シンジ「アスカ様ファンクラブ?」(477)

シンジ「はー、アスカ可愛い」

シンジ「なんであんなに可愛いんだよ」


シンジ「クォーターで?」

シンジ「大学卒業してるのに、中学校に通っていて?」

シンジ「プライド高いくせに、実は繊細で?」

シンジ「口癖が『あんたバカぁ?』」


シンジ「なんだよ、その属性」

シンジ「反則だろ」

シンジ「はん! そく! だっ! ろっ!!」ダンダン


シンジ「……はぁ」

ケンスケ「おい、碇」

シンジ「ケ、ケンスケ!?」

ケンスケ「聞いたぜ、今の魂の叫び」

シンジ「いや、今のは、その」

ケンスケ「何も言わなくていい。全て分かっている」

シンジ「え?」

ケンスケ「……まさか、お前も同志だったとはな」

シンジ「どういう意味?」

ケンスケ「ついて来い。真理を見せてやる」

シンジ「ちょっ、待ってよケンスケ!」

司会「今日の目玉写真はこれだ! 髪を解いたアスカ様!!」

男たち『う、うぉおおおおおおおおお!!』

司会「500円から! それではスタート!!」

男A「700円!!」

男B「1000円!!」

男C「1200円!!」


シンジ「こ、ここは?」

ケンスケ「『式波・アスカ・ラングレー大尉を、遠くからひっそりと見守る男たちの集う会』」

シンジ「……」

ケンスケ「通称、アスカ様ファンクラブだ」

シンジ「アスカ様ファンクラブ……?」

シンジ「何をするところなの?」

ケンスケ「基本的には、アスカ様について延々語り合う場所だ」

シンジ「アスカのことを?」

ケンスケ「―――バカ野郎!!」

シンジ「!」ビクッ

ケンスケ「いくら碇でも、この場所でアスカ様を呼び捨てにしてみろ」

シンジ「ど、どうなるの?」

ケンスケ「……二度と、その口から、アスカ様の名を口に出すことのできない体にしてやる」

シンジ「そうなんだ……ごめん、もう二度と呼び捨てにしないよ」

ケンスケ「分かってくれればいいんだ」

シンジ「ねぇ、あっちはなにか盛り上がっているみたいだけど」

ケンスケ「ああ、あれはアスカ様オークションだ」

シンジ「アスカ様オークション?」

ケンスケ「アスカ様の写真を、オークション形式で売りさばくんだよ」

シンジ「へぇー」

ケンスケ「ちなみに、過去最高額を叩きだした写真は『スク水アスカ様、お尻のくいこみを直す瞬間』だ」

シンジ「……いくらだったの?」

ケンスケ「12万8000円」

シンジ「じゅうにま……っ!?」

ケンスケ「落札者は、碇ゲンドウ氏だ」

シンジ「父さん!?」

シンジ「父さんが、そんな……ウソでしょ……?」

ケンスケ「ゲンドウ氏は、このファンクラブのスポンサーでもあるんだぜ」

シンジ「信じられない、信じたくないよ……」

ケンスケ「ファンクラブには結構、意外とも思える人物がいるぜ。ほら、あそこにも」

シンジ「え?」


トウジ「―――おー、碇やないか。お前もとうとう、この地へ来たんか」

シンジ「トウジ!」

シンジ「どうして、ここに」

トウジ「そんなん、アスカ様を愛しているからに決まっとるやないか」

シンジ「だ、だって、いつもケンカしてるじゃないか」

トウジ「あー、あれはご褒美を貰うためや」

シンジ「ご褒美……?」

トウジ「ほれ」ピッ


『アンタって、ほんとバカね!』


シンジ「……」

トウジ「こうやって、録音してな。何度も繰り返し聞いとるんや」

シンジ「……」

トウジ「オークションでも高値で売れるしな。ほんま、アスカ様の罵倒はたまらんわ」

シンジ「……委員長は?」

トウジ「ん?」

シンジ「トウジには、委員長がいるじゃないか。なのに、どうして」

トウジ「いいんちょか……まぁ、ここでは隠す必要ないな。ワシはいいんちょが好きや」

シンジ「!」

トウジ「でも、アスカ様に対するそれとは次元が違う。アスカ様はこの世に御降臨なされた天使やからな」

シンジ「て、天使?」

トウジ「せやろ?」

シンジ「うん……まぁ、そうだね」

トウジ「そもそも、このファンクラブを作ったんは、ワシとケンスケなんやで」

シンジ「えっ」

トウジ「なっ、ケンスケ?」

ケンスケ「ああ、最初は二人きりのファンクラブだった」

シンジ「そうなんだ」

ケンスケ「しかし、一人、また一人と同志に声をかけ、仲間にしていき……」

トウジ「今では、このとおり、体育館一杯を埋め尽くすほどのファンクラブになったんや」

シンジ「すごいね」


ケンスケ「俺は将来、就職活動の面接で『学生時代になにを頑張ったか?』と問われれば、迷わずにこう答えるね」

ケンスケ「『アスカ様ファンクラブの会長として、民衆を導きました!』 って!!」


シンジ「それは、やめといた方がいいと思うけど」

ケンスケ「一つ悲報なんだが、碇はファンクラブの会員から嫌われてるよ」

シンジ「どうして!?」

ケンスケ「そりゃあ、アスカ様に一番近しい男だからな。一緒に暮らしてるし」

シンジ「そ、それは……」

トウジ「このままやと、会員に袋叩きにされてもおかしゅうない」

シンジ「そんなぁ……」


ケンスケ「そこで、頼みがあるんだが―――」

シンジ「―――え?」

―――ミサトの家


シンジ「ただいま」

アスカ「帰ってくるのがおそい」

シンジ「ごめん」

アスカ「なにやってたのよ」

シンジ「それは……色々だよ」

アスカ「……? まぁいいわ、早くご飯作ってよね」

シンジ「うん、今すぐ作るよ」

アスカ「もう、お腹ぺこぺこ」

シンジ「……」


シンジ「……」パシャッ

アスカ「!?」

アスカ「ちょっと!」

シンジ「な、なに?」

アスカ「なに? じゃないわよ! なんで写真撮ったのよ!」

シンジ「それは……」

アスカ「また言えないの?」

シンジ「……うん」

アスカ「だったらいいわ、カメラ貸しなさい」

シンジ「え?」

アスカ「データ消すから。ほら、早く!」

シンジ「だ、駄目だよ!」

アスカ「しょーぞーけんの侵害よ!」


シンジ「だって、これは……これは! 僕の目の保養にするんだ!!」

アスカ「……へっ?」

アスカ「め、目の保養って、あんたねぇ!」

シンジ「ほら、可愛い女の子の写真が部屋にあると、華やかになるじゃないか!」

アスカ「かわっ……!?」

シンジ「アスカの写真が必要なんだ! どうしても!!」

アスカ「ひ、ひつ……?」

シンジ「だから、お願いだよ。見逃してよ」

アスカ「……」


シンジ「アスカ?」

アスカ「え、あ……その、可愛い女の子の写真っていうのは」

シンジ「うん」

アスカ「私じゃなきゃ、駄目なの?」

シンジ「当たり前だろ」

アスカ「そ、そうなんだ……ふーん……」

アスカ「じゃ、じゃあ分かったよ。アスカ様は寛大だから、見逃してやるわ」

シンジ「ほんとに!?」

アスカ「ええ」

シンジ「良かったー。これが奪われたら、この世の終わりだよ」

アスカ「そんなに……?」

シンジ「うん!」

アスカ「……なら、しょうがないわね」

シンジ「ありがとう、アスカ!」

アスカ「でも、いきなり撮るのはやめてよね」

シンジ「いきなりじゃないと、意味がないんだ」

アスカ「どうして?」

シンジ「だって、いつものアスカが一番可愛いはずだって、ケンスケが……」

アスカ「えっ?」

シンジ「あ、いや! いつものアスカが一番可愛いって僕は思うから!」

アスカ「……本気で言ってる?」

シンジ「もちろん!」

アスカ「あっそ……まぁ別にうれしくないけどね、うん……」

シンジ「?」

シンジ「……じゃあ、ご飯作るから、待ってて」

アスカ「は、早くしなさいよね!」



シンジ(よーし、写真GETだ)

シンジ(これで、会員の人に殺さなくて済むよ)

シンジ(それはともかく、今日のアスカも可愛かったなぁ……)




アスカ「……」

ケンスケ「―――さて諸君、新たな会員が生まれたのは知ってるな?」

男たち『……』

ケンスケ「その者は、かつては俺たちの敵だった、かつては忌むべき存在だった……」

男たち『……』


ケンスケ「しっかぁーし! その者は、私たちの仲間に加わった! このような手土産を持参して!!」バシーン

男たち『そ、それは!』

ケンスケ「そう! 『部屋着アスカ様! 気を抜いてゴロゴロ』……という写真だ!!」

男たち『う、うぉおおおおおおおおおお!!』


ケンスケ「しずまれぇーい!! ……まずは、この写真を持ってきた男の自己紹介だ」

ケンスケ「来い、碇」


シンジ「―――あ、どうも、碇シンジです」

男たち『……』

シンジ「みなさんが、僕のことを嫌っていたのは知ってます」

シンジ「アスカ様の近くにいるんだから、当り前です」

シンジ「それも、たまたま……運が良かっただけで」

シンジ「席替えで、自分の好きな子の隣になった男子を恨むような……そんな気持ちにさせてしまったと思います」


シンジ「ですが、一つだけ、僕らには通じるものがあります」

シンジ「それは、アスカ様が大好きだってこと」

シンジ「それは、アスカ様のためなら死ねるってこと」


シンジ「……アスカ様を好きな人に、悪い人なんていません」

シンジ「僕たちは一つ。アスカ様が好きというカテゴリーの中の、一つの存在に過ぎないんです」

シンジ「だから、争ったり、憎んだり……そんな馬鹿げたことはやめませんか?」

シンジ「アスカ様を愛するという行為以外に、必要なものなんて、ありますか?」

シンジ「僕は、そう思わないから、だから……」

シンジ「……」


シンジ「話は、以上です」

シンジ「……」

シンジ「……」


パチ、パチ……


シンジ「!」


パチ、パチパチ、パチ!


