スザク「ナナリー、寒くなってきたし車椅子をコタツにしてあげるよ」(182)

ナナリー「外もすっかり寒くなりましたね」

スザク「そうだね。ナナリー、風邪を引かないように注意するんだ」

ナナリー「はい。お兄様に余計な心配をかけたくはないので……くしゅんっ」

スザク「ナナリー、大丈夫かい?」

ナナリー「ご、ごめんなさい。そろそろ部屋に戻りますね」

スザク「そうだね」

ナナリー「……」

スザク(一人では部屋の外へ満足にでることができないナナリーにとって、冬は本当に辛い季節だろうな……。僕がなんとかしてあげられればいいんだけど……)

スザク「……そうだ」

数日後 ルルーシュの部屋

「では、ここにサインを」

咲世子「はい」

「ありがとうございます。それでは」

咲世子「ご苦労様でした」

ナナリー「咲世子さん、お荷物ですか?」

咲世子「はい。差出人は……枢木スザクさんですね」

ナナリー「まぁ。早速開けてください」

咲世子「はい。少々お待ちください……」

ナナリー(スザクさんからの贈り物……。どんなものでしょうか……)

咲世子「これは……。机と布団ですね」

ナナリー「机とお布団ですか?」

咲世子「どうやらコタツのようです、ナナリー様」

ナナリー「こたつってなんですか?」

咲世子「日本に古くからある暖房器具の一種です。主に下半身を温めるためのものですが」

ナナリー「早速、使ってみましょう。咲世子さん、申し訳ないのですが組み立てて頂けませんか?」

咲世子「畏まりました」

ナナリー(スザクさん、私がくしゃみをしたからこのようなものを……。きちんとお礼をしないと)

咲世子「……おや?ん?」

ナナリー「なにかありましたか?」

咲世子「いえ……。余計な部品が……」

ナナリー「余計な部品?」

咲世子「説明書もありませんし……。これは私では組み立てることができない代物です」

ナナリー「そ、そんな」

咲世子「申し訳ありません、ナナリー様。これは私の知っているコタツとは違うようです。スザクさんにお訊ねになったほうがいいかもしれません」

ナナリー「そう、ですか……。では、咲世子さん。生徒会室までお願いします」

咲世子「はい」

生徒会室

ナナリー「こんにちは」

ミレイ「ナナリー、おかえりー」

リヴァル「おかえりってなんですか?」

ミレイ「だって、家族みたいなもんでしょ?」

ナナリー「ふふ、そうですね。ここは自宅のような感じがします」

ミレイ「でっしょ」

ナナリー「ところで、スザクさんは……?」

リヴァル「スザクは今、ルルーシュと買出しに出かけてるけど、なんか用事?」

ミレイ「すぐにスザクくんだけ呼び戻してもいいけど?」

ナナリー「そこまでは。ただ、少し聞きたいことがあるだけですので」

ミレイ「聞きたいこと?」

ナナリー「こたつです」

ミレイ「こたつ?」

リヴァル「ああ、聞いたことあるなぁ。こっちでは一般的な暖房器具なんだろ」

ナナリー「はい。ですが、使い方というか組み立て方がよく分からなくて」

ミレイ「へー。面白そう。それ今は部屋にあるの?」

咲世子「いえ、こちらに」

ミレイ「咲世子さん?!い、いたんですか」

咲世子「はい」

リヴァル「これが……コタツ……へぇ……」

ミレイ「寝具と机が一体化するって話は聞いたことあるけど」

咲世子「その通りです」

リヴァル「でもこれ、暖かいのか?エアコンでいいと思うんだけど」

咲世子「使用されてみれば分かりますが、一度入ると抜け出せなくなりますよ?」

リヴァル「マジすか?」

咲世子「マジです」

ミレイ「ふぅん。そんな暖房器具なら是非とも使ってみたいわねぇ」

リヴァル「会長、なにする気ですか?」

ミレイ「くみたてちゃおー」

咲世子「あの、あまりおかしなことはしないほうが」

ミレイ「でも、私も使ってみたいし」

ナナリー「できるのでしたら、是非ともお願いしたいのですが……」

ミレイ「このミレイちゃんにまっかせなさい」

リヴァル「また、会長は……。でも、まあ、机に布団をひっかけるだけじゃないのか?」

ミレイ「ま、テキトーにやってみましょう」

咲世子「ミレイ様……。では、私もできるだけお手伝いさせていただきます」

ミレイ「助かるわ。……しかし、この車輪はどこに使うの?」

リヴァル「キャスターって大きさでもないし……」

咲世子「この車輪が一番の謎なのです。コタツに車輪などありませんから」

ミレイ「……背もたれ……車輪……つくえ……あ、ひらめいた。ニーナ、ちょっとちょっと」

ニーナ「なに?」

ミレイ「組み立ててみて。きっと、あなたならできるはず」

ニーナ「ミレイちゃん、コンビネーションレンチお願い」

ミレイ「はい」

ニーナ「ありがと。んしょ……んしょ……」グッグッ

リヴァル「コタツの組み立てって大変なんですね」

咲世子「あのように車を組み立てるようなことはないのですが……」

ニーナ「あとは……多分、これが動力だから……こことここを繋げて……できたっ」

ミレイ「おー、さっすがニーナ!!」

ニーナ「そ、そんなこと……。でも、これ本当に暖房器具かな?」

咲世子「コタツの車ですね」

ナナリー(コタツの車……。ダメです。私では想像がおいつきません)

ミレイ「ナナリー、とりあえず試乗してみる?」

ナナリー「え、いいのですか?ミレイさんとニーナさんが先に乗られては……」

ニーナ「ううん。こんなの恥ずかしくてのれ―――」

ミレイ「ええ?!いいの!?うれしい!!さ、ニーナのろう」

ニーナ「え、そんな、ちょっと……」

ミレイ「いっけー」ウィィィン

ニーナ「はずかしいよぉ……」

リヴァル「コタツって動くんですか」

咲世子「いえ……そんなことは……」

ナナリー「ミレイさん、どうですか?」

ミレイ「うーん。確かに暖かいけど……」ウィィン

ニーナ「部屋でしか乗れないよ……」

ナナリー「そうなのですか?」

ミレイ「だって、テーブル部分がハンドルになってるし、ナナリー一人じゃ危ないと思う」

ニーナ「加減速も中にある弱中強のレバー調節だけだしね」

リヴァル「そりゃ、ナナリーには危なくて乗せられないな」

咲世子「そうですね」

ナナリー「そんな……。でも、折角スザクさんが……」

ミレイ「とりあえず本人の帰還を待ちましょう。話はそれからってことで」

シャーリー「遅くなりました」

カレン「こんにちは」

ミレイ「おー、シャーリーにカレン。おつかれー」ウィィン

シャーリー「って、何遊んでるんですか!?」

ミレイ「遊んでないわよ。これは立派な試乗だもの。これで改善点を箇条書きにして、より完成度の高いコタツカーを作ってもらうためのね」ウィィィィン

シャーリー「コタツカーってなんですか!?」

カレン(コタツが走ってる……ちょっとほしい……)

ミレイ「これ、すっごく暖かいのよ。シャーリーも乗ってみる?」ウィィィィン

シャーリー「結構です!!」

カレン「……あの」

ミレイ「なに?」

カレン「のっても……いいですか?」

ミレイ「いいわよ。ほら、おいでおいで」

カレン「わーい」テテテッ

ミレイ「ハンドルはテーブルだから。縁を持ってズラすようにしたらいいから」

カレン「はい」

ミレイ「アクセルとブレーキは……」

カレン「これですね」ウィィィン

ミレイ「うまいうまい」

カレン「よっ。ほっ」ウィィィィン

シャーリー「なにやってんだか……。というかあの玩具ってだれの?」

ナナリー「あの、あれはスザクさんからの贈り物なんです」

シャーリー「それってナナちゃんに?」

ナナリー「はい。きっとスザクさんが私のことを心配して贈ってくれたんだと思います」

シャーリー「ふぅん……。そうなんだ」

カレン「はぁ……きもちいい……ふわぁ……」

ミレイ「カレン!!前!前!!」

カレン「きゃっ!!」ギュルルルッ

咲世子「大変危険ですね……」

ルルーシュ「ナナリーにコタツをプレゼントしただと?」

スザク「ああ。喜んでくれると嬉しいんだけど」

ルルーシュ「お前の気持ちはありがたいがな。ナナリーは……」

スザク「分かってるよ。ナナリーのこともきちんと考えたコタツになってる」

ルルーシュ「どういうことだ?」

スザク「可動式コタツなんだ。僕の上司に頼んで作ってもらったんだ」

ルルーシュ「可動式のコタツ?どういうものだ?」

スザク「ルルーシュはコタツの形は知っているよね?」

ルルーシュ「枢木で世話になったとき何度か見たな」

スザク「あれに背もたれとエンジンと車輪をつけたものなんだ」

ルルーシュ(つまりなんだ……。車輪のついたテーブルと思えばいいのか)

