仗助「絶対に笑ってはいけない杜王町24時?」 (167)


仗助「……来ねーな、承太郎さん。もう待ち合わせ時間は過ぎてんのに」


康一「珍しいね、承太郎さんが約束の時間に遅れるだなんて……」



億泰「……しっかしまぁ、もう年の瀬かー。ホント色々あったよな、今年も」


仗助「そうそう、ASBリーグトーナメントとかな。……おれ、一勝も出来なかったけど」


億泰「オメーはシードで決勝トーナメント行けたからいいじゃねーかよォー。オレなんか予選止まりだっての」


康一「ま、まぁ。億泰君の場合、相手が悪すぎたよね……。君たちのグループ、公式から『死のグループ』呼ばわりされてたもの」


億泰「いや、マジで一介の高校生が勝てる相手じゃなかったぜ……。特にあの半裸のマッチョ二人」


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億泰「その点オメーはいいよなー、仗助。予選なしで決勝トーナメント出れんだもんよォー」


仗助「バッカおま、本当の戦いは控室から始まってたんだよアレは。
   ガチの殺し合いしてた百年前のマッチョ二人と同じ部屋に放り込まれたおれの気持ち考えた事あんのかお前」


億泰「サーセン」


仗助「……でも、まぁ。こん中で一番スゲーのは康一だよな。何せベスト4入りしてるし、
     百年前のマッチョ、……もとい、俺のひいじいちゃん倒してるしよー」


康一「アレはただ運が良かっただけだよ……」


仗助「そんな謙遜すんなって。ほら、『運も実力の内』っていうじゃねーか」


康一「……えーっと。いや、運っていうか、体格差って言うか……。彼が放つパンチ放つパンチ、ことごとく僕の頭上に飛んできてたから……」


仗助「……、ああ……。……何かその、ごめん」


康一「いや、別に…………」


億泰「……にしても、ホント遅せーなぁ承太郎さん。……つーかよォ、何で俺ら呼びだされたのか、俺イマイチ分かってねーんだけど……」

仗助「オメーもかよ、億泰……。実はおれも『ここに九時集合』としか聞いてねーんだよな」

康一「正直イヤな予感がするから、ぼくもう帰りたいんだけど……。……あ!承太郎さん来たよ!二人とも」


仗助・億泰「!」



承太郎「……遅れてすまない。少し、準備に手間取ってな……」

仗助「それは別に良いんスけど……、準備?何のっスか?」


承太郎「……まぁ、まず聞け」


承太郎「……スタンド使い同士の戦いにおいては『精神力』がその勝敗を分ける、と言っても過言ではない……。
    まぁ、そこら辺は、お前たちも既に経験済みだろう」

仗助「はぁ、まぁ……」


承太郎「そこで、だ。この度、SPW財団の全面的な協力によって、
    将来有望なスタンド使いであるお前たちの『精神力』を鍛える為の修行の場を設ける運びとなった」

億泰「しゅ、修行……!?やだなぁー、やっぱ滝に打たれたりすんのかなぁー……」


承太郎「安心しろ。そんな苦行めいたものじゃあない。……ルールはただ一つ。『絶対に笑ってはいけない』。これだけだ」

康一「『笑ってはいけない』……?、ま、まさか、それって……!!」


承太郎「そう……。題して、『絶対に笑ってはいけない杜王町24時』!!」


三人「!!?」 


仗助「ま、マジで言ってるんスか!?承太郎さん!」

承太郎「大マジだ。早速だが、お前たちには今から現地へ向かってもらう。何か質問はあるか?」


康一「は、ハイ、承太郎さん。その……、もし笑ってしまったら、どうなるんですか?」

承太郎「良い質問だ、康一君。もし笑ってしまった場合……」


\デデーン 億泰アウトー/


承太郎「このようにサイレンが鳴り……」


億泰「!?」


黒子「…………」


億泰「えっちょっ、何だよ!誰だお前アウッフッ!!」バシィイン!


承太郎「このようにケツをしばかれる」


康一「り、理不尽だ……」


[数十分後/バス車内]


【承太郎『まずは、このバスに乗り込んでくれ。目的地までは直通だから安心しろ。……では、また後ほど会おう』】



仗助「……って、承太郎さんは言ってたけどよォ……。何かとんでもない事に巻き込まれちまったみてーだなぁ、おれら……」

康一「ホントにね……。億泰君、お尻大丈夫?」


億泰「大丈夫じゃねえよォ~。いてて、チクショー。ケツが四つに割れるかと思ったぜ……。
   おい仗助、お前の『クレイジー・ダイヤモンド』でこのケツ治してくれよォー」

仗助「やだよ。それアリにしたら、クレD効かないおれ一人が損するじゃねーか。耐えろ」


億泰「んだよケチ!!」

康一「……まぁ、気持ちは分かるけどね」


キキーッ


康一「……あれ?バスが停まった。直通っていうから、てっきり僕らだけかと思っていたけど……」

億泰「!! お、おい。誰か入って来るぜ……」


バタン!


ワムウ「……………………」

エシディシ「……………………」

カーズ「……………………」


ヴァニラ「……………………」

ディアボロ「……………………」


三人「」


仗助「ハッ、……あ、危ねえ!!危うく噴き出すところだったぜ……!!」ヒソヒソ

康一「な、何この、ふんどしとブルマと網と筋肉が織りなす異様な空間……!!うわ、こっち来た!他に席空いてるのに!!」ヒソヒソ


億泰「もう既に試練は始まってるってか……!うおお全員めっちゃこっち見てるぜオイ」ヒソヒソ

康一「む、むさい!肌色率が高い!!心なしか息苦しくなってきたよッ!」ヒソヒソ

仗助「そりゃあ、この狭い空間でこれだけ筋肉に囲まれりゃあな……。……ん?」ヒソヒソ



エシディシ「……………………」



仗助「……………………」


仗助「……オイ億泰。鼻にピアスしてる人見てみ」ヒソヒソ

億泰「……?そいつがどうした?」ヒソヒソ


仗助「ブラジャー」ボソッ

億泰「ボッフゥwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


\デデーン 億泰アウトー/


億泰「じ、仗助テメー!!後で覚えてやがれアウヌッ!!」バシィイン!

仗助「悪ぃ億泰。つい……」


康一(か、開始数十分で仲間割れした……)


[数分後]


ワムウ「……………………」

エシディシ「……………………」

カーズ「……………………」


ヴァニラ「……………………」


ディアボロ「……………………」



仗助「……………………」

億泰「……………………」

康一「……………………」


仗助「……、誰かなんか言えよ……。このままだと沈黙のあまり俺が笑う……」ヒソヒソ

康一「い、嫌だよ。ぼくに、この重苦しい空気の中、口を開く勇気はないよ……」ヒソヒソ


仗助「……そういや億泰。さっきお前が言ってた『半裸のマッチョ』って、確かあいつらの事だろ。久しぶりに挨拶でもしとけよ」ヒソヒソ

億泰「やだよオレ、あいつらにボコボコにされた記憶しかねーもん」ヒソヒソ

仗助「頼むって。全然接点無いおれらよかマシだろ。このまま到着するまで葬式みたいなテンションでもいいのかよ」ヒソヒソ

億泰「……しょうがねえなぁ。……ゴホン」ヒソヒソ


億泰「こ、コンニチハ……」



ワムウ「!」

エシディシ「!」

カーズ「!」


エシディシ「……ヒソヒソ」

カーズ「ヒソヒソヒソヒソ」

ワムウ「…………」コクン



ワムウ「ワムウッ!!」



仗助「ゴファッwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

億泰「ブフゥッwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


康一「フッ…………!!」



\デデーン 仗助・億泰アウトー/


仗助「し、しまった、不意打ち過ぎて……!!」


仗助「ちくしょう何だよ返事ワムウって痛ってぇ!!」バシィイン!


億泰「おいふざけんな仗助テメー自滅したじゃねーかアッフン!!」バシィイン!


康一(危なかった……)



ワムウ「……………………」

エシディシ「……………………」

カーズ「……………………」



康一(あ、心なしか満足げだ)


[数分後]


仗助「……さっきのはおれが悪かった。もうこのまま、到着まで無言を貫いて行くぞ」ヒソヒソ

康一「うん。自ら地雷原に飛び込むのと同じようなものだもんね。この状況下で口を開くっていう事は……」ヒソヒソ



億泰「……お、オイ。そうも言ってらんねーぞお前ら……。ブルマがこっち来る……!」ヒソヒソ


仗助・康一「……!!」



ヴァニラ「……………………」



仗助(……こ、怖ぇ!真正面に立たれると尚更怖ぇッ!!)


ヴァニラ「…………少年達よ」


康一「は、ハイッ!!」

仗助「な、何スかッ!!」



ヴァニラ「……………………」

クリーム「――ウシャーッ!」ガパァッ


ズボォッ!!




康一「…………ッ!!?」


仗助「な……ッ!?す、スタンドに、食われ……ッ!?」


バギッ!


億泰「!! な、何だ!? こ、今度は、自分の足を……!!」



  バギバギバギ 


  バギバギバギ バギベギッ!


クリーム「オゴォオアアアーッ!!」


  バギベギ


    バギッ!
 


仗助「……な、何だってんだ……!!」


億泰「お、オイ!どうすりゃいいんだよコレ!!」


康一「ま、待って!二人とも、静かに!何か聞こえ……!!」




    「……いないいなーい」



ヴァニラ「ばぁ」ヌッ



仗助「ブッフォオwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


億泰「口wwwwかwwwwwwらwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


康一「何でwwwwwwwwwwwwwwwwww何で真顔なのwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


\デデーン 全員アウトー/


仗助「オイこれは卑怯だろアベシッ!!」バシィイン!


億泰「せこいwwwwwwwwwwスタンド使うのせこいヒデブッ!!」バシィイン!


康一「こ、こんなの勝てる訳がないよタワラバッ!!」バシィイン!



ヴァニラ「…………………………」



康一(……あ、自分の席戻って行った。……満足げに)


[数分後]


仗助「チクショー、何が『精神力を鍛える』為、だ……。コレ確実に尻経由でおれらを殺しにかかって来てるだろ……」ヒソヒソ

康一「少なくとも、お尻の耐久力は鍛えられてそうだけどね……」ヒソヒソ


億泰「この企画が終わる頃には、多分ひと回りくらいデカくなってるぜオレの尻……。腫れで……って」ヒソヒソ



キキーッ!! ガタンッ!


億泰「うおッ、き、急ブレーキ!?今度は何だよ!」


康一「……いや。これはただのアクシデントみたいだよ、億泰君。ホラ見て、猫が道路を横切ってった」

億泰「お?……おお、マジだ。轢かれなくて良かったぜー」


仗助「……でも、まぁ。何が起こるか分からないってのは本当だしな。気ぃ抜かずにいこうぜー」


[数分後/ぶどうヶ丘高校 校門]


キキーッ


バタン!