シンジ「みんな……!!」


パチパチパチパチパチ!!

パチパチパチパチパチ!!


男たち『そうだ、アスカ様を好きなやつに悪い奴なんていないんだ!!』

男たち『うぉおおおおおおおおアスカ様ぁあああああ!!』

男たち『世界はアスカ様で一つになるぞおおおおおおお!!』

ケンスケ「さぁーて、感動的なシーンも終わったところで、さっそくオークションといきますか!」

トウジ「今日の目玉はもちろん?」

ケンスケ「碇が持参してきた写真、だな!」

トウジ「せやな!」


冬月「今日の予算は?」

ゲンドウ「……私に限界などない」

冬月「そうだったな」


シゲル「やれやれ、今月も苦しくなりそうだ」

マコト「カップラーメンで日々を過ごす覚悟は出来てますよ!」

加持「頼もしいな、流石はNERV職員だ」

ペンペン「クエッ!」

―――ミサトの家


アスカ「ねぇ、暇だからゲームの相手してよ」

シンジ「ごめん。僕はこれから行くとこがあって」

アスカ「……また出かけるの?」

シンジ「うん」

アスカ「最近、いっつも出かけてるけど、どこ行ってんのよ」

シンジ「ちょっと、ね」

アスカ「……帰ってくるのも遅いんでしょ?」

シンジ「そうなっちゃうかも」

アスカ「……」

シンジ「じゃあ、行ってくるね」


アスカ「……」グイッ

シンジ「?」

シンジ「どうしたの?」

アスカ「……」

シンジ「離してくれないと、出かけられないよ」

アスカ「……」

シンジ「アスカ?」

アスカ「私も行く」

シンジ「えっ!?」


アスカ「暇なんだもん」

シンジ「いや、でも、ダメだよ」

アスカ「どうして?」

シンジ「……男だけの場所だし」

アスカ「邪魔しないから!」

シンジ「そういう問題じゃ……」

アスカ「……そんなに私が邪魔なの?」

シンジ「ち、違うよ! そんなわけないじゃないか!」

アスカ「でも、来るなって」

シンジ「色々あるんだよ」

アスカ「色々って、なによ」

シンジ「と、とにかく! 勘弁してよ、アスカ!」

アスカ「……」

シンジ「今日のご飯は、アスカの好きなものにするから! ね?」

アスカ「……わかった」

シンジ「ほんと? よかった!」

wアスカ様って違和感あるな
あすかでいいわって言われてるのにな

シンジ「なにが食べたい?」

アスカ「エビフライ」

シンジ「りょーかい。じゃ、行くね」

アスカ「……ねぇ」

シンジ「ん?」

アスカ「早く、帰ってきなさいよ……?」

シンジ「うん、分かった」

アスカ「……」

シンジ「行ってくるね」

アスカ「行ってらっしゃい」



アスカ「…………」

アスカついてくるとかねえよな

―――ファンクラブ会場


ケンスケ「今日の写真はこれだ! 『眠気に耐えきれず船を漕ぐアスカ様!』」

男たち『う、うぉおおおおおおおおお!!』

ケンスケ「800円からぁあああ……スタート!」


男A「1100円!」

男B「1300円!」

男C「1500円!」

ゲンドウ「……10000円」

男D「いちまんんんっ!?」

男E「畜生! 相場を守れよ、会員ナンバー12番!!」


冬月「……買ったな」

ゲンドウ「ああ」

俺「一万千円」

シンジ「……」

加持「やぁ、シンジ君」

シンジ「加持さん!」

加持「隣、いいかい?」

シンジ「あ、はい、どうぞ」

加持「失礼するよ」

シンジ「……盛り上がってますね」

加持「そうだな。やはり、部屋着は可愛い」

シンジ「同感です」

加持「君のおかげだ、シンジ君」

シンジ「そんな、僕なんて、別に……」

加持「知ってるか? プラグスーツっていうのは、碇司令が自らデザインしたものなんだ」

シンジ「えっ?」

加持「言っちゃ悪いが……アレだろ?」

シンジ「たしかに……ちょっと卑猥ですよね」

加持「アスカ様に性を連想させるような格好を強要させる司令を、糾弾する声も少なくない」

シンジ「そういった行為はご法度ですもんね」

加持「しかし、こういう理由で決着がついた……『ギリギリを目指すその姿勢、悪くない』」

シンジ「!」

加持「パンチラは駄目だ。だが、アンスコは許す……その理念に則っているとも言えなくないしな」

シンジ「……」

シンジ「……」

加持「気になることでもあるのか?」

シンジ「……父さんが」

加持「自分の父親が、ああしてなにかに熱狂している姿は、やはり見たくないものか?」

シンジ「それもそうですけど……分からなくて」

加持「分からない?」

シンジ「だってそうじゃないですか。大好きなはずなのに……どうして、アスカ様をエヴァのパイロットとして、危険な目に遭わせるんですか?」

加持「それは、俺も碇司令に尋ねたことがあるよ」

シンジ「父さんは、なんて?」

加持「戦うアスカ様も、可愛い」

シンジ「……なるほど」

シンジ「すみません、つまりどういうことですか?」

加持「碇司令も色々悩んでいるってことさ」

シンジ「……?」


加持「本当は戦わせたくない。でも、可愛いから戦わせたい」

加持「エロは駄目だ。でも、エロいのも見たい」

加持「守りたい。でも、守れないから―――」


シンジ「ファンクラブの会員に、守らせる……」

加持「そういうことだ。このファンクラブがある限り、アスカ様は人為的な脅威に晒されることはないだろうしな」

シンジ「……」

加持「このファンクラブ自体が脅威と言えなくもないが」

シンジ「それを言ったら、お終いですよ」

シンジ「……アスカ様は、すごいですね」

加持「ん?」

シンジ「父さんもそうだけど、こんな大勢の人に愛されて」

加持「そうだな」

シンジ「みんなの、アスカ様ですね」

加持「ああ、俺たちのアスカ様だ」

シンジ「……」

加持「どうかしたか?」

シンジ「いえ、なんでも」

加持「?」

―――ミサトの家


アスカ「おかえり」

シンジ「ただいま」

アスカ「今日は、早かったじゃない」

シンジ「早く帰って来いって、言ったじゃないか」

アスカ「言ったわね」

シンジ「そうだろ?」

アスカ「……ふふっ、そうね、言ったわ」

シンジ「?」

アスカ「ねぇ、ご飯作るまで、まだ時間あるでしょ?」

シンジ「えーっと……うん」

アスカ「じゃあ、私の部屋でゲームするから、来なさい」

シンジ「それは駄目だよ」

アスカ「えっ?」


シンジ「あ、その、宿題やんないといけないから」

アスカ「……そんなの、後でもいいじゃない」

シンジ「今、やっておきたいし」

アスカ「……」

シンジ「ほ、ほら! 僕ってなにをやるのも遅いから! 出来る時にやっておかないと!」

アスカ「そうかも、しれないけど」

シンジ「僕だってアスカと遊びたいけど、でも、ね?」

アスカ「ほんとに?」

シンジ「ほんとほんと」

アスカ「じゃあ、いいけど」

シンジ「ありがと、じゃあね」

アスカ「じゃあね、って……」


ガラッ


ピシャ


アスカ「…………」

アスカにお呼ばれ<ファンクラブとかどうなってやがるwwwww

―――翌日


アスカ「ふぁーあ」

ミサト「おはよ、アスカ」

アスカ「おはよう……ん、あれ?」

ミサト「どうしたの?」

アスカ「シンジは?」

ミサト「学校行ったけど」

アスカ「もう? なんで?」

ミサト「さぁ。早めに行きたい気分だったんじゃない?」

アスカ「ふーん……」

ミサト「なぁーに、アスカ? 一緒に学校行けなくて寂しいの?」

アスカ「……んなわけないでしょ」

ミサト「あら、手厳しい」

アスカ「ったく、それより私の分のご飯は?」

ミサト「トースターにセットしてあるから、自分で焼いてください―い」

アスカ「それくらいミサトがやってくれればいいのに。保護者なんだから」

ミサト「それくらい自分でやってよ。中学生なんだから」

アスカ「……もうっ!」

ミサト「ふふっ」

あんたバカァ?

アスカがなぜにバカシンジと読んでないの

―――学校


アスカ「バカシンジ」

シンジ「なに?」

アスカ「これからNERVでしょ? 行くわよ」

シンジ「あ、そうだね……ちょっと待ってて」

アスカ「?」


シンジ「―――綾波!」

綾波「なに?」

シンジ「綾波も、僕たちと一緒に行こうよ」

綾波「ええ」

シンジ「よかった」


アスカ「…………」

シンジ「じゃ、行こうか」

アスカ「……」

シンジ「アスカ?」

アスカ「……なによ」

シンジ「どうかした?」

アスカ「どうかするわけないでしょ!」

シンジ「な、なんだよ、急に大声出して」

アスカ「……」

シンジ「変なアスカ」

アスカ「……」

ナイス修正

TV版では平時は普通にシンジ呼びだったんだけどね。

―――ファンクラブ会場


ケンスケ「さて、今日の議題だが」

トウジ「近頃、アスカ様の顔が優れない件についてやな」

ケンスケ「誰か、知ってる人はいないか?」

男たち『……』

ケンスケ「……」


トウジ「センセはどないや」

シンジ「なんで、僕に聞くんだよ」

ケンスケ「一緒に住んでるんだから、当然だろ」

シンジ「うーん……ごめん、分からないや」

ケンスケ「そうか……」

>>80
最新優先

てかこれおちどうするんだw

加持「ちょっといいかな?」

ケンスケ「なんだ、会員ナンバー238番」

加持「アスカ様は、退屈なんじゃないか?」

ケンスケ「退屈?」

加持「同居人碇シンジは、少し前まではアスカ様が暇な時間、よく一緒にいたらしい」

ケンスケ「そうなのか?」

シンジ「それは……まぁ、うん」

加持「しかし、彼がこのファンクラブの会員となったことで、暇な時間を潰す相手がいなくなった」

ケンスケ「なるほど、徐々にストレスが蓄積していったと」

加持「ああ」

加持「というわけで、同居人碇シンジを即座に家に帰すことを提案します」

シンジ「ちょっと待ってください! それは……」

加持「不服か?」

シンジ「いえ、その」

加持「アスカ様の為を思うならば、君の事情など、無視するべきだと思うが?」

シンジ「……」

加持「会長」

ケンスケ「そうだな。碇、行って来い。これは会長としての命令だ」

シンジ「……」

ケンスケ「碇」

シンジ「わ、分かったよ!」ガタッ

ガチャッ


バタン


ケンスケ「……」

トウジ「……」

加持「……」

男たち『……』


ケンスケ「238番」

加持「なんだい?」

ケンスケ「今の行動で……終わるかもしれないぞ」

加持「いいだろ。それは、アスカ様の幸せの始まりでもある」

ケンスケ「……」

加持「きっとな」

オチどうするつもり

―――ミサトの家


シンジ「ただいま」

アスカ「……ずいぶん、早いじゃない」

シンジ「そうかな?」

アスカ「そうでしょ」

シンジ「たまには、こういうこともあるよ」

アスカ「たまには、ね……」

シンジ「ん?」

アスカ「別に」

シンジ「ねぇ、アスカ」

アスカ「なによ」

シンジ「ゲームやろうよ」

アスカ「ゲーム……?」

シンジ「だめ?」

アスカ「……なんで、そんなこと言いだしたのよ」

シンジ「特に意味はないけど」

アスカ「ウソ」

シンジ「嘘じゃないってば」

アスカ「……」

シンジ「やらないなら、別にいいけど」

アスカ「……やるわよ! やればいいんでしょ!!」

シンジ「う、うん」

来週のサザエさんわ?

シンジ「ソフト、これでいい?」

アスカ「ええ」

シンジ「じゃあ、始めよっか」

アスカ「ええ」


シンジ「……」ピコピコ

アスカ「……」ピコピコ

シンジ「……」

アスカ「……」


シンジ「アスカ、楽しい?」

アスカ「楽しくない」

シンジ「そ、そっか」

アスカ「……」

じゃんけんぽん
ぐふふふふふ

アスカ「アンタさぁ」

シンジ「なに?」

アスカ「最近、なんで私のこと、避けてるわけ?」

シンジ「……避けてないけど」

アスカ「避けてたじゃん」

シンジ「避けてないって」


アスカ「―――避けてたでしょ!!」

シンジ「……!」


アスカ「なんで、ウソつくのよ」

シンジ「……」

アスカ「そんなに、私のこと……」

シンジ「いや、その」

?「おい!シンジ!」

>>103
ま、まさか





カツオ!?

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「……」


アスカ「……う゛」

シンジ「あ、アス……!」

アスカ「うるさいバカこっち見んな」

シンジ「……」

アスカ「う、う゛ううううううううう」グスッ

シンジ「……」 

俺的にこっち見ないでがよかった

シンジ「ごめん、アスカ。寂しかったよね」

アスカ「ざびじくない……」

シンジ「だよね。ごめん」

アスカ「うる゛ざい……」


シンジ「……これからは、ちゃんと時間とるよ」

アスカ「あだりまえ゛よ」

シンジ「そうだよね。それが、当り前だよ」

アスカ「……」グスッ

シンジ「僕が一番大事なのはアスカだから」

シンジ「これからは、二度と放っておいたり、しないから」

シンジ「だから、許してくれる……?」


アスカ「……」グスッ

シンジ「……」


アスカ「……次は、絶対に許ざない」

シンジ「うん、許さないでいいよ。もうやらないから」

アスカ「……なら……許ず……」

シンジ「ありがとう、アスカ」

アスカ(´・_・`)

―――ファンクラブ会場


シンジ「ファンクラブをやめさせてください」

ケンスケ「……理由は?」

シンジ「もっと、アスカと一緒にいたいから」

ケンスケ「……」


トウジ「分かってて言ってるんやな?」

シンジ「うん、ここにいる人たち、全員を敵に回す発言だよね」

トウジ「それでも、撤回はしないと?」

シンジ「僕は、自分よりアスカが大事だから」

トウジ「……」

いいぞ

ケンスケ「碇」

シンジ「なに?」

ケンスケ「俺は、お前が妬ましい」

シンジ「……ごめん」

ケンスケ「五臓六腑を細切れにして、海鳥のえさにしてやりたい」

シンジ「そ、そこまで!?」

ケンスケ「でも……」

シンジ「?」


ケンスケ「―――お前といることが、アスカ様の一番の幸せなんだよなぁ」

シンジ「……!」

お前…いいやつだな~

ケンスケ「アスカ様の幸せこそ、俺たちの幸せ……そうだよな、みんな!」

男たち『応っ!!』

シンジ「みんな……!」



冬月「それにな」

シンジ「えっ?」

ゲンドウ「―――会員の幸せもまた、然り」

冬月「というわけだ」

シンジ「父さん……!!」

海鳥ってペンペンのことなんじゃ…

>>119
たしかに

ケンスケ「その代わり、アスカ様を大切にしろよ?」

シンジ「うん」

トウジ「アスカ様の笑顔を奪おうもんなら、ワシがぶん殴ったるからな」

シンジ「うん!」


ケンスケ「では、以上を持って」

トウジ「会員ナンバー812番。碇シンジの登録を抹消する」

ケンスケ「一同、礼!」


ビシッ!!


シンジ「―――ありがとう、ございました!!」

んどうする

ケンスケ「……これで、よかったんだよな?」

加持「ああ」

トウジ「部屋着が見れなくなるだけや」

シゲル「それはけっこう痛いな」

冬月「この際、女性会員の確保に乗り出すか?」

ゲンドウ「……あの家には一人、使えそうな人間がいたな」

マコト「あれ? その前に……」

ペンペン「クエッ?」


男たち『うぉおおおおお! アスカ様ファンクラブは不滅だぁあああああああ!!』

エピローグ


アスカ「ねぇ」

シンジ「ん?」

アスカ「最近、写真撮らなくなったわね」

シンジ「あー……」

アスカ「どうして?」

シンジ「だって、ほら」

アスカ「?」

シンジ「写真より、実物の方が……ね」

アスカ「うっ」

うううっp

シンジ『本当にやめて良かったの? ファンクラブ』

ケンスケ『ああ、未来への投資っていう意味もあるから』

シンジ『?』

ケンスケ『なぁ碇、女の子の一番可愛い表情って知ってるか?』

シンジ『……笑顔とか?』

ケンスケ『惜しい』

シンジ『正解は?』

ケンスケ『好きな人に見せる笑顔だ』

シンジ『えっ』

ケンスケ『碇なら、アスカ様から引き出せるかもな』

シンジ『そんな、僕は別に……』

ケンスケ『少なくとも、俺よりはずっと確率が高いだろ?』

シンジ『それはまぁ』

ケンスケ『否定しろよ!?』 

シンジ「……」

アスカ「なに?」

シンジ「アスカはいつも可愛いから、これ以上があるのかなって」

アスカ「は、はぁ?」



シンジ(でも、いつかは……なんてね)

