照「チョコレートが欲しい…」(128)

立つか

なんだ立ってないのか

時は経ち―――2月13日。明日はバレンタインデー。
日本では女性が男性にチョコレートを渡す風習があるのだが、最近では女性が女性にチョコレートを渡すこともあるそうだ。

照(明日はバレンタインデー。菫に手作りのチョコレートを渡したい)

照(だけど…)

照(私はチョコレートを作れない。というかカカオ豆の売ってる場所が分からない)

照(…どうしよう)

照「…そうだ。魔物部屋の皆に聞いてみよう」

照「えーっと…」

魔物部屋。。。

―テルさんが入室しました―

テル:誰かいる?

アラサー美女:いるよ

姫様:ふふふ。明日は私の日。祝いなさい皆の者

テル:?

アラサー美女:ああ、姫様ちゃんは寝ているだけだから

テル:なるほど

京太郎「最近ちまたではホモチョコが流行っているのか」

姫様:汝ら。無礼であるぞ。敬意を持ってあたりなさい。

アラサー美女:はいはい

テル:今日は何の神様が降りてきたの?

姫様:家庭と結婚の神である。幸せな家庭を築きたいのならば明日の我が日を祝いなさい!

アラサー美女:ふむ。だが断る

姫様:……天誅。これで汝の婚期は未来永劫、消滅した。この災厄の難を壊したくば我が日を祝いなさい。

アラサー美女:婚期が消滅(笑)

テル:アラサー美女さんの婚期が…

ホモォ

アラサー美女:大丈夫だよ、テルちゃん。縁は自ら掴むものだってお母さんが言ってた

姫様:それは所詮が精神論。私の御技の前には為す術なし。それが世の常なり

テル:アラサー美女さん。アラフォーになっても婚期がこないんだね

姫様:如何にも。私の司る結k

テル:…姫様さん?

姫様:すいません。寝てました。

アラサー美女:姫様ちゃん。自分の過去ログを見てみたほうがいいよwww

―姫様さんが退室しました―

テル:あっ

アラサー美女:逃げたwwwww

テル:ちょっと相談したいことがあったのに…

アラサー美女:相談なら私が乗ってあげるよ

テル:……気は進まないけどこの際だから仕方ない。アラサー美女さんに相談がある。

アラサー美女:お姉さんが的確な助言を与えてあげる

テル:明日のバレンタインデーのことなんだけど

アラサー美女:リア充爆発しろ

テル:え

アラサー美女:爆発しろ。とにかく爆発しろ。もういっそ爆発してよ

テル:………

アラサー美女:と、冗談は置いといて。それで明日のバレンタインデーがどうしたの?

テル:意中の人に手作りのチョコレートを渡そうと思うんだけど作り方が分からない

アラサー美女:もう爆発してよ

テル:爆発はしない。それからカカオ豆の売ってる場所が分からない。どこに売っているの?コンビニとかにも行ったけど売ってなかった

アラサー美女:いやいや普通に市販の板チョコを溶かして自分なりにアレンジすれば良いだけだと思うよ

テル:でもそれは本当に手作りと言えるのだろうか

アラサー美女:言えるんじゃないかな?

テル:そういうものな

アラサー美女:そういうものなんじゃない。知らんけど

テル:とりあえずアラサー美女さんの意見を参考にチョコレートを作ってみるよ

アラサー美女:……最後に一ついいかな

テル:なに?

アラサー美女:やっぱり爆発しろ

―テルさんが退室しました―

1時間後。宮永家の台所には、髪の毛を覆い隠す三角頭巾に桜色のエプロンを装備した照の姿があった。

照「とりあえず板チョコを大量に買ってきた。とりあえず作ってみよう」

照(確か、まずはチョコレートを溶かすんだよね)

照は沸騰する鍋の中に板チョコを放り込み、適当に掻き混ぜる。

照「……何かおかしい。ドロドロに溶けるはずなのに何か水っぽい」

照(どうして、何かおかしい。もしかして失敗したのかな)

さらに1時間が経った。その時の台所の惨状は悲惨なものだった。

チョコレートの空き容器が散乱しており、甘ったるい匂いが室内に充満し、チョコレートを作る際に使った鍋や皿などはそのまま適当に放置してある。

照(板チョコがなくなった。なんで、失敗することを前提に多く買ってきたのに…)

照(……チョコレートの作り方が分からない。難しすぎる。どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう)

―――翌朝。朝日が登り、陽光が一気に辺りを染め上げる。その陽光の眩しさに彼女はようやく時間の経過を自覚した。

照「あっ…」

あれから失敗に失敗を重ね、まったくの進歩がないまま朝日を迎えた。

照「間に、合わなかった…?」

照(いや、待って。まだ時間はあるはず。とりあえずようやくチョコレートが溶けてきたな)

ストーブの前に裸の板チョコを起き、その熱風でチョコレートを溶かしている。

照(少しくらいの遅刻なら何とか…)

電気ストーブの熱風のおかげでチョコはドロドロになり、それを一心不乱に掻き混ぜ、その混ぜたチョコを“ドロドロの固体”から“ドロドロの液体”に変化させる。

照「……ふぅ」

照(あとは、下味に色々と入れれば美味しくなるはず)

適当に、その場にあった甘味に合うような香辛料を振り掛ける。

照「これで、完成、なのかな。でもなんか……見た目がドロドロしている」

照(あっ、そうだ。固めよう。液体を固めるにはやっぱり、冷凍庫だよね)

照は型に流し込んだチョコレートを冷凍庫に入れた。

照(出来上がりが楽しみ)

一応、前スレのログ
照「後輩が欲しい…」 - SSまとめ速報
(http://m.logsoku.com/r/news4vip/1354004480/1-10?guid=on)

照「………だけど本当に大丈夫かな。もしかして甘さが足りないとか言われるかもしれない」

照「砂、糖は…」

照「でも、どうしよう。出来れば菫に喜んでもらいたい」

照(………菫に早く会いたいな)


その頃、弘世菫はまだ夢の中にいた。凄い幸福に満ちた寝顔の中に時折見せる笑顔が一段と可愛らしい―――

その後、その台所の惨状を母親に見られ、壮絶なる怒りを買い、その憤怒の鉄拳に殴打された頭部を押さえ込み、彼女は床を転がり回る。

照「…いたい」

さらに彼女の母親はトドメの一言を放った。

母「この惨状を片付けるまでは朝ご飯抜きね。作れないもの」

照「それは流石に理不尽。横暴。酷い。母親の職権乱用」

母「良いから片付けなさい。手伝ってあげるから」

照「……分かった」

1時間後。完全に元の整頓状態に戻った台所に立ち、調理する母親を横目に照は、睡魔との激戦に明け暮れていた。

軽快な音を鳴らす包丁捌きが心地好く、それが子守唄のように照を眠りに誘う。

照(…ね、むい)

その直後、

母「寝るな!!」

照「ひゃい!」

母親の怒声にも似た一喝に照は肩をビクンと跳び上がらせた。

結局、寝れずに徹夜明け状態の照は、カツカレーを頬張り、冷凍庫から自作チョコレートを取り出して、そのまま覚束ない足取りで家を出た。

照「………」

照(眠い。かなり眠い。すごく眠い)

照(だけど外の冷たい空気のおかげでちょっとだけ目が覚めた)

照(とりあえず今日はチョコレートを菫に渡して……渡して?)

照(あれ?……どうやって渡せばいい)

照(改めて考えると何か……)

照(下駄箱に入れる? いやでも私たちは恋人同士なわけだからそんな回りくどい渡し方は…)

照(やっぱり手渡しが…だけど…こういうのはいつも貰ってばかりだったから……今さら何か恥ずかしい)

照(……どうしよう。どうしよう。どうしよう)

必死に思考を巡らす照はつい目の前が疎かになり、電柱に思い切り額を打ち付けた。

照「ふぎゃ!」

釣り好きなら魚捌けて当たり前だから誠子ちゃんもいけるはず

>>76
誠子「釣った魚?勿論リリースさ♪」

淡「えぇーっ!?お昼ご飯じゃないの?」

誠子「地球に優しい釣り人を目指してるんだ♪」

淡「せっかく調味料もってきたのに~…で、お昼ご飯は何?」

誠子「これだ」スッ

淡「何これ?」

誠子「ドイツ軍レーションだb」

誠淡か…

>>82
あんまみないジャンルだけどいいのできるかもね

菫さんはおはぎとか作ってきそう

菫さん割烹着着てそう

>>89
中の人は料理うまいらしいね

淡「ね、ねぇ誠子…それ…何食べてるの?」ガクブル

誠子「焼き蜘蛛だよ、チョコみたいな味がするんだが」

淡「へ、へぇ…」

誠子「食べるか?」スッ

淡「キャァァァァアア!!?」ダッ!

昔自衛隊の人から聞いた話

ごめんなさい。意識が飛んでました。乗っ取られてる?

照「…いたい」

額を押さえ、しゃがみ込み、プルプル震える照の背後から声がかかった。

菫「おい、大丈夫か。お前は相変わらず、本当にもう……」

照「……菫。おはよう」

菫「おはよう、照」

照(す、菫に…今、渡す…?)

照(………いやまだ心の準備が)

思案に耽る中、不意に菫が言葉を発する。

菫「……照」

照「なに?」

菫「あの、いや、やっぱり…何でもない」

照「?」

菫(ああもう! いつもは普通に渡せるのに何か…恥ずかしい)

二人は互いに何かを言おうとしてはやめ、やめては言おうとしてを繰り返し、いつの間にか学校に到着していた。

下駄箱で靴を履きかえ、教室に向かう。

その途中、菫は何個かラッピングされたものを受け取り、鞄の中にしまい込んでいた。

その様子を横目に照は面白くなさそうに呟いた。

照「……菫。いっぱいチョコ貰えて良かったな」

菫「なんだ嫉妬してるのか?」

照「別に…」

菫「心配しなくてもこれらはただの友チョコだ」

照「心配なんかしていない」

教室に入った途端、照は自分の机に向かい、そのまま自分の腕に顔を埋め、それを枕にして眠りはじめる

照「……おやすみ。菫……すぅー……すぅー……」

菫「寝るの早いな」

菫(寝れなかったのか、まったく保健室で寝ればいいものを)

菫は照の頭を軽く撫でる。

放課後。照は目を覚ました。何故か保健室にあるベッドの上で寝ている。

照「あれ……?」

照(いつの間に保健室に…)

菫「ようやく起きたか」

照「私なんで保健室のベッドに」

菫「掃除の邪魔になりそうだったから私が運んだ」

照「…起こしてくれればいいのに」

菫「何度揺すっても起きなかっただろ」

照「部活は?」

菫「休んだ」

照「私は?」

菫「休ませた」

照「そう」

菫「ああ」

照「………」

菫「………」

照(もう放課後、このままでは…)

菫(もう放課後か。どうやってチョコを渡そうか)

照『はい、これあげる』

菫『これは?』

照『チョコレートに決まってる。見て分からないの?』

菫『これを私にくれるのか…?』

照『か、勘違いしないで! これは別に菫のために作ってきたとかそういうわけじゃないんだからね!』

菫『ははっ、分かってるよ』

菫『(照、ありがとう)』



照(これは…いけるかもしれない)

照「す、すみ」

菫「……照。これあげるよ」

照「……え?」

照「これは?」

菫「チョコレートに決まっているだろ。見て分からないか?」

照「……これを私に?」

菫「か、勘違いするなよ。それは本命のチョコだからな。友チョコではない」

照「うん、分かってる。菫、ありがとう」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom