末原「ついにハワイに着きましたね」洋榎「アロハやな!」(122)

  ハワイ空港にて

洋榎「ここがワイハか!」スタタタタタッ!

由子「とうとう着いたのよー」

洋榎「いやっほー!ワイハやワイハや!夢の常夏アイランドや!」キャッキャッ!

絹恵「お姉ちゃんはしゃぎすぎやって」ヤレヤレ

洋榎「しょうがないやんだってワイハやで!海やで!楽園やで!
   そやしテンションが上がってしょうがないやん!」ジタバタ

赤阪「アロハやで~」フリフリ

絹恵「代行もう腰みのつけてるんですか……」

由子「気が早いのよー」

赤阪「ハワイと言ったらこれや~ん」フリフリ

洋榎「ああもう早くあの青い海に飛び込みたいで!」キャッキャッ

末原「ううう……」カタカタ

漫「末原先輩大丈夫ですか……」

末原「も、もうハワイに着いたんですか?」ガクガク

漫「もう飛行機じゃないから安心してくださいよ……」

末原「そ、そうですか……」ホッ

漫「あの苦しいんで離してください……」

末原「そ、それはすまんな!」スッ

洋榎「まさか恭子が高所恐怖症やとは思わんかったで」

由子「フライト中ずっと毛布被ってたのよー」

末原「あんな金属に乗って飛ぶなんて狂気の沙汰ですよ、墜落したらどないするんですか……」

絹恵「そんな墜落なんてめったにありませんよ、日本の技術を信じてくださいよ」

漫「そうですよ、たまにしか落ちませんから安心してください」

末原「やっぱ落ちるんやないか!」カタカタ

洋榎「そんなことより早く泳ごうやないか!海は待ってくれへんで!」スタタタタッ!

絹恵「あ!もうお姉ちゃん待ってや!」スタッ

由子「無邪気なのよー」

末原「海なら湘南でも別に良かったやないですか……」

漫「うちは湯布院に行きたかったですわ……」

赤阪「しょうがないや~ん、みんなでハワイ行くんが絹ちゃんの願いなんやから~」

由子「しかしホントに良いんですか?ハワイなんて高くつくのよー」

赤阪「全国大会で活躍したご褒美やって~、いくのん太っ腹や~ん」

漫「たしかにお腹出てますしね……」

赤阪「あ?なんか言うたかデコちゃん?」

漫「いいえ……」

末原「……」

・・・

・・・・・・

 数週間前 姫松高校麻雀部部室にて

末原「ハァ……」

洋榎「なに落ち込んでるんや恭子!元気出しーや!」

末原「すいません、わたしのせいで全国大会優勝を逃してしまい……」

由子「全国大会4位は立派なのよー、全然落ち込むことじゃないのよー」

末原「そうですけどやっぱりあの時にわたしが阿知賀の大将に振り込んでさえいなければ……」

洋榎「うちだってあの場面やったらチーピン切りしとるって!事故みたいなもんやあれは!」

漫「先輩がいなかったら決勝にまで行けませんでしたよ……」

洋榎「漫の言う通りや!準決勝で恭子が臨海女子をボコったから決勝に行けたんやで!」

絹恵「みんな末原先輩に感謝してますよ」

末原「みんな……」

  ガチャン

赤阪「男と女のあいだには~深くて暗い川がある~♪」

赤阪「なんやみんな集まってた~ん?いくのんだけ除け者とか酷いや~ん」エーン

洋榎「面倒臭いのが来たで……」

末原「代行……」

赤阪「なに暗い顔してるんや?お通夜かいな!とうとう善野さん死んじゃったん!?」

洋榎「な……!」

末原「なに言うてるんですか!ぜ、善野監督の悪く言うのはわたしが……!」

赤阪「ジョーダンやって~いくのん流のブラックジョークやで~」

末原「そういう笑えない冗談はやめてください!!」

赤阪「そんな興奮しなさんなって~、善野さんはまだ今はまだ元気やで~」

漫(今はまだ……か)

