淡「まーじゃん大学だよ!全員しゅうごうっ!」(332)

《にゅうがくしき》

恒子「それでは校長先生、ありがたいお話をお願いしまっす!」

大沼「あー…」
  (……ここは麻雀教育に力を入れた新設校、麻雀大学)
  (高校麻雀で活躍した者は大体ここに入学してプロを目指す)
  (もちろん大学なので普通の勉強もする)
  (……ちなみに麻雀学部などは無い)
  (ゆえに生徒たちにはどこかしらの学部に入ってもらう)

恒子「あれー、校長先生どしたんですか?」

大沼「……」
  (……そして、生徒たちにはチームを組んでもらうことになっている)
  (メンバーは学部学年出身校などには関係なく、アトランダムだ)
  (メンバー数は5人、1チームにひとつずつ個室と雀卓が用意されている)
  (切磋琢磨しあい、雀力を高めてほしい)
  (……チーム対抗型のイベントなども用意する)
  (楽しく仲良く過ごしていくなかで己を成長させていってくれ)
  (……年齢とか設定とかいじられてるものもあるかもしれん)
  (その辺はパラレルだと思って大目に見てほしい)
  「……以上だ」

恒子「まじっすか!校長先生のお話でした!」

《にほんぶんがく》

――教室

えり「……ですから、この……は……の表れかもしれませんね」

淡「…」Zzz

小蒔「…」カリカリ

えり「そして……このころ芥川は……ですから…」

淡「…」Zzz

小蒔「…」カリカリ

えり「つまり……あら、そろそろ時間ですね」
  「最後に中間レポートの課題を出して、今日は終わりにしましょう」

淡「…」Zzz

小蒔「れぽーと?」

えり「レポート課題は……」カキカキ

小蒔「!」
  「……」カリカリ

キンコンカンコーン

えり「ではまた来週ですね レポート忘れないようにしてください」

小蒔「淡ちゃん淡ちゃん」ツンツン

淡「んー……ブンガク終わったー…?」ウトウト

小蒔「うん、終わりましたよ」

淡「テーネー語きんしっ」ツンッ

小蒔「あうっ ええっと、ごめん?」

淡「うんっ、オッケー」

小蒔「えへへ」

小蒔「…あ、そうだ、淡ちゃん」

淡「? なに?」

小蒔「れぽーとが出たよ」

淡「…れぽおと?」

小蒔「えっとね、サカグチアンゴのこれを読んで……感想を……」メモミセ

淡「んー…??よく分かんないねー」

小蒔「本は学校の生協で安く買えるって言ってたよ」

淡「おおっ、すごいね」メモメモ

小蒔「ていしゅつは再来週までだって」

淡「うん、ありがとーコマキっ」メモメモ
 「ようっし、授業おわりー! 麻雀麻雀っ」

――2週間後(あさ)

淡「……れぽおと明日までじゃん」
 「どーしよう! 課題の本買ってすらないよ!」
 「コマキは書いたのかなー?」ピッポッパ

プルルルル ガチャ

小蒔『もしもし、神代です』

淡「コマキー、明日のれぽおと書いたー?」

小蒔『? えっと、にほんぶんがくの?』

淡「うんうん」

小蒔『もうちょっとで終わりそうだよ』
  『淡ちゃんは?』

淡「わたしまだ本も買ってなくって」

小蒔『…』
  『えっ?』

小蒔『い、急がなきゃだよっ、淡ちゃんっ』アタフタ

淡「や、やっぱまずいかなー…?」

小蒔『ええっと…小説自体はそんなに長くないんだけど……』
  『なんか…むつかしいっていうか……』

淡「うー…こまった」

小蒔『それに、本ももう置いてないかもだよ…?』

淡「!! ますますこまったっ」

小蒔『どうしよう…どうしましょう淡ちゃん…』アタフタ

淡「お、おちついてコマキっ! テーネー語きんしっ!」アタフタ

小蒔『ごっ、ごめんなさっ…』

淡「…!」ポンッ
 「そ、そうだっ、コマキっ」

小蒔『…?』

淡「チームメイトに相談してみるよっ」

――チーム部屋棟(おひる)

淡「ふっふっふー麻雀ばっかりですっかり忘れてたよー」
 「わたしには強いみかたがいるってことをねー」
 「そう、なにを隠そう…なにを隠そう、うちのチームには読書狂が……」

ガラガラッ!

淡「何人かいるっ!!」

咲「!?」ビクッ
 「…?」
 「えっと…こんにちは?淡ちゃん」

淡「サキー!」ダキッ

咲「わわっ、どうしたの…?」

淡「ニッポンブンガクがわかんないよー!」エーン

咲「…文学? 授業の?」

淡「うん、課題の本も買ってないのー助けてサキー!」エーン

咲「ええと…あそこの本棚にあるのなら貸せるけど…」

淡「読んでもムツカシイからわかんないよー!」エーン

咲「ええっと……」

ガラガラ

照「なにを騒いでるの?咲、淡」

咲「おねえちゃん」

淡「テルー!」ダキッ

照「淡?」

淡「ニッポンブンガクがわからないよー!」エーン

照「? どういうこと?」

咲「授業の課題があるんだって」

淡「助けてテルー!」エーン

照「…? そこの本棚にある本なら貸せるけど」

淡「読んでもわからないよー!」エーン

照「? つまりどうしたいの?」

淡「読書好きのふたりが、れぽおとの書きかたを教えてくれたらなーって」

咲&照「…?」

咲「日本文学のレポートなんだよね?淡ちゃん」

淡「うんっ、うんっ」

照「だったら簡単」

淡「うんっ、うんっ?」

咲&照「読んで思ったことを書けばいい(んじゃないかな…?)」

淡「…あ……ああ……」

咲&照「?」

淡「…あアァ、あ…ァ……」
 (だ、だめだこのふたり…いまのセリフ、その目…)
 (なにができないのか、本当にわかってない目だ…)
 (純粋で、悪気なんていっさいなくて、本当に不思議がってる…)

咲&照「??」

淡(……そんな目だ)

照「ん、そろそろ授業の時間 行こ、咲」

咲「うん 淡ちゃん、本は勝手に持っていっていいから」

淡「……うん、ありがとサキー…」

照「ばいばい」フリフリ

咲「レポートがんばってね」フリフリ

ガラガラ…

淡「……」
 「……おわった」

ガラガラ

恭子「あれ、大星だけかいな?」

淡「あ…キョウコ…」

恭子「? なんや、元気ないな」

淡「ニッポン…ブンガクが……わからな……はあ…」

恭子「…? 本ならそこの宮永文庫から借りたらええ」

淡「いや…そうじゃな……」
 「……」
 「…宮永文庫っ!?」

淡「なにそれ! かっこいい!」

恭子「…なんや知らなかったんか?」
  「宮永姉妹の読書っぷりは量・質ともに常軌を逸しとるで、」
  「この、ふたり共有の本棚には古今東西のあらゆる本が眠っとって、」
  「畏敬の念を込めて宮永文庫と呼ばれ、」
  「うちのチーム以外の生徒どころか、教授陣まで利用するくらいなんやで」

