璃緒「眠れないの」 凌牙「は?」 (40)

璃緒「だから全然眠たくないの。お目目がパチクリボーなのよ、凌牙」

凌牙「……で?」

璃緒「眠くなるまで構って」

凌牙「断る。さっさと自分の部屋に帰れ」

璃緒「残念ながら凌牙に拒否権はありませ~ん」ポスン

凌牙「おい、勝手に人の布団にダイブするな。そしてそのままゴロゴロするな、シワになるから」

※若干のキャラ崩壊注意

凌牙「明日も学校だし、俺は早く寝たいんだが?」

璃緒「それは私も同じよ。つまりお互いの利害は一致しているという事ね」

凌牙「いや、お前が部屋に帰れば少なくとも俺の問題は解決するんだが?」

璃緒「ありえないから、私を放っておいて凌牙だけ眠るなんて。
凌牙が構ってくれるって言うまで私はここでゴロゴロし続けるからね」ゴロゴロットン

凌牙(何で俺の妹はこんな面倒な性格になったんだろうか?)

凌牙「眠れないのは元気が有り余っているせいだろ。軽く運動でもしたらどうだ?」

璃緒「成る程、それは一理あるわね……なら体力を消費する為にも夜のライディング・デュエルでもしない?
一緒にアクセラレーションしましょうよ、凌牙」カモーン

凌牙「アクセラレーションしてんのはお前の頭の中だけだ。
あんまりふざけた事ばかり言ってると、無理やりでもここから追い出すぞ」

璃緒「もう、軽いオモシロ・ジョーク何だからそんな怖い顔で睨まないでよ。
でも身体を動かすにしても家の中で出来る事なんてそんなにないし……」

璃緒「そうだ、これから一緒に夜の散歩に出掛けましょう」

凌牙「何だと?」

璃緒「そうと決まれば善は急げ、早速準備するわよ。外は寒いから凌牙も温かい恰好に着替えときなさい」

凌牙「おい、何勝手に決めてんだ。俺は行かねえぞ?」

璃緒「え、何で?」

凌牙「当たり前だろ。こんな寒い夜に誰が好き好んで散歩になんか出掛けたいと思うんだよ」

璃緒「私が好き好んでるのよ。まあでも、凌牙がどうしても行きたくないっていうなら別に来なくても良いわよ。
それなら私一人で行くだけだから」

璃緒「もっとも、凌牙がこんな時間に私一人を外に出してても平気だって言えるならだけどね」フフン

凌牙「その兄を見透かした様な得意気な顔、イラッと来るぜ」

…………

凌牙(結局押し切られて一緒に出掛ける羽目になっちまった……)

璃緒「当り前だけど辺りは真っ暗ね! この夜の独特な雰囲気、オラ何だかワクワクして来たぞ!!」

凌牙「少しは静かにしろよ。近所迷惑だろうが」

璃緒「ねえ、一緒に歌わない? 凌牙って結構歌唱力高いし」ダーマス!

凌牙「だから人の話を聞けって。つーかお前、いくら何でもテンション上がり過ぎだぞ」

璃緒「あら、知らないの? 嬉しい時や楽しい時は素直にテンションを上げないと女が廃るのよ♪」

凌牙「お前、あんまり考えずに発言してるだろ?」

璃緒「それにしても今日は快晴ね。珍しく星もたくさん見えるわ」

凌牙「まあ寒い日は星が良く見えるもんだからな」

璃緒「そうだ、せっかくだし高台の方に行きましょう。今ならきっと景色も素晴らしいはずよ」

凌牙「高台? 歩いて行くには微妙に遠いと思うんだが……」

璃緒「よし、途中でコンビニにでもよって何か温かい物を買ってから上がりましょう。
フフン、何だかさらにテンションが上がって来たわよ~♪」スタタッ

凌牙「おい、急に走り出すな。待てよ、こら」

…………

璃緒「そんなこんなでコンビニに到着しましたわ」

凌牙「誰に言ってんだ、お前?」

璃緒「誰でも良いじゃない。それより夜のコンビニの明かりって何だか妙な安心感があるわよね」

凌牙「まあな」

璃緒「それじゃあ私は適当に色々選んで来るから」

凌牙「なら俺はここで立ち読みでもしてるよ」

璃緒「あら、雑誌なら立ち読みするより購入した方が良くない? 立ち読みだと『使えない』し」

凌牙「成人向けコーナーを凝視しながら言うな。立ち読みすんのは普通の少年誌だよ」

凌牙(合併号の時期だからどれも読んだやつばっかりだな……)パラパラ

璃緒「りょーがー」チョンチョン

凌牙「ん、買うもん決まったのか?」

璃緒「うん、缶コーヒーとお菓子。ついでに明日の分のパンも確保したわ」

凌牙「随分籠に入れたな。散歩の途中なのにそんなに買って大丈夫か?」

璃緒「問題ないわよ。荷物持つのは凌牙だし」

凌牙「おい」

璃緒「とりあえずレジに行って来るわね。ついでに肉まんも買っておくわ、勿論凌牙の分もね」☆-(´>ω・`)b

凌牙「買わなくて良い。買わなくて良いから籠の中のものを少しでも良いから減らしてくれ」

…………

璃緒「肉まん美味しい~♪」モキュモキュ

凌牙「それは良かったな」

璃緒「本当寒い日の肉まんって最高だわ。凌牙も買えば良かったのに」

凌牙「俺は缶コーヒーだけで十分だ。それにこんな時間にそんな物食べたら太るし」

璃緒「くっ、人がせっかく考えない様にしていた事をさらっと言うなんて……凌牙のKY!」プンスカブックス

凌牙「そいつは悪かったな」

璃緒「……ねえ、凌牙。やっぱりこの肉まん半分あげるわ」

凌牙「いらねーよ。お前一人で食べろ。そしてブクブク太れ、豚の様に」

璃緒「もう何で可愛い妹相手にそんな意地悪な言い方するのよ!」

凌牙「これでも一応札付きの悪だからな。それと可愛いとか自分で言うな」

璃緒「ちょっとで良いから食べてよ~」グイグイ

凌牙「もう半分以上食べてるんだから、俺が少しくらい食べても変わらないだろ?」

璃緒「良いから食べなさいよ。今なら私と間接キスも出来るわよ?」

凌牙「うわぁ……余計食べる気なくなって来た」

璃緒「本気で嫌そうな顔しないで! さっさと口を開けなさい、ほら!」アーン

凌牙「仕方ねーな。じゃあ一口だけ……むぐっ!?」

璃緒「フフン、良く味わって食べなさい♪」

凌牙(この野郎、残った肉まん全部口に突っ込みやがって……!?)ムネドンドン

璃緒「さてと、お次は星空の下で開封式といきましょう」ガサゴソ

凌牙「何だ、パック買ったのか?」

璃緒「1パックだけね」

凌牙「何か欲しいカードでもあるのか?」

璃緒「いや、別にこれといってないんだけど、目の前でパックが売られていたら何となく手が伸びない?」

凌牙「……分からなくもない」

璃緒「さて、中身は何かな~と♪」ビリビリ

璃緒「う~ん……」

凌牙「タイダルか」

璃緒「少し前なら飛び跳ねるくらい嬉しかったんだけど……」

凌牙「つい最近GSで他の征竜と一緒にばらまかれたばかりだしな」

璃緒「再録前は中々当たらなかったのに……これも物欲センサーが関係しているのかしら?」

凌牙「まあスーレアの方がまだ貴重なんだし、普通に持っておけば良いんじゃねえか?」

璃緒「そうね。ところで征竜の勢いって準制限指定で果たして抑えられたのかしら?」

凌牙「駄目だったら4月まで待てば良いだけの話だ」

璃緒「何かいい加減ね。まあこのゲームのルール自体がわりと……」

凌牙「それ以上は言うな」

…………

璃緒「なんやかんやで高台の入り口に到着しましたわ!」

凌牙「だから誰に言ってんだよ……しかし思ったより早く着いたな」

璃緒「話をしながら行けばこんなものよ。さあ、早く上がって……ん?」

凌牙「どうした?」

璃緒「ねえ、今さっきあそこの茂みで何か動かなかった?」

凌牙「はあ? 気のせいじゃ……」

ガサガサ……

凌牙「……ないみたいだな」

璃緒「何かしら、何かしら? 私、気になります!」

凌牙「落ち着け。お前何でまたテンション上がってんだ?」

璃緒「だってこんな人気のない場所で何かが動いてるのよ? うごめいてるのよ?
何だかワクワクするじゃない!」ムハー

凌牙「普通そこは気味悪がるところだぞ? どうせ何かの動物か、さもなきゃオボット辺り……」

璃緒「ハッ! もしや野外プレイ!?」カンコーン

凌牙(……妹は思春期)

