夫「浮気してるだろ」妻「あなたこそ」 (34)


夫「……もうダメだな、俺たち」

妻「そうね」

夫「当然だが、慰謝料は払ってもらうぞ」

妻「ふざけないで。悪いのはあなたの方じゃない」

夫「ふざけてるのはそっちだろ。専業主婦のくせに浮気なんかしやがって」

妻「あら、働いてたら浮気しても許されるとでも思ってるの?」

夫「……」

妻「……」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1389861708


夫「じゃあこうしよう。お互いの浮気相手を呼び出して話を聞く」

夫「それでどっちの浮気が悪質かを決めようじゃないか」

妻「あなたにしてはいいアイデアね。それじゃ、一週間後に○○カフェで」

夫「ああ。泣いて謝るなら今のうちだぞ?」

妻「それはこっちのセリフよ」

夫「ふん……」

妻「……」

・・・一週間後、○○カフェ

夫「ついにこの日が来たな」

妻「そうね」

夫「俺たち夫婦も今日までだな」

妻「いちいち喋らないで。私はあなたと話したくもないの」

夫「そうだな。会話なんてこっちも願い下げだ」

妻「……」


カランコロン


夫「お、来たみたいだな。お前の浮気相手」

妻「はあ?」

夫「さてどうでるかな? 開口一番に謝罪か、もしくはいきなり土下座か――」


?「貴様ァ!」バキッ!

夫「ブゥ!?」ガシャーン

妻「!?」


夫「な、なんだお前! こんなことしてただで済むと思ってるのか!」

?「うるさい! 悪いのは君の方だろう!」

夫「いやいやいや! どう考えても人の妻に手を出したお前が悪いだろ!」

妻「いや、私この人知らない」

夫「えっ」


夫「えっと、じゃああなたは一体……?」

堅物男「僕は真面目女の夫だ!」

夫「げ、真面目女の旦那さん!?」

堅物男「その名前くらいは知ってるよな、なんせ君の浮気相手なんだからね」

妻「あら、これはありがたい援軍ね」

夫「くぅ……」

堅物男「もうじき真面目女も来るはずだ、そうしたら早速話し合いを――」


カランコロン


?「ったく、どこのどいつよ! 人の男に手ぇ出したのは!」


夫(きた! ギャル女さんだ!)

夫「ほら、妻の浮気相手の奥さんも来たぞ!」

夫「これでもうイーブンだ! さあ話し合いを――」


堅物男「な、なんでギャル女がここに……?」

ギャル女「あ、あんたこそなんでここにいんのよ!?」


夫「ん?」

妻「あれ?」


堅物男「ぼ、僕はただ、妻の浮気相手を問い詰めようと……」

ギャル女「ハア? あんただってウチと浮気してたくせに何言ってんの?」


夫「え、何この状況」

妻「泥沼じゃない……」


堅物男「い、今はそんなこと関係ないだろ!」



「いや、関係大アリだな」

全員「!?」


真面目女「堅物男さん……」

チャラ男「ギャル女……」


「「どういうことか説明してくれよ(ください)」」


夫「うわぁ泥沼が悪化した」

妻「ドヤ顔で出てきたけど、この二人も浮気してたのよね?」

夫「そういうお前もな」

妻「あなたもね」


チャラ男「おいてめぇ」

堅物男「な、なんだよ」

チャラ男「人の女に手ェ出しやがって! キッチリ責任とってもらうからな!」

夫「ちょっと待て」

チャラ男「なんだよ!」

夫「いや何その態度。俺もお前に対してすごく怒ってるんだけど」

チャラ男「あ、夫さん……いやあの、ホントに申し訳ないっつーか」

堅物男「そ、そうだ、夫くん! 僕だって君には怒ってるんだぞ!」

チャラ男「てめぇは自分のこと棚に上げてキレてんじゃねぇよ!」

夫「いやそれお前も。思いっきりブーメランだから。俺もだけど」


妻「なんだか男性陣が盛り上がってるわね」

ギャル女「なに落ち着いてんの? ウチに対してすいませんの一言もないわけ?」

真面目女「でしたらまずあなたが私に謝罪するべきではないですか、ギャル女さん?」

ギャル女「はあ? だったら先にあんたが妻に謝れよ!」

妻「ま、あたしは謝った程度で許してあげるつもりなんてないけど」

ギャル女「いやそれウチもだから」

真面目女「私だって謝罪ぐらいで許す気はないですよ」


「……」


夫「ちょっと待って。全員一旦落ち着こう」

夫「一回状況を整理しようか」



夫「じゃあまず俺から。俺の浮気相手は真面目女さんだ」

真面目女「……私ですね。そして私の旦那であるのが」

堅物男「僕、というわけだ」

ギャル女「で、そいつの浮気相手がウチね」

チャラ男「その旦那がオレで、浮気してたのは夫さんの奥さんの――」

妻「あたし、ってことね」



夫「これはひどい」

妻「どの口が言ってるの」

夫「わかってる」


夫「えっとまず、俺がチャラ男を呼び出して」

妻「あたしが真面目女を呼び出したのよ」

夫「俺も妻も、『既婚なら旦那(奥さん)も連れてこい』って言ったはずだ」

妻「ええ、そうね」


堅物男「僕がそれを電話で聞かされたのはついさっきだったからね。会社を飛び出して、妻より先に来てしまった」

ギャル女「ウチはチャラ男と来るつもりだったけど、こいつが急に逃げ出しやがったから一人で来た」


チャラ男「俺はビビって逃げたけど、やっぱ行かなきゃダメだと思って来てみたら……」

真面目女「店の前で会いまして、話を聞いてみたら関係者だったので一緒に入ってきた、というわけです」


夫「なるほど。これで一連の流れは分かった」

夫「で、どうすんのさこれ」


妻「それで、この中で離婚するつもりのない人はいるのかしら。まだ結婚生活続けたい?」


夫「無理だな」

堅物男「無理です」

真面目女「無理ね」

チャラ男「無理っしょ」

ギャル女「無理じゃね」


妻「あたしも同感。じゃあ揃って離婚で問題ないわね」


堅物男「慰謝料の請求はどうするんだ?」

チャラ男「それな。オレはお前からがっつり搾り取るつもりだけど」

夫「そしたら俺もその分きっちり頂くよ?」

チャラ男「いやそこは勘弁してもらえないっすかね……?」

夫「取るのは良くて取られるのは嫌なのかよ」


ギャル女「ウチだって妻からたっぷり払ってもらうつもりなんだけど」

真面目女「じゃあその分私にもたっぷりお願いします」

妻「なら私にだって……って、これじゃ堂々巡りじゃない」


夫「……じゃあ、浮気相手への慰謝料の請求は無しってことで」

堅物男「納得はいかないけど、仕方ないか」

チャラ男「取った分取られるんじゃ、意味ねーしな」

妻「夫婦間での財産分与に関しては、各自で話し合ってちょうだい」

ギャル女「オッケー」

真面目女「仕方ないわね」


夫「それじゃ、これ以上話しても無駄な争いを生むだけだし、これで解散にしよう」

真面目女「そうね、行きましょうか夫さん」

夫「ああ」


「「ちょっと待て」」


妻「なんで普通に帰ろうとしてるの?」

堅物男「しかも二人一緒にとはどういうつもりだ?」

夫「どういうつもりって……なぁ?」

真面目女「そうね、私たちはこれから一緒に生きていくってことよ」

夫「浮気が原因で離婚したんだ、よくある話だろ?」

妻「それは、そうだけど」チラッ

堅物男「しかしなぁ……」チラッ


チャラ男「ん、どした?」

ギャル女「なんで二人してこっちみんの?」


妻(こいつと一緒になるのは――)

堅物男(――死んでも嫌だ!)


妻「……ねぇ、堅物男さん」

堅物男「……なんですか?」


妻「あたしとギャル女、どっちがいいですか?」

ギャル女「?!」


ギャル女「ちょ、あんたなに言ってんの!?」

妻「仕方ないじゃない! もういい歳だしこれから結婚相手探すなんて厳しいのよ!」

ギャル女「だからって人の男取る!? 泥棒猫かっつーの!」

妻「あんただって泥棒猫じゃない!」


チャラ男「え、つーか妻さん、オレと結婚してくれるんじゃ……」

妻「誰があんたなんかと! あれは単なる遊びに過ぎないのよ!」

チャラ男「……それマジで言ってんの? 頭おかしいんじゃねぇ?」

妻「頭おかしいのはそっちでしょ!」


ギャル女「つーか堅物男ちゃん? ウチのこと幸せにしてくれんだよね?」

堅物男「いや、その、僕も遊びだったというか……」

ギャル女「あ゛ん?」

堅物男「ヒィッ……!」


ギャーギャー


夫「……行こうか」

真面目女「そうね、あなた」



そうして俺たちは新しい道を歩み始めた。
これに懲りてお互い二度と浮気することはなく、子供も二人授かりとても幸せに暮らした。


……風の噂で聞いた話だが、妻は堅物男と結婚したらしい。
チャラ男の方はギャル女と喧嘩しつつも仲直りし、離婚せずに済んだんだとか。


・・・二十年後

真面目女「今日ですね、相手方の両親がお見えになるの」

夫「そうだな。まさか二人同じ時期に結婚すると言い出したときは驚いたが」

夫「しかもお互い時間が取れず、息子の相手と娘の相手、その両方の両親と同じ日に顔を合わせることになるとは」

真面目女「いいじゃないですか。これもなにかの縁です」

真面目女「きっと賑やかな顔合わせになりますよ」


ピンポーン


夫「お、早速来たみたいだな」


ガチャ

夫「こんにちは。この度はどうも――」


チャラ男「ん?」

ギャル女「は?」


夫「………………え?」


堅物男「ごめんくださ――ってあれ?」

妻「……冗談でしょ?」


真面目女「……これもなにかの縁」

真面目女「賑やかな顔合わせになりそうですね……」

夫「ああ、ホント、賑やかだろうなぁ……」



fin

くぅ疲。
ほかのSSの展開に悩んでたのと、冬休みの宿題が終わらないのにイライラして書きました。
後半けっこう雑になっちゃいましたが、息抜きの一本なんで勘弁してください。

読んでいただきありがとうございました。
それでは。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom