姉「もち飽きた」 (81)

妹「どうしたの急に」

姉「飽きた」

妹「そんなこと言わないでよ」

姉「だって」

妹「よりによってもち食べてる時に」モグモグ

姉「だってさあ、ずっとじゃん」

妹「・・・分かるけど」

姉「あ、勘違いしないでよね」

妹「何を?」

姉「まずいって言ってるんじゃないんだからね」

姉「美味しいよ、磯部もち」モグモグ

妹「うん」

姉「嫌いでもないしね」

妹「むしろ好きな方でしょ」

姉「うん」

妹「なんだかんだ毎年、結構食べてるし」

姉「うん」

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姉「でもね、続きすぎだと思うのよ」

妹「そんなことないよ」

姉「そんなことないことない」

妹「そうかなあ」

姉「年末から考えてみ?」

妹「えーっと・・・」

姉「29日に、あたし実家に帰ったじゃん」

妹「うん」

姉「年越しそば食べて、三が日はおせちも食べたけど」

妹「うんうん」

姉「4日に妹とこっちに来るまでも、来てからも」
姉「ほぼ主食もちだったじゃない」
姉「醤油付けてのり巻いたもち」

妹「お雑煮も食べたでしょ」

姉「二択じゃん!」

妹「あ、きな粉も一回あった」

姉「でも一回じゃん。ほぼ定番の二択だったじゃん」

妹「そうだけど」

姉「飽きたよおー」ジタバタ

妹「めんどくさいこの人」

妹「そもそも、この家何でこんなにもちがあるのよ」

姉「しょうがないでしょ」
姉「上司に無理矢理押し付けられたんだから」

妹「もらったんだ」

姉「買わされた」

妹「嘘!?」

姉「本当」

妹「お姉ちゃん、職場どこだっけ」

姉「某大型書店」

妹「なんで上司にもちを買わされるの」

姉「実家が米農家なんだって」

妹「なんでその人本屋にいるの」

姉「三男坊だったんだって」

妹「へえ」

姉「こっちはよお! 知るかってんだよ、ンなことよお!」
姉「あ、五七五」

妹「で、もらってきたと」

姉「買わされたの!」

妹「はいはい」

妹「にしても大きいよね、のしもち」

姉「個包装されてないしね」

妹「一応切ってはあるけど」

姉「一人暮らしなのに一ダースで一袋なんて困るんだよ!」
姉「開けたが最後、三日連続でもちだわ!」

妹「いつもらってきたんだっけ」

姉「去年のクリスマス。プレゼントだぞって」

妹「迷惑なサンタだね」

姉「せめてプレゼントにしろっつうの」

妹「買うのよっぽど嫌だったんだ」

姉「すでに買ってたからね」

妹「え」

姉「ほら、年末って、どこのスーパーもセールやるじゃない」

妹「歳末売り尽くしってやつだね」

姉「近所のスーパーでも安くてさ、もち」

姉「年末年始の食費を浮かせようと、一気に買ったのよ」

妹「なんだ、もともと年末年始はもちだったんじゃん」

姉「ちがーう!」

妹「何が?」

姉「あたしはちゃんと計算して買ったの」
姉「毎年これぐらい食べられるな、とか、途中でパンやごはんが恋しくなるかな、とか」
姉「それなのにあのハゲ上司」

妹「ハゲは関係ないと思うけど」

姉「関係ある!」
姉「『もち食って、ちょっとは丸くなれよー』とか言いやがって!」

妹「心配してくれてた可能性も」

姉「 胸 を 見 な が ら 言いやがって!」ツルーン

妹「何だとクソハゲ!」ペターン

妹「餅にそんな凡庸性はない!」

姉「てめえの髪の毛がもちで生えるかってんだ!」

妹「そうだそうだ!」

姉「もちで取れるのは炭水化物だ!」

妹「糖質だ!」

姉「もち食べて 育つ腹肉 鏡もち!」

妹「おお、すっと一句出たね」

姉「なんでこっちにつかないんだろ・・・」ツルーン

妹「本当にね・・・」ペターン

姉妹「「・・・ふう・・・」」ストーン

姉「でももちに罪はないんだよね」

妹「まあね」

姉「かびちゃうのも嫌だし」
姉「食べてあげないとかわいそうだよね」

妹「うん」

姉「・・・」モグモグ

妹「・・・」モグモグ

姉「・・・」モグモグ

妹「・・・」モグモグ

姉「・・・しかし、飽きた」

妹「やはりそこか」

姉「とりあえず、明日のおかゆに入れるじゃん」
妹「もち?」
姉「もち」
妹「でも七草粥でしょ? もちなくてもいいんじゃない」
姉「邪気を払うためにはいるんだよ」
妹「邪気・・・邪気眼?」
姉「くっ、左目がうずく・・・、じゃなくて」
姉「無病息災のお祈りのため。『粥柱』っていうんだって」
妹「本音は?」
姉「ちょっとでももちを使いたい」
妹「ですよねー」
姉「でもまあ、一応行事食だしね、入れるよ」
妹「そういうの気にするよね、文系」
姉「その文系に冬休みの宿題を助けてもらおうって来たんでしょうが、理系」
妹「ぐっ」

