ほむら「普通の時間軸に来てしまったわ」(158)

ほむら「鹿目まどか、そいつから離れなさい!」

まどか「でも… この子、ケガしてるんだよ」

ほむら「どうしても放さないというのなら…」

さやか「お~い、まどか! こんなとこにいたんだ」

さやか「ん、なに持ってんの? ねこ?」

まどか「そうみたい、なんだけど…」

ほむら「いいから早く放しなさい!」

さやか「そうだよ!」

ほむら「えっ」

さやか「のらねこ触っちゃダメでしょ? 病気持ってるかもしれないよ」

まどか「え… でも、輪っか付けてるし…」

QB「確かに飼い猫ではないけど」

さやか「うおお喋った!? しかもやっぱ野良じゃん!」

ほむら「いや、そもそもねこじゃなくて…」

まどか「ごめんね」スッ

まどか「手、洗わなくちゃ。その前に動物病院へ…」

マミ「あら、その子を助けてくれたの?」

マミ「ありがとう。この子は私の大事なお友達なの」

まどか「いえ… どういたしまして」

さやか(お友達!?)

ほむら(痛めつけたのは私なのだけど… 黙ってた方がいいかしら)

まどか「ケガしてたんです。すぐ病院へ」

マミ「平気よ。私の魔法で治してあげられるの」

まどか(ど、どうしよう、変なねこの次は変な子が来ちゃった……)

——マミ部屋——

ほむら(何故か私も来てしまったわ…)

マミ「QBに才能を見込まれたあなたたちには、他人事じゃないものね。説明しておくわ」



さやか「願い事が何でも、ねぇ」

まどか「いざとなると、決まらないよね」

マミ「大事な事だから、ゆっくり考えた方がいいわ」

ほむら「だめよ」

マミ「あら、どうして?」

さやか「お、さては自分より強いライバル登場が怖いんだな~?」

マミ「そんな理由なわけないでしょう」

ほむら(……あなたに言われたくないわ)

ほむら(まだ早いかもしれないけど、ここで言っておいた方がいいわね)

ほむら(前みたいにマミが錯乱してもいいように、準備して…)

まどか「…ほむらちゃんのコスチューム、あんまり魔法少女らしくないね」

ほむら「そ… そうかしら」

まどか「今度新しいの考えてあげるね!」

ほむら「ありがとう」

さやか「ほむら、迂闊に誘いに乗らない方がいいよ」

まどか「さやかちゃん、それどういう意味!?」

ほむら(その言葉、あなたに言ってあげたいわ……)

ほむら「QBの説明では触れられなかったけど、魔法少女になるにはデメリットもあるのよ」

マミ「戦わなければいけない、というのはもう話したでしょう」

ほむら「それ以外にもあるの。まず、私たち魔法少女は死んだも同然の身」

マミ「…それは初耳だわ」

ほむら「この体からは魂を抜き取られ、ソウルジェムに収まっているの」

まどか「そうなのQB?」

QB「その通りだよ。暁美ほむら、君はどこでそれを知ったんだい?」

さやか「どうしてそんなことするのさ?」

QB「その方が戦いやすいだろう? それに、修理だってきくし」

マミ「そうね」

ほむら「!?」

ほむら「で、でも… それじゃゾンビにされたようなものだって」

QB「脆弱な肉体で戦うより、よっぽどいいだろ?」

マミ「戦いでケガしても治りが早いと思ったら、そういう仕組みだったのね」

まどか「QB、気が利いてる~!」

ほむら「待って!」

ほむら「いい? 私たちの体には魂がこめられてないのよ!」

まどか「ほむらちゃん、そういうの信じてたの?」

ほむら「え、信じてるって…?」

さやか「ああ~ スピリチュアルとか、パワーナントカ系の」

マミ「信じるもなにも、魔法少女は本当にいるわ。二人ともその目で見たでしょう」

さやか「うん、まぁ、確かに……」

ほむら「納得してくれたようね」

マミ「でも魂が体に入ってないとかは、正直それほど困らないような……」

ほむら「あなたも他の魔法少女に会った事はあるでしょう?」

ほむら「みんなQBに騙されていたのよ!」

QB「騙すという行為自体、ぼくたちには理解できないなぁ」

さやか「あんたねこにムキになってどうすんのさ」

マミ「でもどうして教えてくれなかったの?」

QB「聞かれなかったからさ。知っておかなきゃいけない情報だなんて、思わなかったんだよ」

ほむら「ほら見なさい! コイツはそういう…」

まどか「訊けばいいじゃない」

ほむら「はい」

QB「そうだよ。他にも何か気になる事があったら、何でもきいてね」

ほむら(まずい……)

ほむら(しかしこっちの切り札はまだあるのよ!)

ほむら「ならこれは知ってる? ソウルジェムの濁りきった魔法少女がどうなるか」

マミ「魔法が使えなくなるわね」

ほむら「それだけじゃないわ。ソウルジェムはグリーフシードに変わり、私たちは魔女になるの」

マミ「それは本当なの!?」

QB「そうだよ。魔法少女が希望を与えた分、絶望をまくようになっているのさ」

まどか「何のために、そんなことを……」

QB「希望と絶望の帳尻を合わせるのさ」

ほむら「そうやって魔女になった魔法少女を、私はもう何度も…」

さやか「奇跡も魔法も、代金後払いってわけね」

ほむら「」

さやか「願いが叶うとかさぁ、正直ちょっとうさん臭いって思ってたんだ」

さやか「タダより高い物はないっていうし、そうなってた方がむしろ納得いくわ~」

まどか「なかなか甘い話ってないもんだよね」

ほむら(いけない、二人とも迷った末に契約しそうな気配がしてきたわ……!)

ほむら(今まで話が通じなくて手を焼いてたけど、普通に通じても問題なのね)

マミ「どうにかして止める方法はないの?」

ほむら(それでもマミなら!)

ほむら「一つだけあるわ」

ほむら「魔女を生み出す前に、ソウルジェムを砕いてしまうの」

ほむら「食い止めるには死ぬしかないってことよ」

ほむら(これで……)

マミ「ああ、なんだ…」

ほむら(いい加減にして!)ビキビキビキ

マミ「魔法が使えなくなったら、どの道魔女にやられてしまうもの」

ほむら「でも、死ぬまで戦い続けることに…」

QB「それはもう説明したじゃないか」

さやか「でもずっと続けるってのはキツいなぁ」

マミ「私はそのつもりでいるからいいけど」

マミ「決心が固まらないなら、二人とも私たちの魔女退治を見学してみるといいわ」

まどか「『たち』…?」チラッ

ほむら「……もういいわ。私も手伝うわよ」

 カタン
マミ「何かしら?」

QB「郵便受けに手紙が来てるよ」

マミ「どれどれ… 『え、こいつら元魔法少女を糧にしてることはスルーすんの?』」

ほむら(ありがとう! ありがとうナイスフォロー!)

マミ「……暁美さん」

ほむら「ええ、あなたにとっても辛いでしょうけど、それが」

マミ「もし私がソウルジェムを砕けなくて、魔女になったら、真っ先にたおしてくれないかしら」

マミ「やっぱり人を呪うより、グリーフシードになって使ってもらう方が役に立てるもの」

ほむら「…覚えておくわ」

ほむら(やっぱりそうなるのね…)