洋榎「そんなことよりいったいなんの用や?下らないことなら無視するで!」

赤阪「洋榎ちゃんはいくのんに冷たいな~、悪いニュースやないから安心してや~
   いくのんはな~、みんなに御褒美をあげたいんやで~」

絹恵「ご褒美……?」

赤阪「せやでせやでー!全国大会で好成績を残したみんなにいくのんがご褒美や!」

末原「全国大会で好成績言うても4位やないですか……結局今年も優勝できませんでしたし……」

赤阪「なに言うてるん全国4位はすごいことやで~、姫松高校が決勝に進出するのは27年ぶりやで!久々の快挙や~ん」

洋榎「代行が活躍してた時以来ですやん」

赤阪「せやせや、っていくのんアラフォーちゃうわ~ピチピチの20代やで~」

漫「20代の人は自分のことピチピチなんて表現しませんわ……」

赤阪「特にあの千里山より上なのが最高やで!あんな連中より順位が下なんて末代まで恥や!
   去年そのせいでいいくのんがどれだけOG連中になじられたか!思い出すだけで胃が悲鳴をあげるわ!」

由子「好成績云々やなくて千里山に負けたくなかっただけなのよーそれ」

赤阪「というわけでみんなひとりひとりの願いを叶えたげるで~!」

末原「はぁ……」

・・・

・・・・・・

絹恵「というわけでハワイに行きたいと言ったのはうちなんやな!」

洋榎「誰に話かけとるんや絹?」

  ブロロロロロロロロロ・・・・・・・

赤阪「そろそろ海が見えてくるで~」

由子「海で泳ぐなんて久々なのよー」

洋榎「うちもや!泳ぐこと自体2005年に道頓堀で泳いで以来や!」

漫「あのとき飛び込んでたんですか……」

末原「海……」

絹恵「どないしたんですか末原先輩?」

末原「な、なんでもありません!気にしないでください……」

洋榎「海や!!!海が見えてきたでーーーーーーー!!!」

赤阪「ストップザシーズンインザサァ~ン♪」

 ガヤガヤガヤガヤ・・・ ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ・・・

洋榎「海やああああああああああああああああああああ!!!」

絹恵「お姉ちゃんやっぱはしゃぎすぎや!みんなジロジロ見てるで!」

洋榎「落ち着いていられるかいな!くぅ~早く泳ぎたいで~!」

赤阪「取りあえずホテルで水着に着替えよか~」

末原「どこのホテルですか?」

赤阪「そこのハワイ一の高級ホテル!ホテルハシェミアンやで~」

漫「え、こんなくっそ高そうなホテルに泊まるんですか?」

赤阪「せやで~」

洋榎「さすが名門の姫松高校や!金だけはいっぱいあるんやな!」

赤阪「早く着替えるで~」

  数分後

洋榎「うちが一番ノリみたいやな」

絹恵「お姉ちゃん着替えるの早すぎやぁ」トコトコ

洋榎「絹が着替えるの遅すぎるんや!なんやこの無駄な脂肪は!」プニプニ

絹恵「イヤン!お、お姉ちゃん恥ずかしいからやめてや///」

洋榎「こんなのがあるから着替えるのが遅くなるんや!卑怯やんこんなの!」

絹恵「しょうがないやんお母さんゆずりやし……」

洋榎「なんでうちはおとんに似てしもうたんや……」

絹恵「でもお姉ちゃんスレンダーで素敵やん、モデルさんみたいや」

洋榎「そ、そうか?ま、まぁ胸だけがすべてやないしな!」

由子「みんな早いのよー」トコトコ

洋榎「なんや由子の水着可愛らしいなぁ、フリフリ付いてるやん」

由子「うちにはこれがぴったりなのよー、洋榎の水着もなかなかセクシーなビキニのよー」

洋榎「せやろせやろー!おかんに小遣い前借して奮発したんやでー!」

由子「絹ちゃんの黒ビキニも色っぽいのよー」

絹恵「う、うちもこの日のために新調したんです」

洋榎「これやと男は絹のことをほっとかんでしかし」

絹恵「べ、別に男の人のためにこの水着を選んだんちゃうもん!」

洋榎「え、じゃあ誰のために選んだんや?」

絹恵「そ、それは……」