淡「すごい!」

恭子「なにに困っとるんか知らんけど、ほしい本が無いってことはないと思うで」

淡「! そうだ、こまってたんだった…!」

恭子「…だいじょうぶかいな」

淡「ううー…キョウコー…」ウルウル

恭子「……」
  「…はあ なんや、話してみ」

淡「!」

恭子「できることなら協力したるで」

淡「キョウコー!」ダキッ

淡「……ってわけでこまってるの!」

恭子「……」
  「はあー…」

淡「ためいきっ!?」

恭子「授業は寝てて、本は読んでないて、それで困らないわけないやんか…」

淡「せいろんっ!?」

恭子「…で、課題本はなんやねん」

淡「! 手伝ってくれるの!?」

恭子「課題本次第やな…ものによっては正直諦めるしかあらへんよ」

淡「あ…」

淡「あ、諦めるのは…」

恭子「…嫌なん?」

淡「……うん」

恭子「そか」

淡「キョウコ、怒ってる…?」

恭子「……いや、別に怒ってへんよ」

淡「?」

恭子「しんどいけど、手伝ったるか って思っとっただけや」

淡「!!」

恭子「諦めたくない言うなら、しゃーないしな」

淡「ありがとー、キョウk――」

恭子「抱きついとる暇ないで 課題本は?」

淡「え、ええっと……」

恭子「?」

淡「タ…カムチ……バンド…?」

恭子「……」

淡「うん、うん」デンワ
 「うん、ありがとーコマキー」ピッ

恭子「わかったか?」

淡「サカグチアンゴのサクラノモリノ…なんとかだって」

恭子「なんでもう忘れとんねん…」
  「ええと…これやな」っ安吾
  「桜の森の満開の下、や」

淡「! そう!これ!」

恭子「……」

淡「……」ワクワク

恭子「…?」

淡「……」ワクワク

恭子「…読まへんのか?」

淡「え?」

恭子「なにが え? やねん」

淡「キョウコ…て、手伝ってくれるんじゃ…」

恭子「……手伝いってどんな手伝いを期待してるんや?」

淡「よ…読んでくれて…」

恭子「うん」

淡「…教えてくれて」

恭子「うん」

淡「……書いてくれる」

恭子「うん」

淡「みたいな?」

恭子「あほ」デコペチン

淡「あう」

恭子「あほ」デコペチチン

淡「あうう」

恭子「超あほ」デコペッチーン

淡「あうううー…」

恭子「自分のレポートやろ 自分で書かないで済むわけあるか」

淡「…うん」

恭子「せやからもちろん読むのも自分でや」

淡「! で、でもっ!」

恭子「なんや」

淡「こんなムツカシイ本読んだことないもん!」

恭子「こんなもなにも、まだ開いてもないやろ」

淡「コマキがムツカシイって言ってたもん!」

恭子「やったらどないすんねん やっぱり諦めるんか?」

淡「あ…」

淡「……あの…」

恭子「…」

淡「…ん、と……」

恭子「…」

淡「…」
 「……」ウルッ

恭子「……」

淡「……」ウルウル

恭子「…」
  「…」ハァ
  「…あほ」ペチン

淡「あう」ウルウル

恭子「泣くほど嫌ならがんばるしかないやろ」

淡「……でも」

恭子「……なあ大星」

淡「…うん?」

恭子「わたしは代わりにがんばってはやれへんけどな」

淡「…?」

恭子「それでも、がんばりかたくらいは教えたるで」

淡「!」

恭子「せやからまず泣くんやめや」

淡「…」ゴシゴシ
 「うんっ!」

恭子「…」フー
  「したら始めるで、本開き」

淡「うん!」

恭子「まずは分からなくても読んでみるしかあらへん」
  「辞書は持っとるか?」

淡「うん」

恭子「そしたら分からん単語とか漢字とかはそれでひきながら読むんや」

淡「うー…めんどくさい」

恭子「しゃーないことや」

淡「うん…」

恭子「あとは読んでて意味分からんこととか引っかかることとかをメモしぃ」

淡「意味ワカランこと?」

恭子「せや なんでこんなことするんやろとか、言うんやろとか」
  「なんでこうなるんやろ、どういうことやろとか」
  「すんなり分からんことをメモしながら読むんや」

淡「なんで?」

恭子「後でレポート書くときのポイントになりやすいからやな」

淡「むむー…? …?」

恭子「まあやってみたら分かるで」

淡「? うん」

恭子「じゃあわたしあっちで課題やっとるから、読み終わったら――」

淡「キョ、キョウコ!」

恭子「? なんや?」

淡「じ、辞書でもわかんないことが有ったら……その…」

恭子「ああ、そん時は訊いてや」

淡「!」
 「ありがとーキョウコー!」ダキッ

恭子「…ほら、はよ読み始めんと」

淡「もーちょっとだけー」スリスリ

恭子「…」

淡「キョウコー」スリスリ

恭子「…」
  「…」ハァ
  「しゃーないな、ほんま」ナデ

淡「キョウコー、この字調べても出てこないよー」

恭子「ああ、これはここが2画で……」

淡「キョウコー、せつめいぶんの意味が分からないよー」

恭子「んーと、これはたとえばやな……」

淡「キョウコー」

恭子「どれどれ……」

淡「キョウコー」

恭子「これこれ……」

淡「キョウコー」

恭子「それそれ……」



恭子(……あかん、こっちの課題がはかどらへんな)

淡「…」ペラ
 「…」ウーン
 「…」ペラペラ

恭子「…」
  (…まあ、しゃーないか)フゥ

淡「よみおわった!」

恭子「おつかれさん」

淡「つかれたー」バターン

恭子「ほら、読み終えたんやから書かな」

淡「キョウコーぎゅってしてー」ゴロロン

恭子「なにかわいいこと言っとんねん」

淡「!?」ドキッ

恭子「…? なんや、急に飛びはねて」

淡「いいい、いま、キョ、キョウコ……」カアァ

恭子「なに?」

淡「…あ……あー、ううん、なんでもない……」

恭子「?」

淡「び、びっくりしちゃっただけだから…」

恭子「…?」

恭子「うん、ちゃんとメモしたみたいやな」

淡「うん、したよ」

恭子「そしたらこれについてじっくり考えてみたらええ」

淡「? どういうこと?」

恭子「なんでやろなあとか、なんやったんやろなあとか」
  「そういうこと考えてみれば自然と作品の理解につながるやろ」
  「そこから話をふくらませばレポートのかたちにはなるで」

淡「んー…でもよくわかんなかったよー…?」

恭子「難しくかんがえることあらへん」
  「別に国語の問題やないし、本格的な論文でもないんや」
  「書いてあることからズレないように、誠実にかんがえればそれでええ」

淡「んー…?」

恭子「こればっかりは気持ちの問題やで」

淡「んー… わかった、やってみる」

淡「…」ウーン
 「…」ペラペラ
 「…」ウーン

恭子(…ちゃんとやっとるみたいやな)

淡「んー…?」ペラ

恭子(なんだかんだ言うて、根は素直っちゅーか、なんちゅーか…)フー

淡「!」ポン
 「…」カキカキ

恭子(…よし、こっちも課題やるか)メガネツケ

――よる

淡「ど、どうかな…?」

恭子「んー…誤字とか文がおかしいとことかはまだあるなあ」ジー
  「こことかこことか、これも日本語としてちょっと変やろ」ユビサシ

淡「うう…」

恭子「けどまあ、それさえ直せばだいじょうぶやな」

淡「! それって…!」

恭子「レポートできあがりや」

淡「やったあー!!」

恭子「…」フゥ

淡「やったよキョウコー!」ダキッ

恭子「ようがんばったな」

淡「ほめてほめてー」

恭子「えらいえらい」ナデ

淡「えへへー」

恭子「大星、ラーメンでも食べにいかへんか?」

淡「らーめん?」

恭子「がんばったご褒美におごったるで」

淡「ほんと!?」

恭子「ああ、学校の裏においしいラーメン屋があるんや」

淡「いく!」

恭子「ほな出よか」メガネハズシ

淡「あ、めがね…」

恭子「?」

淡「…とっちゃうの?」

恭子「…? メガネは勉強するときだけつけてるんや」
  「町歩いたりするのに困るほどやないからな」

淡「そっかー…」
 (…キョウコのめがね、にあってたのになあ)ジー

恭子「?」

――レポート返却日

えり「では、名前を呼ばれた人から取りに来てください」

淡「…」ドキドキ

アタラシサン ハイ

小蒔「きんちょうするね…」

淡「うん…」

モリガキサン ハイデー

淡(…だいじょうぶ!)
 (キョウコがだいじょうぶって言ってくれたんだから…!)

えり「神代さん」

小蒔「はっ、はいっ!」タッタッタ

ヨクガンバリマシタネ ア、アリガトウゴザイマス…

淡(…だいじょうぶ)ドキドキ

えり「大星さん」

淡「! ふぁいっ!」タッタッ

カンダネ カワイー チョーカワイイヨー

淡「…」カアァ

えり「…大星さんは、レポート、苦手ですか?」ヒソヒソ

淡「! は、はい…」コクン

えり「やっぱり」ヒソヒソ

淡「あ…あの…」

えり「でも」

淡「…?」

えり「がんばりましたね、よく書けてましたよ」ニコッ

淡「!!」

えり「次もがんばってくださいね」

淡「は、はいっ!」

ガラガラッ!

淡「キョウコー!」

咲「!?」ビクッ

照「?」

恭子「なんや大星、ごきげんやな」

淡「じゃじゃーん! レポートかえってきたの!」

恭子「! どれどれ」
  「おー、結構評価いいやんか」

照「ほんとだ、いい点」

咲「すごいね淡ちゃん!」

淡「えへへー、キョウコのおかげだよー」

恭子「がんばったんは大星や、胸張ってええ」

淡「…えへへ」

淡「テルとサキもありがとねー、本貸してくれて」

照「うん」

淡「わたしね、結局あの本買ったんだー」

咲「? レポート終わってから?」

淡「うんっ なんかほしいなって思って」

恭子「へえ、ええな」

淡「でしょー」
 「わたし、ちょっとブンガク好きになったかも」

恭子「うん」

淡「あとキョウコも好きー!」トビツキッ

恭子「わ、大星、あぶな…」

淡「わたしたちもブンコつくろーキョウコー!」スリスリ

恭子「なにいうて、ちょ、ええからちゃんと立ち、おおほしっ」

淡「キョウコー!」スリスリ


カン!

《からおけ》

漫『このときをたのしっ メナイっ! メマイっ!』

シロ「……」シャンシャン(タンバリン)

漫『ゆぅめぇじゃーないっあれもこれもぉー!』
 『その手ぇでドアうぉっ開けましょーう!』

霞「わあ、かっこいい歌ねえ」シャンシャン

漫『しゅぅくぅふくがっ欲しいのならー!』
 『かなしぃみを知りっ ひとぉーりぃで泣ーきましょーう!』

優希&初美「フゥフゥー!!」

漫『そしてぇっ かーがやくウルトラソウッ!』

優希&初美「ヘイッ!」

霞「すてきだわあ」パチパチ

漫「えへへ、どーもどーも」テレ

初美『あいうぉんちゅー』

漫「はっつっみぃー!」

初美『あいにーじゅー』

優希「はっつっみぃー!」

初美『あいらびゅー』

漫&優希「はっつっみぃー!!」

霞「かわいい踊りねえ、はっちゃん」シャンシャン

シロ「……」シャンシャン

霞「ふふふ」シャンシャン

シロ「……霞」シャン

霞「? なあに、シロちゃん」シャン

シロ「…霞は歌わないの?」

霞「えっ、わたし?」

優希「おおっ、シロ先輩ナイスなふりだじぇ!」

漫「石戸先輩、どーぞ歌ってください」

霞「で、でもわたし、あんまり最近のうた、しらなくって…」

優希「だいじょーぶ! 霞ちゃん先輩かわいいからオールオッケーだじぇ!」

漫「そーですよ! ほら、曲入れてください」

霞「え、ええと…」

シロ「……霞」

霞「…?」

シロ「…霞の歌、聴きたい」

霞「! シロちゃん…」

シロ「聴きたいな」

霞「……」
 「…」コクン
 「わかったわ」

優希「やたー! さっすがシロ先輩だじぇ!」

霞「ふんふむ…」
 (歌うとは言ったものの…)

優希『ダッシュ!ダッシュ!オーレンジャー!』

霞(なにを歌えばいいのかしら…)

優希『あっつい血ながれぬ 鋼のっ マッシンー』

霞(かっこいい曲…?)
 (ええと、オザキさんとかかしら…)
 (ぬーすんだバーイクではーしりだすっ)
 (……不良だと思われちゃうわよね)

優希『あしたにっ むかあてっ 勇気を 燃やせばー!』

霞(じゃあはっちゃんみたいにアイドルソング…?)
 (さっきのは、ええと…モーニングむすめ?さんだったかしら?)
 (……知ってる曲がないわ)

優希『はしりだしたらっ! とまーらなーいじぇっ!』

漫&初美「オレー!」

霞「…」ウーン

シロ「…」シャンシャン

霞「…」ウーン

シロ「…」シャンシャン
  「……霞?」

霞「!」ビクッ
 「なっ、なあに、シロちゃん?」

シロ「…霞の好きな曲を歌えばいいよ?」

霞「…?」

シロ「……」
  「…無理して最近の曲とかにしなくていい」

霞「…!」

シロ「…むかしの歌も好きだし」
  「……それに、好きな歌うたってる霞がみたい」

霞「!!」

シロ「それだけだから」

霞「シロちゃん…」

霞「…」コクン
 「じゃあこれを…」ピッピッ

シロ「うん」

テンソウシマシタ

優希「ふいー、なかなかの消費カロリーだったじぇー」

漫「次は石戸先輩ですね」

初美「たのしみですよー」

霞「…」ドキドキ

シロ「……」

霞「…」ドキドキ

シロ「……」クイクイ

霞「…?」

シロ「…がんばって」

霞「! …ええ」コクン

テロテテンテッテ テロテテンテンッテ

霞『はーるいろの汽車にのーって』

霞『うーみに つれていってよー』

優希(こっ、これは…!)

