春香「プロデューサーさんは律子さんが好きらしいです」(376)

律子「へえ、新しいジョークね」

春香「りり、律子さん、顔が怖いです」

律子「大体ねぇ、私みたいな仕事人好きになる人いないでしょー」

春香「でも、好きっぽいんです!」

律子「いやいや、何その『ぽい』って」

春香「……」

律子「確信もないのにそういう話しちゃダメでしょ、春香」

律子「こんなに可愛いアイドル達に囲まれてて、私を選ぶなんてありえないわよ」

律子「……まあ、うちのアイドルと付き合ってスキャンダル沙汰は困るけど」

春香「で、でも、この前聞いてみたんです。『どんな人がタイプですか』って!」

律子「あんたも結構ストレートね……」

春香「そうしたら、」

P『メガネかけてる子、かな』

律子「……いやいやいや、ちょっと待って、どういうこと?」

春香「そのままです。メガネかけてる子が良いって」

律子「きっと知的な子を、遠回しに言っただけよ、きっと」

春香「でも、私たちの事務所で知的な人って……」

律子「……あっ」

律子「……ほ、ほら、貴音とか!」

春香「聞いてみました、『貴音さんとかですか?』って聞きました」

律子「……冴えてたわね春香」

春香「聞いたら、」

P『貴音はちょっと不思議なところがあるから』

春香「……って」

律子「まあ、不思議というか、謎のお姫様って感じだもんね」

春香「そして、もちろん聞きました。『律子さんは?』って」

律子「普通はそっちを先に聞くんじゃないのかしら……で?」

春香「そしたら、」

P『はは……』

春香「って言って、何も言わずに仕事に行きました」

律子「そ、それは多分、私のことが苦手だから、悪口になっちゃうと思って言わなかったのよ」

春香「耳は真っ赤でした」

律子「……」

春香「……律子さんのこと、好きらしいです」

律子「ない!」

春香「なくないです!」

律子「ありえないわよ!!!」

P「おい、春香、次の仕事だけど……お、律子」

律子「! ぷ、プロデューサー殿!」

P「はは、春香と話してたのか? いきなり入ってきてごめん」

律子「い、いえ! 区切りついたので! 私はこれで! じゃあね、春香!」

春香「あ、律子さん!」

P「……どうしたんだ?」

春香「……な、なんでもないです」

律子「はー焦ったぁ……」

律子「いきなり来られたらビックリするじゃない!」

律子(ふう、平常心平常心……)

千早「……秋月さん?」

律子「ひゃー!! って、千早か……驚かせないでよ」

千早「ご、ごめんなさい。驚かすつもりはなかったんですけど……」

律子「レッスン帰り?」

千早「はい。ちょっとボイトレを」

律子「またボイトレ? あんたここ最近ボイトレばっかりしてない? ちゃんとバランス良くやらなきゃダメじゃない」

千早「は、はい」

律子「レッスンは食べ物と一緒よ。偏ったらダメだし、しすぎてもダメ。用法用量……って言うと薬っぽいわね」

千早「……ふふっ」

律子「あ、今笑ったでしょ? もうっ」

千早「なんだか、律子もプロデューサーなんだなって」

律子「そりゃ当たり前でしょ。自分のプロデュースしてる子じゃなくても気にするわよ」

千早「そういう気を配るところが、好きなのかもしれませんね」

律子「……気になったこと言っていい? なんで敬語なの?」

千早「あ、いえ、気にしないでください」

律子(……怪しい)

律子「ねえ、千早。あんた春香に何か言われてない?」

千早「!」

律子「珍しく表に出てるわよ、ギクって文字を書いたみたいな顔してる」

千早「……えっと、まあ、ちょっとね」

律子「……プロデューサー殿のこと?」

千早「うん」

律子「はぁ、春香。千早に言ったのねー……」

千早「はい、プロデューサーは胸は中の上くらいが良いと……くっ」

律子「なにそれ、新情報なんですけど」

千早「やはり、プロデューサーも男の人だったということ……」

律子「千早、なんか怒りの方向が違わないかしら?」

千早「律子、中の上って」

律子「え?」

千早「……くっ」

律子「ちょっと、私の胸見た!? わ、私はそんなに大きくないわよ! 中の上なんて……こんな貧相なのに」

千早「……くっっ!!」

美希「じゃあハニーは美希のことが好きなんだね!」

千早「美希」

律子「美希、あんたまたサボってこんなとこに!」

美希「律子、さんは黙ってて。今日はね、千早さんと一緒にボイトレしたの!」

千早「レッスンまだ続けるって言っていたのに、どうしたの?」

美希「ハニーの姿を見かけたから、今日のレッスンはおしまいなの!」

律子「あんたね、そのハニーってのと勝手にレッスンやめるのやめなさい!」

美希「やめるのやめるのやめるの!」

律子「ええい、ややこしい!」

美希「そっかー、ハニーは中の上が好き……で、胸の中の上ってどういうこと?」

律子「わかりやすく言うと、あずささんは上の上よ」

美希「なるほど! じゃあ千早さんは下の下だね!」

千早「」

律子「ちょ、美希!?」

美希「あ、ハニーだ♪」

律子「み、美希、待ちなさい!」

千早「……」

律子「ち、千早、気を落とさないで?」

千早「……今日は、帰ります。なんだか色々と疲れました。この後仕事は無いので、さっさと家に戻って休みます」

律子「そ、そう……お疲れ様」

律子(美希め……千早のガラスのハートをあっさりとぶっ壊したわね)

律子「えっと、美希が行った方にプロデューサー殿は行ったってことは……」

律子「逃げられるわね」

律子「よーしこのまま仕事に戻るわよ」

亜美「律っちゃーん」

律子「あら、亜美と真美じゃない。……どうしたのそのメガネ?」

真美「ふふふ、聞きたいですかな?」

亜美「なんだかんだと聞かれたら!」

真美「答えてやるのが世の情けっしょ!」

律子「なんだかんだとは聞いてないけどね……」

亜美「これはねー、兄ちゃんが好きになるポイントらしいよ!」

真美「兄ちゃんと遊ぶためならこのような小道具にまで手を出しちゃうようになったよ!」

亜美「真美、亜美達も兄ちゃんの虜だね……」

真美「亜美、それを言うなら兄ちゃんは真美達の虜だよ……」

亜美「あ、そっか!」

律子(ま、まずい、このままだと亜美真美ペースに!)

律子「えーっと、それは誰から聞いたの?」

亜美「はるるんだよ」

真美「兄ちゃんはメガネフェチだって」

律子(春香……あの言いたがりめぇ……)

亜美「でも、やっぱり元祖メガネキャラな律っちゃんにはかなわないよ」

真美「真美達じゃ手も脚も、胸も出ないよ」

律子「む、胸は関係ないでしょ!」

真美「律っちゃん顔赤い!」

亜美「ふふふ、なんだか亜美達がセクハラしてるみたいだねぇ」

真美「なんか、エロエロだねぇ」

律子「あーもー、とっとと仕事しなさーい!」

亜美「わー、いつもの仕事お化けに戻った!」

真美「まずいよ亜美、総員退避ー!」

律子「どーも、亜美真美のコントロールが難しいわね……」

律子「……単体でも難しいし」

律子(今度プロデューサーに聞いてみようかしら)

律子「……」

律子(な、なんでよ、なんで顔赤くなってるのよ私!?)

律子「あーもー、バカバカ!」

律子(しっかりしなさい、秋月律子! あんたの目の前にあるのはプロデュースでしょ!)ペチンッ

響「どうしたんだ律子、そんな顔ビンタして。ま、まさか、そういう趣味だったのか!?」

律子「響!」

響「だ、大丈夫だ、見てないぞ。 顔真っ赤にしながら顔をビンタしてる律子なんて、自分見てないぞ!」

律子「バッチリ見てたじゃない……これは、自分を奮い立たせてただけよ」

響「ああ、なるほど。ビックリしたぞ!」

律子「……ダンスレッスンしてたみたいね。汗びっちょり」

響「うん! 真と一緒にやってたら熱くなったちゃったんだ!」

律子「汗ちゃんと拭きなさい、風邪引いたらまずいんだから」

響「うう、誉めてくれるのかと思ったら怒られたぞ……」

律子「私はプロデューサー殿と違って、細かいこと気にするのよ、ほら、ハンカチ」

響「んんっ、うがー! 一人で拭けるぞー!」

律子「はいはい、じっとしてなさい」

響「なんか、律子はお母さんみたいだな!」

律子「響と年離れてないんだけどね……」

響「プロデューサーは母性のある人が好きらしいぞ!」

律子「ま、また新情報……」

響「律子は母性の塊だな!」

律子「なによ、あんまり嬉しくないわよ」

響「がーん、結構良い誉め言葉だと思ったのに!」

律子「よし、これであらかた拭けたわね。これからはちゃんと拭くこと、わかった?」

響「わかったぞ!」

響「あ! これから真と違うレッスンするんだった!」

律子「待たせたら悪いから、早く行きなさい」

響「うんっ、じゃあねー!」

律子「……響って、元気でわんぱくな感じだけど、ちゃんと聞いて良い子だわ」

律子(美希にも見習わせたいわ)

「はは、汗拭いてあげるなんて律子らしいな」

律子「!」

P「おっす。律子も休憩」

律子「ピュロデューサー殿!?」

P「ぴゅ、ぴゅろ……?」

P「春香は合同レッスンに行っちゃったから、ちょっと休憩に来たんだけど」

律子(よく見たら、ここ自販機の前!)

P「何か飲む? 奢るけど」

律子「いや、結構です! 私はもう飲んだので」

P「あーそっか。残念だ」

律子「……残念って?」

P「律子と、話したかったから」

律子(話したかったからーーーー!?)

律子「は、話くらいならしてあげてもいいですよ」

P「そうか? いつもの律子なら『仕事があるので』とか言って、すぐにいなくなりそうだけど」

律子「私ってやっぱりそういうイメージなんですね」

P「うん。でも、働いてる律子って、すっごくイメージできるんだよな」

律子「そんなこと言うために話したかったわけ?」

P「そうじゃないよ」ピッ ガコンッ

律子「……」

P「立ち話もなんだし、座らないか?」

律子「は、はい」

律子(ちょっと待ってよ……!)

P「よいしょ」

律子(ち、近くない? そ、そうでもないのかな?)

律子「よいしょって、おじさんじゃないんですから」

P「はは、疲れちゃうとついね」

律子「そういうこと言ってると、あっという間におじさんになりますよ」

P「ごもっともだなぁ」

律子「……で、話ってなんですか?」

P「あのさ、今日一緒に帰らない?」

律子「……へ?」

P「事務所の開け閉め当番、今日律子だろ? 小鳥さんから聞いた」

律子「そ、そうですけど……待っててくれるんですか?」

P「夜道に女の子一人じゃ危ないだろ、最近は暗くなってきたし、心配だから」

律子「そ、そんな、悪いですよ。私なら平気です、ほら、私なんて狙うやついませんから!」

P「いるよ、いる」

律子「!」

P「……少なくとも、俺だったらね。って、なんか変なこと言っちゃったな」

律子「……」

P「律子?」

律子「プロデューサー殿は、誰でも襲っちゃいそうですけど」

P「そんなことしないって言ってくれよー」

律子「……わ、わかりました。とりあえず一緒に帰ってもいいですよ」

P「そっか。やった」

律子「なんか喜んでます? なにか企んでるんじゃないでしょうね?」

P「純粋に嬉しいだけだよ、律子と帰ることができるのがさ」

律子「……そ、そうですか」

P「んっんっ……ぷはっ、うっし、仕事バリバリ頑張るぞー!」

律子「あ、待ってくださいよ、私も行きますから」

律子(どうしよ、なんなのこれ……)

律子(胸がドキドキして、止まんない……)

・ ・ ・

律子「……」カタカタ

P「……」

律子「……」カタカタ

P「……」

律子「……」カタ

律子「あの、プロデューサー殿。仕事がまったく手についてないみたいですけど?」

P「あ、ごめん」

律子「それに、私のこと見てましたね? なにか顔についてます?」

P「いやいや、何も……はは」

律子(……やめてくださいよ、本当に)

律子(そんな赤い顔されたら、私はどんな顔すればいいんですか)

律子「……あれ、あれ?」

P「? どうした」

律子「なんか、ミスっちゃったみたいです」

P「どれどれ」

律子「い、いいですよ、プロデューサー殿にはわかりませんから」

P「酷い言いようだなぁ……ここじゃないか?」

律子「えっ……あっ、本当だ」

P「はは、たまには役に立つだろ?」

律子「……そうですね」

律子(……こういう時、なんでいっつもこうなるんだろ)

律子(パニクると、いつもこの人が助けてくれる)

律子「……あの、ありがとうございます」

P「!」

律子「ど、どうしたんですか?」

P「珍しいなと思って」

律子「珍しくないですよ、私結構ちゃんとお礼は言ってるはずですよ!」

P「違う違う、律子、ボタンかけ間違えてるぞ」

律子「え? わっ、ほんとだ!」

P「ははは、ちょっとドジな律子って可愛いな」

律子「かわっ……いきなり何言ってるんですか! もー!」

P「さてさて、仕事に戻ろう」

律子「……もうっ」

律子(……はあ、かなわないなぁ)

律子(この人はこれが素なんだし、よく考えてみたらわりと前から言われてるはずじゃない)

律子(でも……)

律子(私のこと好き……らしいし)

律子(そう考えると、胸が……)

