真「手乗り文鳥?」 (97)

このSSは

千早「アクアリウム?」
千早「アクアリウム?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387277578/)

の続編的なSSです
まずは前作を読んでみる事をお勧めします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1389190077

~765事務所~

ガチャ

真「ただいまレッスンから戻りましたー!」

P「おう、お疲れ、真」ガサガサ

真「あ、ファンレターの仕分けですか?」

小鳥「ええ、年末の一件以来、ファンが倍増してファンレターも多くなってるのよ」

真「千早のおかげですねー。
  ボクにもファンレターは来てますか?」

P「ああ、もちろんだ」

真「見せてもらってもいいですか?」

小鳥「真ちゃんの分はこっちに分けてあるわよー」

真「……うーん……やっぱし、女の子からばっかりですねー……」

小鳥「そんなことないわよ?
   ほら、これなんか男の子からのファンレターよ」

真「えっ! どれどれ! 見せてください!」

小鳥「はい、これがそうよ」

真「少ないですね……まあいいや! どれどれ……。
  『真ちゃん、僕の兄貴になってください』
  『お兄様って呼んでもいいですか?』
  『ウチの店で働いてみない? すぐに人気ナンバーワンになれるわよ?』
  ……」

P「ま、真?」

真「うがーーーーーっ!! 何だよコレぇ!!」

P「お、落ち着け、真、どうどう」

真「人気が出てもこれじゃ意味がありませんよっ!
  ボクはもっとキャピキャピした女の子っぽいアイドルになりたいのにーっ!」

P「そうは言ってもなぁ……女性人気が高いのは事実だしなぁ……」

真「そうだっ! プロデューサー! 新しいファン層の開拓に力を貸してくださいよっ!」

P「え、俺?」

真「千早には協力したじゃないですか!
  その時、ボクにも協力してくれるって言いましたよね?」

P「あー……そういえばそんな事を言った覚えも……」

真「言・い・ま・し・た・よ・ね?」

P「……はい……」

P(千早の時はメンタル面を重視して熱帯魚を勧めたが、真は事情が違う)

P(真はアイドルとしてほぼ完成してると言っていい)

P(ダンスは得意分野だし、ビジュアル面では女子層を引き付けている。
  実は歌唱力も何気に高い)

P(問題があるとすれば、本人の理想と現実にギャップがあるくらいのものだろう)

P(その問題をクリアする為には、本人の女性的な面をアピールできればいいのだが……。
  それをやってしまうとアイドル『菊地真』のイメージを崩す結果に繋がりかねない)

P(千早では成功したが、ここは慎重にならなければ……)

真「ねえ、プロデューサー、お願いしますよぅ」

P「う、うーん……そうだな、真も熱帯魚を飼ってみるか?」

真「熱帯魚ですか?」

P「うん、熱帯魚を飼い始めてから千早は母性的になったからな。
  うまくすれば、今のイメージを崩さずに新しいファンを取り込めるかもしれんぞ?」

真「なるほどー、いいかもしれませんね」

P「あ、でも、水槽を置くかどうかはご家族と相談してからだな。
  千早は一人暮らしだったからいいけど、ペットを飼うとなると、家族の了承がいるから
  な」

真「はいっ! 家に帰ったら聞いてみます!」

~翌日~

真「ダメでした!」

P「早いな、おい!」

真「母さんが、熱帯魚は電気代がかかるからダメだって……」

P「あー……まあ、それはしょうがないな……」

響「? 何の話をしてるんだ? 二人とも」

真「あ、響」

P「響か、実はかくかくしかじかで……」

響「何だ、そんなことかー、別に、熱帯魚にこだわらなければいいじゃない」

P「そうは言ってもなー……」

響「お金をかけずに飼えるペットなんて、いくらでもいるさ」

P「うーん……維持費がかからなくて、可愛いペットか……」

真「なにか心当たりないですか、プロデューサー?」

P「……」ピコーン

P「小鳥を飼ってみるというのはどうだろう?」

小鳥「ピヨッ!? あ、あたしですか?」

P「いえ、小鳥さんじゃなくて、飛ぶほうの小鳥です」

小鳥「あたしもたまにトリップしますよ?」

P「うん、ちょっと黙ってようか」

響「小鳥かー、うん、いいんじゃない? エサ代以外に、ほとんどお金かからないぞ」

真「ほ、ホント? 小鳥っていうと、例えばどんなの?」

P「初心者でも飼いやすいのは、ジュウシマツ、文鳥、セキセイインコ、ちょっと難易度が
  上がってカナリアとかだな」

真「プロデューサーも小鳥を飼ってたことあるんですか?」

P「昔な、今は飼ってない」

真「小鳥を飼うかー……いいかも、お姫様みたいに思われたりして……タハハッ」

P「となると、まずはショップ探しからだなー……昔と違って少ないから」

真「? どうしてですか?」

響「……それはオウム病のせいだぞ」

真「オウム病?」

P「オウム病というのは、1850年頃アメリカで確認された病気で、日本でも1980年
  代にこれに感染して、死亡する人も出てしまったんだ。
  そのせいで小鳥を飼うのを止める人が多くなった」

真「ええっ! 小鳥からうつるんですか?」

P「ああ、と言っても、今は予防薬もあるし、後で説明するけど、キチンと飼ってればほと
  んどうつる心配は無い」

響「それに、鳥インフルエンザの風評被害とかもあって、小鳥を扱うお店が少なくなってし
  まったんだぞ」

真「そうだったんだ……」

P「そんなわけで、まずはショップ探しからなんだが……」

響「それなら自分に任せるさ!
  いつもオウ助とコケ麿のエサを買ってる店があるんさ。
  小鳥もいっぱいいるぞ」

P「じゃあ、そこにするか……」

真「あ、じゃあ仕事が終わったらそこに行きましょうよ!」

P「んー……行くのはいいが、その前に決めておいてくれ」

真「? 何をですか?」

P「繁殖させるか、させないかと、手乗りにするか、しないかを」

真「え? うーん……千早を見てると、殖やすのって大変そうだし……。
  あ、あと、手乗りにできるなら、したいです!」

P「んじゃ、手乗りのヒナを買いに行こうか」

今日の更新はここまでです
例によっていろいろ調べながらなので、あまり多くは書き溜められません

それでは、また

書き溜め出来ました
19:45~20:00頃から更新します

~ペットショップ~

響「はいさーい! 店長、また来たぞ!」

店長「おや、響ちゃん、いらっしゃい。
   この間エサを買ったばかりなのに、もう無くなったのかい?」

響「今日は職場の同僚を連れてきたんさ」

P「こんばんは、おじゃまします」

真「こ、こんばんは!」

店長「いらっしゃい、響ちゃんの同僚ということは、この子もアイドルかい?」

真「はい! 菊地真といいます! よろしくおねがいします!」

店長「うんうん、元気があっていいねぇ」

真(どこか浮世離れした人だな……)

