魔王「あのさ世界征服中止するわ」 (226)

側近「いきなり何を言うんですか」

魔王「いや確かに昨日、酔った勢いで魔物集めて『よーし!こうなったら世界征服するぞー!うっへーい!』って

すっぽんぽんで踊り狂いながら言ったけどさ……」

魔王「翌々考えるとメンドクサイ事に気付いた」

側近「そんな事言ったってもう遅いですよ、王様が勇者を魔王城に向かわせてますよ」

魔王「えー、マジかよー」

魔王「嘘だろー?ちょっと白旗上げに行って来いよ」

側近「無理ですよ、どうせ人間なんて降参しようがしまいが私達を皆殺しにしますよ」

魔王「あーもー!アホー!血も涙も無いのか人間はー!」

側近「それに私達の部下が姫を拐ってますし」

魔王「何してくれてんだよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1367156995

側近「いや、流石にそれはやりすぎだと思って部下達にメールで止めたつもりだったんですけど」

魔王「何でメールなんだよ!?口で言えよ!」

側近「いや、眠かって……」

魔王「何だよそれ!?もう後戻り出来ないの!?」

側近「出来ないですね」

魔王「クリーングオフ出来る!?」

側近「出来ないですね」

魔王「パイルダーオン!?」

側近「パイルダーオンです」

期待

魔王「うぐぅ……それで?姫今どうしてんの?」

側近「牢屋に入れようと思ったんですけど、まだお子様ですし」

側近「魔王様の寝室に居ます」

魔王「おまー!何してくれてんだー!?」

側近「だって、魔王様廊下で寝てたし…チャンスだと思って…」

魔王「何の!?」

側近「あ、安心して下さい、魔王様には牢屋があるんで」

魔王「何でだっ!?何で牢屋なんだよ!魔王城の牢屋に入れられる魔王なんて前代未聞だよ!?」

側近「まぁまぁ、ここは事態を最小限に抑える為に、姫には優遇させましょう」

魔王「うぅ…ちくしょう……」

魔王「あ、そう言えば。まだ朝飯食べてない、側近、メシ」

側近「はい」

魔王「え?おにぎり?何で?」

側近「いや、魔王様の朝ご飯、姫にあげましたから」

魔王「テ、テメェーーーー!!!!」

魔王「何してくれとんのやー!?ワイのメシを何姫に食わしとんねや!?ワイのメシはワイのメシで

姫のメシは姫のメシで分けろやーーーー!!!」ガシッ!


側近「ぎゃあああああ!!!や、やめ…落ち着いて下さい!魔王様!これも事態を最小限に……!」

魔王「うぅ……」グスッ

側近「げほっげほっ……」

魔王「もういい!こうなったらやってやる!」

側近「世界征服を本気で実行する気ですか!?では格世界の魔王様達にも協力を……」

魔王「お前は何もするな!」

側近「えぇっ!?じゃあ、何すればいいですか!?」

魔王「えぇっと…じゃあ食糧倉庫見張ってろ!」

側近「イエッサー!」




兵士長「魔王様、聞きましたよ。何でも世界征服を中止にするとか」


魔王「え?知ってんの?」


兵士長「はい、側近様のメールで」


魔王「あのメール野郎……で?それ知ってんのキミだけ?」


兵士長「えぇ」


魔王「そうか」


兵士長「でも今更言えないですよ。兵士達がどこから出た噂か知らないですけど勇者を倒せば

土地とか莫大の賞金とか貰えるとか言ってまして……」


魔王「誰だ、んなデタラメな噂流したヤツ。見つけ出して市中引き回ししろ」


兵士長「分かりました」

兵士長「それにしてもどうして、外にお出になったのですか?雨なのに」


魔王「召喚獣を出して勇者達を瞬殺させようと思ってな……」スチャッ


兵士長「召喚ステッキ…!そうか!その手がありましたか!」


魔王「最強のモンスターを出して勇者共を抹殺して漬物石にしてくれるわ!」バッ!


魔王「いでよ!えーっと…何か!」


ピシャーンッ!

「アギャー!」


兵士長「うわ、何だこのデカいヒトデみたいな鳥みたいなヤツ!?」


魔王「おぉっ!?ベムスター!ベムスターじゃないか!」


魔王「フッフッフ、コイツで勇者共をミンチにしてやる!」


魔王「さぁ行けベムスター!」


ブワァッ!


兵士長「だ、大丈夫ですかね…」


魔王「大丈夫だ、なにせ…」


魔王「最凶の怪獣だからな!」

明日


側近「魔王様が召喚した怪獣がやられました」


魔王「何でやーっ!?何かの間違いや!ベムスターは最凶の怪獣やで!?負ける訳無いやんけ!」


側近「それは魔王様の中ででしょ!?あんな雑魚出さないで普通に……」


魔王「雑魚言うなー!」ボゴォッ!


側近「げほーっ!」

魔王「テメェ今度ベムスターの悪口言ったらハワイ旅行一泊十日させるからな!」


側近「お、鬼だ!鬼が居る!」


魔王「魔王です。ええい…ベムスターがやられたのは計算外だった……」


魔王「こうなったら偵察だ!」


側近「偵察!?」




勇者「痛ぁー!」コテンッ

女戦士「ちょっと!大丈夫!?もう、鈍臭いわね!」

賢者「仕方無いですよ、私達はまだレベルが低いんですから」



側近「順調に進んでますね」ガサッ


魔王「だな」


側近「もう少しで次の都に到着しますよ」


魔王「いや、この場で殺そう」


側近「何で!?」


魔王「い、いや、だって……」


側近「色々問題がありますってそれは流石に!」


魔王「仕方が無い、じゃあ都を焼け野原に……」


側近「もっと駄目ー!」

勇者「……?今、何か聞こえなかった?」


女魔法使い「何も聞こえないわよ?」


賢者「気のせいですよ」


商人「それじゃあ早く都に行きましょう」



魔王「………」


側近「……行っちゃいましたね」


魔王「よし側近、この都に魔物達を送り込め」


側近「」


魔王「早くするんだ。世界征服なんてダルイ事を中止にする為に」




側近「近くに居た魔物達を集めて来ましたー」


ゾンビの大群「「「うー…うー……」」」


側近「名付けて、ラクーンシティ作戦!これは成功しますよ!」


魔王「あぁ…もう何でもいいや!行け!」ピッ!


ゾンビの大群「「「「うーっ!!!」」」」

側近「ゾンビ達が都に入って行きましたよ!」



「うわぁ!モンスターだー!」

「門番は何をやってたんだー!」

「田舎に帰りやがったあの野郎!」


魔王「へっへっ…もがけもがけ!もがき苦しめ!そして勇者共を亡き者にしろぉ!」



「このモンスターは火に弱いらしいぞ!」

「よし!じゃあ都に火を放て!」


魔王「え」


魔王「えぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

ええええええええええええええええええええ!!!!??!?!?!?」



魔王「燃やすんかぁあああああああああああああああいいいいいいい!!!!!!」

側近「い、意外ですね……」


魔王「あ、あの人間共…自分が住んでる所を何だと思ってんだ……」


側近「あ、火が……」


魔王「あ……」


側近「ゾンビ達が苦しむ声が聞こえて来ますね……」


魔王「あぁ……」


側近「………」


魔王「………」


側近「綺麗…ですね…」


魔王「そう…だな……」

側近「私、火がこんなに心落ち着く物だとは知りませんでした……」


魔王「心理的アレなんだろうな……きっと……」


側近「……魔王様?泣いてます…?」


魔王「……泣いとらんわい……」

魔王城


魔王「あーもー!イラつくー!結局、勇者は生きてたし!いい事無しだ!」


魔王「誰だよ世界征服をする何て言ったアホは!叩き殺すぞタコー!」


「どうしましょう…」オロオロ…


魔王「うわ!人間!」


「ヒッ!強姦魔!」


魔王「オーケェ……喧嘩売ってると見たぜ……」ビキビキ…


兵士長「ちょっ!?魔王様!?ス、ストーップ!」ダッ!

魔王の間


姫「あら、それでは貴方が魔王様ですのね」


魔王「如何にも魔王様だ」


兵士長「まったく……全面戦争になる所でしたよ?もう少しで」


魔王「だって、気付かなかったモン」


兵士長「何がモンですか。姫に何かあったら、本当に取り返しのつかない事になるんですから」

姫「あ、あの……」モジモジ…


魔王「どったの?」


姫「わ、私……先程から…尿意が……あ、あの、おトイレは……」


兵士長「………」


魔王「………」


魔王・兵士長「「な、なんだってー!?」」


兵士長「え、えっと、トイレってここから上ですよね!?」


魔王「マ、マジかよ!姫!私が抱えて行くから、早く行こう!」


姫「だ、大丈夫です、わ、私……一人で……」プルプル…


魔王「一人で行っちゃ駄目だ!危険だ!」ヒョイ!


姫「わっ!?」


兵士長「さ、行きましょう!」

階段の間


魔王「はぁ…はぁ…!クソ暑い…!」


兵士長「魔王様!しっかり!」


魔王「はぁ…だ、誰だよ!こんな階段作ったの!責任者出てこい!」


兵士長「魔王様が景色見ながらトイレがしたいって言うからですよ!」


魔王「エレベータ付けろバカ!」


姫「う……」


魔王「姫ぇー!大丈夫だぁー!?頑張れー!姫ぇー!」

魔王「ここで漏らしちゃったら、姫のお父さんと戦争になるから!耐えて!お願い!」


姫「あぅ、も、もう……」フルフル…


魔王「しっかりしろー!出来る!キミなら我慢出来る!」


兵士長「もう少しですよ!」


魔王「階段長すぎるわコレ!」


兵士長「でも、良い運動になりますよ?」


魔王「こちとら運動不足のせいで疲労度MAXだわ!」

魔王「あぁ、叫び過ぎたせいで喉が……」ゼェ…ゼェ…


魔王「あ、つまずいた」ゴッ


魔王「モロッコォオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」ズドドドドドドドッ!!!!


兵士長「あぁ!?魔王様が落ちたぁー!?」


魔王「うぐぅぁ…背中超痛い……でも、なんとか踏ん張れた」


魔王「さぁ!行こう、姫!」


魔王「あれ?何か温かい……」

姫「ご……ごめんなさい……///」カァァ…


魔王「オーノォオオオオオオオオ!!!!」


兵士長「魔王様!?ま、まさか……!?」


魔王「そそそ、そのまさかだよワトソン君!ど、どどどどどうしよう…!」アワワワ…


兵士長「あ、あ、そ、そう言われま、ましても……」オロオロ…


姫「/………//////」


魔王「だ、大丈夫だよ…そ、それ、アレだから潮吹きだから」


姫「//////」ボッ!


兵士長「フォローになってませんそれ!」

姫「あ、あの…///厚かましいかもしれませんが…///その、服の替えを……///」


魔王「え!?あぁ!ハイハイ!服の一着や二着…どうぞどうぞ!」


魔王「さ、行くよ!兵士長!」


兵士長「は、はい!」

3時間後


側近「はぁ…そんな事が…」


魔王「まったく…大変だったよ」


側近「魔王様がモロッコォオオオ!って言って落ちて姫を漏らさせたんですよね?」


魔王「意図的にやったみたいに言うな!事故だよ!アレ事故!」

側近「それにしても、そのマントと仮面を付けてるから強姦魔だと思われたんじゃないんですか?」


魔王「失礼な、これはファッションだ!」


側近「姫、魔王様がそんな口調だから男だと思ってますよ、きっと」


魔王「え、そうかな」


側近「あ、そろそろ昼食にしましょう。魔王様、何おにぎりがいいですか?」


魔王「おにぎり前提!?」

側近「早くしてくださいよ」


魔王「じゃあ……昆布でいいや」パシッ


魔王「まったく……。ちょっと森に行って熊さんと遊びに行くわ」


側近「ヒグマとですか?」


魔王「死ぬわ!」




魔王「まったく……何で私がこんな目に…!」


魔王「世界征服しようって言ったヤツって誰だっけ…?忘れた……」


魔王「まぁどうせあの、アホ側近だろうな!あの腐れ野郎が!」


山賊A「おっと待ちな!こっから先は俺達の縄張りだぜ!」


山賊B「身に付けてる物を全て渡して貰おうか!」


魔王「わぁ!熊だ!」


山賊A「誰が熊だ!」

山賊A「さっさと渡せ!」


魔王「チッ、しゃーねーな。おらよ、くれてやる」バサァッ


山賊A「何で全裸になるんだよ!?」


魔王「これが私の究極体だ」


山賊A「究極体って…!脱いだだけじゃねぇか!?」


山賊B「てゆうか、女かよお前……オイ!その鉄仮面も取れ!」


魔王「えっ!?い、いやいや、コレは無理!無理だから!」ブンブン


山賊B「何で衣類は良くて仮面は駄目何だよ!?オラよこせ!」ガシッ!