・ ・ ・

律子「よし、戸締りオッケー」

P「ちゃんと閉めた?」

律子「はい」

P「よし、じゃあ帰ろう」

律子「はい。……本当に一緒に帰るんですか?」

P「うん。待ってたんだから、今更一人で帰れーとか嫌だぞ?」

律子「そんなこと言いません。でも、もうすこし考えて欲しいなぁ」ゴニョゴニョ

P「ん?」

律子「なんでもないです、行きましょう」

律子「うう、冷えますねぇ」

P「大丈夫か?」

律子「今日こんなに冷え込むなんて思ってませんでしたから、ちょっと薄着です」

P「そりゃやばいな、ちょっと待ってろ」

律子「?」

P「はい、マフラー」

律子「いいですよそんなの! プロデューサー殿がつけてください」

P「律子の体が心配だよ。響に言っておいて、律子が風邪引いちゃダメだろ?」

律子「そ、そうですけど……」

P「あ、でもそっか。俺のマフラーだから、嫌だよな」

律子「そ、そんなことないですよ! 全然……」

P「無理しなくていいぞ?」

律子「いえ、本当に! ううっ……寒いから、やっぱり貸してもらいます」

P「そっか。じゃあ」

律子「え!?」

P「……よし」

律子「じ、自分で巻けますよ……勝手に巻かないでください」

P「つい、やりたくなって」

律子「……あ、ありがとうございます」

律子「はー……」

P「そういえば、そろそろクリスマスだな」

律子 ビクッ

P「?」

律子「そ、そうですね」

P「クリスマスは、きっとTVのオーディションがあるだろうし、ゆっくりしてられないだろうなあ」

律子「仕方ないですよ。休みなんてあってないようなものですから」

P「律子は割り切ってるな」

律子「そうじゃなきゃやってけないでしょ?」

P「そうだな」

律子「そりゃあ、私だってちょっとは休みたいと思いますよ」

律子「でも、私達が休んじゃったら誰があの子達を輝かせるんです?」

P「律子は、他人想いだなぁ」

律子「うっ、誉めないでくださいよ……」

P「こっちまで頑張れる気持ちになるよ」

P「いつもバリバリ仕事して、厳しい時は厳しく、優しい時は優しくて」

P「なんか、毎日律子と仕事できるのって、凄く幸せなのかもって」

律子「……」

律子(ちょ、ちょっと……胸の鼓動! 音でかすぎ……聞こえてないわよね!?)

律子「……私も、その……」

P「ん?」

律子 キュンッ

律子「なんでもないですよ、バカ!」

P「え!? いきなりバカ呼ばわり!?」

律子(め、目が合っただけなのに……)

律子(照れてるの、バレてない? 大丈夫?)

P「……あれ」

律子「!」

P「律子、顔赤いぞ?」

律子「ひぇ?! そ、そんなことないですよっ!!」

ピタッ

律子「ひっ!?」

P「んー……熱は無いかな」

律子「な、無いですし赤くもなってません! おでこに手を付けないでちょうだい!」

P「ご、ごめん。本人が言ってるんだもんな、俺の気のせいだったかも」

律子「もう、プロデューサー殿は……」

P「ははは……あ、あれ、月が綺麗だ」

律子(月が、綺麗……!?)ボンッ

律子「……って、全ッ然月見えてないんですけど?」

P「あ、ほんとだ……」

律子「……プロデューサー殿、もしかして、無理して話しようとしてません?」

P「……そんなつもりないんだけどな」

律子「もう、会話が辛いなら話さなくてもいいですよ。私気にしませんから」

P「……」

律子(好きって言うのは、違うのかもしれないわね)

律子(やっぱり、嫌われてるのかしら? ううん……)

律子(それは無いって信じたいけれど……)

律子(というか、絶対にイヤ)

律子(嫌われたく、ない)

P「待ってくれよ、律子」

律子「なんですか?」

P「あっ……」

律子「ちょっと! 人の顔見て、あっ、って失礼じゃありません?」

P「いやあ……いつもの仕事してる律子の顔じゃないから」

律子「? 私、今どんな顔してますか」

P「……い、いやあ……」

律子「なんですか? 怒らないから言ってください」

P「……可愛いなって」ボソッ

律子「はい? 小さくて聞こえませんよ?」

律子(なによ、また冗談でも言うつもり?)

律子「いいですよ、どっと疲れた顔してようが、明日には元気になりますから」

P「違う!」

律子「なにがですか?」

P「今の律子……仕事中のシャキッとした顔じゃなくて、表情が柔らかくて……」

P「可愛いんだ!」

律子「!」

P「……ご、ごめん。誤解ときたくて、つい大声で」

P「また可愛いって言っちゃったな。冗談だと思うかもしれないけど、本当に可愛いよ」

律子「……プロデューサー殿」

P「ん?」

律子「ちょっと、後ろ向いてください」

P「……う、うん」

律子「私がいいって言うまで、見ちゃダメですよ」

P「わかった」

律子「……」

律子(なんでいきなり、言うのよ……)

律子(いつもより真剣な顔しちゃってさ)

律子(意識し過ぎて、おかしくなりそう)

P「……律子?」

律子「まだですよ!!」

P「う、うん……わかってるよ」

律子(わかってた。わかってたわ……)

律子(私も、前からプロデューサー殿のことが好きだって……)

律子「プロデューサー殿、はっきり聞きます」

P「……なんだ?」

律子「私のこと、どう思ってますか?」

P「……」

律子(聞いちゃった……)

律子(でも、きっと……ダメなんだろうな)

律子(月並なこと言われて、おしまい。でも……今日は、それで終わらせたくない)

P「……大好きだよ」

律子(はへーーーー!?)

律子(ど、どストレートに……だ、大好きって……)

P「事務所で見かける、元気ハツラツとした律子、アイドルにきつく叱ってる律子、困って疲れてる律子」

P「アイドルを誉めてあげる律子、お茶を飲んで一服する律子、仕事をして凛々しい顔してる律子」

P「それに、今こうして一緒にいる律子、全部ひっくるめて、全部好きだ」

律子「……」

P「気持ち悪いよな、気にしないでくれ。それくらい信頼してる……」

ギュッ

P「! 律子!」

律子「バカ! ……プロデューサー殿の、バカ……」

律子「そんなこと言われて、気持ち悪いなんて、思いませんよぉ!」グスッ

P「いや、相当気持ち悪かった気がするんだけど」

律子「プロデューサー殿が気持ち悪くないことなんて、一度もありません!」

P「そ、そうなの!?」

律子「でも……ヘッタクソな告白ですね」

P「はは、こういう経験、無くてさ」

律子「……口下手なのは、仕事に影響しますよ?」

P「律子と一緒に仕事して、すこしはマシになったかなと思ってたんだけどなぁ……」

律子「仕事と恋愛は違いますからねー」

P「えっと、そろそろ向いてもいいかな?」

律子「あ、はい」

P「……律子」

律子「なんですか?」

P「付き合ってくれるか?」

律子「飲みにですか? 未成年ですけど、別にちょっとくらいなら相手しますよ。もちろんアルコール無しで」

P「そうじゃなくて」

律子「もうすこし散歩ですか? 寒いのでもう勘弁なんですけど」

P「そうじゃなくて!」

律子「……だ、ダメです!」

P「えっ」

律子「今言われたら私……どんな反応するかわかりませんから……」

P「……」

律子「ま、また、日を改めて言ってください! その時、ちゃんと返事しますから!」

P「……」

律子「わがままでごめんなさい。でも、今の私じゃ、十分な答えはできそうにないの」

P「ちゃんと考えてから、ってこと?」

律子「は、はい……」

P「……ふふふっ、ははははははは!」

律子「な、なんで笑ってるんですか?」

P「いやあ、律子らしくって。すっごく嬉しい」

律子「な、なんですかそれ!」

P「すぐに『はい、いいですよ』なんて、絶対に言わないと思ってたから」

律子「うっ、鋭い洞察力ですね……」

P「それじゃあ帰ろう。ううっ、寒っ……」

律子「あ、待ってくださいプロデューサー殿」

P「ん?」

ピトッ

律子「くっついたら、寒くないですよ」

P「……律子」

律子「ふふっ、サービスですからね。今日も一日お疲れ様の、サービスです」

P「じゃあ、これから毎日使っても?」

律子「ダメです。明日は私にサービスしてくれなきゃ」

P「ああ、なるほどな、代わる代わる」

律子「そうですよ。こういうのは需要と供給のバランスが大事なんですから」

P「はは、律子らしい言葉だ」

律子「……幸せですか?」

P「うん、とっても。あとは律子が彼女になってくれればなー」

律子「そ、それは……」

P「わかってるって。また今度、だろ?」

律子「……はい」

P「今はプロデューサー同士のお疲れ様ってことで」

律子「はいっ」

P「それじゃあ、帰ろう。家まで送るよ」

律子「そのつもりじゃなかったんですか?」

P「うん、言わなくてもそのつもりだったけどね」

律子「ふふっ、おかしい」

・ ・ ・

律子「今日は……歩いてただけなのに、すっごく面白かったです」

P「俺も、最高の一日だった」

律子「最高って……これからどんどん最高を塗り替えちゃいますよ?」

P「俺も、律子に最高の一日を過ごさせてやるさ」

律子「すんなりとクサいこと言いますね」

P「口下手だから」

律子「ほんと、口下手」

P「それじゃあまた明日」

律子「はい、また明日」

律子「おはようございます。……あら、今朝はみんな早いわね」

真「律子!」

春香「律子さん!」

貴音「律子嬢、おはようございます」

律子「お、おはよう。どうしたの? なんか慌ただしいけれど」

春香「昨日ですね、貴音さんが見ちゃったんです」

律子「え?」

貴音「プロデューサーと律子嬢が、仲良く歩いていたのを、偶然にですが……」

律子「!!」

春香「実はあんなこと言って、もう二人は付き合っていたんですか!?」

律子「いや、そうじゃないわよ!」

真「寒い中を男女二人でくっついて温める……なんて少女漫画な展開! 憧れるなぁ!」

貴音「申し訳ありません、まさかお二人の関係がそこまで発展していたなんて……」

律子「貴音、本当に見たの?」

貴音「昨日は月が綺麗でしたから、ぼんやりと眺めていました」

貴音「しかし、暗雲によって月光が遮られると、その時、お二人の姿を」

律子「……」

春香「固まってます?」

真「図星だったのかな?」

律子「そ、そんな事実は、一切、ありません!! メガネ掛けた女の子と男の人なんて、どこにでもいるから!!」

春香「うう、その気の動転っぷり、怪しいです……」

律子「あ、怪しくなんか……」

真「でも、律子なわけないよね。律子は仕事一筋! 恋愛なんてまっぴらごめん! って感じだし」

貴音「まこと素晴らしい、仕事の鑑です」

律子「誉められてるんだかわかんないわね、それ……」

P「お、おはようございます! 美希、離れろって!」

美希「いーやー、ハニーに中の上でアピールするのー!」

P「うわああ! やめろって!」(胸が当たってる!!)

P「あっ、律子、おはよう! みんなもおはよう」

春香「おはようございます、プロデューサーさんっ」

P「お、今日もテンションバリバリだな! そろそろ美希は離れろー」

美希「ミキ、知ってるんだよ、ハニーは中の上が好きって!」

P「なんだそれ?」

律子「ほら、美希、プロデューサー殿困ってるでしょ、離れなさい」

美希「ヤ!」

律子「離れなさい……」

美希「ひっ、今日の律子、さん……なんか怖いの!」バッ

P「ありがとう、律子」

律子「い、いえ、別に……当然のことをしたまでです」

春香「ねえ真」

真「なに春香?」

春香「やっぱりあの二人……」

真「うん、なにかあるね」

春香「……はぁ」

P「さて、気を取り直して春香……あれ、テンション下がってる?」

春香「いえー、お気になさらず……はぁ」

P「まずいな、今日仕事頑張れそうか?」

春香「は、はい。できるだけ頑張ります……」

律子(もろ影響与えちゃったみたいね……どうにかしていつも通りに振舞わなきゃ)

しかし、二人が付き合っているという噂は瞬く間に事務所内へ……。

亜美「真美、月が綺麗だね!」

真美「えー月なんて見えてないよー」

亜美「ホントだー」

真美「もしかして話しよーと無理やり?」

亜美「きゃんっ、バレちゃったかー」

真美「バレバレだよー」

亜美「んっふっふー」

真美「好きー!」

律子「な、なにそれ……?」

亜美「亜美真美新寸劇、月のお散歩だよ!」

真美「それじゃあムーンウォークじゃん!」

亜美「こりゃ一本取られたよー」

律子(この子達の考察が当たり過ぎててどこかで見てたんじゃないかと疑いたくなる……)

・ ・ ・

あずさ「中の上?」

貴音「プロデューサーの好きな大きさだそうです」

あずさ「なんの大きさかしらー?」

貴音「私にも、わからなくて、あずさに尋ねてみたのですが……わかりませんか」

あずさ「ごめんね、力になれなくて」

貴音「いえ……あ、千早」

千早「あら、どうしたの?」

あずさ「あ、千早ちゃん、中の上ってなんのことかしら?」

千早「……いやああああああああああああああああ!!!!!!」

・ ・ ・

やよい「プロデューサー! どうですか? 伊織ちゃんに言われて、メガネをかけてみたんですけど」

伊織「ふんっ、別に理由はないけど、今日はメガネをかけたい気分だったのよ」

やよい「うっうー! 伊織ちゃんとっても似合ってます!」

伊織「やよいもすっごく似合ってるわ」

P「あー、うん。可愛い可愛い」

伊織「ちょっと、何よその反応! この可愛い伊織ちゃんが可愛いメガネつけて可愛く立ってるのよ?」

P「メガネならもう既に色んな人に見せられてるからな……」

やよい「プロデューサー、ちょっとうんざり気味ですね……」

P「いやいや、似合ってるぞ。いつかメガネをかけたコスチュームも考えないとな!」

伊織「……私と反応違いすぎるでしょーー!!」

・ ・ ・

律子「はぁはぁ……」

律子「もう、めちゃくちゃいじられた!」

律子「まさか社長にまでいじられると思わなかったわ……」

律子「お咎めないのはありがたいんだけど……」

律子(このままだと、私の仕事にも支障が!)

P「はぁはぁ……お、おう、律子」

律子「プロデューサー! ああ、よかった」

P「まさか、律子も?」

律子「は、はい。きゃっ」ヨロリ

P「おっと」

律子「あうっ……す、すいません、油断してました……」

P「ヒールで走ったんじゃ、そりゃ疲れるよ」

律子「……あっ」

P「あっ、ごめん」パッ

律子「……あ、ありがとうございます」

P「ど、どういたしまして」

律子「……」

P「……」

律子「あの!」
P「あのさ!」

律子「は、はい?」

P「いや、律子からどうぞ」

律子「いえいえ、あなたから……」

P「俺はいいから……」

律子「じゃあ……」
P「それじゃあ……」

律子・P「どーぞどーぞ」

律子「と、とりあえず待ちましょう。このままじゃ埒があきません」

P「う、うん」

律子「……ふう。じゃあ、私から。これから、みんなとはどういう応対をしますか?」

P「……えっと?」

律子「答えてください」

P「んー……色々とみんな、してくれてるのは嬉しいんだけど、できればその……恥ずかしいからやめて欲しいなって」

律子「はい、私もそう思ってました」

P「律子もか」

律子「だから、仕事場ではできるだけ話をしない。それでいいですか?」

P「えっ」

律子「はい?」

P「……ああ、了解」

律子「?」

律子「あとはそうですね、ちょっと険悪なムードでも出しますか?」

P「なるほど、それならみんな『付き合ってないかも』って、思うな」

律子「いや、まだ実際に付き合ってませんからね?」

P「あ、そうだった」

律子「とにかく、これからできるだけ、二人きりというシチュエーションは避けましょう。今この状態も、なかなかまずいですから」

雪歩「あ、律子さん。どうしたんですか、こんなところにプロデューサーと二人で……あっ、私ここにいちゃまずいですか?」

律子「雪歩は黙ってて!」

雪歩「わ、わかってますぅー!」タタタタッ……

P「……雪歩のこと、蹴散らしてよかったのか?」

律子「……ま、まずい、誰かに言われちゃうかも! それじゃあプロデューサー! またっ」

P「お、おう。無理すんなよー」

律子(……さっき、話はしないって言った時の顔……)