P「今日はコイツが手乗りのヒナを飼うことになりました。
  鳥をいろいろ見ていいですか?」

店長「ああ、構わないよ」

響「よーっし、いろいろ見て回るぞ、真!」

真「うん! ……わーっ! この鳥、すっごいカラフルですね!」

P「おお、コキンチョウがいるのか、品ぞろえ豊富なんだな」

真「この鳥も手乗りになるんですか?」

響「成鳥をいきなり手乗りにするのは無理だぞ。
  ヒナから育てなきゃ」

真「そうなのか、キレイなのに……」

P「まあ、ペアを飼って、その子供を手乗りにするって方法もあるけど、高級フィンチは、
  そもそも繁殖が難しいからなー」

真「高級フィンチ? フィンチって何ですか?」

P「アトリ科の総称のことだ。
  例えば、このコキンチョウは、英名だとRed-headed Gouldiam Finchという」

真「へぇー……」

真「高級っていうのは? 値段が高いってことですか?」

P「それもそうだが……フィンチには、並フィンチと高級フィンチがいるんだ……俺はあん
  まりこの呼び方は好きじゃないんだが」

真「並と高級?」

響「要するに、自育するフィンチと、自育しないフィンチってことさ」

真「自育って?」

P「自分で子育てできるのと、できないのがいるってことだ」

真「えっ! 子育てしない鳥がいるんですか!?」

響「もちろん、野生ではちゃんと子育てしてるぞ」

P「子供を多く育てるため、ジュウシマツなどに仮母になってもらって育ててもらうのを繰
  り返してるうちに、世代を重ねて、子供の育て方を忘れてしまったんだ」

真「仮母?」

P「高級フィンチが卵を産むのに合わせて、同じく抱卵してるジュウシマツの卵とすり替え
 て、そのままジュウシマツに子育てしてもらうんだ」

真「そんな……それじゃ、元のジュウシマツの卵はどうなるんですか?」

P「同時期に抱卵してるジュウシマツのペアがいれば、それに抱かせるんだが……いない場
  合は、お察し、ってやつだな」

真「ヒドイですよ! そんなの!!」

P「まあ、そう怒るな、俺の知識は古いが、高級フィンチでも、なるべく自育させる方向に
  向かってるはずだぞ……たぶん……」

響「だから、高級フィンチは、運よくヒナが手に入らない限り、手乗りにはむかないぞ」

P「繁殖させないなら、高級フィンチは、ホントに観賞用だな」

真「……それじゃ、この緑色のキレイなヤツも観賞用ですか?」

P「どれどれ……おお、ヒノマルチョウか、ホントに品ぞろえ豊富だな」

真「ヒノマルチョウ? あ、ほんとだ、首回りが赤くて日の丸みたい……っていうか、バン
  グラディシュの国旗みたいですね」

P「まあ、そうだな」

響「ヒノマルチョウも、残念だけど高級フィンチだぞ」

真「そっかー、残念だなー……ん?」

P「どうした?」

真「この鳥、すっごくキレイです! 青くてサファイヤみたい!」

P「おー、セイキチョウかー」

真「でも、この鳥もやっぱり高級フィンチ……ですか?」

響「うん」

真「そっかー……」ガックシ

P「それに、セイキチョウは、仮に手乗りにできたとしても、餌が特殊だから……」

真「特殊? 何を食べるんですか?」

響「ほら、コレだぞ」ウニョウニョ

真「な、な、な、何コレーーーっ!!」

響「何って……ミールワームだぞ」

P「ゴミムシダマシの幼虫だ……チャレンジしてみるか? 真」

真「む、む、ムリ~~~~っ!!」

真「はあはあ……嫌なモノ見ちゃった……」

P「ハハハ……まあ、日本で流通してるフィンチのほとんどは穀物を主食にしてるから、
  安心しろ」

響「おっ、こっちにカナリヤがいるぞ」

真「ホントだ……鳴き声がキレイだね。
  カナリヤは手乗りにはならないんですか?」

P「どんな鳥でも、基本、ヒナから育てれば手乗りになるぞ……まあ、カナリアは難しいと
  思うが」

真「なんでですか?」

P「嘴が細いから、餌をヒナにやるのが難しいんだ、普通の器具が使えなくて手間がかかる
  から、まずカナリヤの手乗り用ヒナなんてのは商業ベースに乗らない」

響「それでも、成功した人はいるらしいぞ。
  いつか、ネットで見たさ」

真「へぇー、スゴイ人もいるんだねー」

真「それじゃ、手乗りに向いてる鳥って、どんなのがいるんですか?」

P「うん、ちょうどあっちに手乗り用のヒナのコーナーがあるから行ってみよう」

真「はい! ……えーっと……これがジュウシマツで、こっちが文鳥、セキセイインコに、
  ボタンインコ、オカメインコ……」

P「まあ、妥当なところだな」

真「でも、どの子もボサボサで……なんだか成長した姿が想像つきません」

響「そういう時は成鳥を見て参考にすればいいんさ」

P「そうだな、というわけで、これがジュウシマツだ」

真「何だか小さくて可愛らしい鳥ですね、いっぱい集まって仲良しだし……あれ? このジ
  ュウシマツ、毛が逆立ってますよ?」

P「それは芸物だからだ」

真「芸物?」

P「芸物ってのは、わざと毛が逆立ってる個体を固定したものだ。
  胸部が逆立ってれば「千代田」、頭部が逆立ってれば「梵天」などと呼ばれているな。
  セキセイインコなんかにも芸物はあって、羽根が逆立ってるのを「羽衣」という。
  というわけで、これがセキセイインコだ」

真「あ、これはさっきのコキンチョウとは違った感じで淡い色合いで、でもカラフルで……
  可愛いですね。
  うーん……でもちょっと鳴き声が気になるかな?」

響「慣れれば癖になるぞ」

P「うーん……ご家族もいることだしなー……そうなると、ボタンインコも、オカメインコ
  もダメか」

真「わっ! 大きい! これじゃ小鳥を飼ってるって気分にはなりませんよー」

響「とってもカワイイやつらなんだけどなー、残念だぞ」

真「そういえば、文鳥は?」

P「あれ、文鳥のカゴが無いな……無いはずないんだが……」

響「店長―っ! 文鳥どこー?」

店長「ああ、今ちょうど文鳥のカゴを掃除してたところだよ」

店長「はい、これが桜文鳥」

真「わーっ! 嘴が桜色で、ほっぺたが白くて、とっても可愛い鳥ですねーっ!」

店長「こっちが白文鳥」

真「こっちも可愛い! 紅い嘴が真っ白な身体に、よく映えますねーっ!」

響「白文鳥は日本で生み出された種類だぞ」

真「そうなの?」

P「江戸末期、尾張藩の武家に奉公していた八重という女性が主家からもらった文鳥から生
  まれたんだ。
  今でも、愛知県弥富町には「白文鳥発祥之地」という石碑が建っている」

真「へぇー……」

店長「そしてこれが……」

店長「シナモン文鳥だよ」

真「!!」

P「シナモン文鳥は1980年代にオランダで生まれた種類で……って、真、聞いてる?」

真「こここ、これ、可愛い!! 可愛すぎますよ! プロデューサー!」

響「どうやら一目ぼれみたいだなー」

P「そうみたいだな……真、シナモン文鳥にするか?」

真「はい! ボク、キュンキュンしちゃいました!」

P「そうか、すみません、シナモン文鳥の手乗り用ヒナっていますか?」

店長「はい、ちょうどいますよ」

P「じゃあそれと……ついでに飼育用具一式そろえちゃおうかな」

P「えーっと……ふんご巣と、スポイト、エサ用のすりこぎと、すり鉢……。
  すみません、ここではすり餌はどんなのを与えてますか?」

店長「お客様の手間も考えて、普通に市販のすり餌に青菜と水を加えてすり合わせた物を
   使ってます」

P「なるほど、助かります。
  えーっと、それじゃ、すり餌と……マス籠も買っておこうかな」

店長「成鳥後の事も考えて、色々揃えると、後で慌てなくてすみますよ」

P「そうですね……いっそ、飼育用品全部そろえちゃおうかな」

真「そんなにいっぱい買って、大丈夫なんですか?」

P「なに、熱帯魚に比べれば、ずいぶん安くつく方だ」

P「さて、まずは鳥籠だが……」

真「鳥籠は、どれくらいの大きさがいいんですか?」

P「小鳥を飼うのに、鳥籠が大きすぎるという事は無い、大きければ大きいほどいいんだが
  ……手乗りだと、実はあまり大きくないほうがいい」

真「そうなんですか?」

響「あんまり大きい鳥籠だと、自由に飛び回りすぎて、自分が手乗りだってことを忘れちゃ
  うんだぞ」

真「そ、それは困るよ……」

P「だから、お店で使ってるのと同じくらいの長方形の鳥籠で充分だ」

P「後は、つぼ巣と、巣かけ、青菜さし、シュロ、水浴び用水入れ、ふた付きエサ入れ、
  水入れ、ボレー粉入れ、ボレー粉、塩土……」

真「ボレー粉ってなんですか?」

P「牡蠣殻を砕いたものだ、カルシウム補給に与えるんだ」

真「ふーん……塩土っていうのは?」

P「塩とボレー粉を混ぜて赤土で固めたものだ、ミネラル補給と、消化を助ける働きがある」

真「えっ? 土を食べさせるんですか?」

響「鳥は歯が無い代わりに、砂嚢ってトコで砂や小石でエサをすって食べるんさ」

P「ボレー粉入れの中に、ボレー粉と同じ量の塩土を砕いて混ぜるんだ」

真「いろいろあるんですねー……」

P「まあ、与えるのは手乗りになってからだけどな。
  ヒナのうちは、すり餌で充分だ」

真「そういえば、すり餌に混ぜる青菜って、どんなものがいいんですか?」

P「そうだな……小松菜、キャベツ、ブロッコリー、大根の葉なんかがいいぞ」

響「逆に、与えてはいけない青菜もあるんだぞ」

真「えっ、そうなの?」

P「ああ、ほうれん草や、フダン草、野草のカタバミ、スイバ、大黄なんかはやっちゃダメ
  だ、まあ、覚えにくいなら、アクの強い野菜はやっちゃダメと覚えればいい」

真「ええっと……すみません、メモしますね……」

響「でも、野草はビタミン豊富だから、積極的にやったほうがいいぞ。
  ハコベや、タンポポなんかがいいぞ」

真「あ、タンポポなら近くの公園にいっぱい生えてるよ」

P「それならいいが……野草を与えるときは、排気ガスや、除草剤、農薬の影響が無い所を
  えらぶんだぞ、それと、青菜を与えるときには、ちゃんと水洗いをするのを忘れずにな」

真「はい! わっかりました!」

P「あとは、ふんかきと小ぼうきくらいか……念のために、ヒマシ油とグリセリンも買って
  おくか……」

真「? 何に使うんですか?」

響「小鳥が体調を崩した時に、なにかと便利に使うんだぞ」

真「なるほど……」

P「あとは……念のために……すみません、カナリヤ用の足輪ってありますか?」

店長「おや、珍しいね、文鳥につけるのかい?」

P「一応、芸能人のペットですからね……万が一のためですよ」

店長「なるほど……在庫は有るよ」

真「ねえ、響、足輪って何?」

響「カナリヤの個体識別用につける足輪のことだぞ、血の近い個体同士で繁殖するのを避け
  る為に普通はつけるんだけど……プロデューサーには何か考えがあるみたいだから、
  従ったほうがいいと思うぞ」

