露伴「康一くん、日曜日ヒマかい?」 (44)

康一「えっ どうしたんですか露伴先生。取材ですか?」

露伴「まあそんなもんさ 付き合ってくれるかい?」

康一「えーっと…日曜日には仗助くんたちと約束が入ってたかなぁ」

露伴「おいおい、つれないこと言うなよ。いいじゃないか、なあ」

康一「でも先に決まってたことだしなぁ…困ったなぁ」

露伴「そこをなんとか頼むよ。友達じゃあないか」

康一「でもなぁ」

露伴「なかなか頑固だな。どうしてもダメかい?」

康一「うーん、申し訳ないですけど…」

露伴「わかったわかったよ。バイト代だすからさ、な?」

康一「もーー、仕方ないなぁ露伴先生は。聞かないんだから」

露伴「やったッ!やっぱり君は優しいヤツだ!君みたいな友達がいて良かった!」

康一「それで、どこへ行くんですか?」

露伴「ちょうど『ドゥ・マゴ』の近くにしゃれたレストランがあるだろう?あそこでディナーをと思ってね」

康一「えっ!?あそこですか!?ジョースターさんが予約取れなかったって言ってましたけど…」

露伴「フフ、忘れちまったのかい?僕はかのジャンプの人気作家なんだぜ?」

康一「すごい!すごいですよ露伴先生!いやぁー見直したなぁ」

露伴「おいおい、あんまりバカにすんなよな」

康一「してないですったら。それって取材なんですか?」

露伴「ああ、ちょっとあんな感じのレストランをマンガに出そうと思ってね」

露伴「一人じゃツマらないし、君を呼んだってわけだ」

康一「なるほどなぁ、やっぱりプロの漫画家は違うなぁ」

露伴「フフ、そうだろう?」

康一「あ、ちょっとお願いがあるんですけど…」

露伴「ん?なんだい?」

康一「仗助くんたちや由花子さんも一緒に連れていっちゃダメですか?」

露伴「えっ!?何を言ってるんだ、これは君と僕だけで…」

康一「無理なお願いなのはわかってますけど…でもこんな機会滅多にないし、みんなも連れて行ってあげたいんです」

露伴「スマンが、いくら康一くんの頼みでもそれはNOだ」

露伴「第一もう2人で予約しちまったんだ。今さら変えられない」

康一「そこを先生の力でなんとか…」

露伴「だめだめ。できないな」

康一「本当に…ダメですか?」

露伴「だからダメだって…」

康一「ぐすっ…」

露伴「………あああもうわかったよ!そいつらも連れてけばいいんだろ!?仕方ないな!」

康一「本当ですか!?ありがとうございます!やったー!」

露伴「まったく…」

……岸辺家

露伴「ああ、くそッ!」

露伴「まさかあのくそったれ仗助とアホの億泰とプッツン由花子もついてくるなんて…」

露伴「せっかくフンパツしてあの店にしたってのに!」

露伴「くそッ!」

露伴「はぁ、はぁ……康一くんとの時間を邪魔しやがって…」

露伴「僕の誕生日パーティが台無しじゃないか!」

……日曜日

仗助「よーし、みんな準備いいかー?」

億泰「いいからはやくしろよー」

仗助「わかったわかった」

仗助「じゃあ本日、こんなけっこういいレストランに飯食いに来れたってことで、みんなの労を労いつつ、簡単ですが乾杯の挨拶とさせてもらいます」

仗助「それじゃ、カンパーーイ!」

「「カンパーーイ!!」」

露伴(なんでお前が乾杯の音頭取ってるんだ!!!!!!)

露伴(どう考えても僕の役目だろ!!誰が招いたと思ってんだ!!お前ら頭おかしいのか!?)

露伴(くそ、なんでいきなりこんなイライラしなくちゃいけないんだ)

康一「あの、先生今日は本当にありがとうございます。みんなも喜んでます」

露伴「あ、ああ…」

露伴(やはり康一くんは違うな…僕のことをわかってくれている)

由花子「康一くん…こんなステキな所に誘ってくれてありがとう。邪魔なのもいるけれど」

康一「いやぁ僕はそんな…」

億泰「あぁーん?邪魔って俺たちのことかぁー?」

仗助「俺もかよ」

由花子「うるさいわね、今日はあんたたち2人だけよりもっと悪いのよ」

露伴「!!」

露伴(ああ!?いまなんつったこの女!!僕が邪魔ってことか!?フザけるなよ!!)

康一「まぁまぁ、みんな落ち着いて…」

由花子「あら、ごめんなさい康一くん」

仗助「ところで、メシはまだかよー」

億泰「そうだ、俺たちゃメシを食いに来たんだぜーッ」

露伴(くそッ!いちいち下品なんだよお前ら!ちっとは静かにしろ!)

康一「ああ、露伴先生、ご飯は…?」

露伴「あ、ああ。もうそろそろ来るはずだ」

億泰「俺今日このために朝からメシ抜いて来てんのよ」

由花子「バカじゃないの」

億泰「うるせーな。腹減ってるほうがうめーだろ。俺はトニオんとこで学んでんだ」

仗助「まー極端なやっちゃなー」

ウェイター「おまたせしました」

仗助「おっ!きたぜー」

億泰「うっひょー」

由花子「まぁ」

露伴(くそ、早く食って終わりにしたい)

康一「露伴先生、食べましょう」

露伴「ああ…」

仗助「おお、こいつは旨そうだな」

億泰「うう、よだれが止まらないぜ…」

露伴「ま、まぁみんな僕がご馳走するこのとーーーっても高級なディナーをせいぜい楽しんでくれよ」


「「いただきまーす」」

億泰「ハフッ、ハフッ」

仗助「モグモグ」

康一「あーーん」

由花子「…」

露伴「フフ、どうだい?」

億泰「…?」

露伴「ん?どうした?」

仗助「なん…か…」

億泰「あんまおいしくないな…」

露伴「なっ!?」

由花子「……」

康一「お、億泰くん!」

億泰「いや、トニオの料理で舌が肥えちまったのかしらんけどよー。あんまりうまくねーよこれ。薄味だしよー」

露伴「キサマ…!」

仗助「うむ…あんまりいいたかないが、確かにうまくないな…」

康一「ちょ、ちょっとみんなやめなよ!」

仗助「いや、スマンスマン!たぶん俺みたいなヤツにはわからん味ってヤツなんだろうな、きっと」

露伴(当たり前だ。お前らにこの値段の味がわかってたまるか)

億泰「でもよー、康一だって一口でスプーン置いてるじゃねーかよ」

康一「こ、これは違うよ」

露伴「……」

由花子「……はぁ、なんだか損した気分」

露伴(あ゛あ゛あ゛あ!?何をいってんだこのアマ!!タダメシ食っといて何が『損した』だ!!ブッ殺すぞ!!)

露伴(あああこんな最悪な誕生日は初めてだ。本当は康一くんと2人きりのはずだったのに…)

仗助「まあ料理は残念だったけど、この雰囲気を楽しめただけでも来た価値があると思うぜー」

億泰「だなー。こんなとこ普通これないもんな」

由花子「珍しく良いこと言うじゃない」

露伴(くそ…クズどもが)

露伴(…そういえば様子を伺うばかりで肝心の僕が食べていなかった)

露伴(あのバカどもにはわからんだろうが、これが本物の味なんだ)

露伴(むしろこの味がわからなくてせいせいしたぜ。ザマーミロ)

露伴「さて…いただきます」

露伴「…」

露伴(クソ!マズいじゃないか!ふざけるなよ!)

仗助「ところで康一よ~、明日ひまか?うち来いよ、億泰もくるからよー」

億泰「そうだな、三人のほうが退屈しなそうだしな」

露伴(それにしても、何だコイツらは)

露伴(何かあるたびに康一康一言いやがって。そんなに康一くんが気になるのか。まさかホモなんじゃあないのか?)

康一「え~?どーしよっかなぁ」

露伴(ほら、康一くんも困ってるじゃないか)

由花子「康一くん、そんなヤツらとより明日は私とお出かけしましょう」

仗助「おー、そういえばお前らどこまで行ったんだ?教えろよ」

露伴(…は?)

億泰「まま、まだAだけだよな!?なぁ康一!!」

康一「い、いやそのー」

由花子「あんたたち…ブッ殺すわよ」

露伴(ななな、何をいってんだコイツら!?)

仗助「うわ、悪かったって!」

億泰「おい康一!はやく言え!」

露伴(まさか康一くんがこのブチギレ由花子と付き合ってるなんてーことじゃあないだろうな?)

康一「億泰くん、デリカシーってもんを…」

億泰「うるせーはやく言え!」

露伴(おい!!どうなんだ!はやく教えろよ!!)

康一「えっと、由花子さんのことは大切に思ってるし…」

億泰「おいコラはぐらかそーとしてんじゃねー!」

露伴(くそッ!くそおおおお!!)

……30分後

露伴「……」

露伴(くそ、康一くんに誕生日だと告げるタイミングを見計らってたらこんなに経ってしまった)

億泰「ギャハハハ」

仗助「…おっ、もうこんな時間だな」

由花子「そろそろお開きにしましょうか」

康一「そうだね」

露伴(くそっ、終わるか。まあいい、こんなクソみたいなディナーさっさと終わらせたいしな)

露伴(とりあえずこの後だ…)

康一「先生、そろそろおあいそしましょう」

露伴「ああ…」

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