夏海「れんちょんが生まれた時って、かず姉は19歳か~」 (95)

小鞠「ちょっと急に何言い出すの!?」

夏海「いや~、なつみちゃんもそういうの気になるお年頃でさ~」

夏海「で、実際そういうのって気まずかったりしないの?」

一穂「あ~、その話ね~」

一穂「別に大した事じゃないんだけどさ」

一穂「れんちょんとうちは腹違いなんよ」

夏海「は、はら…っ!」

小鞠「?」

夏海「え…マジっすか…」

小鞠「はら、って?」

一穂「いや~、うちの父ちゃん元気だからさ~」

夏海「元気かどうかの話じゃなくて…」

夏海「…うん、これ以上は聞かないでおこう」

一穂「駄菓子屋いるでしょ?」

夏海「!?」

小鞠「?」

小鞠「?なんで駄菓子屋の話になるの」

夏海「ね、姉ちゃん…」

一穂「ほらあの子、一時期村にいなかったでしょ」

夏海「…」

一穂「気が付いた時にはもうおっきくなっちゃっててね~」ポンポン

一穂「しょうがないから産むだけ産ませてね」

一穂「赤ちゃんは死んじゃったって事にしてね」

夏海「…」ポロポロ

小鞠「誰が死んじゃったの?」

かず姉「おっぱい吸って」

れんげ「ちゅうちゅう」

一穂「もちろん本当に殺すわけにはいかないからね」

一穂「れんちょんはうちが引き取ったってわけ」

夏海「じゃあ駄菓子屋はまだその事…」

一穂「まあね。あれから子供が嫌いだって言うようになったね」

一穂「ああ、村の大人連中は大抵知ってるんよ」

一穂「村社会は怖いねえ。あっはっは」

夏海「…」ポロポロ

小鞠「ちょっとちょっと夏海、うちにも分かるような話してよ」

夏海「姉ちゃんには…まだ早いよ…」

小鞠「私は姉だぞ…!」

一穂「まあ、あの娘が大人になって戸籍謄本でも見れば」

一穂「きっとびっくりするだろうね。あっはっは」

夏海「あ、あはは…」

夏海「!」

夏海「ひ、ひか姉は…」

一穂「ああ、ひかげは同腹よ」

夏海「…」ホッ

小鞠「また…はらの話か…」

一穂「でもあれ以来、うちの父ちゃんと仲が悪くなってねえ」

夏海「やっぱり…」

一穂「あの後、うちがすぐ大学で家から離れたでしょ」

夏海「うん」

一穂「もう毎晩電話かかってきてね」

一穂「『親父がうちを見る目が怖い』『同じ家に住みたくない』っつって」

夏海「ああ…」

夏海「だからこのみちゃんと違う遠い高校に…」

一穂「まあ、いろいろあるんよ。田舎だからね」

夏海「はぁ、うちは母ちゃんが怖いけど」

夏海「平和な家庭だったんだなぁ」

一穂「そういや越谷家はうちが小さいときに…」

一穂「あっ…」

夏海「!?」

小鞠「?」

卓「!」

一穂「…」

夏海「今の「あっ」って何!?「あっ」って!」

一穂「いや…その…」

夏海「かず姉から聞いたって言わないからさ!」

一穂「そういうことなら…」

一穂「…うちが小さい頃、よく越谷家に世話になってたんよ」

一穂「丁度今のれんちょんくらいの頃かね」

夏海「…」ゴクリ

小鞠「はらの話は…」

一穂「うちの両親は畑仕事ばっかしてたからね」

一穂「よく朝ごはん食べに行ったり、お出かけに連れてってもらったり…」

一穂「…一緒に遊んだり…」

夏海「ん?遊ぶって」

夏海「まだ兄ちゃんも産まれてないんじゃ」

一穂「同い年の女の子が一人いたんよ」

夏海「え」

夏海「それって…え?」

一穂「仲良しだったよ~。他に村には子供がいなかったからねえ」

一穂「そんで、ひかげが産まれてすぐくらいかなあ」

夏海「ちょ、ちょっと待って…」

一穂「ある日突然、その子と」

一穂「おばさんが居なくなっちゃってね」

夏海「…」

夏海「え?おばさんって、うちの母ちゃん…でしょ?」

夏海「母ちゃんが…ん?いるよね?え?」

一穂「おばさんがいなくなって…半年くらいかなあ」

夏海「いな…」

一穂「雪子さんがお兄ちゃんつれて村に来たの」

夏海「え」

小鞠「zzz」

卓「!」

夏海「母ちゃんが兄ちゃんを連れて後から来た…」

一穂「うん、まぁバツイチ…とか、子連れ…とか」

一穂「今は、まあまあある話だけどね」

夏海「うん…」

一穂「こんな村だと相当珍しかったみたいでね」

一穂「村の大人からは『もう越谷家には行くな』って言われてたんよ」

夏海「…」

一穂「君たち姉妹が産まれて暫くしてからかなあ」

一穂「村の子供ができたならって、ようやく雪子さんを受け入れるようになったの」

夏海「うち、そんなの全然知らんかった…」ゲッソリ

一穂「まぁ、そうだよねえ…」

一穂「もしかしたら…」

一穂「お兄ちゃんは、小さい時から薄々感じる所があったんじゃないかな…」

夏海「!」

一穂「うちら近所はそんなことないけど」

一穂「集落の爺さま婆さま連中は…ねえ…」

夏海「に、兄ちゃん…」

卓「…」

夏海「うう…」ポロポロ

卓「…」

ガラッ!

れんげ「話は全部きかせてもらったのん!」

誰も得しねえよなこの話もうやめようぜ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年01月14日 (火) 22:18:11   ID: WYzuQmUI

おもろかった是非続きがみたい

2 :  SS好きの774さん   2014年03月08日 (土) 09:32:30   ID: gBWarqSx

全部冗談でしたってオチをつけてくれよ(絶望)

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