真「分かった……」

真「そういえば、プロデューサー、オウム病の予防薬って、どこに行けば貰えるんですか?」

店長「おや、オウム病に予防薬なんて無いよ」

P「え!? ホントですか? 俺の持ってる本には、予防薬があると書いてましたが……」

店長「あー……それは本が古いか、間違ってるんだね。
   オウム病は予防は出来るけど、予防薬は無いよ」

P「そうでしたか……なにぶん、鳥を飼ってたのは昔なもので……」

真「それじゃ、予防ってどうやるんですか?」

店長「鳥籠を常に清潔に保つこと、ふんに触れたり、鳥と遊んだ後はちゃんと手を洗うこ
   と、これさえ守ってれば、そうそうオウム病にかかることは無いよ」

真「もし、かかってしまったら……?」

店長「熱が出たら、ちゃんとお医者さんに鳥を飼ってることを伝えること。
   これは、鳥を飼ってる人の義務だね」

真「なるほど……ありがとうございます!」

店長「それじゃ、この子でいいね?」

真「はい!」

店長「すり餌は今はこのくらいの固さのをやってるから……指で確かめてごらん?」

真「フニフニ……このくらいの固さですね?」

店長「そうそう、成長してきたら徐々に固くしていってね」

真「わっかりましたー!」

店長「菊地さん、鳥を飼う時は、手豆、足豆をやるといいよ」

真「え? そんな名前の豆があるんですか?」

P「そうじゃない、手や足にまめができるくらいこまめに面倒を見てあげるといいという格
  言だ……今日は、ありがとうございました」

真「あ、ありがとうございました!」

店長「いえいえ、毎度ありがとうございます」

響「それじゃ、またなー! 店長!」

今日の更新はここまでです
オウム病のくだりは、本気で誤解してました
念の為ネットで調べ直してよかったです

今回は、どうやらimgurの仕様が変わったようなので画像は無しです
よかったら画像検索してみてください

それでは、また

書き溜め出来ました
19:45~20:00頃から更新始めます

~事務所~

小鳥「あら、おかえりなさい、戻ってきたんですか?」

P「ええ、真に、エサのやり方とか、いろいろ教えようと思いまして」

小鳥「鳥買ってきたんですか? 後で見せてくださいね」

P「ええ……さて、真、まずはヒナをふんご巣に入れるぞ」

真「は、はい! この、丸い容器みたいな巣ですね?」

P「そうだ……まずは底にティッシュペーパーを敷き詰めて、と、もう入れていいぞ」

真「はい! ……そーっと、そーっと」

ピヨピヨ

響「あはっ、やっぱり小鳥はカワイイぞ」

真「この巣の中に入れておけばいいんですか?」

P「うん、今の季節なら大丈夫だと思うけど、28~30℃くらいの暖かさに保温してあげ
  なきゃいけない。
  まあ、今なら、部屋の暖かい場所に置くのがいいだろう」

響「もうすっかり春だもんなー」

P「さて、次はすり餌の作り方だ。
  エサを急に変えるのはよくないから、ペットショップの作り方と同じにしよう」

真「たしか、青菜を入れるんですよね?」

P「そうだ、すみません、小鳥さん、夜食用にストックしてあるキャベツから、一枚葉を貰
  っていいですかー?」

小鳥「構いませんよー」

響「キャベツって……なんでそんなのが事務所にあるんさ?」

小鳥「夜食に、回鍋肉を作ろうと思ってたのよ」

P「まずは青菜をすり鉢で摺って、すり餌と混ぜ合わせる……」ゴリゴリ

真「ここに水を入れるんですか?」

P「水と言っても、冷たいのはダメだ。
  人肌以上……40℃くらいのぬるま湯がいい」

真「お風呂と同じくらいですね……わかりました」

P「そうそう……こうしてできたすり餌を、スポイトでヒナに与えるんだ。
  このくらいの固さだったよな?」

真「ええっと……フニフニ……はい! これくらいでした!」

P「それじゃ、与えてみよう、こっちも準備するから」

真「準備?」

P「よーっし、いいぞ、真、ヒナに餌をやってみよう」

真「それはいいですけど……何でデジカメで撮るんですか?」

P「まあまあ、いいからいいから、スポイトで、嘴の根元から先まですべらせるようにする
  と口を開けるぞ」

真「えーっと……こ、こうかな? あ、あれ? なかなか口を開けない……」

P「む……環境が変わって警戒してるのかな?
  しかたない、指で口を開かせて、エサを流し込んでやれ」パシャパシャ

真「そんなことして、だいじょうぶなんですか?」

P「馴れないうちはしかたないが、2、3日もすれば自分から口を開けるようになるから問
  題ない」パシャパシャ

真「それじゃ……ゴメンねー……よし、食べてる! カワイイなぁ……」

P「よし、いいぞ……」パシャパシャ

P「よし……良い写真が撮れた……あ、あと、エサやりやフンでティッシュペーパーは汚れ
  るから、こまめな交換を忘れずにな」

真「はい! これを朝昼晩やればいいんですね?」

響「それじゃ足りないぞ、真」

真「え?」

P「そうだな……このくらいの大きさだと、早朝から夜9時頃まで、3時間おきくらいにエ
  サをやらないとダメだ」

真「そんなに!? 芸能活動もあるのに、だいじょうぶでしょうか……?」

P「ヒナが手乗りになるまでの辛抱だ、俺も協力するから、がんばれ」

真「手乗りになるには、どれくらいかかるんですか?」

P「そうだな……だいたい、一か月ってところか」

真「分かりました! がんばります!」

真「ところで、撮った写真、どうするんですか?」

P「ああ、お前のブログに載せようと思ってな」

真「ブログに?」

P「お前らのブログは、事務所が一括して管理してるだろ?」

真「ええ、写真や文面を預けてますけど……細かいところはまかせっきりで……」

P「そのブログな、それぞれ特色があって面白いんだよ。
  例えば千早は時々熱帯魚の水槽の写真をUPしてるし、春香はお菓子作りの様子を撮
  影してる。
  響は動物たちの写真をUPしてるしな」

響「あれ、評判いいんだぞ」

P「まあ、あずささんみたいに、何故か旅行記みたいのになってるのもあるが……。
  それぞれ、コアなファンがついてるんだ。
  そこに文鳥を育ててる様子を載せてみたらどうかと、そう思ってるんだが……」