仗助「……!どうやら着いたみてーだな。早く降りようぜ。億泰、康一」

億泰「おう、……って、ここオレらの通ってる高校じゃねーか!まさかここで修業すんのかよ!」


康一「SPW財団が買収でもしたのかな……。もうこの地点で嫌な予感しかしないんだけど……」

仗助「少なくとも、あの筋肉ひしめくバスよかマシだろ。ほら、早く行こうぜ」

康一「う、うん。そうだね」


億泰「……そういや、網のオッサンは結局、終始無言だったな」

仗助「ま、おれらとしてはありがたいけどな。……つーか思えば、まだ修行は始まってすらないのか……」


康一「ええと、しばかれた回数は、今のところ仗助君が二回。億泰君が四回で、僕が一回だね」

億泰「道中でこれか……。はぁ、本番はこの比じゃないんだろーなぁ……」


仗助「始まる前からそんな弱気でどうすんだよ。ほら、頑張ろうぜ。億泰」

億泰「じ、仗助……! それじゃクレDでオレのケツ治して」

仗助「それは嫌だ」


億泰「……即答だな、オイ」


[一方その頃/バス車内]


カーズ「あの人間どもに対する鮮やかな切り返し……。見事だったぞ、ワムウよ」

ワムウ「勿体無きお言葉で御座います、カーズ様」


エシディシ「……ところで、そこの……、ディアボロ、だったか。あいつは何をしてるんだ?
      確か、ヒョウモンダコのモノマネをして奴らを笑わせる手筈だったと聞いたんだが……」


カーズ「さあな……、下等な人間の思惑など、我らの知る由も無い」

エシディシ「ま、それもそうだな。取り敢えず、さっさと撤収するか。……おいそこの、起きろ。置いてかれるぞ。……おい、聞いてんのか、……」



エシディシ「死んでる……」





ディアボロ「」


[本日のボス:死因 急ブレーキによるショック死]


[ぶどうヶ丘高校 昇降口]


仗助「……お、見ろよお前ら。何かメモがあったぞ」


康一「何なに……、『すぐに体育館まで移動されたし』……か」


億泰「ここでこうしててもしょーがねーし、行くか。……絶対ロクな事ねーだろーけどよォ」


康一「まぁ、今までのは全部不意打ちだったし、最初から『何かある』って覚悟してればきっと大丈夫だよ!」


仗助「それもそうだな。じゃ、行くか!」


[体育館]


仗助「……こんにちはーっス。……って。あ、アレは……!!」


若ジョセフ「ハッピーうれピーよろピくね――――!!」


仗助「…………!!?」



ジョセフ「やっほー俺の息子ちゃぁーん!元気してたン?」


仗助「……ま、まさかジジイかよッ!?わ、若っけぇ……!!」


ジョセフ「まぁ、何てったってまだピチピチの18歳だし?ほらほら皆さんご一緒にぃー」


ジョセフ「ハッピーうれピーよろピくね――――!!」



康一「……す、すごいなあ、若い頃のジョースターさん。……色んな意味で」ヒソヒソ

億泰「オレら、普段はヨボヨボのジョースターさんしか知らないもんな。ASB時空ってスゲー」ヒソヒソ


[数分後]


ジョセフ「さーて。感動の対面を果たしたところで、早速この企画の流れを説明しちゃうぜー。シーザーちゃん!」

シーザー「了解だ。……君たちには、今日一日、この学校で『授業』を受けてもらう」


仗助「!? じゅ、授業……、っスか?」


シーザー「勿論、ただの授業じゃあ無いぞ。其々の授業には、あらゆる場面で活躍をなしてきた、個性豊かな『講師』をお招きしてある」

仗助(あ、ダメだ。もう嫌な予感しかしねえ)


シーザー「授業数は――昼食の休憩を挟んで――全部で4コマ。4時限目の終わりを以て『放課』、つまりこの企画の終了となる」


シーザー「あ。それと、ルールは基本『絶対に笑ってはいけない』だが、授業によっては違う場合もあるぞ。……ここまでで、何か質問は?」


仗助「ハイ。タイトルは『絶対に笑ってはいけない杜王町24時』なのに、何で24時間じゃないんスか?」


シーザー「……………………」ポチッ


\デデーン 仗助アウトー/


仗助「!? は!?ま、待て俺笑ってなギャァッ!!」バシィイン!


康一「……どうやら、この話題には触れない方が良いみたいだね……」


億泰「怖えー……。くわばらくわばら」


シーザー「……大人には、大人の事情ってもんがあるのさ」


シーザー「……しかし、君がJOJOの息子か。……成程、確かに、あいつの面影があるな……」


仗助「……そう言うあんたは確か、シーザーさんっスよね。……たまに、ジジイから聞いてたっス。
   『キザでスケコマシな野郎だったが、生涯最高の相棒だった』って」


シーザー「……フ。あのスカタンが。何が『スケコマシ』だ。人が『いない』間に、言いたい放題言いやがって」


仗助「……、シーザーさん……」


シーザー「……ああ、心配はいらない。文句なら、そこのイモ野郎に直接言うさ。……ここでは、それが出来るんだからな」


仗助「……そっスね。容赦なく、存分に言ってやって下さい」


シーザー「ありがとう。これで君が見目麗しいシニョリーナだったらもっと嬉しかったんだけどな」


仗助(噂に違わぬスケコマシだ……)


ジョセフ「じゃ。そろそろ、今日一日お前らをサポートする進行役を紹介するぜー。呼んでくるからちょっと待っててねん」


仗助「……? 『進行役』?」


シーザー「ああ、すまない。言うのを忘れていたな。今日は一日、こちらの指示に従って行動してもらうが、
     その指示を出したり、何かあった時に対応したりするのが『進行役』だ」


ジョセフ「そうそう。すんげー美人でめちゃくちゃ強い人だから期待してろよー」


ガララッ バタン!


仗助「……そ、そういや聞いた事があるぞ……。確か、ジジイのお袋さんはスンゲー美人でめちゃくちゃ強かったって……」


億泰「えー。美人っつったって、18歳のお袋さんっつったら、50かそこらだろォ?オレのストライクゾーンじゃねーや」


仗助「それが、実年齢はともかく、見た目年齢はどうみても20の後半だったらしいぜ」


億泰「マジかよ!よっしゃ、それだけで俺ァ今日一日耐えられるぜ!」


康一「現金だなぁ……」


仗助「……ん?どうしたんスか?シーザーさん。浮かない顔して」


シーザー「……いや、何でもない……」


仗助「……? なら良いんスけど……、……お、足音が聞こえてくる」



カツ カツ カツ


億泰「おお!こ、この粛々としたヒールの音は、まさしく!」


カツ カツ


ガラッ


テキーラジョセフ「ハァイ。あたしが今日一日、貴方がたのお世話をさせてもらいますの~~。よろしくねェ~~ん♪」ムッホォ…


億泰「」


仗助「」


康一「う、うわああああ化け物ッ!!」



シーザー(強く生きろ、少年達よ……)


ジョセフ「……あれ、意外と評判悪いな。こんなに美人なのに」


仗助「客観的に自分を見れねえのかあんたは!鏡見ろ!」


ジョセフ「いやん息子ちゃんひどーい!……ん?」


億泰「………………」


ジョセフ「……ちょっとだけよン」チラッ


億泰「ゴッハwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


\デデーン 億泰アウトー/



億泰「だああしまったッ!!」


仗助「お、億泰ぅうううううううッ!!」


億泰「畜生!せめて!せめて二十代の美人で笑いたかったタコス!!」バシィイン!


仗助(同情するぜ、億泰……)



ジョセフ「……?、俺の予定じゃ鼻血を吹きだすハズだったんだけど」

シーザー「吐血しなかっただけまだマシだろ」


ジョセフ「まぁいいか。じゃ、早速移動するわよ~。はぐれないでねェん」ナヨォ…



康一「……え?まさか今日一日コレ!?なんの拷問!?」


億泰「た、確かに精神力は鍛えられるかもしんねーけどよ……。おい仗助、なんとかしろよ……」


仗助「む、無茶言うなよー……」


[一時限目]


ジョセフ「時間になったら迎えに来るから、それまで頑張ってねェん!じゃ、また後で!」


バタム!



仗助「や、やっと行ったか……。……いや、思春期男子にアレはキツかったぜ……」


康一「本当にね……。それにしても、一体今から何が始まるんだろう」


億泰「さあなー。……お、誰か来るぞ」


ガララ


ブチャラティ「……おはよう。俺が一時限の授業を担当する、ブローノ・ブチャラティだ。よろしくな」


康一「よ、よろしくお願いします」


億泰「オナシャース」



康一「……よ、良かった!普通の人みたいだよ!名前はちょっと面白いけど」ヒソヒソ


仗助「さっきのジジイ見た後だと、もう何でも普通に見えるぜ……」ヒソヒソ


ブチャラティ「さて、今日は『精神力』を鍛える為の授業を、との事だったな」



ブチャラティ「……これは、あくまで持論だが……。強い精神は『覚悟』が作ると、俺は思っている」

ブチャラティ「だが、『覚悟』を口で語るだけでは、恐らく説得力はあまりないだろう。
       そこで、この授業では実際に君たちの目で見て、俺の覚悟を学びとってもらいたい」


仗助(……お、何か普通に授業っぽいな)



ブチャラティ「……それでは、早速始めよう。入ってきてくれ」


ガララ

ジョルノ「……おはようございます、皆さん」


康一「…………!」


ジョルノ「やぁ、久しぶり。コーイチ君。元気そうで何よりだよ」


康一「うん。久しぶりだね、ジョルノ。お陰さまでお尻以外は元気だよ」


仗助「お?何だ、知り合いか?」


康一「うん。イタリアでちょっとね。リーグの予選も同じグループだったんだよ」


仗助「へぇ。……その辺のよしみで見逃してくんねーかなぁ……」


ジョルノ「覚悟を決めて下さい。……それじゃあ、行きますよ。ブチャラティ」


ブチャラティ「ああ、ひと思いにやってくれ」


仗助「……?一体何が始まるってんだ?」


康一「……ハッ!! ……ま、まさかッ!!」



ジョルノ「『ゴールド・エクスペリエンス』!!」



    /:::::::::`ソ´: ̄:ヽレ'´: ̄::ヽ:::\
   /::::/:::::/:::ヽ::::::::/::::::::;::::イ ̄:ヽ:\
  ::::::::/:::::/::::::::::r ナK:::::/`:::ー-:-:'ニ}:::::ヽ
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   ::::::::::::; ー--=ニ ---一' -_ニ、 / /::::::::i     
   :::::::::::i ,r -fでテミ \__,  ノ ヒヅ´_,∠::::::::::!
  ..::::::::::l  `^ ゙‐'ヲ´ /  // //二ニ=-:L,__
   .:::::::::l      /   // / /    \
   ::::::::l   ,  (   r / ./ /        ヽ
   .::::::::!   ,へ、ノヽ-'/ f´\          |
    ::::::i  `「ン--─/  ∧  ` ー、
      ::::::! ( '´  //  | ',     ハ      l
.    V:::l! ` ̄  ノ   l { / \‐一 ノ\
      ヽ:ll\  ´   l_トL__ヽ--' )、 ` ̄ ´
          ̄  ̄ ̄ \  ヽ. /  )、    }



ジョルノ「……………………」


ブチャラティ「……………………」



仗助「……………………」


億泰「……………………」


康一「……………………」




康一「……誰か笑ってあげなよ。ここまで体張ってこの沈黙って、ブチャラティさんが居た堪れないよ……」ヒソヒソ


億泰「俺ァ嫌だかんな。そう言うならオメーが笑ってやれよ康一」ヒソヒソ


康一「ぼくだってやだよ。ホントお願い。ぼく以外なら誰でもいいから」ヒソヒソ


億泰「自分がいやなもんを人にやらせんなッ!どーいう性格してんだテメー!」ヒソヒソ


ブチャラティ「……、どうやら……、俺は、ここまでのようだな……」


ジョルノ「ブチャラティ……。貴方の覚悟は、確かに彼らに届きましたよ。ですが、今の僕らに足りないものがある」


ジョルノ「そう、それは『もう一押し』……。……ミスタ!ナランチャ!フーゴ!」


ガララ



ミスタ「何だ、呼んだか?」


ジョルノ「…………ゴニョゴニョ」


ミスタ「……成程。よし、分かった。ちょっと待ってろ!」



ガララ バタン!