魔王「うわぁ!止めろ変態!訴えるぞ!?良い弁護士呼んで訴え———」


バッ!


魔王「ッ……!」


山賊A「ほぉ、結構、可愛いじゃねぇか」


魔王「お前も南アメリカ大陸みたいだぜ」


山賊A「どう言う意味だよ!?」


魔王「この野郎、もう許さんぞ!世界征服を中止する為にお前らを倒す!関係無いと思うけど!」バッ!


山賊A「ステッキ!?まさか魔法を……」


魔王「死ねタコォ!」ボゴォ!


山賊B「ぐへぇっ!」


山賊A「えぇっ!?」


山賊A「このぉ…!よくも仲間を!」ヒュッ!


魔王「遅い!」サッ!


山賊A「な、何ぃ!?」


魔王「言ったハズだぞ、今の私は究極体だと……」


山賊A「ぬぬ……!」


魔王「さて、どう料理してやろうか……」


魔王「あ、あれ…?く、熊…!?」


山賊A「え?」クルッ


魔王「隙だらけじゃ小童ぁ!」ボゴォッ!


山賊A(えぇええええ!!!??)


山賊A(ド汚ぇええええ!!!)

数時間後


魔王「帰って来たぞー」


側近「うわっ!?どうしたんですか!?その血!?まさか、本当にヒグマ……」


魔王「違うよ!山賊共の返り血だよ!ヒグマにやられたら歩けないから!」


側近「なーんだ…あれ?仮面はどうしたんですか?」


魔王「無くした」


側近「あ、そうだ…。そんな事より魔王様、大魔王様が来てますよ」


魔王「な、なぬー?」


側近「食堂に居ますから、会いに行って下さい」

食堂


大魔王「うん、美味いな…特にこの料理…美味いな…」ムシャムシャ


魔王「だ、大魔王様……」


大魔王「あ、魔王。聞いたよ聞いたよ、世界征服するんだって?」ムシャムシャ


魔王「え、どうしてそれを?」


大魔王「いやぁ、キミの側近のメールでさ…うん美味い」ムシャムシャ


魔王「あのガラケー野郎……」


大魔王「え?ガラケー野郎?」ムシャムシャ


魔王「あ、い、いや、唐揚げ野郎です」


大魔王「あぁ唐揚げね」ムシャムシャ

大魔王「まぁキミが世界征服するってんなら、私も力貸してやろーかなーってさ」


魔王「い、いえ…お気遣い感謝しますが、大魔王様のお力を借りずでも、世界征服など……」


大魔王「ふーん、まぁ世界征服中止にしたいもんね」


魔王「え、そ、それも…どうして……」


大魔王「キミの側近のメールで」


魔王「………」


大魔王「本気でしないんだ?世界征服」


魔王「まぁ、メンドクサ……人間と魔物が共存出来る世界を目指してるので……」


大魔王「何を心にも無い事言ってんの」


魔王「ぎくり、そんな事無いですよ」


大魔王「ぎくりって何さ」


魔王「甘栗です」


大魔王「あぁ甘栗ね、いいよねアレ」

大魔王「じゃあ私はもう帰るわ、魔王ちゃんは本気じゃないみたいだし」


大魔王「それにこれから晩飯だし」


魔王「え、い、いや、さっきウチらの食糧をガツガツしてた……」


大魔王「それじゃあねー」シュンッ


魔王「あ……」


魔王「……糖尿病になって死ね」ボソッ


側近「陰口酷いですね……」


側近「どうします?大魔王様のせいで食糧の大半無くなりましたよ」


魔王「あの野郎…協力したいんか餓死させに来たのかどっちなんだよ……」


側近「これじゃあ明日から兵士達のメシは抜きになりますね」


魔王「うぅ…メシ抜きは反旗のキッカケになるからなぁ……ここは何としてでも食糧を確保しよう」


側近「で?どうするんですか?」


魔王「人間共から拝借するんだよ」


側近「はぁ」

王国


側近「夜ですからね、警備も厳重になってますよ」


魔王「安心しろ、見つかったら私の新技『ハイパーディープキス』をお見舞いしてやる」


側近「ハ、ハイパーディープキス……!?それは一体……」ゴクリッ…


魔王「そんな事はともかく、王国の食糧庫どこ?」


側近「こっちです、直ぐ近くですよ」

食糧庫


魔王「ふぅ、何とか兵士達に見つからずに侵入出来たな」


側近「それで、どうするんですか?こんな大量の食糧」


側近「持ち運ぶにしてもそんなにだし……乗り物を使ったら出るとき目立つし…」


魔王「そんな時はこれー!テレテレーン!『次元ステッキ』ー!」


魔王「このステッキを横に振る」ヒュッ


グバァッ!


側近「うわっ!魔王城の食糧倉庫に繋がった!?」


魔王「そーれ!今だー!持ち運べー!」

魔王「ま、こんなモンかな」


スッカラカーン


側近「取り過ぎと言うか……何も無いって言うか……」


側近「これはあまりにも可哀想ですよ」


魔王「仕方ないね、乾パンと食パンの耳を置いておこう」


側近「鬼かアンタ」


魔王「魔王です」

翌日


側近「我々、魔王軍の食糧難は回避しましたが、王国軍が食糧難に陥ってます」


側近「壁を食べ、馬を食い、雑草を食べる始末で。この調子だと共食いしそうな気がします」


魔王「あー止めて止めて、そんな地獄絵図考えたくもないー」

魔王「乾パンとパンの耳で我慢しろっつーの」


側近「その両方は王様達が食べて、無くなりました」


魔王「うぉい」


側近「どうします?このままだと、勇者に魔王様を倒したついでに食糧持ってかれますよ」

魔王「勇者を足止めして、耐久戦に持ち込むか……?」


側近「一応、姫の国なんですから……」


魔王「そうは言うがな……」


大魔王「や。何を悩んでるのかな?」


魔王「あ、諸悪の根源様」


大魔王「さらりと酷い事言ったね」

————————————


大魔王「なるほど、それで王国が食糧難に……」


魔王「御陰で罪悪感が半端やないんですよ」


大魔王「まぁ確かに奪って来たもんね……これはもう、強奪しか無いね」


魔王「ご、強奪?それって、また地獄絵図パターンじゃ」


大魔王「あぁ大丈夫大丈夫。悪勇者共の食糧だから」


魔王「悪勇者?」

エルフの里


悪勇者「ヒャッハー!食糧寄越しなー!」


悪魔法使い「さっさと出さないと消毒しちまうぞー!」


エルフA「こ、この悪魔共め!」


悪魔法使い「あぁ!?何だテメェは?消毒されてぇのか!?」


ボォウッ!


エルフA「ぎゃあああああ!!!!」メラメラ…


悪魔法使い「ボケが!雑魚がしゃしゃり出て来んじゃねぇよバーカ!」


悪武闘家「お前達が生きるも死ぬも、俺達の気分次第よー!」


「「「「ギャハハハハハハハハハハッッッ!!!!!」」」」

魔王「溢れ出る小物臭が半端じゃないんですけど……」


大魔王「アイツらの隠れ家に奪い取って来た食糧が沢山あるみたいだから、それを奪おう」


魔王「奪って来た物をまた奪うんですか?」


大魔王「細かい事は気にしない!」



悪勇者「よーしっ!引き上げるぞお前らー!」



大魔王「さ、後をつけよう」

悪勇者達の食料庫


魔王「うわ、こんなに沢山……」


大魔王「これはまた…、美味そうな……」ジュルリ…


魔王「大魔王様、ヨダレヨダレ」


大魔王「大魔王様はヨダレではありません。それじゃあ全部王国に転送するか」スッ


シュパッ!


魔王「凄い!一瞬で…!」


大魔王「それじゃあここどうする?」


魔王「火でも放ちますか」

明日


側近「王国の食糧難は何とか解決したみたいですよ」


魔王「ふぅ。何とかなったか」


側近「あ、それと。食糧が入ってる袋と同じ袋の中に使用済みコンドームが大量に入ってたみたいですよ」


魔王「うぇぇー!何で食糧庫に、そんなモン入れてたんだよアイツら!?」


側近「これが実物です」サッ


魔王「あるのかよ!」


側近「一応どういう物かを……」

側近「白濁液が入ったままのもありますし……あ」


側近「今日の朝ご飯これで……」


魔王「飲まないよ!?何、自分の上司にそんなモノ飲ませようとしてるの!?」


魔王「もう!捨ててよそれ!汚いな!」


側近「分かりましたよ」


魔王「お前は私を何だと思ってんだ!?」


側近「性欲処理?」


魔王「ズコー!」

魔王「さ、さっきのは普通に傷ついたぞ……」プルプル…


側近「ご、ごめんなさい」


魔王「まぁいいや。とりあえず姫をちゃっちゃと返して世界征服するつもりはありませーんって言うか」


側近「ですが勇者が……」


魔王「あ、そっか。それがあったか」


側近「どうしますか?」


魔王「話し合いで解決!」ピョン!


側近「聞く耳も持たないと思いますよ。勇者ですし」


魔王「力でねじ伏せる!」グッ!


側近「生き返って魔王様に復讐しに来ますよ」


魔王「返り討ち!」クワッ!


側近「それでも生き返ってリベンジしに来ますね


魔王「泣ける話し」グスッ


側近「聞く耳すら持たないです」


魔王「えー!?じゃあどうすればいいのさぁー!?」グテー

側近「勇者に冒険する理由を無くせばいいんですよ」


魔王「え?例えば?」


側近「魔王様が自殺するとか」クイッ


魔王「え」


側近「魔王様の首を国王に献上するか」ピッ


魔王「えぇ!?」


側近「我々が反抗して魔王様を殺すか」シュッ


魔王「うぇぇ!?」


側近「魔王城を爆破するか」ボーン


魔王「うぇいっ!?」


側近「ゴリラに犯されるかですね」パシッ


魔王「救いは無いんですか…!?」

魔王「どの道、酷い目に合うじゃん!」


側近「死なずに済むのは、魔王城を爆破するかゴリラに犯されるかですね」


魔王「何でゴリラに犯されなきゃならないのさ!?」


側近「魔王がゴリラに犯されてたら勇者も萎えて殺す気も失せるでしょう」


側近「別にゴリラじゃなくてもいいですよ、犬とか」


魔王「獣姦って事には変わりないだろ!嫌だよ!」


側近「じゃあ魔王城爆破しますか?」


魔王「う…そ、それも……」

魔王「せっかく建てた城を爆破するのも……」


側近「じゃあ犯されますか?」


魔王「それは絶対に嫌だ!」


側近「それじゃあ爆破しますか?」


魔王「それも嫌!」


魔王(クソッ、何でこんなに選択肢が少ないんだ!?)


魔王(爆破するか、犯されるかなんて……どっちがマシかと言ったら爆破だろ……)


魔王(い、いや……しかし、爆破すれば当分、外で寝る羽目になるだろう。雨とか降ったらアレだし)


魔王(まさに…究極の二択!)


