シンジ「2030年あけましておめでとう、アスカ」 (74)

※エヴァTV版の二次創作です。
※ネタバレ有り

アスカ「はいはい、おめでと。まあ28歳になって目新しいもんでもないけどね」コタツアッタカーイ

シンジ「除夜の鐘も鳴り終わったし、今年度の抱負とかお互いに作らない?」

アスカ「抱負?あんたはもっと料理の腕が良くなるようにでいいんじゃない?」

シンジ「確かに僕はまだまだ板前修行中の身だからね……じゃあアスカは?」

アスカ「うーんそうね……じゃあ大学の研究で有名サイエンス誌に載るような論文を一つ書き上げるわ」ミカンモグモグ

ピロリーン ピロリーン ピロリーン

シンジ「あっ、皆からのメールだ!あけおめメール忘れてた!」

ピロリーン ピロリーン ピロリーン

アスカ「私にも来たわね…ヒカリったら子供の写真添付してるわ。見て、鈴原と三人で並んでる」

シンジ「えっと…ケンスケとカヲル君からも来てる。トウジの添付写真全く同じ奴だ」

アスカ「しかしヒカリと鈴原、こうしてみると齢がちぐはぐでとても夫婦には見えないわね」

シンジ「僕らエヴァパイロットは齢をとらないからね」

アスカ「使徒との戦いで右足を切断したけど身体障害者枠で公務員になったのは悪運が強いというか」

シンジ「妹のサクラちゃんに土下座したことがあるんだよ実は」

アスカ「そうなんだ?それで?」

シンジ「そしたら『謝らんといてください、シンジさんは地球を救った英雄なんですから』って怒られた」

アスカ「へー、まあアタシも英雄の一人なんだけどな」

シンジ「アスカが精神汚染を受けた時はどうなることかと思ったけど無事回復して良かったよ」

アスカ「ふふん!エヴァの中にママがいることが分かったからね!」

シンジ「エヴァはもう北極に永久封印されてるけど…母さんたちはずっと僕らを見守ってくれてるはずだよ」

アスカ「シンジのお母さんと言えば、レイがあなたのお母さんの複製体だとわかったときは私もびっくりしたわ」

シンジ「僕もびっくりしたよ…気になってた女の子が実は母さんのクローンだったなんて…」

アスカ「レイでいやらしい想像とかしてたんでしょ?背徳的ねえ」

シンジ「いやしてないよ!それに今ではレイは僕の可愛い妹だよ。それ以外の目では見てない」

アスカ「結局碇元司令と一緒に暮らすことになったんでしょ?お義母さんのリツコとうまくやれてるの?」

シンジ「うん、リツコさんはレイと仲良く暮らせてるようだし本当に幸せそうだよ」

アスカ「あーあ、私も早くウェディングドレス着たいなー」チラッチラッ

シンジ「え?アスカ結婚願望あるの?」

アスカ「まあ人並みにね、いくら外見が14歳だからってもうアラサーなんだしそろそろかなーって」テレテレ

シンジ「…誰か相手いるの?」

アスカ「な!そんなのいないわよ!バカシンジ!」バンッバンッ

シンジ「痛い痛い!クッションで叩かないでよ!」

ピンポーン

アスカ「誰か来たわねこんな深夜に」

シンジ「僕が出るよ、はーい今出ます!」カチッ

ミサト「はーいシンちゃん、アスカ、ハッピーニューイヤー♪」シュイン

シンジ「ああミサトさんでしたか、あけましておめでとうございます」

アスカ「ちょっと、今深夜よ?」

ミサト「別にいいじゃない隣同士で声まる聞こえなんだから、これから家族で第三新東京神宮に初詣行くんだけど一緒に行かない?」

リョウジ「よっ、あけましておめでとう。ほら、コトノも挨拶しな」

コトノ「シンジお兄ちゃん、アスカお姉ちゃん、あけましておめでとうございます」

