苗木「女の子は嫌いだよ。欲情した猿と同じだからね」 (233)

苗木誠、高校1年生。

彼は超高校級の幸運……ではなく。

超高校級の色男……いや、そんな言葉で片付けられる程、この才能は安っぽくはない。

ありとあらゆる女性は彼の瞳を見ただけで卒倒し、理性を無くす。

必然的に彼は自らの姿を覆い隠すしかなかった。そうしなければ生きていけなかったから。

そして、超高校級の才能の持ち主として、最後の望みを託してこの私立希望ヶ峰学園へと入学したのだが……。



石丸「君ぃ!! 8時集合と知らされてあったはずだろう!!! 遅刻とはけしからんじゃないか!!!」

江ノ島「はぁ!? 何言ってんの? こんな訳のわからない状況で遅刻も何もないじゃん」

不二咲「あの……君も教室で目を覚ましたの?」

???「……」コクリ

不二咲「?」

モノクマ「あーあー、マイクテスト、マイクテスト」

モノクマ「えー、新入生の皆さん。今から入学式を執り行いたいと思います」

――

十神「つまり、ここから脱出するためには誰か殺せという事か……ふんっ、中々面白い余興だな」

朝日奈「余興って……まさか、本当にあんな奴のいいなりになるつもりなの!?」

十神「他に出る案があるなら言ってみろ。まさか、死ぬまでここで生活つもりか?」

朝日奈「っっ。そ、それは……」

セレス「まぁまぁ。初っ端から喧嘩しててもモノクマの思う壺ですわよ。乗るにしても乗らないにしても」

不二咲「そ、そうだよぉ。皆喧嘩しないで、仲良くしよ? ね?」

大神「2人の言う通りだな。我々が争うのは害でしかない」

石丸「全く異論無し!! 皆で手を取り合って脱出する方法を考えようではないか!!」

桑田「だからぁ~、その脱出する方法が無いからいがみ合ってんじゃねーか!! アホかお前は!」

石丸「あ! アホとは失礼なっ! アホって言う方がアホなんだぞ! 桑田君!!」

桑田「小学生か!」

舞園「皆さん落ち着いて下さい。取りあえず場所を変えませんか? 立ち話もなんですから」

セレス「そうですわね。談話スペースくらいはあるでしょうから、そこで色々話しましょうか」

――

食堂

不二咲「不二咲千尋だよ。一応、超高校級のプログラマーだから、PC関係の事なら何でも言ってね」

セレス「はい。不二咲さんも終わって、後2人ですか」

霧切「……」スッ

霧切「霧切響子……よろしく」

セレス「終わりですか?」

霧切「えぇ。今はこれ以上言う事はないわ」

セレス「……もう少し協調性を見せてもらいたかったものですわね」

霧切「善処するわ」

セレス「……まぁ、いいでしょう。それでは、最後の方、自己紹介をお願いします」

苗木「……苗木誠」ボソッ

桑田「おいおい、何言ってるか聞こえねーって。もう少しでかい声で言ってくれよ」

