ちひろ「あるプロデューサーの最期の一日、歪んだしあわせ」 (57)

ちひろ「あーあ、どこかにブラックな仕事環境でもしゃかりき働いてくれるかもはいないですかね~」

ちひろ「あ、いいところに人生棒に振ってそうな人が!」

「リストラされて恋人も寝取られ、多額の借金も負わされ、家族からは見捨てられて」

「もう生きていたってしかたない・・・・」

「死のう」

ちひろ「おーいそこの人~」

「俺ですか・・・?」

ちひろ「そうですそうです」

ちひろ「死ぬのは後でにして、アイドル育ててみませんか?」

「・・・・今度は何の詐欺だよ、もう俺は傷つきたくないんだよ」

ちひろ「まあまあ、どうせ死ぬ命なんですからちょっと一役立ってくださいよ、ね?ほんの数ヶ月新しい人が見つかるまでの代理でいいですから」

「・・・・・・・」

ちひろ「あ、今考えましたね!それはつまり興味があるってことですね!じゃあお仕事始めましょうさあさあ」

「えっ!・・・ちょ、ちょっと」

ちひろ「さあ行きましょうプロデューサーさん!」

「プロデューサー・・・?俺が?」

ちひろ「だってお名前知りませんから他に呼びよう無いですし」

「俺の名前は」

ちひろ「ああ、いいですよ別に昔の名前は。どうせ数ヶ月の付き合いですし、もうその名前使いたくもないでしょう?」

P「・・・・そうですね」

ちひろ「ちゃんと偽名とかも用意しておくんでお仕事にはなんの支障もないですよ!」

P「じゃあ、宜しくお願いします」

ちひろ「こちらこそ文字通り、死ぬまで宜しくお願いしますね」

ちひろ「って感じで、その辺で拾ってきた使い捨てだったんですけどねぇ」

P「・・・・・次はドームで大型イベントの特別ゲスト・・・年末は紅白・・・と」

ちひろ「すごい有能じゃないですか」

P「偶然ですよ、なんか仕事が肌に合ってたみたいで」

ちひろ「いやーこちらとしては手放したくないくらいです」

P「ははは、でも今年までって約束ですから」

ちひろ「そうですね、なんだかんだこちらが拝み倒して数年待ってもらってますし」

P「お、そろそろ皆来る頃だな」

まゆ「おはようございます」

P「おはようまゆ、今日も一番なんて偉いな」ナデナデ

まゆ「うふふ・・・・はい、まゆはプロデューサーさんに撫でられたいから今日も頑張って早起きしたんですよぉ」

P「そうかそうか、なにかご褒美をあげないとな」

乃々「本当は私が一番なんですけど・・・・」

P「乃々は昨日から俺のデスクに居たからな」

乃々「あの・・・撫でるの、ないんですか・・・?」

P「昨日仮眠室で一緒に居てあげただろ、撫で撫でもしてあげたら頑張ったまゆがかわいそうじゃないか」

乃々「添い寝・・・がんばりましたけど・・・」

P「暖かかったけど勝手に潜り込んだだけなのでダメなものはダメ」

乃々「これもりくぼいじめなんですけど・・・ぐすっ」

P「いじめてない」

卯月「おはようございます!」

P「おうおはよう」

卯月「もうすぐ新年ですねー」

P「そうだな、今年の紅白が終わったら見納めだけどな」

卯月「もうっ、何言ってるんですかプロデューサー!これからも皆で頑張っていきましょうね!」

P「・・・そうだな」

晶葉「・・・・」

P「なにやってるんだ晶葉」

晶葉「ん?ああPか、イメージトレーニングだよ」

P「ほう、ライブのか?」

晶葉「いや、執刀のだ」

P「ああ、近いもんな」

晶葉「いくら天才の私でもこれだけはミスできないししたくないからな」

P「技術の天才であって医療の天才ではないだろうに」

晶葉「それについては大丈夫だ、そのための技術もこの数年で身につけた」

P「まあいざとなれば茄子が居るもんな」

晶葉「む、私の腕ではなく茄子頼みなのはいただけないな」

P「もちろんお前も信用してるよ」

P「それに失敗したって」

晶葉「失敗なんてしない」

P「・・・そうだな、じゃあ頼むぞ」

みりあ「むー!!」

雪美「・・・・・」

P「こらこらお前らなに睨め合ってんだ」

みりあ「だって雪美ちゃんが右目は自分のだって言うんだもん!」

雪美「・・・・譲らない・・・から」

P「雪美、右目はみりあが先に欲しいって言ってたんだからケンカはダメだぞ」

P「我慢しような?」ナデナデ

雪美「・・・Pが言うなら・・・がまんする」

P「他に欲しいところはあるか?そこだったら大丈夫かもしれないぞ?」

雪美「じゃあ・・・・左目・・・」

P「左目は・・・・うん、空いてるな」

雪美「・・・♪」

P「ほら、ちゃんとみりあと仲直りしような」

雪美「・・・・ごめんなさい」

みりあ「雪美ちゃんもほしいところもらえてよかったね!」

みく「PチャンPチャン!!」

P「ようみく、どうした?」

みく「えへへー抱きつきたかっただけ」ギュー

P「よしよし、いいこいいこ」

みく「にゃふふ・・・くすぐったいにゃあ~♪」

P「さてと、そろそろ行かないと」

みく「もっと撫で撫でしてほしいにゃ」

P「ごめんな、幸子を待たせてるから」

みく「がぶーっ」

P「みーく、首に噛み付くのはナシだぞ」

みく「みくはヤキモチだから他の女の子のお話すると噛み付いちゃうよ!」

P「あたた・・・こらこらまだ首を食い破るには早いだろ」

みく「えへへ、他の子のところに行くなら食べちゃうにゃ」

P「まったく仕方ないな」

みく「んっ・・・・えへへ♪」

猫は肉食だからちかたないね(奮え声)

P「ごめんな幸子、遅れた!」

幸子「・・・・・」

P「幸子」

幸子「ごめ・・・ぃ」

P「どうした?」

幸子「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
   ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