真「それ、いいですね! 新しいファンがつくかもしれないし!」

P「よし、じゃあ決まりな、それじゃ、今日はもう遅いから、気を付けて帰れよ」

~菊地家~

真「ただいまー、よいしょっと」

母「あら、おかえり、どうしたの? そんなに大荷物で……」

真「へへ、文鳥を飼うことにしたんだ、これなら電気代もかからないし、いいでしょ?」

菊地真一「文鳥だと?」

真「あ、父さん……」

真一「またくだらないものを……どうせすぐに飽きるんだから、やめとけ」

真「ムッ……いいじゃないか! ボクだって稼いでるんだから!
  鳥の一匹くらいで文句言われたくないよ!」ダンダンダン

母「ま、真……」

真一「ほっとけ、腹が減れば降りてくる」

~真の部屋~

真「何だよ! 父さん! いちいちボクのやることに口出しして……!」

真「自分だって半分趣味みたいな仕事してるくせに、ボクの趣味に口出しされたくないよ!」

ピイピイ

真「あ……ご、ゴメン、怖かったね、もう怒ったりしないから……」

真「えっと……暖かい場所に巣を置いて……あと2時間くらいたったらまたご飯かな?」

ピイピイ

真「ふふ……カワイイなぁ……そうだ、名前つけてあげないと」

真「えっとー……ピイピイ鳴いてるから、ピーちゃんがいいかな?」

ピイピイ

真「よし! 今日からお前はピーちゃんだ! ふふ……これで女の子っぽく思われるかな
  ぁ?」

~翌日、事務所~

真「おっはよーございまーす!」

P「おう、真、文鳥はちゃんと連れてきたか?」

真「はい! このとおり!」

ピイピイ

春香「おはよう、真、聞いたよ、文鳥飼い始めたんだってね」

雪歩「か、噛んだりしない? 真ちゃん」

真「大丈夫だよ、雪歩、ピーちゃんはそんなことしないよ」

春香「Pちゃん!?」

春香「その名前って、プロデューサーさんからつけたの?」

真「え? あー、違うよ、春香。
  ピイピイ鳴くからピーちゃんってつけたんだよ」

春香「なーんだ」(ホッ……)

P「名前つけたのか、じゃあ、ブログでも報告しないとな」

真「あっ、そういえば、昨日のブログ、どんな反応でした?」

小鳥「さっそくコメントがついてるわよー。
   えっとね……
   『真クンが小鳥を飼うなんて意外! でも似合ってるかも? 続報希望します』
   『おっかなびっくり小鳥に触る真クンに萌えました!』
   だって。
   好評価よ?」

真「やーりぃ! この調子で、新規ファンゲットですね!」

雪歩(コメントしてる人の口調が女の子っぽいのは黙ってた方がいいのかなぁ……?)

