アナスイ、徐倫と共に一日生き返る (55)

このナルシソ・アナスイは生前、殺人鬼のレッテルを貼られていた。
21歳の時に恋人と、その浮気野郎を『分解』したことがそのキッカケだ。

怒りは、まぁその内消えた。
しかし人間を分解したいという衝動は収まらなかった。
ウェザーがいなければ、G.D.st刑務所内でも多くの人間を分解していただろう。

もともと子供の頃から分解癖はあった。
オモチャからポルシェまで、あらゆる物を分解した。
だからオレが死ぬまでこの衝動は続いていくと思っていた。

確かに衝動は消えなかったが、しかしその形を変えた。
オレが25歳の時に出会った、空条徐倫。
彼女への『愛情』に。


彼女の力になりたかった、彼女を守りたかった。
戦いが終えた後は、彼女と結婚をしたかった。
幸せな日々を送りたかった。
しかしオレはプッチに殺された。
そしておそらく徐倫も奴に……


死後、何かの気まぐれで行われたゲームの大会がある。そこで得た二つの賞品。
『何でも一つ願いを叶えられる』と、『自分と任意の一人を「1日」生き返らせることができる』

最高の賞品だ。
当然、オレの意志は決まっている。



アナスイ「オレと徐倫を生き返らせてくれ」





※前作「ジョジョの奇妙なサバイバルドッジボール」
ジョジョの奇妙なサバイバルドッジボール - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366323323/)

の後日談です。


拙い文章ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1367018206

第一話 『アナスイ、徐倫と再会する』


アナスイは何もない空間にいた。
機械的な声が頭の中に言葉が流れてくる。神、なのだろうか?

願いのやり取りは思考の中で行われていた。

「空条徐倫ダナ、了解シタ。ソシテ、ヒトツノ願イモ今決メテモラオウ」

アナスイ「(今だってッ!?随分急だな。…おい、生き返る『1日』という制限を外すことはできるのか?)」

「一人ダケナラバ可能ダ」

アナスイ「(一人だけか。徐倫だけとなると果たして彼女は喜ぶだろうか?)」

「一人ダケダ」

アナスイ「(しつこいぞッ!わかっている。それならオレの『願い』は……)」

<現在時刻 0:00>

アナスイ「ここは……どこだ?」

真夜中。ライトアップされた駅舎が少し眩しい。
辺りを見回すアナスイの横を、サラリーマンらしき人々が横切っていく。

徐倫「アナスイッ!」

徐倫の声が聞こえる。
声の方を見ると、すぐに彼女を見つけることができた。

アナスイ「(おおッ!徐倫久しぶりだッ!
この暗さにこの距離、しかし『わかる』。やはりカワイイ…)」

ダッ!
徐倫はアナスイに駆け寄り、そして抱き付いた。

徐倫「アナスイッ!本当に久しぶりね。…ありがとう。
あなたのおかげで1日生き返ることができるのね」

アナスイ「いや。礼には及ばない(なんてことだ徐倫、近くで見ると一層カワイイ…)」

徐倫「折角だし、一緒に1日を過ごしましょうか」

アナスイ「あぁ。そうだな。
……ところで徐倫、ここがどこかわかるか?
ケープ・カナベラルでないってことはわかるんだが」

徐倫「アナスイは初めて?ここは日本の東京よ。
(あれ?そのはず…よね?あたしも一度は東京に来た気がするけど、いつだっけ?)」

アナスイ「!?東京なのかッ!てっきりケープ・カナベラルで生き返るのかと思っていたが」

徐倫「そういえばそうね。まぁそれはそれとして。
いくつか確認したいことがあるの、公衆電話を探しましょう」

二人は公衆電話を探す。

徐倫「あったわ。アナスイ、少し待ってて」
徐倫はどこかに電話をかけ始めた。

アナスイは考える。
しまった——。そもそも『金』がない。
それに、東京のことは全く知らない。
これで徐倫と楽しく1日を過ごせるのか?プロポーズをすることができるのか?
チャンスは今日だけだってのに…

あれこれ悩むが、金については『盗む』以外の選択肢が浮かばない。
しかしアナスイの心配は杞憂に終わる。

徐倫「良かった、スピードワゴン財団と連絡がとれたわ」

<現在時刻 0:32>

徐倫「よし、これでお金には困らない」

徐倫はスピードワゴン財団の職員から、何かを受け取っている。

徐倫「これはアナスイの分。良かったら使って」

お金を受け取るアナスイ。
『1万円』と書かれた紙幣を20枚手にする。これだけあれば、
食事や多少の買い物をする分には事足りるだろうとのことだった。

アナスイ「これからどうしようか?オレは東京を知らない、徐倫はどこに行きたいんだ?」

徐倫「そうね。夜景を見に行きたいわ。職員に聞いたら首都高がオススメらしいから、
この後はタクシーをつかまえましょう。あと…ねぇアナスイ、一つ決まり事を作ってもいい?」

アナスイ「決まり事だって?」

徐倫の表情が、曇り始める。

徐倫「ええ。今日1日、お互い『スタンド』を一切使わないと決めたいの…」

≪to be continued≫

第二話 『傷痕』


- 生き返る少し前 -

徐倫は何もない空間にいる。
あのドッジボール大会の後、改めて自分の死と過去を思い返す。

プッチ達との戦いはまるで、突然始まった戦争だった。

戦いの中、エルメェスやF・F、ウェザー、エンポリオ、そしてアナスイのような大切な仲間もできた。
父である承太郎の愛情に気付くこともできた。それらは良かった。
しかし仲間も父も、失ってしまった。自分自身も死んだ。

エンポリオはあの後逃げ切れたのだろうか。
今でも思い返すと、怖くなる。
何て残酷な役を彼に押し付けてしまったんだろう…

死んでから間もなくして、何もない空間にきた。ここだ。
今までのことは全部夢だと思いたかったけれど、現実だった。
恋人もいて、ドライブを楽しんだり、ママに迷惑をかけたりもしたけれど、普通の生活を送っていた。
でもそれらは、手の届かない過去になってしまった。

スタンドなんか、この世に存在しなければいいのに…と、
スタンドを呪ったことも、ある。

<現在時刻 0:35>

アナスイ「スタンドを使わない?別に構わないが…何でなんだ?徐倫」

当然の疑問を投げかけるアナスイ。
徐倫は顔を若干俯き、答える。

徐倫「アナスイには話してなかったかもしれないけど、あたしのスタンドは、G.D.st刑務所で発現したの」

アナスイ「……」

徐倫「あなた達に出会えたことは良かった。でもスタンドが発現して以降の思い出は、
あたしには辛い。それを出来る限り思い出したくない…」

声を落とす徐倫。
プッチを止めようと『決意』していた頃の徐倫とは違う。
気も利く。頭の回転も速い。覚悟を決めた時の集中力は誰にも勝る。
しかし今は背負いすぎた責任と、その下ろし場所に迷っているのかもしれない。

