【響×P】自分は今、プロデューサーに「恋」をしている (132)

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 それって、「恋」なんじゃないかな?

雪歩はそう言った

自分の今のこの気持ちを

 響ちゃんは、きっとプロデューサーさんに
 「恋」してるんだよ。
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SSどころか


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ssどころかスレ立ても初めてですが
よろしくお願いします

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 それって、「恋」なんじゃないかな?

雪歩はそう言った

自分の今のこの気持ちを

 響ちゃんは、きっとプロデューサーさんに

 「恋」してるんだよ。

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きっかけなんてものがあったかもわからない

気づいたら

プロデューサーの顔を

まともに見れなくなっていた

目が合うだけで

恥ずかしくなってしまう

顔が熱くなってしまう

赤くなっていないだろうか、気になって仕方ない

プロデューサーが、自分に話しかける

体がこわばる

うわずってしまい、言葉がうまく口から出てこない

声が裏がえりそうになるのを、

なんとか押さえて返答する

プロデューサーは返答を聞き、

手帳に予定を書き込むと

にこっと笑い、事務仕事に戻る

ほっとして気が抜ける

得体の知れないプレッシャーから、解放される

安堵感

それと同時に気づく

もうひとつの感覚

心の中に風が通るような感覚

胸のあたりがスカスカする

なんとなく



嫌だなと思った

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自分は恋愛や恋物語なんてものとは全くの無縁

そう考えていた

だから

今のこの気持ちが「恋」だなんて

考えもしなかった

いや、本当は考えたくなかっただけ、なのかもしれない

自分のまわりでは、

恋だの愛だのは恥ずかしいものでしかなった

何人か、付き合って恋人同士となっている人達もいた

だけど、彼らは

からかいの、格好の的だった


   ~くんと~ちゃん、つき合ってるんだって


まるでつき合っていることか恥ずかしいことのように

好き同士でいることがいけないことのように

だから雪歩に

自分の感じているこの感覚は「恋」だ

そう指摘されたとき、すぐに否定していた

自分が「恋」をしているだなんて

考えただけで恥ずかしくなる

だって、自分はそんなものとは無縁なんだから


 人は誰でも恋をするんだよ?

 響ちゃんがプロデューサーさんに恋をしていても

 なにもおかしいことは、ないんだよ?


雪歩は真剣な眼差しでそう言った

人は恋をする生き物だ

それは理解している

だから

人と人とがつき合って、結婚するんだ

でもそれは、大人になってからするもの

大人達がするものだと思っていた

自分にはまだ、関係ない

雪歩は微笑む

 大人にならないと恋愛しちゃいけないなんて、

 そんな決まりはないですよ

なにも言い返せなくなる

押し黙っていると

雪歩は少し考えてから

 じゃあ、例えばだけど

 プロデューサーさんが

 春香ちゃんと手をつないで

 2人で仲良く歩いているのを

 想像、してみて?

そう問いかけた

春香とプロデューサーが

手をつないで歩いている

自分はそれを、後ろから見ている

話が盛り上がって、楽しそうだ

胸のあたりがきゅっと冷える

あの感覚

自分はこの二人の会話に入りたいのだろうか

いや、ちがう


自分は、、




 春香ちゃんと場所を変わりたいって、思った?



雪歩に心を読まれる

図星だった

自分は想像上の春香に

嫉妬していた

春香とプロデューサーが仲良くしていて

その間に入れない

その状況が

なんとも言えないくらい、嫌だった

黙っていることが肯定ととられたのか、

雪歩はこう続けた

 恋愛感情っていうのはね

 誰かを好きって気持ちだけじゃなくて

 そこに独占欲とか嫉妬心とかもいりまじって

 一言では言い表せないくらい

 とっても複雑になったものなんだと思うの

雪歩は一言一言少し間を置きながら

慎重に、言葉を選ぶようにして話す


 響ちゃんの言うその感覚も

 独占欲の一部、なんじゃないかな?

あの感覚は、プロデューサーへの独占欲

すこし納得できた

けれど、



独占欲というと、なんだか悪いもののように思える


そう指摘すると、

雪歩は少しあわてて、あわあわと答える

  欲って言うと、あまりよくないものに聞こえる、

  かもしれないけど、

  あなたを失いたくない、とか

  そんな気持ちも独占欲のひとつなんですよ?

そう言って雪歩は、ニコリと微笑んだ

プロデューサーを失いたくない

プロデューサーと離れたくない

プロデューサーと一緒にいたい

確かに、そうなのかもしれない

自分は

プロデューサーが好きだ

その「好き」はただの「好き」じゃない

ただの「好き」なら

春香や雪歩のことだって好きだ

プロデューサーへのその「好き」は

きっと

雪歩の言う独占欲とかも入り混じった「好き」で、、



うがー!



頭を抱えた

  お茶、入れてくるね

混乱してきた自分を落ち着かせるためか

雪歩が席を外す


頭の中をぐるぐると考えが巡る

自分は、プロデューサーと一緒にいたい

自分は、プロデューサーを

香とか

他の誰かのものにしたくない

自分は、、、

プロデューサーに、自分だけをみてほしい

自分だけを

自分は



プロデューサーに恋をしている


けたたましくヤカンの音が響く

はっと我に返る

顔が熱い

音が止まり、暫くすると

雪歩が湯飲みを2つ、お盆に乗せて持ってきた

雪歩に礼を言い、湯飲みを受け取る

照れ隠しにお茶を飲もうとする

が、熱すぎた

すぐに口から湯飲みをはなす

息を吹きかけながら、ちびりちびりとお茶を飲む



  だ、大丈夫?熱すぎたかな?

わたわたと心配する雪歩に笑顔で返す

なんくるないさー

心配そうに雪歩がさらに返す

  そう?でも、



  顔が赤いから、お茶、熱かったかなって



ぎょっとして頬に手を当ててみる

信じられないくらい熱い

こんなに顔が熱くなっていたなんて

プロデューサーのことを考えて、こんなに、、

慌てる自分の目の前で

雪歩がくすくすと笑う

  ごめんね響ちゃん、冗談だったの



  顔、なんともないよ?






え?



頭の中が一瞬真っ白になった

その直後

顔が更に熱くなる感じがした

考えてみれば

湯飲みを持った手でそのまま頬に触れたのだ

熱くて当然だろう

雪歩は今度こそ本当に赤くなった自分を見て、

くすくすと笑う

こんな手に引っかかるなんて

というより、

雪歩がこんなイジワルをするなんて

それが一番の驚きだった

でも

その驚きで

一度頭をリセットできた

さっき考えていたことを整理して

雪歩に告げる

  雪歩、自分は、

雪歩は真面目な顔をしていた
 


  プロデューサーのことが



  好きだ




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心臓の音がうるさい

鼓膜に心臓がくっついているようだ

自分が呼び出したんだ

これ以上

プロデューサーを待たせてはいけない

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あの後

自分の告白を聞いた雪歩は

ニコリと微笑んで

  そっか

それだけ呟いた




    それで、告白しないの?


背筋が凍った

雪歩がそのセリフを言ったからではない

むしろ言わなかったから

明らかに雪歩の声ではない声で

そのセリフが聞こえたからだった

目の前の雪歩も同様に凍りついている

自分と雪歩

2人だけだと思っていた空間に



もう一人いた


椅子の陰に

  あふぅ

美希がいた

美希は欠伸を一つ

そしてもう一度、口を開く

より、はっきりと、意味を添えて


  響は、ハニーに、告白しないの?

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目の前には、プロデューサー

もう冬になるというのにひたいが汗ばむ

瞳が潤む

頭の中で同じ言葉がぐるぐる回る

あとは口に出すだけ

でも、その「だけ」ができない

言え、さらっと一言

言ったらそれで終わりだ、さぁ言え

そう奮い立たせても

あと一歩が踏み出せない

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何で美希が?ここに?なんで?

いつから?どこから聞いていた?

というか今なんて?なんて言った?

告白しないの?ということは全部聞かれてた?でも美希は、、

頭の中が疑問詞で埋め尽くされる

  み、美希ちゃん、いつからそこに?

雪歩がやっとのことで言葉を絞り出す


  ミキは、最初からこのソファで寝てたの

  二人が入ってくる音で目が覚めたんだけど、、

美希が少し俯く

ほんのり頬が赤い

  こっそり話を聞いてたら

  出るに出れなくなっちゃったの

最初から、この部屋に

陰になっていたとはいえ、全く気づかなかった

それほどまでに気持ちが高まっていたのだろうか


ごめんなさいなの、そう言って美希は、少ししょんぼりする

意図的ではなかったが

話を盗み聞いてしまったという後ろめたさがあるのだろう

こちらとしてもそう美希にしょんぼりとされては

大丈夫、気にしてないと、そう言うしかない

美希は顔をあげ、ほっと笑顔になる

しかし、それより気になるのは、


ふと、美希が自分を見据える

  それで

  響はハニーに告白、しないの?