霞『たーばこのにおいのシャーツに そおと より添うからー』

漫(あかん…想像以上や…)

霞『なーぜ 知りあった日から はんとーし過ぎても』

初美(これは、想像以上に…)

霞『あなたーって 手もにぎらないー』

優希&漫&初美(かわいい!!)ドッキーン

霞『あいうぃるふぉろゆ あなーたに ついてゆきたーい』

優希(かわいすぎるじぇ霞ちゃん先輩…!)ドキドキ

霞『あいうぃるふぉろゆ ちょおぴり 気がーよわーいけど』

漫(しかもどこか色っぽいっちゅーか…あかんでほんま…!)ドキドキ

霞『すてきなー ひとだからー』

初美(聖子ちゃんは反則ですー…どきどきしちゃいますよー…)ドキドキ

霞『こーころに春がきたー日は 赤いースイートピー』

テロテーン…

霞「…ふう」

優希&漫&初美「…」ポーッ

霞「…?」
 「あ、あの……ダメ…だったかしら…?」

優希「そっ!そんなこと全然ないじぇ!」

漫「すっごいかわいかったです!」

初美「霞ちゃん、結婚しようですよー」

霞「え、あ…ええっと……」

シロ「……霞」

霞「! は、はいっ」

シロ「よかった」

霞「!!」
 「あ、ありがとう…」カァ

――帰り道

優希「シロ先輩、霞ちゃん先輩、ばいばいだじぇ」フリフリ

漫「おつかれさまです」フリフリ

初美「ばいばいですよー」フリフリ

霞「また明日ね」フリフリ

シロ「…ばいばい」フリフリ

霞「…」テクテク

シロ「…」テクテク

霞「…そういえば」

シロ「…?」

霞「シロちゃん歌わなくてよかったの?」

シロ「……んーと」

霞「…?」

シロ「……」
  「…恥ずかしいから」

霞「…」キョトン
 「…ぷっ」
 「ふっ…ふふ、なあにそれ」クスクス

シロ「……」

霞「ふふ、あははは」

シロ「……笑いすぎ」

霞「ご、ごめんなさ、ふふっ」

シロ「……」

霞「…ふう、おかしかった ほんと、笑いすぎね」

シロ「……」

霞「ごめんね、シロちゃん?」

シロ「…別にいい」

霞「……ねえ」

シロ「…?」

霞「今度はふたりで行きましょうか カラオケ」

シロ「!」

霞「それなら恥ずかしくないでしょう?」

シロ「……」
  「…いちばん恥ずかしいんだけど」

霞「ええ、なんでー…?」

霞「うーん、いいアイデアだと思ったんだけど…」

シロ「……」

霞「わたし、シロちゃんの歌聴きたいわ」

シロ「……」
  「…恥ずかしいとは言ったけど」

霞「…?」

シロ「行かないとは言ってない」

霞「!」

シロ「……一緒にいこ、霞」

霞「そうしたら歌ってくれる?」

シロ「…うん」

霞「やったあ」

シロ「……」

霞「ふふふ たのしみだわあ」ルンルン


もいっこカン!

《かぜ》

――チーム部屋棟

ガラガラ

塞「やっほー、って、あれ?」

ゆみ「来たか、塞」

哩「したら、行くかいね」

菫「そうだな」

塞「? みんなでどこか行くの?」
 「あれ?でも、華菜がいないけど…」

ゆみ「その池田の家に行くところだ」

塞「?」

哩「池田んやつ、風邪ばひいて寝込んどるとよ」

塞「えっ、マジ? 珍しいね」

菫「あいつがダウンすると妹さんたちが大変らしくてな」
 「その面倒を見るついでに看病してやるかってことになったんだ」

塞「なるほどねー」

――池田んち

ゆみ「ここだ」

ピンポーン

城菜「? おきゃくさんだし」

菜沙「まった! すぐドアあけちゃダメだし!」

緋菜「あいことばをいってもらうし」

ゆみ「合い言葉?」

緋菜「おねえちゃんはいけだかな?」

ゆみ「? 池田だよ」

緋菜「せいかいだし いまあけるし」

ゆみ「??」

塞「なんかかわいいね」

哩「そうやね」

ガラガラ

緋菜「ようこそだし」

緋菜「! ゆみちゃんだし」

ゆみ「ああ、今日は友だちも一緒だ」

菫「? 知りあいなのか?」

ゆみ「何度か来たことがあってな」
  「入っていいか?」

菜沙「どうぞどうぞだし」

塞「おじゃましまーす」

哩「お姉ちゃんばどこにいると?」

城菜「あっちのおへやでねてるし」

ゆみ「そうか、ありがとう」

ガララ

ゆみ「池田、看病に来たぞ」

華菜「あー…来てくれたのか… たすかるし…」ゴホゴホ

ゆみ「台所借りるぞ」

華菜「うん…かまわないし…」ゴホ

ゆみ「なにか食べれそうなのか?」

華菜「たぶん…お粥とかなら食べれるし…」ゴホゴホ

ゆみ「そうか」

哩「ほら、タオル変えちゃると」

華菜「先輩…ありがとうだし…」ゴホ

菫「これは思った以上につらそうだな」

塞「華菜ー、家のことはわたしたちに任せていいからね」

ゆみ「ああ、だから余計な心配はしないで、できるだけはやく治せ」

華菜「みんな……ほんとに、恩に着るし……」ゴホゴホ

ゆみ「とりあえずわたしと哩で池田と妹たちの晩ごはんをつくろう」
  「菫と塞は、それができるまで妹たちの相手をしてやってくれ」

哩&菫&塞「りょうかい」

ゆみ「頼んだぞ」

哩「したら買うてきたシャケば捌いちゃってよかと?」

ゆみ「ああ たまごはお粥につかおう」

哩「ネギも入れちゃらんとね」

ゆみ「うん 包丁は…これでいいか」



塞「よーし、なにして遊ぼっか?」

菜沙「うーん、むずかしいもんだいだし」

城菜「おうまさんごっこがいいー」

塞「オッケー」

塞「パカラッ パカラッ」

緋菜「おおお、はやいし!」

城菜「さえちゃんすごいし!」

塞「へへー まだまだこんなもんじゃないよー パカラッ」

菜沙「…」ジーッ

菫「? おうまさんごっこするか?」

菜沙「ううん」フルフル

菫「いいのか?」

菜沙「うん、かたぐるまがいいし」

菫「! いいぞ、じゃあ乗っかって」シャガミ

菜沙「やっただし!」トビノリ

菫「そーら」タチアガリ

菜沙「わわ、たかいたかいし!」

菫「…」ヒュン パンッ!

緋菜&菜沙&城菜「おおーっ!」

緋菜「すごいし!」

菜沙「ひゃっぱつひゃくちゅうだし!」

城菜「かっこいいー」

菫「ふっ」

塞「すごいね、おもちゃの弓なのに」

菫「なに、慣れてしまえばそう変わらないさ」

ガララ

哩「ごはん、もうすぐできるとよー」ヒョコン

菫&塞「!」

緋菜&菜沙&城菜「はーい」

塞「い、いまの見た…?」

菫「ああ… 哩…」

菫&塞(ナイスエプロンっ!!)