律子(私だって、ちょっとくらいはお話したいですよ)

律子(でも……)

律子「いや、今は雪歩を追うのが先決」

雪歩「はぁはぁ……」

律子「待ちなさい雪歩おぉぉぉぉ」

雪歩「ひーん!? どうして追いかけてくるんですかぁー!」

律子「捕まえたわよ、雪歩!」

春香「あれ? 雪歩に律子さん?」

雪歩「ごめんなさいー! プロデューサーと律子さんが二人でいたこと、誰にも言いませんからぁー!」

春香「!」

律子「そ、それは……」

春香 ダッ

律子「……雪歩ぉぉ……」

雪歩「ひ、ひぃ!?」

律子「あんたは本当に素直な子なんだから……はぁ」

P「さーってと、仕事にとりかかるか」

春香「プロデューサーさん!」

P「ん、どした春香」

ギュッ

P「なんだなんだ?!」

春香「私と一緒にいてください!」

P「いやあの……え?」

小鳥「キャー」

P「小鳥さん喜ばないでください」

春香「プロデューサーさんは、私のプロデューサーさんなんですっ……だから」

春香「だから……」グスッ

P「春香……当たり前だろ。俺はお前のプロデューサーだ」

P「でも、だからって春香のことばかり見てやれるわけじゃない」

P「他のやつらはどうする? お前ばっかりプロデュースして、お前の仲間は見捨てるのか?」

春香「そ、そんなこと!」

P「だったら、離してくれるよな?」

小鳥(うはあああ……プロデューサーさん、説得上手いです!)

P「小鳥さんヨダレ垂らさないでください」

春香「……でも、やっぱり、律子さんが好きなんですか?」

P「はぁ……やっぱり春香がみんなにいったのか?」

春香「うっ、ご、ごめんなさい……そうです」

P「やれやれ。この際言っておくが、俺は律子が……」

律子「あーっとっとと!! プロデューサーなにしてるんですか! 早く仕事やってください!」

P「り、律子」

律子「もーさっさと動いて、働いてくれないと困りますよー!」

P(ああ……律子、タイミング悪い……)

春香「……それじゃあ、プロデューサー、私行ってきます」

P「お、おう」

春香「よーし、頑張るぞー! うわわっ!」コケッ

P「いきなり転けるなよ……あっ」

春香「きゃ、きゃああああ!」

P「見てない! 見てない! というか、春香、よく転けるのにスカートは自殺行為じゃ!」

春香「ひ、酷いですプロデューサーさんー!!」

春香「と、とにかくレッスン行ってきまーす!」

P「おーう行ってらっしゃい」

律子「プロデューサー……」

P「なんだ?」

律子「今、春香の……見ましたよね?」

P「……う、うん」

律子「……ニコニコしてましたよ。あれはどういうことでしょうか?」

P「いや、それは……お、男としてだな……」

律子「知りません」プイッ

P「うわあ、律子ぉ!」

小鳥(空気になりきるのよ、あたし……)

P「……って言われてもなぁ」

P「まあ、しかたない、バンバンやるかぁ」


律子「……はぁ、どうしちゃったんだろ私」

律子(なんであの人が、喜んでただけで、怒ったり……)

律子(し、嫉妬?)

律子(うわー、私のバカバカっ、何してんのよー!)

律子「仕事場に戻りづらくなっちゃったじゃない……」

プルルルルル

小鳥「あ、電話。出ますねー……もしもし、765プロダクションです……はいっ、はい……えっ」

P「どうしました?」

小鳥「新しいオーディションのお知らせをいただいたんですけど……」

P「は、はい?」

小鳥「なんでも、次のオーディションはメガネアイドルを探しているそうで」

P「……メガネアイドル?」

律子「こっそり戻りましょう……そろー……そろー……」

P「律子!」

律子「は、はいっ!?」

P「今すぐレッスン場に行くぞ!」ガシッ

律子「え、ちょっと、なんですか急に!?」

P「……」

律子(な、なんで男らしい顔してるの!?)

律子(へ、変なこと、されないわよね……?)

律子(って、私何考えてんのよっ!)

・ ・ ・

P「さあ、踊れ!」

律子「あのー……」

P「曲はたくさんあるぞ、何にする?」

律子「いきなりジャージ着せられて、踊れって、いくらなんでも説明無しじゃ本当に意味がわからないんですけど」

P「次行われるオーディションがあってな」

律子「えっ、それに私が出るんですか!?」

P「違うんだ、募集してるのは『メガネアイドル』なんだ。しかも真のメガネアイドル!」

律子「……真の?」

P「メガネアイドルって言ったら……俺にとっては、律子しかいない!」

律子「ええ!? でも私はプロデューサーであって……アイドルじゃ……」

P「誰がお前より輝くメガネアイドルがいるんだ! ダテメガネなんて飾りだ! 俺は律子が良い!」

律子「あああああもうっ、離れてください! は、恥ずかしいですからっ……!」

P「ご、ごめん……つい」

律子「はぁ……わかりました。でも、今回限りですよ? オーディションはいつです?」

P「一週間後だ」

律子「一週間!? 早いですよ!」

P「いやいや、律子ならきっと」

律子「プロデューサー甘く見すぎですよ! 私だって、相当ブランクあるんですよ!?」

律子「それにメガネアイドルって、他にもたくさんいるんですから……」

P「そうだなぁ……」

律子「今回のオーディションに上条春菜が上に進んでくることは間違い無いですね」

P「く、詳しいな……」

律子「もちろんです。私の同志でもあるメガネアイドルの動向はバッチリチェックしてますよ」

P「よーし、それに負けないように、これから頑張ろう」

律子「うう……恥じないくらいには頑張ります」

P「何言ってるんだよ律子、勝つんだよ」

律子「本気で言ってるんですか!?」

P「じゃなきゃここまで強引に連れてこないさ!」

律子「いくら頑張っても、一週間で埋まるような差じゃありません! それにきっと、それには大きな審査ポイントがあります」

P「? どういうことだ」

律子「つまり、メガネをフル活用しなければ、オーディション上位は狙えないということです」

P「ふ、ふむ……?」

律子「つまり……私が歌う曲は決まってます」

P「……この曲か?」

律子「はい、この曲は前から歌ってましたから」

律子(それに、今の私にはすっごくシンクロするし……)