スザク「エナジーフィラーの交換で何度でも使えるよ。ルルーシュもできれば試してみてくれないか?」

ルルーシュ「まてまて。どの程度可動するのかは知らないが、ナナリーにとっては危険な乗り物だろうが。コタツって寝具でもあるんだろう?」

スザク「寝ちゃう人はよくいるけど、でも、走ってるときに寝る人なんているかな?少なくとも僕は寝ないけど」

ルルーシュ「お前基準で考えるな」

スザク「安全面だってきちんと考えているよ。心配はいらないから」

ルルーシュ「そういうことじゃ―――」

ミレイ「おー、ルルーシュ!!スザク!!おかえり!!」

ルルーシュ「ただいまもどり……なっ?!」

スザク「うわ……。何があったんですか?滅茶苦茶じゃないですか。机も椅子もひっくりかえって……」

ルルーシュ「ナナリー!!」

ナナリー「お兄様」

ルルーシュ「怪我はないか!?何があった!?テロか?!地震か?!」

咲世子「いえ。シャーリーさんが……」

ルルーシュ「シャーリー?シャーリーがどうしたんですか?!」

シャーリー「るるー……」

ルルーシュ「シャーリー?!何があった?!」

シャーリー「ごめんね……ルル……私……何度生まれ変わってもきっとまたルルを好きに……」

ルルーシュ「シャーリィィィ!!」

カレン「ルルーシュくん。シャーリーは寝ぼけてるだけだから」

ルルーシュ「―――つまり、コタツカーを運転していたシャーリーが誤って暴走し、惨事を引き起こしたと」

シャーリー「概ね」

ルルーシュ「……」

シャーリー「こ、こたつってすごいね。すぐに睡魔が襲ってきてね、それでね、すこしウトウトーってして……」

ルルーシュ「……」

シャーリー「ごめん……」

ルルーシュ「……怪我はないのか?」

シャーリー「うん……」

ルルーシュ「なら、いい。部屋の片付けが先だ」

シャーリー「ルル……」

ルルーシュ「過ぎたことを言っても仕方がない。原因もはっきりしているし、これ以上追及しても事態はかわら―――」

シャーリー「ルル、ありがとっ!!私、ルルの分まで片付けするからっ!!!」

ルルーシュ「それは当然だろうが」

シャーリー「……はい」

スザク「流石はロイドさんが作っただけのことはある。どこにも傷がないし、歪みもない。シャーリーにも怪我はないっていうし、完璧だ。うん」

ニーナ「ふぅ……こっちは終わったよ」

カレン「こっちもなんとか。でも、書類の一部はコーヒー塗れね。乾くまで時間かかりそう」

ミレイ「あーあ……年の瀬でこれはきっついわね。残業増えちゃうわ」

リヴァル「そんなぁ……うれしいですっ」

ミレイ「あっそう。なら、リヴァルには私の分までやってもらおうかなぁ?そうしたら私は自室で優雅にケーキが食べられるし」

リヴァル「会長と一緒じゃないと嫌なんです!!」

シャーリー「ごめんなさい……」

ナナリー「あ、あの……原因は私にありますから……」

シャーリー「ナナちゃんは優しいね……」ナデナデ

ルルーシュ「スザク、これが問題のコタツカーか」

スザク「うん。ルルーシュも乗って―――」

ルルーシュ「断る」

スザク「どうしてだい?絶対に気持ちいいよ?風を切りながら暖かい気持ちになれる。あ、そうか。コタツにミカンは必需品だったね。うっかりしていた。明日、買ってくるよ」

ルルーシュ「スザク、俺の話を聞いてくれ」

スザク「うん」

ルルーシュ「まず、根本的な問題だが。どうして暖房器具が走るんだ?」

スザク「ルルーシュ、それは本気で言っているのか?」

ルルーシュ「何が言いたい?」

スザク「ナナリーは歩けないんだよ」

ルルーシュ「そうだな」

スザク「それが答えだよ。ルルーシュ」

ルルーシュ「……おかしいな。俺には質問に答えていない気がするんだが」

スザク「ルルーシュ。寒くなれば、外に出ている時間が減るだろ」

ルルーシュ「暑くても減るがな」

スザク「でも、暖かくすれば長時間の活動も可能になるじゃないか」

ルルーシュ「厚着をすればいい」

スザク「ルルーシュ!!ナナリーは女の子なんだ!!スカートをはきたい時もあるだろう!?」

ルルーシュ「……」

スザク「でも、冬は風邪をひいてしまうかもしれな。そんなときこのコタツカーがあれば、そんな心配もせず、スカートがはける。これは凄いことだ!!」

ルルーシュ「ほう、なるほど。お前はバカなのか」

スザク「どうして……?」

ルルーシュ「確かにナナリーにはスカートをはかせる。冬でもな」

スザク「ルルーシュがはかせていたのか!?何故だ!?こんなにも寒い日が続いているのに!!」

ルルーシュ「兄として妹の着衣を気にするのは当然のことだろうが!!!」

スザク「ナナリーの身を第一に考えるならもっと厚着をさせたほうがいい!!それぐらい君だったらわかるだろう?!」

ルルーシュ「故に上着は保温性の高い衣服で身を包ませてあるんだろうが!!」

スザク「君は何もわかっていない!!!短いスカートはお腹を冷やすことだってあるんだ!!!」

ルルーシュ「何故そのようなことが分かる!?えぇ?!」

スザク「女装したときに僕がそう感じたからだ!!」

ルルーシュ「言ったはずだ、スザク!!自分を基準にして考えるなと!!!」

スザク「仮にそうだとしても傍から見ればナナリーは寒そうだ!!厚着をさせるべきなんだよ、ルルーシュ!!」

ルルーシュ「黙れ!!俺のコーディネートは完璧なんだよ!!口出しするな!!」

スザク「それはならコタツカーを使ってくれ!!それで解決だ!!」

ルルーシュ「コタツに隠れてしまってスカートをはかせた意味がなくなるだろうが!!!何故、それが分からない!!!スザァク!!!」

ナナリー「あの……喧嘩はしないでください……お二人とも……」

ニーナ「で、でも、このコタツカーはやっぱり危ないとおもうなー……」

スザク「なんだって?」

ニーナ「ひっ」ビクッ

ミレイ「スザクくん、残念だけど確かにこれは危なっかしい乗り物よ?眠くなるし」

スザク「それは運転手の心構えの問題です。僕は眠くなりません」

リヴァル「いやいや、俺も乗ってみたけどコタツの魔力はすげーな。ありゃ寝ちまうって」

シャーリー「なんか丁度良い温度なんだよね」

カレン「うんうん」

咲世子「あれで睡魔と闘うなど余程強靭な精神力がないと戦闘にすらならないでしょう」

カレン「うんうん。あたしも昔よくコタツで寝ちゃって、もう大変なことに……」

スザク「何がいけないんだい?」

ルルーシュ「あのような乗り物の存在がだ」

スザク「根幹を揺るがす意見だ。ナナリーもそう思っているか?」

ナナリー「い、いえ……あの……私は乗っていませんし……」

スザク「なら、乗ってみてくれないか。きっと良さがわかると思うから」

ルルーシュ「だから、危ないって言っているだろうが」

スザク「ルルーシュが同乗すればいいだけじゃないか」

ルルーシュ「……ほう?」

スザク「ナナリーを膝の上に乗せて」

ルルーシュ「ナナリー」

ナナリー「お兄様」

ルルーシュ「そこまで言うなら……。食わず嫌いはいけないしな」モゾモゾ

ナナリー「そうですね。お兄様、何事も経験です」ギュッ

ルルーシュ「よし、ゆっくり行くからな」

ナナリー「はいっ」

ルルーシュ「……」ウィィィン

ナナリー「お兄様、あったかいです……」

ルルーシュ「俺もだよ、ナナリー?」

スザク「よかった……。二人とも満足している」

カレン「なんか、あの二人、危なくない?」

ルルーシュ「ふぅ……」ウィィィン

ナナリー「すぅ……すぅ……」