アナスイ「OK、わかった徐倫。
今日はスタンドを使わない。姿さえ見せない。約束だ」

徐倫「ありがとう…」

徐倫の目からは零れこそしなかったが、涙がたまっているのが見えた。



この『物語』は——
アナスイと徐倫が『思い出』を『作る』物語だ

『これから作る』という意味だけでなく、
『作り直す』のも含めた意味で——

<現在時刻 1:39>

二人はタクシーに乗り込み、首都高速を走っている。
徐倫は窓から見える夜景を楽しく眺めていたが、やがて眠ってしまった。

アナスイ「(くぁ…。オレも眠い…)運転手、このまま朝まで走り続けてくれ」

運転手「ええッ!?朝までですか!?それは、まァ構いませんが…」

アナスイ「金ならある、頼んだぞ」

…その後もタクシーは走り続ける。

アナスイ「(オレは徐倫に救われた。今度はオレが徐倫を救う番だ。
彼女の辛い思い出を、少しでも良いものに作り変えたい。それがオレの目的だ)」

徐倫「うぅん…」

眠っている徐倫が、アナスイにもたれかかる。
耳をすませばスースーと小さく寝息が聞こえてくる。

その後アナスイは14回『なんてカワイイんだ』と心の中で呟き、
眠りに落ちていった。

≪to be continued≫

第三話 『浅草に行こう』


<現在時刻 7:07>

ここは代々木パーキングエリア。

アナスイ「ほら徐倫、コーヒーだ。ミルクと砂糖はいる?」

徐倫「いえ、このままで大丈夫。ありがとうアナスイ」

アナスイ「あと運転手、これを」
運転手にもコーヒーを手渡す。

アナスイ「長らく付き合わせて悪かったな、もう少し頼む」

運転手は頷き、コーヒーをブラックのまま喉に流し込んだ。
アナスイもコーヒーを口に運び、駐車場へ次々に入ってくる車を、
そして走り去る車を眺めていた。

徐倫「そうだ」
突然、徐倫が口を開いた。

アナスイ「ん、どうしたんだ徐倫?」

徐倫「浅草に行こう」

<現在時刻 8:12>

アナスイ「ここが雷門。中々の迫力だな」

徐倫「そうね。この提灯が畳まれることってあるのかしら?ずっと出しっぱなし?」


アナスイ「仲見世通りか。まだ朝だが、もう開いている店もあるんだな」

徐倫「あの露店!人形焼きですって!買いましょうアナスイ!」


アナスイ「ゲーーッ!?『凶』!おみくじは、ほとんどが良い結果と聞いていたが!?」

徐倫「フフ…見て、アナスイ。コレ」

ヒラヒラ…… 『大吉』


ズズーッ、ズズーッ

徐倫「アナスイ、それクール。とってもクールだわ。その蕎麦の啜る音」

アナスイ「だろ?真似してもいいぜ」

ズズーッ、ズズーッ  ズズーッ、ズズーッ

<現在時刻 11:47>

- カメユーデパート浅草店 -

徐倫「あたし少し見て回ってくるから、アナスイはそこのベンチで休んでいて」

アナスイ「あぁ、そうさせてもらう」

休憩もせず、よくぞ元気なものだ。
フフ、とアナスイは微笑んだ。

徐倫は服でも見に行ったのだろうか?
ホルターネックを横から見た時のセクシーさが失われるとしたら、
それは残念だが…

アナスイがベンチで休んでいると、その様子を背後から覗く人物がいる。
アナスイはまだその存在に気付いていない。

ゴゴゴゴゴゴ…

「おいおい、何でアナスイと徐倫がこんな所にいるんだ?」

≪to be continued≫

よかったなアナスイ

第四話 『スタンド使いは引かれ合う? - 前編 -』


徐倫「アナスイ、お待たせッ!」

アナスイ「ん?随分早かったな徐り…ええ!?ど、どうしたんだ徐倫!」

なんと!
なんということだ!
徐倫の服装が革命を起こしてしまった!?
ジャケット、パンツ、帽子!
見るも無残に『露出』が減っている。

アナスイ「ちょ、ちょっといいか?」

クンクン……
徐倫の匂いを嗅ぐ。微かに香る石鹸の匂い。変わらない、徐倫の匂いだ。

アナスイ「(あまりの変わりように偽物かと思ったが、この匂いは本物だな…)」

徐倫「ちょっとォ!そんなに近寄って匂いを嗅ぐなんて……恥ずかしいじゃない」

少し照れたような表情を見せる徐倫。

アナスイ「(恥ずかしい?何かおかしい反応だな、もしや…) 徐倫、ちょっといいか?」

ドドドドドド…

ダイバーダウンが姿を現す。

アナスイ「『こいつ』の名前、憶えてるか?」

徐倫「え…えぇ、もちろん。『ダイバーダウン』よね?」

アナスイ「(スタンド禁止の約束を知らない、だがダイバーダウンを知っているこいつは…)
……おい貴様、何者だ?」

オインゴ「おいおい、こんなに早く見破られるとはなッ!俺だよ!オインゴだ!」

オインゴが変身を解除した。

オインゴ「すまなかったな。空条徐倫と別々になるところを目撃してよ、
ついイタズラ心が芽生えちまった。って……アナスイ?」

ゴゴゴゴゴゴ…

アナスイ「おいオインゴ…失せな。貴様よりによって徐倫に化けるとはな…」

オインゴ「え?そ、そうか。すまねぇ。
しかし折角奇跡的な出会いを果たしたんだッ!色々話をしようじゃあ…」

アナスイ「オレは『分解』が得意なんだ、『知っている』よなッ!?」

オインゴ「ひいいいぃぃぃッ!?」

トボトボ……

ボインゴ「あれは兄ちゃん!その表情、どうせアナスイに怒られたんでしょう?」

オインゴ「あ、あぁ……何でわかったんだボインゴ?」

ボインゴ「わかるよ!兄ちゃんはすぐ調子に乗るしね。たまには本でも読んで常識を学んでよ」

オインゴ「本はなぁ、読む気がしねーんだよなァ。文字の羅列が苦手なんだ。
ところで、この辺りの観光場所は調べてくれたのか?」

ボインゴ「今ちょうどグーグル先生に聞いてるところだよ」

オインゴ「な!?お前、こんな異国の地に知り合いの先生がいるのか!
いつの間にそんな人脈を…俺は感動したぞボインゴッ!」

ボインゴ「(はぁ。本当に常識を学んで欲しいよ…)」

≪to be continued≫

第四話 『スタンド使いは引かれ合う? - 後編 -』


トリッシュは、一人でお菓子を購入する子供を眺めていた。

『はじめてのおつかい』
そういう名の日本のテレビ番組を元にしたバラエティ番組が、イタリアで過去に放送された。
おつかいに行った子供をスタジオに呼んで一緒に見るという形式だった。