犯されるor爆破する

ああ、明日(あした)じゃなくて明日(みょうにち)か

でもどっちにしても時制おかしいので明日じゃなくて翌日の方が良いのだけど

側近「まぁ国王に話に行くって手もありますけどね」


魔王「それ先に言えよ!もう少しで自分の城爆破するか獣達にケツ向ける所だったわ!」


側近「しかし国王も聞く耳持たないかも……」


魔王「コッチには人質が居る。嫌でも聞くさ」


魔王「そうと決まれば行くぞ!モタモタすんな!」

王国


魔王「オッス!国王!」シュンッ


国王「ま、魔王…!何の用じゃ…!」


魔王「まー待て、アンタの大切な人を返しに来たぜ」


姫「お父様!」


国王「おぉっ!?おー…えー…あー……誰だったかの……」


姫「!?」


魔王「え」


国王「牛乳配達の方かの?」


姫「お、お父様!私ですわ!思い出して下さいまし!」


国王「んん!?その声…どこかで聞いたのー…あー……」


魔王「………」


国王「……ハハッ、こら傑作やわ…へへ……」


国王「………忘れたわ」


魔王「よく国王やってられるな!?」

国王「あんたは誰じゃ?」


魔王「いや、魔王だから!自分で私を見て魔王って言ってたじゃん!」


国王「魔王!?こら大変じゃ!オーイ、ピザ屋さん来てるぞー」


魔王「誰がピザ屋だ!出来ればラーメン屋にしろ!」


姫「うぅ…やはりそうだったのですね……」グスッ


魔王「大丈夫だって。国王は、いきなり魔王が来たもんだからパニックになってるんだよ」

姫「そうではありませんわ。側近さんが、お父様は一種の痴呆症にかかってるとかおっしゃってたので……」


魔王「あの野郎。どうしてそんな大切な事を私に言わないんだ」


姫「今のお父様では話しすら、まともに出来ませんわ……」


魔王「じゃあ国王を使って勇者を止める事は不可能か……トホホ……」


国王「おぅい、バッタが飛んでるぞぉ」

魔王城


魔王「一応、姫は王国に戻して来た」


側近「ごめんなさい魔王様。魔王様にも伝えようという気分だったんですけど……」


魔王「もういい。過ぎた事だ」

魔王「これでまた究極の二択に戻った訳だが……」


側近「ですね」


魔王「仕方無い……魔王城を爆破——」


側近「あ、魔王城を壁で封鎖するとかいう手もありますけど」


魔王「それ!それがいい!」

数日後


魔王「やった!完成した!」


魔王「フッフッフ…いくら勇者と言えど500メートルの壁を越える事は出来無いだろう!」


側近「この壁、簡単には壊れない仕組みになってますね」


魔王「フフフッ建設会社『大トロ』なめんなよ。最新科学技術を扱う会社なんだからな」


側近「まぁ足止めぐらいにはなりますね」

翌日


側近「勇者達が壁を抜けて魔王城に侵入しました」


魔王「ええええええええええええええええええ!!!??!?!」


魔王「早くね!?早くない!?ここ来るの早くない!?」


側近「ごめんなさい。恐らく、私が魔王城から遠くの都までショートカットする為に作った地下通路が

バレたかも」


魔王「お前かーーー!!!!」


側近「地下通路ですから壁を普通に越えて魔王城に到着した模様です」


魔王「クソッ!金返せ!誰の金だと思ってんだ!」

側近「今現在、勇者達は魔王城の一階で戦闘中です」


魔王「下で戦ってくれてる間、私達は身を隠そう」


ウィーン…チーン!


魔王「え?何の音?」


勇者「何これ?」


女戦士「どうして魔王城にこんなハイテクな物が……あ」


魔王「Oh」

側近「以前…エレベーター付けろって魔王様が言ってたらしかったんで……」


魔王「付けろって言ったのはトイレの方だよ!何お前、一階から魔王の間に繋げてんの!?」


側近「す、すみません」


勇者「魔王!お前の陰謀はここで終わらせてやる!」ジャキッ


魔王「うるせー!好きでやってんじゃねーよバーカ!」

勇者「覚悟しろ!」ブンッ


魔王「うわ!」サッ


魔王「危ないだろ!」バシーンッ!


勇者「ブッ!」


勇者「このぉ!」ブンッ!


魔王「止めろ!」バシーンッ!


勇者「ぐっ…こ、このぉ!」


魔王「バカ!」バシーンッ!


勇者「えぐぅ…こ、このぉ…!」


魔王「死んだらどうすんの!?」バシーンッ!


勇者「ひぅっ!」


魔王「出て行け!」バシーンッ!


勇者「あぅっ!」


側近「何故ビンタ縛り!?」

側近「や、止めてやりましょうよ…可哀想ですよ……」


魔王「そうだな。何か両頬が腫れてるし」


側近「いや、アンタがやったんだろそれ!?」


勇者「うっぐ…こ、このぉ……」ググ…


魔王「あれ?泣いちゃってる?wwwwww勇者泣いちゃってる系ッスか?wwwww傑作ッスねwwwwww」


勇者「な、泣いてなんか無い…!」ポロポロ…


魔王「嘘つけー!wwwwwマジwwwwwお前wwwwwウケるwwwwww」


側近(この人、他人を逆上させるの得意だな……)


女戦士「弱い者イジメは止めなさい!」


賢者「大人気無いですよ!」


魔王「うるせー!喧嘩売ってきた方が悪いんですぅー!ハイ論破ぁー!」


勇者「うぅ……」ポロポロ…


女魔法使い「先生に言い付けるわよ!」


魔王「私何も悪く無いしー!」


側近「お前らもう止めてやれよ!」

魔王「フンッ。そもそも、お前ら如きが魔王に勝てる訳無いんだよバーカ身の程を知れ」


女戦士「何だとー!?このぉー!」


魔王「蛙アタァーック」ビュッ!


女戦士「ゲフッ!」ビターンッ


女戦士「ぎゃあああああ!?!??顔に蛙が、オェエエエエエッッッ!!!!」ゲロォォォ!


側近「うわ!ゲロ吐いて気絶した!凄く悲惨!」


賢者「このー!」


魔王「蹴りーッ!」ドゴォッ!


賢者「ゲフゥッ!」


商人「野郎!」


魔王「パーンチ!」ボゴォッ!


商人「エボォ!」


女魔法使い「喰らえ!」バッ!


魔王「魔法返し!」ブォッ!


女魔法使い「ぎゃああああああ老けるぅうううううう!!!!」シワシワ…


勇者「ッ!」ダッ!


魔王「……」パシーンッ!


勇者「がうっ!」ズサァッ!


側近「えー……」

魔王「分かったか。お前達の力では私の足元にすら及ばない!」


魔王「帰ってアヘ顔ダブルピースしてな!」シッシッ


勇者「ま、待て……」フラフラ…


勇者「ぜ、絶対に…お前だけはry」


魔王「……」パシーンッ!


勇者「あうっ!」バターンッ


側近「酷いですね。まだ喋ってる途中だったじゃないですか」


魔王「いや…だって…手が勝手に……」

魔王「分かったか。お前達の力では私には勝てない」


勇者「クッ…!」


魔王「だから諦めて帰れ。そもそも私は世界征服するつもりは———」


キィィーーーーン……


魔王「え?何この音」


女魔法使い「まずい!勇者!みんな!逃げるよ!」


シュンッ!


魔王「あれ?消えた、なんだろry」


ズガァアアアアアアアアアアアンンンンンンン!!!!!

ゴゴゴゴ………


『目標破壊確認。直ちに帰投する、オーバー』

『了解。アウト』


ゴォォォ……


側近「いてて……だ、大丈夫ですか?魔王様…」


魔王「あ、あの野郎…!戦闘機出して来やがった…!世界観守れよ…!」


側近「まったくですよ。魔王城が戦闘機で爆撃されるの初めて見ましたよ」


側近「まぁ携帯電話持ってて言うのもなんですけど」

魔王「あーもー!結局、魔王城全壊しちゃったよ!」


側近「見事に瓦礫の山になりましたね」


魔王「最新の戦闘機で爆撃しやがって……」


魔王「コッチもミサイルでも作るか?」


側近「お金無いですよ。軍資金ぜーんぶ瓦礫の下です」


魔王「うぎゃー……」ヘナヘナ…

大魔王の城


大魔王「へー、そんな事が」ムシャムシャ


魔王「もう困りましたよ、アイツらまさか兵器を持ってるとは知らなくて」


大魔王「コッチも核兵器あるけど?」ムシャムシャ


魔王「マジですか!?よーしっ!ブッ放ちましょう!それで!」


大魔王「嫌だよ。株が大暴落するから、そんな事より、キミは世界征服するつもりは無いんじゃなかったっけ?」ムシャムシャ


魔王「でもやられたままで終わるのもなんですし……」


大魔王「ここは我慢が一番だよ」ムシャムシャ


魔王「………」

魔王城跡


魔王「結局、金も食糧も渡してくれなかった」


側近「使えないですね」


魔王「んだと!?」


側近「とにかく、今日の晩飯どうするんですか?」


魔王「ど、どうしよっか……」


側近「あ、じゃあ魔王様の魔法を使って、城を直したり食べ物を出したり出来ませんか?」


魔王「う〜ん…昔はそんな事は造作も無かったんだが、今は……食べ物出ろ!」ビビッ!


「キシャァアアアアアアッッッ!!!!」


側近「何これ!?蟹の化け物!?」


魔王「魔王城治れ!」ズビッ!


ポツーン


側近「犬小屋になりましたね……」


魔王「こう言う系の魔法を今まで使って無かったからな……召喚獣のステッキみたいなアイテムがあればいいんだけど……」

魔王「仕方がない、暫し私は修行の旅に出て、一から魔法を鍛え直す」


側近「え?ですが、我々はどうすれば……」


魔王「大丈夫、代理は決めてある」シュッ


「わっ!?」ポンッ!


「え、な、何…?ここどこぉ…?」


側近「女の子?誰ですか?」


魔王「私の妹」


魔王妹「あ、お姉ちゃん」


魔王「妹よ、これからあなたは魔王代理として魔王軍を纏めるのです」


魔王妹「えぇ…!?む、無理だよぉ…そんないきなり……」フルフル…


魔王「大丈夫、怖くないから、あなたに何かあったら直ぐにお姉ちゃんが助けに来るから」


魔王妹「ほんとぉ?約束だよぉ?」


魔王「約束だよ約束。ゆーびきりげんまん嘘ついたら液体窒素飲ーます、指切った!」


魔王「はい、それじゃあ」


側近「え」

側近「……行ってしまった」


魔王妹「あ、あの……私どうすれば……」オロオロ


側近「え、まぁ魔王らしい事すれば…いいかな、と」


魔王妹「魔王らしい事ぉ…?分かりましたぁ…」


魔王妹「それじゃあまず、城が無くてはどうする事も出来ません、瓦礫を使って魔王城を立て直し

ましょう。使えなくなったレンガは無理して使わずに取りに行きましょう」

数日後


側近「おぉ、結構早く完成しましたね」


魔王妹「そうですねぇ…でも、少し縮みましたけどね」


側近「はー、これでゆっくり出来ますねー」


魔王妹「? 何を言ってるんですかぁ?これからですよぉ?」


側近「へ?」


魔王妹「世界征服、するんでしょ?」


側近「え……い、いや…ですけど……」


魔王妹「さぁ、早く行きましょう」


側近「え、ど、どこへ…?」


都の外


側近「どうする気ですか?」


魔王妹「今から一斉にこの火炎瓶を都に投げて、人間さん達が出てきた所を仕留める作戦で行きますよぉ…」


「「「イェッサー!」」」


側近「あの、妹殿。この都攻めると王国と戦争確ると思うんですけど」


魔王妹「それが狙いだよぉ?さぁ、やっちゃって下さーい」フリフリ

「投げ入れろ!」


パリーンッ!

ゴォッッッ!!!!