仗助「……?な、何だ?まだ何かあるってのか?」


[数分後]


億泰「お、足音が近づいてきたぞ……!」


ガララ


ミスタ「あんたにしか頼めないことなんだ、頼んだぜ!」


フーゴ「お願いします。僕らには、どうしても貴方の協力が必要なんです……」


ナランチャ「そうそう!俺らに力を貸してくれよォー、ポルナレフさん!」


ポルナレフ「ま、そこまで言われちゃーしょーがねえなあ!よく分からんがこの俺に任せとけ!……で、何をすればいいんだ?」


ジョルノ「……初めまして、ポルナレフさん。お久しぶりですね」


ポルナレフ「お?おう、久しぶ、り……。 ……ん?」


ジョルノ「では早速ですが『ゴールド・エクスペリエンス』!!」


ポルナレフ「えっ何っちょ待っ(AA略)」









[※参考動画:ttp://www.youtube.com/watch?v=OB19PPSy_3Q]



ジョルノ「……………………」


ポルナレフ「……………………」



仗助「……………………」


億泰「……………………」


康一(……AAが見つからなかったのか……)


仗助「……ハハハ」


億泰・康一「!」



\デデーン 仗助アウトー/





仗助「おれ一人の犠牲で済むなら安いもんよカッツォ!!」バシィイン!


億泰「! じょ、仗助、お前って奴は……!」


康一「この世のどんな人よりもやさしい男だよ、君は……!!」



ブチャラティ「……フフ。どうやら、彼には既にあったようだな。気高き『覚悟』というやつが……」


ポルナレフ(……え?何のために殴られたの俺)


キーンコーンカーンコーン


ジョルノ「……おや、チャイムが。……それじゃあ、僕たちはここで。幸運を祈っていますよ、三人とも」


ブチャラティ「アリーヴェデルチ(さよならだ)!」


ナランチャ「じゃあなー!頑張れよお前ら!」


ガララ バタン!




仗助「な、何かどっと疲れた……」


康一「お疲れ様、仗助君」


億泰「お前こそ男の中の男だぜ、仗助……」


仗助「ありがとよ……」


仗助「しっかし、これが後三コマ続くのか……。生きて帰れるかな、俺」


億泰「もしここで死んだら、死亡診断書に『死因:臀部への殴打』とか書かれんだろうな……」


三人「……………………」





康一「……覚悟、決めようか…………」


仗助「おう…………」


[数分後]

ガララ


ジョセフ「お疲れ~。ナイスファイトだったぜ?仗助」


仗助「ジジイ!テメー、見ていたなッ!」


ジョセフ「そりゃあ、愛する息子の雄姿だし?」


仗助「雄姿って、笑い堪えてケツしばかれてるだけじゃねーか……」


ジョセフ「ま、そうとも言うけど。じゃ、また移動するからついて来てねェ~ん」ナヨォ…




億泰「……か、顔を隠せば、何とかボンキュッボンの美人に見えないことも……」


仗助「こんなデカくて筋肉質な女いるわけねーだろ……」


[二時限目]


億泰「ここは……、美術室?何だ、絵でも描くってーのか?」


ジョセフ「それは後でのお楽しみよん。じゃ、また時間になったら迎えに来るから!バァイ!」


ガララ バタン!


仗助「美術室か……。……なーんか嫌な予感がすんだよなぁ……」


康一「むしろ今日一日の中で、嫌な予感がしなかった時がないじゃないか……」


仗助「それもそうだけどよー……。……お、来るぞ」


ガララ


露伴「やぁ、おはよう。頑張ってるみたいだね、康一君。と、ついでにそこのアホ二人」


仗助「うーわ出た……、予想はしてたけどやっぱ露伴か……」


露伴「相変わらず礼儀をわきまえない奴だな、お前は。……まぁ良い。僕が二時限目の授業を担当してやっているんだ。感謝しろ」


仗助「あんたがこのまま帰ってくれたら、感謝すんのもやぶさかじゃあないんスけどね……」


康一「それで、露伴先生。今から何を……?」


露伴「よく聞いてくれたね、康一君。……今日は『精神力を鍛える為の授業を』との事だったが……
   強い『精神』は、『いかに自分の感情を、自分でコントロールできるか』というところに掛かっていると、僕は思う」


露伴「ま、そこの髪を貶されただけでプッツンするようなリーゼントには、少し難しい話かもしれんがな」


仗助(は、腹立つ……)



露伴「……そこで、今日僕が用意したものは、この企画の為だけに書き下ろした、この僕直筆のギャグ漫画だ」


億泰「……ぎゃ、ギャグ漫画?」


露伴「そうだ。……今からお前らには、これを読みながら込み上げる笑いの衝動に耐えてもらうッ!
   ま、これを読んで笑いを堪えるなど、到底不可能だとは思うがな!せいぜい尻の痛みに耐える準備をしておくがいいッ!!」


仗助「……よし、億泰。頼んだ」スッ


康一「あ、億泰君。ぼくのもお願い」スッ


億泰「おっしゃ、任せとけ!『ザ・ハンド』!!」ガオン







露伴「な、何をするだァアアアアアアッ!!」


露伴「…………、何て、奴だ……。人のマンガを、読みもせず……」フラフラ


ガララ バタン


康一「……行っちゃった。……流石に、少し可哀想だったかな……。表紙くらいは見てあげればよかったよ」


仗助「表紙すら見てねーのかよお前……。おれ、一応表紙は見たぜ。二秒くらい」


億泰「……けどよォ、この時間を担当している露伴がどっかいっちまったって事ァ……、もしかして、このまま次の授業まで何もナシか!?」


仗助「……!!そいつぁグレートだぜ!……や、やっと休める……ッ!!」


億泰「この企画始まってからずっと、心休まる時なんてなかったもんなぁ……」


[数分後]


ガララ


康一「さよなら僕らの平穏な時間!短かったね!!」


仗助「数分……、数分、か……。畜生ォ!誰だッ!!……って、お、お前は……!!」



重清「お久しぶりだどー!仗助さん、億泰さん!」


億泰「……ま、まさか……ッ!!」


仗助「し、重ちー!!」


億泰「お前……!!……何だよ、随分元気そうじゃあねーかよォーッ!!」


仗助「ハハッ。オイ億泰、何泣いてんだよお前!」


億泰「ば、バッカお前、全然泣いてねーよ!つーかそう言うオメーこそ泣いてんじゃあねーか!」


仗助「泣いてねぇ!1ミリたりとも泣いてねぇ!!」



康一「もう、二人とも……。……初めまして、僕は広瀬康一。君の事、話には聞いていたよ。重ちー君」


重清「初めましてだどー、康一さん。……それにしても、二人とも大号泣だど……」


康一「それだけ君に会えて嬉しかったんだよ。……ところで、ここへは何をしに?」


重清「ハッ、そうだった!オラ、皆さんを笑わせに来たんだどーっ!」


三人「!!」


仗助「成程、お前が次の刺客って訳か……!」


億泰「よっしゃこいっ!どんなギャグにでも耐えてやるぜェーッ!」


康一(さっきとの温度差が露骨だな……)


重清「ししっ。けど、三人とも。ここに来たのは、実はオラ一人じゃあないんだど」


仗助「……?一体誰が……」


ガララ


川尻吉良「……全く。平穏に過ごしたいだけの私が、何故貴様らのようなクソカスどもと関わり合いにならなければならないのだ……」


仗助「…………!!て、テメー……!!吉良吉影ッ!!」


重清「……?何を言っているんだど?仗助さん。あいつはこんな顔じゃあなかったど」


仗助「……そうか。重ちー、川尻の方は知らないんだったな」


億泰「……で、テメー、何しに来やがった!!またボコられにでも来たってか?あぁ!?」


吉良「私だって、来たくて来た訳じゃあない。……君達の反則で予定が狂ったから、急遽私たちが駆り出されたんだ……」


仗助「……ああ、成程。……ん?それじゃあアンタがおれらを笑わせてくれるっつー事っスか?」


億泰「……正直あんま想像出来ねーな。したくもねーけど」


吉良「ハァ……。一度しか言わないから、良く聞いていろ。……私の頭に注目してくれたまえ」


仗助「?一体何が……」


吉良「スイカ」



康一「……ボフッ」


\デデーン 康一アウトー/



康一「……え!?今のアウト!?折角耐えたと思ったのにアウフッ!!」バシィイン!



億泰「……康一オメー、逆によくアレで笑えたな」


康一「ぼく、真顔には弱いんだよ……」


吉良「全く、忌々しい……。何故この私が、このような自虐めいたネタなど……」


仗助「……若干同情はするっスけどね。ざまぁ」


吉良「クソカスが……」


億泰「で、重ちー。オメーは何をすんだ?」


重清「……お願いしますど」


吉良「把握した。……今度は、彼の頭に注目したまえ」

康一「……? 重ちーくんの?」


吉良「ドリアン」


康一「…………プスッ」

\デデーン 康一アウトー/


康一「ああああぁッ!もう!」


康一「だから真顔は弱いんだってばアヒィッ!!」バシィイン!


仗助「ドンマイ、康一……」



億泰「……しっかし。まさか、こんな所でオメーに会えるたぁなー。会えて嬉しいぜー、重ちー」


仗助「何か余計なモンも付いてきてっけどな」


重清「ししっ。皆、元気そうで何よりだどー」


吉良「……余計で悪かったな」


[数十分後]


キーンコーンカーンコーン


重清「あ、チャイムが。……それじゃ、皆。またいつか、ゆっくり話すどー!」


吉良「……終わるまでに、その尻が爆発していない事を祈るよ。クク」


ガララ バタン!



億泰「……『またいつか』、か。いい響きだなァ」


仗助「おう。……こう思うと、この企画も悪いもんじゃないなって思えてきたぜ」


康一「お尻に危害が加わらなければ、もっと良かったんだけどね」


仗助「…………そうだな」


ガララ

ジョセフ「ハァイそこの三人組ー。早速だけど」ポチッ


\デデーン 全員アウトー/


三人「!?」



仗助「な、何でだよアウヌッ!!」バシィイン!


億泰「今回ノーダメと思ったのにチクショッ!!」バシィイン!


康一「心当たりは無いでもないけどヒギィッ!!」バシィイン!




ジョセフ「いやー。一部始終見てたけど、あの清々しいまでの反則行為。流石俺の息子チャンね」


仗助「あ、やっぱアレか……」


ジョセフ「次からはもっと厳しいペナルティが課せられるから、もうズルしちゃ駄目よん」ナヨォ…


仗助「……で、次は何があるんだよ」


ジョセフ「次は、待ちに待ったお昼休みよぉん。SPW財団支給のおいピーィ料理が食べられるから期待しててねん」ムッホォ…


億泰「ま、マジかよっ!」


ジョセフ「ちなみに。飯食ってる最中だろうが、笑えば当然容赦なくしばかれるからそのつもりで」


億泰「ま、マジかよ……」


仗助「俺たちに……、安息は無いのか……」


[昼食]


ジョセフ「時間はあるから、ゆっくり食べて英気を養ってねー」ナヨォ…


ガララ


康一「……、何か……、段々慣れてきたよ……」


仗助「慣れたっつーか、麻痺してきたっつーか……」


億泰「……ある意味で鍛えられてんのかもな。オレら」


ガララ


徐倫「お疲れ様、お昼の時間よ」


仗助「! も、もしかしてあんたは、承太郎さんとこの……!!」



徐倫「そ、あたしが空条承太郎の娘、空条徐倫よ。……アナタ達には、父さんがお世話になったみたいね」


康一「い、いやいや!むしろ、お世話になったのはこっちですよっ!」


徐倫「……あら。久しぶり、康一。リーグの予選以来?」


康一「その節はお世話になりました……」



億泰「……いーなぁ康一。おれんとこのグループ、マッチョと学ランとワキガしか居なかったぜ……」


仗助「それ言ったらオレなんて、ヘソ出しのマッチョとチャック全開のマッチョしか居なかったぜ……」


康一「まぁ元々、女性の参戦人数が圧倒的に少ないもの。しょうがないよ」


億泰「まーなぁ……。後から一人増えたってのは知ってっけどよ……。それでも合わせてたったの二人かぁ……」


エルメェス「ヘイッ!!」


億泰「うおおおおっ!さ、サーセン兄貴!!」


エルメェス「誰が兄貴だッ!!」



康一「……兄貴?」


億泰「いや。何かそう呼ばなきゃいけない気がしてよォ……」



徐倫「フフ、楽しそうね。……今日は、あたしたちがお昼の配給係を担当してるの。今持ってきているから、ちょっと待っててね」


億泰「…………!」



億泰「おい、聞いたか仗助!康一!正真正銘の美人が担当だとよ!ラッキーだぜ、こりゃあ!!」ヒソヒソ


仗助「……、おう、そうだな…………」ヒソヒソ


億泰「……何だ?浮かない顔しやがって。嬉しくねーのかよ」ヒソヒソ


仗助「勿論嬉しいけどよ……」ヒソヒソ


康一「『絶対何か裏がある』……、か」ヒソヒソ


億泰「……考えすぎじゃあねーの?」ヒソヒソ


ガララ 

アナスイ「待たせてしまってすまない、徐倫」


徐倫「あら。早かったのね、アナスイ。お疲れ様」


アナスイ「何てことはないさ。君のその可憐な腕に、こんな重いものを持たせる訳にはいかないからな……」


徐倫「そういうのいいから、早くあの子達に渡してあげてよ」



アナスイ「……ホラ。ガキども、飯だ。ありがたく食えよ」ペイッ


仗助「……露骨すぎて最早腹もたたねえ……。いっそ清々しいわ」ヒソヒソ


億泰「……まぁ、何かイマイチ報われてないっぽいし、いいじゃねーか」ヒソヒソ


康一「とにかく、温かい内に食べようよ。……頂きまーす」


[数十分後]


康一「ごちそうさまでした。……何か仕組まれてるんじゃないかって少しだけ心配していたけど……、普通に美味しかったね」


億泰「……勿論、これも旨かったんだけどよォ。オレとしてはやっぱトニオさんの料理を食いたかったなァ……」


仗助「多分、今それしたら、物凄い勢いではじけ飛ぶぞ俺らのケツ……」









徐倫「き、きゃああああああああッ!!」


三人「!!?」



康一「ど、どうしたんですか!?徐倫さん!!」


徐倫「あ、あたしが座っていた席に、こんな手紙が……!!」



[徐倫へ 今日お前の部屋に入ってやるぞ。フフッフフフフフフフ]




エルメェス「……! こいつは、脅迫状って奴か……!」


仗助「な……ッ!い、一体誰が……!!」



アナスイ「……俺もエルメェスも、その机には触れていない……」


アナスイ「つまり、この教室の中で手紙を机の中に入れる事が出来た人物は……、お前ら三人の中にしか居ないッ!!」


三人「!!?」


康一「ちょ、ちょっと待って下さい!濡れ衣です!ぼく達はそんな事……!!」


ガララ


プッチ「『精神力』の成長とは!!己の知能を磨くことによって起こるものであると、私は考える!!」


億泰「うおびっくりした!!……え、何?成長?」


仗助「……! 成程、これも授業の一環って事か……!」



プッチ「さぁ。少年達よ、考えるのだ!この状況で、己が取り得る『最善の一手』を!」


康一「……そういうことか。つまり、その一手を見誤れば、待っているのは変態の烙印……!!」


アナスイ「ちなみに、罰ゲーム執行役には承太郎さんをお招きしてある」


康一「事実上の死刑宣告!」



承太郎「……………………」ブンッ ブンッ



仗助「うっわああメッチャしばき棒ブンブンしてる!自慢じゃあ無いが、アレ食らったらおれ余裕で[ピーーー]る!」


億泰「文字通り、命がけの勝負って事か……」


仗助(……とにかく、ここは有無を言わさず先手必勝……!!)



仗助「ハイ、承太郎さん!俺、億泰君が机の中に入れてんの見ました!!」


億泰「オイちょっと仗助お前マジふざけんなよコラ!!お願いだから!!」



承太郎「……、そうか、お前か……」ブンッ ブンッ


億泰「ち、違っ。……あ、そ、そうだ!さっき仗助君がやってるの見ました!!オイ仗助テメー何人に罪なすり付けてんだよ!!」


仗助「は!?やってねーよ!何時何秒何回地球が回った頃か言えんのかテメー!!」


億泰「言える訳ねーだろ小学生かお前バーカ!ターコ!」

ギャー ギャー


康一(知性を、磨く……?)


ギャー ギャー


アナスイ(……正直、あのガキどもがしばかれようが何されようが、俺にとってはどうでもいい)


アナスイ(俺が考えている事はただ一つ……、承太郎さんから、徐倫との結婚の許可を頂く事!!)



アナスイ(聞けば、今ここにいる承太郎さんはまだ17歳……。当然徐倫の事も知らないはず)


アナスイ(そして、二人の対戦の時にチラッと聞いた、承太郎さんの『やれやれだぜ、くそがき』という台詞……)


アナスイ(……徐倫には悪いが、承太郎さんが娘に関心を持っていない今が、最大のチャンスッ!!)


アナスイ「承太郎さん!娘さんとの結婚の許可を……!!」


承太郎「オラァッ!!!」


アナスイ「グバァッ!!」メシャアッ!




徐倫「ちょ、ちょっと父さん!?何やってるのよ?」


承太郎「……なぜ頭にくるか自分でもわからねえ……。が、きっと頭にくるってことには理由がないんだろう。本能ってやつなんだろうな……」


徐倫「……ホンット、昔っから、その辺は変わんないのね……」



仗助「……!」


億泰「……!」

>>1
メール欄に「saga」入れよう。さげじゃなくてさが


承太郎「……それで、お前ら。結局どっちがやったんだ?」



仗助「………………」チラッ


億泰「………………」コクッ




仗助・億泰「「そこのロン毛がやりました」」


アナスイ「!!?」


承太郎「……、成程な…………」


アナスイ「!!?ちょ、ちょっと待って下さい、違っ」


承太郎「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!」


アナスイ「ぶひゃでえええええええええええええええええッ!!」

ドグシャアッ!!



億泰「よっしゃァ!!」


仗助「これがおれらの『最善の一手』だッ!!」


康一(えげつないなぁ)



アナスイ「」


[ナルシソ・アナスイ:再起不能]


キーンコーンカーンコーン


徐倫「昼食の時間は終わりね。……企画とはいえ、ヘンな物でっち上げてゴメン。それじゃ、頑張ってね」


エルメェス「最後まで気ぃ抜くんじゃあないぞ、お前ら!」


承太郎「…………」


アナスイ「」ズルズル


ガララ バタン!



仗助「……ホレ見ろ。やっぱ何かあったじゃねーか」


億泰「まぁ、この中で一番損したのは、多分あのロン毛だろーけどな」


康一「本当、慈悲の欠片も無かったね。君たちの連係プレー」


億泰「照れるぜ」


[昼休み]


康一「……あ。よく見たら、前に今日の予定表が張ってあるよ。……次の授業が始まるまで、まだ結構時間あるみたい」


億泰「マジか!今度こそ休める!!」


仗助「……そう上手くいきゃあいいんだけどな」



仗助「……ん?」ガラッ


康一「どうしたの?仗助君」


仗助「いや、机の引き出しの中に何か入ってたんだよ。……、これは……」


億泰「ボタン……だな」



康一「仗助君。ぼく、もう確信を持って言えるけど、それ絶対押さない方がいいと思う」


仗助「……わーってるよ。わーってるけど……」


億泰「……気にはなるよなァ……」


康一「……まぁ、ぼくもちょっと気になるけど……」




仗助「……………………」


億泰「……………………」


康一「……………………」





仗助「…………うりゃ」ポチッ


億泰・康一「!!」


ガララ


三人「!!!」



ジョニィ「……………………」


ジャイロ「……………………」






億泰「うわバカお前、何押してんだよ!何か来たじゃねーかッ!!」ヒソヒソ


仗助「だって気になるじゃねーかよ!……でも、何だ?タンバリン持った車椅子のイケメンと、ロン毛のイケメン?」ヒソヒソ


康一「い、一体何が始まるっていうんだ…………」ヒソヒソ


ジャイロ「チーズの歌!!」


三人「!!」ビクッ



ジャイロ「ピーザ モッツァレラ♪ ピーザ モッツァレラ♪ レラレラレラレラ」


ジョニィ「シャンシャカ シャカシャカ スッタン シャカシャカ」


三人「…………………………」



ジャイロ「ゴルゴンゾーラ♪ ゴルゴンゾーラ♪ ゾラゾラゾラゾラ」


ジョニィ「スッタン シャンシャカ シャンシャン シャカシャカ」


三人「…………………………」


ジャイロ「…………………………」


ジョニィ「…………………………」


ガララ バタン!



仗助「……行っちまった」


康一「……あ、アレは何?ぼく達を笑わせる意図で出てきたの?」


億泰「さーなぁ……。……タンバリンの方とか、オメーの大好きな真顔だったぞ、康一。笑わねーのか?」


康一「いや、流石にアレは…………」


仗助「何つーか、シュールだったな……。……あ!でも何か耳にこびりつく!!特にレラレラのところがッ!!」


億泰「え?……うわ本当だ!畜生、何て地味なダメージを残していきやがる!!」



[舞台裏]


ジャイロ「……っかしーなぁ。俺の算段じゃあ、歌が終わると同時に拍手が巻き起こり、
     あいつらは感動と幸福の涙を流しながら溢れる笑顔を抑えきれず、頬笑みの中で罰ゲームを迎え入れる……ってなるハズだったんだが……」


ジョニィ「しょうがないよ、ジャイロ。彼らも尻を守ろうと必死なんだ。『尻を守る』という覚悟の分だけ、彼らの方が飢えていた。って事さ」


ジャイロ「そうか……。……ちぇっ、自信無くすぜ」



     「お困りのようだなァ。何なら、俺が力を貸してやってもいいぜェ?ヒヒ」



ジョニィ「……! あ、あんたは……!」



     「……俺は誰かとコンビを組んではじめて実力を発揮するタイプ。……そこのアンタ。どうだ、俺と組まないかい?」



ジャイロ「…………!」 



ガララ


三人「!?」



ジャイロ「……………………」


ホル・ホース「……………………」



仗助「こ、今度は何だ?さっきのロン毛と……、誰だアレ。カウボーイか?」ヒソヒソ


億泰「また歌いでもすんのか?……お、仰向けに寝っ転がった」ヒソヒソ


康一「歌う訳じゃあないみたいだね。……あれ。もう一人が、それに重なって仰向けに寝っ転がった……?」ヒソヒソ


仗助「……!!こ、この構えは、まさかッ!!」ヒソヒソ


ムクッ


ホル・ホース「幽体離脱ゥ~」



仗助「……………………」


億泰「……………………」


康一「……………………クスッ」



\デデーン 康一アウトー/



康一「はっ、しまった!くだらな過ぎてついッ!!」


康一「何と言うかただ悔しいアギィッ!!」バシィイン!


仗助「……いや、まぁ分かるよ。油断するよな、アレは」



ジャイロ「……………………」


ホル・ホース「……………………」


ピシ ガシ グッグッ




ガララ バタン!



康一「……帰ってった。……何だかここのところ、ぼくばかりお仕置きを受けているような気がするよ……」


億泰「悪いのはオメーの笑いのツボだろ」


康一「……お仕置きの回数、ここまでは ぼくと仗助君が五回。億泰君が六回だね」


仗助「意外と少ねーんだな。……その分、一発一発が重いけどよー」


億泰「誰なんだろうな、オレらをしばいてる黒子の正体」


康一「さぁ……。かなりの手練っていうのは間違いないけど」


仗助「マジで一切無駄なく尻の一番痛い所突いてくるもんな、あいつ」


億泰「……そういやー俺の机の引き出し、何が入ってんだろ」


康一「あ、億泰君!不用意に開けない方が……!」


ガラッ


ヴァレンタイン「どジャアァあああ~~~ん」


バタム!!



康一「……何が入ってた?」


億泰「いや……、何か大統領チックなものが……」


仗助「……もう何でもアリだな…………」


仗助「……よし、康一。この際、お前の机の引き出しも開けてみようぜ」


康一「え!?や、やだよ!絶対何か入ってるもの!」


億泰「そう言っても、こん中で引き出し開けて無いのはオメーだけだぜ?そらいけ康一!」


仗助「男見せろ康一!」


康一「わ、分かったよ、もう……」ガラッ


仗助「……どうだった?」


康一「これは……。ビデオ、だね」


億泰「ビデオ?……確かにウチの学校、教室にTVとビデオデッキとは設置されてるけどよォ」


仗助「……………再生してみるか」


ガチャコン


音石『テレッテレッテッテーテー テレッテレッテッ テー テー♪』 


康一「なっ……!お、音石明ッ!?」


億泰「…………!!」



音石『空!こぼれ落ちた 二つの星がァー♪」



仗助「おお、熱唱している。……腹立つけど、やっぱギター上手いな」


康一「問題は、これがどう、ぼくらを笑わせに来るかってところだけど……」


[数分後]


音石『迷いなき、覚悟に喝采をォー♪』


康一(……あれ? 何か普通に終わりそうだ)



音石『そこいる全員ー、ア――――ウト――――――ッ!!!』



三人「!!?」




\デデーン 全員アウトー/


仗助「そう来るか畜生アダッ!!」バシィイン!


億泰「問答無用かよウギャッ!!」バシィイン!


康一「もう!だからぼく嫌だったのにウグッ!!」バシィイン!


[数十分後]


キーンコーンカーンコーン


仗助「あ、もう休み時間終わっちまった」


康一「何か……、休んだ気がしない……」


ガララ


ジョセフ「ハァイ、休み時間は堪能できた?それじゃ、移動するから着いてきてねん」ナヨォ…



仗助「……何かもう、ジジイが楽しそうならそれでいいかなって思い始めてきた……」ヒソヒソ


康一「あ、そうか。今まで実感湧かなかったけど、そういやこの人ジョースターさんか……」ヒソヒソ


億泰「俺としちゃー、むしろどんな人生送ってきたら、コレがあんなに丸くなるのかが気になるけどな」ヒソヒソ


[三時限目]


ジョセフ「次のは結構な曲者だから、しっかり頑張るのよぉん。じゃ、また後で!」


ガララ バタン!



仗助「……あの状態のジジイに曲者と言わしめる奴、か……。一体どんな奴なんだろうな」


康一「今まで出てきた人たちも、大概曲者だったけどね。……あ、来たみたいだよ」



ガララ


定助「……三時限目担当の、東方定助だ。よろしく」


億泰「『ヒガシカタ ジョウスケ』? 何だ、同姓同名か?」


仗助「名前の漢字は違うけどな。よ、久しぶり。リーグの本戦以来っスね」


定助「ああ、あんたは確か、ASBリーグシード権獲得初戦敗退の東方仗助」


仗助(挨拶代わりにトラウマえぐってきやがった)


康一「えーっと。久しぶり、定助君。ぼくの事は覚えてる?」


定助「勿論。君は広瀬康一。……康穂と一文字違いだから、よく覚えてる」


康一(……康穂?)


億泰「何だ、二人の友達か?なら俺も自己紹介しねーとなー。俺ァ虹村億泰ってんだ。よろしくな」


定助「よろしく、億泰。……俺の知り合いにも、虹村っているぞ。あっちは女性だけど」


康一「で、定助君。君は、今から何をするの?」


定助「それが、実は俺にもよく分からない。『普通に過ごすだけで良い』って言われただけだ」


仗助「……? 何を企んでんだ?企画者は……」


定助「……ああ。でも、そういえば『この紙を渡すように』とは言われていた。ホラ」


康一「何々、『心を乱したらアウト』……?どういう事?」


億泰「さあなー。……ん?何か足音が近づいてくるぞ」


ガララ


康穂「お待たせ!遅くなっちゃってごめん、定助」


定助「康穂ォ!」


三人「!?」


康穂「ホントごめんね、定助。一人で大丈夫だった?」


定助「うん、もう大丈夫。こうして今、康穂が来てくれたから」ギュウ


康穂「も、もう定助ったら!」


イチャコラァ……




三人「…………!!」



[瞬間!彼らは理解したッ!これはれっきとした『試練』なのだと!目の前に広がるのは、なす術もない理不尽に耐える為の『試練』なのだとッ!!]


[数十分後]


イチャコラァ……!



康一(一つ、気付いた事がある……。この『試練』、既に恋人がいるぼくや、常時モテている仗助君を狙ったものじゃあない……)


康一(明らかに、億泰君一人の動揺を狙ったもの……ッ!!)


康一(何て……、何てむごい事を……ッ!!)


康一(……大丈夫かな、億泰君)チラッ



億泰「…………………………」



康一(……? あれ、意外だ。あの億泰君の目……、まるで凪いだ海のように静かで、穏やかだ……)


康一(……ぼくの考えすぎだったかな?)


[数十分後]


キーンコーンカーンコーン


定助「……時間だ。帰ろう、康穂」


康穂「そうね、定助。それじゃ、お邪魔しましたー」


ガララ バタン!




仗助「……プッハァ!や、やっと終わった……!ちくしょう承太郎さんめ、何が『苦行めいたものじゃあない』だよ……。
   カップルのいちゃコラを目の前で見せられ続けるって、逆に苦行以外の何だってんだ……」


康一「ぼくとしては微笑ましかったけどね、あの二人のやり取り」



康一「それより。お疲れ様!億泰君。君が一番頑張ってたよ!」


仗助「おお。それ、おれも思ってたんだよ!康一が告られただけで泣いてたお前が、あんなに静かにしてるなんてよー」


億泰「……………………」


康一「……億泰君?どうしたの、もう三時限目終わったよ。……億泰君? …………」



康一「し、死んでる…………」


仗助「お、億康ぅうううううううッ!!」


億泰「」


[数分後]


億泰「ハッ! こ、ここは……!?」


仗助「お、億泰!生きとったんかワレッ!」


億泰「……何だか、変な夢を見てたぜ……。夢の中で形兆の兄貴に『どこへ行くんだ、億泰』って聞かれてよー。
   『取り敢えずカップルのいないところ』って答えたら、目が覚めたんだ……」


康一「うん、もう大丈夫だよ!カップルどっか行っちゃったからね!」


仗助「まぁ、カップルのいちゃコラ見せられただけで呼吸と心臓止まるお前もどうかと思うけどな」



康一「……それにしても。遅いね、ジョースターさん。もう三時限目が終わって数分経ったっていうのに……」


仗助「そうだな。……ま。何にせよ、次で『授業』は終わりだ。気合い入れ直していこうぜ」


テレッテレッテッテーテー テレッテレッテッ テー テー♪


仗助「……あ。悪い、おれの携帯だ。……ん? ジジイからメール?……何々、『体育館で待っておるぞ』……」


康一「……口調が変わっているね。何か意味があるのかな?」


仗助「ま、行って確かめりゃーいいだけの話だろ。早く行ってちゃちゃっと終わらせちまおうぜ」


億泰「違ぇねーや。……じゃ、行くか。最後の授業に!」


[四時限目/体育館]


億泰「さーて到着、っと……。って、……ん?何だ、こんな所に犬?カワイイもんだなぁ。ほれ、お手」


ドワワバウバウバウバウ!!


億泰「のわあああああッ!!な、何だこの犬ッ!!か、顔に引っ付いてとれねえ!!おい!助けて!この犬どけてくれーっ!!」ブチブヂブチッ




  「……そいつの名は『イギー』。人間の髪の毛を大量にムシリ抜くのが大好きで、むしる時に人の顔の前で屁をするのが趣味の、変わった犬だ……」



                  ・・・・
康一「あ……、貴方は……!……いえ、貴方がたは……ッ!」



承太郎「……俺達が、四時限目の『授業』の講師だ。……よろしく頼むぜ」


アヴドゥル「話は聞いているぞ。……君がジョースターさんの息子か。……会えて良かった」



仗助「十二年前の、ジジイの旅の同行者……!!」


ジョセフ「すまんの、三人とも。ジジイ早着替え中じゃったから迎えに行けなかったんじゃよ」


仗助「……何だジジイ、ちょっとカッコいいじゃあねーかよ。女装よりもそっちの方がイカしてるぜ」


ジョセフ「あっちも自信はあったんじゃがのう。この照れ屋さんどもが」


仗助「あれで照れる男子高校生はこの世にゃいねーよ」



康一「……それで、ジョースターさん。今からぼく達は何をすればいいんですか?」


花京院「……取り敢えず君達は、早くそっちの彼を助けてあげたらどうだい?」


康一「……あ」


仗助「わ、悪い億泰。忘れてた」



億泰「」プ…


イギー「アギギ」


承太郎「……それで。今から何をするか、だったな」


承太郎「……少し他人の言葉を借りるが、『公正なる「果し合い」は、自分自身を人間的に生長させてくれる』……。
    それはどんなに机に向かおうが、修練を積もうが、決して得る事は出来ない生長だ」


承太郎「……そこで、今回お前らには『実戦』という形で、俺達との『果し合い』に臨んでもらう」


三人「…………!」



康一「ちょ、ちょっと待って下さい!言ってる事は分かりますけど、僕らと貴方がたとでは経験が違いすぎる!公正な勝負になるとは思えませんっ!」


承太郎「……そこの所は心配ない。そう言うと思って、戦闘の経験は関係の無い種目を選んである」


康一「……そ、それは……?」


承太郎「……今からお前達が挑んでもらうのは、高校生なら馴染みも深いであろう『ドッヂボール』だ」


三人「!?」



仗助「た、確かに。それなら経験の差は関係ないかもしれないっスけど……。……何か、一気に和やかになったっスね」


承太郎「……そう言っていられるのも、今のうちだぜ」



億泰「……それにしても、これが17歳の承太郎さんかぁ……。言われてみりゃー、いつもに増してワイルド感が増してる気がするぜ」


仗助「……つーか昼飯の時も思ったけど、ここにいる承太郎さんが17歳っつーんなら、冒頭の承太郎さんは一体何だったんだ?」


承太郎「……『違う世界から連れてきた』と、巻き毛の男が話していたのを聞いたが」


康一「……うっかりはち合わせない様に気をつけて下さいね。承太郎さん」


承太郎「……善処しよう」



仗助「た、確かに。それなら経験の差は関係ないかもしれないっスけど……。……何か、一気に和やかになったっスね」


承太郎「……そう言っていられるのも、今のうちだぜ」



億泰「……それにしても、これが17歳の承太郎さんかぁ……。言われてみりゃー、いつもに増してワイルド感が増してる気がするぜ」


仗助「……つーか昼飯の時も思ったけど、ここにいる承太郎さんが17歳っつーんなら、冒頭の承太郎さんは一体何だったんだ?」


承太郎「……『違う世界から連れてきた』と、巻き毛の男が話していたのを聞いたが」


康一「……うっかりはち合わせない様に気をつけて下さいね。承太郎さん」


承太郎「……善処しよう」


[数分後]


ジョセフ「……さ、それじゃあ、わしから軽くルール説明をさせてもらうぞ」


ジョセフ「お前達のチームの内野は当然、お前達三人。わしらのチームの内野は、わし、承太郎、ポルナレフ。
     花京院がこっちのチームの外野で、アヴドゥルがお前達のチームの外野じゃ」


ジョセフ「被弾はもちろん、コートの線を二度越えてもアウトじゃ。それと、一度外野に行ったら、もう内野には戻れないからな。……他に質問は?」


康一「いえ、特にありません」


ジョセフ「そうか。ならば、早速始めるとしようかのう」


仗助「……ふっふっふ。自慢じゃあねーが、ドッヂボールにゃあちょっと自信があるんスよ」


承太郎「そうか。それじゃあ俺は、その自信ってやつを粉々にたたっこわしてやるぜ……。お前の顔面と一緒にな」


仗助「……え、スンマセン承太郎さん、何か今スゲー穏やかじゃない台詞聞こえたんスけど」


ジョセフ「プレイボール!」


仗助「待って!ジジイ待って!!顔面アリ!?」


ジョセフ「アリじゃ!」


仗助「嘘だろジジイ!」


承太郎「……どうした、自信があるんじゃあなかったのか?」


仗助「いや。さっきまでは確かにあったんスけど……。ちなみにジジイ、スタンドの使用ってアリ?」


ジョセフ「アリじゃ」


仗助「……嘘だろジジイ」



承太郎「……それじゃあ、行くぜ。上手く避けろよ……。オラァッ!!」ヒュバッ


ドッゴォオオオン!!



仗助「うおおおおお!こ、コンクリートの壁に穴がッ!!」


康一「明らかにゴム製のボールが出していい破壊音じゃなかったよ今の!?」


花京院「承太郎、パス」ポーン


承太郎「…………おう」パシッ



康一「! またあの殺人ボールが来るよ……!!」


億泰「『公正な果し合い』っつーか、もうただの一方的な殺戮じゃねーか!どうやって取れってんだあんなん!!」


仗助「……いや、まだ方策は残されてるぜ。お前ら」


億泰・康一「…………!?」


億泰「ほ、方策っつったって、触っただけで骨の二、三本は持っていかれるぞアレ!」


仗助「心配すんな。そんな事、おれには関係無い」


康一「……!? 仗助君、『残された方策』って、一体……?」



仗助「ああ。残された、たった一つの策……!それすなわち、ジョースター家の伝統的な戦いの発想法ッ!!」


仗助「逃げるんだよォォォ――――――――ッ!!」ズダダダダッ



康一「あ、あれは……、ラインクロスッ!!」




[※ラインクロス:コートの線を踏む、超えるなどの行為]


[東方仗助:アウト]



仗助「よっしゃいち抜け!!じゃあお前ら!後は任せた!!」


億泰「ハッ倒すぞテメェ!!」


仗助「るせえ!!だってお前、顔か尻かなら……。顔か尻かなら、尻だろ!!」


康一「……仗助君も必死だったんだね。……あんなに鮮やかな反復横とび、初めて見たよぼく」


ジョセフ「……そうそう。言い忘れておったが、この時間はアウトになったら『一味違う』罰ゲームが待っておるからの」


仗助「あのボールに当たるよかマシだっつの。で、何が来るってんだ?」


\デデーン 仗助 タイキックー/


仗助「!?」



ガララ


ジョナサン「仗助!君を懲らしめるのに、罪悪感なし!」



ジョセフ「わしのじいさんの丸太のような足によるタイキックじゃ」


仗助「先言えジジイテメェ!!」


ジョナサン「お尻に刻むぞ!血族のビートッ!!」


仗助「えっちょっ嘘だろひいじいちゃんスンマセン勘弁して下さギャアアアアアアッ!!」ゴッボァ!


ジョナサン「……反省すべし、仗助!」


ガララ バタン!




仗助「け、ケツが……、何かケツがビリってきた……」


ジョセフ「波紋入りのタイキックは痛かろう……。という訳で、アウトじゃ、仗助。外野に行ってもらうぞ」


仗助「…………おうよ」



仗助(……予想以上に痛かったが、これで外野に行ける……!あの殺人ボールを食らわずに済む!!)


[外野]


アヴドゥル「先ほどの見事な逃げっぷり。ある意味流石だったぞ、仗助」


仗助「まぁ、その代償は思ったよりでかかったんスけどね……。尻が……」


アヴドゥル「……大丈夫か?ほら、私のふ菓子を食べるといい」スポッ


仗助「ブフゥwwwwwwwwwwwww」



\デデーン 仗助アウトー/




仗助「二段構えかよ畜生ォオオオッ!!」


仗助「ちょっタンマ!今はマジで尻はダギャアアッ!!」バシィイン!





ジョセフ「……強く生きるんじゃ、我が息子よ」


仗助「」



康一(……うわあ)


億泰(南無…………)


[数分後]


康一「……さて。仗助君の犠牲によって、逃げても地獄が待っている。っていうのは分かったけど……」


億泰「……いよいよもってどうすんだよ。スタンドの使用アリっつったって、俺らにゃ対応出来ねーぞ。あのスピード」


康一「……ぼくの『音』による攻撃も、あの承太郎さんに通用するとは思えない……」



億泰「…………仗助の言う通りかもな。頭か尻かなら、やっぱ尻……」


康一「……ぼくは、逃げないよ。億泰君」


億泰「!?」


康一「……ぼく達は、何のためにここまで来たんだ!?」


億泰「……!」


康一「卑怯な手も使おう。地獄に落ちることもしよう……。だけど逃げるってことだけは、しないよ!」


億泰「こ、康一!お前……!!」







承太郎「……そろそろ投げても良いか?」


ポルナレフ「もうちょい待ってやれ


康一(……とは言ったものの、何の策も無しに挑むのは単なる無謀……。巨大な敵に立ち向かうノミと同じだ)


康一(……考えろ!ぼくにとっての『最善の一手』を……!)


康一(……………………)



康一(…………!そうだ!)