トリッシュ「(あの番組、とても泣けたのよね…)」

徐倫「あれ?あの女の子どこかで見たような…あッ!そうだ、トリッシュ!」

トリッシュは、その声を聞き振り返る。
そこにはドッジボール大会(のメンバー表)で見た、空条徐倫の姿があった。

トリッシュ「え?あ……!確かあなたは、空条徐倫!」

徐倫「そう!すごい!こんな所で出会うなんて!」

トリッシュ「久しぶり!あ、でも初めましてよね、あたし達」

二人は互いに抱き合い、奇跡のような出会いに感激の声を上げる。

トリッシュ「あなたも『1日だけ』生き返ったの?ねぇ、『誰に』生き返らせてもらったの?」

徐倫「あたし?あたしはアナスイに……」

トリッシュ「そうなんだ!二人はもしかして…『恋人』なの?」
トリッシュはいたずらな笑みを浮かべながら聞く。

徐倫「ち、違うわよッ!そんなんじゃあ全然ない!」

トリッシュ「ふうん。でも彼の方は全然じゃないよね?
生き返らせる『一人』にあなたを選んだんだもん」

ブチャラティ「あぁ、トリッシュ。いたいた……あれ?君は徐倫?」

徐倫「あなたはブチャラティ。…ふうん。なるほどね〜トリッシュ」
徐倫もまた、いたずらな笑みを浮かべていた。

トリッシュ「ちょっと徐倫!何か勘違いしてない!?」

徐倫「先程の台詞をそのまま返すわ。選んだんだもんねー?」

トリッシュ「もう!ブチャラティちょっと待ってて!徐倫と話があるから!」

そう言うとトリッシュは徐倫を連れて少し離れた場所に移る。

トリッシュ「徐倫、彼の前で話すのはやめてよね!」

徐倫「ごめんごめん。ねぇトリッシュ、ブチャラティとは付き合っているの?」

トリッシュ「いいえ。別に付き合ってないわ。
それどころか彼とは出会って3日間だけの仲よ。でも……」

徐倫「でも?」

トリッシュ「私、今日彼にプロポーズをしようと思ってる」

徐倫「えええ!?」

トリッシュ「そんなに驚く?」

徐倫「誰でも驚くわよ!出会って間もない仲なのになぜ?」

トリッシュ「ブチャラティと3日間しか同じ時間を過ごせなかったのはね、
彼が死んでしまったからなの。当然、その後二度と同じ時間を過ごすことはなかった」

徐倫「……」

トリッシュ「彼がいなくなって、あたしも死んで、初めて気付いた。後悔に、ね。
あの時彼ともっと話をしていれば良かったなって。今日は1日しかない。だから、もう後悔したくないの」

徐倫「後悔……か」

トリッシュ「そう。きっとアナスイもあなたにそういう気持ちを持っていると思う。
あなたはどうなの?アナスイのこと、どう思っているの?」

徐倫「アナスイのこと。それは…よくわからないわ」

トリッシュ「そう…。まぁいいわ。今日はもう今日しかない。
それだけは忘れないでね、徐倫!」

徐倫「ええ…」

トリッシュ「お互い良い『1日』を過ごしましょう。ブチャラティも待ってる、もう行くね。
また会おうね、徐倫! In bocca al lupo!(頑張って!)」

アナスイ「ん?あれは、徐倫ッ!」

徐倫「ごめんなさいアナスイ!こんなに待たせてしまって」

アナスイ「いや全然気にしていない。それにオレも今戻ってきたところだ。ほら…」

パカッ
アナスイは、小さな四角い箱を開いた。その中には白い腕時計が入っている。

アナスイ「これ、君に似合うと思って。受け取ってくれ」

徐倫「アナスイ……ありがとう」

徐倫は早速、腕時計を左腕につける。
それを見てアナスイが微笑んでいた。


彼は、あたしのことをどう思っているのか?それは大体想像が『つく』。

ではあたしは?あたしは彼をどう思っているのか?それは……

≪to be continued≫

第五話 『ドキッ』


<現在時刻 14:16>

- 東京タワー 大展望台行き階段 -

アナスイと徐倫は、600段ある階段を登り始めていた。

アナスイ「日本のシンボルタワー、素晴らしいな」

徐倫「えぇ。ただ…思ったより疲れるわね。ふぅ」

アナスイ「徐倫、ゆっくり行こう。君のペースでいいんだ」

…アナスイは優しい。とても優しい。
私が愚痴を吐けば、ダストボックスのようにひたすら受け止めてくれるし。

しかし誰にでも優しいというわけではない、彼は『殺人鬼』と呼ばれていた男。

不思議だ。なぜ『あたし』にはこれ程優しいのか?
あたしの一体何が、彼を惹きつけたのだろうか?

DIOは誰を生き返らせるんだろう

アナスイ「なぁ徐倫」

徐倫「どうしたの?」

アナスイ「…この東京タワー、本当に美しいよな」
アナスイはいつになく真剣な目だ。

徐倫「ええ、そうね。遠くから見た時も良かったけど、こうして階段を登っている景色も素晴らしい」

アナスイ「デザイナーにとっての『完璧』というのは、
付け加える箇所がない状態を言うのではなく、『省く箇所を見いだせない』状態を言うらしい。
この『東京タワー』は、その極限に行きついているとオレは思う」