アスカ「?」




終劇

シンジとアスカがいちゃつくだけのを書きたい。
でも流石にそれは……と思った果てがこれです。どうもでした。

ええええええええ

>>130
>シンジとアスカがいちゃつくだけのを書きたい。

なんで書きたいもん書かないの?俺たちに迎合するおまえなんて見たくねぇんだよ
書きたいもんをストレートに書けよ

まあ乙
なかなかだった

おまけワクワク

>>135
せやなぁ。じゃあ俺の欲求を消化するためだけにちょっと今から書くわ。
せっかくスレがあるし。

ただ、このSSとはまったく無関係で、ただひたすらイチャつかせるだけな。
途中で風呂も入る。寝オチするまでという時限爆弾付きで。

シンジ「なにそれ」

アスカ「お姫様の言うことを、従者が聞くゲーム」

シンジ「それだけ?」

アスカ「そうだけど」

シンジ「……説明だけ聞くと、まったく楽しくなさそうだね」

アスカ「説明だけだとね」

シンジ「実際は違うの?」

アスカ「ええ」

シンジ「へー」

アスカ「じゃ、始めるわよ」

シンジ「一応聞くけど、僕は……」

アスカ「従者」

シンジ「ああ、うん。そうだろうね」

アスカ「じゃあ、シンジ」

シンジ「うん」

アスカ「私の肩を揉みなさい」

シンジ「えっと……えっ?」

アスカ「返事は『かしこまりました。お姫様』」

シンジ「そういうことじゃなくて……」

アスカ「ハリー!」

シンジ「わ、分かったよ! かしこまりました、お姫様!」


アスカ「……」

シンジ「……」モミモミ

アスカ「……」

シンジ「……」モミモミ

シンジ「アスカ」

アスカ「なによ?」

シンジ「勘違いじゃないと思うけど……これ、楽しくないよ」

アスカ「ウソでしょ!?」

シンジ「驚くとこなんだ」

アスカ「涎を垂らしながら喜ぶのが普通よ」

シンジ「アスカは梅干しかなにかなの?」

アスカ「……しょうがないわね。じゃあ、やめていいわよ」

シンジ「助かった」パッ

アスカ「さて、次の命令はどうしようかしら」

シンジ「ゲームは続行なんだ」

アスカ「そうね、じゃあ……」

シンジ「?」

アスカ「頭を撫でなさい」

シンジ「ええっ!?」

アスカ「その位置からだと、ちょうど撫でやすいでしょ?」

シンジ「ま、まぁそうだけど」

アスカ「やりなさい」

シンジ「でも、なんのために?」

アスカ「……普段、やらないことをするのは、労力が必要でしょ?」

シンジ「うん」

アスカ「そういうのを敢えてやらせることで、姫側が権力を握ったことを実感するためよ」

シンジ「なる、ほど?」

シンジ「えっと、じゃあ」

アスカ「ええ」


シンジ「……」ナデナデ

アスカ「……」

シンジ「……」ナデナデ

アスカ「……」


シンジ「ねぇ」

アスカ「……ふあっ」ビクッ

シンジ「えっ」

アスカ「あ、いや……なに?」

シンジ「これは、どうすれば終わりになるの?」

アスカ「どちらかが敗北を認めるまでよ」

シンジ「勝負だったの!?」

アスカ「当り前よ。人生とは常に、死ぬかくたばるかでしょ」

シンジ「どっちみち死ぬんだ」

アスカ「いいから、撫で続けなさい」

シンジ「あ、うん」


アスカ「……」

シンジ「……」ナデナデ

アスカ「……」

シンジ「……」ナデナデ


アスカ「ちょっと」

シンジ「なに?」

アスカ「左手、持て余してるじゃない」

シンジ「それは……だって、両手で撫でるのなんて、変だろ?」

アスカ「そういう時は、腕をこう……分かるでしょ?」

シンジ「?」

アスカ「だから……左腕を、私の首に回して」

シンジ「締めればいいの?」

アスカ「んなわけないでしょ!」

シンジ「ええっ」


アスカ「ほら、その……優しく、人形を抱くような感じで」

シンジ「えっと、こう?」ギュッ

アスカ「そう、それよ。そのまま撫でる」

シンジ「……」ナデナデ

アスカ「~♪」


シンジ「……アスカ、これ、ちょっとマズイ気がするんだけど」

アスカ「なにが?」

シンジ「人が見たら誤解しそうっていうか」

アスカ「誤解~?」

アスカ「まさか、カップルがイチャついているようにしか見えないとか、そういうこと?」

シンジ「う、うん」

アスカ「やだー! そんなこと考えてたんだ。へんたーい!」

シンジ「ええー……」

アスカ「そんなだから、クラスの女子に、ムッツリってあだ名付けられるのよ」

シンジ「初耳だよ!?」

アスカ「私の裸をシンジが見たことを話した時の、ドン引きっぷりったらなかったわね」

シンジ「完全にアスカのせいじゃないか!!」

アスカ「大丈夫よ。近づかなければ無害っていう結論に至ったから」

シンジ「近づいたら有害なのかよ……」

アスカ「現に、私はこんな目に遭ってるし」

シンジ「アスカがやらせてるんだろ!!」

アスカ「洗濯の時とか、私の服の匂い、嗅いでるんでしょ」

シンジ「嗅いでないよ」

アスカ「くんかくんか……これがアスカの匂い……はぁはぁ」

シンジ「僕はどんだけ変態なんだよ」

アスカ「くんかく……!? なんだこの加齢臭は! 消え去れ!!」ポイッ

シンジ「ミサトさんに謝れ!」

アスカ「ミサトの名前なんて、出してないんだけど」

シンジ「うっ」

アスカ「へぇー、アンタはミサトから加齢臭がすると思ってるんだ。へぇー、へぇー!」

シンジ「違うよ! ミサトさんは良い匂いがするよ!」

アスカ「なんで知ってんのよ」

シンジ「そ、それは……」

アスカ「……」

シンジ「……」ナデナデ

アスカ「……」

シンジ「……」ナデナデ


アスカ「ねぇ」

シンジ「―――不可抗力なんだ!」

アスカ「はぁ?」

シンジ「洗濯しようとしたら! どうしても匂いは嗅いじゃうだろ!!」

アスカ「……」

シンジ「服に顔を埋めるとかはしてないけど、近づくだけで、大人の香りが漂うんだ……」

アスカ「……」

シンジ「むしろ僕は被害者だよ。あんな匂いを嗅がされて、おかしなことをしてないだけ善良だよ……」

アスカ「……」

シンジ「アス」

アスカ「―――第三ゲーム!!」

シンジ「えっ」

アスカ「離して」

シンジ「あ、うん」

アスカ「よし……じゃあ、どうぞ」パッ

シンジ「?」

アスカ「早く来なさいよ」

シンジ「ごめん、どういうこと?」

アスカ「だから、私の胸に飛び込んできなさいって言ってんの!」

シンジ「ええっ!?」

アスカ「ほら!」

シンジ「流石にそれは……」

アスカ「また逃げるの?」

シンジ「また……?」

アスカ「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」

シンジ「なんでそれをアスカが知ってるんだよ!!」

アスカ「いいから、来いっつってんのよ」ガバッ

シンジ「わっ」


アスカ「……」ギュー

シンジ「……」

アスカ「……」ギュー

シンジ「……」

アスカ「……で?」

シンジ「え?」

アスカ「どっち?」

シンジ「なにが?」

アスカ「だから! 私とミサト! どっちが良い匂い!?」

シンジ「そ、それは……」

アスカ「私でしょ?」

シンジ「えーと……」

アスカ「私よね!?」ギュー

シンジ「痛い痛い痛い! アスカです、アスカです!!」

アスカ「ふふん、そりゃそうよ。この私が、三十路のおばさんに負けるわけないんだから」

シンジ「頭が爆発するかと思った……」

ミサト「―――だーれが、三十路のおばさんですってぇ……!?」

アスカ「げっ!」パッ

シンジ「わっ」


ミサト「私は三十路じゃないわよ! まだ29よ!!」

アスカ「変わんないじゃない」

ミサト「変わるわよ! エヴァとエバーくらい違うわ」

アスカ「……?」

ミサト「と、とにかく、私をおばさん扱いしないで!」

アスカ「気にしてたの?」

ミサト「まぁ、うん……」

アスカ「それは……ごめん、ミサト」

どうもな。多分三時~四時くらいまでやるんで、眠い人はどうぞ。

ミサト「それともう一つ、不純異性交遊は禁止です」

アスカ「し、してないわよ!」

ミサト「思いっきり抱き合ってたじゃない」

アスカ「……清純異性交遊よ」

ミサト「ふーん、そういうことしてたのは認めるんだ」

アスカ「それは……」

ミサト「まぁ、ゲーム形式にしたのは、中々いい考えだと思うわ」

アスカ「……! い、いつから覗いてたのよ」

ミサト「『かしこまりました、お姫様』あたりから」

アスカ「ほとんど初めっからじゃないのよ!!」

ミサト「おほほ」

ミサト「というか二人とも、お風呂まだでしょ。早く入っちゃいなさい」

アスカ「あ、うん」

ミサト「……二人で入るのも、今なら許可するわよ?」

アスカ「ミサト!」

ミサト「はいはい、もう言わなーい」

アスカ「ったく……」


アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「……」


アスカ「一緒に入る?」

シンジ「……遠慮しとく」

アスカ「そう」スタスタ

シンジ(え、え?)

