あかり「もう怒ったんだからぁ!」(116)

あかり「あ、京子ちゃん、それミラクるんの最新刊?」

京子「ちょっと黙ってて、今いい所だから」モクモク

あかり「ご、ごめん……あ、ちなつちゃん、あかりのお茶だけないんだけど……」

ちなつ「結衣先輩っ、結衣先輩っ、ハァハァ」

結衣「ちょ、ちなつちゃんくっつきすぎっ」

あかり「あ、あはは……あ、結衣ちゃん、この間お願いしてた料理のレシピ……」

結衣「え、あ、ごめん、完全に忘れてた」

あかり「そ、そうなんだ……」


京子「……」モクモク

ちなつ「……」ハァハァ

結衣「ちょ、だからちなつちゃんっ」グイグイ



あかり「……」

あかり「も……」

あかり「もう!あかり怒ったんだからぁ!」

.
.
.
.

 その瞬間、七森町を震度7の地震が襲った
.
.
.
.
.

あかり「う……うう……」フラッ

あかり「あ、あれ、あかりどうして倒れてるんだろ……」

あかり「……」

あかり「あ、そうだっ……地震が……」

あかり「大地震が来たんだっ!それであかり、倒れて……」

あかり「えっと、確か天井が落ちてきて……」

あかり「……み、みんなは?みんなは無事なのかなっ!」

あかり「暗くて何も見えない……」

あかり「きょ、きょうこちゃーん!結衣ちゃーん!ちなつちゃーーーん!」

パッ


あかり「あ、明りが……だ、誰かいるのっ?」

京子「あかり」

あかり「きょ、京子ちゃん!無事だったん……」」

京子「ちょっと今いい所だから黙ってて」モクモク

あかり「まだミラクるん読んでる!?」

あかり「京子ちゃん!地震だよ!大地震だったんだよ!こんな時くらいあかりの言葉聞いてよっ!」

京子「うん、あとでね~」モクモク

あかり「も、もうっ……!」

あかり(けど、京子ちゃんが無事でよかったよぉ……)

あかり(あかり一人じゃどうしていいのか判んないけど、京子ちゃんと一緒なら……)

あかり「きょ、京子ちゃん、これからどうしようっ」

あかり「というか、どうしてこんなに真っ暗なのかな……」

京子「部室が崩れたんだよ」ペラッ

あかり「部室が……」

京子「私達が無事なのは、柱とかの加減で偶然空洞が出来たからだと思う」ペラッ

あかり「そ、そっか……運が良かったねっ」

京子「……結衣とちなつちゃんは?」ペラッ

あかり「え?」

京子「見当たらないみたいだけど、一緒じゃないの?」ペラッ

あかり(そ、そうだ、結衣ちゃんとちなつちゃん見当たらないよっ)

あかり(そんなことにも気付かないなんて、あかりってほんと駄目な子だ……)

あかり「う、ううん、あかりは判んない……目が覚めたら1人だったし……」

京子「そっかぁ~」ペラッ

あかり(どうしよう、もしかしたら、二人ともがれきの下敷きに……?)

あかり(そんな事考えちゃいけないんだろうけど、色々考えちゃうよぉっ)ウルッ

京子「探しに行った方がいいんじゃない?」ペラッ

あかり「ふえ?」グスッ

京子「そっちの方に人が通れるくらいの隙間あるみたいだし、その向こうに二人ともいるかも」ペラッ

あかり「京子ちゃん……」

あかり(そう……だよね、死んじゃったって考えるより、生きてるって考えた方がいいよねっ)

あかり「う、うんっ!あかりもそう思うっ!京子ちゃん!二人で結衣ちゃんとちなつちゃんを探そっ!」

京子「私はパース」ペラッ

あかり「え……?」

京子「だって探しに行った場所が崩れたら、ペシャンコだよ?」

京子「せっかく助かった命だし、そんな危険を冒すのは嫌だなぁって」

あかり「きょうこ……ちゃん?」

京子「それに、まだミラクるん読み終わってないしね~」ペラッ

あかり「え、け、けど、さっき探しに行った方がいいって……」

京子「うん、だからさ」ペラッ

.
.
.
.
京子「あかりが1人で探しに行ってよ」
.
.
.
.