徐倫「なるほどね」

アナスイ「こんな素敵な場所を選んでくれた君に感謝したい、ありがとう」

アナスイは本当に嬉しそうな顔をしている。
——ずるい、少しカッコイイ。

徐倫「(本当はSPW財団のオススメに従っているだけだけど、嬉しいから黙っておこう)」

アナスイ「もう少しだ徐倫。あと2段…1段…登頂だ!」

徐倫「はぁ…はぁ…け、けっこう疲れたわね」

アナスイ「そうだな、思っていたよりもハードだった」

徐倫「(アナスイ。少し汗をかいてる位で、呼吸は乱れていない…すごい)」

ドキ…ドキ…

徐倫「(!?え…これは、心拍数が上がっただけ…よね。うん、きっとそう…)」

アナスイ「徐倫、こっちに来いよ。ここからの景色も綺麗だぜ」

アナスイは遠くを見ている。遠くを見る目。
徐倫はその『しぐさ』を見て、鼓動が高まるのを感じていた。

ドキッ…

『窓』が、開かれた。
窓からは風が吹いている。
徐倫の心のカーテンは、揺れ動き始めていた。

≪to be continued≫

お、外伝来たな

第六話 『ニンジャ!』


<現在時刻 17:14>

アナスイ「徐倫、食事をするんじゃあなかったのか?ここには壁しかないが…?」

徐倫「そうよ、食事をするの。何処かに黒子がいるはずだわ…あ、いたいた」

長く伸びた壁に、ポツンと黒子が立っている。

黒子「空条徐倫様でいらっしゃいますね?」

徐倫「えぇ、食事はできる?」

黒子「はい、お召し上がり頂けます。ではお入りください」

徐倫と黒子が入店すると、そこは忍者屋敷のようだった。
曲がりくねった通路を進むと、道が途切れている。

黒子「ここから先に進むには、『忍法』が必要になります。
『ニンニン』とお二人で唱えてください」

アナスイと徐倫は目配せをした後、忍法を唱える。
徐倫は少し恥ずかしかったようではあるが…

アナスイ&徐倫「ニンニン」

すると途切れていた道に橋がかかり、先へ進めるようになった。
そのまま個室へ案内され、メニュー(巻物)を渡してもらう。

アナスイ「なぁ徐倫、えらく凝ってる店じゃあないか。気に入ったぜ」

徐倫「そうね。雰囲気がすごくいいわ」

くノ一「姫、殿、ご注文はお決まりでしょうか?」

アナスイ「ジャパニーズニンジャガールッ!?この店…気に入ったぜッ!」

徐倫「……」

店員が徐倫にトランプマジックを披露している。

上忍「姫。あなたが選んだカードは…『これ』ですね?」

徐倫「イエス!そうよ!さすがはハイクラスニンジャッ!」


アナスイ「そういえば、くノ一は何で『くノ一』って言うんだ?」

くノ一「『女』という字は『く』と『ノ』と『一』から出来ている字ですので、
女忍者のことをそう呼ぶようになったんですよ」


徐倫「アナスイ!これ、グリッシーニが手裏剣の形をしているわ!」

アナスイ「もはや芸術だな!食べても……ゥンまぁーーいッ!」


忍者「ではお見せしましょう、『火遁の術』ッ!」

ボアァッ!

アナスイ「おお!なんてダイナミックな点火なんだッ!」

徐倫「すごい!中のお肉が一瞬にして蒸し上がっているッ!?」

<現在時刻 19:37>

黒子達「ありがとうございました」

アナスイ「丁寧だな、店の外まで出て深々とお辞儀をしている。
それに花までもらっちまった。日本人の接客サービスは世界最高レベルだ」

徐倫「そうね。素晴らしい時間を過ごせたわ、お店の人達に感謝しないとね」

アナスイ「まだ時間はあるな、次はどこに行く?徐倫」

徐倫「そうね。夜だし…あたしは星を見たい。良い公園があるらしいの」

アナスイ「いいな、それじゃあそこに行こうか」

二人は再びタクシーに乗り込んだ。

≪to be continued≫

第七話 『わかった』


<現在時刻 21:14>

ここはこの街にある代表的な公園の一つで、
高台からは港を見渡すことができる。
この時間にもまだ何組かのカップルが視界に入る、人気公園だ。

徐倫「ねぇアナスイ。あの星…見て」

アナスイ「どれだい徐倫?」

徐倫の指す方向を見てみる。

徐倫「ちょっとだけどさ、F・Fに見えない?あれが髪形で…」

徐倫が指で星々をなぞる。
スッ、スッ、スー…

アナスイは思う。
星を見るということは、魂を見上げさせる行為だ。
だから違う世界に出会える。きっと彼女には今違う世界が見えているのだろう。

その指の描く様を、アナスイはただじっと見つめていた。

<現在時刻 22:36>

アナスイ「徐倫、もうこの場所から移動するつもりはないのか?」

徐倫「ええ。星の光は鉄格子から何度も覗いていたけれど、とても好きなの」

アナスイはタイミングを見計らっていた。
プロポーズのタイミングを。

プロポーズの成功は、徐倫の辛い思い出を、
『良い思い出』に作り変えることと等しい。
後悔しているオレ達との出会いを、あって良かった出会いにすることができる。

ただしそれは、今日一日で成し遂げなければならない。つまり、残り1時間強。
失敗も許されない。

今まで、ダイバーダウンにより様々な事柄を解決してきた。
主に戦いではあるが、『悩み』と『解決』の橋渡しに、
『ダイバーダウン』は長らく貢献し続けている。それは事実だ。
しかしその相棒は今日は使えない。そういう『約束』なのだ。