やはり聞き違いではなかった

美希は首を傾げる

本当に、ただただ疑問、といった様子だ

また顔が熱くなる

好きになった人には告白をする

なにも不思議なことではない、でも

  でも、美希ちゃん

この言葉を美希が言った、ということになると、違ってくる


  美希ちゃんは、

雪歩が自分の考えを代弁する


  プロデューサーさんのこと、好きなんじゃないの?


美希はきょとんとしている

それから、ふにゃり


  うん!ミキ、ハニーのこと、大好きだよ!


美希は、今日一番の笑顔を見せた

見てる人いるのかな…?
とりあえず今日はこれくらいにしときます
明日また夜か昼にでも投下していきたいと思います

見てくださってる方々ありがとうございます
またちまちま投下していきたいと思います

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沈黙が続く

自分たち以外誰もいない事務所

プロデューサーは何も言わず待ってくれている

今プロデューサーはどんな顔をしているのだろうか

呼び出したくせに黙ったままの自分に怒っているだろうか

それとも呆れているだろうか

そっと顔を上げる



真剣な眼差しのプロデューサーと目が合った

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じゃあ、なんで

言葉に詰まる

美希も、プロデューサーが好き

きっと

美希の言う「好き」も

今自分がたどり着いた答えと同じ

「好き」なんだろう

普段の美希の行動

プロデューサーへの過剰なスキンシップを見れば

誰の目から見ても一目瞭然だ


だから、自分も察していた

美希の気持ちを

だからこそ、美希には相談できなかった

だからこそ、

今の美希の言葉に戸惑っている

  でも、美希ちゃん

  美希ちゃんもプロデューサーさんのことが好きなら、

  響ちゃんがプロデューサーさんに告白しても、いいの?

雪歩の言うとおりだ

そうなると、

自分と美希はライバルということになる

美希は、敵に塩を送っているようなものだ

美希は首を少し傾げる

  んー、美希のハニーを響にとられちゃうのは、イヤだよ?

 でも、



 それは響がハニーに、気持ちを伝えちゃいけないって

  理由には、ならないと思うな

 それに、

美希の綺麗な髪が揺れる



 響がハニーのこと好きなの、バレバレなの



にししといたずらっぽく笑う


不意をつかれる

そんなに、分かりやすいだろうか

雪歩に聞く

答えは苦笑いで返ってきた

  ちょっとね

また、顔が熱くなっていくのを感じる

ということは、みんなにも

もしかしたら、プロデューサーにも、、


  あ、でも、ハニーは気づいてないと思うな

心を見透かされたようだ

少し、ほっとする

  だいたいハニーは鈍感すぎるの

今度はぷんぷんと怒り出す

美希は表情がころころと変わる

照れて、しょぼくれて、笑って、

今は怒っている


これが美希の魅力だと

自分はそう思う

プロデューサーへの愚痴を並べ立てる美希を横目に

すこし、考える

好きな人に告白する

自分の気持ちと向き合うことに精一杯で

その後のことを考える余裕なんて全くなかった

プロデューサーへの気持ちははっきりした

じゃあ次は、


雪歩が心配そうにこちらを伺う

そんなに焦らなくても

無理しなくてもいいんだよ?

