苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」 (486)

・ロンパ1のネタバレ有り
・のんびり書きます

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【教室】


苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」

桑田「ホントだな!?」

苗木「うん。当たり前じゃん、僕なんかが舞園さんとなんて……」

桑田「だよな! だよな!!」

山田「……」

葉隠「……」

大和田「……」

石丸「しかし苗木くん! 君は一昨日、舞園くんとデートしていたそうじゃないか! 不健全だぞ!!」

桑田「んだとお!?」

苗木「あ、あれは一緒に買い物行っただけだよ!」

桑田「おめー先週もそんなこと言ってなかったか!?」

苗木「そんなことないよ! ……たぶん」

ギャーギャー


舞園「え? 苗木くんと付き合ってなんていませんよ?」

霧切「本当に?」

舞園「はい」

セレス「一昨日、苗木くんとデートしているのを江ノ島さんが見かけたそうですが」

朝日奈「デート!? カップル確定じゃん!」

舞園「ち、違います! 一緒に買い物しただけですって!」

霧切「貴女、先週も苗木くんと出かけてたわよね」

舞園「そうですけど、友達と買い物に行くくらい普通じゃないですか」

霧切「ふぅん……」

舞園「あっ! 用事あるんで今日はこれで失礼しますね!」

朝日奈「あっ、うん。また明日ねー!」


【校門前】


舞園「ごめんなさい、ちょっと話が盛り上がっちゃって」

苗木「ううん、僕も今来たとこだから」

舞園「今日の髪型どうですか?」

苗木「うん、似合ってるよ」

舞園「そうじゃなくって!」

苗木「はは、ごめんごめん。大丈夫だと思うよ。普段とは雰囲気違うから、よほど注目されなければバレないと思う」

舞園「よかったあ」

苗木「でも本当に似合ってるよ」

舞園「ふふっ、ありがとうございます」


苗木「今日はどこ行く?」

舞園「あっ、私ケーキが食べたいです」

苗木「ケーキかあ。じゃあ喫茶店とかかな」

舞園「この雑誌のお店とかどうですか?」ペラッ

苗木「美味しそうだね。そこにしようか」

舞園「えっと、場所は……電車ですぐですね」

苗木「よし、行こう!」

舞園「はいっ!」


苗木(放課後に友達と遊びに行くなんて普通だよね)

苗木(僕と舞園さんは友達同士。そう、ただの、ちょっと仲のいい友達)

苗木(付き合ってるとか、恋人だとか、そんなんじゃないよ)

苗木(舞園さんは国民的アイドルだしね)


【喫茶店】


舞園「うわあ! このケーキすっごい美味しいです!」

苗木「本当に美味しいね、このお店」

舞園「来てよかったですね」

苗木「うん!」

舞園「……あっ」

苗木「ん?」

舞園「苗木くん、せっかくだし一口交換しませんか?」

苗木「そうだね、そうしようか」

舞園「じゃあ……はい、あーんっ!」

苗木「へっ!?」

舞園「どうぞ!」

苗木「いやいやいや」


舞園「美味しいですよ?」

苗木「そういう問題じゃなくってね!?」

舞園「友達同士で食べさせ合うなんて普通ですよ」

苗木「そ、そうかな……」

舞園「そうですよ」

苗木「じゃ、じゃあ……あむ」パクッ

舞園「どうですか?」

苗木「あっ、本当に美味しいね」

舞園「えへへ。じゃあ次は苗木くんのタルトをください」

苗木「うん」

苗木(あれ? この場合僕も舞園さんにあーんってやるべきなのかな?)


舞園「当然そうするべきですよ!」

苗木「あれ? 今口に出してた?」

舞園「エスパーですから」ニコ

苗木「ああ、それか……僕ってそんなにわかりやすいかなあ」

舞園「ええ。とっても」

苗木「あはは……はい、どうぞ」アーン

舞園「いただきますね……ん」パク

苗木「これも美味しいでしょ」

舞園「はい! 本当に、このお店に来てよかったですね」

苗木「ははっ、そうだね」

キャッキャ


江ノ島「……」

戦刃「ねえ盾子ちゃん」

江ノ島「……」

戦刃「あれ、苗木くんと……髪型変えてるけど舞園さんだよね?」

江ノ島「……」

戦刃「仲良さそう。デートかな?」

江ノ島「……」

戦刃「盾子ちゃん?」

江ノ島「なんで! あたしが! 行く先々にいんのよ!?」

戦刃「あっ、盾子ちゃんは一昨日も見かけたんだっけ」

江ノ島「当てつけか!? あたしへの当てつけなのか!!?」

戦刃「小声で怒鳴るって器用だね」

江ノ島「ああでも……心地よい絶望感……」ゾクゾク


戦刃「そういえば盾子ちゃん」

江ノ島「同級生がイチャついてるのを見せつけられるなんて……爆発すればいいと思います……」

戦刃「人類絶望化計画、進めないの?」

江ノ島「あー、あれね」

戦刃「そのために私を呼んだんだよね?」

江ノ島「あれ延期するわ」

戦刃「え?」

江ノ島「なんか苗木達がムカつくから、あいつらがくっ付いてからにする。その方が絶望するっしょ」

戦刃「くっ付いてから? えっ、あの2人付き合ってないの?」

江ノ島「らしいよー」

戦刃「??」

江ノ島「舞園は国民的アイドルだからね。恋愛はご法度なのさ」

戦刃「でもあれ、どう見ても……」


江ノ島「付き合ってないから! 友達だからセーフ! とでも思ってんでしょ、
本人達は」

戦刃「ふーん……」

江ノ島「だから残姉ちゃんにもチャンスあるかもね、うぷぷぷ」

戦刃「ひえっ!?」///

江ノ島「分かりやすすぎるんだっつーの」

戦刃「そ、そうかな……」///

江ノ島「誰でもいいから早く苗木とくっ付かないですかね。そうしたら絶望させてみせるのですが」

戦刃(大丈夫かな……盾子ちゃん飽きっぽいから、苗木くんが誰かと付き合う頃には人類絶望化計画とかどうでもよくなってそう……)

江ノ島「ふふふ、束の間の平穏を楽しむがいい! 苗木誠よ!」



舞園「ふふっ。私、苗木くんといい友達になれてよかったです」

苗木「あはは、僕もだよ」

苗木くんと舞園さんが無自覚にイチャイチャするだけのSSです

江ノ島さんを更生させてみた・スペランカー・タイムマシンもあなただったのか...

(コミュ障探偵に)救いはないんですか!

>>14
タイムマシンの書いてたら辛くなってきたんで苗舞で甘いの書き始めました

>>18
霧切さんはゲーム本編で大勝利じゃないですかやだー!


キーンコーンカーンコーン


舞園「なーえーぎーくんっ!」

苗木「お昼食べに行こうか、舞園さん」

舞園「はい!」

苗木「今日はどこで食べる?」

舞園「天気もいいし屋上なんてどうですか?」

苗木「えっ、屋上って開いてるの?」

舞園「普段は閉まってるんですけどね……」ゴソゴソ

苗木「??」

舞園「じゃーん! 屋上の鍵の複製です!」チャラ

苗木「えっ、不法侵入!?」

舞園「冗談です。天気がよければお昼だけ開放してるそうですよ」

苗木「ああ、なんだ……」


舞園「というか苗木くん、鍵を見ても気づかないんですね」

苗木「え?」

苗木(あれ? この鍵、どこかでよく見るような……)

舞園「寮の鍵です。苗木くんのもほとんど同じ形ですよ?」

苗木「あっ、確かに!」

舞園「ふふっ。苗木くんって純粋ですよね」

苗木「……舞園さんって意外といたずら好きだよね」

舞園「はい」ニコ

苗木「ははは……」

苗木(でもそうか、舞園さんの部屋の鍵か……)

苗木(舞園さんの……部屋の……)


舞園「……苗木くん、何か変なこと考えてないですか?」

苗木「か、考えてないよ!?」

苗木(何も考えてない何も考えてない何も考えてない)

舞園「本当ですか?」ジー

苗木「そ、そんなことより早く屋上行こうよ! いやあ、舞園さんのお弁当楽しみだなあ!」

舞園「もう……ちなみに今日はサンドイッチですよ」

苗木「へえ、屋上で食べるのにぴったりだね」

舞園「はい。昨日の夜に天気予報を見たら、今日はすごくいい天気だって言ってましたから」


ワイワイ


山田「何ですかアレは……何なんですかアレはあああ!!?」

セレス「ナチュラルに手作り弁当を用意していましたわね」

不二咲「仲いいんだねえ、苗木くんと舞園さん」

山田(何この純粋な子)

桑田「」

山田「おや? 桑田怜恩殿?」

桑田「」

セレス「静かだと思ったら息してませんわね」

霧切「」

セレス「って、貴女もですか……」ハァ


【屋上】


苗木「ご馳走さまでした!」

舞園「ふふっ、お粗末さまでした」

苗木「ふぅ、すごく美味しかったよ。ありがとう舞園さん!」

舞園「本当ですか? よかったあ」

苗木「美味しい物を食べてお腹いっぱいになるって幸せだね」

舞園「喜んでもらえて何よりです。来週は苗木くんの番ですからね?」

苗木「うっ……あんまり料理とかしないから期待しないでね……」


舞園「わかりました、すっごく期待してますね!」

苗木「ええ!?」

舞園「大丈夫ですって」

苗木「そうだといいんだけどね……」

舞園「友達と一緒に食べるなら、どんな物でも美味しく感じられますから」

苗木「舞園さん……」

舞園「でも手を抜くことは許しませんよ?」

苗木「はい、努力します」

舞園「よろしい!」


苗木「あー、なんだか……」

舞園「どうしました?」

苗木「お腹はいっぱいだし、天気はいいしで……」

舞園「??」

苗木「眠く……なってきた……」

舞園「ええ!? 苗木くんは私と一緒にいて眠くなるんですか!?」

苗木「いや、その……舞園さんの隣にいるとなんか安心する……し……」

舞園「……なら許します」

苗木「このまま放課後まで寝ちゃいたい気分だなあ……」

舞園「……」

苗木「ふわぁ……」

舞園「お昼休みが終わるまで、ですからね」

苗木「え……?」


舞園「授業が始まる前には起こします。それまでは寝てていいですよ」

苗木「ほんと……? ありが……と……」

舞園「……!」ビクッ

苗木「んん……」zzz...

舞園(す、すごく自然に肩にもたれかかってきましたね……)

舞園(ちょっとドキドキ、いえ驚いてしまいました)

舞園(まあ、これくらい友達同士なら普通ですよね)

舞園「んー……」

舞園「なんだか私もつられて眠くなってきました……」

舞園「……」

舞園「授業が始まる前に起きれば……いいかな……」

舞園「おやすみ……なさい……」

舞園「ん……」zzz


江ノ島「……」

江ノ島「あ、ありのまま今起こったことを話すぜ……」

江ノ島「私様は4時限目の授業をサボって屋上で寝ていたと思ったら、起きたら同級生の男女が寄り添いあって寝ていた……」

江ノ島「バカップルなんてチャチなもんじゃあ断じてねえ……」

江ノ島「もっと純粋でゲロ甘いものの片鱗を味わったぜ……」

江ノ島「……」

江ノ島「絶望的に壁殴りてえんだけど」

江ノ島「よーしっ! 腹いせに松田くんに本気で嫌がらせしよー!」



松田「……!?」ゾクッ

松田(な、なんだ今の寒気は!?)

ちなみに時期としては苗木くん達が入学した年の6月後半くらいです
ラブコメの引き出し少なすぎい

希望ヶ峰学園って秋入学らしいから9カ月以上たってね?

>>32
秋入学説とか初めて知りました…
ごめんなさい、後輩入ってくるのとか書けないんで4月入学設定で続けます


【空き教室】


桑田「ちーっす」

霧切「来たわね、桑田くん」

桑田「おう。話ってなんだよ?」

霧切「あら、言わなくてもわかるんじゃない?」


桑田(も、もしかして俺に告白!?)

桑田(そういえば霧切って顔はいいんだよなあ)

桑田(い、いや! 俺には舞園ちゃんが!!)

桑田(あーでもとりあえず彼女できるなら……)

桑田(きた! 俺にも春がきた!)


霧切「そう、苗木くんと舞園さんのことよ!」キリギリッ


桑田「……アポ?」


霧切「あなた、舞園さんのことが好きなのよね?」

桑田「な、なんで知ってんだ!?」

霧切「……もしかして隠してるつもりだったの?」

桑田「」

霧切「話を続けるわよ。私が苗木くんを遊びに誘うから、あなたには舞園さんを誘ってほしいの」

桑田「はあ? どういうことだよ?」

霧切「あの2人を引き離すのよ。私たちのどちらかが彼らを誘うのに成功すれば、もう片方も暇になるでしょう?」

桑田「!!」

霧切「そうすれば……」

桑田「あの2人を邪魔しつつ俺らはハッピー……!」

霧切「そういうこと。どうする?」

桑田「その案、乗ったぜ……!」

霧切「ふふふ……」


【放課後】


桑田「舞園ちゃーん! 2人で遊びに行かねー!?」

舞園「ごめんなさい、今日は用事があって……」

桑田「おう……そっか……」

舞園「じゃあ私はこれで」

桑田「お、おう……」

桑田(まあ用事があるなら仕方ないk――――)



苗木「ごめん霧切さん、今日はちょっと……」

舞園「苗木くーん! 行きましょう!」

苗木「あっうん! じゃあね、霧切さん!」バイバーイ

霧切「」

桑田「oh….」


桑田「ま、待ったああああ!」

苗木「ん?」

舞園「はい?」

桑田「え、えーと……2人でどっか行くの……?」

苗木「うん。映画を観にね」


霧切「!」ピコーン


霧切「それは奇遇ね苗木くん! 私も今日は映画を観たい気分だったの!」ズイッ

桑田「えっ、そうだったの?」


霧切『話を合わせなさい!』ゲシッ


桑田「ぐふっ!? そ、そういえば俺も映画観たいわー、めっちゃ観たいわー!」

苗木「はあ……」

霧切「というわけで!」

桑田「俺らもついて行っていいよな!?」


苗木「え、えっと……どうしよう、舞園さん……」チラッ

舞園「ついて来るのはいいんですけど……」

霧切「けど?」

舞園「今日カップル限定デーですよ?」

霧切「」

桑田「」

舞園「私たちは、その……ねっ……」///

苗木「カップルじゃないけど、お得だしいいかなって……カップルじゃないんだけどね!」///

舞園「で、でもでも! カップルに見えるようにしないといけませんね!」///

苗木「そっ、そうだね!」///

霧切「」グフッ

桑田「」ゴハァッ


桑田「……! じゃ、じゃあ俺と霧切がカップルってことで映画館行けば一緒に観れるんだよな!?」

苗木「うん、そうなるね」

桑田「よし霧g――――」



霧切「 ハ ァ ? 」ギロッ



桑田「」ビクッ

霧切「却下よ、却下。なんで私が桑田くんとカップルのふりをしなければならないのよ」

桑田「」

霧切「 絶 対 に あ り 得 な い わ 」

桑田「」

苗木(うわあ、桑田くん完全に固まってるよ……)


苗木「じゃあ……僕たちもう行くね……?」

霧切「ええ。今度は私も誘ってくれると嬉しいわ」

舞園「はい! ぜひ一緒に行きましょう!」

霧切「ふふっ、お願いね」

苗木「うん、じゃあね!」

舞園「それではまた!」

苗木「あっ、桑田くんもまたね!」

桑田「」


霧切「……」

霧切「ふ、ふふふ……」

霧切「先にあの2人が約束してることだってあるわよね……ふふ……」

霧切「これ(桑田)は使えないわね」

霧切「それに……」


舞園『はい! ぜひ一緒に行きましょう!』


霧切「……フェアじゃないのは駄目ね、やっぱり」

霧切「というわけで、この協力関係はなかったことにしましょう。それじゃ」スタスタ

桑田「」


――――

――


【映画館前】


舞園「あ、あの……その……」

苗木「どうしたの?」

舞園「手、繋いでた方がカップルに見えませんか……?」

苗木「……うん、そうだね」

ギュ

舞園「えへへ、なんだか照れますね」///

苗木「そ、そうだね」///

舞園「……」

苗木「……」

舞園「ま、まあ友達でも手ぐらい繋ぎますよね!」///

苗木「そうだよ! 普通普通!」///


受付「次の方どうぞー」

舞園「は、はい!えっと……あの……」///

苗木「か、カップル1組お願いします!」///

受付「はーい、かしこまりましたー」


舞園『か、カップルに見えるみたいですねっ!』ヒソヒソ

苗木『そ、そうだね! カップルのふりしてるだけなのにね!』ヒソヒソ


受付「ではお会計が――――」

受付(このカップル初々しいなー)ニヤニヤ


舞園「えへへっ」

苗木「ふふっ」

ギュー

どっかで見たような展開でごめんなさい
前に書いたのとできるだけ差別化させようとは思ってます…


「はい、オッケーでーす! 休憩入りまーす!」


【撮影スタジオ】


舞園「ふう」

舞園「……」

舞園「……」パカッ

舞園「……」

舞園「はぁ……」

アイドル「さーやかっ!」ガバッ

舞園「ひゃぁっ!?」

アイドル「んっふっふ、相変わらずいい反応ですなあ」

舞園「もう、飲み物こぼれたらどうするんですか……」

アイドル「ごめんごめん。そのときはあたしが丹念に拭き取ってあげるから!」

舞園「全力で遠慮させていただきますね」ニコ


アイドル「くうぅっ! さやかが冷たい!」

舞園「日頃の行いのせいじゃないですか?」

アイドル「うーむ……けどあたしはさやかへのセクハラを辞めないよ!」

舞園「他のメンバーにもしてるじゃないですか」

アイドル「あたしの本命はさやかだけだぜ」キリッ

アイドル(って、みんなに言ってるんだけどね)

舞園「へえ。みんなに言ってるんだ」

アイドル「なぬっ!?」

舞園「私、エスパーですから」

アイドル(さやか……聞こえますかさやか……)

舞園「なんですか?」


アイドル「こいつ……本当にあたしの心の声が……!?」

舞園「わかりやすすぎです。何年同じグループで活動してると思ってるんですか」

アイドル「えっへへー」

舞園「まあ……高校の友達にも同じくらいわかりやすい人がいますけどね」

アイドル「それって、さっきからさやかがメール来てないか確認してはため息吐いてる人?」

舞園「なあっ!?」///

アイドル「さやかも実は結構わかりやすいよねー」

舞園「えっ、嘘、そんなことは……」

アイドル「最近調子いいもんねー。男か? 男なのか? ていうか彼氏か!?」

舞園「たっ、ただの友達です!」///


アイドル「いやあ、青春してるねえ」ニヨニヨ

舞園「もう、そんなんじゃないですって。男の人ですけど、本当にただの友達ですよ」

舞園(ただのっていうか、仲のいい友達っていうか……)

アイドル「男友達……つまりボーイフレンド……!」

舞園「違いますってば! 苗木くんとはそういう関係じゃないです!」///

アイドル「ほほう、苗木くんというのか」ニヤリ

舞園「……」

アイドル「ふふふ……」ニヤニヤ

舞園「あー、飲み物がなくなってしまいましたー。ちょっと取ってきますねー」

アイドル「大丈夫大丈夫、誰にも言わないから!」

舞園「もう……」


アイドル「その苗木くんとやらのことを考えてるから、休憩のときはよくうわの空になってるわけだ」

舞園「えっ、そんなことなくないですか?」

アイドル「なくなくない! さやかが気づいてないことまであたしには全部まるっとお見通しなわけよ」ニシシ

舞園「うぅ……」///

アイドル「でも、まあ……」

舞園「なんですか……」

アイドル「バレんなよ? スキャンダルは駄目だぞー」ニヤニヤ

舞園「大丈夫ですよ。ただの友達ですから」

アイドル(実際がどうであれ、そう見られたらアウトなんだけどね……けど……)

アイドル「まっ、あたしは応援してあげるから!」

舞園「だから、そんなじゃないです!」///


【苗木の部屋】


苗木「……」

苗木「……」パカッ

苗木「……」カチカチ

苗木「うーん……」

苗木「はあ……」パタン


苗木(舞園さん、用もないのにメールしたら迷惑だよなあ)

苗木(今は撮影中だろうし……)

苗木(けど友達なんだからメールするくらい普通だよな?)