あかり「あ、あかり1人でって……そ、そんな、酷いよぉっ」

京子「嫌なら行かなくてもいいんじゃよ」ペラッ

あかり「けど、けど結衣ちゃん達があかり達の助けを待ってるかもしれないのにっ……」

京子「……」ペラッ

あかり「きょ、京子ちゃんっ!」

京子「……っさい」

あかり「……!」

京子「ミラクるん最新刊の終盤、ほんっと良い所なんだから、邪魔しないで」ペラッ

あかり「……も、もういいよっ」

京子「……」ペラッ

あかり「あかり1人で、行って来るもん!」プンプンッ

あかり(もうっ!京子ちゃん見そこなったよっ!)プンプンッ

あかり(こ、こうなったらあかり1人で結衣ちゃん達を見つけて)プンプンッ

あかり(それで、結衣ちゃんにいっぱい叱って貰うんだからっ)プンスカッ

あかり「こ、ここかな……確かに人一人通れそうな隙間はあるけど、這って行かないと無理かも……」


あかり「……」チラッ

京子「……」ペラッ


あかり(京子ちゃんが持ってたライトもあるし……あかり1人ででもできるもんっ!)


ガサゴソガサゴソ


ズリズリズリズリ

あかり「ぷはっ……やっと隙間通り抜けたよ……」

あかり「やっぱりこっちの方にも空洞あった……ここに結衣ちゃんとちなつちゃんが居るかもっ」


ウッ……ウゥッ……


あかり「……!」ビクッ



ウッ……イヨッ……イ……タイヨ……



あかり「だ、誰か居るの?」



タ……ケテ……アカ……チャ……



あかり「この声……ちなつちゃん?」

あかり「ちなつちゃーんっ!何処ー!」

カリ……チャ……


あかり「ち、ちなつちゃん!?ここに居るの!?」

あかり(う、うそ、がれきの下からちなつちゃんの声が……)

うかり(こ、こんなおっきながれきの下に、ちなつちゃんが!?)


ケテ……タ……


あかり「ち、ちなつちゃん待ってて!い、今助けてあげるからっ!」

あかり(ど、どうしようっ、どうやったらこんながれきどかせるの!?)

あかり(そ、そうだ、学校で習ったてこの原理を使えば何とかなるかも……!)

あかり(何か、何か棒は……!)キョロキョロ

あかり(あ、あった!修学旅行の時に京子ちゃんからもらった木刀っ!)

あかり(こ、これを使えば……)

あかり「ちなつちゃん!待っててね!今助けてあげるからっ!!」


ハヤ……シテ……、イ、イタ……イノ……


あかり「よいしょっ」ガッ

あかり「え、えっと、支点と力点と作用点が、こうなって……」

あかり「あとはあかりが木刀の上に乗れば、大丈夫だよねっ」

あかり「え、えいっ!!」グイーッ


ア……アア……

あ、あああ……

はぁ……はぁ……あかりちゃん、ありがと、楽になった……凄く……


あかり(うう、あかりの体重じゃ、がれきの隙間をちょっと広げるくらいしか出来ないよっ)グググッ

あかり「ち、ちなつちゃんっ、そのまま出てこれる!?あかりがここ、支えておくからっ!」グググッ



はぁ……はぁ……う、うん、何とか這って出てみるねっ

ズルズルズルッ

はぁ……はぁ……

ズルズルズルッ



あかり(よ、良かった、ちなつちゃんの声、思ったより元気そう)グググッ

あかり(け、けど早く出て来てくれないと、あかりの力じゃ持たないかもっ……)グググッ



ズルズルズルッ

はぁ……はぁ……

ちなつ「はぁ……はぁ……」


あかり「ち、ちなつちゃんっ!頑張って!もう頭出てるから、もうちょっとだからっ!」グググッ


ちなつ「あ、ありがとう、あかりちゃんっ!」ズルズルッ


あかり(よ、良かった、ちなつちゃん怪我ないみたい)グググッ

あかり(きっと、がれきの中にも隙間があって、そこに挟まれちゃってたんだよねっ)グググググググッ


ちなつ「よ、よし、上半身も出たから、あとは……」


あかり「が、頑張って!ちなつちゃ……」グググググググググググググッ








バキッ

ドスンッ




ギャッ




.

あかり「い、いたたっ……な、なに?何が……」フラッ

あかり「あ、あれ?あかり、木刀持ってたはずなのに……あれ」

あかり「ぼ、木刀……折れて……え?」



ジタバタジタバタジタバタッ



あかり「……ちなつ、ちゃん?」



ジタバタジタバタジタバタッ

ンギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ



あかり「ち、ちなつちゃんっ!?」



ンギッンギヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ


ジタバタジタバタジタバタッ



あかり(う、うそ、ちなつちゃんの下半身が、がれきの下に!?)



ンギィギィギィギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ


ジタバタジタバタッ

コココココロココココロシテ、イ、イタイノイタイイイイイタイタイイイイノ、コ、コロシ……


あかり「え?」


ダ、ダメダメダメッ……ムリッ、イッ、イタッ、ムリダカラッ……ア、アッアカリチャ、コロシ……


コロシテ……


あかり「殺してって、そ、そんなの無理だよっ!」



イ、イタイノッ、イタイノイタイノイタイノッ、イタイノッ


イタイノッ!!!イタイノッ!!!イタイイタイイタイッeeeeeeeeeeeeeeeeeeッッッ


あかり「ち、ちつなちゃん!諦めずに頑張ろう!?あかりが!あかりが出してあげるから!ね!」

>>48の前に


あかり(だ、だめっ、ちなつちゃん助けないとっ!は、早くがれきから引っ張り出してあげないとっ!!)

あかり「ち、ちなつちゃん待ってて!今出してあげるからっ!!」


ン……ンギ……ギィィィィィ…・…ギヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ



あかり(え、えっと、どうしたら……どうしたらいいのっ)オロオロッ



ア、アカアカアカアカカアカアカアカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッ



あかり「ち、ちなつちゃん!?何が言いたいの!?何かあかりに伝えたいの!?」



イ、イタイイイイタイタイタイイイ……アッアッアッカッカッカッカッ


あかり「ちなつちゃんっ!」ガシッ

あかり(ど、どうしよう、早くしないとちなつちゃん死んじゃうっ!死んじゃうよっ!)

あかり(けど、けど何も思い浮かばないっ!頭が真っ白で……)

あかり(けど何かしないとっ!何か!)

あかり(そ、そうだよっ!ちなつちゃんの上半身はもう出てるんだしっ!)

あかり(引っ張ればきっと下半身も……!)

あかり「ち、ちなつちゃんっ!ちょっと痛いかもしれないけど、我慢してっ!」ガシッ


ヒッ


あかり「んんんんんーーーーっ!」グイッ



ンギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!?


ジタバタジタバタジタバタッ



あかり「も、もう少しっ!もう少しだからっ!だからしんぼうしてっ!」グイーーーーッ



ギヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!


ガクガクガクガクガクガクガクッ

あかり(もう少しっ!もう少しでちなつちゃんをがれきから引き摺りだせるっ!)グイーッ

あかり(そ、そうすれば、またちなつちゃんとお喋り出来るよっ!)グイーッ

あかり(ありがとうって言って貰えるよっ!)グイーッ

あかり(だ、だからっ!力いっぱい引っ張らないとっ!)グイーッ

あかり(あかりには、あかりにはこんな事しか出来ないしっ!)グイーッ

ガクガクガクガクガクッ


ブチッ


ズルッ


ズルブチッ


アカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカッ!


アカ……ア……カ……


ズルズルズルッ


リ……・チャ……


……ン…


ズルルルー

あかり「ぬ、抜けたっ!ちなつちゃん、抜けたよ!がれきから出れたよっ!」

あかり「よ、良かった!ちなつちゃん良かったねぇ!」

ちなつ「……」

あかり「ちなつちゃん?」

ちなつ「……」

あかり「ちなつちゃん、怒ってるの?」

ちなつ「……」

あかり「ご、ごめんね、ちなつちゃん、痛い事してごめんっ」

あかり「けど、けどこうするしか無かったの、こうしないと、ちなつちゃんを出してあげられなかったの」

ちなつ「……」

あかり「ち、ちなつちゃん、返事してよぉっ」ウルッ

ちなつ「……」

あかり「ちなつ……ちゃん?」

ズルズルズルズル


ズルズルズルズル


カランカラン


カランカラン



京子「あかり、おっかえり~」ペラッ

あかり「……」

京子「あれ、あかりどうしたの?血まみれじゃん」キョトン

あかり「……」

京子「結衣とちなつちゃんは~?」

あかり「……ちなつちゃんは、向こうに、いたよ」

京子「おー、そりゃ良かった」ペラッ

あかり「……」

京子「その割にちなつちゃんは一緒じゃないみたいだけど?」ペラッ

あかり「……ちなつちゃん、がれきの下敷きになってて」

京子「ふんふん」ペラッ

あかり「あかり、何とか助けようとしたの、てこの原理使って、なんとかがれき持ち上げたの……けど」

京子「けど?」

あかり「……ちなつちゃんががれきから出てくる直前に、またがれきが落ちて」

京子「あらら、そりゃ大変」

あかり「……ちなつちゃん、がれきにはさまれて、痛い痛いってっ……」

京子「うん、痛そうだねえ」

あかり「あかり、頑張ってちなつちゃんを引っ張りだしたんだけど、ち、ちなつちゃん、動かなくなってて……」

京子「そっか……」

あかり「……」

京子「……」

あかり「あか……あかり、あかりっ」ウルッ

京子「……」

あかり「あかりが、ちなつちゃん殺しちゃったよぉっ!!!」グスッ

あかり「ちなつちゃんころしちゃったよぉぉぉぉっっっ!きょうこちゃあぁぁぁんっ!」ヒックヒック

京子「うん……」

.