―――翌日


アスカ「ただいまー」

シンジ「おかえり、アスカ」

アスカ「なにしてんの?」

シンジ「映画見てる」

アスカ「ふーん……私も見る」

シンジ「どうぞ」

アスカ「よいしょっと」ポスッ

シンジ「わっ」

アスカ「ふぅ」

シンジ「なんで、わざわざ僕の上に座るの?」

アスカ「アンタがここで見てたってことは、ここが一番映画を見やすい場所じゃない」

シンジ「えーっと」

アスカ「さっすが私! 天才的!」

シンジ「うーん……」

シンジ「あと、痺れそうなんだけど」

アスカ「羽のように軽い私が乗ってるだけなのに?」

シンジ「羽のように軽いアスカが乗ってるだけなんだけどね」

アスカ「しょうがないわね……じゃあ、一旦どくわ」

シンジ「一旦?」

アスカ「んで、体育座り」

シンジ「こう?」

アスカ「で、ちょっと足を開いて」

シンジ「うん」

アスカ「私が間に入れば、完成」ポスッ

シンジ「……」

アスカ「これで、痺れない」

シンジ「あのさ」

アスカ「……」ギロッ

シンジ「ごめん、なんでもない」

シンジ「……」クンクン

アスカ「なに?」

シンジ「そういえば、今日は体育あったなーって」

アスカ「……!」ガバッ

シンジ「え?」

アスカ「……」

シンジ「どうしたの?」

アスカ「私、汗臭い?」

シンジ「そんなことないけど」

アスカ「でも」

シンジ「……あ! ごめん、たしかにいつもと匂いが違うなって思ったけど、別に汗臭いってわけじゃないよ!」

アスカ「……」

シンジ「むしろ、なんかいつもより良い感じだなって思うくらいで」

アスカ「……」

アスカ「ダメ」

シンジ「えっ」

アスカ「シャワー浴びてくる」

シンジ「わざわざ?」

アスカ「技もパワーもへったくれもないのよ!」

シンジ「意味分かんないよ……」

アスカ「ふんっ!」スタスタ


シンジ(そもそも、僕を座椅子代わりにしなきゃいいんじゃないのかな……)

―――数十分後


アスカ「シャワー浴びたてアスカ様」

シンジ「はぁ、どうも」

アスカ「特技は水飛沫スプラッシュ」プルプル

シンジ「わっ! やめてよ!」

アスカ「拭いて」

シンジ「分かったから、こっちきてよ……」

アスカ「ドライヤーもね?」

シンジ「はいはい」

アスカ「あ、お姫様ゲーム!」

シンジ「忘れてるくらいなら、言わなくていいよ」

アスカ「お姫様ゲーム!」

シンジ「……かしこまりました、お姫様」

アスカ「よし」

アスカ「知ってる?」

シンジ「なにを?」

アスカ「女性にとって、髪の毛を触らせるのは、体を触らせることより抵抗があることなんだって」

シンジ「へぇ」

アスカ「個人差もあるみたいだけど」

シンジ「ふーん」

アスカ「良かったわね」

シンジ「なにが?」

アスカ「……話聞いてなかったの?」

シンジ「えーと……髪の毛より、体を触って欲しいってこと?」

アスカ「ヘンタイ! エッチ! スケベ!」ゲシゲシ

シンジ「わっ! なんだよ、なんなんだよ!!」

アスカ「はぁ……スケベシンジがここまでスケベなスケベだと思わなかったわ」

シンジ「スケベがゲシュタルト崩壊しそうだね」

アスカ「まぁいいわ、それより、この映画ってなんて映画?」

シンジ「バタフライ・エフェクト」

アスカ「どんな映画?」

シンジ「過去をやり直せる能力を持った主人公が、色んな人を救うために、過去へ飛ぶ映画」

アスカ「ふーん、で、オチは?」

シンジ「……オチを聞いちゃうの?」

アスカ「うん」

シンジ「それはダメだよ。どうせなら、最後まで一緒に見ようよ」

アスカ「でも、途中からだしー」

シンジ「なら、最初っから見よう。いいでしょ?」

アスカ「まぁ、それなら」

シンジ「じゃあ、巻戻しっと」

―――数時間後


シンジ「……っていう、話なんだけど」

アスカ「なんか、スッキリしないわね」

シンジ「そうかなぁ」

アスカ「マルチエンディングじゃなかったら、イライラして、バカシンジに一発芸でもさせてるところよ」

シンジ「製作者のみなさん、本当にありがとうございます……」

アスカ「でも、過去をやり直せるっていいわね」

シンジ「アスカはなにかやり直したいことがあるの?」

アスカ「……ペンペンに驚かないようにしたい」

シンジ「それは……まぁ、うん……」

アスカ「アンタはなにかあるの?」

シンジ「そうだなぁ……」

アスカ「?」

シンジ「いっぱいあり過ぎて、答えられない」

アスカ「うわっ、もっと、今を懸命に生きなさいよ」

シンジ「でも、やっぱり変えないままがいいかも」

アスカ「どうして?」

シンジ「バタフライエフェクトで、アスカに会えなくなったら嫌だし」

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「それ言ったら、私が喜ぶと思ったでしょ?」

シンジ「うん、ごめん、かなり……」

アスカ「私を喜ばせたいんだったら、そうね……」

シンジ「うん」

アスカ「今月からお小遣い全て献上します、とか」

シンジ「もはや台詞じゃないよね」

アスカ「ご主人様の靴を舐めるのだけが生きがいです、とか」

シンジ「僕が望んでる関係と違うよ……」

アスカ「望んでる関係って?」

シンジ「えっ」

アスカ「ん?」

シンジ「……そこで聞くのは卑怯じゃないかな」

アスカ「私を喜ばせたいんでしょ?」

シンジ「……」

アスカ「ほらほら」

シンジ「望んでいるのは……こう、学校の帰り道で手をつなぐような……その……」

アスカ「へー?」

シンジ「……もう勘弁してよ! お願い!」

アスカ「スケベシンジは手を繋ぐのをお望みなんだ?」

シンジ「スケベじゃないよ、むしろ純情だろ!」

アスカ「手、繋いであげても良いわよ」

シンジ「……ほんと?」

アスカ「一回1000円で」

シンジ「高いよ!」

アスカ「恋人繋ぎなら1500円」

シンジ「あ、それもありなんだ……やらないけど!」

アスカ「じゃ、手を出して」

シンジ「え?」

アスカ「いいから」

シンジ「あ、うん」

アスカ「こんなのが嬉しいんだ」ギュッ

シンジ「まぁ、その……そうだね」

アスカ「私は頭を撫でられる方が……」

シンジ「ん?」

アスカ「……今のは、聞かなかったことにして」

シンジ「わ、分かった」

シンジ「アスカの手は温かいね」

アスカ「……」

シンジ「アスカ?」

アスカ「心が温かい人は手が冷たくて、その逆もまた然りなんだって」

シンジ「へー」

アスカ「傷つくわ……」

シンジ「……!? 理不尽すぎるだろ!」

アスカ「何気ない一言で傷つく人もいるのよ。覚えておきなさい」

シンジ「いや、そうじゃなくて」

アスカ「言い訳しない!」

シンジ「は、はい」

アスカ「よろしい」

シンジ「なんで僕が怒られてるんだよ……」

ミサト「―――アンタ達って、私がいない時、いっつもそんなことしてんの?」

アスカ「げっ、ミサト!?」

シンジ「わっ」


ミサト「ムカツクわね、こっちは頑張って仕事してるっちゅーのに」

アスカ「別に、いつもじゃないわ」

ミサト「そうなの?」

アスカ「週に六回くらい」

ミサト「ほぼ毎日じゃないのよ!」

ミサト「学校でもそんな感じなの?」

アスカ「まさか、学校のみんなに知られるくらいなら、死ぬわよ」

ミサト「そんなに嫌なの?」

アスカ「流石に、この歳で殺人の罪を背負うのはちょっと嫌だけど」

シンジ「死ぬの僕だったの!?」


ミサト「そういえば、外で二人がイチャついてるの、見たことないわね」

アスカ「別にイチャついてないし」

ミサト「今さらそこを否定するの?」

アスカ「イチャついてない!」

ミサト「じゃあ、もうそれでいいわよ。面倒臭いわね」

アスカ「面倒臭くない!」

シンジ(いや、アスカはそうとう面倒臭いよ)