妹「・・・おはよ」

姉「おはよう」

妹「それは?」

姉「七草」シャカシャカ

妹「嘘だ!」

姉「フリーズドライのパックだよー」シャカシャカ

妹「昨日かゆばしらがどうとかさんざん言ってたくせに」

姉「だってあったんだもん」
姉「ついふらっと手が伸びて」

妹「あ、これ・・・」ヒョイ

妹「・・・『美味しいごはんは○トウのごはん』・・・」

姉「炊くの面倒で、ついふらっと」

妹「このずぼらめ」

食べ過ぎて太ったお姉ちゃんってなんかエロイヨネ

妹「そして昼には磯部もちに逆戻りか」

姉「うーん、だって」
姉「雑煮はちょっと手間いるし」
姉「他にどうするか思いつかないもん」

妹「本当ずぼらだな」

姉「そんなにずぼらずぼら言うなら、妹がやってみればいいじゃん!」

妹「いきなりキレないでよ」

姉「みればいいじゃん!」

妹「あたしはあんまり上手くないの。家庭科の成績も3だし」

姉「3ならいいじゃない」

妹「担当の先生の最低点だから」
妹「お姉ちゃんこそ、一人暮らししてるのになんでできないのよ」

姉「一人暮らし始めてから、最初のもちシーズンなんだもん」
姉「もち好きだったから、余って困るとか考えたことなかったし」
姉「買わされるのも想定外だったし」
姉「うちで買い込んでるのも想定外だった!」

妹「うちはいつものことじゃん」

姉「そうだっけ」

>>10
ほどよくむっちりしたお姉ちゃんってエロいですよね
だらしないお肉も好きですが

姉「あー、うちの話したらきな粉もち食べたくなった」

妹「確かに、甘いの食べたい」

姉「・・・よし、作るか」

妹「お」

姉「これも可愛い妹のため、おねーちゃん一肌脱ぎますよ」

妹「作り方知ってるの?」

姉「うーん。もち焼いて、きな粉まぶすんでしょ?」
姉「お母さん作ったの、焦げてた気がするし」
姉「あ、あときな粉に砂糖入れるかな」

妹「そもそもきな粉あるの?」

姉「あることはある」ゴソゴソ

妹「・・・いつのよ、それ」

姉「ガスグリルでもちを焼きまして―」
姉「焼けたのに、砂糖入りのきな粉をまぶす・・・げほっ」

妹「うわ、めっちゃ飛んできた、けほっ」

姉「げほ、お皿に盛りつけて完成、っと」

妹「・・・なんか違うような」

姉「まあいいじゃん。いっただっきまーす」

妹「いただきまーす」

姉「・・・ん・・・?」

妹「・・・うーん・・・」

姉「ううーん・・・」

妹「なんか違うよね」

姉「もちこんなかりかりしてなかったし」
姉「きな粉の付きも悪い・・・」

妹「きな粉もちのもちってゆでるんだっけ?」

姉「そしたら焦げないし、べとべとになりそう」

妹「うー・・・」

姉「今度は妹がなんか作ってよ」

妹「なんかって何?」

姉「もち料理。適当でいいからさ」
姉「その間にあたしはきな粉掃除するわ」

掃除機 ヴィーーーーーーーーーー

妹「何か、って言われても・・・」
妹「あ、そうだ」
妹「前にテレビで見たあれにしよう」
妹「えーっと・・・」
妹「もちの上にとろけるチーズをのせて」
妹「ガスグリルで焼く」
妹「・・・で、いいんだっけ?」
妹「あー、でもいい感じだ。チーズが溶けて・・・」
妹「よし」
妹「お姉ちゃーん、できたよー」

姉「いただきまーす」

妹「召し上がれ」

姉「・・・!?」

妹「どう? チーズもち」

姉「・・・歯ごたえが、ありますね・・・」

妹「え」

姉「・・・もち、生焼け」

妹「うそ!」

姉「本当です」

妹「本当だ・・・」

姉「チーズだけってのも物足りないし」
姉「塩こしょうして、もうちょっと焼いてみたら?」

妹「うん」
妹「塩・・・こしょうってどこだっけ」
妹「もう一回グリルに入れて・・・」
妹「膨れてきた・・・そろそろかな?」
妹「よし、オープン!」
妹「何・・・だと・・・」