マミ「それにしても、言われてみれば今まで戦ってきた魔女も、何人かは元魔法少女だったのね」

QB「この国では、成長途中の女性の事を『少女』というだろう」

QB「穢れを溜め込んで、魔女になりつつある君たちは、『魔法少女』というわけさ」

まどか「穢れ……」

マミ「穢れを溜めると少女は女になる、ね……」

一同「……」ゴクリ

まどか「マミさん今えっちなこと考えたでしょ///!」

マミ「か、考えてないわよ!」

QB「しかし、実際に成長途中の少女と大人の女性では…」

マミ「こらQB! 女の子の前でそんな話しちゃいけません!」

恭介「まぁバイオリンだけが人生じゃないし、これからは何か別に趣味見つけようかな」

さやか「そうだね ウォーキングとかどう?あんまり手つかわないし」

めでたしめでたし

——数日後——

マミ「ふぅ… 暁美さん、平気だった?」

ほむら「勿論よ。あれくらいでやられるわけないもの」

まどか「マミさんかっこいい~!」

マミ「もぅ、見せ物じゃないのよ」

まどか「願い事も考えてるんですけど、なかなか決まらなくって」

ほむら「私としては、決めないでほしいのだけど」

さやか「その願い事なんだけどさ、自分のことじゃないとダメなの?」

緑「上条くんのことお慕いして云々」
さやか「マジで。お互いライバルじゃん頑張ろー」

まどか「もしかして、上条くんの?」

マミ「確かにそういう前例もあるけど… やめておいた方がいいわ」

さやか「あるの?」

マミ「本当にその人のためになるかどうかなんて、わからないものよ」

さやか「それもそうだけど……」

ほむら「マミもこう言ってることだし、やめておきなさい」

さやか「明日、本人と相談してみます」

マミ「ちゃんと聞いておかないとね」

ほむら「止めなさいよ!」

ほむらが空回りしてて面白い

——病院——

恭介「さっきさやかが来たんだ」

仁美「今日もでしたの?」

恭介「なんだかワケのわからないことを言ってたよ… 魔法でケガが治るとか」

恭介「あたしは死んじゃうけど、奇跡って本当にあるの! とか……」

仁美「……さやかさん、学校では普段通り振る舞っていますのに」

恭介「うん… 実は僕もこの間、けっこうハデに八つ当たりしちゃって…」

仁美「お二人とも、あまり思い詰めてはいけませんわ」

恭介「このままだと面倒見る方が先に参っちゃうからね」

恭介「早いとこ新しい生き甲斐探さないと」

仁美「美樹さんに教えられてしまいましたね」

——学校——

マミ「結局、その上条くんはなんて?」

さやか「夜電話があったんですけど、う~ん…… よくわからないなぁ」

さやか「バイオリンのことではもう悩んでないからいいよ、って」

まどか「上条くん、どうしちゃったの?」

さやか「不思議だよね。ともかく、これであたしはもう契約しないことにしとくわ」

ほむら「よかった……」

さやか「安心した?」

ほむら「あなたが契約すると、毎回ロクなことにならないから」

さやか「……『毎回』?」




マミ「ワルプルギスの夜ね。噂には聞いた事あるけど」

さやか「そのデッカい魔女って、そんなに強いの?」

ほむら「何度戦っても、倒せた事はないわ。よくて進路を少し逸らしただけよ」

まどか「ほむらちゃん、今までずっと私を助けるために……」

ほむら「これであたなに契約してほしくないというのが、わかってもらえたかしら」

まどか「わかったよ。QB! ちょっと来て!」

QB「なんだい?」

まどか「わたし、契約する! ほむらちゃんと一緒にワルプルギスの夜と戦うよ!」

ほむら「待ちなさい!」

まどか「ワルプルギスの夜が来るのって、転校してきてから一ヶ月だよね?」

ほむら「そうよ。でも契約してはいけないって、わかってくれたのではないの!?」

まどか「大丈夫。ほむらちゃんが頑張ってきたのを、無駄にはしないから」

QB「願い事は決まったのかい?」

まどか「『一ヶ月したら、魔法少女になる前の、元の体に戻る』それが私の願い!」

QB「いいよ」

ほむら「……は!?」

ほむら「ちょ、ちょっと待ってQB! 確か元に戻すのは僕の力を越えている、って」

QB「何を言っているんだい?」

QB「普段は無理だけど、契約するときの願い事なら、そのくらい簡単さ!」

ほむら「そんな……」

まどか「へぇ~ これがわたしのコスチューム?」

QB「君がノートに描いてた通りにしておいたよ」

まどか「ありがとう! これから一ヶ月だけよろしくね、ほむらちゃんとマミさん!」

マミ「一緒に戦う仲間ができて嬉しいわ」

ほむら「じゃあ、私が今までしてきたことって……」

支援

—— それから ——

ほむら(ワルプルギスの夜をあっさり倒せたのはよかった)

ほむら(時間停止は使えなくなったけど、まどかが契約してた頃に使ってた弓矢を貸してもらっているし)

ほむら(残る問題は…)

まどか「ほむらちゃん、おっはよ~!」スリスリ

ほむら「おはようまどか、でも少し離れなさい」

まどか「えぇ~ 昨夜からずっと、ほむらちゃんに会いたかったんだよ!」

ほむら「たった一日でしょう」

ほむら(今までのことをわかってくれたうえに、一緒に戦ってから妙な連帯感がうまれてきたからか)

まどか「ほむらちゃんがいない時間は長く感じるものなの!」

ほむら「はいはい」

ほむら(まどかがずっとこの調子だわ……)

ほむら(確かに『まどかのために戦う』というのもあったけど)

まどか「ほ~むらちゃ~ん」スリスリホムホム

ほむら(これはこれで違うような……)

仁美「お二人とも、朝からお熱いようで」

ほむら「まどかが放してくれないのよ」

さやか「そういうあんたも、最初の頃ほど抵抗しなくなってきたのね」

ほむら「あきらめただけよ……」

ほむら(大体どういうこと、これは!?)

