ルッキーニ「シャーリーどこぉ…」 ???「ねぇ、あなた?」 (264)

異世界クロスとかじゃない

たったら、まったりと

1944年7月某日 ブリタニア連邦

501JFW基地 オープンテラス


ミ゛ンミ゛ンミ゛~ン――


シャーリー「っ~~…」ダラー

ルッキーニ「うにゃ……あ゛づぃ~~」パシャパシャ

シャーリー「……ブリタニアでもやっぱり夏は暑いんだなぁー。 なんか夜中まで明るいし」アヂー

ルッキーニ「うじゅぅ………にゃ゛っ!? …シャーリ~、ジュースなくなった……」

シャーリー「…お前飲みすぎ……」チューチュー

シャーリー「~…? ……げぇ、あたしのも無くなった…。 ちぇ~」

ルッキーニ「シャーリー、のど渇いた~」

シャーリー「もうねーから。 ……キッチンまで戻るしかないな」

ルッキーニ「えぇ~~めんどくさい」パシャパシャ

シャーリー「………あ゛~~、コーラ飲みてぇ」

ルッキーニ「んにゃ゛? なにそれ…?」

シャーリー「リベリオンの飲み物。 ……夏はいっつもエンジン弄りながら飲んでたなぁ~」

ルッキーニ「………あたしもそれ飲みたい」

シャーリー「……あったらあたしが飲んでるっつーの…」


ダンッ


バルクホルン「お前達……そこで何をしている?」

シャーリー「んぁ?」

ルッキーニ「にゃ?」

バルクホルン「答えろ。 そこで何をしている!」

シャーリー「何って……なにも? テラスで休んじゃダメか?」

バルクホルン「そうじゃない! お前らのそのだらしのない格好を言っている! 待機時間は非番ではなく任務だ、服を着ろ!」

シャーリー「だって暑いし。 夏に水浴びとくれば普通水着だろ?」パシャン

ルッキーニ「うじゅじゅ~…」パシャパシャ

バルクホルン「何が水浴びだ!! そこは足を浸ける場所じゃない!」

バルクホルン「そもそもそんな地べたに飲食物まで持ち込んで居座るな! 目の前のイスとテーブルを使え!! 変なパラソルも撤去だ!!!」

シャーリー「シート敷いてるし、別に汚さねぇよ」ケラケラ

ルッキーニ「ん゛~バルクホルンうるさい……ジュースとってきて」パシャパシャ

バルクホルン「」ブチン


美緒「――お前達、そんな所に仲良く集まってどうした?」スタスタ


――――
――

宿舎 廊下


パタパタパタッ


芳佳「早く掃除終わらせなきゃ」テテテ

『うぇぇえーーん!!』

芳佳「!?」

芳佳「誰か泣いてる…!?」





ルッキーニ「うえぇぇ~~ん!!」

シャーリー「……手を動かせルッキーニ。 今はそれしかない」ゴシゴシ

芳佳「シャーリーさん!? ルッキーニちゃん!?」

シャーリー「? …お~宮藤か。 たはは、恥ずかしいとこ見られたな」

芳佳「ど、どうしたんですか!? なんでシャーリーさん達がここの掃除を……ルッキーニちゃんはどうして泣いて…?」

ルッキーニ「うぇぇえん、よしゅか~」


ガバッ


芳佳「わわっ!? どうしたのルッキーニちゃん!?(……すっごいタンコブ!)」

シャーリー「ちょっと羽目を外し過ぎちゃってな。 ……バルクホルンと少佐に叱られちまった」

芳佳「だ……大丈夫ですか? すっごいですけど、それ」

シャーリー「あー…あたしも久々に涙でた。 中佐とはまた違って怖いな、あの人」サスサス

芳佳「はいっ!」

シャーリー「……悪いんだけどさ宮藤? ここの掃除はあたしらがやるから、ルッキーニのコブ治してやってくれないか?」

芳佳「あ、はい! わかりました! ……ルッキーニちゃん、ちょっとかがんで?」フィィン ピョコ

ルッキーニ「グスッ……うん…、ありがと芳佳…」

芳佳「――あ! そうだシャーリーさん。 さっきミーナ中佐が探してましたよ?」フィィン

シャーリー「え? 今度は中佐かよ!? ……今日は厄日だ」ガク

芳佳「あ、いえ多分平気だと思います! 怒ってる感じじゃなかったですし」

シャーリー「そっか、なんだろ? ……聞いちまった以上行かないとやばいけど…」

芳佳「行ってきていいですよ? 掃除は私がやっておきますから。 ……どう、ルッキーニちゃん?」シュルル

ルッキーニ「うん、もぅ平気…」サスサス

シャーリー「…でもなぁ」

芳佳「元々私は当番でしたし、ミーナ中佐の呼び出しならサボりになりませんよ!

ルッキーニ「……シャーリー。 あたしも芳佳と掃除しゅる」グスッ

シャーリー「………わかったよ、あたしもすぐ戻るから」

シャーリー「ありがとな宮藤! ルッキーニを頼む」タタッ

芳佳「はい、いってらっしゃい!」


タッタッタッタッ


芳佳「……それじゃお掃除始めよっか、ルッキーニちゃん?」

ルッキーニ「うんっ! …ドバーっと終わらせてシャーリーをびっくりさせちゃうよぉー!」

芳佳「おおー!」

 
執務室


ミーナ「……」カキカキ


コンコンッ


ミーナ「! ……はい?」

シャーリー『イェーガー大尉です。 隊長が探してるって聞いたので……』

ミーナ「シャーリーさんね? 入って」

シャーリー『失礼します』ガチャ


――――
――



シャーリー「あたしがリベリオンに?」

ミーナ「ええ、そうです。 あなたを原隊に戻す審査・判断をするため、リベリオン陸軍から呼び出しが来ています」

シャーリー「すみません中佐……何の冗談です?」

ミーナ「私もそう思ったのだけど、それ以上は聞いてもはぐらかされてしまったわ」

ミーナ「ただ、…こっちの指令本部にも話が通っていたみたいで、あなたの本国出頭は厳命されています」

シャーリー「なんですかそれっ!? そもそも今更あたしを戻すなんて――」

ミーナ「落ち着きなさい!」

シャーリー「っ…!!」ビクッ

ミーナ「私もそんな滅茶苦茶を隊長として許すわけにはいかないわ」

ミーナ「……ということで、個人的に調べてみました」ガサ

シャーリー(……この人はうちの国にもパイプ繋いでんのか?)ゴクリ

ミーナ「事の経緯だけど……先日ボストンの輸送基地がネウロイの襲撃を受けたのは知っているかしら?」

シャーリー「ボストンが!? そんな、あんなとこにネウロイは……!」

ミーナ「やっぱりシャーリーさんも知らなかったみたいね。 どうやらこの情報は国外への漏洩を厳禁としているようなの」

シャーリー「そんな!? だって欧米までネウロイなんて出てきたらっ!!」ズイ

ミーナ「落ち着いてシャーリーさん! 話を全部聞いて頂戴!」ビッ

シャーリー「っ……すみません」

ミーナ「……ネウロイの出現については、その目的等と同様に未だハッキリした事はわかっていないわ」

ミーナ「実際世界的に見てもネウロイの各地出現は単発的に起こっているし、輸送基地を襲ったネウロイも単機だったそうよ」

シャーリー「……」

ミーナ「今回のことで巣が発生した様子も無いらしいから、大きな心配は今のところ無いわ」

シャーリー「そうですか…」

ミーナ「ただ欧米へのネウロイ侵攻は今まで無かったせいもあって、リベリオン内部で一部保守的な考えも出てきているそうなの」

シャーリー「保守的な?」

ミーナ「多分、自国の危機を過剰に意識し始めたのね。 各国に散らばった優秀な戦力をかき集めようとする動きがあるみたいなのよ」

シャーリー「っていうことは……?」

ミーナ「そう……勿論、優秀なウィッチもよ」

シャーリー「いや、だってあたしは追い出されたようなものなんですよ!?」

ミーナ「そこに関してはリベリオン軍内部でも意見が分かれているらしいわ」

シャーリー「……それで審査って訳ですかぁ?」ガクッ

ミーナ「ウィッチとしての実力とここでの実績……何よりネウロイとの戦闘経験豊富なあなたを放っておけなくなったのね」

ミーナ「それと"扶桑海ノ閃光"に習って、ウィッチ増策のために民衆のヒロインとなるウィッチを仕立てる動きもあるそうよ?」

シャーリー「なるほど……それで"グラマラス"も候補ってか…」

ミーナ「これはあくまで私の考えだけど……あなたの態度・意思如何が向こうの判断基準になると思います」

ミーナ「ですから実質、戻るか残るかはシャーリーさんの自由という事になるでしょう」

シャーリー「……」

ミーナ「…私からは何もいいません。 ただ、今この部隊にあなたが必要であることは事実よ?」ジッ

シャーリー「……」

ミーナ「……」

シャーリー「……一応、向こうの話も聞いてみます」

ミーナ「…わかりました。 "万が一"原隊帰属する場合でも手続きが済むまではこちらにいてもらいます」

ミーナ「なので帰ってくる際に補給輸送部隊の護衛を一緒にお願いしますね?」

シャーリー「補給機の護衛……ですか?」

ミーナ「例のボストン輸送基地襲撃で、501を含む欧州戦線へ補給予定の物資が丸ごとやられてしまったそうなの」

シャーリー「えっ!?」

ミーナ「さらにさっき話した自衛思想の保守派閥が支援輸出に強引に制限もかけ始めて、補填のための追加物資も満足に出ていないわ」

ミーナ「……表面上は生産・流通の手違いとか無茶な言い訳をしているけど、間違いなく原因はこれね。 ウラは取れているし」クシャ

シャーリー(こえー…)

ミーナ「兵器弾薬の多くはリベリオンからの援助だから、……おかげで欧州とアフリカは今水面下で悲鳴を上げている状況よ」

ミーナ「まぁ私達は優先的に物資を廻してもらっているから、今の所はまだ何とかなっているけど」ハァー

シャーリー(おいおい、シャレになってないぞ……)

シャーリー「……そのことも公には?」

ミーナ「今のところ知っているのは連合上層部だけのようね。 リベリオン軍上層部といろいろ黒い利害交渉で喧嘩してるみたいだけど……」

シャーリー「そ、そんなの放っておいていいんですか中佐!?」

ミーナ「はっきり言って許せないけど、…下手をすると501部隊の命がないわ。 私は隊長としてあなた達だけは絶対守らなければならないの」

シャーリー「中佐……」

ミーナ「そのためにも、一度シャーリーさんには本国へ出向いてもらいます」

シャーリー「…ん?」

ミーナ「あなたの出頭要請を受けた際にちょっとね…。 "上手にお願い"したらうちへの当面の補給はくれるみたいだから――」

ミーナ「それで、シャーリーさんには帰ってくるついでにその補給機の引率を頼みたいの」

シャーリー「……」

ミーナ「途中空域まではリベリオン部隊の空母からもウィッチが数機護衛に付いてくれるので――」

シャーリー「中佐……あたしをダシに使いました?」

ミーナ「……言ったでしょう? あなたは必要な存在なのよ、絶対に残ってくれなきゃ困るわ」

シャーリー「……そうですか」ホッ

ミーナ「ただね、懐の暖かい相手の要求を素直に聞くのは……勿体無いと思わないかしら?」ウフフ

シャーリー「あっはは、そうですね! こんなできる隊長の膝元を離れるのも、ちょっと勿体無いかなぁ」ポリポリ

ミーナ「あら。 期待して良いのかしら?」

シャーリー「そうですね…。 …待機中もテラスで日光浴する許可が出るなら、考えますよ?」ニッ

ミーナ「うふふ、なら"早速"向かってもらえるかしら? ストライカーと武装はもう積んで輸送機も準備してあります」ニコニコ

シャーリー「了かー……」

シャーリー「………………え゛?」

 
基地宿舎 洗い場


美緒「よぉし! よくやったルッキーニ、これで仕舞いだ」

ルッキーニ「うじゅぅ~~、ちかれた……」グッタリ

芳佳「ごめんねルッキーニちゃん? 結局残りの掃除と洗濯まで全部付き合わせちゃって…」

美緒「宮藤が謝る事は無いぞ? 私の命令だ」

ルッキーニ「罰は掃除って言ったのにぃ~~。 シャーリー助けてぇ…」

美緒「これから暫く増えるであろう罰の前貸しだ。 それに、その間にお前がしっかりやれるよう教育してやる必要もあるしな? わっはっは!」

芳佳「……坂本さん、それってどういうことですか?」

ルッキーニ「にゃ…?」

美緒「ん? そうかお前達は知らなかったか。 ……シャーリーが基地を留守にするんでな?」

ルッキーニ「っ!!?」

美緒「その間私がお前達とまとめてルッキーニの面倒も――」

ルッキーニ「シャーリーはっ!??」ズイッ

美緒「っとと…。 なんだ? 今言っただろう、あいつは(暫く)いないぞ?」

ルッキーニ「? …シャーリーいなぃ………???!?」ザワザワ

芳佳「えぇ!? 何かあったんですかシャーリーさん!?」

美緒「任務ついでにリベリオンに召還されたんだ。 少し前に輸送機で出発した」

芳佳「えっ? そ……そんなぁ! だって私まだなんにもっ…!!!」

美緒「まてまて、今生の別れじゃ無いんだ。 向こうでの用件次第だが1週……いや2週間ほどか? とにかくその程度のことだ」

芳佳「あ……なんだ、そうだったんですか。 私てっきり……」ヘナ

芳佳「…でもやっぱり寂しいですよー」

美緒「何だ宮藤、私では不服か? それこそ寂しいなぁ」

芳佳「そ、そんな! 違いますよぉ坂本さん!!」アタフタ

美緒「わっはっはっは!」


ルッキーニ「……っ」ダッ

 
シャーリー部屋

ルッキーニ「シャーリー!」バタンッ


しーん……


ルッキーニ「……っ」ダッ


――――
――

 
格納庫

ルッキーニ「シャーーリーー!!」


シャーリー……


シャーリ…





しぃーん……


ルッキーニ「………ぐぅっ」ダッ


――――
――

 
食堂

ルッキーニ「シャーリー!!!」ザッ


――――
――



ミーティングルーム

ルッキーニ「シャーリー!!!!」バタンッ


――――
――

 
更衣室

ルッキーニ「シャーリー!!!!!」バサッ

ペリーヌ「ひゃあ!!? ちょ、ちょっとなんですの急に!?」

ルッキーニ「……」キョロキョロ

ペリーヌ「…ちょっとルッキーニさん! どうしてあなたはいつもそう騒々しいんですのっ!!」プンスカ

ペリーヌ「お風呂に入りたいならもっと静かにいらっしゃい!! 迷惑ですわっ!!」

ルッキーニ「……ぐしゅっ…」ウルウル

ペリーヌ「え?ぇえ!? ……な、なにも泣かなくたって…。 どっ、どうしましょう――」オロオロ

ルッキーニ「……っ」ダッ

ペリーヌ「あ! そんな……お待ちになって! ごめんなさいルッキーニさん!!」


――――
――

 
エイラ部屋

エイラ「フッフ~ンフ~♪」ペラッ

エイラ「…ん? このカードちょっと反ってんな。 ……湿気でやられたかー?」


バタンッッッ


エイラ「っ!!! な、なんだぁ!?」ビクゥ

ルッキーニ「……しゃーりぃ…」

エイラ「………なんだよお前? 青い顔して。 …シャーリーなら(ここには)いないぞ?」

ルッキーニ「ぇ……シャーリー…いなぃ…?」グニャー

エイラ「(私の部屋に)いるわけないだろ? ていうかもっと常識的に――」

ルッキーニ「……っ」ダッ

エイラ「あ、おい! ……ドア閉めてけー!!」


――――
――

 
滑走路

ルッキーニ「…………」ポツーン


ミ゛ンミ゛ンミ゛~ン


ルッキーニ「………しゃーりぃ…」ウル


ミ゛ンミ゛ンミ゛~ン


ルッキーニ「………」

『ルッキーニちゃーんっ!!』

ルッキーニ「……よしか…」グス

芳佳「はぁ…ふぅ……やっと見つけた! 急にいなくなっちゃうんだもん、…坂本さんが『用具をかたせー』って怒ってたよ?」

ルッキーニ「………よし…かぁ~…うくっ…」グシュ

芳佳「ああっ、でも大丈夫!大丈夫っ! 私が片付けちゃったからもう平気だよ!? 坂本さんも別に――」ワタワタ

ルッキーニ「うわぁぁああああん!!!」


ダキッ


芳佳「――え?え!? ルッキーニちゃん!?」

芳佳「………どうしたの?」

ルッキーニ「シャ゛ーリーがっ、うぇぇえ゛え゛えん!!」

芳佳「え? ……シャーリーさん??」

ルッキーニ「うぐっ……いな゛ぐなっ…うわぁ~~ん!!」ギュウ

芳佳「……だ、大丈夫だよルッキーニちゃん!? シャーリーさんちゃんと帰ってくるよ?」アセアセ

ルッキーニ「でも…どごに゛っもいにゃ゛ぐで……えっく…、えぅ…きえちゃっ…ぅぇえぇ゛~ん」

芳佳(急に基地を離れたって聞いてパニックになっちゃったんだ…!)

芳佳「……聞いてルッキーニちゃん? シャーリーさんは任務で出掛けただけだから」

芳佳「少ししたらちゃんとルッキーニちゃんの所に帰ってくるよ! 消えたりしないよ!?」

ルッキーニ「うぐっ……ぐしゅっ…、ほんと…? あたしのこと…嫌いになって、…かぇったんじゃ……?」

芳佳「大丈夫っ! シャーリーさん、ルッキーニちゃんのことすっごく大好きだよ!? ちゃんと帰ってくるから……ね?」サスサス

ルッキーニ「……ぅん」グシグシ

芳佳(ルッキーニちゃん……)

芳佳「……ミーナ中佐が呼んでたよ? 管制塔だって。 …行こう?」

ルッキーニ「……」コク

 
管制塔

ミーナ「――航空距離に気をつけて頂戴。 途中の補給はリベリオン空母の部隊に了承済みなので、そちらとも密に連絡をとるように」

『ポーキュパイン、了解』ガザ

ミーナ「ふぅー…」トントン

モブ兵「まさかブリタニアの"サンダーランド"をコントロールすることになるとは……。 国内機とはいえ、こんなものいったいどこから――」

モブ兵2「よせ、私語は厳禁だぞ? 隊長に聞かれたら後がひどい」ヒソヒソ

ミーナ「………(聞こえてるわよ)」

ミーナ(単葉飛行艇……これも条件のひとつってね? 早く帰ってきてくれなきゃ困るもの)ウフフ


タッタッタッタッ


芳佳「ミーナ中佐―! ルッキーニちゃん連れてきましたー」

ルッキーニ「……」

モブ兵達「!」ビシッ

芳佳「あ、どうも…」ケイレイ

ミーナ「ご苦労様、宮藤軍曹。 でも緊急時意外は基地内を走ってはダメですよ?」

芳佳「はい。 すみません」

ミーナ「……」チラ

ルッキーニ「………」ションボリ

ミーナ(…シャーリーさんの言った通りね)

ミーナ「ルッキーニ少尉、話せますか?」

ルッキーニ「……うん」

ミーナ「……少尉?」ニコ

ルッキーニ「……はぃ」

モブ兵達(くわばら…)

ミーナ「少尉? 今イェーガー大尉を乗せている輸送機と通信が繋がっています」

ルッキーニ「っ!! シャーリー!?」ピョン

ミーナ「少尉っ!」ビシ

ルッキーニ「むぎゅ!」

ミーナ(……しかたないわね)

ミーナ「後は私がやりますので、ウィッチ以外の隊員は全員一時退出してください!」

モブ兵達「……了解」


スタコラー


芳佳「……皆さん行っちゃいましたね?」ポカーン

ミーナ「必要なことはもう終わってるから大丈夫よ。 輸送機が通信空域を出るまでもう少し話ができるわ」カチャカチャ

ミーナ「こちら管制、ヴィルケ中佐です。 搭乗員のイェーガー大尉を出してもらえるかしら?」

『ポーキュパイン、了解』ガザ

『…………』ガサガサ

『…中佐、あたしだ』

芳佳「シャーリーさん!」

ルッキーニ「っ!シャーリー!!!」

シャーリー『お? ルッキーニに……宮藤もいるか? ごめんな~掃除結局やらせちまって』

ルッキーニ「うじゅ……しゃーりぃ…」グジュ

芳佳「あわわ! ルッキーニちゃんまた……!」

ルッキーニ「えぐっ……えぐっ…」

ミーナ(あらあら、こんなに……悪いことしちゃったみたいね)

ミーナ「シャーリーさんの言った通りだったみたい。 ごめんなさい、私の短慮で…」

シャーリー「あっはは! 私が中佐の呼び出しに遅れたせいですよ! ……それよりルッキーニのやつ泣いてます?」

ミーナ「ええ。 来た時は落ち着いていたけど、シャーリーさんの声を聞いたら…」チラ

ルッキーニ「うっく……ぁう…」

芳佳「よしよし…」サスサス

シャーリー『そうですか。 ……おーい、ルッキーニ聞こえるかー?』

芳佳「ほら、ルッキーニちゃん! シャーリーさんがルッキーにちゃんを呼んでるよ?」サスサス

ルッキーニ「っ……シャーリー…?」グスッ

シャーリー『ごめんな、心配させちゃったよな。 ……ちょっとこれから本国に御使い行ってくるから良い子にして待ってろよ?』

ルッキーニ「うじゅ…。 シャーリー、行かないで…」ウル

ミーナ(あらやだ! 不謹慎だけど、かわいいわ…)ドキッ

シャーリー『今更無理だって! お土産持って帰ってやるからもう泣くな? 泣き虫にはあげないぞー?』

ルッキーニ「うん……ぅん…」グシグシ

シャーリー『ほんのちょっとの間だけだ。 ……皆もいるから平気だよな?』

ルッキーニ「……」グシグシ

シャーリー『…待っててくれるか? ルッキーニ』

芳佳「ルッキーニちゃん!」

ルッキーニ「………うん! あたし泣かない! シャーリー、早く帰ってきてね!?」ムンッ

ミーナ「偉いわね、ルッキーニさん」ウフフ

シャーリー『よしよし。 ……宮藤、中佐! ルッキーニのこと頼みます』

芳佳「はいっ、任せてください!! いってらっしゃいシャーリーさん!」

ミーナ「…むこうで何を言われるかわからないけど、気をつけて行ってきてね?」

シャーリー『了解! いろいろお土産期待しててください。 そいじゃ戻します』

『…………』ガザザ

『……れ、連絡は以上でありますか? …グスッ』

ミーナ「……ポーキュパイン、しっかりしてください(機内の空気はどうなってることかしら…)」ヤレヤレ

『…は!失礼しました! ……流石イェーガー大尉であります』

ミーナ「…機長? 口外は厳禁でよろしくお願いします」

『……了解』

ミーナ「はぁ……管制から通信は以上です、どうぞ?」

『…ポーキュパイン、了解。 通信終わり』ガザ

 
それから3日後


食堂

ルッキーニ「……」モグモグ

ルッキーニ「……」モグ

ルッキーニ「……」

ルッキーニ「……」チョイチョイ


ミーナ「……(そろそろ危ないかしら…)」チラ


芳佳「ルッキーニちゃん!おかわりいる? 納豆もあるよ」ネリネリ

ペリーヌ「ちょっと宮藤さん! 腐った豆を練りながらウロウロしないで下さい!! 臭くて食べられませんわ!!」

エイラ(これがホントの"練り歩く"……なんてな! ムフフ)モグモグ

ルッキーニ「………」

芳佳「ルッキーニちゃん? ……どうしたの?」

ペリーヌ「ちょっ! わたくしの話を――」

ルッキーニ「ん……」チョン

芳佳「食べないの? ……その…美味しくなかったかな? ごめんね」

ルッキーニ「……おいしいけど…」

美緒「…ルッキーニ、いい加減に迷い箸をやめろ。 行儀が悪い」キッ

ミーナ「あ、待って美緒? ……今はちょっと…」ヒソヒソ

エイラ(ムフフ、箸じゃなくて"フォーク"だけどなー)モグモグ

ルッキーニ「………シャーリーがいないと……あんま美味しくない…」ボソ

芳佳「ルッキーニちゃん?」

ルッキーニ「………ごちそさま…」ガタ


トテトテトテ……

芳佳「え? あ、ルッキーニちゃん!」

エイラ「……何だあいつ? この前からなんか変だぞ? ……あむ」モグ

ペリーヌ「そんな腐りきったおぞましい豆など近づけられれば、誰だって気が変になりますわ!」イヤデスワー

芳佳「そんなぁ! 酷いですよペリーヌさんっ!!」ネリネリネリネ

ペリーヌ「やっ、ちょっと!! こっちに近寄らないで下さいまし!!!!」

美緒「ペリーヌ!静かに食べろ!! ……宮藤、それは私が食うからよこせ。 そうしたらお前も当番に戻れ」

芳佳「は、はい…!」

ミーナ「……遂に食欲まで無くなっちゃったわね。 シャーリーさんが出発してからまだ3日しか経たないのに」

芳佳「昨日から少し元気なかったですけど……やっぱりシャーリーさんが居ないからなんですか?」ドウゾ

美緒「うむ、ありがとう」

ミーナ「ええ。 元々ルッキーニさんがここに馴染めたのもシャーリーさんが来てくれたお陰だし……」

美緒「それまであいつは問題だらけの状態だったからな。 ホームシックに陥り脱走も頻発して手がつけられなかった」ネリネリ

芳佳「そ、そんなにだったんですか…!?」

ミーナ「元々志願して養成校に入ったわけでもなく、軍の勧めで入隊したからかしらね? ロマーニャ空軍でも同じ問題を起こして」

ミーナ「……実質ここへは厄介払いされて来たようなものだったの」

芳佳「そんな……ひどい」

ミーナ「私や坂本少佐、バルクホルン大尉では全く言う事を聞いてくれなくて扱いに困っていた時に、シャーリーさんが配属されたの」

美緒「流石というかなんと言うか、シャーリーの言う事だけはあいつも聞いてな。 以来、素行も大分落ち着いて今の様になったということだ」ネバァ

ミーナ「とっても仲が良くて、いいお姉さん役になってくれていたのよね。 ……でもまたシャーリーさんが居なくなってしまって…」

ミーナ「まさかここまで落ち込んでしまうなんて思わなかったわ。 私のミスね…」

芳佳「ルッキーニちゃん……」

美緒「もぐもぐ、んごくっ ……お前のおかげで大分落ち着いてはいる様だがな? ちょっと前のルッキーニなら多分また手を焼いていたろう。 ……ん」ズズー

芳佳「え? 私ですか?」

ミーナ「ルッキーニさんは宮藤さんにもとても懐いているから……。 シャーリーさんも貴女がいるからってことで直ぐに出発してくれたのよ?」

芳佳「シャーリーさんが? ……あ!」


(『ありがとな宮藤! ルッキーニを頼む』)
(『宮藤、中佐! ルッキーニのこと頼みます』)


芳佳「シャーリーさん…」

美緒「ふぅー、ご馳走様! ……しかしルッキーニも限界になってきているようだな?」カチャ

芳佳「あっ、お粗末様です。 片付けは私がやりますから…」

美緒「ん? すまんな。 ……とにかくこの調子だと戦場に出す事も難しくなる。 つまりあいつだけの問題では無いわけで…何か手を打つべきだが」

ミーナ「今更私や美緒にどうこう出来るかは正直不安ね……。 面倒は見てあげられるけど、彼女の心の隙間までは…」

美緒「しかしやるしかないさ。 …親は無くとも子は育つと言うし、ルッキーニもかつてのあいつでは無い」ガタ

芳佳「坂本さん?」

美緒「……すこし身体を動かしてくる」


スタスタスタ


ミーナ「…美緒も考えあぐねているようね」

芳佳「……ミーナ中佐、私どうしたら…」

ミーナ「そんな顔をしないで宮藤さん。 いつも通りで良いのよ?」

ミーナ「ルッキーニさんはきっと寂しいと思うから……側にいて、話を聞いてあげて頂戴? 私達に言えない事も貴女になら打ち明けるかもしれないわ」

芳佳「はい、やってみます!」グッ

ミーナ「ごめんなさい、私も任されたのに力になれなくて…」

芳佳「いえっ、そんな事無いです! ミーナ中佐が優しいお陰でルッキーニちゃんもきっと心強いはずです!!」

エイラ(そうかぁ~~?)モグモグ

エイラ「ごくんっ………リーネー! おかわりくれー!」

<ハーイ!

ミーナ「うふふ、ありがとう宮藤さん」






バルクホルン「………」モクモク

バルクホルン(……話に入りそびれた)

めし

 
その夜


宮藤部屋

芳佳「そろそろ寝よっか、ルッキーニちゃん?」ヨイショ

ルッキーニ「……うん」

芳佳「……」

芳佳(ルッキーニちゃん、また元気ない……)

芳佳「……ほらルッキーニちゃん! 一緒に寝ようよ? わぁーい」モソモソ

ルッキーニ「……」モソモソ

芳佳「ルッキーニちゃんの毛布使う? あ、でもやっぱり暑いか――」

ルッキーニ「シャーリーがいなぃ……マーマも…」ボソ

芳佳「ぁ………」

ルッキーニ「またあたし……独りぼっち…」グス

芳佳(……ルッキーニちゃん…)

芳佳「な、泣いちゃダメだよ? シャーリーさんのお土産貰えなくなっちゃうよー?」

ルッキーニ「……えぅっ……ひくっ…マーマぁ…」グシュ

芳佳「……だ、ダメだどうしよう?」アセアセ

芳佳(マーマ……お母さん………っ! そうだ!)

芳佳「…ルッキーニちゃん、待ってて? 大丈夫! 直ぐ戻るからっ!!」バッ


ガチャ バタン


ルッキーニ「うぅ……しゃーりぃ…」

 
リーネ部屋


リーネ(……最近芳佳ちゃんとお話できてないなあ)イソイソ

リーネ(………明日の午後は訓練少ないからお茶に誘おうかな? うん!)

リーネ(どんな紅茶を淹れようかな? ……あ!確かお母さんが送ってくれた――)ワクワク


バタンッッ


リーネ「ひゃぁあ!! な、なに!?」ドテッ

芳佳「リーネちゃんっ!!」

リーネ「よ、芳佳ちゃん!? どうしたの? ……もうすぐ消灯時間だよ?」ドキドキ

芳佳「うん、ごめんリーネちゃん! ちょっと来てっ!!」グイ

リーネ「ええ!! あの、ちょっと芳佳ちゃん!?」ワタワタ

――――
――



宮藤部屋


リーネ「……あのぉ…芳佳ちゃん? これは…?」キョトン

芳佳「ごめんねリーネちゃん? 私じゃルッキーニちゃんのお母さんにはなれないから……」

リーネ「へ? …お母さん?」

芳佳「3人だとちょっと狭いけど、今日だけお願い!」

リーネ「えっと……?」

ルッキーニ「ぐすっ……マーマぁ…」モミモミ

リーネ「ひゃっ! る、ルッキーニちゃん……あの、ちょっと…やっ///」

芳佳「ごめんね、…リーネちゃん」モミ

リーネ「そ、そんなぁ! 芳佳ちゃん!? あっ…や、やめ……ひゃんっ!」

ルッキーニ「マン…マ……ぐしゅ………zzz…」ギュッ

 
さらに2日後


執務室

ミーナ「――なるほど。 ……やっぱりシャーリーさんじゃないと難しいかしらね?」

芳佳「はい…。 リーネちゃんのおかげでなんとか寝付いてたんですけど、……今朝起きたら泣いちゃってて(リーネちゃんの胸揉みながら…)」

ミーナ「困ったわ。 ……向こうでの事を考えると最低でもあと4~5日は戻って来ないし」

芳佳「普段の様子もだんだん元気の無い時が増えているみたいで……その、ごめんなさい」シュン

ミーナ「いいえ、宮藤さんは本当によくやってくれているわ。 あなたまで気を落としちゃダメよ?」

芳佳「は、はい」

ミーナ「……大きな問題は起きていないし、今の調子で何とか持たせるしか――」


コンッ コンッ


芳佳「?」

『お取り込み最中失礼致します、ヴィルケ中佐! 隊長宛に通信が来ておりますが?』

ミーナ「あら、何かしら? ……入りなさい!」


ガチャ


モブ兵「失礼致します!」ビシッ

ミーナ「……」チラ

芳佳「! ……っとと」ピシ

ミーナ「…宮藤軍曹、続きは後にしましょう。 下がってよろしい」

芳佳「は、はい! ……失礼しますっ…」ササッ


パタンッ


ミーナ「……で、通信は何処から?」

モブ兵「…それがですね――」

 
一方


シャーリー部屋

ルッキーニ「……シャーリー…」ギュッ

リーネ「――? ドアが空いて……あ、ルッキーニちゃん! ここに居たんだ?」

ルッキーニ「……」

リーネ(シャーリーさんのベッドに……!)

リーネ「…………か、勝手に入ったら…ダメだよ?」オズオズ

ルッキーニ「……」ムク

リーネ「!」ビクッ

ルッキーニ「……」

リーネ「ルッキーニちゃん……?」オソルオソル

ルッキーニ「……ん」


ダキッ

リーネ「ひゃっ!!」

ルッキーニ「ぅじゅ……」グリグリ

リーネ「やんっ…ちょっと。 ……や、やめてぇルッキーニちゃん!///」

ルッキーニ「っ………」

ルッキーニ「……」パッ

リーネ「はぁ…はぁ…/// る、ルッキーニちゃん…?」ドキドキ

ルッキーニ「……ごめんなさぃ」

リーネ「え? あ、あの…」


スタタタタ…


リーネ「あっ! ………ルッキーニちゃん…」

格納庫


ルッキーニ「………」ポツーン

ルッキーニ「……」


(『なんだお前? こんな所に隠れて何やってるんだ?』)
(『おいおい、そんなにキツくされると苦しいって』アハハ)
(『思ってることがあるならちゃんと言えよぉ? …あたしにでも良いからさ』)
(『いくぞルッキーニ! よくみてろー?エンジン全開! あっははは』ゴォォ)
(『お? どうだ今度の新人は? やっぱあたしのがいいだろ?』バイーン)
(『よしよし、ルッキーニ…』ナデナデ)


ルッキーニ「……しゃーりぃ…」クスン

 
 
――ブゥゥウン



ルッキーニ「……?」グシグシ


『あれー? 誰もいない…』


ルッキーニ「……シャーリー?」スク

ルッキーニ「………」テテテ

 
滑走路

 
 
???「…変だなぁ? 場所は間違えてない筈だし。 ……まさか先に行かせておいて連絡してないって落ち?」ブゥウン


???「でも管制は普通に入れてくれたし……。 案内がないとどうも――」

ルッキーニ「シャーリー…?」

???「――ん?」クル

ルッキーニ「ぁ……ちがぅ…」ショボン

???「…!」

ルッキーニ「シャーリーどこぉ…」トボトボ

???「………」

???「ねえ、あなた?」

ルッキーニ「………なに?」クル

???「私ね、ここの隊長さんに用が有るんだけど、……ちょっと案内して貰えない?」ニコ

ルッキーニ「…………」

???「あらら、だんまり? …恥ずかしがり屋さんかな?」

ルッキーニ「…………」

???「ん~、じゃあ私のお願いを聞いてもらう代わりに……先にあなたの話を聞こっか!」

ルッキーニ「にゃ…?」

???「ほら、何でもいいよぉ! 言いたいことは誰かに言うと楽になるわ」バッ

???「お姉さんで良けれは聞いちゃうわよ~?」タユン

ルッキーニ「!」ピクッ

ルッキーニ「…………」テテテ

???「んー? なになに?」

ルッキーニ「……んっ」ピョン


ダキッ

???「わわっと…! こらこら危ないぞ?」ブゥゥン

ルッキーニ「………んじゅぅ…」ムニムニ

???「なぁに~大胆ねぇ? ………あなたはここのウィッチ?」

ルッキーニ「……フカフカ…」ギュッ

???「……」

ルッキーニ「…うっ…ぇく……」

???「……」

ルッキーニ「…えぎゅっ……っ…」グスッ

???「……………よしよし。 頑張れ頑張れ」ナデナデ

ルッキーニ「うぅ……しゃぁ…りぃ…」

ルッキーニ「……zzz…」スヤァ

???「……寝ちゃった! …器用な子なのね」

 
格納庫


リーネ「はぁ…はぁ……」キョロキョロ

リーネ(ルッキーニちゃん、どこ…?)


タッタッタッ


芳佳「――リーネちゃーん!」

リーネ「! …芳佳ちゃん!」

芳佳「はぁっ…ふぅ…。 …こっちにもいないみたい」

リーネ「…ルッキーニちゃん……」


(『……ごめんなさぃ』)


リーネ(急にあんな……心配だよ…)

芳佳「やっぱり秘密基地に…っああ! リーネちゃんあそこ!!」ビッ

リーネ「え?」

芳佳「ハンガー出口のところ、誰かいるよ!? 行ってみよう!」タタッ

リーネ「あ、待って芳佳ちゃん! ………あれって――」

リーネ「…………」ジー

リーネ「……えっ!?」

リーネ「…も、もしかして!!」ダッ

 
滑走路


???「ん~~…」ブゥゥウン

???「……さぁて、どうしましょっか?」ナデナデ

???「…本当に誰も出迎え――」


タッタッタッ


芳佳「あのぉー、すみませーん!」テテ

???「――お?やっと来たわね! ……て、これまた随分かわいい子が来ちゃった」

芳佳「っはふぅ……。 あ、あの…(ウィッチ!?)」ゼハー

???「あなた、ここのウィッチ?」

芳佳「え? あ、はい。 そうですけど……」

???「ちょっとこの子お願いできるかな?」ヨイショ

芳佳「あ! ルッキーニちゃん!?」

ルッキーニ「……zzz」スヤスヤ

???「なんだか疲れてたみたいでさ? 眠っちゃって……。 はい……おっとと、大丈夫?」

芳佳「あ、はいっ! ……うんしょっと」

芳佳「……ルッキーニちゃん。 よかったぁ」ギュ

ルッキーニ「…zzz」

???「とりあえずこの子はひとまず安心ね……」フゥ

芳佳「…あの、ありがとうございます。 えっと…あなたは――」


テッテッテッ


リーネ「はぁ…はぁ……っ。 お…"お姉ちゃん"!」ゼェゼェ

芳佳「リーネちゃん! ……えっ? いま――」

???「ん? …来たわねリーネ。 元気してた? お姉ちゃんが会いに来たぞー」

芳佳「えっ? ………ええぇぇぇ!!! リーネちゃんのお姉さん!?」ガビーン

???「こんにちは☆」ニコ


タッタッタッ


ミーナ「――み、宮藤さん! リーネさん!!」ゼハー

芳佳「ミーナ中佐!?」


――――
――

 
格納庫


ガチャンッ ガシャ


???「…よいしょっと」スタッ

???「お待たせしましたー!」ステテ

ミーナ「はい、……こちらは"ワイト島分遣隊"所属のウィルマ・ビショップ軍曹です。 リーネさんのお姉さんよ」

ウィルマ「はじめまして! かわいい妹がいつもお世話になっていますっ!」ピッ

リーネ「お、お姉ちゃん!///」ワタワタ

芳佳「わぁー! はじめまして、宮藤芳佳です! 私もリーネちゃんにはいつもとっても仲良くして貰っています!」

リーネ「よっ…芳佳ちゃんまで///」

ウィルマ「あはは! いい子ねぇ~かわいい~」ナデナデ

芳佳「あわわっ!?」

※ウィルマ・ビショップさん
http://i.imgur.com/ilL27C6.png

ルッキーニ「ムニャ……zz…」

ミーナ「ごめんなさい、いいかしら? 先に聞いておきたいのだけど……宮藤さん、そのルッキーニさんは?」

ウィルマ「あ、この子はさっき私が到着した時そばにいたんです」

ウィルマ「最初見たときは目を真っ赤に腫らしてて、……何事かと思って声かけたら抱きつかれちゃいました」

ミーナ「えっ! ご、ごめんなさい! ……もう、ルッキーニさんったら」

ウィルマ「ああっと、その~気にしないでください! 私は別に平気だし…」

ミーナ「……じゃあその、…つまりウィルマさんが面倒見てくれたの?」

ウィルマ「なんか涙も枯れちゃってた様子で、そのまますぐ眠っちゃって……」ポリポリ

芳佳「ルッキーニちゃん……」

ウィルマ「私は特に何もしてません」アハハ

ミーナ「……なるほど、わかりました。 とにかくウィルマさんには話を伺いますので私と共に来てください」スタスタ

ウィルマ「ラジャー! ……それじゃリーネ、またね?」ピッ

リーネ「う、うん…」


スタスタスタ

 
芳佳「……リーネちゃんのお姉さん、何の用事で来たんだろう?」

リーネ「さぁ…?」

芳佳「……」

芳佳「………やっぱりお姉さんも……大きかったな~」

リーネ「え? ……なにが?」

芳佳「……」

リーネ「……」

芳佳「……………身長……とかさ」

リーネ(芳佳ちゃん……)

ルッキーニ「……zzz」スヤスヤ

 
執務室


ミーナ「出迎えが遅れてごめんなさい。 言い訳になってしまうけど、連絡を頂いたのがついさっきだったもので準備に手間取ってしまいました」

ウィルマ「あはは、……こちらこそすみません。 うちの隊長さんも随分テンパってたみたいで…」

ウィルマ(…まさか隊長が直々に息切らして出迎えてくれるとは思わなかったし)

ミーナ「……」

ミーナ「…さて」キリッ

ミーナ「用件については、あなたが話してくれると聞いています」

ウィルマ「はい」

ミーナ「……通信上を避けてわざわざ口頭で伝達するということは、何か事情があるのですか?」ジッ

ウィルマ「っ!?」ゾク

ミーナ(…このタイミングで傍受を警戒したという事は、おそらくボストン襲撃関連かリベリオン裏事情に関係することかしら? でも、なぜワイト島分遣隊が……?)ジロー

ウィルマ(うわ~っ! この人の緊張感……なんだか強烈!! さっきと全然違うし…)トシシタヨネ?

ミーナ「……どうしました? 周りも人払いはしてあるので心配しなくていいですよ?」

ウィルマ(あっ……そういうことか!)

ウィルマ「…あぁ~いや、大丈夫です。 そういうことではないんですよ…」

ミーナ「?」

ウィルマ(……この人怖いし、別に全部言っちゃっても平気よね?)

ウィルマ「実は――」




――
――――

 
■ 回想 同日早朝 ■

ワイト島分遣隊基地


ウィルマ「私が501に?」

角丸「ええ。 物資の緊急支援の要請……というか交渉をあなたにしてきて欲しいの」

ウィルマ「交渉? ……通信じゃダメなの?」

ウィルマ「というか物資の支援て……なんで501に?」

角丸「………はぁ~~」ガックリ

ウィルマ「? ……隊長さん、何かあった?」

角丸「……ひとつずつ説明するわ」ハァ

ウィルマ「……?」

角丸「…先月末にリベリオンの輸送基地で爆発事故が起きてね? それで欧州戦線へ送り出す筈の物資も殆どか灰になってしまったらしいの」

ウィルマ「ありゃー、随分と派手なこと」

角丸「さらに国内の生産流通トラブルによって追加の補填も殆ど出せない状況と言う話よ?」

ウィルマ「……後ろの武器庫が一時的に閉じちゃったわけね?」

角丸「そう…。 兵糧はまだしも武器弾薬飢饉に陥り始めてしまった欧州戦線は、今残った物資を重要拠点へ廻すよう御触れが出ているのよ」

ウィルマ「あ! もしかしてココにも?」

角丸「……いえ、私達にその命令は来てません。 どころか、……むしろ今にも弾薬が尽きかけて困ってるのよ…」ガク

ウィルマ「…あ~そっちかー……」

角丸「リベリオンからの補給なんて勿論ないし、他国からの物資も他の拠点に廻されて……。 あと数回ネウロイが来たらこの基地は無防備になるわ」ガックリ

ウィルマ「うちは特にフランとアメリーが撃ち過ぎちゃうからねぇ。 最近は射撃練習も張り切ってやってるし」

角丸「………私も何とか補給支援を頼めそうなところをあたってみたんだけど――」



~~~~~~~~~~~~~~

『んー…こっちも削られて厳しいからねぇ』ガザ

角丸『そうですか…』



『すまんな角丸…力になりたいが今は上が目敏くてな』

角丸『……わかりました』

 
『後方部隊とはいえウチも戦える状態は維持しなきゃねぇ? ごめんなさい』

角丸『……はい』



『遊んでる部隊にやるほどこっちだって余裕なんてないよ』

角丸『…………』



『ワイト島分遣隊? 何処それ? 南部の戦線は501部隊だろ?』

角丸『っ………』プルプル



『…………あれ? 君、怪我で退役したんじゃないの?』

角丸『~~~っっ!!』ブチン

 
角丸『あ"ああぁ"あ"あぁぁ"あ"!!!!』フィィイン


ズォォオオオオ

グシゃぁああ


~~~~~~~~~~~~~~



角丸「ごめんなさい……私、隊長なのにこんな時に力になれなくて…」ズーン

ウィルマ「ま、まぁ気にすることないって! 元気出しましょ隊長さん?」アセアセ

ウィルマ「ほらっ、通信機の予備もまだ有るんだし!(弾薬は無いけど)」

角丸「……そうね(…でも弾薬は余ってない……)」ズーン

角丸「………まぁそんな訳で、なんとか補給を得るため最後にすがる先が――」

ウィルマ「501部隊?」

角丸「………特にガリア戦線の物資はあそこの援助に廻されてる筈だから余裕……はないと思うけど、うちが当面やれるだけの僅かな量でも貰えれば…」

角丸「…そもそも501の戦域から漏れたネウロイの掃除をするだけの私達に、分けて貰えるかは解らないけど」ズーン

ウィルマ「あはは……ど、どうかしらね?(完全に心が折れてるわこりゃ)」

ウィルマ「…それで、私に交渉へ行かせるの?」フム

角丸「最初は、元部隊員で向こうの隊長との面識もあるラウラに頼むつもりだったんだけど。 ……行ってくれそうに無くて」ハァ

ウィルマ「ラウラにも思う所があるんでしょう? 無理強いはダメよ」

角丸「ええ、わかってるわ。 ……でも私はもう自信ないし、こういう事はあなたの方が上手いと思うから…」ズズーン

ウィルマ「んー、私もネゴシエイトは素人なんだけど……了解! やるだけやってみましょ!」

ウィルマ「だからあなたは後ろでドッシリ構えてて、"隊長"さん! またいじけてたらフラン達に笑われちゃうわよ?」グッ

角丸「そうね…。 …うん、いけない! ありがとうウィルマさん」フンス

ウィルマ「うんうん!」

角丸「ネウロイの出現もまだ数日は無いはずだから、できれば今日のうちにお願い。 基地への連絡は私がやっておくから」

ウィルマ「りょーかい!」ピシ


――――
――

 
□ 現在 501執務室 □


ウィルマ「――という感じで、……あはは」

ミーナ「…なるほど、そういうことだったの(どこも苦労してるのね……)」

ミーナ「………わかりました。 近く補給が入る予定なので、それらの一部をワイト島分遣隊に廻します」

ウィルマ「あらら? いいんですか?(随分あっさり終わっちゃった。 私なんにもしてないけど…)」

ミーナ「うふふ、困ったときはお互い様よ。 ……と言いたい所だけど、ひとつだけお願いを聞いてもらえるかしら?」ニコ

ウィルマ「ん? 何ですか?」

ミーナ「ここに1泊していってくれないかしら?」

ウィルマ「………はい?」ポカン

ミーナ「それでその間、あなたにはちょっと面倒を見て欲しい子がいるの」

ウィルマ「はあ…」

ミーナ「宿舎の空き部屋を用意するから自由に使ってください。 必要なものがあればこちらで貸し出しますので遠慮なく言って頂戴? 食事は今夜と明日の朝をうちで――」ペラペラ

ウィルマ「え? あの、ちょっと~…」

 
ワイト島分遣隊基地


角丸「――な、なるほど……よくわからないけど了解したわ。 こっちのことは任せてゆっくりしてきて」

角丸「……ありがとうウィルマさん、本当に助かったわ。 …………いいえ、あなたのお陰よ?」

角丸「………ふふっ、そうね。 アメリーには私から言っておくわ。 ……ええ、それじゃ」パチン


――ブツッ


角丸「……ふぅー。 …なんとかなったわね」グッタリ

角丸「…それにしてもよく了承を貰えたものね。 ……ウィルマさん、どんな魔法を使ったのかしら…?」

角丸「それとも向こうの隊長が余程慈悲深い――」


バタバタバタッ


フラン「ちょっと隊長っ!! リベリオンから補給が来ないって本当なの!!?」バタンッ

ラウラ「…支援はとれた? ……フランの無駄撃ちする分がそろそろないけど」ヒョコ

角丸「ラウラ!? フラン!?」

フラン「ばっ……な、何言ってんのよラウラ!? あたしは無駄撃ちなんかしてないわよ!!」

ラウラ「…いつも焦って乱射するじゃん…?」

フラン「っそ、それはアレよ! その……だ、弾幕! 皆のために弾幕張ってるの!!//」

ラウラ「……そんなのネウロイには意味ないよ。 あむ…」モグモグ

フラン「んもーーー!!!」ムキー

アメリー「――ラウラさ~んっ! お皿ごと堂々と持って行ってつまみ食いしないでください!」パタパタ

ラウラ「ん、ありがとアメリー。 返す……」パク

アメリー「あー! そう言いながら食べてるじゃないですかー!」ガーン

角丸「……あなた達なんでここに集まってくるの…?」

フラン「とにかくー!! そろそろ本国から送ってもらったコーラがなくなっちゃうんだけど、ブリタニアからの補給ホントにないわけ!?」ズイ

アメリー「え…? 補給止まっちゃったんですか?」キョトン

角丸「ええ。 …でもウィルマさんが今501部隊に交渉へ行ってくれて、無事に補給支援を受けられるようになったから当面は大丈夫よ!」

フラン&アメリー(501部隊…!)ピクッ

フラン「ちょっとぉー!! なによそれー~!!?」ダンッ

角丸「え…?」

フラン「なっなな、なんであたしじゃなくてウィルマなの!? ズルいズルいっ!!!」

アメリー「わ、私も行きたかったですっ!」ズイ

角丸「ちょ、ちょっと2人とも……落ち着いて」

ラウラ「……ああ、なんだ。 ウィルマが行ってくれたのか…」

フラン「んなっ!? ラウラは知ってたわけぇー!?」

ラウラ「…まあね…」モグ

角丸「あなた達は哨戒中だったでしょ? だからウィルマさんに行ってもらったの(嘘)」

フラン「ぐぬぬ~…」

角丸「……あ、そうだわ。 ウィルマさんは今日501基地に泊まって明日帰ってくるそうだから、明日の哨戒シフト…ラウラ出てくれる?」

ラウラ「ん……まぁ代わりに行ってもらっちゃったし。 いいよ…」

アメリー「!…501基地に……?」ピク

フラン「……お泊り…?」ピクク

アメリー「……」

フラン「……」

フラン&アメリー「えぇぇぇえぇええええ!!!」ガビーン







501JFW基地


ウィルマ(今ごろフランは大騒ぎしてるわねぇ~…何かお土産持って帰ろうかな?)

リーネ「?…お姉ちゃん、どうかした?」

ウィルマ「ん? 何でもないよ」

リーネ「?」

ウィルマ「………ねえリーネ? リベリオンのイェーガー大尉ってここの隊員だよね?」

リーネ「シャーリーさん? …うん、そうだけど。 ……お姉ちゃん、シャーリーさんと知り合いなの?」

ウィルマ「いや、レースで見たことあるけどどんな人かなーって思ってさ!」

リーネ「でもシャーリーさんは今リベリオンに行ってて留守にしてるよ?」

ウィルマ「あら、そうなの? ……それは残念」

リーネ「…あ、お姉ちゃん。 あそこが宿舎だよ?」チョイ

ウィルマ「……はぁ~~~おっきいわねぇ!」

ウィルマ「空から見たときも驚いたけど……この基地ってほとんどお城ねぇ!」

リーネ「…もともと古いお城だったところを改造して基地にしたんだって?」

ウィルマ「なるほど、本当にお城なんだ……」

 
宿舎 廊下


――テクテクテク


ウィルマ「――しっかしホントにすごい所で暮らしてるのね~! …絨毯まで敷いちゃって」

リーネ「私も着任したての頃はちょっとびっくりしたよ」

ウィルマ「…魔女というよりお姫様かお嬢様な気分ね、これじゃ」

リーネ「……でも洗濯やお掃除とか、身の回りの事は自分でやらなきゃいけないから。 意外と大変なんだよ?」

ウィルマ「そっか……うちは単純に人が居ないから自足で生活してるけど、…ここはウィッチ以外は立入禁止なんだっけ?」

リーネ「うん、だから宿舎の事は全部私達がやるんだよ? ……でも軍隊ってどこもそうなんでしょ?」

ウィルマ「…そうね。 基本自分の事は自分でやるのが軍人だけど、ウィッチの中には高待遇な人達もいるみたいよ?」

リーネ「へぇー……仕官の人とか…?」

ウィルマ「詳しくは知らないわ、聞いた話だし。 でも流石に将校の人が毎日掃除洗濯してるってのは無理があるわね~」

リーネ「あはは…、そうだよね。 ……あ、ここがお姉ちゃんの部屋だよ?」ピタッ

『ドタドタ……カタッ…』


ウィルマ「……物音がするわ?」

リーネ「? ……誰かいるのかな?」スッ


ガチャ


芳佳「? …あ、リーネちゃんにウィルマさん!」

リーネ「芳佳ちゃん…!」

ウィルマ「あら? 扶桑のかわいい子」

芳佳「ごめんなさい。 ……あの、まだお部屋の掃除が終わってなくて」アセアセ

芳佳「えと…。 も、もう少しだけ待ってもらってもいいですか?」

リーネ「……言ってくれれば私も一緒にやるのに」

芳佳「でも頼まれたのは私だし、悪いよ…」

芳佳「あとちょっとだけだから、リーネちゃんの部屋で待っててよ?」ヨイショ

リーネ「…芳佳ちゃん、今からでも手伝うよ」

芳佳「そんな! だ、大丈夫だよ! せっかくなんだし、リーネちゃんはウィルマさんとゆっくりしててよ?」

リーネ「で、でも…」

ウィルマ「…うふふ、いいお友だちね? リーネ」ガシッ

芳佳「わっ!?」グラッ

リーネ「お、お姉ちゃん?」グラッ

ウィルマ「……それじゃあ皆で掃除しましょう!」ニコ

芳佳「え? でもお客さんに掃除させるなんて…」

ウィルマ「そんなの気にしないで! ここでは身の回りの事は自分でやるんでしょ? 私にもやらせてよ!」

リーネ「……芳佳ちゃん、3人でやろうよ?」

芳佳「………うん、…わかりました!」

ウィルマ「決まり! じゃあ準備するわね。 ……えっと上着と帽子は何処に置こうかしら…?」ウロウロ

ウィルマ「……あ、しまった! …ごめ~んリーネ、髪留め余ってたら貸してくれない?」

リーネ「あ、うん。 部屋にあるから取ってくるね…」

 
掃除後


ウィルマ「はい、おしまい! …あっという間ね」

リーネ「元々そんなに汚れてなかったのに、こんなに変わるんだね…!」

芳佳「ありがとうございました、ウィルマさん!」

ウィルマ「それはこっちのセリフよ? わざわざありがとう。 手際も良いし大したものね?」ナデナデ

芳佳「そ…そうですか? えへへ」

ウィルマ「さてっと! ……腰は下ろせたけど、とりあえずどうしたものかしら…?」トスン

リーネ「…お姉ちゃん、501に来たのってどんな用事だったの?」

芳佳「あ、私も気になります!」

ウィルマ「ん? …訳あってちょっと補給支援のお願いに来たんだけど、そこであなた達の隊長さんに泊まってけって言われてね」

芳佳「……上手くいかなかったんですか?」

ウィルマ「いいえ、快く聞いてくれたわよ! ビックリしちゃった」

芳佳「じゃあゆっくり出来るんですね? ……よかったね、リーネちゃん!」

リーネ「えっ? あ、そんな芳佳ちゃん。 別に気を使わなくても…」

芳佳「照れなくてもいいのに! せっかくお姉さんと一緒なんだからー」

芳佳「……そうだ! 一緒にお風呂入ってきなよ?」クイクイ

ウィルマ「…いいわねぇそれ! 3人で行きましょうか?」

芳佳「えっと…。 私はその、部屋に戻らなくちゃいけないから」

リーネ「……芳佳ちゃん、本当に気を使わなくて平気なのに」

芳佳「ち、違うよ! そうじゃなくて、……ルッキーニちゃんが起きるといけないから」

リーネ「…ルッキーニちゃん?」

ウィルマ「それって…私に抱き付いてきたあの子よね?」

芳佳「はい。 …今は私の部屋で眠ってるんですけど、起きた時に誰もいないときっと寂しがると思いますから」

ウィルマ「そっか。 ……なら私が見てるから2人は体洗ってきなさい」

芳佳「…え?」

リーネ「お姉ちゃん…?」

ウィルマ「リーネ達の隊長さんにね、基地にいる間その子の面倒を見るよう頼まれたのよ。 一応の事情も聞いてるわ」

リーネ「……(なんでお姉ちゃんが?)」

芳佳「………なら私も一緒に見ます!」ズイッ

リーネ「よ、芳佳ちゃん…?」

ウィルマ「……それは構わないけど、あなた達時間は大丈夫なの?」

芳佳「?」

ウィルマ「今日はリーネ達が食事を作るから期待していいって言われたんだけど、…お昼は違うの?」

リーネ「……あっ! 芳佳ちゃん、そろそろ支度しないとマズイよ!?」

芳佳「えっ!? ………ホントだ、もうこんな時間(というかすっかり忘れてた)」ガーン

リーネ「…と、とりあえずこれじゃキッチンに立てないから……。 早くシャワーを浴びて来なきゃ!」ワタワタ

芳佳「うんっ! ……あの、ウィルマさん?」

ウィルマ「…優しいのねぇ、あなたって」フフ

芳佳「えっ……あ、あの…?」

ウィルマ「リーネの事も、これからよろしく頼むわ」ポン

芳佳「…えっと……は、はい」

ウィルマ「うんうん! ………あ! ごめん、ここへ運ぶから先にあの子の所まで案内だけ頼める?」

――――
――



ウィルマ部屋(仮)


そよそよ~


ウィルマ「……」ゴクゴク

ルッキーニ「………むにゃ……zzz」


そよそよそよ~


ウィルマ「ふぅ~~。 ……暑くなるかと思ったけど、いい風ねぇ」コト

ルッキーニ「……zz…」

ウィルマ「………」

ルッキーニ「…z………」

 
そよそよ~


ウィルマ「……(う~ん、気持ちいぃ…)」ウトウト

ルッキーニ「………」

ルッキーニ「………っ」モゾ

ルッキーニ「……むにゅ…ぅ…?」

ルッキーニ「…にゃ………」

ルッキーニ「……んん…」ムクリ

ルッキーニ「……」

ルッキーニ「……」キョロキョロ


ウィルマ「……」コックリ


ルッキーニ「…………だれ?」

ウィルマ「んぅ……?」ピクッ

ウィルマ「…え~っと、おはよう。 よく眠れた?」

ルッキーニ「………うん」

ウィルマ「…私はワイト島分遣隊のウィルマ・ビショップよ。 任務ついでに一泊お邪魔させてもらう事になってるから、よろしくね!」ニッコリ

ルッキーニ「……?」

ウィルマ「ほら、おいで? リーネ達が私達の分の昼食持ってきてくれたから、一緒に食べましょう?」ポンポン

ルッキーニ「…うん」イソイソ

ウィルマ「この布巾で先に手を拭いてね。 …飲み物はアイスティーだけど飲める?」

ルッキーニ「……ミルクある?」

ウィルマ「あるわよー。 シロップは?」カチャカチャ

ルッキーニ「入れりゅ…」

ウィルマ「オッケー、ちょっと待ってね~?」タラー

ウィルマ「ん~…このぐらいかな? ……はい、どうぞ」コト

ルッキーニ「ん……」チュー

ルッキーニ「……! なんかスッキリする!」

ウィルマ「トワイニングって所の紅茶でね、私の母さんがお気に入りで送ってくれたのよ?(…リーネが淹れてくれたんだけどね)」

ルッキーニ「マーマが…?」

ウィルマ「そうよ。 美味しいでしょ?」

ルッキーニ「……うん!」

ウィルマ「…笑うとかわいいじゃない」フフフ

ルッキーニ「にゃ?」

ウィルマ「あなた……えっと名前は確か…」

ルッキーニ「…フランチェスカ・ルッキーニだよ?」

ウィルマ「ありがとう。 フラン…だと"うちのフラン"と被っちゃうわねぇ? え~っと……フランチェ…はなんか違う…」

ルッキーニ「……マーマは…」ボソ

ウィルマ「…ん?」

ルッキーニ「マーマはあたしの事、…フランカって呼ぶ」

ウィルマ「……」

ルッキーニ「……」モジモジ

ウィルマ「………じゃあ食べましょっか、フランカ?」

ルッキーニ「! ……うんっ!」


――――
――



ウィルマ「ん~、ご馳走様」ホッコリ

ルッキーニ「ごちそーさまー!」

ウィルマ「冷めてもこんなに美味しいなんて、あの子達もやるわねぇ!」

ウィルマ「…フランカは毎日こんな食事をたべてるの?」

ルッキーニ「ウィルマ~」


バフッ

ルッキーニ「うにゃー」グリグリ

ウィルマ「こらこら、ちゃんと口拭いたの? 私着替え持ってないんだから」グイ

ルッキーニ「うじゅじゅ…んっ……?」ムズッ

ルッキーニ「………ふぇ…~クシュンっ!」

ウィルマ「あちゃ! ご、ごめんね~!? さっき掃除したまんまだから私ちょっと埃っぽかったね」

ルッキーニ「ふが……っくしゅ!」

ウィルマ「えっと……ティッシュ無いか。 じゃあ取り敢えずこれで、…はい」スッ

ルッキーニ「ぐしゅ……チーンッ!!」

ウィルマ「よしよし…。 ……はい、もういっちょ」スッ

ルッキーニ「ふんっ…」チン

ウィルマ「…どう?」フキフキ

ルッキーニ「……スッキリー! ありがとウィルマーっ!」ダキッ

ウィルマ「あはは! これじゃまた同じじゃな~い」


コンコンッ

ウィルマ「?」

ミーナ『ウィルマさん、開けていいかしら?』

ウィルマ「隊長さん? ……どうぞ」


ガチャ


ミーナ「失礼するわね。 …どうかしら? 何か必要なものは――!」

ルッキーニ「ん~ウィルマ~♪」ギュゥウ

ミーナ「……早速懐いてるわね? 期待通りだわ」

ウィルマ「こんなに元気な子だったんですね? 最初と見違えちゃいました」ナデナデ

ミーナ「ふふ、それが本来のルッキーニさんよ? 困るくらい元気で明るい子なの」ウフフ

ミーナ「……ここにルッキーニさんがいたのは丁度よかったわ」

ミーナ「ルッキーニさん? 坂本少佐が呼んでます。 すぐに射撃訓練場まで行きなさい」

ルッキーニ「え~。 訓練やぁ~」グリグリ

ウィルマ「お~よしよし。 ……坂本少佐って"あの"扶桑のサムライでしょ? 行かないと怖いんじゃない、フランカ?」

ルッキーニ「ん~、…ウィルマがいるも~ん」グリグリ

ウィルマ「え? わたし?」

ミーナ「ルッキーニさん! シャーリーさんの時の様には行きませんよっ?」

ルッキーニ「……ん~」ギュ

ミーナ「詳しいことは聞いてないけど、訓練させるわけじゃないみたいだから早く行きなさい」

ルッキーニ「………ん~」

ミーナ「……はぁ。 …命令です!」

ルッキーニ「……」

ウィルマ「……」

ルッキーニ「……ウィルマ、一緒にいこ…?」

ウィルマ「ん? …いいよ」ポン

ミーナ「それなら、今宮藤さんとリーネさんが訓練しているから。 ウィルマさんもよければ妹さんの様子を見てあげて頂戴?」

ミーナ「初戦果以来、リーネさんも随分腕を上げてるのよ? "ミニー・ビショップ"さんの長女の意見を是非聞かせて欲しいわ」

ウィルマ「あはは、私はそんなに実力ないので偉そうな事は言えないです。 母を除けば、家じゃ多分リーネが1番ですよ?」

ミーナ「あら、そうなの?」

ウィルマ「でもせっかくだから、あの子の頑張る姿……久々に見てみようかな?」ガタ

ルッキーニ「うにゃ~」ヨロ

ウィルマ「ほらほらフランカ、行くわよ?」

ルッキーニ「んじゅー! 手つなぐっ!」キュ

ウィルマ「……私ちょっと場所わからないからフランカ案内してくれる?」ガチャ

ルッキーニ「うん! こっちー」

ミーナ「ルッキーニさん! 本部施設内には連れて入ってはダメよー!?」


スタスタスタ


ミーナ「ふぅ…。 ……どの道ルッキーニさんには手を焼くのよね」ヤレヤレ

ミーナ(でも、あの露骨な甘え方は反動かしら?)

ミーナ「……」

ミーナ「私の12歳のころってどうだったかしら……?」ウーン

 
射撃訓練場


ダァン


美緒「………。 外れた」

芳佳「う……」ギク

美緒「何をやっとるか宮藤! それではいくら飛べたところで、的になりにいくだけだぞっ!」ビシッ

芳佳「は、はい!」

美緒「もう一度だ! 次中てなければ腕立て10回!!」

芳佳「はいっ!」チャキ


ダァン


美緒「……大ハズレだ」

芳佳「うぅ……」

美緒「…馬鹿者ぉ!! 姿勢を保つ前に撃つなと言っただろ! 腕立て50!!」

芳佳「はいぃ~っ!!」

リーネ「芳佳ちゃん…」

美緒「……よし、次はリーネ! 準備しろ!」

リーネ「はっ、はい!」

美緒「――ん?」


スタスタスタ


ウィルマ「こんにちはー……」オソルオソル

美緒「誰だ?」

リーネ「お姉ちゃん!?」

芳佳「ふっ……ふぃっ……。 …へ?」ピタッ

美緒「お姉ちゃん? ……すると中佐が言っていた…?」

ウィルマ「はい。 ワイト島分遣隊のウィルマ・ビショップ軍曹です」

美緒「やはりそうか。 いや、中佐が無茶を頼んだみたいですまなかったな?」

美緒「ストライクウィッチーズの坂本美緒少佐だ。 …名前呼びで失礼するぞ、ウィルマ軍曹?」スッ

ウィルマ「いつも妹がお世話になっております」ニギ

芳佳「わぁ! ウィルマさんだ-!」

ウィルマ「はいは~い! 頑張ってるわねぇ、芳佳ちゃん?」フリフリ

美緒「……宮藤っ!! 誰が止めていいと言った!!?」カッ

ウィルマ「ひゃ!」

芳佳「す、すみません! ……ふっ……うぃしょ…!」グッ グッ

美緒「それから、……ルッキーニ!! 遅いぞ!? 呼び出しはとうに聞いているはずだ!!」

ルッキーニ「ひぃっ! ……ごめなしゃい…」ササ

美緒「隠れるなっ!」

ウィルマ(ここの上官は皆おっかないわねぇ……!)

リーネ「…お姉ちゃん。 こんな所にどうして…?」

ウィルマ「んー? リーネの訓練を見にきたのよ?」

リーネ「へぇっ?//」

美緒「おお! それはいいな! 是非ともビショップ家長姉から見た屈託の無い意見を聞きたい」

ウィルマ「え~っと…。 私はあんまり才能無いので、…すみません。 手本にもならないと思います」アハハ

美緒「そうか? 残念だな」

芳佳「ぜぇ……さ、坂本さん。 終わりましたぁ~…」ヨロヨロ

美緒「よし、宮藤! リーネが手本を撃つ。しっかり見ておけ!」

芳佳「はい…」ヘタ

美緒「ルッキーニへの用はその後だ。 リーネ、的を変えるぞ? 宮藤と同距離だ」

リーネ「は、はいっ!」


――――
――

 
美緒「いいか宮藤? ただ見るだけでは意味無いぞ? 自分との違いをよぉく観察するんだ」

宮藤「はい!」ジー

美緒「リーネ! 弾道制御の魔法を使わず中てろ!」

リーネ「はい…」グッ





ウィルマ「……(ふふふ…)」

ルッキーニ「……あんなの絶対あたるじゃん」ボソ

ウィルマ「!」

ウィルマ「へぇ……言うわねぇ、フランカ?」ヒソヒソ

ルッキーニ「リーネだってあれぐらいじゃ真ん中あてるよ?」

ウィルマ「そうね」ヒソ

 
リーネ「……」

『……ヒソヒソ…』

リーネ「……//(なんか…緊張する)」

リーネ(……この距離なら………これくらい)チャキ

リーネ「……ふぅー…」

リーネ「……」

リーネ「っ…」グッ


ダァン


リーネ「ぁ……」

美緒「……ん~…まぁ、一応は中ったが…」

芳佳「リーネちゃんすごぉい! 流石だね!!」パチパチ

美緒「宮藤。 お前の射撃の何がいけなかったか、後で聞くからな?」

芳佳「…あっ! そうだった……どうしよう!?」ガーン

美緒「……どうしたリーネ? 随分上にずれたぞ?」

リーネ「すみません…」





ウィルマ「…んー……」

ルッキーニ「……リーネなら絶対真ん中あてると思ったんだけどなー」

ウィルマ「…あの子、自分の魔法に慣れすぎて手元での弾道調整が甘くなってるわね」

ルッキーニ「にゃ? だんどう? ……弾が落っこちちゃうやつ?」

ウィルマ「そうよ? リーネの固有魔法は弾が落っこちないようにする事ができちゃうの(簡単に言えばね)」

ルッキーニ「えー! ずるいっ! そんなの絶対あたるじゃん!」

ウィルマ「そりゃあ正確に狙いがつけられるならそうだけど、射撃ってそこまで簡単じゃないわよ?」

ルッキーニ「どゆこと? ……狙ってあてるだけでしょ?」

ウィルマ「……フランカってば、さっきから随分自信満々ねぇ? うりうり~」クシクシ

ルッキーニ「うにゃにゃっ! ……だってあたしできるもーん」

ウィルマ「ほんとぉ~?」ウリウリ

ルッキーニ「うじゅじゅぁ~~」キャッキャッ

『ルッキーニ! 遊んでいないでこっちに来いっ!!』

ウィルマ「おっとと…。 少佐さんが呼んでるわ! ほらほら、フランカ?」グイ

ルッキーニ「あ~ん、ウィルマもっとー!」ズルズル


――――
――



美緒「お前を呼んだのは、宮藤たちの手本ついでにお前の調子を見るためだ」

ルッキーニ「あたしの?」

美緒「最近の弛んだお前ではネウロイとの戦闘で邪魔になる可能性があるからだ」

リーネ「そんな…」

芳佳「さっ!? …坂本さんっ!!! そんな言い方…っ!」

美緒「黙れ宮藤。 我々は多くの命を預かって飛んでいることを忘れるな」

芳佳「だからって!!」

ウィルマ「…待ちなさい、芳佳ちゃん」ビッ

芳佳「うっ!? ……ウィルマさん?」

リーネ「お姉ちゃん……」

ウィルマ「……」

ルッキーニ「………ごめんなさい…」

美緒「……」スッ

ルッキーニ「っ……」ビク


ゴチンッ

ルッキーニ「~~~っ!! ……ぅじゅ…ぅぅ」グスッ

美緒「……やれやれ」チラ

ウィルマ「…?」

美緒「誰かのおかげですっかり持ち直したようだが、……今朝までのお前は隊に心配をかけたぞ?」

ルッキーニ「……ぁい…」

美緒「反省しているな?」

ルッキーニ「…はぃ」

美緒「なら、もうよし! あそこに一発中てたら戻っていいぞ?」

芳佳(……結局お説教するために呼んだだけじゃないですかー!?)ガーン

ルッキーニ「…ぅ……うぅ~~っ!!」テテテ


バフッ


ウィルマ「よしよし。 泣かない泣かない(うわぁ、いったそー…)」サスサス

ルッキーニ「ひゅぐ……ぇうっ…」ギュッ

ウィルマ「……用事は終わったから、一発中てて一緒にお風呂行きましょ? フランカの射撃の腕みせてくれる?」

ルッキーニ「…ぅん……っ」

ウィルマ「よっし、レッツゴー!」ポン

ルッキーニ「…ひっく……っ…」グシグシ


トボトボ ――


ウィルマ「……」

美緒「感謝する。 ウィルマ軍曹」ヒソ

ウィルマ「いいえ」フフ

美緒「…あいつは素質も技量も申し分ないんだが、ウィッチとしてはどうしても未熟だ」ヒソヒソ

ウィルマ「……」

美緒「一皮剥けさえすれば、明日の空を変えうる逸材だ。 ……見ていろ軍曹?」ヒソヒソ

美緒「…お前達もよく見ておけ」

芳佳「え?」

リーネ「……はい」

ウィルマ「……」


―― トボトボ


ルッキーニ「…ひっく……」フィィン ピョコ

ルッキーニ「……グスッ…」ヒョイ

ルッキーニ「…うぅ……」チャキ


ウィルマ「…えっ!(立射!?)」


ルッキーニ「……」カチ


ダァン

 
美緒「……よぉーし、見事に打ち抜いたな! 戻ってよし!」

ウィルマ「…うっそぉ……!?」

芳佳「…リーネちゃん? ルッキーニちゃん、銃拾ってそのまま撃っちゃったよ!?」

リーネ「うん……。 立射って言って、座ったり伏せたりして撃つよりずっと難しいんだよ?」

美緒「簡単そうにやったが、拾ってから魔法・構え・狙いの流れに無駄がない」

ウィルマ「驚いた……! 撃つまでが早過ぎるし、姿勢もきれい!」

美緒「私はああ粗雑に取り組んだことはないが、……仮にやっても再現はできんだろうな」

芳佳「すっごいよ、ルッキーニちゃん!」

ルッキーニ「……グスッ…」ポイ

ルッキーニ「……」テテテ


バフッ


ルッキーニ「……」ヒシ

ウィルマ「やるじゃないフランカ! 正直ちょっと見栄張ってるのかと思ったわ~!」ムギュウ

ルッキーニ「…うんっ //」

ウィルマ「お風呂一緒に入りましょ? 背中流してあげるわ」

ルッキーニ「うん…!」

ウィルマ「えっと…それじゃ私達これで失礼します」ペコリ

美緒「うむ。 ここの風呂は会心の出来だ。 存分に浸かるといい」

ウィルマ「リーネ達も頑張ってね? 差し入れ美味しかったわ!」

リーネ「うん」

芳佳「お夕飯は一緒に食べましょうね?」

ウィルマ「楽しみにしてるわー!」フリフリ


スタスタスタ

 
芳佳「お料理、気合入れようね! リーネちゃん?」

リーネ「そうだね!」フフ

美緒「……いい心がけだ宮藤! ならば残りの訓練も気合を入れていくぞ?」

芳佳「はっ!?(しまった…)」

美緒「滑走路へ移動するぞ? 走り込みだ!! わっはっは!」

リーネ「……が、がんばろ? 芳佳ちゃん?」

 
宿舎 更衣室


ルッキーニ「おっふろ~♪」スポポーン

ウィルマ「あはは、元気になるのも早いわねぇ」シュル

ルッキーニ「おっさきー!」ステテー

ウィルマ「きゃっ!」

ルッキーニ「~♪」


ピューン


ウィルマ(………うちの弟妹達を思い出すなぁ。 1人でも負けないくらい元気だ)

ウィルマ「…!」

ウィルマ「あ~あ、フランカったら……。 服皺だらけになっちゃう」ヒョイ

ヒラッ


ウィルマ「? 何か落ちた……写真?」スッ

ウィルマ「…っ!」

ウィルマ「これって……もしかしてフランカのお母さん…?(でかっ!)」

ウィルマ「……」ピラ

ウィルマ(……紙もボロボロ…。 いつも持ち歩いてるのかしら…?)

ウィルマ「……」

ウィルマ「……"ウィッチとしては未熟"かぁ。 …どうなんだろ?」


――――
――

 
宿舎 食道


ガヤガヤ ワイワイ


ミーナ「はい、皆聞いてください?」パンパン


しーん……


ミーナ「……えー、皆ちゃんと集まってくれてありがとう。 食事の前に一件、…今シャーリーさんの席に座っている方についてですけど――」

ミーナ「急な話だから夜のミーティングより先にここで紹介します」コホン

ウィルマ(すごい統率力……)

ミーナ「今日から明日まで、私達と同じガリア戦線のワイト島分遣隊から御客を預かる事になりました」

芳佳「わぁい!」パチパチ

美緒「…宮藤、話が終わってからにしろ」

リーネ「……」ソワソワ

ミーナ「一晩だけだけど皆と一緒に生活をするから、失礼の無いようにお願いね?」

ミーナ「それじゃあウィルマさん? そのままでいいので自己紹介をお願いします」

ウィルマ「…ウィルマ・ビショップ軍曹です! どうもお世話になります」ペッコリ

芳佳「わぁーい!」パチパチ

エイラ「……ふーん」

サーニャ「……」

エーリカ「胸がおっきいからシャーリーの席に居ても違和感ないね?」

バルクホルン「無礼な発言は慎め、ハルトマン。 隊の印象に関わる」

ペリーヌ「あの……ビショップとおっしゃいますと、もしかしまして…?」

ミーナ「ウィルマさんはビショップ家の長姉で、リーネさんのお姉さんです」

ルッキーニ「? ……えぇ!? ウィルマ、リーネのお姉さんだったの!?」ガビーン

ウィルマ「あれぇ!? いまさら!?」ガーン

エイラ「…へ~、そうなのか! ……じゃあ遺伝かぁ…」ジロジロ

リーネ「…… //」サッ

サーニャ「……(遺伝…)」サワサワ

エーリカ「トゥルーデ! ほらほら失礼な発言でたよー?」シカッテ!

バルクホルン「はぁ?」

ペリーヌ「……顔立ちもよく似ていらっしゃいますけど、リーネさんと違って堂々とされてますわね?」

芳佳「ペリーヌさん、なんかそれ酷いですよぉ!」

リーネ「い、いいよ芳佳ちゃん……本当の事だし」オドオド

ペリーヌ「ほら見なさい? オドオドしているじゃありませんこと?」

芳佳「どうしてそんな意地悪言うんですか、ペリーヌさん!」

ウィルマ(ペリーヌさん? …あれがアメリーの言ってた人かぁ! 聞いてた感じとなんか違うけど…)

美緒「……お前達、あまりはしゃぎすぎるな?」

ルッキーニ「ねー、もう食べてもいいー? おなかすいた~」グー

ミーナ「そうね。 それじゃあ色々とお話したい人は食事の後でにしましょう?」

ミーナ「それでは、いただきます」

――――
――



食後


ジャ~-


芳佳「リーネちゃん、明日の朝ごはんは何にしよっか?」ゴシゴシ

リーネ「うーん。 お米はまだあるけど、……たまには洋食もどうかな?」フキフキ

芳佳「そうだね。 私は毎朝納豆食べたくていっつもご飯炊いてたけど、パンも美味しいよね!」

リーネ「納豆……」

芳佳「じゃあ、肉は魚より動物の方がいいかな? あと卵も使って何か――」

ルッキーニ「うじゅー! ごちそさまー!」カチャン

ウィルマ「ご馳走様。 すごく美味しかったよー」

リーネ「……ふたりとも、もうお代わりは平気?」

ウィルマ「ええ、もう満腹!」ポン

ルッキーニ「まんぞく~♪」ポコポン

芳佳「沢山食べましたね!? ルッキーニちゃんはいつもだけど」

ウィルマ「あははぁ、ごめんね~。 遠慮しようと思ったんだけど本当に美味しかったからつい…」

ウィルマ「…!」ハッ

ウィルマ(……しまった~! 明日戻ったらランニングしなきゃ…)ガーン

ルッキーニ「? どしたのーウィルマ~?」ギュム

ウィルマ「フランカ……あなた毎食こんなに食べて大丈夫なの…?」

ルッキーニ「なにが? 美味しんならいっぱい食べようよ?」

ウィルマ「ぅ……(まっすぐな目!)」

ルッキーニ「?」

ウィルマ「……私ったら、育ち盛りの子に何言ってんだか」ワシワシ

ルッキーニ「うじゅじぁー」クシャ

ウィルマ「フランカの言う通り! 美味しいんだからしょうがないわよね~?」アハハ

リーネ(お姉ちゃん……)

芳佳「よ、よくわかりませんけど…。 扶桑の料理もお口に合ったみたいでよかったです」

ウィルマ「扶桑ってあっさり後味なのね? いくらでも食べられそうでちょっと怖いけど」

芳佳「えっと…、一応こっちの人に合わせて味付けも少し変えたりはしてます。 リーネちゃんと一緒に、……ね?」

リーネ「うん」

ウィルマ(そっか……美味しい扶桑料理に実家の味で…。 まいったなぁ)プニプニ

ウィルマ「……」

ウィルマ「………ま、今日くらいは…。 うん」

ルッキーニ「にゃ?」

ウィルマ「…そういえば、リーネも見ないうちに随分料理上手くなったね? 家じゃよく失敗してたのに」

芳佳「ええぇ! そうなんですか!? リーネちゃんが!?」

リーネ「お、お姉ちゃん! 家でのことは……」ドキ

ウィルマ「初めてスコーン作ったときのことまだ覚えてる?」

リーネ「やぁ! やめてぇー!」

芳佳「リーネちゃんっ!?」ビクッ

ウィルマ「うふふ。 やっぱり覚えてるんだ、あのゲンコツスコ――」

リーネ「きゃー!! きゃあー!!!///」バタバタ

ウィルマ「あの時は膝抱えて泣いてたリーネも、こんなに立派になって……お姉ちゃん嬉しいな~」

リーネ「お姉ちゃん! 恥ずかしいってばぁ///」


やいの やいの


芳佳「……なんか姉妹っていいなぁ」

芳佳「ルッキーニちゃんはお姉さんとかいるんだっけ?」チラ

ルッキーニ「…………むじゅ~~」プクー

芳佳「…ルッキーニちゃん?」

ルッキーニ「……ん~ー、ウィルマー!」ギュゥー

ウィルマ「ん? どうしたのー?」ナデナデ

ルッキーニ「ん~~」グリグリ

芳佳「ルッキーニちゃん……もしかしてリーネちゃんに嫉妬してるんじゃ…?」ヒソ

リーネ「え? そんな。 私、恥かいただけだよ…」

芳佳(シャーリーさんがいなくてよっぽど寂しかったんだ、ルッキーニちゃん……)

ルッキーニ「ん~つまんない、…あたしも混ぜて」

ウィルマ「…じゃあ一緒に食器洗おっか。 手伝って?」

ルッキーニ「うん!」

芳佳「え! そ、そんないいですよ!? 私達がやりますから!」

リーネ「……というより、もうやってるから大丈夫だよ?」

ウィルマ「なんかお世話になりっぱなしで落ち着かないし、自分で汚した分だけでもやらせて?」スッ

芳佳「だっ、大丈夫ですから!」ヒョイ

芳佳「とりゃー!」ジャブジャブ

ルッキーニ「あ~!芳佳が洗っちゃった~」

ウィルマ「……意外と頑固なのね」

リーネ「芳佳ちゃんはとっても真っ直ぐだから……」フキフキ

ウィルマ(嬉しそうな顔しちゃって…)

ウィルマ「んー、でも何かお礼しておきたいわね。 姉としても」

ルッキーニ「……じゃーウィルマもごはん作ってよ?」

ウィルマ「!」

ウィルマ「…名案よ、フランカ」カイグリ

ルッキーニ「んじゅう♪」

芳佳「そ、それはもっと申し訳ない気が……」

リーネ「でも、やるとしたら明日の朝食だよね? 洋食の予定だし…まだ献立決めてないから1品だけ作ってもらおうよ、芳佳ちゃん?」

芳佳「リーネちゃん!?」

リーネ「…お姉ちゃんも、やると決めたらやっちゃう人だから……お願い」ヒソヒソ

芳佳「……うん。 じゃあお願いしてもいいですか、ウィルマさん?」

ウィルマ「ありがとう、芳佳ちゃん! 一緒に頑張りましょ!」ガシ

芳佳「あうぁ! む、胸が…」フニン

ルッキーニ「っ!」ムッ

ルッキーニ「……ウィルマー!あたしもやるぅー!」

リーネ「ルッキーニちゃん? でも…」

ウィルマ「ん? フランカも料理得意なんだ! なんでもできちゃうわねぇ!?」スゴイ!

ルッキーニ「うじゅっ!?」ビクッ

ルッキーニ「………ぇと……ぁじゅじゅ…」

ウィルマ「?」

リーネ「お姉ちゃん。 ルッキーニちゃん、お料理は経験ないらしくて…」ヒソヒソ

ウィルマ「……なるほど」

ウィルマ「…フランカ、大丈夫よ? 私が教えるから。 …あなたのできることを教えて?」

ルッキーニ「………お湯は……わかせりゅ…」

ウィルマ「……」

芳佳「…か、缶詰も開けられるもんね? ルッキーニちゃん!」アセアセ

ルッキーニ「うん…。 あと、一回だけパスタとか……マーマの見てた…」

ウィルマ「……うん! 上出来よ、問題なし!」ビシッ

ルッキーニ「! …ほんとぉ!?」

ウィルマ「難しい事が出来なくたって美味しいものは作れるわ! ……そうねぇ~、パスタかぁ…」

ウィルマ(メインやっちゃうと"万が一"が怖いし…)

ウィルマ「……じゃあパスタサラダを作りましょ! 久々に食べたいし」

ルッキーニ「やたー!」

芳佳「パスタサラダ……?」

ウィルマ「芳佳ちゃん、材料何があるか見せてもらえる? というかパスタあるかな?」

芳佳「あ、はい! こっちです。 ついでに明日必要な分も切っておきましょう」

ウィルマ「そうだね。 ……フランカは怪我しないように私と一緒にね?」

ルッキーニ「ウィルマー! タコいれよぉ~、タコ?」ピョン

ウィルマ「タコかぁ、いいわねぇ? じゃあ酢とオイルのドレッシングにして、あとはオニオンにトマトに……」

リーネ「お母さんは確かシーチキンも入れてたよね?」

芳佳「他のメニューはどうしようかな~…?」ゴソゴソ


――――
――

食堂前 廊下


バルクホルン「……」


テテテテ


バルクホルン「!」

エーリカ「やーっといたぁ! トゥルーデこんなとこで何してんのさ?」ステテ

バルクホルン「ああ、すまない。 ちょっとな」

エーリカ「なに見てたの?」ヒョコ

エーリカ「……あれ、何かやってるね? リーネのお姉さんもいるじゃん」

バルクホルン「多分、明日の朝食の準備だろう。 ビショップ軍曹も手伝ってくれているようだ」

エーリカ「ふーん。 ……それにしてもルッキーニはお姉さんにべったりだね? 昼間見かけたときもずーっとくっ付いてたし」

バルクホルン「もともとミーナの計らいでルッキーニの世話を一晩頼んだそうだが、…当たったようだな」

エーリカ「ルッキーニ、最近元気なかったからね~?」

バルクホルン「私は静かで助かっていたのたが、戦闘で使えないのであれば意味無いからな」

エーリカ「……素直じゃないんだから」ボソ

『わぁーっ!!! まってまってフランカ! ストップ!!』

エーリカ「!」

バルクホルン「?」





ルッキーニ「うじゅ?」

芳佳「ルッキーニちゃん、それだと危ないよ!?」アセアセ

リーネ「~っ……」ドキドキ

ルッキーニ「ぇ……なんかダメ??」

ウィルマ「えーっとね。 押さえる手は……こう。 こういう感じで指先を切らないようにするの」ギュ

ルッキーニ「ん~~なんかすべる。 やりにくい…」

ウィルマ「あまり強く押さえつけようとしなくて平気よ? ずれないように……こう。 そうそう」ニギニギ

ウィルマ「そうしたら包丁を使って……」ニギ

ルッキーニ「……うじゅぅ~、一人で出来るよぉ //」

ウィルマ「あはは、ごめんごめん。 じゃあやってみて? ゆっくりでいいわ」

芳佳「ルッキーニちゃん頑張って!」ゴクリ

リーネ「て……手切らないでね…?」フルフル

ルッキーニ「…………」

ルッキーニ「………」トン

ルッキーニ「……」トン トン トン トン

ルッキーニ「! ……できた!」

ウィルマ「やるじゃない! 上出来よフランカ。 ……あ、一先ず包丁は置いて?」

芳佳「やったぁ! ルッキーニちゃん!!」パチパチ

リーネ「……よかった」ホッ

ルッキーニ「うにゃあ!やったぁ///!!」


キャイ キャイ





バルクホルン「サーニャを除いた若輩連中を早くも手懐けるとは……大した奴だな」

エーリカ「今日来たばっかなのにね? 楽しそうだから私も行――」

バルクホルン「お前はキッチンには立てないだろ? 行ったら罰だ」

エーリカ「ちぇ…。 ルッキーニだって出来るんだから大丈夫だよぉ」

バルクホルン「そんなことより、私に用があるんじゃないのか?」

エーリカ「ミーナと少佐が呼んでたよ? 新しい予報が出たって」

バルクホルン「おい! それを先に言わないか!」タタッ


スタスタスタ――


エーリカ「……今のうちに~」ニシシ


――スタスタスタ


バルクホルン「行くなと言っただろ? お前も来い」グイ

エーリカ「んもぉ~、けちーー!」ズルズル

 


ウィルマ部屋(仮)


ウィルマ「…ベッドひとつしかないけど、一緒に寝るの?」イソイソ

ルッキーニ「うん」

ウィルマ「フランカはいつも外で寝てるって聞いたけど、今日はいいの?」

ルッキーニ「……だって、ウィルマ明日帰っちゃうんでしょ…?」

ウィルマ「そうね。 残念だけど私もあっちでやる事があるから」

ルッキーニ「ウィルマ……」クイ

ウィルマ「……」

ルッキーニ「……」ギュ

ウィルマ("いかないで"とは言わないのね?)クス

ウィルマ「……私、寝てるときに何かに抱きついちゃう癖があるからよろしくね?」

ルッキーニ「え? …うん…?」

ウィルマ「それじゃあ寝ましょ? 干したてのシーツは気持ちいいわよー!」グイー

ルッキーニ「うじゅじゅー!?」


――――
――

 
明け方


ルッキーニ「……zzz」スヤスヤ

ウィルマ「…zz……」

ウィルマ「……ん~…」ゴロン


ダキッ


ルッキーニ「………にゃ…?」

ウィルマ「んふ~………あったか~い…」モゾモゾ

ルッキーニ「っ!」ゾク

ウィルマ「…ん~……スベスベ……zz…」サワサワ

ルッキーニ「っ!!」ビクッ

ルッキーニ「ぎにゃ……っ!?」ガバッ


サササッ

ルッキーニ「……うじゅ~。 なんか変なとこ触られた…!?」ガーン


ウィルマ「zzz……? …ん~…?」ワキワキ


ルッキーニ「……」

ルッキーニ「……今日、…帰っちゃうんだよね…?」

ルッキーニ「…………」

ルッキーニ「……」テテテ


ガチャ …パタン


ウィルマ「……んー…?」モゾモゾ

ウィルマ「…zz……~どこ…??」モゾ

ウィルマ「………むぁ…、……!」ビクッ

ウィルマ「………」

ウィルマ「…………ん~、変な夢見ちゃった…」ムクリ

ウィルマ「…! あれ、…フランカ?」

ウィルマ「……どうも腕の中が寂しいと思ったら…」

ウィルマ「……」

ウィルマ(…トイレ……ならそれでいいんだけど)

ウィルマ「えーっと、…宿舎なら自由に歩いていいのよね?」

 
オープンテラス


ルッキーニ「……」パシャパシャ

ルッキーニ「……」

ルッキーニ「……」ペラ

ルッキーニ「……マーマ。 あたし……なんでここにいんのかな…?」


テクテクテク


ルッキーニ「!」サッ

ウィルマ「――海風が涼しいわね?」

ルッキーニ「……ウィルマ?」

ウィルマ「そこって足浸ける所なの?」

ルッキーニ「……」

ウィルマ「………隣いいかな?」

ルッキーニ「……うん」

ウィルマ「よいしょ…」トスン

ルッキーニ「……」

ウィルマ「はは、…やっぱりお尻がちょっと痛いわねぇ」モゾ

ルッキーニ「……」

ウィルマ「……」

ルッキーニ「……」

ウィルマ「…フランカはさ、何でウィッチになろうと思ったの?」

ルッキーニ「……」

ウィルマ「………辛いなら辞めてもいいんじゃない? あなたには才能があるかもしれないけど、どうするかは自分で決めることよ?」

ルッキーニ「……マーマも同じ事ゆった…」

ウィルマ「……」

ルッキーニ「マーマや…ロマーニャの人が死んじゃうから……、あたしがウィッチになれば守れるって…」

ウィルマ(…軍のスカウトか)

ルッキーニ「それで…あたしがウィッチになりたいって言ったら、マーマが"自分で決めなさい"って……」

ウィルマ「……」

ルッキーニ「……別にネウロイやっつけるのは大変じゃないけど、…なんか色々言われて……気づいたら"ここ"に居て…」

ルッキーニ「……よくわかんない…」シュン

ウィルマ「フランカ…」

ルッキーニ「……」

ウィルマ「………やっぱり、フランカは頑張ってたんじゃない!」ポム

ルッキーニ「ぇ…?」

ウィルマ「ねぇ? ブリタニアの街行ったことある?」

ルッキーニ「? …うん。 シャーリーと買い物に行った…」

ウィルマ「その時のさ、街の人たちの顔を思い出してみて?」

ルッキーニ「…?」

ウィルマ「良い人や悪い人、…それによくわからない人」

ウィルマ「…誰かのお母さん、お父さん。 …泣いてる子供に明るいお姉さん、お兄さん」

ルッキーニ「……」

ウィルマ「みんなロマーニャの人達と同じで、頑張って生きてたでしょ?」

ルッキーニ「…うん」

ウィルマ「……私もね、フランカと同じ。 家族とか…頑張る人達の未来を守ってあげたくてね?」

ウィルマ「実力はまぁ…、そんなにだから今まで哨戒任務ばっかりだったけど」ポリポリ

ルッキーニ「…そなの?」

ウィルマ「……でもね? そのためだったら私は命懸けで戦える。 その為にウィッチになったから、…覚悟はあるつもり」

ルッキーニ「ぇ? …そんな! やだ、ウィルマ死なないでっ!!」ダキッ

ウィルマ「あはは、大丈夫! 私も年齢的にそろそろ戦えなくなる可能性あるし」ナデナデ

ウィルマ「……」

ウィルマ「…そうなれば、私もブリタニアの一般市民ね」

ルッキーニ「!」

ウィルマ「………フランカがここでできること、ちゃんとあるんじゃない?」

ルッキーニ「……」

ウィルマ「私は、あなたならきっと……もっと頑張れると思うわ…」ギュ


『ウィルマさぁーん!』


ウィルマ「! …芳佳ちゃん、リーネ!?」

『おはよーございまーす! 私達朝ごはんの支度始めちゃいますけど、どうしますかー?』

ウィルマ「もうそんな時間か。 ……今行きまーすっ!!」ブンブン

ウィルマ「………フランカ? 誰でもない、あなたが決めることよ?」


スクッ


ウィルマ「あなたが"やりたいのなら"来なさい? ……パスタの茹で方教えてあげる♪」

ルッキーニ「……」


タッタッタッ

『おはよー、ふたりとも早いわねぇ!』





ルッキーニ「……」

ルッキーニ「……」

ルッキーニ「……ウィルマ。 …あたし……」

ルッキーニ「……」

ルッキーニ「…………んっ!!」グッ

ルッキーニ「っ!」スクッ

ルッキーニ「まってぇー!あたしもやるぅー!!」テテテ

 
そして昼


滑走路 


美緒「無理言ってすまなかったな、軍曹」

ウィルマ「いいえ。 お世話になりました!」ブゥゥン

ミーナ「もう少しだけでもゆっくりしていけばいいのに…。 よければ昼食も用意できるわよ?」

ウィルマ「有難いですけど、これ以上食べ過ぎちゃうといろいろと不安なので……。 それに今日は向こうで哨戒任務もありますから」

美緒「中佐、少々客人に甘えすぎた。 シャーリーが戻るまでの数日、あとは我々でなんとかしよう」

ミーナ「いえ、それはもう大丈夫なんだけど……」

美緒「なに?」

ウィルマ「フランカのことなら心配ないと思います。 あの子は今までもずっと頑張ってたんですから――」

ウィルマ「立派なウィッチですよ!」

美緒「……そうか。 ありがとう、軍曹」

ミーナ「私からも隊長としてお礼を言わせてもらうわ。 本当にありがとう、ウィルマさん」

ウィルマ「お互い様ですから。 補給の件、よろしくお願いします」

ミーナ「ええ、任せてください。 頂いたリストを確認して、なるべく早めに可能な範囲を連絡します」

ウィルマ「了解です!」

ミーナ「それと、ウィルマさん? その、……ラウラさんは元気にしているかしら?」

ウィルマ「? ラウラですか?」

美緒「……あのラウラ・トートか?」

ミーナ「ええ…。 確か、彼女もワイト島に配属されているのよね…?」

ミーナ「…お節介かもしれないけど。 ……あの子は今、ちゃんと誰かと飛べているかしら?」

美緒「……」

ウィルマ「……心配要らないですよ? ラウラもちゃーんと、私達の仲間ですっ!」

ミーナ「そう…。 よかったわ…」ホッ

ミーナ「ごめんなさい、変なこと聞いちゃって。 補給については、早急な弾薬だけ先に送ります」

ミーナ「…もう少し時間をもらえたら都合が良かったんだけど、……あなたに紹介したい人もいたのに」

美緒「おい、ミーナ? まさかもう――」

『ウィルマー!!!』

美緒「!」

ミーナ「あらあら、やっぱり来たわね?」

美緒「……なるほど、いい顔になったようだな。ルッキーニのやつ」


シュタタタ


ルッキーニ「うじゅー!」ピョン


ダキッ

ウィルマ「わわっと! …こらこら、フランカってば」ブゥゥン

芳佳「ウィルマさーん!」テテテ

リーネ「お姉ちゃん!」タッタッ

美緒「遅かったな、お前達?」

芳佳「私達、3人でお菓子作ったんです! 基地の皆さんで食べてください」スス

ウィルマ「えー、ホントに!? わざわざありがとう! ……もういいや、これはアレとか気にしないで食べちゃおっ!」

リーネ「お、お姉ちゃん……」アハハ

ルッキーニ「あたしもウィルマのために作ったんだからねー?」

ウィルマ「それは楽しみねぇ」ウリウリ

ルッキーニ「うじゅあ~♪」キャッキャ

リーネ「…お姉ちゃん」

ウィルマ「リーネも頑張んなさい! 応援してるからね?」

リーネ「うん! ……あと。 …お姉ちゃんの所には、家から届いた?」

ウィルマ「ん? …ああ、アレね」

ウィルマ「……受け取ってるけど、今更私には必要ないよ」アハハ

リーネ「ぇ、でも……」

ウィルマ「リーネいる? 予備とかに」

リーネ「い、いいから! お姉ちゃんが使ってよっ!!?」

芳佳「リーネちゃん…!?」

リーネ「……だって、私のお姉ちゃんだもん。 …お姉ちゃんなら使えるから!」

ウィルマ「………ありがと、リーネ。 考えとくわ!」

ウィルマ「さて。 …そろそろ下ろすわよ、フランカ?」ヨイショ

ルッキーニ「うぁ~ん」

ウィルマ「それでは、名残惜しいですがそろそろ失礼します」ピシ

美緒「近くネウロイの出現予報も出ている。 帰路、気をつけてな?」

ミーナ「何かあったら遠慮なく連絡していいですから」

芳佳「また会いましょうね!?」ブンブン

リーネ「ありがとう、お姉ちゃん」

ルッキーニ「……ウィルマッ!!」

ウィルマ「ん!」グッ

ルッキーニ「ばいばーい!!」

ウィルマ「…またね!」フワッ


ブゥゥウン

 
ルッキーニ「……」

美緒「……ルッキーニ、大丈夫か? シャーリーはまだ戻らんが」

芳佳「さ、坂本さん!?」

ルッキーニ「…寂しいけど、ダイジョブだもんっ! あたしはストライクウィッチーズだから!」

リーネ「ルッキーニちゃん…」

美緒「ほぅ…」フフ

ミーナ「随分立派になったわねぇ、ルッキーニさん? 偉いわ」ウフフ

ルッキーニ「でしょ~? ふっふーん♪」ドヤァ

ミーナ「じゃあ、そんなルッキーニさんには……特別にご褒美がありそうね?」

芳佳「え?」

リーネ「ご褒美?」

美緒「…おい、ミーナ…?」

ルッキーニ「わぁ、やたぁー! なになにー?」ピョン

ミーナ「うふふ。 ……ほら、そろそろ来たわ」


ゴォォオオオ


芳佳「あ! 坂本さん、あそこ!?」

リーネ「何か来ます……」

美緒「単葉飛行艇に……補給機? あれはリベリオンの……?」

美緒「っ! ミーナ、やはりシャーリーが?」

ルッキーニ「えっ!! シャーリー!!?」

ミーナ「ええ。 今朝通信が入って。 ……私も驚いたけど、随分急いで戻ったみたいね?」

芳佳「シャーリーさん、帰ってきたんだぁ!」

リーネ「よかったね、ルッキーニちゃん?」

ルッキーニ「シャーーリーー!!!!」シュダ

美緒「おい、待て! 着陸中は近づくな!」


ピューン


美緒「……しょうのない奴だな。 さっきの台詞は何だったんだ?」

ミーナ「やっぱり、まだ甘えんぼさんね?」ウフフ



――――
――

 
ガチャ


シャーリー「ふぃ~。 魔力切れ起こして飛行機乗ると結構こたえるなぁ…。 あたしとしたことが、酔ったかも」ヨロ

シャーリー「あー…外の空気うめぇ~――」

『シャーーーリーーーー!!!!』

シャーリー「――お、来たな? ……よかった、元気そうじゃん」

シャーリー「ルッキーニー! ただいまー! ちゃんと泣かないで待ってたかぁー?」

ルッキーニ「うじゅー、もっちろーん♪」ピョン


ダキッ




おわり?






Σ(・×・)ノ <まった!もうちょっと付き合ってくれナ?

 
【エピローグ】 ~ふたりの土産~


501JFWブリタニア基地


――ダキッ


ルッキーニ「シャーリー! おかえりー!」

シャーリー「おーおー、熱烈なお迎えありがとな~。 ただいま、ルッキーニ」

シャーリー「ん~この抱き心地も……久々だなぁ」ポンポン


タッタッタッ


芳佳「シャーリーさぁーん!」

リーネ「おかえりなさーい」

シャーリー「お、宮藤にリーネまで! ただいまー」

美緒「とりあえずは無事のようだな。 ご苦労だった」

シャーリー「あはは、なんですかそれぇ? ちょっと国に呼ばれただけですって」

ミーナ「おかえりなさい。 ……それでその、シャーリーさん?」

シャーリー「はい?」

ミーナ「……あっいえ、ごめんなさい。 "結果"は執務室で聞くわね? 一先ずは休んで頂戴」

シャーリー「……中佐? テラスで日光浴してもいいですか?」

美緒「ん?」

ミーナ「え…?」

シャーリー「向こうじゃエンジン好きに弄らせて貰えないらしいんですよねぇ~。 それに命の危険はなくても、飛ぶ機会も無いんじゃ意味ないし…」

シャーリー「……今ならフリーですよ? あたし」ニヤ

ミーナ「………わかりました。 平常時の日光浴の自由を許します。 …パラソルも付ける?」ウフフ

シャーリー「その前に水着も――」

美緒「やれやれ……、なんとか人員は欠けずに済んだか。 バルクホルンには自分で言っておけよ?」

シャーリー「りょうかーい♪」

シャーリー「ふふふ……この前は予想以上に暑くて失敗したけど、あたしが本国から持ち帰ったアレがあれば今度は大丈夫だ!」

ルッキーニ「なになにー!? なにそれ、みたーい!」

シャーリー「よーっし、皆ついてこぉーい! いい物みせてやるぞ!?」

芳佳「わぁ、なんだろう? 行ってみよう、リーネちゃん!」

リーネ「うん」


バタバタバタ


美緒「お前達―っ! 搬入前の荷物をあまり荒らすなよぉー!?」

ミーナ「……心配だから私も行くわ。 美緒は搬入指示をお願い」タタッ


――――
――

シャーリー「えーっと……」ガタガタ

シャーリー「! ……よかった、ビン割れてない」

ルッキーニ「シャーリー、なにそれー?」

リーネ「……?」

芳佳「黒い…。 …お汁粉ですか?」

シャーリー「オシルコ? いや、多分違う」

シャーリー「……ふふふ、これはなぁ~?」

ミーナ「貴女達! 搬入前に取った物はちゃんと記録しなきゃダメよ?」スタスタ

シャーリー「わかってますって~! 中佐もどうぞ? お土産です」スッ

ミーナ「あら、ありがとう。 ……なにかしら、これ? もしかしてコーラ?」

シャーリー「お、当たりです! 流石ですね?」

ミーナ「でも飲むのは初めてよ。 …どんな味がするのかしら?」

芳佳「? コーラ? ……て何?」エヘヘ

リーネ「えっと、確かリベリオンのドリンク……ですよね?」

ルッキーニ「えぇー! これが~!? …なんか真っ黒でマズそ~~!」

シャーリー「なんだよ、すげぇ美味いんだぞ? コーヒーだって真っ黒だろ?」

ミーナ「まぁ、そう言われれば……」

ルッキーニ「あたし苦いの飲まないもーんっ!」

シャーリー「苦くない苦くない! 甘いあま~い、炭酸ジュースだぞ?」

ルッキーニ「え! ソーダなの!?」

芳佳(つまり黒い"ラムネ"……でいいのかな?)

シャーリー「こいつをキンキンに冷やして、日の下で飲むとめちゃくちゃ最高だぞ?」

ルッキーニ「うじゅー! それやりたーい!!」

シャーリー「よし! じゃあ許可も下りたし、早速テラスで日光浴だ! ルッキーニ、先にコーラ冷やしておいてくれ」

ルッキーニ「ラジャー! 芳佳とリーネもいこっ!」グイ

芳佳「え? ちょっ……あうわっ!」ヨロ

リーネ「ルッキーニちゃん!?」


バタバタバタ


ミーナ「ルッキーニさん達、今いくつ持って行ったかしら? ……え~っと私とシャーリーさんで2本取って――」カキカキ

シャーリー「……中佐。 実はもうひとつ報告があります」

ミーナ「? …なぁに?」

シャーリー「このお遣いの"原因"ですけど……じきに収まると思います」

ミーナ「……何かあったの?」ピク

シャーリー「…あたし、こう見えて記者の知り合いが多いんですよ?」

ミーナ「!!」

ミーナ「…………いくらなんでも軽率すぎるわ…」グッタリ

シャーリー「上の我侭で、訳もわからず死人が増えるなんて……あたしは嫌ですよ」

ミーナ「気持ちはわかるわ。 けど……」

シャーリー「あはは、大丈夫ですよ! ちょっと脅かしただけですから。 まさか本当に流したりなんてしませんってば」

ミーナ「あたりまえですっ!!」

シャーリー「っ!」ビクッ

ミーナ「……はぁ。 結果的に上手くいっても、褒められた事じゃないわよ?」

シャーリー「…すみませんでした……」

ミーナ「そんなことをすれば貴女だって危ないんだから…。 シャーリーさんがいないと皆が悲しむのよ?」

ミーナ「この1週間も大変だったし……」ハァー

シャーリー「……そのわりにはルッキーニのやつ、なんとも無さそうでしたけど?」

ミーナ(………そうだ!)ティン

ミーナ「それなんだけどね? なんとぉ~――」

ミーナ「……お姉さんが来てくれたのよ?」ピッ

シャーリー「へ? ……あれ? …ルッキーニの姉ぇ??」

ミーナ「うふふ」

シャーリー「そ、そんなのいたんですか!? ……えっ、まさかウィッチですか!?」

ミーナ「その人がルッキーニさんをひと回り大きくしてくれたの」

シャーリー「…………マジかよ。 はぁ~、流石…なのか? ……知らないけど」

ミーナ「大丈夫よ、シャーリーさん? 始めはシャーリーさんが恋しくて食事も喉を通らない有様だったんだから、…安心して頂戴?」

シャーリー「大丈夫って……それじゃかえって心配ですよ」ガク

シャーリー「………そっかぁー。 …挨拶ぐらいは、しておきたかったなぁ」

ミーナ(…いつ明かそうかしら?)ウフフ

一方

ワイト島 分遣隊基地


フラン「~~っ」ムスー

アメリー「フランさん、まだ膨れてるんですか?」

フラン「だって……ウィルマだけずるいし」ムス

アメリー「でも、私達は早番の哨戒に出ていたからって……(冷静に考えたら多分、嘘だと思うけど…)」

ラウラ「……補給切れは冗談じゃすまないよ。 急ぎの任務だったから仕方ないね(…まぁ嘘だろうけど)」

フラン「む~~…とか何とかいってぇ! 適当な嘘ついてないでしょうねっ!? 隊長!」ガタッ

角丸「えぇ!? …な、何言ってるのフラン? そんな訳ないでしょ…?(嘘だけど)」

角丸「……というか、また何でここに集まるの? あなた達…」

フラン「もーー! コーラも無いし、銃も撃てないし最悪―!!」ジタジタ


ガチャ

ウィルマ「ただいま戻りましたー!」ヤッホー

フラン「――っ!」ピキーン

アメリー「おかえりなさい、ウィルマさん!」

ラウラ「…おかえり」

角丸「おかえりなさい。 結構早かったのね?」

ウィルマ「急に留守にしてごめんね? これ、皆におみ――」

フラン「ウィルマこのぉぉおおおー!!」


ドスゥー


ウィルマ「わっ!?」

角丸「ちょっと、フラン!?」

アメリー「だ、大丈夫ですか!? ウィルマさん!」

ウィルマ「あたた~。 お尻が…」

フラン「んもぉー! あんただけズルいっ! あたしもイェーガー大尉とお泊まりしたかったんだから~!!」ポカポカ

アメリー(……できれば私も、501で優雅に大活躍するペリーヌさんの姿を…)

ウィルマ「ごめんねフラン。 でもシャーロットさんは丁度不在だったわ?」アイタタ

アメリー「…………なぁんだ…」ヘナ

角丸「どっちにしたって遊びに行ったんじゃないのよ、フラン?」

ウィルマ「まあまあ! いろいろ面白い話もあるから、一先ず皆でお茶でもどう? お菓子もあるし」

アメリー「あっ! じゃあ私、紅茶を淹れますね?」テテ


パタパタパタ


ウィルマ「……あれ? そういえばお土産が…!」ナイ

ラウラ「…ん。……キャッチしといたよ」クイ

ウィルマ「さっすが! ……あ! そういえば501の隊長さんがラウラのことすっごく心配してたわよ?」

ラウラ「……ふーん…」スタスタ

ウィルマ「…でも、"今は心配御無用ですー"って言っておいたから!」

ラウラ「……………うん。…ありがとう」

角丸「さ、それじゃあキッチンに行きましょう?」

ウィルマ「ほらほら! フランもいそげ~」

フラン「ちょ、ちょっと! 子供みたいにしないでよ!」

ウィルマ「あ、こっちのフランはそうだったわね? 」アハハ

フラン「はぁ??」

ラウラ「…このお菓子……なんか一際でかくて不恰好なのがひとつあるけど…?」ゴソ

角丸「ラウラ…。 普通は向こうで開けない……?」

ウィルマ「! …待って! それは私の分!」

フラン「ウィルマ、意地汚いわよ? あたしも大きいのがいいのに」

ラウラ「…いいの? ……これだけかなり"すごい"けど…?」

角丸(わぁ……確かにこれは…)ソー

ウィルマ「うふふ、そこが可愛いんじゃないっ!」

ラウラ「……?」

角丸「…本人がいいって言うんだから、ここはウィルマさんに任せましょう?(処理を)」ヒソヒソ

『みなさーん! 紅茶淹れちゃいますよー!? ……あと寂しいですっ』

ウィルマ「はいはーい! みんな急いで急いで~♪」

フラン「だから押すなってのーっ!!」


バタバタバタ――





(;・×・) <ヨシ!おわったゾ!

貴重な保守・支援ありがとうございました。
ウィルマお姉ちゃんの株急上昇中。あの母性で小父様趣味とか興奮する
(引用は漫画書籍『片翼の魔女たち』)


でも1番はシャーリーです

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