頼れるのは己のみ。
その状況が、アナスイに想像を絶するプレッシャーをかけていた。

<現在時刻 23:41>

気がつくと、辺りにはアナスイと徐倫以外誰もいなくなっていた。
輝く星も、かすかな光を放つ星も、ここからの景色は二人だけのものとなる。


徐倫は過去を思い返していた。
アナスイとの過去。

ケンゾーとの戦い。そうだ、最初から彼はあたしを助けてくれた。
ヨーヨーマッ、緑色の赤ちゃん。彼がいなければ…あたしは死んでいた。
F・Fが殺された時。彼は自分の命を犠牲にしてでも、父さんのディスクを取り出してくれた。
ケープカナベラルへ向かう時。脱獄してまであたしの後を追ってきてくれた。

最後には皆、殺された。
でも、アナスイはその最後まであたしを守ってくれていた。
いつだって、彼は『守ってくれていた』


トリッシュの言葉を思い出す。
「アナスイのこと、どう思っているの?」


そうだ。今はっきり、『わかった』
あたしはアナスイのことが——



アナスイ「なぁ徐倫」

徐倫はアナスイの声でハッとした。
真剣な目で、アナスイがこちらを見ている。

アナスイ「話があるんだ」

≪to be continued≫

最終話 『指輪』


徐倫「話って……何?」

ドクン…ドクン…

徐倫はわかっている。
生前に父である承太郎の前で求婚されたこともそうだし、
一日生き返らせる『誰か』に、『自分』を選んでくれたこともそうだ。
トリッシュに言われるまでもなく、
アナスイの話が何か、わかっている。

アナスイ「大切な話だ」

ひゅうっ
冷たい夜風が吹く。
今日は昼間から10℃をやっと超えるかという気温だった。

アナスイは寒さからか、緊張からか、少し震えている。
徐倫は黙ってアナスイをじっと見つめる。

<現在時刻 23時50分>

アナスイは意を決したように、口を開いた。

アナスイ「徐倫、この指輪を受け取ってほしい」

アナスイはかつて一度渡した指輪を、再度差し出した。
雲からかすかに降り注ぐ月の光が反射し、指輪がキラリと瞬く。

徐倫「これ、どうしたの?」

アナスイ「例のドッジボール大会。その賞品で手に入れたものだ。
君は見覚えがないと思うが、生前に一度君に渡した指輪なんだ」

徐倫「え、いつ?」
徐倫は怪訝そうな顔をしながら聞いた。

アナスイ「プッチとの決戦前、車の中で。寝起きの君はワニに向かってその指輪を投げてしまったのだが…」

徐倫「…ええ?」

アナスイは思った。
結局、叶える願いはこの『指輪』にした。
これはオレへの『ケジメ』だ。あんなタイミングで差し出したオレが悪かった。
今度こそ、これを受け取ってもらうんだ。

アナスイ「さぁ、受け取ってくれ徐倫」

徐倫はしばし考え込んだ。
そして口を開く。
その言葉は、アナスイの感情を急降下させた。

徐倫「アナスイ、これは受け取れない」

アナスイ「え…?」

アナスイはハッとした。
徐倫の冷たい目にも驚いたが、『受け取れない』の言葉に何より動揺した。

溜息まじりに徐倫が言う。
徐倫「あなたの悪いところは相手の気持ちを考えないことだわ」

彼女の言葉が耳には入るが、頭まで入ってこない。理解ができない。

徐倫「あたしの気持ちを無視して。あたしが今どんな気持ちでいるかわかる?」

後悔の波がアナスイに押し寄せる。

オレは何をしているんだ。
浮かれていた。
やってしまった。
傷つけてしまった。
不快にさせてしまった。
何が彼女の辛い思い出を、良い思い出に作り変えるだ。
すまない。
すまない。
徐倫…

徐倫「あたしはワニに向かって指輪を投げたことなんて覚えてない。
それをあんな風に言われたら…。はっきり言って気分が悪くなったのよ」

徐倫の発言から数十秒の沈黙が流れた。

徐倫は時計をチラリと見る。
アナスイにプレゼントしてもらった白い腕時計。

<現在時刻 23時55分>

あと5分でこの1日も終わる。

徐倫「…ねぇアナスイ」

アナスイ「……」

アナスイに徐倫の言葉は届いていない。
徐倫は少し強めの口調でもう一度聞いた。

徐倫「ねぇアナスイ、聞いてるの?」

アナスイ「え?あ、あぁすまない。どうした徐倫?」


徐倫「あたしの何が…好きなの?」


徐倫の問いにアナスイは数秒膠着した。
しかし、すぐに口を開く。

アナスイ「君の…」

徐倫はアナスイから視線を離さない。
アナスイも真っ直ぐに徐倫を見ていた。



アナスイ「君の全てを愛してる」

今、風は止まっている。
無音の中、アナスイは言葉を続けた。

アナスイ「その可愛らしい顔も、魅力的なスタイルも、チャーミングな笑顔も、
仲間想いの優しさも、覚悟を決めた時の力強い意志も、誰かに頼りたい時の弱い一面も、
しぐさも、そして今もそうだ。何かを集中して見る、その目も…」