ほむら(教室でイチャイチャするなんて、端から見れば恋人同士じゃない!)

ほむら(女の子同士でそういうのは……)

まどか「あれ、ほむらちゃんどうしたの?」

さやか「急におとなしくなって」

ほむら(え、いや、でもだからといって)

ほむら(男の子とならしてみたいとか、そういうことでもなくて///)カアァッ

仁美「効いてるようですわ」

さやか「まどか、もう一押し!」

まどか「任せて!」ギュゥ

ほむら(もしや)

ほむら(この時間軸のまどかたちは、いつになく聞き分けがよかった)

ほむら(もしかすると、こういうのがけっこうマトモなのかもしれないわね)

 キーンコーン……

ほむら「ほらチャイム鳴ったわよ! 早く席に戻りなさい!」

まどか「は~い…」

ほむら(あ… もしこういうのがおかしくないのだとしたら、今のは言いすぎだったかしら……)

ほむら(そうね。大体、私もよくわからないし…)

ほむら(詳しそうな人に相談してみましょう)

——放課後——

仁美「珍しいですわね。暁美さんが二人きりでお話したいなんて」

ほむら「他に相談できる人がいなくて…」

仁美「フフッ まどかさんに妬かれてしまいますね」

ほむら「そのまどかのことなのだけど…… このところ、おかしいと思わないかしら?」

仁美「あら、どこもおかしくなんてありませんわ」

ほむら「朝から抱きついて来るなんていつものこと」

仁美「大好物です」

ほむら「?」

仁美「続けて、どうぞ」

ほむら「とにかく、まどかの私に対するスキンシップというのが…」

ほむら「その… 恋b、いや、少々行き過ぎではないかと……」

仁美「そうだとして、何が問題ですの?」

ほむら「私も線引きというか、加減がわからなくて」

仁美「どこまでなら一般的な範囲なのか、と」

ほむら「そうなるわね」

仁美「なら問題ありませんわ! 大事なのは暁美さんの気持ちではなくて?」

ほむら「……正直、鬱陶しいのだけど」

仁美「人からどう見えるか、などと意識する必要はないということですわ」

ほむら「なるほど…」

仁美「そのうえで、まどかさんの気持ちに応えるべきだと思いますわ」

ほむら「そうね… ありがとう。参考にさせてもらうわ」

ほむら(あまり話したこともないけど、あの中では一番常識人らしい志築仁美が言うんですもの)

ほむら(まどかが間違ってるわけではないのね)

ほむら(なら私もまどかの気持ちに応えられるようにならないと)

ほむら(あの戦いに比べたらラクなものよ…… きっとね……)

——そして翌朝——

まどか「ほむらちゃ~ん! 14時間ぶりのほむらちゃ~ん!!」ダキッ

ほむら「おはよう、まどか」スッ

さやか(手が!)

仁美(テガ!)

さやか「…ついに陥落ですかコレは」

仁美「大いなる一歩ですわね」

上条「……僕が入院してる間に何があったのよ?」

中沢「鹿目ちゃんに嫁が来た」

上条「だから何があったんだって」

まどか「ほむらちゃんにいいもの作ってあげたよ! 昨夜完成したの」

ほむら「あら、何かしら?」

まどか「ティヒヒヒ、学校終わったら持って行くね」

——ほむ部屋——

マミ「鹿目さん、完成したんですって?」

ほむら「知ってたの?」

マミ「ええ、作り方を教えたのは私よ」

 バサッ
まどか「これだよ! わたしとお揃いのコスチューム!」

ほむら「……」

ほむら「さすがにそれは… 私には似合わないんじゃないかしら…」

まどか「そんなことないよ! ほむらちゃんは何着てても可愛いんだから!」

ほむら「それに、サイズが合うかしら」

まどか「ほむらちゃんのからだのサイズを間違えるわけないじゃない」

マミ「せっかく作ってもらったんだし、着てみたら?」

ほむら「でも、ほら… 変身したらいつもの服になるんだから」

QB「変身した時その衣装が出てくるように、ソウルジェムを改造しておくよ」

ほむら(落ち着くのよ… はい深呼吸して)スーハースーハー

ほむら(どう考えても似合うわけないけど、このまどかが勧めて、しかもわざわざ作ってくれたんだもの)

さやか(マミさんがコスチュームの作り方を教えた辺りに突っ込んでいいんだろうか……)

ほむら「わかったわ。QB、お願いできる?」

まどか「やったぁ!」

ほむら「着るだけでそんなに喜んでもらえるなんて、私も嬉しいわ」

ほむら(やけに大げさに喜んでるようだけど)

ほむら(手作りだから、思い入れが違うのかしら……?)