P「さて、それじゃあレッスン頑張ろう」

律子「……え、プロデューサー見てるんですか!?」

P「うん、もちろん。さっき歩いてる間に社長にメールで話しつけといたから」

律子「こういう時だけ手が早いんですからぁ……はぁ」

P「はは、ごめんな」

律子「……あの、見てるなら注意してくださいね?」

P「ああ」

律子「……ちゃんと、見ててください。まばたき、禁止ですから」

P「うん」

律子「……~♪」

P「……」

律子「~♪」

P(……なんか)

律子「~♪」

P(……天使がいる)

律子「うわっとと、足絡まっちゃった」

P「……」

律子「えへへ、もう一回お願いします。……プロデューサー?」

P「あ、ああ、悪いっ!」

律子「むっ、プロデューサー今ちゃんと見ててくれました?」

P「ああ……」

律子「本当ですか?」ズイッ

P「お、おおっ! しっかりしっかり! よし、次スタート!」

律子「え、ちょっともうっ! ~♪」

P(……曲が始まると、すぐに表情が変わって)

P(本当に良い笑顔だ……)

律子「……ふう、少し休憩」

P「はい、お疲れ様」

律子「あ、ありがとうございます。んー美味しい!」

P「すっごく良い感じだよ。現役かと思うくらい」

律子「まだまだですよ……ダンス中にメガネくいっができてませんから」

P「な、なんだそれ?」

律子「メガネアイドルというのは、振り付けに自然とメガネをくいっとあげる仕草をするんです」

律子「これ、結構ポイント高いんですよ」

P「し、知らなかった」

律子「次からはやれるようにしますから、ちゃんと見ててくださいね?」

律子「メガネに惚れたら、もう私以外見られなくなっちゃいますよ?」

P「はは、そりゃまいったな」

P(大丈夫だよ、律子。もう、なってるから)

律子「……~♪」

P(どんどん良くなってる……凄い)

律子「~♪」クイッ

P「!」

律子「~~♪」

P「……わ、悪い律子ちょっと席外すな」

律子「は、はい。わかりました」

P「……やばいやばい」

P「……抱きしめたくなるレベルでドキッとした……」

P「あっぶねえ……」

P「ダンスも、歌も、しかもさっきのくいっ……」

P「すこしズレたところから覗く律子の眼を、メガネをクイッとする動作でお茶目に戻す……」

P「メガネ、深いな……!」

律子「プロデューサー……?」

P「ん? おお、律子」

律子「もしかして、私のダンス、ダメでした?」

P「そんなことないぞ、最高だ!」

律子「そ、それは言い過ぎですけど……何か、ダメなところありますか?」

P「……律子、今楽しいか?」

律子「え?」

P「歌って踊って、楽しいと思えたか?」

律子「……正直、楽しくないです」

律子「いえ……楽しく、なかったです」

律子「さっきからずっと、ちゃんとやろう、失敗しないようにしようって思ってやってました」

律子「でも……でも、プロデューサーが見ててくれたから」

律子「プロデューサーに、良いダンスを、歌を見せたいって思ったから」

律子「だから、たくさん声を出しました。思い切り踊りました」

P「……律子」

律子「……勝ちたいって、思いました」

P「……よし、わかった! その気持ちがあれば、一週間で俺たちはトップメガネアイドルになれる!」

律子「プロデューサー!」

P「よーし、レッスンはこれくらいにして、衣装考えよう。大事な勝負だからな!」

律子「はいっ!」

・ ・ ・

あずさ「あら、プロデューサーさん」

千早「? 律子も一緒?」

P「悪い、ちょっと今から衣装をな」

あずさ「ええっ、プロデューサーさん、女装の趣味が?」

P「俺じゃないですよ」

律子「ど、どうも」

千早「! 律子?」

律子「あの、えーっと、色々あってね」

P「実は今度のオーディションが……」

・ ・ ・

千早「なるほど……メガネアイドル。だからジャージなのね」

あずさ「それなら、絶対に出なきゃ!」

律子「はい、できるだけ頑張ります。あ、オーディション終わったらまたバシバシプロデュースしていきますからね」

あずさ「あらあら、どうなっちゃうのかしらー……」

律子「とりあえず、私に合いそうなのを選びますね」

P「それじゃあ駄目だ」

律子「え?」

P「律子自分で決めると必ず無難になる」

律子「うう……じゃあどうすれば?」

P「ここに女子二人がいるじゃないか!」

あずさ「あらー?」

千早「わ、私に服を選べと!?」

P「……」

律子「まあ、もうなんでもいいですよ、どんと来いです!」

あずさ「それじゃあ……んーこれは似合いそう。これも……これも……」

あずさ「あらっ、全部似合いそうで困ったわぁ~」

千早「えっと……キュートな感じだと、律子の知的な感じが消えてしまうし」

千早「だからと言ってキッチリとしていては型にハマリ過ぎているし……うう……」

律子「プロデューサー、明らかに人選ミスです」

P「うん、俺も思った」

・ ・ ・

小鳥「私がしてもいいんですか?!」

P「はい、暇そうだったので」

小鳥「最近、プロデューサーさん私に酷すぎません」

P「いいから選んでください」

小鳥「は、はいー」

律子「確かに、プロデューサーちょっときつくないですか?」

P「あの人こういうの好きらしいから」

律子「ああ……」

小鳥「き、聞こえてるんですけど……決してそういう気はありませんよ!」

P「眼を輝かせながら言うことじゃないですよ」

小鳥「とりあえず……こんなのどうかしら?」

律子「……なんですかこれ」

P「小鳥さんふざけてるんですか」

小鳥「ま、真面目に選びました。それでですね、はい、言ってください!」

律子「ぴ、ぴよぴよ……」

P「ふざけてますね。小鳥さん、ハウス」

小鳥「酷すぎますよぉ!!」

・ ・ ・

真「やっぱりぷりっぷりが一番です!」

律子「こんなの無理ぃ! 恥ずかしすぎる!」

・ ・ ・

雪歩「えっと、右手にドリルを」

律子「嫌」

・ ・ ・

亜美「チャイナ服がいいよー」

真美「いやいやメイド服だよー」

亜美「ドジっ子チャイナメイドってか→?」

真美「んっふっふ、それはやばいっしょー」

律子「おもちゃにされた……」

・ ・ ・

美希「えー、律子、さんはいつもの服が似合うの!」

律子「それじゃあ踊れないでしょうが! あ、でも意外性は……」

P「却下」

・ ・ ・

貴音「秋月律子……貴方は素晴らしき力を持っています。それをふんだんに引き出す服装は……」

律子「こんな感じ?」

貴音「面妖な!」

P「これは?」

貴音「面妖な!」

律子「えーっと、このラーメン柄のお笑いコスプレは?」

貴音「……それですね」

P「却下」

・ ・ ・

響「もちろん、ちょっとワイルドで、それでもちょっと可愛い感じがいいと思うぞ!」

律子「あら、まともな意見ね」

響「む、どういうことだー?」

P「さっきから、みんなにまともじゃないことばかり言われてたからな」

響「なるほど! じゃあ自分はまともだな!」

律子「んー、ワイルドでちょっと可愛い感じ……」

響「お、これとかそのままだぞ!」

律子「げ、原始人じゃないそれじゃあ!」

P「……はぁ、却下」

・ ・ ・

やよい「えーっと、これとか、律子さんに似合いそうです!」

伊織「これは、どっちかと言うとやよいに似合いそうね」

やよい「あ、これは伊織ちゃんに似合いそうだよ!」

伊織「あら、じゃあ着てみようかしら」

やよい「うっうー! じゃあ私も着てみますー!」

律子「……あれ?」

P「二人できゃっきゃされたな……」

律子「……そうですね」

・ ・ ・

春香「私に任せてください!」

律子「春香!」

P「もう頼みは春香しかいない。頼んだぞ!」

春香「はい! これとか可愛いなぁ……」

春香「ああこれっ、すっごく可愛いです! 似合うかな?」

春香「あっ、私じゃなくて律子さんが着るんですよね! 失敗失敗!」

P「た、頼むぞ春香……」

律子(だんだん心配になってくる……)