真「あっ、そろそろご飯の時間だ!」

春香「えっ? まだ9時だよ?」

真「ピーちゃんのご飯だよ」

春香「そっか、大変なんだねー?」

P「エサやりには慣れたか?」

真「はい! 最初はちょっと戸惑いましたけど、コツをつかめば簡単でした!」

ピイピイ

春香「うーん、鳴き声カワイイね」

雪歩「だ、大丈夫でしょうか……?」

真「へーきだってば、雪歩、なんなら、だっこしてみる?」

P「あー……今は、あまり手で暖めない方がいいぞ」

真「え?」

P「文鳥は、基礎体温が人間より高いから、人間の手で暖めようとすると、逆に身体が冷え
  てしまうんだ」

真「そ、そうなんですか?」

P「だから、今はエサやりと巣の掃除の時だけ触れるようにして、基本、ふんご巣の中で
  暖めておく方がいい」

真「でも、それじゃ、どうやって手乗りにすれば……」

P「そうだな……見たトコ、あと一週間もすれば、自分からふんご巣の外に這い出してくる
  から、そうしたら、手からすり餌をやったりして、人の肌に慣れさせるんだ」

春香「ふーん……これもまた、千早ちゃんの時みたいに、手間のかかる趣味なんだね」

雪歩「でも、真ちゃん、仕事と、学校と、鳥の世話は、大変じゃないですか?」

真「あっ、学校のことを考えてなかった……どうしましょう、プロデューサー?」

P「真が学校の日は、事務所で預かるから心配ないぞ、登校前に、事務所に預けに来い。
  責任を持って世話するから」

真「あ、ありがとうございます! プロデューサー!」

~6日後、事務所~

真「おっはよーございまーす! プロデューサー! ピーちゃんが昨日、ふんご巣から這い
  出てきましたよ!」

P「おー、そうか、ちゃんと手からエサやったか?」

真「はい! ボクの手からエサを食べて……いやー、カワイイんですよ、とにかく!
  あ、ちゃんと写メも撮りましたよ」

P「おk、後でブログにUPする」

あずさ「あらあら~その子が噂のピーちゃんね?」

律子「ええ、ここ数日、真のテンションがおかしいんですよ、口を開けばピーちゃん、ピー
   ちゃんで……まるで惚気を聞かされてるみたいですよ」

P「当たらずとも遠からずってトコかなー」

律子「え? どういう事ですか? プロデューサー殿」

P「手乗りのヒナは、生後一か月くらいまでは飼い主を親として認識するんだけど、その後
  は飼い主をパートナーとして認識するんだよ」

律子「パートナーですか?」

P「そう、まるで恋人のようにね」

あずさ「あら~、素敵な話ね~、私も、どこかにそんな人いないかしら~?」チラッチラッ

P「……ゴホンッ、とにかく、飼い主も愛情を持って接する事が大事だぞ、真」

真「愛情、ですか?」

P「そう、愛情だ、特に、叱ったり、怒鳴ったりするのは厳禁だ。
  飼い主を怖がって、手乗りにならなくなったりするからな」

真「そんなことしませんよ~、こんなにカワイイのに」

P「しちゃいけない所にフンをされたりしても、怒っちゃダメだぞ、小鳥には、そんな事の
  判断はできないんだから」

真「りょ……了解です! あ……それと、入れても、ふんご巣から出て来ちゃうんですけど、
  どうしましょう?」

P「んー……マスかごを買ってあるから、そっちに移そう。
  暖かい場所に置くのは、変えないでな」

真「わっかりましたー!」

P「徐々に固いエサに変えていって、普通のエサを食べられるようになって、飛べるように
  なったら鳥籠に移そうか」

真「りょーかい!」

~3週間後~

真「プロデューサー! プロデューサー! あれ? いない……」

小鳥「プロデューサーさんなら、営業中よ?」

真「そっかー……まあいいや! 聞いてよ、小鳥さん! 昨日、ピーちゃんが初めて部屋を
  飛び回ったんだよ!」

小鳥「へーっ! だんだん鳥らしくなってきたわねー」

千早「真、真、ピーちゃんの写メ撮らせて! お願い!」

真「ええっ? また? いいけど……」

美希「千早さん、昨日も撮ってたの、あふぅ……」

千早「だってカワイイんだもの……」

美希「それで、手乗りになったのなの?」

真「まだわからないけど、昨日も飛んだあと、ボクの手に戻ってきたよ?」

千早「今度はこのアングルから……」パシャパシャ

美希「ミキ、よくわかんないけど、それって手乗りっていうと思うの」

真「そ、そう」テレテレ

千早「真、今度はピーちゃんと一緒のフレームに入って」パシャパシャ

美希「暇なときは、ずっといっしょに遊んでるの?」

真「うん、プロデューサーが言うには、1日に少なくとも2、3回、できれば時間の許す
  限り手からのエサやりや、遊んだりを繰り返すと、完全に手乗りになるんだってさ」

千早「ハアハア……」パシャパシャ

美希「千早さん、いいかげんにしなさいなの」

千早「ご、ごめんなさい、つい……」

真「そういえば、千早の方は順調なの?」

千早「ええ、プロデューサーからの助言もあるし、ブログのコメントなんかも参考にして、
   水槽のレイアウトをいじってるのよ」

美希「そういえば、真君のブログはどうなってるの?」

真「え? えーと……アハハ、別の話しない?」

千早「? どうして? 音無さんからは、すごく好評だって聞いたけど……」

真「え? いやー、ほら、あの……」

美希「むー、気になるの、小鳥、そこのところどーなってるの?」

小鳥「すごく順調よー、えーっと、ブログのコメントを抜粋するとね……」

真「わーっ! わーっ!」

美希「真君、ちょっと黙ってるの」

小鳥「えーっとね……
   『真クンが文鳥を可愛がる姿、ギャップ萌え!』
   『真クンはやっぱり童話の中の王子様みたい! ステキ!』
   『私も飼って! いや、付き合って! 結婚して!』
   とか、とにかく好評なのよ」

真「……」

千早「……」

美希「……元気出してなの、真君」

小鳥「女性ファンがさらに増えたみたいで、よかったわ~」

美希「ちょっと黙ってろなの」

~3週間後、TVスタジオ~

司会「それで、響ちゃん、今日はロケに行かないで、スタジオに残ったのは理由があるん
   だって?」

響「そうだゾ!
  今日は、同じ事務所の仲間がペット自慢にきてくれたんさー!」

司会「なるほど、それでは登場していただきましょう、今日のゲストさんです!」

プシュー……

真「こんばんは、今夜も貴女の側に寄り添う、菊地真です」ニコッ

観客「キャーーーーーーーーーッ!!」

P(本意では無いにしても、王子様キャラを演じきる……真、お前はプロだよ……)

司会「なるほど、それが真くんのペットですか、文鳥ですね?」

真「ええ、ほら、挨拶しなさい」カチャ

司会「あっ! 籠を開けたら……!」

パタパタパタパタ

司会「ああ~、真くんの文鳥がスタジオ内に逃げてしまいました!」

響「大丈夫だゾ」

真「ピーちゃん、おいで……」

パタパタパタパタ ピタッ

司会「おおっ! 真くんの手に戻りました!」

真「……ね?」キラッ

観客「キャーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」

P(……プロだ……)

~楽屋~

P「お疲れー、良かったぞ、二人とも」

真「ハァ……結局王子様キャラからは逃げられない運命なんですね……」

響「仕方ないさ、ちょっとずつでも、男性ファンも増えてるみたいって小鳥も言ってたぞ」

真「そ、そう?」

P「それにしても、完全に手乗りになったなー」

真「はい! 最近だと、ボクの指を突っついてエサを催促するんですよ?」

P「それならいいが……手乗りになる時期は、脱走事故が起こりやすいから、気を付けろ
  よ?」

真「わっかりましたー!」

P「今日は直帰でいいからな、それじゃ、お疲れ」

真、響「「お疲れ様でしたー!」」

今日の更新はここまでです
終わりまでのプロットが出来たので、アクシデントが無い限り、次回の更新で最後です

それでは、また

書き溜め出来ました
鯖落ちとか無い限り、これでラストです

19:45~20:00頃から更新始めます

~真の部屋~

真「ただいまーっと、あー、疲れた」

ピイピイ

真「ふふ……ピーちゃんも今日は頑張ったね、お利口さんだよ?」

ピイ?

真「そうだ! ご褒美に、今日はいっしょに寝ようか?」

ピイ

真「えっと……枕元に止まり木とつぼ巣をセットして……これでよし!」

ピイピイ

真「今日はいっしょのベッドで寝ようねー、ピーちゃん?」

ピイッ!

~翌朝~

真一「真! もう朝だぞ! 空手の稽古の時間だぞ!」ドンドン

真「zzz……」

真一「まったく……入るぞ! 真!」ガチャッ

真一「まったく……だらけてからに……ほら、起きろ!」

真「……う? ……う~ん……あと5分~……」

真一「ほら! 朝の空気でも吸ってシャキっとしろ!」ガラッ!