スザク「どうかな、ルルーシュ?」

ルルーシュ「ふむ……。確かに悪くはない。だが、これは……」

シャーリー「普通のコタツにしたほうがいいんじゃ……ないかな?」

ミレイ「そうよね。そもそも走る意味がないし、ルルーシュとナナリーが今の感じで外に出たら、完全にヤバい兄妹になるし」

リヴァル「まあ、もう兄妹愛じゃ済ませられない感じになりますよね……」

カレン「顔がいいからってなんでも許されるわけじゃないしね」

ニーナ「……うん」

スザク「そうか……。困ったな。折角、ナナリーのために作ったのに」

ルルーシュ「気持ちだけ受け取っておくし、室内の移動ならこれもアリだ」

スザク「ルルーシュ」

ルルーシュ「ありがとう、いいクリスマスプレゼントだ」

スザク「そういってくれると嬉しいよ。ありがとう」

ナナリー「すぅ……おにいさまぁ……なか……あったかいです……すぅ……」

クラブハウス

ナナリー「あったかいです」ウィィィィン

咲世子「すっかりお気に入りになってしまったようですね」

ルルーシュ「コタツの魔力もあるのでしょう。室内だけなら問題も少ないですからね。咲世子さん、あとはお願いします。少し出かけてきますから」

咲世子「はい」

ナナリー「……♪」ウィィィィン

C.C.「楽しそうだな?」

ナナリー「C.C.さん。はい、それに気持ちいいんですよ?」

C.C.「どれどれ……。ほう……いいな。これは。初体験だ」

ナナリー「どうぞゆっくりしていってください」

C.C.「中々にすばらしいな。ハンドルはどれかな?」

ナナリー「運転してくれるんですか?」

C.C.「お前では縦横無尽に動けないだろ?」

ナナリー「では、お願いします」

C.C.「まかせておけ。ドリフトを決めてやろう」

咲世子「……」

C.C.「あまりスピードは出ないか……ドリフトは極められないか」

ナナリー「ん……うぅん……」ウトウト

C.C.「テーブルを一回転させたら……」グルンッ

ナナリー「ん……?」

C.C.「なるほどな、遊園地にあるコーヒーカップの要領か」クルクルクルクルクル

ナナリー「あぁぁぁ~」

咲世子「C.C.さん!!危険です!!そんなことをしたら遠心力で!!」

C.C.「まだまだ回るか」グルンッグルンッグルンッグルンッグルンッ

ナナリー「し……つぅ……さ……あっ―――」

咲世子「ナナリーさまぁ!!!」ダダダッ

ナナリー「きゃぁぁ―――」

咲世子「はっ!!」パシッ!!!

ナナリー「咲世子さん……助かりました。私、空を飛んでいたみたいですね」

咲世子「見事なまでに放り出されました」

咲世子「やはり、あのコタツは危険です」

ナナリー「そう……みたいですね……」

咲世子「寝室に行きましょう。目を回されましたね?」

ナナリー「え、ええ……少しだけですけど……」

咲世子「今日のところは横になってください」

ナナリー「はい」

咲世子「では、参りましょう」

ナナリー「あの……C.C.さんは?」

咲世子「彼女も遠心力でコタツカーから放り出されました」

ナナリー「え!?それならC.C.さんを!!」

咲世子「ナナリー様が最優先です」

ナナリー「C.C.さんはどうなったのですか!?」

咲世子「壁に叩きつけられました」

ナナリー「C.C.さん!!大丈夫ですか?!」

C.C.「鼻血が出ただけだ。気にするな」

ルルーシュの部屋

C.C.「あの乗り物、いらないならくれないか?」

咲世子「どうするのですか?」

C.C.「決まっている。私の私物にする。かなり興味深い乗り物だからな。ナイトメアよりもよっぽど魅力的に映る」

咲世子「ルルーシュ様にお訊ねください。私の一存ではとても」

C.C.「それもそうだな。使用人相手では意味がないか」

咲世子「どちらにせよ、あのコタツカーは破棄するものと思われますが」

C.C.「ふっ。そうだろうな。あのシスコン坊やがあの機体を妹に乗せると思えない。ナナリーが壁に叩き付けられ鼻血を出すところなんて見たくないだろうからな」

咲世子(あの衝撃からすれば骨折していてもおかしくないのですが……)

C.C.「ルルーシュと合流するか」

咲世子「コタツカーのことよろしくお願いします」

C.C.「ああ。任せておけ」

咲世子「行ってらっしゃいませ」

C.C.「行ってくる」ウィィィィン

咲世子「コタツカーで出て行くとは……職務質問を受けなければよいのですが……」

黒の騎士団アジト

ゼロ「藤堂、この案件だが」

藤堂「ああ、それな―――」

ゼロ「どうした?」

藤堂「……」

ゼロ「ん?私の後ろになにかあるのか?」

C.C.「ぜろー」ウィィィィン

ゼロ「バッ!?!?」

C.C.「ミカンたべるか?あまいぞ」

ゼロ「何をしている!?それはなんだ!?」

C.C.「暖かい乗り物だ」

ゼロ「そう言う意味ではない!?貴様!!それに乗ってここまで来たのか?!」

C.C.「なんだ?羨ましいのか?」

ゼロ「目立つだろうが!!!誰かにここまで後をつけられていたらどうするんだ!!!」

藤堂「C.C.。そのコタツのような車はなんだ?」

C.C.「コタツカーだ」

藤堂「コタツカー……?」

ゼロ「どうしてお前はそう……」

ゼロ(って、これはスザクがナナリーのために用意したもの……。これをカレンは見ているのだぞ!!まずい!!)

カレン「ゼロ、ラクシャータさんが呼んで……え?」

C.C.「ん?なんだ?」

カレン「そ、それ……」

ゼロ「カ、カレン!!これはだな……!!」

カレン「売ってるの?!」

C.C.「いや、拾い物だ」

カレン「そ、そうなんだ……」

ゼロ(気付いていないか……)

藤堂「……ふむ」

ゼロ「ともかく邪魔だ。部屋で乗れ、部屋で」

C.C.「はいはい。全く、これだから童貞坊やは。冗談も通じないとはな」ウィィィィン

総督府

ロイド「え?不評だったの?」

スザク「ええ。外で乗るには相応しくないということでした」

ロイド「そんな。あれがコタツってやつでしょぉ?」

スザク「ええ。まさにコタツでした」

セシル「そのままコタツを走らせるのがダメだったんじゃ」

ロイド「あれが完成された形だっていうから形状は変えないようにしたのに。裏目に出ちゃったわけだねぇ?」

スザク「恐らくはそうだと思います」

セシル「ロイドさん、やはり初めのコンセプト通りに作るべきだったんですよ」

ロイド「セシルくんの案?うーん、どうしよっかぁ」

セシル「あのデザインなら車椅子としてもコタツとしても違和感はありませんから」

ロイド「なら、それでつくってみよっか?」

スザク「あの、お二人にそこまでのご迷惑を……」

セシル「いいのよ。良い息抜きになるから、こういうことは」

ロイド「そーそー。とくにセシルくんがだけどね、んふふふふ」

翌日 生徒会室

カレン「スザクくん、ちょっと」

スザク「どうしたんだい?」

カレン「あの、コタツカーって何台もあるの?」

スザク「いや。一台だけだけど」

カレン「……」

ルルーシュ(全く……C.C.め。カレンが疑問に思わなかったからいいものの……下手をすればゼロの正体が露見するところだぞ……)

カレン「ねえ、ルルーシュくん」

ルルーシュ「どうした?」

カレン「コタツカーなんだけど」

ルルーシュ「……!」

カレン「今、聞いたらあれって一台しかないんだって」

ルルーシュ(まずい……まずいぞ……)

スザク「カレン?」

ルルーシュ(やはりこうなるか……。カレンならあるいはと考えた俺が愚かだった……!!)

カレン「ルルーシュくん……誰かにあげたでしょ?」

ルルーシュ「……え?」

カレン「もう。あげるなら、あたしにも一声かけてよ……。欲しかったのに」

ルルーシュ「あ、あぁ……悪かったな。まさか、欲しい奴が二人もいるとは思わなかった」

カレン「どこで渡したの?」

ルルーシュ「捨てようとしたら、若い女に声をかけられた。いらないならくれと」

カレン「はぁ……そっかぁ……ざんねんっ」

ルルーシュ(はぁ……心臓に悪いな……全くっ)

スザク「……?」

ルルーシュ「スザクも書類が溜まってるんだろ?首を傾げてないで手を動かしたほうがいいぞ?」

スザク「うん。そうだね」

ナナリー「スザクさん、どうぞ。コーヒーです」

スザク「ありがとう。あ、ナナリー」

ナナリー「はい?」

スザク「新しいコタツを開発中だから、期待してて欲しい。君に寒い想いはさせないから。絶対に」

ナナリー「そんな、スザクさん……」

スザク「ナナリーのためだからね」

ナナリー「嬉しいです、スザクさん」

ルルーシュ「今度は外に出ても大丈夫なんだろうな?」

スザク「勿論。次のは大幅にデザインを変えたからね」

ミレイ「どんな風に?」

スザク「見た目は車椅子なんですが、足下はコタツなんです」

ルルーシュ(どういうことだ……?)

シャーリー(コタツのテーブルからナナちゃんの上半身だけが出てるとか……?)

リヴァル(ナナリーがコタツの上に座る感じか……?)

ミレイ(車椅子にコタツがついてるって感じかなぁ?)

カレン(コタツカー作ってって言おうかな……でも、ブリタニアの力を借りるなんて……しかし……)

ニーナ(今日もユーフェミア様可愛い……)

ナナリー「えっと……ひざ掛けをするような形でしょうか?」

スザク「そうそう。そんな感じだよ。丁度胸の下辺りに机があって、足を隠すようにコタツ布団が掛かるようになると思う」

ルルーシュ「イメージとしてはひざ掛けがあって、車椅子にテーブルが付加されるのか」

ミレイ「でも、それって便利といえば便利よね。手元にテーブルがあって、暖かいなんて」

ナナリー「そうですね。それならいつでもどこでも折り紙が折れますし」

リヴァル「ああ、いいんじゃないか。コタツカーよりははるかにいい」

シャーリー「足下は暖かいし、言うことなしだね。ナナちゃん」

ナナリー「はいっ」

ルルーシュ「まて、スザク」

スザク「どうした?」

ルルーシュ「前にも言ったが、それではナナリーのスカート姿が拝めなくなるだろうが」

スザク「ファッションよりも実用性が大事だよ」

ルルーシュ「それは軍人の考え方だな!!俺たちは一般人だ!!実用性など最低限でいい!!!可愛いならそれでな!!!」

スザク「それでナナリーが危険に晒されているんだ!!!ルルーシュゥ!!」

ルルーシュ「俺の計算に狂いはない!!ナナリーは風邪などひかない!!!スザァク!!!」

スザク「そんなことわかるものか!!!」

ルルーシュ「俺にはわかるんだよぉ!!!」

ミレイ「はいはい。やめー」

ルルーシュ「しかし!!」

ミレイ「いいじゃないの。ナナリーだって別に嫌がってるわけじゃないしさ、とりあえず使うだけ使ってみれば」

ルルーシュ「ナナリー……」

ナナリー「お兄様、スザクさんのご好意ですから……」

ルルーシュ「ナナリーがそういうなら……」

ナナリー「ありがとうございます、お兄様」

スザク「よかったね、ナナリー」

ルルーシュ「スザク。その代わり、使えるものをよこせよ」

スザク「ああ。大丈夫だよ。僕の上司は本当に凄い人だからね」

ルルーシュ(あのランスロットの開発者だったか。確かにそうかもしれないな)

シャーリー「楽しみだね」

ナナリー「はい」

ルルーシュ(ナナリーの笑顔があれば、それでいいがな……)

黒の騎士団アジト

藤堂「―――ということで、量産することで作業能率も格段に上がる」

玉城「まじかよ!?」

扇「それは確かなのか?」

藤堂「ああ。私の推測ではな」

千葉「よし。では、藤堂さんの提案に乗る者は挙手しろ」

卜部「四聖剣は全員賛成です!!」

朝比奈「ええ。もちろんです」

仙波「ここで乗らずしてなにが日本人か」

C.C.「ミカンがうまいな、神楽耶」

神楽耶「このコタツカー素晴らしいですわ」

ゼロ「ん?こんなところで何をしている。各員、持ち場に戻れ」

藤堂「ああ。すまない。今すぐ戻る」

ゼロ「全く……。って、神楽耶様まで何をされているのですか?」

神楽耶「ゼロさまぁ。私と一緒にコタツで温まりませんかぁ?ゼロ様を温めるのはコタツではなく、私ですけどぉ」

ゼロ「お戯れを。コタツで寝ると体に悪いですよ?」

神楽耶「分かってますわ。これでもコタツで冬を過ごしたこともあるのですから」

ゼロ「そうですか。ところでC.C.、藤堂たちは何をしていた?」

C.C.「ん?ああ、なんでもコタツが我らの兵器だとかなんとか……良く分からん」

ゼロ「なんだそれは」

C.C.「しかし、コタツのミカンもいいが。やはりピザがないと食べた気にならないな……おーい、ピザをもってきてくれー」

ゼロ「ミカンで我慢していろ」

C.C.「出来ないな。手が黄色くなるし、もういやだ」

ゼロ「……」

神楽耶「私はミカンでいいのですが」

C.C.「コタツで食べるピザはもっと格別だぞ」

神楽耶「そうなのですか?」

C.C.「そうともう。なにせピザだからなぁ」

神楽耶「では、一切れだけ……」

ゼロ(黒の騎士団内でもコタツか……。ギアス級の魔力だな)

数日後 生徒会室

スザク「ナナリー!!」

ナナリー「どうかされましたか?」

スザク「ついに完成したんだ。ナナリー専用のコタツが」

ナナリー「本当ですか?」

ルルーシュ「見せてみろ」

スザク「うん。これだ」

ルルーシュ「なんだ?このテーブルの脚を切り取ったような板は?」

スザク「その裏側を見てみて」

ルルーシュ「この機構は……」

スザク「新輻射波動機構」

ルルーシュ「……」

スザク「あったかいよ」

ルルーシュ「ナナリーを殺す気か?」

スザク「あ、大丈夫だから!!それは本当に人体には影響はないから!!」

またあの二人が悪ふざけしすぎたのか

ルルーシュ「大丈夫なんだろうな、おい」

スザク「心配はないよ。僕も試したんだから」

ルルーシュ(別の技術で作られた輻射波動機構だと思えばいいのか……?)

スザク「まずはこの布団を板につけて……。それからこの板をナナリーの車椅子に取り付ければ……」ガチャガチャ

ナナリー「これが……コタツですね」

スザク「うん。どうかな?」

ナナリー「じんわりと暖かくなってきました」

スザク「そうか、よかったよ」

ナナリー「手元にこうしてテーブルとなるものがあるのもいいですね」

スザク「ただひざ掛けをするだけじゃコタツとはいえないからね」

ルルーシュ「ナナリー?どこか異変はないだろうな?」

ナナリー「はい。ありませんよ?とても暖かいです」

ルルーシュ「それならいいんだが」

スザク「それじゃあ、僕はこれから仕事があるから。また明日、感想を聞かせ欲しい」

ナナリー「はい、必ず」

藤堂さんはどんなミラクル起こすんだ

ナナリー「はぁ……♪」

ルルーシュ「ナナリー、そんなに快適か?」

ナナリー「はい。やはり足下は一番冷えますから」

ルルーシュ「どれぐらいの暖かさだ?」

ナナリー「手を入れてみてはどうですか?」

ルルーシュ「それもそうだな」モゾモゾ

ナナリー「どうですか?」

ルルーシュ「確かに良い温度だな。調節は使用者の体温で行っているとみるべきか」

ナナリー「すごい技術ですね」

ルルーシュ「ああ。本当にな」モゾモゾ

ルルーシュ(恐るべきブリタニアの技術か。だが、こちらも負けてはいない)

リヴァル「おーっす、ルル―――」

ルルーシュ「ナナリー、気持ちいいか?」モゾモゾ

ナナリー「はい。とても」

リヴァル(ルルーシュのやろう……!!!ナナリーの下半身に手を突っ込んでなにやってんだぁ……!?!)