洋榎「誰や誰や!うちの知ってる人間か!教えてーな!なぁなぁ!」

赤阪「いくのんが水着に着替えたら~」フラフラー

洋榎「な……!」

由子「すごいのよー……」

絹恵「代行なんですかその水着は……」

赤阪「どうやセクシーやろ~、これがブラジル水着やで~」

絹恵「ちょっとそれは露出しすぎちゃいますか……」

由子「ほとんどヒモなのよー……」

赤阪「これであかんかったら永水の副将の子は逮捕されてるハズやで~」

洋榎「まぁたしかにあれよりマシか」

末原「遅れてすいません」トコトコ

洋榎「お、恭子!えらい地味な水着やな」

末原「別に泳げればなんでもいいですから、さすがにスクール水着は自重しましたが……」

赤阪「おばさんみたいやな」プププ

漫「す、すんません遅れました!」スタタタタッ!

洋榎「あ?なんや漫!先輩に対してその態度は!」

漫「え、なにかうち気に障ること言いましたか……」

洋榎「その胸や!うちらをバカにしとるんか!」

漫「え、別にバカにしてませんやん、これぐらいの大きさ普通ですやん」ボイーン

洋榎「く……!」

漫「むしろ愛宕先輩が貧相すぎるのがいけないんじゃ……」

洋榎「もう頭来たで!」ガシッ!

漫「わ!わ!わ!なにするんですか!」

洋榎「こうしてやるんや!」スタタタタッ!

漫「やめてくださいよ!うわぁ!!」スタタタタタッ!

洋榎「どりゃ!!」ブンブンブンッ!

漫「あぎゃ!!」

 バシャーン!!

洋榎「どうやハワイの海は!最高やろ!」

漫「いきなりぶん投げないでくださいよ!海ヘビがいたらどないするんですか!」

洋榎「いるわけないやろ!心配しすぎや!」

漫「海ヘビの怖さを知らないからそんなこと言えるんですよ!海ヘビは猛毒を持ってるんですよ!それはもうハブを……」

洋榎「やかましいわ!」ガシィ!

漫「わ!わ!わ!やめてくださいよぉ!!」

洋榎「これならどうや!」グルングルングルン!

漫「腕が脱臼するからやめてくださいよぉ!!」グルングルングルン!

洋榎「えいさっ!!」ブンッ!

漫「アギイィ!!」

 バシャーン!!

洋榎「ワハハハハ!!どうや楽しいやろ漫!」

漫「もう帰りたいですわ……」

由子「洋榎も漫ちゃんも楽しそうなのよー」

絹恵「うちも混ざりたいわ……」

末原「……」

赤阪「それじゃ各々楽しんでや~」トコトコ

絹恵「あれ?代行どこ行くんですか?泳がないんですか?」

赤阪「いくのんはあっちで昼寝するで~、久々に焼きたいんや~」

末原「そうですか……」

赤阪「ほなまたあとでな~」トコトコ

由子「うちらも泳ぐのよー」スタスタスタスタ

絹恵「ハワイの海楽しみやな~」ウキウキ スタスタスタスタ

末原「……」

洋榎「どや!ブレーンバスターや!」

 バシャーン!

漫「ゴボゴボ!危ないですやんそれ!!首が折れたらどないするんですか!」

洋榎「水の中やし大丈夫やって!漫もうちにやってええで!」

漫「ホンマですか?!では……」

洋榎「バッチコイや!」

漫「エルボーや!!」バキィ!

洋榎「ギニヤ!!!」

漫「あ!大丈夫ですか先輩!」

洋榎「打撃系はあかんやろ!!」ギュウウウウウ!!!

漫「ヘッドロックやめて……ううう……」

末原「……」

由子「恭子は泳がないん?」

末原「すいません……わたし泳げないんです……」

由子「そうだったの……」

絹恵「泳げないならあの、浮き輪ありますから貸しましょうか?」

末原「いえカナヅチではないんです……」

由子「じゃあなんで……」

末原「子供のときに川でおぼれたことがありまして……それ以来水が怖いんです……」

由子「高所といい水といい恭子も大変なのよー……」

洋榎「漫!沖まで競争や!あの船にタッチして先に帰ってきたほうが勝ちやで!」バシャバシャバシャ!

漫「ちょ!待ってくださいよ急にそんな!」バシャバシャバシャ!