ピイッ! パタパタパタパタ……

真一「え?」

パタパタパタパタ……

真一「ぶ、文鳥が逃げた……」

真「えっ!?」ガバツ

真「父さん! ピーちゃんが逃げたってどういうこと!?」

真一「い、いや……換気しようと思ったら逃げてしまって……」

真「と、父さんの……」ワナワナ

真一「ま、待て! 事故だ!」

真「父さんのバカーーーーーーーーーッ!!」ドゴォッ

真一「ぐふぅっ!!」

~リビング~

真一「イテテ……まったく……親に手をあげるとは……真の奴……!」

母「アナタが悪いんでしょう?
  年頃の娘の部屋に断りもなく入ったりするから……」

真一「しかしだな……俺は真のためを思って稽古をつけてやろうと……」

母「余計なお世話なんじゃないですか?」

真一「そんなことがあるものか……!
   まったく……あんなにワガママだとは思わなかった」

母「……いいえ、ワガママなのはアナタです」

真一「!?」

母「小さい頃から、真の意思を無視して、空手や、男っぽいことを無理矢理やらせて……」

真一「それは、真の事を思えばこそ……」

母「真は、反発もしたりしましたけど、ちゃんと『自分で』いい子に育ちました。
  それに、こんなことは言いたくないですけど、今のウチの生活費は、私と真が稼いで
  いるんですよ?
  あなたが心置きなくレーサーを続けられるのも、そのおかげじゃありませんか」

真一「う……それは……」

母「それに、文鳥が来てから、真はだんだん変わりました。
  家の事も進んで手伝ってくれるようになって……。
  それを、アナタが逃がしてしまったんですよ?」

真一「……わかった! わかったよ! ……まったく……」

母「真に、後でちゃんと謝ってくださいね?」

真一「……」

~事務所~

真「……ヒドいと思いませんか!? プロデューサー!
  父さんのせいで……!」

P「……」

真美「まこちん、かわいそう……」

貴音「真、あまり気を落とさずに……」

亜美「あんなにカワイかったのになー……ねぇ、兄ちゃん、なんとかしてあげてよ……」

P「……話は分かった」

真「! ピーちゃんを探す方法があるんですか!?」

P「そうじゃない……真、今回の件は、お前が全面的に悪い」

真「え!?」

真美「そんな言いかたってないよ! かわいそーじゃん!」

貴音「プロデューサー……仕方ない事故ではありませんか」

亜美「そーだよ、事故だよ、事故!」

P「事故でもなんでも、籠にちゃんと入れないで、放してしまったまま寝た真が一番悪い!」

真「だ……だって……」

P「店長も言ってただろうが……手豆、足豆をやらないといけないと……それは、ちゃんと
  目を離さずに見守って、思いやってやらないといけないということだ……」

真「で、でも……ヒック」

真美「まこちん、泣かないで……」

P「それに、俺も言ったよな? 愛情を持って接してやらないといけないって……」

真「ヒック……は、はい……」

P「文鳥にとっては、お前はたった一人のパートナーで、親代わりで、家族なんだ……。
  その家族から、眼を離したお前が悪い」

真「ヒック……う、うわあああああんっ!!」

亜美「いくらなんでも、責めすぎだよ、兄ちゃん……」

貴音「プロデューサー……何とかする事は出来ないのですか?」

P「文鳥に帰巣本能は無い……一度逃がしたら、文鳥は家を見失ってしまう」

真美「そんなぁ……」

P「ましてや手乗り鳥だ……野生で生きていく術を知らない……」

真「うぅ……ボクのせいで……ボクのせいで……!」

亜美「まこちん……」

P「真、残念だが諦めるんだ、一度逃がした鳥を捕まえる方法は、無い」

真「! ボクは……ボクは諦めません!!」ダダッ バタン!

P「おい! 真!!」

真美「飛び出して行っちゃったねー……」

P「まったく……今日はラジオのゲストに呼ばれてるってのに……!」

亜美「ゲゲッ! それってヤバくない?」

P「番組に穴開けたら、今の10倍説教してやる!」

貴音「大丈夫ですよ、プロデューサー、ああ見えて、真もぷろふぇっしょなるです。
   自分のやるべき事はわかっていますよ」

P「だといいんだがな……」

~ラジオブース~

春香「さて、今週も始まりました、天海春香と!」

千早「如月千早の」

春香、千早「「はるちはわっほい!」」

春香「今日はステキなゲストが来るんだよね、千早ちゃん?」

千早「ええ、登場は番組の後半で……あら?」

AD「ちょ、ちょっと、真クン! 出番はもっと後だってば!」

真「ゴメン! 春香、千早、ちょっとマイク借りるよ!」

春香、千早「「真!?」」

真「すみません! この場を借りてお願いしたいことがあります!
  実は……ボクの飼ってる文鳥が逃げてしまいました!」

春香「え!? ピーちゃんにげちゃったの?」

千早「た、大変……!」

真「おそらく、△△区○○町付近にいると思います!
  近くの方は、お願いですから探してください!
  名前はピーちゃんで、色は茶色、足輪をつけてます!
  大事な家族なんです!
  お礼はちゃんとしますから、お願いします!!」

千早「真……」

AD(いったんCM! お願い!)

春香「あ、は、はい! それではここでいったんCMです!」

~事務所~

P「何て事をしてくれたんだっ!! この大馬鹿たれっ!!!!」

真「ヒイッ!!」

やよい「プロデューサー……あんまり真さんを怒らないであげてください……」

伊織「あんなに可愛がってたものね、まあ、気持ちはわからなくもないわよ」

P「そういう問題じゃない! 公共の電波を私物化したのがダメだと言っているんだ!!」

真「だ、だって……これしか思いつかなかったんですもん……」

P「だっても明後日も無い!! 反省しろ!!」

小鳥「ぷ、プロデューサーさん! 大変です!」

P「……何ですか?」

小鳥「今回の一件が、Y○hooのトップページに載っちゃってます!」

P「なっ! ああ……胃が……」キリキリ

伊織「あら、これで情報提供者も増えるかもよ?」

やよい「どんなふうに載ってるんですか? 小鳥さん?」

小鳥「えーっとね、見出しが……
   『菊地真、電波ジャック 逃がした文鳥の情報提供を呼びかける』……」

P「あ、もういいです、それ以上読まないでください……」キリキリ

真「こ、これなら、もしかしたら……!」

P「ちゃんと反省しろっ!! これがどんな事態になるのか想像つかないのかっ!?
  どうなっても、俺は協力しないからな!!」

~翌日、事務所~

ワイワイ、ガヤガヤ

P「……真、お前の目には、何が映ってる……?」

真「はい……ファンが事務所前の歩道を占拠してます……みんな鳥籠を持ってます……
  100人くらいいますね……」

律子「プロデューサー殿! 警察から催促の電話が来てます! 早く退去させろと……」

P「昨日も言ったけど、俺は手伝わんぞ」

真「プロデューサー……」ウルウル

P「……」

千早「プロデューサー……私が困ってた時に助けてくれたみたいに、今度は真を助けてあげ
   てくれませんか……?」

P「……ああ、もう!」ガララッ

P「ファンのみなさん! これから真が一匹ずつ確認しますので、歩行者の邪魔にならない
  ように、一列に並んでください!!」

ワーッ、キャーッ、ヤッターッ!

P「ちゃんとルールを守ってくれた方には、真のサイン色紙と、サイン入り生写真をプレゼ
  ントします!!」

真「ちょっ! 100人分!?」

ヒソヒソ、ヒソヒソ

P「?」

モットー モットモットー!

P「! ……ええいっ! 一人につき、ハグ一回もつける!! これ以上は譲れません!!」

真「んなっ!?」

キャアアアアアアアアアッ!!

ファン「「「「「キャーーーーーーーーッ、真クーーーーーーーーン!!」」」」」

P「はい、列を崩さないでください! 写メは撮ってもいいですが、他の人の邪魔にならな
  いように!
  それと!!
  持ってきた文鳥が本物じゃなくても、その辺に放したりしないで、ちゃんと飼うように
  してください!!
  これが守れない人には、色紙も写真もハグも無しですからねーっ!!」

ファン「「「「「はーーーーーーい!!」」」」」

P「さあ、真、確認していけ」

真「は、はい!」(生きて帰れるかな……?)

~事務所~

P「はあ……結局本物はいなかったな……、まあ、気を落とすな、真」

千早「災難だったわね、真」

真「うう……腱鞘炎になりそう……」

雪歩「みんな、それだけ真ちゃんに会いたかったんですよ、きっと」

真「シナモンじゃなくて、桜文鳥だったり、足輪をしてなかったり、足輪をしてても番号が
  違ったりで……残念です……」

千早「あの娘たち、ちゃんと文鳥を飼ってくれるんでしょうか?」

P「まあ、それはファンの良心を信じるしかないな……ん?」

プルルル、プルルル、ガチャ

P「はい、765プロですが……」

P「え? は、はい、そうですが……近所で!?」

真「?」

P「色は何色ですか? はい、薄茶色ですね、はい、はい!」

真「え? まさか……」

P「足輪の番号は確認できますか? ……はい、○○○○○○番ですね?
  間違いありません! ありがとうございます!!」

響「おー! 見つかったのか!! 奇跡だぞ!!」

真「え……ほ、ホントに? ドッキリじゃなくて?」

千早「良かったわね! 真!」

P「すぐに伺わせてもらいます……え? 事務所の側までもう来ている? で、では事務所
  でお待ちしています!」

真「君が見つけてくれたの?」

女の子「……うん」

響「よくやったなー、えらいぞー」

母親「すみません……本当はニュースに気付いたあと、もっと早くに来るべきでしたが、
   この子が自分が飼うんだってきかなくて……」

P「いえいえ、見つけてくださって、本当にありがとうございました」

母親「私も、この子が強情なので、一旦は飼おうかと思ったんですが、昨夜、文鳥がパッタ
   リと仰向けに倒れて……」

真「え!? だ、大丈夫なんですか?」

P「あー……テンカン症か」

真「テンカン症?」

P「ああ、文鳥や、コキンチョウによくある病気で、強いストレスがあると、仰向けに倒れ
  てしまうことがあるんだ。
  この場合は、環境の変化がストレスになったんだな。
  ほっといても治るが、回復が遅い場合は動物病院に連れて行かないといけない」

母親「はい、しばらくしたら治ったんですが、これではとてもウチでは飼えないと思いまし
   て、なんとか、この子を説得して連れて来たんです」

P「そうですか……とにかく、ありがとうございました!」

千早「アナタも、良く聞き分けてくれたわね、偉いわよ?」

雪歩「そうですぅ~、安心しました~」

女の子「……うん……グスッ」

真「ありがとうね! お礼は何がいい?
  色紙? それともサイン入りCD?」

女の子「……」フルフル

真「えっ……それじゃ、握手か、ハグかな?」

女の子「……」フルフル

真「困ったな……何をあげたらいいんだろう?」

女の子「……あのね?」

真「うん、何でも言って?」

女の子「真クンのお嫁さんにしてほしい!」

真「」

響「ぶっ、ぶひゃははははははははっ!!」

千早「が、我那覇さん、そんなに笑っちゃ、可哀想よ……」

P(こうして、真の『文鳥騒動』は幕を閉じた)

P(真も、あの後父親とちゃんと話して、多少なりとわだかまりは解けたらしい)

P(余談だが、『ピーちゃん』は真のファンクラブの間で、一種の神格化されることとなっ
  た。
  文鳥を飼う事が、ファンクラブ内でのステータスになったらしい)

P(何でも、『いつでも真クンと一緒にいられるみたい!』……だそうだ)

P(関係者各位には、多大な迷惑をかけたが、これを今後の糧とするかどうかは、真次第
  だろう)

真「そーれ、ピーちゃん、遊ぶよー! せーの、まっこまっこりーん!」

パタパタパタパタ ピイピイ

小鳥「ああっ! ピーちゃんがペンタブの上にフンしました!」

律子「小鳥さん……就業時間中に同人誌を描くのは止めてください!
   何回言ったら分かるんですか!」

P(……だ、大丈夫だろう、たぶん……)

                      (終わり)

これでこのSSは終わりです。
私も以前は文鳥を飼っていたのですが、急な入院で家族に世話を任せる事になった結果、
全滅させてしまいました。
皆さんも、ペットを飼う際は、不慮の事態に備えて、家族の協力を取り付けるようにしてください。

私の小鳥に対する知識は少々古いので、間違ってる事も多いかと思われます。
このSSを見て小鳥の飼育に興味を持って下さった方は、ネットなどで最新の知識を仕入れる事をオススメします。

それではまた、機会があれば。

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