シンジ「へーコトノちゃん振袖に着替えたんだね」

アスカ「それにしても段々ミサトそっくりになってきてるわね」

ミサト「まーそりゃ母娘だからね、普通娘は父親に似るとか言われてるんだけどねー」

夜の道

シンジ「コトノちゃんも今年中学生か、時が経つのは速いなー」

アスカ「やだシンジ、その言い回しおっさんくさいわよ」

シンジ「もう28だからね…もうすぐ初めて会った時のミサトさんの齢になるよ」

コトノ「確かシンジさんたちが地球を救った年ですよね?」

アスカ「そうよ、あの時一度あなたのお父さんが殺されたように見せかけて失踪してた時期があってね」

リョウジ「ははは、懐かしいな」

シンジ「あの時のミサトさんは大変だったんだよ、わんわん泣くわ美味しい料理食べても塞ぎ込むわで」

ミサト「ちょっとシンちゃん!娘の前でやめてよ恥ずかしいでしょ!」

アスカ「それでね、全てが終わってひょっこりと顔を出してね、いつものように手を挙げて『よっ』とか言っちゃって」

シンジ「確かそのあとすぐ結婚したんだよね」

リョウジ「まあ俺なりの演出だったわけさ、負ける戦いは嫌いなんでね」

ミサト「…今それを掘り返さないでくれる?」

コトノ「へーお母さんの大恋愛かー、いいなー」

リョウジ「コトノも好きな男の子ができればわかるさ」

コトノ「え…うん、わかった」

アスカ「!」ピーン

シンジ「あれ、アスカどうしたの?急に手なんか繋いで」

アスカ「うっさい!夜道が危険だからあたしが手を繋いでやってんのよ!バカシンジはとろいからね!」

シンジ「あれ?あそこにいるのはレイだ!おーいレイ!」

レイ「…あ…お兄ちゃん」

シンジ「どうしたんだ一人で?父さんと義母さんは?」

レイ「…はぐれたの…GPSでも座標が曖昧でわからないの…」

アスカ「どうせ娘をほっておいてしっぽりやってるんでしょ」

シンジ「コトノちゃんの前でそんな言葉を使わないでよ!」

ミサト「じゃあリツコには私が連絡しておくわ、ライングループだし。私たちと一緒に初詣に行きましょ」

レイ「…わかりました、作戦部長」

アスカ「おお、なっつかしー響き!」

人が並んでる神社の境内

レイ「…作戦部長は教師の仕事どうですか?」

ミサト「私?そこそこ順調よ、30代から大学行きなおしたんで結構ブランクあったけど」

ピロリーン

ミサト「あれ?ラインだわ、おーマヤからだわ!懐かしー!」

シンジ「え?マヤさん第三新東京市にいるんですか?」

ミサト「そうみたいね、リツコがここで会う約束をしてたんだって。年末にネルフ退役尉官同窓会が行われてたって聞いたけど、私も行きたかったなー」

ピロリーン ピロリーン

ミサト「おお日向君に青葉君も!!え?日向君もう子供が三人いるの?」

シンジ「へー!見せてくださいよミサトさん!」

アスカ「ちょっとずるいー!私にも見せてよ!」

コトノ「ネルフってとても仲のいい組織だったんですね」ニコニコ

レイ(…そうでもなかったけど)

チャリーン

シンジ(えっと…お金を投げ入れて)

ジャランジャラン

シンジ(二礼二拍手一礼…と)

シンジ(今年こそアスカの我儘が直りますように…)

アスカ(今年こそシンジがプロポーズしてくれますように…)

レイ(…この平和がいつまでも続きますように…)

ミサト(今年もお酒がたらふく飲めますように…)

リョウジ(ミサトの料理の腕が上達しますように…)

コトノ(いつまでも家族仲良く暮らせますように…あと、ちょっとでいいからシンジさんが振り向いてくれますように…)