末原「わたしのことは気にせず由子も絹ちゃんも泳いできてください、わたしはここでみんなを見てますから」

由子「恭子……」

絹恵「そんな末原先輩を一人にはできませんよ!そうだビーチバレーやりましょうビーチバレー!」

由子「そうなのよー、ビーチバレーなら泳がなくても楽しめるのよー」

末原「二人とも……」

 ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・ ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・

由子「そーれっと!」パーン

末原「えいっ!」パーン

由子「恭子上手いのよー、それ!」

末原「これぐらい簡単です!絹ちゃんはい!」パーン

絹恵「はぁあああい!!!」パシィ!!

絹恵「ハァハァハァ……!」キョロキョロキョロ

由子「絹ちゃんバレーボールをキャッチしちゃダメなのよー」

絹恵「あ!す、すいません!つい癖で……!」

末原「まだ体はゴールキーパーの本能を忘れてないみたいですね……」

絹恵「本当にすいません!」パシィィィン!!

由子「蹴ってもダメなのよー」

絹恵「すいませんすいません!」オロオロ

末原「ははは」

洋榎「ハァハァハァハァ……!!」バシャバシャバシャシャバシャバシャ

漫「待ってくださいよー!」バシャバシャ!

洋榎「どうや漫!うちの泳ぎ速いやろ!」バシャバシャ!

漫「速すぎですよ……」バシャバシャバシャ!

洋榎「淀川のトビウオと呼ばれた女やで!道頓堀のウナギ程度に負けるかいな!」バシャバシャバシャ!

漫「そやから鰻ちゃいますって!」バシャバシャバシャ!

  バシャバシャバシャ!

洋榎「船が見えてきたでー!あそこにタッチや!」バシャバシャバシャ!

漫「疲れるわ……」バシャバシャバシャ!

  船の上にて

国広「メロンソーダ持ってきたよ透華」

透華「ありがと一」ゴクゴク

純「しっかしあちーなハワイは!なぁそろそろ泳ごうぜ透華!」

透華「まだですわ!泳ぐのはもっともっと焼けてからですわ!」

純「くそお!メイドが主人より先に泳ぐ訳にもいかねーしなぁ」

国広「もう少しの辛抱だよ純くん、はいコーラ」

純「おうサンキュー」

衣「ぐーぐー」

国広「衣は待ちきれなくて寝ちゃったね」

智紀「ハァ……」

純「なんだよまたため息吐いてるのかよ、数日ぐらいパソコン我慢しろよ」

透華「やっぱハワイは最高ですわね!」

  バンっ!!

純「うわっ!!なんだなんだ!」

透華「なんの音ですのいったい!」トコトコ

洋榎「へっへー!先にタッチして折り返しや!」バシャバシャ!

漫「ハァハァハァ……」バシャバシャバシャ!

洋榎「早くしないと罰ゲームやで~」バシャバシャバシャ!

透華「なんですのあの人たちは!人の船を何だと思ってるのかしら!」

漫「ハァハァハァ……」バシャバシャ

透華「ハギヨシ!」パシッ!

ハギヨシ「なんでしょう透華様」

透華「この船をもっと沖に動かしてちょうだい、せっかくのバカンスを邪魔されるのは御免ですわ」

ハギヨシ「かしこまりました」

  ブロロロロロロロロロ・・・・・・

漫「あ!どこに行くんや!待ってや!その船待ってや!」バシャバシャバシャバシャ!

  ブロロロロロロロロロ・・・・・・

漫「待ってーーーーーーーーー!!!!」バシャバシャバシャ!

末原「えい!」パーン

由子「のよー」パーン

末原「えい!」パーン

絹恵「あっ!えいっ!」

 ズササササーッ!

絹恵「あ……」

由子「大丈夫?」

末原「すいません手元が狂いました……」

絹恵「……」

末原「絹ちゃん?」

絹恵「あのときと一緒や……うちがシュートを防ぐことができひんかったせいで全国行けなかったんや……」ブツブツ

由子「いったいどうしたのよー……」

絹恵「どんなに好セーブを連発してもたった一度でもネットを揺らされたら意味が無いんや……」ブツブツ

末原「どうやならゴールキーパー時代のトラウマを思い出してるみたいですね……」

絹恵「みんなゴメン……みんなゴメン……」ポロポロ

洋榎「いえーい一等賞やで~」

末原「あ、主将」

由子「洋榎は元気いっぱいなのよー」

洋榎「元気なのがうちの取り得やからな!」フンスッ!