春香「はぅ! 似合うのたくさんあります……」

律子「……あずささんと被るとは」

P「流石春香……」

春香「さ、さすがって!?」

P「春香、お疲れ」

律子「もう休んでいいわよ……」

春香「ど、どういうことですかー!?」

・ ・ ・

律子「結局みんな頼りにならないじゃないですか!」

P「その言い方は……語弊がないわけでもないから困るな」

律子「とりあえず、早く決めないと……着て練習もしておきたいですし」

P「そうだよな」

律子「……」

P「……どうした?」

律子「プロデューサー、選んでください」

P「……え?」

律子「……私が決めたら、いつもと同じになっちゃうと思うんで」

律子「ほら、私がアイドルしてた頃、プロデューサーいなかったでしょう?」

律子「私をプロデュースするなら、どんな服にするか見てみたいんです」

P「……わかった。文句言わないでくれよ?」

律子「はい、もちろんです」

P「よーし……じゃあ、ちょっと待っててな」

律子「はい」

P「んー……これとかは……むぅ」

律子(ふふっ、あんなに真剣に選んじゃって)

律子(……私って、幸せ者かもね)

律子(かもじゃなくて、幸せ者なんだ……)

P「できた! とりあえず、着てみてくれ」

律子「はい!」

P「思ってたのと違ってたらごめんな」

律子「後悔させないコスチュームにしてくれたんでしょう?」

P「う、うん」

律子「なら、きっと大丈夫ですよ。待っててください」

P「ああ!」

律子「……ん?」

律子「この髪型じゃ合わないわね」

律子「……三つ編みにしよう」

律子「……人前で三つ編みになるの、久し振りかも」

律子「おまたせしました。どうでしょう?」

P「」

律子「……あの、プロデューサー?」

P「か、か……可愛い!!」

律子「んなっ……びっくりさせないでくださいよ! ありがとうございます!」

P「律子、めちゃくちゃ可愛いよ! 自分が選んだ服だから、すこし言いづらいけれど」

律子「あはは、でも、私も気に入ってます。動きやすいし、私のイメージを崩してない感じで」

P「それに……その……」

律子「はい?」

P「三つ編みが……可愛すぎる」

律子「……じゃあいつもは可愛くないんですか!?」

P「いやいや! そうじゃないけど……三つ編みすると、ちょっと幼くなって可愛いなって」

律子「……まあ、誉め言葉として預かっておきます」

律子「にしても、決めるだけで今日一日終わっちゃいましたね……」

P「ああ。でもまだ明日もあるから」

律子「何言ってるんですかプロデューサー。今日含めて一週間だったら、もう六日しかないんですよ!?」

P「ああ、そうだけど。前向きに行こう。少しずつ前進、な?」

律子「うう……プロデューサーは踊らないからそんなこと言えるんです」

P「よくなってきてるし、きっと行けるさ。律子ならやれる!」

律子「……はぁ、なるほどね。プロデューサーの言葉って、なんだか力が湧いてくるみたい」

律子「これが売れっ子プロデューサーのスキルなのかしらね?」

P「はは、どうかな」

律子「じゃあ、戻りましょう」

P「あ、うん」

律子「んー、この一週間仕事できないから、小鳥さんに相当無理させちゃいそうですね」

P「俺がいない時は、一人でやってたんだろ?」

律子「でも、私も手伝ってましたから。私がバリバリレッスンとかやって、小鳥さん大丈夫かしら……」

P「ちょっときついくらいが小鳥さんにはちょうどいいんじゃないか?」

律子「ど、どうなんでしょう……あっ」

P「ん?」

律子「き、着替えるの忘れてました。先に行っててください」

P「ほいほい」

・ ・ ・

律子「おまたせしました」

P「……あー、悪い。律子、一緒に帰れそうにない」

律子「ど、どうしたんですか?」

P「ほら、見てみろ」

律子「あっ……」

美希「……」

P「入り口で俺を待ってるらしい。美希と一緒に帰るから、今日はいいか?」

律子「は、はい。そういえば、できるだけ接しないようにしてたんですよね」

P「ああ、すっかり忘れてたけどな」

律子「私もです」

美希「ハニー! 待ってたの!」

P「美希、こんな時間までどうしているんだ?」

美希「ミキね、今日はずっとソファでおねむだったの。だから起きたらみんないなくて、それでね」

P「だからこんな時間までいた……と」

美希「うん!」

P「服決める時に起こしたのにその後寝たのか……まったく」

美希「えへへっ」

P「誉めてないぞ……」

美希「でも、ハニーと一緒に帰れるなら、ラッキーなの!」

P「まあ、お前を一人で帰らせるのもまずいからな。じゃあ、帰ろう」

美希「やったー♪」

律子「……」

小鳥「すいません、私が起こせば……」

律子「小鳥さんは悪くないですよ。美希がこんな時間までグーグー寝てたからですよ」

小鳥「……あっ、今日は私が鍵閉めるので律子さんも帰っていいですよ?」

律子「あ、はい。あの、事務のお仕事一人でやらせてすいません」

小鳥「ああ、気にしなくてもいいですよ。一人は慣れてますし……はぁ」

律子(なんか、違う響きを感じるわね……)

小鳥「それに、律子さんがアイドルとして見れるの、楽しみにしてますから」

律子「小鳥さん……」

小鳥「だからこそ、頑張ってください! 応援してますから!」

律子「はいっ!」


律子「よーし、頑張ろう!」

律子「家で明日の練習プランを考えましょう」

律子「あっ、もちろん十分睡眠も大事ね。お風呂にもつかって体の疲れをほぐして……」

律子「風呂上がりにはストレッチでクールダウンを入念に!」

律子「うん、完璧ね」

律子「……」

律子「帰りたいのに、どうしてかしら」

律子(プロデューサーが気になって、家に向かえない)

律子(美希と一緒にいたって平気よ。うん。)

律子(……ま、まあちょっとした暇潰しよ暇潰し。それ以上の感情は、まったくないんだから)

律子(あまり遠くへは行ってないはず……)

律子(あっ、いた)

美希「♪」

律子「う、腕組んで……むう、美希めっ……って嫉妬はダメよ秋月律子。平常心、平常心」

律子「ま、まあ美希のことだからいつものことだしね」

律子(こんなことで妬いてたら、いつも妬いてることになる)

律子「……というか、プロデューサーも満更じゃないんじゃない」

律子「まあ、そうよね。美希、可愛いし元気で積極的だし……」

律子「ちょっと言葉遣いとか、色々難があるけど」

美希「……♪」

律子「ん……?」

美希 チュッ

律子「!!!」

律子(えっ……えっ……?)