QB「できたよ~」

ほむら「では早速着てみるわよ」

 ホムン

さやか(うっわ……)

マミ(これは…… 背中押しといてあれだけど)

ほむら(この二人、絶対よからぬテレパシーを飛ばしあってるわね…)

さやか(マミさんこらえて!)

マミ(美樹さんこそ耳赤いわよ!)

さやか(だって、ほむらがアレ……)

ほむら(///)プルプルホムホム

まどか「ほむらちゃん似合ってるよ! 可愛いよぉ~!」キュウウ

さやか「えっ」

マミ「シーッ!」

ほむら「ほらほらまどか、そんなに強くしがみついてはいけないわ」

ほむら「せっかくの衣装にシワがついてしまうでしょう」

まどか「いいの! 今日だけいいの!」ムギュウゥゥ  クニクニ

ほむら「もぅ… 甘えん坊さんなんだから」ナデナデ

さやか(ほむらが乗ってる……!!)

 ガタッ
マミ「ご、ごめんなさい。私ちょっとお手洗いへ…」

さやか(マミさんずるい!)

マミ「もう契約しないことになったんだから、魔女退治についてくることもないのよ」

まどか「いいんです! ほむらちゃんがわたしの作ったコスチュームで戦うところ、見てみたいから」

ほむら「あらたまって言われると照れるじゃない///」

さやか「あたしもまどかと同じ気持ちだよ!」

ほむら「いやあなたは帰りなさいよ」

さやか(マミさん、マミさん!)

さやか(戦ってる最中に笑わないでくださいね!)

マミ(わかってるわよ!)

さやか「まどか、アンタ今日は目が輝いてるよね」

まどか「そりゃあもう!」

さやか「ほむらのあの衣装、作るの大変そうだもんね」

まどか「そうでもないよ。サイズ変えただけだから」

さやか「最初から作ったんじゃないの?」

まどか「あれは私が契約してた頃のコスチューム」

まどか「QBに頼んで、とっておいてもらってたんだ」

さやか「ああ、弓矢と一緒に」

まどか「さやかちゃん、いいと思わない?」

さやか「…正直言って、ほむらにはあんまり似合わないんじゃ……」

まどか「そういうことじゃないの」

まどか「ほむらちゃんが、わたしの着た服を着て、あんなに激しく動き回ってるなんて」

まどか「想像しただけでもう……」ウェヒヒフヘヘ

さやか「お、おう…」


マミ「そっちへ行ったわ! 暁美さん!」

ほむら「トドメをさすわ! 必殺必中、トゥインクル・アロー!!」


まどか「ほらほらほらほら見てよ見てよ!!」

さやか「うん…… 見てるよ」

まどか「次はなに着せよっかなぁ。夢が広がるよね!」

さやか「もうちょっとほむらに合うヤツがいいんじゃない?」

まどか「えぇ~」

さやか「何が不満なのよ?」

まどか「ほむらちゃんが恥ずかしがってくれなきゃ」

さやか「そこまで狙ってんのかよ!」


魔女「ピギャアアァーーーーーッ!」

ほむら「やったね、マミさん!」

マミ「え? ええ……」

ほむら「どうしたの? 嬉しくないの?」

マミ(この子までおかしいわ…… そろそろやめさせた方がいいのかしら)