ミサト「内と外の使い分け、しっかりしてるのね」

シンジ「その代わり、外のアスカの相手をするのは辛くって」

アスカ「バカシンジ!」

シンジ「ご、ごめんなさい」


アスカ「ったく……でも、ミサトだってそうでしょ?」

ミサト「え?」

アスカ「公私の使い分け、しっかりしてるじゃない」

ミサト「そ、そうかしら?」

アスカ「家ではダメ人間の見本みたいな生活してるのに」

ミサト「私の評価って、そんなに低かったのね……」

アスカ「私も、それを見習ってるの」

ミサト「あらあら、保護者として少しは影響与えてるのね!」

シンジ「ミサトさんがちゃんとした大人なら、アスカももっと……」

ミサト「シンジくーん? なにか言ったかな―?」

シンジ「い、いえ。別になにも!」


アスカ「ちょっと、バカシンジを怯えさせないでよ」

ミサト「え?」

アスカ「すぐ止まるんだから、こいつの心臓」

シンジ「そんなノミの心臓してないよ!」


ミサト(仲良いわねぇ……)

限界って書き込もうとしたら、さるではじかれてそのまま寝ちゃった。
ほんとごめん。

―――翌日


シンジ「あ、おかえり、アスカ」

アスカ「……」

シンジ「あのさ、実は……」

アスカ「―――シンジ」

シンジ「ん?」

アスカ「お姫様ゲーム」

シンジ「えっ」

アスカ「今から『ドーン』するから、耐えなさい」

シンジ「『ドーン』ってなに?」

アスカ「行くわよ」

シンジ「え、だから『ドーン』って……」

アスカ「ドーン!!」バッ

シンジ「う、うわっ!」


ドッシャーン!!


シンジ「……いてて」

アスカ「ちょっと、耐えろって言ったでしょ」

シンジ「いきなり飛びかかられて、耐えられるわけないだろ!」

アスカ「長州力なら耐えられるわ」

シンジ「できるかもしれないけど!」

アスカ「同じプロレスラーでしょ?」

シンジ「いつ僕がレスラーになったんだよ!」

アスカ「三日前」

シンジ「最近だね!」

アスカ「おっひめ様ゲ~ム」

シンジ「い、いや、今はマズいよ」

アスカ「頭撫ぜる―」

シンジ「だ、だからね、アスカ」

アスカ「お姫様だっこー」

シンジ「アスカ!」

アスカ「そのまま宇宙へ飛ぶー」

シンジ「出来たとしてもやらないよ!」

アスカ「……なによ、さっきから文句ばっかり」

シンジ「文句じゃなくて、あの」

アスカ「?」

ヒカリ「―――あ、その、えーと」

トウジ「お邪魔……させてもらっとるわ」


シンジ「あ、あのね、さっき来たんだ」

アスカ「……」

シンジ「アスカと僕に、話があるみたいで」

アスカ「……」

シンジ「『ドーン』の前に、僕は二人のことを話そうとしたんだよ、本当だからね?」

アスカ「……」

アスカ「ふぅ」スッ

アスカ「―――いらっしゃい、ヒカリ、鈴原」

ヒカリ「う、うん」

トウジ「お、おう」

アスカ「もてなしの準備をするから、ちょっと待っててね」スタスタ


ヒカリ「……」

トウジ「……」

シンジ「……」

アスカ「お待たせ」

ヒカリ「!」

トウジ「!」

シンジ「!」

アスカ「やっぱり、もてなしと言ったら、これよね」


キラーン


シンジ「包丁!?」

アスカ「アンタたちを殺して、私も死ぬわ」

シンジ「スプラッタ宣言!?」

ヒカリ「落ち着いて、アスカ!」

アスカ「ありがとうヒカリ。私、あなたに会えて良かった」

ヒカリ「遺言を残さないで!」


シンジ「あ、アスカ!」

アスカ「……最初の犠牲はアンタ?」

シンジ「違うよ!」

アスカ「じゃあ、なによ」

シンジ「ほ、ほら、二人が僕たちに話があるって言っただろ?」

アスカ「……ああ」

シンジ「トウジ!」


トウジ「お、おう」

ヒカリ「あ、あのー、私たち」

トウジ「正式に付き合うことになってな」

アスカ「へ?」


ヒカリ「流石にまだみんなに言う気にはならないんだけど、二人には言っておこうかなって」

アスカ「……そうなんだ、へー」

ヒカリ「う、うん。それだけ、それだけだから……」

トウジ「ワシらはお邪魔? させてもらうわ」

ヒカリ「じゃあ……」

トウジ「ほんならな!」ソソクサ


ガチャ

バタン


アスカ「……」

シンジ(うまく逃げたなぁ)

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……」


シンジ「アスカ」

アスカ「ん?」

シンジ「とりあえず、その手に持ってるやつ……」

アスカ「刺す?」

シンジ「置くんだよ!」

アスカ「冗談に決まってるでしょ、まったく」コトッ

シンジ「マジな目してたじゃないか……」

シンジ「でも、あの二人もとうとうかぁ」

アスカ「そうね」

シンジ「……どうする?」

アスカ「なにが?」

シンジ「いや、だから、僕たちも……」

アスカ「?」

シンジ「……分かってないふりしてる?」

アスカ「ぜんぜん?」

シンジ「ホントかなぁ」

アスカ「……アンタばかぁ?」

シンジ「えっ」

アスカ「男から言うものだから……してるんでしょ?」

シンジ「!」

てす

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……」


シンジ「ア、アスカ!」

アスカ「……」

シンジ「ぼ、僕と―――」

エピローグ


シンジ「お待たせ」

アスカ「……」

トウジ「おう、センセ。今日はよろしゅうな」

シンジ「うん」

アスカ「……」


ヒカリ「……碇君、碇君」ヒソッ

シンジ「なに?」

ヒカリ「なんで、アスカはムスッとしてるの?」

シンジ「あー……外であんまり遊んだりしないから」

ヒカリ「照れてるの?」

シンジ「たぶん……」

ヒカリ「ふふっ、そっか」

ヒカリ「じゃあ、いこっか」

トウジ「おう」

ヒカリ「鈴原」

トウジ「ん? ああ」ギュッ

ヒカリ「えへへ」ギュッ


シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……」

アスカ「よくもまぁ、公共の場であんなことを」

シンジ「そうだね……」

アスカ「なに?」

シンジ「あ、いや、別に」

アスカ「?」

シンジ「……」

アスカ「ああ、そういえば前に」
アスカ「……しょうがないわね」

シンジ「アスカ?」

アスカ「お姫様ゲーム」

シンジ「えっ?」

アスカ「手、出して」

シンジ「!」

アスカ「……」

シンジ「かしこまりました。お姫様」







終劇

もうこれでシンジ×アスカはお腹いっぱいやでほんま。

なんか自己欲求を満たすスレになってるから、続けてこの前投下中に過疎過ぎて落ちたSS投下するわ。
つまり内容はご察しな上、四時までに投下し終えないといけないから、さるったら途中から携帯で投下する。
というか現時点で捕まってるんで、すぐ携帯に移ると思う。

では。

綾波『~♪』フリフリ



『レイたそテラモエスwwwww』


『パンツ見せてー』


『かわいいいいいいいいいいいいいい』


『ブルマ( ゚∀゚)o彡゜ ブルマ( ゚∀゚)o彡゜』




シンジ「なんだよこれ、なんなんだよ……っ!!」

―――数週間前


ジャーン!!


綾波「……」ビシッ



ミサト「いやぁ、いつ見てもレイのダンスはお見事ねぇ」

綾波「ありがとうございます」

ミサト「うんうん、文句なく満点……と、いきたいところだけど」

綾波「……?」


ミサト「表現力がちょーっち足りないかな? 一点減点っと」

綾波「……!」

綾波「私のダンスは、駄目ですか」

ミサト「技術的には完璧なんだけどねぇ、魂がこもってないというか」

綾波「魂……」

ミサト「見る人のハートを揺さぶるような、そういう要素がないのよねぇ」

綾波「……」

ミサト「ま、訓練でそこまで言うのはアレだし、気にしなくていいわよ?」



ミサト「―――って、あれ、レイ?」

ミサト「帰っちゃたのかしら。まぁいっか」

綾波「……」トボトボ


綾波「魂」

綾波「ハート」


綾波「……」

綾波「私には、ハートがない?」

綾波「……」


綾波「いえ、それはダンスの話」

綾波「……」


綾波「練習、しないと」

―――ジャーン!!


綾波「……」ビシッ



綾波「ふぅ」

綾波「ビデオで、確認」ピッ


綾波「……」ジー

綾波「……」

綾波「……」


綾波「自分では分からないわ」

綾波「……」

綾波「誰かに、見てもらう?」

綾波「……」

綾波「碇、君に」


綾波「……」



『魂がこもってないというか』

『ハートが揺さぶられない』



綾波「……っ!」

綾波「……」


綾波「駄目」

綾波「……碇君には、見せられない」

綾波「どうすれば……」

綾波「……」

綾波「……!」


綾波「インターネット」

綾波「動画共有サービス」

綾波「不特定多数の人間に、自分が投稿した動画を見てもらえる」


綾波「……」

綾波「……」カタカタ

綾波「……」ジー

綾波「色々、あるのね」


綾波「youtube」

綾波「ツイキャス」

綾波「ニコニコ動画……?」


綾波「……」

綾波「ニコニコ動画」

綾波「投稿された動画に、直接コメントを打つことが出来る」


綾波「……」

綾波「これが、よさそうね」

l
綾波「……」カタカタ

綾波「……」

綾波「……」


綾波「ふぅ」

綾波「準備は終わったわ」

綾波「後は、動画を投稿して」カチッ


綾波「……」

綾波「もう、こんな時間」

綾波「寝ないと」


綾波「……」スゥ

綾波「朝」

綾波「……」


綾波「……そう、昨日の夜は動画を投稿したわ」

綾波「どうなっているかしら」

綾波「……」


綾波「五万再生」

綾波「……?」


綾波「よく分からないけど、多くの人に見てもらえたのね」

綾波「コメントを確認しないと」

綾波「……」

『え、めっちゃ可愛くね?』


『大型新人キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!!』


『レオタードたまらんwwww』


『中学生? このエロさで?』


『ごめん、俺は恋に落ちてしまったかもしれない』


『←俺も』




綾波「……」ジー

綾波「すごく、喜んでもらっている」

綾波「なぜ?」

綾波「……」


綾波「でも、私の目的はそうではないわ」

綾波「ダンスを批評してもらわないと」


綾波「……」

綾波「……」


綾波「……あまり、ダンスに関してのコメントがないわ」

綾波「もっと、探さないと」

『可愛いし、ダンスも上手いけど、これじゃない感がすごい』


『見た目に反して、ダンスが本格的過ぎてちょっと引く』


『可愛くてダンスも上手い、それでええやないか』


『なにこの音楽? ボカロの曲で踊れよ!!』


『ブスの嫉妬が酷い』


『もっと楽しそうに踊ってる姿が見たい』



綾波「……」

綾波「楽しそうに、踊る?」

綾波「……」

綾波「魂とは、そういうこと?」

綾波「……」


綾波「他の人の動画を見れば、いいのね」

綾波「……」


綾波「楽しそうに踊る人」

綾波「それは人気がある人」

綾波「魂のこもっている人」


綾波「……」

綾波「再生数が、多い人」カタカタ

綾波「……」ジー

綾波「……」

綾波「楽しそう?」


綾波「よく分からないわ」

綾波「でも、同じような曲で踊っている人が多いのね」

綾波「……」カタカタ


綾波「……ボーカロイド」

綾波「人間の声をもとに、歌声を合成することが出来る」

綾波「誰でもオリジナルの楽曲を作り出せるツール」


綾波「そう」

綾波「全てがオリジナルであることが、人気の出るポイントなのね」

綾波「オリジナル……」

綾波「……」ジー

綾波「……」

綾波「……」


綾波「振りつけは、覚えたわ」

綾波「後は踊るだけ」


綾波「……」

綾波「レオタードは、だめ」

綾波「レオタードに関してのコメントが多すぎる」


綾波「……」

綾波「体操着にしましょう」ゴソゴソ

―――ジャーン!!