美希「♪」

律子(今、キス……)

律子「……」

ダッ

律子「……」

律子(キス、した)

律子(キス、してた)

律子(プロデューサーと美希が……)

律子「……」

律子「どうしよう」

律子「全然、お風呂とか入る気にならない……」

律子「寝よう……このまま」

律子「……おやすみなさい」

律子「……はぁ」

・ ・ ・

律子「!」

律子「嘘、もうこんな時間!?」

律子「やばい、なんでアラームついてないのよ! 最悪っ……」

律子「さっさと着替えて、行かなきゃ……」

律子(……あっ)

律子「……」

律子「行かなくても、いいかな」

律子(……あんなの見たら、もう……)

律子「やる気なんか、出てこないわよ……」

プルルルルル!

律子「!」

律子「プロデューサー?」

律子「……」

律子「出なきゃ」

ピッ

律子「も、もしもし」

P「おはよう、律子」

律子「! ……おはようございます、プロデューサー」

P「どうしたんだ、もしかして寝坊か?」

律子「……」

P「……律子?」

律子「は、はい、ごめんなさい。もう少し遅れるかもです」

P「そうかぁ。了解。急いで怪我しないようにな」

律子「春香じゃないんですから、大丈夫ですよ」

P「そうだな、じゃあ、待ってるから」

プツッ

律子「……」

律子(待ってるから……か)

・ ・ ・

律子「……でもやっぱり行っちゃうのよね、私」

律子(ちゃんと聞けば、こんな気持ちにならなくてすむのに)

律子「はぁ……自分の性格が嫌になる」

律子「……あら?」

あずさ アタフタアタフタ

律子「あずささん、また迷子……?」

律子「あずささん!」

あずさ「あっ、律子さん。おはようございます。今朝も早いんですね」

律子「あずささん、もう大分時間経ってますよ?」

あずさ「ええっ!」

あずさ「ま、まあ……だから人がたくさんいたのね」

律子「もうみんな活動し始める時間ですからね」

あずさ「でも、よかったは。律子さんに会えたから、これで事務所に行けます」

律子「もう、一人で行けるようになってください」

あずさ「頑張ってるんだけどね……」

律子「あずささんいつ失踪とか言われてもおかしくないですよ……」

あずさ「あらまあ……怖いですねぇ」

律子「怖いのはこっちも同じですよ……」

・ ・ ・

律子「おはようございます」

あずさ「おはようございます~」

P「律子! おはよう。 あ、あずささんも!」

あずさ「おはようございます、プロデューサーさん」

律子「どうも」

P「良かった。それじゃあ早速レッスンに行こう。服着替えたらすぐにな」

律子「は、はい」

P「……どうした?」

律子「あ、いえ、なんでもないですよ」

P「そうか? ああ、そうそう」

P「今日はダンスを現役時代、いや、それ以上にするために特別コーチを用意しました!」

響「おっす! 自分がいるからには最高のダンスにしてやるさー!」

真「律子のダンス、バリバリかっこよくて可愛く、イカしたダンスにしちゃいますよー!」

律子「ちょ、ちょっとプロデューサー! この子達のダンスって激しいじゃないですか!」

真「まあまあ」ガシッ

響「やったら楽しいぞ」ガシッ

律子「う、嘘よね!? いやよ、いやああああああ!!」

・ ・ ・

律子「はぁ……はぁ……」

P「お疲れ様! 凄い汗かいたな」

律子「こ、ころしゅきですかぁー!」

P「とりあえずこれ飲んで。次は歌だ」

律子「歌?」

P「それじゃあ、お願いします」

千早「はい」

律子「千早!」

千早「これから一音でも外したらいけませんよ」

律子「一音って……あんたじゃないんだから」

千早「いきますよ。まずは慣らしから……あー♪」

律子「……あ、あー♪」

・ ・ ・

律子「あー……」

P「おしおし、お疲れ様。はい、水」

律子「ふぅ……腹式呼吸ってなかなか難しいですね」

P「お疲れ様、さ、次はビジュアル特訓だ」

律子「び、ビジュアル特訓……」

P「というわけで呼んでます」

美希「やっほー! 律子、さん」

律子「!!! み、美希?」

美希「今日は律子、さんのことビシビシいじめちゃうからねー!」

律子「……」

美希「……?」

律子「あ、うん……お願いするわ」

P「じゃあ、頼んだぞ、美希」

美希「うんっ、ハニーのためならなんでもしちゃうの」

律子(ハニーの、ため……)

美希「ここは、ちょっと上目遣いで~」

美希「なのっ☆」

律子「上目遣いで……なのっ?」

美希「んー、律子、さんちょっと固いの」

律子「あんたみたいに上手くやれないわよ」

美希「誰だってできるの! ハニーだってできるよね?」

P「うえっ、俺か?」

美希「うん。上目遣いで……なの☆」

P「う、上目遣いで……なの☆」

美希「きゃはっ、ハニー可愛いの!」

律子「……ぷふっ」

P「あ、律子! 笑うことないだぞ! 一生懸命やったんだぞ!」

>>329
笑うことないだぞ
じゃなくて
笑うことないだろ
です


あとごめん、明日も早いんだ。
帰ったら速攻書く。今日中に、日を跨ぐかもだけど終わらせるから……おやすみ

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

おはよう。 でもごめん、今日一日詰まってて、どうしても夜じゃないと書けないんだ。
一応昨日で終わらせようと思ってたんだけど思ったより長くなっちまった。申し訳ない。

律子「だって……プロデューサーが……なのっ☆って……ぷくくく……」

P「うわーやめろー!」

律子「……ふう。落ち着けました。よーし……上目遣いで……なのっ☆」

美希「あ、良くなったの!」

律子「ふふ、ザッとこんなもんよ」

P「うん、良いぞ」

律子「良いと思うなら目を合わせて言って欲しいですね」

P「あ……お、おう」

P(か、可愛くて直視できん……)

律子「……」

律子(頑張っても、可愛いって、言ってくれないんですね)

律子(って、私なに求めてんのよ!?)

美希「じゃあじゃあ、次は……」

律子「なんでもきなさーい!」

美希「……ハニー、ミキのこと、好き?」モジモジ

律子「へ?」

P「お、おいいきなり……」

美希「さ、律子、さん! やってみて!」

律子「え……こ、これをやるの?!」

美希「当たり前なの。特別にミキのハニーを使ってもいいよ!」

P「俺は物か……」

美希「さ、ハニーはここに立つの!」

律子「え、ええっ……」

P「……」

律子「……」

美希「律子、さん! ゴーなの!」

律子「……こ、これは本意じゃないですから」

P「あ、ああ……」

律子(流石にハニーとは言わないわよ……)

律子「だ、ダーリン……」

P キュン

律子「わ、私のこと……」

美希「名前、名前なの!」

律子「うう……り、りつこのこと……」

P「……」

律子「好き?」モジモジ

P「好き!」

律子「!」ボンッ

美希「ずるいのっ、ハニーサービスし過ぎなの! ミキにも言ってー♪」

P(と、咄嗟に言ってしまった)

律子(ふ、不意討ち過ぎて……頭真っ白……)ドキドキ

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