そう言っているのが聞こえるようだ

  響、逃げちゃ、駄目だよ

美希は、いつの間にか真剣な顔に戻っていた


  ミキは、ハニーが大好きなの

  だからハニーには

  ミキの、好きだよって気持ち

  いつも全力でぶつけてるの

怒っていたと思えば急に真面目な顔になる

美希の百面相ぶりには本当に惑わされる


  だから、響も逃げちゃだめ

  ちゃんと気持ちを伝えなきゃ、駄目なの

完全に美希独自の理論

だけど

妙に納得させられる

そんな力が、美希にはある

  、、わかった

強い意志を持って、返答する


  自分はもう、逃げない


自分の気持ちから、目を背けない


  プロデューサーが好きだって気持ちは、


  美希にも負けないぞ


美希の魅力には、適わないかもしれない

でも、

伝えたい

  たとえ届かなくても、

  プロデューサーに、この気持ち


  伝えたい


涙が出そうだ

手が温かい

雪歩が手を握っていた

泣きそうな顔をしている

自分もこんな顔をしているのだろうか


  わかったの

ひとり冷静に美希は言う

今少し、

美希が笑った気がしたのは気のせいだろうか

美希は



携帯電話を取り出した

  もしもしハニー?ミキなの

気のせいでは、なかったようだ


  あのね、30分後に事務所にきてほしいの

  ぜったいだよ?

  来なかったらミキ、ハニーのこと

  嫌いになっちゃうからね?

じゃあね、そう言って通話終了ボタンを押すと

つかつかと雪歩に近づく


  いこ?

雪歩に

手を差し伸べる

  え、でも、みきちゃ、

半ば強引に雪歩を引っ張り、事務所を出て行く

最後に、美希が笑顔で振り返り、

  がんばってね、響

  応援してるの


ガチャン


その音を境に静寂が広がる

事務所には響ひとり

30分後にはプロデューサーがくる

そうすれば、二人きり


本当、美希には適わないな


心の底からそう思った

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こんな時間に、急に呼び出したのに

時計を見る

既に日付が変わっている

それなのに

自分と、真剣に向き合ってくれている



響が言えるその時まで、俺はいつまでも待つよ


プロデューサーの声が、聞こえた気がした

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  でも美希ちゃん、本当によかったの?

少し後ろを、俯きぎみに歩く雪歩が聞く

  もしかしたら、響ちゃんとプロデューサーさん

  本当に付き合っちゃうかもしれないんだよ?

事務所から駅までの道のり

冷たい向かい風が

ミキ達の体を、芯まで冷やす


  もしかしたら、じゃないよ雪歩

ミキの考えが正しければ、きっと

  間違いなく、だよ

雪歩が久しぶりに顔を見せる

驚いた顔

アハッ、ミキも、おんなじ気持ちだよ

  じゃあ、どうして、、?


どうしてあんな事をしたのか

自分でもわからない

でも

  響といるときのハニーが

  一番キラキラしてるの

響だけに見せる笑顔

それは、

嬉しそうで、幸せそうで

なにより、輝いていた


その笑顔を 

ミキはまだ、ハニーから引き出せたことがない

  太陽には、勝てないよ

  え?

雪歩が聞き返す

白い息が揺れる


  ミキがキラキラのお星様なら、

  響は、サンサンのお日様なの

夜空に輝く無数の星は、見る者全ての心を癒すだろう

だけど

  元気を与えるのは、太陽の仕事なの

  太陽にしか、、

  響にしか、できないことなの

昼に燦然と燃える太陽は、地上のもの全てに力を与える

  いくら星がキラキラしても、だめなの

  太陽の輝きには、勝てないの


雪歩は黙ったまま、ミキの話を聞く

ふと、空を見上げる

綺麗な星空

笑みがこぼれる

不思議と、悲しくはない

悔しくもない

ただ、あるのは一つ


  本当、響には適わないの!


その気持ちだけだった


ハニー、響の気持ち、ちゃんと聞いてあげてね

断るなんてミキ、許さないんだから

頬を何か伝う感触がする

あれ?なんだろう

目の前が濁る

あ、そっか、ミキ



失恋、したんだ


ふいに、視界が暗くなる

  美希ちゃん、

雪歩がミキの頭を抱く

  美希ちゃん、、

雪歩も何と言えばいいのかわからないのだろう

ただ、ミキの名前を呼んで、頭を撫でる


涙声なのがわかる

雪歩は、優しいな

響の時もそうだった

人の為に泣くことができる

前に、真くんが言ってた

それが、雪歩の良いところだって


今くらいは、

この優しさに甘えても、いいよね?