桑田「それによ、何で姿隠してんだよ。これから一緒に過ごすんだから顔くらい見せてくれよな」

朝日奈「桑田! あんた少しは察しなさいよね!」

桑田「はぁ? 何で俺が責めらてんだよ。悪いのはあいつだろ?」

大神「桑田よ。誰にでもコンプレックスというものがあるだろう。それを追求するのは悪ではないのか?」

桑田「あっ……わ、悪い……」

桑田「で、でもよ。名前だけは聞かせてくれよ。でないと呼ぶときに困っちまうだろ?」

葉隠「うんうん。一理あるっぺ」

大神「それもそうだな……。すまぬが、差し支えなければお主の名前を教えてくれんか?」

苗木「……苗木」

苗木「……苗木誠」

舞園「苗木……誠?」

朝日奈「?……舞園ちゃん? どうしたの?」

舞園「いえ……どこかで聞いたことあるような気がして……」

――

モニター室

江ノ島「流石は苗木君。開始早々やってくれるねぇ」

江ノ島「記憶消してもこれじゃ時間の問題かな? いや、覚えてなくてもいつかはバレるか」

江ノ島「最初に被害に会うのは舞園か朝日奈かセレスか……」

江ノ島「お姉ちゃんを当ててみるのも悪くないかな……」

江ノ島「阿鼻叫喚の図を見る日も遠くないかもね。うぷぷぷぷ」

―― 

食堂

苗木「……」

十神「隣、座るぞ」

苗木「……うん」

十神「まどろっこしい話はしない。時間の無駄だからな」

十神「単刀直入に聞くが、その姿はコンプレックスのためか?」

十神「コンプレックスだけで、そこまで隠す必要性は無い。これは合理的に考えた話だが」

十神「お前はもっと重大な何かを隠しているんじゃないのか?」

苗木「……コンプレックスでは無いよ。怪我も障害も無い。普通の体さ」

十神「なら」

朝日奈「あれー? 十神と苗木じゃん! 御飯食べてるなら私も混ぜてー!」

苗木「……ごめん。僕、もう行くよ」スタスタ

十神「……チッ」

朝日奈「あ、あれ? 私なんかしちゃった?」

苗木(……いくら超高校級だからって関係ないよ。これは全く別物なんだから)

霧切「…・・・」

苗木(あっ……確か……霧切さんだったっけ……)

霧切「…・・・待ちなさい」

苗木「……」スタスタ

霧切「待ちなさいと言ってるの」ガシッ

苗木「!? 触るなっ!!」バシッ

霧切「っっ」

苗木「……ごめんなさい」スタスタ

霧切「……」

苗木(皆は脱出するって意気込んでるけど、僕はここでいいや)

苗木(食べ物も寝る所もあるし)

苗木「それに……外の世界に出たって何一ついい事なんてないし)

苗木(……あの女の子達には悪い事しているのかもしれないけど……僕に関わるよりかはずっと良い)

ピンポーン

苗木「? 誰だろう……」

苗木(扉は……開けない方がいいか)

苗木「はい」

セレス「よろしければ、扉を開けてもらえません?」

苗木「……話すだけならこのままでもいいと思うけど」

セレス「うふふ。それならこのまま話しましょうか」

セレス「他意はありません。親交を深めるべく、御一緒に食事しませんか?」

苗木「ごめん……さっき食べたばっかりだから」

セレス「あらあら、なら、また今度という事で」

苗木「……はぁ」

コンコン

葉隠「おーい! 苗木っちー!」

苗木「葉隠君?」

ガチャ

苗木「どうしたの?」

葉隠「正体不明の苗木っちと仲良くしようと思ってな。思わず部屋に来たってわけだべ」

苗木「そう……」

葉隠「入ってもいいか?」

苗木「……うん。どうぞ」

葉隠「おっ! さっすが苗木っち。太っ腹だべな」

葉隠「お礼にただで占ってやるべ。俺の占いは3割当たるからな」

苗木「……有難う」

葉隠「さて、どんな事を占ってほしい?」

苗木「それなら……僕と皆の今後について占ってくれないかな」

葉隠「俺達と苗木っちの今後についてか……分かった。やってみるっべ!」

葉隠「うーん…………見えたっべ! 苗木っちは1人ぼっちになる……う?」

苗木「……」

葉隠「ちょ! ちょっと待つっべ! 俺の占いは3割当たるけど、7割は外れる! 外れる確率の方が高いっべ!」

苗木「……ううん。気にしないで」

苗木「多分、それが一番いいから」

葉隠「べ?」

苗木「ごめん、葉隠君。ちょっと眠くなってきちゃったから1人にしてくれる?」

葉隠「お、おう。すぐ出て行くっべ」スタスタ

バタン

苗木「1人ぼっちか……」

セレス「どうでした? 苗木君とは」

葉隠「おう。相変わらず姿は見せてくれなかったけど、部屋には入れてもらえたっべ」

セレス「そうですか……で、他には?」

葉隠「他には……俺が占いで苗木は今後1人になるって伝えたら嬉しがってたべ」

セレス「ふむ、1人の方がいい……」

セレス「分かりました。ご協力有難うございます」

葉隠「おう。仲間の頼みだっべな。何かあったら言ってくれや」

セレス「うふふ。はい、何かあればお願いします」

セレス「……苗木君」

セレス「……うふふ」

――

深夜

「なーえーぎくーん!」

ドンドン

苗木「……誰?」

モノクマ「もー! 学園長の声を忘れちゃったの!? ぷんぷん!」

苗木「……モノクマ?」

モノクマ「そうです、モノクマです。正解した苗木君には僕とお喋りする権利を差し上げましょう」

苗木「いいよ。他を当たって」

モノクマ「鈍感! 苗木君とお喋りしたいから来たの! これ以上言わせないでよっ!」

苗木「……話って何?」

モノクマ「取りあえず、ここを開けてよ。こんな扉越しじゃ話すのも話せないしさ」

モノクマ「ね? 僕、『機械』なんだし」

苗木「……分かった」

モノクマ「うぷぷぷ」

――

苗木「それで? 何を話す事があるの?」

モノクマ「冷たいなぁ、苗木君は。そんなんじゃ女の子にもてないぞ?」

苗木「……」

モノクマ「あっ。そうだったね。苗木君はそんなめんどくさい過程なんか省いても一発で落とせるもんね。うぷぷぷぷ」

苗木「……くだらない話なら出て行ってほしいんだけど」

モノクマ「くだらない話かな? 君の持っている物は超高校級なんかじゃ済まされない能力だよ?」

モノクマ「モノクマ越しに見てる今だって理性が吹き飛びそうだからね」

苗木「……君、女の子なの?」

モノクマ「さぁーって、どうでしょう。でも、もし、僕が女なら苗木君は君達の強力なカードになるかもしれないね」

モノクマ「諸刃のカードだけど。うぷぷぷぷぷ」

苗木「……興味無いよ」

モノクマ「うーむ、じゃ、ヒントをあげるよ。それも特大の大ヒント」

モノクマ「僕の事をよく知ってる内通者が君達の中にいます」

モノクマ「その子をうまく操る事ができれば、僕の所に来る事ができるかもしれない。でも、見誤ったり、時間を掛け過ぎると……どうなるか分かるよね?
      苗木君ならさ……。まぁ、どうするもこうするも君の勝手だけど。うぷぷぷぷ」

ドンドン

石丸「苗木君。居るかい?」

苗木「何?」

石丸「うむ。扉越しでいいから聞いてくれ」

苗木「……うん」

石丸「苗木君には苗木君なりの事情があるのだろう。姿を隠していても、喋らなくてもいい」

石丸「食事の時ぐらいは皆で一緒に過ごさないか? 僕はこんな生活だからこそ、皆とコミュニケーションを取る必要があると思うのだ」

石丸「だから、気が向いた時でいいから、顔を出してくれないか?」

苗木「……」

苗木「……分かったよ。でも、1つお願いがあるんだ」

石丸「おぉ! それでこそ仲間だよ! で、頼みとは何かな? 僕にできる事なら何でも言ってくれたまえ」

苗木「うん。食事の時、僕の席は一番端で、なおかつ、僕の隣には石丸君が座ってくれると助かる……いや、絶対に隣にいてほしい」

石丸「それぐらいならお安い御用だが……何か理由があるのかい?……いや、詮索はやめておこう。それで苗木君が来てくれるというならば」

苗木「……ごめん。有難う」

――

食堂

葉隠「おぉ! 苗木っち!」

セレス「あらあら、珍しい事があるものですね」

舞園「苗木君……」

石丸「皆、聞いてくれ。苗木君に思う事も色々あると思う。だが、そこは言及してやらないでほしい」

石丸「たとえ言葉を交わさなくても、皆で居る事が大事だと思うのだ」

朝日奈「うん! 一緒に居るだけで十分だよ!」

大神「うむ。皆で集まる事が重要なのだ」

霧切「……」

――

大和田「しっかしよぉ」

山田「どうしたのですかな? 大和田殿」

大和田「いくらなんでも行動範囲が狭すぎねぇか? 例えずっと生活するにしても気が狂っちまうぜ」

十神「ふん。まぁ、粗方の予想はつく」

大和田「あぁ? どういう事だよ」

十神「人が死ぬたびにシャッターが開く仕組みなのだろう。1人死ねば2階のシャッターが開くという風にな」

モノクマ「ピンポーン! 流石は十神財閥の御曹司、感が鋭いねぇ」

大和田「はぁ!? そんな事できるわけねぇだろ! さっさとあけやがれ!」

モノクマ「ヤンキーはこれだから……なんでも自分の思い通りに行くと思ってるの?」

大和田「てめぇ!」

霧切「やめなさい。初日の事を忘れたの?」

大和田「ぐっ!」

モノクマ「でもまぁ……僕にも良心があるし、シャッターを……それも全ての階ののシャッターを開くもう一つの手段を教えてあげようかな」

モノクマ「それも、誰も殺さず傷つけず、すぐにできるとっても簡単な手段を。うぷぷぷぷぷ」

大和田「チッ、あるなら早く教えやがれ」

モノクマ「びっくりするぐらい簡単だよ」

モノクマ「それはね?」

モノクマ「あそこに居る苗木君の素顔を見る事さ!」

苗木「!?」

大和田「……本当にそれだけか?」

モノクマ「うん。ただし、全員が確認する事が必須だけどね」

山田「それは……確かに……簡単な方法ですなぁ」

モノクマ「言ったでしょ? 学園長は嘘をつきません!」

腐川「そ、それならさっさと見せなさいよ! あ、あんただって窮屈でしょ!」

十神「……やめておけ」

腐川「びゃ、白夜様!」

山田「十神殿。苗木君が姿を隠しているのには何かコンプレックスがあるのでしょうが、そんな物はこんな状況に比べれば塵芥」

山田「確かに本人も辛いでしょうが、ずっと晒すわけでもないのですし……」

十神「そうじゃない。モノクマの言ったことから考えてみろ」

十神「モノクマは人が死ぬ度にシャッターを開けると言った。全てのシャッターを開けるためには数人死ぬ必要がある」

十神「つまり、苗木の素顔を見るのには数人分の命と引き換えにしなければいけない何かがあるという事だ」

十神「こうも頑なに俺達と接触しない苗木の態度から見てもそう考えるのが妥当だろう……それがどんな物かは分からんがな」

山田「そ、そんな事が……」

モノクマ「うぷぷぷ。折角の人の好意を無駄にして。まっ、するしないは君達の自由だし、頑張ってねー」タッタッタ

十神「……フン」

山田「……」

セレス「うふふ」

朝日奈「あ……べ、別にいいじゃん! 1階だけでも十分に広いしさ!」

舞園「そうですよ! 取り立てて騒ぐ程の問題でもありません!」

江ノ島「……」

霧切「……いいえ。ここで終わらせてはいけないわ」

朝日奈「霧切ちゃん?」

霧切「苗木君。あなたは何者なの?」

苗木「……」

石丸「き、霧切君! 無理に詮索するのはやめろと最初に言ったはずだよ!」

霧切「そうね。あれはただのモノクマの遊びかもしれない。けれど、私は昨日の夜、苗木君の部屋にモノクマが入っていくのを見たのよ」

石丸「なっ!」

霧切「答えて。あなたは私達の味方? それとも敵?」

苗木「……僕は」

朝日奈「す、ストーップ! ストップ!」

朝日奈「こんな亀裂が入るような問答はやめようよ。それこそ、モノクマの思う壺じゃん!」

朝日奈「ね? 霧切ちゃんもきっと疲れてるんだよ。こんな時はドーナツを食べれば元気出るから!」

霧切「……そうね。私もこんな所に閉じ込められて苛立っていたのかもしれないわ。苗木君、ごめんなさい」

苗木「……いいよ。君は間違っていないだろうから」

セレス「すっかりお茶がまずくなってしまいましたわね。今日はもう解散といたしましょう」

葉隠「だ、だべな! 俺も部屋に戻ってやることあるし」

十神「そういう事なら俺も戻るぞ」

山田「わ、私も同人誌の続きを書くとしますかな」

大和田「……俺も戻るわ」

苗木「……」

江ノ島(……苗木……誠)

支援

はよはよん

――

コンコン

苗木「はい」

霧切「私よ。霧切」

苗木「何か用?」

霧切「いえ……さっきの事、ちゃんと謝っておこうと思って」

苗木「別にいいよ。君のやった事は正しい。何も間違ってないから」

霧切「……あなたは本当にモノクマの仲間では無いのよね?」

苗木「違う……敵じゃないよ……味方とも言いづらいけど……」

霧切「……そう」

苗木「……僕も君に言っておきたい事があるんだ」

霧切「何かしら?」

苗木「僕を怪しむ気持ちは十分分かる。君は特に好奇心旺盛なようだし気になるんでしょ?」

霧切「……否定はできないわ」

苗木「でも、君のために言っておくよ」

苗木「二度と僕の事を調べようとしないで。関わろうともしないで。お願い」

霧切「……それは、個人的な感情?」

苗木「いいや。好きとか嫌いの話じゃない」

霧切「……」

苗木「都合のいいようだけど、信じてほしい。君と僕、皆のためにも」

霧切「……善処するわ」

スタスタスタ

苗木「でも、このままだといつかは……」

――

食堂

桑田「苗木のヤロー。今日もご丁寧に顔隠してやがんぜ」

桑田「特別な人間にでもなったつもりかよ」ボソボソ

山田「……あまり気分がいいものではないですな」

桑田「だろー? お前から何か言ってやってくれよ」

山田「い、いえ! 私はそんな……」

大和田「おい、お前ら女々しすぎんぞ。駄目な時は男らしく諦めろ」

十神「同意だな。一見簡単そうに見える道こそ罠と思うべきだ」

桑田「け、けどよぉ……」

大和田「しつけーぞてめー」

不二咲「け、喧嘩は駄目だよぉ」

朝日奈「な、何か空気重いね……」

大神「まぁ、2,3日もすれば元に戻ろう」

セレス「最近の霧切さんはこうして規則正しく集まっているみたいですが……もう調査の方はおしまいですか?」

霧切「えぇ。元々、そんなに行ける所もなかったから、一段落といったところね」

セレス「そうですか。舞園さんはどうでしょう? 何か変わった事は」

舞園「いえ……私の方は特に……ただ、やっぱり精神的に来ますよね……」

セレス「それも致し方ありません。こんな事に巻き込まれて平常を保つ方が難しいですから」

セレス「こんな事をいうのは酷かもしれませんが、感情的な行動は絶対に避けてください。どんな時でも落ち着いて、冷静になって」

セレス「変化に対応できる者こそが時代を生き抜いてきたんですから」

舞園「あはは……そうですね……」

霧切(……舞園さんは強がってはいるけど、心労がたたって憔悴してきてる)

霧切(……男性陣の1部も苗木君に不信感を募らせてるし)

霧切(……苗木君はああ言ったけど……結局いつかは……)

苗木「……」

――

深夜 

食堂

苗木「モノクマ」

モノクマ「はいはーい。呼ばれて飛び出てジャジャンジャーンってね。うぷぷぷ」

苗木「頼みがあるんだ」

モノクマ「何々? シャッターを開けてとかなら却下だけど」

苗木「何でだよ! 出口に通じる所以外なら問題ないだろ!?」

苗木「皆もう限界なんだ! 学校のあらゆる所に行くことができれば閉塞感はなくなるし、少なくともいがみ合ったりすることはなくなる。頼むよ!」

モノクマ「はぁ……あのねー? 苗木君。これはゲームなの。そりゃ、苗木君はチート能力持ってるけどさ、それとこれとは話が別。これは君達と僕とのゲーム」

モノクマ「外に出たい人は誰かを殺せばいいし、別の所に行きたいのなら誰かが殺されるのを待てばいい。でも、そんな物騒な手段を使わずとも苗木君が素顔を見せれば良い話じゃないか」

苗木「……僕だけが被害に合うのならいい。でも、僕のこれは!」

モノクマ「知ってる。でないと駆け引きとして使えないもの。でも、これはゲームだから。それに、負けそうになったからって僕はインチキなんかしない。素直に負けを認めるよ。
      でないと面白くないからね。ほら、君たちにも幾分かの希望があるじゃないか。内通者だっているし、その子は喉から手がでるほどの情報を持ってるよ?
      その子を見つけ出して、顔を見れば一発だ。何、その子は悪者なんだ。君が背負う必要はない。だって、そうしないと皆助からないんだからね。うぷぷぷぷ」

モノクマ「それにさ、苗木君は興味ないんじゃなかったっけ? だったら、誰がどうなろうがどーでもいいじゃない」

苗木「……そうだよ。どうでもいいよ」

苗木「でも、それは僕だけの話だ! 他の皆は関係ない!」

モノクマ「あらら、正義感がお強い事で」

モノクマ「でも、駄目なものはだーめ。よく考えてみなよ。情に流されるような人間がこんなイカれたゲーム、するわけないでしょ?」

モノクマ「残念だったねー」

苗木「……そう……それなら」

モノクマ「何々? 怒っちゃったの? うぷぷぷぷ」

苗木「……やるだけの事はやってみるよ」

パサッ

モノクマ「あれあれ? 誰か来るかもしれないのに、顔を出して大丈夫なの?」

苗木「……だから、この時間を狙ってきたんだよ」

モノクマ「ふーん。午前3時なら誰も来ないと……でもいいの? かっこつけて豪語するのはいいけど、後ろを確認しないと」

モノクマ「諺にもあるでしょ? 人間万事塞翁が馬って。ちょっと違うけど。うぷぷぷ」

「苗木……君?」

「何してるの?」

苗木「くっ!」

モノクマ「はーい。御丁寧に扱ってる布はこっちでーす」

苗木「返せ! モノクマ!」

モノクマ「えー? どうしよっかなー?」

「モノクマも居るの?」

モノクマ「早くこっちに来なよー。今なら苗木君の顔が見放題だよー」

「えっ? 本当?」

苗木「駄目だ! こっちに来ちゃ!」

モノクマ「早く早くー。今だけだよー」

苗木「くっ! モノクマ! それを早くこっちに渡せ!」ガシッ

モノクマ「あっ! あーあ、取られちゃった……うぷぷ」

「……苗木君ってそんな顔してたんだ」

苗木「え?」

モノクマ「遅かったみたいだけど」

不二咲「えへへ。僕がお初かな?」

モノクマ「なーんだ。不二咲君か。残念」

苗木「ど、どうして……」

不二咲「カッコいい顔してると思うけどなぁ……まぁ、色々事情があるなら仕方ないけど……」

苗木「ぼ、僕の顔を見ても何ともないの……?」

不二咲「……? えっと、何か合った方が良かった?」

モノクマ「もう! 皆不良なんだから! 不二咲君も、こんな夜中に出歩いてると背が伸びないぞ!」

不二咲「えへへ。ちょっと小腹が空いちゃって……」

苗木「……君? え、えっと……不二咲さんって……もしかして」

モノクマ「うん。男だよ」

苗木「……男」ヘナヘナ

不二咲「ご、ごめんね? 騙すつもりはなかったんだけど……その、中々言いだせなくて……」

――

苗木の部屋

不二咲「どうして、また、顔を隠してるの?」

モノクマ「そうだ! マナー違反だよ! 苗木君!」

苗木「……何でモノクマが居るのさ」

モノクマ「だって、色々気になるじゃん。色々とさ」

苗木「……本気で見るよ」

モノクマ「いやん! 怖いよー! 不二咲君!」

不二咲「?」

苗木「はぁ……不二咲さん。丁度いい機会だから、君には言っておこうと思う」

不二咲「僕に何か言ってくれるの?」

苗木「うん。どうして僕が顔を隠していたか、皆を避けていたかを」

苗木「……本当はずっと隠しておきたかったんだけど……そうも言ってられない状況になってきちゃったから……」

不二咲「苗木君……」

不二咲「僕! すっごく嬉しい! 苗木君が僕に打ち明けてくれて!」ギュ

モノクマ「うわー。男同士で手を握ってるー。女子に言いふらしてやろー」

苗木「……モノクマ」

モノクマ「冗談じゃないか! もう! 苗木君は何でも本気にするんだから!」

不二咲「それで? どうして顔を隠してるの?」

苗木「うん。これは僕の才能……って言っていいのか分からないけど……」

モノクマ「才能どころの騒ぎじゃないもんねー」

苗木「単刀直入に言うよ。不二咲さん」

不二咲「う、うん」

苗木「僕の顔を見た女の子は皆僕に惚れてしまうんだ」

不二咲「…………うーんと」

モノクマ「冗談だよ! 冗談! こんな話があるわけないもの!」

苗木「聞いて、不二咲さん。これは冗談でも笑い話でも何でもない。全部本当の話だから」

不二咲「う、うん。でも」

モノクマ「惚れるぐらいだったら問題ないよね? 惚れるだけだったら」

不二咲「僕もそう思うけど……」

モノクマ「ていうか、不二咲さん。内心で『こいつナルシストすぎて引くわ』って思ってるよ絶対。うぷぷぷぷ」

不二咲「お、思ってないよ!」

苗木「……不二咲さん。例えば、100人が100人、カッコいいと思う顔の人がいたとしよう」

不二咲「100人……うん」

苗木「皆その人の事をカッコいいとは思うけど、皆その人に惚れると思う?」

不二咲「う、うーん……多分、惚れないんじゃないかな……」

苗木「そして、漫画みたいにその人を見ただけで気絶したり、理性を無くして襲いかかる事なんてあると思う?」

不二咲「……ない……と思う」

苗木「だよね。でも、それだけならあの時顔を見せる事を拒まなかったよ」

苗木「幸い、ここには頼りになる男性も一杯いるし。まぁ、大神さんは止められないかもしれないけど」

不二咲「えっ? まだ何かあるの?」

苗木「……うん」

苗木「……僕を顔を見てしまった人は皆」



苗木「僕の奴隷になるんだ」

不二咲「ど……れい? って、どういう事なの?」

苗木「正確には僕を襲って性行為を交わした人達」

不二咲「性行為……ってええええぇぇぇ!!!」

モノクマ「うぷぷぷ。不二咲君は純情だなぁ」

苗木「急に襲われたら対処できないからね、僕は体も小さいし、力も弱いし。やられるがままだよ」

不二咲「そ、それで、どうなったの?」

モノクマ「うわー。不二咲君。思春期の中学生みたいだねぇ。エロに興味津々のさ」

不二咲「ち、ちがうもん!」

苗木「それでも僕が辛いだけならいい。相手も女性だしね」

苗木「でも、問題は奴隷になった人達。だって、魂が抜けたように僕に使えるんだから」

苗木「逃げても追いかけてくるし、放っておいてもそのまま」

苗木「だから、僕は言ったんだ。『奴隷を止めてください!」って……するとどうなったと思う?」

不二咲「ど、どうなったの?」




苗木「皆、首を切って死んだ」

不二咲「う、嘘……」

モノクマ「ねー? 嘘みたいなチート能力でしょ? 見ただけで相手を操れるなんてさー」

モノクマ「才能なんて関係ないんだもん!! 困っちゃうよねー」

苗木「だから、僕は顔を誰にも見せたくないし、できるだけ関わりたくないんだ。いつ何があるか分からないからね」

不二咲「そ、そんな事があったんだね……ごめんなさい。僕等、そんな事情も知らずに苗木君の事を……」

苗木「いいよ。僕だって不二咲さん達と同じ立場ならそう思ってるから。だってありえないもんね。こんな事」

不二咲「でも……それなら、これからどうするの?」

苗木「……男性陣にはこの事を話すよ。信じてもらえないかもしれないけど……」

不二咲「女の子達にはどうするの?」

苗木「……そうだね。彼女たちにも……頃合いを見て話そうかな」

苗木「話したところでどこに行けるわけでもないけど……それでも、皆に募った不信感は解消できるかもしれないから」

不二咲「……うん! 僕も応援する!」

苗木「有難う。不二咲さん」




モノクマ「うぷぷぷ。そう上手くいくと良いんだけどねぇ」

セレス「知ってますか?」

舞園「……何がですか?」

セレス「最近、男性陣が裏でコソコソと何かやってるみたいですよ?」

舞園「えっ? そ、そうなんですか?」

セレス「えぇ。それも苗木君のお部屋で」

舞園「な、苗木君の?」

霧切「セレスさん。その話は本当なの?」

セレス「まぁ、盗み聞きですが」

霧切「……そう」

霧切(……苗木君。私はあなたが何をしようとしているのかしらない)

霧切(……でも、あなたがあの時言った言葉は信じていいのよね?)



舞園「苗木……誠君」




江ノ島「……」

―― 

モニター室

江ノ島「苗木く~ん」

江ノ島「出鼻を挫くようで悪いんだけどさ、これゲームだし、燃料投下させてもらうね~」

江ノ島「さぁ~て、この凶の材料を苗木君はどうやって対処するのかなぁ~?」

江ノ島「それとも諦めちゃう? うぷぷぷぷ」

ピンポンパンポーン

モノクマ「お前ら、至急、視聴覚室に集まってください」

モノクマ「繰り返します。至急、視聴覚室に集まってください」

苗木「……モノクマ?」

苗木「モノクマがこんな風に呼び出すなんて……何か嫌な予感がする……」

――

視聴覚室

大和田「何なんだよ。いきなりこんな所に集めやがって」

桑田「ったく。やる事やっちまって早く帰ろうぜ」

モノクマ「いつの時代も集会は不評だなぁ……まっ、いいや」

モノクマ「わたくしは皆さんの協調性に感動したのです。見ず知らずの他人と手を取り合う素晴らしさ」

モノクマ「多少いがみ合う事もあるけど、そんな壁をも乗り越えようとする皆さんに先生は感動しました」

十神「前口上はいい。さっさと本題に入れ」

モノクマ「つまりは感謝の気持ちを込めて、皆さんに先生からの贈り物を差し上げたいのです!」

十神「贈り物だと?」

モノクマ「うん。ここに各々の大切な方々からのテレビレターがあります」

モノクマ「丁度、機械がここにある事だし、皆見ちゃいなよ!」



モノクマ「うぷぷぷぷ」

苗木(……大切な方々)

苗木(……まぁ、普通に考えれば家族だけど……もう何年も帰ってないや)

苗木(……皆、元気にしてるのかな……)

ザッ、

ザー……プツ

「お兄ちゃん! 元気にしてるー?」

「誠。そっちは辛いかもしれないけど、頑張るんだぞ!」

「誠。私達皆待ってるからね」

苗木(……皆)

ザっ、ザザー

苗木「えっ」

プツ

苗木「ッッッ!?」

苗木「な……何だこれ……」

「きゃあああああ!!!!!!」

もう無理じゃないですかね…

>>182

おいこの野郎

誰か乗っ取れ

おう

>>190
期待

苗木「な、なんで妹が…


僕に犯されてるんだよッッッッ!!!」

「嫌っ!嫌ぁぁぁぁぁぁっっ!!」
「誠!」
「誠っやめなさい!!」

苗木「 嘘だッ!僕が…僕が自分から人を襲うなんて…そんな、そんな馬鹿な事がッッ!!」

『うぷぷぷぷ…素敵な才能である【超高校級の性奴隷師】を持って生まれた苗木誠クンは…どうしてこんなことをしてしまったのでしょう…』

『答えは卒業の後!!』

苗木「…僕は、僕はこんなこと…知らない…っ!!なんでこんな事…!!」
苗木「これはモノクマの陰謀だ…そうに違いない…絶対にそうだッ!」

>>200
これは違うからやめろ

>>201
どんな反応するか見たかっただけ
反省している

こ!

こ!

http://i.imgur.com/ckaiiGL.jpg

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年09月10日 (水) 02:27:08   ID: fCBZEREy

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