承太郎「……いい加減、覚悟を決めな。お前ら……」



康一「……すみません、承太郎さん」


承太郎「? 何がだ……」



康一「『家に帰ってかあさんの料理の方がいいな』!!」


承太郎「……!!?」


承太郎「…………言ってる事が分からない……。イカれてるのか?この状況で…………」


ポルナレフ「……?どうした承太郎。スゲー冷や汗だぞお前」


承太郎「……何でも無いぜ」


ポルナレフ「そうか?なら良いんだけどよ。……どうしたジョースターさん。笑い堪えんの失敗したみたいな顔して」


ジョセフ「……何でもないぞ」


ポルナレフ「……?揃いも揃って、変な奴らだなぁ。……まぁいいや。なあ、そこのちびっこ。さっきの何グベラッ!!」ドゴッ




承太郎「…………要件を聞こう」


康一「……話が早くて助かります。……ゴニョゴニョ」


承太郎「…………お安い御用だ」


康一「それじゃあ、行きますよ。えいっ」ポーン


承太郎「…………」ボムッ



億泰「!?」


ポルナレフ「嘘だろ承太郎!」




[空条承太郎:アウト]



承太郎「……これでいいんだな?」


康一「勿論です。ありがとうございました」


億泰(……オレ、今後も康一だけは敵に回さないでおこう……)


億泰「……だが、これで一番の脅威は去ったぜ!後は二人だけ……!」


康一「……いや、億泰君。ぼくらの置かれている状況は、まだそんなに良いとは言えないよ……」


億泰「……? 何でだよ。オレ達、早速ラスボス撃破したようなもんじゃあねーのか?」


康一「……考えてもみなよ。『当てられた内野がどこへ行くのか』……」


億泰「……! そ、そうか!承太郎さんの脅威は、そのまま外野に……!」



康一「……そう。つまり、ぼくらが勝利するには『一度も相手にボールを渡すこと無く』残りの二人にボールを当てなければならないッ!!」


億泰「…………!!」


億泰「……そうだよな。一度キャッチされちまったら、外野にボールが送られるのは目に見えてるもんな……」


康一「……この勝負、『ただの』ドッヂボールじゃあ勝てない。……本当に、良い『授業』だよ。
   ぼくらは今、『知力』『腕力』……。そして『精神力』が試されている」


億泰「……へっ。試されてるってんならよォー。示してやんないとなァー!『オレらだって少しはやるんだぜ』っつー事をよォ!!」


康一「……うん!この勝負、絶対勝とうね!億泰君っ!」


億泰「おうよッ!!」




[一方その頃/外野]


アヴドゥル「……何やら内野が盛り上がっているようだが」


仗助「そうっスね……。おれにはちょっと眩しすぎて前が見えねえっス」


アヴドゥル「……後で爪の垢でも煎じて飲ませてもらうといい」


[内野]


ポルナレフ「……ところで、さっきお前らはこう言ってたな。『キャッチされたら負け』と。……つまりその瞬間、お前らの負けは確定してるって訳だ」


康一「! 貴方はよく見たら、今朝 無意味にジョルノに殴られていた……!」


ポルナレフ「今更気付いたのかよ……。まぁいいけど」


億泰「……それより、アンタ。『俺らの負けは確定』たぁ、どういう意味だ?」


ポルナレフ「そのままの意味に決まってんだろ。……オレのスタンドは、素早い動きを得意とするスタンド。
      お前らの投げるボールをキャッチするのなんて、造作もない事だぜ」

        
ポルナレフ「そう。例えば、こんなに近づいていたとしてもな!!」ズイッ



億泰「……や、ヤロウ、完全にナメてやがる!あんなに前面で構えやがって……!」ヒソヒソ


康一「……でも。これはチャンスだよ、億泰君。……彼がこっちを侮っている今が絶好の、ね」ヒソヒソ


億泰「…………!」


億泰(……………………)



億泰「なぁポルナレフさんよ。そんなに自信があるってんなら、もうちょいオレに近づいてみてくれよ」


ポルナレフ「何だ、度胸試しのつもりか?……ま、このくらい近づいても、オレにゃ何の支障もないんだがね」ズイッ


億泰「へー、言うじゃあねーか。……だが、その程度があんたの限界かい?」


ポルナレフ「……生憎だったな。さっきのオレは本気を出していなかっただけだぜ」ズイッ


億泰「おお、やるなぁ。けどよー、あんたの本気はそんなもんじゃねーだろ?」


ポルナレフ「……わ、分かってんじゃあねーか」ズイッ


億泰「もう一声!もう一声!」


ポルナレフ「いや流石にこれ以上はちょっと……」


億泰「……ま、いいか。こんだけ近けりゃ十分だぜ」


ポルナレフ「十分?……ほう、この距離でオレに当てる自信があるってのか?残念だが……」




億泰「――へっ。誰が『あんたにボールを当てるのに十分な』距離っつったよ」


ポルナレフ「……!?」




億泰「……こんだけ近けりゃあ、十分発動出来るぜ。……オレの『ザ・ハンド』の能力をよォッ!!」


ポルナレフ「ッ!! し、『シルバー・チャリオッ……』!!」


億泰「遅ぇッ!!『ザ・ハンド』ォッ!!」


ガオン!



ポルナレフ(…………ッ!!)



億泰「……いくらスピードに自信があろうとよォー、ゼロ距離で思いっきりボールを叩っこめばよォー……!」


億泰「当然!ボールは『俺らのコートに跳ね返ってくる』よなぁああッ!!」


ボンッ!


ポルナレフ「し、しまっ……!!」


億泰「っしゃあ!」




ジョセフ「……フ、お前の負けじゃな。ポルナレフ」



[J.P.ポルナレフ:アウト]


[外野]


花京院「ポルナレフの奴……。旅の道中、あれだけ敵を侮っては散々な目に会っておきながら、全然反省していないじゃあないか」


承太郎「……勿論、ポルナレフが奴を侮っていたというのもデカイが……」


承太郎「……ゼロ距離の相手のスネ目掛けて全力投球する思い切りの良さ、目的を悟らせない話術、それにあの咄嗟の機転……、
    あの億泰とかいう奴、この短い時間で随分成長したもんじゃあねーか」


花京院「……『公正なる「果し合い」は、自分自身を人間的に生長させてくれる』……、か」



タッタッタ


ポルナレフ「いやー、悪い悪い。負けちまったぜ!あっはっは」


花京院「『あっはっは』じゃあないだろう!全く、君と言う奴は!」ガスッ


ポルナレフ「痛って!ゴメンって花京院スネはやめろスネはギャァア!!」ガスガスガスッ



承太郎「…………やれやれだぜ」



[内野]


康一「――よし、残るはジョースターさん一人だよ!」


億泰「ボールも依然オレらの手元にあるしな。……、でもよー……」チラッ


康一「……うん、分かってる。丁度、ぼくもそう思ってたところだよ」




[外野]


仗助「……何か、格好いーよなぁ二人とも……。それに比べておれは……」



億泰「……オイ仗助、受け取れ!」ポーン


仗助「!!」パシッ


仗助「な、何で……?」


億泰「最後はオメーがビシッと決めてやれ、仗助!」


康一「何だかんだ言っても、ぼく達の世界の主人公は君なんだよ、仗助君!頑張って!!」


仗助「……お、お前ら…………!」



アヴドゥル「……どうやら、良い友達に恵まれたようだな。仗助」


仗助「……そっスね。そいつらの期待に応える為にも……」



仗助「……ジジイ!覚悟しやがれ、こうなりゃ何がなんでも当ててやるからな!」


ジョセフ「……その意気じゃ、我が息子よ」


仗助「……ところでジジイ。さっきから気になっちゃいたが その網状のイバラは何だ」


ジョセフ「『ハーミット・パープル』で編みこんだワシお手製の壁じゃ。主にドッヂボールで無類の強さを発揮する」


仗助「せこいぞジジイ!!」


ジョセフ「何とでも言え!勝てばよかろうなのじゃ!!」



アヴドゥル(大人げない……)


仗助「……でも、ま。そうは言っても、今のおれは二人分の期待を背負ってんだ。この程度なら『問題無く当てる』」


アヴドゥル(!)



ジョセフ「……ほう、何か策でもあるというのか?」


仗助「ああ、とっておきのヤツがな!」


ジョセフ「……よもや、また逃げると言う訳じゃああるまいな?」


仗助「まさか。これ以上何から逃げるってんだ。むしろその逆……!!」


仗助「責めるんだよッ!!」メリメリッ



アヴドゥル(……?まるで紙吹雪のように、ボールを『破いた』?)


ジョセフ「……成程。確かにその大きさならば、この網をくぐれるだろうな。じゃが、その破片一つ一つをわしに当てる自信があるとでも言うのか?」


仗助「へっ。自信があってもしねーよ、そんな面倒くせ―事。……当てる破片は一つで十分だ」



仗助「そう、『クレイジー・ダイヤモンド』を発動したこの一つだけでよォッ!!」ブンッ!


ジョセフ「!!」



アヴドゥル「……!残りの破片が、『クレイジー・ダイヤモンドを発動した破片』に引っ張られて……!」



仗助「網の向こうで『一つのボールに戻る』ッ!!」


ジョセフ「…………!!」ポスッ


ジョセフ(……こいつは一本取られたな。しかし、地面に落ちる前に拾えば何の問題も無い!!『ハーミット……』)


ジョセフ「!!!」



仗助「……へっ。やっぱ、咄嗟に『ハーミット・パープル』を使おうとするよなぁ」


仗助「……ジジイ程の手練なら『網状に絡まった』イバラを解くのなんざ一瞬ありゃあ足りるだろうが……」



ジョセフ(こ、こいつ……!まさか、そこまで考えて……!?)



仗助「……一瞬もありゃあ、十分だぜ。ボールが地面に落ちるのなんてよー」



トー…ン



ジョセフ「……!!」


ジョセフ「……何じゃ。早々に逃げ出しおったから、少し心配していたが……」


ジョセフ「……わしの負けじゃよ。仗助」





[ジョセフ・ジョースター:アウト]



[ゲームセット]

[勝者:チーム杜王町]


仗助「――っしゃドラァッ!!」


億泰「良くやった!ナイスボールだったぜ仗助!」


康一「お疲れ様、仗助君!これで、やっとお父さんに格好いい所見せられたね!」


仗助「!! お前ら…………!」



ジョセフ「……見事じゃったぞ、仗助。勿論、他の二人もな」


仗助「…………!」


ジョセフ「……フッ、見事に一手取られたわ。流石は我が息子じゃな」


仗助「……、ジジイ…………」



ジョセフ「……御苦労じゃった。これですべての『授業』は終わりじゃよ。……よく頑張ったの、三人とも」



仗助「……!!そうか。そういやー『授業は四時限目を以て終わり』か……」


康一「……終わってみると、何だかんだで楽しかった気がするな。今日一日」


億泰「尻が痛いのはもう勘弁だけどな。……オレ、帰ったらまず円座クッション買うわ」


承太郎「……中々やるじゃあねえか、お前達。……全く、何が『公正な勝負になるとは思えない』だ。とぼけやがって」


仗助「あ、承太郎さん!」



康一「……今日は、こんな機会を設けて下さって本当にありがとうございました、承太郎さん。お陰でぼく達……」


承太郎「……? ちょっと待て、この企画を立ち上げたのは俺じゃあないぜ」


康一「……あれ。ぼく、てっきり承太郎さんが発案者かと思っていたんですけど……。それじゃあ、ジョースターさんが?」


ジョセフ「? いや、わしでもないぞ」


康一「…………? じゃあ一体誰が、こんな大それた真似を……?」


[同時刻/舞台裏]

ガララ

  「!! お帰りなせぇ、ジョースターさん!!どうでしたか?あんたの曾孫は」


  ジョナサン「うん。最初はちょっと頼りなかったけれど、最後には困難にも負けることなく、果敢に立ち向かっていっててくれて……。
      曾祖父として、これほど嬉しい事もなかったよ」


  「そいつぁ良かった。それでこそ、この企画を立ち上げた甲斐があったってもんだ」


ジョナサン「……まさか『僕のいなくなった後の世界の人たちを、もっと見てみたい』という僕の我侭を、こんなに贅沢な形で叶えてくれるだなんて……。
      ……本当にありがとう、スピードワゴン。君にはどんなに感謝しても足りないよ……」


スピードワゴン「……数十年振りにあんたに会えたんだ。これでも、まだ足りないくらいさ」




ジョナサン「……ところで。企画を催すにしても、どうしてこんなにお尻に優しくない企画を……?」


スピードワゴン「いや、これ思いついたの丁度年末だったもんで……」


ジョナサン「…………?」


ジョナサン「……けれど、驚いたよ、スピードワゴン。昔は貧民街であれだけやんちゃしていた君が、まさかこんなに大きな財団を興していたなんてね」


スピードワゴン「む、昔の事は言わねえで下さいよォ。あの頃は俺も尖ってたもんで……。
        ……それに、財団の一つや二つ。あんたの成してきた事に比べりゃあ、何て事ァねえよ」


ジョナサン「……ふふ。どうか、謙遜しないでおくれ。……それに、話は聞いているよ。
      その財団が、ずっと僕の血族を助けてくれていた。という事も、ね」


ジョナサン「……本当にありがとう、スピードワゴン。……それしか、言葉が見つからない。
      君のような友人を持てたことは、僕の誇りだよ」


スピードワゴン「……、ジョースターさん……。……よ、よせやい。照れちまうぜ」


ジョナサン「……それにしても、ここは良い世界だね」


スピードワゴン「!」


ジョナサン「……『本来なら出会う事の無かった者達』、『かつて敵対していた者達』、そして『死に別れてしまった者達』……、
      皆が手を取り合い、『あの子達を笑わせる為』という、たった一つの目的の為に団結している」



ジョナサン「……スピードワゴン。僕達のいた世界は、確か一度生まれ変わってしまうんだったよね?」


スピードワゴン「……らしいですぜ。何でも、どこぞの神父のせいで『宇宙が一巡した』とか……」


ジョナサン「……たまに、思うんだ。この世界は『宇宙が巡り巡った末に辿り着いた世界』なんじゃあないか、とね」


ジョナサン「皆が皆、生まれ変わって、運命から解放された世界が『ここ』なのだとしたら……。
      それは、とても素敵な事だとは思わないかい?」


スピードワゴン「……へっ。やっぱあんたは変わらないねえ。本当、相変わらずの大甘ちゃんだぜ」


スピードワゴン「……っと、そろそろ時間だ。シメの挨拶はお願いするぜ、ジョースターさん」


ジョナサン「……僕なんかでいいのかい?そんな重要な役割」


スピードワゴン「何言ってんだ、ジョースターさん。むしろ、あんたにしか頼めないことなんだぜ」


スピードワゴン「……で。後はちゃっちゃと終わらせて、皆で打ち上げに行こうじゃあねえか。
        何せ、今日の為に叙々苑を丸々1店舗貸し切ってんだからな!」


ジョナサン「! それは楽しみだ! ……それじゃあ、急がないとね。ちょっと行ってくるよ!」


ガララ バタン!



スピードワゴン「……ここはいい世界だなァ。……本当に、良い世界だ……」



スピードワゴン「……待って下せえジョースターさぁああああんッ!俺も着いて行きますぜーッ!!」



ガララ バタン!


[体育館]


仗助「無事終わったはいいけどよ、『ここで待ってろ』って……。もしかして、まだ何かあんのか?」


億泰「ま、今ならどんなのが来ても負ける気がしねーけどな!」




ガララ


三人「!!」



ツェペリ「……おや。どうやら、ジョジョやスピードワゴン君よりも先に着いてしまったようだな」


康一「……あの、……貴方は?」


ツェペリ「やあ。初めまして、少年達。わたしの名はツェペリ男爵。……仗助君、君のひい爺さんの師匠に当たる者だ」


仗助「へー、ひいじいちゃんの。宜しくっス」


ツェペリ「……と言っても、私が君たちに何かをする訳ではないのだがね。実は、最後に君たちの顔を見に来ただけなのだよ」


仗助「あ、そうなんスか?良かった。てっきり、この期に及んで刺客が来たのかと思ったっスよ」


億泰「ま、今ならオレ、どんなのが来ても笑わない自信はあるけどな!」



ツェペリ「…………パパウパウパウ(裏声)」


億泰「……な、何ともないぜ!」


ツェペリ「……む、中々やるな、少年…………」


億泰「何せ俺ァこの一日のお陰で、不意打ちの類には慣れたからな!どっからでもかかってきやがれってんだ!」



仗助「……おい、億泰」


億泰「? どうした仗助」


仗助「……ちょっと耳貸してくれ。おれ、気付いた事があんだけどよ……」


億泰「…………気付いた事?何だよ」





仗助「パパウパウパウ(裏声)」ボソッ


億泰「ボフッ」




\デデーン 億泰アウトー/


億泰「仗助テメー オレに何か恨みでもあんのか畜生オオォッ!!」


仗助「いやだって、どっからでもかかってこいっつーから……」



億泰「最後の最後にメメタァッ!!」バシィイン!



康一「もう……。ラストくらい良い話っぽく終わらせてあげなよ」


仗助「んだよ億泰ー、どっからでも云々って言ったのお前じゃねーかよー」


億泰「そんなん言葉の綾に決まってんだろ!もうお前なんて知らねーもんねバーカ!スッタコ!」


仗助「わ、悪かったって。後でクレDでケツ治してやるから、そんな怒んなよォー」


億泰「マジか。許す」


康一(安いな)


億泰「……しかし、朝から思っていたがよ……。俺らをしばき倒してるこの黒子の正体、一体誰なんだろうな?」



黒子「……………………」


バッ



 「……1日で一人前の実力になるには、『死の覚悟』が必要なり……」




仗助「……!!あ、あんたは……ッ!!」



リサリサ「……よくこの一日、厳しい試練に耐えてきました……。貴方達ならばこれから先、どんな試練にも負ける事はないでしょう。
     ……これからも、しっかり精進するのですよ。三人とも」
     


ガララ バタン


億泰「い、今のが、黒子の正体……」


仗助「あの人がリサリサ……。ジジイのお袋さん、か……」


康一「あれで50代……。本当に綺麗な人だったね、億泰君。…………億泰君?」


億泰「……仗助。やっぱケツは治さなくていいぜ。俺ァこのケツの痛みと共に明日も生きていく」


康一「……、分かりやすいなぁ…………」


仗助「言っとくけどオメー、あれ俺のおばあちゃんだからな」


ガララ!


スピードワゴン「よう、ジョースターさんの曾孫とその友達よ!俺ァお節介焼きのスピードワゴンだが、そんな事はどうでもいい!!
        今からジョースターさんの有難いお言葉が聞けるから、耳かっぽじってよぉーく聞いていやがれッ!!」



三人「!!」



億泰「誰だか知らねーけどよー、入って来るなりこのテンション……、ただ者じゃあ無いぜアイツ」ヒソヒソ


康一「……ていうか、あの人スピードワゴン財団の創設者だよ!!ほら、よく世界史の教科書とかに載ってる……!」ヒソヒソ


仗助「……ジジイが若い頃世話になっていた、ってのは聞いた事あるが……。……曾孫だと?っつー事ァ……!!」ヒソヒソ



ジョナサン「……お疲れ様、三人とも」



仗助「……! ひいじいちゃん!!」


ジョナサン「僭越ながら、僕が最後の締めの言葉を担当させてもらうね」



仗助(……! いよいよこの企画も終わり、か…………)



ジョナサン「……仗助、億泰、康一君。……今日のこの企画の中で、身に付いたもの、学んだものはたくさんあると思う。勿論、喜ばしい事だ」


ジョナサン「……けれど僕は、君たちに最後まで信じ合い、認め合う事の出来る友がいる事を、何より嬉しく思うよ」


ジョナサン「僕が言うのも説得力が無いかもしれないけれど……。『友達は大切に』ね。三人とも」


仗助「ひ、ひいじいちゃん…………」





康一(……、さっきまで仲間割れの危機だった事は黙っておこう……)



ジョナサン「……さぁ、これで『授業』はおしまいだよ。打ち上げに行くから、準備しておいで!」


仗助「おお、打ち上げっスか!……ちなみに、何処で?」


ジョナサン「叙々苑」


仗助「イイヤッホォオオオオオオウッ!!」


億泰「肉だァアアアアアアアアアアッ!!」


ジョナサン「フフ、先に出番の終わった人たちがもう待っているみたいだから、急ごうか!」


仗助・億泰「了解!!」



[同時刻/舞台裏]



SPW財団スタッフA「……お、終わったみたいだぞ」


SPW財団スタッフB「おー、お疲れさん。……ホント凄かったな、今回の企画。名だたる猛者達が、よくもまぁ揃いも揃って……」



SPW財団スタッフA「……そういえば、何人か来ていない人がいるみたいだが」


SPW財団スタッフB「ああ、『橋沢育郎』は、ちょっと『秘密結社に追われているから』欠席で、
         あとの一人は『スポンサーの意向により出番ナシ』だそうだ」


SPW財団スタッフA「スポンサー……、って、ウチの社長か?何か事情でもあったのだろうか……」


SPW財団スタッフB「さあな。……そんな事より、早く撤収しようぜ。モタモタしてたら打ち上げに行きそびれちまう」


SPW財団スタッフA「……ああ、それもそうだな――――」



[同時刻 某所]


DIO (フッ……、ジョジョの曾孫とその友よ……。貴様らの終わりは近いぞ……)


DIO(この棺桶を開けたが最後、このDIOが直々に我がブランド―家に伝わるネタを以て、貴様らを笑いと絶望の渦に叩きこんでくれよう……)



DIO(……しかし、遅いな……。たかが人間が、このDIOをここまで待たせるとは……)




DIO(…………………………)


DIO(…………………………)




DIO(WRYYYYY……………)






以上です。助言して下さった>>75さん、読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。



完結したら
■ HTML化依頼スレッド Part14
■ HTML化依頼スレッド Part14 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387923864/)

にスレタイとURL書き込んで依頼するんやでー

>>160
ご教授ありがとうございます!

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