璃緒「これは詳しく調べてみる必要があるわね。私、ちょっと覗いて来るわ!」

凌牙「馬鹿、止めろ。何か分からないんだから危ないだろ?」グイッ

璃緒「ちょっと覗くだけだから。先っぽだけだから」

凌牙「何の先っぽだよ。良いから無視してさっさと高台上るぞ」

璃緒「あっ、待って。茂みから何か出て来るわ。さあ、謎の正体は果たして……」




猫「にゃー」

璃緒「」

璃緒「い、いやあああああぁぁぁ!?!?
ね、猫!? 猫、猫ぉぉぉ!!!」アタフタ

凌牙「いきなり人の腰に抱き着くな。それと夜中に叫び過ぎだ、静かにしろ」

璃緒「わ、わ、わ、私が猫苦手なの知ってるでしょ!? 早く、早くそいつを追っ払ってよ、凌牙!!」ガタブルーアイズ

凌牙「もう逃げて行ったよ。あれだけ騒げば猫の方がビビるぜ」

璃緒「ほ、本当? 何処かに隠れて待ち構えていたりしない?」キョロキョロ

凌牙「……あ、良く見たらお前の後ろに居たわ」

璃緒「きゃあああぁぁぁぁ!!!」

凌牙「すまん、嘘だ」

璃緒「~~~!!(涙目」ポカポカ

璃緒「信じらんない……今度あんな嘘ついたら凍らすから」グスン

凌牙「毎日散々振り回されてんだから、これくらいの仕返しは許せ。
しかしお前、いくら何でも怖がり過ぎだろ?」

璃緒「むぅ、しょうがないでしょ……苦手なものは苦手なんだもん」

凌牙「ほら、さっさと立てよ。何時までも冷たいとこに座ってると痔になるぞ?」

璃緒「もう、女の子にそういう事言わな……」

凌牙「ん、どうした?」

璃緒「……立てない」

凌牙「は?」

璃緒「……腰、抜けちゃったみたい」

凌牙「…………」

…………

凌牙「はぁ、はぁ……ちっ!」

璃緒「舌打ちしないの。お行儀が悪いわよ、凌牙」

凌牙「舌打ちくらいしたくなるぜ。何でこんな寒い夜にコンビニの袋片手に妹を背負って高台まで上らないといけないんだよ?」

璃緒「仕方ないじゃない、私動けないんだし。
それにここまで来て高台に上らないのも何か悔しいし」

凌牙「本当にお前は……はぁ、はぁ……我が儘だよな」

璃緒「何軽く息上がってるのよ。男の子何だから頑張りなさい」

凌牙「お前が重いんだよ」

璃緒「警告ー。それこういう時に絶対言っちゃ駄目な言葉だからー」ブーブー

璃緒「それに悪い事ばかりでもないでしょ? こうやって私と堂々と引っ付く事が出来るんだから」

凌牙「それの何処が良いのか俺にはさっぱり分からねーよ」

璃緒「えー嬉しいでしょー。ほらほら、中学生の柔肌が凌牙の背中に密着してるのよー。
これで喜ばない男子はいないでしょー」スリスリ

凌牙「擦りつけるな、歩きにくいから」

璃緒「もう、凌牙ったら照れちゃって♪」

凌牙(マジでこの場に置き去りにしてやろうか、こいつ)イライラ

璃緒「…………」

凌牙「…………」

璃緒「……ねえ、凌牙」

凌牙「……今度は何だ?」

璃緒「凌牙の背中って正直そこまで居心地は良くないのよね。凌牙、細身だし……」

凌牙「何だ、振り落とされたいのか?」

璃緒「でも凌牙の体温はやっぱり好き。何か落ち着ける」

凌牙「…………」

璃緒「だからこの背中は私専用よ……忘れないでね」ギュ

凌牙「……勝手にしろ」

…………

凌牙「はぁ、はぁ……やっと頂上に着いた……」

凌牙(明らかに昼間より体力使った気がするぜ、畜生)

凌牙(しかもわざわざ上がってもめぼしいものなんて何も……)

凌牙「…………」

凌牙「へぇ」

凌牙(星なんか何処から見ても変わらないと思っていたが……これがどうして、結構良いもんじゃねえか)

凌牙(何だか星がぐっと近づいた気がする。それこそ手を伸ばせば届くくらいに)

凌牙(夜空一面に広がる星……星の大海、か)

凌牙「これなら頑張って上ったかいがあった、かもな」

璃緒「…………」

凌牙「璃緒?」

璃緒「すぴー……」

凌牙「寝てんのかよ!?」

凌牙「こいつはここまで来て……おい、起きろ。着いたぞ、高台だぞ、星だぞ?」ユサユサ

璃緒「Zzz……」

凌牙(駄目だ、完全に熟睡してやがる。これは無理に起こさない方が良いかもな)

凌牙(まあ元々散歩に出たのはこいつが眠れないからだし、結果オーライと言えるかもしれないが……)

凌牙「……っくしゅ!」

凌牙「ずずっ……そして景色は良いがやっぱり寒いな」

凌牙「…………」

凌牙「帰るか」ハァ

凌牙(しかし帰りはこいつを背負ったままで話し相手すら居ないのか……軽く気が滅入るな)トボトボ

璃緒「むにゃ……りょーがぁ……」

凌牙(ん、寝言か?)

璃緒「だいすき……むにゃ……だからね……むにゃ、むにゃ……」

凌牙「…………」

凌牙「……知ってるよ、馬鹿妹」クスッ


翌朝になって璃緒に「何で起こしてくれなかったのよ!」と凌牙が怒られるのはまた別のお話。

おわり

読んでくれた人、ありがとうございました。

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