哩「できたとよー」

緋菜「やったー!」タッタッタ

菜沙「いっただきまー…――!」

城菜「……うう、シャケだし…」

哩「! シャケば嫌いやったか…?」

緋菜「ううん、きらいじゃないし…」フルフル

菜沙「で、でも……」

哩「…?」

城菜「……ほねがあるし」

哩「なんだ、そんなこととね」ホッ

緋菜「ほねがいたいからシャケはたべれないし……」

哩「したらお姉ちゃんが全部とってやるとね」

緋菜&菜沙&城菜「!」

哩「ほら、貸して」

哩「はい、とれた」

緋菜「わあー」キラキラ

菜沙「おいしいし!」キラキラ

城菜「ありがとうだし」キラキラ

哩「よかよよかよ」
 「ほら、お味噌汁もあるけんね」

緋菜「わあー」

菜沙「こっちもおいしいし!」

城菜「まいるちゃん、おりょうりじょうずだし」

哩「ふふ、ありがとうね」

緋菜「おかあさんみたいだし」

哩「!」

菜沙「およめさんにしたいし!」

哩「な、なに言うと…」カァ

城菜「まいるちゃんすきだし」ダキッ

哩「!!」カアァ

ゆみ「…」フー フー
  「ほら」っお粥

華菜「じ…じぶんで食べれるし……」フラン フラン

ゆみ「いいから」

華菜「うう……」カァ
  「…あー、ん」パク

ゆみ「熱くないか?」

華菜「ん…だいじょうぶだし……」

ゆみ「そうか」
  「…」フー フー

華菜「…」

ゆみ「ほら」

華菜「……ありがとな」

ゆみ「かまわない」

華菜「……心細かったんだ、しょうじき」

ゆみ「ふ、らしくないな」

華菜「うん…あたしもそー思う……」

ゆみ「ほら、食べろ」

華菜「ん…」パク
  「…」
  「…ほら…うちって大人があたししかいないだろ?」

ゆみ「…」

華菜「なんかあったらどうしようとか…考えちゃうんだよなー……」
  「…ひとりでいるとさ」

ゆみ「…」フー フー

華菜「妹たちはあんなだから……いざって時は…あたしが……」

ゆみ「…」ナデ

華菜「にゃっ!」

ゆみ「ほら」

華菜「…?」パク

ゆみ「……そういえば、明日は授業がないんだ」

華菜「!」

緋菜&菜沙&城菜「ごちそうさまー」

哩「お粗末さま」

緋菜「まいるちゃん、いっしょにあそぶし!」クイクイ

哩「いや、お片づけせんと」

塞「あーやっとくやっとく」

菫「皿洗いくらいはしないとな」

菜沙「はやくはやくだし!」クイクイ

城菜「あそぼー」クイクイ

哩「わかったわかった、遊ぶけん、袖引っ張っちゃダメたい」

キャッキャッ キャッキャッ

塞「あはは、哩大人気だね」

菫「あの子たちも安心するんだろうな あれでも1日心細かっただろうから」

塞「なんていうか、母性? っていうのかね」

菫「ああ、わたしたちじゃ、ああはいかないな」

緋菜「わたしたちがおうまさんしてあげるし!」

菜沙「ほらはやくのってだし!」

哩「え、いや…わたし、重かよ? 無理やって」

緋菜「えー、むりじゃないし」

菜沙「はやくはしるし」

哩「いやいや…そげん言うても」

城菜「…」ジーッ

哩「べ、別の遊びばしよ?」

城菜「じゃあかたぐるましてあげるし」アシクグリ

哩「ひゃっ!」

城菜「あれ…?もちあがらないし」

哩「ちょっ、脚、くすぐったかよ」

緋菜&菜沙「わたしたちもやるし!」

哩「まっ、待って、ダメっ…」

ガララ

ゆみ「ちょっといいか、今夜のことなんだ……が…?」

哩「!」

ゆみ「……面白いことになってるな」マジマジ

哩「…み、見んといて」カアァ

塞「どうしたの、ゆみ」ヒョコン

菫「! 哩…その、なんだ…だいじょうぶか…」

哩「ええから…! ゆみ、話ってなんとよ」

ゆみ「…ああ、今夜なんだが」
  「わたしは土曜授業はないから、ここに泊まっていこうと思う」
  「もうちょっと池田についておいてやりたいしな」
  「みんなはどうする?」

塞「わたしも授業ないし、いいよ」

菫「おなじく」

緋菜「やったし!」

菜沙「みんなおとまりだし!」

哩「…」

城菜「…」ジーッ
  「まいるちゃんは?」

緋菜「まいるちゃんもおとまりしてほしーし!」

菜沙「まいるちゃんいっしょにねるし!」

哩「んんと…」
 (あしたは、授業ばあるんやけど……)

城菜「…まいるちゃん」ダキッ

哩「!」
 (…ま、1日くらいサボってもよかね)

ゆみ「もちろん無理にとは言わないが」

哩「いや、よかよ」

緋菜&菜沙&城菜「!!」

哩「わたしも今日はお泊まりするたい」

緋菜「やったしー!」

菜沙「まいるちゃんだいすきだし!」ダキッ

城菜「…」ギューッ

哩「こっ、こら」カアァ

――よる

緋菜「まいる……ちゃ…」ムニャムニャ

菜沙「ぱか…ら……ぱか……」ムニャムニャ

城菜「かたぐるま…はっし……だし」ムニャムニャ

哩「ほら……ふとんばせんと…かぜ…ひくと……よ…」ムニャムニャ

菫「これがほんばの……しゃーぷ…しゅーと……ばしゅんっ…」ムニャムニャ

塞「あはは、寝言で効果音言ってる」
 「…」
 「華菜たちは寝たかな」

ガララ…

塞「…」ヒョコン

華菜「…」Zzz

ゆみ「……塞か」

塞「あれ?もしかして寝ないで看病するつもり?」

ゆみ「いや、そこまではいいだろう 熱も引いてきたみたいだしな」

塞「そう よかった」

華菜「……にゃー…うらはめくらないで……おいてや…にゅ…」ムニャムニャ

塞「ふふ はやく良くなってね、華菜」

――数日後

ガラガラッ!

華菜「華菜ちゃん大復活だし!」

哩「ドアは静かに開けんね」

華菜「はいだし!」

菫「こないだのが嘘みたいに元気だな」

華菜「死の淵から蘇った華菜ちゃんは元気百倍だし!」

哩「そらよかったとね」

ガラガラ

塞「お、華菜ー 治ったんだ」

華菜「おかげさまで全快しましたし!」

塞「おーよかったよかった」ナデナデ

華菜「ご心配おかけしましたっ!」ペコン

菫「…」フッ

塞「ほんと心配したよー 華菜が元気ないとなんかさみしいしさー」

哩「これでまた賑やかしくなるとね」

華菜「みんなまた来てほしいって、妹たちも言ってましたし」

塞「おっ、じゃあまたみんなでお邪魔しますかー」

哩「そやね、わたしも行きたか」

菫「哩は特に気にいられてたしな」

哩「なっ…!?」

塞「あー、あの子らの相手してる哩、超かわいかったね」

哩「ちょ、やめね…!」

華菜「それは是非みたいし!」

哩「み、見んでよかっ!」

ガラガラ

ゆみ「お…おそくなってすまない…」フラ

華菜「ゆみー!おかげさまで風邪治ったし!」

ゆみ「そうか…それはよかった……」フラフラ

塞「ゆみ…?」

ゆみ「? なんだ…?」フラ

塞「いや、だいじょうぶ? なんかふらふらしてるけど」

菫「顔色もあまりよくないぞ」

ゆみ「ん……そうか…?」フラ

哩「座ったほうがよかよ」

ゆみ「ん…そうしよう…」フラフラ

華菜「…ゆみ、ちょっとオデコ貸すし」ピトッ

ゆみ「いけだ……?」

華菜「やっぱり! 熱あるし!」

塞「あちゃー、華菜のがうつっちゃったか」

菫「付きっきりだったからな」

ゆみ「そうか…ねつがあったのか……どうりで…」

哩「家ば帰らんと」

ゆみ「ああ……そうするか…」

華菜「…ゆみ」

ゆみ「…なんだ?」

華菜「家に家族のひとはいるのか?」

ゆみ「きょうは……たぶんいないな…」

華菜「……」

華菜「…じゃあ華菜ちゃんが看病しに行ってあげるし!」

ゆみ「…!」

塞「いいねーそれ、わたしたちも混ぜてよ」

菫「どうせならまた泊まるか」

哩「おいしいお粥ばつくっちゃるとよ」

ゆみ「みんな……」
  「…」フッ
  「こんかいは…マスクをかっておけよ……?」

塞&菫&哩&華菜「りょうかいっ」


もいっこカン!

《RUN》

――グラウンド

セーラ「いよいよ決着をつけるときが来たな」

穏乃「ええ」

セーラ「つなひき遠泳砲丸投げ懸垂とびばこ縄跳び…あとなんやっけ?」

穏乃「ロッククライミングと絹恵さんキーパーでのシュート対決ですね」

セーラ「はっ、思えば長い戦いやったな」

穏乃「…ええ」

セーラ「せやけどそれも今日で終わりや」

穏乃「…」

セーラ「もっとも純粋かつシンプルな方法で…白黒、つけるで」

穏乃「…」

セーラ「ランや」

煌「ついに、うちのチーム最強の女が決まるのですね…!」

玉子「うちの最強は、この大学最強と同義であるー」

豊音「わくわくするねー」

咏「よーっし、んじゃまあ、始める前にルール確認しとくかねい」フリフリ

セーラ「はいな」

穏乃「おねがいしますっ」

咏「んー、これからやってもらうのは、」
 「かわいい後輩が勝ち負けハッキリさせたいっつーから、」
 「OGのあたしが考えた究極の体力勝負のゲームなんだよねー」
 「知らんけど」

煌「究極……すばらですね」

咏「その名も根性ラン!」

玉子「シンプルであるー」

咏「シンプルイズベストじゃねー?知らんけどさ」

豊音「根性…ちょー熱いよー」

咏「ルールは簡単で、ただ走るだけなんだよね」
 「ゴールはないし、時間制限もない」
 「ただひたすら走ってもらうわけよー」フリフリ

穏乃「…」ゴクリ

セーラ「…上等や」

咏「うは いい覚悟だねい」
 「次がこのゲームの肝なんだけどさー、」
 「ランの終わりは、あたしたちオーディエンスが決めるのよ」

煌「決める、というと?」

咏「あたしたちひとりひとりに、ちっこい旗を持たせとくんだけどー、」
 「ああもう決着ついたなー終わったなー諦めたなー、ってなったら、」
 「その旗を上げるってわけ」
 「そんで旗が3つ上がった時点でゲーム終了、その時点で前のほうが勝ち」

煌「…」

咏「あたしたちの過半数に諦められた奴が負けってわけよ、知らんけど」フリフリ

煌「…すばらっ」ゴクリ

咏「…なんかわっかんねーことある? 無ければこれでいくけど」

玉子「承知したー」

豊音「責任重大だねっ」

咏「ちなみにいちど旗あげても、まだいけるなって思ったら下げていーよ」
 「旗の上げ下げは完全自由」
 「だからこそ、誰もが認める決着になるわけ」

セーラ「…」

穏乃「…」

咏「まあつまり根性見せろってことなんだよねー、文字通り」フリフリ

セーラ「…望むところやで」

穏乃「そうですね…!」

煌「…」
 (これは…シンプルに見えて、どう出ていいかわからないルールですね)
 (全力で走って置いていっても、旗が上がらなければそこからは長距離走)
 (かと言って体力を温存する策を諦めと取られればそこで終わってしまう)
 (はてさて、ふたりはどうするのか…)

玉子「ふたりとも、がんばるのであるー」

豊音「応援するよー」

咏「んじゃいくぜい?おんゆあマーク?」フリフリ

セーラ「たらたらしてると一瞬で置いてくで」

穏乃「ご心配なく…!」

咏「ぱぁん!」リョウテパチン

セーラ&穏乃「!」ダッシュ!

煌「!」
 (やはり最初から飛ばしますか、このふたりは…!)

咏「うはは あれ100m走くらいのペースじゃねー?知らんけど」フリフリ

玉子「はやいのであるー」キラキラ

豊音「ぜんぜん差がでないねー」

セーラ「…」タッタッタッタッタ
   (やっぱりそう簡単には離せへんか…おもろいやん)

穏乃「…」タッタッタッタッタ
  (うわ、はやい…でも、だからこそ、抜き去る意味がある!)

セーラ&穏乃「!!」ダッシュダッシュ

咏「うーわ、さらにはやくなったよー」フリフリ

煌「…すばらっ!」

――5分後

咏「がんばれがんばれーい」フリフリ

豊音「ファイトだよー」フリフリ


――更に10分後

咏「うははーい」フリフリ

玉子「まけるなであるー」ピョンピョン


――更に15分後

咏「あー、ええっと」フリ…フリ…

煌「…」タラッ


――更に30分後

咏「……いやー、さすがに信じらんねーわー…」

セーラ&穏乃「!!」ダッシュダッシュ

咏「なにこの体力……わっかんねー…」

煌「…」
 (わたしはこのふたりを侮っていたのかもしれません…)
 (このゲーム…どう出るかわからないなんてことはなかった…)
 (シンプルな勝負にはシンプルな答えがあったわけですね…つまり)

セーラ&穏乃「!!」ダッシュダッシュ

煌(はじめからおわりまで、全力で飛ばしつづければいい…!)

咏「こいつら……大馬鹿だねい」ニィ

煌「ええ、すばらです…!」

セーラ&穏乃「!!」ダッシュダッシュ

玉子「ふ、ふたりとも、こんなに走ってだいじょうぶであるか…?」オロオロ

豊音「しんぱいだよー」オロオロ

セーラ「…」タッタッタッタッタッタ
   (……まだ、いるな、シズ)

穏乃「…」タッタッタッタッタッタ

セーラ「…」タッタッタッタッタッタ
   (…なあシズ、よう言うやん、かぜになるかんじ、て)
   (オレ、実はあれ、ようわからんねん)

穏乃「…」タッタッタッタッタッタ

セーラ(オレは、置き去りにしてるだけや)
   (走って、走って、いろんなものを置き去りにする)
   (一緒に走るやつみんな置いてったら一番で、走り終えてまう)
   (そういうもんやった)

穏乃「…」タッタッタッタッタッタ

セーラ(…けど、今日はちゃうな)
   (周りの声とか、空気とか、地面とか、景色とか)
   (自分のいき、ねつ、きしみ、おもさ とか)
   (ぜんぶ置いてってもまだ終わらへん)
   (…ここまで来ても、ぴったりついてくる気配があるからや)

穏乃「…」タッタッタッタッタッタ

セーラ(…たのしいで、シズ)
   (おまえを置き去りにして、うちはもっとはやくなる)
   (もっと先へいける)
   (……ほんまに感謝しとるんや)

穏乃「…」タッタッタッタッタッタ

セーラ(せやけどもう、そんな気持ちも)

穏乃「…」タッタッタッタッタッタ

セーラ(――置いてくで!)

セーラ「!!!」

穏乃「!?」

煌「! ここに来て…さらに…」

咏「……加速とはねい」

セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタ

穏乃「…」タッタッタッタッタッタ
  (…やばい、やばい!)
  (まだはやくなるなんて…)
  (わたし、わたしには、もう)

セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタ

穏乃(セーラさんの背中しか、ないのに…!)

セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタ

穏乃(なにもみえない、なにもきこえない)
  (どれだけ走ったのかもわからない)
  (ただ、セーラさんの背中を、おいかけて、なのに…)
  (なのに…!)

セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタ

穏乃(置いてかれたら、ひとりになっちゃう)
  (また… また、ひとりに…)
  (ひとりは…)
  「……だ」

セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタ

穏乃「いやだああああああああ!!」

穏乃「うああああああああああ!!」

玉子「!?」ビクッ

煌「…」

穏乃「あああああああああああ!!」タッタッタッタッタッタッタッタ

セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタ

玉子「し、穏乃…?」

豊音「みっ、三尋木さんっ、とめたほうが…」

咏「……」
 「…そー思うなら、旗を上げりゃーいい」

豊音「…!」

咏「…あたしは上げないけどねい」

煌「…それは……すばら、なんですかね」

咏「……いんや」
 「すばらくはねーんじゃね 知らんけど」

さるくろてしまったか

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

咏「あたしはただ、見てみたくなっちゃったんだよね」

煌「……」

咏「このふたりが行きつく先を」

穏乃「あああああああああああ!!」タッタッタッタッタッタッタッタ

セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタッタ

穏乃「あああああああああああ!!」タッタッタッタッタッタッタッタ

煌「穏乃…」

豊音「シズちゃん…」

玉子「うぅ…がんばれ、である…」

セーラ「!」タッタッタッタッタッタッタッタ

穏乃「うあああああ、あ、ああ…!」タッタッタッタッタッタ

咏「……」

穏乃「…あ」グラッ

煌&豊音&玉子「!!」

穏乃「…っあ」グ ラッ

煌「あぶないっ!」

セーラ「!」クルッ

穏乃「」フ ラッ

セーラ「――シズっ!」ダキトメッ

穏乃「……あ………あ…れ……?」

セーラ「おい!だいじょうぶか!シズ!」

穏乃「……セーラ…さ、ん…?」

セーラ「! へいきか、シズ」

穏乃「は…はい、だいじょうぶ…です…」フラッ

煌「穏乃っ」タッタッタ

豊音「シズちゃん」タッタッタ

玉子「だいじょうぶであるかー!」タタタタタッ

穏乃「うん…ごめん、もう、だいじょうぶです」ハァ ハァ

セーラ「よかったー」バタン

煌「! セーラ先輩っ!?」

セーラ「あー、だいじょぶだいじょぶ、さすがに疲れただけや」ダイノジ

穏乃「…わたしも」バターン

セーラ「やー、楽しかった楽しかった」

穏乃「そう、ですね…」

セーラ「? なんや、そうでもなさそうやんか」

穏乃「いっ、いえ! 楽しかったん、ですけど…!」

セーラ「…?」

穏乃「……結局、負けちゃったから…やっぱり悔しいっていうか…」

セーラ「え? そうなん?」キョトン

咏「いんや、そうじゃないねい」フリフリ

煌「! 三尋木さん」

穏乃「? そうじゃないって、どういう…」

咏「ん? いやーそのまんま、勝ち負けはついてねーってことだよ?」
 「まだ誰も、旗を上げてねーからねい」

穏乃「!」

咏「お前はまだ、誰にも諦められてないってことだよ、知らんけど」

穏乃「三尋木さん…」

豊音「どっちもちょーすごかったよー!」

玉子「あっぱれであるー」

煌「すばらでしたよ…!」

穏乃「みんな…」

セーラ「……なー、シズ」

穏乃「…?」

セーラ「オレ、めっちゃ楽しかったで、またやろな?」

穏乃「は、はいっ」

セーラ「そんでいつか決着つけて、つけてからも、また遊ぼ な?」

穏乃「! はいっ」

セーラ「にしし」

穏乃「へへへ」

咏「んじゃま、焼き肉でも連れてってやるかねい」フリフリ

穏乃「!?」

セーラ「マジで!?」トビオキッ

咏「んーまあ面白いもんみせてもらったし、ここは奢りじゃね? 知らんけど」

セーラ「やったでー!」

煌「わ、わたしたちもいいんですか…?」

咏「ふたり奢るのも5人奢るのもそんな変わんねーって」フリフリ

煌「すばらですっ!」キラキラ

豊音「やったー!」

玉子「焼き肉であるー!」

咏「うははーい」フリフリ

セーラ「よっしゃ、どっちが多く肉を食えるか勝負や、シズ」

穏乃「こればっかりは絶対負けませんよ!」

玉子「それなら余も自信あるのであるー」

セーラ「なんやて!」

豊音「わるいけど勝たせてもらうよー」

穏乃「豊音さんもっ!?」

煌(わたしは小食だから勝負にはならないでしょうねー)

咏「すーばらちゃん」ポンッ

煌「すばっ!?」

咏「逃げちゃだめだぜい?」ニィ

煌「ひっ」

咏「いま山盛り食べ放題コース予約しちゃったんだよねー、知らんけど」

煌「すっ、すばら…」

咏「うはは 燃え尽きるぞーおまえらー!」


もいっこカン! ぼっちじゃないよー

《ろくりゅう》

――チーム部屋棟(ゆうがた)

淡「サキー、またなんか本借りていいー?」

咲「いいよ、どれにする?」

淡「んー…オススメとかある?」

咲「ええっと、これとかどう?」

淡「! いいかんじっ! じゃあこれ貸してー」

咲「うん、どうぞ」

恭子(平和やなー)ボーッ
  
淡「キョウコー、きょうラーメン行こうよー」

恭子「ええけど、奢ったらんで?」

淡「いいよー」
 「サキも行かない? おいしいラーメン屋さんがあるの!」

恭子「せやな、よければ一緒に行こ」

咲「じゃあご一緒します」

淡「やったー」

――道中

咲「そんなにおいしいの?」

淡「すっごいよ、麺もスープも具もおいしいの」

咲「わあ、たのしみ」

淡「キョウコが教えてくれたの!」

咲「へえ、そうなんですか?」

恭子「うん、まあな」

咲「末原先輩、ラーメン屋さんとか行くんですね」

恭子「意外か?」クスッ

咲「えっ、ええと、ちょっと」

恭子「まあ、確かにあんま行くほうやないな」
  「先輩に教えてもらった店やねん」

咲「もう卒業されたかたですか?」

恭子「いや、えっと…――」

Prrrrr…

恭子「? ごめん、電話や」

恭子「もしもし」

純『あー、えっと、キョウコさんのケータイであってる?』

恭子「? そうですけど…どちらさんですか?」

純『んーと、モンプチってバーのものなんだけど…』

チョットジュンクン、ソレジャヤクザカナニカミタイダヨ エー、ソンナツモリジャ… イイカラカワッテ、モウ

恭子「…?」

一『すいません、お電話変わりました、バー・モンプチの国広と申します』

恭子「はあ、ええと…」

一『突然のお電話、申しわけありません』
 『実は、そちらのお知りあいのかたがうちで泥酔しておりまして…』

恭子「…! もしかして、黒髪でチンチクリンなかんじの…?」

一『あ、はい、そうです』
 『ちょっとこのままにはしておけないので、もしよろしければお迎えに――』

恭子「すっ、すぐ向かいます!」

――バー・Mon Petit

ガランガラン

恭子「失礼します、お電話いただきました、末原です」

一「あ、お客さん、キョウコさんいらっしゃいましたよ」
 「わざわざすいません、本当に」ペコン

恭子「いえ、こちらこそご迷惑をかけて…」ペコペコ

淡「わー、おしゃれなお店だねーサキー」キョロキョロ

咲「ほんと…綺麗だね…」マジマジ

純「いらっしゃい」

淡「ばーてんだーさんだ!」

純「へえ、よく知ってるな」

淡「えへへー」

一「こちらでとりあえず横になっていただいてるんですが…」

恭子「ほんますいません」ペコペコ

健夜「あー! もーおそいよおーきょーこちゃーん!」ユビサシッ

健夜「あはは、もーせっかくよんでもらったのにぜんぜんこないからあー」
  「あたしついにきょーこちゃんにもあは、みはなされちゃったかあーって」
  「あはは、おもってえ、それで!それでね!…うええ……ひっぐ」
  「ひっ、もお…おしまいだなって…あ、たし……」
  「うええ、きょーこちゃん…なんできてくれないの…うえええええ!」