苗木(いやでも……うーん……)


苗木「まあいっか、週明けにはまた会えるし」

苗木「はあ……」

――――

――


舞園(苗木くん、今なにやってるかなあ……)

http://i.imgur.com/4OzfMRt.jpg



ピンポーン

苗木「ん……」

ピンポーン

苗木「あれ……いつの間にか寝ちゃってた……」

ピンポーン

苗木「はーい……ふわぁ……」

ガチャ

苗木「どちら様ですかぁ……」

舞園「あっ、ごめんなさい、もしかして寝てました?」


苗木「あー、舞園さんだぁ……」ボー

苗木「……」

苗木「……舞園さん!?」

舞園「はい。舞園ですよ」

苗木「えっ、ど、どうしたの突然!?」

舞園「撮影が終わって、今帰ってきたとこなんです」

苗木「ああ。お疲れさま」

舞園「ふふっ、ありがとうございます」

苗木「それで、どうして僕の部屋に?」

舞園「うーん……なんででしょうね?」

苗木「えっ?」


舞園「なんとなく会いたくなったから……じゃ、駄目ですか……?」

苗木「ええっ!?」///


舞園(あの子がからかうから苗木くんに会いたくなったんですけど……)

舞園(うぅ……変なこと言われたせいでちょっと意識しちゃいますね……)ドキドキ///

舞園(け、けど! 私と苗木くんはそういう関係じゃありませんからね!)

舞園(友達の部屋に遊びに来るなんて普通です! 普通なんです!)


舞園「そ、その! 一日中撮影してたから、少し遊びたくって!」

苗木「ああ、そ、そういうことね! わかってたよ、うん!」


舞園「というわけでお邪魔しまーす!」

苗木「はいはい、いらっしゃいませ」

舞園(そ、そういえば苗木くんの部屋に入るのって初めてですね……)

苗木「遊ぶって言ってもトランプくらいしかないけどいい?」

舞園(何気なくベッドに座っちゃいましたけど……)

苗木「舞園さん?」

舞園(べ、ベッドに腰掛けるのははしたなかったでしょうか……)

苗木「おーい、舞園さーん?」フリフリ

舞園「ひゃいっ!?」///


苗木「え、えっと、トランプくらいしかないけどいいかな?」

苗木(ひゃいって……今の可愛かったな……)

舞園「うぅ……ありがとうございます……」///

苗木「えっ?」

舞園「あっ、その、ババ抜きやりましょうババ抜き! エスパーの本領発揮ですよ!」

舞園(もう、苗木くん本当にわかりやすいんだから……)///

苗木「じゃ、じゃあトランプ配るね!」

苗木(可愛いって声に出しちゃってた!? い、いや舞園さん実際に可愛いからね、そう言うくらい普通だよね!)

――――

――


苗木(そして、もちろん僕はことごとくジョーカーの位置を見破られ、大敗したわけだけど……)



舞園「……」

苗木「舞園さーん」

舞園「……」

苗木「舞園さーんー」

舞園「んぅ……」

苗木(どうしよう、舞園さんが寝落ちした……)

舞園「ん……」zzz

苗木(一日中撮影だったし、疲れてたんだろうなあ)


舞園「……」モゾ

苗木「……まあ、僕は床で寝ればいいか」

苗木「なんだか小学生ときに友達とやったお泊り会を思い出すなあ、ははは」

苗木「はは……」

苗木「……」


苗木(意識するな、意識するな、意識するな……)

苗木(舞園さんはただの友達、舞園さんはただの友達、舞園さんはただの友達
……)

苗木(……)


苗木「だめだ、まったく眠れる気がしない……あはは……」トオイメ

舞園「むにゃ……えへへ……」zzz

現実逃避にSSとか書いてたらこんな時間になっちゃって絶望的ぃ!舞園さん難しい!

>>65の絵って自分で書いたの?
絵の雰囲気が原作っぽくて好き

>>77
ありがとうございます!
描いてみました。舞園さんはなかなか雰囲気似せるのが難しかったです


【7月1日】


ザァー


苗木「雨かあ……」

舞園「苗木くんは嫌いですか、雨?」

苗木「うーん、そうだね。晴れの方が好きかな」

舞園「私は結構好きですよ。雨音聴いていると落ち着くんです」

苗木「あっ、それはちょっとわかるかも」

舞園「さすがに毎日雨だとやっぱり太陽が恋しくなりますけどね」

苗木「梅雨、早く明けるといいね」

舞園「はい」


苗木「ところで……」

舞園「……」

苗木「どうしようね、この雨……」


【駅前】

ザァー


舞園「電車降りた途端降り出しましたね……」

苗木「傘持ってる……?」

舞園「いいえ……」

苗木「うーん……」チラッ


コンビニ『傘売り切れ』


舞園「今日は久しぶりに晴れるって言ってたんですけどね」

苗木「まあ、天気予報は外れることもあるよ」

舞園「そうですね」

苗木「うん」

舞園「……」

苗木「……」


ザァー


舞園「雨、止みそうにないですね……」

苗木「うん……」

舞園「タクシーも並んでますし……」

苗木「これだけ雨降ってると希望ヶ峰まで走るわけにもいかないな……」


舞園「どこかお店入ってましょうか」

苗木「そうだね……あっ、あの喫茶店とかどう?」

舞園「良さそうですね。行きましょうか」

苗木「あ、けどあそこまで行くのにも傘がないと……」

舞園「これくらいの距離なら走れば大丈夫ですよ!」

苗木「僕は大丈夫だけどさ……」

苗木(舞園さんは風邪引いたらまずいよね……)


舞園「ほら行きますよっ!」グイッ

苗木「わっ! 舞園さん!?」

舞園「急げーっ!」

苗木「はは……もう……」


タッタッタ


苗木(舞園さんに手を引かれて走る)

苗木(雨が冷たい分、繋いだ舞園さんの手がとても熱く感じられた)


苗木「あったかいな……」ボソ

舞園「何か言いました?」

苗木「ううん。それより早く行こう!」

舞園「はいっ!」


苗木(舞園さんの手、暖かいな……)


タッタッタ…


【喫茶店】

カランカラン

イラッシャイマセー


苗木「はあ、はあ……」

舞園「ふう……やっぱり少し濡れちゃいましたね」

苗木「っ! う、うん……」フイッ

舞園「どうしました?」

苗木「いや、その……」

舞園「苗木くん? なんで目を逸らすんですか?」

苗木「えっと……制服が……」

舞園「制服ですか?」


苗木「雨で……透けて……」///

舞園「えっ!?」///

苗木「……」

舞園「うぅ……」///

苗木「その……ごめん……」

舞園「……見ました?」

苗木「み、見てないよ!?」///

苗木(ちょっと見えそうになったけど! すぐ目を逸らしたから!)

舞園「……」ジィー

苗木「本当だって!」

舞園「はぁ……なら信じます」

苗木「あ、あはは……」


舞園「それより何か注文しましょう。ちょっとお腹すいちゃいました」

苗木「そうだね。えっと、メニューは……」パラ

舞園「あっ見てください! 7月限定メニューですって!」

苗木「へえ、美味しそうだね!」

舞園「どれにしようかなぁ」

苗木「7月か……」

舞園「苗木くん?」

苗木「いや、今日から7月なんだって思って」

舞園「希望ヶ峰に入ってそろそろ3ヶ月ですね」

苗木「だね」


苗木(確か……舞園さんの誕生日って7月7日だっけ……)

舞園「覚えててくれたんですか? ありがとうございます!」

苗木「へっ?」

舞園「ふふっ、だって私――――」

苗木「エスパーだから?」

舞園「……!」

苗木「はは、ちょっとわかるようになってきたかも」

舞園「うぅ……苗木くんに決め台詞取られました……」

苗木「えっ!? ご、ごめんね……?」

舞園「なーんてね。冗談です」

苗木「冗談だったの!?」

舞園「えっへへー!」


苗木「ところで舞園さんって7日は空いてる?」

舞園「なんでですか?」

苗木「桑田くんがさ、舞園さんの誕生日にパーティやりたいって言ってたんだ」

舞園「えっと……ごめんなさい、確かラジオ番組に出る日ですね……」

苗木「そっか……」

舞園「また来年、楽しみにしてますね!」

苗木「うん!」


舞園「あっ、このパフェ美味しそうじゃないですか?」

苗木「……これ大きくない?」

舞園「2人で食べるから大丈夫ですよ。すみませーん!」


ゴチュウモンドウゾー


苗木「えっ僕も食べるの!?」

苗木(て、ていうかこれカップル用のパフェなんじゃないの!? ねえ!?)///


――――

――


ザァー


舞園「雨、止みませんね……」

苗木「どうしよっか……」


カランカラン


舞園「あれ?」

苗木「あっ、あれは……」

朝日奈「あっ! 舞園ちゃんに苗木じゃん!」

大神「奇遇だな……」

舞園「朝日奈さんに大神さん!」

苗木「どっか行った帰り?」

朝日奈「うん! ちょっとプロテインとドーナツ買いにね!」


舞園「買い物にしてはずいぶん遅くまでかかったんですね」

朝日奈「いやあ、それがねえ……」

舞園「?」

大神「良い河川敷を見つけてな。しばらく走っていた」

朝日奈「えへへ~」

苗木(な、なんていうかこの2人らしいな……)


朝日奈「2人はもう希望ヶ峰に帰るとこ?」

苗木「あー、そうしたいとこなんだけど……」

舞園「傘を持ってないから、雨宿りしてたんです」

苗木「なかなか止まなくてさ」


朝日奈「あっ、じゃあ私の傘貸そうか?」

舞園「えっ? いいんですか?」

朝日奈「うん! 私はさくらちゃんの傘に入れてもらって帰るよ!」

大神「そうだな。それがいいだろう」

苗木「本当に!? ありがとう!」

朝日奈「いいっていいって!」

苗木「これで帰れるね。傘は舞園さんが使ってよ、僕はパーカーあるし」

舞園「えっ、一緒に入ればいいじゃないですか?」

苗木「ええっ!? で、でもそれは……」


朝日奈「おっ! 苗木は相合い傘に照れてるのかな~?」ニヤニヤ

苗木「そ、そういうわけじゃ……」

朝日奈「それくらいしなよ! デートなんだから!」

舞園「で、デートじゃないです!」

苗木「デートじゃないからね!?」

朝日奈「えっ、違うの?」

舞園「違いますよ……苗木くんとは、その……」チラッ

苗木「……」

舞園「ただの……仲のいい友達ですから」

苗木「……そうだよ」

大神「……」

朝日奈「ええー? でもどう見ても――――」

大神「朝日奈」


朝日奈「さくらちゃん?」

大神「そろそろ席につこう」

朝日奈「あっ、そうだね! それじゃ!」

苗木「あ、うん」

舞園「傘ありがとうございますね!」

大神「苗木よ」

苗木「なに?」

大神「……いや、なんでもない。ではな」

苗木「? 行こうか、舞園さん」

舞園「はい!」


――――

――


舞園「苗木くん、もっとこっち来ないと濡れちゃいますよ?」

苗木「ぼ、僕は大丈夫だよ」

舞園「だーめーでーすっ」グイッ

苗木「うわあっ!?」


苗木(朝日奈さんの傘は、女の子らしく小さめで……)

苗木(2人で入るには相当密着する必要があって……)

苗木(なので、今は舞園さんと腕を組んで傘をさしているわけで……)

苗木(なんていうか、その……)


舞園「暖かいですね!」ニコ

苗木「そ、そうだね」


苗木(たまには雨もいいかもなあ……)


舞園「たまには雨もいいですよね」

苗木「!?」

舞園「ふふっ、エスパーですから!」

苗木「……うん。たまになら、雨もいいね」

舞園「でしょう!」

変に意識しだす苗木くんと鋭いさくらちゃんでした


【美術の授業】


『ちょっとヨーロッパ行ってきます。好きに絵を描いててください』


苗木「希望ヶ峰って変な先生多いよね……」

舞園「あはは……」

苗木「好きに描いててって言われてもなあ」

舞園「苗木くんは何を描きます?」

苗木「うーん、どうしようかな。舞園さんは?」

舞園「私は……人物画ですかね……」

苗木「人物画?」

舞園「ええ。苗木くんも一緒にどうですか?」


苗木「そうだね。一緒に描こうか」

舞園「はい! じゃあ私は苗木くんを描きますから、苗木くんは私を描いてくださいね!」

苗木「うん! ……うん?」

舞園「どうかしました?」

苗木「えっ、舞園さん僕を描くの!?」

舞園「はい。せっかくだしお互いに描くのがよくないですか?」

苗木「そう、なのかな……?」

舞園「そうですよ! ほら、始めますよ!」

苗木「あっ、うん!」


苗木「……」

舞園「……」カキカキ


苗木(それにしても……)ジー

苗木(やっぱり舞園さん、綺麗な顔してるなあ)

苗木(目はぱっちりしてるし)

苗木(肌は透きとおってるし)

苗木(それに、その……唇は色っぽいし……)

苗木(……)

苗木(なんていうか……)

苗木(ずっと、友達として近くにいたいな……)


舞園「あ、あの……」

苗木「ん? どうかした?」

舞園「そんなに見つめられると……恥ずかしいんですけど……」///

苗木「あっ! ご、ごめん!」///


舞園「いえ、いいんですけど……顔に何かついてました……?」///

苗木「そ、そういうわけじゃなくて……ごめんね!」

苗木(ずっと顔見て綺麗だなって思ってたこと舞園さんにバレてないよね!?)

苗木「ちょっと休憩しよう、うん! それじゃ!」ダッ

舞園「あっ苗木くん……」

舞園「行っちゃった……」

舞園「……」


舞園(別に、見つめてくれててもいいんだけどな……)


――――

――


山田「ふっふっふ」

桑田「す、すげえ……」

大和田「これは……すげえな……」

山田「美術の時間といえばこの『超高校級の同人作家』である拙者の独壇場ですな!」フンスー!

苗木「なになに? どうしたの?」

山田「いいところに来ましたな苗木誠殿! 『性の向こう側』をテーマに絵を描いたのですぞ!」ハァハァ

苗木「ああ、そういう……はは……」

石丸「風紀が……風紀が乱れているッ……!!」

大和田「兄弟、たまには素直になろうぜ」

石丸「くっ、僕は……くううう……!」


葉隠「なあ、それ1枚いくらくらいで売れるんだ?」

山田「売値ですか? ふーむ、ネットオークションに出せば3万円ほどですかねえ」

葉隠「まじで!?」

山田「まあ、ばらつきはありますが」

葉隠「山田っち。俺と手を組んで一儲けしないか?」キリッ

山田「一儲け……だと……? めっちゃ許せん! 拙者はそのような目的で絵を描いているわけではないですぞ!」


ギャーギャー


十神「……ふん、くだらん」

苗木(十神くんもガン見してたけどね……)


舞園「どうしたんですか? みんな集まって」ヒョコ

苗木「!!」

桑田「!?」

舞園「山田くんの絵、そんなにすごいんですか?」

苗木「い、いやちょっと雑談が盛り上がってね! ねっ!」

桑田「そうそう! お、俺らもそろそろ戻って自分の描くか!」

苗木「う、うん! ほら行こう、舞園さん!」

舞園「え? は、はい」


桑田(危なかった……あんな絵を見てるってバレたら舞園ちゃんに嫌われるとこだったぜ……)

桑田(てか苗木はナチュラルに舞園ちゃんとお互いを描いてるのかよ! くそっ羨ましい!!)