P「あー・・・自閉しちゃってるな」

P「幸子、ほらこっち向いてごらん?」

P「ほら、俺は見捨ててないよ、ちゃんとさっちゃんのこと見てるだろ?」

幸子「プロデューサー・・・さん?」

P「俺の方こそごめんな、予定より三分も遅れちゃったな」

幸子「きて・・・くれた」

P「うん、約束破るわけないだろ」

幸子「きて・・・う、うわあああああああんっ」

P「よしよし、ちゃあんと居るよ」

幸子「遅すぎですよ!!二分四十五秒遅刻です!!」

P「ちょっとみくと遊んでたんだ」

幸子「まあいいです、大目に見てあげます!ボクはやさしいですから」フフーン

P「で、なんで呼び出したんだ?」

幸子「?・・・理由なんて無いですけど」

P「ひょっとして俺の顔見たかっただけか?」

幸子「はい」

P「まったくもう」ナデナデ

幸子「もっと撫でてくれてもいいんですよ!」フンス

P「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」

凛「やめてってば」

P「お前は最初に面倒見たアイドルだからなー、あれは衝撃だった」

凛「だって顔青白くて頬がげっそりコケたゾンビみたいなのがプロデューサーって言われたらそうなるよ」

P「お前の気持ちもよく分かる」

凛「実を言うと最初はプロデューサーのこと大嫌いだった」

P「だろうなー、俺も人間不信だったし」

凛「考え方下向きだし、酷いことしか言わないし」

P「ですよねー」

凛「でもひねくれてない素のプロデューサーを見せられたら、考えが変わった」

P「俺の素を取り戻してくれたのはお前らだけどな」

P「俺も感謝してる、もう一度信じさせてくれた」

凛「何を?」

P「うーん、全部」

P「仕事も、生きることも、愛されることも、愛することも」

P「全部歪んでるけど、本物だって信じられた」

P「俺を騙してた奴らにはない、一途さがあった」

凛「私達も大概壊れてると思うけど」

P「俺もお前らを愛してるよ、お前らのためならなんでもできる」

凛「ありがとう、今まで」

P「ありがとう、今まで」

凛「・・・これからもね」

P「お、美味そう」

愛梨「えへへ♪Pさんのためだけの特製アップルパイです、好きでしたよね?」

P「今日ってなんかのお祝いだっけ?」

愛梨「いいえ、でも紅白が終わったら食べられなくなっちゃうじゃないですか」

P「うーむたしかに、愛梨のパイも食べ納めか」

愛梨「はい、あーん♪」

P「あーん」

愛梨「おいしいですか?」

P「うまいっ!!」

愛梨「えへへ嬉しいです!」ヌギヌギ

P「こら脱がない脱がない」

愛梨「ふぇ?あっ!つい嬉しくて・・・」

P「嬉しいのはわかるけどなー」ナデナデ

愛梨「♪」

P「とりあえずこれでやり残しはないかな」

愛梨「むー、あります」

P「なんかあったっけ、ってこれ脱がない脱がない」

愛梨「これは、本気です・・・」

P「・・・・」

愛梨「ずっと、離れないでくださいね」

P「そうだな、お前らが望む限りずっといっしょだよ」

愛梨「よかった、ならずっとずぅっといっしょですね」

P「もうすぐ紅白ですね―」

早苗「だねー」

P「早苗さんは欲しいとこ決めました?」

早苗「んー、全部」

P「それはナシです」

早苗「知ってるー」

P「えっと、無いってことでいいですか?」

早苗「うん、いいよ」

P「珍しいですね」

早苗「そう?」

P「心臓!とか言われても困りますけど」

早苗「実際居たでしょー」

P「聞いた奴のほとんどの第一希望そこでしたけどさすがに難しいから無理って晶葉が怒ってましたよ」

早苗「それ、よくわかんないんだよね」

P「それというと?」

早苗「一部だけ持ってて意味あんのかと」

P「共有するって言ったってどこかひとつでも独占できる場所がないと、あいつら壊れちゃうかもしれませんから」

早苗「それでP君に何かあったら意味無いじゃん」

P「でもあいつらのためですからそれでいいんです」

早苗「言うと思った、まあそういうとこが好きなんだけどさ」

P「ストレートっすね」

早苗「直球勝負しかしないのよあたし」

P「俺もそういうところ好きでしたよ」

早苗「過去形にしないで欲しいなぁ」

早苗「他の子達も・・・若い子はよくわかってないかもしれないけど、そこまでしてくれなくていいって思ってると思うよ」

P「そうかもしれません」

P「けど俺は力不足できっとみんなを一度に平等に幸せにはできないから」」

早苗「・・・はぁ」

P「俺が聞けるうちに、なんか書いといてくださいよ欲しいもの」

早苗「ほい」

『Pくん来年も宜しく』

P「・・・一番慎ましいかもしれませんね」

早苗「・・・・」

P「泣いてるんですか?」

早苗「そうやって聞くところは・・・デリカシーなくてきらい・・・」

P「よお」

茄子「こんばんわ」

P「お百度参りかぁ」

茄子「はい・・・よいしょ、よいしょ」

P「俺もやろっと」

茄子「ふふっじゃあ一緒に」

P「ちなみに何祈ってんだ?」

茄子「プロデューサーのことです、私の幸運だけじゃ足りないと思ったので」

P「ありがとな」

茄子「いいんですよー、自分の為でもありますし」

P「愛されてるなー」

茄子「もちろんです」

P「茄子は欲しいとこ書いたか?」

茄子「いりませんよ」

P「お前もか?」

茄子「あなたが無事ならそれでいいです」

P「・・・・そうじゃない場合もあるぞ」

茄子「その時も一緒ですよ」

P「ついてこなくてもいい、もっといい出逢いもあるさ」

茄子「ありませんよ、絶対無いです」

P「愛されてんなぁ」

茄子「そうですよーふふっ♪」

ちひろ「心残りはないですか?」

P「ひとつありますけど、今のところは」

ちひろ「そうですか」

P「あいつらの紅白の舞台もそろそろ終わりですね」

ちひろ「ですね、それにしても」

P「はい?」

ちひろ「半死人がよくぞここまでってかんじですよ」

P「自分でもびっくりですよ」

ちひろ「あの子たちもこれで引退かぁ」

P「すいません、ご無理を言ってしまって」

ちひろ「いいですけどね、今までありえないほど儲かりましたし」

P「ははは、ブレないっすね」

ちひろ「・・・ところで」

P「はい?」

ちひろ「今なら逃げられるよう手配できますよ」

P「・・・・」

ちひろ「アシもつかないようにできます、あの子達でも感づけないようなところがありまして」

P「いえ、お断りします。一度は捨てた命ですし」

P「それにあいつらの執念を舐めちゃダメですよ、絶対見つけ出すでしょう」

ちひろ「・・・・じゃあ」

P「それに、別に嫌じゃないんです」

ちひろ「・・・・」

P「あいつらを愛してるんです」

ちひろ「はあぁ~、ほんとあなたって人は最期までよくわからない人でしたよ」

P「自分でもよくわからないです、人として最低なのは確かですよね」

ちひろ「全くですよこのドマゾの自殺志願者は」

P「『元』をつけてくださいよ」

ちひろ「似たようなもんですよ」

>>31
胸骨が邪魔そう
でも死んでるなら割ればいいか
あと喉仏は需要ありそう

凛「プロデューサー!」

アイドルたち「プロデューサー!」

P「あ、呼ばれてる・・・行かないと」

ちひろ「あ、あの」

P「ちひろさん!」

ちひろ「え、はい?」

P「ありがとうございました、皆に会わせてくれて」

P「あなたが居なければ、あそこで全てを失ったまま死んでました」

P「もう一度チャンスをくれてありがとうございました、きっと何回言っても足りないけど・・・それでも」

P「ありがとうございました」

P「これでやり残し、全部なくなりました」

ちひろ「・・・そうですか」

P「さようなら」

ちひろ「ええ、さようなら」


ちひろ「はーあ、行っちゃった」

ちひろ「さて、と」

ちひろ「新しいプロデューサー探さないと!」

>>39
貴重な胸板の一部なんですが需要ないですかね…

新P「ちひろさーん」

ちひろ「はい?」

新P「なんかDVD届いてますよ」

ちひろ「誰からですか?」

新P「えっと・・・・宛名無いですね」

ちひろ「ああ、じゃあ捨てて・・・いや、待ってください」

新P「はい?」

ちひろ「見ます」

新P「はぁ、どうぞ」

ちひろ「やっぱり、皆だ」

卯月『ほら、プロデューサー始まりましたよ』

ちひろ「手術、成功したんですねぇ・・・よかった」

凛『見える?カメラあそこだよ』

ちひろ「ふふっそっか、あれがプロデューサーさんかぁ、ぱっと見変わってないなぁ」

晶葉『切り取った部分はほとんど補ってある、安心してくれ』

P『』カキカキ

ちひろ「カンペになにか書いてるみたい・・・あ、そっか声帯は杏ちゃんにあげたんですよねー」

茄子『えっと、こんにちはって言ってるみたいですよ』

晶葉『義眼の調子もいいみたいだな』

愛梨『ちゃあんと見えるすごいのなんですよ』

ちひろ「へえ、すごいですね」

ハーレムじゃないですかー(白目)

P『・・・・』

早苗『大丈夫、Pくん?無理しなくていいよ』

ちひろ「あ、食事は流動食なんだ。まだ上手く新しい器官に慣れてないのかしら」

P『・・・・・・』

早苗『うん、お粗末さま』

卯月『いま私達は幸せに過ごしています、そちらはどうですか?』

ちひろ「うーん、まあまあですね」

凛『プロデューサーはこの通り、体に異常もないし元気だよ』

ちひろ「あ、ほんとだプロデューサーさん皆にお世話されて嬉しそうに笑ってる」

みく『じゃじゃーん♪みくのお腹みてみて~にゃふふ』

凛『みくとまゆはプロデューサーとの赤ちゃんができて、大喜びしてる』

卯月『うう・・・いいなぁ』

ちひろ「あら、おめでとう」

P『・・・・・・・』

卯月『えへへ、はいそうですよね!今夜もがんばりますっ』

凛『私だって頑張るよ、はやく赤ちゃん欲しいし』

茄子『また家族が増えたらお便り送りますね』

まゆ『ではまた・・・うふふ』

ちひろ「そっかぁ、みんな元気そうでよかった」

ちひろ「まあ、人並みの幸せではなかったけれど」

ちひろ「プロデューサーさんは掴んだんですね」

ちひろ「自分の幸せを」

おしまい

…おっつおっつばっちし(白目)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年09月13日 (日) 15:44:44   ID: feNDn63Q

これってある意味死んだ方がマシじゃない?

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