雪歩の胸を借り、気持ちを吐き出す

誰もいない真夜中の道路に

二人分の泣き声が

響くことなく吸い込まれる







ハニー、あのね


ミキ、ハニーのこと


大、大、大好きだよ



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ああ、だからか

この人が、こんなにも優しいから

どんな事にも真剣に向き合ってくれるから

だから

自分は、



この人が好きなんだ


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きっかけなんてものがあったかもわからない

気づいたら

顔を直視出来なくなっていた

側にいるだけで

にやけてしまいそうになる

必死に耐えて、顔を背けても

訝しげに顔をのぞき込んでくる

勘弁してほしい

こんな情けない顔、見せる訳にはいかない


目の前で

ふわりとポニーテールが揺れる

シャンプーの匂いだろうか

甘い香りが鼻孔をくすぐる



どうして女の子は

こんなにいい匂いがするのだろう


ふと、髪の毛につく糸くずに気づく

取ってやると

こちらに満面の笑みを向ける

  にふぇーでーびる!プロデューサー!

かわいい

身長差で手の乗せやすい頭を、

くしくしと撫でてやる

少し顔が赤くなって、えへへと笑う

いつまでもこうしていたい



でも、それじゃだめなんだ


分かってる

俺は、プロデューサーなんだ

担当するアイドルに対して

こんな感情は、抱いてはいけない

だが、


抑えようとしても、

抑えられるものではなかった


日が経つごとに

どんどん、惹かれていく

振り払おうとすればするほど

その思いは強くなる

彼女の頭を撫でてやりながら

心の中で呟く


すまない、響

俺はプロデューサーとして、

最低だ

俺は

担当アイドルに、




響に、恋心を、抱いている

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不思議と、心が落ち着く

最後の一歩を

プロデューサーが背中を押してくれた

そんな気がした

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彼女のこんな姿は、見たことがなかった



美希からの電話を受け、

事務所へ向かう

また美希にアイドルをやめる

なんて言われたら、たまらない

暗い街中で、とあるビルの二階だけ

いまだに光り続けている


こんな時間まで事務所に居座るなんて

まずはそれについて叱らないと

でも、美希のことだ

とりあえず話を聞いてやらないとかな

そうしないと、拗ねるに決まってる

きっとそうだ

そんなことを考えながら

事務所のドアを開ける


一見した様子では、

事務所に美希の姿はない

人を呼び出しておいて

また、ソファで寝ているのだろうか

応接室を覗く

そこに美希の姿はない

しかし、代わりに

自分が焦がれる人

響がソファにちょこんと腰掛けていた


自分の、担当アイドル

一番近いはずなのに

一番、遠くにいる人

ソファに座る彼女は

視線を床に向け、考え事をしている様だった

少し気分が、高まる

しかし


どうして、響がここに、、?


疑問が浮かぶ

考えるより先に

響がこちらに気付く

  あ、プロデューサー

  本当に来てくれたのか

顔を上げ、ぱっと笑顔になる


"来てくれたのか"?

ということは、

事務所で待っていたのは美希ではなく、響?

  美希が勝手に電話しちゃうから、焦ったぞ

でも、じゃあ、美希はどこに?

頭の中の疑問に答えるように、

響は続ける

  電話をかけた本人は

  話し終わったらすぐに

  自分だけ残して帰っちゃうしさ


なるほど

美希らしいことだ

頭の中の疑問が解けていく

  つまり響は、美希に振り回されたってことか

響は苦笑いで肯定の意を示した

頭の混乱も解け、少しずつ落ち着いてきた

が、

落ち着いたことで

また一つ、疑問が浮かぶ

なぜ美希はそんなことを?


呼び出しておきながら

響を残して帰るなんて

まるで最初から

俺を響に会わせることが目的だったような、、




  でも、来てほしかったのは、本当なんだ



響が、目の前に立つ


  自分、さ、


  プロデューサーに、


  伝えたいことが、あるんだ


耳まで真っ赤に染まっている

震えているようにも見える


沈黙が、耳に響く

目の前の響はいつもより

一回りも二回りも

小さく、弱い存在に思えた

そして、


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雪歩、美希、

そして、プロデューサー

みんながこの状況を作ってくれた

みんなの気持ちに、答えないと

ここまで来て

逃げるのは、無しだ






思いを、伝える






  かなさんどー、、プロデューサー、



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その声は


普段の響からは想像もつかないほど


小さく、か細い声だった


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どうしよう

言った

言ってしまった

どうしよう、どうしよう

プロデューサーの顔が見れない

顔が熱い、熱い

心臓がうるさい

体全体が、心臓になったようだ

泣きたい、何も聞かずに、逃げ出したい


プロデューサーは今、何を思っているんだろう

返事を考えてくれているのだろうか

横目で、机の上の時計を見る

まだ30秒も経っていない

沈黙に、押しつぶされそうだ


  響、、


プロデューサーの声が、無音の事務所に響く

なんだか、生きている気がしない


自分はさっき何を言ったんだっけ

プロデューサーはこれから何を言うんだっけ

プロデューサーが何て言うことを

自分は期待してるんだっけ


自分は、、


告白したんだ

プロデューサーに

自分の、気持ちを


つまり

これからプロデューサーが言うのは

その告白への、返答

プロデューサーが、口を開く



  、、、すまない


心臓が、凍った

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プロデューサーとしての血が

理性に打ち勝ったのだろうか

響から思いを告げられた俺は

真っ白になり回らなくなった頭を必死に動かし

その言葉を告げていた



プロデューサーとアイドルとの交際なんて

認められない


もしも、そのことがマスコミに知られたら?

響は今、順調に人気を伸ばしている

もしかしたら来年、いや今年中にでも

アイドル界の頂点に立てるかもしれない



目の前に見えている、トップアイドルへの道筋


それを俺が、潰すことになる

そんなこと

できるはずがない

だから、

これで、、いいんだ

自分を納得させる

こうしないと、いけないんだ




  そっかぁ、、だめかぁ、、


響の方を見る

悲しみを堪えて

必死に笑顔を取り繕おうとしているのが

目に見てわかる

口が震えて、目が潤んでいる



違う


俺が見たい響は

こんなくしゃくしゃな笑顔の響じゃない


  でも、よかったさ!

  プロデューサーに気持ち、伝えられて


違う


俺は響に、こんな笑い方をさせたかったのか


違う



響はいつも太陽のように笑う

その暖かい笑顔に

俺は


  こんな時間に、ごめんね、プロデューサー

  来てくれて、話、聞いてくれて

  う、嬉しかった、ぞ、、


響の目から

収まりきらなくなった涙が、溢れる


違う

俺は響にこんな顔をさせたいんじゃない

俺は、、



  響、、!



抱き寄せた響の身体は

思っていた以上に

小さかった




  響、すまない


  俺は、プロデューサー失格だ


  俺は、





  響のことが、好きだ




小さな身体をぎゅっと、抱きしめる

緊張の糸が切れたのか

響の目からとめどなく

涙があふれ出す

響の泣き声だけが、事務所に響き渡る



俺の胸に頭を押し付け泣く響に

何度も思いを告げる


  好きだ響、お前のことが、大好きだ


何度も頷き、涙声で響も返す


  自分も!大好きさぁ!ブロ゛デューサーぁ!


何度も、何度も、

繰り返し気持ちを確かめ合う

お互いにため込んだ相手への気持ちを

全て、吐き出すように





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響が泣き止む頃には

既に空が白みがかっていた

落ち着いてきた響に

入れたばかりのお茶を渡し、

さっき考えていたことを話す



アイドルに恋愛はNGであること

そして

そのことをマスコミに知られれば

トップアイドルへの道が閉ざされてしまうこと


一通り話し、お茶を啜る

響も、両手で湯呑を持ち

ちびりちびりと飲む

一晩中泣いていたからか

目や鼻が赤く、火照っているように見える


両思いとなった今

そんな彼女をより一層愛しく感じる

熱いお茶に悪戦苦闘しているのをいいことに

じっと彼女のことを見つめる



不意に、目が合う

見られていることに気付くと

ぷいと視線をそらし、身体ごと横を向く

顔が真っ赤になっているのが、耳を見てわかる




何なんだろうこの愛らしい生き物は



見られて恥ずかしがる響を再び愛でていると

  あ!

響が、何かを思いついたような声を上げる

  プロデューサー、恋愛してたら、

  トップアイドルにはなれない、んだよね?

確かに

さっきの話をかいつまんで話せば

そういうことになる




  じゃあさ、、



  トップアイドルになってからっていうのは、、?


響が満面の笑みをこちらに向ける

どうやら、会心の思い付きのようだ

思わず吹き出してしまう


  な、何で笑うのさー!もう!


