一条楽「FF10HD……?」 (150)

【夏休み 某日】



楽「思わず買っちまった……」


楽「FFって有名だけど、RPGというかゲーム自体疎いからやったこないんだよな」


楽「でも時間もあるし、せっかくウチの奴らが勝手に持ち込んだPS3もあるし……やってみるか」ポチッ


楽「……」


楽「……電源がつかない」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1389784434


2012年にエタった自作SSを書き直します。
FF10HDが発売した&ニセコイアニメ化記念に、今度は書き上げます。

ゆっくり更新して行きますね。


楽「あれ? コンセントはささってるよな? なんでつかないんだ!?」


楽「く……! わからん!」




千棘「あー今日もあっついわねー……」ガラッ


千棘「こんな日はアイスでも食べながらゴロゴロと……ん?」




楽「……よぉ」


千棘「……何やってんのよモヤシ」


楽「見りゃわかんだろ、ゲームだよゲーム」


千棘「ほ~ぉ? 私には猿がコードに興味を持っていじってる様にしか見えないんだけど」


楽「誰が猿だ、誰が!」


千棘「この部屋にいる私以外の人よ」フリフリ


楽「遠回し過ぎるだろ!」


楽「ったく……」


千棘「で、ほんとに何やってんの?」


楽「だからゲームだっての! 丁度今からやろうと思ってたんだよ!」


千棘「あ、そう。 でも、そのゲームのHDMI端子が刺さってないみたいなんだけど」


楽「えいちでぃーえむあい? 呪文か何かか?」


千棘「……はぁ~。 やっぱりアンタはバカもやしね。 そこに電源ケーブルと同じくらいの長さのやつがあんでしょ」


楽「えーと、これか?」


千棘「そう、それ。 それをテレビにささないと映るもんも映らないわよ」


楽「なるほど!! ……って、何でお前そんなこと知ってんだよ」


千棘「べ、別にいいじゃない! ゲームの一つや二つくらい、私だって知ってるわよ!!
て、ていうか何でアンタはわかんないのよ!」


楽「俺はあんまりこういうの興味なかったんだよ。 外で遊んでた方が楽しいし」


千棘「何その言い方! まるでゲームを遊んでる人たちは外で遊ばないもやしッ子みたいな!」


楽「おいおい、いくらなんでもそれは言いがかりだろ!?」


千棘「とにかく! 折角教えてあげたんだからさっさとやる!」


楽「お、おう」テキパキ



…3分後



楽「これでいいのか?」


千棘「いいんじゃなーい?」グテーン


楽「……なにをだらけてるんだ」


千棘「えー? だってやることないしー、今日は休むって決めるからー。 アイスおいしー」


楽「……こうして体重はちゃくちゃくと加算されていく」ボソッ


千棘「……」バキッ


楽「ぶへぅ!? ってーな! なにすんだよこのゴリラ娘!!」



千棘「ぼそっと言ったつもりか知らないけど全部聞こえてんのよ!!」


楽「畳に寝そべってアイス食べてる奴に的確なアドバイスをしただけだろ!」


千棘「っ! あーうるさいうるさい! 大体あんた――」




ミーンミーン……




千棘「……」ダラダラ


楽「……」ダラダラ


千棘「……暑いからこのくらいで許してやるわよ」


楽「……おう」



楽「さってと……せっかく買ったんだしそろそろやるとすっかな」


千棘「あ、そういえば何のゲーム買ったの?」


楽「FF10」


千棘「……へ?」


楽「ファイナルファンタジーⅩ」


千棘「何それ?」


楽「はぁ!?お前知らねえの!?」


千刺「な、何よ……。 有名なの?」


楽「有名も何も……ってそうか、もしかして海外ではそこまで有名じゃないのか、FFって」


楽「(ってか、俺も名前しか知らないし)」


千棘「有名かもしれないけど、私はゲームと言えば教育系のものしかやったことなかったし、詳しいってワケでもないのよ」


楽「はーん……じゃあ一緒にやるか?」


千棘「ぶっ」


楽「何だよきったねぇなぁ……」


千棘「アンタの誘いが突拍子もないからでしょ!」


楽「だってやったことないなら一緒だろ。 それに俺ゲーム自体ほとんど未プレイに近いし、できればちょっとでも知ってる奴と一緒にやりたいんだよ」


千棘「……む~」


楽「……別にお前が忙しかったりしたらいいんだけど」


千棘「……どんなゲームなの、それ」


楽「RPGだけど、俺も詳しくは知らん」


千棘「二人でできるもんなの?」


楽「さぁ……。けど、RPGって普通一人用なんじゃないか? 知らねえけど」


千棘「それじゃあ一緒にやりたくてもできないじゃない!」ウガー


楽「やりたいの?」


千棘「!?……ち、違うわよ!!」バキッ


楽「ふごっ!?」


千棘「こ、言葉のあや!! もののたとえ! 勝手に妄想膨らますな!エロもやし!」


楽「どこがエロなんだよ!? ってか普通にコントローラー交代交代でやりゃいいだろ!」


千棘「……」


千棘「……面白そうならやる」


楽「……はぁ、勝手にしてくれ」ポチッ


千棘「言われなくてもそうしますよ~だ」


楽「へいへい……。 ……お、ついた」


千棘「……キレイな音楽ね。 映像はアニメみたい」


楽「たしかに。 ……で、俺は何をしたらいいんだ」


千棘「NEW GAMEってところで○ボタンだね、多分」


楽「お、そうなのか」ポチッ


千棘「アンタ、初心者過ぎるでしょ……」


楽「だから俺はゲーム自体未プレイに近いんだって――――――ん?」







<コレデ、サイゴカモシレナイダロ?




千棘「……なに、これ。 オープニングでしょ? 何でいきなりクライマックスみたいな感じなの?」


楽「知らねえ。 映画の導入みたいな感じなんじゃねーの?」


千棘「……ゲームってこんな綺麗なのね」


楽「これ十年以上前のやつだけどな」


千棘「え!? そうなの!?」


楽「あぁ。 何でも十周年記念で映像を綺麗にして再発売した……みたいな感じだって」


千棘「そんなに人気なのね」


楽「FFってだけで相当な人気みたいだなー」


千棘「ふーん……」



<サインチョウダーイ


<アワテンナッテ


楽「人気者だなー。 こいつが主人公なのかな」


千棘「さっきのオープニングにも出てたし、そうなんじゃない?」


楽「パッと見ヤンキーみたいで良い印象ないけどなぁ」


千棘「まぁ、アンタよりはマシよね。 イケメンだし」


楽「イケメンじゃなくてわるぅござんしたね」


千棘「悪いと思ってんならなんとかしなさいよ」


楽「『なんとか』ってなんだよ……」







楽「名前か……」


千棘「プレイヤーの名を借りて、『モヤシ』とかでいいんじゃない?」プークスクス


楽「……」ムカッ


楽「そういや、どっかのバナナゴリラ王女と同じ金髪だな。 キンパツゴリラとかにすっか。 ムキムキだし」


千棘「はぁ!??! アンタあたしがムキムキって言いたいわけ!?」


楽「さぁ? 誰もお前なんて言ってないけど。 まさか図星か?」


千棘「むぎぎぎぎぎぎ……」






【キンゴリもやし】


千棘「……」


楽「なんだよその顔……」


千棘「名前、ナンセンス過ぎる……」


楽「お互いの意見をミックスさせたんだよ。 妥協ってやつだな」


千棘「アンタの方が一文字多く入ってる」


楽「細かいな!? そんくらい良いだろ! 買ったの俺だし!」


千棘「……ふんっ。 別にいいけど」


<ブリッツボールハ…


楽「……」


千棘「……」


楽「……」


千棘「……何してんの?」


楽「え? いや、何って……ゲームだけど?」


千棘「んなこたぁわかってんのよ!! 何で動かさないのって聞いてるの!」


楽「え?動かせんのかこれ」


千棘「どう考えてもその隅で橋から落ちようとしてる馬鹿はアンタでしょ!」


楽「うぉ!? 適当にコントローラーいじってたから勝手に動いてたのか!」


千棘「気付きなさいよそれくらい!」


楽「まだムービーだと思ってたんだよ!」


千棘「(私も少し思ったけど)そのくらいの区別付けなさいよ! だから素っ頓狂な顔って言われんの!」


楽「誰にだよ!」


千棘「私に!」


千棘「とりあえず右の方行けば進むんじゃない?大きな建物の方」


楽「はいよ」


千棘「それにしてもリアルねー」


千棘「この変な実況してる人も、実際のラジオとかでいそうだし」


楽「今、14まで出てるみたいだけど、これよりすげーのかな」


千棘「想像もつかないわね……」


楽「そうだな……。 キャラも喋るし、ほんとに映画の登場人物をいじってるみたいだ」


千棘「作るのにどれくらい時間かかるのかしらね」


楽「想像もつかん……」


楽「……うわー。 コイツ、こんなにファンいるのかよ。 観客とか多い! ってかキャラ小さい!」


千棘「文句多いわよ!」


楽「だって主人公どこにいるかわかんねーし!」


千棘「たしかに……。 あ、真ん中らへんにいるの、そうじゃない?」


楽「あ、ほんとだ。 とりあえず建物の中入るか」


楽「……お、画面が暗くなった」


千棘「……どうやら、またイベントみたいね」


楽「おぉ……?」


千棘「下水道……かしらね」


千棘「って、つめたっ!? ……そういやアイス放置だったから溶けてきてる!!」


千棘「手がべとべとー……さいあく……」


楽「うおおおっ!」


千棘「!?」ビクッ


千棘「ちょっと! 急に大声出さないでよ!」ゲシッ


楽「へぶっ!? ってーなぁ! いーからお前もこれ見ろって!」


千棘「何よ? ……って…………」


楽「めっちゃリアルだな! 何のスポーツなんだこれ!?」


千棘「……し、知らないわよ私だって」


楽「これすげー楽しそうだなー!! 何かこういう感覚も久々かもしんねー!」ワクワク


千棘「……」ドキッ


千棘「(……って、『ドキッ』て何よ、『ドキッ』って……)」


千棘「……」ジトッ


楽「うわー……。 やってみてーなー。 すっげー……」


千棘「(……ふんっ)」



楽「!?」


千棘「何!? 地震!?」


楽「……ついに始まるのか!」ゴクリ


千棘「……え? 何このおじさん」


楽「侍か? やたらダンディだな」


千棘「……って、それよりも、何よこのデカい化物……!!」


楽「俺が知りたい……!」




楽「うわっ!何か子どもみたいなの産んだ!」


千棘「な、何なのよこいつら! きもっ!」


楽「虫か何かか? ってデケーな!」


千棘「ほら!はやく倒しなさいよ!」


楽「無理だろ!武器もなんもねーし!」


千棘「何よ役に立たないわね!」


楽「キンゴリもやしに言えよ!」


千棘「ナチュラルにその名を言うんじゃないわよ!」


<ジェクトノモノダ


楽「お? このおっさん誰だ……? ……って、剣くれたぞ!」


千棘「結構格好いいかも……」


楽「お前ってそういう趣味なの!?」


千棘「べ、別に趣味とかじゃないでしょ!」


楽「ふーん……」


千棘「ほら、そんなことより始まったわよ!」


楽「お、おう……」



楽「そりゃ」ポチッ


<ハァッ!


千棘「……132? 132って何の数字?」


楽「敵の上に出て来た数字だよな? 俺にもわからん……。 モンスター語か?」


千棘「モンスター語? 数字が?」


楽「わかんねぇけど、あいつらってモンスターだろ? その上にでてきたんだから多分言葉だろ」


千棘「確かに……」


楽「多分、何か解読方法があるんだろ」


千棘「難解ね……。 ……って、んなわけあるかー!! 普通に体力とかでしょ!!!」



楽「……体力?」


千棘「キンゴ……じゃなくて、主人公たちの名前の横にあるでしょ何か数字が! それも同じで、生命力みたいなもんよ! 多分!」


楽「あーなるほど! これを0にしたら勝ちなのか!」


千棘「逆に、こっちが0になったら負けってことね」


楽「よくわかったなー」


千棘「ふ、ふんっ! 当たり前の事でしょ! っていうかこういうのって普通説明書とかに載ってるんじゃないの?!」


楽「え? そんなの入ってるのか?」


千刺「……」


<グオォ!


楽「いきなり強そうなのが出て来たぞ! タコか?!」


千棘「でかぁぁ!? しかも色が禍々しい! ……悪趣味……」


楽「とりあえず攻撃してみるか……そりゃ」


千棘「普通にダメージは与えられるみたいだけど、心もとないわね」


楽「たしかに……。 ちまちまやってたんじゃ時間かかっちゃいそうだな」


<オレニマカセテロ


楽「お? なんだ?」


千棘「必殺技……ってやつかしら?」





楽「オーバードライブってすげーな……」


千棘「あのでかいのがあっという間だったもんね……」


楽「それにしてもこのおっさん、つえーな」


千棘「この人がいれば主人公必要ないんじゃない?」


楽「それを言うなよ」


千棘「やっぱり主人公がもやしっ子なのね」プークスクス


楽「バナナ好きゴリラともやし、どちらかになるなら、俺はもやしを取る」


千棘「バナナは好きだけど別にとりわけってわけでもないの!! っていうかアンタが最初の日に勝手に決めた設定でしょ!?」


楽「お前だって俺のどこを見て毎回もやしもやし言ってんだよ!」


千棘「ぐぬぬ……」


楽「ぐぬぬ……」



楽「えっ!? なに!? 敵が無限に沸いてくるんだが!?」


千棘「きも、きも、きも!!!」


楽「俺を見ながら言うなよ!!」


千棘「仕方ないでしょ! テレビがアンタの方にあるんだから!」


楽「これ、いつ終わるんだよ!」


千棘「私が知るか!」




<アレヲコウゲキスルゾ


千棘「トラックを攻撃しろって言ってるけど」


楽「……? 何でだ?」


千棘「さぁ……。 邪魔だからじゃない?」


楽「うーん……。 それ、大雑把すぎねぇ?」


千棘「う、うるさいわね。 他に何か考えられるの?」


楽「いや、思いつかん。 ……とりあえず、その通りにするか」


千棘「そうするしかなさそうね」



楽「トラック落ちたーーーー!!!!!」


千棘「爆発したーーーーーーー!!!!!!!」


楽「飛んだーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」


千棘「え、ちょっと、何これ!? ムービー!?」


楽「急にムービーシーンかよ! 変わり目わからない!!」


千棘「って、何か吸収されてるわよ!?」


楽「な、なんだ!? 何がどうなってるんだ!?」


千棘「アンタどうにかしなさい!」ブンブン


楽「ぶべべべべべべっ。 俺にどうにかできるわけないだろ!」



シーン…


楽「……」


千棘「……」


楽「……」チラッ


楽「……あれ?」


千棘「……?」


楽「……なんか、空とんでっけど」


千棘「え? ……あ、ほんとだ」


楽「とりあえず、移動してみるか」


千棘「(……バグってやつなのかな)」








楽「……あれ?」


千棘「……あら?」


楽「何か変な遺跡みたいなところにいるぞ」


千棘「あの人は?」


楽「おっさん消えたな……」


千棘「……このゲーム、おじさんがよく出てくるわね」


楽「しかも正体不明のおっさんが大量にな」


千棘「話の流れ的に、主人公のお父さんっぽかったけど」


楽「あ、確かに」


千棘「そのくらいの文脈読みなさいよ、馬鹿ね」


楽「バカとは何だバカとは」


千棘「事実を述べているだけよ」


楽「ゴリラに文脈がどうとか言われてもなぁ―――うべっ!?」ドゴォッ


千棘「ふんっ!」


<ドコッスカココ



楽「俺たちが聞きたいよな」


千棘「ほんとね……。 おいてけぼり感凄いし」


楽「……とりあえず進むしかないか」


千棘「……そうね、待ってても仕方ないし」


楽「ここはなんだ? 遺跡かどっかか? 都会チックな場所とは打って変わってる」


千棘「さっきもそうだったけど、服着たまま泳いで重くないのかな」


楽「注目するのはそこじゃないだろ……」



楽「とりあえず動くか……」


千棘「ここでじっとしててもしょうがないしね」


楽「しっかしまぁ、随分と寂しいところだなあ。 人の気配がない」


千棘「……ねぇ、見てあそこ。 青っぽくない?


楽「え? ……あ、本当だ。 よく見つけたな、あんなん」


千棘「ふふん」ニヤッ


楽「なんでドヤ顔なんだよ」






楽「『ミアブヒダサネヤハルクニホホヅサキョシセ
 マカラーニャムへシモッユレオソフオイジダカムイモ』」


千棘「何語よ」


楽「知るか」


千棘「文字の色が普通の字幕と違うし、きっと何かの暗号よね」


楽「おいおい、何か重要なヒントとかだったらどうするんだよ」


千棘「それはないでしょ。多分」


楽「何で?」


千棘「そんなのズルいじゃない」


楽「お前の都合かよ!」



楽「とりあえずどうしようもないから先に進んだのはいいが……」


楽「……これ、なんだ?」


千棘「さぁ……。 宝箱?」


楽「青白い宝箱……? さっき何個か見つけたけど、こんなんじゃなかったぞ」


千棘「とりあえず触ってみたら?」


楽「あぁ」


楽「そうしてみるか……ってセーブかよ!」


千棘「これ、セーブポイントだったのね……」


楽「なんてこった……それならさっきから触ってみりゃ良かったんだ……」


千棘「何で触ってみなかったのよ?」


楽「お前がキモいから先に進めってずっと俺を揺すってたんだろうが!」


……


楽「とりあえずセーブしたはいいが……落ちたな」


千棘「この主人公泳ぐの好きね」


楽「好きなわけじゃないと思うぞ」


千棘「じゃあなんなのよ」


楽「不可抗力だろ」


千棘「……まるで私たちの境遇みたいね」


楽「……そうだな。 って悲しくなるからやめろよ」

ティーダはFF10の時点でかなり不幸な主人公だが続編の小説だと可哀想すぎてやばいよな


<グォォ!!



楽「おいおい、またボスかよ!?」


千棘「骨だらけできもちわるっ!」


楽「しかもさっきのやつより強そうじゃねーか!!」


千棘「ど、どうすんのよ! 勝てるの!?」


楽「とりあえず攻撃してみるしかないだろ!」


<ハァ!


千棘「全然利かないじゃない! どうなってんのよ! 音もザンッ!とかじゃくてバコッ!だし!」


楽「音も聞き分けてんの!?」







楽「!? 勝手にイベントが始まったぞ!」


千棘「どういうこと!?」


楽「俺が知るか!」


<ヤバイッスー!


楽「急げ!!!」


千棘「!!」サッ


楽「……」


千棘「……」


千棘「……」チラッ


楽「何とか無事みたいだな」


千棘「さ、流石にこんな初めっから主人公がやられちゃうわけないじゃない」


楽「……どっかの誰かは目を閉じてたけどな」


千棘「う、うるっさいわね!!」


楽「まーたよく分からん所に出たな……」


千棘「……瓦礫ばっかりね」


<ヒ、ヒドコダヨ……


楽「よくわからねーけど、RPGってこんなに動くもんなんだな」


千棘「私もよくわからないけど、そんなもんじゃない? たぶん」


楽「集がたまに格ゲーやってるのとかは見た事あんだけど、あれは一つのステージの中だけだからな」


千棘「そう考えると、これって相当動いてるわよね? 最初の導入の場所と、すっごい大きな街と、この変な廃墟みたいなところで
もう合計三つも」


楽「……ゲームの世界って実は奥深いのかもな」


千棘「ほんとね……」



楽「じゃ、主人公寒がってるし火の素になるもの探すか」


千棘「そうね――」


ピリリリ~♪


楽「ん?」


千棘「あ、私のだ」


楽「電話か?」


千棘「そうみたい。 ……小咲ちゃんからだ」


楽「?! お、小野寺から!?(うらやましい!!)」


千棘「ちょっと出てくるわね」


楽「(俺も電話したい……) なら俺は先に進めてる」


千棘「はぁ!? 何言ってんのよ! 駄目に決まってるじゃない!」


楽「どうしてだよ!?」


千棘「私が見れないじゃない!」


楽「何だかんだお前楽しんでるんだな!?」




【別室】


千棘「もしもし?」


小咲「あ、千棘ちゃん? いきなりごめんね?」


千棘「ううん、大丈夫だよ。 どうしたの?」


小咲「あ、うん! あのね、千棘ちゃん、今日暇かな? 良かったら一緒に買い物でも行かない?」


千棘「買い物? 何か買いたいものでもあるの?」


小咲「チラシで見たんだけど、今日ね、秋物の先取りセールがあるんだって! それで見に行きたいなって思ったんだけど……いそがしいかな?」


千棘「ううん!なーんにもない!!! 行こ行こ!! 行っちゃおー!」


小咲「ほんと!? ありがとう! それじゃあ今から一時間後に○○で待ち合わせってことでいいかな?」


千棘「うん! 分かった! それじゃ、また後でね! うん! ばいばーい!」


千棘「(と、友達と、買い物~っっ!!)」


千棘「(凄くいい響きね……)」 ウットリ


千棘「~♪」ガラッ


楽「あ」←ゲーム進めてる


千棘「……」←眉間に皺が寄ってる



…… ……
……





楽「すびばぜん……」ボロッ


千棘「待ってって言ったじゃない! 何で先に進めてんのよ!」


楽「先が気になったから……」


千棘「ってかここどこよ!? なんで船の上!? 何があったの!?」


楽「適当に探索してたらボスが出て来て、倒したらここに……」


千棘「あーもうボスと戦ってんじゃない!! またイベント見逃した!!」


楽「……で、小野寺からの電話はいいのかよ?」


千棘「あぁ、そうそう。 その事なんだけど。 私、小咲ちゃんと買い物に行ってくるから、その間待って――」


楽「」ニヤニヤ


千棘「」バギッ


楽「へぶっ」


千棘「……ってことで、コイツが荷物持ちがしたくてしたくてたまらないってうるさいから連れて来ちゃった。 ごめんね?」


小咲「う、ううん! 大丈夫だよ!  一条くん、おはよ!(何でボロボロなんだろ……)」


楽「(て、天使だ!!) お、おっす」


千棘「アンタ、来たからにはしっかり仕事しなさいよ? わかった?」


楽「へいへい……」


小咲「一条くん、ごめんね? あまり沢山買わない様にするから……」


楽「いや、いいんだよ小野寺!! 好きなものをばんばん買っちゃおうぜ!」キラーン


千棘「」イラッ


3時間後…





千棘「あー買った買った!」ツヤツヤ


小咲「思いのほかたくさんあったね!」


千棘「うんっ! 大満足! 誘ってくれてありがとー!」


小咲「ううん、私のほうこそ一緒に来てくれてありがとね! ……って、あれ? 一条くんは?」


千棘「ん?」




楽「ぬ、ぬぉぉ……」グググ…


千棘「ちゃんと20歩くらい遅れて来てるから大丈夫よ!」


小咲「ご、ごめんなさい一条くん! やっぱり私も持つから!」


千棘「えー大丈夫よー! ダッテオトコノコダシー」


楽「ゴリラから見たらどんな男だって非力だろうよ……」ボソッ


千棘「ふんっ」ドゴォ


楽「うげっ!?」


小咲「い、いちじょうくんー?!」


【楽宅】


小咲「それじゃ、今日はありがとう! 一条くん、結局荷物持ちさせちゃってごめんね。 今度お礼するから!」


楽「い、いやいや! ぜぜぜ、ぜんぜん問題ない!」


千棘「あれ? 小咲ちゃん、今日帰っちゃうの?」


小咲「え? う、うん。 だってもう夕方だし……」


千棘「小咲ちゃんさえ良ければ今日はご飯食べていきなよ!」


楽「ぶっ!?!?!」


小咲「えええっ!? わ、悪いよ!! 事前に何の約束もしてなかったのに!」アセアセ


千棘「今日からさ、5日間は懇親会とかでウチから全員いなくなっちゃってるから、遠慮しないで!
 ほら、こんな貧弱もやしとずっと一緒ってのは最悪じゃない!」


楽「悪かったな『こんな貧弱もやし』で……」


千棘「(ま、見張りとかも少しいるみたいだけど、別に平気よね? だって、友達を家に招待、だもん!  勉強以外で!)」グヘヘ


小咲「で、でもいきなりじゃ一条くんにも迷惑かかっちゃうし……」チラッ


楽「い、いいいやいや! 俺のことは気にしないでいいからさ! 小野寺がいいなら、来なよ!」フリフリ


楽「(よく言った……! よく言ったよ俺!!!)」グッ


小咲「……」チラッ


千棘「……」ニコニコニコニコ


2時間後…




千棘「ごちそうさまっ!」


小咲「ごちそうさまです。 すっごくおいしかった!」


楽「そ、そうか? 喜んでくれたなら何よりだ!(お、小野寺に褒められた~!!)」


千棘「まぁ、確かに味はよかったわね。 でも小咲ちゃん、あまり口に合わなかったら正直に言ってもいいのよ?」


小咲「う、ううん!ほんとだよ! ほんとにすっごくおいしかった! 特にこのおひたしとか、味がすっごくしみてて!」


楽「ほんとか?! 実はそのおひたしは継ぎ足しの醤油と酢だれを使ってて……!」


小咲「継ぎ足し? すごいね! すごく本格的! ほんとに私とは違って――」


小咲「(……私みたいに、見かけだけじゃなくてほんとにおいしかった)」


小咲「……」ズーン



楽「!?(なんで!?)」


2時間後…




千棘「ごちそうさまっ!」


小咲「ごちそうさまです。 すっごくおいしかった!」


楽「そ、そうか? 喜んでくれたなら何よりだ!(お、小野寺に褒められた~!!)」


千棘「まぁ、確かに味はよかったわね。 でも小咲ちゃん、あまり口に合わなかったら正直に言ってもいいのよ?」


小咲「う、ううん!ほんとだよ! ほんとにすっごくおいしかった! 特にこのおひたしとか、味がすっごくしみてて!」


楽「ほんとか?! 実はそのおひたしは継ぎ足しの醤油と酢だれを使ってて……!」


小咲「継ぎ足し? すごいね! すごく本格的! ほんとに私とは違って――」


小咲「(……私みたいに、見かけだけじゃなくてほんとにおいしかった)」


小咲「……」ズーン



楽「!?(なんで!?)」



30分後…



楽「すまないな小野寺、皿洗い手伝わせちゃって」


楽「(至福の30分だった……)」


千棘「ほんと、別にやらなくてもよかったのに!」


小咲「ううん! もらってるばっかりじゃ悪いし! 少しくらい手伝わないと!
 ……それじゃ、私はもうそ――」


千棘「小咲ちゃん、いつお風呂入る??」


小咲「……ろそろお暇……。 ……え?」


千棘「え? 今日は泊まっていくでしょ?」キョトン


小咲「え、ええぇぇええぇぇえええ?!」


楽「(なんですとぉぉぉーーー!?)」ドヒューン


千棘「へ? どうしたの?」


小咲「ち、千棘ちゃん、さすがにそこまでお世話になるわけにはぁぁ……」アセアセ


千棘「だってもう夜遅いし……。 それに今は夏休みだしっ!」


小咲「た、たしかに明日はその、なにもないけど……」


千棘「うんっ! それならいいよねっ?」


小咲「え、えぇと、でも……」チラッ


楽「(小野寺が泊まる小野寺が泊まる小野寺が泊まる小野寺のパジャマ……)」シュワー


小咲「(い、一条くんと、一つ屋根の下……)」ボンッ


千棘「はいはいっ! それじゃ小咲ちゃん! 服は私の貸すから、一緒にいこっ!」オシオシ


小咲「ひ、ひぇぇ……!」


1時間半後…




楽「ふぅ~……いい湯だった」


楽「(『小野寺が先に入った湯』だと考えると……。 いてもたってもいられなかった……)」


楽「(そういや、小野寺の家に行ったときは結局泊まらなかったな……)」


楽「……」モワモワ


楽「(ぬぉぉぉおぉおおおおお!! だ、だめだ!!!変な妄想をするな!!)」ブンブン





千棘「小咲ちゃん、サイズはだいじょうぶ?」ガララッ


小咲「う、うん! だいじょうぶ! ……で、でもいいの? 借りちゃっても……」


千棘「なにも気にすることないよー! ……って、なにやってんのよアンタ……」





楽「いや、ただ畳の入りが悪かったから頭をつかって押し込んでいるだけだ」ゴンッゴンッ


1時間半後…




楽「ふぅ~……いい湯だった」


楽「(『小野寺が先に入った湯』だと考えると……。 いてもたってもいられなかった……)」


楽「(そういや、小野寺の家に行ったときは結局泊まらなかったな……)」


楽「……」モワモワ


楽「(ぬぉぉぉおぉおおおおお!! だ、だめだ!!!変な妄想をするな!!)」ブンブン





千棘「小咲ちゃん、サイズはだいじょうぶ?」ガララッ


小咲「う、うん! だいじょうぶ! ……で、でもいいの? 借りちゃっても……」


千棘「なにも気にすることないよー! ……って、なにやってんのよアンタ……」





楽「いや、ただ畳の入りが悪かったから頭をつかって押し込んでいるだけだ」ゴンッゴンッ



千棘「でね? ~がさ」


小咲「えぇ!? そうなの?」






楽「……」


楽「……(……俺はどうしたら)」


楽「……(会話に入っていけるわけがないし……。 かといってこのまますぐ寝ちまうのも……)」


楽「……」チラッ


楽「(……まだ、9時前)」


楽「……せっかく買ったんだし、少しだけ進めるか」


千棘「それでさ、あの店に行ったらね、また~」


小咲「あはは、それってすごい偶然だね! 千棘ちゃんはきっとツイてるんだよ~」クスクス


千棘「そうなのかな~?(あぁ、夢のよう……!)」


千棘「(小咲ちゃんはすっごくいい人だし、話していて楽しいし。 私って本当にツイてるのかも……! ……ん?)」


千棘「あれ……? もや……じゃなくて、あいつは?」


小咲「あっ、そ、そういえばいないね……どうしたんだろ」


千棘「きっと先に寝たのよ! 私たちは気にせず……」ハッ


千棘「まさか!!!」バッ


小咲「ふぇっ!?」ビクッ



楽「(まさか海底に行くとは……。 っていうかあの子が女の子とは……)」


楽「(操作できるってことは仲間なんだよな? ……っ)」グッ


楽「(あと、なんで海底で息できるんだ? ゲームだから何でもありなのか?)」


楽「(……っつか、なんか不気味だな。 ゲームとは言えここまでリアルで、しかもほろ暗いところを調べてるとなると……)」


楽「(ディー○○○ーとかだと、ここら辺でサメが急に……)」







「こぉ~ら~……」ユラーリ





楽「!???!?!?!?!!」ズザザザザッ




千棘「何でアンタは勝手にやるかねほんとに!」


楽「いや、なんとなく……」


千棘「なんとなく、じゃないのよ!」


小咲「一条くん、何のゲームやってるの?」


楽「あ、あぁ。 今朝買ったやつ。 ファイナルファンタジーⅩってやつ」


小咲「どんなゲームなの?」


楽「RPGみたいなんだけど、俺にもまだよくわかってない」


小咲「よかったら、私も隣で見ててもいいかな?」


楽「隣で??!?!」


小咲「だ、だめかな?」


楽「いやいやいや!!だめなことはないけど!! つまらねーかもしれないし!」


小咲「ううん、私もゲームとかあまりやらないから、ちょっと見たいんだ。 ……いいかな?」


楽「小野寺がそうしたいっていうなら、構わねぇけど……」


小咲「うん、ありがとっ。 それじゃ、隣、失礼するね」ススッ


楽「(お、小野寺が隣にーーー!?!? 何でこの状況!? ってかいいにおいする!!!なんだこれ!!)」


小咲「(わ、私頑張った!!頑張ったよ!! ……だって、せっかくのちゃんす、だもん!)」






千棘「(……なにこのおいてけぼり感…………)」ポツーン


>>48

永遠の代償は、見なかったことにしました。


書き忘れていましたが、2年前の設定のままですので。
現在の原作ほど千棘と楽の距離間は縮まってないかもしれません。
ご了承ください。



【海底遺跡】


楽「海の中で息してる……」


千棘「化物……」


小咲「こ、これはゲームだから! ファンタジーの世界だから!」アセアセ


楽「とりあえず、泳ぐか」


千棘「何か聞き慣れた言葉ね」


楽「泳ぎ移動が多いからなこのゲーム」


千棘「水泳ゲームなのかもね」


小咲「(違うと思うけど……)」




千棘「あ! この女の子、味方なの?」


楽「おう! なんか仲間になった!」


千棘「パーティに華が加わるわね!」


小咲「今まではずっと1人だったの?」


千棘「何か変なおじさんがいたんだけど、消えちゃった」


楽「そうなんだよ」


小咲「消えちゃったって……離ればなれになっちゃったってこと?」


千棘「ううん。 空に開いた穴みたいなのに吸い込まれた。


楽「変形してたな、顔」


小咲「(それ、死んでるんじゃ……)」






【VS トロス】


楽「ボスか……」


千棘「今回のはまだマシね、タコだし」


小咲「マシって……?」


千棘「いつもね、本当にデザインが気持ち悪いボスばかりなの」


小咲「へ、へぇ……(怖いのは嫌だなぁ……)」


楽「よっと」


<ギャア


千棘「ちょっと!! この女の子強くない!? 何これ!?」


楽「なんか爆弾もっててさ、使うとつえーんだよこれ」


小咲「この男の人3人分の攻撃翌力だね! すごい!」


楽「ふふん」


千棘「何でアンタがドヤ顔するのよ」イラッ



楽「ボス撃破!」


小咲「やった~!」パチパチ


楽「(可愛い……) と、とりあえず船に戻ったけど、この後どうしたらいいんだ?」


千棘「あの女の子待ってるしかないんじゃない?」


楽「それもそうだな……」


小咲「えっと……。 今更だけど、これはどういう経緯でここにいるのかな」


千棘「うんっとね……。

『下水道で休憩してた主人公が大きな水槽で野蛮なスポーツをしていたら変なでっかい生き物に襲われて、逃げたら廃墟みたいなところにいて、
そこでもでっかい怪物に襲われて、誘拐されてここにいる』

のよね……ほんと参っちゃう」


小咲「す、すっごく大きな生き物が出てくるお話なんだ!」


千棘「どっかのバカちんが先に進めてたから私は途中見てないけど……」ギロリ


楽「悪かったってば!」


千棘「どうだか……! ……ってまたあの変なでっかい化物じゃない?!」


楽「うぉぉ!? なんなんだこいつ!? クジラなのか!?」


小咲「え? え? どの化物!?」


千棘「最初に出てきたやつ!」


小咲「わからないよ?!」ガビーン



【ビサイド島・海岸】



<スッゲェェェ




小咲「一条くん、今蹴ったボールは何のボールなの?」


楽「あ、そうだな、えーっとたしか……」


千棘「ブリッツボールね、何かこの世界で流行ってる球技みたい」


楽「そう、それだ!(よく覚えてたな……)」


小咲「へぇ~! 変わった形してるね。 ごつごつしてる」


千棘「……ところで。 さっきの女の子どこいったのよ?」


楽「俺が聞きたい。 かわいかったのに」


千棘「……」ピキッ


千棘「なによ、あんなのが好みなの?」


楽「え?」


千棘「金髪だしすっごい肌の露出激しいし……」


千棘「やっぱりアンタもそこらへんの男と同じね!」


楽「べべべ、別に露出とか、そう言う所は見てないぞ! ってかお前も金髪だろーが!」


千棘「失礼ね! 私はお父さん譲りの金髪だもん!」


楽「あの子だって地毛かもしれねーだろ!?」


千棘「はぁ!? あの子呼ばわり!? きもっ!」 


千棘「ゲームの登場人物を『あの子』呼ばわりはさすがにきもい! しね!」


楽「しねまで言う!?」


小咲「(一条くんが好きなら……)私も金髪にしてみようかな……」ボソッ


楽・千棘「だめっ!!」グリン


小咲「えぇっ!?」ビクッ



<ヨシ!ナンカクワシテヤル!


楽「代わりに、別のおっさんが仲間になったぞ」


千棘「求めてないわよ……」


小咲「で、でも、良い人そうだよ!」


楽「そうそう。 飯食わしてくれるって言ってるし、とりあえず進もうか」


千棘「むさいなぁ……」



【ビサイド島・沈んだ谷】



千棘「……で、また泳ぐ、と」


楽「呆れたような声出すのやめろよ」


千棘「いい加減、普通の道を歩きたいもん」


楽「それは言えてるな……」


<ギャオオ


楽「ここの敵もピラニアか」


小咲「ワッカさん、ぶりっつぼーるを武器にしてるんだね」


千棘「遠距離攻撃タイプって感じね」


小咲「スポーツを暴力に変えるのは良くないと思うけどなあ……」


千棘「(こ、小咲ちゃん、これゲーム……)」




【ビサイド村】


楽「おおー」


千棘「ようやく人里に来れたわね……」


小咲「情報を聞いて回らないとね!」


楽「そうだな!」


<トウバツタイダ!



楽「トウバツタイ……? 警察みたいなもんかね」


千棘「話を聞く限りじゃ、そうみたいね。 何かうさんくさいけど」


楽「そう言うなって……」


千棘「だって、人間じゃどうあがいたってあんな大きいのに勝てるわけないでしょう」


楽「『シン』か……。 俺らがスカイツリー級のデカさの化物倒すようなもんだろうな、多分」


小咲「討伐隊……。 立派な人たちだな~……!」キラキラ


【ビサイド・寺院】


楽「うわ……」


小咲「荘厳な歌だね……。 綺麗……」


千棘「目の前で並んでいるのはこっちで言う、仏像みたいなものなのかしら」


<ダイショウカンシサマデゴザイマス


千棘「……?」


楽「何だろうな、『ダイショウカンシ』って」


小咲「わからないけど……。 英雄、みたいだね」


千棘「あの化物を倒したって言ってるもんね。 そりゃ英雄にもなるよね」


楽「倒せるもんなのか……?」


千棘「さぁ……。 軍隊でも率いたんじゃない?」


楽「うーむ……」




【ビサイド村】


<シカシ、モウカレコレ……。

<ワッカ……?


楽「ワッカ、いなくなったな」


小咲「ショウカンシが帰って来ないって言ってたね」


楽「っていうか、今見たのって、主人公の過去……だよな」


小咲「うん、そうみたいだったけど……」


楽「親父、ガラ悪いな。 だから子どもがこんな風貌に……」チラッ


千棘「……何でそこで私を見るのよ」


楽「いや、別に……」


千棘「」イラッ




【ビサイド・寺院】


<オキテダ。

<シンジマッタラオワリダロ!

<オ、オイ!


千棘「掟、掟って何なのよこのカタブツ!!」


楽「本当だよ! 主人公の言った通りだ!」


小咲「ま、まぁまぁ、2人とも……」


楽「しっかし……。 何だって女の子一人でそんな変な修道院の中にはいるんだ」


千棘「ショウカンシ、だからでしょ?」


楽「だ~、何なんだそのショウカンシってのは……」


千棘「先に進めばわかるわよ!! ほら、さっさと進む!」バシッ


楽「いだぁっ!?」



【ビサイド・試練の間】


小咲「なんかちょっと怖い感じがする曲だね……」


楽「このほろ暗い雰囲気とマッチして、また……。 ほんとに作りこんでるんだな……」


千棘「ねぇ。 ……その玉って何に使うんだろ」


楽「わからん。 どこかに差し込むっていう説明があったけど」


千棘「なんかややこしいわね……」


楽「くそ、ここじゃないみたいだし……」


千棘「あ、あそこじゃない?」


楽「え? どこだ?」


千棘「そこよ! 奥の方!」


楽「あ、あぁ! ……違うみたいだ。 反応ナシ」


千棘「何なのよこの迷路は~!」イライラ



小咲「……」


小咲「…………うん」


小咲「一条くん、ちょっとだけコントローラー貸してもらっていい?」


楽「……え? あっ、も、もちろん」


小咲「ありがとうっ!」ニコッ


楽「!」ドキッ


千棘「……」


小咲「えっ~と……」


小咲「たぶん、この扉を開けたスフィアをここに入れて……」パンッ


ゴゴゴゴ……


楽・千棘「おお~!」


小咲「それで、ここにあったスフィアはそこに入れて……」パンッ


ゴゴゴゴゴゴ…


楽・千棘「おおおおお!」


小咲「それで、出てきた『破のスフィア』を……ここ!」 パンッ



<バゴン!



楽「おお!!」


千棘「すごい!! すごいよ小咲ちゃん!」ダキッ


小咲「わわっ! え、えへへ、なんとなく、だけど」


楽「どっかの腕力ゴリラとは大違いだな!」


千棘「どっかの貧弱もやしとは大違いね!」


楽・千棘「むっ!」 バチバチッ


小咲「お、落ち着いて!二人とも!」アセアセ

誠によいぞ


【ビサイド寺院 祈り子の間】


楽「う、うぉお……」


千棘「か、かわいい……」


小咲「幻想的な雰囲気……」


楽「(ちょっと小野寺に似てる)」


千棘「(ちょっと小咲ちゃんに似てる)」


小咲「(……視線を感じる)」



楽「召還獣って、怪物のことだったんだな」


千棘「でも、なんかカッコいいデザインじゃない!」


小咲「うん! 敵をやっつけてくれそう!」


千棘「この勢いでシンとかいうバカデカい化物も倒せちゃいそうね!」


楽「うわぁ、短絡的」ボソッ


千棘「ん”ん”!?」グルンッ


楽「なんでもありませんっ!」




【夜のイベント】


楽「……お、何かいい雰囲気……?」


小咲「この2人だけ見ると、なんか現実のカップルでもいそうだねっ」


千棘「こんなチャラ男と美人はくっつかないよ~」


楽「まぁまぁ……。 そう邪見にするなって。 同じ金髪同士仲良くしとけよ」


千棘「むっ!? 聞き捨てならないわね! そんな括りで一緒にしないでくれる!?」


楽「だって本当のことだろ?」


千棘「私のは地毛! コイツのはカラーリング! 鮮度が違うわ!」ファサッ


楽「え? この主人公、自分で染めたの?」


千棘「見るからにそうでしょ!」


楽「推測かよ!!」


小咲「あはは……。 ……あ、もう操作できるみたいだよ!」




【海岸へ】



楽「え!? 何!? 襲って来たぞ!?」


千棘「こ、この青い獣みたいな奴、どっかで見なかった?!」


小咲「あ、あの、確か、ユウナちゃんが出て来た祈り子の間で……」


千棘「ってことは仲間じゃないの?! 何で襲ってくるのよー!」


楽「で、でもそんな強くないから勝てそうだぞ!」


千棘「あ、本当だ。 大して強くないのね……」


楽「一気にトーンダウンしたな!?」


千棘「いやー、見かけ倒しってやつだったのねー」






【船付き場】


楽「遂に、冒険の始まりだ! 早速出発!」


千棘「あ、待って! そこの人からもアイテムもらえるんじゃない?」


楽「え?どれ?」


千棘「ほら、そのお兄さん」


楽「あ、本当だ。 ……何でわかったんだ?」


千棘「他の人がくれてるし、この人だけくれないっておかしいじゃない。 観察力の違いよ」フフン


楽「お前、RPGやる才能あるんじゃないか……?」


千棘「そ、そうかな?」









楽「そういえば。 なんかメンバー選べるみたいだけど、どうしたい?」


千棘「まず小咲ちゃ……じゃなくてユウナちゃんは確定ね」


小咲「(……私?) 召喚獣っていうの見てみたいもんね」


楽「あとはこのキンゴリもやしもレギュラーだな。 主人公だし」


千棘「うん、異論なし。 ……で、3人目なんだけど……」


楽「このルール―って人はどうなんだ?」


千棘「その人はダメ」


小咲「だめっ」


楽「えぇっ!?」ガビーン


楽たちのパーティ:キンゴリもやし、ユウナ、キマリ



楽「じゃ、じゃあこいつらをレギュラーにするぞ?」


小咲「おーっ!」


千棘「3人目、その犬みたいなのでいいの? さっき拍子抜けする程弱かったけど」


楽「ほら、野球とかでもいるだろ、尻上がりに強くなる選手。 きっとコイツはそうだ。 間違いない」


小咲「さっき、敵の攻撃を自分のものに出来るって言ってたもんね。 私も、ストーリーが進めばきっと強くなると思うな」


千棘「野球知らないんだけど……。 ま、別に良いかな。 小咲ちゃんもそう言うなら。 気軽にメンバーチェンジもできるみたいだし」



楽「船が出発するみたいだぞ!」


小咲「また海来ちゃったね」


千棘「本当に水場ばっかりね、この主人公」


楽「シナリオ上、しょうがないんだってきっと……」


小咲「また泳ぐのかなあ……。 暗くて怖いから苦手だなぁ」


千棘「きっと泳ぐんでしょうねぇ……」


楽「……ルールーも泳ぐのか」ボソッ


千棘「キモッ。 しねばいいのに」


楽「俺はまだ何も!!」


小咲「(いくらなんでも胸はどうしようも)ないよ……」ズーン


楽「何で落ち込んでんの!?」



【スフィア盤】


楽「……」


楽「……よしっ。 これで少しは強くなったのかな」


小咲「さっきまでと比べて、皆HPが400くらい上がったね!」


千棘「技も何個か手に入ったみたいだし、きっと強くなってるわね!」


楽「早く試したいな……」ウズウズ


千棘「そうね……。 早く進めましょ」ウズウズ


小咲「(似てるなぁ、この2人……)」ニコニコ


<ウァァァ!



楽「そんな所にボスが!!!!!」


千棘「きたーー!!」


小咲「こ、今度は背びれ!?」


楽「また、シンか……!」


千棘「そうえいば、この前線にいる虫みたいな奴の名前にも、シンがついてるわね」


楽「子どもか!? 子どもなのか!?」


小咲「この話の内容から考えると、そうみたいだね。 子どもというか、分身に近い気がするけど……」


楽「なるほど……。 ――っは」


楽「(待てよ? 化物→化物が産まれたと言うことは。
つまり千棘の父親はもっとゴリラのような体格で、もっとゴリラのような……)」


千棘「……」バチーン


楽「へうっ!?」


小咲「きゃっ!? い、一条くん!?」パタッ


千棘「ふんっ」


楽「え、エスパーかよ……」ピクピク



遅れちゃってごめんなさいでした。
もう少し頻度高く更新しますね。今日はこの辺で。

では!



楽「……何とか、ボスには勝ったけど……」


千棘「……何よ……何なのよ、こいつ……」


小咲「……」


楽「……街、1つ飲み込んで……。 全員、殺したのか?」


千棘「むごい……。 ゲームとはいえ、心に来るわね……」


楽「許されないだろ、こんなの」


千棘「うん……――って、アレ?」


小咲「……」プルプル


千棘「…………小咲ちゃん? 肩震わせてるけど、寒――」


小咲「……ひっ、うっ」グスン


千棘「(泣いてるー!!!!!)」ガビーン




小咲「ひどい……ひどすぎるよっ……」


小咲「こんなのって……ゲームでも、嫌だよぉ」グスン


千棘「(ゲームに本気で感情移入するって……。 可愛らしいなぁ……)」クスッ


楽「……ん?」チラッ


楽「……!!? 小野寺どうした――って泣いてる!?」


楽「まさか!!!! 隣りのゴリラに何かされたかげばっ!!」バゴッ


千棘「……」シュウゥゥ…


千棘「次、ゴリラって言ったら、殺すから」


楽「ぐぉぉぉ…………!(俺も号泣したい!!)」


小咲「……一条くんっ!」


楽「は、はいっ!」シュビッ


小咲「あんな怪物、絶対やっつけようね!! 絶対だよ!!」


楽「お、おう!! そうだな!!」


千棘「……楽しくなって来たじゃない! そうと決まれば、先に進めましょ!!」


小咲「楽しんじゃダメだよ! 真剣にやらないと!」


千棘「えっ!?」ガビーン










楽「はー……。 綺麗な舞だなー……」


千棘「ムービーシーンの完成度の高さ、凄いわね……」


小咲「凄い悲しい世界だね……。 こうやって祈ってあげないと、怪物になっちゃうなんて」


楽「もし現実でもこうだったら、今頃人間なんていないんだろうなー」


千棘「さ、さらっと怖いこと言わないでよ」


楽「わ、わりぃ」






楽「はぐれオチュー強過ぎだろ!? 勝てるのこれ!?」


千棘「さっきのボスより攻撃力あるし……。 パワーバランスおかしいじゃない!」


小咲「しかも、自分で回復までしちゃうもんね……」


楽「……やべえ、回復アイテムがなくなってきたぞ……」


千棘「ちょ、な、なんとかしなさいよ!」


楽「無茶言うな! 一撃でしとめられるくらいの攻撃ができないと……!」


小咲「……あ。 さっき手に入れた召還獣を使うってみるといいんじゃないかな」


千棘「そ、そういえば忘れてた! そんなのもいたわね!」


楽「でも、試しに使ってみたけどそんな強かったっけ?」


小咲「あの、おーばーどらいぶ、だっけ? 必殺技。 とっても強いみたいだし……どうかなって」


楽・千棘「それだ!」キュピーン


小咲「っ!」ビクッ



はぐれオチュー「キュィィィィィィ」


楽「か、勝てたー!!!」


千棘「2300ダメージとか……。 桁違いね」


小咲「主人公達だと、まだ150~300くらいだもんね」


楽「これからどんどん召還獣使ってこう!!」


千棘「賛成!! ……だけど、オーバードライブはボスとかのために取っておいた方がいいかもね」


楽「たしかに。 こうやって強敵がいきなり出てきたら困るもんな」


小咲「そうだね! そうした方が……ふぁぁ~」


楽「!」


小咲「あぅ、ご、ごめんね!」カァァ


楽「い、いや……(欠伸した顔可愛い!!!!)」




千棘「……」


楽「そ、そろそろ寝るか! もう夜遅いし」


千棘「……そうね。 時間も、もう10時をとっくに回ってる」


楽「いくら休みとはいえ、あんまり夜更かしするのもな」


小咲「ご、ごめんね。 これからってときに……」


千棘「ふぁ~……」


小咲「!」


千棘「あー……」ゴシゴシ


千棘「やっぱり、私も眠いな。 小咲ちゃん、一緒に寝よ!」ニコッ


小咲「……」


小咲「……うん!」


楽「おっさんみたいなあくびだな」


千棘「ぶっ殺すわよ?」ニコッ


楽「ひぃっ!? 態度が違うぞ!」


千棘「どっちがよ!」


楽「!?」


【客室】


楽「2人は、ここ使ってくれ」


千棘「うん、ありがと。 ……あら? 布団がもう引いてある?」


小咲「え? あ、本当だ」


楽「ん? あぁ、さっき風呂入る前に用意しといた。 何か不都合はあるか?」


千棘「不都合はないけど……」


小咲「ご、ごめんね! 一条くん! 気を遣ってもらっちゃって」


楽「いやいや! 2人ともお客さんだし、こんくらい当然だろ」


千棘「……私も?」


楽「あん? そりゃそうだろ。 何言ってんだ?」


千棘「……へへっ」


楽「」ドキッ


千棘「……アンタもたまには役に立つのね! やるじゃない!」


楽「たまにはってなんだよ!」イラッ






楽「それじゃ、俺は自分の部屋もどっから」


小咲「はい! 一条くん、ありがとう!」


千棘「おーう! くるしゅうない!」


楽「へいへい、ゴリラ姫様、せいぜいゆっくりおやすみくだせえ」


千棘「誰がゴリラよ!! ……アンタ、このまま居間に戻って続きやる、なんて考えてないでしょうね」


楽「ぎくっ」


千棘「……そんなことしたら……ころ――」


楽「冗談だっての! じゃあな! おやすみ!」バタン


楽「……」


楽「……(……女子のパジャマ姿って、いいな)」トテトテ




……………


………




……朝




チュン……チュン……


千棘「……」パチッ


千棘「…………ん~っ……」ムクッ


千棘「……(……もう、朝かぁ……)」チラッ


小咲「……」スヤスヤ


千棘「(……まだ寝てる。 ……起こすのは悪いな)」


千棘「……」スッ



【廊下】



千棘「……」


千棘「……(あったかー……。 いい天気だぁ~……)」


千棘「……」


千棘「……?」


千棘「(……何か音が……?)」


千棘「……」


千棘「……」ハッ


千棘「……」









千棘「…………………………」ニコッ



【リビング】



楽「いふぁふぁふぃふぁふ……」ボロッ


小咲「……い、いただきます」


千棘「しんっじらんない!! あれだけやるなって言ったのに!」


楽「す、すいません……。 異常に早く目が覚めたから、つい……」


千棘「『つい……』じゃない!! 何回目よこれ! いい加減学べ!」バンッ


小咲「ま、まぁまぁ千棘ちゃん……。 一条くん、あれからどうなったの?」


楽「あ、あぁ。 新しい寺院の手前だよ。 召還獣手に入れるためのさ」


小咲「あ、もう2人目の召還獣手に入るんだね! すごい!」


楽「いやぁ、それほどでも……」


千棘「褒めてないと思うわよ」モグモグ




ニセコイってもう読むの辞めたが千棘ってこんなに暴力ふるってたっけか

まだかなー

>>135

多少のオマージュ入ってます汗
お気に召さない点がありましたら、ぜひ教えて下さればと思います。


>>136

よろしければ、

一条 楽「はぁ~……」
http://ayamevip.com/archives/36328757.html

鶇「一条 楽、私は――」
http://ayamevip.com/archives/36711241.html


他のニセコイSSも以前書きましたので、読んで頂けたら凄く嬉しいです。




楽「ふぅー食べた食べた」


小咲「ごちそうさまですっ。 一条くん、本当に料理が上手だね!」


楽「そ、そうかな?」ヘラヘラ


千棘「まぁまぁね。 でもちょっと塩辛いわよ」


楽「……」グモーン







小咲「……さて、と。 それじゃ、そろそろお家に帰ろうかな」


千棘「……もう帰っちゃうの?」シュン


小咲「そうだね。 ずっとお邪魔しちゃうのも悪いし……」


千棘「……」


楽「うぃっす。 それじゃ、送ってくよ」


小咲「え、いいよ! 朝だし……大丈夫だよ?」


楽「駅までだし、大して遠くないから大丈夫だぜ」


千棘「……」


千棘「……ね、小咲ちゃん」


小咲「……ん? どうしたの?」




千棘「折角だし、何日かここにお泊まりしようよ!」


小咲「へ?」


楽「」ピシッ


千棘「小咲ちゃんとお買い物したり、ゲームしたり……」


千棘「一緒にご飯食べたり、寝たりして、とっても楽しかったから」


千棘「その……もし用事がないなら、どうかなー……なんて」


小咲「……」


楽「お、お前なあ、いくらなんでもそんなに暇なわけ――」


小咲「一条くん……お世話になっても、いいのかな?」


楽「ほ、ほら! こんなにこまっ―――――って、へ?」


小咲「……だめ、かな?」


楽「……」












楽「(何ですとーーーーーーーーーー??!!)」ガーン





……昼過ぎ




ピンポーン




千棘「はいはーい」ガララッ


小咲「ふぅ、お待たせしましたっ」


千棘「お疲れさま! 暑いでしょ! はいってはいって!」


小咲「うん、ありがとう!」


千棘「あ、荷物持つよ!」


小咲「え、いいよ! 重いよ?」


千棘「大丈夫大丈夫~♪ 流石に連泊するってなったら、着替えとか取りに行かないとダメだもんね!」


小咲「……あ、一条くん!」


楽「や、やぁ……」


小咲「……これから、しばらくの間お世話になるね。 よろしくお願いします」ペコリ


楽「あ、あぁ」


小咲「…………やっぱり、迷惑だったかな? ごめんね、無理なお願いしちゃって……」シュン


楽「そ、そんな無理だなんて!! 全然構わないぞ! 自分ちだと思ってゆっくりしていってくれ!!」ブンブン


小咲「……ぷっ。 はいっ! お世話になります!」


千棘「小咲ちゃーん! はやくー!」


小咲「はーい! じゃあ、一条くん、荷物置いて来るね!」タタッ


楽「お、おう……」


楽「(……大変なことになってしまった)」


楽「(…………小野寺と1つ屋根の下にいることを考えるだけで全く眠れなかったのに……)」


楽「(……連泊だと!?)」ゴーン


小咲「………あ、そうだ」ピタッ


楽「……ん!? な、なんだ!? どうした?」


小咲「私も、家事とかお手伝いするから! 一緒にやろうねっ!」ニコッ


楽「お、おおう! 助かるわ!!」


楽「(天使!!! 天使過ぎる!!!)」








次回からゲームに戻ります。
読んでいて分かった方もいらっしゃるかと思いますが、結構行き当たりばったりで書いております。

それでは。



千棘「さー、続きをやりましょー!!」


楽「テンション高いなお前」


千棘「ふっふーん♪ そう見える?」


小咲「昨日もずっと続きが早く見たいって言ってたもんね」クスッ


千棘「だって気になるじゃない! 最初に出てきたおっさんとか、主人公とユウナちゃんのお父さんのこととか!」


小咲「そういえば……。 主人公のお父さんも、この世界で行方不明なんだっけ……」


楽「そうみたいだな。 それで、あのおっさんが何かを握ってる的な感じだった」


小咲「その人のことを見たことが無いから分からないなぁ」


千棘「きっと進めば会える! ってことでさっさと進めなさい!」


楽「え、俺なの!? 今日は見てる側に回ろうと思ってたんだけど!?」


千棘「敵と戦ったりするのは面倒だもん。 ストーリーだけ見たいっていうか?」


楽「『っていうか?』じゃねぇ!!」




【キーリカ寺院】


楽「……うーむ」


千棘「毎回毎回、このパズルみたいなの面倒ね……。 ややこしい……」


楽「本当だよ……」


楽「……小野寺、頼んでいいか?」


小咲「え? あ、はい! 私でよければ!」


楽「じゃあ、コントローラーを」ピトッ


小咲「あ……」カァァ


楽「ご、ごごごご、ごめん!」アセアセ


小咲「う、ううん! 手と手が触れたくらい、気にしないよ!」カァァ


楽「そ、そうか?」


小咲「うんっ」ニコッ


千棘「む~……」




バゴンッ!


小咲「あ、できたみたい!」


楽「いとも簡単に……」


千棘「ものの5分で……」


小咲「えへへ……。 こういうの、そんなに嫌いじゃないかもしれない」


楽「すげーな……」


千棘「あのドナとかいう人も取れたのかな、これ」


楽「あのムキムキと一緒にいた召還士のことか? ……取れてないんじゃね?」


小咲「壁、壊れたなかったもんね」


千棘「……ふふん、ざまあみろね」


楽「さりげなく気にしてたの!?」



<サケビタイ、カモ……



千棘「なんとなくわかるなー……」


楽「あん? 何が?」


千棘「どうにもならないとき、思い切り叫びたくなる気持ち」


楽「うーん……。 そんなもんか?」


千棘「……ふん。 繊細な女心はアホもやしにはわからないわよね」


楽「なんだと!」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月27日 (水) 20:52:56   ID: vp8Eqm2v

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