから早く治してね」

やよい「はい、分かりました!」


P「二人とも、今日はありがとう。やっとやよいの元気な姿を見れたよ」

千早「高槻さんがいない事務所なんていても楽しくありませんから」

真「春香はいなくてもいいの?」

千早「春香は、いてくれると幸せになるのよ」

P「千早は相変わらずだな」

真「プロデューサー、ボクたちはここで。お疲れ様でした!」

千早「送っていただいてありがとうごさいます。お疲れ様でした」

P「じゃあまた明日。何度も言うけど、今日は本当にありがとう」

真「いつだってプロデューサーの力になりますから!」

千早「プロデューサーにはまだ頑張ってもらわないといけませんから」

P「はは、千早は手厳しいな。もっと仕事頑張るよ」

千早「そうではありません」

P「ん?」

千早「プロデューサーは、目を閉じると誰が見えますか?」

P「え?」

千早「おつかれさまでした」

P「お、おつかれさま」


真「やよいが元気になってよかったね!」

千早「ええ。やっぱり高槻さんには笑顔が一番ね」

真「うん。頑張って作ったかいがあったよ!」

千早「今日も一緒に作ってくれてありがとう」

真「ボクの方こそありがとう、千早」

千早「ええ……」

真「……」

千早「……」

真「千早」

千早「なにかしら?」

真「手を……」

真「手をつないでもいい?」

千早「……ええ」

真「……」

千早「真」

真「なに?」

千早「もう少し強く……握ってもいいかしら?」

真「……いいよ」



P「やよいが元気になってよかった……二人には当分頭が上がらないな」

P「まさかあのクッキーからこんなことになるなんてな」

P「……大半は千早のせいではあるんだが」

P「……」

P「最初に思い浮かべた人、か」

P「……」

P「勇気の一つくらい、出してみるか」

P「……」

P「まだ起きてるといいが」ピッ

P「もしもし、俺だけど……今、大丈夫か?」

春香「プロデューサーさん、こんな時間にどうしたんですか?」



P「やよいが元気になった」

春香「ほ、本当ですか!」

P「ああ。千早と真の料理……鍋だったが、食べてくれたよ」

P「すぐには無理だが、仕事にもちゃんと復帰できそうだ」

春香「よかった……千早ちゃんと真にお礼言わないといけませんね!」

P「伊織はずっと泣いてたよ。笑ってもいたけどな」

春香「伊織が一番心配してましたから……でも本当に良かったです」

春香「みんなにはもう伝えたんですか?」

P「いや、まだだけど」

春香「すぐにみんなにメールしますね!」

P「春香、その前にいいか?」

春香「はい?」



P「明日、少し早めに出てこれるか?」

春香「いいですけど……急なお仕事でも入ったんですか?」

P「仕事は関係ないんだ。ただ、俺の春香への気持ちを伝えたい」

春香「えっえっえっ……え!?」

P「じゃあみんなへの連絡と……明日、よろしくな」

春香「え、あ、は、はいー」つーつーつー

春香「……」

春香「……」

春香「え、えと……ど、どういう……いい、今から寝ないと……」

春香「……」

春香「……」

春香「……」

春香「ね、寝れるわけないじゃないですか!プロデューサーさんのばか!!」じたばた




 のヮの /
    < お わ り
ζ*'ヮ')ζ\



以上になります。

鍋作りは水曜どうでしょうからのモロパクリです。すいません。
シリアスな展開に挑戦しましたが……やっぱりダメでした。
あと一話だけ書こうと思いますので、よろしければまた読んでいただければと思います。

御清覧、ありがとうございました。

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