咲「家に帰ったら、五人もお母さんが居た」(77)

咲父「咲、すまない。仕事の関係で一か月ほど、家に帰れなくなった」

咲「えぇー、一か月も!?」

咲父「海外に出張だ。お父さん、責任者だから外すわけにはいかん」

咲「それは仕方ないね…」

咲父「一カ月もの間、家を留守にするが頼むな。照に連絡しておこうか?」

咲「いいよ。お姉ちゃんには東京の生活があるし…」



咲「ちょっと寂しいけど、一か月間一人で何とかするよ」ニコッ

まこ「じゃあ、今日の部活は終わりじゃ」

みんな「お疲れ様でしたー」



優希「咲ちゃん、私達、カラオケ行くけど一緒に行くかじぇ?」

咲「ごめんね。今日は用事あるから…。また誘ってね」

京太郎「おぅ。じゃあ、またな」

和「・・・」



咲(連休前だし、色々と買いだめしておこう)

咲「えぇ…っと、コレとアレと…ソレと…。あっタイムセールスの時間だ!急がなくちゃ!」

咲「お弁当に半額シール貼られるまで我慢だよ」

咲「・・・」

咲「・・・」

咲「・・・よし」



咲「うおりゃーーーーーーー!」ガサゴソ

咲「ふぅ…、満足満足。でも重いなぁ…。そうだ、お父さんに迎えに来て貰おう!」

咲「あっしまった。今日から居ないんだった…」

咲「うぐぐぐぐ…重い」ヨタヨタ

?「・・・」ハラハラ

?「・・・」ドキドキ



ヒョイ

咲「あっ」

豊音「宮永さん、こんにちわー。重そうだね、手伝うよ」

咲「み、宮守の大将さん!?」

豊音「久しぶりだねー、超会いたかったよー」

咲「ふふふ、~~~で」テクテク

豊音「あははー、~~~なんだねー」テクテク






咲の家の前

咲「すいません、家の前まで荷物を運んで貰って」

豊音「いいよいいよ。私は力持ちだからねー。気にしないで」

咲「ありがとうございます。ところで、姉帯さんはどうして長野に?」

豊音「そんなの決まってるよー。後、私の事は豊音ママって呼んでね」

咲「???」ガチャガチャ



咲「えっ…、鍵が開いてる!?」

咲「なんで!なんで!?」カタカタ

豊音「咲、どうしたのー?」

咲「い、家の鍵が開いてるんです!」

豊音「・・・」クンクン

豊音「お味噌汁の匂いがする…。後、明かりがついてるよー」

咲「そんな…この家には、私以外誰も居ないはずなのに…」



豊音「私に任せて」ズイッ

咲「姉帯さん」ギュッ

豊音「豊音ママだよー」

咲「わ、私も行きます」スッ

豊音「流石にネギ装備しても、どうしようも無いと思うけど…。私の後ろに隠れててね」

咲「は、はい」



ギィィィィ

豊音「突入するよー」

咲「はい」



霞「輝いて~~♪ここ一番、自分の直感を信じて~~♪あら…、ネギを買い忘れたわ。どうしましょう」

豊音「泥棒さん、覚悟だよー」

咲「うちに金目の物はありませんよー」コソッ

霞「何奴!?はぁ~~~~~、てりゃー!」スパッ

豊音「おおおおおおお、包丁!?あーーーー、私の帽子ぃぃぃぃぃ」

霞「あら…貴方は、宮守の大将じゃない」

咲「あのぉ…、なんで永水のおっぱいオバ…ではなく。石戸さんがうちに?」





霞「まぁまぁ、お茶でもどうぞ」

咲「い、頂きます」

豊音「うぅー、あの帽子高かったのに」グスン

霞「で、なぜ姉帯さんがここに?」

豊音「そりゃー、私は咲のママだからねー」

霞「ママ?」ピクリ

咲「???」

霞「私が咲ちゃんのお母さんです!」ドン

豊音「サインの件は感謝してるけど、咲のお母さんは私だよー。勘違いは困るよー」



霞「むむむ」バチバチ

豊音「うぐぐぐぐ」バチバチ


咲「一体全体、何がどうなってる事やら…」

咲「えぇ~~~~~~!?お父さんに頼まれたぁぁぁぁぁぁ!」

豊音「そうそう、宮永さんのお父さんに頼まれて」

霞「えぇ、私もよ。てっきり私だけかと思ったんだけど…」



咲「せ、せっかく長野まで来て貰ったんだし、今日は泊まって行って下さい」

豊音「私、三年生でもう推薦決まってるし、ずっと居るよー」

霞「あら奇遇ね。私も進路決まってるから、しばらく学校に登校しなくても大丈夫なのよ」

咲「でも…悪いですよ」

豊音「全然悪くないよ!」

霞「えぇ、その通り。高校一年生が一人暮らしなんて、許しませんよ」

咲「そうですか…。わかりました。正直に言うと助かります。一人じゃ寂しいし、不安だし…」




「ぎゃーーーーー!」

「シャープシュート(物理)」ゴッ


ピンポーン

咲「あっ、お客さんだ」

菫「やぁ、宮永さん」

咲「弘世菫さん!?」

照「・・・」ジーーー

照「ただいま」プイ



菫「照、お前の家なんだから、さっさと入れよ。あぁ、宮永さん。いや、咲ちゃん」

菫「君のお母さんから頼まれてな。私は武道の心得もあるし、家事もある程度出来る」

照「・・・」プイ

菫「それに照一人で、向かわせるとな。咲ちゃんの苦労が二倍になりそうだからね」ハハハ

照「ふん、頼んでない」

菫「よく言うよ。咲ちゃんに会うのが照れくさいから、着いて来てって言ってたくせに」

照「あ、あれは家の前までだ!」

菫「まぁ、私は帰らん。帰るなら一人で帰れ」



菫「咲ちゃん」クィ

咲「は、はい!(すごい美人だよー、まつ毛長いなぁ)」

菫「私は君に大変興味がある。今日から一か月、私が君の母親代わりになろう」

咲「お、おかあさん?」

菫「ほら、姉はここにポンコツが居るだろ」ポンポン

照「ポンコツじゃないだろ!私が咲の世話をする!姉?いや、母だ!」



照「咲。私は今日からお前の母になる!お前の姉はもう死んだ!ここには居ない!」

咲「えぇ~」

照「だから、ケンカもしてない」ムギュー

咲「うぅ…、苦しい…。普通に仲直りしようよ…」

和「咲さんが嫌がってます!さっさと離れて下さい!」

照「ピンク!邪魔するな!」




菫「あれぇ…、結構本気で、シャープシュートしたはずなんだが…。復活早いなぁ」

菫「照が、咲にまとわりつくストーカーだから、退治しろって言うから渋々やったんだけど…。ストーカーなのか?」

咲「時々、暴走するけどただの友達ですよ!多分!」



和「妹なんて居ないって言ってましたよね!?」バキッ

照「私は今日から咲の母になったのだ!だから、一緒に居る。お前こそ、ピンクのワンダーランドに帰れ!ただの同級生のくせに!」ゴキィ

豊音「咲、騒がしいねー。どうしたのー」テクテク

霞「ご近所迷惑に…って周りに家ないわね」テクテク

菫「むっ、君達は!?」



照「ピンクぅぅぅぅぅぅぅ、あたたたたたたたたあたぁ!」

和「お義姉さぁぁぁぁぁん、オラオラオラオラ!」



咲「二人ともいい加減にしなさい!麻雀楽しませるよ!!」

和「ただの友達デース!」

和「でも悪戯はシマース♪」ポォウッ!

咲(甲高い声…)

照「ピンクのネバーランドに帰れ!」

居間

咲「・・・」ムスッ

霞「ねぇ、咲ちゃん機嫌直して」

豊音「そうだよー。笑う門には福来たるって言うからねー」



照「お前のせいだぞ」ボソボソ

和「お義姉さんのせいですよ」ボソボソ



菫「えー、コホン。みな静粛に!」

菫「状況を説明する。咲ちゃんのお父さんに頼まれた人」

霞「はい」

豊音「はーい」

菫「咲ちゃんの本当のお母さんに頼まれた人。はい、私だ」

照「うむ」キリッ

和「はい」ドン



咲「・・・」イラッ

咲「お姉ちゃんは家事なんか出来ないでしょ!いつも、食事当番すら私に押し付けてたじゃん!」

咲「和ちゃん!門限の時間過ぎてるんじゃないの!?」

照「君達、これは私達宮永家の問題だ!君達には関係はない。特にピンク。お前は一番関係ない」

和「関係あります。咲さんと一緒に暮らす?そんな大事なイベント見過ごすわけがないです」



霞「はぁ~とりあえず、作りかけのお夕飯の続きするわね」

菫「ふむ、手伝おう」

豊音「私、見たいテレビあるから見てるー」ゴロゴロ



咲「…」プチン

咲「…」ポチポチ、ウィーン


ゴロゴロ→サイコロの転がる音

咲「お母さん達、宮永家伝統の家族麻雀しよっか…」ゴゴゴ

咲「嶺上開花!カンカンカンカン!ツモツモツモツモ!ロンロンロンロン!」

豊音「ふぇー、また飛んだー!」

霞「あらあら、荒ぶってるわね」

照「あばばばばば、私の三年間の咲断ち高校生活は…」

菫「私がシャープシュートされまくりじゃないか(震え声)」

和「オカルトだらけとかありえません(震え声)」



バタン

咲「私一人で大丈夫ですから。今日は遅いから泊まって行って下さい。けど、明日帰って下さいね」

咲「部屋はお父さん、お母さん、お姉ちゃんの部屋どれでも好きな所どうぞ。私は寝ます」プイ

咲「は~、疲れた…。五人も来るなんて…」

咲「明日から、一人暮らし頑張ろ…。明日は早速、朝早く起きてゴミ出さないと…」

咲「目覚ましをいつもより二時間早めにセットして…、おやすみなさい」パタン



咲の部屋の前

照「おーい、おーい。私のカワイイカワイイ咲ちゃん(小声)」

菫「辞めとけ。もう寝てるだろ」

菫「お前、自分の部屋あるんだろ?」

照「あるけど、ここに居る。咲が許してくれるまでここに居る」

和「迷惑な姉ですね」パラッ

照「ピンク居たのか…。何読んでるの?本?」

和「咲さんの貸してくれた本です。今日中に読んで、感想を伝えたいので」

照「あっそう」



菫「夜は冷えるから、毛布置いとくな」

台所


霞「・・・」トントン

霞「・・・」コネコネ


菫「石戸は何してるんだ…」

霞「見てわからないかしら?明日の朝食と昼食の仕込みよ」

菫「…見たらわかるけど」

霞「お味噌汁とか、自信あるんだけどね。お袋の味って言われるけど。失礼しちゃうわね。まだ17歳なのに」

菫(外見的には一番お母さんっぽいよな)




豊音「ほっほっ…」グシャ

豊音「あっ、ペットボトルの蓋は燃えないゴミだった」キュポン

菫「…姉帯は何してるんだ?」



豊音「燃えないゴミと、燃えるゴミ分けてるよー。私、家事とか苦手だからね。力仕事は一番上手くやれると思うけど」

菫「アルミ缶潰したりしてマメだな…」

豊音「えっ?潰さない?」グシャア

菫「私はそのまま捨てるが…。ってこれスチール缶じゃないか!?」

豊音「何か問題でも?」グシャア

菫「はぁ…、別にいいよ。姉帯と石戸は、咲ちゃんのお母さんの部屋で寝てくれ。そこに寝間着と布団がある」

豊音「わかったー」

菫「さて…私は…」



咲ちゃん家の屋根上

菫「まぁ、不審者が居ないとは限らないしな。せめて今日一日だけでも安らかに寝かせてあげたいさ」

菫「長野は星がキレイだなぁ…」



菫、弓(本物)を装備して、警備中

目覚まし「へこたれられない しゃかりきじゃない素敵な夢の街 TOKYO LIFE ♪」


咲「ん~~~、後五分。後五分だけだからー」

カチッ

咲「ふぁ~~~~~~、いつもより早く起きて眠いよ…。ムニャムニャ…」ゴシゴシ

咲「あっ…ゴミを出しに行かないと…。めんどくさいなぁ…」



ぎぃぃぃ

ゴチン

咲「何か当たった?」

照「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」zzZZZ…

和「咲さんは私が守る」zzZZZ…


咲「二人とも、私の部屋の前で寝てる。もう…風邪引くよ」パサッ


毛布を被せる咲さん



咲「朝ごはんの準備してから、ゴミ捨てに行こう」テクテク

台所

霞「小蒔ちゃん、お菓子ばっかり食べてないで野菜も食べなさいよー」zzZZZ…

咲「石戸さんがこんな所で寝てる…」



咲「あっ…もう朝ごはん作ってある…」

咲「少しつまみ食い」パクッ



咲「すごい!私が作るより全然美味しい!」



咲「うぅー、さぶい…」ブルブル

咲「あれ…こんな所にゴミ袋が…」

咲「しかももう仕分けしてくれてる!?後はこれを出すだけだ」


豊音「追っかけるよー。怖いくないよー。ふぇぇぇぇぇぇ、逃げないでよー」zzZZZ…

咲「流石にこんな所じゃ、風邪引きますよ!」



咲「ぐっ…、寝室まで引っ張って行きたいけど、流石に重い…」ズルズル

菫「やぁ、咲ちゃん。おはよう。いい朝だね。私がそちら側を持つよ」

咲「弘世さん!?お、おはようございます」

菫「ゴミも私が出して来よう」

咲「あ、あの…。目にすごいクマが出来てますよ?」

菫「あぁ…、昨日眠れなくてな…。気にしないでくれ」



咲「・・・」

お昼ご飯中


咲「・・・」モグモグ

咲「これ…美味しい。何の料理ですか?」

霞「ふふふ、鹿児島名産のカツオの腹皮に薩摩揚げよ。黒豚も有名なの。食べてみて」

咲「はい」モグモグ

豊音「ちょーおいしいよー」



照「ふん…、おっぱいオバケでもちょっとはやるじゃないか」ガツガツ

和「そんなに急いで食べると、喉につまらせますよ」

菫「さて、電車の時間は…っと」ポチポチ

豊音「わぁ、スマホだー。私はまだガラゲーなんだよー」

霞「私もよ」

菫「原村。石戸の電車の時間を調べてやってくれ。私は姉帯の電車の時間を調べる」ポチポチ

和「わかりました」




照「私はどうしようかな…」

菫「別に帰らなくてもいいぞ。お前の家だろ」

咲「・・・」

照「…いや、帰るよ」

咲「・・・」ズキッ

咲「そ、そうなんだ」






霞「じゃあ短い間だったけど、楽しかったわ」

豊音「元気でね。来年の全国大会応援するね」

菫「ふっ、私は白糸台を応援するが…。まぁ、個人的には淡より咲ちゃんを応援する」

照「淡も会いたがってたね、咲に。まぁ、またいつか連れて来るか」

咲「お…お元気で」ションボリ

和「咲さん…いいんですか?」

咲「な、何が!?」



和「あの人達…。私の咲さんを想う気持ちには、もちろん敵いませんが…」

和「みんな咲さんが心配で、ここまで来てくれたんですよ?」

咲「ッッ!?」



咲「わ、私どうすればいいかな?一人っきりでご飯食べるのも、寝るのも、家に帰るのもすごく寂しい…」

和「素直になればいいじゃないですか。みなさん、ここに居たいって言ってたじゃないですか」

咲「・・・うん」

和「ま、まぁどうしても寂しいと言うなら、私と二人で甘酸っぱい同棲生活的な物をですねぇ…」クネクネ

和「あらっ…、咲さん?」キョロキョロ




タッタッタ…

咲「みなさん、待って下さい!」


咲「キャッ!」


ドテン!

咲「いたた…」

咲(み、みんな行っちゃう…)

咲「くっ…」



咲「ふぇぇぇぇぇぇん、お母さん!転んじゃったよー、痛いよー」グスン

咲「なんてね…子供じゃあるまいし…」



ドドドドド…

咲「あれぇ?」



霞「救急車よ!」

豊音「私がおぶって、運んだ方が早いよ!」

菫「なんて事だ!私がついていながら…、咲ちゃんに怪我させてしまうとは!」

照「ままままままだ、あわわわわてるてるような時間じゃない」カタカタ

和「咲さん!決めました。私が今日から一か月間、貴方のお母さんになります!」


タッタッタ

和「げぇ!」




こうして、咲ちゃんの一か月ハッピーレッスンは、幕を開けましたとさ。



終わる

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