苗木「ごめんね、休憩長くなっちゃって」

舞園「いえいえ。よーし、苗木くんの続き描きますよ!」

苗木「そういえば今どこまで描けてるの?」

舞園「あっ、見ちゃダメですよ! まだ完成してないんですからっ!」

苗木「ええー、気になるんだけど……」

舞園「だーめーでーすっ!」

苗木「はは、じゃあ完成を楽しみにしてるよ」

舞園「ええ! あっ、苗木くん動かないでください!」

苗木「はーい。さて、僕も描くか」


苗木(でも……)チラッ

舞園「……」サッサッ

苗木(僕ももう少し絵がうまければなあ……)ハァ

舞園「どうかしましたか?」

苗木「ううん、なんでも」

舞園「ふふっ。可愛く描いてくださいね?」

苗木「はは……努力するよ……」

舞園「私もかっこよく苗木くんを描きますから!」

苗木「普通でいいからね!?」


舞園「うーん……」

苗木「どうしたの?」

舞園「いえ、その……苗木くん描いてて思ったんですけど……」

苗木「うん」

舞園「苗木くんの髪型って、どうなってるんですか……?」

苗木「髪型?」

舞園「はい。特にそのぴょこんと飛び出したところなんですけど」

苗木「あー、気にしたことなかったな」

舞園「そうだ! 触ってみてもいいですか?」

苗木「うん、いいけど」

舞園「じゃあ失礼しますね……!」スッ


舞園「……」ツン

苗木「……」

舞園「……」ツンツン

苗木「……」

舞園「……」ツンツンツン

苗木「……あの、舞園さん?」

舞園「くせ毛、ですかねえ……?」

苗木「あ、あの……」


苗木(近い……)

苗木(しかも、その……)

苗木(体勢的に胸のあたりが目の前に……)///


舞園「なるほど、こうなってたんですね! 描けそうです!」ツンツンツンツン

苗木「いつまでつついてるの!?」///


霧切「……」

セレス「霧切さんは何を描いているのですか?」

霧切「あれよ」

セレス「ああ……苗木くんのアンテナをつつく舞園さん、ですか」

霧切「微笑ましいわよね」

セレス「ええ、まあ」

霧切「ふふ。苗木くんったら、舞園さんの胸を凝視しちゃって」

セレス「……貴女はあそこにいなくていいんですか?」

霧切「何のことかしら?」

セレス「……」


霧切「それにしてもあのアンテナ、どういう構造になっているのかしら……つついてみたいわね……」

セレス「それは確かに」

戦刃(わたしもつつきたいなあ、苗木くんの髪……)



桑田「はっ!? もしや俺もアホ毛を生やせば舞園ちゃんにつついてもらって親しくなれる!?」

山田「そんなわけないでしょう常識的に考えて……」


――――

――


【舞園の部屋】


舞園「無理を言って苗木くんと絵を交換してもらっちゃいました」

舞園「えへへ、嬉しいなあ」


舞園(正直、上手な絵ではありません)

舞園(けど苗木くんは頑張って描いてくれました)

舞園(一生懸命、私を描いてくれました)


舞園「ふふ……すごく嬉しい……」

舞園「ありがとうございますね。苗木くん」

舞園「私の絵も、喜んでもらえてるといいなあ……」

舞園「……」

舞園「苗木くん……」

間空いてすみません…もう片方も近日中には…
微妙な距離感のじれったい感じがもうしばらく続きます。たぶん

彼氏いてほしくない発言はアイドルである舞園さんのファンとしての気持ちじゃないですかねえ


【苗木の部屋】


苗木「明日は舞園さんの誕生日か」

苗木「ラジオの収録あるって言ってたけど……」

苗木「……」

苗木「プレゼント渡すくらいの時間はあるよね」

苗木「……」

苗木「何を買おうかな……」

苗木「舞園さん、何をあげたら喜んでくれるかな……」


ピンポーン


苗木「ん?」


ピンポーン


苗木「はーい」ガチャ

桑田「苗木! 舞園ちゃんの誕生日プレゼント買いに行こうぜ!」


苗木「えっ?」

桑田「お前よく舞園ちゃんといるだろ? 喜んでくれそうなプレゼント知ってんだろ!?」

苗木「いやあ、わからないかな……」

苗木(知ってたら悩まないよ……)


桑田「なん……だと……!?」

苗木「けど僕も今からプレゼント買いに行こうと思ってたんだ。一緒に行く?」

桑田「んー、そうだな……とりあえず行くか!」

苗木「うん。準備するからちょっと待ってて」

桑田「おう!」


【雑貨屋】


桑田「なあなあ、これとかどうよ?」

苗木「なにこれ? Tシャツ?」

桑田「お前ヤス・シシド知らねえの!?」

苗木「知らないよ……うーん、そんなに好きじゃなさそうかな」

桑田「そうか……あっ! じゃあこれは!?」

苗木「プロジェクトゾンビ……」

桑田「これすげー面白そうじゃね!?」

苗木「……桑田くん、さっきから自分が欲しいものばっか選んでない?」

桑田「うっ……」ギク

苗木「舞園さんがもらって嬉しいものを選ばなきゃ」

桑田「だってよ……今まで女にプレゼントやったこととかねーし……」

苗木「え? そうなの?」

苗木(なんか意外だな……)


桑田「何もしなくても寄ってきたからな」

苗木「ああ……」

桑田「いつもみたいにはいかないんだよなあ、舞園ちゃん」

苗木「そっか。頑張ってね」

桑田「……」

苗木「どうしたの?」

桑田「いや、俺を応援しちゃダメだろ。ライバルなんだからよ」

苗木「へっ?」

桑田「お前も舞園ちゃん狙ってるんだろ? 今はちょっとリードされてっけどさ」

苗木「いやいやいや、そんなことはないよ。舞園さんとは……ただの友達だし……」

桑田「あんだけ一緒にいてただの友達って無理があんだろ!?」

苗木「本当に何もないって。だって舞園さんはアイドルだよ? 恋愛禁止じゃないか」


桑田「じゃあお前、舞園ちゃんのこと好きじゃねーの?」

苗木「好きだよ。友達としてね。あとファンとしても」

桑田「そうじゃなくてよー、恋愛的なよー」

苗木「……そういう気持ちはないよ」

桑田「ふーん。じゃあ俺が舞園ちゃんに告ってもいいわけ?」

苗木「僕が決めることじゃないし……告白するの?」

桑田「いや、もうちっと好感度稼いでからだけどさ」

苗木「……」

桑田「あっ! プレゼントこれとかどうよ!?」

苗木「いやそれはないでしょ!?」



店員(あの髪赤い方、高校野球の桑田くんよね)

店員(さっきからちっこい方の男の子にプレゼント贈ろうとしては拒否られてる……)

店員(そっか、あっち系の人だったのね……!)


【舞園の部屋】


朝日奈「はい、舞園ちゃん! 1日早いけど誕生日おめでと!」

舞園「美味しそうなドーナツですね、ありがとうございます!」

大神「我と朝日奈で作ったものだ。口に合うと良いが」

舞園「手作りなんですか!? すごい!」

霧切「私とセレスさんからはこれよ」

舞園「わあ、かわいいお人形! ありがとうございますね!」

セレス「本当は明日渡せればよかったのですけど」

舞園「ご、ごめんなさい……収録が遅くまでかかりそうで……」

霧切「いいのよ。むしろごめんなさいね、前日に渡すことになってしまって」

舞園「いえ、本当にありがとうございます!」


朝日奈「でも残念だよねー、苗木と誕生日過ごしたかったでしょ?」

舞園「え?」

霧切「……!」

セレス「……」

朝日奈「え? 舞園ちゃんって苗木といい感じなんだよね?」

舞園「ち、違います! ただの友達ですよ!」///

朝日奈「またまたー!」

大神「朝日奈よ。舞園は否定しているぞ」

朝日奈「えー、でもどう見ても……」

大神「苗木とはただの友人。それでよいのだな?」

舞園「それは……」


大神「……」

舞園「……はい」

大神「そうか」

霧切「でも貴女、苗木くんのこと好きなんでしょう?」

舞園「ええ!?」

霧切「アイドルだから恋愛はご法度なんでしょうけど……私は応援するわよ?」

舞園「だ、だからそういうのじゃないですってば!!」///

霧切「ふふっ。顔を真っ赤にして言っても説得力ないわね」

舞園「~~っ!!」///

セレス「……素直じゃありませんこと」ハァ…

桑田いいとこないからなんか出番あげようとしたらさらに可哀相なことになってしまった
舞園さん誕生日前の溜め回でした

乙 つまり次回は誕生日回ってことか 期待してる
あとそれぞれの同性との絡みがいいね こういうのもっと見たい


【七月七日】


大和田「おう兄弟。なんて書いたよ?」

石丸「風紀が乱れませんように、だ!」

大和田「ははっ、兄弟らしいな」

石丸「そういう兄弟はなんと書いたのだ?」

大和田「俺はこれよ」ピラッ


『兄弟と不二咲の願いが叶いますように』


石丸「こ、これは……!?」

大和田「へへっ」

石丸「うおおおお兄弟!! 僕は今感動しているぞおおお!!!」

大和田「よせよ、照れるじゃねえか」

不二咲「ぼ、僕は強くなれますようにって書いたよ!」

大和田「おっ! 叶うといいな!」

不二咲「うん! えへへっ」


大和田(かわいい……)

山田(かわいいですな……)ハァハァ


ゴッ!


山田「ギニャアッ!?」

苗木「た、竹が倒れた!? 山田くん大丈夫!?」

山田「うぅ……ここ、どこ……?」

苗木「や、山田くん!」

山田「あぁ……そうか……思い出した……」

苗木「しっかりして! 頑張ってよ!」

山田「ちーたんは……天使……」ガクッ

苗木「山田くん!!?」

石丸「むっ? 今どこかで風紀が守られたような気が……」


山田「」

大神「山田は我が保健室に運んでおこう」

苗木「う、うん、お願いするね」

葉隠「いやあ、あれは痛そうだったなあ」

桑田「この竹でけえもんな」

葉隠「つーか、こんなでかい竹で七夕だなんてさすが希望ヶ峰だべ!」

十神「勘違いしているようだな、愚民め」

葉隠「はあ?」

桑田「ああ?」

十神「この竹は俺が用意した。感謝するがいい」

腐川「さすがです白夜さまあああ!!!」

葉隠「……十神っちって、頭いいけどたまに子供みたいだよな」

十神「な、なんだと貴様!?」

腐川「白夜様に何言ってるのよ! は、廃棄寸前の便所タワシみたいな頭してるくせに……!」グギギ


ギャーギャー


桑田「で? 苗木は短冊になんて書いたんだよ?」

苗木「みんなともっと仲良くなれますように、かな」

桑田「うわっ、普通すぎんだろ……」

苗木「べ、別にいいじゃないか!?」

桑田「ちなみに俺はだな……」

苗木(だいたい予想はつくけどね……)


『舞園ちゃんと仲良くなれますように! あわよくば付き合えますように!』


桑田「へへん!」ドヤァ

苗木「ああ、やっぱり」

桑田「反応うっすいなおい!?」

苗木「あはは……けどダメだよ、桑田くん」

桑田「何が?」

苗木「前も言ったけどさ、舞園さんはアイドルなんだから、誰かと付き合うのは……」

桑田「お前それ本気で……まあいいや、とりあえず短冊括りつけようぜ」


苗木「うん。あっ、竹が倒れてる今なら上の方につけられるかな?」

桑田「確かに! てっぺんもーらいー!」ダッ

苗木「あっ桑田くん!」

苗木「行っちゃった……」

苗木「……」

苗木「別に、1人1枚とは言われてないしね」


『舞園さんと、ずっと友達でいられますように』


苗木「……」

苗木「今日、舞園さんの誕生日なんだよなあ」

苗木「何時に帰ってくるんだろ」

苗木「舞園さん……」


【楽屋】


舞園「……」

舞園「……」

舞園「うーん……」

アイドル「……」ソロー

舞園「はぁ……」

アイドル「さーやっかーっ!!」ガバッ

舞園「ひゃああっ!?」///

アイドル「ん、あれ? さやかもしかしてまた育った?」

舞園「は、離れなさいっ!」///

アイドル「あはは、ごめんごめん!」

舞園「もう……」サッ

アイドル「……!」


舞園「で? なんの用ですか?」

アイドル「いやあ、特に用はなかったはずなんだけどさー」

舞園「……」

アイドル「今隠したのは何かなーって思いました!」

舞園「……ただの七夕の短冊ですよ」スッ

アイドル「短冊?」

舞園「希望ヶ峰で竹に吊るすんです」

アイドル「へえー。どれどれ……」


『みんなと楽しく過ごせますように』


アイドル「なーんだ、苗木くんとやらのこと書いてないじゃん。つまんないのー」

舞園「なっ、なんで苗木くんの名前が出てくるんですか!」///

アイドル「ふふん! 女の勘ってやつよ!」


舞園「見事に外れてますけどね、女の勘」

アイドル「ぐっ……やりおる……!」

舞園「もう。バカなこと言ってる間に休憩終わっちゃうじゃないですか……」

アイドル「あーほんとだ、ごめんごめん」

舞園「さて、行きましょうか」

アイドル「うん!」

舞園(……)

舞園(……1枚だけとは、言われてませんからね)


『苗木くんにこの気持ちを伝えてしまいませんように』


アイドル「んじゃ、張り切っていこうかー!」

舞園「はいっ!」


――――

――


【希望ヶ峰学園】

【22:00】


舞園「ん……」

舞園「ふう……」

舞園(これだけ上の方に吊るせば、見られませんよね)


苗木「舞園さん?」

舞園「ひあっ!?」グラッ

苗木「ちょ、ちょっと大丈夫!?」

舞園「な、苗木くん? ああ、びっくりした……」

苗木「もう、脚立に上るなら誰かに支えてもらわないと……」

舞園「そうですね、次からは気を付けます。そのまま支えててくれますか?」

苗木「うん」


舞園「……」カツン、カツン

苗木「……」

舞園「み、見ないでくださいね……?」カツン

苗木「えっ?」チラッ

舞園「あー! 見ないでくださいってば!?」///

苗木「あっ、ご、ごめんっ!」///

舞園「ううぅ……」///

苗木「く、暗くて何も見えてないからね!」

舞園「本当ですか?……よいしょっ」タッ

苗木「本当だよ。おかえり、舞園さん」

舞園「はい。ただいまです」ニコ

苗木「……!」ドキ


舞園「苗木くん?」

苗木「あ、いや……そ、そういえばさ……」

舞園「はい?」

苗木「あの、さ……えっと……」

舞園「??」

苗木「これから時間ある……?」

舞園「今から、ですか?」

苗木「うん。せっかくの誕生日だし、ケーキ食べない? 花村先輩に用意してもらったんだ」

舞園「ええっ、本当ですか! ぜひ食べたいです!」

苗木「よかったあ。食堂にあるんだ、行こう」

舞園「はい!」


【食堂】


「「「誕生日、おめでとー!!!」」」


舞園「……ええええ!?」

朝日奈「はは、驚いた?」

舞園「こ、こんな時間に何を……」

セレス「せっかくの誕生日ですから。やはり当日に祝わないと」ニコ

霧切「驚いていただけたかしら?」

舞園「ええ、とっても驚きましたよ!」

苗木「ほら舞園さん、お祝いの返事は?」

舞園「……ありがとうございますっ!」

桑田「舞園ちゃーん! ケーキ! ケーキのろうそく吹こうぜ!」

舞園「はーい!」

苗木「ふふっ」


江ノ島「……」

戦刃「みんな、楽しそうだね」

江ノ島「……」

戦刃「盾子ちゃん?」

江ノ島「今あのケーキを蹴り飛ばしたら、みんな絶望するかなあ」

戦刃「正体バレちゃうよ?」

江ノ島「わかってますよーだ」

戦刃「もう……」

江ノ島「あーあ、このまま勢いで苗木のやつ舞園に告んねーかなー。そしたら幸せの絶頂で絶望に叩き落としてやるのになー」

戦刃「……」

朝日奈「あっ、江ノ島ちゃんもケーキ食べなよー!」

江ノ島「はーい! 食べる食べるー!」タッタッタ

戦刃「……わたしもケーキ食べよ」

今さらだけどオリキャラっぽいの出ててすまん
イチャラブ書きたくて始めたのに苗木にちょっと自覚させたせいで甘くならない…
誕生日はもうちょい続きます

>>137
ありがとうございます!
できるだけ苗木舞園以外も話に絡めていこうと思ってます

江ノ島「苗木と舞園の願い事が叶いませんように」


【23:30】


舞園「結構な時間になりましたね」

苗木「ごめんね、少しだけのはずだったんだけど……」

舞園「いえ! とても楽しかったですよ!」

苗木「そう言ってくれると嬉しいよ」

舞園「苗木くんがみんなに声をかけてくれたんですか?」

苗木「……なんでそう思うの?」

舞園「女の勘です」

苗木「ええー何それ! 合ってるけどさ!」

舞園「ありがとうございますね」

苗木「どういたしまして」

舞園「ふふ」

苗木「ところで、さ……」

舞園「はい?」

苗木「もう少し、付き合ってもらえるかな?」


舞園「もう結構遅いですけど……」

苗木「そんなに時間はかからないよ。ちょっと渡したい物があるんだ」

舞園「それって、もしかして……誕生日プレゼントですか?」

苗木「うん」

舞園「本当ですか! わあ、嬉しい!」

苗木「じゃあこっそり屋上行こうか」

舞園「えっ、屋上って閉まってますよね?」

苗木「そうなんだけどね……」ゴソ

舞園「……?」

苗木「ほら、屋上の鍵の複製」チャラ

舞園「ええー!?」

苗木「いつかのお昼みたいだね」

舞園「あの時とは逆ですけどね」

苗木「あはは、確かに。行こう」

舞園「はい!」


江ノ島「……あれ? 苗木と舞園いなくない?」

戦刃「本当だ。どこ行ったんだろう」

江ノ島「ふーむ、これは……」

戦刃「これは?」

江ノ島「あいつら2人っきりでイチャついてるわこれー! 間違いないわー!」

戦刃「そうなの?」

江ノ島「どうやら苗木くんも狼だったようですね。爆発してしまえばいいのに」

戦刃「お、狼……ええ!?」///

江ノ島「なーに顔赤くしてんだ残姉、行くぜッ!」

戦刃「えっ? ど、どこに?」

江ノ島「短冊を……吊るしに……です……」

戦刃「短冊?」

江ノ島「そうだよー。なんかムカつくから、あいつらの恋路を邪魔しちゃうんだー! いっそげー!」ダッ

戦刃「ま、待って盾子ちゃん!」


『苗木と舞園の願い事が叶いませんように! うぷぷぷ!』


【屋上】


舞園「うわあ! 見てください、星が綺麗ですよ!」

苗木「へえ……すごいね、これは……」

舞園「天の川がとても綺麗……」

苗木「うん」

苗木(舞園さんの方が綺麗だよ、なんて言ったらどんな反応するかなあ……)


舞園「なんだかまるで、この星空を独占してるみたいです」

苗木「この屋上には僕ら以外は入れないからね」

舞園「私達の秘密の場所、ですね」

苗木「そうだね」

舞園「織姫と彦星は、ちゃんと会えたのでしょうか」

苗木「きっと会えたよ。こんなに星が綺麗なんだから」

舞園「それって関係あるんですか?」

苗木「そう思った方が楽しくない?」

舞園「ふふっ。それもそうですね」


苗木「……」

舞園「……」

苗木「舞園さんは、さ……」

舞園「はい」

苗木「なんて書いたの? 短冊に」

舞園「んー……」

苗木「……」

舞園「……内緒です」

苗木「ええー?」

舞園「苗木くんが教えてくれたら教えます」

苗木「じゃあ、僕も内緒かな」

舞園「そうですか」

苗木「うん」

舞園「ざーんねん」


苗木「……」

舞園「……」

苗木「……ねえ、舞園さん」

舞園「はい」

苗木「目、瞑っててくれる?」

舞園「……はい」

苗木「……」

舞園「……」

苗木「……」スッ

舞園「……」

苗木「……誕生日、おめでとう」


パチン


舞園「ん……」

苗木「もういいよ」

舞園「これは……ヘアピン……?」

苗木「はい、鏡」

舞園「わああ、子猫のヘアピンですね! かわいい!」

苗木「気に入って……くれたかな……?」

舞園「もちろんですよ! ありがとうございます!」

苗木「どういたしまし――――」


ギュッ


舞園「本当に、ありがとうございます……」

苗木「まっ、舞園さん!?」///

苗木(え? 抱きつかれてる? 舞園さんに抱きつかれてる!?)


舞園「……」

苗木「ま、舞園さん……?」

舞園「……」

苗木「あの……」

舞園「寒いです」

苗木「え?」

舞園「もう夏とはいえ、夜は少し冷えますね」

苗木「……」

舞園「……」

苗木「……そうだね」ギュ

舞園「……」

苗木「……」

舞園「暖かいです」

苗木「うん」


舞園「ありがとうございますね。苗木くん」

苗木「どういたしまして」

舞園「えへへっ」

苗木「……普通、だよね」

舞園「はい?」

苗木「友達にあげるプレゼントなら、これくらいが普通だよね」

舞園「……ええ。友達からのプレゼントなら、こういうのが普通ですよ」

苗木「そっか」

舞園「そうですよ」ギュー

苗木「……」


苗木(舞園さんは恋人とかじゃなくて友達なんだから、あまり仰々しい物を贈るのってどうなんだろう)

苗木(そう考えて、ヘアピンを選んだ)

苗木(けど、そう考えてる時点で僕は意識していたのかな)

苗木(……)

苗木(ああ、やっぱり)

苗木(今まで自分に言い訳してきたけど)

苗木(頑なに認めようとしなかったけど)

苗木(僕は、舞園さんが好きなんだ……)

勢いで抱き合わせたけどこの後の展開何も考えてない
絶望的なことは起きない……と思うよ

>>152
そのネタいただきました!

これがあっちの前日譚とかって考えるととっても絶望的


【舞園の部屋】


舞園「……」

舞園「……」

舞園「……」

舞園「バカ……」

舞園「私のバカー!!」

舞園「何やっちゃってるんですか!? 何苗木くんに抱きついちゃってるんですか!?」

舞園「バカなんですか!?」

舞園「なんのために今まで我慢してたんですか!?」

舞園「もうー! 頑張って苗木くんのこと好きなの隠してたのに!!」

舞園「ば、バレバレじゃないですかこれじゃ!!」///

舞園「ううぅ……」///


舞園「……」

舞園「で、でも……苗木くんも抱き返してくれたということは……」

舞園「もしかして……両想い……」

舞園「……」

舞園「……えへへ」///

舞園「いやいや!」ブンブン

舞園「私はアイドルですよ!? 恋愛とかタブーじゃないですか!」

舞園「あー、もう!」

舞園「もう本当に! 苗木くんったら!!」

舞園「……」

舞園「好きですってば……」


舞園(けど……)

舞園(卑怯ですよね、私)

舞園(友達だからって言い訳して好きな人の傍に居続けて……)

舞園(霧切さん達の気持ちにも気づいているのに、本人達が隠そうとしてるのをいいことに無視して……)


舞園「はあ……」

舞園「私はどうすればいいのでしょうか」

舞園「教えてくださいよ……苗木くん……」


パチン


【教室】


キーンコーン、カーンコーン


苗木「ふう。今週もこれで終わりか」

桑田「な、なあ、苗木……」

苗木「ん?」

桑田「頼みがあるんだけどさ……」

苗木「……何?」

桑田「頼む! 勉強教えてくれ!!」

苗木「べ、勉強!?」

桑田「ほら、来週から試験だろ? 俺ってあんまり授業聞いてないだろ? だからヤバいんだよおお!!」

苗木「ええ!?僕だって人に教えられるほどわかってないよ!」


桑田「頼む! そこをなんとか!」

苗木「ええー……石丸くんとかに頼んだら?」

桑田「あいつはダメだ。ぜってースパルタだし」

苗木「……桑田くん、勉強する気あるの?」

桑田「おうよ!」

苗木「はあ、しょうがないな……」

桑田「うおおお! サンキューな!!」

苗木「今回だけだからね。あっ、舞園さんも一緒にどう?」

舞園「えっ、私ですか?」

苗木「うん。……うん?」

苗木(しまったー!! いつものノリで声かけちゃったよ!?)


舞園「……そうですね。たまにはみんなで勉強しましょうか!」

苗木「う、うん。そうだね!」

桑田「まじで!? 舞園ちゃんと一緒に勉強とかやりい!!」

舞園「もう、桑田くん。遊びじゃないんですからね?」


苗木(舞園さん、いつも通りだな)

苗木(うーん、僕が意識しすぎなのかな……)


舞園(苗木くん、いつも通りですね……)

舞園(なんだか悔しいなあ……)


苗木「はあ……」

舞園「はぁ……」

桑田「ん? どしたの? えっ?」


【図書室】

霧切「……」

舞園「……」カキカキ

苗木「……」ペラッ

桑田「ぐ、う……」グヌヌ…


霧切(私、特に勉強することないのよね……)

霧切(……)


舞園『あっ、霧切さん霧切さん! せっかくなので一緒に勉強しませんか!』

霧切『えっ? 私も……?』

舞園『はい! みんなでやった方が進みますよ!』

霧切『……じゃあ、お邪魔しようかしら』


霧切(……こうやって誰かと勉強したことなんてなかったけれど、これはこれで楽しいわね)

霧切(けど……)

霧切(舞園さん、何を考えているのかしら)

霧切(私がいても、邪魔なだけなのに)


桑田「くっそー解けねー!!」

霧切(……いえ、一番邪魔なのは桑田くんね。間違いないわ)


苗木「桑田くん、図書室なんだから大声出しちゃダメだよ……」

桑田「お、おう……すまねえ……」

苗木「少し休憩する?」

桑田「あー、そうすっか……よし苗木! 購買行くぞ!」ガタ

苗木「えっ僕も!? あっ、ごめんちょっと購買行ってくるね!」ガタ

舞園「はい!」

霧切「行ってらっしゃい」


舞園「ふう、私たちも少し休みましょうか」

霧切「……」

舞園「霧切さん?」

霧切「……ねえ、舞園さん」

舞園「はい?」

霧切「その……なんで私を誘ってくれたの?」

舞園「なんでって……みんなで勉強した方が楽しいから、ですかね……」

霧切「それだけ?」

舞園「ええ」

霧切「……そう」

舞園「……」

霧切「……」


舞園「あの……」

霧切「何かしら?」

舞園「これは、その……友達の話なんですけどね」

霧切「……?」

舞園「その友達もアイドルなんですけど、好きな人ができたみたいなんですよ」

霧切「……!」

舞園「でも、アイドルって恋愛は禁止じゃないですか」

霧切「ええ……」

舞園「だから、友達だって言い訳して……恋人まがいのお付き合いをしているそうなんです」

霧切「……」


舞園「しかも、友達も同じ人を好きになったみたいで……」

霧切「……」

舞園「その友達が想いを隠そうとしていることをいいことに、見て見ぬ振りをしていたんです」

霧切「……」

舞園「けど、ある日……」

霧切「……」

舞園「ある日……好きな人への想いを、抑えきれなくなってしまって……」

霧切「……」

舞園「どうしたらいいんだろう、って……悩んでいるそうなんです……」

霧切「舞園さん……あなたは……」

舞園「私の友達、ですよ」


霧切「そうだったわね。あなたの友達は、どうしたいの?」

舞園「……彼の隣にいたい。恋人としてではなくても、せめて、友達として」

霧切「そうすればいいじゃない」

舞園「けど、同じ彼を好きになった友達に、遠慮なんてしてほしくない」

霧切「……!」

舞園「彼女とも、対等でいたい……」

霧切「……」

舞園「と、言っていました」

霧切「そう」

舞園「霧切さんはどう思います?」


霧切「そうね、そう思われているなら……その友人も、遠慮なんてしないんじゃないかしら」

舞園「本当ですか?」

霧切「ええ」

舞園「よかったあ……」

霧切「……」

舞園「頑張りましょうね」

霧切「あなたの友人達がね」

舞園「ふふっ、そうでした」

――――

――


舞園「苗木くーん! ここ! この問題わからないです!」

苗木「えっ、どこ?」

舞園「隣、失礼しますね!」スッ

苗木「へっ?」

舞園「ここがわからないんですけど……」

苗木「う、うん……」

苗木(ち、近くないかな舞園さん!?)///


舞園「うーん……この部分、どうなってるんでしょうか……」ピト

苗木「……!」

苗木(くっついてるくっついてる! もうこれほとんど密着してるんじゃないの!?)///


霧切「あら、その問題なら私が教えてあげるわ」

苗木「霧切さん!」

苗木(た、助かった!)


霧切「ここ、失礼するわよ」

苗木「へ? なんで僕の隣に?」

霧切「苗木くんもわかっていないんでしょう? 2人まとめて教えるわ」

苗木「う、うん、まあ……それなら……」

霧切「それで、この問題はね……」ススッ

苗木「……!?」

苗木(き、霧切さんまで寄ってきた!?)///


苗木(うわあ、両側からいい匂いがする!)

苗木(あとなんか……やわらかい!)

苗木(女の子って、やわらかいんだなあ……)

苗木(って、そうじゃない!)

苗木(くっ、ここは……桑田くん!!)バッ


桑田「」アポォ


苗木「あっ、慣れない勉強のせいで干からびてる……」


舞園「苗木くん、ちゃんと聞いてますか?」ギュ

霧切「集中しなさい。苗木くんのくせに生意気よ」ギュー


苗木(いや、まあ、嬉しいことは嬉しいんだけどさ……うう……)///


霧切「ふふっ」

舞園「えへへっ」

>>167
その手があったかー
その手があったかー……

こっちはハッピーエンドかはわからないけど、絶望要素はほとんどないはずです。
基本イチャラブ、たまにほろ苦。


【教室】


キーンコーン、カーンコーン


苗木「お、終わったあ……!」

苗木(これで試験は全部終わりだ! 勉強、大変だったなあ……)



舞園『苗木くん、ここってどう訳したら自然ですかね?』

苗木『ちょっと見せて』

舞園『この単語をどうするか迷ってるんですよ……』

苗木『(……あ、いつの間にか舞園さんとすごい顔が近くなってる)』

舞園『うーん……』

苗木『(舞園さん、睫毛長いなあ……)』ジー

舞園『苗木くん? どうかしま――――』カオアゲル

苗木『うわあっ!?(顔近っ!?)』///

舞園『ふえっ!? あっ、えと、えっ!?』///

苗木『ご、ごめんごめん!』///

舞園『い、いえ、こちらこそっ』///


苗木「……」

苗木「うん、まあ……勉強もいいものだったよね……」

苗木(あのとき、もう少しで唇が触れちゃいそうなくらい近かったよな……)

苗木(……)

苗木(……何思い出してるんだ僕は!?)///


舞園「苗木くん」

苗木(そういえば舞園さん、一緒に勉強するってことで僕の部屋に来てたけど……)

舞園「苗木くーん?」

苗木(よく考えたら……い、家デートみたいだったな……)

舞園「苗木くん!」

苗木「舞園さん!?」ビクッ


舞園「もう、ずっと声かけてたんですよ?」

苗木「ご、ごめん!」

舞園「何か考え事ですか?」

苗木「いやっ、別にっ!?」

舞園「……怪しいです」ジー

苗木「なんでもないから、本当に、うん!」

舞園「じぃーっ」ジー

苗木「それより! な、何か用?」

舞園「……えっと、その」

苗木「?」

舞園「せっかく試験も終わったことですし、遊びにいきませんか?」

苗木「ああ、そうだね。どっか行こうか」


舞園「苗木くん、どこか行きたいところあります?」

苗木「うーん……カラオケ、とかかな?」

舞園「いいですね! そうしましょう!」

苗木「じゃあ桑田くんとかも誘おうか?」

舞園「あっ、えと……あの……」

苗木「ん?」

舞園「ひ、久しぶりに……2人だけで、遊びに行きたいんですけど……」///

苗木「えっ?」

舞園「駄目……ですか……?」///

苗木「だっ、駄目じゃない! うん、全然大丈夫だよ!」

舞園「やったっ! じゃあ行きましょう!」

苗木「う、うん!」

苗木(うう……あんな風に言われたら断れるわけないじゃないか……)///


桑田「」アポォ…

山田「……聞くだけ無駄でしたな」

セレス「これは試験のせいなのか、それとも先ほどのやり取りのせいなのか。どちらなのでしょうね」




ジェノ「白夜さまあああん! アタシたちも一緒にお遊びしましょ!」

十神「ふざけるな! その鋏で自分の喉でも掻っ切ってろ!」

ジェノ「やーんいけずー! 待ってー! なーんちって、ゲラゲラゲラ!!」


【カラオケ店】


ウィーン


店員「いらっしゃいませー」

苗木「2人です」

店員「お好みの機種はございますかー」

舞園「んー……こっちでお願いします」

店員「お時間いかがいたしますかー」

苗木「どれくらいにする?」

舞園「久しぶりですし、3時間にしませんか?」

苗木「そうだね。3時間でお願いします」

店員「はいー。ではそちらに座って少々お待ちくださいー」

苗木「はい」


苗木「……にしても、舞園さんだってバレないものだね。本当に」

舞園「堂々としていればなかなか気づかれませんよ。今は髪型変えて、眼鏡もかけてますし」

苗木「そういうものかなあ」

舞園「ええ。苗木くんだって、偶然会っても気づかないかもしれませんよ?」

苗木「ははっ、それはないよ」

舞園「本当ですか?」クスクス

苗木「うん。僕が舞園さんを見間違えるなんてあり得ないよ」

舞園「えっ?」

苗木「あっ」

舞園「あ、あの……ありがとうございます……うぅ……」///

苗木「いや……ど、どういたしまして……」///

店員「お客さまー。お客さまー?」

――――

――


舞園「――――、――♪」

苗木(やっぱり舞園さん、上手いなあ)

苗木(さすがはトップアイドル)

苗木(そのトップアイドルと2人でカラオケって、すごいことだよな)

苗木(舞園さんと……)

苗木(この狭い部屋で、2人きり……)

苗木(……)

苗木(うぅ……)///

苗木(駄目だ……舞園さんのこと好きだって自覚したからか、すぐに意識してしまう……)

苗木(ははは、ファンに知られたら刺されそうだな)

苗木(まあ僕もそのファンの1人なんだけどね)


舞園「ふうっ!」

苗木「お疲れさま。やっぱり歌、上手だね」

舞園「ふふっ。ありがとうございます」

苗木「すごいなあ。僕なんてほら、全然だからさ」

舞園「そうですか? 私は好きですよ、苗木くんのこと」

苗木「はは、ありがと……」

舞園「……」

苗木「……え?」

舞園「まっ、間違えました! 言い間違えたんです! 苗木くんの歌が、私は好きっていう、その、そういうことですよ!?」///

苗木「あ、ああ! そういうことね!!」///

舞園「ううぅ、ごめんなさいっ!」///

苗木「い、いや、よくあることだよ! ねっ!」///

舞園(私のばかぁ……)///


苗木「あっ、そうだ。舞園さんに歌ってもらいたい曲があったんだ」

舞園「私の曲で、ですか?」

苗木「うん」

舞園「うーん、だいたいの曲は歌ったことあると思いますけど」

苗木「ほら、あの新曲のさ」

舞園「えっ?」

舞園(も、もしかして……)


苗木「モノクローム・アンサー、だっけ」


舞園「……!」


苗木「あの曲、何故かCD出る予定がないよね?」

舞園「この前のライブで1回歌ったきり、ですね……」

苗木「それでカラオケに入るっていうのもすごいよね」

舞園「そうですね……」

苗木「えっと……駄目かな……?」

舞園「……」

舞園(あの曲は……)

舞園(モノクローム・アンサーは……)

舞園(あれを、苗木くんの前で歌うときは……)


舞園「ごめんなさい。事務所の意向で、当面はライブ限定にしているんです」

苗木「そっか……」

舞園「苗木くんにも、ライブで聴いてもらいたい……です……」

苗木「うん。楽しみにしてるよ」

舞園「はい……じゃあ、代わりといってはなんですけど……」ピッ、ピッ

苗木「……?」

舞園「デュエット曲、一緒に歌いましょう!」

苗木「ええっ、本当!? いいの!? ありがとう!」



舞園(モノクローム・アンサーを、苗木くんの前で……)

舞園(そんなときが来るとしたら……)

舞園(それはきっと……私がこの気持ちを伝えるとき、なのかも……)

夏休み突入です。
夏休みの終わりまで続きます。


ミーンミーンミーン…


苗木「……」

舞園「……」

苗木「暑いね……」

舞園「はい……まさか希望ヶ峰全体で空調システムが故障するなんて……」

苗木「今日、真夏日らしいよ……」

舞園「どうりで……暑いわけですね……」


ミーンミーンミーン…


苗木「どこか行く?」

舞園「んー……」

苗木「冷房の効いてる喫茶店とか」

舞園「いえ、いいです。我慢できないほどじゃありませんし」

苗木「そっか」

舞園「それに、夏ですし」

苗木「え?」

舞園「せっかくの夏に涼しい室内にしかいないって、少しもったいない気がします」

苗木「そうだね。確かにこの暑さは夏らしいや」


舞園「それにほら。扇風機だけで涼むのもなかなか風情があると思いませんか?」

苗木「……うん」


ガー…


苗木(うん、まあ、風情はあるけどさ)

苗木(けど、その……)

苗木(この扇風機、小さいからさ……)


舞園「んーっ、たまにはこうしてのんびりするのもいいですね!」ピト


苗木(舞園さんとすっごい密着してるんだよなあ……)


舞園「苗木くん? 顔が赤いけど大丈夫ですか?」

苗木「舞園さんだって、真っ赤だよ」

舞園「そうですか?」

苗木「そうだよ。大丈夫?」

舞園「夏ですから。暑いんですよ、やっぱり」

苗木「そっか」

舞園「ええ」


舞園(特に、苗木くんとくっついている右側が……)

舞園(お互い半袖だから、肌が触れ合っていて……)

舞園(それに、少し汗をかいているから……)

舞園(触れている肌が、とても……)

舞園(なんか……その……)

舞園(顔、すごく赤くなってるんだろうなぁ……うぅ……)///


舞園「……暑いですね」

苗木「うん。暑いね」

舞園「苗木くんは喫茶店かどこか行きたいんですか?」

苗木「うーん……」

舞園「……」

苗木「別にいいかな、このままでも」

舞園「そうですか」

苗木「うん」

舞園「じゃあ、このままでいましょう」

苗木「そうだね。そうしよう」


舞園「あっ、そうだ。うちわで扇いであげましょうか」

苗木「えっ?」

舞園「さっき部屋で使ってたやつです。ほらっ」


パタパタ


苗木「あ、涼しい」

舞園「でしょう!」

苗木「扇風機の風が当たらないとこはね」

舞園「さすがに扇風機には勝てませんよ」

苗木「じゃあ扇風機の前からはどけないね」

舞園「そうですね。このまま2人で使うしかないですね」

苗木「しょうがないね」

舞園「ええ。しょうがないんです」


苗木「……うちわ貸して。今度は僕が扇ぐよ」

舞園「ありがとうございます。はい」スッ


ピト


苗木「あ……」

舞園「……」

苗木「……熱いね、舞園さんの手」

舞園「苗木くんの手の方が熱いですよ」

苗木「ええー?」

舞園「確かめます? ほら」


ギュ…


苗木「……」

舞園「……」

苗木「やっぱり、舞園さんの方が熱いよ」

舞園「苗木くんの方が熱いですって」

苗木「そんなことないよ」

舞園「そんなことあります」

苗木「舞園さん、風邪引いてたりしない?」

舞園「苗木くんこそ」

苗木「いやいや」

舞園「だって苗木くんの方が、体熱いですもん」

苗木「逆だよ。舞園さんの方が熱い」

舞園「むぅ……」

苗木「むむ……」


舞園「おでこ、出してください」

苗木「ええ?」

舞園「ん……」


ピト


苗木「わっ!?」

舞園「ほら、やっぱり苗木の方が熱いですよ」

苗木「ま、舞園さんの方が熱いってば」

舞園「まだそんなことを……」


グラ…


舞園「きゃっ!」

苗木「うわ!?」


ドサ


舞園「いたた……」

苗木「っと……」

舞園「ごめんなさい、バランス崩しちゃって……」

苗木「大丈夫?」

舞園「はい……」

苗木「……」

舞園「……」

苗木「えっ、と……」

舞園「……」


苗木(なんだか……その……)

苗木(舞園さんに押し倒されてるみたいだな、この体勢……)


舞園(私、すごくドキドキしてる……)

舞園(心臓の音、苗木くんに聞こえちゃってないかな……)

舞園(ああもう……顔がどんどん熱くなってる……)

舞園(けど……)

舞園(こんな時間が、ずっと続けばいいのに……)

舞園(苗木くん……)


舞園「……」

苗木「……」

苗木「あ、あの……」

舞園「……」

苗木「そろそろどいてくれると助かるんだけど……」


苗木(うわああ……これ絶対舞園さんまで心臓の音聞こえてるよ……)ドキドキ


舞園「あっ、ご、ごめんなさいっ!」バッ

苗木「う、ううん……」

舞園「ごめんなさい、重かったですよね」

苗木「そっ、そんなことないよ! 軽かった!」

舞園「……ふふっ。ありがとうございますね」

苗木「はは……」

舞園「……」

苗木「……なんかさ」

舞園「はい」

苗木「暑いね、とても」

舞園「そうですね……とても暑いです」


苗木「もう、夏だもんね」

舞園「ええ。夏だから、暑くて当然です」

苗木「そうそう」

舞園「あっでも、少し汗かいたせいかさっきよりも扇風機の風が涼しく感じますよ」

苗木「あ、本当だ」

舞園「苗木くんの部屋に扇風機があって、本当によかったあ……」

苗木「たまたま実家で余ってたのを持って来てたからね」

舞園「空調が直るまで入り浸っちゃいそうです」

苗木「他のみんなには言わないでね? 大勢で詰めかけられるとさすがに暑すぎるから」

舞園「はい。2人だけの秘密、ですね」

苗木「うん」


ミーンミーンミーン…

なんか本当にごめんなさい…
深刻なネタ切れと、自分で読み返したときのコレジャナイ感で全然書けませんでした…
ちょっと意識して雰囲気変えてみたら、個人的にはうまくいった気がします。


舞園「苗木くん! 早く早くっ!」

苗木「待ってよ舞園さん!」

舞園「ほら、海ですよ! 海!」


ザザァーーン…


苗木「転ばないでよ?」

舞園「はーいっ」

苗木「もう……はは……」


ザザァーーン…


苗木(僕と舞園さんは、海に来ている)

苗木(舞園さんが普通の海に行ったら大騒ぎになるんだろうけど……)

苗木(ここは、十神くんのプライベートビーチだから大丈夫だよね)


舞園「苗木くん、荷物置いたらすぐ泳ぎましょう!」

苗木「ええっ、もう!?」

舞園「もうです! ほら急ぎましょう!」

苗木「明日になったらみんなも来るんだし、泳ぐのはそれからでいいんじゃない?」

舞園「ええー、せっかく着いたのに……」


苗木(というか、なんで僕らだけ1日早く来たんだっけ……)


舞園「……」

苗木「舞園さん?」

舞園「苗木くん。あのですね……」

苗木「ん?」

舞園「水着に着替えてここに集合ですからね! それじゃ!」タタッ

苗木「ええ!?」

苗木「ちょ、舞園さん……って、ああ……」

苗木「行っちゃった……」

苗木「はぁ……」

苗木「……」

苗木「……まあ、せっかくだし、ね」


苗木「……」

苗木「……」

苗木「女の子はやっぱり、着替えに時間かかるよなあ」

苗木(……)

苗木(舞園さんの水着姿、かあ……)

苗木(……)

苗木(う……なんか緊張するな……)


舞園「だーれだっ」バッ

苗木「うわ、えっ、舞園さん!?」

舞園「はい。お待たせしました」

苗木「……! い、いや、僕も今来たところ……だから……」


舞園「……」

苗木「えと……」

舞園「……」

苗木「舞園さん、さ……」

舞園「は、はい……」

苗木「……似合ってるよ。水着」

舞園「本当ですか……?」

苗木「うん。とても、その……」

舞園「……」

苗木「かっ、かわいいよ!」

舞園「あ、ありがとう……ございます……うぅ……」


苗木「……」

舞園「……」

苗木「あのさ……」

舞園「あの……」

苗木「あっ、ご、ごめん! なに?」

舞園「い、いえっ! その……そう、海! 泳ぎましょう!」

苗木「あ、ああ! そうだね、泳ごうか!」

舞園「はい!」


舞園(かわいい、って……言ってもらえた……)

舞園(やった……やった……!)

舞園(えへへっ)///


舞園「きゃっ! お、思ったより冷たいですね」

苗木「はは、すぐ慣れるよ」

舞園「はい」

苗木「海に入る瞬間って、なんかいいよね」

舞園「はい……」ソー…

苗木「ねえ、舞園さ――――」

舞園「それっ!」バシャッ

苗木「わぶっ!?」

舞園「それそれー! 油断大敵ですよっ!」バシャバシャ

苗木「わっ、ちょ、やったなーっ」バシャッ

舞園「きゃっ! あははっ!」

苗木「ははっ、それ!」


苗木「はあ、はあ……あー、冷たくて気持ちいい」

舞園「ふふっ。じゃあ、今度こそ泳ぎましょうか」

苗木「そうだね」

舞園「あのブイの所まで行ってみましょうよ」

苗木「大丈夫? 舞園さんあそこまで泳げる?」

舞園「むむっ。アイドルの体力を甘く見てませんか?」

苗木「じゃあ、勝負する?」

舞園「望むところです」

苗木「それじゃ……」

舞園「お先に失礼しますねっ!」ザバッ

苗木「えええ!?」


舞園「はぁ、はぁ……私の勝ちですねっ」

苗木「は、反則負けだよあれ」

舞園「なんのことでしょうか」テヘッ

苗木「もう……」

舞園「ふふっ……あっ!?」

苗木「どうしたの?」

舞園「日焼け止め、塗り忘れてました……」

苗木「ええっ!?」


舞園(照れ隠しで慌てて海入ったせいですね……)

舞園(だって苗木くん……か、かわいい、って……)

舞園(うぅ……思い出すとまた顔が熱く……)///


舞園「というわけで、砂浜に戻ってきたわけですけど」

苗木「あれ? いつの間にかパラソルとシートが準備されてる」

舞園「さすがは十神くんの使用人ですね……」

苗木「じゃあ、僕は海の方向いてるから」

舞園「はい。少し待っていてくださいね」

苗木「うん」

舞園「……」キュ

苗木「……」

舞園「……」ペタ…

苗木「……」

舞園「……」ペタペタ

苗木「……」


苗木(見てない見てない……僕は何も見てない……)

苗木(けど、あれ? 確か海で日焼け止めとか塗るときって……)


舞園「あっ……」

苗木「どうしたの?」

舞園「あ、えっと、その……」

苗木「舞園さん……?」

舞園「あの……苗木くん……」

苗木「な、何かな……」

舞園「せっ、背中……塗ってくれません……か……?」

苗木「……!」

舞園「自分じゃちゃんと塗れなくて……」

苗木「ぼ、僕でいいの……?」

舞園「こんなこと……苗木くんにしか、頼めませんよ……」

苗木「……うん。わかった」


苗木「えっと……じゃあ、いくよ……?」

舞園「は、はい……お願いします……」


苗木(意識するな意識するな……)

舞園(嬉しい……けど、それ以上に恥ずかしい……ううぅ……)


苗木「……」ピト

舞園「ひぁっ!」

苗木「あっ、ご、ごめんっ!?」

舞園「い、いえ、冷たくて驚いただけですから! つ、続けてください……」

苗木「う、うん……」ペタ…

舞園「……」

苗木「……」ペタペタ

舞園「んっ……ぁ……」


舞園(なんて声出してるんですか私のばかばかばかーっ!!)///


苗木「……」

舞園「……」

苗木「お、終わった、よ……」

舞園「ありがとう……ございます……」

苗木「……」

舞園「……」

苗木「なんか、疲れたね……」

舞園「ええ……」

苗木「泳ぐのは少し休んでからにしようか」

舞園「そうですね」

苗木「砂でお城でも作ってみる?」

舞園「あっ、いいですね」


舞園「苗木くん苗木くん」

苗木「なに?」

舞園「砂のお城っていえば、普通はどんなお城を作るものなんでしょうか」ペタペタ

苗木「うーん、やっぱり西洋風のかな」ザクザク

舞園「ですよね……」

苗木「それがどうかした?」

舞園「いえ、昔の人はどうしていたのかなって」

苗木「えっ?」

舞園「西洋文化が入ってくる前は、どんなお城を作っていたんでしょう」

苗木「それは……大阪城みたいな……?」

舞園「やっぱりそうなりますよね」

苗木「お城とは限らないけどね」

舞園「ところで、私たちが作ったこれは、どんなお城なんでしょう」

苗木「……前衛的なお城、かな」


舞園「なかなか難しいですね……」

苗木「みんなに見られる前に壊しちゃおっか」

舞園「……いえ、このままにしておきましょう」

苗木「え? まあ、それでもいいけど」

舞園「いつか、風や波で自然に消えるまで……」

苗木「……」

舞園「それまで、このままに……」

苗木「……うん」


舞園(だって、これも……苗木くんとの大切な思い出なんですから……)


舞園「さて。十分休んだし、もうひと泳ぎしましょうか」

苗木「そうだね。行こう」

舞園「はいっ」


――――

――


苗木「はあ、はあ……」

舞園「ふう。今日はたくさん遊びましたね」

苗木「海の夕陽って、きれいだね」

舞園「ええ」


苗木(舞園さんの方がきれいだけどさ)

舞園(……とは、言ってくれないんですね。残念)


苗木「そろそろ戻ろうか」

舞園「はい」


ザザァーーン…


苗木「明日も泳ぐ体力、残ってるかなあ」ザバザバ

舞園「少しはしゃぎすぎちゃったかもしれないですね」ザバ…

苗木「今日はしっかり休まないと……」

舞園「そうですね……きゃっ!」ザバッ

苗木「舞園さん!?」

舞園「てへへ……転んじゃいました……」

苗木「大丈夫?」スッ

舞園「……はい。ありがとうございます」ギュ

苗木「あと少しだよ」

舞園「はい」


舞園(苗木くんの手……すごく……暖かい……)ギュ…


舞園「……ねえ、苗木くん」

苗木「なに?」

舞園「私、実は明日、撮影があるんです」

苗木「撮影……?」

舞園「ええ、この近くで。アイドルのマイ水着、というテーマだそうです」

苗木「水着……って、それもしかして……」

舞園「はい。だから、私たちだけ先に来させてもらったんです」

苗木「……」

舞園「苗木くんに、苗木くんだけに、一番最初に見てほしかったから」ニコ

苗木「……!」ドキ

舞園「えへへ、今日は楽しかったですっ」

苗木「……うん。僕もだよ」


苗木(ああもう……可愛いなあ……)


ザザァーーン…

夕陽をバックに膝下あたりまで海に入った水着の舞園さん絵ください


桑田「海楽しかったなー」

苗木「うん」

桑田「舞園ちゃんが撮影行ってたのは残念だけどよ」

苗木「はは……そうだね……」

桑田「バーベキューも美味かったよな」

苗木「あの肉美味しかったね」

桑田「しかも舞園ちゃんも戻ってきたし!」

苗木「うん」

桑田「けどよ、何か足らないと思わねえか?」

苗木「えっ?」

桑田「つーわけで肝試しやろうぜ! な!!」

苗木「……まあ、せっかくだしね」


舞園「えっ、男女ペアでですか? 苗木くん、一緒にやりましょうよ!」

桑田「い、いや、ペアはやっぱりあみだくじで決めようと思ってるんだけど……」

霧切「却下ね。あなた、女の子と手を繋ぎたいだけでしょう?」

桑田「うぐっ……!」

セレス「やるなら個々人で、ですね」

苗木「うーん、その方がいいのかな……」

桑田「」

江ノ島「見てくださいお姉さま……あれが……夏のイベントにかこつけて玉砕した男です……」

戦刃「ふうん」


苗木「結局、1人ずつ行くのか……うう……」

舞園「苗木くん、怖いんですか?」

苗木「いや、そんなこと……」

舞園「ふふっ。こっそり一緒に行っちゃいましょうか」

苗木「大丈夫だって」

舞園「はーい」

苗木「あっ、次、舞園さんの番じゃない?」

舞園「本当だ。行ってきますね!」

苗木「うん、行ってらっしゃい」

苗木「……」

苗木「さて。僕はその次か……」


苗木「そろそろだな……」

十神「苗木。お前だけには言っておこう」

苗木「なに?」

十神「俺はこの土地を買って以来、何度も森の一部を伐採しようした」

苗木「えっ?」

十神「けどな、毎回失敗するんだ。何故かわかるか?」

苗木「う、ううん……」

十神「業者に、必ず不幸が訪れるんだ」

苗木「えっ……」

十神「この森はな……出るぞ」

苗木「……」

十神「さて、時間だ。行ってこい」

苗木「ええええ!? なんで今その話したの!?」

十神「この方が面白いだろう? くくっ、さっさと行け。いくつかある祠を1つ見つけて写真に撮って来るだけだ」

苗木「うわあ……うわあああ……」


ザリ…

苗木「うわあ……雰囲気あるなあ……」

苗木「十神くん、みんなにあの話してるんじゃないか……?」

苗木「作り話なんだろうけど……」

パキ…

苗木「……!!?」ビクッ

苗木「……」

苗木「気のせいか……」

ザッ…

苗木「……!」


ザッ…

苗木(な、なんだ……後ろから……)

ザッ…

苗木(音が……)

ザッ…

苗木(これは……足音……?)

ザッ…

苗木(ち、近づいてくる!?)

ザ…


苗木(と、止まった……)

苗木(すぐ後ろに誰かいるのか……?)

苗木(けど、次の戦刃さんの出発にはまだ早すぎる……!)

苗木(う、後ろ、振り向かないと……)

苗木(う、うう……)

苗木(どうしよう……動けない……!)

苗木(やばいやばいやばい……!!)

苗木(ど、どうしたら……)


トン、トン…


苗木「ひいっ……!?」

苗木(か、肩に……何か……)

苗木(あああ……!)


「ばあ!」


苗木「うわああああ!!!??」


舞園「……ぷっ、ふふっ、私ですよ苗木くん」

苗木「へ? えっ? ま、舞園さん!?」

舞園「はい。驚かせてしまってすみません」

苗木「え、ええっ!? なんで先に行った舞園さんが後ろから……」

舞園「隠れて苗木くんが来るのを待ってたんですよ」

苗木「な、なんでそんな……」

舞園「もう、全部言わないとわからないんですか?」

苗木「え?」

舞園「一緒に行きましょう。ねっ」スッ

苗木「……うん。お願いします」ギュ


苗木「舞園さんはさ、怖くなかったの? 僕を待ってる間……」

舞園「うーん……怖かったですよ」

苗木「本当? そうは見えないけど」

舞園「すぐに苗木くんが来てくれるって、わかってましたから」

苗木「……そっか」

舞園「そうです」

苗木「お待たせしました」

舞園「はい、待ちました」

苗木「はは……」

舞園「けどやっぱり怖かったです。少し」

苗木「ごめん」

舞園「だから……罰として、肝試しが終わるまで、ずうっと手を繋いでもらいますからねっ」

苗木「……お安い御用だよ」

舞園「ふふっ」


舞園「こうしてお喋りしながら歩いていると……」

苗木「ん?」

舞園「なんだか、夜のお散歩みたいですね」

苗木「そうだね。全然怖くないや」

舞園「ですね」

苗木「あっ、そういえばさ、十神くんからこの森を伐採しようとした話聞いた?」

舞園「えっ?」

苗木「伐採しようとする度に業者の人に不幸が起きるんだって」

舞園「それって、つまり……」

苗木「出るそうだよ、この森」


舞園「……」

苗木「……」

舞園「……」

苗木「舞園さん……?」

舞園「な、なんでそう怖くなること言うんですか!?」

苗木「ええ!? 十神くんから聞いてなかったの!?」

舞園「聞いてませんよ!」

苗木「な、なんか……ごめんね……」

舞園「……いいです。何かあったら苗木くんが守ってください」

苗木「う、が、頑張るよ……」

舞園「くすっ。頼りにしてますからね」ギュー


江ノ島「……」

江ノ島「私ねー、十神くんと共謀してねー、幽霊役やって男子を驚かせることになってるんだー!」

江ノ島「うぷぷ……いい声で叫んでもらうよ、苗木くん……!」

江ノ島「と、思っていたのですが」

江ノ島「なんでアイツらこんな時までイチャついてんだよッ! やってられっかッ!!」

江ノ島「代わりに……桑田くんを怖がらせましょう……ええ、それはもう本気で……」



舞園「あっ。祠ってあれですかね」

苗木「うん、そうみたい」

舞園「よーし、ぱぱっと写真撮っちゃいましょう!」

苗木「うん」


パシャ


舞園「うーん……それにしても、よく手入れされた祠ですねえ……」

苗木「小さいけど灯りもあるし……」

舞園「さっきの話、やっぱり十神くんの嘘みたいですね。本当はよく森に来るんじゃないかな……」


パシャ


舞園「苗木くん?」

苗木「さっきの、写りが悪くてさ」

舞園「そうでしたか。さっ、戻りましょう」

苗木「うん」

苗木(たまにはいいよね。写真撮らせてって言うのも、なんか恥ずかしいし……)

苗木(……よく撮れてるな。忘れた頃に見せてあげよう)


舞園「苗木くん、苗木くん」

苗木「なに、舞園さん?」

舞園「懐中電灯、消して歩きませんか?」

苗木「ええっ!?」

舞園「見てください。あんなに月が綺麗なんですよ? きっと灯り無しでも明るいですって」

苗木「うーん……」

舞園「ほら、貸してください」カチッ

苗木「あっ……」

舞園「わっ、真っ暗ですね!」

苗木「そりゃあね」

舞園「目が慣れるまで、じっとしてましょうか」

苗木「はいはい」


舞園「……」

苗木「……」

舞園「苗木くん、そこにいますよね?」

苗木「うん。手、繋いでるじゃないか」

舞園「遠いです。もっと近づいてください」

苗木「はいはい」

舞園「もっとです」

苗木「うん」

舞園「もっと」

苗木「こ、これ以上近づけないよ……」

舞園「まだまだいけますって」

苗木「もう……」


舞園「ん……ふふっ、私たちの間の距離、0ですね」

苗木「う、うん……」

舞園「暖かいです」

苗木「どっちかって言うと、暑くない?」

舞園「いえ。丁度いいですよ」

苗木「そう?」

舞園「そうです」

苗木「……」

舞園「……」

苗木「目、慣れてきたね」

舞園「そろそろ行きましょうか」

苗木「そうだね」


舞園「苗木くん、苗木くん」

苗木「なに、舞園さん?」

舞園「私、今……すごくドキドキしてます」

苗木「えっ?」

舞園「夜の森なんて、今まで来たことありませんでした」

苗木「僕もだよ」

舞園「怖いところだと思っていたけど、意外と楽しいですね」

苗木「そう、かなあ……?」

舞園「きっと、苗木くんと一緒だからですね」

苗木「……だといいね」

舞園「苗木くんと友達になってから、何もかもが新鮮なんです」

苗木「そうなの?」


舞園「はい。私、ずっとアイドル活動しかしてきませんでしたから」

苗木「……そっか」

舞園「必死だったんです。いつかテレビで見たような、すごいアイドルになろうって」

苗木「……」

舞園「だから……ありがとうございますね」

苗木「どういたしまして」

舞園「私に、普通の高校生を教えてくれて、ありがとうございます」

苗木「僕の方こそ、ありがとうね。友達になってくれて」

舞園「いえいえ」

苗木「ふふっ」

舞園「これからもよろしくお願いしますね」

苗木「うん。もちろん」

暗がりでちょっと大胆になる舞園さん
ただの友達だから距離が0になってもセーフだよね

普通の高校生って夏休み何して遊んでるんですか…


【ゲーム】


苗木「……」ピコピコ

舞園「……」ピコピコ

苗木「よっと」

舞園「あっ、コースアウトしちゃいました……」

苗木「じゃあこのレースは僕の勝ちだね……って、ああ! こんなときにコースアウト!?」

舞園「チャンスです!」


苗木「ああー抜かれた!」

舞園「ふふん!」

苗木「むっ……」

舞園「えいっ」ググ…

苗木「……!」

舞園「えーい、曲がれーっ!」

苗木「……」


苗木(舞園さん、コーナーで曲がろうとすると体も傾けるんだよね……)

苗木(かわいい……)

苗木(……あと、あったかい)


舞園「やった! 私の勝ちですよ!」


苗木(もたれかかってたと思ったらそのまま抱きついてくる舞園さんかわいい)

苗木(落ち着け……落ち着いて素数を数えるんだ苗木誠……)ドキドキ


【映画】


苗木「……」

舞園「……」


キャアアア!


舞園「……」ビク

苗木「……」

舞園「……」ギュ

苗木「……」

舞園「……」ビクビク


ギャアアアア!!


舞園「……」ギュー

苗木「……」

舞園「……」フイッ

苗木「……」

舞園「……」…チラッ


イヤアアアアアアア!!!


舞園「……」ビクッ

苗木「……」

舞園「……」グス…



舞園「苗木くんって、ホラー映画大丈夫なんですね……」

苗木「え? あっ、うん、それなりにね」

苗木(しがみついてくる舞園さんに気を取られてほとんど内容覚えてないや……)


【宿題】


苗木「……」ペラッ

舞園「……」カキカキ

苗木「……」

舞園「……」カキカキ

苗木「ねえ舞園さん。これわかる?」

舞園「どれですか?」

苗木「化学なんだけどさ」

舞園「えっと……ああ、これは教科書のここにありますよ」


苗木「あっ、本当だ。ありがとう」

舞園「いえいえ」

苗木「よし……」カキカキ

舞園「……」

苗木「……」カキカキ

舞園「……」ジー

苗木「……何かな?」

舞園「ふふっ。まるで家庭教師してる気分だなあって」

苗木「え?」


舞園「ほら、近所のお姉さんに勉強教えてもらうって王道じゃないですか!」

苗木「むむ……」

舞園「先生って読んでくれてもいいんですよ? あっ、お姉ちゃんでも!」

苗木「そうだね。そしてその家庭教師と恋に落ちるまでが王道だよね」

舞園「はい!」

苗木「……」

舞園「……」

苗木「な、夏休みの宿題、さっさと終わらせちゃおうか……」///

舞園「そ、そうですね……」///


【アイス】


舞園「やっぱりストロベリーですよ」

苗木「ええー、バニラの方が美味しいってば」

舞園「むぅ……」

苗木「むむ……」

舞園「じゃあ、食べてみてください」

苗木「え?」

舞園「ほら。あーん」

苗木「へっ? いや、これはさすがに……」


舞園「はい、隙ありです」

苗木「むぐっ!?」

舞園「どうですか?」

苗木「えっと……美味しい、ような……?」

舞園「ええー、なんですかそれ」

苗木「だ、だって、味よくわからなくて……うぅ……」

舞園「そ、そうでしたか……」

苗木「……」

舞園「……」


苗木「その……僕のも食べる?」

舞園「……はい」

苗木「どうぞ」

舞園「あーん」

苗木「……」

舞園「あーん」

苗木「もう……はい」

舞園「んっ……」

苗木「どう?」

舞園「本当だ。よく味がわからないですね……あはは……」


苗木「……そ、それにしても暑いね!」

舞園「え、ええ!」

苗木「……」

舞園「……」

苗木「……いいよね」

舞園「え?」

苗木「アイスキャンディー。夏っていう気がする」

舞園「……そうですね」

苗木「あっ! 溶けてる溶けてる!」

舞園「へっ? ああっ!?」


【クーラー】


苗木「そういえばさ」

舞園「はい?」

苗木「クーラー直ったけど、舞園さんまだしょっちゅう僕の部屋に来るよね」

舞園「迷惑でしたか……?」

苗木「そ、そんなことないよ! ただ、その……」

舞園「……?」

苗木「ずっと続けばいいな、って」

舞園「……」

苗木「こうやって、舞園さんと2人でのんびりするような毎日がさ」

舞園「……そうですね。ふふっ」

ひいいごめんなさいごめんなさい…
ネタが!ない!


ppp...


苗木「ん……」モゾ

苗木「朝か……」

苗木「……けほ」

苗木「?」

苗木「よいしょ……」

苗木「っとと」フラ

苗木「けほ、けほっ」

苗木「……あれ?」


舞園『風邪……ですか……?』

苗木「うん、そうみたい」

舞園『じゃあ今日は休んでいた方がいいですね』

苗木「ごめんね……」

舞園『いえ』

苗木「けほっ」

舞園『だ、大丈夫ですか?』

苗木「大丈夫、大したことないよ」

舞園『そうですか……お大事にしてくださいね』

苗木「うん。ありがとう」


苗木「うーん、風邪引くなんてなあ……」

苗木「クーラーが直ったからって使いすぎたかな」

苗木「……」

苗木「舞園さんと買い物行くはずだったんだけど……」

苗木「悪いことしちゃったな……」

苗木「……」

苗木「……暇だ」

苗木「……」

苗木「うん、寝よう。寝てさっさと治そう」

――――

――


苗木「うぅ……」

苗木「けほ、けほ……」

苗木「う……」


ギュ


苗木「ん……」

苗木「……」


苗木(あ、なんか楽になった……)

苗木(まるで……)

苗木(誰かに手を握ってもらってるような……)


苗木「……」

苗木「……手を!?」ガバッ

舞園「きゃっ!」

苗木「ま、舞園さん!? どうしてここに……けほっ」

舞園「ああもう、ちゃんと横になっていないと」

苗木「あ、ごめん……」

舞園「わかればいいんです。ふふっ」

苗木「って、そうじゃなくて! なんでいるの!?」

舞園「この前いただいた合鍵でお邪魔しちゃいました」

苗木「いやそうじゃなくて……」


舞園「看病させてください」

苗木「だ、ダメだよ! うつしちゃったらどうするのさ!?」

舞園「大丈夫ですよ。これでも苗木くんより鍛えてますから」

苗木「そういう問題じゃ……」

舞園「それとも……私、邪魔ですか……?」ジワ…

苗木「そ、そんなことないよ!」

舞園「やった! じゃあ、苗木くんは大人しく看病されててくださいねっ」

苗木「うっ……」

舞園「返事は?」

苗木「……はい」

舞園「ふふっ、よろしい!」


舞園「ところで、熱はどれくらいあるんですか?」

苗木「……37度ちょっとかな」

舞園「……」

苗木「ただの微熱だよ」

舞園「はい、どうぞ」スッ

苗木「体温計……?」

舞園「エスパーですから。もう一度ちゃんと測って見せてください」

苗木「はは……お見通しなんだね……」

舞園「もちろんです」


pi


苗木「ん……」

舞園「見せてください」

苗木「はい」

舞園「どれどれ……38.6度……」

苗木「……」

舞園「苗木くん」

苗木「はい」

舞園「心配かけまいとしてくれたのは嬉しいですけど、嘘ついちゃダメですよ」

苗木「はい……」

舞園「もう、結構熱出てるじゃないですか……」

苗木「あはは……けほっ……」


舞園「ちょっと失礼しますね」

苗木「えっ?」


ギシ…


舞園「よいしょ。重くないですか?」

苗木「う、うん……」


苗木(なんで僕の上に馬乗りに……)

苗木(あ、舞園さんの顔が近づいてきた)

苗木(……えっ)

苗木(えええ!? これまずいんじゃないの!?)

苗木(えっ!? ええっ!!?)


ピト


舞園「んー、やっぱり熱いですね」

苗木「おで、こ……?」

舞園「苗木くん、顔が赤いですよ?」

苗木「な、あ……」///

舞園「ふふっ。タオル濡らしてきますね」

苗木「う、うん……」



舞園「……」

舞園「ちょっと大胆すぎたかな……」

舞園「うぅ……心臓バクバクしてる……」///

なんでこんなに日数経ってるの怖い
ごめんなさい、ちょっと長くなりそうなんでまた明日…!


ピタ


舞園「どうですか?」

苗木「ん……冷たくて気持ちいい……」

舞園「よかった」

苗木「その……ありがとうね」

舞園「え?」

苗木「せっかく夕方まで休みなのに看病してくれて……」

舞園「いえいえ。これはこれで楽しいですから」


苗木「そ、そう?」

舞園「ええ」

苗木「でも、やっぱり風邪うつしちゃったら悪いし……」グゥ

舞園「……」

苗木「……」

舞園「今日、何か食べました?」

苗木「いいえ……」

舞園「せっかくなので、お粥作ってきますね」

苗木「あ、ありがとう……」


苗木(……なんか、役得だなあ)

苗木(舞園さんには悪いけど……少しだけ、ほんの少しだけ、風邪ひいてよかったかも)

苗木(……)

苗木(舞園さん、早く戻ってこないかな)

苗木(風邪ひくと寂しくなるのってなんでだろう)

苗木(はあ……)

苗木(そばにいてほしいな)

苗木(舞園さん……)

――――

――


舞園「苗木くーん」

舞園「あれ? 苗木くん?」

舞園「あ、寝ていたんですね」

舞園「少し苦しそう……大丈夫かな……」

舞園「タオル、変えますね」

舞園「……」

舞園「早く、元気になってくださいね」

舞園「苗木くん……」


苗木「ん……」

舞園「あっ、おはようございます」

苗木「あれ……寝てた……?」

舞園「はい。少しだけ」

苗木「ご、ごめん……お粥作ってくれてたのに……」

舞園「いいんですよ。温めてきますね」

苗木「うん……」


舞園「はい、どうぞ」

苗木「あむ……」

舞園「熱くないですか?」

苗木「ちょっと、熱いかも……」

舞園「ふぅ、ふぅ……これでどうですか?」

苗木「ん……ちょうどいい……」

舞園「はい、あーん」

苗木「んむ……」

舞園「美味しいですか?」

苗木「うん……うん?」


舞園「どうかしました?」

苗木「あれ……な、なんで普通に食べさせてもらってるの僕!?」

舞園「寝ぼけていたからですかね?」

苗木「っ~~! じ、自分で食べるよ!」

舞園「大人しく看病されててください。ほら、あーん」

苗木「う……」

舞園「風邪ひいたときくらい、頼ってくださいよ」

苗木「う、うう……あむ」

舞園「ふふ。どうですか?」

苗木「美味しいよ……うぅ……」


舞園「さて。あとはちゃんと寝て、しっかり休んでください」

苗木「うん……来てくれてありがとうね」

舞園「どういたしまして。早く元気になってくださいね?」

苗木「うん」

舞園「ふふ」

苗木「……ねえ、舞園さん」

舞園「なんですか?」

苗木「あ、いや……その……」

舞園「?」

苗木「ううん、なんでもない」


舞園「本当ですか?」

苗木「う、うん……」

舞園「……実は、今日は苗木くん看病デーなのです」

苗木「へっ?」

舞園「苗木くんのお願いを1つだけ、なんでも聞いちゃいます」

苗木「な、なんでも……?」

舞園「はい。どんなお願いでも」

苗木「……」

舞園「何かありませんか?」

苗木「……手を」

舞園「はい」


苗木「僕が寝るまで……手を繋いでいてもらえるかな……」

舞園「お安い御用です」


ギュ


苗木「ありがと……なんか、落ち着くなあ」

舞園「ふふっ、よかった」

苗木「ありがとうね、本当に……」

舞園「私が風邪ひいたときも看病してくれますか?」

苗木「もちろんだよ」

舞園「楽しみにしてますね」


苗木「けど、できれば風邪ひかないでね?」

舞園「はい、努力します」

苗木「はは……」

舞園「ふふ」

苗木「……」

舞園「……」

苗木「ねえ……舞園さん……」

舞園「はい」

苗木「おやすみ……」

舞園「……はい。おやすみなさい、苗木くん」


ギュ…


【おまけ】


桑田「おーう苗木、晩飯持ってきてやったぜー」

苗木「ありがと、けほけほ」

桑田「おいおい大丈夫かよ」

苗木「うん。舞園さんに看病してもらってだいぶよくなったよ」

桑田「そっか、そりゃよかった……舞園ちゃんの看病だとお!!?」

苗木「う、うん……」

桑田「なんだそれ! 羨ましいなちくしょう!!」

苗木「少しだけ、だけどね」


桑田「うーん、俺も風邪ひこうかな」

苗木「桑田くん……」

桑田「冗談だって。あ、タオル変えるか?」

苗木「あ、そうだね。お願い」

桑田「おう。水洗い借りるぜ」

苗木「うん」


キィ、バタン


桑田「って、なんじゃこりゃああああ!!!?」


苗木「く、桑田くん!?」

桑田「おい苗木!! なんで洗面台に女物の歯ブラシがあるんだよ!!?」

苗木「え? ああ、それ舞園さんのだけど」

桑田「はあああああ!!!!??」

苗木「それがどうかした?」

桑田「お、おま、お前!! アイドルと何ヤッちゃってるわけ!!!?」

苗木「何言ってんの!? たまに夜更かししちゃうから一応置いてるだけだよ!?」

桑田「んだとお!!? あっ! よく見たらお前の部屋、女子が好きそうなもん多くねえか!!?」

苗木「そ、そう?」


桑田「なんか化粧道具みたいなのあるし!! 女子のファッション誌あるし!!!」

苗木「あー、そういえば……」

桑田「しかもこのカーディガン、暑くなる前に舞園ちゃんがよく着てたやつに似てねえか!!!?」

苗木「まあ、舞園さんのだしね」

桑田「うおおお苗木いいいい!!!」

苗木「な、なにかな?」

桑田「このカーディガン売ってくれ」

苗木「駄目に決まってるでしょ」

桑田「ですよねー」

仲のいい友達ならこれくらい普通だから!たぶん
いろいろレス等からネタ頂いてます、ありがとうございます


【昼時間】


舞園「んー、どっちの眼鏡がいいと思います?」

苗木「赤かな」

舞園「こっちですか?」スチャ

苗木「なんか新鮮だね、眼鏡」

舞園「でしょう。ふふっ」

苗木「髪型はそのまま?」

舞園「いえ。赤のフレームに合うのだと……これですね」シュル…

苗木「ポニーテール……」

舞園「どうですか?」


苗木「うん、似合ってるよ」

舞園「やったっ」

苗木「じゃあ行こうか」

舞園「はい!」

苗木「……」ジー

舞園「どうかしました?」

苗木「ううん。なんでもないよ」

舞園「変な苗木くん」クスクス

苗木(かわいい……)

――――

――


ジジジ…


舞園「あ、暑いですね……」

苗木「うん……夏だもんね……」

舞園「……!」

苗木「舞園さん?」

舞園「早くも足が止まってしまいそうです」

苗木「えっ?」

舞園「あー、もう歩きたくないなー」チラッ

苗木「まだ寮から出たばかりじゃないか」


舞園「だから……」

苗木「?」

舞園「私を引っ張ってください」スッ

苗木「ええー?」

舞園「お願いします」

苗木「……ん」ギュ

舞園「えへへ。ありがとうございます」ギュー

苗木「どういたしまして」


舞園「……」

苗木「……」

舞園「さすがに暑いですね……」

苗木「うん。手、離す?」

舞園「いいえ」

苗木「あはは、なにそれ」

舞園「ふふっ」

苗木「駅までだからね」

舞園「はーい、わかってますよ」


【ショッピングモール】


苗木「ふう、着いたね」

舞園「涼しい! 生き返りますね!」

苗木「ほんとにね」

舞園「それにしても……」

苗木「うん……」


ワイワイ

ガヤガヤ


舞園「こ、混んでますね……」

苗木「まあ、夏休みだからねえ……」


苗木「さて、まずは……」

舞園「苗木くん、苗木くん」

苗木「ん?」

舞園「はぐれないよう、手を繋ぎましょう」

苗木「ええ!? こんな人が多いとこで!?」

舞園「大丈夫ですよ。バレませんってば」

苗木「それはそうかもしれないけどさ……」

舞園「だめ……ですか……?」

苗木「……はあ。今日だけだよ?」スッ

舞園「はい!」ギュ


舞園「苗木くん。このセーターどうですか?」

苗木「似合ってるよ」

舞園「このジャケットは?」

苗木「似合ってるよ」

舞園「……苗木くん。さっきから同じことしか言ってなくないですか?」

苗木「えっ!? そ、そうかな……」

苗木(だって舞園さん、どんな服着ても似合ってるんだもん……)

舞園「ふふっ、どんな服でもってことはないですよ。でもありがとうございます!」

苗木「あれ、今声に出してた?」

舞園「エスパーですから」


苗木「ああ……そんなにわかりやすいかなあ、僕」

舞園「ええ。とーっても」

苗木「あはは……。それにしても、まだ8月なのにもう秋服売ってるんだね」

舞園「今夏の服を買っても、あまり着る機会がないじゃないですか」

苗木「あっ、なるほど」

舞園「よーし、次は苗木くんの服を見ましょう!」

苗木「ええ? 僕はいいよ」

舞園「ほらほら、メンズ服売り場に行きますよ!」ギュッ

苗木「うわあ!? な、何してんの舞園さん!?」


舞園「腕を組んでるんです」

苗木「じ、自分で歩けるよ!」

舞園「ダメです。しばらくこうして歩きます」ギュー

苗木「ま、舞園さん!?」

苗木(近い近い近い! ていうかなんか、その、柔らかい!)

苗木(あといい香りがする!)

苗木(って、何考えてるんだ僕は!?)///


舞園「えへへー。苗木くんの服、一度選んでみたかったんですよね!」

苗木「お、お手やわらかにね……?」

――――

――


舞園「ふう。結構買いましたね」

苗木「う、うん」

苗木(こんなに自分で服を買ったの初めてだ……)

舞園「そろそろいい時間ですし、どこかで夕食をいただきませんか?」

苗木「そうだね。レストランフロアに行こうか」

舞園「はい。あっ、苗木くんは何か食べたいものあります?」

苗木「んー、特にないかな。舞園さんは?」

舞園「私は苗木くんと一緒なら何でもいいですよ」ニコ

苗木「……!」ドキ

苗木(今の笑顔は不意打ちすぎるよ……うう……)///


【夜時間】


苗木「ああ、美味しかった」

舞園「苗木くんってイタリアンが好きなんですか?」

苗木「んー……舞園さんと一緒に食べたからかな」

舞園「……あ、ありがとうございます」///

苗木(仕返し成功。……かわいいなあ)


舞園「……そ、そろそろ寮の門限ですねっ」

苗木「もうこんな時間かあ」

舞園「苗木くんと一緒だと、時間が過ぎるのが早い気がします」

苗木「はは、僕もだよ。帰ろうか」

舞園「はい」


舞園「そうだ、苗木くん」

苗木「ん?」

舞園「これ、どうぞ」

苗木「……これは?」

舞園「プレゼントです」

苗木「ええっ!?」

舞園「ほら、早く開けてください」

苗木「う、うん……」

舞園「……」

苗木「これ……ペンダント……?」


舞園「苗木くん、あまりアクセサリーを付けないから……」

苗木「へえ、リング……指輪のペンダントなんだ……」

舞園「どう……ですか……?」

苗木「ありがとう! すっごく嬉しいよ!」

舞園「ほ、本当ですか?」

苗木「うん! あんまり派手じゃないし、普段から使いやすそうだなあ」

舞園「よかったあ」

苗木「にしても気づかなかったよ。いつ買ってたのさ?」

舞園「ふふ。苗木くんが試着している隙に買いました」

苗木「なるほど……本当にありがとね。大事にするよ」

舞園「はい!」


苗木「あ、そうだ。舞園さん、ちょっと目を瞑ってくれる?」

舞園「え? 目ですか?」

苗木「うん」

舞園「……はい、瞑りましたよ」

苗木「右手、出して」

舞園「? はい……」

苗木「……まだ、目は開けないでね」

舞園「苗木くん……?」

苗木「……」スッ

舞園「……!」ピク


苗木「もういいよ」

舞園「これは……」

苗木「僕からも、舞園さんにプレゼント」

舞園「指輪……?」

苗木「うん。お互い似たようなプレゼントになっちゃったね」

舞園「い、いつの間に……」

苗木「舞園さんと同じだよ。試着している間にね」

舞園「……」

苗木「舞園さん?」

舞園「すごく……とても、嬉しいです……」

舞園(ど、どうしよう……嬉しすぎてニヤついちゃいそう……)

舞園(それに、顔、すごく熱い……絶対赤くなってるよ……)カァァ

舞園(……宝物、ですね)ギュ…


苗木「舞園さん? 顔赤いけど大丈夫?」

舞園「だ、大丈夫です! さっさと帰っちゃいましょう!」///

苗木「う、うん」

舞園「……あっ」

苗木「どうかした?」

舞園「なーえーぎーくん」

苗木「ん?」

舞園「はい」スッ

苗木「はいはい」ギュ

舞園「……ふふっ」///

その、本当にごめんなさい…
しかも舞園さんのキャラスレに投下したやつの再利用でまじごめんなさい…

この指輪はきっと色恋沙汰リング


【図書室】


苗木「……」

舞園「……」

苗木「……」ペラ

舞園「あっ」

苗木「ごめん、まだ読んでた?」

舞園「……はい。オッケーです」

苗木「うん」ペラ


舞園「……」

苗木「……」

舞園「もういいですよ」

苗木「ちょっと待って……」

舞園「……」

苗木「……」

舞園「苗木くん、早く早くっ」

苗木「ん……よし」ペラ


舞園「……」

苗木「……」

舞園「……」コテン

苗木「舞園さん?」

舞園「覗き込んでいて首が疲れました。肩、貸してください」

苗木「はいはい」

舞園「ふふっ」



腐川「なに図書館でいちゃついてるのよ……ぐぎぎ……!」

腐川「同じ本を2人で……ほ、本くらい1人で勝手に読みなさいよ……!」

腐川「しかもあんな、お互いに寄りかかって……わ、私だって白夜様と一緒に本を読みたいのに……!!」

十神(今日は部屋で読むか)


【看病ごっこ】


舞園「けほけほ」

苗木「え、えっと、具合はどう?」

舞園「うーん。良くはないですね」

苗木「そっか……あ、熱はもう測ったの?」

舞園「いえ、まだです」

苗木「だと思ったよ。はい、体温計」

舞園「ありがとうございます。けど、あの……」

苗木「どうかしたの?」

舞園「その……少しはだけてしまうので、見られるのは恥ずかしいのですが……」

苗木「あっ、ご、ごめん!」クルッ

舞園「……意気地なし」ボソ

苗木「ん? 何か言った?」

舞園「いいえ、なんでもないでーす」

苗木「そ、そう?」


ppp...


舞園「あ、測り終わりました」

苗木「どうだった?」

舞園「んー……はい」

苗木「どれどれ……」

舞園「……」

苗木「36.2度……平熱だね」

舞園「じゃあ37.2度という設定でお願いします」

苗木「あはは、何それ」

舞園「あっそうだ。私、りんごが食べたいです」

苗木「りんご?」

舞園「はい。ちゃんと用意してありますからね、じゃじゃーん!」

苗木「はいはい、お任せください」


苗木「……」シャリシャリ

舞園「……」

苗木「……」シャリシャリ

舞園「苗木くん、りんごの皮剥き上手ですね」

苗木「妹が風邪ひいたときによくやってたからね」シャリシャリ

舞園「ふふ。なんだか本当に看病してもらってるみたいです」

苗木「はは……よし、できた」

舞園「あ、お皿あった方がいいですよね」

苗木「ん、いいよ。はい」スッ

舞園「えっ?」

苗木「どうぞ。あーん」

舞園「……い、いただきますっ」パク

苗木「美味しい?」

舞園「はいっ!」


【食堂】


苗木「わあ、美味しそう!」

舞園「はい。いい匂いです!」

苗木「舞園さんのおかげだね」

舞園「苗木くんのおかげですよ」

苗木「むっ……」

舞園「むむ……」

苗木「……」

舞園「……」

苗木「ぷっ、くく……」

舞園「ふふっ。2人のおかげ、ということにしておきましょうか」

苗木「そうだね」


霧切(何なのかしら、この甘ったるい空間は……)


霧切「……ここの席、いいかしら」

苗木「あっ、霧切さん」

舞園「どうぞどうぞ」

霧切「じゃあ失礼するわね。……あなた達、何をしていたの?」

苗木「ん、ああ。今日は舞園さんと一緒に料理してみたんだ」

霧切「え? 自分たちで作ったの?」

舞園「はい。なかなか楽しかったですよ」

苗木「たまにはこういうのもいいよね」

霧切「そう……」

苗木「っと、冷めないうちに食べようか」

舞園「そうですね。いただきまーす!」

苗木「いただきます!」

霧切「……いただきます」


霧切(一緒に料理、ねえ……)チラ


苗木「あっ、これ美味しいよ」

舞園「本当ですか?」

苗木「うん。ほら」アーン

舞園「んっ……」パク

苗木「でしょ?」

舞園「はい。うまくいきましたね!」

苗木「うん!」


キャッキャ


霧切(この2人、本当に付き合ってないのかしら……)


舞園「あ、苗木くん苗木くん」

苗木「どうしたの?」

舞園「頬にご飯粒がついてますよ」

苗木「えっ、どこ?」

舞園「じっとしててくださいね」ヒョイ

苗木「ん……」

舞園「取れましたよ」パク

苗木「ありがと」

舞園「どういたしまして」


霧切(恋人というか、まるで夫婦ね)

霧切「……いいなぁ」ボソ


苗木「楽しいね、料理って」

舞園「はい。またやりましょう」

苗木「うん」

舞園「そうだ、今度は霧切さんも一緒にどうですか?」

霧切「……えっ? わ、私?」

舞園「はい!」

霧切「いいの? その……お邪魔になるんじゃ……」

舞園「こういうのは皆でやった方が面白いですから。ねっ、苗木くん」

苗木「うん。一緒にやろうよ、霧切さん」

霧切「……じゃあ、参加させていただこうかしら」

舞園「やった!」



霧切(だから憎めないのよ。一応は恋敵なのに、ね……)クス


【雑誌】


桑田「な、苗木いい!!」

苗木「どうしたの桑田くん?」

桑田「これ、この雑誌!!」

苗木「へ? あ、江ノ島さんが表紙なんだ」

桑田「そこじゃねえよ! いや俺もそれで買ったんだけどよ!」

苗木「な、なんなのさ」

桑田「ここ! この記事!!」

苗木「えっと……えっ……?」


『あの高校生アイドルに熱愛発覚!? 彼氏とお泊り海デート!?』


苗木「なに……これ……」


【後輩】


舞園「はあ……」

苗木「舞園さん、大丈夫? ……雑誌に載ってた後輩さん、どうなりそう?」

舞園「あの子、しばらくは活動休止になるそうです……」

苗木「そっか……」

舞園「……」

苗木「大変だね、アイドルって。恋愛も自由にできないなんて」

舞園「そういう仕事ですからね。でも、まさかうちの事務所から出るなんて……」

苗木「舞園さん……」

舞園「……友達のままじゃ、ダメだったのかな」

苗木「……」

舞園「私と、苗木くんのように」

苗木「……そうだね」

舞園「……」

苗木「……」

舞園「……ふーっ」

苗木「ひぃやっ!?」ビク

舞園「きゃっ」

苗木「な、何してるのさ!?」

舞園「せっかく顔が近かったので、耳に息を吹きかけておこうと思って」

苗木「え、ええー……」

舞園「もう、なんで苗木くんが落ち込んでるんですか」クスクス

苗木「いや、だって舞園さんの後輩が……」

舞園「大丈夫です。アイドルって、強いんですよ?」

苗木「……そっか。そうだよね」

舞園「そうですよ。ふふっ」

ひええいつの間にか8月が終わりそう
次は夏祭りです


【夏祭り】


舞園「ごめんなさい、待ちましたか?」

苗木「ううん。僕も今来たとこだよ」

舞園「あ……」

苗木「どうしたの?」

舞園「いえ。なんか、デートみたいだなって」

苗木「そ、そうかな?」

舞園「ええ、少しだけ」


苗木「……ねえ」

舞園「はい」

苗木「似合ってるよ、浴衣。綺麗だ」

舞園「ふふっ。ありがとうございます」

苗木「じゃ、行こうか」

舞園「はい。あっ」

苗木「ほら、人多いし。はぐれるといけないからさ」

舞園「……そうですね。えへへ」


ギュ…


ワイワイ


苗木「大きい祭りじゃないはずだけど、思ったより賑わってるね」

舞園「みんなお祭りが好きなんですよ」

苗木「舞園さんも?」

舞園「もちろん。少し寂しいですけどね」

苗木「寂しい?」

舞園「ほら、なんていうか……これでもう、終わってしまうじゃないですか」

苗木「……」

舞園「夏休み。楽しかったです」


苗木「うん。僕も」

舞園「苗木くんと一緒に過ごせて、とても楽しかったです」

苗木「僕も、舞園さんと一緒にいられてよかったよ」

舞園「……」

苗木「……」

舞園「あっ、金魚掬い!」

苗木「やってみようか」

舞園「はいっ」


舞園「……」

舞園「……」スッ

舞園「あっ……」


チャプン…


苗木「破れちゃったね」

舞園「うーん、難しいですね……」

苗木「もしかしてあまり金魚掬いやったことない?」

舞園「そうですね。レッスンとかで忙しくてお祭り自体あまり……」


苗木「コツがあるんだ」

舞園「コツ、ですか?」

苗木「うん。こうやって水の中を水平に動かして……」

舞園「……」

苗木「……それっ!」

舞園「わっ、すごい! 苗木くん上手ですね!」

苗木「祭り、けっこう好きなんだ。毎年家族と来るし」

舞園「そうなんですね。あっ、すみません、今年は……」

苗木「ううん。今年は舞園さんと来たかったから」

舞園「……私もですよ。ふふっ」


金魚「……」プカプカ


苗木「1匹だけでよかったの?」

舞園「はい。金魚飼うのも初めてですし」

苗木「そっか。元気なの選んだから、長生きすると思うよ」

舞園「本当ですか? ありがとうございます」

苗木「ううん。あ、かき氷食べない?」

舞園「いいですね。わあ、いろんな味がある」

苗木「んー、何味にしよう……」

舞園「私はいちご味ですね」

苗木「じゃあ、僕はブルーハワイかな」


シャクシャク


舞園「冷たくて美味しいですね」

苗木「うん。あ、そんな急いで食べない方が……」

舞園「んう?っ!」キーン

苗木「遅かったか……」

舞園「うう……かき氷食べるの久しぶりで忘れてました……」

苗木「大丈夫?」

舞園「大丈夫じゃないです。苗木くんが早く言わないせいです」

苗木「はは、ごめんごめん」


舞園「罰としてブルーハワイを少しください」

苗木「いいよ、はい」アーン

舞園「あむ……」パク

苗木「どう?」

舞園「美味しいです。けど……」

苗木「けど?」

舞園「これ、何の味なんでしょうか」

苗木「そういえば……何味なんだろうね、ブルーハワイって」


舞園「あっ」

苗木「どうかした?」

舞園「苗木くん、舌、出してください」

苗木「え? こう?」ベー

舞園「……ぷっ、ふふっ」

苗木「えっ、何!?」

舞園「苗木くん、舌が真っ青になってますよ」

苗木「あー、色つくの忘れてた!」

舞園「くすくす。そこまで綺麗に青くなるんですね」


苗木「……あれ? でも舞園さんも一口食べたよね、ブルーハワイ」

舞園「あっ……」

苗木「はは、お揃いだ」

舞園「むう。色、ついてます?」ベー

苗木「んー……」

舞園「ほうへふは?(どうですか?)」

苗木「えっとね……」


苗木(舞園さんが、舌を少し出して近づいてくる)

苗木(気づいてないのかな)

苗木(もう少しで、顔、くっ付いちゃうよ?)

苗木(なんか浴衣のせいもあって、ドキドキするな……)


舞園「はえひふん?(苗木くん?)」

苗木「……うん、大丈夫。むしろいちご味で真っ赤だよ」

舞園「そうですか、よかったぁ」

苗木「ねえ、あっちの方、行ってみようか」

舞園「はい。あれ? 苗木くん、顔が赤いですよ?」

苗木「き、気のせいじゃない?」

舞園「いえ、やっぱり赤いです」

苗木「照明の関係だよ」


舞園「こっち向いてみてください」

苗木「え、ええ?」

舞園「ほら、赤いです」

苗木「赤くないってば」



不二咲「……」

大和田「おーい。たこ焼き買ってきたぜ、不二咲」

石丸「む、どうかしたのかね?」

不二咲「あ、ううん。何でもないよ」

不二咲(あの2人、付き合ってないんだよね……?)

続く。
夏の間に書きたかった…


苗木「あれ? あそこ人が集まってるね」

舞園「えっと、あれは……射的みたいですね」


ターンッ

オオォ! スゲェ!!


戦刃「次……」

江ノ島「お姉ちゃんすご~い! 店主さんがすっごい絶望的な顔してるよ~!」


ターンッ

モウヤメテクレェ!


戦刃「次……」

江ノ島「というか私の声も聞こえていませんね」

苗木「戦刃さんと江ノ島さん?」

戦刃「苗木くん!?」バッ

江ノ島「苗木の声は聞こえんのかよ! この残姉がッ!!」


苗木「久しぶりだね」

戦刃「う、うん」

舞園「江ノ島さんたちも来てたんですね」

江ノ島「希望ヶ峰から近いからね。まあ、ボクは残念なお姉ちゃんに無理やり連れてこられたんだけどね」

戦刃「え? 盾子ちゃんが暇だから行こうって……」

江ノ島「黙っていろ残姉ッ!!」

苗木「あはは……」

舞園「ところでそれ、もしかして全部射的の景品ですか?」

江ノ島「はい……姉さんが思いのほかハマってしまって……」

苗木「すごいね……」

戦刃「そ、そうかな」テレッ


江ノ島「あーあ。苗木に会ったとたん馬鹿みたいに顔赤くなってやがんの」

舞園「わかりやすいですよね、戦刃さん」

江ノ島「ホントにねー。ところでアンタら、今日はデート?」

舞園「ええ。そうですよ」

江ノ島「……ふうん」

舞園「なんですか?」

江ノ島「いや? ついに素直になったかと思って」ニヤニヤ

舞園「……」

江ノ島「まあいいや。お姉ちゃーん、そろそろ行くよー」

戦刃「あっうん。またね苗木くん、舞園さん」

苗木「うん、また学校で!」


苗木「戦刃さんたちも来てたんだね」

舞園「景品、すごかったですね」

苗木「僕たちもやってみる?」

舞園「はい! あっ、けど……」

苗木「どうかした?」

舞園「私、射的はやったことがなくて……」

苗木「じゃあ僕が教えてあげるよ」

舞園「本当ですか? ありがとうございます!」

苗木「戦刃さんみたいに上手くはないけどね」

舞園「構いませんよ。私は苗木くんに教えてもらいたいんです」

苗木「はは、ありがとう。よし、2人分お願いします」


苗木「じゃあ、とりあえず1発撃ってみようか。弾をここに詰めるんだ」

舞園「はい」

苗木「で、構え方なんだけど……」

舞園「えっと、こんな感じですか?」

苗木「……ちょっと失礼するね」ピト

舞園「へっ?」

苗木「ここをこう持って……顔はこっちに……」ギュ

舞園「は、はい」

舞園(こ、これ……後ろから抱きかかえられてますよね……)カァァ


苗木「落ち着いて的を狙って……」

舞園「うう……」

舞園(落ち着くなんて無理ですよ!? 耳元で囁かれてどう落ち着けっていうんですか!)///


苗木「引き金を引いてみようか」

舞園「あ、はい!」

舞園(落ち着いて引き金を引く……落ち着いて引き金を引く……)


舞園「……」

苗木「舞園さん?」

舞園「あ、あの……」

苗木「なに?」

舞園「い、一緒に引いてもらえませんか……? その、指が震えちゃって……」

苗木「う、うん。わかった」スッ

舞園「……」

苗木「じゃあ……いくよ……?」

舞園「はい……」

舞園(背中も、耳元も、この右手も……苗木くん、暖かいな……)


ターンッ


――――

――

舞園「うーん。残念でしたね」

苗木「ごめんね、何も取れなくて」

舞園「いえいえ、私は楽しかったですよ」

苗木「そっか。よかった」

舞園「あっ、これ食べましょう、わたあめ!」

苗木「わたあめ? 最近食べてないなあ」

舞園「1人で食べるには少し大きいんですよね」

苗木「確かに。けど、2人ならちょうどいいよね」

舞園「ええ。きっと」


苗木「どう、わたあめ?」

舞園「あむ……久しぶりに食べると結構美味しいです」

苗木「本当?」

舞園「苗木くんも食べてください」

苗木「うん。貸して」

舞園「このまま食べましょうよ」

苗木「このまま?」

舞園「私はこっちからで、苗木くんはそっちから。これだけ大きいんですし、ねっ」

苗木「そう? じゃあ僕も……」

舞園「どうですか?」

苗木「うーん……甘いね」

舞園「ふふっ。当たり前じゃないですか」

苗木「あはは……」

苗木(いや、舞園さんの顔がすぐ目の前にあるから、ドキドキしてよく味がわからないんだよね……)


苗木「甘いね」

舞園「はい。とっても甘いです」

短いけど続きはできるだけ間空けずに投下するから許して
体育祭や文化祭は書かないです、ごめんなさい
あと2,3回で終わります


苗木「さて、次は……」

舞園「あ……」

苗木「舞園さん?」

舞園「すみません、ちょっとお花を摘んできますね」

苗木「花を? えっ?」

舞園「もう。そこは聞き返さないのがマナーですよ?」

苗木「へ? ……あっ、ご、ごめん!」

舞園「ふふ。あ、金魚持っていてもらえますか?」

苗木「う、うん」

舞園「じゃあ、ここで待っていてくださいね」

苗木「うん。いってらっしゃい」

ミスった! 上の忘れてください!