京子「まあ、死んじゃったもんは仕方ないんじゃない?」




.

あかり「きょ、京子ちゃん?」グスッ

京子「今さら後悔しても、ちなつちゃん帰ってくる訳じゃないんだしさ」

あかり「……!」

京子「泣くだけ体力の無駄だって」

あかり「……京子ちゃんは、京子ちゃんはちなつちゃんが死んじゃって悲しくないの!?」

あかり「もう、もう会えないんだよ!?もう……もうお喋りも!」

あかり「できない……んだよっ!」ヒック

京子「……うん、まあ悲しいけどさ、今はそれより優先する事があるでしょ?」

あかり「ゆ、ゆうせんする事?」グスッ

京子「結衣の事だよ」

あかり「……結衣ちゃんの」ヒック

京子「私達が悲しんでる間に、結衣が死んじゃうかもしれないでしょ?」

あかり「……それは、そうだけどっ」グスッ

京子「なら、早く探しに行って結衣の無事を確認してあげないと」

あかり「……」ヒック

京子「ね?」

あかり「う、うん……」グスッ

あかり(そ、そうだよね、結衣ちゃんを早く探してあげないと……)

あかり(ちなつちゃんみたいに……ピンチかもしれないし……)

あかり「きょ、京子ちゃんも……一緒に行ってくれるよね?」グスッ

京子「やだ」

あかり「!?」

あかり「ど、どうして!?」

京子「だって死にたくないもん」

あかり「京子ちゃん!?」

京子「ミラクるんもまだ読み終わってないし~」ペラッ

あかり「……」

京子「だから、今度もあかり1人で行って来てね」

あかり「……ひどい」

京子「?」

あかり「酷いよ、京子ちゃん……」

京子「えー、死にたくないって別に普通の事でしょ?」

京子「私何かおかしいこと言ってる?」

あかり「……そんな事、聞きたくないよ」

京子「そんな事言われると何度も言いたくなっちゃうなあ」

あかり「……」

京子「死にたくない~♪死にたくない~♪」

あかり「……」

京子「私は絶対死にたくない~♪」

あかり「……もういいよ」

京子「ん?」

あかり「京子ちゃんなんて、だいっきらい」

京子「おー、こわいこわい」

あかり「……京子ちゃんが」

京子「ん~?」

あかり「……京子ちゃんが死ねばよかったんだ」

京子「おう、辛口ですな、まあ頑張って~」

あかり(もういい、京子ちゃんには何も期待しないよ……)

あかり(あかり1人で、結衣ちゃんを助けよう……)

あかり(……ちなつちゃんが死んじゃった所のさらに奥に、小さい隙間があったし)

あかり(這って行ってあっちを探してみよう……)


ズルズルズル

ちなつ「……」


あかり(ちなつちゃんの死体……ごめんね、放置しちゃってごめんね……)

あかり(無事出られたら、ちゃんとお墓に埋めてあげるから……)

あかり(……こっちの隙間、だんだん狭くなってくる、本当にこっちに結衣ちゃん居るのかな)

あかり(けど、けど死んじゃったとかは考えたくないし……)

あかり(今は信じて、先に進もう……)



ズルズルズル

あかり(はぁ……はぁ……や、やっと出れたよ)

あかり(やっぱり、こっちにも空間があった……)


パッ


パッパッ


あかり「あ、あれ、ライトが……」


パッ……


……


あかり(ど、どうしよう、ライトが消えちゃったよぉ)

あかり(真っ暗になっちゃった……)

あかり(と、取りあえず呼びかけてみようっ)

あかり(真っ暗でも声くらいは届くはずだし……)

あかり「ゆ、結衣ちゃん?」

あかり「い、いますかっ」ドキドキ


………

………

………


……あかり?

あかり「結衣ちゃん!?無事なのっ!?」


うん、ちょっと気を失ってたみたいだけど、何とか……

……というか、真っ暗だね、どうしたんだろ


あかり「う、うん、地震で部室が壊れちゃって……」

あかり「さっきまでライトがあったんだけど、それも電池が切れちゃったみたいなの……」


そっか……地震で……


あかり「い、いまそっち行くねっ!」ゴソゴソ


ガッ


あかり「あうっ!あ、頭打っちゃったよぉっ」ウルッ


あかり、大丈夫?