姉「どうしたのー、妹」

妹「チーズ焦げた」

姉「ありゃあ、真っ黒」

妹「ガスグリル、色がわかりにくいんだよお」

姉「まあわかるよ」

姉「次はあたしか」

妹「いつの間に順番制に」

姉「うーん、そうだな・・・」

姉「あ、そうだ。からみもちにしよう」

妹「大根おろしに絡めたやつだよね」

姉「幸い大根はあるので」
姉「皮をむきまして」ショリショリ

妹「おお、珍しくそこそこできてる」

姉「一人暮らししてたらこれくらいはね」ショリショリ
姉「で、剥き終わった大根をすりおろす。・・・あ」

妹「ん?」

姉「・・・うち、おろし金無いや」

妹「ええー!」

妹「なんで気づかなかったの」

姉「なんでだろう」
姉「・・・でもまあ、できるだけやってみますか」

妹「どうするの?」

姉「出来るだけ細かく刻んで潰す!」

妹「言うと思った」

姉「うおりゃあああああああ」ガガガガガガガガガガ

妹「無理なにおいがぷんぷんしてくる」

姉「・・・よし、できた!」ハアハア

妹「速っ!」

姉「で、これを・・・?」

姉「焼いた餅につける・・・か、な?」
姉「うーん、違う気がする」

妹「同じく」

姉「・・・やってみるか、ゆでもち」

妹「いやな予感しかしない」

妹「水に入れ・・・るの?」

姉「いいんじゃない?」ドボン

妹「どれくらいゆでればいいんだろう?」

姉「とりあえず、沸騰するまで待ってみる?」

妹「そうだね」

姉「・・・よっし、沸騰しました」
姉「火を止めて、と」

妹「それなりに原型もある・・・よね」

姉「よし、箸で・・・うわあああ」

妹「やっぱりでろでろになった・・・」

姉「どうしようこの鍋」

妹「こっちの心配もして」

姉「どうしようこの箸」

姉「もちを煮るのは諦めるべきだと思って」

妹「うん」

姉「焼いたもち前提で、何かを足すことにしました」

妹「少し前に流行ったちょい足しだね」

姉「ここまでは分かります」

妹「ありがと」

姉「何故カレーをかけた」

妹「料理っぽくしようと」

姉「温めるだけのボンカレーを料理と呼ぶかはさておき、本音は?」

妹「そこあったから」

姉「やっぱり妹もずぼr」

妹「あと確実に失敗しないし鍋も汚れないし」
妹「あと手間がかからないから!」

姉「やっぱりずぼらじゃん」

妹「うー・・・」

姉「血は争えないのよ」

姉「では、改めまして。いっただっきまーす」

妹「いただきまーす」

姉「・・・」

妹「・・・」

姉「・・・カレー」

妹「・・・カレーだね」

姉「うん。これはカレーだわ。もち以上にカレーだわ」

妹「もはやもちが脇役になってる」

姉「にんじんや肉と同格でもちがある感じ」

妹「すごいね、カレー」

姉「何よりすごいのが」
姉「これが今までの試作品の中で一番おいしいことだ!」

妹「それは一番すごくないことだよ」

姉「流石日本最古のレトルトカレー」

妹「完全に大塚食品の力だよね」

姉「では、いっただっきm」

妹「ちょっと待って!」

姉「どうしたのかな、妹よ」

妹「・・・これは、何」

姉「小皿」

妹「じゃなくて、中身」

姉「中濃ソース」

妹「こっちは」

姉「小皿」

妹「・・・」ギロ

姉「・・・ケチャップです」

妹「これは」スッ

姉「粉末出汁」

妹「・・・」スッ

姉「味噌」

妹「・・・」スッ

姉「砂糖」

妹「・・・」スッ

姉「酢」

妹「・・・要するに?」

姉「家中の調味料を、片っ端からつけて食べてみよう!」
姉「・・・さくせん・・・なん、て・・・」ゴニョゴニョ

妹「お姉ちゃんはこれを料理と言うのか」

姉「妹だってカレーあっためただけじゃない」

妹「次元が違うでしょ!」

姉「あれよ、ほら」
姉「新しい味を作る前の段階と言うか、一種の試験だと思えば」

妹「いいように言うな」

姉「ちょっと食べてみようって」

妹「食べるまでもないでしょこれ」

姉「美味しかったら、それをベースにまた何か足せばいいんだから」

妹「・・・」

姉「もちはいっぱいあるんだし」
姉「じゃんじゃん焼くからどんどん試そう!」
姉「いっただっきまーす」

妹「・・・いただきます」

姉「・・・」モグモグ

妹「・・・」モグモグ

姉「・・・」モグモグ

妹「・・・」

姉「・・・」

妹「・・・言っていい?」

姉「・・・」

妹「いいよね?」

姉「・・・はい」

妹「それ見たことかぁ!」

姉「すいませんでしたー!」ズザー

姉「・・・まあ、そうだよね」
姉「もち自体ご飯みたいなもんだし」
姉「ソースつけたらソースの味しかしないよね」
姉「ケチャップつけたらケチャップの味しかするわけないか・・・」

妹「・・・お!?」

姉「どうしたの、妹」

妹「お姉ちゃん、これ・・・」

姉「何それ」

妹「めちゃくちゃうまい」

姉「嘘だー」

妹「本当、食べて! めっちゃおいしい」

妹「お姉ちゃんの作戦、あってるかもしれない」

姉「マジ!?」

妹「マジ! はい、あーん」

姉「あーん」パク

妹「どう?」

姉「・・・!」
姉「うがっ、げ、っか、っ、ぇっ、からあああああああああああい!」

もち食べたくなってくるなこのスレ

妹「妙なこと言いだした罰だと思えば」

姉「それでもちょっとやりすぎな気がするんですけど」
姉「もちでわさびを包んでタバスコかけて味噌で誤魔化すとか」
姉「どんだけ嫌だったの、この作戦」

妹「作戦と呼ぶのもおぞましいくらい」

姉「・・・はい」

姉「あ、でもねでもね」

妹「ん?」

姉「この小皿見て思いついたんだけど」
姉「あたしたち、まだかなり有名なのを試してなかったじゃん?」

妹「有名?」

姉「ずばり、砂糖醤油!」

妹「・・・」

姉「え、無反応?」

妹「・・・お姉ちゃんがまともなこと言った」

姉「そりゃ言うわよ」

妹「かゆばしらとか訳分かんないこと言ってたお姉ちゃんが・・・」

姉「粥柱は本当だからね」

俺は最後までみてるよ

>>26
有り難うございます
需要無いかもですが、とりあえず最後までは書きますよー

妹「砂糖醤油かー」

姉「ちょうど砂糖も醤油も出てるし、すぐできるよ」

妹「二度づけ、とかよく聞くけど、どうやるんだろ」

姉「普通に焼いて、一回目つけて、焼いて、もう一回つけて」
姉「じゃないの?」

妹「そうなんだろうけど、お姉ちゃんが言うと信じられない」

姉「・・・まあとにかくやってみよう」

姉「ガスグリルにもちを入れてー・・・」
姉「こんがり焼けたら、砂糖醤油を付ける」
姉「もう一回グリルに入れて、っと」ゾク
姉「・・・あ」
姉「・・・トイレ・・・」タタタッ

>>28
有り難うございます
頑張ります

妹「・・・ん?」
妹「何か焦げ臭い・・・ような・・・」
妹「ああっ、もち!」ガラッ

もち ゴオオオ

妹「お姉ちゃん! 燃えてる!」
妹「もち燃えてるよおおおおおおお!」

妹「・・・はあ」

姉「なんか疲れたね」

妹「もち食べてただけなのに」

姉「結局いいアイデア出なかったねー」

妹「半分以上お姉ちゃんのせいだけどね」

姉「最後の燃えるもちのインパクトがすごくて、どっと疲れが・・・」

妹「あれもお姉ちゃんが悪いんだよ」

姉「妹のあんな声久々に聞いたわ」
姉「『燃えてる! もち燃えてるよお!』って」クスクス

妹「・・・」

姉「トイレから出たら、妹が菜箸で燃えるもちを掴んでて」
姉「必死に蛇口ひねろうとしてるし」

妹「あ・・・あれは慌ててて」

姉「蛇口レバー押すやつなの、に、っははははは」

妹「もうやめて恥ずかしい」

妹「もしもし? あたし・・・妹です」

 『ああ、妹ちゃん』

妹「夜中にごめんなさい」

 『ううん』

妹「突然で悪いんだけれど、あの、明日って」

 『部活です』

妹「そう・・・」

 『あの、でも午前中に終わりますから』

妹「本当ですか?」

 『うん。だから午後なら大丈夫。空いてるよ』

妹「良かった、ちょっと来てほしいところがあるの・・・ですけれど」

 『え、妹ちゃんのお家じゃないの』

妹「ええ。おねえちゃ・・・姉の家です」
妹「あたしが案内しますから」

 『う、うん。わかった』
 『ええと、念のためなんだけど、明日ってやっぱり』

妹「ええ、そうなの。もち・・・おもちで頼みたいんだけれど」

 『おもち?』

妹「そう、たくさんあって困っていまして」
妹「頼んでい・・・よろしいですか?」

 『うん。大丈夫だよ』

妹「ありがとう」
妹「あ、じゃあいつものも、すぐ送りますね」

 『分かった。ありがとう』

妹「いいえ、こちらこそ。じゃあ、バイバ・・・また明日」

 『うん。失礼します』

妹「いえいえ」

姉「さて、今日も磯部もちで一日が始まるわけですが」

妹「昨日ので懲りたんだ」

姉「まあ、ね」
姉「飽きてもまずいよりはましかなーって」
姉「あと燃えるよりはまし」

妹「あたしも懲りた」
妹「ので」

姉「ので?」

妹「助っ人を呼びました」

姉「すけっと?」

妹「今日の部活終わりで来てくれるって」
妹「12時半くらいかな。迎えに行く」

姉「へえ。で、誰?」

妹「何回かお姉ちゃんには話したっけ?」
妹「友ちゃんって子なんだけど」

姉「ああ、友ちゃんね」
姉「前に聞いた気がする」

妹「ただいま帰りました、お姉さま」

姉「!?」

友「こんにちは」タユン

姉「・・・もちだ」
姉「・・・もちが、来た・・・」

妹「お姉さま?」

姉「あ、あら、えーと・・・いらっしゃいませ?」

妹「!?」

友「えと、はじめまして。友と言います」

姉「聞いた通り素晴らしいものをおもちで・・・じゃなくて」
姉「ええ、妹から聞いていますわ」
姉「ささ、どうぞ。あがってあがって」

妹「急に年上のお姉さまキャラ作り出したね」ヒソヒソ

姉「いつも通りでしょう?」ヒソヒソ

妹「どこが」ヒソヒソ

姉「妹こそ、学校ではあんなおしとやかなキャラなの?」ヒソヒソ

妹「別に、普通だよ普通」ヒソヒソ

友「?」

友「あの、妹ちゃん」

妹「え? じゃなくて・・・何かしら?」

友「その、お荷物持ってくれてありがとう」ニコ

妹「い、いえいえ」

姉「えーっと、そちらは?」

友「スーパーの朝市で買ったんです」ズッシリ
友「おもちのお料理ってことでしたので、それに合うものを適当に・・・」

姉「まあ、わざわざどうも」

友「いえ、大丈夫ですよ」

妹「いつものことですから」

姉「なんで妹が言うのよ・・・言うのですか」

姉「いつものことってどういうことかしら?」

妹「ほら、お父さんもお母さんも仕事してるでしょ・・・じゃないの」
妹「時々家に来てもらって、ご飯作ってもらってる・・・のです」

友「本当にいつも呼んで頂いて、嬉しいです」

姉「マジ・・・あら、そうだったんですか」

妹「・・・やっぱり変だよ」ヒソヒソ

姉「妹も変よ」ヒソヒソ

友「・・・」ハア

妹「あら、どうしたのですか?」

姉「何か?」

友「あ、いえいえ」アセアセ
友「その、お料理、すぐ作りますね」
友「お台所お借りします」

姉「はい、どうぞ」

妹「ご自由に」

友「・・・これ・・・あと、これと・・・」テキパキ

姉「・・・」

妹「・・・」

友「・・・あと、これを・・・」トントントントン サッ ジュワアァ

姉「・・・何と言うか」

妹「うん」

姉「これがセンスの違いか」

妹「あと経験の違い」

姉「経験?」

妹「友ちゃんの家、和食料理の料亭だから」

姉「へえー」

妹「東京ミシュランにも載ってる」

姉「わお」

妹「ちなみにおじいちゃんは京懐石料理の老舗の板前」

姉「・・・もう言葉がない」

妹「もう一人のおじいちゃんはフランスで日本料理店を」

姉「センス経験じゃないじゃん、もう格が違うじゃん」

友「最後に、これを・・・」

友の胸のもち タユンタユン

姉「・・・(体格も違うじゃん)」

妹「・・・(体格も・・・)」

友「お待たせしました」

姉「え、早・・・いえいえ」

妹「お姉さま、友ちゃんはいつもこれくらいですよ」

姉「まあすごい」

友「えと、まずは揚げもちです」
友「こちらはお塩で、こちらはお醤油で味を付けました」

姉「なるほど」
姉「では、いただきますわ(妹のキャラが変な方向に・・・)」

妹「あたくしも(お姉ちゃんのキャラはどこに行くんだろう)」

姉妹「「うまああああ!」」

友「!」ビクッ

姉「はふ、っあ、う、んまああああああああ!」

妹「はふぅ、んっ、何これおいしすぎるう!」

姉「外側の歯ごたえは抜群なのに、中はまだもちの食感が残ってて」

妹「もちの味と油の香り、塩の味もしっかりする!」

姉「醤油もちょっとしかかかってないのにしっかり香りが立ってる!」

妹「スーパーとかで売ってるあの揚げもちと全っ然ちがう!」

姉「あつあつってここまで美味しいのね!」

妹「一口サイズなのがまた嬉しい!」

姉「口当たりがいいからやめられない!」

妹「止まらない!」

姉「うまああああああ」

妹「おいひいいいいい」

友「・・・あの」

姉「あ」

妹「あ」

姉「お、おいしい・・・ですわ。おほほほ」

妹「ええ、お姉さま。うふふふ」

友「・・・無理は」

妹「し、していませんわ」

姉「そうよ、無理だなんて、ほほほほ」

友「・・・これ、と、これ・・・」テキパキ

姉「」カアアア

妹「」カアアア

友「あと、これも・・・」トントントントン

姉「・・・(やばいめっちゃ恥ずかしい)」

妹「・・・(これから学校でどうしよう友ちゃんとどう話せばいいの)」

友「はい、できました」

姉妹「「!」」ビクッ

友「・・・その、召し上がります、か?」

姉「え? ええ、喜んで。おほほほほほ」

妹「う、うふふふふ」

友「・・・どうぞ・・・」ス
友「母の手製のおしるこです」

姉「い、いただきます・・・」ズズ

妹「いただきます・・・」ズズ

姉「あまいいいいいいいい!」

妹「おいしいいいいいいい!」

姉「甘い! けど決して甘すぎじゃない」

妹「小豆の味がわかるくらいの優しい甘さだあ」ウットリ

姉「とろみも濃すぎず薄すぎず、ちょうどよくもちに絡んでる!」

妹「もちの焦げの香ばしさが、ここまで魅力的なアクセントになるなんて!」

姉「表面にあんこがついただけのかりかりのもち、染み込んでとろっとろのもち」
姉「どっちもうまあああああ!」

妹「甘い! 抑えられてるからさらに甘い!」

姉「みるみるお椀の中身が減っていく!」

妹「惜しい! でもおいしい!」

友「・・・あの」

姉「え?」

妹「何?」

友「・・・おかわり、ありますよ」

姉妹「「!」」

友「すぐ持ってきますので、その間にこれを」ス

姉妹「「?」」

友「えと、冷蔵庫から拝借しました」

姉「塩昆布っておいしいね」

妹「こんなにおいしいものだって思ったことなかった」

姉「緑茶っておいしいね」

妹「しみじみおいしい」

姉「日本には緑茶がある」

妹「塩昆布がある」

姉「そして何より」

姉妹「「お汁粉がある!」」ビシッ

友「・・・あの」

姉「あ」

妹「あ」

友「・・・おかわり、お持ちしました」

姉「よっしゃ! ・・・おほほほほほ」

妹「うふふふふふ」

姉「これは・・・」

妹「バニラアイス・・・?」

友「はい」

姉「上にあるのは?」

友「つきゴマです」

妹「ゴマ?」

友「はい」
友「アイスクリームと、意外と合うんですよ」

妹「へえ」

友「どうぞ、召し上がってください」
友「お茶のおかわりもお淹れしますね」

姉「いただきまーす」

妹「いただきまーす」

姉「ふわあああああああああ」

妹「ほああああああああああ」

姉「甘い! でもさっきの甘味と違う!」

妹「あんこの優しい甘さと、コクのあるアイスの甘さ!」

姉「ミルクとゴマの香りが鼻に抜けていく!」

妹「溶けていくアイスがもちにも染み込んでる!」

姉「バニラアイスともちもちの食感がぴったり!」

妹「荒くつぶされたゴマがプチプチするのも楽しい!」

姉「あんことミルクって、そういえば黄金のコンビだった!」

妹「もちとアイスも、ロッテの名コンビだった!」

姉「あんことゴマだって、合わないはずなかった!」

妹「全部合うよ!」

姉「完璧! 甘さと香り、すべてにおいて完璧!」

妹「隙がない!」

姉「幸せええええええええええええ!」

妹「口の中全てが、今幸せ!」

友「・・・ふふふっ」

姉「あ」

妹「あ」

友「・・・あ」

友「あの・・・あの、本当、笑ったりしてすみませんでした・・・」

姉「いえいえ、そんな」

妹「こちらこそ、お恥ずかしい」

友「そんなことないです! かわいかったです!」

姉「え」

妹「え」

友「あの、妹ちゃんが・・・」

姉「ですよねー」

友「も、もちろんお姉さんも!」

姉「心遣いが痛い」

友「・・・妹ちゃん、学校ではすごくまじめな人で」
友「いつもクールだから、あんまり話しかけられなくて・・・」
友「で、でも」
友「私が部活のことで悩んでたときに、話しかけてくれて」
友「それがすごく嬉しくて」

妹「そうだっけ」

姉「ちなみになんて言ったの?」

友「『おいしそうですわね』って」

妹「・・・そうだっけ」

友「『一口頂いてもよろしくて?』って」

姉「最初はもっとひどいキャラだったのか」

妹「・・・」

友「私の部活、競争とか派閥争いとか激しくて」
友「学校で誰かとお弁当食べるの、三か月ぶりだったんです」
友「次の日も、妹ちゃんはまた来てくれて」

姉「断言する。それは善意じゃなくて食い意地だよ」

友「『また食べて差し上げてよ』って」

妹「・・・なんでそんな正確に覚えてるの」

友「家に呼んでもらったときだって、とっても嬉しかったんです」
友「初めて家族の方と話しているところも聞いて」

姉「ちなみになんて?」

友「『おとーさん! 早くトイレから出てきてよ!』って」

妹「お恥ずかしい」

姉「お恥ずかしい」

友「でも、その、いつも無理してるんだなって、そこで初めて分かったんです」

姉「分かってなかったのか」

友「こんな口調の私に無理してまであわせてくれて」
友「料理だっていつもおいしいおいしいって食べてくれて」

妹「いや、それは本当においしい」

友「失敗したのもおいしいって」

妹「あったの!?」

姉「失敗作すらおいしいのか」

妹「基本全部おいしかった」

姉「まあわかる」

友「っ、・・・やっぱり、妹ちゃんも、それからお姉さんも」
友「とっても、とってもいい人です」

友「だから、そのままでいてください」
友「私なんかのために、無理しないでください」ウルウル

妹「あ、うん・・・」

姉「まあ、今更だよね。あんな痴態を演じた後だし」

妹「だね」

姉「えー、姉妹そろって不束者ですが」

妹「これからもよろしくね、友ちゃん」

友「こちらこそ、よろしくお願いしますっ」

コンロ ジュワアアアアアアアアアアアアアア

姉「あ」

妹「ふいた」

友「ああっ、すみません! すみません!」

姉「出汁をとってたのね」

友「はい」

妹「何作ってくれるの?」

姉「キャラやめた途端に遠慮なくなったね」

妹「これは期待してるだけ」
妹「お姉ちゃんとのもちのアレンジはひどかったから」

姉「妹だって大概じゃない」

妹「あたしは調味料小皿に並べてません」

姉「あたしはわさびタバスコ味噌もちを作ってません」

友「ふふふっ」

姉「・・・お恥ずかしい」

妹「お恥ずかしい」

友「あ、いえ、お二人ともなんだか生き生きしてますよ」

妹「それは褒めてるの」

友「妹ちゃんも、今の方がかわいいです」

妹「うう」

姉「鰹出汁・・・ってことは、お雑煮?」

友「はい、そうです」

姉「面倒でやってなかったからいいかも」

妹「出た、ずぼら発言」

姉「だって、もちのついた鍋洗うの大変なんだもん」

妹「下手なだけじゃん」

友「でしたらおもちは焼いて、上からおつゆをかけるといいですよ」

姉「なるほど」

友「じゃあすぐ、二種類作りますね」

姉「に?」

友「あ、必要なものはありますので、ご心配なく」

姉「じゃなくて、お雑煮って種類があるの?」
姉「いつもうちはこういう汁だったけど・・・」

友「透明な、すまし汁ですね」
友「一口にお雑煮と言っても、すまし汁、味噌仕立て、小豆汁」
友「おもちも丸かったり四角だったり、あんこが入っていたりと色々なんです」

姉「・・・へえー」

友「ちなみに、おもちは焼いていましたか?」

妹「うん」

友「場所によっては焼かずに煮るところもあります」
友「具も入れるものが決まっている地域もありますし」
友「お雑煮は、類を見ないほど豊かな食文化の、象徴のようなメニューなのです」

姉「彼女こそ、生き生きしてきてない?」

妹「料理の話するときはいつもあんな感じ」

姉「そうなんだ」

友「ああ、日本に生まれた幸せを感じますね・・・」

姉「・・・遠い目だ」

妹「流石強豪料理部だよね」

姉「強豪?」

妹「うちの学校の料理部って、ほぼ毎年全国行ってるんだよね」

姉「全国とかあるの」

友「結構ありますよ」

姉「一つじゃないの!?」

友「肉料理専門の大会とか、魚料理専門の大会とか、
友「料理に関するクイズやプレゼンテーションだけの大会もあります」

妹「あたしも朝会とかで聞いてただけだったけど、そんなにあるんだ」

姉「侮れないな料理部」

友「先輩方は、毎年どこかで賞を取られていますから」
友「私達の代も頑張らないとって思うんです」

姉「いや十分でしょ」

妹「我がソフト部に見せてやりたい・・・」

姉「週一の部活すらろくに集まらないんだっけ?」

妹「うん」

姉「ちなみに冬休みの部活は?」

友「三十日、大晦日と三が日以外、毎日ありますよ」

姉「妹は?」

妹「全休」

姉「ですよねー」

妹「だからお姉ちゃん家で宿題やってるんだし」

姉「何で全休なのに終わんないのよ」

妹「古典ムリ」

姉「あんなんフィーリングだって」

妹「その感覚がわからない」

タイマー ピイィィィィィィィ

友「あ、できました」

姉「え、何か作ってたの?」

妹「全くわからんかった」

友「仕上げの一焼きをしていただけですから」

姉「じゃあさっきまでの間に一緒に作ったの?」

友「何だか、考え事をしていると手が動いてしまって」

姉「それもすごい」

友「今切りますね」

妹「わーい」

姉「待ってましたあ!」

妹「作ってたことすら知らなかったけど」

姉「うん」

妹「ピザ?」

友「ピザです」

姉「うち窯なんてあったっけ?」

友「フライパンで焼けるんですよ」

姉「ピザソースは?」

友「冷蔵庫にあったケチャップとコンソメ、マヨネーズ、あとおろし玉ねぎも入れました」
友「チーズとベーコンも冷蔵庫にあったものです」

姉「ベーコン・・・あったっけ」

妹「お姉ちゃんが買ったんでしょ?」

姉「覚えてない」

妹「自分で買ったのに?」

友「あ、バジルはありませんでしたので、買ってきました」

姉「なんで無いこと知ってるの」

姉「では、いっただっきまーす」

妹「いただきまーす」

友「どうぞ」

姉妹「「!」」

姉「うまあああああああああ!」

妹「おいひいいいいいいいい!」

姉「端っこはぱりぱり、真ん中はもっちりしてる!」

妹「トマト、チーズ、バジルともちがこんなにあうなんて!」

姉「ピザソースの玉ねぎと、ベーコンに振られた黒こしょうも効いてる!」

妹「味、香りともにアクセントになってるね」

姉「とろけるチーズが伸びる!」

妹「とろけてる!」

姉「もちとは思えないピザ感!」

妹「マルゲリータ!」

友「喜んで頂けて何よりです」

姉「あ」

妹「あ」

姉「・・・もういいか」

妹「うん」

友「あの、私、気にしませんから」

友「これとこれと・・・」テキパキ

姉「つくづくすごい子ね、友ちゃん」

妹「うん」

友「あとは・・・」タユンタユン

姉「本当、いい子捕まえたわね」

妹「つかま・・・?」

姉「いい? 放すんじゃないわよ?」

妹「お姉ちゃんなんか勘違いしてない?」

友「あの、お姉さん」

姉「ん?」

友「私は浮気しませんので、ご心配なく」

妹「友ちゃん!?」

姉「それなら安心」

妹「お姉ちゃん!?」

友「照れる妹ちゃん、かわいいです」

姉「ねー」

友「もちろん、お姉さんも素敵ですよ」ニコ

胸のもち タユン

姉「・・・マジですごい子ね」

友「できました」

妹「早っ。二時間たってないよ?」

友「いえ、お待たせしました」

姉「もはや嫌味にも聞こえるレベル」

妹「でも全然悪意はないよね」

姉「そこが心憎い」

妹「憎いの!?」

姉「憎くないの」

友「お雑煮二種と、ピザと、あんかけです」

妹「おおー」

姉「全部もち?」

友「はい」

姉「感心しかできない」

妹「ただただすごい」

友「お雑煮は、関東風と関西風でご用意しました」

妹「なんかちょっとした料亭気分だね」

友「関東風は鰹出汁のすまし汁に、鶏、かまぼこ、大根、にんじん、ごぼうを入れ、三つ葉を飾りました」
友「おもちは四角の焼きもちです」
友「栃木辺りのものですね」

姉「友ちゃんが女将に見えないこともなくなってきた」

妹「わかる」

友「ちなみに東北風は具を凍らせるそうですよ」

妹「へえー」

友「関西風は、白みそのおつゆに大根と里芋とお豆腐、煮たおもちを入れました」
友「白一色の具に鰹節をかけた兵庫風です」
友「本当は丸もちですし、鰹も削り節ですが」
友「今日は角もちとパックの鰹節です。すみません」

姉「謝るようなもんじゃないって」

妹「十分すぎるよ」

友「えと、どうぞ」

姉「いただきまーす」

妹「いただきまーす」

姉「・・・ふああ・・・」

妹「・・・うー・・・」

友「?」

姉「しみるねええ」

妹「あったまるうう」

姉「鶏とかまぼこのうまみ、野菜の甘味と歯ごたえ」

妹「それをくるみこむ鰹の香り」

姉「関西風も、味噌の甘味と香りが豆腐の優しさにあってるね」

妹「さといももほくほくだね」

姉「つゆのみでも行けるけど、そこをこんがり焼けたもちと頬張る贅沢」

妹「あつあつの煮込みもちも、味が染みてておいしい」

姉「お腹の底から『日本人だよ』って、言われてる感じだわ」

妹「ほっとするよね」

友「リアクションが、なんか、違いますね」

姉「え、期待してたの?」

友「あの、いえ、そんなことは」

妹「あたしたちだっていつも叫び倒してるわけじゃないんだよ」

友「そ、そうですよね」

友「こちらのピザには、醤油だれで焼いた鶏肉とねぎを並べてみました」

姉「ますますプロっぽい」

妹「家系がプロの家系だからね」

姉「そうだったわ」

友「ソースは、マヨネーズに鶏肉を焼いたたれを混ぜてあります」

姉「いい匂いー」

妹「和風ピザだね」

友「細く切った海苔と七味を散らしてどうぞ」パラパラ

姉「醤油とマヨと鶏肉の匂い!」

妹「胃袋直撃だね」

姉「日本人なら抗えないよね」

妹「絶対無理」

友「はい、切れました」

姉「いっただっきまーす!」

妹「いただきまーす!」

去年コメ農家からもらったのは精米ともち米だったな

姉「ふあああああああああああ」

妹「うまひいいいいいいいいい」

姉「鶏肉ぷりぷり! マヨ醤油のたれがしっかり絡んでる!」

妹「濃いけど、かといってしつこくない!」

姉「でも、さっきよりちょっと厚いもちの生地が嬉しいんだよね!」

妹「絶妙なバランスだ!」

姉「海苔の香りが口に入れた瞬間に広がる!」

妹「ほんのちょっぴりの七味のアクセントも楽しい!」

姉「イッツ、ジャパニーズジャンキー!」

妹「あたしたちやっぱり日本人だ!」

姉「醤油マヨサイコ―!」

妹「サイコ―!」

姉「かぶりつくとすぐ終わっちゃうサイズなのが悲しい!」

妹「でも食欲と刺激に抗えない!」

友「ふふっ、嬉しいです」
友「よろしければ、もう一枚どうぞ」

姉「わーい」

妹「わーい」

友「中華風のあんかけです」
友「ポン酢と醤油、みりん、しょうが、にんにくを鶏がらスープに入れて」
友「小さく切った炒め野菜と合わせ、最後にとろみをつけました」

姉「おお、ここにきて中華風」

妹「野菜の色で見た目もきれいだね」

姉「なんか香ばしい匂いするけど、これは?」

友「炒ったじゃこです」
友「散らして召し上がってみてください」

姉「買ってきたの?」

友「いえ、冷蔵庫の一番底にありましたよ」

姉「なんでわかるの? 引っ掻き回したの?」

友「いえ、そんな」
友「ただ、わかるだけですよ」アセアセ

>>62
農家のお知合い、うらやましいです

妹「お姉ちゃん。あたしが昨日写メ送ったの」

姉「冷蔵庫の?」

妹「うん」

姉「それでわかるの?」

友「はい、ほとんどは」

妹「いつも来てもらう前に撮って送ってるんだよ」

姉「嘘だー」

友「一番奥に隠したまま忘れていらしたプリン、捨てておきました」

姉「え?」

友「あと食べかけでカチカチになったフルーツシャーベットも」

姉「・・・お恥ずかしい」

友「あるなあ、と思ってみたらありましたので」
友「できればお菓子類は、買って来た日か開けた日に食べきってしまうのがいいですよ」

姉「信じざるを得なくなった・・・」

妹「すごいよね、友ちゃん」

姉「すごいすごくないというか、もはや超能力の域じゃん」

妹「あ、こっちは?」

友「ジャスミンティーです」

姉「・・・これは・・・」

友「買ってきました」
友「市販のもので申し訳ないですが」

姉「いえいえ」

妹「そんなこと言われる方が申し訳ない」

姉「では、いただきまーす」

妹「いただきまーす」

姉「はふ、はむうっ」

妹「ふう、ふう、あむっ」

姉「うまあああああああああ!」

妹「おいしゃあああああああ!」

姉「食べた瞬間しょうがの香りがぐんぐんくる!」

妹「そこに野菜の味、さらに濃いスープの味!」

姉「最後にまたしょうがの辛みが重なる!」

妹「辛いけどさっぱりだね!」

姉「一口サイズの焼きもちと、炒ったじゃこの食感も心地いい!」

妹「ぱりぱりもちもち!」

姉「あつあつの一口の後に、冷たいジャスミンティー!」

妹「重なった香りと濃い味をすっきりリセット!」

姉「食べやすいからガンガン行けちゃうね!」

妹「止まんないね!」

友「ふふふっ」ニコニコ

妹「・・・あー」

姉「・・・食べたねー」

妹「ねー」

姉「同じ食材とは思えないほどの料理の幅だったわ」

妹「調味料付けてた頃が遠い昔みたい」

姉「もう忘れてよ」

妹「やだ」
妹「しばらく使うから、このネタ」

姉「・・・でも、全部おいしかったから全然飽きなかった」
姉「すごいよ、友ちゃん」

友「あ、ありがとうございます」

姉「妹をよろしk」

妹「お姉ちゃんとはえらい違い」

姉「一言多いってば」

妹「お姉ちゃんに言われたくない」
妹「それにきな粉もちもからみもちもまずかったし」

姉「う・・・」

友「あ、ひょっとしてこのおもちで作ったのですか?」

姉「うん」

友「・・・焼いて、ですか・・・?」

妹「え?」

姉「だめなの?」

友「からみもちは、一般的につきたてのおもちで作ります」
友「大根おろしに出汁やお醤油などを入れて、おもちをつけたお料理ですね」

姉「そうなんだ!」

友「きな粉もちも基本的にはつきたてを使うのがいいのですが」
友「焼いたおもちをお湯に通して作ることもあります」

姉「ゆでるんじゃなかったんだ」

友「ゆでたんですか?」

姉「まあ、水から沸騰するまで」

友「そんなに!?」

妹「友ちゃんのおっきい声初めて聴いた」

友「す、すみません。驚いてしまいまして」

友「もしよければ、お作りしましょうか?」

姉「え?」

友「からみもちは無理ですが、きな粉もちでしたらすぐにできますよ」

妹「いいの?」

友「はい」

妹「やったー!」

姉「やったー!」

友「では少々お待ちくださいね」

姉妹「「はーい!」」

チャイム ピンポーン

姉「はーい?」

宅急便「お届け物でーす」

姉「あ、どうもー」ガチャ

宅急便「お荷物、こちらですね」

姉「はい(お、大きい・・・)」ズッシリ

宅急便「ハンコかサインよろしいっすか?」

姉「あ、はい」カキカキ

宅急便「あざっしたー」

姉「ありがとうございましたー」バタン
姉「何だろ・・・あっ」

妹「なになにー?」

姉「・・・」

妹「・・・」

友「あの、どうかされましたか?」

姉「届いたの」

友「はい?」

姉「大量のもち。上司からの二箱目」

友「こちらの箱と、同じものが?」

姉「うん」

友「・・・二箱目ですか」

姉「またもちか・・・」

妹「また三食磯部の生活だね」

姉「妹はずいぶん気楽そうじゃない」

妹「あたしは学校始まったら家帰るから」

姉「裏切り者ー!」

友「・・・あの、大丈夫ですよ。私が何とかします」

姉「え?」

妹「え?」

友「妹ちゃんとお姉さんのためです。私頑張ります」
友「おもちのレシピも、新しいの考えますから!」

妹「おお、ちょっと引くほど頼もしい」

姉「本当いい子捕まえたわね」

友「必要とあらば、私、毎日ここにもきますから」

妹「友ちゃんが頑張るなら、あたしも頑張って食べる!」

姉「いよいよ通い妻じみてきたな・・・」

友「ではまず、きな粉もちです」

妹「もうできたの?」

友「きな粉に砂糖と塩をまぜて、湯に通したもちをつけるだけですよ」

姉「でもきな粉のいい香り」

友「古そうでしたので、ちょっと炒りました」

姉「すいません」

妹「友ちゃんもいっしょに食べようよ」

姉「考えてみれば一口も食べてもらってなかったね」

妹「むしろ真っ先に食べてもらうべきだったのに」
妹「ごめんね」

友「いえ、そんなことないですよ」
友「では、お言葉に甘えますね」

妹「うんうん」

姉「それでは」

姉妹友「「「いただきまーす!」」」


姉「もち飽きた」



これにてお開きです
読んで下さった皆様、コメントを下さった皆様、有り難うございました

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