隆也「しぇいむ☆おんに新人?」夏輝「みんながこっち来る?」(15)

楽しくも、悲しかった夏が終わり、また新しい夏が来た。

夏輝「あ~。だりぃ」

大学の長い夏休みに悩み、どの積みゲーを消化しようかと悩むも、じりじりと夏の光と暑さが行動力を削ぐ。

夏輝「クーラーが、ほしい………」

一人暮らしを始めた大学生に、クーラーを買う金なんてなく、熱風に近い風を扇風機が送ってくる。

死ねる。

夏輝「楓、今いくよー」

なんて笑えないギャグをぼんやりとした頭でつぶやく。

???「こっちでいいっすかー?」

???「あぁ、うん。お願い」

外が騒がしい。何かを運ぶような音が聞こえるから引っ越しだろうか。外から聞こえた声は女の声。おそらく若くて可愛い。

ぴんぽーん。

挨拶しなきゃなーと考えていたときチャイムが鳴った。俺を訪ねる奴なんていただろうか。頼んだエロゲも来るのは明後日だし。

軽く身だしなみを整えてドアを開ける。

紗耶「久しぶり」

ガチャン

紗耶「ちょっと!!」

ドアを閉じる。

夏が俺をそうさせた。一瞬紗耶らしきものが見えたがおそらく幻覚だろう。熱中症だろうか。

ガンガンガンガンッ

ドアが蹴飛ばされるような幻聴がする。

紗耶「ちょっと、夏輝!?」

夏輝「びっくりするほどユートピア!! びっくりするほどユートピア!!」

そう叫びながら部屋の中に散らばった俺の宝物を集め押入れに詰め込む。

紗耶「あ、開いてるのね。入るわよ」

夏輝「いやぁああけだものぉおお!!」

紗耶「あんたは初対面でもっとひどい事したでしょうが!!」

ギリギリで間に合った。

入ってきたのは小翠 紗耶。美富島にある民宿『叙瑠樹』の一人娘で去年十数年ぶりに再会した俺の幼馴染。礼儀正しいくて島のアイドルと言われているが、手が早いので俺は喧嘩っ早い、島のデストロイヤーではないのかと思っている。

紗耶「案外綺麗にしてるのね。意外」

夏輝「失礼な」

といっても、さっきまで片付いてなかったので否定ができない。

男はみんなこんなもんさと全世界の綺麗好きな男に喧嘩を売る。ごめんなさい。

夏輝「なんでいるんだよ」

紗耶「電話来てない? これからしばらく隣の部屋に住むんだけど」

お、おれの平穏が。

もも「お兄ちゃん!!」

清理「久しぶりじゃの」

あやめ「って言っても一年ぶりだけどね」

勢ぞろいだった。

夏輝「俺の平穏がぁあああー!!」

話を聞いたところによると、夏休みなので遊びに来たらしい。費用はどうしたのかと聞いたら、俺の糞親父が負担したらしい。ファッキューパッパ。

紗耶「良いじゃないこんな可愛い女の子たちが隣の部屋なのよ?」

男「ソウデスネ」

清理「なんか、いやそうじゃのう」

男「清理さんは構いません」キリッ

楓の事でお世話になったからあまり清理さんには強く出れない。

あとあやめ姉は姉さんみたいな存在なので強くでれない。

ももは妹みたいで可愛い。

あとは

紗耶「なによ」

男「はぁ………」

紗耶「光になれっ!!」

紗耶が思いっきりハイキックをしてきた。

久しぶりのこの衝撃っ! んぎもちいいっ!!

なんて薄れゆく意識の中でそんな事をおもったりおもわなかったり。

夏輝「はっ!夢か………」

紗耶「おはよう」

夏輝「なんだまだ夢か」

紗耶「ネムラセテアゲマショウカ?」

夏輝「ノーセンキュー」

紗耶の後ろから般若とかトラとか竜が見えた気がした。その気になればスタンドとかだせるんじゃなかろうか。

夏輝「あれ、みんなは?」

紗耶「隣の部屋よ」

というか間取りはあまり変わらないはずなのに大丈夫なのか?2LKだぞ?

夏輝「そうか」

時計を見ると時間は昼。

夏輝「腹減った。なんか作ってくれ」

紗耶「こっち来たばっかなんだから食材がないわよ。あんたの部屋もカップラーメンしかないし」

夏輝「えっへん」

紗耶「じゃあ私のバイト先に食べに行きましょうか」

夏輝「バイト先?」

紗耶「しぇいむ☆おんっていう喫茶店」

夏輝「あ、名前だけ聞いたことあるけど行ったことない」

紗耶「じゃあ行くわよ。あんたが行けば半額になるかもしれないし」

夏輝「なんでだ?」

紗耶「店長のタイプっぽいから」

イケメンすぎて困っちゃうぜ。おもわずにやけてしまう。

紗耶にキモいと心無い言葉を浴びせられたが、気にしない。いつもの事だから。

夏輝「じゃあ行くか。皆で。奢ってやるぞ」

紗耶「え、いいの?」

夏輝「久しぶりに会えた記念だ」

さらば、今月末発売のエロゲ。

紗耶「あ、ありがと………」

夏輝「おう」

今日も今日とてしぇいむ☆おんに俺はいる。

勘違いして欲しくないが暇人というわけではない。夏休みを利用して従業員がほぼ女の子の《しぇいむ☆おん》で働いているのだ。引っ越し屋は腰がご臨終したのでしばらく休業中だ。

おっと自己紹介がまだだったな。俺の名前は内藤 隆也。世紀のイケメンと言ってもいい、ほら、耳を済ませば俺を呼ぶ黄色い声が

店長「隆也くーん」

聞こえなかった。

耳元でアフロで一斉を風靡した某腰ふり芸人のような恰好をしたコック、安部高和が耳元でそっとささやいてきた。

隆也「うおうっ!?」

店長「はっはっはー。オーダーが入ったよー」

隆也「あんたがしろよ!! コックだろ!?」

店長「隆也くんも今はコックだろうー?」

そうだった。

男の店員がいても意味はないから俺は厨房なのだ。といってもオムライスなんかの難しいのは店長。サンドイッチなんかの簡単なのは俺、志津江さんはいたらなにかしている。

隆也「で、何ですか?」

店長「サンドイッチが入ったよー!! 愛をたっぷりこめて作ってねー!!」

隆也「客が可愛い女の子なら込めますよ」

あーあ。厨房に可愛い子来ないかなぁ。

隆也「店長。厨房新人来ないんですか?」

店長「フロアならきたよー」

隆也「なぜ厨房に来ないのだ」

店長「ハッハッハ、そんなの決まってるじゃないかーい」

隆也「なぜです?」

店長「私と隆也君の愛の巣を汚させないためですよ!!」クワッ

隆也「てめぇのせいかぁあああぁああ!!」ゴンッ

店長「ハッハッハ、愛ですねー」

隆也「怒りだよ!!」

カランカラーン

店長「むっ」

いきなり店長が厨房から飛び出していった。

どうしたどうした、何があった。

フロアへ料理を渡す場所から様子を見る。

どうやら店長が客に絡んでるみたいだ。いつもなら早苗ちゃんが何とかすると思うんだが。ちょうど料理を取りに来た典乃、これは読みはてんのではなくのりゆきだ。その典乃に聞いてみる。

隆也「なぁ、ノリユキ、何かあったのか?」

典乃「テンノだよっ!! 典乃!! えっとなんか新人が店長への生贄を持ってきたみたい」

隆也「生贄って」

そんな大げさなと思いながら身を乗り出して見る。

夏輝「うぉあああぁああ!?」

男が股間をがっしりと握られていた。

隆也「何やってんだあんた!?」

あせって厨房から飛び出し店長を止める。

店長「ハッハッハ」

ぐっ、なんて力だ。びくともしない。

というか店長がいつの間にかコック姿からボンテージに変身している。なんだこの人キモい。

そうだ早苗ちゃんは?

と見回してみると、なんだか女の子と話していた。これが新人の子だろうか。

隆也「か、可愛い」

可奈「むっ」バキャンッ

隆也「いたっ」

通りすがりの飯島さんにお盆で叩かれた。なぜだ。

飯島さんとは俺の大学の友人で、ハーフ。可愛いのだが彼氏がいない。どうやら好きな人がいるみたいだが誰なんだろうか。うらやましい。

夏輝「うわぁああ!!」

店長「ハッハッハ」ニギニギ

隆也「だからやめろぉおぉおおおお!!」

夏輝「はぁ、はぁ。助かった。ありがとう」

隆也「なんだか凄い親近感が沸いてな。助けられずにはいられなかった」

店長「なんでとめるんですかー? はっ、まさか嫉妬ですねー!? だいじょーぶです、私は隆也くんを一番あいしてまーすから」

隆也「死んでくださいお願いします」

店長「ゾクゾクするねー」

夏輝「あ、日ごろの苦労がよくわかった」

隆也「さてと、あんた客だよな?」

夏輝「食べに来たら生贄にされた」

………早苗ちゃんでもそんなひどいことしないよなぁ。

新人。可愛い顔して恐ろしい子っ!!

隆也「じゃあ案内しまーす」

夏輝「おーい、みんなー」

皆ってことは何人かいるのか。まぁいい。席は空いてるしな。

もも「お兄ちゃん、おなかすいたー」

あやめ「おごらせちゃって悪いわね」

紗耶「別にいいわよ。夏輝だし」

清理「良い雰囲気のお店じゃのう」

夏輝「あ、禁煙席で」

隆也「お前に案内する席はねぇよちくしょう!!」

夏輝「えぇ!?」

ハーレムだった。しかもロリ、お姉さん、巫女さんまでいやがる。

なんだ!? これどんなエロゲですか!? 美女缶でも使ったのか!?

隆也「ちきしょうっ!!」ダッダッダ

典乃「タカヤが血の涙流してたよ?」

美幸「………大丈夫」

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