真っ暗な中で進むのは危ないよ


あかり「け、けど……」


私は大丈夫だからさ、京子とちなつちゃんを探してあげて


あかり「……」


あかり?


あかり「京子ちゃんは……大丈夫だよ、隙間の向こうにいるから……」


そっか……


あかり「ち、ちなつちゃんは……」

あかり「……ちなつちゃんは」ウルッ


ちなつちゃんが、どうかしたの?

~10分後~


そっか……ちなつちゃん、助からなかったのか……


あかり「……あかりが、余計な事しちゃったからかな」

あかり「あんな事しなかったら、もしかしたらちなつちゃんは……」


あかりのせいじゃないよ


あかり「けど……けどっ!」


ちなつちゃんだってさ、最後にあかりに看取られて、感謝してると思うよ


あかり「感謝……」

あかり(……)



アカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカアカッ!


アカ……ア……カ……


リ……・チャ……


……ン…



あかり(……ちなつちゃんは、死ぬ時、どう想ったんだろ)

あかり(ぜったい、ぜったい感謝はしてないと思う……)

あかり(だって、だって、あんな……あんな苦しそうな顔で……)ゾクッ

あかり?


あかり「ご、ごめんなさい、結衣ちゃん……あかり、ぼーっとしてた……」


あまり気を落とさないでね


あかり「う、うん……」

あかり「……けど、けど良かったよ、結衣ちゃんが元気そうで……」


うん、私は大丈夫みたい


あかり「うん……」

あかり(良かった……結衣ちゃんが無事で……)


そういえばさ、あかり


あかり「え、な、なあに、結衣ちゃん」

.





京子は何処に行ったのかな




.

あかり「え?」



さっきから探してるんだけど、居ないんだよね



あかり「結衣ちゃん、だから京子ちゃんは向こうに……」



……あ、そっか、さっき聞いたよね


ごめん



あかり「う、ううん、結衣ちゃんもきっと混乱してるんだろうし……」



じゃ、ちなつちゃんは?



あかり「……」

あかり「ゆ、結衣ちゃん、ちなつちゃんは……」


それに、どうして照明切ってるの?

こんなんじゃ暗くて周りが見えないよ……


あかり「結衣……ちゃん……」


ん?どうしたの、あかり


あかり「あ、あのね、地震があって、部室が崩れちゃって……それで真っ暗なんだよ」


あ……そっか、確かさっきあかり、そう言ってたよね

ごめんごめん……


あかり「……」

あかり(結衣ちゃんの様子が、変だよぉ……)

あかり(結衣ちゃん近くに行って様子を見たいけど……真っ暗で近づけない……どうしよう……)



京子、どこ行ったんだろ……

何処へ行ったのかな……


あかり「ゆ、結衣ちゃん、だからさっきも言ったけど……」



そうだ、携帯に連絡してみよう、そうしよう……


パッ



あかり(あ、液晶画面のおかげで結衣ちゃんの方が明るく……)

あかり「……うあ」

あかり(ま、真っ赤だ、真っ赤だよ……)

あかり(周りのがれきとか、地面とか、全部真っ赤……)


結衣「おかしいな、携帯のボタン、上手く押せないや……」モゾモゾ

結衣「えっと、京子の短縮番号は……2だったかな、3だったかな……」モゾモゾ

結衣「どうしたんだろ、何時もはもっと、簡単にできるのに……」モゾモゾ


あかり「結衣……ちゃん……」


結衣「ああ、思い出した、思い出したよ……」モゾモゾ


あかり(まるで、いもむしみたい……)


結衣「1だ、京子の短縮、1だった、忘れるなんてどうかしてるよね、京子」モゾモゾ

結衣「あれ、京子からメールが来てる、全然気付かなかった」

結衣「えっと、メールを開いて……もう、親指ないからやりにくいな……」

結衣「ねえ、あかり、親指その辺に落ちてない?」


あかり「……結衣、ちゃん」


結衣「ん?」


あかり「痛く、ないの?」


結衣「え、別に……それより、親指探してよ、あかり」


あかり(……神経が、麻痺してるんだ)

あかり(だって、だって痛くないはずないよ)

あかり(身体が、身体があんなに、ばらばらに……)

イ、イタイノッ、イタイノイタイノイタイノッ、イタイノッ


コココココロココココロシテ、イ、イタイノイタイイイイイタイタイイイイノ、コ、コロシ……


ア、アカアカアカアカカアカアカアカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッ


あかり「……うん、わかった、ちなつちゃん」

あかり「こんどは、こんどはちゃんとするから……ちゃんとするから……」


結衣「あかり、指見つかった?」


あかり「……」


結衣「あかり?」

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