絹恵「そういえば上重さんはどないしたんや?」

洋榎「漫か?漫ならあそこや」ピッ

漫「待って!待ってや!」バシャバシャバシャ!

由子「沖の方に泳いでいくのよー」

洋榎「どうやら泳ぐのが楽しくてしょうがないみたいなんやなぁ」

末原「漫ちゃんも元気やな」

洋榎「取りあえず帰ってきたらデコに喝やな」

絹恵「ちょっとトイレに行ってくるで」トコトコ

  数分後

漫「ハァハァハァ……やっとタッチできた……」

洋榎「遅いで漫!いつまで待たせるんや!」

漫「船が動くなんて考慮してませんよ!おかげで危うく日本まで泳いで帰るところでしたよ!」

洋榎「つまらんこと言ってへんでデコだし!」

漫「嫌や!もう落書きされるんは嫌ですわ!」

洋榎「やかましいわ!」キューッ!

漫「ヒィ!」

末原「やっぱ漫ちゃんのおデコには鰻が似合いますね」

漫「ううう恥ずかしい……」

洋榎「それだけやないで~」ザックザック

漫「え……」

漫「ちょっと全然動けませんよ!」

洋榎「そら首から下を埋めたんやから動けなくて当然やな」

末原「はぁはぁはぁ……けっこう重労働でしたね」

由子「打ち首なのよー」

漫「早く出してくださいよ!恥ずかしくてたまりませんわ!」

洋榎「せやなー……そういえば絹おそいな、どないしたんやろ」

末原「そうですね、トイレに行ってかれこれ10分以上経ちますね」

由子「ひょっとしたら迷ってるのかもしれないのよー」

洋榎「絹が心配や!探しにいこ!」

末原「そうですね!」

由子「のよー!」

漫「ちょっと置いてかないでくださいよ!ちょっと!!」

  ガヤガヤガヤガヤ・・・

絹恵「ううう……どこやここは……」

  ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・・・・

絹恵「完全に迷子やわ……どないしよ……どないしよ……」

  ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ・・・・・・

絹恵「ここままやとあかんで……ここままやと……」

新聞『ハワイで邦人女性が行方不明!!身代金目的の誘拐か?!』

絹恵「このままやと国際問題や……」

  ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・・・・

絹恵「お姉ちゃあん……野瀬先輩……末原先輩……上重さぁん……」ポロポロ

  ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・・・・

絹恵「みんなどこやぁみんなどこやぁ……ヒックヒック……」ボロボロ

???「おいそこのお前!」

絹恵「は、はい!」

  ガヤガヤガヤガヤ・・・

絹恵「ううう……どこやここは……」

  ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・・・・

絹恵「完全に迷子やわ……どないしよ……どないしよ……」

  ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ・・・・・・

絹恵「ここままやとあかんで……ここままやと……」

新聞『ハワイで邦人女性が行方不明!!身代金目的の誘拐か?!』

絹恵「このままやと国際問題や……」

  ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・・・・

絹恵「お姉ちゃあん……真瀬先輩……末原先輩……上重さぁん……」ポロポロ

  ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・・・・

絹恵「みんなどこやぁみんなどこやぁ……ヒックヒック……」ボロボロ

???「おいそこのお前!」

絹恵「は、はい!」

洋榎「絹ぅ!どこや!どこにいるんや!」キョロキョロ

末原「トイレというトイレを探したんですけどどこにもいませんでしたね……」

由子「いったいどこにいるのよー」

洋榎「絹の身になにかあったらうち……」ガタガタ

末原「大丈夫です主将、絹ちゃんはサッカーやってただけあって体も屈強ですし誘拐とかそういうのは無いハズです」

由子「そうなのよー、悪いほうに考えるのはやめるのよー」

洋榎「でも……」

末原「デモもパレードもありません、取りあえず今度はあっちを探しましょう」

洋榎「そうやな……」

絹恵「お姉ちゃん!!」

洋榎「絹ぅ!」

絹恵「お姉ちゃ~~ん!!」ダキィ!

洋榎「いったいどこに行ってたんや!心配したで!」

絹恵「怖かった!怖かったよぉ!」ポロポロ

洋榎「お姉ちゃんがいるからもう大丈夫やで!」ギュー

由子「なにもなくて良かったのよー」

絹恵「この人が助けてくれたんや」グスン

???「よかったみんなに会えて、これでひとまず安心だな」

末原「どこのどなたか知りませんが本当にありがとうございました」ペコ

???「ん?なんだわたしのこと覚えてないのか?」

洋榎「え?うちら会ったことあるん?」

???「あったこともなにも」シャキン

辻垣内「全国で一緒に麻雀した仲だろ」メガネソウチャク!

洋榎「あ!あんたはたしか臨海女子の中垣内!」

辻垣内「それはバレー選手だ、わたしは辻垣内だ覚えておけ」

ダヴァン「ガイトさんなにしてるんでスカ」

絹恵「ダヴィさんじゃないですか!」

ダヴァン「ダヴィじゃないですダヴァンデス……」

辻垣内「お前らもハワイに来ていたのか、まさかここで会えるとはな」

洋榎「全国4位になったご褒美や!どうや羨ましいやろ~」

絹恵「お姉ちゃんあまりそういうこと言わないほうが……」

ダヴァン「なに言ってるんデスか、ガイトさんが個人戦で3位デス、そっちのほうがすごいデス」

洋榎「なんやと!団体戦4位のほうがすごいやろ!」

ダヴァン「イイエ、3位と言えば銅メダルデス、4位はなんもなしデスよ」

洋榎「く……!」

辻垣内「言い争いよせダヴァンよ、いまはもう敵同士では無いなんだぞ」

ダヴァン「す、すいまセン……」

洋榎「こ、こっちこそすまんかったな……ちょっと大人げなかったで……」

洋榎「あ!あんたはたしか臨海女子の中垣内!」

辻垣内「それはバレー選手だ、わたしは辻垣内だ覚えておけ」

ダヴァン「ガイトさんなにしてるんでスカ」

絹恵「ダヴィさんじゃないですか!」

ダヴァン「ダヴィじゃないですダヴァンデス……」

辻垣内「お前らもハワイに来ていたのか、まさかここで会えるとはな」

洋榎「全国4位になったご褒美や!どうや羨ましいやろ~」

絹恵「お姉ちゃんあまりそういうこと言わないほうが……」

ダヴァン「なに言ってるんデスか、ガイトさんが個人戦で3位デス、そっちのほうがすごいデス」

洋榎「なんやと!団体戦4位のほうがすごいやろ!」

ダヴァン「イイエ、3位と言えば銅メダルデス、4位はなんもなしデスよ」

洋榎「く……!」

辻垣内「言い争いよせダヴァンよ、いまはもう敵同士では無いんだぞ」

ダヴァン「す、すいまセン……」

洋榎「こ、こっちこそすまんかったな……ちょっと大人げなかったで……」

絹恵「そういえば他のメンバーの方々はどこにいるんですか?見当たりませんけど……」

辻垣内「今回はわたしたち二人だけだ、他の連中はいま母国に帰省中だ」

絹恵「え!辻垣内さんとヴァン・ダインさんの二人きりなんですか?!」

ダヴァン「ヴァン・ダインじゃないデス……ダヴァンデス……」

絹恵「つまり二人はそーゆー関係……」ボソッ

洋榎「そやうちらと一緒に遊ぼうや!たまには他の高校とも……」

絹恵「お姉ちゃん!」ガシィ!

洋榎「なんやなんや!どないしたんや絹!」

絹恵「二人の邪魔をしたらあかんよ!」

洋榎「どういうことや!」

絹恵「そういうことやって!そうですよね末原先輩真瀬先輩!」

末原「そ、そうですね」

由子「の、のよー」

絹恵「本当にありがとうございました!このご恩は一生忘れません!ほらお姉ちゃん行くよ!」

洋榎「いったいどうしたんやホンマに……!

絹恵「ではごゆっくり……」

  スタタタタタタタッ!

辻垣内「……」

ダヴァン「いったい何なんでスカあれは……」

辻垣内「ダヴァンよ、あれがジャパンの文化である『空気を読む』という行為だ、覚えておけよ」

ダヴァン「空気は読むものではなく吸うものデスよ」

  そのころ・・・・・・

ジジジジジジジジジ・・・・・・

漫「あぢー……みんなどこに行ったんや……暑くて死にそうや……」

外人1『ヘイボブ!あのジャパニーズを見てみろよ!』

外人2『ひゃっはー!あいつデコにタトゥー入れてるぜ!なんて書いてんだあれは!』

外人1『あれはジャパニーズ漢字さ!おそらくドラゴンって書いてあるんだぜきっと!』

外人2『やっぱ日本人はクレイジーだな!あんなクールなこと俺らにはできねーぜ!』

  HAHAHAHAHAHAHAHA-!

漫「ううう外人連中になんか言われとるけど英語やからさっぱりわからん……」

 ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ・・・・・・

漫「あぢー……早く土から出してや……」

赤阪「うぃ~漫ちゃんなにやってる~ん、うぃ~」フラフラフラフラ

漫「あ!代行!」

赤阪「うぃ~なんで漫ちゃん埋まってるん?」フラフラ

漫「愛宕先輩達に埋められたんです!そやから早く出してください!死にそうなんや!」

赤阪「なんでいくのんがそんなことせなあかんのや~うぃ~」フラフラフラ

漫「あかん……この人ベロンベロンに酔ってるわ……」

赤阪「いくのんあんなハゲちゃびん好きやないで~、バティストゥータのほうが好きやで~」フラフラ

漫「そのベロンちゃいますわ!」

赤阪「イヒヒヒヒヒヒヒ!!」サッサッサッ

漫「うわっぷ!!顔は埋めないでくださいよ!死んでまうやないですか!」

赤阪「アハハハハハハ!ハワイめっちゃ楽しいわ~」スタタタタタタタッ!

漫「なんなんやあの人……」

  ザザーザザーッ

漫「なんや波の音がめっちゃ近くなってきた気がするな……」

  ザザーザザーッ

漫「……」

ざわざわざわ・・・ ざわざわざわ・・・

洋榎「なんやめっちゃ人だかりができとるな」

末原「なにかあったんでしょうか?」

絹恵「もしかしたら有名人がおるのかもしれへんな!チラベルトやろか!イギータやろか!」

  ざわざわざわ・・・ ざわざわざわ・・・

由子「たしかあの辺は漫ちゃんを埋めた場所なのよー」

洋榎「!!ましかしたら漫になんかあったのかもしれへん!急ぐで!」スタタタタタタッ!

末原「す、漫ちゃんの危機ですか?!漫ちゃん!!」スタタタタタッ!

絹恵「二人とも待って!」スタタタタタタッ!

由子「のよー!」スタタタタタタタタッ!

外人1『ハリーアップ!ハリーアップ!』ザックザック!

外人2『早く911に電話するんだ!』ザックザック!

  ざわざわざわ・・・ざわざわざわ・・・

洋榎「なんやなんやなんや!」

末原「す、漫ちゃん!?」

由子「のよー!?」

そこでみんなが見たものは・・・・・・

漫「ヘルプミー!!!ヘルプミー!!!!!」

ものすごい形相で助けを呼ぶ上重漫の姿だった・・・・・・!

漫「このままやと死ぬ!早く!早く!へプルミー!!!」

そう、このままだと満ちた潮に飲みこまれて溺れてしまうのだ……!

漫「もう海がアゴまで来とる!嫌や!死にたくない!死にたくなーい!!」ポロポロ

末原「漫ちゃん……」

漫「ヘルプミー!!!!ヘルプミー!!!!!!!」ボロボロ

 数十分後

レスキュー隊員『次からは気をつけてくださいよ!』

赤阪「す、すみません……」

漫「うわああああああああああああああん!!!」ボロボロ

末原「ホンマごめんな漫ちゃん……」

洋榎「調子に乗り過ぎたわ……すまん……」

由子「ごめんなさいなのよー……」

赤阪「さすがにあんたらハメを外しすぎや、ちょっと自重しなさい」

洋榎「はい……」ショボン

漫「……」プルプル

末原「漫ちゃん?」

漫「なにがハメを外すなや!あんたが一番ハメ外しまくりやないか!」バキィ!

赤阪「ゴボォ!!」

洋榎「エルボー決まったァァァァァ!!」

こうして日が暮れたことだしみんなは泳ぐのをやめホテルへと戻っていくのであった・・・

  ホテル7階にて  PM6:30

洋榎「ハァー疲れたで……」

絹恵「お腹空いた……」

漫「いったい今日のディナーはなんやろか」

洋榎「ロコモコやろか!」

赤阪「イヒヒ!今日の夕飯は洋榎ちゃんのリクエストに応えて御馳走やで!」

洋榎「ホンマですか!くぅ~これは楽しみや!」

絹恵「いったいお姉ちゃんはなにをお願いしたん?」

洋榎「それはやな~」

赤阪「パーティー会場に着いたで~」

  ガチャン

末原「な……」

そこで一同が見たのは……

赤阪「どうやすごいやろ!たこ焼きの山脈やで!!」

山のように積まれたたこ焼きだった……!

洋榎「うひょ~!一度良いから死ぬほどたこ焼きが食べてみたかったんや!」

赤阪「洋榎ちゃんの願いを叶えたで~」

漫「なんでわざわざハワイまで来てたこ焼き食べなあかんのですか……」

赤阪「このタコ焼きのたこはハワイ産やで~」

絹恵「それはそれで高級感ないですね……」

洋榎「質より量やな!」モグモグ

赤阪「どんどん食ってや~、おかわりならいくらでもあるで~」

末原「あの代行、醤油味のたこ焼きは無いんですか?」

赤阪「全部ソース味やで、醤油なんて邪道や~ん」

末原「そうですか……」ショボーン

洋榎「ンマ~イ」モグモグ

漫「まぁたこ焼きも嫌いやないですし……」モグモグ

絹恵「なかなかイケますね」モグモグ

由子「のよー」モグモグ

末原「醤油……」モグモグ

洋榎「どんどん入るで!うちは人間ブラックホールや!」モグモグ

赤阪「そうそうこの中にひとつだけ大量のわさびが入ったタコ焼きがあるから気をつけてや~」

漫「なんであなたはそういう余計なことをするんや……」モグモグ

末原「そういうバラエティみたいなノリやめてくださいよ……」

赤阪「誰が食べるんやろうな~楽しみやな~」パクッ

赤阪「」

赤阪「ううう……」プルプル

洋榎「なんや代行がわさび入りに当たったんか」モグモグ

漫「自業自得や……」モグモグ

赤阪「ぺっ!!」

末原「うわっ!汚いやないですか!」

赤阪「チッ、なんでうちがこんなん食べなあかんねん、おかしいやろ……」ブツブツ

絹恵「自分でやっといて不機嫌にならんでくださいよ……」

赤阪「全然おもろないわ……こーゆーのは漫ちゃん担当やろ……空気読んでや……」ブツブツ

漫「そんな乱暴な……」モグモグ

赤阪「そんなことより!今日は特別ゲストが来てるんやで!」

由子「特別ゲスト?」モグモグ

赤阪「せやせや!漫ちゃん自分の願いがなにか覚えてるん?」

漫「え、うちの願いですか?たしか……」

漫『死ぬまえに一度いいからサザンオールスターズに会いたいですわ……』

漫「サザンに会いたいって言いましたけどまさか……」

赤阪「そのまさかやで~、今日はサザンが来てるで~」

漫「ほ、ほんまですか!!!!」

赤阪「ホンマやで~、いくのんけっこうその手の業界にも顔が効くんやな~」

洋榎「すごいやん代行!」

由子「いったいどういうコネなのよー……」

漫「は、早く!早くサザンに会わせてくださいよ!」

  カツン・・・ カツン・・・

赤阪「いま来るで~」

漫「楽しみやぁサザンに会えるんやぁ!」ゾクゾク

 ガチャン

赤阪「サザンの登場やで~」

そこでみんなが見たものは……

関口「どうもサザンでベースを担当してる関口和之です」

赤阪「サザンのムクちゃんやで~、みんな拍手!」パチパチ

洋榎「うわぁ本物やん!」パチパチ

絹恵「よく知らないけど凄いな」パチパチ

由子「ヒゲなのよー」パチパチ

末原「良かったですね漫ちゃん」パチパチ

漫「え、サザンと言えば桑田さんですやん、この人やなく桑田さん連れてきてくださいよ」

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