恭子「来とるがな」デコペチン

健夜「あうあ! あ、きょーこちゃん! きょーこちゃーん!」ダキッ
  「きてくれないかとおもったよおお、うえええええええ…ひっぐ」

恭子「もう…そとで飲むな言うとるやないですか…」

健夜「ごめんね、ごめんなさい…あたし…うええ、みすてないで……」
  「うええええ、ごめ、きょーこちゃ、きらいにならないでえ、ひっ」
  「うえええええええええええ!!」

恭子「ならへんならへん」ナデナデ
  「ならへんから、まず泣きやんでくださいよ」ナデナデ

淡「なんか…ソーゼツだね…」

咲「うん…」

純「お酒、飲んでみる?」

淡&咲「!」フルフルフルフル

恭子「ほら、もう行きますよ…」

健夜「うええ、ごめんなさい…ごめんなさい…」

恭子「歩けますか…?」カタカシ

健夜「うん…すこやあるけるよ、あるけるの、きょーこちゃん」

恭子「えらいえらい」ナデナデ

健夜「えへ、えへへ、きょーこちゃーん」ギューッ

一「すごい、おとなしくなるものですね…」

恭子「あはは… すいません、お会計おいくらですか?」

一「――円です」

恭子「……いつから飲んどったんですか?」

一「夕方、お店をあけてすぐ…」

恭子「…」ハァ
  「先輩、飲みすぎですよ…」

健夜「んんー?」

恭子「じゃあこれで」

一「はい、ではこちらお釣りです」

恭子「大星、宮永、いくで」

淡「はーい」

咲「あの、だいじょうぶですか?」

恭子「だいじょうぶや、慣れとるから」

健夜「ぺぺろーん」フラフラ

恭子「では、ほんまにえらいご迷惑おかけしました」ペコン

一「いえ、またどうぞいらしてください」ペコン

純「お嬢ちゃんたちもな」

淡「はーい」

咲「…」ペコン

健夜「ちーといっ!」フラフラン

ガランガラン

健夜「…」Zzz

恭子「…」オンブ

淡「いいなーあたしもキョウコにおんぶしてもらいたいなー」

恭子「あほ」

咲「ええと、どなたなんですか? 先輩って仰ってましたけど」

恭子「? あれ、そういや知らんのか…?」

咲「…?」

恭子「そっか…学校あんま来いへんもんなあ、このひと…」

淡「誰なのキョウコー」

恭子「小鍛治健夜先輩 うちのチームの5人目や」

咲「……えっ」

淡「5人目!?」

恭子「よう考えたら紹介したことなかったなあ…ごめんな」

咲「5人目…いたんだ…」

淡「あんま大学生ってかんじじゃないけど…」

恭子「あー……まあ、6留しとるしなあ…」

咲「6…!?」

淡「? ロクリュウって?」

咲「6年間留年してる…ってことですよね…?」

恭子「そや」

淡「え、えっ? なにそれ! すごい!」

健夜「でしょー?」

恭子&淡&咲「!?」ビクッ

健夜「…」ムニャムニャ

恭子「…起きるか寝るかはっきりしてくださいよ」

健夜「むにゃ……ここどこ…?」ウトウト

恭子「ん、起きましたか…?」

健夜「恭子ちゃん…? あれ、わたし、おんぶ…?」ウトウト

恭子「歩けます?」

健夜「うん」ウトウト

恭子「じゃ降りてください」

健夜「うん」オリ
  「…」
  「…」ウーン

淡「なんか考えだしたね」ヒソヒソ

咲「記憶をたどってるのかも」ヒソヒソ

健夜「!」

淡「あ、思いだしたっぽい」

健夜「ご、ごめんなさいっ!」ドゲザ

恭子「ちょ、やめてください、こんなところで! みんな見てますから!」

健夜「ほんとにいつも…恭子ちゃんには迷惑をかけて…」

恭子「ほんまにもうええですから」
  「でもそとで飲むときは量に気をつけな駄目ですよ?」

健夜「はい…」

淡「しゅんってなってる、かわいーね」ヒソヒソ

咲「だ、だめだよ淡ちゃん、先輩さんなんだから」ヒソヒソ

恭子「…」
  「ええ機会やから紹介させてもらいますか」

健夜「…?」

恭子「これが今年うちのチームに入った、大星と宮永です」
  「宮永はチャンピオンの妹なんですわ」

淡「いっ、1年の大星淡ですっ」ペコン

咲「み、宮永咲です」ペコン

健夜「こ、小鍛治健夜です!」ペコン
  「えっと…何年生だったかな…」

恭子「9だか10だかじゃないですか?」

健夜「ごめんね、わたしあんまり学校行かないから、チームにも全然…」

咲「い、いえ、そんな」

淡「むしろ、実はいた!みたいなのかっこいいっていうか!」

恭子「……」
  「…いや、そうですよ、後輩と交流したってください」

淡&咲「!?」

恭子「わたしにしてくれたみたいに、仲良うしたってくださいよ」
  「わたしも…先輩いないとちょっとさみしいですし…」

健夜「恭子ちゃん…」

恭子「せっかくチームなんやから…たまには顔出してください」

健夜「…」
  「うん、そうだね…そうするよ」

恭子「…」フゥ
  「つきましては」

健夜「…?」

恭子「これから一緒にラーメンとか、どうです?」

淡「わーい、ラーメン、ラーメン」

咲「先輩、お姉ちゃんも来れるそうです」

恭子「そか、ありがとうな」

咲「いえ」

健夜「…なんかひさしぶりだな、ラーメン」

恭子「ですね」

健夜「この道…まえ一緒に行ったラーメン屋さん?」

恭子「…おぼえてはったんですか」

健夜「うん、あそこおいしいよね」

恭子「…結構行くんです、いまでも」

健夜「そっか」

恭子「はい」

健夜「恭子ちゃん」

恭子「はい」

健夜「ありがとね」

恭子「? なにがですか?」

健夜「んー、なんだろ」

恭子「…?」

健夜「…なんか嬉しくって、それはたぶん、恭子ちゃんのおかげだから」

恭子「…」

健夜「ありがとう」

恭子「…はい」

咲「あ、お姉ちゃん」

淡「テルー!」

照「おひさしぶりです、小鍛治先輩」ペコン

健夜「うん、ひさしぶり、宮永さん」ペコ

淡「それだとテルだかサキだかわからないよー?」

照「…淡」

健夜「いいよ、それもそうだし…これからは、照ちゃん、って呼ぼうか」

照「はい」

淡「あのー…?」

健夜「ん、なに?」

淡「スコヤって、呼んでいい? …ですか?」

恭子「ちょっ」

照「淡っ」

健夜「うん、いいよ」

淡「やったー!」

照「…」ハァ

恭子「ほんまこいつは…」

淡「スコヤー、スコヤー」

健夜「…ふふっ」

淡「スコヤー、これからよろしくねっ」

健夜「!」

淡「えへへー」

健夜「…うん」

淡「♪」

健夜「よろしくっ」ニコッ


ツモ スーカンツ

とりあえず終わりです
また5個くらい書き溜めたら同じか似たスレタイで立てるかと思います
支援、保守等ありがとうございました!誰かメガネ末原の画像ください

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