綾波「~♪」ビシッ



綾波「ふぅ」

綾波「これで、大丈夫」


綾波「エンコード」

綾波「動画投稿」

綾波「……」


綾波「もう、こんな時間」

綾波「今日は、学校とNERV」


綾波「行かないと」

―――ガチャ


綾波「……ただいま」

綾波「遅くなってしまったわ」


綾波「……」

綾波「……」


綾波「動画を確認しないと」

綾波「……」カタカタ


綾波「十万再生……?」

>
『ブルマとか媚過ぎwwwwだがそれがいい』


『ブルマ( ゜∀゜)o彡゜ ブルマ( ゜∀゜)o彡゜』


『足きれい……すべすべ……踏んで欲しい……』


『きゃ、きゃわわわわ』


『!?』


『おにんにんがにょっきしちゃったお』



綾波「……」

綾波「……そう」

綾波「ブルマは、すごいのね」


綾波「……」ジー

綾波「……」

綾波「……」


綾波「いけない」

綾波「ダンスの評価を、探さないと」


綾波「……」

『ダンスもいいわぁ』


『すげぇキレあるな』


『二作目にしてこの成長とは……』


『心なしか前より楽しそう』


『完璧だわ』


『それはともかく、ブルマがいい』



綾波「……」

綾波「……」グッ

綾波「……」


綾波「私は、良いダンスが踊れたのね」

綾波「魂が、こもったのね」

綾波「……これなら碇君にも」

綾波「……」


綾波「もう、ニコニコ動画に投稿する必要はないわ」

綾波「動画も、きっと、消した方が良い」


綾波「……」

『なにこれ天使?』


『リピート再生が止まらない。助けて』


『この子に出会えたことが、今まで生きてきた中で最大の幸せだと思う』


『愛してる』


『新作も楽しみにしてる』


『次はどんな曲を踊るんだろう』



綾波「……」

>
綾波「みんな、楽しんでいる」

綾波「みんな、楽しみにしている」


綾波「これで、終わりにしていいの?」


綾波「……」

綾波「……」


綾波「……もう一曲」

綾波「もう一曲だけ、踊って」


綾波「それで、最後にする」

綾波「……」

―――数週間後


ケンスケ「おはよう、碇」

シンジ「おはよ、ケンスケ」


ケンスケ「なあ、ちょっと」ヒソッ

シンジ「なに?」

ケンスケ「……直接言おうかとも思ったんだけど、碇に任せた方が良いと思ってさ」

シンジ「?」

ケンスケ「ニコニコ動画って知ってる?」

シンジ「ニコニコ動画?」

シンジ「知ってるけど」

ケンスケ「よく見てるか?」

シンジ「いや、会員になれないと見れないから。名前だけ」

ケンスケ「そうか……あのさ、これ、俺のIDとパスワード」

シンジ「え?」

ケンスケ「これ使って、ニコニコ動画にログインしろ」

シンジ「いいけど、どうして?」

ケンスケ「……それで、綾波レイで検索しろ」

シンジ「綾波?」

シンジ「知ってるけど」

ケンスケ「よく見てるか?」

シンジ「いや、会員になれないと見れないから。名前だけ」

ケンスケ「そうか……あのさ、これ、俺のIDとパスワード」

シンジ「え?」

ケンスケ「これ使って、ニコニコ動画にログインしろ」

シンジ「いいけど、どうして?」

ケンスケ「……それで、綾波レイで検索しろ」

シンジ「綾波?」

シンジ「なんで綾波の名前で検索するの?」

ケンスケ「いいから、検索すれば全て分かる」

シンジ「教えてよ」

ケンスケ「俺の口からは言い出しにくいんだよ!」

シンジ「なんだよ、もう」


ケンスケ「とにかく、帰ったらすぐにだぞ、いいな?」

シンジ「分かった」


ケンスケ「……ま、俺は保存済みだけどな」ボソッ

シンジ「?」

―――ガチャ


シンジ「ただいまー」

シンジ「えーっと、ご飯作るのは……まだけっこう時間あるか」


シンジ「なにしようかな」

シンジ「……」


シンジ「あっ、そうだ」

シンジ「ケンスケに、ニコニコ動画にログインしろって言われてたんだっけ」


シンジ「パソコン、パソコンっと」

シンジ「ニコニコ動画……」カタカタ

シンジ「ログインして」カタカタ

シンジ「……」


シンジ「へぇ、なんか面白そうだな」

シンジ「ふーん」

シンジ「……」


シンジ「いけない、いけない」

シンジ「綾波レイっと」カタカタ


シンジ「……」

シンジ「…………!?」

シンジ「これって、綾波……だよね?」

シンジ「綾波が投稿した動画、なのかな?」


シンジ「……」

シンジ「見てみれば、分かるか」

シンジ「……」カチッ



綾波『~♪』フリフリ



シンジ「―――うわあああああああああああ!!」ガタガタッ

シンジ「なにやってんだよ、綾波!!」

綾波『~♪』フリフリ


シンジ「踊るのをやめてよ、綾波!!」

綾波「~♪」フリフリ




シンジ「お尻をふらないでよ、あやなみぃいいいいいいいいいいい!!!」

綾波「~♪」フリフリ

アスカ「―――ちょっと、なにパソコンに向かって騒いでるのよ、バカシンジ!」

シンジ「あ、アスカ! 助けてよ、アスカ!!」

アスカ「はぁ?」


シンジ「いいから、これ見てよ!」グッ

アスカ「なによ……って」

シンジ「ううう」

アスカ「これ、なに?」

シンジ「あ、綾波が、ニコニコ動画で、ニコニコ動画でぇ!!」

アスカ「……」

アスカ「ちょっと、もっと見せて」

シンジ「うん……」


アスカ「うわ、再生数多すぎ。最大で五十万?」

シンジ「……」

アスカ「顔出しは当たり前のようにやってるし、本名晒しちゃってるし」

シンジ「……」

アスカ「しかも、ほぼ毎日のように投稿してるじゃない。真正のアホね」

シンジ「……」

シンジ「……あれっ」

アスカ「なによ?」

シンジ「この動画の綾波」

アスカ「これが、どうかした?」

シンジ「なんだか、すごく楽しそうじゃない?」

アスカ「……ああ、まぁね」


シンジ「最初はどうかと思ったけど、綾波が楽しそうなら、とやかく言わない方が良いのかな……」

アスカ「……」


綾波『~♪』フリフリ

アスカ「良いわけないでしょ」ピシッ

シンジ「あたっ」


アスカ「そりゃ、ちょっとくらいなら人それぞれだし、良いかも知んないけどね。これは明らかにやり過ぎ」

シンジ「……」

アスカ「顔見せて、本名出して、毎日のように投稿して……個人情報だなんだでうるさいこの時代に、自ら狂ったように情報を発信してどうするのよ」

シンジ「……」

アスカ「自分だけなら百歩譲っていいにしても、個人が特定されると、周囲の人間にも迷惑がかかるの。そこんとこ考えなさい」

シンジ「……」


アスカ「聞いてんの?」

シンジ「あ、うん」

シンジ「そっか、ならやめさせないと」

アスカ「そうね」

シンジ「じゃあ、電話してくるよ」

アスカ「……待ちなさい」


シンジ「なに?」

アスカ「ただやめさせるように言うだけじゃ、生ぬるいわ」

シンジ「えっ?」

アスカ「どうせなら、ネットの恐怖、あいつに味わわせてやりましょ」


シンジ「……?」

『レイちゃん今日もかわいーっ!』


『毎日動画投稿して、大丈夫か?』


『←大丈夫だ、問題ない』


『レイたそのおまんまんに拙者のロンギヌスが』


『レイちゃんの動画に気持ちの悪いコメントを残すな、去れ』


『NG余裕でした』


『レイちゃんの動画が唯一の楽しみ』



綾波「……」

綾波「今日も、楽しんでもらえている」

綾波「今日も、私のダンスでハートが揺さぶられているのね」

綾波「……」


綾波「……」ジー

綾波「……」


綾波「生放送?」

綾波「……リアルタイムで、視聴者とふれあうことが出来る」

綾波「そういうのも、あるのね」


綾波「……」

綾波「……!」ブルブル

綾波「電話?」

綾波「……非通知」

綾波「……」ピッ



綾波「もしもし」


『……』


綾波「どちら様ですか?」


『……』

『れ、レイちゃん?』


綾波「……」


『綾波レイちゃんだよね?』


綾波「はい」


『僕だよ』


綾波「はい?」


『いつも、動画にコメントしてる、僕だよ』


綾波「……」

綾波「すいません、どなたか分かりません」


『な、なんで、僕のことが分からないの?』


綾波「……」


『いつも、僕のために踊ってくれてるでしょ?』


綾波「いえ、あの」


『新作も、僕が踊ってって言った曲、踊ってくれたもんね?』


綾波「……」


『ふぅーふぅー……れ、レイちゃんのことなら、なんでもわかるよ』


綾波「……」ゾクッ

綾波「あ、あの」


『レイちゃんって、第三新東京市に住んでるよね?』


綾波「!?」


『今度、遊びに行ってもいいかな?』


綾波「だ、だめです」


『なんで? 僕とレイちゃんの仲なのに?』


綾波「え?」


『僕たち……はぁっはぁっ、恋人……だろ?』


綾波「……っ!」プチッ

アスカ「―――切れたわ」ツーツ-

シンジ「……」


アスカ「なによ?」

シンジ「そのボイスチェンジャー? どこで手に入れたんだよ?」

アスカ「前にNERVの倉庫で埃被ってたから、かっぱらっておいたの」

シンジ「どうして?」

アスカ「面白そうだったから」

シンジ「……返しておきなよ」

アスカ「こうして役に立ったんだから、これは私に拾われて良かったのよ」

シンジ「はぁ……」

シンジ「あっ」

アスカ「なに?」

シンジ「綾波の動画、消えていく」

アスカ「私の迫真の演技のおかげね」

シンジ「隣で聞いてる僕でも気持ち悪かったもん」

アスカ「この美少女アスカ様に向かって気持ち悪いとは、なによ!」

シンジ「え、演技力あり過ぎって褒めたんだよ!」

アスカ「ちっ」

シンジ「ご、ごめん……」


アスカ「……ま、私は部屋に戻ってるから。アンタはさっさとご飯作りなさい」スタスタ

シンジ「あ、わかった」

>
シンジ「……」

シンジ「うーん」

シンジ「これで、良かったのかな?」


シンジ「……!」ブルブル

シンジ「電話だ」

シンジ「綾波……?」ピッ



シンジ「もしもし、綾波?」


『……』

『碇君?』


シンジ「そうだよ」


『……』


シンジ「綾波?」


『……』


シンジ「どうかした?」


『……』


シンジ「……!」

シンジ「もしかして怖いことでも、あったんじゃない?」


『……』


シンジ「そうなんだろ?」


『……ええ』


シンジ「ねぇ、綾波」


『なに?』


シンジ「大丈夫だよ」


『……』

シンジ「綾波は、なにがあっても、僕が守るから」


『……!』


シンジ「……」


『本当?』


シンジ「うん、約束する」


『……』


シンジ「……」

『電話、切るわ』


シンジ「分かった」


『ありがとう、碇君』プツッ





シンジ「……」ツーツー

シンジ「……」


シンジ「今度、謝らないとなぁ」

エピローグ



『はぁー、レイちゃんいなくなって毎日が灰色』


『有志の再うpでも見てろよ』


『新作が見たいんだよぉおおおおおおお』


『レイちゃんは伝説になった。それだけだ』


『それより、この動画見てみろ。可愛くてエロい』


『←神降臨』


『←ぶひぃいいいいいいいいいいいい』

シンジ「あんなに熱狂してたのに、綾波がいなくなっても、大した影響ないんだね」

アスカ「そういうもんよ。手軽な娯楽は、ハマるのも飽きるのも早いの」

シンジ「ふーん」

アスカ「アンタも最近はまってるみたいだけど、ほどほどにしなさいよ」

シンジ「うん……あ、でもさ」

アスカ「なによ?」


シンジ「アスカって、妙にニコニコ動画について詳しいよね」

アスカ「……っ!」

シンジ「なんで?」

アスカ「それは……」

シンジ「それは?」

アスカ「うるさい!」ゲシッ


シンジ「いたっ!」

アスカ「出かけるんでしょ!? さっさと行きなさいよ!」

シンジ「え、でも」

アスカ「いいから!!」


シンジ「……ニコ厨死ね」ボソッ

アスカ「バカシンジィ!!」

シンジ「行ってきます!」

―――ピンポーン


ガチャ



シンジ「やぁ、綾波」

綾波「ええ」

シンジ「入ってもいい?」

綾波「……」コクリ



シンジ「お邪魔します」

綾波「……」

シンジ「あ……この前のこと、くどい様だけど、ごめんね?」

綾波「いいえ、私も、あの時は少し変だったと思うから」

シンジ「そんなこと」

綾波「碇君たちには、感謝してるわ」


シンジ「……そっか」

綾波「ええ」

シンジ「それで、今日はどんな用なの?」

綾波「……碇君に、踊りを見せたくて」

シンジ「踊りを?」

綾波「ダメかしら」

シンジ「ううん、そんなことないよ」

綾波「そう」

シンジ「……」


綾波「じゃあ」

シンジ「うん」

―――ジャーン!!


綾波「……」ビシッ



シンジ「……」

綾波「どうだったかしら」

シンジ「……綾波は」

綾波「え?」

シンジ「綾波は、うまく踊れないことが悩み……だったんだよね?」

綾波「ええ」

綾波「今も、ダメ?」

シンジ「ぜんっぜん! すごく良かった! 本当に、感動しちゃった!」

綾波「そう」

シンジ「こんなに踊れるのに、どうして悩んでいたの?」

綾波「……」

シンジ「綾波?」


綾波「ちがうの」

シンジ「え?」

綾波「私が、うまく踊れたのは、碇君のおかげなの」

シンジ「僕?」

綾波「最初に、動画を投稿した時は、私のダンスは良くないと言われたわ」

綾波「次に動画を投稿した時は、褒められた」

綾波「次に動画を投稿した時は、もっと」


綾波「なにが変わったのか」

綾波「それは、きっと、人に見せるという意識があったから」

綾波「人に見てもらいたいという、気持ちがあったから」


綾波「……」

綾波「だから、私は」

綾波「碇君の前でなら、いちばん、上手く踊れるわ」



シンジ「……!」

綾波「碇君、私のダンスは、好き?」

シンジ「うん、好きだよ」

綾波「そう」

シンジ「でも、それはダンスが好きだからってことじゃなくて」

綾波「……え?」


シンジ「踊っているのが綾波だから、好きなんだ」

綾波「……!」

シンジ「ねぇ、綾波」

綾波「なに?」

シンジ「今度は、僕にも踊り、教えてくれないかな」

綾波「もちろん、いいわ」

シンジ「ありがとう」


綾波「碇君」

シンジ「うん?」


綾波「……一緒に、踊りましょ?」





終劇

ギリギリ4時までに終わって良かった。携帯でも投下できるとなれば、もうさるは怖くないわ。
当日までにクリスマスネタやりたいけど無理かなー。まぁとりあえず、ありがとうございました。

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