アスカ「さてお参りも終わったし甘酒飲んでおみくじひくわよ!あと屋台のベビーカステラ買ってきて!」

シンジ「もうすっかり日本人だねアスカ」

アスカ「あらもう日本にいる時間の方が長いのよ?いいからカステラ買ってきなさい!6人分ね!ダッシュ!」

レイ「…お兄ちゃん…私ハチミツ味」

シンジ「はいはい、わかったよ」ダッ

コトノ「あー、いっちゃった」

アスカ「じゃあ甘酒飲むわよ!最近はこんなところにもSuicaが使えて便利よね!」

ミサト「ねえアスカ、願いを叶えたいのなら少しはシンちゃんに優しくしてあげたら?」

アスカ「な、な、な、何のこと?」

ミサト「あーら、40代の女の勘を舐めない事ね」ニヤリ

シンジ「すいません、ベビーカステラ6人分、一つはハチミツ味でお願いします」

屋台の親父「あいよ、ここにSuicaタッチして」

シンジ「はい」ピッ

屋台の親父「まいど!」

シンジ「ふうやっと買えた」

トウジ「あれ?シンジやないか?」

シンジ「あ!トウジ!あけましておめでとう!ヒカリさんも一緒だね」

ヒカリ「あけましておめでとう、碇君」

トモカズ「お母さん、この人誰?」

ヒカリ「この人は碇シンジ君って言ってね、お父さんの親友よ」

シンジ「へーこの子がトモカズ君か、二年前会ったときは赤ちゃんだったのに大きくなるもんだね」

トウジ「ははは、まあこんな中学生の見た目で子供がいるなんてけったいやけどな」

シンジ「まあそれはしょうがないよ、また皆で一緒にどっか遊びに行こうよ」

トウジ「あー今ケンスケは新婚旅行で沖縄に行ってるからの。しばらくは無理やけどいつか行こか」

ヒカリ「そういえばそこで渚君を見かけたわよ」

シンジ「え?カヲル君を?」

ヒカリ「ええ、あの銀髪に赤い目は見間違えようがないわ」

トウジ「しかし最初紹介された時はびびったけどなー、なんせ人間型の使徒なんやから」

シンジ「そうだね、でも一緒に量産型エヴァと闘ってくれた時は頼もしかったなー」

ヒカリ「もうあの年から14年も経つのね…」

トウジ「そうやな、もう15年目に突入や。星空は全然変わらへんな…」

アスカ「おーそーいー!」

シンジ「ごめんごめんアスカ、トウジ達と話しこんじゃって」

アスカ「ヒカリ達来てたの?だめよ、一家団欒を邪魔しちゃ」

シンジ「そうだね、はい、ベビーカステラ」

アスカ「なによこれ、冷めてるじゃない!やり直し!もう一回買ってきて!」

シンジ「えー?そんなー」

ミサト(アスカ、願いを叶えるんでしょ?)ボソボソ

アスカ(むう…わかったわよ…)ボソボソ

アスカ「うん、なかなか冷えたベビーカステラもいけるじゃない!買ってきてくれてありがとねシンジ」モグモグ

シンジ「え?アスカ!?今ありがとって…」

アスカ「何よ、あんたにいつもの感謝の念を伝えただけでしょ。本当はいつも感謝してんのよ、ふんっ!」

シンジ(今日は雪でも降るんじゃないかな…)