苗木「さて、次は……」

舞園「あ……」

苗木「舞園さん?」

舞園「すみません、ちょっとお花を摘んできますね」

苗木「花を? えっ?」

舞園「もう。そこは聞き返さないのがマナーですよ?」

苗木「へ? ……あっ、ご、ごめん!」

舞園「ふふ。あ、金魚持っていてもらえますか?」

苗木「う、うん」

舞園「じゃあ、ここで待っていてくださいね」

苗木「うん。いってらっしゃい」



「……あら? 苗木くん?」


苗木「ん?」

霧切「こんばんは」

苗木「霧切さん!」

霧切「あなたも来ていたのね。その金魚、苗木くんが掬ったの?」

苗木「あ、掬ったのは僕だけど、舞園さんのだよ」

霧切「……そういうことね」ボソ

苗木「どうかした?」

霧切「何でもないわ。ところで苗木くん、他に何か言うことはないのかしら?」

苗木「はは、ごめんごめん。霧切さんの浴衣姿って新鮮だね。似合ってるよ」

霧切「ふふ。ありがとう」


苗木「浴衣まで着てるってことは、霧切さんって祭りが好きなの?」

霧切「いえ、祭りに興味がある方ではないわ。友達に誘われたのよ」

苗木「そっか。あ、ごめんね引き止めちゃって……」

霧切「大丈夫よ。あの子、今は席を外しているみたいだから。……気を遣わせてしまったわね」

苗木「へっ?」

霧切「……ねえ、苗木くん」

苗木「ん、なに?」

霧切「前からあなたに伝えたいことがあったの」

苗木「伝えたいこと?」

霧切「ええ。……苗木くん」

苗木「うん」

霧切「私、あなたのことが好きなの。付き合ってくれないかしら」


苗木「え……ええっ!?」

霧切「……」

苗木「ちょ、ちょっと待って、えっ、えええ!?」

霧切「気づいてなかったの?」

苗木「ぜ、全然気づかなかったよ!?」

霧切「はあ……」

苗木「な、え、本気……なの……?」

霧切「私が冗談でこんなこと言うと思う?」

苗木「思わない……けど……」

霧切「なによ」


苗木「なんで僕なの? その、こんな何の取り柄もないような……」

霧切「それはあなたを好きになった私に男を見る目がないと言っているの?」

苗木「いやっ、そういうわけじゃなくて!」

霧切「……ぷっ、くすくす」

苗木「き、霧切さん……?」

霧切「く、ふふっ、慌てる苗木くんって面白いわね」

苗木「ええ……なにそれ……」

霧切「それで?」

苗木「えっ?」

霧切「苗木くん。あなたの返事は?」

苗木「霧切さん……」


苗木「……」

霧切「……」

苗木「ごめん……霧切さんとは、付き合えない……」

霧切「一応、理由を聞いてもいいかしら?」

苗木「……僕、好きな人がいるんだ」

霧切「そう」

苗木「だから、ごめん……」

霧切「……」

苗木「あの……」

霧切「……ふふ。いいのよ、謝らなくて。こうなるのは分かっていたもの」

苗木「え?」


霧切「分かっていたわ。あなたが私のことをそういう目で見ていないって」

苗木「……」

霧切「私なりにけじめを付けたかったの。ありがとうね、きっぱりと振ってくれて」

苗木「霧切さん……」

霧切「ところで、好きな人っていうのは誰? 私の知っている人かしら」

苗木「それは……ごめん。言えないかな」

霧切「そう。じゃあ私は友達に会いに行くわ。舞園さんによろしくね、それじゃ」クルッ

苗木「あ、うん……またね!」

霧切「……」

苗木「また二学期に、学校でね!」

霧切「……ええ」スタスタ


霧切「……」

舞園「……いいんですか?」

霧切「覗き見? 趣味が悪いわね」

舞園「私は友達との待ち合わせ場所に戻ってきただけですよ」

霧切「そのお友達から伝言よ。誘ってくれてありがとう。けど、疲れたから今日はもう帰るって」

舞園「そうですか。じゃあ、友達にこれを渡してもらえませんか?」

霧切「ハンカチ……?」

舞園「そのうち返していただければいいので」

霧切「洗って返すわ」

舞園「別にいいですよ」

霧切「……ありがとう」


――――

――

舞園「苗木くーん!」

苗木「舞園さん……」

舞園「ごめんなさい、待たせちゃって」

苗木「……」

舞園「苗木くん、何かありました?」

苗木「……ううん。なんでもないよ」

舞園「そうだ、戻ってくるときにたこ焼き買ったんです。食べましょう」

苗木「うん。って、結構量あるね……」

舞園「そうですね。3人くらいなら丁度よかったかもしれません」

苗木「……そうだね」パク


舞園「あっ、一口で食べたら……」

苗木「あ、熱っ!?」

舞園「大丈夫ですか!?」

苗木「う、うん……」

舞園「ああもう、口元にソースが付いちゃって……あっ」

舞園(そっか。ハンカチ、霧切さんに渡したんでしたね……)


苗木「舞園さん?」

舞園「ちょっと拭きますよ」

苗木「待って、それじゃ舞園さんの指が汚れちゃうって」

舞園「大丈夫ですよ。動かないでください」

苗木「わっ……」


舞園「……」

苗木「あー、指にソースが……何か拭くものあったっけな……」

舞園「ん……」ペロ

苗木「舞園さん!?」

舞園「ほら、これで大丈夫ですよ。ねっ」

苗木「う、うん……」///


舞園(こ、これ、間接キス……ですよね……?)

舞園(ああ、もう。自分からやったくせに顔が熱くなって……)


舞園「つ、次、行きましょうっ」///

苗木「あっ、待ってよ舞園さん!」


苗木(僕の……僕の、好きな人は……)

霧切さん好きな人ごめんなさい…
けどやっぱり苗木くんと舞園さんの恋愛には欠かせない人だと思うんです
次がラストになります

乙。
うーん、とにかく甘いw
そして次でラストかぁ。名残惜しいなぁ。
自分はあなたの書くダンロンss、本当に好きです。
また次も期待して待っていますから!


ドン


舞園「きゃっ」

苗木「舞園さん、大丈夫!?」

舞園「は、はい……。人、増えてきましたね」

苗木「もうすぐ花火が始まるからね」

舞園「ああ、なるほど」

苗木「手貸して。はぐれるといけないから」

舞園「……ダメです」

苗木「え?」

舞園「手だけじゃダメです。苗木くんは人混みを甘く見ています」

苗木「ご、ごめん……?」

舞園「だから……」


ギュ


舞園「腕……掴まっててもいいですよね……」


苗木「ま、舞園さん……」

舞園「これならはぐれる心配はありません」

苗木「……そうだね」

苗木(舞園さん……)

苗木(浴衣って結構薄いからさ、その……)

苗木(すごく肌と肌が近いように感じる)

苗木(……)

苗木(ずっと、こうしていたいな……)


舞園「ふふ。私もです」

苗木「え、なんで……」

舞園「エスパーですから」ニコ


苗木「……ふ、くくっ」

舞園「あー! なんで笑うんですか!」

苗木「ごめんごめん、なんだか可愛くて」

舞園「えっ?」

苗木「あっ」

舞園「……あ、ありがとうございます」///

苗木「ど、どういたしまして」///

舞園「うう……」///

苗木「……そ、そうだ! あっち行こうよ」

舞園「え? 屋台も何もないですよ?」

苗木「人がいなくて花火がよく見えるとこがあるんだ」


――――

――

舞園「ほ、本当にこっちでいいんですか?」

苗木「うん、もう少しで開けた場所に出るから……ほら。着いたよ」

舞園「わあ……空がよく見えますね!」

苗木「でしょ? 前にここの祭り来たことあってさ、そのときに見つけたんだ」

舞園「へえ。花火はどっちでしょう」

苗木「えっとね、確かあっちの方に……」


ヒューー…

ドンッ


舞園「あっ……綺麗……」

苗木「うん……」


苗木「ちょうどいい時間だったね」

舞園「はい」

苗木「花火、綺麗だね」

舞園「はい。……もう少し、寄ってもいいですか?」

苗木「これ以上?」

舞園「これ以上です」

苗木「……うん。いいよ」

舞園「じゃあ、お言葉に甘えて」ピト

苗木「……」

舞園「……」

苗木「暖かいね」

舞園「はい」


舞園「……いろいろありましたね、夏休み」

苗木「うん。初めの方は寮の冷房が壊れて大変だったね」

舞園「あれは暑かったですね。おかげで随分と苗木くんの部屋に入り浸っちゃいました」

苗木「扇風機があってよかったよ、本当に」

舞園「海も楽しかったですね」

苗木「うん、とても」

舞園「苗木くん、私の水着姿にドキドキしてましたよね」

苗木「い、いや、そんなこと……」

舞園「してましたよね?」

苗木「はい。ドキドキしてました」

舞園「ふふっ、素直でよろしい」


舞園「苗木くんが風邪を引いたこともありましたね」

苗木「舞園さんが風邪を引いたふりをしたこともね」

舞園「苗木くんに看病してもらえてよかったです」

苗木「はは……」

舞園「それにしても」

苗木「うん」

舞園「本当に、いろいろ遊びましたね」

苗木「買い物に行ったり、映画観たり、ゲームしたり」

舞園「2人で一緒の本を読んだり。あっ、料理もしましたね」


苗木「そういえばさ」

舞園「なんですか?」

苗木「あの、買い物行ったときとかってさ」

舞園「はい」

苗木「デート、だったのかな」

舞園「……」

苗木「僕は、そうだったらいいなって思ってたんだけどさ」

舞園「私もですよ」

苗木「そっか。今日も?」

舞園「ええ、もちろん。これはデートです」

苗木「よかった」


苗木「デートに行ったり、海に行ったり、お互いの部屋に行ったり。これってさ……」

舞園「私の後輩と同じですね」

苗木「だよね」

舞園「こうして考えると、私たち、付き合っているようにしか思えませんね」

苗木「はは……」

舞園「ふふ」


ヒューー…

ドンッ


苗木「花火、綺麗だね」

舞園「はい」


苗木「ねえ、舞園さん」

舞園「なんでしょう」

苗木「僕さ、舞園さんに伝えたいことがあるんだ」

舞園「奇遇ですね。私も、苗木くんに伝えたいことがありますよ」

苗木「本当?」

舞園「はい。せーので言いませんか?」

苗木「そうしようか」

舞園「じゃあ、お願いします」

苗木「うん。せーの……」



「「好きです」」


苗木「……」

舞園「……」

苗木「僕、ちょっと前から舞園さんのことが好きだったんだ」

舞園「私なんて結構前から苗木くんのこと好きでしたよ」

苗木「じゃあ僕はずっと前からファンだったし」

舞園「私だって中学の頃から気になってましたもん」

苗木「む……」

舞園「むむ……」


苗木「……ぷっ」

舞園「ふふっ」

苗木「なんていうか、似たもの同士だね。僕たち」

舞園「そうですね」

苗木「……。だから、その、さ……」

舞園「はい」

苗木「僕たち……」

舞園「……」

苗木「……友達に、戻ろう。本当に普通の、仲がいいだけの友達に」


苗木「舞園さんは、アイドルだから」

舞園「はい」

苗木「僕は、舞園さんに輝いていてほしい」

舞園「……」

苗木「夢を実現させ続けてほしい」

舞園「……」

苗木「僕は、アイドルの舞園さんのことも好きなんだ」

舞園「……ありがとうございます」

苗木「アイドルは恋愛禁止だもんね」

舞園「……ええ」

苗木「だから、普通の友達に戻ろう」


舞園「……私、苗木くんのことが大好きなんです」

苗木「ありがとう」

舞園「優しいところが好き」

苗木「……」

舞園「一生懸命頑張るところが好き」

苗木「……」

舞園「それに、いつでも前向きなところが好き」

苗木「はは……」

舞園「でも、アイドルが誰かをこんなにも想っちゃ、いけませんよね」

苗木「そうだね」

舞園「だから、ええ。普通の友達に戻りましょう」


苗木「……ねえ。待ってても、いいかな?」

舞園「私がアイドルじゃなくなるまで、ですか?」

苗木「うん」

舞園「私、おばさんになってるかもしれませんよ?」

苗木「うん」

舞園「ずっと待たせちゃいますよ?」

苗木「構わないよ」

舞園「苗木くんには、きっと他にも……」

苗木「僕は、舞園さんじゃなきゃ嫌だ」

舞園「私、アイドルのために好きな人を諦めちゃうような女ですよ……?」

苗木「それでも僕は待っていたいんだ」

舞園「待っていて……くれるんですか……?」

苗木「うん。もちろん」


舞園「ありがとう、ございます……っ……」

苗木「……」

舞園「私、私……」

苗木「……」

舞園「後輩が、あやかのことが、雑誌に載って……それで、どうしようって……」

苗木「僕もだよ」

舞園「ごめ、んなさいっ……私がアイドル、捨てられないから……!」

苗木「そんな一生懸命な君だから、僕は好きになったんだ」

舞園「っ……苗木くん……」


苗木「……ねえ。最後にお願いがあるんだ」

舞園「なんですか……?」

苗木「抱きしめてもいいかな」

舞園「……はい」

苗木「ありがとう」


ギュッ


舞園「暖かいです……」

苗木「うん」

舞園「それに、幸せです。とっても……」

苗木「うん……」


舞園「苗木くん」

苗木「なに?」

舞園「私からも、1つお願いをしてもいいですか?」

苗木「うん。いいよ」

舞園「じゃあ……」

苗木「……」

舞園「あの……うう……」///

苗木「舞園さん?」

舞園「き……」



「……キス、してください」


苗木「えっ……?」

舞園「ダメ、ですか……?」

苗木「そ、それはさすがに……」

舞園「お願いします……そしたら私は、みんなのアイドルに戻りますから……」

苗木「けど……」

舞園「だから、今だけは……」

苗木「……」

舞園「今だけは、あなただけの舞園さやかでいさせてください……」

苗木「舞園さん……」

舞園「お願い……」


苗木「……ねえ、舞園さん」

舞園「はい……」

苗木「この数か月、とても楽しかったよ。君を好きになれてよかった……」

舞園「私もですよ。恋をするのがこんなに楽しくて、少し苦しいことを初めて知りました……」

苗木「ありがとう……待ってるから……」

舞園「はい。少しだけ、待っていてください……」

苗木「舞園さん……」

舞園「苗木くん……」

苗木「……」

舞園「……」


ヒューー…

ドン…


――――

――


【秋】


【アイドル】


『さやかー、もう部屋出た?』

舞園「ご、ごめんなさい、あと少し!」

『もう。でも珍しいね、さやかが寝坊だなんて』

舞園「うう……」

『スタートには間に合うんだよね?』

舞園「うん、マコトくんに餌をあげたらすぐ向かうから!」

『マコトくん……? ああ、金魚の名前だっけ』

舞園「はい。私の大切なお友達ですよ」

『まあそれはいいとして、早く早く!』

舞園「は、はいっ!」


【絶望】


戦刃「ねえ盾子ちゃん」

江ノ島「……」

戦刃「大丈夫?」

江ノ島「無理ぃ……」

戦刃「もう……」

江ノ島「だ、だってだって! あいつら絶対くっつくと思ってたのに! なんでこうなるのよ!? ぐすっ……」

戦刃「盾子ちゃんって、恋愛に関しては結構乙女だよね」

江ノ島「はああ何言ってんの!? 残姉お仕置きだからね!!」

戦刃「顔真っ赤にして言っても怖くないよ」

戦刃(人類絶望化計画、すっかり忘れてるよね……まあいいか)


【幸運】


桑田「おい苗木! 舞園ちゃんと夏祭りデートしてたって本当かよ!?」

苗木「へっ? 誰に聞いたのそれ?」

桑田「不二咲がお前らを見たって言ってたんだよ!」

苗木「ああー、それは……」

桑田「本当だったんだな!? デートしちゃったんだな!?」

苗木「えっと……」

霧切「あら。私もその場にいたわよ」

苗木「霧切さん!」

桑田「……二股?」


霧切「何を馬鹿なこと言ってるの。3人で遊びに行っただけよ。ねえ、苗木くん」

苗木「あ、うん! そうなんだよ!」

桑田「んー、じゃあデートではないわけか……」

苗木「そういうこと」

桑田「じゃあ苗木よお」

苗木「ん?」

桑田「夏休みの間に舞園ちゃんと付き合い始めたとかないのかよ?」

苗木「……」

桑田「どうなんだよ?」

苗木「……ふふっ」

桑田「んあ?」



苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」



終わり

これで終わりです。
タイムマシンSSの息抜きに書き始めたけど、当初はここまで長くなるとは思っていませんでした。
どこかの時点でふと「ひと夏の恋」みたいな話を書きたくなって、できるだけ甘くしたつもりです。

最後は2人の七夕の願いが叶うことなく、ただの友達に戻りました。
この2人はお互いの気持ちを知ったらこのような選択をするんじゃないかな、と個人的に思っていた結末です。

最後まで読んでいただいた方、本当にありがとうございました。
途中で何度もエタりそうになったけど、なんとか完結できたのは皆さまのおかげです。
めっちゃ短いエピローグを明日あたり投下すると思います。

>>436
ありがとうございます!
タイムマシンの続きを書くと言ったまま書けていませんが、本当にあれはどうにかしようと思っています…


『――――』


「ほえー」

「何を見てるんだい?」

「あいどる!」

「アイドル?」


『モノクロームな恋が~ 2人を包んで~』


「おおー」

「おっ。これは……」

「夕食できましたよー。って、何を見てるんですか!!?」


「あいどる!」

「はは。伝説のアイドルだって」

「ちゃ、チャンネル変えませんか!?」

「だーめ!」

「駄目だってさ」

「うう……」

「あれー?」

「ん、どうした?」

「あいどる、ママににてる!」

「ああ、本当だね」

「っ~~!!」///


「ほ、ほら、ご飯食べますよ!」

「はいはい。ほら、行くよ」

「うんっ」

「って、あれ? 僕の茶碗は?」

「誠くんなんて知りません!」

「ごめんごめん。からかいすぎたよ、さやかさん」

「パパ、はやくはやく!」

「はーい」

「もう……」

「よし。じゃあ」



「「「いただきます」」」

本当に終わり。タイムマシンに繋がったりなんてしません。
1日経ったらhtml化依頼出してきます。

苗舞SS増えないかなー(チラッ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月10日 (月) 19:13:42   ID: bz84PTL0

超面白いっす‼︎

2 :  SS好きの774さん   2014年02月12日 (水) 01:58:12   ID: GZMzK-wv

これはすごくいいSSだね!でも霧切さんももう少しライバル感でてほしいな

3 :  SS好きの774さん   2014年03月18日 (火) 00:00:41   ID: hsmRyadg

支援

4 :  SS好きの774さん   2014年03月19日 (水) 22:47:19   ID: x4nMyva5

頑張れ~

5 :  SS好きの774さん   2014年03月22日 (土) 16:50:39   ID: oASMTthL

>コミュ障探偵

は?(威圧)

6 :  SS好きの774さん   2014年03月23日 (日) 06:42:24   ID: 3FKYJGks

は?春休みまで書けやぁ!!
この人のSSは最強だね!タイムマシーンも最強だった!

7 :  SS好きの774さん   2014年05月26日 (月) 23:53:33   ID: HeST64EU

苗木くんが夏バテで看病イベント‼︎

8 :  SS好きの774さん   2014年11月18日 (火) 01:58:09   ID: YcSxRaDA

タイムマシンSSで心折られたところを救われたよ

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