響には悪いと思いながらも、笑いが止まらない

だって

これこそが




俺の見たかった、響の笑顔だったから



俺にいつも元気を、笑顔をくれる

太陽のように暖かく、明るい響の笑顔



  わかった、じゃあ約束しよう


響がトップアイドルとして

この業界を響の笑顔で染め上げことができたら


  響がトップアイドルになった時


俺だけじゃなく、他の人にとっても

響が元気を与える存在になって、

アイドル業界での"太陽"になることが出来たら


  その時また、お互いに思いを伝え合おう



それまでは、アイドルとプロデューサーのままで、



  わかったさ!

  自分、完璧だからトップアイドルになんてすぐだぞ!

  待っててね!プロデューサー!


いつも通りの響だ、安心した

俺も、もう二度と響にあんな顔はさせない

プロデューサーとして、響には全力でぶつかる


もう、逃げない



朝日がまぶしくなってきた

もう、そんな時間か

時計を見ると、とっくに朝になっていた

太陽の光が響が明るく照らす

  それじゃあ、プロデューサー




  これからも、自分のプロデュース、よろしくたのむぞ!




小鳥さんに見つかって怒られるのは

この数分後のことだった


━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━

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  プロデューサー、まだかな、、?

事務所の応接室で一人、響はプロデューサーを待つ

  これ、結構重いんだけどな

響の手にはIA大賞のトロフィー

  全く、女の子を待たせるなんて、

  とんだダメプロデューサーだぞ


IA大賞の発表の後、プロデューサーはこの場所だけ指定して

何処かへ行ってしまった

  すぐに行くって言ってたけど、、もう一時間だぞ

あの約束のちょうど一年後、響はIA大賞をとり、

トップアイドルとして名を刻んだ

  この後みんなでパーティーもあるのになー

それでも、待つ

信じているから、というか約束したから


  うん、やっぱりあの時と同じで、、

ガチャリ

事務所の扉を開ける音がする

  お、やっと来たか

ふぅ、とため息をつく

それと同時に、心臓の高鳴りに気づく

  なんか、緊張してきたぞ、、

どんどん心拍数が上がる



応接室のドアノブがカチャリと回り、

ドキドキが最高潮になる


ぎぃぃ


ドアが開き、プロデューサーの姿が現れる

、、かと思われたが

  遅いぞ!プロデュー、、あれ?

現れたのは



   、、、花?


そこには、大きな花束があった

しかし、当たり前だが花が勝手に動くはずもなく、

  遅れて、すまなかった

花束の陰からプロデューサーが顔を出す

  プロデューサー!どうしたんだこの花束!

驚きでドキドキはどこかに飛んで行ってしまった

  いやぁ、知り合いの花屋に頼んでおいたんだ


その花束は、中心にヒマワリを配置し

その周りにはユリやキンモクセイ、サクラなど

色とりどりの花が並ぶ

  これって、もしかして、自分たちか?

  ああ、765プロをイメージして作ってもらったんだ

中心のヒマワリを指さして聞く

  ひょっとして、これが自分か?

  ああ、やっぱり響と言ったらヒマワリかなって思ってさ

  何で自分が、ヒマワリなんだ?

  響は太陽だからな、太陽と言ったらヒマワリ、な?

そう言って響に花束を渡す


  遅くなってすまなかったな

  IA大賞、おめでとう、響

響も素直に受け取る

  にふぇーでーびる、プロデューサー

にへらと照れた笑顔を見せる




そして、沈黙


響の鼓動が、また高鳴ってくる







  あの、プロデュー
  待った!


響の言葉を、プロデューサーが遮る




  今度は、俺から言わせてくれ


響は黙ったまま、頷く



プロデューサーは深呼吸をして

口を、開く



  響、この一年間俺は

  ひと時もこの約束を忘れたことは無かった



知っていた、自分も、そうだったから



  そして、このときをずっと待っていた



自分も、そうだ



  響、



  好きだ、響、愛している



自分も、、そうだ、



響の目からは、涙が溢れる




  そっか、、



  じゃあ、



  今度は、自分の番さー、


涙声になってしまっても、いい


  プロデューサー、


それでも笑顔で、


もう迷うことは無い



雪歩に相談していた時とは、違う


もう自分の気持ちに、嘘はつかない


自分の心の声を、そのまま、伝える



  かなさんどー、、



自分は、





  かなさんどー!プロデューサー!





自分は今、プロデューサーに「恋」をしている




「自分は今、プロデューサーに「恋」をしている」


おわり

完結です!
見てくださった方がいましたらありがとうございました!

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