マリ「あれー、わんこくんがいないニャー、どこだいわんこくんー?」

シンジ「?あれ?あの娘…なんで正月に浴衣を着てるんだろう?」

アスカ「どうしたのシンジ?」モグモグ

シンジ「いや、あの中学生くらいの女の子…何か探し物をしてるみたいだから気になって」

アスカ「なにあの娘?こんなに寒いのに浴衣なんか着てる」モグモグ

レイ「…あなた、こんなところでどうしたの」モグモグ

マリ「あー実はうちで飼ってるワンちゃんがどっかいっちゃってね、探してるってトコなのさ」

レイ「…そう、あなたも大変ね」モグモグ

コトノ「私も一緒に探します!」

マリ「え?そうかい?嬉しいこと言ってくれるじゃニャい!」

コトノ「そのワンちゃんの名前は何て言うの?」

マリ「ああ、五号機って言うニャ」

コトノ「五号機?珍しい名前ですね」

マリ「ニャはは、ちょっと思い入れがある名前でね」

シンジ「僕も一緒に探します」

リョウジ「ほうシンジ君、義を見てせざるは勇なきなりだね。俺もご一緒するよ」

コトノ「ありがとお父さん!」

ミサト「じゃあみんなで探しましょ、ひっさびさの作戦行動ね。腕が鳴るわ」

アスカ「えー私パス!」

ミサト「駄目よ、これは元上司命令よ」

アスカ「りっふじーん!」

神社の茂み

アスカ「まったく、何で新年早々こんなことしなくちゃいけないのよ」

シンジ「まあまあ、使途に比べればこんなの軽いよ。LEDライト持ってきてて良かった」

レイ「…五号機、五号機、出ておいで」ガサガサ

アスカ「それにしても星が綺麗ね、初日の出見えるかしら」

シンジ「そういえば以前にもこの三人で星空を眺めてた事があったね、覚えてる?」

アスカ「もちろん覚えてるわよ!あの蜘蛛型の使途が襲来した時でしょ?」

レイ「…あの時の事はよく覚えてるわ…アスカが身を挺して使徒の溶解液を防いでくれたもの」

アスカ「まああの時はシンジに借りを作ってたからね、それを返そうとしただけよ」

シンジ「借り?なんだったっけ?」

アスカ「覚えてないの!?あんた溶岩に飛び込んで私を助けてくれたじゃない!」

シンジ「え…そうだっけ?」

アスカ「嘘?覚えてないの?信じらんなーい!私あれがきっかけだったのに!」

シンジ「え?きっかけって何の?」

レイ「…それはねお兄ちゃん、アスカがお兄ちゃんの事を…」

アスカ「シャラーップ!それ以上言うんじゃないわよ!」チョークスリーパーガシリ

レイ「…アスカ、ギブギブ」パンパン

シンジ(アスカもレイも本当に仲良くなったなあ)ニコニコ

少し離れた場所の茂み

マリ「わんこくーん、わんこくーん、どこだーい。この魚は旨いぞー」

コトノ「そんなたい焼きでおびきよせられるんですか?」

マリ「あったりめーよ!たい焼きは五号機の大好物なんだからな!」

コトノ「へー、変わった犬ですね」

マリ「まあ五号機はたい焼き食べたことないけどね」

コトノ「えっ…そうなんですか」ズルッ

マリ「まあかくいうアタシもたい焼きなんか食べたの今日が初めてだけどニャ」

コトノ「それは珍しいですね」

マリ「っていうか日本に来たのも昨日が初めてだニャ、ちゃんと和服も着て。気合入ってるだろい?」

コトノ(…それ浴衣って言って夏の着物なんだけどな)

マリ「コトノちゃんは中学生くらいかニャ?」

コトノ「今年の春に中学生になります!マリさんは15歳くらいですか?」

マリ「それなんだけどさ…もし私が28歳だって言ったら信じてくれるかニャ?」

コトノ「え…それって?」

マリ「いやなんでもニャい、聞かなかったことにして欲しいニャ」

コトノ「い…いえ!信じます!」

マリ「じゃあ本当の事を話すけど…アタシは昔とある秘密機関のパイロット候補生でさ、そのとき呪いにかかって齢をとらなくなったんだニャ」

コトノ(シンジさんたちと同じだ…!じゃあこの人もエヴァパイロット…!?)

マリ「アタシはずっとパイロットとして活躍できずに役目を終わったんだニャ、気付いた時にはアタシはもうお払い箱になってたんだニャ」

コトノ(…じゃあ世界中に同じ境遇の元チルドレンがいるってこと?)

マリ「なんてね、嘘だニャ。こんな話に騙されるようじゃ大人にはなれないニャ」

コトノ「…アドレス」

マリ「え?なんだニャ?なんで携帯を手に持ってるニャ?」

コトノ「アドレス交換してください、きっとあなたとシンジさんたちはお友達になれます」

マリ「…わかったニャ。えーと、Bump入ってるかニャ?」

コトノ「入ってます、はい」

マリ「じゃあアドレス交換ニャ」チャチャーン

コトノ「ではシンジさんたちに後で教えますね」

マリ「何言ってるニャ?後で紹介してくれればいいニャ」

コトノ「それは…つまり」

マリ「アタシたちはもう友達同士ニャ、コトノは日本に来ての友達第一号ニャ」

コトノ「…はい!」

かなり離れた場所の茂み

リョウジ「ふーむこの月影しかささない暗闇、諜報員時代を思い出すな」ガサガサ

ミサト「今から考えれば無茶したもんねー、私もあんたも」ガサガサ

リョウジ「おや、多少の無茶は男女の仲を味付けるスパイスだぞ?それに使徒戦がなかったらコトノも生まれてなかっただろう」ガサガサ

ミサト「それは否定しないけど…もうあんな無茶はやめてよね、私あんたが死んだと思って相当泣いたんだから」ガサガサ

リョウジ「わかってるよ、俺ももう最愛の妻と可愛い娘のいる身だ。キール議長の陰謀も全てわかったしな、危険な稼業に戻るつもりはないさ」ガサガサ

ミサト「そう言ってくれると嬉しいけど…!あそこで何か動いたわ!」

リョウジ「見つけたようだな、声を潜めろ。俺は右に回るからミサトは左に回れ、俺が手を挙げたら挟み撃ちだ。いいな」

ミサト「わかったわ」

リツコ「いやですわあなた、こんな茂みで。人が来たらどうするの」

ゲンドウ「ふっ問題ない、こんな所までだれも来やしない」

リツコ「私はさっきマヤに会ったばかりなんですよ、こんな事では示しがつきませんわ」

ゲンドウ「久しぶりに伊吹二尉に碇司令と呼ばれて昔を思い出してな、出会ったばかりの君をな」

リツコ「もう…マヤはもう伊吹でも二尉でもありませんよ。結婚して名字が変わったんですから」

ゲンドウ「そんなことはどうでもいい、私の事は昔のように碇司令と呼べ赤木博士」

リツコ「では…私は司令と呼びますから、私の事はリツコ君と下の名前でお呼びください」

リョウジ「…」

ミサト「…」

ゲンドウ「ぬはあっ!お前らは加持夫妻!どうしてここに!」

リツコ「え?嘘?ミサト!?リョウちゃん!?」

リョウジ「すいません、お邪魔だったようで。退散します」スタスタ

ミサト「ごめんねリツコー、ごゆっくり」スタスタ

ゲンドウ「違う!貴様ら待て!これは命令だ!」

リツコ「お願いミサト!待って!話を聞いて!」

リョウジ「大丈夫ですよ、画像を保存なんかしてませんから」スタスタ

ミサト「レイには黙っといてあげる。でも高齢出産には気をつけるのよリツコ」スタスタ

リツコ「おねがい!後生よ!何でもするから!誰にも言わないで!」

ミサト「ほう、何でもとな?」ニタア

リツコ「なるほど…コトノちゃんの頼みで犬を探してるのね…」

ミサト「そうよ、何とかならない?」

リツコ「できないこともないわよ、これを使えば」スチャッ

ミサト「何それ?ただのスマホじゃない」

リツコ「スマホ型のMAGI端末機よ、これさえあればペンタゴンはおろか世界中のサーバーは二秒で丸裸よ」

ミサト「…なんつーものを携帯してんのよあんた」

リツコ「でもこれを使うにはゲンドウさんの許可がないと…よろしいですか?」

ゲンドウ「問題ない、存分にやりたまえ」

リツコ「というわけで行くわよ、この周辺の監視カメラという監視カメラにハッキングを仕掛けるわ」ピッピッピッ

リョウジ「すごい手さばきだな、腕はおとろえちゃいないか」

リツコ「まあね、ゲンドウさんに頼まれてシンジ君の日常をいつも監視してるから」

ミサト「なーんだ碇元司令、なんだかんだ言ってシンちゃんの事気にしてるんじゃないですか」ニヤニヤ

ゲンドウ「うむ…あいつも…いくら28歳とはいえ私の息子だからな」

ミサト「シンちゃんの料理凄く美味しいんですよ!一度シンちゃんが修行している店に食べに行ったらどうですか?」

ゲンドウ「そういうわけにはいかん…あいつはまだまだ半人前だ…甘やかす訳にはいかん」

リョウジ「俺も家族でよく食べに行くんです、少年料理人として有名ですよ。本当は28歳ですがね」

ミサト「でもそろそろ親方に認められるんじゃないですかね?陰でシンちゃんの事誉めてるの偶然聞きましたし」

ゲンドウ「そうか…もしあいつが一人前と認められて…のれん分けを許されれば」

ミサト「許されれば?」

ゲンドウ「私が…その店の一人目の客になるつもりだ」ニヤリ

ミサト「さっすが司令!そうこなくっちゃね!」

リツコ「ミサト!リードの付いた犬を監視カメラが捉えたわ!今MAGIにトレースさせてる!」

再びシンジたちの近辺の茂み

シンジ「あっ!いた!五号機、こっちだよ」

アスカ「こらー!大人しくお縄につきなさい!」

レイ「…アスカが大声を出すから逃げたわ」

シンジ「もしもしミサトさん!どっちに行ったか分かりますか?」

ミサト『目標は神社の裏手から本殿に侵入したわ』

シンジ「本殿?そんな所入っていいの?」

アスカ「ごちゃごちゃ言わない!任務遂行あるのみよ!」

レイ「…この門から中に入れるみたいね」

シンジ「でも鍵かかってるよ」ガチャガチャ

レイ「…ATフィールド」バキッ

シンジ「え?レイそれはあんまり使わないほうが」

レイ「…開いたわ、行きましょ」ギィ

アスカ「そういえばあんたアバカム使いだったわね…」

本殿内

シンジ「あっ居た!おーい五号機、怖くないよ、僕らは君の味方だよ」

アスカ「ふっふっふ…コーナーに追い詰めたわよ、観念しなさい」

レイ「…あなたは死なないわ…私たちが飼い主に引き渡すもの」

神主「君たち、ここで何をしている」

シンジ「え!?神主さん?」

五号機「わんっ!」ピョン

アスカ「あっ!しまった逃げられたわ!」

神主「何だと?何故犬がこんな所に?うわっ!」

レイ「…あ…神主さんに飛び掛かったわ」

神主「ちょっとやめんか!顔を舐めるな!うわっ!」ツルッバターン

シンジ「大丈夫ですか神主さん!?」ドタドタ

アスカ「五号機捕まえたわよ!手こずらせてくれたじゃないの!」ガシッ

レイ「…アスカ、お見事」パチパチ

シンジ「え…?あなたは…!?」

冬月「いてて、何故本殿内に犬がいるのだ…」

シンジ「冬月さん!なんでこんなところにいるんですか!?」

アスカ「え!?冬月って副司令?なんで神主になってるのよ?」

レイ「…冬月副司令…お久ぶりです」チョコン

冬月「君らはチルドレンの…その犬は君らの飼い犬かね?」

シンジ「いえ、ちょっと知り合った女の子の飼い犬を一緒に探すことになりまして」

冬月「そうか…しかし偶然だな。こんな所で再会するとはな」

アスカ「副司令が神主だなんてどういう風の吹き回しい?」

冬月「それはな…少し座って話をしようか…」

シンジ「そうですか…セカンドインパクトと使徒戦で亡くなった全ての魂を鎮めるために神職に…」

冬月「そうだ、私は元々京都大学で形而上生物学という哲学めいた事をしておったからな、性に合っているようだ」

レイ「…副司令はずっとここに?」

冬月「まあな、碇の便宜でこの第三新東京神宮の宮司にしてもらった」

アスカ「全然気づかなかったわよ、何回も来てるのに」

冬月「それにな…この神社が鎮めてるのは我々のような人類だけじゃない、使徒と呼ばれた孤独な人類たちの魂も鎮めているのだ」

シンジ「使徒…?この神社使徒が祀られているんですか?」

冬月「そうだ、彼らも私たちと同じ人類だ。仲間のいない不老不死の、そして滅びの定めを背負った悲しき人類だ」

レイ「…その気持ちわかる…私も半分リリスだもの」

冬月「だから彼らの霊魂を鎮めるために私は残りの人生を捧げるつもりだ、せめてもの罪滅ぼしの為にな」

シンジ「冬月さん…」

冬月「さあもう行きたまえ、仲間が待っているのだろう?」

神社の境内

マリ「おー五号機、やっと帰ってきてくれたねー。もう離さないぞこんちくしょー」ナデナデ

レイ「…もう逃がしちゃだめよ」

ミサト「ふっふっふ、これにて一件落着ね!」

アスカ「まったく、付き合わされたこっちはいい迷惑よ」

シンジ「そう言わないでよ、アスカも結構楽しんでたじゃない」

アスカ「まあ昔に比べればこんなのお茶の子さいさい!よ」

コトノ「マリさん、メールしますからね!絶対しますからね!」

リョウジ「じゃあそろそろ帰ろうか、もうすぐ朝だぜ」

アスカ「えーもうそんな時間!?うわっ!本当だ!」

ミサト「帰ったらペンペンJr.に餌あげなきゃね、フアー」

マリ「じゃああたしはこれで帰るよ、みんなまったねー!」

シンジ「じゃあまた」ヒラヒラ

アスカ「それにしても元気のいい娘だったわねー」ヒラヒラ

レイ「…私たちの中にはいないタイプね」ヒラヒラ

コトノ「あの、みなさん。あの娘実は…」

シンジ「えっ!?」ハッ

アスカ「?どうしたのシンジ?」

シンジ「いや…いま空の月影の中にカヲル君がいたような気がしたんだけど…」

アスカ「ハァ?あの変態正月早々空飛んでるの?レーダーに引っかかったらどうするのよ?」

レイ「…あの人ならやりかねないわね」

第三新東京市 上空

カヲル「さてこの高度まで来れば十分かな」

カヲル「近くに航空機の類は…無いね」

カヲル「ではいこうか、空に向かってATフィールド全開!」キインッ

カヲル「天空中の水蒸気よ!白く凝結して優しくリリンの街に舞い降りよ!」

シンジ「それにしても星空が綺麗だなー」

アスカ「でも寒いわよ!早く家に帰って暖かいコタツで甘酒飲んで寝ころびたい!」

コトノ「確か私が生まれる前は日本って常夏だったんですよね?」

レイ「…使徒戦が終わってから、段々世界中がセカンドインパクト前の気候に戻ってきてるから」

コトノ「私は常夏の方が良かったですよ!寒いのは嫌いです!」

リョウジ「冬もそう捨てたもんじゃないさ、色とりどりの四季があって楽しめるものもあるからな」

ミサト「そうね、春はお花見、秋は紅葉、そして今のような冬は…」

シンジ「…雪だ!」

ミサト「そう、雪で雪だるまとかスキーとかね」

シンジ「違いますよ!雪が降ってるんですよ!」

アスカ「アンタ馬鹿ぁ!?こんな晴れてるのに雪なんて…えっ!?」

レイ「…本当に雪だわ」

コトノ「凄い…星空から雪が降っている、こんな光景初めて見た…」

シンジ(本当に雪が降るなんて…アスカがありがとうって言ったからかな?)

ミサト「みんな、東の山を見て!ほらほら初日の出よ!」

リョウジ「おお、2030年代初の朝日のお目見えか」

コトノ「すごーい!雪の中の日の出なんて初めて!」

シンジ「アスカ!凄いよ!もっと前に出て!」ギュッ

アスカ(え…シンジから手を握って…)

シンジ「アスカ?」

アスカ「ねえシンジ…やっぱり私抱負変える」

シンジ「抱負って…論文書くってやつ?」

アスカ「うん…でもそんなのどうでもいい、私今年こそ素直になって我儘直してみせるから」

シンジ(え?まさか神様に願いが通じた…?)

アスカ「だからこれからも私と仲良くしてちょうだい…シンジ」

シンジ「アスカ…じゃあ僕も抱負を変えるよ」

アスカ(え…?まさか?)

シンジ「僕はもっともっと料理の腕を磨いて親方に早く認められるようにする」

アスカ(何よ…変わってないじゃない)

シンジ「そして一人前になって自分の店を持つことを許されたら…」

アスカ「許されたら?」

シンジ「僕と…一緒になってほしいんだ」

アスカ(…シンジ!)ブワァ

コトノ「シンジさん!ほら凄いですよ!見てくださ…」ガシッ

ミサト「おおーっと、コトノは今振り向かない方がいいわよ」アームロックガシリ

コトノ「お母さん何するのよ!振り向いたら何があるの?」

ミサト「今はね、シンちゃんとアスカの一生で一番大事で思い出に残る瞬間なの。干渉するのはヤボってもんよ」

リョウジ「ははは、コトノにも素敵な男の子がいずれ現れるさ」

コトノ「だから後ろで何してるのよ!お願いだから振り向かせて!」ジタバタ

レイ「…お兄ちゃん、アスカ、おめでとう」ニッコリ


第三新東京市 上空

カヲル「希望に充ち充ちた朝日がまぶしいね」

カヲル「ふふっ♪シンジ君が幸せそうで本当に良かったよ」

カヲル「この星に生きる、全てのリリンとその仲間たちに幸あれ」

END

それではこの辺で終わらせていただきます。
エヴァTV版がハッピーエンドだったらという仮定で書いたSSでした。
読んでくれた方、書き込んでくれた方、有難うございました。

くぅ~疲れましたw これにて人類補完です!
実は、部外者入れたら人類補完の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は補完するつもりなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないのでリリスの分身で挑んでみた所存ですw
以下、ゼーレ達のみんなへのメッセジをどぞ

キール「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

仏代表「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」

英代表「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいな・・・」

米代表「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」

露代表「・・・ありがと」ファサ

では、

キール、仏代表、英代表、米代表、露代表、ゲンドウ「皆さんありがとうございました!」

終劇

キール、仏代表、英代表、米代表、露代表「って、なんでゲンドウくんが!?
改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に終劇

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年07月18日 (金) 01:07:20   ID: MZ6NPPfi

しみじみしたわ

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