>>66
ルルーシュ「確かに良い温度だな。調節は使用者の体温で行っているとみるべきか」


ルルーシュ「確かに良い温度だな。調節は使用者の体温を測り、その都度行っているとみるべきか」

ルルーシュ「なるほどな。大体のことは分かった」

ナナリー「でも、やっぱり眠くなってきますね……」

ルルーシュ「そういえば電源はあるのか?」

ナナリー「さぁ、どうなんでしょうか……」

ルルーシュ「覗き込んでみるがいいか?」

ナナリー「はい。どうぞ」

ルルーシュ「えーと……」モゾモゾ

ナナリー「……」


リヴァル(やばい……ついに顔を突っ込みやがったぁ……!!どうする……とめるべきか……!!友達としてぇ……)

ミレイ「リヴァル、扉の前でなにやってるの?邪魔になってるわよ」

リヴァル「会長。しーっ」

ミレイ「え?」

リヴァル「い、いま、中でとんでもないことに……」

ミレイ「とんでもないこってなに?」

リヴァル「見ればわかりますよ……」

ルルーシュ「ここか?」

ナナリー「お兄様、見つかりましたか?」

ルルーシュ「違うな。そうか体温センサーなら、ナナリーが車椅子から降りれば自動的に電源が落ちるのかもしれないな」

ナナリー「すごいですね」

ルルーシュ「まあ、この程度なら問題はないだろう」モゾモゾ

ナナリー「ん、お兄様、息が……」モジモジ

ルルーシュ「あ、ああ。悪い」


ミレイ「……」

リヴァル「……」

シャーリー「リヴァル、会長?なにやってるんですか?」

ミレイ「シャーリー……」

カレン「邪魔なんですけど」

ニーナ「どうかしたの、ミレイちゃん?」

ミレイ「あ、えっと……」

シャーリー「はいはい。もう今度はスパイの日でもつくる―――」

ルルーシュ「ほう。なるほど、こうなっているのか。大体、掴めてきたぞ」

ナナリー「お兄様……ですから、息が足に……」

シャーリー「……ルル?」

ルルーシュ「ん?―――ふぅ。シャーリーか。どうした?」

シャーリー「な、なんでナナちゃんの股に顔をつっこんで……」

カレン「……」

リヴァル「ルルーシュよぉ……いくらなんでもよぉ……それはマズいって……」

ルルーシュ「え?」

ミレイ「そのひざ掛けをすれば外でもできるって思ったの?」

ルルーシュ「なんの話ですか?」

ニーナ「兄妹……愛?」

シャーリー「ルルがナナちゃんの大事な部分に顔をうずめてたぁぁぁ!!!」ダダダッ

ルルーシュ「シャーリー!!違うぞ!!間違っている!!」

カレン「……」

リヴァル「終わったな……ルルーシュ……」

ミレイ「で、実の妹になにをしていたのかなぁ?」

ルルーシュ「何もしていませんよ。あのコタツの中を見ていただけです」

ミレイ「コタツを見るためにわざわざ顔を突っ込むの?」

ルルーシュ「突っ込まないと見れないでしょう」

ミレイ「いや、こうめくればいいじゃない。どうしてわざわざ中に顔を入れるの?」

ルルーシュ「捲ってしまうと折角暖かくなったナナリーの下半身を冷やしてしまうからですよ」

リヴァル「いつかはやるんじゃないかって思ってたんだけどなぁ……」

ルルーシュ「なんの話だ?!」

ニーナ「いいと思う。愛の形って人それぞれだもん」

ナナリー「えっと……みなさん?」

カレン「……」

ルルーシュ「何もしていない!!信じてくれ!!」

リヴァル「どうします、会長?」

ミレイ「なら、私がナナリーの下半身に異常がないか調べてみましょう」モゾモゾ

ナナリー「きゃっ!?ミ、ミレイさん!?」

ミレイ「いいにおーい」

ルルーシュ「会長!!何をやっているんですかぁ!!やめろ!!」

ミレイ「ナナリーはー……二つの意味でシロっ!!」

ナナリー「うぅ……」

ルルーシュ「ええい!!やめろ!!!この色魔め!!!」

ミレイ「なによ。確認してあげただけでしょ。ルルーシュの身の潔白のためにぃ」

ルルーシュ「貴方は楽しんでるだけでしょう?!」

リヴァル「なんだ、俺は信じてたぜ」

カレン「あたしも」

ニーナ「なぁーんだ」

ルルーシュ「誰でもいいからシャーリーに説明をしてきてくれないか……」

カレン「あたしが行ってくるわ」

ルルーシュ「頼む……」

ナナリー「恥ずかしいです……」

ミレイ「ごめんごめん。でも、仕方ないでしょ。いきなり妹の股下に顔を突っ込んでいる兄を見かけたらびっくりするもの」

リヴァル「で、これが新型のコタツか」

ミレイ「いいじゃない。この台の部分があれば移動中でも折り紙が折れるし」

ナナリー「テーブルが無くても折れるのは本当に嬉しいですね」

ニーナ「飲み物も置けちゃうね」

ナナリー「そうですね」

ミレイ「何か飲む?」

ナナリー「いえ、そんな……」

ミレイ「色々見ちゃったお詫び。なんでも言って」

ナナリー「で、では……コーヒーを……」

ミレイ「うん、オッケー。待ってて」

リヴァル「ルルーシュ、悪かったって。本気にしてるわけないだろう?」

ルルーシュ「ふんっ」

ニーナ「機嫌なおして」

ルルーシュ「知るか。そもそもどうして俺がナナリーに卑猥な真似をすると疑える?そこから既に間違っている」

リヴァル「それは……だって……」

ミレイ「はい、どうぞ」

ナナリー「どうも」

ミレイ「早速、この手元の台を活用しなきゃね」

ナナリー「はい。頂きます」

ミレイ「召し上がれ」

カレン「連れてきたわよ」

ルルーシュ「シャーリー……」

シャーリー「ルル……。ごめん、変な勘違いして……。そうだよね、ルルはそんなことナナちゃんにしないもんね」

ルルーシュ「当然だろ?」

シャーリー「ごめん……」

ルルーシュ「もういいって」

リヴァル「なんだよー。シャーリーは許すのかよー」

ニーナ「差別かも」

ルルーシュ「ああ。もういいよ。気にするな」

カレン「ありがとう」

ナナリー「ふぅ……美味しかったです」

ミレイ「そう?おかわりは?」

ナナリー「頂きます」

ルルーシュ「くだらないことで時間を使ったな。早く作業に戻ろう」

リヴァル「はいはい」

カレン「そうね。でも、ルルーシュくんだって勘違いさせるような行動をとっていたから、こうなったわけで」

ルルーシュ「俺の所為か」

シャーリー「……」

ニーナ「違うの?」

ルルーシュ「勝手に勘違いしたお前らも同罪だろうが」

カレン「日頃の行いが悪いからでしょー?」

シャーリー「……」コクコク

ルルーシュ「頷くな、シャーリー!!」

ミレイ「はい、どうぞ」

ナナリー「ありがとうございます」

数十分後

ルルーシュ「……リヴァル、そっちの書類をとってくれ」

リヴァル「はいよ。コーヒーで滲んでるけど」

ルルーシュ「いつかのコタツカー事件の被害者か。凄惨だな」

シャーリー「やめてよぉ」

ナナリー「……」ピクッ

ルルーシュ「シャーリー」

シャーリー「ん?なに?」

ルルーシュ「ナナリーに付き添ってあげてくれ」

シャーリー「あ、うん。いこ、ナナちゃん」

ナナリー「はい」

シャーリー「でも、ルルってすごいよね。ナナちゃんがお手洗いに行きたいのすぐにわかるなんて」

ナナリー「お兄様は本当にすごい人ですから」

シャーリー「まぁ、怖いとこでもあるけどね」

ナナリー「どういうことですか?」

トイレ

シャーリー「よし。もう一人でいける?」

ナナリー「はい」

シャーリー「私もついでに」ガチャ

ナナリー「……」グッ

ナナリー「あ、あら?えっと……」グッグッ

ナナリー(このコタツが外せないと、私は車椅子から移動できない……!!)

ナナリー「ふっ……!!くっ……!!」

ナナリー「ダメ……どうしたら……」オロオロ

シャーリー「―――ふぅ。あれ?ナナちゃん、どうしたの?」

ナナリー「こ、こたつが外せなくて……」

シャーリー「ああ、そっか。ごめんね。気が利かなくて。これ外さないと車椅子から体を動かせないもんね」

ナナリー「はい……」

シャーリー「ちょっと、まってね。今外すから……」ググッ

シャーリー「あ、あれ?これ、どうやって外すの……?こ、こう?」ググッ

藤堂「……」

南「……」

ゼロ「……」

ナナリー「だ、だめですか?」

シャーリー「ま、待って。これってでも車椅子の肘掛のところに引っ掛けてるだけじゃ……」ググググッ

ナナリー「うぅ……」モジモジ

シャーリー「ダメ。全然、外し方が分からない」

ナナリー「そ、そんな……!?このままでは私……私……」

シャーリー「あー、そうだ!!バケツ持ってきてあげるから!!」

ナナリー「……」

シャーリー「恥ずかしいよね……」

ナナリー「できればそれは最終手段でお願いします。なんとかコタツを外してください」

シャーリー「う、うーん……でも、私、コタツの経験はコタツカーだけだし……どうしていいか……」

ナナリー「シャーリーさん……お願いします……」モジモジ

シャーリー「ああー、えっと……そうだなぁ……うーん……えーと……ルルに頼もう!!」

ナナリー「お願いします」

シャーリー「ちょっと、待ってて!!すぐに呼んでくるから!!」タタタッ

ナナリー「うぅ……まさかこんなことになるなんて……」

ルルーシュ「ナナリーとシャーリー、遅いな」

ミレイ「そりゃ遅くなる方なんでしょ?」

ニーナ「ミレイちゃん」

リヴァル「何も聞こえない。何も聞こえない」

ルルーシュ「嫌な予感がする。ナナリーの身に何かあったんじゃ……」

カレン「考えすぎでしょ。お手洗いに行っただけなんだし」

ルルーシュ「トイレで事件に巻き込まれていたらどうする」

カレン「トイレで事件って、盗撮?」

ルルーシュ「そんなことをした犯人を俺は生かせておかない」

リヴァル「あるわけねーだろ。もう少し大人しく―――」

シャーリー「ルル!!」

ルルーシュ「どうした?」

シャーリー「大変なの!!あの、コタツが外せないとナナちゃんが移動できなくて、テーブルがこうナナちゃんの行く手を遮ってて、それでもう漏れそうで!!」

ルルーシュ「シャーリー!!落ち着け!!いつ、どこで、誰に、何があったかのか冷静になって言え」

シャーリー「えっと……さっき、トイレで、ナナちゃんが移動しようとしたら、コタツが外せなくて、それで困ってるの……だから、早く来て!!ルル!!」

ルルーシュ「ナナリー?!」

ナナリー「お兄様っ。助けてください……」

ルルーシュ(なるほど。この台となる部分がナナリーの体をロックしている形になっているのか。確かにこれでは車椅子から移動することはできないな)

ナナリー「うぅ……」モジモジ

ルルーシュ「遊びの部分も少ないから、隙間からナナリーを引っ張り上げることもできないか。どうしても胸かお尻が引っ掛かるな」

シャーリー「ねえ、ルル。どうしよう。どうしよう」オロオロ

ルルーシュ「くっ……!!」ググッ

ルルーシュ(なんだ、これはビクともしないぞ?!)

ナナリー「お兄様でもダメですか?」

ルルーシュ「いや、心配するな。すぐに外してやるからな」

ナナリー「は、はい……」

ルルーシュ(スザクがボルト等でしめた様子はなかった。ということは素手でどうにかなるはずだ)

シャーリー「ナナちゃん、大丈夫?」

ナナリー「はい、まだ余裕はありますけど……気持ちが急いてしまって……」

ルルーシュ「こうか?!」グググッ

ルルーシュ「くっ……ならば、こうか?!」ググッ

ナナリー「うっ……」モジモジ

ルルーシュ「ダメだ。どうなっている?押しても引いても微動だにしないなんて……!!」

シャーリー「ルル、スザクくんに電話したほうがいいんじゃない?」

ルルーシュ「そ、そうだな……。俺としたことがそんな単純な手段も思いつけないとは……」ピッピッ

シャーリー「もう大丈夫だからね、ナナちゃん?」

ナナリー「は、はい……よかったです……」

ルルーシュ「―――スザク!!俺だ!!」

『ただいま、電話に出ることができません。発信音の後にメッセージをどうぞ。ピー』

ルルーシュ「スザァァァァァク!!!!!」

シャーリー「ルル?!どうしたの?!」

ルルーシュ「スザクはダメだ。自力でどうにかするしかない」

シャーリー「自力でなんて……」

ナナリー「ふーん……ふーん……あいて……おねがい……」ググッ

ルルーシュ(考えろ。スザクに取り付けられたということは手順はいたってシンプルなはず。知恵の輪のようにパズル要素などないはずだ……!!)

シャーリー「このっ!このっ!!」

ナナリー「うーん……外れてください……!!」

ルルーシュ(そうだ……俺には日本人の精鋭たちがいるじゃないか……!!フハハハハハ!!!所詮はコタツ。奴らの知恵を借りようではないか!!)

ルルーシュ「……」ピッ

藤堂『―――ゼロか』

ルルーシュ「ああ、私だ。藤堂、早速だが力を借りたい」

藤堂『どうした?緊急事態か』

ルルーシュ「その通りだ。お前の助けがいる」

藤堂『なんでもいってくれ』

ルルーシュ「コタツの取り外し方を教えてくれ」

藤堂『コタツ?』

ルルーシュ「ああ。コタツが外れないと身動きがとれない」

藤堂『……』

ルルーシュ「冗談ではないぞ?」

藤堂『ゼロが冗談で連絡はよこしてこないだろう。しかし状況がわからなし、コタツの種類も分からないのだが……。コタツで身動きがとれないとは何があった?電源を切ってみればいいのではないか?』

休憩

ルルーシュ「違うな、間違っているぞ。コタツの魔力によって出られなくなったわけではない。物理的に身動きがとれないのだ」

藤堂『そういわれてもな……』

ルルーシュ「ええい。なんでもいい、コタツの取り外しかたを教えてくれ!!藤堂!!」

藤堂『ふむ。それはコタツの畳み方でいいのか。ならば、まずはメーカーを教えてくれ』

ルルーシュ「よし。わかった。しばし待て」

ナナリー「お兄様……まだでしょうか……」モジモジ

ルルーシュ「ナナリー、また中を覗かせてもらうぞ」モゾモゾ

シャーリー「ルル!!ここ廊下だから!!そんなことしちゃまずいって!!」

ルルーシュ「一大事なんだよ!!」

シャーリー「でもぉ!!」

「あ、ルルーシュくんだ……」

「なにしてるんだろー?」

シャーリー「ルルー!!!イメージが崩壊するからダメー!!!」

ルルーシュ「メーカー名を探しているんだ!!!邪魔をするな!!!」

ナナリー「お兄様、はやく……このままでは……」モジモジ

ルルーシュ「どこだ……どこにある……!?」ゴソゴソ

「あれって、ルルーシュくんの妹さんじゃない?」

「なんで股のところに顔突っ込んでるんだろ……」

シャーリー「みないでー!!みちゃだめー!!こんなルルーシュをみないでー!!」

ナナリー「お兄様ぁ……」

ルルーシュ「藤堂!!どこにも書いていない!!!」

藤堂『む……。そんな馬鹿な話があるか。いや、もしやとは思うがそれは誰かの自作か?』

ルルーシュ「そ、そうだった。これは世界に一つしかないコタツだ」

藤堂『ではその製作者に聞くしかないだろうな』

ルルーシュ「ぐぅぅ……そうなってしまうか……」

藤堂『残念だが、力にはなれそうもない……。すまない、ゼロ』

ルルーシュ「いや、こちらこそ……悪かったな……」

千葉『藤堂さーん、はやくー』

藤堂『千葉が呼んでいるから一度通信を終わる。ゼロなら自力で窮地を脱してくれると信じている』

ルルーシュ「あ、あぁ……」

ルルーシュ(くそ……希望は断たれたか……)

シャーリー「ルル、もうこのバケツで……」

ナナリー「そ、それだけは……」

ルルーシュ「くそ!!このコタツさえ破壊できれば!!!」ガンッ!!!

ナナリー「ぅぅ……お兄様……振動で……さらに……危なくなります……から……」モジモジ

ルルーシュ「す、すまない、ナナリー……!!―――そうか、その手があったか!!」

シャーリー「どうした?いい方法が見つかった?」

ルルーシュ「ああ。あった。カレンだ!!」

シャーリー「カレン?どうして?」

ルルーシュ「あいつの腕力ならばこのような板ぐらい、拳で割れる」

シャーリー「あのカレンが!?うそ?!」

ルルーシュ「できる!!カレンなら!!」

シャーリー「にわかには信じられないけど……。ルルがそういうなら呼んでくる」

ルルーシュ「頼む」

ルルーシュ(やれる!!やれるじゃないか!!!カレンなら!!)

シャーリー「ルル、つれてきたよ」

カレン「なに?ナナリーが危険だって言ってたけど」

ルルーシュ「カレン!!このコタツを破壊してくれ!!」

カレン「はい?」

ルルーシュ「カレンならできるはずだ!!」

カレン「えっと……無理だけど……」

ルルーシュ「何故、そんな嘘をつく!?」

シャーリー「ルル!誰かと勘違いしてるでしょ?!カレンは病弱なんだから、そんな野蛮なことできるわけないでしょ」

カレン「そ、そうよ。ケホっケホっ」

ルルーシュ「ぐぅぅ……!!」

ルルーシュ(カレンめ!!この状況下でネコを被るとは……!!ふざけるなよぉ……!!!)

ナナリー「あぅ……」

カレン「ナナリー?辛い?」

ナナリー「は、はぃ……だいぶ……」

カレン「……」グッ

カレン(二人に気付かれないように割っちゃえば……)ググッ

ルルーシュ「ええい……スザク!!電話に出ろ!!何をしているんだ!!!」

シャーリー「ああ、どうしよう!!スザクくん、仕事ならあと3時間は学校にこないよ!!」

ルルーシュ「三時間だと!?ナナリーが病気になってしまう!!!膀胱炎だ!!!責任をとれるのか?!スザァァァク!!!!」

カレン「んっ……」グググッ

カレン(あ、あれ……割れない……。なにこれ、すっごく堅い素材でできてる……!!)

ルルーシュ「そ、そうだ!!こんな方法……絶対にとりたくなかったが……!!!もう手段など選んでいられるか!!!」

シャーリー「ど、どうするの!?」

ルルーシュ「……」ピッピッ

カレン「はぁ……はぁ……ダメ……なに、このコタツ。わけわかんない……」

ナナリー「カレン……さん……?」

カレン「……」

カレン(ゴメン、ナナリー。あたしでもこれはちょっと壊せそうにないみたい……)

ルルーシュ「……私です」

『誰だ?何故、皇室専用のチャンネルを知っている?』

ルルーシュ「枢木スザクはどこにいるか分かりますよね、姉上」

『ルルーシュ……か?お前……ルルーシュ……なのか……?』

ルルーシュ「ええ……そうです。私です、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです」

『……うっ……ぐすっ……うぅっ……』

ルルーシュ「姉上?」

『ぐすっ……うっ…………それで、どうした?』

ルルーシュ「枢木スザクと連絡を取りたいのですよ」

『枢木と?訳と現在住所を言え』

ルルーシュ「ナナリーが危ないんですよ」

『ナナリーが?』

ルルーシュ「お願いします!!姉上!!」

『すこし待て。―――ギルフォード!!枢木と連絡をとりたいのだが、できるか?!なに?作戦行動中だと!?誰がそんなことを特派に命じた!?私?そうか』

『すまない。枢木と連絡を取るには時間がかかるが』

ルルーシュ「どの程度でしょうか」

『15分以内には連絡を取らせる。お前の頼みごとだからな』

ルルーシュ(15分……か)

ナナリー「うぅ……ぅ……」モジモジ

シャーリー「がんばって!!今、ルルが解決法を見つけたっていってたから!!もうちょっとだよ!!」

カレン「ナナリー、下腹部に力を込めれば少し楽になるから」

ルルーシュ「姉上、10分以内でお願いします」

『分かった。姉上に任せておけ。あと現在じゅうし―――』

ルルーシュ「ふぅ……。あとは時間との戦いだな……。ナナリー、あと10分ほど辛抱できるか?」

ナナリー「10分で……いいのですね……?」

ルルーシュ「ああ、10分だ」

ナナリー「うぅ……がんば、ります……」

ルルーシュ(代われるものなら代わってやりたい……!!)

カレン「ナナリー!!まけるなー!!」

シャーリー「ナナちゃん、ファイっ!!」

ナナリー「ふぅぅ……ぅ……!」

ルルーシュ(思えば最初から皆はコタツの魔力に魅せられていた……)

ルルーシュ(誰もがコタツから抜け出せなくなると咲世子も言っていた……)

ルルーシュ(それがこれか!!なんという運命だ!!!こんな呪われた暖房器具などいらない!!!)

ルルーシュ(恨むぞ……スザク……!!!)

ナナリー「はぁ……はぁ……」

カレン「ナナリー……」

シャーリー「ナナちゃん、もうちょっとだからね」

ルルーシュ「くっ……ナナリー……」

ミレイ「みんなー?なにやってるわけ?」

ニーナ「どうかしたの?」

リヴァル「早く戻ってこいよなぁ。書類たまってるんだし」

ルルーシュ「今は書類整理どころではない!!」

リヴァル「な、なんだよ?」

ルルーシュ「ナナリーが大変なんだよ!!」

ミレイ「大変って、なにが?」

カレン「このコタツが外れないとナナリーが移動できなくて」

ミレイ「あー……なるほど。ニーナ」

ニーナ「うん」

ルルーシュ「え?」

ニーナ「ナナリー、ちょっとゴメンネ」モゾモゾ

ナナリー「は……はぁ……」

ルルーシュ「ニーナ?」

ニーナ「えっと……これは……こうで……こうして……」カチャカチャ

ミレイ「コタツカーはニーナが組み立てたのよ、ルルーシュ?」

ルルーシュ「な……!?」

ニーナ「これで……どうかなっ?」ガチャン

ナナリー「は、はずれましたか?!」

ニーナ「多分……外れたと思うけど……」

ルルーシュ「ありがとう!!ニーナ!!!助かった!!!」ギュッ

ニーナ「きゃぁぁぁ!?!?」

ルルーシュ「よし、外すぞ!!」

ナナリー「は、はやくしてください……おにいさま……」

ルルーシュ「ふっ!!」ググッ

ガコンッ

ルルーシュ「よしっ!!外れたぞ!!ナナリー!!」

ナナリー「お、おにいさま……だっこ……」プルプル

ルルーシュ「分かった!!すぐに連れて行ってやる!!」ギュッ

ナナリー「あぁぁ……もう……もぅ……」

ルルーシュ「ナナリィィィィ!!!!!」ガチャ

バタンッ

リヴァル「……あいつ、ナナリーと個室トイレに入って行ったぞ」

ミレイ「まぁ、今回は大目にみましょうか」

ニーナ「はぁ……ルルーシュに……だきしめられちゃった……」ヘナヘナ

シャーリー「……いいな」

カレン「そう?」

カレン「でも、どうして簡単に外れないようになってたの?」

ニーナ「え?ああ、えっとね、車椅子の肘掛に引っ掛ける部分なんだけど、これ変な細工が施してあったの」

ミレイ「細工って?」

ニーナ「エナジーフィラーが尽きるまでは手動でのロック解除が出来ない仕組み」

リヴァル「なんで、そんな細工をする必要があるんだ?邪魔なだけじゃないか?」

ニーナ「でも、言い換えれば電源を落とせばロック解除できるようになるってことだから。コタツが稼動している最中はずっとロック状態になんじゃないかな?」

シャーリー「ということは、電源落とせばよかったんだ」

ニーナ「そうなる、かな?」

ミレイ「稼働中は常にロックって……」

ニーナ「多分だけど、何かの拍子にコタツが外れないようにしたんだと思うな。車椅子につけるものだから、どこかに接触したとかで……」

ミレイ「なるほど。スザクくんなりの優しさってわけね」

リヴァル「なんでそんな重要なことをルルーシュかナナリーに教えてないんだよ」

カレン「忘れてたんじゃない?」

シャーリー「あははは、そうかも」

ルルーシュ「―――忘れていただと……?そんな言い訳が通用するとでも思っているのか……」

シャーリー「ルル?!ナナちゃんは?!」

ルルーシュ「今、綺麗にしている」

ミレイ「なんか言い方がやらしいわよ」

ルルーシュ「スザク……スザク……!!」

カレン「完全にキレてる」

ニーナ「仕方、ないかも……」

ルルーシュ「……」

ピリリリ

ルルーシュ「……はい」

スザク『ルルーシュか?!どうした?!なにがあったんだ!?』

ルルーシュ「もう終わったんだ……全部な……」

スザク『ルルーシュ?!総督が住所と携帯電話の番号とアドレスを教えてほしいって言っているんだけど、教えてもいいのか?!』

ルルーシュ「いいわけないだろうが!!!!それぐらいわかるだろう!?えぇ!?スザァァァク!!!!」

スザク『す、すまな―――』

ルルーシュ「……許さないぞ、スザク」

ナナリー「はぁ……♪」

カレン「間に合ったみたいね」

ナナリー「はい」

シャーリー「ナナちゃん、コタツ、どうする?」

ナナリー「きょ、今日は十分に温まったので、もう大丈夫です……」

シャーリー「だ、だよねー」

リヴァル「はぁー、一時はどうなるかとおもったぜ」

ニーナ「うんうん」

ルルーシュ「会長、すいません。急用を思い出しました」

ミレイ「え?……別にいいけど、ほどほどにね?」

ルルーシュ「ふっ……さぁ、どうでしょうね……。俺の理性に聞いてください……」

シャーリー「ルル?どこいくのー?!もー!!」

ナナリー「お兄様……」

ミレイ「あーあ……スザクくんの顔、今のうちに思い出しておかないと……」

カレン「ルルーシュ……?」

今回スザクはそれほど悪くないと思うんです

黒の騎士団アジト

ゼロ「……」スタスタ

C.C.「そこの仮面男。乗っていくか?」ウィィィィン

ゼロ「……何の真似だ?」

C.C.「コタツタクシーだ。1メーター、ピザ一枚。安いだろ?」

ゼロ「……藤堂のところまで行ってくれ」

C.C.「分かった。お客様はミカンでも食べていろ」ウィィィィン

ゼロ(スザク、ナナリーの受けた苦しみをお前にも味わってもらうからな……)

C.C.「今日は何かったのか?不機嫌なようだが」ウィィィン

ゼロ「いいから目的地まで急げ。下手な寄り道などするなよ」

C.C.「この先は渋滞している。無茶をいうな」

ゼロ「……」

C.C.「ああ、ここからピザ二枚分の距離だからな」

ゼロ「何枚でもくれてやる。早くいけ」

C.C.「はいはい」ウィィィィン

つーかアジト内で渋滞も糞もないんじゃないか

>>143
みんな使ってるんだよ

C.C.「ついたぞ」

ゼロ「支払いはルルーシュで」

C.C.「わかった。またあとでな」ウィィィィン

神楽耶「タクシーさーん」

C.C.「今行く」ウィィィィン

ゼロ「藤堂」

藤堂「ゼロか。見てくれ、我々の新兵器がついに完成した」

ゼロ「ほう……。これは……?」

藤堂「C.C.のコタツカーを見て閃いたのだ。こうやって電動車椅子にコタツをつければ寒い格納庫内も快適に移動できる」

玉城「寒い日はこいつに乗ってアジト内を迅速にいどうできるからな!!」

扇「ゼロ、いいと思うんだ。乗ってみたらわかるが、意外と楽しいし、移動が早ければその分作業能率もアップするし」

ゼロ「……何台作った?」

藤堂「まだ一台だけだ。ゼロの許可無く量産はできないからな」

ゼロ「もう一台作ってくれ。私が性能を試そう。それと、加えてほしい機能が一つある」

藤堂「ああ、なんでも言ってくれ」

>>144
解散しろそんな組織www

翌日 生徒会室

スザク「そうか。そんなことが……」

リヴァル「謝っといたほうがいいんじゃないか、スザク?」

スザク「そうだね。謝っておかないと。危うくナナリーを膀胱炎にするところだったんだし……」

ナナリー「気にしなくてもいいですよ、スザクさん。スザクさんは私のためを思ってしてくれたことですし」

スザク「ナナリー……ありがとう……」

ナナリー「どうぞ。コーヒーです」

スザク「頂くよ」

カレン「でも、あのキレ方は危なかったし、謝っただけじゃ……」

シャーリー「ルルは優しいもの、大丈夫だって。きっと、たぶん」

スザク「うん。きちんと話せばルルーシュも分かってくれると思う」

ミレイ「どうかな……」

ナナリー「スザクさん、コーヒーのおかわりどうですか?」

スザク「ありがとう、頂くよ」

ニーナ「はぁ……ユーフェミア様……私、ダメな子です……ユーフェミア様一筋って決めていたのに……」

廊下

スザク(トイレ……トイレ……)スタスタ

ルルーシュ「スザク」

スザク「ルルーシュ。待ってたんだよ。昨日は大変だったみたいだね」

ルルーシュ「……」

スザク「すまない。すべては僕の―――」

ルルーシュ「それよりさ。この車椅子に乗ってくれないか?」

スザク「え?それは……?」

ルルーシュ「お前がくれた車椅子をさらに改良したものだ。ナナリーに渡す前に試乗して欲しいんだ」

スザク「そうなのか。よろこんで」

ルルーシュ「……」

スザク「よっと……。うん、座り心地は悪くないね」

ルルーシュ「……」ピッ

スザク「どうやって進むんだい?」

ルルーシュ「……先に生徒会室に戻っている。またあとでな、スザク」

スザク「え……?ルルーシュ?ちょっと、待ってくれ。これ、動かしかたが分からないんだ」

ルルーシュ「……」スタスタ

スザク「くっ……!!ふっ……!!ルルーシュ!!まってほしい!!どうしたら動くんだ!?ルルーシュ!!それだけでも教えてくれ!!!」

ルルーシュ「……」

スザク「なんで操作するところがないんだ?!こんなのナナリーに渡してもしかたないじゃないか?!」

ルルーシュ「そうか。欠陥品だったのか。ありがとう、スザク。なら、それは廃棄してくれて構わない」

スザク「ルルーシュ?様子が変だぞ……?」

ルルーシュ「……そうか?俺はいつも通りだ」

スザク「で、でも……」

ルルーシュ「……生徒会室で会おう」

スザク「ルルーシュ!!いい加減にしてくれ!!早く、ロックを解除してくれないか?!」

ルルーシュ「……何故だ?」

スザク「それは今、僕は尿意を覚えているからで……」

ルルーシュ「そうか。大変だな。生徒会室で待っている」スタスタ

スザク「な、に……?」

スザク「ルルーシュゥゥゥゥ!!!!君は!!君は間違っている!!!親友が困っているのに!!どうしてそんなことを言えるんだ?!」

ルルーシュ「ふっ……くくく……」

スザク「ルルーシュ……?」

ルルーシュ「フフフ……フフフハハハハ……アーッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」

スザク「何が可笑しい!?」

ルルーシュ「親友かぁ!!そうだな!!確かにお前とは親友だ!!!」

スザク「……?!」

ルルーシュ「だからこそだ!!!スザァァァク!!!!俺の怒りは収まらないんだよ!!!!」

スザク「ナナリーのことは謝る!!!」

ルルーシュ「謝って済むなら軍人などいらない!!!戦争も起こらない!!!俺はブリタニアの皇族としてナナリーと平和に暮らしている!!!!」

スザク「……っ」

ルルーシュ「俺からのクリスマスプレゼントだ。スザク。その車椅子は一度座れば、24時間は何をしても稼動しない仕組みになっている。車輪もロックされていて人間の力ではまず動かない」

スザク「なに……?!」

ルルーシュ「24時間後にはトイレに行ける。それまでの辛抱だ。スザク……フフハハハハ……」

スザク「ルルーシュ!!!まってくれ!!!どうして!!どうしてぇぇぇぇ!!!!!」

生徒会室

ルルーシュ「ナナリー、ただいま」

ナナリー「おかえりなさい、お兄様」

ミレイ「なんか、清清しい顔になったわね、ルルーシュ。いいことでもあった?」

ルルーシュ「いや。良いことなんてなにもないですよ。悪いことばかりです。心が冷め切ってしまうほどに」

ナナリー「お兄様、私がお兄様の心を温めます……」ギュッ

ルルーシュ「嬉しいよ。ナナリー。ナナリーさえいれば、心から温かくなれる」ギュッ

ミレイ「はいはい」

シャーリー「いいなぁ……」

カレン「そう?」

ニーナ「ナナリーが羨ましい……」

カレン「え?」

リヴァル「にしても、スザク遅いな。小便だって言ってたのに」

ナナリー「愛しています、お兄様」

ルルーシュ「愛している、ナナリー」

数時間後 廊下

スザク「……耐えるんだ……俺なら……できる……」

スザク「でも……もう……!!」

スザク「くっ―――」キュィィン

スザク「生きる!!!俺はこんなところでは死なない!!!」

スザク「生きなければならないんだぁぁぁぁぁ!!!!!!」

スザク「うおぉぉぉぉ!!!!!」



スザク「―――くそっ、ダメだったか」



おしまい。

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