徐倫「……」

アナスイ「君を初めて見た時から君に恋をした。オレは君と出会った全ての時間で君に恋をしている。
あの時からオレの世界は変わった。死んでいたオレを蘇らせてくれた。
君と幸せになりたい。君を守ってやりたい。君の暖かな笑顔を見ていたい。
この気持ちは、この愛は本物だと思っている。君と結婚をしたい。君の特別な存在にオレはなりたい」

徐倫がアナスイから視線を外し、顔を伏せた。

アナスイ「もう一度言う。オレは君の全てを…愛してる」

徐倫「そう…」

アナスイは必死に言葉を絞り出した。
そして、混乱し始めていた。

徐倫が俯いたまま顔を上げない。
何を考えているのか?
また不快にさせてしまったのか?

しかしオレにできるのは彼女の言葉を待つことだけだ。
そう思った。

その時、徐倫の唇はこう動いた。
この時の唇の動きを、言葉を、アナスイは一生忘れない。



徐倫「あたしも」

暗くてピンク色かどうかはわからないが、徐倫の唇は確かにそう動いた。
そしてもう一度、今度はもう少し大きな声で言った。



徐倫「あたしも…あなたのことを愛してる」

や…やったッ!

<現在時刻 23時59分>

ひゅうっ
冷たい夜風が吹く。しかしアナスイの高揚がそれを感じさせない。

アナスイは自身の体が震えていることに気付いてはいるが、どうしようもない。
原因は寒さではないのだ。この震えを止める術など、今はあるはずがない。

徐倫「さっきはごめん。ちゃんとあなたの気持ちを聞きたかったから、強い言葉を言ってしまって。
プロポーズもなしに、いきなり指輪なんてそりゃないわって…思っちゃったの」

アナスイ「いや、いいんだ。オレこそすまなかった。言葉が足りなかった」

徐倫「ねぇ、この1日ももう終わりね」

アナスイ「そうだな残念だが」

アナスイはこの時、キスをしたいと思った。
徐倫は『愛してる』と言ってくれた。
その証が欲しいのではない。愛する徐倫と、ただ口づけを交わしたい。そう思った。

徐倫「指輪、嬉しかった。ありがとう。あとこれ…」

時間がきた。
間もなく時計の針は12時を指す。あと5秒…4秒…3秒…

アナスイの左手に何かが当たる感触があった。

アナスイ「徐倫…これは」



チュッ



徐倫の唇が迫り、アナスイの唇に触れた。
二つの唇が、互いの温もりを感じ合った。

二人の気持ちは一つだった。

徐倫「約束…破っちゃった」

ドヒュウウゥゥゥ、ドヒュウウゥゥゥ
そして二人は蒸発してしまった。



1日は、終わったのだ。

昔F・Fがしていた話だ。

『生きることは、思い出を作ること』だと。


徐倫とアナスイは別々の空間を彷徨っている。

『一日だけの思い出』

二人はこれからも別々の場所で、この一緒の思い出を持ち続けるのだろう。



アナスイは思う。

彼女はきっともう大丈夫だ。なぜなら……



徐倫の左腕には、白い腕時計が巻かれている。

徐倫の左手には、美しい指輪がつけられている。

そしてアナスイの左手には、糸で作られた指輪がつけられていた。



≪アナスイ、徐倫と共に一日生き返る −完−≫

ここまでお読み頂き誠にありがとうございます。
このあと番外編を書いて最後になります。

おそらくあと4〜5回の投下になると思いますが、
もう少しお付き合い頂けますと、嬉しいです。


楽しみにしてる

いいはなしだなー

番外編 『ボインゴの成長』


- カメユーデパート内 本屋 -

ペラ…

ボインゴ「(全く…兄ちゃんはまたどこかに行ってしまった)」

ギュウッ

ボインゴ「い、痛ッ!?」
右足に痛みを感じ、思わず声を上げるボインゴ。

不良「あぁ!?おいおいクソガキ、おめー『痛い』だと!?
そんなこと言ったらよォ、俺がおめーに何かしたみたいじゃねーかコラッ!!」

な、何だ!?
僕は何もしてないのに!
日本の不良が突然絡んできたぞ!…これってピンチ?

不良「何とか言えよこのタコがッ!」
ボギャアッ!

ボインゴ「ぐゥッ!?い、痛い!ひいいぃぃっ!?」

強烈な蹴りがボインゴに直撃した。
ボインゴは一目散にその場から走り去る。

不良「待てコラァッ!!」

ボインゴ「(な、何なんだよあいつはッ!?クレイジーだ!くそ、『トト神』を…)」

ボインゴはトト神に手をかける…が、
ボインゴ「(いや…!やはり『トト神』は使わない。使っちゃダメだ)」

ボインゴは思った。
自分や兄はジョースター達に敗北した。
スタンド能力が劣っていたからか?
いや、それは『違う』。
『トト神』も『クヌム神』も、勝てる能力だった。
敗北したのは、認めたくはないが…『精神力』の差。

ドドドドドド…

ボインゴ「(相手はスタンド使いではない一般人。
トト神は『使わない』、そして…僕はもう逃げないッ!僕は一歩、成長する!)」

不良「観念したかオラァァッ!!」

ボインゴ「(僕はもう逃げ…逃げ…逃……げ……)うわあああぁぁぁッ!?」

ボインゴは逃げ出した。

ボインゴ「し、しまった!?行き止まり…!?」

不良「クソガキィ…『鬼ごっこ』楽しかったよなァ?」

ボインゴ「お、お前ッ!何でこんなことするんだ!」

不良「何で?ハハハッ!『ムカツクから』だよッ!
てめー、逃げる時も大事そうに本を抱えてたなァ…そんなに本が好きか?
『知識程豊かなものはなく、無知程貧しいものはない』
って思ってそうだよなァ。優等生のクソガキ君ッ!!」

ボインゴはビクリ!とした。
(くそッ、こんな奴に負けてたまるか!
僕はもう人事を尽くした。あとは待つのみ…!)

ボインゴ「…『本』っていうのはさ、長く噛みしめる本もあれば、
丸呑みにしたり、味見だけしたりする本もある。
そして一部の本だけは、『噛みしめた後に消化する』んだ」

不良「…ああ!?何言ってんだこのガキがッ!その本は火あぶりの刑に決定だな!」

(良かった…『来てくれた』)

ボゴァッ!
不良「い、痛ェッ!?」

不良の背面を、一人の男が蹴り上げた。
不良が向き直るや、何度も何度もその顔面に拳を叩きこむ。

バギ!ドガ!バキ!ドガ!ドガ!!
オインゴ「貴様ーーッ!!貴様が!謝罪するまで!ぶん殴るのを止めねェッ!」

土下座する不良。
不良「誠に申し訳ございませんでした」

オインゴ「よし行けッ!」

不良「はいいいぃぃぃッ!本当にすみませんでしたァーッ!」

速い。不良はもう見えなくなった。

オインゴ「…無事だったか?ボインゴ」

ボインゴ「うん…。兄ちゃんありがとう。きっと来てくれると思った」

オインゴ「あぁ。本のページが床に何枚も散らばっててよ。
けっこう片づけられてたみたいだが、絵柄を見たら『トト神』だった。
そしてトト神が道しるべのように落ちてあるってことは…お前に何かあったんだと思ってな」

ボインゴ「うん、そのつもりでトト神をばらまいたんだ。
さすが兄ちゃん…(でも結局、スタンドは使っちゃったなぁ…)」

オインゴ「よく一人で勇敢に戦ったな、ボインゴ」

オインゴがボインゴの頭を優しく撫でる。

ボインゴ「…!うん…うん……」

ボインゴは泣いていた。
怖かったから泣いているのではない。嬉しくて、泣いているのだ。

ボインゴは思う。
以前、兄は『ディオ様に褒められた』話を嬉々として話してきた。何度も、何度も。
その時はうんざり聞いていたが、今ならその時の兄の気持ちがわかる。
本当に『嬉しかった』んだ。好きな人に褒められることは、こんなに『嬉しい』ものなんだ…

オインゴ「なぁボインゴ。お前のオススメの本をさ、今度貸してくれないか?」

ボインゴ「え。どうしたの急に?本は苦手って言ってたのに」

オインゴ「さっきさ、『一部の本だけは、噛みしめた後に消化する』とか話していただろ?
お前が『消化』するくらい面白い本なら、読んでみてーなァって思ってよ」

ボインゴ「…はぁ、やっぱり兄ちゃんは馬鹿だなぁ」

オインゴ「なに!?なんでだ!?」

ボインゴ「僕が読む難しい本を、兄ちゃんがいきなり読めるわけないでしょ?」

オインゴ「そ、そんなに難しいのか!」

ボインゴ「だから…」


ボインゴにとって本を読むことは『自分だけ』の世界のものだった。
しかしその世界はこれから変わる。

得た知識、情報を、今度は兄に伝えよう。
『消化』して『伝えよう』…。


ボインゴ「だから…僕が、兄ちゃんにわかりやすく話すよ」

オインゴ「おおッ!そいつはいいなッ!頼むぜ、ボインゴ先生!ハハハ!」


ボインゴは、新しい『本の楽しみ方』を一つ学んだのだ。



≪ 終わり ≫

最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。

コメントを頂いた皆様もありがとうございました。

おつ、短かったけど伝わるものがあったぜ!


DIO様どうなったのだろうか気になるところではある

お疲れ様でした!
次回作も楽しみにしています!

良かった…なんか胸にしみたわ
次回作も期待!

生き返った他キャラの様子も知りたい

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