—— 後日談 ——

ほむら「佐倉杏子とも協力できないかしら」

マミ「できればそうしたいけど、あなたも彼女の事は知っている」

ほむら「ええ。何度となく一緒に戦ったわ」

まどか「誰なの?」

マミ「私が鹿目さんたちと出会う前に、一緒に戦っていた魔法少女よ」

マミ「ただ、いろいろあって、別れちゃったけど…」

ほむら「普段は隣町にいるけど、いざという時協力できるよう、連携をとっていてもいいと思うの」

さやか「マミさんも、何があったか知らないけど、ちゃんと仲直りした方がいいよ」

ほむら「というわけで、まずはマミの代わりに私が来たわ」

杏子「何の話だよ、いきなり?」

ほむら「戦力は不足していないものの、ワルプルギスの夜のようなことがまた起こるかもしれない」

杏子「非常事態のために、か… 他に何か狙いがあるんじゃないだろうな?」

ほむら「単刀直入に言うわ。巴マミと仲直りしてほしい」

杏子「ならお断りだね。誰があんなヤツと」

ほむら「私は本音で話したのよ。あなたのも聞かせてもらいたいわね」

杏子「……言ったろ。お断りだって」

ほむら「あなたが素直に言えないのなら、私があててみせましょうか」

杏子「ほぅ、わかるってのかい?」

ほむら「お見通しよ。あなたが本当はマミと別れたままでいたくないことも」

杏子「やめろよ」

ほむら「今でも心の一部でマミのことをひきずっていて、叶うなら昔のように甘えに行きたいことも」

杏子「いや… それはどうかなぁ…」

ほむら「マミの部屋で食卓を囲んだことを懐かしく思い出し」

杏子「そりゃあ、タダ飯はありがちけどさ」

ほむら「そこから当然のごとくお風呂に入る流れになって、髪を洗いあったりしたいとか」

杏子「なんだその具体的なのは」

ほむら「洗っているうちにふと首から下へ目が行ってしまい」

ほむら「あ、マミの背中って白いんだな、と……」

杏子「ちょっと待て」

ほむら「生まれかけた邪な思いを力ずくでねじ伏せるも、お風呂あがりに不意打ちでクラッときて」

杏子「おい、いい加減にしろよ!」

ほむら「もう早く寝てしまおうと言いたいところだけど、そのタイミングで寝ようというのも抵抗あって」

ほむら「余計な事考えないよう、いそいそとベッドに入るものの」

ほむら「もう頭の中では大変なことになってて、『マミ、起きてる?』とかやってしまうのもお見通しよ!」

杏子「いくら何でもそこまで行ってなかったぞ!」

杏子「ったく、一体何なんだよ……」

ほむら(あれ?)

ほむら「もしかして、違うのかしら……?」

杏子「当たり前だろ!」

ほむら「そう… ごめんなさい。私とまどか… 見滝原の元魔法少女は、いつも大体そんな感じだから」

ほむら「あなたたちも同じようなものかと」

杏子「気味が悪いわ」

ほむら「見滝原では珍しくもないことよ」

杏子「それお前らの間だけで、だろ」

ほむら「どうにか来てもらえたわ」

マミ「佐倉さん…」

杏子「ぬか喜びすんなよ。気に入らなかったらすぐ解消だからな」

マミ「それでもいいの。あなたとまた一緒に戦えるんだもの」

さやか(マミさんもけっこう意地っ張りなとこあるんだね)

まどか(素直が一番だよ。本当の意味で)

——結界——

ほむら「杏子。私もマミも格闘戦は専門外だから、アテにしてるわよ!」

杏子「わかってるって。おいマミ、腕は衰えてないだろうな?」

マミ「誰に言ってるのかしら? さぁ、変身するわよ!」マミン

ほむら「するなら今のうちね」ホムン

杏子「ブフッ!!!」

マミ(しまった!)

杏子「ちょっ… ちょっと待って… なにその恰好……」ガクッ

マミ(立てないほど!?)

ほむら「大丈夫? 杏子ちゃん!」

杏子「いやオマエのせいだろ! しかも変な呼び方すんなよ!」

ほむら「わ、わたし何もしてないよ!」

杏子「ご、ごめんマミ…… やっぱ二人で行って……」

マミ「それしかなさそうね……」



さやか「おかえり、早かったね」

まどか「杏子ちゃん一人だけ? ほむらちゃんとマミさんは?」

杏子「まだ中にいるよ。あいつら、いつもああなの?」

まどか「? そうだけど、どうかしたの?」

杏子「いやさ…… こりゃ尋常じゃない街に来ちゃったわ……」

まどか「そんなことないよ。普通だよ」

杏子「……普通って、難しいよね」


 おわり

こんな時間までみんなありがとう

無性にバカみたいな百合スレを書きたかったんだ

仁美が登場する場面で
「hitomi」(仁美)を間違えて「hitomin」(人民)とタイプしてしまい

ほむら「そのまどかのことなのだけど…… このところ、おかしいと思わないかしら?」

仁美「あら、どこもおかしくなんてありませんわ」

ほむら「朝から抱きついて来るなんていつものこと」

人民「大好物です」

みたいになって焦った

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