「うわぁ!火事だぁ!」


「逃げろ!」


「ひぇーっ!」


魔王妹「あ、いっぱい出て来たー。アリさんみたーい」


魔王妹「それじゃあ伏兵部隊、捕まえちゃって!」


魔物A「待ちやがれ!」


魔物B「よーしっ!捕まえた!」


魔王妹「全員捕まえた?それじゃあ魔王城に戻ろう」


側近「こんなに大人数の捕虜どうする気ですか?」


魔王妹「実験だよぉ」


側近「実験?」


民「止めてくれぇ!殺さないでくれぇ!}


魔王妹「今この人みたいに命乞いしてる人が居るでしょ?」


魔王妹「どれだけ痛めつけたら『殺さないで』から『殺してくれ』って言うのか実験したくて」ニコッ


側近「」ゾクッ


魔王妹「指をね?あ、指と言っても先端部分をね?左手の方から一本、一本ずつナイフで切り落として

両足の爪の間に縫い針を一本ずつ刺して、あ、片方の足は全部爪を剥がしてそこから針を刺そうかな」


魔王妹「これをやられてる時の人間の苦痛の声と表情がとても可愛いんだよ!?」


側近「アハハーソウナンデスカー」

大魔王は魔王の親?

>>79

どちらかというと、上司と部下の関係。

魔王妹「さ、お姉ちゃんが帰ってくる前に私達で世界征服しちゃおうね」


側近「え、えっとー…その……」


魔王妹「大丈夫だよぉ。私が居れば人間共は皆、私達、魔族に平伏す様になるからぁ」


側近「い、いや、その……」


魔王妹「いっぱい、いっぱーい殺そうね?」


側近(誰か助けて!この子怖い!)

一方その頃……


魔王「ゼェ…ゼェ…ようやく川についた……」


魔王「水を飲も……って」


魔王「え?何、何この川の色、妙に黒い」


魔王「汚れてる!?」


魔王「クッ…だが、この川を綺麗にするのも修行の一つと考えれば…!」


魔王「川!綺麗になれ!」ズバァッ!


魔人「我は魔人…。主が我を呼んだのか?」ボンッ


魔王「あ、間違えた」


魔王「消えろ」ヒュッ


ポンッ


魔王「川よ綺麗になられよぉ〜〜〜い」ヒュッ


ジュボォォンンンッッッ!!!!


魔王「川が……消えた……」

魔王城


魔王妹「楽しかったねぇ」


側近「趣味悪いですね。人間達を麻酔無しの解剖するなんて、みんな吐いてましたよ」


魔王妹「側近さんは吐かないのぉ?」


側近「………」


側近「……サイコパスだからかもしれませんね」


魔王妹「さいこぱすぅ?」


側近「頭がイっちゃってる人の事ですよ」

側近「そんな事はともかく、妹殿。国王がおっぺけペーになってくれてる御陰で戦争にならなかったですよ」


魔王妹「そんなぁ」


側近「妹殿。世界征服ってのは結構面倒ですよ?」


魔王妹「そうかな?」


側近「そうですよ」

見てるよ

魔王妹「私はそうは思わないなぁ」


側近「え?」


魔王妹「だって人間達が苦しむ姿が見れるんだよぉ?」


魔王妹「とっても楽しそうだよぉ?」


側近「何言ってんだコイツ。脳はスパゲティで出来てんのか」ボソッ


魔王妹「え?何か言った?」


側近「いえ」

この妹にその手の事言って大丈夫か?

魔王が階段転げ落ちてモロッコオオォォとかいってたときが懐かしいww

魔王城の会議室


側近「あの妹殿の暴走……どうする?」


兵士長「いや、どうするって……」


祈祷師「止めておいた方が良いですよ?魔王様、世界征服するつもり無いみたいだし」


元帥「いいや。ここは敢えて妹殿に任せた方がいいと思う、彼女には世界征服出来る実力がある」


マッサージ師「しかし、世界征服した後どうする気?」


ポテチ好き「妹殿って魔王様の代理ですし、魔王様が帰ってきたら世界は魔王様の物になりますよ?」


野良犬「ワンワン!」


側近「でもなぁ…魔王様メンドクサがってたしなぁ……」

兵士長「やっぱり…静かにしてもらおうか……」


ガラッ


魔王妹「何の話ししてるのぉ?」


側近「あのクソアマの暴走を止めるか放っておくかの会議ですよ」


魔王妹「あのクソアマってぇ?」


側近「お前の事だよ、お前」


魔王妹「………」


側近「……ってコイツが」


ポテト好き「ちょ」

兵士長「……連れて行かれましたね」


ポテチ好き「兄貴……」


側近「………」


マッサージ師「………」


野良犬「………」ヘッヘッ


ポテチ好き「………」


側近「部外者はお帰り下さい」

一方その頃


魔王「がおー!魔王だぞー!捕まえてホルマリン漬けにしちゃうぞー!」


「わー!逃げろ逃げろー!」

「きゃー!」


魔王「待て待てー!あははー!」

30分後


魔王「ぜぇ…!ぜぇ…!」


魔王「ゲホッ!ゴホッ!オエェ……」


魔王「あの子達…早過ぎるだろ…!ちょっと手間取ったじゃないか…」


老婆「お疲れ様。お茶じゃよ」


魔王「!」


魔王「有難う、お婆さん!」




「ぎゃあああああ!!!!助けてぇええええ!!!!」


魔王妹「村が燃えて行く……綺麗だなぁ」


側近「そうですね」


兵士長「………」


魔王妹「次々と死んでいく人間も、芸術的だったなぁ」


側近「そうですね」


魔王妹「側近さんはどんな殺し方が好き?」


側近「相手を絶望させてから殺します」


魔王妹「うわぁ、素敵だねぇ」


兵士長「………」

魔王妹「側近さんは嫌いな人とか居ます?」


側近「居ますよ」


魔王妹「どんな人が嫌い?」


側近「自分よりランクが下の分際で口答えするヤツです」


側近「大抵のヤツはランク下です」


魔王妹「私も?」


側近「どうでしょうね?」


魔王妹「えー、教えてよー」


兵士長(何この会話)

側近「さ、村の人間は全滅しましたよ。これで満足ですか?」


魔王妹「うん。満足だよぉ」


側近「さ、次行きましょう」


魔王妹「……兵士長さん」


兵士長「はいぃっ!?なんでしょうかっ!?靴舐めますか!?」ビグッ!


魔王妹「側近さんって、いつもあんな感じなのぉ?」


兵士長「さ、さ、さぁ?ど、どうでしょうね?側近さ、さんとあ、あまりは、話した事無いのでで!」ガクブルガクブル


魔王妹「……ふぅん」

地下室


兵士長「もう我慢出来ません」


側近「ごめんなさい。タイプじゃないんだ」


兵士長「何を勘違いしてるんですか!?違いますよ!妹殿の事ですよ!」


兵士長「魔王様は魔族達を纏め上げる為に先代の魔王を倒し、自分が魔王になったんですよ!?」


兵士長「先代の魔王のやり方は外道極まりなかった。命をとても軽く見ていた!」


兵士長「それに怒りした魔王様は先代の魔王を打ち倒したのです!」


兵士長「それを妹殿が先代の魔王の様な真似をして………」


側近「はぁ…」


兵士長「な、何ですか」


側近「お前、まだその作り話しを信じてたのか、あのなぁ、魔王様が先代の魔王を殺した理由はな———」


大魔王「どっかした?」


兵士長「どわぁ!?大魔王様!?」

大魔王「—————へー、妹ちゃんが」ムシャムシャ


大魔王「それは酷いね。お姉ちゃんと逆の事しちゃってるじゃん」ゲラゲラ


兵士長「笑い事じゃないですよ!」


大魔王「うーん…じゃあさ、妹ちゃんに会ってそこまでにしとけって言いに行くよ」ムシャムシャ


兵士長「えー!?マジっすかー!?」


大魔王「まぁあまり期待しないでね」ムシャムシャ

魔王妹「あ、大王魔様!」


大魔王「久し振り、あのさぁ———」





側近「大丈夫かな?」


兵士長「大丈夫ですよ、きっと平和的解決してくれますって」


側近「あのね、魔王になってるヤツらの頭って大抵おかしいヤツばっかりなんだよ」


側近「魔王様もそうでしょ?」


兵士長「ま、まぁ…否定は出来ませんが……」


側近「でも、大魔王様程になるとイカレ具合が凄いよ」


兵士長「そうには見えないですけどね?ただの食欲旺盛な人にしか見えませんけど」


側近「………失礼だろそれは」

大魔王「って事だからさ、世界征服中止にしてくれない?」


魔王妹「うーん…どうしようかなぁ…」


魔王妹「ヤダ!」


大魔王「あ、そう?やっぱり?」


兵士長(なんじゃそりゃっ!)

兵士長「使えない!使えなさすぎますよ大魔王様!」ヒソヒソッ!


側近「完全に舐められてるね」ヒソヒソ…


兵士長「やはり魔王様じゃないと妹殿は説得出来ないんじゃ」ヒソヒソ


ゴギッッッ!


側近「じゃあ今直ぐに呼び戻す?」ヒソヒソ


兵士長「い、いや…それは迷惑になるかと…あれ?さっきの音何?」


側近「え?」

魔王妹「うわぁぁ…!ああぁぁあ……!」


大魔王「………」


兵士長「だ、大魔王様…?何をしてるんですか…?」


大魔王「あ、見てたの?」


兵士長「ま、まぁ」


大魔王「いや、私の手が勝手に妹ちゃんの腕を折っちゃったんだよね」


兵士長「は?」


魔王妹「痛いよぉ…痛いよぉ…」


大魔王「大丈夫!?痛いの!?どこが痛い!?」ゴッ!


魔王妹「ぐわぁ…!」


大魔王「ねぇ!?教えてよ!泣いてばっかじゃ分からないよ!?」ドゴッ!ガッ!ゴッ!


大魔王「ねぇ?ねぇ?ねぇねぇねぇねぇねぇ!?」ガッ!ドゴッ!ボゴッ!


魔王妹「……」ピクピク…


側近「………」


兵士長「」


大魔王「……交渉成功したよ!これで世界征服されずに済む!」


兵士長「強引ッスね!?」ガーンッ

大魔王「それじゃあ、妹ちゃんが何故か怪我したから医療室に連れてってあげて」ゴリッ!


魔王妹「」ビグンッ


兵士長「い、いや、大魔王様がボコボコにしたんじゃ……」


大魔王「え?私?私は何もしてないよ?」キョトン


大魔王「これは私の意志でやったんじゃない、私の体が自然に動いたんだ、私は妹ちゃんを助けようと

したけど体だけが動いたんだ私は悪くない、私の意志じゃないもん」


大魔王「それじゃあ」シュンッ!


兵士長「………」


側近「悪のトップだよ、あれが」


兵士長「……肝に免じます」

一方その頃


兵士A「コラァ!こんな時間に何をやっとるかぁ!」


海賊A「ヤベェ!先生だ!」


海賊B「こうなったら……やっちまえ!」


ワー!ワー!


魔王「ゼェ…!ゼェ…!……だ…!」キィンッ!


兵士B「ぎゃあっ!」


魔王「ゼェ…!ゼェ…!……こだ…!」カキンッ!


海賊C「ドヒャア!」ズザァッ!


魔王「ここどこだぁああああああああああああああああ!!!??!?!?!」


ヒント:カリブ





数日後


魔王「ただいマンボー!帰ったよー!」タッタッタ…


側近「うわっ帰って来た」


魔王「いや、うわってアンタ……」


兵士長「魔王様ぁああああ!!!!」ダキィ!


魔王「うわっ!?何だよ気持ち悪いなもう!」


兵士長「会いたかったですよぉおお!!!」

魔王「離れろ!実に不愉快だから!」


側近「魔王様」


魔王「え?何?あ、側近にお土産買って来たよ。はい、水銀」


側近「我が軍が村とか都とかを破壊したせいで、明日、王国の軍が攻めて来ます」


魔王「え?」


側近「いわば全面戦争です」


魔王「え?」


魔王「え?」


魔王「え?」

側近「先日、王国から宣戦布告されました」


魔王「は?意味分かんないんだけど?何で?」


側近「妹殿が大暴れしたせいです」


魔王「え?」


側近「とりあえず魔王様、戦争のご準備を」

明日。


チュンチュン……


魔王「清々しい朝だ……」


魔王「さて…」ガチャッ


側近「魔王様」


魔王「」ギクッ


側近「どこに行かれるのですか?」


魔王「ちょっ、ちょっと、家出的な……」ダラダラ…


側近「逃がしませんよ」


魔王「ぬぐっ」

魔王「だって戦いたく無いもん」


魔王「戦ってもデメリットしか無いじゃん」


側近「ですが、もう引き返せません」


魔王「大丈夫。引き返せる」


側近「どうやって?」


魔王「国王と話しする」

王国


魔王「国王!この度は妹が迷惑かけて申し訳ありませんでしたー!」ドゲザーッ!


魔王「あのうっ!これ、お詫びの印に!鳩サブレです!」


国王「いや、私は近藤真彦ではありません」


魔王「もう、本っっっ当に申し訳ありませんでしたっっ!!!」


国王「ワシの朝飯まだかの?」


姫「さっき食べたじゃありませんの」


魔王「すんませんっ!だから!戦争だけは…!戦争だけはぁあああ!!!」


国王「ピザはあまり好きではありませんが、ラーメンは好きですが?」



側近(会話が…会話が成立していねぇ…!)

魔王「お願いします!戦争だけは!」


大臣「ええい!醜いぞ貴様!都や村を潰しておきながら!」


魔王「いや、だからそれは妹が…!」


大臣「連帯責任じゃ!」


魔王「うそーん!」


王女「厄災だと思って諦めな」


魔王「嫌だ!私戦争したくない!メンドクサイよ!」


大臣「明日、絶対に軍を送る!正義の鉄鎚を下してやる!」


大臣「首を洗って待ってろ!」


大臣「バーカ!」ベー


大臣「オイ!つまみ出せ!」


兵士A・B「「はっ!」」ガシッ


魔王「う、うわっ!な、何だお前ら!?やめろ!うわっ!コイツ胸触った!」


兵士A「触ってねぇよ!言い掛かりつけんな!」




魔王「アッチがやって来るなら、コッチは戦力を上げてやる」


側近「やっと戦う気になってくれましたか」


魔王「まぁ防衛だけだけどね」


側近「しかし、またあの戦闘機飛んで来るんじゃないんですか?」


魔王「だからそれを封じる仲間が必要なんだ」


側近「その仲間ってのがこの森に居るんですか?」


魔王「この辺りでウロウロしてるハズ何だけどなぁ…あ、居た居た」

魔王「オーッス」


女僧侶「あ、貴方は……」


側近「知り合いですか?」


魔王「あぁ、私が修行してる時に行き倒れになってた所を助けたんだ」


女僧侶「あの時はありがとうございます、あのお肉を食べさせてくれてありがとうございます」


側近「肉?」


魔王「あぁ、ドラゴンの睾丸?あぁいいっていいって」


女僧侶「こ、睾丸!?なんて物を食わしてくれたんですか!?」


魔王「言ってたら食ってた?」


女僧侶「そ、それは……」

魔王「そうそう、話があるんだけどさ。王国に行ってこれを誰かに渡してくれない?」ガサッ


女僧侶「え?何ですか?この紙袋?中に何が入ってるんですか?」


魔王「中は開けないで」


女僧侶「あぁ、ごめんなさい。それで?誰に渡せばいいんですか?」


魔王「王国の兵士が望ましいね、受け取って貰え無かったら回りの人でもいいし、最悪

子供でもいいよ」


女僧侶「うーん…分かりました、それでは」


魔王「頼んだよー」


おつ

魔王城


魔女「魔王様ー、大魔王様から届け物ですよー」


魔王「何だこれ?」


側近「絵ですね」


魔王「半分天使で半分悪魔の絵と、骸骨が町中を散歩してる絵か……」


側近「不気味な絵ですね、これ大魔王様が描いたんですかね?」


魔王「まさか。食事する事にしか興味が無いあの人が絵なんて描く訳無いじゃない」


側近「失礼ですよ……」

魔王「どうせアレだよ、『ウチには凄い画家が居るんだぞ!凄いんだぞ!』って言いたいんだろうね」


側近「自慢ですか……」


魔王「まったく…こんな時にウザイ真似事を……」


側近「それで?どうするんですか?この絵?」


魔王「二階の廊下にでも飾ってたら?殺風景だったし、あそこ。キミみたいだったから」


側近「誰が殺風景だ!」

乙です! 魔王様ガンバレ〜! 紙袋の中身が気になるぅ〜!

ちょいちょいギャグマンガ日和を思い出すな

王国


兵士A「ふぁ〜あ、明日から魔王討伐に行くのか……」


兵士B「面倒だなぁ…あそこ何かデッカイ壁が出来たみたいだし、破壊するのに手間取るかもな」


兵士A「えー、マジかよ。誰だよそんなの作ったアホは」


女僧侶「あのー…」


兵士A「ん?何だ?」


女僧侶「これ、私の知り合いが王国の兵士に渡せって……それじゃあ」


兵士B「何だそれ?何か動いてるけど……」


兵士A「何だろう……」ガサッ


兵士A「ムグッ!?」ビタッ!


兵士B「うわっ!?」


兵士A「むぐぐぐ〜〜〜!!!!」


兵士B「フ…フェイスハガー!?」

魔王城


側近「なんて物を渡してるんですか」


魔王「大丈夫、大丈夫。産み付けられるのはエイリアンじゃなくてC級のモンスターだから」


魔王「それにモンスターが出てくるのは胸からじゃなくて、口から卵が出るから」


魔王「ピッコロ大魔王体験が出来るって事」


魔王「全然、害とか無いから」


側近「いや、害とかそんな問題じゃ……」

魔王「まぁ、普通の人間が苦戦するのはC級レベルだから。明日までそのモンスターに手間取るだろうね」


魔王「時間稼ぎにはなるだろうね」


側近「その間どうするんですか?」


魔王「フフ……」

アァアアアアアアアアアアアアア!!!!


兵士B「ぎゃあ!コイツ強いぞ!」


兵士C「怯むな!やれっ!」




勇者「クッ…!クソッ!魔王め…卑怯な真似を……!」ズズ…


大臣「待て、勇者よ」


勇者「大臣……」


大臣「その体で、あのモンスターと戦う気か?」


勇者「あれはC級モンスター!私の力があれば……うぐっ!」


勇者「こ、こんな傷ぐらい……!」


大臣「勇者、あなたは昨日イスズのトラックに撥ねられたばかりだろう」


勇者「ですが……!」


大臣「いいか勇者。あなたは再び魔王退治に向かう為にも、安静にしてもらわないと困るのだ」


大臣「ここは、兵士達に任せておけ」


勇者「クッ……!」

勇者(確かにイスズのトラックからもらったダメージは大きい……)


勇者(気付いた時には撥ねられていた…もしハイブリット車だったら気付かない内に撥ねられてただろ…)


勇者(生命保険に入ってれば……!)

明日


魔王「フー……」


側近「………」


魔王「いやー引越し作戦は大成功だなー」


側近「魔王様……」


魔王「ん?」


側近「確かに第二の城を作って、そこに逃げたのはいいですけど……」


側近「ここ、海のド真ん中ですよね……」


魔王「正確に言うと人工島の上だな」

海賊A「ヒャッハー!なんか城出来てるぜー!」


海賊B「ヒャッハー!襲えー!」


海賊C「ヒャッハー!何か居るぜぇー!?」


ドラゴン「グルル……」


海賊A「ヒャッハー!ドラゴンだー!」


海賊B「ヒャッハー!逃げろー!」


改造人間「ヒャッハー!」


ドラゴン「グワァ!」バサァッ!

トラックにはねられる勇者wwww

>>生命保険に…
死ぬ前提なのかww

王国


兵士B「う…ぐ……」バタッ


モンスター「コロロロ……」


大臣「ぜ、全滅……!」


モンスター「グワァッ!」


勇者「大臣!危ない!」バッ!


大臣「ゆ、勇者!?だ、駄目だ…!行ってはならぬ!」


勇者「駄目かもしれないが…!王国を守る為だ!」


勇者「命を賭けて守ってやる!」


勇者「来い!私が相手だ!」ジャキッ


モンスター「ゴォオオオオ!!!」


国王「……」ザッ


勇者「は!?国王!?」


勇者「国王!下がって!危険です!」


モンスター「アアア!」


国王「………」スッ…

国王は掌をモンスターに前に出した。
とてつもない轟音と共に、紅蓮の光が辺りを包んだ。


勇者「な…何だ…!?」


光が消え、煙が晴れると、モンスターの体の半分が無くなっていた。


モンスター「ギ…ア…アア……」


巨大なモンスターは大木の様に仰向けになって倒れた。
国王の方を見ると、国王の前は大きく地が避けていた。


何が起きたか分からない。

国王はモンスターが倒れたのを確認すると、城の方へ戻って行った。


大臣「あ…あぁ…?」

第二魔王城


魔王「ふぁ〜あ、で?あのモンスター倒したんだって?さすが王国の兵士」


側近「いえ、兵士ではありません」


魔王「え?」


側近「情報によると国王です」


魔王「あ?国王?」


魔王「オイオイ、何かの冗談じゃないのか?」


魔王「だって。あの国王だぜ?」


側近「ですが……事実ですし…」


魔王「あのな、国王はただの人間だぞ?自分の姫を拐われたら他の人間にやらせる、自分の足では

動かなく自分の手を汚さないヤツだぞ?」


魔王「それにアルツハイマーだぞ?」


側近「……映像があります、それで確認しますか?」


魔王「え……マジなの…?」

みてるよー

ゴォォッ!


魔王「………」ボーゼン


側近「この力、人間の物ではありません」


魔王「見たら分かるよそんなの!」


魔王「んだよ!?これ!?何!?」


側近「この力……もしや……」


魔王「分かってるよ、魔神の力だろ?」


側近「ご存知だったのですか?意外ですね」


魔王「お、お前…一応魔王だぞ私……」


側近「そう、あの力は私と同じ魔神の物ですね……」

魔王「国王って魔神だったの?」


側近「いえ……そんな気配は無かったですし…」


魔王「それにしても何だこれ?モンスターの上半身の半分が消し飛んでしまってるじゃねぇか」


側近「ほんと、どうして勇者に魔王様を倒しに行かせるのですかね?自分で行けばいいのに」


魔王「来て欲しく無いな……」

天界


天使A「ガッハッ……!」


天使B「うぐぐ……」


女神「こ、これは…何の真似ですか!?」


???「すまないね、キミ達の監視がボクの障害になってたんだ」


???「それと、ボクの事を探ろうとしたのは少し調子に乗りすぎたね」


女神「クッ…!」


天使C「お、おのれぇ!」ダッ!


???「フッ……」スッ


ズバァッ!


女神「な、なんと酷い……!」


???「キミ達はそこで指をくわえて見てるといいさ」ザッ


女神「ま、待ちなさい……!あぐっ…!」ドサッ!


女神「い、行かせては……ならない…!あやつを…止めないと……!世界は……!」

第二魔王城


側近「魔王様!」


魔王「え?何?」


側近「王国が休戦を求めて来ましたよ!」


魔王「やった!すぐに了解しろ!}


側近「はい!」

魔王「いや〜よかったよかったー」


側近「これで世界征服は中止になれましたね」


???「それじゃつまらないよ」


魔王「何者だ!」


悪魔「ボクは悪魔。キミが世界征服を止めるなんてトンデモない」


悪魔「この世に混乱を生み出さないと」


魔王「な、何だとー!?」


悪魔「つまらない…この世界はつまらな過ぎる」


悪魔「と、言うわけで。キミは王国と戦ってもらう」


魔王「い、嫌だ!面倒だ!」


悪魔「嫌でも……やらざるを得なくさせてあげるよ」


魔王「?」

兵士長「ま、魔王様……先程、王国から使いの者が来まして……」


兵士長「休戦を取り止めにしたいと……」


兵士長「そして勇者がこっちに向かってるっていうか……今、下に居るっていうか……」


魔王「」

勇者「魔王!」バァンッ!


兵士長「あ、来た」


勇者「魔王……!貴様っ…!貴様っ…!許さんぞっ!」ダッ!


魔王「だぁあ!?止めろ!」パシィンッ!


勇者「ヘブッ!」


魔王「んだよ!?そんな目に血を走らせて!」


勇者「惚けるな!王国を…!王国を…!私の家族諸共消し去りおって……!」


魔王「は……はい?」


悪魔「フフ……」

悪魔「正確に言うと、王国が火の海になった……という事だね」


魔王「な、何をした!?デビルマジックか!?」


悪魔「デ…デビ…ち、違う…そんなんじゃない」


悪魔「この一連は…キミがやったという事にしたのさ」


魔王「な、何だってぇー!?」


勇者「何をゴチャゴチャ話してる!」


魔王「タンマ!勇者!それ私じゃないから!アイツ!アイツ!」


悪魔「勇者にボクの姿は見えてないよ」


魔王「ち、ちくしょおー!」

勇者「このぉ!」


魔王「止めろ!」パシィーン!


勇者「グヘッ!」


勇者「おのれぇ!」


魔王「落ち着け!」パシィーン!


勇者「ぐはぁ!」


側近(また遊ばれてる……)


悪魔「そんなんじゃ温いよ魔王、これぐらいしないと」ヒュッ!


ブヂィッッッ!!!


勇者「ご…っ!?お"あ"ぁ"あ"あ"あああああああああ!!!!???」


勇者「腕がぁあああああ!!!!右腕がぁあああああ!!!!」ブシャアアア!


側近「なっ!?いつの間に!?」


勇者「い、痛い…!痛いぃぃ!!!」


魔王「な、何て事をするんだ!」ガッ!


勇者「うぎゃあああああぁああああ!!!!!!!!」


側近「踏んでる!踏んでますよ魔王様!?」

魔王「い、いや…止血しようと……」


側近「余計に血が出ますから!アホかお前!」


魔王「ア、アホって……」ガーン…


悪魔「勇者は殺してもらわないと困るよ」


魔王「勇者を殺したところで……!勇者は再び教会で生き返るぞ!?」


側近「そりゃそうですけど……」


悪魔「教会で生き返らさせるのは命だけだ、体の部位は専門外さ」


悪魔「だからこの場で四肢切断すればいい」


魔王「あ、悪魔め……!」


悪魔「いや、悪魔だから」

魔王「い、いや…止血しようと……」


側近「余計に血が出ますから!アホかお前!」


魔王「ア、アホって……」ガーン…


悪魔「勇者は殺してもらわないと困るよ」


魔王「勇者を殺したところで……!勇者は再び教会で生き返るぞ!?」


側近「そりゃそうですけど……」


悪魔「教会で生き返らさせるのは命だけだ、体の部位は専門外さ」


悪魔「だからこの場で四肢切断すればいい」


魔王「あ、悪魔め……!」


悪魔「悪魔だもん」

勇者「ハァ…!ハァ…!」ガクガク…


悪魔「ほう、まだ立てたのかい」


勇者「ま、魔王……!」


魔王「えぇ!?未だに私を敵と認知してるの!?」


勇者「お、お前……だ、け…は……」


バタッ


魔王「し、死んだ……!?」


側近「いえ、気絶しただけです」


悪魔「さ、早くトドメを刺しなよ」


魔王「うるせぇ!黙れ!帰れハゲ!お前なんか怖くないもーん!」


魔王「悪魔(笑)何かに怖気付くとでも!?」


悪魔「………」


悪魔「……ま、いいさ」

悪魔「どちらにせよ、王国と戦うのは免れないからね……」スッ


魔王「………」


側近「魔王様……」


側近「足が……笑ってますよ…」


魔王「や、やかましい……」

王国


国王「…………」


悪魔「フフ、これで王国と魔王軍の戦いは避けられないね」


悪魔「これで再び、世は混沌に飲み込まれる」


国王「………」


悪魔「……いつまで人間のフリをしてるつもりだ?大魔王」

————————————


国王「…………」ムシャムシャガツガツ


姫「あ、あの…お父様……お下品ですわよ」


ザワザワ……


国王「………」ムシャムシャガツガツ


国王「げぷ」カランッ


国王「おかわり」


料理長「え」


姫「」

————————————

国王「………」ムシャムシャ


メイドA「あれから何時間も食事してるそうよ」


メイドB「城の中の半分ぐらい食糧が無くなったらしいよ」


メイドC「ブラックホールね……」


国王「げぷ」カランッ


国王「おかわり」


料理長「」ゲッソリ

大臣「……国王様、そろそろ就寝のお時間ですが……」


国王「もう少し食べてる」ムシャムシャガツガツ


大臣「なりません」


国王「アッチ行ってて」パチンッ


大臣「!」


大臣「それでは、国王様。ごゆっくり」スッ


国王「うむ」ガツガツムシャムシャ


料理長「あ、あの……厨房の者共が疲労困憊で……」


料理人達「」ゲソー…


国王「死ぬ気で働け」パチンッ


「「「「承知しましたッッッ!!!!!」」」」ザザッ!

メイドA「ほら、ああやって何か魔法を使って人を操ってるのよ」


メイドB「うう…私も操られそう……」


メイドC「は、早くここから立ち去った方が———」


国王「今の事は全て忘れろ」パチンッ


バタバタッ!


国王「……」グッ


バサァッ!


大魔王「………悪魔め」ガブッ

魔王城前


ゴオォォォォ……


魔王「あーーーーーーーーーーー」


側近「あーーーーー……」


魔王「既に第一魔王城は王国軍にやられてたか……」


側近「そーですねー……」


魔王「ん?この絵……」


側近「天使と悪魔の絵と骸骨達の散歩の絵……」


魔王「……売るかコレ」


側近「え」

第二魔王城


魔王「いやー、売れた売れた」


側近「良かったんですか?」


魔王「何が?」


側近「いや、あれは大魔王様が……」


魔王「いいんだってどうせ……あ?」


側近「こ、この絵は……」


魔王「な!何で……戻ってるんだ…!?」

側近「あ、あぁ…!」


魔王「どうした?」


側近「天使と悪魔の絵がセピア調に……!」


魔王「えぇっ!?」


側近「ど、どうします!?」


魔王「燃えろ!」ボォッ!


メラメラ……シュゥゥ〜〜……


魔王「火が消えた……」

兵士長「魔王様……大魔王様から絵が届いてますよ」ドンッ


魔王「え」


側近「いっぱいありますね……」


側近「え〜と…『双子の子供』の絵『腕が無くなった勇者』の絵『脱走する囚人』の絵『国王暗殺』の絵

『大魔王の最期』の絵………」


魔王「うぇぇ〜…どれも気味悪い絵だなぁ……せめてコアラの絵とかにしろよ」


側近「何で魔王城にコアラの絵を飾るんですか、おかしいでしょ」


魔王「で?どうすんの?それ?」


側近「……一応、飾っておきましょう」

魔王城3階廊下


側近「飾り終わりましたよ」


魔王「ご苦労さん、青汁出来たよ」


側近「……あ、ありがとうございます」


側近「それよりも……何でしょうね、この絵」


魔王「知らん」


側近「……何かこれからの出来事を描いてる様な」


魔王「まさか」

側近「でも分かりませんよ?」


魔王「もしそうだとしたら、私が将来結婚してるか未婚してるかの絵を……」


側近「そんな絵もらってどうするんですか!?」


魔王「だ、だって気になるもん……」

天界


天使長「………!」


悪魔「おや、キミは……」


天使長「き、貴様ぁ……!よくも天界を滅茶苦茶にしてくれたな!?」


悪魔「しぶといね、まだ生きていたのかい」


天使長「貴様だけは許さんぞぉ!!!」バッ!

————————————


悪魔「フン」


天使長「ぐっ…!」


悪魔「ボクに勝てると思ってたのかい?」


悪魔「キミ達、天使達の出番は無いよ。世界が闇に飲み込まれるのを眺めてるといいよ」スッ…


天使長「ま、待て……!」

天使C「待てぇええええええ!!!!!」


天使D「ェエエエエエイイイイイイィイィィッッッ!!!!」


悪魔「雑魚が……ボクの邪魔をする気かい?」


天使E「悪魔の思い通りにさせるな!」


天使F「ここで打ち倒してくれるわぁあああああ!!!!!」



ゴォッッ!!!!

悪魔「ふぅ……」


悪魔「余計な力を使ってしまった……」


悪魔「さて、下界の様子でも見てみるか」スッ


天使長「クッ…クソッ……!」プルプル…


天使長「わ、我ら天界の使徒が……!ただの悪魔如きに負けるとは……!」


天使長「む、無念…!無念っ……!」


天使長「ぐ……」バタッ

魔王「………」


天使長「」


魔王「もしやと思って天界に来たら……」


魔王「エラい事になってるな」


魔王「おいコラ、起きろ」ゲシッ


天使長「」ビグンッ


魔王「こりゃ酷い傷だなぁ……まさか悪魔の仕業?」


魔王「……不本意だけど、女神の所に行ってみるか」

————————————

魔王「ん?」


女神「ハッ!?」


女神「魔…魔王……!」


魔王「あらら、アンタ酷い怪我だね。魔法で治療してあげるよ」スッ


女神「は、離しなさいッ!魔の物などの手を借りるぐらいなら……!」


魔王「そんな事言ってられないでしょ!?アホかアンタは!」


女神「なっ!?」


魔王「いい?何回も言ってるけど魔王ってのはね、魔を統べる者なの!」


魔王「魔王は魔物達の暴走を止める為の指導者。だけど歴代魔王がアホなせいで魔の力で世界を征服しようなんてとんだ

アホな事をしてただけなんだよ!」


魔王「魔王は本来は魔物達の抑止力なんだよ!魔王が全員悪いヤツなんてアンタ達の偏見だ!」


魔王「そりゃ一部指示に従わない魔物も居るけどさ!」


魔王「だから信じろよ!このアホがぁ!!!」バキィッ!


女神「げふぅっ!?」


魔王「歯を食いしばれぇ!」

女神「な、殴ってから言うもんじゃ……」ガクガク…


悪魔「そうさ」


魔王「!」


悪魔「魔の物は全てが全て悪ではない」


悪魔「だが、魔物にだって野望の一つや二つある」


悪魔「例えば……魔王の座とか、ね」


天使「貴様……ッ!」ギリッ


魔王「……何でこんな事するのさ」


悪魔「魔物というのは、恐怖で支配するものだ」


悪魔「ボクはキミにチャンスをあげてるんだよ」


悪魔「世界征服という野望をキミが実行すれば、魔物達はキミに恐怖を植え付ける事が出来る」


悪魔「ただ実行するだけさ。実行すれば全ての魔の物はキミに逆らわなくなる」


悪魔「キミは確実に絶対的な権力を得れる」

悪魔「ま、キミの様な特別な理由で魔王を殺す者が現れなかったらの話しだけど」


魔王「………」


女神(特別な理由……?)


悪魔「キミこそ本物の魔王さ、ボクもそう思う」


悪魔「でもキミの悪を裏に隠しすぎてる」


悪魔「もっと全面的に出さないとさ」

魔王「あ、あはは…私に悪だって?バカ言うなよデビルちゃんよ」


悪魔「自分では気付いてないだけさ」


魔王「………」


悪魔「キミの行動は自分では普通かもしれないけど」


悪魔「客観的に見れば異常なんだよ」


悪魔「ボクには分かるよ、キミからは悪の臭いがプンプンする」


悪魔「確か何だっけ、前魔王を殺した理由って?」


女神「………」


魔王「毎朝6時に叩き起されたからだよ!それがどうした!?」


女神「……え?」

悪魔「それが異常なんだよ」


魔王「は?」


悪魔「朝6時に叩き起こされるから殺すかい?普通」


魔王「え?」


悪魔「しかも撲殺」


悪魔「まったく、キミ程、悪いヤツは居ないよ」


悪魔「自分がやった事にまったく罪悪感が無いもんね」


魔王「そ、そんな事はない!」

悪魔「しかもキミに今まで側近をやってきた者だって、自分で殺してるじゃないか」


悪魔「確か口うるさかったから殺した理由が大半だったよね」


悪魔「殺害方法は肉食鳥に食わせたりとか……」


悪魔「まぁだからあの自己中の側近がキミの側近を勤められるのかもね」


魔王「嘘だ!」


悪魔「実際にやってたじゃないか」


魔王「捏造だ!そんなの!」


悪魔「それこそ嘘だ。ボクが実際にこの目で見たんだから」


女神「………」

悪魔「ま、キミには秘められた悪の素質があるんだ」


悪魔「世界征服を早めに実行する事をオススメするよ」


魔王「………!」


女神「………」

数年前


召使い「あ!」


魔神「ん?」


召使い「は、初めまして!わ、私、魔王様の……」


魔神「召使いでしょ?」


召使い「ふぇぇ!?ご存知だったんですか!?」


魔神「知ってるよ、ツイッターで知った」


召使い「ツ、ツイッターですか……」


魔王「おーい、召使ーい!お茶ー!」


召使い「は、はいはーい!それじゃあ、魔神さん。私はこれで……」


魔神「………」

魔神「魔王様」


魔王「何?魔神?あ、そうだ!マリカやろうぜマリカ!」


魔神「い、いえ……結構です……」


魔王「ちぇー、なんだよノリ悪いなー」


魔神「それより魔王様」


魔王「何?」


魔神「この魔王軍にスパイが居るらしいですよ」


魔王「え?」

魔神「魔王軍の情勢を王国に垂れ流しにしてるらしいです」


魔王「マジ?」


魔神「マジです。そして、そのスパイが召使いかと……」


魔王「召使い……」


魔神「このまま野放しにしておくと危険です、ここは私に任せて下さい」


魔王「あ、うん…頼んだよ…」

—————————

召使い「話しとは何ですか?魔神さん」


魔神「いやぁ、それが…どうもこの辺りで私の私物を落してしまったらしく」


魔神「探してくれないかな?」


召使い「えっ、は、はい!分かりました!」


魔神「じゃあ、キミは向こう探してきて、私はこの辺り探すから」


召使い「分かりました!」


魔神「………」ニヤッ

————————


魔王「召使いのヤツ……森の中で山賊共に殺されてた」


魔神「そう……なんですか……」


魔王「お前、昨日…召使いに会った?」


魔神「いえ、『会ってない』です……」


魔王「そうか……」


魔神「これで、真相は聞けず仕舞いですね」


魔王「………」

数日後


魔王「よしゃっ!お前を側近にしてやるから頑張れよ」


魔女「えっ!?本当ですか!?有難うございます!」


魔神「………」


魔神「良かったな」


魔女「フフン、あんたより先に出世してやったわ!」グッ


魔神「そんな性格でよくなれたな」


魔女「何よ!」


魔人「あぁ冗談だって」

三日後


「なんてこった……」


「側近就任してたったの三日で暗殺されてしまうなんて……」


「可哀想に……」


魔神「クソッ……誰がこんな……」


魔王「………」

5年後


魔王「………」


魔神「魔王様」


魔神「側近不在というのも……どうかと思いますが……」


魔王「……この5年で側近に就任させた者は全員、暗殺か事故で死んでいる」


魔王「側近という地位は呪われているという噂まで流れてる」


魔神「……それでは、私が側近になりましょう」


魔王「だ、だが……」


魔神「大丈夫です、私にお任せを」


魔神「私が身を持って呪いがあるかどうか検証してみます」


魔王「お、お前……」


こうして、魔神は側近になった。


それから現在まで、魔神は『呪い』によって死ぬ事は無かった。

———————————

———————


側近「——天界の者はほぼ全滅、悪魔に支配されています」


側近「悪魔を倒さないと、また世界征服の……って魔王様?聞いてます?」


魔王「え?あぁ、うん寝てた寝てた」


側近「寝てたんかい!このイカ野郎!」ボゴッ!


魔王「グフゥ!」


魔王「イ、イカ野郎って初めて罵られた……」

側近「いいですか!?今、我々は絶体絶命の危機なんですよ!?」


側近「早く悪魔の企みを止めないと、魔王様は世界征服という名の破滅の道に——」


魔王「わかーってるって!国道23号を進むよ!」


側近「な、何故、国道…」


魔王「ま、確かに早く悪魔は倒さないといけないけど、アイツ強そうだからな」

乙!なんか魔王軍めちゃくちゃで面白いわ

王国


兵士A「それでさ、俺は見たんだよ」


兵士B「何を見た?」


兵士A「あの広場にあった国王の黄金像が動いたんだよ、今は火災のせいで無くなってるけど」


兵士B「ハッ、んなの怖くも何ともねぇぜ。俺なんて子供の頃、トイレの花子さんが午後ティー飲んでるの見たぜ」


兵士C「俺なんてトイレの花子さんが鍵をかけてなかったから、開けちまったんだよ。そしたら小便中だったみてぇで

あそこが丸見えだったぜ、たまんねぇよ」


兵士B「救いようがないクズだなお前」


兵士A「……どうしてお前ら女子トイレに入った」


兵士B「………」


兵士C「………」

兵士B「か、勘違いすんなよ!別に俺はラッキースケベを期待して女子トイレ室に入った訳じゃねぇからな!」


兵士C「そ、そうだぜ!勘違いすんなよバカ!」


兵士A「本当かぁ?」


「ア…タカ…」


兵士A「ん?何か言ったか?」


兵士B「あ?何も言ってないぜ?」


兵士A「え?だけどさっき……」


「ア…ヤメ……ソ……キ…イイ」


兵士C「お、おいおい…!まさか……!」


兵士A「ま、マジかよ……!」

兵士A「ひょっとして、ゆ、ゆ……」


兵士B「そんな訳ねぇだろ!……確かめる必要がある」


兵士C「き、気を付けろよ……!」ヒシッ


兵士A「ひっつくなよ!気持ち悪い!」グイッ


兵士C「だってよぉ〜…!」


兵士B「この部屋から何か聞こえる…!開けるぞ……!」


兵士A・C「……」ゴクッ…


兵士B「コラァ!誰だそこに居るのわぁ!」バダンッ!

兵士B「な、なにも居なry」


バダンッ!


大魔王「うわぁああああああああああああああああああああ!!!!?!??!??」


兵士A「うわぁあああああああああああああああああああああ!!!?!??!???」


兵士B「うわぁあああああああああああああああああああああ!!?!?!??!???」


兵士C「うわぁあああああああああああああああああああああ!!?!?!?!?!?!?」


大魔王「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」


兵士A「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」ダッ!


兵士B「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」ダッ!


兵士C「ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」ダッ!



オバケダー!ショクリョウコニオバケガデター!


大魔王「あー、ビックリしたー……」ドキドキ…

大臣「国王様ー!?どこに行ったのですかー?」


大臣「クソッどこに行ったんだ、あの痴呆ジジィ……」スタスタ…


大魔王「そろそろ戻らないとマズイかなー…」


大魔王「国王と入れ替わる為に本物の国王を誘拐したなんて事がバレたらとんでもないことになるな」


大魔王「その前に少し食事を……」


「何をしてるんだい?」


大魔王「見てのとおり食事さ」

悪魔「………呑気なものだね」


大魔王「ん?そう?」


悪魔「そうさ、キミは頭のネジが何本か足らないみたいだ」


悪魔「もう少しで世界の終わりが近づいてるってのに」


悪魔「呑気に飯を食ってるとはね」


大魔王「………そう」

大魔王「魔王がなんとかしてくれるよ」


悪魔「なんとかならないね、あのアホ魔王じゃ」


大魔王「そうかな?」


悪魔「そうさ……キミは何を企んでるのか知らないけど、余計な真似はしないのが身の為だよ」スッ…


大魔王「…………」

第二の魔王城


海賊A「ヒャアッハー!!!」ガガガガッ!!!


海賊B「死ねッ!死にさらせぇ!」ババババッ!!!


海賊C「大人しくこの島寄越しなぁ!」ズダダダダッ!!!


海賊D「ハァーッハー!!!」ガガガガガガッッッ!!!



魔王「戦況は!?」チュィーンッ!


兵士長「何人か被弾しました!今こちらが不利な状況です!」


魔王「クッソー!ドラゴンは!?」


側近「魔王様がケチッてロクなエサを食べさせてないから、ストライキしてますよ!」


魔王「あぁっ!もう!こんな時にぃ!」

魔王「一応、ファンタジーの世界だぞ!いい加減に世界観守れ!」


兵士長「そんなの今更ですよ!」


魔族A「うへぇー!」


魔族B「こりゃたまらん!」


魔王「魔族なのに、どうして銃が効くんだよ!人外には銃は効かないってのが相場だろうが!」


兵士長「そんな事言ったって——ギャー!肩被弾したー!」ビスッ!


側近「兵士長!」


側近「今助けるぞ!」


側近「頑張れ!持ち堪えろ!ガッツだ!」


兵士長「口だけですか!?」ガーンッ!

海賊C「チッ、しぶてぇ野郎だ……!グレネードランチャー!」


海賊D「ヘヘ…任せろよ」ガチャッ



魔王「何やってんだ!早く兵士長助けろ!」バシッ!


側近「痛ッ!わ、分かりましたよ!」ガッ!


兵士長「側近さん!ちょっ、引きずらないで!冗談抜きで痛いんです!」



海賊D「ぶっ飛べぇええ!!!」ジャキッ


ポンッ

チュガァアアアアアアンンンンン!!!!

魔王「ぐぇっ」バタッ


側近「むぎゅ」バタッ


兵士長「へぐぅ」バタッ


魔王「うぐぐ……なんて事だ…このままだと、魔王軍が近代兵器によって潰される……」


側近「これは…ちょっとマズイですね……」


兵士長「もうやだ…転職したい……」グスッ


魔王「こうなったら魔法で対処してやる!」


側近「始めからそうして下さいよ!」

魔王「だけどなぁ…この魔法のステッキ、ポンコツだからなぁ…」


側近「でも、やらないよりはマシだと思いますよ!?」


魔王「それもそうだな…!よし!やってやる!」



魔王「やいやいお前ら!大人しく降伏しないと、魔法を使って肌を爛れさせるぞ!」


海賊A「何をー!こしゃくなー!」


海賊B「撃ち殺せ!」ジャキッ!


魔王「ヤバッ!く、喰らえ!ホイヤ!」ブンッ!


海賊A「ぬぐっ!?う、動きが!?」


海賊B「体が動かない!?」


側近「やった!」


魔王「よ、よし…お、お前ら!降伏しないと恥ずかしいポーズをとらせるぞ!」

海賊A「ヒッ!」


海賊B「勘弁してください!」


魔王「よし…二度と来るなよ!」


魔王「動きを解除……」ヒュッ


魔王「………」ヒュッ


魔王「……ごめん、解除方法知らないんだよね」


海賊達「」

—————図書館—————


側近「——結局、放置ですか」


魔王「だ、だって仕方無いだろ!今、解除方法を調べてるんだよ!」


側近「『ミトコンドリアでも分かる魔道書』……こんなんで分かるんですか?」


魔王「分かるよ!ミトコンドリアでも分かるんだから!」


側近「いや、そういう問題じゃ……」

魔王「何だ?この呪文は」


側近「え?『汝の髪は草の如く伸び——」


魔王「あ、馬鹿、詠むんじゃ」


バァッサァ!


側近「ぎゃあああああ!!!!魔王様の髪が異様に伸びたぁ!」


魔王「テメェ!嵌めやがったな!?」ガッ!


側近「すみません!素人でも出来るなんて知らなかったんで!ちょっ…恐……!」

魔王「口に出すんじゃない!この魔道書もポンコツなんだから!」


側近「ご、ごめんなさい……」


魔王「クソー…まだ伸び続けるぞコレ、どうすればいいんだ」


側近「貞子みたいになってますよ」


魔王「とりあえず、髪が伸びるのを止める魔道書を探すのを優先だ」

側近「あれ?これは何ですか?」


魔王「私が子供の頃の絵日記だと思うそれ、見るなよ恥ずかしいから」


側近「はぁ……」


側近「……」チラッ


魔王「あ、剃刀見っけ。一旦これで……」


側近「………」ペラッ

○月×日

『今日はお母さんの誕生日でした、みんなで祝ってお母さんは嬉しそうでした。』


側近(案外普通なんだな……)


○月`‘日

『家族で人間狩りに行きました、途中、妹がトイレに行きたいと言い出したので、私は妹を川に流しました』


側近(いきなり異常な所が!)


○月@日

『大魔王様がお城に来ていました、お城にあったご飯を全部食べて、魔王様が泣いてました、魔王様が

可哀想だなぁって思いました』


側近(大魔王の食欲はこの頃から!?)


魔王「ヤベ、剃りすぎた……」

×月&日

『今日の夜、サンタさんを見ました。覆面を被って手に剣を持って赤い服を来た

サンタさんでした。サンタさんは誰かに狙われてるのかな?』


側近(どんなサンタ!?)


側近(アレ?白紙だ?)ペラッ


側近(何日か空いてるな…絵だけしか書いてない……)パラパラ…


側近(あ、あった)


△月”日

『沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳

沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳毛蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳

沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳沢蟹万歳』


側近(何かに洗脳されるゥッ!?)


△月$日

『この世界は沢蟹を中心にして回っているのです、全世界に存在する沢蟹に祈りを捧げましょう、○ーメン』


側近(何書いてんだ!)


魔王「あ、おま…見るなって言ってたのに!」

側近「す、すみません。つい……ところで、見つかったんですか?髪の伸びを抑える魔道書」


魔王「ん、あぁ。見つかったよ、何回か断髪式する羽目になったけどな」


側近「魔王様……」


魔王「え?」


側近「沢蟹って…何ですか……?」


魔王「………バカな事聞いてないで…次の魔道書探すぞ……」


側近「そう…ですね……」

支援

ガサガサ……


側近「魔王様、沢蟹……」


魔王「………しつこい側近だな」


側近「魔神ですから」


魔王「……チッ、いいだろう。教えてやろう、あれは私が子供の頃、幼馴染の男の子と川に行った時だ……」

数年前


魔王(幼少)「ヒャッホー!川だぜぇ!川ぁ!」


魔王「何か骸骨とか張り付けられてるけど、そんな事より川だぁ!」


魔王「オーイッ!そんな所で見てないで、お前も入って来いよー!」


少年「ボ、ボクはいいよ……ここで見てるよ……」


魔王「何言ってんだよ!早く入れってば!」グイッ


少年「わっ!?」ザバッ


少年「うひゃあああ…足冷たぁぁ……」


少年「もう……強引だなぁキミは……」


魔王「へへへ……」


魔王「………」ジー…


少年「? な、何かな…?」


魔王「え?あ、いや、何でも…///へへ……///」

———————
——————
———



魔王「いや〜…あの頃は楽しかったなぁ……」


側近「それと沢蟹の何の関係が……」


魔王「え?何の事?」


側近「」ズッ


魔王「あぁ、沢蟹?沢蟹ね」


側近「そうですよ……しっかりしてくださいよ……」


魔王「アレは昔の頃だった……」

数年前


魔王「シュートッ!」バスッ!


「うわぁ!またアイツがゴール決めたぞ!」

「女のクセに何てヤツだ!」

「え?女だったの?」


魔王「魔族のゴルバチョフと呼んでくれ」ドーンッ!


少年「な、何でゴルバチョフ?」


魔王「ほら!このポーズをする……」ビシッ!


少年「……それって、ビスマルクでしょ…?文字数が合ってないよ…」


魔王「あぁ、そうそうそれそれ」


少年「何で間違うのさ……」


魔王「だって雰囲気似てるじゃん」


少年「いや…似てないよ……」

魔王「そんな事より、お前はしないのか?サッカー?だっけ?」


少年「ボクはいいよ」


魔王「どうして?サッカー楽しいぞぉ?ひょっとしてサッカーボールじゃなくて、そのボール蹴られてトラウマになったとか?」


少年「そんな訳無いでしょ!ただ運動音痴だから出来ないだけだよ!」


魔王「そんなモンやってみないと分からないだろ!」グイッ


少年「あ、ちょっ」

少年「ぜぇ…ぜぇ……ぜぇ…」


魔王「………」


少年「ホント…この通り…スタミナが少ないから……」


魔王「ま、いい運動にはなったろ?」


少年「……まぁ」


魔王「それじゃあ帰るぞ」

———————

——————

———


側近「それと沢蟹の関係は?」


魔王「無いに決まってんだろタコ」


側近「」


魔王「ハッキリ言って、どうしてそんな物を書いたのか忘れたんだよ」


側近「そ、それならそうと言ってくれませんかねぇ……?」


魔王「うん、そうする」


側近「それにしても魔王様が人間の幼馴染が居るとは、知りませんでしたよ」


魔王「いや、その子も魔族なんだよ。種族は忘れたけど」


魔王「人里に降りて紛れ込んで遊んでたんだよ、暇だったからさ」


魔王「そう言えば最近会ってないなぁ、何してるんだろアイツ」

側近「会ってないんですか?」


魔王「私が魔王になってからな、前魔王を暗殺した後から会ってないんだ」


魔王「流石に草の根を分けてまで探そうとは思わないけどさ、アイツにはアイツの事情もあるかもしれないし」


魔王「アイツの兄が児童の全裸ポスターをバラ撒いて極刑にされたのは凄かったな」


側近「きょっ、極刑……!?」

魔王「いや、それはアイツの親戚の兄だったかな…?」


側近「実際にあったんですか……それにしても極刑はやり過ぎなんじゃ……」


魔王「うん、あ、今思い出したわ、私とアイツが川ですっぽんぽんで遊んでた時に盗撮してたおっさんだ」


側近「極刑にされても仕方ないですね」

魔王「いや、混浴した時に盗撮して来たアイツだったかな……?」


魔王「いや、アイツとアイツは同一人物のおっさんだった気が……」


側近「何回盗撮されてるんですか……」


魔王「知らん……気付かれない間に何回も撮られてるんだろうな」




魔王「ハッ!?」


魔王「しまった!寝てた!」


魔王「アイツら動けないままにしてしまった!ヤベッ!謝りに行かなきゃ!」バタンッ!




魔王「あれ?居ない?」


悪魔「ボクが解除させてあげたのさ」スッ


魔王「お、お前!」


悪魔「まったくキミは……いつになったら、この世を征服するんだい?」


魔王「バーカ!しないよーだ!世界征服なんて面倒だけだしー!」ベーッ


悪魔「………」

悪魔「キミは……ボクとの約束を忘れたのか…?」


魔王「は?約束もクソも……」


悪魔「……まぁいいや。とにかくキミが世界征服をするまでボクは…」


魔王「ん?」


犬「ハッハッハッ!」タッタッタッ…


魔王「うわぁ!狂犬だ!」


悪魔「わわっ!」ダッ!


魔王「あ!コラ!お前だけ逃げるなよ!」ダッ!

呪いの森


悪魔「ゼェ…ゼェ…もう駄目…」バタッ


魔王「えぇっ!?走り始めて二分も経ってないぜ!?」


悪魔「でも、森に入った御陰で犬を撒けたみたいだけど…」ゼェゼェ…


魔王「そっかー…にしても、お前体力無いな」ニヒヒ


悪魔「うるさいなぁ、運動は専門外なんだよ……」


魔王「さーて、出口見つけるか」


悪魔「ボクはもう帰るよ」


魔王「どうやって?」


悪魔「え?魔法を使ってさ」


魔王「…ここは呪いの森、魔法が使えなくなる森さ」ニヒッ


悪魔「………」


魔王「あ、ごめんなさい。こんな余計な森作ってすみません」


悪魔「フン……大した森だね」


魔王「え?あぁ…まぁ…(てっきり殴られると思った…)」

悪魔「なるほどなるほど、勇者達の魔法を封じる為に作った森という訳か」


悪魔「良く出来てるじゃないか」


魔王(褒められた……!側近なら腹パン来るのに……!)


悪魔「ん?何をボーッとしてるんだい?出口を見つけるんじゃなかったのかい?」


魔王「あ、あぁ……そうだった……」

魔王「……お、川だ」


悪魔「………」


魔王「どうした?川は苦手なのか?」


悪魔「……いや、幼少の時に川で公の場で女子に身ぐるみを剥がされた時の事を思い出して」


魔王「なんだそれ、酷いヤツだな」


悪魔「まったくだ」

魔王「うおっ、洞窟を入るのか」


悪魔「………」


魔王「どうした?暗いところは苦手か?」


悪魔「……まぁ」フイッ


魔王「手繋いで行ってやろうか?」ニヤニヤ


悪魔「……お断りだね、さっさと行くよ」スタスタ…


魔王「へいへい」スタスタ…

洞窟内


悪魔「…………」


魔王「えーっと、コッチだったかな……」


魔王「あ、そう、コッチ……」


魔王「で…アレー?」


悪魔「……ど、どうしたのさ?今、どこに居るの?真っ暗で見えないよ」


魔王「ほら、ここだよ」ギュッ


ギュッ


魔王「いたっ!強く握り返すなよ……」


悪魔「………」


魔王「おーい、悪魔さーん?」


悪魔「………」

悪魔「……」ギュッ


魔王「オイオイ、まさか暗いところが苦手なのかよ?あの悪魔が?」ニヤニヤ


悪魔「……恐い」


魔王「あ…そう……」


悪魔「ボクは暗いところは一番苦手……」


魔王「分かった分かった、だからしっかり捕まってろよ」


悪魔「………」ギュッ

ほう

魔王「一応、この洞窟も呪いの森の一部だから当然魔法は使えないんだなー」


魔王「だからここで迷い込んだ魔法使いは何人も死んで、丁度この時間帯になると化けて出るんだってー」


悪魔「……止めてよね……本当……」


魔王「何でそんな涙声なんだよ…悪かったって……」

魔王「まぁ、化けて出るのはマジみたいだけどな。何人か見たらしいよ」


ポスッ


魔王「わっ、背中温か」


悪魔「………」ギュッ


魔王「あ、あのなぁ、お前、悪魔だろ?幽霊なんか別に怖くないだろうが」


悪魔「そんな事無い……恐いよ……」


魔王「むぅ……」

魔王「とりあえず、な?手を繋いでればいいから」


悪魔「……離さない?」


魔王「あぁ……」


悪魔「……」


魔王「あっ、つまずいた」ゴッ


ドシャッ!


魔王「痛た……」


悪魔「あれ……?」


魔王(あ、言ったそばから離してしまった)

悪魔「……へ、変な冗談は止めてよね……」


悪魔「からかってるのかい……?」


悪魔「………」


悪魔「ねぇ!」


悪魔「おーい!」


悪魔「止めてよ!冗談は止めてよ!」


魔王「居るよ!居る居る!ここに居るよ!」

悪魔「どこ!?どこに居るのさ!?」


悪魔「暗いよ……」


魔王「コッチだって…あぁ、暗くて見えないな……」


魔王「コイツか?」ガッ


悪魔「ヒッ!」


魔王「私だ!落ち着け!」


悪魔「………!」


魔王「にしてもお前、前まであんな偉そうなクチ叩いてたのに、あんなテンパるとは———」


ダキッ


魔王「ぐえ……え?」


悪魔「もう、どこにも…行かないでよ……ね?」


魔王「お、おう…よ…よーしよし……」ナデナデ…

洞窟外


魔王「よーし!出れたぞー!」


悪魔「……」バッ


悪魔「それじゃあボクはもう帰る」


魔王「オイコラ、礼も無しか」


悪魔「ありがと」ツンッ


魔王「テ、テメェ……」


悪魔「じゃあ」シュッ


魔王「もっとマシな礼の言い方無いのかぁ!」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom