ゲンドウ「久しぶりだな、シンジ」 (1000)

シンジ「父さん!」

ゲンドウ「大きくなったな、シンジ」

シンジ「え……? あ…うん……」

ゲンドウ「背も、ずいぶんと伸びたな」

シンジ「そうかな……? 自分だとよくわからないけど……」

ゲンドウ「そうか」

シンジ「……うん」

ゲンドウ「……」

シンジ「……」

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ンドウ「……ちゃんと食事はとっているのか?」

シンジ「うん……大丈夫……」

ゲンドウ「友達は……いるのか?」

シンジ「それは……」フイ…

ゲンドウ「そうか……」

シンジ「……うん」

ゲンドウ「……学校の勉強はどうだ。頑張っているのか?」

シンジ「うん。やってる……」

ゲンドウ「成績はいいのか?」

シンジ「悪くはないと思うけど……」

ゲンドウ「そうか。それならいい……」

シンジ「うん……」

ゲンドウ「……」

シンジ「……」

ゲンドウ「……趣味とかは出来たのか?」

シンジ「チェロを少し……」

ゲンドウ「チェロか……」

ー第三新東京市ー

第四使徒『!!』

ピカンッ!!



ヂュドォォォォーン!!!!!

ー ネルフ本部 ジオフロント内 ー

グラグラ…。ドサッ!!

ゲンドウ「……?」チラッ

ゲンドウ「……」

ゲンドウ「……」スイッ…

ゲンドウ「何か得意なスポーツはあーー」

シンジ「だから、何の用だよ、父さん!! なんで僕をここに呼んだの!!」

ミサト「あらあら。シンジ君、お父さんにそんな口聞いちゃダメよー」

リツコ「そうよ、シンジ君。三年ぶりの親子の再会ですもの。積もる話もあるでしょうし……」

シンジ「いや、でも、今はそんな事言ってる場合じゃないでしょう!! 使徒とかいう化物が来てるんですよ!? あれを何とかする為に、このエヴァとかいうロ ボットを造ったんじゃないんです か!?」

リツコ「シンジ君、さっきも説明したけどこれはロボットじゃなくて、人型汎用決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオンよ。ロボットとかとは構造から設計思想まで全く別物ーー」

シンジ「だから、そんな説明はいいんですってば、もう!!」

シンジ「とにかく、早くあのエヴァとかいう兵器を使って使徒を倒して下さいよ! 急がないと街が全部壊されちゃうし!!」

リツコ「……ずいぶんとせっかちな子 ね。人が折角きちんと説明してあげてるのに」

ミサト「まぁまぁ、リツコ。シンジ君だって悪気があってした訳じゃないと思うのよねー。三年ぶりにお父さんに会えたものだから、ちょっとはしゃいじゃってるだけよ、きっと」

シンジ「だからそんな場合じゃないってさっきから言ってるじゃないですか!!」

ゲンドウ「シンジ、言葉を慎め。巨大なロボットを見てはしゃぐのはわかるが、少し落ち着きを持て」

シンジ「違う違う違う違う違う違う違う違う、そういう事じゃなくて!!!」

リツコ「そうですよ、司令。シンジ君の言う通り、あれはロボットではなく、人型汎用決戦兵器、人造人間エヴァンーー」

シンジ「もういいよ!! 誰も動かさないなら、僕があれに乗るから!! だから、早く動かして下さい!!!」

ミサト「なんだ、シンジ君、やっぱりあれに乗りたかったのねー。 照れちゃって、まあ」クスクス

リツコ「まあ、あれぐらいの年の男の子なら、多かれ少なかれ巨大な建造物や乗り物には憧れるものだしね」

シンジ「違うのに、違うのに……!! ぐぅぅ!!!!」ダンダ ンダン!!

シンジ「とにかく父さん! もう勝手に乗らせてもらうよ!!」ダダ ダッ

ミサト「あっ、待ちなさい。シンジ君」グイッ!

シンジ「ミサトさん、何で……!?」

ミサト「ダメよー、シンジ君。乗るのは司令の許可が出てからじゃないと。それが最低限のルールってものなんだから。ルールは守らないとダメでしょ?」

シンジ「だ、だけど、このままじゃ!! 早く乗らないとここも危ないし!!」

ミサト「大丈夫よー、ここは頑丈な造りになってるんだから。 ちょっとやそっとの事じゃ壊れな いから安心して」

リツコ「それにレイも乗りたがっていたから、ジャンケンなりクジなりで乗る順番を決めてもらわないと」

シンジ「レイ?」

ミサト「あー、エバーの正式パイロットよ。肌が白くて可愛いんだから。きっと一目惚れしちゃうわよ」

シンジ「パイロットがいるなら、最初から呼んで下さいよ!!! 早く!!!」

リツコ「ホント、最近の子はせっかちね、全く」ブツブツ

ゲンドウ「すまない、赤木博士。ここは私の顔に免じて許してもらえないか。私の教育不足だ」

ミサト「司令、教育不足って、今までろくに教育してなかったじゃないですか。思春期の少年を三年もほったらかしにして」

ゲンドウ「……そうか」

リツコ「父親ぶりたい気持ちはわかりますけどね」クスクス

ゲンドウ「……」

リツコ「あら、黙っちゃったww」

ミサト「司令、可愛らしいww」

シンジ「どうでもいいから、早 く!!!」ダンダンダン!!

ミサト「あらら、怒られちゃったわ」

リツコ「これが最近のキレやすい若者というやつかしらね」

ミサト「なんか、その言葉自体、最近聞かなくなったわよね。なんでかしら?」

ブン、パッ
冬月『それが当たり前の時代になったからではないのかね?』

リツコ「あら、副司令。聞いてらしたんですか?」

冬月『あまりにもこちらが退屈だったものでね。詰め将棋をしながら聞かせてもらっていたよ。碇の息子にも興味があったしな』

ミサト「で、どうでした? 実際に見て」

冬月「顔は幸いにも母親似のようだな。父親似だったら目もあてられないところだったから、それだけは安心したよ。性格はどうやら父親似のようだが……」

ゲンドウ「冬月、余計な事を言うな」

冬月『照れを隠さなくてもいい ぞ、碇。内心では喜んでいるのだろう?』

ゲンドウ「……私は一旦そちらに戻る。レイを乗せるか、シンジを乗せるかはそちらで決めてくれ」

冬月『相変わらず不器用な男だな、お前は』

ゲンドウ「冬月、余分な事を言うなと、さっきからあれほど」

冬月『それはすまなかったな。お前を見てると、どうにも無性にからかいたくなってきてな』フ……

冬月『ああ、そうだ。レイはこちらで手配しておいた。もうすぐそちらに着くだろう』

ー 主モニター ー

ピュン!!



ヂュドォォォォーン!!!!!

冬月『……』チラッ

冬月『』フッ…

冬月『どうやら使徒も君たち親子の再会を祝福してくれているようだな。さっきから派手な花火を打ち上げてくれているよ。この老体には少し眩しいがな』

冬月『では、私は詰め将棋に戻るとするよ。碇の相手もしなくてはならないしな』 ブン、パッ……

リツコ「副司令も時々キザなところがあるわね」フフッ

ミサト「元々、京都大学の教授ですものね」

シンジ「…!!!」ダンダンダン!!

ミサト「ちょっと、シンジ君。その足をドンドンするのやめなさいよー。子どもじゃないんだから」

シンジ「僕は子どもですよ!」

リツコ「でも、もう駄々をこねる歳でもないでしょう? 困った子ね……」ハァ

シンジ「僕だって好きでこんな事してる訳じゃないです!! 二人とも、もうちょっと危機感を持って下さいよ!!!」

ミサト「慌てない、慌てない。もし、今回がダメでも、シンジ君にはまたいつかエヴァに乗せてあげるから。ね?」

シンジ「だ、か、ら!!!!!」ダンッ!!!!

ガラガラ… ガラガラ…
レイ「……」

ミサト「あっ、レイが運ばれて来たわね」

リツコ「シンジ君、紹介するわ。 彼女がEVAのパイロット、綾波レイよ。無口で無愛想なところが珠に傷だけど、でも、素直ないい子よ」

シンジ「この子が……。あのエヴァのパイロット……? こんなに包帯まみれなのに……」

ミサト「ああ、シンジ君。誤解がないように言っとくけど、彼女、別に厨弐病だとかそういう訳じゃあないわよ。包帯を取ると真の力が解放されてうんたらかんたらとか、そういう設定を自分で作って る痛い子ではないから安心してね ♪」

シンジ「余計、心配ですよ!! こんな傷だらけの子を戦わせる気ですか!!?」

ミサト「しょうがないじゃない、シンジ君。彼女が乗りたいって言ってるんだから」

シンジ「綾波が!?」

ミサト「そうよー。ね、レイ?」

レイ「ええ、そう……。私がEVAに乗るから。あなたはもう帰っーーっ!!」ズキッ!!

シンジ「だ、大丈夫!?」

レイ「……!! へ、平気…だか ら……っ!!」ズキッ!!!!

シンジ「やっぱり無理ですよ、ミサトさん! だから、僕が、僕がアレに乗ります!! 乗らせて下さい、エヴァに!!」

ミサト「あれ、リツコ、今気がついたけど、どうしたの? その靴?」

リツコ「あら、ミサト、なかなか鋭いわね。昨日買ったばかりのを今日おろしたの。座り仕事が多いものだから、足がむくんじゃう事が多くてね」

ミサト「あら、そう。でも、似合ってるわよ、それ。相変わらずセンスいいわね」

リツコ「そう? お世辞が上手になったわね、ミサトも」クスッ

シンジ「聞けよ!! 人の話 を!!!」ダンッ!!!!

ミサト「ちょっとシンジ君。大人にたいして何よ、その口のきき方は?」

リツコ「いくら自分がEVAに乗りたいからって、焦りすぎよ、シンジ君。そんな口のきき方をされたら、こちらだってEVAに乗せようなんて気にはなれないでしょう? もう少し考えてものを言うべきではないかしら」

シンジ「ぐうう…!!!!」ダンダンダンッ!!

ミサト「シンジ君、さっきも言ったばかりだけど、その足。やめなさいよ」

シンジ「わ、わかりました!! わかりましたから!! お願いですから僕をエヴァに乗せて下さい!! お願いします!!!」ペコリッ!!

ミサト「リツコ、今の聞いた? わかりましたから、ですって」ハァ……

リツコ「反省の色が全く見受けられない言葉よね。EVAに乗りたい一心で出た言葉としか思えられないわね」

ミサト「それにしても、最近の子ってみんなこうなのかしら? ちょっち将来に不安が出ちゃうわね……」

リツコ「ミサト、それは使徒を全部倒してからの話よ。使徒を倒さないと人類全てが滅んでしまう訳だし」クスクス

ミサト「あっ、それもそうねww」テヘッ

シンジ「…!!!!!!」ギリギ リ、ブルブル

シンジ (怒っちゃダメだ、怒っちゃダメだ、怒っちゃダメだ、怒っちゃダメだ、怒っちゃダメだ、怒っちゃダメだ、怒っちゃダメだ、怒っちゃダメだ……!!!!)

シンジ「あ、あの、ミサトさん!」

ミサト「シンジ君、今は私とリツコで話をしてるでしょ。相手にされずさみしいからって会話に割り込んじゃあダメよ♪」

リツコ「それぐらい一般常識よ、シンジ君。後で相手をしてあげるから、少しの間、そこで待っていなさい。いいわね?」

シンジ (キレちゃダメだ、キレちゃダメだ、キレちゃダメだ、キレちゃダメだ、キレちゃダメだ、キレちゃダメだ、キレちゃダメだ…!!!!!!!!)

ミサト「でも、リツコ。ぶっちゃけ使徒ってあとどれぐらいいるの? あなたなら知ってるでしょ?」

リツコ「前に司令から聞いた覚えがあるけど、これをあなたに言っていいのかどうか私には判断つきかねるのよね……。だからーー」



ー第三新東京市ー

ピカッ!!



ヂュドォォォォーン!!!!!



ー ネルフ本部 ジオフロント内 ー

グラグラッ!!
ガラガラ、ドサァッ…!!


シンジ「危ない!!」ダダダッ!!

レイ「!!」

EVA初号機『』グバァッ!

シンジ「!?」 レイ「!?」

EVA初号機『……』

シンジ「エヴァが……守ってくれた……?」

リツコ「だから、一度碇司令に話していいかどうか許可をもらってから…あら?」

ミサト「どうしたの、リツコ?」

リツコ「EVAの手、少し動いてないかしら? 前、あんな位置にはなかったわよね」

ミサト「あー、さっき少し揺れたし、それで動いたんじゃない?」

リツコ「そうね。それ以外考えられないですものね」

ミサト「それよりもリツコ、さっきの件、碇司令に必ず聞いておいてよ。忘れないでね」

リツコ「私は忘れる事ないわよ、あなたと違ってね」

ミサト「ちょっとー、ひどいわねー、リツコ、その言い方」ムスー

リツコ「事実なのだからしょうがないわ。あなたもいい歳なんだし、そろそろ事実と向き合う努力をしたら?」

ミサト「もう! あんたは昔っから私の事バカにしてー」ベーッ

シンジ (何なんだ、この人たちは……!)

レイ「っ!!」ズキィッ!!

シンジ「」ハッ!

シンジ「だ、大丈夫!? 綾波! 綾波!!」

レイ「私は…大丈夫……! だから、も う…あなたは帰っーーぅ!!」ズキィッ!!

シンジ「綾波! 綾波!!」

レイ「」ハァ…ハァ…

シンジ「」ハッ!!

シンジ「血が……」ドロッ…

ミサト「そういえば、学生時代からずっとなのよね。リツコが私の事バカにしてくるのってー」ムスー

リツコ「別にバカにしてる訳ではなくてよ。ただミサトがバカにされるような事をよくやらかしていたからでしょ」

ミサト「そんな事ないわよー。確かにあの頃は色々とバカな事もしてたけど、でも、リツコに言われるような事なんて何一つしてないわよ」

リツコ「あら、加持君との同棲の事も? 一週間も大学に来なかったから何かあったのかと思ったらーー」

ミサト「ちょっとちょっとリツコ、ストップ。それ以上はダメよ!」アセアセ

シンジ「………」

シンジ (ダメだ、この人たちに任せてたら、この子が死んじゃうよ…!)

シンジ (僕が、僕が、何とかしなくちゃ!!)

シンジ「くっ!」キリッ

シンジ「ごめん、綾波! ちょっとだけここで待ってて!」

レイ「……碇…君…?」

シンジ「すぐに病院に戻らせてあげるから! だから少しだけ待って て!!」ダダダッ!!!

レイ「碇…君……」

シンジ「ミサトさん! リツコさ ん!」ダダダッ!!

ミサト「あら、何よ、シンジ君。 血相変えて走ってきて」

リツコ「それに、シンジ君。さっき、私が言わなかった? 人が話している時に会話に割り込むのはーー」

シンジ「すみません!! その事は反省してますし、よく頭に叩き込んであります!! でも、僕、どうしても今すぐエヴァに乗りたいんです!! だから失礼を承知でお願いします!! どうか僕をエヴァに乗せて下さ いっっ!!!」ペコリッ!!!!!!

ミサト「あらあら、急に素直になっちゃって」クスクス

リツコ「全く、シンジ君もまだまだ子供ね」クスッ

シンジ (我慢しろ、我慢しろ、我慢しろ、我慢しろ、我慢しろ、我慢しろ、我慢しなきゃダメだっ …!!!)ブルブル

ミサト「でもまあ、そこまで頭下げられちゃあ、大人の私たちとしては乗せてあげるしかないかー。ね、リツコ?」

リツコ「まあ、しょうがないわね。私たちもそこまで暇ではないのだけれども」

シンジ (殴りかかっちゃダメだ、殴りかかっちゃダメだ、殴りかかっちゃダメだ、殴りかかっちゃダメだ、殴りかかっちゃダメだ、ものすごくぶん殴りたいけど我慢しなくちゃダメだ…!!!)ブルブ ル、ブルブル!!

リツコ「それじゃあミサト、私はEVAの用意をしてくるから。ついでにレイも病院まで送るよう手配させておくわね」テクテク…

シンジ (走ってよ、インテリメガネ! もっと急いでよ!!)

ミサト「じゃあ、私はシンジ君をエントリープラグまで案内しとくわー。シンジ君、こっちよん♪」 テクテク…

シンジ (もう少し焦ってよ、エロ乳女! 慌ててよ!!)ギリギリ…

ミサト「あっ、そうそう。今更なんだけどさー、シンジ君」テクテク…

シンジ「あっ、はい!! なんでしょうか、ミサトさん!!」テクテク!!

ミサト「次からは、こんなわがまま言っちゃあダメだからね」クルッ

ミサト「今回だけのサービスよん♪ 次からはレイとちゃんと話し合って決めるのよー」チョン♪

シンジ「はい…!! わがまま言ってすみませんでした…!!!」 (ぐぅぅぅぁぅぅ…!!!!!)

ーネルフ本部ー

アナウンス「パイロット、エントリープラグ内、入りました」

リツコ「エントリープラグ、挿入」

アナウンス「エントリープラグ、挿入します」

EVA初号機『』ガチャ、シュルル…



ーエントリープラグ内ー


シンジ (やっと乗せてもらえたよ……)

シンジ (綾波もどうやら無事に病院に搬送されたみたいだし) ホッ…

シンジ (あとは、僕があの使徒とかいう化物を倒せば、それで全てが終わるんだ……) ハァー…

ゴボッ

シンジ「え?」

ゴボゴボ、ゴボッ

シンジ「な、何だコレ! 水が…!!」

シンジ「リツコさん! リツコさん!! 水が出てきてるんですけど!!!」

リツコ『ああ、シンジ君。それは LCLよ』

シンジ「LCL?」

リツコ『ええ、そうよ』

シンジ「……」

リツコ『……』

シンジ「他に説明はないんですか!!?」ダンッ!!

ミサト『ちょっと、シンジ君。エヴァを叩かないでよ。それは精密機械なんだから。それじゃパチンコ屋にいるオヤジと一緒じゃない』

シンジ「あ、あの、すみません! でも!!」

ゴボゴボ、ゴボゴボ

シンジ「えっ、あっ、こ、これ!! ミサトさん! リツコさん! 水が!! 水が!!」ダンダンッ!!

ーネルフ本部ー

リツコ「やれやれ……今度はあの子、ハッチを叩きだしたわよ。あれはLCLだときちんと説明したのに」フゥ

ミサト「ホントよねー。人の話を聞かない子だわ、あの子。親の顔が見てみたいわね」

リツコ「なに言ってるのよ、ミサト。毎日見てるじゃない。それともわざとかしら?」クスッ

ミサト「えっ? あっ! あちゃー// まずい事言っちゃったわね……」チラッ

リツコ「大丈夫よ、ミサト。司 令、今、副司令とどこかに行ってしまったから」クスクス

ミサト「あっ、そうなの? 良かったー」ホッ

シンジ『ミサトさん! リツコさん!! 助けて下さいっ!!』ドンドンドンッ!!

シンジ『水がっ!! 水がっ!! もう首まーー!!!』ガボッ!! ゴボゴボ……

ミサト「それにしても、副司令たち、一体どこに行っちゃったのかしら?」

日向「多分、司令室じゃないですかね。92年物のワインが手に入ったとかそんな話をしてましたから」

ミサト「ああ、それなら二人して祝杯ってところかしらね。まあ、三年ぶりの親子対面が無事に済んだ訳だし、しょうがないか」

日向「ですよね。僕らも今日仕事が終わったら、司令を誘って居酒屋で簡単な宴会でも開こうかなって、そんな話をしてたんですよ」

青葉「まあ、何だかんだで司令にはいつもお世話になってますからね。あっ、でもサプライズにする予定なんで司令にはまだ内緒ですよ」

ミサト「あら、楽しそうねー♪ 私も参加していい?」

日向「もちろんです。というより、はじめから誘うつもりでしたし」

青葉「ああ、そうだ。居酒屋の予約しとかないと……」ガチャ、トゥルルル、トゥルルル…

シンジ『…!!!!!』ダンダンッ!! ダ ンダンッ!!

マヤ「あれ…。おかしいなぁ……」

リツコ「どうしたの、マヤ?」

マヤ「神経接続がどうしてもうまくいかないんですよね。ハーモニクスもおかしいし、シンクログラフも異常ですし……」カチャカチャ… カチャカチャ…

リツコ「あら、ホントね…。何が原因かしら? マヤ、もう一度最初からチェックしてもらえる?」

マヤ「はい……」カチャカチャ、カチャカチャ

マヤ「あっ…」ピタッ

リツコ「どうしたの、マヤ? 原因がわかった?」

マヤ「すみません、先輩。LCLと間違えて食塩水入れてました」テヘッ

リツコ「もう。マヤったら…。おっちょこちょいね」コツン♪

マヤ「すみません、先輩///」テヘッ

シンジ『…!!!!』ガホッ!! ゴフッ!!!!

マヤ「あっ、そういえばおっちょこちょいで思い出したんですけど、諜報部に森川さんっているじゃないですか」

リツコ「ああ、あのバツイチで子持ちの子? 確か私の一個下だったかしら」

マヤ「はい。その人なんですけど、この前、尾行する時にターゲットと間違えて、別の人を一時間近くも間違えたまま尾行しちゃったらしくって」クスクス

リツコ「あの子のやりそうな事ね」クスッ

マヤ「でも、間違えたなんて上司に言ったら怒られそうだから、いい男がいたのでそっちを尾行する事にしたって言ったらしくって」クスクス

リツコ「あらあら、でも、それならしょうがないわね。上司も怒る訳にはいかないもの。子持ちの女性にとって婚活は切実な問題だし」

マヤ「ですよね。うまく考えたなって思って」クスクス


シンジ『…!!!』ゴフッ……!! ガハッ ……!!

ミサト「ああ、そうだ。リツコー。エバーの発進準備ってもう出来てるー?」

リツコ「いいんじゃない? 出来てると思うわよ」

ミサト「じゃあ、エヴァンゲリオン、発進!」

日向「あっ、すみません。間違えてもう発進させちゃってます」

ミサト「えー、ちょっとお、折角ポーズまでとって決めたのにー」ブーブー

日向「すみません、いつのまにかボタン押してたみたいで…ww」

ミサト「全くもう。おっちょこちょいなんだから♪」コツン♪

日向「まいったなー///」


シンジ『……』ピクッ…… ピクッ……

ーリフト、上昇中ー

EVA初号機『…』

シャーーッ!

ガチャッ!


ー地上ー

EVA初号機『…』フラッ…

EVA初号機『…』バタン…!!

EVA初号機『…』ピクッ…… ピクッ……

シンジ「……」プカー……

ミサト「あれー。エヴァって発進したはずじゃなかったっけ? なんか姿が見えないんだけどー」

青葉「ああ、EVAならそこに寝転がってますよ」

日向「あれ? 最終安全装置って外したっけ?」

青葉「ああ、あれなら、ぶっちゃけいらないかなって最初から外してある。何個も安全装置あってめんどくさいだろ」

日向「まあ、それもそうか。格納庫の拘束具だけで充分だしな」

ミサト「っていうかシンジ君はなんで寝転がってるのよ。いくらなんでもちょっとふざけすぎよね」イラッ

日向「まあまあ、ミサトさん。子供のやる事ですし」

青葉「とは言っても、あの子、自分からEVAに乗せて下さいって泣きついてきたんだろ? それでこの態度はやっぱりいただけないんじゃないかな」

ミサト「青葉君もそう思う? いくら子供だからって許していい事と許しちゃいけない事ってやっぱあると思うのよねー。人類の未来がかかってる訳だし」

日向「確かに遊び半分で乗られたら僕らもたまったものじゃないですからね。ミサトさん、ちょっと一言、言っておいた方がいいんじゃないですか?」

ミサト「そうねー。シンジ君、聞こえる? シンジ君」

シンジ『……』プカー……

ミサト「あいつ、シカトしやがったわ」ムカッ

ミサト「シンジ君! あなたねー、ふざけるのも大概にしなさいよ! もう使徒は目の前まで来てるんだから、しっかり戦いなさい!!」

EVA初号機『……』ピクッ…… ピクッ……

青葉「また無視ですよ。乗せて乗せて言った後に、ふざけて動かないとか、一体何なんですか、あの子」チッ

日向「ちょっと甘やかされて育ちすぎですよね。自分勝手で自己中心的。人の話もろくに聞かないとか、こちらも流石に腹が立って来ますよね」

ミサト「シンジ君! ふざけるのもいい加減にしなさいよ! 折角、乗せてあげてるんだから真面目にやりなさい!!」

シンジ『……』 ゴポッ…… プカー……

青葉「おいおい、また無視かよ。どうなってんだよ、この子」イライラ

日向「ミサトさん、最近の子供ってみんなあんな感じなんですかね? これじゃ人類の未来よりも先に日本の将来の方が、まず心配ですよ」

ミサト「あー、それ。さっきリツコともおんなじ事を話してたのよねー。ねぇ、リツコ?」

マヤ「それでその後の話がまた面白くって」クスクス
リツコ「あら、そうなの? それは楽しみね」クスクス

ミサト「リツコー?」

リツコ「ん? ああ、ゴメン、ミサ ト。今、マヤから面白い話を聞いてるところだから、後にしてくれない?」

ミサト「あら、じゃあしょうがないわね。ま、こっちは大した話じゃないし、また後でいいわー」

リツコ「それでマヤ、森川さんはその後どうなったの? 上手く隠れる事が出来たの?」
マヤ「それが隠れる場所が冷蔵庫の中しかなかったらしくって」クスクス

ミサト「あらあら、ホント仲いいわね、あの二人。うらやましいわー」フフッ

ー第三新東京市ー


第四使徒『』ノッシ、ノッシ…

EVA初号機『……』ピクッ……… ピクッ ………

第四使徒『』ガシッ

EVA初号機『……』プラーン……

青葉「あれっ。なんかあの子使徒に掴まれてません?」

ミサト「あら、ホントだわー。 まったく、遊んでるからよ。自業自得ね」

日向「それで僕らに世話やかせるってんだから、ろくでもないですね、ホント」

青葉「なんにしろ、ミサトさん。 指示出しとかないと。このままじゃ使徒にやられてしまいますし」

ミサト「ホント、世話のかかる子 ね」ブツブツ

ミサト「シンジ君、聞こえる? 今、あなた使徒に掴まれてるから、頑張って自分でどうにかしなさい!」

シンジ『……』プカー……

ミサト「あいつ、相変わらずシカトね。ホント、今までどういう教育を受けてきたのかしら」イライラ

日向「例え遊び気分で乗ったとしても、EVAに乗った以上は自分の責任ってものをもう少し考えてもらわないと困りますよね。例え子供とはいえ」

ミサト「全くよねー。ちょっと調子に乗りすぎよね、あいつ。ここらで再教育しないとろくな大人にならないわよ」

ー 第三新東京市 地上 ー


第四使徒『!!』ガシンッ! ガシンッ! ガ シンッ!

EVA初号機『……』ガンッ! ガンッ! ガンッ!

第四使徒『!!』ドカッッ!!

EVA初号機『……』ヒュー、ズガンッ!!!!

EVA初号機『』ブシュゥゥー!!!

ーネルフ本部ー


ビィィィー!! ビィィィー!! ビィィィー!!



マヤ「あれ…?」

リツコ「あら、警報。どうしたのかしら?」

マヤ「また、誰かが押し間違えたんじゃないですか? とりあえずうるさいんで切っときますね」カチャ カチャ…

ピタッ シーン………

マヤ「それでですね、先輩。この前買った空気清浄機がすごい使い勝手が良くって」

リツコ「あら、また買ったの、マヤ。ついこないだも買い替えたばかりじゃない? 一体何台買う気なの?」フフッ

マヤ「だって最新型が出る度につい気になっちゃって…//」

青葉「…警報止まったな。なんだったんだろ?」

日向「どうせ、また誰かが押し間違えたんだろ。よくある事だし」

ミサト「まあ、人間である以上、間違いは誰にでもあるものよね」

青葉「ミサトさん、それ、自分の為に言ってません?」

ミサト「なによー、失礼しちゃうわね。私はそんなに間違えないわよー」

青葉「そうですね。失礼しました」クスクス

ミサト「あー、もう、青葉君ってばー。年上をからかうもんじゃないわよー」コツン♪

青葉「申し訳ない」ハハッ

ミサト「ああ、そういえば、シンジ君ってどうなったのかしら? 主モニターからいつのまにかいなくなってるんだけど」

日向「ええっと、ちょっと待って下さいね…。画面切り替えますから」カチャカチャ


ー 主モニター ー

ブン…

EVA初号機『』ブシュゥゥー!!!


ーネルフ本部ー

日向「嘘だろ。まだ使徒倒してなかったのか、この子」ハァ…

青葉「おまけに初号機大破してるじゃないか。ふざけた挙げ句にこの結果ってどういう事だよ」チッ

日向「ミサトさん、さっきの再教育の件、本気で考えた方がいいんじゃないですか? 今のままじゃ本当に親の七光りだけのバカ息子ですよ、これ」

ミサト「仕事と遊びの区別がまったくついてないのよね、あいつ。こっちの指示も完全に無視してくれちゃってさ」

日向「帰ってきたら、とりあえず碇司令から説教してもらうって形でどうですかね」

ミサト「うーん、それはちょっちねー。ほら、今日は何だかんだで三年ぶりの親子対面の日じゃない? そんな日にさー、あなたのところのバカ息子をどうにかして下さいとか言えないじゃない」

日向「それは確かに…」

ミサト「大体、碇司令って上手く叱る事が出来ないタイプでしょ。ある程度大人なら自分のどこがどう悪かったかを考える事が出来るからそれでもいいんだけど、ああも子供子供されてたらねー。絶対、あの子理解出来ないわよ」

青葉「それは同感ですね。あと、親から叱られるのと他人から叱られるのとでは、また違いますからね。そうなるとやっぱりミサトさんから叱るのがベストなんじゃないかと」

ミサト「やっぱそうなるのよねー。めんどくさいわー」ハァ……

日向「まあ、そう落ち込まないで下さいよ、ミサトさん。幸い今日は飲み会の予定ですし、そこでパーッと気晴らしをして下さい」

青葉「碇司令も一緒なんで愚痴らないで下さいよ。あの人が今日の主役なんで」

ミサト「わかってる、わかってる。あんま飲まないように気をつけるわよ。で、店の予約ってとれたの? さっき電話してたみたいだけど」

青葉「ああ、はい。バッチリです。そういえば、場所をまだミサトさんに伝えてなかったですね。今、モニターに出しますね」カチャカチャ


ー 主モニター ー

ブン…

パッ


青葉「ここです。ちょっと雰囲気良さげでしょう? クーポン券があったので団体割引と合わせてかなり安くなりますし」

ミサト「へー、いいわね。見た目も綺麗だし。雑誌か何かで見つけたの?」

日向「いえ、MAGIです。予算と行く面子を入力したら、全会一致でここを勧められたので」

ミサト「ホント、MAGI様様よねー。この前はいい美容院を紹介してくれたしさー。いつも助かってるわー」

日向「マヤちゃんじゃないですけど、科学万能の時代ですね、ホント」

青葉「古くさい言葉w」

日向「実際、MAGIを利用してるお前が言うなよなーww」

ミサト「」クスクス

ー第三新東京市ー

EVA初号機『……!!』キュピーン!

EVA初号機『グオォォォォ!!!』ダダダッ!!

第四使徒『!?』

ーネルフ本部ー

マヤ「それでですね、先輩。その猫の写真がこれなんですけど…」

リツコ「あら、可愛らしいわね。野良猫にしてはちょっと太ってるところがまた」

マヤ「そうなんです♪ 多分、近所の人がエサとかあげてるんでしょうね。すっごい人懐っこくて」

リツコ「このご時世にそんな話を聞くと微笑ましいわね。一昔前では考えられなかった事ですもの」フフッ

マヤ「そういえば先輩、私たちってもともと何の話をしてたんでしたっけ? 何か忘れてるような気がするんですけど……」

リツコ「そうだったかしら? 私はもう覚えてないけれど」

マヤ「はい…。何かしなくちゃいけなかったような……」

リツコ「まあ、忘れるような事なら大した事ではないわ。それより、マヤ。その猫の写真はもっとないの?」

マヤ「先輩ってば、本当に猫好きですね」クスッ

ー第三新東京市ー

EVA初号機『!!』ダダダッーーガシィーン!!

ATフィールド『』

EVA初号機『…!!』ググッ、グググッ…!!

ATフィールド『』メリメリ…!

EVA初号機『!!!』バリッ!!

ATフィールド『』パリンッ!

ーネルフ本部ー

ミサト「で、青葉君。会費っていくらなの?」

青葉「男が3500円で女が2000円ですね。それで三時間飲み放題の、コース料理つきです」

ミサト「それは助かるわー。今月、知り合いの結婚式が多くってね。着ていく服も買わなきゃいけないしで正直ピンチだったのよねー」

日向「ミサトさんがピンチじゃなかった時って、僕、聞いた事ないですけどね」

青葉「お金の使い方に計画性がなさすぎじゃないですか?」

ミサト「そんな事ないわよー。たまたま今月はピンチだったってだけよ。先月とかはきっちり貯金してるんだからー」ムスー

青葉「そんな、むくれないで下さいよ、ミサトさんww」

日向「そうそう、ちゃんと信じてますからww」

ミサト「絶対信じてないでしょ、あんたたちー!」

ー 第三新東京市 地上 ー

EVA初号機『グオオオォォォォ!!!』ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!!

第四使徒『……』キュピーン!

第四使徒『!!』ガバッ、ダキッ!!




ズドォォォォォーン!!!!!!

ーネルフ本部ー

日向「ああ、そういえばすっかり忘れてたけど、使徒ってどうなったのかな?」

青葉「そうそう、使徒ってどうなったんだろ?」

ミサト「あんたたち、今、ムリヤリ話題そらそうとしてるでしょ?」

日向「いえいえ、そんな事は」キリッ

青葉「そうそう、これは人類を守る大事なお仕事ですし」キリッ

ミサト「二人とも、わざとらしいわね、全く…」ブツブツ

青葉「とにかくまあ、画面切り替えますね」カチャカチャ

ブン…

パッ

ー 主モニター ー

EVA初号機『』ノッシ… ノッシ…

ーネルフ本部ー

青葉「あれ…? 使徒、どこ行ったんだろ?」カチャカチャ… カチャカチャ…

日向「確認出来ないけど、倒したんじゃないかな? 解析にも引っ掛からないし…」カチャカチャ… カチャッ…

ミサト「ああ、ようやく倒したんだ、シンジ君」

ミサト「」チラッ

ミサト「倒すまでにかかった時間は、大体7~8分ぐらいってとこかしらね。使徒一体に5分以上かけるとか、あいつなにやってたのよ、一体」ムカッ

青葉「だから遊んでたんでしょ。そんなのこれまでを見てれば明白じゃないですか」

日向「内蔵電源はかなり多目にとって5分と設定してあるのになぁ…」ハァ…

青葉「おまけに、使徒を倒したっていうのにこちらへの報告もなしとか」

ミサト「その上チンタラ帰って来るしね。何様のつもりなのかしら、ホント」イラッ

日向「やっぱりどう考えても問題児ですよね、この子。説教だけで大丈夫なんでしょうかね」

ミサト「うーん……」

ー数時間後ー


ー ネルフ 医務室 ー

シンジ「」ハッ!

シンジ「……」

シンジ「……」

シンジ「……知らない天井だ」ボソッ

シンジ「……」

シンジ「……」

シンジ「……」

シンジ「……どうしたんだっけ…僕」

シンジ「確か…父さんと会って…」

シンジ「知らない女の子の代わりにエヴァに乗って…」

シンジ (そう、名前は……)

シンジ (綾波……レイ……)



レイ≪ええ、そう…。私がEVAに乗るから。あなたはもう帰っーーっ!!≫ズキッ!!

レイ≪…!! 平気…だから…っ!!≫ズキッ!!!!

レイ≪私は…大丈夫…! だから、もう…碇君は帰っーーぅ!!≫ズキィッ!!



シンジ (何だったんだろう……あの子……)

シンジ (何で、あんな大ケガを……)

シンジ (それに、あんな状態なのに何でそこまでエヴァに乗ろうと……)


シンジ「綾波、レイ……」


シンジ (よくわからない子だったな……)

シンジ (その後……)

シンジ (ミサトさんに連れられて、エントリープラグの中に入って……)

シンジ (その後は……)

シンジ「ぐっ!!!」ズキッ!!

シンジ「ダメだ…! 思い出せない…!!」ハァハァ…

シンジ「思い出そうとすると頭が痛む…。なにか、ろくでもない経験をしたような気がするけど……」ハァハァ… ハァハァ……

シンジ「汗が…。何で冷や汗がこんなに……」ハァハァ……

シンジ「寒気も……」ゾクッ、ブルブル




ドア『』 コンコン…

シンジ「」ビクッ!

ドア『』ガチャ

ミサト「ようやくお目覚め?」

シンジ「ミサト…さん」

ミサト「どうしたのよ、そんなに汗をかいて。ここ、そこまで暑くはないでしょ」

シンジ「あ…あの、何でもないです……。なんか疲れてたみたいで……」

ミサト「そうよね、あの後、遊び疲れて何時間も寝てたぐらいだものね。こっちはその間、あなたの後始末でずっと仕事してたっていうのに」

シンジ「…え?」

シンジ「あ、あの、どういう事ですか? 遊び疲れたって……」

ミサト「とぼける気? まさかそれでやり過ごせるとか本気で思ってるの?」

シンジ「え、あの、でもーー」

ミサト「シンジ君、ちょっちお話ししましょうか。大事な話だから、真面目に聞いてくれる?」

シンジ「あの、その前に僕の話をーー」

ミサト「後で聞いてあげるわよ。いいから私の話を聞きなさい」

シンジ「……あ、その……」

ミサト「返事は?」

シンジ「はい……」

ミサト「まず、シンジ君。今回の件について、あなた自身はどう思ってるの? 少しは反省の気持ちとかあるの?」

シンジ「反、省……?」

ミサト「」ハァ…

ミサト「反省の気持ちとか全くないのね…。ホント、根っからのクズだわ、コイツ」ボソッ

シンジ「」ビクッ

ミサト「じゃあ、シンジ君。あなたが今回反省すべき点を教えてあげる」

シンジ「あ、あの、でも僕ーー」

ミサト「いいから黙って聞きなさい。二度も同じような事を言わせないでよ、めんどくさい」ジロリ

シンジ「あ……」ビクッ!

シンジ「す、すみません……」

ミサト「」フンッ

ミサト「謝れば済むと思って何でもすぐに謝る。実際、悪いとかなんか全く思ってないでしょうに……」ボソッ

シンジ「」ビクッ!

ミサト「それじゃあ、シンジ君。今から言う事をよく聞きなさい。言い訳があるようなら後から聞いてあげるから」

シンジ「はい……」ビクビク

ミサト「まず一つ目。人類の未来がかかっているというのに、エバーに乗ってふざけた挙げ句、初号機を大破させた」

ミサト「二つ目。こちらからの指示をことごとく無視した上、返事や報告すら一切なかった。小学生でさえそれぐらいの事はするというのにね」

ミサト「三つ目。自分から乗せて下さいとお願いしてきたくせに、乗った途端に態度を豹変させて、おまけに帰って来た時には眠りこけていた。そんな事をされたら、こちらとしては責任感がない上、自分勝手としかとらえられないわよね」

ミサト「四つ目。自分に都合の悪い事を謝ろうともせず、とぼけて誤魔化す気だった。人として最低ね、子供だからって許される事じゃあないわよ」

ミサト「以上。なにか言いたい事はある? あれば一応聞いてあげるわ」

シンジ「あ、あのミサトさん……」ビクビク

ミサト「なに?」ジロッ

シンジ「あ、あの……僕、エヴァに乗った後の事、本当に覚えてなくて……だから……」

ミサト「呆れた。まだ言うんだ。恥ずかしくないの?」

シンジ「ああ、あの、でも本当に……」

ミサト「」ハァ…

ミサト「」ツカツカ

シンジ「え……?」

ミサト「」バシンッ!!!

シンジ「痛っ!!!」

ミサト「下らない言い訳するのもいい加減にしなさいよ! あんたー!!!」

ミサト「使徒を倒した後、あんなトロトロ帰ってきて覚えてない!? そんな事ある訳ないでしょうが!!」

ミサト「大体、覚えていようが覚えてなかろうが、自分がした事には責任ってもんがつくのよ。みんなにあれだけ迷惑かけて、今更覚えてないで済む訳ないでしょう!!」

ミサト「あなたがこのままじゃろくな大人にならないだろうからって、わざわざあなたの為にしたくもない説教をこちらがしてあげてるのに、なんなの、その言い草は! サルでも反省出来るっていうのに、あなたはサル以下ね、ホント!! 人として恥を知りなさい、恥をー!!」

シンジ「で、でも、僕は本当に……」ウッ… エグッ、エグッ、ヒック

ミサト「泣けば済むと思わないで、シンジ君。あなたは今回それだけの事をしたんだから。子供の言い訳が通用するような事ではないのよ」

シンジ「う……う……」エグッ、エグッ、ヒック、エグッ

ミサト「泣き止みなさい、シンジ君」

シンジ「あ……う……」グスッ、エグッ、ウッ、エグッ、エグッ

ミサト「……ホント、クズね。もういいわ」クルッ

ミサト「」スタスタ、バタン!!

シンジ「う……う…なんで……なんで……」エグッ、エグッ、ヒック

ー ネルフ本部 ロビー ー

ミサト「……」ピッ、トゥルルル、トゥルルル

ミサト「もしもし、リツコー?」

リツコ『あら、ミサト。どうしたの? 司令の為の宴会、もう始まってるわよ』

ミサト「んー、ちょっちね。そっちの様子はどう?」

リツコ『こちらはなかなか盛り上がってるわね。特に碇司令は感激してるみたいよ。滅多に素顔を見せない司令だけど、今日はお酒のせいもあってか、時々、涙ぐむ場面もあったりとかしてね。よく女の武器は涙だって言うけれど、男の人のああいう意外な一面を見ると、女でもちょっとキュンとくるわね』クスッ

ミサト「感激してるんだ……。やっぱり、そうなのね……」フゥ…

リツコ『どうしたの、ミサト? ため息なんかついて……』

ミサト「んー。実はシンジ君の事でね……」

リツコ『あの子がどうかしたの?』

ミサト「今日、あの子をエヴァに乗せたでしょ。それで、あまりにもふざけた態度をとるもんだからさ。さっき、ちょっと説教してやったのよ」

リツコ『ああ、そういう事ね……。私も後から日向君や青葉君に聞いたのだけれども、どうもかなり問題のある子みたいね』

ミサト「そうなのよね……。予想以上に酷かったわ。反省とか全くしてない上、責任転嫁した挙げ句、泣いて誤魔化そうとしてさ。呆れてものが言えなかったわよ、こっちも」

リツコ『それは流石に参るわね……。司令もあれだけ喜んでるだけに』チラッ

-居酒屋-

冬月「まあ、碇。もう一杯飲むといい。今日は本当に喜ばしい日だ。こういう時に浴びるほど酒を飲まねば、酒に対しても失礼というものだろう」

ゲンドウ「ありがとうございます、冬月先生。ずっとほったらかしにしていて心配だったのですが、どうやらシンジも立派に育ってくれたようで」ゴシッ

冬月「そうか……」

ゲンドウ「ええ。もしも天国というものがあるとしたなら、きっとユイもそこで喜んでくれていると思います」

冬月「酔っているのか、碇? お前らしくない言い方だな……」フッ

冬月「だが、それもよかろう。酔っている時でなければ言えない言葉というものもある。全てを思い出の中にしまうのも良いが、時には愚かな夢を語るのも悪くはあるまい……」

ゲンドウ「人は愚かな夢を語る事で、それを現実のものにしようと努力する、ですか。大学時代、そんな事を冬月先生は言われてましたね」

冬月「お前にではなく、ユイ君に言ったのだがな。懐かしい話を持ち出すものだ……」

ゲンドウ「良い言葉だと思いました。いつかシンジにも言おうと思っています」

冬月「……今、言えないところがなんともお前らしいな」フッ

- ネルフ本部 ロビー -

リツコ『』スイッ

リツコ『それでミサト、どうするつもりなの? 明日には報告書を提出しなくてはならないのでしょ』

ミサト「それでちょっち悩んでるのよねー。ありのままを報告したら、お宅の息子はどうしようもないバカ息子ですって言うようなものでしょ。流石にそれはしたくないのよ……」

リツコ『まあ、その気持ちはわかるわ。私もマヤたちも、今日のシンジ君の醜態、と言うよりは悪ふざけ、に関しては上手くお茶を濁してるところだし』

ミサト「そうでしょうね、ストレートに言える訳ないものね……」ハァ…

ミサト「それでさ、ちょっと考えたんだけど、あの子、私がしばらくの間預かろうと思うのよね。そこでみっちり再教育しようかと思って」

リツコ『あら、碇司令から息子との新生活を奪う気? 給料に響くわよ』クスクス

ミサト「もう。冗談キッツいわね、リツコは」

リツコ『結構、本気よ』

ミサト「マジで…?」

リツコ『まあ、でもあなたの言わんとしてるところはわかるわ。報告書は適当に書いいておけばまずバレはしないだろうけど……』

ミサト「実際に二人で住むとなると、たとえ碇司令がどれだけ鈍くても……」

リツコ『ダメ息子ぶりに気付いてしまうという事ね。だから、それを阻止したいと、そういう事でしょ?』

ミサト「ま、ありていに言ってしまえばそうなるわね。流石に真実を知ったらショックを受けると思ってさー……」

リツコ『そうね。その可能性は高いわね』

ミサト「私は別に碇司令の事がそれほど好きという訳ではないけど、あの人にはこれまで色々とお世話になってるからねー。仕事の面でももちろんそうだけど、引っ越しの手伝いに来てくれたりとか、時々差し入れを持ってきてくれたりだとか、細かい事を数え上げればきりがないほど……」

リツコ『そうね、無口なだけで根は優しい人だからね、あの人は』フフッ

ミサト「そういう訳で、恩返しってほど大したものでもないけど、少なくとも悲しませたくはないのよね。どちらかというと、仕方なくって感じかな…? 変な話だけどさ」

リツコ『そうでもないわよ、ミサト。素敵な事よ』ニコッ

ミサト「やめてよ、リツコ。そんな大したもんじゃないわよ。なりゆきよ」フフッ

リツコ『そういう事なら、ミサト。こちらの説得は任せておいて。幸い碇司令、かなり酔ってるし。あなたのところでしばらくホームステイするという事でまとめておくわ』

ミサト「悪いわね、リツコ。でも大丈夫なの?」

リツコ『問題ないわ。シンジ君もまだ母親に甘えたい年頃だから、あなたになついてしまったって事にしとけば碇司令も納得するでしょ。その間に碇司令は料理の練習が出来る訳だし』

ミサト「料理?」

リツコ『碇司令、あなたと同じでかなりの料理下手なのよ。ここだけの話だけど、シンジ君に呆れられたらどうしようかって心配してたぐらいなんだから』クスクス

ミサト「あらあら、立派にパパさんしてるわね」クスッ

リツコ『だから、こっちは心配しなくていいわよ。それよりも、ミサト。シンジ君の方はどうなの? あの子を説得する方がよほど難しいと思うけど』

ミサト「そっちの方は問題ないわー。ムリヤリにでも納得してもらうから」

リツコ『はじめに言っておくけど、ミサト。手荒な真似は駄目よ』

ミサト「そんな事しないわよ。ただ自分の立場ってものを知ってもらうだけ。強制なんかしないわ。本当は私もこんな事はしたくないんだけど、少し心を鬼にしていくつもり。気が重いわ……」

リツコ『あなたは優しすぎるのよ、ミサト。もう少し割り切らないと、生きていくのが辛いわよ…』

ミサト「うん…。ありがと、リツコ。少しだけ心が軽くなったわ」

リツコ『そう? それならいいけど…。じゃあね、ミサト。早いとここっちに合流しなさいよ』

ミサト「わかってる。二次会になってでも行くわよ。飲まなきゃやってられないもの。じゃあ、また後で」ピッ…ツー、ツー、ツー

ミサト「さてと……」


ー ネルフ 医務室 ー

ドア『』ガチャ

シンジ「」ビクッ

ミサト「」ツカツカ

ミサト「……」

シンジ「……」

ミサト「…流石にもう泣き止んだようね」

シンジ「……」

ミサト「今度はうつむいてだんまり? ……まあいいわ。行くわよ、シンジ君」

シンジ「……」

ミサト「シンジ君、行くわよ」

シンジ「……行くって、どこにですか…?」

ミサト「いいから来なさい。それともずっとここにいるつもり?」

シンジ「……わかりました」スクッ…

ミサト「荷物はそっちにあるから自分で持つのよ、いいわね」

シンジ「……はい」グスッ…ゴシゴシ

ー ミサトの車の中 運転中 ー

ミサト「そういえば……。シンジ君、あなた料理とかは出来るの?」

シンジ「少しなら……。親戚のおばさんの家でさせられてましたから……」

ミサト「掃除や洗濯は?」

シンジ「それも……させられてました」

ミサト「」イラッ

ミサト「シンジ君、一つ言っておくけど」

シンジ「……はい」

ミサト「あなたはおばさんの家で養ってもらってたんだから、それぐらい当然の事でしょ。そのさせられてましたって言い方は何? むしろ教えてもらったんだから感謝すべきなんじゃないの」

シンジ「……す、すみません」エグッ、エグッ

ミサト「ちょっと厳しい事言われたからって、すぐに泣くのやめてよね。うっとうしい」

シンジ「……すみません、すみません」エグッ、エグッ

ミサト「」チッ

ミサト「ホント、ガキ……」フン

シンジ「……すみません、すみません、ごめんなさい…ごめんなさい…」エグッ、エグッ

ー 第三新東京市 丘の上 ー

ミサト「さて、着いたわよ。シンジ君、車から降りてこっちに来て」カチャ、バタン

シンジ「」ゴシゴシ

シンジ「……はい」カチャ、バタン

ミサト「こっちよー、こっち」オイデオイデ

シンジ「はい…」テクテク

シンジ「あ、あの…ミサトさん、ここは…?」

ミサト「ほら、こっちに来なさい。第三新東京市が一望出来る場所よ。ま、私のお気に入りの場所ね」

シンジ「うわあ……」

ミサト「どう? 今の時刻だと夕焼けと重なって綺麗でしょ」

シンジ「はい…」コク

ミサト「ここはね、何か辛い事とかあった時に私が来る場所なの。ここに来て、こうしてこの綺麗な景色を眺めてると、なんだか自分の悩みとかがちっぽけなように思えてね……」

シンジ「すごい…綺麗です」

ミサト「そう? それなら良かったけど」ニコッ

ミサト「でね、シンジ君。あそこのビル、見える?」

シンジ「?」

シンジ「はい。見えますけど……」

ミサト「あれが、あなたが使徒と戦ってる時に壊したビルよ」

シンジ「え…………」

ミサト「あっちのビルは、あなたがモタモタしてたせいで使徒に壊されたビルで、その向こうはあなたがふざけてたせいで使徒に壊されたビル。奥っかわのあのビルの一群は、あなたが使徒の攻撃を食らったせいで壊れたビルね」

シンジ「あ…………」

ミサト「私もあんまりこんな事は言いたくないんだけど、被害総額は軽く2億円を越えてしまってるのよねー……」

シンジ「……ご、ごめんなさい」ウッ、エグッ

ミサト「泣いて謝れば2億円戻ってくるのかしら?」

シンジ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」グスッ、ヒック、エグッ、エグッ

ミサト「2億円あれば、世界中で飢え死にしてる人が何千人助かったかしらね……」

シンジ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」ボロボロ、ボタボタ

ミサト「医薬品を買ったり医師を雇ったりしたら、何万人の人が死なずに済んだかしらね……」

シンジ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」グシュグシュ、ボロボロ

ミサト「あなたが殺したのよ、シンジ君」

シンジ「……ごめ……ごめんなさ……ごめんなさい、ごめんなさ……ごめんなさい……ごめんなさ…い」ボロボロ、ボタボタ、エグッ、エグッ

ミサト「まあ、過ぎてしまった事だし、私はこれ以上は何も言う気はないけれど……。ねえ、シンジ君、あなたはそのままでいいの? 泣いたところで全てが元に戻る訳ではないし、謝ったところで被害を受けた人はあなたの事を決して許さないでしょうね。あなたはそれでもいいの?」

シンジ「僕は…僕は……」ボロボロ、ボタボタ

ミサト「一度、犯してしまった罪は決して消える事はないわ。でも、その罪を償う事は出来るのよ。相手がそれを許す許さないは別として、少なくとも自分の中では罪滅ぼしというものが出来るのよ。何もせず、ただ泣いているよりはそちらの方がよほどいいのではないかしら?」

シンジ「ミサトさん……」エグッ、エグッ

シンジ「僕は…僕は……どうしたらいいんですか……」グシュグシュ、ボタボタ

シンジ「どうしたら……罪を償う事が出来るんですか……」ボロボロ、エグッ、エグッ

ミサト「エバーに乗って、使徒を倒し続ければ……」

ミサト「あるいは、それが罪滅ぼしになるかもしれないわね……」

シンジ「エヴァに……」グシュグシュ、グスグス

ミサト「そう。エヴァに」

ミサト「シンジ君、前にも説明したと思うけど、エヴァというのは使徒を倒す為だけに造られた兵器なの」

ミサト「セカンドインパクトというのは、南極に巨大な隕石が落ちてきたから起こったものではなく、使徒によって起こされたものなのよ」

ミサト「幸いセカンドインパクトは、南極大陸の氷が蒸発するだけで済んだけれど、それでも世界中の人口が激減するだけの被害が起きたわ」

ミサト「私たちは、次に起こるであろうサードインパクトを防ぐ為に使徒と戦っているの。人類の滅亡を防ぐ為にね」

ミサト「だから、シンジ君。あなたがエバーに乗って、これからは真面目に使徒と戦うというのなら、それは十分罪滅ぼしになるのではないかしら」

ミサト「そうすれば、使徒を全て倒しきった後、あなたに後ろ指を指す人はほとんどいなくなるでしょうね」

ミサト「まあ、無理強いはしないわ。このまま罪を背負って生き続けるのも、見たくないものから目を背け続けるのも、あなたの決断次第なのだから」

ミサト「……ただ、あなたがこれからもどうしてもエバーに乗りたいというのなら、私はそれを許可してあげようとは思ってはいるけれど……」

ミサト「……どうする、シンジ君?」

シンジ「乗ります…」エグッ、エグッ

シンジ「僕…乗りますから……」エグッ、エグッ

シンジ「だから、だから……」ヒック、グスッ

シンジ「僕を……僕を……許して下さい……」ボロボロ、エグッ、エグッ

シンジ「お願いします……」エグッ、エグッ

ミサト「許すも許さないも私が決める事ではないけれど…」

ミサト「それに、乗りますから、じゃなくて、乗せて下さい、よね。この場合」

シンジ「すみません……」エグッ、エグッ

シンジ「どうか……どうか、僕をエヴァに乗せて下さい、お願いします……お願いします…」ボロボロ、ボタボタ

ミサト「まあいいわ。乗せてあげるわよ。言い方はともかく、反省はしてるみたいだしね」

シンジ「はい……」エグッ、エグッ

シンジ「ありがとうございます……」グスッ、ボタボタ

ミサト「いいのよ、気にしないで」ニコッ

ミサト「さ、それじゃ行きましょうか、シンジ君。ほら、男の子でしょ、いつまでも泣いてないで」ナデナデ

シンジ「はい……。はい……」グスッ、ゴシゴシ、グスッ

ー ミサトの車の中 運転中 ー

ミサト「ああ、そうそう、シンジ君」

シンジ「」ゴシゴシ

シンジ「…はい」

ミサト「エバーのパイロットをするっていうのなら、あなた、今のままじゃちょーっちダメだから、しばらく私の家に住んでもらって、そこで性根を叩き直す事になるけど構わないわよね?」

シンジ「あ、あの…それは大丈夫です……。父さんと同じ家に住むのも気まずかったですし……。ただ……」

ミサト「ただ?」

シンジ「えと…その……そこで一体どんな事をするんですか、僕…?」

ミサト「ああ、それが気になるんだ。教えて欲しい?」ニコッ

シンジ「はい!」

ミサト「……まずは、そうやって人の顔色ばかりうかがうのを止めさせる事からね」

シンジ「……あ…あの……すみません」

ミサト「そうやってすぐに謝る癖も直させるから。謝れば済むと思ってるのが腹立つのよね。何のためにあの壊れたビルを見せたと思ってるのかしら」

シンジ「……」ウッ、グスッ

ミサト「返事は?」

シンジ「はい……」エグッ、エグッ

ーミサト宅、ドア前ー

ミサト「着いたわー、ここよ」

シンジ「はい……」

ミサト「」ガチャ

ミサト「さ、上がって」

シンジ「はい、お邪魔します…」ソッ

ミサト「あ、ちょっと待って、シンジ君」

シンジ「あ、あの、何ですか?」ビクッ

ミサト「足の臭い、気になるからそこの消臭スプレー使ってから上がってよ。それと、明日から靴は全て磨く事。毎日よ。もちろん、私の分も。いいわね?」

シンジ「はい……すみませんでした」ウッ、グスッ

ミサト「それぐらいの事で泣くなって何回も言ってるでしょうが。次に私の前で泣いたら家から追い出すわよ」

シンジ「」ウッ、ゴシゴシ、ゴシゴシ

シンジ「ごめんなさい……」

ミサト「まったく物覚えの悪い…」ブツブツ

ーミサト宅ー

  ゴチャア   グチャア

シンジ「……」

ミサト「ちょっち散らかってるから、シンジ君、掃除頼んだわよ。私は仕事で忙しいから片付ける暇なんかないのよ。シンジ君、居候だからそれぐらいするのは、ま、当然よね」

シンジ「……」

ミサト「それと、ご飯の用意と洗濯もね。他にも風呂わかしやら買い出しやらの雑事は全部。……返事はどうしたの?」

シンジ「あ、あの、はい」ビクッ!

シンジ「い、一生懸命やらせてもらいます!」

ミサト「一生懸命やるのは当たり前でしょうが。それとも、何? 手を抜こうとしてたの、今まで?」

シンジ「ち、違います! 違います! そんなのじゃないです!!」

ミサト「どうだか……。今までが今までだけに」ボソッ

シンジ「違います! 違います! 本当に違うんです…!! 本当に……」ウッ、ゴシゴシ、ゴシゴシ

ミサト「あっそう。……まあいいわ。それじゃあ、私はこれから飲み会に行ってくるから、私が帰ってくるまでに、部屋の掃除と洗濯、食器洗い、自分の部屋の荷ほどきを全て終わらしとくのよ」

シンジ「はい……」ゴシゴシ

ミサト「あと、明日は早起きして、靴磨きに朝御飯と昼用のお弁当の用意をしておくのよ、いいわね」

シンジ「はい……」グスッ… ゴシゴシ

ミサト「それじゃあ、私はもう行くわ。あーあ、もうだいぶ遅くなっちゃった」

シンジ「ご、ごめんなさい……」

ミサト「まったくよ。ホント、いい迷惑だわ」ガチャ、バタン!!!

シンジ「……」

シンジ「……」エグッ、エグッ、エグッ

シンジ「……ご、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」グスッ、ヒック、ボタボタ

ー翌日ー

シンジ (……昨日、遅くまでかかったけど、掃除もゴミ捨ても洗濯も食器洗いも荷ほどきも全部終わったし……)

シンジ (ろくに寝てないから、すごく眠たいけど、朝御飯もお弁当も全部作り終えれた。良かった……)ホッ

シンジ「」チラッ

シンジ (それにしても、ミサトさん、まだ起きないのかな…? もう8時半過ぎてるけど……)

シンジ (やっぱり起こした方がいいのかな……? でも、起こすとまた怒られそうだし……)ビクビク

シンジ「」コンコン… コンコン…

シンジ「あ、あの……ミサトさん。もう8時半過ぎてますけど……起きなくても、だ、大丈夫ですか?」ビクビク

ミサト「はあ!? 8時半過ぎ!!」ガバッ、ドタドタ!

ミサト「ちょっとシンジ君! どうして起こさなかったのよ!!」ガチャッ、ドタドタ

シンジ「あ…あの……起こしてとか、その…言われなかったので……」オドオド

ミサト「そんなの常識で考えればわかるでしょう! わざわざ私が全部言わなきゃいけないの!? 非常識にも程があるわよ!! この役立たず!!」

シンジ「す、すみません……! これから気をつけますから……」ウルッ…

ミサト「あー、もう!! 居候のくせして、ホント、使えない!」ブツブツ

シンジ「ご、ごめんなさい……」ウッ…

ミサト「それじゃあ、私、行ってくるから」ドタドタ、バタバタ

シンジ「あ、あの、朝御飯は……」

ミサト「そんなの食べてる暇あるわけないでしょう! 誰のせいで遅刻しそうになってると思ってるのよ!」

シンジ「あ……、ご、ごめんなさい……」グスッ…

ミサト「まったく。こっちは昨日夜遅く帰ってきてるっていうのに、起こしもしないなんて…」ブツブツ

シンジ「ごめんなさい、ごめんなさい……」ウッ… ウッ…

ミサト「じゃあ、行ってくるから!」イライラ

シンジ「あ、ま、待って下さい、ミサトさん、言われた通りお弁当を作っておいたのでこれを……」スッ…

ミサト「はあ? あんた、まだ私のバッグの中に入れてなかったの? こういうのは気をきかせて予め入れておくものでしょうが!!」

シンジ「……すみません、すみません」グスッ、グスッ

シンジ「今度から…気をつけ……気をつけますから……」エグッ、エグッ

ミサト「」ハアーァ…

ミサト「もういいわよ、時間ないんだからとにかく渡して」

シンジ「はい……。どうぞ…」エグッ、エグッ

ミサト「」スッ

ミサト「ふーん…」パカッ

ミサト「……」イラッ

ミサト「彩りが悪い上、カロリー高すぎでしょ、このお弁当。こんなの食べられる訳ないじゃない」スタスタ、ザババッ…

シンジ「あっ……!」

ミサト「何? 食べられないものをゴミ箱に捨てて何ガ悪いの?」 ジロッ

シンジ「ぅー!!!!」ブワッ、エグッ、エグッ、ウゥー!!

ミサト「はー、もう! 余分な時間食ったわ。シンジ君は明日から学校なんだから、今日は買い出しと風呂場と台所のカビ取りをやっておくのよ。時間はたっぷりあるんだから、新品同様、ピカピカにしておきなさいよ!」ガチャッ、バタンッ!!!




シンジ「……」エグッ、エグッ、エグッ

シンジ「うぅ……! が、頑張って……早…は、早起きして……一生懸命作っ……作ったのに…!!」ウェ、ウゥゥ、ウゥゥゥゥ……!!

ー 夕方 ー

ー ミサト宅 リビング ー

シンジ「……」








シンジ「掃除、買出し、全部終わった……」ボソッ
























シンジ「何で僕、生きてるんだろう……?」ボソッ

シンジ「僕なんか、死んだほうがマシなのに……」ボソッ









シンジ「……そっか。罪滅ぼししなくちゃいけないんだ……」ボソッ


シンジ「死んだら、ダメなんだよね……。そっか……」ボソッ

シンジ「……」
















ペンペン「」トコトコ

ペンペン「クエー……」ツンツン

シンジ「」ビクッ!!

ペンペン「」ビクッ!





シンジ「ご、ごめん、驚かせちゃって……。ご、ご飯かな…?」

ペンペン「」コクコク

シンジ「え、えっと……何が食べたい…?」オドオド

ペンペン「」スイッ

シンジ「これ…? 合成魚……でいいのかな…?」ビクビク

ペンペン「」コクコク

シンジ「えと……これぐらい、で大丈夫…?」オドオド

ペンペン「クエー!!」

シンジ「ご、ごめんなさい! ごめんなさい! もっと多くですよね! すぐ買ってきますから!」ダダダダダッ!!





ペンペン「……」

ペンペン「クエ…?」

                        __
                        /:::::::::::: ̄`ヽ
                         /::___:::::::::::::::::::::\
           ,. ' ´  ̄ ̄ ̄ ` ` ヽ//   ``ヽ::::::::::::::::::\
       / / \  |         \     \::::::::::::::::゙、
         |  / ノ\.ヽ | /          \     ヽ::::::::::::::|
   ,. -―┴‐;;'´/. | ゙, l/          ヽ    `、:::::::/

  /;;;; ::;;;;;;;;;;;;;;;;;7 | .| |              ゙,      Y/
 l;;;;;;;: .:;;;;;;;;;;;;;;;;;/. .! ,' |         /     〉    .//
 !;.,,,,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;// l_ノ;:/| /  ̄ ``y'       ハ    //
 l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ ノ::::::::::ヽ     ハ___/::::ト、  .//
  ヽ、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l/-、,,,_::::|       |::::::::::::::::::::;' `'Y/
   |ハ/V\ト、l   _   `ヽ、___,イ::::::::::::::::::/   // >
      ヾ三___/:::::/``'ー- 、,___/:::::::::::_/   ,//「|
        \:::::::::::|:::::::::::::::::::::::::,:r‐ ''"´  ,.-'´ // .|.|
          `!:::::::ヽ:::::::::::::::::::::ヾヽ-‐ '"´ヽヽ,//  |.|
          「::::::::::::\:::::::::::::::::::ヽ.      //\ |.|
            /-ミ/‐ァ:::入::::::::::::::::::::ヽ.   // ヽ\!.!
         ∠_  | //  .\::::::::::::::::::ヽ.  //   `ー′
         〈.  ヽレ'ノ       \::::::::::::::::::゙,//
          `` '' ´      _):::::::::::::/〉
                 / ヽ ヽ;:::://
                  l  />.` /
                 ` 'ー‐ '' ´

ー夜ー

シンジ「……」

ペンペン「クエー……」ゲップ…





シンジ 「作ったご飯、とっくの昔に冷めちゃった……」ボソッ



ペンペン「」トコトコ、ガチャ、バタン







シンジ「ミサトさん、まだ帰ってこないや……」ボソッ



シンジ「仕事、忙しいって言ってたっけ……」ボソッ



ペンペン「」zzZ zzZ





シンジ「多分、僕がビル壊したせいで遅くなってるんだろうな……」ボソッ

シンジ「僕のせいでミサトさんに迷惑がかかっているんだ……」ボソッ







シンジ「僕が全部悪いんだ…………」ボソッ

シンジ「僕が悪いんだ……」ボソッ


シンジ「何を言われてもしょうがないんだ……」ボソッ



シンジ「何をされてもしょうがないんだ……」ボソッ





シンジ「だって……僕が全部悪いんだから…………」ボソッ

ドア『』ガチャッ!

シンジ「」ビクッ!!

ミサト「はー、疲れたー。ただいま、シンジ君」

シンジ「は、はい! お帰りなさい、ミサトさん」ビクビク……

ミサト「朝に言っておいた事、きちんと済ませておいた?」

シンジ「は、はい! 全部終わってます。特にお風呂場はがんばったから前よりかなり綺麗になっーー」

ミサト「あー、いいわー。そういう余分な報告はいらないから。大事なのは結果な訳だしさー。それに、どうせ後で私自身が確認するし。シンジ君の言葉なんて信用出来ないもの」

シンジ「あ…………」

ミサト「ああ、それと。わかってるとは思うけど、汚かったらやり直しよん」チョン♪

シンジ「……は……い」ウッ、グスッ

ミサト「」ハァ…

ミサト「あのさあ、シンジ君、泣くのうっとうしいからやめなさいって、前に私、言わなかったっけ。それに、今のどこに泣くところがあるっていうのよ? 当たり前の事でしょ?」

シンジ「す…すみません、すみません…」ゴシゴシ

ミサト「質問の答えにはなってない訳だし。意味わかんないわね、ホント」

シンジ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」ゴシゴシ、ゴシゴシ

ミサト「あーあ、それにしても今日は疲れたわー。さっきまでカラオケで大盛り上がりしちゃってさー。珍しくリツコが酔い潰れちゃったから、家まで送ってきてもうクタクタなのよねー」

シンジ「あ、あの……カラオケ、ですか」ゴシゴシ

ミサト「そ。でも、楽しかったから、まあ、いいんだけどね。こんなお仕事してるんですもの。たまには息抜きしないとやってられないわよ。特に今日は誰かさんがビルを壊したせいで、私、関係各省に謝りまくってたんだからさー」

シンジ「」ビクッ!

ミサト「ホント、あなたはいいわよねー、シンジ君。私一人に謝ればそれでおしまいなんだから。直接、関係ない私が、あなたのせいで何十倍もの人に謝ってるのに。お気楽でうらやましいわー」

シンジ「」ウッ…

シンジ「すみません、すみません、すみません…」エグッ、エグッ

ミサト「謝るぐらいだったら、私と立場代わってほしいわよね。自分のした事なんだから、自分で責任とってほしいもんよ。まあ、シンジ君には無理な話なんだけどさ」

シンジ「す、すみません…。すみません、すみません、本当にすみませんでした…。許して下さい。お願いします。お願いします。お願いします…お願いします……」ヒック、ゴシゴシ、グスッ、ゴシゴシ、ゴシゴシ

ミサト「とにかく、そういう訳だから、私、もうお風呂入ってすぐ寝るわー。シンジ君、お風呂の用意早くして」

シンジ「あ……は、はい! ……すぐに!」ダダダッ!!

ミサト「ちょっと、シンジ君、走らないでよね。下の部屋の人に迷惑でしょうが。もうちょっと気遣いってものを持ちなさいよ、あんたはー。人の迷惑ってものを考えられないの? それに、文句を言われるのは私なのよ」

シンジ「す、すみません……!」ビクッ!

シンジ「」ゴシゴシ…

シンジ「あ、あの、ミサトさん…。お風呂の用意、今、してきたんで、その間、ご飯食べてて下さい。今度はカロリーとかも気を付けてあるんで…。今、温めますね…」

ミサト「あー、今日はもう食べてきたからいらない。それに古いご飯とか食べる気しないから、捨てといて」

シンジ「え…………」

シンジ「」ウッ…… エグッ、エグッ

ミサト「あっ、それともう眠くなってきちゃったから寝るわー。シンジ君と違って、私、忙しいから疲れてるのよ。特に今日は気疲れしちゃってるからさあ」

シンジ「あ、あの、お風呂は……」ゴシゴシ、エグッ、ゴシゴシ、ゴシゴシ

ミサト「シンジ君が入ればー。じゃ、お休みー」テクテク、ガチャ、バタン…

シンジ「」ウッ、エグッ、エグッ、エグッ

シンジ「泣いちゃダメだ、泣いちゃダメだ、泣いちゃダメだ、泣いちゃダメだ、泣いちゃダメだ、泣いちゃダメだ、泣いちゃダメだ、ミサトさんに迷惑がかかるから泣いちゃダメだ……。泣いちゃダメだ…」エグッ、エグッ、ゴシゴシ、エグッエグッ、ウゥ、ウゥゥゥゥ……!!!




ドア『』ガチャッ!!!

ミサト「シンジ君、うるさい! うっとうしい! 泣き止みなさい!! 寝られないでしょうが!! あなたはこれまで人に迷惑しかかけてないのよ!! いい加減やめてよね、ホント!!!」

シンジ「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、これから一生懸命償っていきますから、だから…だから…僕を許して下さい。お願いします、お願いします、お願いします、お願いします、お願いします…! お願いします…!!」エグッ、エグッ、エグッ、エグッ

ミサト「だったらまずは泣きやんで! どうしても泣くんだったら口に手でも当てときなさいよ! そんなの聞かされたらこっちだって寝られないでしょうが!!」クルッ

ドア『』ガチャッ、バタンッ!!!!

シンジ「はい…。ごめんなさい………!」ガバッ……

シンジ「」ングッ、ングッ、ングッ…… ンー!!!






シンジ「」ングッ…… ングッ…… ングッ…… ングッ………………

シンジ「誰か……僕を殺してよ……。誰か……」

ー 翌日 学校 ー

バキッ!!!!!!

シンジ「うわぁっ!!」ドサッ!!

トウジ「すまんなあ、転校生。ワシはお前を殴らなアカン。殴っとかな、気がすまへんのや!」

ケンスケ「悪いねー、こいつの妹さん、この前の騒ぎでケガしちゃってね」

シンジ「」ハッ!!

ケンスケ「ま、そういーーえ?」

シンジ「」ズサッ…! ドゲザ

シンジ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、僕を許して下さい。許して下さい、許して下さい、お願いします…」ボロボロ、ボタボタ

ケンスケ「お、おい。転校生?」

シンジ「僕が悪いんです、全部僕が悪いんです、僕のせいなんです、でも、でも、せめて僕に償いをさせて下さい、エヴァに乗る事を許して下さい、お願いします、お願いします…! お願いしますから……」エグッ、エグッ、エグッ、エグッ




トウジ「な、なあ…………転校生…? どないしたんや?」

ケンスケ「…………トウジ、お前、ひどいよ、これは……。どれだけ強く殴ったんだよ……」

トウジ「ワ、ワシはそんな、そこまで強くは殴っとらへんで! そら、恨みはあるけども、ここまでなるほどにはやっとらへんて! ホンマやで!!」

ケンスケ「とは言ってもさあ……。土下座して涙ぼろぼろ流してるんだぜ…。いくらなんでもやり過ぎだよ、トウジ……」

トウジ「ワ、ワシが悪いんか? 妹はケガしとるんやで!! しかも、使徒とかいう化物のせいじゃなくて、こいつのヘッタクソな操縦のせいやで!!」

シンジ「」ブワッ!

シンジ「」ウァ、ウゥ、エグッ、エグッ

シンジ「ごめんなさい、ごめんなさい、ご…ごめんなさ…ごめんなさい……」グスッ、グスッ、エグッ、エグッ

シンジ「どうか……どうか……僕を……僕を…好きなだけ殴って下さい…。だから許して下さい。エヴァに……乗らせて下さい。罪滅ぼし…させて下さい。お願いします、お願いします、お願いします……」ボタボタ、エグッ、ボタボタ、グシュグシュ



トウジ「おい……ケンスケぇ……」チラッ

ケンスケ「…………」

ケンスケ「なあ…トウジ。お前、これ見ても自分が悪くないって言えるのか? どう考えても僕らが悪いよ、これ……」

トウジ「せ、せやかて……」

ケンスケ「よく考えてみなよ、トウジ。この転校生ーー碇がいなかったら、あの使徒とかいう怪物に街ごと壊されてたかもしれないんだぜ。そうなったら僕らも間違いなく死んでたよ。妹さんの事は不幸だったけどさ、だからって碇を責めるのは筋違いだろ……」

トウジ「……せやな。……せやな。ワシ……頭に血ぃ上っとったんや。すまんかったな、転校生……」

シンジ「違います、違います! 僕が全部悪いんです! 僕が悪いんです! 許して下さい、許して下さい、お願いします…! お願いします……」エグッ、ボタボタ、ボタボタ、ボタボタ…


トウジ「転校生、お前……」

ケンスケ「……行こう、トウジ。俺らがいるとさ、多分、ずっと謝ってるよ。僕らのせいだってのはわかってるけど、でも、一旦僕らは消えた方がいいと思う……。もう少し落ち着いてから、今度は殴りにじゃなく謝りに行こうぜ」

トウジ「そ、そうか……? うん、まあ、せやな……。今、転校生も、とてもじゃあらへんが話を出来る状態ちゃうでな……」

ケンスケ「そういう事で、ごめんな、碇。悪い事して……。お前は何にも悪くないから気にするなよ。本当にごめんな!」タタタッ

トウジ「ホンマ、すまんかった、碇! 今度会うた時はワシを思いっきり殴ってええから、今日のところは許してくれ! 堪忍な!!」タタタッ












シンジ「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、だからエヴァに乗らせて下さい、乗るのを許して下さい、お願いします、お願いします…お願いします……」エグッ、エグッ、エグッ、ボタボタ、エグッ

ー ネルフ本部 実験施設 ー

リツコ「それではシンジ君、これからあなたにはエヴァの訓練を受けてもらうわ。普通はこんな訓練なんか必要ないのだけど、あなたのその腐った性根を叩き直す為にわざわざ作りました。簡易的なエヴァの疑似モデルだけど、これだって造るのに何千万円もの費用がかかってる事を忘れないように」

シンジ「はい…………。ありがとうございます…………。こんな何の役にも立たない僕の為にそこまでして頂いて下さって…………」

リツコ「全くね。今度こそ絶対にふざけないように。また同じ事をしたら、エヴァにはもう乗せてあげるつもりはありませんから、よく覚えておいて」

シンジ「はい…………。もう二度とふざけません…………。すみませんでした…………。許して下さってありがとうございます…………」

リツコ「それではシンジ君、エントリープラグの中に入って」

シンジ「はい…………」トコトコ…

リツコ「シンジ君、こちらは貴重な時間を無理にさいてまで、あなたの訓練に付き合ってるのよ。走るのが当然ではなくて?」

シンジ「す、すみません!! すみません!!」ダダダダダッ!!

マヤ「」ハァ…

マヤ「あの様子だと先が思いやられますね、先輩」

リツコ「碇司令の為よ、マヤ。根気強くいきましょう。あなたも司令から色々とお世話になってるでしょう?」

マヤ「ええ、かなり……。今、私があのマンションに住めれてるのも、碇司令のおかげですから」

ミサト「ん? なに、その面白そうな話?」

マヤ「そんなに面白い話でもないです。隣の住人が深夜問わず音楽を大音量でかけててかなりうるさかったので、もう引っ越すしかないかなって、そんな愚痴を碇司令にふっとこぼしたら…」

リツコ「その翌日、隣の住人の家に碇司令が行ったらしくって、直談判したみたいね。この子は有能で、それに大切な私の部下だから、どうか大音量での音楽は自重して欲しいって」

マヤ「私、それ、ずいぶん後から知ったんです。碇司令、一言もそんな事言わないから。聞いても、そんな事はしていないって、否定されちゃいましたけどね」

ミサト「司令らしいわねー。言うの照れくさかったんでしょ。いちいち自慢する人でも恩を売る人でもないしね」

リツコ「それどころか、ろくにしゃべりもしない人だけどね」クスッ

ミサト「なのにバレンタインデーでは、ネルフのほぼ全女性職員からチョコが贈られてくると。モッテモテよねー」

マヤ「まあ、私みたいにきっとお礼のチョコがほとんどだと思いますが、でも、本命も結構混じってるでしょうね。子持ちですけど、なんと言っても玉の輿でもありますから」

リツコ「……」

ミサト「ん? どうしたの、リツコ? 急に真面目な顔して?」

リツコ「何でもないわ。さ、訓練を始めましょ」

ミサト「?」

リツコ「それではシンジ君、まずーー」

リツコ「?」

リツコ「シンジ君は?」

マヤ「えっと…………エントリープラグの中にまだ入ってないみたいです」

リツコ「呆れた。貴重な時間をさいて訓練に付き合ってあげているのだとさっき言ったばかりなのに……」フゥ…

ミサト「ゴメンねー、リツコ。やっぱ一日二日ぐらいじゃ流石に変わってくれないからさー。今、私も家で再教育してるところだし。だから、ちょっとだけ多目に見てあげて。ね?」

リツコ「別にミサトが悪い訳じゃないからいいわよ。悪いのは全部シンジ君なのだから。あなたも保護者としてこれから大変だろうけど、めげずに頑張ってね。何か困った事があったらいつでも言ってきていいから」

ミサト「そう言ってもらえると嬉しいわー。……ありがとう、リツコ。正直、ちょっと参ってただけにその言葉は助かるのよね、ホント」フゥ…

リツコ「あら、もう弱音? あなたらしくないわよ、ミサト。何かあったの?」

ミサト「うーん、実はねー……」

ーーーーーーーーーーーーーーー


リツコ「そう……。そんな事があったの……」

ミサト「ええ。甘やかしちゃいけないって思うあまり、ついね。反省してるわー。あれは良くない叱り方だったと思う。叱るというより、怒ってた訳だからさー……」

マヤ「でもそれ、ミサトさんは少しも悪くないですよ。シンジ君が注意を受けた事って、結局、少し考えれば誰でもわかる事ーー言ってみれば常識じゃないですか」

リツコ「確かにね…。謝ればそれで何でも済む訳ではないし、物事に対して一生懸命取り組むのは当たり前ですもの。それに、一円も払わずに養ってもらっているのだから、その分働くのは当然の事よね。家主に気を遣うのも同じ事。……残念だけど、シンジ君の弁護は私でも不可能だわ」

マヤ「それに、働き先がわかってる訳ですから、調べればおおよそ何時ぐらいに起こせばいいのかわかる訳ですし、まして昨日の帰りが遅いとなれば寝過ごしている可能性を考えるのはごく普通の事ですよね。それが出来ないというのはちょっと……」

リツコ「流石に、非常識、としか言いようがないわね。お弁当の一件もそう。女性が体重、体型について気を遣うというのは誰でも知っている一般常識なのだから」

マヤ「それを嫌がらせのごとく、カロリーの高いお弁当を渡されたら、私だって怒りますよ。しかも、見た目が悪い、バッグに予め入れてない、となれば尚更の事です。ちょっと気がきかな過ぎます」

リツコ「その上、睡眠妨害までされたら、これはもう完全に嫌がらせとしか思えないわね。ミサトが怒るのも仕方がないわよ」

ミサト「まあねえ……。だから、私もつい怒っちゃったんだけど……。でも、それでもやっぱり怒るのは良くなかったと思うのよ。きちんと叱ってあげるべきだったかなってね……」

マヤ「でも、シンジ君の昨日、一昨日の様子を聞く限りでは、ただ叱るだけではあの子、ダメだと思うんですよ。何が悪かったかもミサトさんはきちんと説明してる訳ですし、むしろもう少し厳しくした方がいいと思うのですが……」

リツコ「確かにそうね。今日もこうして反省の色なく遊んでるのだから、もう少し厳しく接した方が本人の為にも良いのではないかしら」

ミサト「とはいえあれだけ泣かれると流石に私もねー……。どうしても悪かったなーって気持ちの方が強くなっちゃうし……」

リツコ「相変わらずね、ミサトは。昔っからそう。どうしても自分の境遇と重ね合わせてしまうから、人に対してなかなか厳しく言う事が出来ないのよね。例えそれが本人の為であっても。甘いと言えば甘いけど、私はミサトのそういうところが好きよ」クスッ

ミサト「よしてよ、リツコ。私をおだてたって何にも出ないわよ」

マヤ「そう言いながらも、満更でもない顔してますよね」クスクス

ミサト「マヤまで私をからかってー。もう//」

マヤ「すみません」テヘッ

ミサト「ホントよー//」

マヤ「でも、顔、赤いですよ、ミサトさん」クスッ

リツコ「そういえば、おだてに弱いのも昔からだったわね」クスッ

ミサト「知らないわよー。そんなのー! もう知らない!」クルッ

リツコ「あらあら、ちょっとからかい過ぎたかしら」クスクス


マヤ「でも、ミサトさんって本当に可愛いらしいですね♪」ヒソヒソ
リツコ「昔っから、成長してないだけよ♪」ヒソヒソ

リツコ「まあ、それはともかくとして、ミサト。シンジ君のあの腐った性根はやはりもう少しきつくしないと治らないのではないかしら」

ミサト「うーん……」

マヤ「特に悩む必要はないと思うのですが……」

ミサト「そうかもしれないんだけどさあ……。でも、今あいつがふざけて遊んでるのだって、ひょっとしたら自分に構ってほしいっていうサインかもしれないとか、ついつい考えちゃうのよねー……。あいつ、あんな性格だから、どうせ友達なんていないし、これからもきっと出来ないでしょ? さみしいからわざどあんな事してるんじゃないかなー、って思ってさ…」

リツコ「それはないわね、ミサト。あの子、学校ではどうも人気者らしいから」

ミサト「人気者? シンジ君が? 嘘でしょ?」

リツコ「嘘じゃないわよ。諜報部からの報告を見てないの? あなたのところにも来てるはずだけど」

ミサト「あー、今日は寝不足だったんで、仕事サボって昼まで副司令室のソファで寝てたのよねー。丁度留守だったからさー。実は今も眠たいのよねー」フワァァ

マヤ「シンジ君の泣き声のせいでろくに眠れなかったんですよね。ミサトさん、可哀想……。それなのにあの子ときたら……」ムッ…

ミサト「まあまあ、マヤ、それはいいのよ。私が自分から再教育するって決めて、引き取る事になった訳だからさあ。あんまりシンジ君を責めないであげて」

マヤ「そうですか? まあ、ミサトさんがそう言うのなら、私は今回の件に関してはこれ以上は何も言いませんが……」ムー…

ミサト「で、リツコ。諜報部からの報告書類ってどんなのだったの? 人気者ってどういう事?」

リツコ「私も興味なかったからそこまで詳しくは読んでないけど、ただ転校初日だというのに、もう既に友達が十人以上は出来たらしいわよ。今日の昼休みは早速みんなでサッカーをしたとか。ずいぶんと楽しそうだったみたいね」

ミサト「へー……。それは意外ね。あいつにそんな社交性があるとは思わなかったけど……」

リツコ「おおかた、エヴァのパイロットだという事を自慢して回ったんじゃないのかしら。それ以外は少し考えにくいですもの」

ミサト「まあ、エヴァは機密事項でもなんでもないからそれはいいんだけどさ」

リツコ「一応、機密事項よ」

ミサト「えっ、そうなの? それ、私、今初めて聞いたんだけど?」

マヤ「私もです。そうだったんですか……?」

リツコ「まあ、誰も守ってないからいいのではないのかしら。規則なんて、元々あってないようなものだし」

マヤ「それもそうですね。暗黙の了解みたいなものだけで十分ですし」

ミサト「まあ、今までそれでずっとやってきたから問題ないわよねー」

ー ネルフ 諜報部 休憩室 ー

森川「」フゥ…

小林「あれー、森川さん、どうしたんです? ため息なんかついちゃってー。さては、恋のお悩み事ですかー?」

森川「そんなのではないし、そんな歳でもないわよ。仕事のことでちょっとね……」フゥ…

小林「仕事? なんかポカしたんですか?」

森川「実は、今日ね。新しいエヴァのパイロットの子を監視する予定だったんだけど、肝心のその子の写真をどっかになくしちゃったみたいでね。前の一件もあったから流石に同じ言い訳は使えなかったんで、適当に書いて報告書を出しちゃったのよね。あれがバレたらって思うと憂鬱でね……」

小林「あー、なーんだ。そんな事ですかー。それなら全然大丈夫ですよー。私、今までかなり適当に報告書出してますけど、バレた事とか一回もないですから。上の人間なんてろくに報告書見てないんで、平気ですって」

森川「そう? だといいけど……」

小林「大体、森川さん、真面目過ぎなんですって。頑張ったからって、私たちの給料が大して上がる訳じゃないんですから。それよりもさっさといい男見つけて永久就職を目指すべきですよ」

森川「それに一度、失敗してるんだけどね、私……」

小林「だからこそですって。とりあえず、今度の合コン、頑張りましょう! 相手は内務省のエリートなんで、上手くいけば玉の輿ですから!」メラメラッ

森川「あなたはいつも元気ねえ、うらやましいわあ」フゥ…

ミサト「それにしてもさあー、学校でそれだけ元気だっていうのに、こっちだとまるで元気ないわよねー、シンジ君。悪ふざけは相変わらずのままだけど」

リツコ「それに、家ではよく泣いてるのよね? だとしたら、あまりに裏表があるのではなくて、あの子」

ミサト「それって、つまり……」

マヤ「嘘泣き、って事ですよね。それ以外考えられないです。今更ながらですけど、本当に最低ですよね、シンジ君」

ミサト「まあまあ、マヤ、待ってよ。あれはどう見ても嘘泣きには見えなかったわよ。実際、涙を流してた訳だし」

マヤ「いえ、嘘泣きでも涙は流せるそうです。泣きたい場面にでくわした時に、悲しい事とか辛い事とかを思い出すんだそうです。訓練と慣れ次第では誰でも出来るとか……。諜報部の小林さんの得意技らしいですよ。この前、森川さんからそんな話を聞きました。この手で何人もの男の人を落としてきたって」

リツコ「それにしては、あの子。今、彼氏がいなかったのではなかったかしら? まあ、付き合ってもろくに長続きしないってもっぱらの噂だけど」

ミサト「ま、涙だけで男を繋ぎ止めておく事は出来ない訳だしね。どこか性格上の欠点があるんじゃないのー?」ニヤニヤ

リツコ「……そういえば、あなたも加持君以外の男はろくに長続きしなかったのではなくって?」

ミサト「」ギクッ

マヤ「見事にブーメランでしたね、ミサトさん」クスクス

ミサト「ち、違うわよー。私の方から全部フッてやっただけの話よ。だって、今までろくな男がいなかったんだからー!」

リツコ「そうね、男を見る目がなかっただけの事よね」クスクス

マヤ「ミサトさんに釣り合うだけの男が見つからなかっただけですよね」クスクス

ミサト「ああ、もう、悪夢だわ。これ……。喋れば喋るほど、どんどん泥沼にはまってくじゃない……」

リツコ「まあ、ミサトの話はさておくにしても、例えそれが嘘泣きであろうと本泣きであろうと、泣くだけでは何の解決にもならないというのをいい加減理解してもらう必要があるわね。あの子には」

ミサト「そうなのよねー。大事なのは、失敗した反省を生かして次にどう繋げるか、あるいは、もう二度と失敗しないようにどう対処していくかなんだけど……。それがなかなかわかってくれなくてねー、あの子は」フゥ…

マヤ「とはいっても、今はそれ以前の問題なんですけどね……。相変わらず、ふざけたままですし……。先に反省をしてもらわない事にはどうにも……」

リツコ「まずはそこから、という事ね。少なくとも、自分が人類の未来を守っているという自覚ぐらいは持ってもらわないと困るわ」

ミサト「ホントは、ここに来た記念に、一回ぐらいエバーに乗せてあげようかなっていうだけの話だったのにねー……。ホントめんどくさい事になったわー」ハァ…

リツコ「仕方ないわよ、ミサト。私たちは神ではないのだから。まさか碇司令の息子があんなクズだとは誰も思わなかったのですもの。完全に想定外の事だったわ」

マヤ「それに関しては、EVAの強さが逆に災いしちゃいましたね……。使徒なんて楽勝で倒せるぐらいの強さを持っちゃってますから……。実際、ふざけながら倒しちゃったぐらいですし……。もう少しEVAが弱かったら、もしくは、もう少し使徒が強かったら、流石にあのシンジ君でもふざけたりとかはしなかったんでしょうけど……」ハァ…

リツコ「」フゥ…

リツコ「……さてと。過ぎてしまった話はもうここぐらいまでにして、私はシンジ君の様子を見てくるわ。あの子、いまだにエントリープラグの中に入ってないみたいだから。まったく、これだけ私たちを待たせるなんて万死に値するわね」

ミサト「リツコー、また甘いと言われるかもしれないけど、出来るだけ根気強くお願いね。何だかんだで、あの子、まだ思春期の少年なんだからさー。遊びたい盛りなんだし、多少の事は大目に見てあげてよ」

リツコ「完全な保証はできかねるけど、可能な限りはそうするわ。まあ、あの子の態度次第ね」

ミサト「……なんか心配ねー。やっぱり私もついて行くわ。リツコ、時々短気になる事あるから」

リツコ「それはあなたの方でしょ、ミサト。私の方がよっぽど根気強いわよ。その点だけは保証してあげるわ」

ミサト「嫌な言い方するわねー。でも、まあ、そういう事ならいいわ。リツコにお願いするわよ。私、今日、女の子の日だからさー。あんまり動きたくないのよねー」

リツコ「その歳でその言い方は引かれるわよ、ミサト。ね、マヤ?」

マヤ「えっ……あ……いえ……。その…………。ええと………………」

ミサト「もういいわよー。どうせ、私はいきおくれですよーだ」プンッ

ーエントリープラグ前ー

リツコ「」ツカツカ、ツカツカ

シンジ「」ビクッ!


リツコ「……」ジーッ

シンジ「」ガクガク、ブルブル、ガクガク、ブルブル


リツコ「」ハァ……

リツコ「シンジ君、一体そこで何をやっているの? 言っておくけど、三人ともそこまで暇ではなくてよ。それなのにあなたの為だけに集まってくれてるのよ」

シンジ「ああああああの、でも」ブルブル、ブルブル

リツコ「言い訳は不要よ。すぐにエントリープラグの中に入って。この無駄にした時間のせいで、使徒への対策が遅れて人類が滅んだとしたら、あなたが人類を滅ぼしたという事になるのよ。それともあなたは人類を滅ぼしたいの?」

シンジ「ちちちちちち違うんです。僕だって、僕だって、エントリープラグの中に入りたいんです。でも、でも……!!」ブルブル、ブルブル

リツコ「でも、何?」

シンジ「ああ足が、足が、勝手に震えて……!!」ガクガク、ガクガク

シンジ「へ、変な汗が……と、止まらなくて……!!」ダラダラ、ダラダラ

シンジ「お、おかしいんです……!! 頭はエントリープラグの中に入ろうって思ってるのに、体が……足が……ちっとも動いてくれなくって……!!」エグッ、エグッ…… ポタポタ……

リツコ「…………」ジーッ

シンジ「僕、どうしたらいいんですか……!?」ボタボタ……

シンジ「どうしたら中に入れますか……!?」ボタボタ… ボタボタ…

シンジ「お、教えて下さい…………。お願いします…………。でないと、僕、僕…………罪滅ぼしが………」ボロボロ…… ボロボロ……

リツコ「」ハァー……

リツコ「シンジ君、そのジョーク、全く笑えないからやめてもらえるかしら。私がまだ穏便に言ってる内にやめた方が身の為よ。さっきも言った通り、三人とも暇ではない上、あなたに対してろくな感情を抱いていないのだから」

シンジ「あの……。あの……。本当に…………」グシュグシュ、ボロボロ

シンジ「本当なんです…………。信じて下さい…………」ボタボタ、ボタボタ

シンジ「本当なんです…………。なぜかエントリープラグの中に入れないんです…………。だから…………」ボロボロ、ボロボロ

リツコ「…………」ジーッ

シンジ「…………」ボロボロ、ボタボタ、ガクガク、ブルブル




リツコ「」フゥ…

リツコ「」クルッ、スタスタ…

シンジ「あの! あの! リツコさん! どこに……!? どこに行くんですか……!?」ボロボロ、ボタボタ、ヒック、ヒック

リツコ「どこに? そんな質問、わざわざ聞くまでもないでしょう。帰るに決まっているじゃない。私たちはあなたのつまらないおふざけや嘘泣きにこれ以上付き合わされるのはもう御免なの。ミサトとの約束の手前、根気強くいこうと思っていたけれど、私にも限界というものがあるのよ。この生ゴミ!!」

シンジ「ぅぅ!!!」ボタボタ、ボタボタ

リツコ「」スタスタ



シンジ「……待って……待って下さい…………。リツコさん…………」グシュグシュ、ボタボタ



リツコ「」スタスタ





シンジ「あの……あの……お願いが……。お願いがあります……」ボタボタ、ボロボロ




リツコ「」ハァ………

リツコ「お願い?」



シンジ「僕を……僕を……」ボロボロ、ボタボタ、ガタガタ、ブルブル

シンジ「エントリープラグの中に……中に向かって……」ボタボタ、ボタボタ、ガクガク、ブルブル

シンジ「思いっきり押して下さい…………お願いします…………」ボタボタ、ボタボタ、ガクガク、ブルブル

リツコ「」ハァ……



リツコ「シンジ君、今度は一体どういうジョークなの? それとも、一発芸かしら? それが、あなたが私たちをこんなに待たした理由? そんなにそのギャグに自信があるの?」

シンジ「ち、違ーー!!」グゥゥ!!!

リツコ「……?」

シンジ「いえ…………!! あ、あの……自信…あります…………。僕の……持ちネタなんです………………!」ボロボロ、ボタボタ、ガクガク、ブルブル

シンジ「だから…………だから…………」グシュグシュ、エグッ、エグッ

シンジ「押し…て下さい…………。お願い……します…………!!」ヒック、ヒック、ボタボタ、ボタボタ、ガタガタ、ガタガタ

リツコ「シンジ君、先に一つ聞いておくけど、それは笑えるの? 面白くなければ、あなたの手伝いなんかする気には全くなれないのだけど」

シンジ「笑え…ます…………。すご……く面白いです…………」ウッウッ、ボタボタ、ボタボタ

シンジ「その後……ハッチを外から…………」エグッ、エグッ、ガクガク、ブルブル

シンジ「外から……閉めると…………もっと笑えます…………」エグッ、エグッ、ガクガク、ブルブル

シンジ「だから…………だから……………………お願いします…………………」エグッ、エグッ、ガタガタ、ブルブル




リツコ「」フゥ…

リツコ「注文が多いわね、面倒くさい子」ハァ……

リツコ「」ツカツカ






リツコ「」ピタッ



シンジ「」ガクガク、ブルブル、ガクガク、ブルブル

シンジ「あ、あの……リツコさん…………」ボタボタ、ボタボタ、ガクガク、ブルブル

リツコ「……」

シンジ「押す前に合図を……。合図をお願ーー」

リツコ「」ドンッ!!!!!

ーエントリープラグ内ー

シンジ「ぐああっ!!!!」ドカッ、ゴロゴロ、ガン!!!!

シンジ「っ!! 痛っ……!!!!」………ハッ!

リツコ「」ガチャ、ガシン!!

シンジ「あ……!」キョロキョロ……

シンジ「う、あ…………」

シンジ「う、うぁ、うぁあああぁぁ!!!!!!!」

シンジ「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!! 理由はわからないけど、ここにはいたくないっ!!!!!」ダダダッ!!

シンジ「開けて下さい開けて下さい開けて下さい開けて下さい開けて下さい開けて下さい開けて下さい開けて下さい開けて下さい、ハッチを開けて下さい!!!! 開けて下さいっっ!!!!!」ダンダン!! ダンダン!! ダンダン!! ダンダン!!

ーエントリープラグ前ー

ダンダン!! ダンダン!! ダンダン!! ダンダン!!



リツコ「…………」



シンジ『リツコさん! リツコさん! リツコさん! リツコさん! リツコさん! リツコさん! いるんでしょう!? 開けて下さい!! 開けて下さい!! 開けて下さい!! 開けて下さい!!』



リツコ「…………」



ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!!



リツコ「」ハァ……

リツコ「」ピッ、トゥルルルル、トゥルルルル、ガチャ

マヤ『はい、もしもし。何ですか、先輩』

リツコ「悪いけど、マヤ。シンジ君がようやくエントリープラグの中に入ったから、LCLを注水してくれる? これでやっと訓練が始められるわ」

マヤ『あっ、ごめんなさい。先輩の帰りがちょっと遅かったから、今、葛城さんとロビーの売店までお菓子を買いに行ってるんですよ。先輩の分のフリードリンクも持っていきますから、丁度良かったです。何がいいですか?』

リツコ「あら、悪いわね。じゃあオレンジジュースをお願い。氷は少しでいいわ」

マヤ『わかりました。買い物が終わり次第、すぐに持っていきますね』ガチャ、ツー、ツー、ツー…

リツコ「やれやれ…。仕方ないわね。私が注水するしかないか…。ずっとマヤに任せっぱなしだったからうろ覚えだけど、多分大丈夫でしょ」



シンジ『助けて下さい! 助けて下さい! 助けて下さい! 助けて下さい! 助けて下さい! 僕をここから出して下さい!! お願いします! お願いします! リツコさん! リツコさん! リツコさんっ!!!!』

ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!!



リツコ「…………」



リツコ「」フゥ…

リツコ「」スタスタ、スタスタ

リツコ「……一体あの一発芸のどこが面白かったというのかしらね? 意味がわからないわ、あの子。ドスベリもいいところよ……」スタスタ、スタスタ





シンジ『リツコさん! リツコさん! リツコさん! リツコさん! リツコさん! リツコさん! リツコさん! リツコさん! リツコさん! リツコさん! リツコさん! リツコさんっ!!!!!!! 開けて下さいっ!!!!』

ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!!

ー ネルフ本部 実験施設 ー

リツコ「さてと…確かLCL注水の操作はこれで良かったかしら……」カチャカチャ、カチャカチャ





ビーッ!!!! ビーッ!!!! ビーッ!!!!


リツコ「あら、違ったみたいね……」



リツコ「警報切るのはこれで良かったかしら……?」カチャカチャ、カチャカチャ





ー EVA零号機 格納庫 ー

ー 修理中 ー

整備員A「拘束具の取り外しは、とりあえずこんなもんでいいかな?」

整備員B「それぐらいで抑えといた方がいいだろ。まだ修復してないパーツが結構あるから、とりあえずリフトに……ん?」


EVA零号機『』ガチッ

EVA零号機『』シャーーーッ!


ー地上ー


EVA零号機『』ガチャンッ!!

EVA零号機『』グラッ…

EVA零号機『』バタンッ!!

EVA零号機『』ゴロッ、ゴロッ… ドンガラガッシャーン!!!!





ー EVA零号機 格納庫 ー

整備員A「マジかよ……」

整備員B「マジねーわ……」

リツコ「どうも、違うみたいね……。こうだったかしら…?」カチャカチャ、カチャカチャ




ビーッ!! ビーッ!! ーーピタッ

シーン……




リツコ「これも違うのね……」

リツコ「ああ、そうよ、思い出したわ。これで合ってるはずよ」カチャカチャ、カチャカチャ




ーエントリープラグ内ー

ゴボッ…… ゴボゴボ……

シンジ「」ハッ!

ゴボゴボゴボ… ゴボゴボゴボゴボ…

シンジ「水っ!!!!」

シンジ「あ、ぁぁああああぁぁっ!!!!!」

シンジ「リツコさん! 水が!! 水が!! 水がっ!!!」ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!!


リツコ『ああ、やっぱりこれで合ってたのね…。聞こえる、シンジ君。今からあなたの訓練を始めるわよ』


シンジ「あああぁぁあああっ!!!!!」ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!! ダンダン!!!!


リツコ『』イラッ

リツコ『シンジ君! 人の話を真面目に聞きなさい!! どれだけふざければ気が済むのよ、あなたは!!』


シンジ「ぅああぁああああぁぁああっ!!!! 水が!!! 水が!!! 水がもう首まーー」ガホッ、ゴフッ!! ゴボゴボ……








シンジ「」ハアハア…、ハアハア…、ハアハア…

シンジ「ぼぼぼぼ僕……いいい、生きてててるのののの…?」ガチガチ、ガチガチ

シンジ「いいい息……息、がででで出来てる……? ななな何で……?」ガチガチ、ブルブル、ガチガチ、ブルブル


リツコ『だからそれはLCLだと前も言ったはずよ、シンジ君。二度も同じ事を言わせないで。忘れてしまうようだったら、次からはしっかりとメモを取りなさい。これは社会人としての常識よ!』


シンジ「うぅ……うぅあうう……ぅぁうあぁぁ……」ガチガチ、ブルブル、ガチガチ、ブルブル


リツコ『それと、EVAは精密機械なのだから、今後二度とハッチを叩かないように。これも前に同じ事を言ったはずね。あなたに何千万円もする修理費を支払えるの?』

シンジ「」ビクッ!!!!

リツコ「無理でしょう? だから、これは親切で言ってあげてるのよ、シンジ君。感謝してもらわないと』


シンジ「あ、うあああう……ううあう……!!」ガチガチ、ブルブル、ガチガチ、ブルブル

シンジ (…もう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だもう嫌だ!!)

シンジ (怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!)

シンジ (でも…でも…!!) ギューッ!!

シンジ (ここで逃げたら罪滅ぼしが出来ないからっ…!!!) ウッ、ゴシゴシ

シンジ (だからっ!!!) グゥゥッ!!!!

シンジ (……逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ!!)

シンジ (逃げちゃ…ダメだっっ!!!!!!!!!)

ー ネルフ本部 実験施設 ー

ドア『』プシュン…

ミサト「たっだいまー♪」

マヤ「今、戻りました、先輩♪ これ、先輩のオレンジジュースです。どうぞ」

リツコ「ありがとう、マヤ。…あら? 氷は?」

ミサト「ごめんごめん、リツコ。入れるのすっかり忘れててさー。まあでも、ちょっとぐらいぬるくてもいいでしょ? 元が冷たいんだからさー」テヘッ

リツコ「もちろんいいわよ、それぐらい。わざわざ持ってきてくれたんだから。文句を言うわけないじゃない」クスッ

ミサト「そうー? それなら良かったけど」

マヤ「だから言ったじゃないですか、葛城さん。先輩がそんな小さな事で文句を言うはずがないって」

リツコ「あら、マヤ。私はミサトと違っておだてはきかないわよ」

マヤ「おだてとかじゃないです。本心からそう思ってますから」ニコリ

ミサト「そういうのをおだてって言うのよん♪」チョン♪

マヤ「や、やめて下さい、葛城さん。私、子供じゃないんですから//」

ミサト「それは悪かったわー。メンゴメンゴ」クスクス



ーエントリープラグ内ー

シンジ「う……うう……うぅぁ…………!!」ガチガチ、ガチガチ、ガタガタ、ブルブル

ー ネルフ本部 実験施設 ー

ミサト「さてと♪ それじゃ、早速、お菓子食べましょうか」ゴソゴソ

マヤ「先輩にはポッキーとチョコレート買ってきました。どうぞ♪」

リツコ「ありがとう、マヤ。気がきくわね」

ミサト「あと、ポテチも適当に買ってきたから、こっちも食べてねん♪」

マヤ「あ、塩味、開けますね」バリッ

ミサト「ついでにコンソメ味も」バリッ

三人「」ポリポリ、パクパク、ムシャムシャ

ミサト「うーん♪ 美味しい♪」ゴクッ、ゴクッ

マヤ「葛城さんって、コーラもその飲み方なんですね」クスッ

ミサト「だって、こっちの方が美味しいのよー♪」ニコッ



ーエントリープラグ内ー

シンジ『うぁぁ……あう……ううぅぅ……!!』ガタガタ、ブルブル、ガチガチ、ガチガチ

ー ネルフ本部 実験施設 ー

リツコ「さ、それじゃそろそろ訓練を始めるわよ、シンジ君」ゴク…ゴク…

シンジ『』ビクッ!!!!


シンジ『はははははははい!!』ガチガチ、ガチガチ、ガタガタ、ブルブル

ミサト「ちょっと、シンジ君。真面目にやりなさいよ」イラッ

マヤ「DJの物真似とか……。全然面白くないし……」ボソッ

シンジ『でででででででも……!!』ガチガチ、ガチガチ、ガタガタ、ブルブル

リツコ「」ハァ……

リツコ「シンジ君、まだその寒いギャグを続けるつもりかしら? これ以上ふざけるようなら私たちは本当に帰るわよ」パリッ… パクパク…

ミサト「そうよ、シンジ君。流石の私たちにも我慢の限界ってものがあるのよ」モグモグ、モグモグ

リツコ「あら、ミサトもやっぱりそう思う? ついさっき、私も全く同じセリフを言ったのよね」ゴクゴク、ゴクゴク

マヤ「なのにまだ続けてるんですか? どうかしてますね、ホント…」パクッ…… モグモグ

リツコ「全くね。……シンジ君、これが本当に最後の通告よ。次に小ネタを出してふざけるようなら、私たちはあなたを置いて帰るわよ」パリッ… パクパク…

ミサト「言っとくけど、シンジ君。その時、シンジ君も一緒に帰れるなんて甘い考えを持っちゃあダメよ。シンジ君には罰として、そこで何時間か反省してもらうから。遊ぶ時間がなくなるわよ? それでもいいの?」パクッ、モグモグ……

シンジ『!!!』

シンジ『う……あ…あ………』ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル

シンジ『』オサエツケ

シンジ『がっ…………!』ギューッ!!

シンジ『…あ…………う………』ハァハァハァハァハァハァハァハァ

シンジ『…………ご、ごめ…ごめ、んなさ…い…………』ハァハァハァハァハァハァハァハァ

シンジ『ま、真面……目に、や…ります…から…………』ハァハァハァハァハァハァハァハァ… ゼエゼエゼエゼエゼエゼエゼエゼエ……


リツコ「そう、わかればいいのよ。さ、それでは訓練を始めましょうか」パクッ…… ゴクゴク……

ブンッ……


リツコ「シンジ君、まずはモニターを見て。そこに使徒の姿が映ってるはずよ」

シンジ『……は…………はい……』ゲホッ、ゲホッ…

シンジ『う……映って…ま、す…………』ハァハァハァハァ…… ハァハァハァハァ……

リツコ「それではその使徒を倒して」

シンジ『え……?』

シンジ『………………………あ、あの………ど、どうやっ……たら………』ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル

リツコ「シンジ君、モタモタしてないでさっさっとしなさい!」

ミサト「早くしなさい!!」

シンジ『あ…………う……あ、あ、あう……うあ……うあああぁぁぁ!!!!』ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ!



ー モニター ー

パレットガン『』ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!!!

ダミー使徒『』ヒョイ、スカッ、ヒョイ、ヒョイ、スカッ

ー ネルフ本部 実験施設 ー

ミサト「シンジ君、あんた、いい加減にしなさい!!! 真面目にやるって言ったばっかりでしょうが!!!!」ダンッ!!!!

リツコ「どういう神経してるのかしら……。舌の根も乾かない内にこれとはね……」

マヤ「先輩…。私、もう呆れるのを通り越して、疲れてきちゃったんですけど……」

リツコ「それは私も同じよ、マヤ」ハァ…

マヤ「あの……すみません、葛城さん。私たち、もうこれ以上シンジ君の訓練に付き合わなくてもいいですよね?」

ミサト「ええ、もういいわ……!」イライラ

ミサト「あいつには、帰ったらよーく説教しておくからもういいわよ。行きましょ」ガタッ

マヤ「そうですね」スクッ

リツコ「ホント、時間の無駄だったわ」スクッ



ーエントリープラグ内ー

シンジ「うぁっ! ああぁぁっ! ぅああぁぅぁあああぁぁっ!!!!!』ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ!

ー ネルフ本部 実験施設前、廊下 ー

ドア『』プシュン…

3人「」ゾロゾロ

マヤ「それにしても気分悪いですね、シンジ君のあの態度」

リツコ「本当ね。とても不愉快」

ミサト「ごめんねー。二人とも。全部私のせいだわ。気分を悪くさせて本当にごめんね」ペコリ

マヤ「いえ、そんな! 葛城さんは全く悪くないですし」

リツコ「そうよ、ミサト。あなたが責任を感じる必要はないわ。何もかも全部、シンジ君が悪いのだから」

ミサト「そうは言ってもさー…。やっぱりねえ……」シュン…

マヤ「落ち込まないで下さい、葛城さん。元気出して下さいよ」

リツコ「そうよ、ミサト。それより、もういっそのこと、三人でボーリングにでも行かない? どうせこんな気分でいい仕事なんか出来ないでしょうし」

マヤ「わあ♪ それ、いいですね。気分直しにピッタリです。ストレス解消にもなりますし」

ミサト「ああ、まあ、そうねー、その方がいいかもね……。たまにはストレス発散しないと心がもたない訳だし。なにせ、キツい、危険、苦しいの3Kのお仕事をしてるんだからさあ」

マヤ「そうですよ。それに、こんな気分のままで仕事したら、ろくな仕事が出来ず、逆にみんなに迷惑がかかりますから」

リツコ「そうね。そうと決まったら早速行きましょうか。ついでにその後、バーにでも行ってお酒を飲んで、仕事の愚痴でも語り合いましょ」

マヤ「はい♪ 反省が足らないみたいなので、シンジ君は夜に出す事にして、そうすれば私たちが帰って来る頃には丁度いい時間になっていますよ、きっと」

ミサト「悪いわねー、二人とも。お詫びに、ボーリング代は私が出すわー。だから、今日のところはシンジ君のおふざけを許してまた訓練に付き合ってあげてくれる? お願い」

リツコ「あらあら、ホント、優しいわね、あなたは。呆れちゃうぐらい」クスッ

マヤ「もちろんですよ、葛城さん。それに、今日の事でシンジ君も多少は反省してくれるでしょうし」ニコリ

ミサト「ホント、ゴメンねー、二人とも。これからはもっとシンジ君に厳しくしてくつもりだから、それで勘弁してあげて」

マヤ「はい。ね、先輩?」

リツコ「ええ。ミサトもこれからも大変でしょうけど挫けずに頑張ってね」

ミサト「本当にありがとう、リツコ、マヤ」ニコリ

ー ネルフ本部 実験施設 ー

ー エントリープラグ内 ー

シンジ「うわぁ、うわああ、うわぁああああぁっ!!!!!!」ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ!

シンジ「ぁあっ、あうあぁあぁあっ、うぁぁぁぁ!!!!!」ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ!

シンジ「がっ!!!!」ゴフッ、ゲホッ……ゲホッ……

シンジ「ぅぁぁあぁぅあ!!! ぁうぁああぅぅぅっ!!!」ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ!

シンジ「っ!!!!」ゲホッ、ゼエゼエ、ハァハァ、ゲホゲホ…… ゼエゼエ……

シンジ「あぁうぁああ……!!! ぅわぅぁぁぁ……!」ガチッ…! ガチッ…! ガチッ…! ガチッ…! ガチッ…! ガチッ……! ガチッ……! ガチッ……! ガチッ………………!






シンジ「ぁぅぅ……………………」ガタガタ、ブルブル、ガチガチ







シンジ「…ぅぁ………」ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル












シンジ「………………タ…スケ…テ……」ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル







シンジ「………ダ……レカ……………………タス…ケ………テ…………」ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル

ー 数分後 ー


ー ネルフ本部 実験施設前、廊下 ー

レイ「」ソッ……



レイ「」キョロキョロ……

レイ「」タタタッ…





ドア『』




レイ「ドアロック、解除…」ピッ

ドア『』プシュン…



レイ「」ソッ…

レイ「」キョロキョロ……





レイ「」スッ…

レイ「」タタッ…

ー ネルフ本部 実験施設 ー

レイ「」テクテク…




ー モニター ー

シンジ『…………………タ…ス………ケ……テ……………』ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル




シンジ『……………コ…………コカ…ラ……ダシ……テ………………』ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル




ー モニター前 ー


レイ「碇君…………」

レイ「」ソッ…



レイ「」カチャカチャ、カチャカチャ

レイ「LCL排水、完了……」




レイ「」カチャカチャ、カチャカチャ

レイ「外部ハッチロック、解除……」




レイ「」カチャカチャ、カチャカチャ

レイ「訓練モード、終了……」

ーエントリープラグ内ー

ブンッ…



シンジ「………………………………………………………………」ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル





レイ『碇君…』



シンジ「………………………………………………………………………………」ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル






レイ『碇君…。聞こえてる…? 碇君…』


シンジ「」ハッ!




シンジ「綾………波………………?」ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル


レイ『』コクッ…





レイ『碇君、こちらへ降りてきて…。話があるの…』

シンジ「……オリタ…イ…ケド…………ダメ……ナンダ……………」ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル


レイ『碇君…。どうしたの…? 早く降りてきて…』


シンジ「お、降り……たら……ミ、ミサトさんたちに…………」ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル


レイ『…………』


シンジ「…ま…た…………怒ら…れる…から…………」ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル


レイ『…………』


シンジ「だから…………だから………………」エグッ、エグッ、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル



レイ『…………』











レイ『…碇君。……命令だから。…降りてきて』

シンジ「」ビクッ!!!!

シンジ「すみません、すみません!! 今すぐ!!!」ガチャ!! ダダダダダダッ!!!

ー ネルフ本部 実験施設 ー

シンジ「あ、綾波……話って…………」ガクガク、ブルブル、ガクガク、ブルブル

レイ「碇君、これ…」スッ

シンジ「な、何? これれ……?」ガクガク、ブルブル、ガクガク、ブルブル

レイ「水…」

レイ「飲んで…」

シンジ「あ、ありがとう……」ウケトリ

シンジ「」ブルブル、ビチャビチャ、ブルブル、ビチャビチャ

シンジ「の、飲んでいい?」ガクガク、ブルブル

レイ「」コクッ

シンジ「」ゴクゴーー

シンジ「あ……も、もうなくなって…………」ガクガク、ブルブル、ガクガク、ブルブル


レイ「もう一杯、あるから…」スッ

シンジ「あ、ありがとう……」ウケトリ

シンジ「」ブルブル、ビチャビチャ

シンジ「」ゴクゴク……

レイ「もう一杯、あるけど…」

シンジ「」コクコク

レイ「」スッ…

シンジ「」ウケトリ

シンジ「」ブルブル…… ブルブル……

シンジ「……」ゴクゴク……

シンジ「……」 ゴクゴク……

シンジ「」ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…………

レイ「……」



シンジ「」ハァ……ハァ……ハァ……

レイ「……」



シンジ「」ハァ…………ハァ…………



レイ「少し、落ち着いた…?」



シンジ「」コクッ……

レイ「そう……よかったわね」

シンジ「」ハッ!









シンジ「」ウッ…

シンジ「」エグッ、エグッ

シンジ「」エグッ、エグッ、エグッ、エグッ…グシュ…


レイ「…………」

レイ「……碇君、どうして泣いているの?」

シンジ「う、嬉し……かった…から……」エグッ、エグッ、エグッ、エグッ

レイ「……」

シンジ「僕、ここに来て……こんなに優しくされたの……初めてだったから…………」ボロボロ、ボタボタ、ボロボロ、ボタボタ


シンジ「だから……だから……嬉しくて…………」ボロボロ、ボロボロ、ボタボタ……

レイ「嬉しい時も、涙は出るの…?」

シンジ「うん……。うん…………」エグッ、エグッ、エグッ、グシュグシュ……

レイ「そう…………」



シンジ「」エグッ、エグッ、グシュグシュ、グシュグシュ

レイ「…………」




シンジ「」ゴシゴシ、ゴシゴシ…


シンジ「」ゴシゴシ、ゴシゴシ……



シンジ「………………そ、それで綾波……あの…………」

レイ「……」



シンジ「……僕に、話って……何……?」

レイ「…………」







シンジ「……あっ、そういえばケガもだいぶ良くなったんだね……。良かった……」

レイ「…………」



シンジ「あ、あの後どうなったかさ……。心配だったから…………」

レイ「…………」









シンジ「えっと…………その…………」

レイ「…………」











レイ「…碇君」

シンジ「あ、な、何!?」



レイ「…碇君は、どうしてまだここにいるの?」

シンジ「え………?」

シンジ「綾…波?」

レイ「…………」

シンジ「……あの、ゴメン……。……意味が…よくわからなかったんだけど……」

レイ「……碇君。私は帰ってって、最初に言ったはずなの…。なのに、どうしてまだ碇君はここにいるの…?」

シンジ「…………………綾……波…?」

レイ「…私がEVAに乗るからあなたは帰ってって、最初に言ったはずなの…。なのに、どうして碇君はEVAに乗ったの?」

シンジ「え、あ、だ、だって……!」

レイ「だって……?」

シンジ「あ、あの時は綾波がケガしてて、だから……だから……」

レイ「…………」

シンジ「だから、僕がエヴァに……! 綾波の代わりに僕がエヴァに乗って!!」






レイ「…私は頼んでなんかいない。…碇君が勝手に乗っただけ」

シンジ「!!!!!!」

レイ「…それに、私のケガはもうだいぶ治ってるから、碇君がEVAに乗る必要はもうないの。……片腕があればEVAには乗れるもの」

シンジ「……綾…波? おかしいよ…………ねえ、綾波……?」ガクガク……

レイ「だからもう、碇君がここにいる必要なんかないの…。これ以上、EVAに乗る理由なんか、何もないの」

シンジ「……綾波? ……どうして…………」ガクガク、ガクガク

レイ「なのに、碇君は何でまだEVAに乗ろうとしているの…? もう、乗る意味なんかないのに」

シンジ「……だ、だって……僕は、僕は……罪滅ぼしをしなきゃいけなくなったから……だから…………」ガクガク、ガクガク

レイ「罪滅ぼし…?」

シンジ「う、うん……」



レイ「……なに、それ?」

シンジ「」ハッ!

レイ「…………」


シンジ「…………何で、何で……知らないのさ、綾波は!」ウッ、ウッ、ガクガク、ブルブル

レイ「…………私は、知らないといけないの?」

シンジ「…………そうだよ、そうだよ。元はと言えば綾波のせいじゃないか! ……綾波のせいで僕はエヴァに乗らなきゃいけなくなったんだ!! なのに、何で綾波がそんな事言うんだよ!! おかしいよ、綾波!!!!」ボタボタ、ボタボタ

レイ「…………」

レイ「……理由が、わからなかったから」

シンジ「理由が…わからない…?」グスッ、グスッ

レイ「そう。理由がわからなかったから。……碇君がEVAに乗る理由が、考えたけどわからなかったから……」

シンジ「ちゃんと理由はあるよっ!!!」ボロボロ

レイ「…じゃあ、碇君。あなたは、どうしてEVAに乗らないといけなくなったの…? どうして、使徒を倒し続けないといけなくなったの…?」

シンジ「…そうすれば、罪滅ぼしになるって言われたからだよ! 僕が使徒を倒し続ければ、僕のしてしまった罪をみんなが許してくれるはずなんだ!! そうすればきっとみんなが僕に優しくしてくれるんだ!! きっとみんなが僕の事を大事にしてくれるんだ!! きっとみんなが僕の失敗を怒らずに許してくれるんだ!! だからっ!!!!!!」ボロボロ、ボロボロ

レイ「…………」

シンジ「だから、僕は……!!」ボタボタ、ボタボタ

レイ「…EVAに乗る事で、あなたは大事にされたの? …みんなから優しくしてもらえたの? …失敗を許してもらえたの? ……罪を消してもらえたの?」

シンジ「やめてっ!! やめてっ!! やめてよっっ!!! そんな話は聞きたくないよっ!!!!」ボロボロ、ボロボロ

レイ「…そうやって、聞きたくない事や向き合いたくない事から逃げているのね。心が痛いから」

シンジ「違う、違う、違う!!!」ボタボタ、ボタボタ

レイ「…………」

シンジ「…そうだよ。まだ僕が使徒を全然倒してないからみんな僕に冷たいんだ。これから少しずつ倒していけば、その内みんな優しくしてくれるんだ。みんなが僕を大事にしてくれるんだ。僕は自分の犯してしまった罪を償えるんだ! そうに違いないんだっ!!」ボロボロ、ボロボロ









レイ「……ううん、それは違う。…これから先、碇君がどれだけ使徒を倒しても、誰もあなたに優しくしてくれないし、誰も大事にはしてくれない。そして、誰も許してくれない……」

シンジ「違うよっ!!!」ボタボタ、ボタボタ

レイ「…ただ、罪や失敗がどんどんと増えていくだけ。これから先も、ずっと、ずっと、ずっと……」

シンジ「違う!! 違う!! 違うよっ!!! そんなの嘘だよっ!!!!!!!」ボロボロ、ボタボタ

レイ「…嘘? …ううん、それも違う。…全部、本当の事。……全部、本当の事だから」

シンジ「嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、綾波は嘘をついているんだっ!!!!!」ボタボタ、ガクガク、ボタボタ、ブルブル

レイ「どうして、そう思うの…?」

シンジ「だって、だって、ミサトさんが言ってたんだ!! エバーに乗って使徒を倒し続ければそれが罪滅ぼしになるかもしれないって言ってたんだ!!! 僕がやりますって言ったら、ミサトさんは微笑んで優しく僕の頭を撫でてくれたんだ!!! だから、だから、僕のやっている事には意味があるんだ!!!! 僕がやってる事は無駄じゃないんだ!!!!! 僕は間違ってなんかいないんだっ!!!!!!!!!」ボタボタ、ボロボロ、ボタボタ、ボロボロ

レイ「…………」














レイ「…そうやって、見せかけだけの優しさにすがって、これからも生きていくの? 本当は、みんなから全く大事に思われていないのに」

シンジ「うわぁああぁぁぁあっ!!!!!!! 違う!! 違う!! 違うよっ!!!」ボロボロ、ボタボタ、ボロボロ、ボタボタ

レイ「…………」






シンジ「何で……」ボロボロ、ボロボロ



シンジ「何でだよ……綾波……」ボロボロ、ボタボタ




シンジ「何で……僕にそんなひどい事を言うんだよ…………」エグッ、エグッ、エグッ、エグッ



シンジ「僕が……綾波に何をしたんだよ…………」ボロボロ、ボロボロ




シンジ「綾波の代わりに……エヴァに乗ったのに…………」ボタボタ、ボロボロ



シンジ「なのに何で…………」ボロボロ、ボロボロ




シンジ「どうして…………」ボタボタ、ボロボロ









レイ「…………」


シンジ「」エグッ、エグッ、エグッ、エグッ



レイ「…………」









レイ「…」

レイ「」



レイ「…………」












レイ「目障り、だから……」

シンジ「!!!!!」












レイ「碇君…」








レイ「あなたは邪魔なの…」









レイ「私が初号機に乗る邪魔なの…」






レイ「だから、碇君…」








レイ「あなたはもうEVAには乗らないで。私が乗るから」










レイ「さよなら……」タタタッ






ドア『』プシュン…

レイ「」タタタッ…………







シンジ「……そんな………………!!」エグッ、エグッ、エグッ



シンジ「…………そんな……!! そんな……!!!」エグッ、エグッ、エグッ、エグッ





シンジ「じゃあ僕は、僕は、僕は、一体何のためにエヴァに…………!!!」ヒック、ヒック、グシュ、グシュ




シンジ「何のためにこんな辛い思いをして…………!!!」ボロボロ、ボロボロ





シンジ「僕は、一体何のために………………!!!!!」ウゥ、ウァ、グシュ、グシュ





シンジ「何の……ために…………………!!!!!」ボタボタ、ボロボロ、ボタボタ、ボロボロ
























シンジ「」ガクッ……

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





ミサト《役立たず!!》


リツコ《この生ゴミ!!》


レイ《目障り、だから》


ペンペン《クエー!!》

ミサト《根っからのクズだわ、コイツ》

マヤ《どうかしてますね、ホント》

レイ《あなたは邪魔なの》

リツコ《どういう神経してるのかしら》

ミサト《あなたはこれまで人に迷惑しかかけてないのよ》
レイ《あなたはもうEVAには乗らないで》
ペンペン《クエー!!》
ミサト《ホント、ガキ》
レイ《見せかけだけの優しさにすがって生きていくの?》
ミサト《あなたが殺したのよ》
リツコ《この生ゴミ!!》 レイ《目障り、だから》 ペンペン《クエー!!》 ミサト《根っからのクズだわ、コイツ》 マヤ《どうかしてますね、ホント》 レイ《あなたは邪魔なの》 リツコ《どういう神経してるのかしら》 ミサト《人として恥を知りなさい、恥をー》 レイ《あなたはもうEVAには乗らないで》 ペンペン《クエー!!》 ミサト《ホント、ガキ》 レイ《目障り、だから》 ミサト《あなたが殺したのよ》 ミサト《あなたが殺したのよ》 ミサト《あなたが殺したのよ》 ミサト《あなたが殺したのよ》 ミサト《あなたが殺したのよ》 ミサト《あなたが殺したのよ》
レイ《本当は、みんなから全く大事に思われてないのに…》






















レイ《…碇君は、どうしてまだここにいるの?》

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





シンジ「あ…………………………」



























シンジ「うあぁぁぁああぁぁあぁあああぁぁぁああぁあぁぁぁああああぁあぁぁあああぁぁああぁあぁぁああああぁぁあああぁぁあああぁあぁああああぁぁああぁぁああぁぁああぁぁああぁぁああぁぁああぁぁああああああああああああああああああああああああああぁああぁああぁぁああぁぁぁぁああ!!!!!!!!!!!!」

























ー ネルフ本部 実験施設 ー











シンジ「………………」








ドア『』プシュン……





シンジ「………………」






ー ネルフ本部 パイロット更衣室 ー

ー 着替え中 ー




シンジ「………………」








ドア『』プシュン……








シンジ「………………」





ー 第三新東京市 繁華街 ー










シンジ「………………」







通行人「」テクテク……

ドンッ

シンジ「」ドサッ!!

通行人「痛ってーなー! 気をつけろ!!」


シンジ「………………」



通行人「けっ!」テクテク…


シンジ「………………」







シンジ「」ムクッ……






シンジ「………………」









通行人「なんだよ、あのガキ。謝りもしないで……」

ー 第三新東京市 電車内 ー




ガタンゴトン、ガタンゴトン…













シンジ「………………」












ガタンゴトン、ガタンゴトン…





ー 山中 麓辺り ー




ミーン、ミーン、ミーン……













シンジ「………………」















ツクツクボーシ、ツクツクボーシ、ジジジジジ……









ー 山中 中腹辺り ー


ケンスケ「バババババババババッ!!」

ケンスケ「ぐわっ!」

ケンスケ「軍曹! 大丈夫ですか、軍曹!」

ケンスケ「ぐっ…。俺はもう駄目だ、もう助からない…。お前らは俺の事を置いて早く行け…!」

ケンスケ「そんな! 軍曹を見捨てて俺たちだけが行ける訳ありません! 軍曹も一緒に連れて行きます!!」

ケンスケ「そうです! さ、こんなろくでもない戦場から早くおさらばして、家族のいる家に帰って温かいシチューを食べましょう! 軍曹!」

ケンスケ「お、お前ら……。ありがーーガフッ!」

ケンスケ「軍曹!! 軍曹ー!!!」











ケンスケ「なーんてね……」


ケンスケ「一人で何してるんだろう、俺……」








シンジ「………………」









ケンスケ「んっ……?」

ケンスケ「あれは……碇?」



ケンスケ「おーい、碇ー! 碇ー!」




シンジ「………………」




ケンスケ「聞こえなかったのかな…?」

ケンスケ「」タタタタタッ…





ケンスケ「おーい、碇! どうしたんだー、こんなところで!」ポンッ

シンジ「………………」

シンジ「………………」



ケンスケ「んん? どうしたんだー、碇? なんか顔色悪いぞ」

シンジ「………………」






ケンスケ「……その…なんか話してくれよ。やっぱり前に殴った事、怒ってるのか?」

シンジ「………………」


ケンスケ「まあ、無視したくなる気持ちもわかるけどさ……どう考えても、あれは俺らが悪かったしな……。本当にゴメンな」ペコリ

シンジ「………………」




ケンスケ「……やっぱまだ許してくれないか…。当然だよな」

シンジ「………………」



ケンスケ「あっ、そうだ! 碇、お前まだ夕飯食べてないよな? 良かったらさ、カレーをご馳走するよ。って言ってもこれから作るんだけどさ」

シンジ「………………」



ケンスケ「……まあ、嫌なら無理にとは言わないけど、出来れば食べてってくれよ。ほんの少しでもいいからさ。この前殴った分の罪滅ぼしをちょっとでもしたいんだよ」

シンジ「」ピクッ……


ケンスケ「テント、向こうに張ってあるんだ。な、来てくれ。頼むよ」




シンジ「………………」コク……

ケンスケ「良かった。じゃあ、こっちな。案内するからさ」テクテク



シンジ「………………」テク……テク……

ー 山中 テント付近 ー

ケンスケ「まずは野菜の皮むきからっと……」スッ…スイッ…スイッ…スイッ…

シンジ「………………」



ケンスケ「」スッ…スイッ…スイッ…スイッ…

シンジ「………………」



ケンスケ「」スッ…スイッ…スイッ…スイッ…

シンジ「………………」ソッ…

ケンスケ「?」

シンジ「」スイッスイッスイッスイッスイッスイッスイッスイッスイッ

ケンスケ「早っ!!」

ケンスケ「悪いな、碇。ご馳走するつもりだったのに、手伝ってもらって。おかげで皮むきメチャクチャ早く終わったよ」

シンジ「………………」



ケンスケ「次は野菜と肉を切るから、今度こそ碇はそこらで待っーー」

シンジ「」スッ、タンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタンタン

ケンスケ「早っ!!!」

ケンスケ「えっと……野菜切ってもらってありがとな、碇。それじゃさ、鍋はもう水入れて用意してあるんだよ。だから、今からガスコンロを持っーー」

シンジ「」カチッ、カチッ、ボッ!

ケンスケ「あ、もう出してたんだ……。えっと……じゃあ、俺、外で飯ごうでもしてようか? ご飯炊くのはさすがに慣れてるからさ。そっちは今度こそ任せといてもらって大丈夫だから」


シンジ「………………」コクッ……

ケンスケ「じゃあ、本当に悪いけどお願いな。代わりにアク取りは全部俺がやるからさ。っていうか元々全部一人でやるつもりだったんだけどなあ。ホント、ありがとな、碇」

シンジ「………………」

シンジ「………………」ザザッ…。グルグル……グルグル……

ケンスケ「…………」



ケンスケ「…うん、まあ、気が向いたら話しかけてくれればいいよ。俺はその間一人で勝手に喋ってるからさ。変なやつかと思われるかも知れないけど、一人で喋るのも別に嫌いじゃないんだ。なんせ、一人でサバゲーやってるぐらいだからな」

シンジ「………………」

ケンスケ「じゃあ、そういう事で、よろしくな」

シンジ「………………」

ケンスケ「さーてと、木組み、木組みと…」トコトコ…

ー 数十分後 ー

ー テント内 ー

ケンスケ「いっただきまーす!」パクッ♪

シンジ「………………」モグ……

ケンスケ「んん!!」

シンジ「………………」

ケンスケ「美味い!! 美味い!! 美味すぎるー♪」パクパク、パクパク、パクパク

シンジ「………………」モグ……モグモグ……

ケンスケ「んんー♪」パクパク、パクパク、パクパク

シンジ「………………」モグ……モグモグ……

ケンスケ「そして、スパイシーなこの味になんとも水が合う!!」ゴッゴッゴッ、プハー♪

シンジ「………………」ゴク…… ゴク……

ケンスケ「しっかし、碇はすごいなー。市販のルーにスパイスやらコショウやら加えただけで、こんなに美味くなるものなのか。びっくりだよ」パクッ♪

シンジ「………………」モグ……モグモグ……

ケンスケ「やっぱ料理ってのは作る人次第なんだよなー。作り方を教えてもらって作ったとしても、俺にはこの味は絶対に出せないような気がするよ」パクパク、パクパク

シンジ「………………」モグ……モグモグ……

ケンスケ「あっ、そうだ。これ、お代わりしてもいいかな、碇? 多分あと一杯分ぐらいしかないからさ」

シンジ「………………」コクッ……

ケンスケ「サンキュー、碇。それじゃ遠慮なく♪」ヨソイ、ヨソイ

シンジ「………………」ゴク…… ゴク……

ケンスケ「うん、うん! うんまーい♪」パクパク、パクパク

ー 山中 中腹辺り ー

ー 戦略自衛隊 第十四小隊 ー



ー 山間部における軍事行動訓練中 ー



隊員A「本隊へ…こちら木田。偵察任務中に民間人のものと思われるテントを発見。念のため、退避させた方が良いか指示を請う」

無線機『そんなものは訓練の内に入ってなかったぞ。二人とも、真面目にやれ』

隊員B「こちら曽根。いや、真面目に発見したんだ。訓練ではなくて、本当に」



無線機『…………ポイントを報告せよ』

曽根「Dー482だ。オーバー」

無線機『……ギリギリ行動許可範囲外か。それなら退避させる権限はこちらにはないし、そのエリアでの行動も認める訳にはいかない。接触せずそのまま放置せよ』

木田「だが、万が一という事もある。訓練だから実弾を使わないとは言え、怪我させる恐れは十分あるからな。人がいるようなら少なくとも注意ぐらいはしておいた方が無難かと思われる。再考を願う」

曽根「それともこちらには、作戦行動中、民間人に危険を呼びかける権限すらもないのか。訓練場所からは相当離れている上、立ち入り禁止のロープが張り巡らされているから問題ない、とかいう融通の利かない事は言うなよ」

無線機『…………』

無線機『……訓練とは言え、作戦行動中は勝手な行動は認められない。最初の指示に従え』

曽根「おい!」

無線機『……が、何故か俺は突然コーヒーが今すぐ飲みたくなったので、これから15分ぐらい席を離れようと思う。その間に起こった事については俺は何も知るはずがない。……以上だ』

木田「……ほう」

曽根「そういう事な……」

木田「それなら仕方がない。ゆっくりコーヒーを飲んでくるといい」

曽根「お前がサボってた事については俺たちは黙っておいてやるよ。だから、安心して行ってきな」

無線機『よく言うぜ……全く。二人ともさっさと戻って来いよ。目の届かないお前らと違って、こっちは誤魔化すのが大変なんだからな』

木田「借りにしとくよ」

曽根「サンキューな」

無線機『いいさ、別に。俺だってそこにいたらお前らと同じ事をしただろうからな。それじゃ、こっちからの通信は以上だ。戻ってきたらそちらから連絡しろよ』ブツッ…

ー 山中 テント内 ー

曽根『オーイ』

ケンスケ「ん?」カチャ……

シンジ「………………」モグ……モグモグ

ケンスケ「なんだろ? ちょっと外見てくるな、碇」トトッ

シンジ「………………」モグ……モグモグ



ケンスケ「はい、はーい、っと」パサッ…

ー 山中 テント付近 ー

曽根「……おっと、子供か…」

ケンスケ「わっ、戦略自衛隊!!」

木田「ん? ああ、そうだが……」

ケンスケ「すっごいなー! やっぱ本物は違うなー! 迷彩服2型に89式5.56mm小銃! カッコいいなー!!」

木田「……そうか」

曽根「やけに詳しいな……このボウズ」ヒソヒソ

木田「自分も迷彩服着てるからな……。そういうのが好きな子なんだろ」ヒソヒソ

曽根「…それでボウズ、こんなところで何をしてるんだ? カレーの匂いがするところをみると、友達とキャンプか?」

ケンスケ「あっ、キャンプっていうか……」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



木田「成る程。そちらの事情は大体理解した。そして、こちらの事情も大体理解してもらえたとは思うが…」

ケンスケ「はい」

曽根「というか、ボウズ。もう暗くなってるから、早く帰った方がいいんじゃないのか? 明日も学校だろ?」

木田「そうだな。その方がいいだろう。もうすぐ陽が沈む」

ケンスケ「……ああ、まあ、そうですね。ホントはもう少しいたかったんだけど……。やっぱりそろそろ帰る事にします」クルッ

ケンスケ「碇ー。そろそろ帰ろうか」




ーテント内ー

シンジ「………………」モグ……モグモグ……

ー テント片付け中 ー

ケンスケ「なんだかすみません。テントの片付けまで手伝ってもらっちゃって…」カシッ、パタン…

木田「いや、構わないさ。それに、こういう事には慣れている」カシッ、パタン…

シンジ「………………」カシッ、パタン…

曽根「何より急がないと、完全に陽が沈んじまうからな。明かりがない中、これだけの荷物を背負っての下山は大変だぞ」カシッ、パタン…

ケンスケ「そこらへんは大丈夫です。近道というか、獣道を知っているんで」

曽根「獣道?」

ケンスケ「はい。えっと、こっちの方角にずっとまっすぐ行ったところに麓までの直通の小道があるんで、そこ使えば陽が沈む前には下山出来るはずですから」

曽根「……やっぱりそこか」ハァ……

木田「…多分、今頃はもう封鎖されてるはずだ。訓練地域と重なっているからな」

ケンスケ「えっ! そんな!」

曽根「考えてみれば、ここからだと封鎖地域以外からのルートを使うと、かなり遠くなるな……」

木田「……そうだな。少なくとも、歩いて二時間はかかるだろうな」

ケンスケ「二時間かあ……。それは参るなあ……」ハアッ…

シンジ「………………」

曽根「おい、木田。このボウズたち、ジープで送ってけれないかな? いくらなんでもこれだけの荷物を抱えて、徒歩二時間は可哀想だ」

木田「気持ちはわかるが、仕事中な上、作戦行動中だからな。少なくとも、そう言われるのは間違いない。今だってヤバイ橋を渡っているんだ」

曽根「そうだな。だがなぁ……」チラッ

ケンスケ「」ハァ…

シンジ「………………」

木田「……とはいえ、市民の安全を守るのが俺たちの第一義務でもある。そして、夜道に子供二人は危険でもある。まして、ここは山の中だから、蛇や熊が出る可能性も否定出来ない」

曽根「…お前はそういう理屈をこね回すのはホント得意だな。だがまあ、今回の件については賛成だ」

木田「問題は、この理屈で本隊が納得してくれるかどうかだが……」

曽根「木田。帰りのルートを封鎖したのは俺たち戦自なんだから、その責任を取るのは当然、って事でなんとかまとめれないか? お前、交渉は得意だろ?」

木田「交渉材料がそれだけでは弱いが、試してはみる。あまり期待するなよ。あくまで俺たちは仕事中なんだからな」

曽根「ダメ元で頼む。わかってはいるが、知ってしまった以上、放ってはおけないだろ」

木田「わかった。少し向こうで話してくる」テクテク……
無線機『』ガガッ、ピッ…







ケンスケ「えっと……その……」キョロキョロ

曽根「あぁ、お前らは心配するな。うちの隊長は、口は悪いが根はいい人だからな。交渉次第ではジープで送ってやれるかもしれないし、まあ、それがダメでも、ツレに電話して車で送ってってもらえるよう頼んでみるよ。そっちだと少し時間はかかっちまうがな」

ケンスケ「あ、いえ、そこまでしてもらわなくても! 僕ら、二人でゆっくり帰りますし!」

曽根「いいって、いいって。子供が遠慮なんかするなよ。それにこのまま放っておいたら、大人の面目ってもんが立たないんだよ。まあ、任しとけ」ポンポン

ケンスケ「すみません! ありがとうございます!」ペコリ

シンジ「………………」

ケンスケ「ほら、碇も頭下げろよ。悪いだろ」グイッ

シンジ「………………」ペコリ……

曽根「おいおい、二人とも、そんな真似はすんなって。これはいわゆる親切の押し売りってやつだからな。気分を悪くさせたなら、むしろこっちが謝るところだ。ただ、まあ、今回だけは黙って押し売られてくれないか。なんせ、こっちが心配になっちまってるからな」ハハハッ

ケンスケ「いえ、そんな、本当にありがたいです! 感謝してます!」


シンジ「………………」

木田「」テクテク…

曽根「おっ、戻ってきたか。上手く説得してくれたといいが……」

ケンスケ「……」ドキドキ

シンジ「………………」

曽根「木田、首尾はどうだった?」

木田「すまん、曽根。交渉は失敗した。というより、こちらに来た経緯自体がもう既にバレていて、逆に怒られた」

曽根「マジか……」

木田「俺は今まで命令違反と規則違反の事で隊長から散々絞られていたところだ。次はお前の番だそうだ」
無線機『』スッ…

曽根「わかった……」ハァ…
無線機『』パシッ…


ケンスケ「うわ……」ハラハラ、ハラハラ

シンジ「………………」

無線機『』ガガッ…

曽根「代わりました。曽根です」

隊長『バカ野郎!! このクズが!! 命令無視な上、勝手な行動とるたあ、どういう了見だ!!』

曽根「…申し訳ありません、隊長!」

隊長『謝って済む事か!! アホンダラ!! 戦場じゃ一人の勝手な行動が全員の死を招く事もあると散々教えてきただろうが!! お前らは俺たち全員を殺す気か!!!』

曽根「確かにその点については過失を認めます! 反省もしています! ですが、今の状況においては、自分は間違った事をしたとは思っておりません!」

隊長『ふざけた事抜かすな!! 軍隊じゃ、規則や命令は絶対なんだ!! 人を殺す武器を持ってる集団が規則や命令を無視して動いたらどうなる!? あっという間に殺戮集団へと早変わりだろうが!! 俺たちは市民を守る組織であって、人を殺す組織じゃねえんだぞ、ノータリン!!』

曽根「それはそうですが……。しかし、必ずしも上の命令が絶対正しいとは限りません! それに、この二人の子供はもしかしたら訓練の巻き添えを食らっていた可能性もあります! その可能性をなくす事は決して悪い事だとは思いません! 時には臨機応変に動く事も必要だと考えます!」

隊長『生意気抜かすんじゃねえ! このひよっこが!! 正しいか正しくないかなんてのは、お前が決める事じゃねえんだ!! 後から誰かが勝手に決める事なんだよ!! だから、正しくなかった時のために責任者ってのがいるんだろうが!!」

曽根「ですが!」

隊長『やかましい!! 大体、上に立つ者ってのは自分の命令が間違ってた時には、部下にとばっちりがいかないよう、全責任を自分一人で背負うぐらいの覚悟でやってるんだ!! それが上に立つ者の責任ってやつだ!! だから、お前ら部下に偉そうに命令が出来るんだよ!! 覚えとけ、ボケナスが!!』

曽根「ぐっ……!」



シンジ「………………」

隊長『とにかくもういい! お前らろくでなし二人なんか、いてもいなくても同じだ! 反省もかねて、今から基地に戻って、俺が机の上に忘れてきた重要書類を持ってこい! これは命令だ!』

曽根「書類、ですか?」

隊長『そうだ。書類だ。二度も言わすな、唐変木! どんな書類だったかはすっかり忘れちまったが、とにかくこの訓練において必要不可欠な書類だ! 透明な紙を使ってるから少し探しにくいかも知れねえがな!』

曽根「透明な紙……?」

木田「」ツンツン…

木田「エアー紙という事だろ…」ヒソヒソ

曽根「あっ! そういう事…! わかりました、ありがとうございます、隊長!」

隊長『バカ野郎!! 俺はお前らに反省を促してるんだ!! ありがたがるアホがどこにいる!! さっさと行け!! ゴミども!!』

曽根「すみません、それでは行ってきます!!」

隊長『安全運転で行けよ!! お前らが事故った時は俺の責任になるんだからな!!』

曽根「はい!! ご心配ありがとうございます!! では!」
無線機『』ブツッ…

ー 戦略自衛隊 第十四小隊 ー

ー 本隊 テント内 ー


隊長「全くあの役立たずどもが…! 毎度、毎度、俺に迷惑ばかりかけやがって……!!」
無線機『』ブツッ…



隊員C「まーた、隊長のツンデレが始まったぜww」ヒソヒソ

隊員D「あのゴツい顔とキツい口調で中身はメチャクチャいいおっさんとか、ないわww」ヒソヒソ

隊員E「しかも、本人その事バレてないとか思ってるらしいから、毎度、毎度、笑いこらえるのに必死で必死でwww」ヒソヒソ



隊長「てめえら、さっきから何をモタモタしてやがる!! 真面目に働け!! 給料泥棒どもが!!」


隊員C「す、すみまーー」ブホッ! ゴホゴホ…

隊員D「し、しっかり働いてまふんで…」ヒクヒク、ブフッ!

隊員E「だ、大丈夫でありまーー」ブホッ! ゲフッ、ゲフッ


隊長「なーに笑ってやがるんだ! しっかりしやがれ! このクズどもが!!」

隊員一同「は、はい!! すみまーー」ゲホッ、ゲホッ、ゴフッ

ー ジープ運転中 ー

木田「そういえば君たち、まだ名前を聞いてなかったな」

曽根「なんていうんだ?」

ケンスケ「あっ、僕、相田ケンスケっていいます」

シンジ「………………」

ケンスケ「……おい、碇」ツンツン

シンジ「………………」

曽根「……なんかそっちのボウズはずっと元気ないな。顔色も良くないし。大丈夫か? 具合でも悪いのか?」

シンジ「………………」

ケンスケ「なんかずっとこんな感じなんです、今日……。まあ、悪いのは僕だと思うんですけど……」ハァ…

曽根「どういう事だ?」

木田「ケンカでもしたのか?」

ケンスケ「ケンカというか、一方的に殴った感じなんで……」シュン…

曽根「一方的に、ね……。それは確かに良くないが…。良かったら訳を聞いてもいいか?」

ケンスケ「あっ、はい……」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



木田「そうか……。この子が例のエヴァのパイロット、碇シンジ君か…………」フゥ……

曽根「道理で…………」ハァ……

ケンスケ「?」




シンジ「………………」

ケンスケ「あの……何か知ってるんですか? 碇の事で」

木田「…こんな職業についてるから多少はな」

シンジ「………………」




曽根「えっと、ケンスケ君って言ったか?」

ケンスケ「あっ、はい……」

曽根「……その鈴原って子にも伝えておいて欲しいんだが……。エヴァのパイロットになるって事は人類全部ーーこの世界そのものを命懸けで守ってるって事になるんだ。それはわかってくれるか?」

ケンスケ「あ、はい……」

木田「例えばだ、俺たち戦自は、たった一つの都市を何千人もの人間で守ってる訳だが、それでもこの前の使徒戦の時はみんな内心ガクブルだったよ。逃げ出したい気持ちだとかプレッシャーだとかで隊の中は溢れかえっていた」

ケンスケ「え……」

曽根「…大人で、しかも日頃から訓練とかしてる俺たちでさえそうだったんだ。この碇君が、あの時どんな気持ちだったかは、俺にはもう想像がつかないよ。その辺のところをもう一度よく考えてもらえないかな。頼むよ」ポンッ…

ケンスケ「あ…………」

木田「俺からも頼む。そして、出来れば鈴原という子も含めて、二人とも、この碇君の支えになってあげてくれないか。俺たち大人には出来ない事というのもあるんだ」

ケンスケ「あっ、はい…………。はい!」

ケンスケ「そうですよね、わかりました……! トウジにもきちんと伝えておきます」キリッ

曽根「ああ、よろしく頼むよ」ニコッ

木田「すまないな」ニコッ




シンジ「………………」

ー ケンスケを送った後 ー

ー ジープ運転中 ー


曽根「……」

木田「……」

シンジ「………………」

















曽根「……碇君、そのままでいいから、少し聞いて欲しい事がある。君が今いるネルフの事についてだ」

木田「君にとってはかなり辛い話になるかもしれない。だが、伝えておきたい。許して欲しい」

シンジ「………………」














曽根「あの組織は……ほとんどデタラメな連中の集まりなんだよ。大半の人間の精神がイカれてる。……暴走してると言ってもいい」

木田「それも、かなり危ない方向にな……」





シンジ「………………」

木田「君ならもう知っているかもしれないが、ネルフという組織は超法規的な特務機関なんだ」

曽根「簡単に言えば、全てのわがままが許される組織なんだよ、あそこは……」

シンジ「………………」




木田「……予算が足りなければいくらでも追加されるし、物が欲しかったら、どこからでも、どんな物だって徴発出来る。権限を振り回してやりたい放題の状態だ」

曽根「それが十年以上も続けば、組織だろうと人間だろうといつのまにやらエゴの塊になっていくさ」

木田「わがままが全て通る上、誰もそれについて文句が言えないからな。何をしても許されるし、何をしても守ってもらえる。例えば、そんな状態で育った子供がどうなるかぐらいはわかるだろう?」

曽根「自己中になって、我慢が全く出来なくなるんだ。オマケに他人の痛みもまるで理解出来ないし、何もかもがいい加減になっていく。これは組織も人も一緒なんだ」

シンジ「………………」




木田「…だから、身内に関してはひたすら甘く、他人に対しては鬼の様に厳しくなる」

曽根「もっと言えば、自分の気に入っている人間に対してはとことんまで甘く、自分の気に入らない人間に対しては容赦というものがなくなってくるんだろうな」

シンジ「………………」




木田「そんな組織の中にずっといれば、人間の方だっておかしくなってくる」

曽根「最初はまともでも、段々と組織の色に染まっていくんだ」

木田「価値観だとか、考え方だとかが、世間一般からどんどんとずれていく。多分、自分でも気づかない内にな」

曽根「そして、そっちの方が普通だと思い込む様になる。ネルフは元々閉鎖的な組織だから、外部との接触が少ない。尚更だ」


木田「今の君の様子を見る限り、きっと君もその辺のところは身に染みてわかっているとは思うんだが……」






シンジ「………………」

曽根「でだ、一番タチが悪いのは、その腐った組織に人類全員が頼らなきゃならんって事だ」

木田「残念な事にも、使徒に通常兵器が通用しないのは先の一戦で証明されてしまったからな…」

曽根「俺たち戦自の切り札であるN2爆弾も使徒に対しては足止め程度にしかならなかった。本当にあれは化物だよ…」

シンジ「………………」




木田「結局、使徒を倒せるのは、ネルフの持つエヴァだけという事になってしまった。だからこそ、今後は更に増長していくだろう」

曽根「失敗を口実に、俺たち戦自の予算もずいぶん削られてしまったよ。その分がそっくりそのままネルフの方に流れていったとか」

木田「俺たちは何も出来なかったんだ。だから、何を言っても負け犬の遠吠えにしかならない。……言われるがままだったと聞いている。悔しくてたまらない」

シンジ「………………」




曽根「あの時もそうだったよ。エヴァが出てきて使徒をあっさりと倒した時には、嬉しさよりも悔しさと情けなさで一杯だった。思わず涙が出たもんだ……」

木田「あんな腐れた組織に勝てなかったんだからな、俺たち戦自は……」




シンジ「………………」

曽根「……ああ、すまない。話が少しずれてしまった上、余計な事を言っちまった。ただ、これだけは誤解しないでほしいんだが、だからといって別に君を責めてる訳じゃあないんだ」

木田「これは無力な俺たちの単なる愚痴だよ。君は聞き流してくれ。それに、失言だった…」

シンジ「………………」






曽根「…碇シンジ君。改めて言わせてもらうが、君は俺たちには出来なかった立派な事をしたんだ。この街を守った。世界の未来を救った。それだけはどうか君も誇りに思って欲しい」

シンジ「………………」



木田「だから胸を張って生きてくれ。俺たちは君に、してもしきれない程の感謝と尊敬の念をもっているんだ。本当に、恩に着ている……!」

シンジ「……………」



曽根「あの時、俺たちは使徒がこの街を壊すところを、指をくわえて眺めている事しか出来なかった。本当に、それだけの事しか出来なかったんだ……。それを君が救ってくれたんだぜ。だから、俺たちは心の底から君に敬意を払っている。本当に、ありがとう……!」

シンジ「………………」



木田「これは大人だから、子供だからというのは一切関係ない。救ってくれた人間に最大限の感謝をするのは人として当然の事だ。だから、もう一度言わせてもらうが、本当に、恩に着ている……!」

シンジ「………………」


ブロロ……


曽根「……」

木田「……」

シンジ「………………」






曽根「……碇シンジ君、悪いがあと一つだけいいか……?」

木田「……」

シンジ「………………」






曽根「……最初に謝っておくが、多分、俺たちは、今から人でなしな事を言う。だけど、どうか怒らずに聞いて欲しい」

木田「……今の君にとって、この言葉はきっと相当に酷い言葉だと思う。だが、聞くだけは聞いて欲しいんだ……」

シンジ「………………」











曽根「どうか、頑張って欲しい……!」

木田「……自分勝手なセリフもいいところだとは思うが、だが、この街を、人類を守れるのは君たちエヴァのパイロットだけなんだ。だから……!」

曽根「出来れば、くじけずに頑張って欲しい……!」

木田「頼む……!」

曽根「本当にすまない……!」

木田「本当に、申し訳ない……!」


曽根「俺たち戦自は、使徒に対しては何も出来ない無力な存在だったんだ。だから、君たちエヴァのパイロットに頼る事しか出来ないんだ……!!」ギリッ… グッ……

木田「今の君がひどく辛い状況に置かれているというのは大体想像がついている。だが、それでも出来るだけ頑張ってほしい……! 頼む……!!」ギリッ… グッ……



シンジ「………………」

ー ミサト宅 マンション前 ー


曽根「……さっきはすまなかったな。見苦しいところを見せてしまって」

シンジ「………………」フル……フル……




シンジ「………………いいえ……」ボソッ……

木田「そうか……。気を遣ってもらってすまない。本来は逆でなければいけないんだが……」

シンジ「………………」



曽根「ああ、そうそう。ちょっと待っててくれ」サラサラ…

曽根「これ、俺の携帯の番号だ。何か困った事があったらいつでも電話してきてくれ。出来る限りの事はさせてもらうから」スッ

木田「」サラサラ…

木田「こっちは俺の番号だ。何かあった時には遠慮せずにかけてくれ。力になりたいんだ」スッ


シンジ「………………」ウケトリ……




シンジ「………………ありがとう、ございます……」ボソッ……


曽根「いや、礼を言われるような事は何一つしてないさ。これも親切の押し売りってやつだからな。迷惑なら捨ててもらってもいい、と言いたいところだが、一応登録だけはしておいてくれ。いつか役に立つ日が来るかもしれないからな」

木田「その時は、少しでも力になれるといいんだが……」




シンジ「………………」

曽根「……さてと、それじゃ俺たちはそろそろ戻るよ。色々と勝手な事ばっかり言ってすまなかった」

木田「結局のところ、エヴァに乗る乗らないは全て君が決める事だ。だが、仮に君がエヴァのパイロットをやめたとしても、俺たち戦自は誰一人として君を責めない。その事は覚えておいて欲しい」

曽根「何せこっちは街を一つ犠牲にして、何の戦果も出してないからな……。言える訳がないんだ……」


シンジ「………………」





曽根「……それじゃあな、碇シンジ君。次、会えるかどうかはわからないが、その時には君が今よりも元気になってる事を祈ってるよ」

木田「悩み事や相談事とかでも一向に構わないから、何かあったら電話してくれ。少なくとも、話すだけでも気は紛れるはずだ」

シンジ「………………」コクッ……



シンジ「………………色々と、ありがとうございます……」ボソッ……


曽根「いや、いいさ。さっきも言ったろ。俺たちは親切の押し売りをしてるだけだよ。君がお礼を言う事なんか何一つない。逆に俺たちが君に謝らなきゃいけないぐらいだ」

木田「本当にすまなかったな。多分、色々と不快な思いをしただろうが、許してくれ。それじゃあ、また……」

ブロロ……







シンジ「………………」




シンジ「………………」スッ……


携帯『』ピッ…ピッ…ピッ…


シンジ「………………そういえば、これが初めてなんだ……」ボソッ……


シンジ「………………渡された電話に、電話番号登録するのって……」ボソッ……

ー ミサト宅 ー

ドア『』ガチャ…

シンジ「………………」テクテク…



ー リビング ー

シンジ「………………」テクテク…


ミサト「あら、おかえりー、生ゴミ。一体、今までどこをほっつき歩いてたの? ゴミ捨て場からようやく帰ってきたとこ?」

シンジ「………………」



ミサト「答えなさいよ…!」

シンジ「………………」



シンジ「………………近くの山に、行ってました……」ボソッ……

ミサト「へえー、やっぱりそうなんだ。ご飯の仕度も買い出しも掃除もせず、今まで遊んでたんだ? よくそんな事が出来たものね? 居候の分際で…!」


シンジ「………………すみません……」ボソッ……

ミサト「私は質問してるのよ、シンジ君…! 質問に答えなさいよ…! それともそんな簡単な事もわからないくらい頭が悪いの?」


シンジ「………………すみません……」ボソッ

ミサト「質問に答えろって言ってるでしょうが!! あんた、ふざけてんの!!!」グイッ!!
シンジ「………………」



シンジ「………………すみません……」ボソッ……

ミサト「人をバカにするんじゃないわよ!!!」ドンッ!!!
シンジ「」グラッ……!!




シンジ「」ヨロヨロ……



シンジ「………………」



シンジ「………………ごめん、なさい……」ボソッ……

ミサト「…!!」ギリッ…!!

ミサト「大体、シンジ君…! あんた、反省のためにエントリープラグの中に閉じ込めたはずよね? どうやって出てきたのよ? それに、なんで出てきたの? 中に入ってろって言ったはずよね?」




シンジ「………………すみません……」ボソッ……

ミサト「質問に答えろってさっきから言ってるでしょうが!! 何回も同じ事言わせんじゃないわよ!! このクズ!!」



シンジ「………………すみません……」ボソッ……


ミサト「!!」ギリッ…

ミサト「……シンジ君。次に質問に答えなかったら、あんたの頬を思いっきりひっぱたくからね…! 脅しじゃないわよ…!本気だからね…! きちんと答えなさいよ…!」



シンジ「………………」

ミサト「まずシンジ君、なんで外に出たの? 今度こそ真面目に答えなさいよ…!」

シンジ「………………怖かったから、出てきました……」ボソッ……

ミサト「嘘つくんじゃないわよ!!!」ビュン!!


バシンッ!!!



シンジ「…………」ジンジン…

シンジ「………………すみません……」ボソッ

ミサト「シンジ君、もう一度聞くわよ…! なんで外に出たの? 答えなさい…!」

シンジ「………………」



ミサト「さっさと答えなさい!!」ビュン!!


バシンッ!!!



シンジ「………………」ジンジン……


シンジ「………………外で、遊びたかったからです……」ボソッ……

ミサト「そうよね…! あんたはそういうクズだものね…! 人の言う事なんか何にもきかない…!人の言いつけなんかも完全に無視する最低の人間だものね…!!」


シンジ「………………すみません……」ボソッ……

ミサト「謝ればいいってもんじゃないわよ!!」ビュン!!!



バシンッ!!!




ミサト「今まで何回も言ってるでしょうが!!!」ビュン!!!



バシンッ!!!




シンジ「………………」ジンジン… ジンジン…


シンジ「………………反省、してます……」ボソッ……

ミサト「当たり前の事を偉そうに言うんじゃないわよ!!!」ビュン!!!!



バシンッ!!!!




シンジ「………………」ジンジン… ジンジン……


シンジ「………………もう、しませんから……」ボソッ……




ミサト「…!!!!」ギリッ…!!!!

ミサト「それじゃあ、次の質問よ、シンジ君…! どうやって出てきたの? 本当に今度こそ最初から正直に答えなさいよ…! 手間取らせんじゃないわよ…!!」

シンジ「………………」



シンジ「………………綾……」

木田《救ってくれた人に最大限の感謝をするのは人として当然の事だ》


シンジ「………………」





シンジ「………………自分で、開けました……」ボソッ……

ミサト「嘘をつくなって言ったばかりでしょうが!!」ビュン!!!!





バシイインッ!!!!




シンジ「…ぅっ!!」ベチャッ…!!

血『』ドロッ……

シンジ「」ツー…… ポタッ………… ポタッ…………

ミサト「中から開けられる訳ないでしょう…!! 誰かがロックを解除しなきゃ開く訳がないのよ…!! 誰が開けたの…!! 答えなさい…!!」






シンジ「………………」ツー… ポタッ…… ポタッ…… ポタッ……




シンジ「………………勝手に、開いてました……」ボソッ……

ミサト「このっ…!!」

ビュンッ!!!!



バシイインッ!!!!



シンジ「…っ!!!」ベチャッ…

血『』ドロッ……

シンジ「………………」ツー… ポタポタ…… ポタポタ…………



ミサト「誰が開けたの…!! 答えなさい…!!!」



シンジ「………………勝手に、開いてました……」ボソッ……

ミサト「…こんのっ!!!!」

ビュンッ!!



バシイインッッ!!!!




シンジ「…ぁぐっ!!!」ベチャッ…

血『』ドロドロ……

シンジ「………………」ツー… ポタポタ… ポタポタ… ポタポタ…





シンジ「………………」グイッ… ゴシゴシ……






ミサト「……シンジ君、誰が開けたの…!! もう手が痛いから私も叩きたくないのよ…!! 答えなさい…!!!」

シンジ「………………」ポタッ…… ポタッ…… ポタッ……








シンジ「………………勝手に、開いてました……」ボソッ……

ミサト「…!!!」


ミサト「…こんのおっ!!!!」


ビュインッ…!!!!






…バシイイイインッッ!!!!!









シンジ「ぐぁっ!!!!」ドサッ!! …ゴロゴロッ、ガンッ!!!







ミサト「」ハァハァ… ハァハァ…





シンジ「……………………」





ミサト「シンジ君、いつまで寝転がってるのよ…!! 立ちなさい…!!!」






シンジ「……………………」フラッ…… ムクッ……




シンジ「」ツー… グイッ… ゴシゴシ… ゴシゴシ…







ミサト「…シンジ君、最後にもう一回だけ聞くわよ…!! 誰が、開けたの…!!!」







シンジ「………………勝手に、開いてました……」ボソッ……


ミサト「…このクソガキっ!!!」ギリギリ… ギリギリ…


ビュン!!!!!!







バシイイイインッッ!!!!!!!!







シンジ「ぅぁぐっ!!!!」ドサッ!!! ゴロゴロ…ガンッ…!!!!!

ミサト「」ハァハァ… ハァハァ… ハァハァ…






シンジ「………………」ムクッ…… フラッ……


シンジ「………………」 ツー… ポタポタ、ポタポタ… ポタポタ… ポタポタ…

シンジ「」グイッ… ゴシ…ゴシ… ゴシ…ゴシ… ゴシ…ゴシ…






シンジ「………………すみません、でした……」ボソッ……




ミサト「…!!!!」

ミサト「もういいわよ!!!!」ツカツカ…

食卓の椅子「」ドスンッ!!

ミサト「シンジ君、ビール! さっさと出しなさいよ!!!」


シンジ「………………はい……」ボソッ……



シンジ「」トコトコ…

冷蔵庫『』ガチャ…

缶ビール『』スイッ…

シンジ「………………どうぞ……」スッ…

ミサト「血だらけの手で出すな!! 気持ち悪い!!!」バンッ!!!

缶ビール『』ガンッ!! ゴロゴロ… プシューッ…!!!!

床『』ビチャビチャ… ビチャビチャ…




シンジ「………………」


ミサト「出す前にきちんと手を洗ってきなさい!!! 汚いでしょ!!!!!」


シンジ「………………すみません……」ボソッ……

シンジ「………………洗ってきます……」ボソッ……

シンジ「」トコトコ…




ミサト「…あいつ、どれだけ私をコケにすれば気が済むのよっ…!!!!」ダンッ!!!!





シンジ「………………」ジャー…… ゴシゴシ…… フキフキ……



シンジ「………………」トコトコ……

冷蔵庫『』ガチャ…

缶ビール『』スイッ…

シンジ「………………ミサトさん……」ボソッ……

シンジ「………………どうぞ……」スッ…

ミサト「缶のまま出すバカがどこにいるの!!!」バンッ!!!

缶ビール『』ガンッ!! ゴロゴロ… プシューッ…!!!!

床『』ビチャビチャ… ビチャビチャ…



シンジ「………………」

ミサト「目上の人に出す時はグラスに注いで出すのが常識でしょうが!!! この世間知らず!!!!」ダンッ!!!



シンジ「………………すみません……」ボソッ……

シンジ「………………グラス、取ってきまーー」
シンジ「…っ!」ツー…… ポタッ…… ポタッ…… ポタッ……

シンジ「」グイッ… ゴシゴシ… ゴシゴシ… ゴシゴシ…



ミサト「手で血をふかない!!! ティッシュかハンカチを使いなさい!!! もう一度、手を綺麗に洗ってからくるのよ!!! いいわね!!!」


シンジ「………………はい……」ボソッ……





ミサト「ホント、頭がどうかしてるんじゃないの、あいつ……!!!」







シンジ「………………」ジャー…… ゴシゴシ…… フキフキ……

グラス『』

シンジ「」トクトクトク…

グラス『』シュワシュワ…

シンジ「………………どうぞ……」スッ

ミサト「泡が立ち過ぎよ!! やり直しなさい!!!」バンッ!!!

グラス『』ヒュイン… パリンッ!!!

床『』 ビチャア……

シンジ「………………」



ミサト「グラスにビールを注ぐ時は、グラスを十分に冷やして、泡が出来るだけ立たないよう斜めに傾けて注ぐ!!! 何でそんな事も知らないのよ!! このバカ!!!」


シンジ「………………すみません……」ボソッ……

ミサト「おまけに、つまみも一緒に出さないとか、どうなってんの!! 頭にウジでもわいてんの、あんたー!!!」


シンジ「………………すみません……」ボソッ……

シンジ「………………もう一度、やり直します……」ボソッ……

ミサト「謝る前に動きなさい!! このグズ!!!」

シンジ「………………はい……」トコトコ…

ミサト「走るのが当たり前でしょうが!!! いつまで私を待たせるつもりよ!!!!」

シンジ「」タタタタッ…

ミサト「返事ぐらいしなさいっ!!!」

シンジ「………………すみません……」ボソッ……






ミサト「あいつ、ホント、性根も脳みそも腐ってるわ……!!!」





シンジ「………………」カチャカチャ…… パタン……



シンジ「………………」トコトコ…

グラス『』スッ…

シンジ「………………どうぞ……」ボソッ……

ミサト「」イラッ!!

ミサト「」ガッシャーン!!!

パリンッ… ガチャッ… ビチャビチャッ………

ミサト「シンジ君、つまみがスルメだけってどういう事よ!! あんた、ホント、頭おかしいんじゃないの!?」

シンジ「………………すみません……」ボソッ……

シンジ「………………それしか、なかったので……」ボソッ……

ミサト「このクズっ!!」
ビュン!!!



バシイインッ!!!!




シンジ「…………」ツー…… ポタッ…ポタッ…

ミサト「自分の無能さを棚にあげて、言い訳してんじゃないわよ!! あんたが今日買ってこなかったのが悪いんでしょうがっ!!」


シンジ「………………すみません……」ボソッ……

ミサト「なかったら、コンビニに行って買ってくるぐらいの機転をきかせなさいよ!! 脳みそあるの、ホントに!!!!」


シンジ「………………すみません……」ボソッ…

シンジ「………………行ってきます……」ボソッ

シンジ「」トコトコ…

ミサト「さっきも言ったばかりっ!! 走りなさいっ!! ノロマっ!!!」

シンジ「」タタタタッ…

ドア『』ガチャッ…


バタンッッッッ!!!!!



ミサト「うるさい!! 近所迷惑でしょうが!!!」

ドア『』……



ミサト「ホント、物に八つ当たりするとか、今までどういう教育受けてきたのよ、あいつは……!!」ダンッ!!!!

ミサト「…あのバカッ!! バカッ!! バカッ!!!!」ドゲシッ!!!!


食卓『』グラッ… ドンガラガッシャーン!!!!





ミサト「」ハァハァ… ハァハァ… ハァハァ…







ミサト「」ハァハァ… ハァハァ…








ミサト「」ハァ…ハァ… ハァ…ハァ…








ミサト「」ハァ…… ハァ…… ハァ……















ミサト「」フゥ…






ミサト「…………」



床『』ゴチャグチャ… ビチャビチャ…







ミサト「」ハァー……


ミサト(……私もダメね。また怒っちゃったわ…………)

ミサト(もっと我慢強くやるつもりだったのに……)



ミサト(でも、シンジ君のあまりのクズさ加減に、腹が立って腹が立って止められなかった……)



ミサト(今、ようやく少し落ち着いてきたけれど…………)

ミサト(やっぱりあいつのクズさ加減は、今のままじゃどうにもならないのかな……)

ミサト(可哀想だからって、甘やかしてたら、どんどんつけあがる一方だったし、あいつ……)


ミサト(いまだに何でもかんでも謝れば済むと思って、適当な事ばかり……。何回も同じ事を人に言わせて私をからかい続けてるし……)


ミサト(リツコたちの言ってた通り、もっと厳しくしないとダメなのかしら……。今までが甘過ぎたのかしら……)


ミサト「」チラッ……




床『』ゴチャゴチャ… グチャグチャ… ビチャビチャ…




ミサト(そうよね……。やっぱり甘すぎたのよね……。こんな状態になったのも全部あいつのせいだもの……)

ミサト(さすがにちょっとひどいわ、コレは……。お気に入りのグラスがメチャクチャじゃない……)

ミサト(やっぱりシンジ君のあの腐った性根はもっと厳しくしないとダメね……)




ミサト(だけど、そんな事したら、きっと私、あの子に恨まれるわー……)ハァ…

ミサト(そう考えただけでも辛い……)

ミサト(シンジ君の将来のためとはいえ、嫌な役目よね……)


ミサト(でも、あの子の事を本当に思うなら、今の内に徹底的に叩き込んでおかないと……)

ミサト(そうでないと、絶対ろくな大人になりっこないんだから、あいつ……)

ミサト(だから、シンジ君。今の内に謝っておくけど、ごめんね……)

ミサト(もう手がパンパンに腫れあがちゃってるから、あなたを叩いてはあげられないんだけど……)

ミサト(その内、私の気持ちが伝わると信じて、帰ってきたらもう少しだけあなたに厳しくしてあげるから……)









ミサト(……シンジ君、悪く思わないでね……!)キリッ

ー 15分後 ー

つまみ『』キチッ

グラス『』キチッ

食卓『』キチッ

床『』ゴチャゴチャ…… ビチャビチャ……


シンジ「………………」

グラス『』トクトクトク…

シンジ「………………どうぞ……」ボソッ……

ミサト「……ええ、もらうわー」

ミサト「」ゴクッ、ゴーーハァ……

ミサト「シンジ君……。ちょっとこっち来てそこに立ってくれる?」

シンジ「………………はい……」ボソッ

ミサト「このビール、ぬるすぎよん♪」ニコッ

バシャッ…!!!



シンジ「っ!!」ビチャッ… ボタボタ……

ミサト「ね、ぬるかったでしょ? ちゃんと冷えてるの出してよね」ニコッ




シンジ「………………」ポタポタ…… ポタポタ……



ミサト「シンジ君、返事はー? ビールはキンキンに冷えてないと美味しくないのよん♪」ニコッ


シンジ「………………」ポタ……ポタ……

シンジ「………………でもそれ、冷蔵庫にずっと入ってたやつです……」ボソッ……

ミサト「……あ、言い訳するんだー」トクトクトク……

バシャッ…!!!



シンジ「ぅっ!!」ビチャッ…… ポタポタ…… ポタポタ……


ミサト「じゃあ、もう1本出してもらえるかなー、シンジ君。なくなっちゃったからさ。特別に缶のままでいいわよん♪」ニコッ




シンジ「………………」ポタポタ…… ピチャピチャ……



ミサト「あれ? おかしいなー、シンちゃん。聞こえなかったのかなー? 早く出してくれない?」ニコッ

シンジ「…………」ポタポタ…… ポタポタ……




シンジ「…………ミサトさん、もーー」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

曽根《俺たち戦自は、使徒に対しては何も出来ない無力な存在だったんだ。だから、君たちエヴァのパイロットに頼る事しか出来ないんだ……!!》ギリッ… グッ……

木田《今の君がひどく辛い状況に置かれているというのは大体想像がついている。だが、それでも出来るだけ頑張ってほしい……! 頼む……!!》ギリッ… グッ……

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

シンジ「…………」ポタ……ポタ…… ポタ……ポタ……





シンジ「………………はい……」ボソッ……

シンジ「………………すぐに持ってきます……」ボソッ……


ミサト「すぐにって、私が言ってから何秒経ってるのかしらー? ホント、トロいわよねー、シンちゃんは。耳から脳みそに届くまですごい時間かかっちゃうのかなー?」ニコッ

シンジ「………………」グッ……





シンジ「…………すみません…」ボソッ…


ミサト「謝るぐらいだったら、さっさとしてよねー、シンちゃん。ホント、何回おんなじ事言えばいいのかしらー。流石に私も疲れちゃったわよん」ニコッ





シンジ「…………はい。…………すみません……」ボソッ… クルッ…

シンジ「…………」ペタペタ…… ポタポタ……



冷蔵庫『』ガチャ…

缶ビール『』スッ…

シンジ「…どうぞ、ミサトさん……」ボソッ…

ミサト「あっ、ありがとねー。シンちゃん。ついでにちょっとそのままでいて」ニコッ

シンジ「」
ミサト「」スイッ…


缶ビール『』カタムケ…… ダバダバダバ…

シンジ「」ビチャビチャビチャ……ビチャ……




シンジ「…………」ビチャビチャ… ボタボタ… ベタベタ…

ミサト「どう、シンちゃん? いくらどんくさくて鈍いシンちゃんでも、さすがに頭からかぶれば、そのビールがどれだけぬるいかわかったでしょう?」ニコリッ






シンジ「…………」グッ…… ビチャビチャ…… ボタボタ……



シンジ「…はい……」ボソッ…

シンジ「…すみません……」ボソッ…

シンジ「…許して下さい……」ボソッ…


ミサト「あれー、おっかしいなー。シンちゃん、まだ私の言う事がわかってないんだー。しょうがないなー、もう♪ じゃ、もう1本持ってきてくれる?」ニコッ




シンジ「…………」ベチャベチャ…… ビチャ…… ポタポタ……



ミサト「シンちゃん、早くー♪ シンちゃんが持ってこないと、私、いつまで経ってもビールが飲められないじゃない」ニコッ

シンジ「…持ってきても、どうせまた僕にかけるんですよね……」ボソッ…

ミサト「そんな事しないわよー。シンちゃんがちゃんと冷えてるビール持ってきたら、美味しく頂くわよん♪」ニコッ

シンジ「…そう、ですか。…わかり、ました……」ボソッ…

シンジ「」トコトコ……ベチャベチャ……

冷蔵庫『』ガチャ……

シンジ「……」サワッ…… ヒンヤリ…… コクッ…

シンジ「…どうぞ……」スッ…

ミサト「ありがと♪」プシュッ

シンジ「」
ミサト「」スイッ…

缶ビール『』カタムケ… ダバダバダバ……

シンジ「」ビチャビチャビチャ… ベタベタ……


ミサト「どう? 学習能力0のシンちゃん? もう二回も頭からかぶってる訳だけど、そのビールがどれだけぬるいかって事がいい加減わかってくれないかなー?」




シンジ「…………」グッ…………! ギュッ………………!! ビチャビチャ… ボタボタ…



ミサト「シンちゃん、どうしたのー? 返事はー? 頭だけじゃなくて耳も悪かったんだっけー?」ニコッ

シンジ「…すみません……」ボソッ…

シンジ「…もう……許して下さい……」ボソッ…


ミサト「……あーあ、残念よねー。それだけビールまみれになってもまだわかってくれないんだー、シンちゃんは」


シンジ「……」ベタベタ… ビチャビチャ…

ミサト「さっすが、シンちゃんよねー。大したもんだわー。私、今までこれだけ鈍い子、見た事ないからビックリよん♪ じゃ、シンちゃん、缶ビールもう一回持ってこよっか♪」ニコッ






シンジ「………………」グッ……!! ギュッ…………!!! ビチャビチャ… ボタボタ… ベタベタ…



シンジ「……ミサトさん、いーー」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

曽根《どうか、頑張って欲しい……!」

木田《……自分勝手なセリフもいいところだとは思うが、だが、この街を、人類を守れるのは君たちエヴァのパイロットだけなんだ。だから……!》

曽根《出来れば、くじけずに頑張って欲しい……!》

木田《頼む……!》

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




シンジ「……」グッ…………!!


ミサト「なに、シンちゃん? どったのー?」ニコッ




シンジ「…………いえ。……何でも、ないです…」ボソッ……

ミサト「何でもないなら、早くビール持ってきてよー、シンちゃん。私、まだ一口しか飲んでないのよー。さっきから、シンちゃんばっかりビール飲んじゃってさー。ずるいわよん♪」ニコッ



シンジ「…………」グッ……! ギュッ………!!! ビチャビチャ… ボタボタ… ベタベタ…



ミサト「シーンちゃん♪ シーンちゃん♪ 早く私にビールを出してよねー♪」


シンジ「…………」ビチャビチャ…… ボタボタ…… ベタベタ……


ミサト「シーンちゃん♪ シーンちゃん♪ いつまでぼさっとしてるのかなー♪」



シンジ「…はい、すみません……」ボソッ…

シンジ「」ビタビタ… ベタベタ…

冷蔵庫『』ガチャ… ヒョイ… ヒンヤリ……

シンジ「……どうぞ…」スッ

ミサト「ありがとー、シンちゃん♪」プシュッ

シンジ「」
ミサト「」スイッ

缶ビール『』カタムケ… ダバダバダバ……

シンジ「」ビチャビチャビチャ… ベタベタ……


ミサト「どーう、シンちゃん? もういい加減、わかってくれないかなー? 冷蔵庫に置いてあるような、そんな生ぬるいビールなんか一つも飲めやしないって事がさー」ニコッ




シンジ「…………」グッ……!! ギュッ…………!!!!



シンジ「………………はい。………………よく、わかりました…………」グッ……!!! ギリッ…………!!! ビチャビチャ… ボタボタ… ベタベタ…



ミサト「で、シンちゃん。何がわかったのかなー? 色々とサービスしてあげちゃったし、もう流石に気付いてくれたわよねー? それとも、もう1本いっとく?」ニコッ



シンジ「……いえ、大丈夫です。…もう、十分わかりましたから……」グッ…!!!!

ミサト「あら、そうー。じゃあ、何がわかったのかなー?」


シンジ「…………」ギューッ…………!!!!!

シンジ「………疲れて帰ってきてるミサトさんに、こんな生ぬるいビールを出してしまい、本当に申し訳ありませんでした……」ボソッ…

シンジ「…次からは、ミサトさんが帰ってくる前に、氷水の中に入れて冷やしておきますので、今日のところはそのぬるいビールで我慢して頂けないでしょうか……」ボソッ…

シンジ「…どうか、許して下さい。…お願いします……」ボソッ… ギリッ…!!! ペコリ…………













ミサト「良かったぁ…! シンジ君…! ようやくわかってくれたのね…!」パアッ


シンジ「……」グーッ……!!! ビチャビチャ… ボタボタ… ベタベタ…

ミサト「そうよー、シンジ君。大事なのは、次からどうするかって事なの。謝るだけじゃダメって意味がこれでよくわかってくれたでしょ? 私も心を痛めて厳しくした甲斐があったわー! 本当に嬉しい!!」ニコリッ



シンジ「……」グッ……!!!

シンジ「…そうだったんですね。…そうとは知らず、ミサトさんに、ご迷惑をおかけして、すみませんでした……」

ミサト「ホントよねー。今まで散々迷惑かけてくれちゃってさー。でも、そんな事忘れちゃうぐらい、今、嬉しいわー♪」ニコニコ



シンジ「…そう、ですか。…ミサトさんに喜んでもらえて、僕も嬉しいです。…こんな僕なんかのために、色々と教えて頂き……ありがとう、ございます…」


ミサト「ううん、いいのよー。そんなのもう気にしなくても♪ お気に入りのグラスもシンジ君のせいで割れちゃったけど、でもそれも許してあげる♪」ニコニコ




シンジ「…………あり、がとう、ございます………!」グッ……!!!! ギューッ…………!!!! ビチャビチャ… ボタボタ… ベタベタ…

ミサト「シンジ君。こうやってね、私が教育する事によって、シンジ君は世間の常識を知ってまともな人間に変わっていくの。そして私は、シンジ君に尽くされるから、楽が出来るでしょ?」



シンジ「…………はい…!」グッ…!!!! ビチャビチャ… ポタポタ… ベタッ……

ミサト「だから、お互いにWinーWinな関係になれるのよねー♪ 正に理想の教育だわー♪」ニッコリ



シンジ「…はい。…本当にそうですね。…僕はまだ、ダメなところばかり、ですけど、精一杯頑張りますので、よろしく、お願いします…」グッ…………!!

ミサト「うんうん、わかってる、わかってる。安心して。クズなシンジ君を見違えるほど立派に育て上げてみせるから♪」ニコニコ



シンジ「…はい。…ありがとう、ございます。…ミサトさんの御厚意には、感謝するばかり、です…!」ギリッ…!!!! ペコリ…………


ミサト「よしてよ、シンジ君。そんな大した事はしてないんだからさー// もう♪」


シンジ「……」グーッ…!!! ギリッ…!!!!! ピチャッ……ピチャッ…… ポタ……ポタ…… ベターッ……

ミサト「それじゃあシンちゃん、私、このぬるいビールで我慢してあげるから、この部屋の片付けをしてもいいわよん♪」ニコリ


シンジ「…は…い」グッ……!!!! ギリッ……!!!!

缶ビール『』プシュッ
ミサト「」ゴッ、ゴッ、ゴッ、プハー♪

ミサト「くぅー♪ 美味しいー♪ 今日はいい事があっただけに尚更だわー♪ もう最高の気分ねー♪」


シンジ「……!」カチャカチャ… フキフキ…

シンジ「……」グッ…!!! ピチャ…ピチャ… ベター……

ー 30分後 ー


シンジ「…ミサトさん。…片付け、終わりました」ボソッ

ミサト「あー、やっと終わった? じゃあシンちゃん、ビール臭いからシャワーでも浴びてきなさいね」

シンジ「…は…い」ボソッ

ミサト「あ、それと」

シンジ「…何…ですか……」ボソッ

ミサト「この部屋もシンジ君のせいでビール臭くなっちゃったから、きちんと消臭しておくのよん♪ いいわね?」チョン♪

シンジ「……」グッ……!!!

シンジ「…は…い」ボソッ クルッ…



ミサト「」ゴッ、ゴッ、ゴッ、プハー♪

ミサト「うーん♪ やっぱ、人生、この瞬間のために生きてるようなものよねー♪ 幸せだわー♪」


シンジ「」グッ……!!!! ギリッ……!!!!

シンジ「」ペタペタ… ペタペタ…

ー シャワー中 ー


ジャー……

シンジ「……」

拳『』ガンッ…………



拳『』ガンッ…………



拳『』ガンッ…………



シンジ「……ミサト」ボソッ

拳『』ガンッ…………



拳『』ガンッ…………



拳『』ガンッ…………



拳『』ガンッ…………



拳『』ガンッ…………



拳『』ガンッ…………


ー シャワー後 ー


床『』ベタベタ……

シンジ「……」フキフキ…… フキフキ……



ミサト「シンちゃーん、ちょっと酔っ払ってきたし、私、もうそろそろ寝るねー」フワァァ…


シンジ「…はい」フキ…フキ…… フキ…フキ……

ミサト「もちろんわかってるとは思うけど、ここの片付けも全部やっておくのよん♪」


シンジ「…はい」フキ……フキ…… フキ……フキ……


ミサト「さてと……」スクッ… スタスタ……

ピタッ…



ミサト「…そうそう、一つ言い忘れてたけどさー、シンちゃん」


シンジ「…はい。…何で…しょうか……」ボソッ

ミサト「…シンちゃんはさー。…今日、エントリープラグから勝手に出てきたから、罰として半年か一年ぐらいは訓練以外でエバーに乗せるつもりはないから、そのつもりでね」


シンジ「……!!!」


ミサト「…実際、エバーのパイロットなんてレイ一人で十分だしねー。…あの子はシンちゃんと違ってすごく優秀だからさー」

シンジ「…………ぅ、ぅ!!」グッ…!!! ギリッ…!!! ブルブル……!!!


ミサト「…話はそれだけよん。じゃ、お休みー♪」トコトコ…

ミサト「」ガラッ… トジ………


シーン………










シンジ「…………ぐぅぁぁぁっ!!!!」ガンッ…!!!!

ー ミサトの部屋 ー

ミサト(はあ……今日はホント、良かったわー…………)

ミサト(シンジ君に嫌われるんじゃないかと思ってたけど、シンジ君、私の気持ちをちゃんと理解して喜んでくれてたし、おまけにきちんと反省までしてくれたし……)

ミサト(罰は少し可哀想だったけど、でも遊び道具を取り上げる事ぐらい普通よね、親なら……)

ミサト(親って何よ……)クスッ

ミサト(いつの間にやら、私、あいつの母親気分になってたんだ……)クスクス…

ミサト(たった二日で母親気取りもあったもんじゃないのにさ…………)

ミサト(でも、半年後か一年後には、シンジ君、多分、立派に成長してるだろうから、ちょうどいい罰よね、きっと……)グスッ……

ミサト(やだ、たったこれだけの事で涙が出るなんて……)クスッ……

ミサト(これまでずっとシンジ君のせいで苦労させられてきたからかな……。ふふ…私も歳ね……)スッ… コシコシ……

ミサト(こんな姿、恥ずかしくて、とてもじゃないけどシンジ君には見せられないじゃない……)クスッ…



ミサト「」トコ…トコ……

ベッド『』ドサッ……



ミサト(……なんだか今日はいい夢が見れそう。……こんなに幸せな気分は久しぶりね……♪)

ー 全ての掃除終了後 ー

ー 近くの公園 ー


シンジ「」トコトコ……

シンジ「……」
携帯電話『』ギューッ!!!

シンジ「…もう…………!!」グッ…!!!

シンジ「…もう、いいっ!!!」ブンッ…!!!


携帯電話『』ヒュン!!


木『』……ガンッ!!!


携帯電話『』コロ、コロ……ポテン…



シンジ「」トコトコ… ヒロイ

シンジ「…もう、罪滅ぼしなんかどうだっていいよっ!!!」ブンッ…!!!!


携帯電話『』ヒュン!!!!


地面『』…ガンッ!!!!



携帯電話『』メキッ…………






シンジ「」ハァハァ… ハァハァ…

シンジ「……」ヒロイ…

携帯電話『』……


シンジ「…僕はもう……!」ギリッ…!!!

シンジ「…エヴァには乗らないっ!!」グッ!!!

シンジ「…それに、どうせミサトさんは僕を乗せる気なんかないんだっ!!!」ギューッ!!!!

シンジ「あんなの、僕をいいように使う口実だったんだっ!!!」ブンッ…!!!!


携帯電話『』ヒュン!!!!


ベンチ『』……ズガッ!!!!


携帯電話『』メキョッ…!!!! コロ、コロ……



シンジ「」ヒロイ

シンジ「明日、ネルフに行って…!」グッ…!!!

シンジ「父さんに会って…!!」ブルブル…

シンジ「親戚のおじさんおばさんの家に帰れるようにしてもらうんだっ!!!」ブンッ…!!!!


携帯電話『』ヒュン!!!!


地面『』ガンッ…!!!!




携帯電話『』コロ…コロ…………

シンジ「」ハァハァ… ハァハァ… ハァハァ…















ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レイ『…碇くんは、どうしてまだここにいるの?』

レイ『…私がEVAに乗るからあなたは帰ってって、最初に言ったはずなの…。なのに、どうして碇君はEVAに乗ったの?」

レイ『あなたは邪魔なの…』

レイ『私が初号機に乗る邪魔なの…』


レイ『…私は頼んでなんかいない。…碇くんが勝手に乗っただけ』

レイ『…碇くんが勝手に乗っただけ』

レイ『…碇くんが勝手に乗っただけ』

レイ『…碇くんが勝手に乗っただけ』

レイ『…碇くんが勝手に乗っただけ』

レイ『…碇くんが勝手に乗っただけ』

レイ『…碇くんが勝手に乗っただけ』

レイ『…碇くんが勝手に乗っただけ』

レイ『…碇くんが勝手に乗っただけ』

レイ『…碇くんが勝手に乗っただけ』

レイ『…碇くんが勝手に乗っただけ』

レイ『…碇くんが勝手に乗っただけ』

レイ『…碇くんが勝手に乗っただけ』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー








シンジ「………ぅぅぁあ!!!」グッ…!!!! ギューッ!!!!


シンジ「」ヒロイ…



シンジ「」ツー…… ボタッ……… ボタッ………


シンジ「…僕はもう、誰にも優しくしない……!!」ポタッ…… ポタッ……

シンジ「…僕はもう、誰かに優しくされた事なんて信じない……!」ポタッ…… ポタッ…… ポタッ……


シンジ「…少し優しくしたばっかりに僕は酷い目に遭ったんだ……!!」ポタポタ…… ポタポタ……

シンジ「…少し優しくされたばっかりに僕はもっと酷い目に遭ったんだ……!!」ボタボタ… ボタボタ…





シンジ「だからっ!!」ボロボロ……



シンジ「エヴァにはもう……」ギリッ…!!!

シンジ「……全部、綾波が乗ればいいんだっ!!!!」ボタボタ、ボタボタ、ボロボロ

ブンッ…!!!!



携帯電話『』ビュン…!!!!





ジャングルジム『』ガキ、ガキ、ガキーンッ……!!!!



携帯電話『』バキッ……!!! パリンッ………!!!!






携帯電話『』コロ……コロ…… パラパラ……




シンジ「」ハァハァ… ハァハァ… ハァハァ… ハァハァ…





シンジ「…ぅ……」エグッ、エグッ、エグッ……







シンジ「…………ぅ……うぅ………!」ゴシゴシ…… ゴシゴシ……

シンジ「ぅぅ、ぁぁ……!!!」エグッ、エグッ、ボロボロ、ボタボタ……




シンジ「」トボトボ…… トボトボ……










携帯電話『』……………………

ー 同時刻 太平洋上 中心付近 ー


第五使徒『』ゴウン、ゴウン、ゴウン…




第五使徒『』ゴウン、ゴウン、ゴウン、ゴウン…







第五使徒『』ゴウン、ゴウン、ゴウン、ゴウン、ゴウン…










第五使徒『』ゴウン、ゴウン、ゴウン……






第五使徒『』ゴウン、ゴウン………







第五使徒『』ゴウン………………







最初の展開から

シンジ「ダメだ!僕がしっかりしないと…!!」

ミサト「あらあら~シンちゃんって
がんばり屋さんね~ウフフ♪」

的な内容になると
思ったのに

ー 翌日 朝 ー

ー 学校 教室 ー


シンジ「…………」

ケンスケ「ど、どうしたんだよ!? 碇、その顔!?」

トウジ「パンパンに腫れ上がっとるやないか!? 試合終わった後のボクサーみたいになっとるで!?」

シンジ「…………」

ケンスケ「一体、昨日、何があったんだよ!?」

トウジ「ま、まさか、ワシが殴ったせいかいな? そないひどく殴ったんか、ワシは……!!」


シンジ「…………モウ、ホットイテヨ…」ボソッ

ケンスケ「いや、いくらなんでもこれはトウジのせいじゃないよ。一発殴ったぐらいじゃ、絶対こんなひどくはならないし、それに昨日の夜までは普通だったんだから…!」

トウジ「ホ、ホンマか…!? せやけど……」


シンジ「…………モウ、ダマッテテヨ…」ボソッ

トウジ「ん? ど、どないしてん、碇? なんか言うたか?」

ケンスケ「昨日の夜、帰ってから、一体何があったんだ、碇!?」


シンジ「…………もう、僕に話しかけないで……」ボソッ…

トウジ「え……」

ケンスケ「碇……?」


シンジ「…………」

トウジ「せ、せやけどな、碇!」

ケンスケ「待てよ、トウジ。落ち着けよ」スッ

トウジ「ケンスケ…?」


シンジ「…………」


ケンスケ「……碇。お前がさ、俺たちに対していい感情を持ってないってのは知ってる、っていうか100%俺たちが悪いんだけどさ…」

シンジ「…………」

ケンスケ「でも、昨日、戦自の人たちの話を聞いてさ。で、トウジにもその事を話したら、トウジもわかってくれて、俺たち二人で昨日の事は本当に反省したんだよ…」

シンジ「…………」

ケンスケ「それに、昨日のお前の様子見れば、お前も色々と追い詰められてたり、必死だったってのはわかるんだ」

シンジ「…………」

ケンスケ「だからさ、改めて俺たち、もう一回謝るからさ……。その……。碇も俺たちの事を許してくれないか。お前の事が心配なんだよ、俺もトウジも」

トウジ「せや、ごっつう気にしとんねん! 悪い事したとホンマ思てんねんで!」

シンジ「…………」

ケンスケ「あの時は本当にごめんな、碇! 許してくれよ!」ペコリ!!

トウジ「ホンマすまんかった! ワシの事、思いっきり殴ってくれてかまへんから、どうか許したってや、碇!」ペコリ!!!


シンジ「…………」

シンジ「…………」ボソッ

ケンスケ「……?」

トウジ「すまん、碇…。今、なんて言うたか聞こえへんかった。もう一回言ってくれへんか…?」



シンジ「…………もう、いいから……」ボソッ


ケンスケ「えっと…その…碇……。それって…どういう意味……?」

トウジ「ワシら二人を許してくれるいう事か?」



シンジ「……もう、どうだっていいから」ボソッ

ケンスケ「あ………」
トウジ「え………」

シンジ「……あっちに行ってよ、二人とも」ボソッ

ケンスケ「な………」
トウジ「おーー」

シンジ「もう、僕には構わないでよっ!!!」ガンッ!!!!


机『』ガタッ…! ズガシャーン!!!!
ノートPC『』ガンッ!!! バタッ……!!







ケンスケ「」ハァ……

トウジ「こら、アカンわ…………」

ヒカリ「鈴原、相田くん! それに碇君! 一体何があったの? 何の騒ぎ、これ!?」

トウジ「ああ、委員長、すまん! 何でもあらへん! ワシら、ちょっと転校生に知らず知らずの内にひどい事言うてしもたみたいで、怒らせてしまったんや。せやろ? 堪忍な、碇」ペコリ

ケンスケ「ごめんなー、碇。俺ら、とりあえず一旦この場から消えるよ。また後で謝りに来るからさ、そん時はまた、改めて考え直してみてくれよ。ごめんな」ペコリ

二人「」サッサッサ……
扉『』ガラッ トジ……





ヒカリ「もう! 何なのよ、あの二人は……!」



シンジ「…………」


シンジ「……」
机『』ガタッ ナオシ…


ヒカリ「あっ、碇君、これ。拾っといたから。はい、どうぞ」スッ
ノートPC『』

ヒカリ「壊れてないといいけど……大丈夫かな?」

シンジ「」ウケトリ…
ノートPC『』カタカタ、カタカタ… トジッ…

シンジ「……」



ヒカリ「あ…………えっと……」

シンジ「…………」


ヒカリ「その……碇君。別に…お礼を催促する訳じゃないけど、その態度はあんまりよくないんじゃないかな?」

ヒカリ「ほら、さっきの鈴原たちの時だってそうだけど、二人とも謝ってたんだから……もう少し……何て言うか…」

シンジ「…別に、僕が頼んだ訳じゃない」ボソッ


ヒカリ「」ムッ…

シンジ「…あの二人が勝手に謝ってきただけだし、さっきのも洞木さんが勝手にパソコンを拾っただけだよ」ボソッ

ヒカリ「あっ、そう。もういいわよ!」フンッ

ヒカリ「」クルッ、スタスタ…







シンジ「……」フイッ……














レイ「……」………………


ー 廊下 ー

トウジ「いやー、うまくいかんもんやな……。何でかはわからんが、逆に怒らせてしもたわ……」

ケンスケ「そうだね……。まあ、ちょっと腹立つところもあったけど、元々のきっかけ作ったのは俺たちなんだから、それは仕方ないとして……」

トウジ「この後、どないするかやなあ…」

ケンスケ「とりあえず…今日のところはもう諦めて、また明日にでも謝ればいいんじゃないかな?」

トウジ「…………それがええかもしれんな。……にしても、ごっつう気になるなあ、碇のあの顔の腫れ具合……」

ケンスケ「俺は態度の違いも気になるよ…。昨日の昼はボロボロ涙流しながら土下座して、夕方にはうつむき加減で何も喋らなくなって、そして今日は何故かぶちギレ状態だろ? いくら何でも一日でこれだけ変わるなんて、碇のやつ、様子がおかしいよ……」

トウジ「顔の腫れとなんか関係あるんやろか…? いや、間違いなくあるわな…そら……」

ケンスケ「問題は、それが何なのかわからないって事なんだよなー……。碇が話してくれないとどうにもならないからさあ……」

トウジ「せやなあ……」

ー 一時限目 休み時間 ー

ケンスケ「……なあ、トウジ。さっきの授業中さ、ずっと考えてたんだけどさ……」

トウジ「なんや?」

ケンスケ「碇の顔の腫れの事だよ。あれってさ、エヴァの操縦訓練を受けてそうなったとか、そういうんじゃないのかな?」

トウジ「訓練? どういう事や?」

ケンスケ「だからさ。ほら、よく昔のマンガとかアニメであるだろ? ロボットの操縦をさせる為に、過酷な訓練をさせて鍛えるとかそういうの。特訓だー! とか言ってさ」

ケンスケ「で、昨日はその特訓があまりにもきつかったから、今日はストレスがたまってカリカリしてるとか……そんな感じ」

トウジ「はあ……。まあ、なくはないやろうけども……」

ケンスケ「違うかな…? ありそうな気がしたんだけど……」

トウジ「さあ、どうやろ…。ワシにはなんとも言えへんわ…」カシゲ

ー 二時限目 休み時間 ー

ケンスケ「じゃあさ、トウジ。こういう考えはどうだろ。エヴァのパイロットである碇を誘拐して、身代金を要求しようとした連中がいたとか」

トウジ「身代金?」

ケンスケ「そう。もしくは政治的取引」

トウジ「はあ……」

ケンスケ「で、昨日の夜、碇はその一味にさらわれてしまった。ただ、その時、碇が抵抗したんで、大人しくしろ! とか言われてタコ殴りにされてしまった…」

ケンスケ「そして、もちろんそんな事件があったって事は秘密にされるだろうから、ストレスと恐怖と不満を抱えた碇は今日イライラしている……どうだろう?」

トウジ「まあ、それもなくはないかもしれへんけど……」

ケンスケ「違うかなあ……?」

トウジ「ワシにはなんとも言えへんなあ…」カシゲ

ー 三時限目 休み時間 ー

トウジ「…なあ、ケンスケ」

ケンスケ「ん? 何?」

トウジ「碇のやつ、家で虐待受けとるとか、そないな事はあらへんやろか?」

ケンスケ「まさか。それこそないよ、トウジ。碇はエヴァのパイロットなんだぜ? もしも、そんな事があったら、ネルフが黙ってるはずないよ」

トウジ「そうか……。せやな……。大事なパイロットやもんな。そもそも親もそないな事はせんか…」

ケンスケ「世間体とか考えたら、絶対出来ないんじゃないかな? 逆にメチャメチャ大事にされてるんじゃないかと思ってるよ、俺は。碇がエヴァのパイロットになる事で、親も相当お金もらってるだろうしさ」

トウジ「そういうもんかいな…? ワシには金の事はようわからんが」

ケンスケ「少なくとも、ハリウッドの有名子役なんかよりは遥かにギャラが多いと思うんだけどなあ。自分の命がかかってる訳だし、他の大勢の人の命も守ってる訳だからさ」

トウジ「それもそうやなぁ…。すまんかった、ワシにはそんぐらいしか思い浮かばへんかったからな」

ケンスケ「別に謝る事じゃないけど、ただまあ、絶対、なにかネルフ絡みの特殊な理由だとは思うんだよね。それが何なのかわからないのが悔しいなあ…」

トウジ「せやなあ。心配やからなあ…」

ケンスケ「うん……」

ー 学校 教室 ー

ー 昼休み ー

シンジ「…………」


シンジ「」
弁当『』パカッ

シンジ「…………」モソモソ… モソモソ…

















レイ「……」

レイ「」トリダシ…
スマホ『』

レイ「……」
スマホ『』スッ、スッ、ススッ、スッスッ、ススッ、ススッ、スッ、ススッ

クラス女子A「やっぱり綾波さん……ケガしてて片手でもスマホは使うんだ…」ヒソヒソ

クラス女子B「休み時間いっつもいじってるからね。昼休みもご飯も食べずにずっといじってるでしょ。もう生活の一部みたいなもんなんじゃないの?」ヒソヒソ

クラス女子C「それにしても何やってるんだろ? メールって事はまずないだろうから、やっぱソシャゲ?」ヒソヒソ

クラス女子D「ネット住人なんじゃない? 綾波さんって、友達いないし、誰とも喋らないから…」ヒソヒソ

クラス女子E「孤独なうww とか、呟いてるのかなあ……」ヒソヒソ

クラス女子A「学校も休みがちだしね。半引きこもりみたいな感じだよね」ヒソヒソ

クラス女子B「パット見、ブログとかしてそうな雰囲気はあるんだけどね。今日は家で飼ってる犬を撮ってみました、とかそんな落ち着いた感じの」ヒソヒソ

クラス女子C「っていうか、何でケガしたんだろね、綾波さん。交通事故にでも遭ったのかな?」ヒソヒソ

クラス女子E「さあ……。知ってる人、多分、誰もいないと思うよ。綾波さん、中学からこっちに転入してきたから、小学校からの知り合いとかも一人もいないだろうし……」ヒソヒソ

クラス女子D「そう考えると、本当に孤独なんだね、綾波さんって……。なんか可哀想だなあ……」ヒソヒソ

レイ「……」
スマホ『』スッ、ススッ、ススッ、スッスッ、ススッ、スッスッスッーー

スマホ『!』Rrrrrrrr Rrrrrrrr






レイ「」ピッ

レイ「…はい」



レイ「はい…」



レイ「使徒…」



レイ「はい。…了解です」



レイ「はい。…すぐに行きます」




レイ「」ピッ……

レイ「……」

レイ「」チラッ










弁当『……』
シンジ「……」モソモソ… モソモソ…









レイ「……」

レイ「」クルッ、タッタッタ


扉『』ガラッ トジ……





ー 廊下 ー


レイ「」タッタッタッタッタッ……

ー ネルフ本部 発令所 ー


ビィー!!! ビィー!!! ビィー!!!


青葉「おーい、また警報鳴ってるぞ。誰か止めろよ。落ち着いてギターの練習も出来ないだろ」
ギター『』ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャジャッ♪

日向「今月に入ってこれで12回目だもんな。ちょっと誤作動多すぎだよな」カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「そんな事言ってる間に止めてくれよ。今、俺、両手塞がってるんだからさ」
ギター『』ジャカジャカ、ジャカジャカ♪

日向「悪いけど、今、ネトゲのクエストの真っ最中なんだよ。仲間と時間合わせてやってるから、途中で抜ける訳にはいかないしさ」カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「……なら、しょうがないか。まあ、その内誰か止めるだろう…。ただ、音が混ざって練習しにくいんだよなあ」
ギター『』ジャジャッ、ジャッ、ジャ、ジャンッ♪

ビィー!!! ビィー!!! ビィー!!!


日向「そっちこそ、ギターの練習なんていつでも出来るんだから、ほどほどにしてそろそろ仕事したらどうだ? それ、朝からずっとやってるだろ?」

青葉「俺は来週、組んでるバンドのライブがあるんだよ。俺だけ練習サボる訳にはいかないだろ」

日向「じゃあしょうがないな…。ただ、今週は色々とやる事多いんだから、後で夕飯ぐらいおごりなよ」

青葉「わかってる。それより、今度もライブに来る気ないか? 前と同じで、地下のライブハウスでやる予定なんだけどさ」
ギター『』ジャッ、ジャッ、ジャジャジャッ♪

日向「葛城さんが行くっていうなら行くよ。それ以外は行く気がないかな」カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「色々と正直過ぎだろ……」
ギター『』…………

ビィー!!! ビィー!!! ビィー!!!


冬月「やれやれ…」トコトコ…

冬月「こうもうるさくては、ろくに昼寝も出来んな…。すまんが、警報を止めてくれんかね」

青葉「あっ、副司令、すみません。すぐ警報切りますから」クルッ… カチャカチャ、カチャカチャ…

ピタッ シーン…………

青葉「今、切りましたので、どうぞ。また、休んでて下さい。副司令も色々とお疲れでしょうから」

冬月「いや、一度起きてしまったからには、もう一度すぐにとはいかないものだよ。それに、もうそろそろ起きなければならない時間だったしな」

日向「珍しいですね、今日は何か昼から予定でもあるんですか?」カチャカチャ、カチャカチャ

冬月「なに、大した予定ではないよ。市の将棋大会がこの後あるのでな」

青葉「ああ、そういえば、前回は優勝されたんでしたっけ? 今回は防衛戦ですか」

冬月「あの程度の大会では大して自慢にもならんがね。単に老人の暇潰しに過ぎんよ」フッ…

日向「まだまだお若いのに何を言ってるんですかw」カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「そうですよ。それに第三新東京市は人口が多いんですから、十分自慢になりますって」

冬月「人口が多い

冬月「人口が多い

冬月「人口が多いからといって、レベルが高いとは限らんものだよ。それに、私自身、まだまだ未熟だと感じる時の方が遥かに多くてな。MAGIと指してるとつくづくそれを実感させられるよ」

日向「MAGIと比べたら駄目ですよ、副司令ww」

青葉「あれは別格なんでww」

冬月「一度ぐらいは勝ってみたいものだがね。そう思って、この前六枚落ちで勝負したら、100手もいかない内に、31手先であなたの詰みです、と言われてしまったよ。将棋というものは本当に奥が深いな…」フッ…

冬月「さて…少々余計な話をしてしまったな。私はこれからスイカ畑に水をまいてから、そのまま出かけようと思っているが、後の事は頼んでもいいかね?」

日向「了解です。任しといて下さい」カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「防衛出来るよう、後武運をお祈りしてますよ」

冬月「もちろん、出るからには全力を尽くすつもりだが、しかし、勝負は時の運とも言うのでな。言い訳に使うつもりはないが…。それでは二人とも、よろしく頼むよ」クルッ、トコトコ…










日向「…今回も優勝出来るといいんだけどな、副司令」カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「頑張って欲しいよな。俺もライブに向けて弾みがつきそうな気がするし。さ、練習、練ーー」

Rrrrrrrr Rrrrrrrr

青葉「と思ったら、いきなり電話かよ。くそっ」ガチャッ

青葉「はい、ネルフ本部……。ああ、はい…。はい……。はい…。了解です。では…」ガチャ

日向「どこからの電話だった?」カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「戦自から。残念なお知らせだよ。使徒が来たってさ」

日向「嘘だろう……。こっちはもうすぐで、クエストが終わるってところなのに…」カチャカチャ、カチャ、カチャッ

青葉「諦めろよ。流石にこのまま放置は出来ないからな」

日向「それはわかってるけどさ…。だけど、15年も来なかったくせして、次に来るのが3日後とか……。どれだけ空気読めないんだよ、使徒のやつ……」カチャ、カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「来るのは別にいいけどさ、せめてもう少し暇な時に来いって話だよな」

日向「全くだよ。お、GJ! GJ! っと…」カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「……おい、日向。往生際が悪いぞ。諦めろよ」

日向「わかったよ…。あと少しだったのに…」ハァ…
カチャカチャ、カチャ、ログアウト……

青葉「終わったか?」

日向「ああ、無理矢理終わらせたよ。後でネトゲ仲間から何を言われるかわかったもんじゃないってのに」ブツブツ

青葉「そんなにやさぐれるなよ。とりあえず、俺は日本政府と関係各省に通達しとくから、そっちは避難命令よろしくな」

日向「避難命令ぐらい、戦自にやらせればよくないか? あいつら役立たずだから、それぐらいしてもらわないと給料泥棒もいいとこだぞ」

青葉「…ホント、やさぐれてるな。…まあ、正論だからいいけどさ」

青葉「じゃあ、代わりに碇司令やミサトさんとかに連絡してくれるか? 戦自への連絡は……まあいいか。いくらあいつらでも、それぐらいの機転は持ってるだろうし…」ガチャ、トゥルルル、トゥルルル…

日向「持ってなきゃ本当の役立たずだよ。みんなへの連絡は了解した。やっとくよ」スッ…
アイフォン『』スイッ、スッ、ススッ、スイッ

日向「使徒キタ━━━━ヽ('A`)ノ━━━━っと…」イッセイソウシン…

青葉「それ、いい加減、時代遅れじゃないか?」

日向「そうかな? まだまだ現役だと思うんだけどな……」

ー 数分後 ー

レイ「」タタタタタッ…

レイ「…すみません、遅くなりました」ペコリ…

レイ「…今から初号機に乗って出撃したいと思いますので、よろしくお願いします」ペコリ…

日向「ああ、レイちゃん。もう来たんだ。気にしなくていいよ。十分早い方だから」

青葉「そうそう。それに使徒もまだこっちまでたどり着いてないし、碇司令たちもまだ誰一人来てないから、出撃許可も出せないしさ。もっとゆっくり来てもよかったぐらいだよ」

アイフォン『』ピピピピ…

日向「おっと、噂をすればメールが返ってきたか。多分、司令か葛城さんからじゃないかな。赤木博士やマヤちゃん、返事が返ってくるの遅いからなあ」

青葉「それ、お前が嫌われてるだけじゃないのか?」

日向「それは違う、と信じたいな……」
アイフォン『』カクニン…

青葉「で、誰からだった?」

日向「…予想通り、司令から。今日は北米支部までS2機関の説明会に行ってるから、そっちで臨機応変に動いてくれ、だってさ」

レイ「それなら、すぐに出ます。…出撃許可をお願いします」ペコリ

青葉「ああ、いいよ。行ってきなよ。楽しんでおいで」バイバイ

日向「俺たちここで写メ撮っとくから、いいのが撮れたら後で送ってあげるよ」バイバイ

レイ「ありがとうございます。…失礼します」タタタタタッ…



ドア『』プシュッ…

レイ「」タタタタタッ…

ー EVA初号機 格納庫 ー

レイ「」タタタタタッ

レイ「」ハァ… ハァ…


レイ「」スッ…
ノート型外部端末『』ジメンニオキ…



レイ「…メインコントロールをリモートにして、外部端末へと移行」
ノート型外部端末『』カチャカチャ… カチャカチャ…

レイ(…やっぱり片手だと打ちにくい。…でも、急がないと)

レイ「……」
ノート型外部端末『』カチャカチャ… カチャカチャ…

ピュイン……

レイ「…移行を確認」



レイ「…目標の分析開始」
ノート型外部端末『』カチャカチャ… カチャカチャ…

レイ「…パターン青。…第五使徒と識別」



レイ「…初号機のエントリープラグ、挿入準備開始」
ノート型外部端末『』カチャカチャ… カチャカチャ…

エントリープラグ『』ガコッ、ウィーン…




レイ「…地対空戦用意。第三新東京市を戦闘形態へと移行」
ノート型外部端末『』カチャカチャ… カチャカチャ… カチャカチャ…






ー 第三新東京市 地上 ー


ビル『』ニョキニョキ、ニョキニョキ…

砲塔『』ウィーン、ガチャッ

地下ビル『』ガコッ、ズズーン…

ー EVA初号機 エントリープラグ内 ー


レイ「…LCL注水開始」
ノート型外部端末『』カチャカチャ… カチャカチャ…

ゴボッ、ゴボゴボ、ゴボゴボ……



レイ「…注水完了」



レイ「…主電源接続開始」
ノート型外部端末『』カチャカチャ… カチャカチャ…

主電源『』ウィーン、ガチッ…



レイ「…第二次コンタクト開始。思考形態は日本語を選択」
ノート型外部端末『』カチャカチャ… カーー


ビビィーッ!!! ビビィーッ!!!

error!! error!! error!! error!! error!!


レイ「!?」

レイ「どうして……?」

レイ「……」
ノート型外部端末『』カチャカチャ… カチャカチャ… カチャ…………


レイ「…そう。パーソナルデータが碇君のままなの。…変更されてないのね」

レイ「…データの書き換え開始」
ノート型外部端末『』カチャカチャ… カチャカチャ… カチャカチャ…



ビビィーッ!!! ビビィーッ!!!

error!! error!! error!! error!! error!!



レイ「…!」

レイ「ダメ、パーソナルデータの変更権限が私にない…。私では書き換えられない…」グッ………

ー ネルフ本部 発令所 ー

レイ「」タタタタタッ…

レイ「」ハァ… ハァ…


青葉「ん…?」

日向「どうしたの、レイちゃん。そんなに息を切らせて」

レイ「…初号機のパーソナルデータが」ハァ… ハァ…

レイ「…碇君のままだったので、書き換えをお願いします」ペコリ…


青葉「書き換え? ……ああ、そうか。あれ、赤木博士かマヤちゃんじゃないと書き換えれなかったっけ」

日向「って言っても、まだ二人ともメール返って来てないんだよな。葛城さんからはもう返ってきたんだけど……」

青葉「ああ、返事来てたんだ。すぐ来るって?」

日向「いや、今、パチンコで連チャン中だから来れないってさ。確変が終わり次第来るそうだよ」

青葉「……ああ、うん…。今月ピンチだって言ってたからな…。切実な問題だけに何も言えないか」

日向「俺は元々、葛城さんには何も言えないけどね」

青葉「そっちの方が切実な問題そうだな…」


レイ「…………」

レイ「…あの」

日向「ああ、ごめん。話がずれちゃったか。わかってる。赤木博士に連絡をとってみるよ」

レイ「…それと、出来れば第一種戦闘配置命令も総員に通達お願いします」ペコリ…

青葉「ああ、それは俺がやるよ。日向は早く赤木博士に連絡とってあげなよ。あんまり待たせちゃレイちゃんが可哀想だろ」ガチャッ

日向「そうだな。了解。じゃあ、そっちは頼んだよ」

青葉「了解」スーッ…


青葉「…総員に通達! 第一種戦闘配置!」


アナウンス「…総員に通達します。第一種戦闘配置。第一種戦闘配置。職員は所定の位置について下さい」


青葉「やっぱり、これ言わないと雰囲気出ないな」

日向「本当だな。さてと…」スッ
アイフォン『』ピッ、トゥルルルル、トゥルルルル……


日向「…………なかなか出ないな」
アイフォン『』トゥルルルル、トゥルルルル、トゥルルルル……


Rrrrrrrr Rrrrrrrr

青葉「おっと、こっちも電話か。大忙しだな、今日は」ガチャッ

青葉「はい、ネルフ本部……。ああ、はい。…はい。……わかりました」ガチャ……

日向「…何の電話だった?」
アイフォン『』トゥルルルル、トゥルルルル、トゥルルルル……

青葉「日本政府から。エヴァンゲリオンを出撃させろだってさ。こっちはピザ屋の宅配やってる訳じゃないんだけどな」

日向「しかも向こうは命令口調で言ってくるからなあ。本来なら、出して下さい、お願いします、って言うのが筋ーーあっ、もしもし、赤木博士ですか?」

アイフォン『おかけになった番号は、現在、電波が届かない場所にあるか、電源が入ってません。もう一度おーー』ピッ………

日向「…赤木博士はつながらないか……。じゃあ……」
アイフォン『』ピッ、トゥルルルル、トゥルルルル、トゥルルルル…

日向「…………」
アイフォン『』トゥルルルル、トゥルルルル、ガチャッ

日向「あっ、もしもし、マヤちゃーー」

アイフォン『おかけになった番号は、現在、電波の届かない場所にあるか、電源が入っーー』ピッ…

日向「…………」

日向「……」
アイフォン『』シマイ…


レイ「……」ジッ…


日向「…ごめん、レイちゃん、赤木博士もマヤちゃんもつながらなかったよ。…一体、どこに行ったんだろう?」

青葉「あっ!」

日向「どうした?」

青葉「今、思い出した。今日、映画館のレディースデイだろ? あの二人、毎週見に行ってるから、多分それだ…」

日向「ああ、それで電源切ってるのか。流石に二人ともマナーはいいな…。とはいえ、今回はそれが仇になったけど……」

青葉「だよな。…って事は、いつも通りだと、帰りは14時頃か……。それまで悪いけど、出撃は無理かな。レイちゃん」



レイ「……」

レイ「はい…」ウツムキ……

レイ「…わかりました……」……

レイ「…………」ウツムキ……




レイ「…あの」

日向&青葉「?」

レイ「…代わりに、零号機で出撃してもいいでしょうか。修復中でも問題ありません。…出れます」

日向「それはちょっと難しいんじゃないかな。零号機は、何故か昨日リフトが勝手に動いたとかで前より更に壊れたらしいからね。今、多分、起動すら出来ないんじゃないかな?」

レイ「…!」


レイ「……」スッ
ノート型外部端末『』カチャカチャ、カチャカチャ……


レイ「…はい。…そうみたいです」グッ………


青葉「ま、出撃したい気持ちはわかるけど、使徒は別に逃げやしないからさ、ゆっくり待ちなよ。あと2時間ぐらい、本でも読んでればすぐだよ」


レイ「…はい」……





レイ「……それなら私は、初号機の格納庫で出撃待ちしてます。何かあったら呼んで下さい…」ペコリ…

日向「いや、ここでそのまま待っててもいいよ。あっちだと落ち着かないでしょ」

レイ「いえ…。赤木博士か伊吹二尉が戻り次第すぐに出たいので、向こうで待機してます。…二人が戻って来たら、お手数ですが連絡をお願いします」ペコリ…

レイ「」クルッ……

レイ「」タタタタタッ…






ドア『』プシュン…

レイ「」タタタタタッ………

日向「…行っちゃったな」

青葉「あの子、色々と真面目だからな」

日向「ここでジュースでも飲んで、のんびり待ってれば良かったのに」

青葉「それか休憩室でな。確か、まだ碇司令からのお土産のお菓子が残ってーー」

Rrrrrrrr Rrrrrrrr Rrrrrrrr

青葉「ちっ、またかよ…。ちょっと電話多すぎだろ、今日」

日向「あ、いいよ。俺が出るよ」ガチャ

日向「はい、ネルフ本部……。ああ、はい。…はい。…………は?」ムッ

青葉「?」

日向「いや、それぐらいはそちらでしてもらわないと。……ええ、こちらも暇じゃないので…。ええ、はい……」

日向「」ハァ…

日向「…………わかりました、これからはこちらも可能な限りは協力する事にします。では…」ガチャンッ!!!


青葉「どうした? 何かイラついてるみたいだけど…」

日向「戦自から電話。非戦闘員と民間人の避難は全て終わったって報告と、次からはこっちも連携して協力してほしいっていう要請だよ」

青葉「何だよ、それ…! あいつら、自分たちの無能さを棚にあげて、よくそんな恥知らずな事言えるな」

日向「全くだよ。使徒戦じゃ、災害派遣で出動する以外役に立たないやつらが、何を偉そうな事言ってるんだって話さ」

青葉「で、そんな連中が、わざわざ人の仕事を増やしてくれた訳だ。本当に厄介者だな」イライラ

日向「だろ? 思わず頭にきてさ。税金の無駄遣いもいいとこだよ、あいつら」ブツブツ

青葉「街を一つ破壊するとか、イカれた事を平気でやる連中だからな。そのくせ、何の成果もなしとか、寄生虫以下の存在だろ。社会のゴミだな」イライラ

日向「本当に不愉快だよな。悪いけど、気分直しにちょっと、ネトゲの続きでもやらせてもらうよ。仲間にも謝っておかないといけないしさ」カチャカチャ、カチャカチャ… ログイン…

青葉「了解。じゃあ俺もギターの練習でも再開しようかな。どうせ赤木博士たちが来るまで暇だし」

日向「…そういえば、不愉快で思い出したけど、シンジ君はまだ来てないのか? あの子、確かEVAの正式パイロットになったはずだろ?」カチャカチャ、カチャカチャ…

青葉「そのはずだけどな。メールは送ったんだよな?」

日向「送ったよ。届いてないのか…?」カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「一応電話してみるか…」スッ
携帯電話『』ピッ、トゥルルルル、トゥルルルル……

日向「あれ? 青葉ってまだそのガラケー使ってるんだ。いい加減、変えた方が良くないか?」

青葉「これ、ネルフからの支給品だから、携帯代がタダなんだよ。自分用のはスマホだよ」
携帯電話『』トゥルルルル、トゥルルルル…

日向「ああ、そういう事……」カチャカチャ、カチャカチャ





青葉「……」
携帯電話『』トゥルルルル、トゥルルルル、トゥルルルル…


青葉「……おかしいな。出ないぞ、あの子……」
携帯電話『』トゥルルルル、トゥルルルル、トゥルルルル……

携帯電話『お客様のおかけになった番号は、現在、電波の届かなーー』ピッ……



青葉「ダメだな。電源切ってるっぽい。つながらなかった」ピッ……

日向「EVAのパイロットのくせして連絡がつかないとかあり得ないよな。相変わらず、自覚がなさ過ぎなんだよ、あの子」カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「前のミサトさんの言葉じゃないけど、仕事と遊びの区別が相変わらずついてないんだろ。頭悪すぎだよな、ちょっと」

日向「人類の存亡に関わってるって、葛城さんや赤木博士たちが何回も言ってるらしいんだけどな…。それでも理解出来ないとか、頭のネジが二、三個外れてるとしか思えないよ」カチャカチャ、カチャカチャ


青葉「とりあえず俺、学校に電話してみるわ。一回呼び出して少し説教した方がいいだろ、あの子」ガチャッ……

ー 第三新東京市 上空 ー


第五使徒『』ゴウン、ゴウン、ゴウン……

第五使徒『』フワッ……


第五使徒『』トウチャクー!!



ビル『』…………

砲塔『』…………



第五使徒『……?』

第五使徒『』チョイ… チョイ…

ビル『』…………

砲塔『』…………



第五使徒『』キュイ?

第五使徒『…………』

第五使徒『』キュイ!

第五使徒『』シュパッ!!


ビル『』ズズッ…… グラッ… ズシャーン!!

砲塔『』スパッ…… ボンッ!!



第五使徒『…………』

第五使徒『』キュイー♪




第五使徒『』キュイ! キュイ!

第五使徒『』シュパッ!! シュパッ!! シュパッ!!


ビル『』ズズズッ…… グラッ…ズッシャーン!! ガッシャーン!!

砲塔『』スパッ、スパッ、スパッ… ボンッ!! ボンッ!! ボンッ!!



第五使徒『』キュイー♪ キュイー♪

ー 学校 ー


Rrrrrrrr Rrrrrrrr Rrrrrrrr





シーン……





Rrrrrrrr Rrrrrrrr Rrrrrrrr




ー ネルフ本部 発令所 ー

青葉「……おかしいな。学校も出ないぞ…」

日向「そういえば、さっき民間人の避難が完了したって戦自から連絡がなかったっけ?」カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「ああ、そういう事か……。って事はひょっとして避難所にいるのか?」

日向「いや、それはないだろ。避難命令が出てるって事は、使徒が来てるって事だから……いや、あの子だったらそれも有り得るな…」カチャカチャ、カチャカチャ


青葉「……他人に危険な事押し付けて、自分だけは安全な場所に移動か。……人として最低だな、それ」

日向「ちょっと人間性を疑うよな。まあ、もしも本当に避難所にいたらの話だけどさ」カチャカチャ、カチャカチャ


青葉「確認してみるか……。流石にそこまでのクズではないと信じたいけどな」ガチャッ…

日向「信じ君なだけにね」カチャカチャ

青葉「えっと、シンジ君の学校の指定避難所は……」

日向「……信じ君なだけにね」

青葉「まあ、時間が少しかかるけど、向こうで調べてもらえばいいか……」

日向「…………」カチャカチャ、カチャカチャ……

ー 第334地下避難所 ー


ハンディTV『本日午後12時30分、日本国政府より特別非常事態宣言が発令されました。新しい情報が入り次第、お伝えいたします』


ケンスケ「」チラッ…

ケンスケ「なあ、碇…。これって使徒が来てるって事だろ…? いいのか? ここにいて……」

シンジ「…………」


トウジ「ネルフ本部に行かんと……まずいんちゃうか?」

シンジ「……僕がエヴァに乗る必要なんかないから…」ボソッ…

ケンスケ「なに言ってるんだよ、碇…! 必要はあるよ…!」

トウジ「せや! 使徒を倒せるのはエヴァしかおらへんのやろ! お前が乗らんで誰が乗るんや!?」

シンジ「…僕が乗らなくても代わりはいるから…! だから僕がエヴァに乗る必要なんかないんだ! もう放っておいてよ、僕を!!!」ダンッッ!!!




トウジ「そ、そうかいな……」

ケンスケ「わ、悪かったよ……知らなかったからさ……」

ー 第三新東京市 上空 ー

第五使徒『……』ジッ…

ビル群『』…………





第五使徒『』キュイ!!

第五使徒『』パシュッ!!



ビルA『』ズズッ… グラッ……

ドガッ!!!

ビルB『』グラッ……
ドガッ!!!
ビルC『』グラッ… ドガッ!!!
ビルD『』グラッ… ドガッ!!!
ビルE『』グラッ… ドガッ!!!
ビルF『』グラッ… ドガッ!!!
ビルG『』グラッ… ドガッ!!!
ビルH『』グラッ… ドガッ!!!
ビルI『』グラッ… ドガッ!!!
ビルJ『』グラッ……

ドガンッ!!!

砲塔A『』ボンッ!!! 砲塔B『』ボンッ!!! 砲塔C『』ボンッ!!! 砲塔D『』ボンッ!!! 砲塔E『』ボンッ!!!




第五使徒『』キュイキュイ♪ キュイー♪

ー 第334地下避難所 ー


ドンッ!
ドンッ!!
ドンッ!!!
ドンッ!!!!
ドンッ!
ドンッ!!
ドンッ!!!

ドオンッ!!!!




グラグラッ…!!! グラグラッ…!!!


クラス女子A「きゃぁ!!」ガバッ!!
クラス女子B「大丈夫、揺れただけだから! 心配ないよ! 大丈夫だよ!!」


クラス女子C「怖い…! 本当に大丈夫なの、ここ……!」ブルブル…

クラス女子D「地下シェルターだから大丈夫よ…! それに、ここが一番安全なんだから…!!」



クラス男子A「……」ガタガタ、ブルブル

クラス男子B「おおおい、おお前ビビってるるるのかよ、これぐらいいいでさww」カタカタ、ガチガチ

クラス男子C「おい、今は強がりはやめとけよ。マジでシャレになってないんだからさ……」チラッ…



グラグラッ…………!! グラグラッ…………!!





ヒカリ「みんな、落ち着いてよ!!」


クラス一同「……!?」フリムキ…


ヒカリ「この前だって、大丈夫だったじゃない!! もう少ししたら、きっとまた避難命令解除されるよ! だから、落ち着こう!」

クラス女子C「うん……わかってる。わかってるけど、でも……!」ガクガク、ブルブル…


クラス女子A「怖いよ、お父さん……! 怖いよ………!!」ボロボロ……
スマホ『』ギューッ!!!


クラス女子E「お母さん……! 私の事、守っててね……!! お願いだから……!!」ブルブル……
お守り『』ギューッ!!!



ヒカリ「大丈夫だよ、落ち着いて。もう少しできっと避難命令解除されるよ。だから、ね?」サスリ、サスリ…
クラス女子A「うん…………!」ギューッ!!


ドシンッッ!!!




グラグラッ……!!! グラグラッ……!!!


ケンスケ「」ビクッ!!!


ケンスケ「な、なんかさ、すごい揺れてるけど、大丈夫かなあ、トウジィ……」ウルッ…

トウジ「外での戦闘が激しいんやろ……。でも、流石にここは大丈夫だと思うで。だから落ち着けや、ケンスケ」

ケンスケ「ほ、本当かなあ…?」

トウジ「あー、もう、そない心配そうな顔するなや。ワシまで心配になってくるがな」

ケンスケ「でも、前回はこんなに揺れなかっただろ…? 今回の使徒、かなりの強さなんじゃないのか……?」ブルッ……

トウジ「ケンスケ……。お前それでもマタンキついとるんか。男だったら、腹くくってしっかりせいや! 誰が乗っとるかは知らへんがエヴァがきっと何とかしてくれるやろ。信じて待っとれ!」

ケンスケ「で、でもさあ……」

トウジ「それに、どうせワシらにはそれぐらいの事しか出来へんのや。だから出来る事ぐらいはきっちりやろうや。せやろ!」

ケンスケ「う、うん……。わかったよ……」










シンジ「…………………」スワリコミ…

















シンジ「…………アヤナミ…」ボソッ……


















シンジ「…………」ボソッ……





ー 第三新東京市 地上 ー





ビルの残骸『』…………




車の破片『』…………




潰された家『』…………




瓦礫の山『』…………




壊された砲塔『』…………




ひび割れた道路『』…………




崩れた歩道橋『』…………




横転したリニア『』…………








なぎ倒されたビル群『』…………

ー 第三新東京市 上空 ー



第五使徒『』キョロキョロ… キョロキョロ…

ナニモナシ……

第五使徒『』キュイ……?




第五使徒『…………』

第五使徒『』キュイー…………







第五使徒『』シタムキ…

装甲板『』…………



第五使徒『』キュイ!!

装甲板『』ビシッ!!

装甲板『』……ピキッ……





第五使徒『…………』


第五使徒『』キュイー…………




第五使徒『……』

第五使徒『』ホリホリ、ホリホリ……

ー 第334地下避難所 ー


シーン……






トウジ「…なんや……さっきから、ずいぶんと静かになったな……」


ケンスケ「…使徒を倒し終わったのかなあ……。まだ非常事態宣言は解かれてないみたいだけど……」

トウジ「そら、まあ、倒し終わったからいうて、すぐには解かれへんやろ……。でも、まあ、とりあえずは一安心ちゃうか?」

ケンスケ「うん……多分ね……。ホント良かったよ。さっきまで生きた心地がしなかったからさあ……」ホッ……

トウジ「……それにしても…。今回、戦闘が激しかったからサクラの事が心配や……。あいつ、ちゃんと避難出来たやろか……」

ケンスケ「…サクラって、確か妹さんだったっけ? …まだ入院中なんだよな?」

トウジ「せや……。避難忘れられとるとか、避難所が戦闘に巻き込まれとるとか、そないな事あらへんやろな……。あいつ、足ケガしとるさかい、自分では動けへんから……」

ケンスケ「…大丈夫だよ、トウジ。民間人の避難は全部完了したって、戦自の人も言ってたじゃないか」

トウジ「せやけどな……。あいつ、携帯持っとらへんから無事かどうかの確認も出来へんし……」

ケンスケ「…大丈夫だよ、トウジ。サクラちゃん、いい子なんだろ? 神様だって二回も不幸な目には遭わさせやしないって」

トウジ「だと、ええけどなあ……。でも、心配やなあ……」ハァ……










シンジ「………………」スワリコミ……



ドア『』ガコン……




先生「」キョロ…キョロ…

先生「あー……碇君。……碇君は、いますか……?」

ヒカリ「あっ、はい! こっちに避難してます!」

ヒカリ「」クルッ

ヒカリ「碇くーん! 先生が呼んでるよー! 碇くーん!」









シンジ「……はい」ボソッ……


シンジ「」トコトコ……

シンジ「……何ですか?」ボソッ

先生「あー……。君に電話が入っていますよ。……これを」スッ…
携帯電話『』……

シンジ「……はい」ボソッ ウケトリ……



シンジ「……はい、碇シンジです」ボソッ

ー ネルフ本部 発令所 ー

青葉「うわ、本当にいやがったよ……。あの子……」

日向「……いくらなんでもそれは引くよな…。どういう神経してるんだろう、全く理解出来ないよ……」カチャカチャ、カチャカチャ

青葉「同感だな……。今までどういう教育受けてきたんだろうな、一体」



シンジ『……もしもし』ボソッ

青葉「」チッ

青葉「もしもし、じゃないよ、シンジ君! 何で君はそんなところにいるんだよ!!」

シンジ『……避難してましたから』ボソッ

青葉「何ふざけた事を言ってるんだ!! 君、EVAのパイロットだろう!! 使徒が来てるってのがわかってて、どうしてこっちに来ないんだ!!」

シンジ『……僕は訓練以外ではエヴァに乗らせてもらえないという事だったので、行く必要はないと思いました』ボソッ

青葉「何様のつもりだよ、君は!! 物事を自分一人で勝手に判断するんじゃないよ!! 生意気な事言ってないで、さっさとこっちに来な!!!」

青葉「このドクズっ!!!」



シンジ『…………』

シンジ『……わかりました…』ガンッ!!! バキッ!! ブツッ!!!!

ツー、ツー、ツー……


青葉「!!」

青葉「何だよ、あのクソガキっ!!」ガチャンッ!!!!

ー 第334地下避難所 ー


シーン……





シンジ「……」







壁『』…………
携帯電話『』パキン……



シンジ「」クルッ、トコトコ……







ドア『』ガコン……



シンジ「」トコトコ…







クラス男子「」ヒソヒソ…

クラス男子「」ヒソヒソ…




クラス女子「」ヒソヒソ…
クラス女子「」ヒソヒソ…






先生「……」クビカシゲ…




ヒカリ「あの…先生、これ」スッ…
携帯電話『』…………



先生「……ああ……はいはい」ウケトリ……

ヒカリ「もう、壊れちゃってるみたいですけど……」

先生「…そう、ですか……」ハァ……

ー 外へと続く階段 ー

シンジ「」テクテク…





シンジ「」テクテク…




シンジ「…もう、エヴァには乗らないって決めたのに……」ボソッ




シンジ「…もう、きっと使徒は綾波が倒しているのに……」ボソッ




シンジ「…もう、ネルフに行く必要なんか何もないのに……」ボソッ




シンジ「…行ったって、どうせまた怒られるだけなのに……」グッ……!



シンジ「何でっっ!!!」
足『』ゲシッ!!!

壁『』ダンッ…………!!!



シンジ「」ハァハァ…… ハァハァ…







シンジ「…………クズとか言われてまで…」ボソッ…





シンジ「……」テクテク…



シンジ「」テクテク………

ー 第三新東京市 地上 ー


ー 第五使徒の姿 ー

ー 崩壊した街並み ー


出口『』ガコンッ……


シンジ「!!!」

シンジ「……なんっ、だよ、これ…………!!」


シンジ「……使、徒が……まだ…………!!」



シンジ「街が……めちゃく、ちゃ、に…………!!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

曽根《…碇シンジ君。改めて言わせてもらうが、君は俺たちには出来なかった立派な事をしたんだ。この街を守った》

日向《あれが、君が壊した街だよ》

曽根《それだけはどうか君も誇りに思って欲しい》

レイ《…あなたがモタモタしてたせいで使徒に壊された街》

曽根《あの時、俺たちは使徒がこの街を壊すところを、指をくわえて眺めている事しか出来なかった》

マヤ《被害額は何十億円にも上りますよね、きっと》

曽根《本当に、それだけの事しか出来なかったんだ……》

リツコ《今度は何万人の人が死んだかしらね…?》

木田《だから胸を張って生きてくれ》

青葉《…君が始めから来ていれば、死なずに済んだ人が何億人いるんだろうね?》

曽根《だから、俺たちは心の底から君に敬意を払っている。本当に、ありがとう……!》


ミサト《あなたが殺したのよ、シンジ君》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シンジ「ぁ…あぁ、ああぁ……」


シンジ「ぅぁあぁあぁああぁあぁあぁっ!!!!!!」








シンジ「ぅっっ………!!」ガクッ……








シンジ「……」ハァ…! ハァ…!









シンジ「っぅ……!」ハァ…!! ハァ…!!






シンジ「……ぅ…………」ハァ…!! ハァ…!!



シンジ「……がっーー」ッ…!!!

シンジ「」ゴフッ!!! ゲホッ!!!


シンジ「ぅぅっ……」ッ…!!!





シンジ「……エ…」ハァ…!! ハァ…!!




シンジ「…エヴァ、は…………?」ハァ…!! ハァ…!!




シンジ「………あ、やな、み…………は…………?」ッ、ゲホッ!!! ハァ…!! ハァ…!!





シンジ「……な、んで…………?」ハァ…!! ッ!!!!





シンジ「……なん、で…………!」ハァ…!! ハァ…!!




シンジ「……い、ない……の…………!?」ハァ…!! ハァ…!!






シンジ「……な、んで…………!!」ハァ…!! ハァ…!!







シンジ「……なん、でいな、いんだ、よ…………!!!」ハァ…!!! ハァ…!!!















シンジ「なん、でこん、な状態に……なってる、んだよ…………!!!」ハァ…!!! ハァ…!!!












シンジ「綾波ぃ!!!!!」ハァ…!!! ハァ…!!!!

















ー ??? ー


ガタンガタン……


ガタンガタン……


吊り革『』ユラ……ユラ……




カンカンカンカンカン……


ピィー……




ガタンガタン……


ガタンガタン……





シンジ「…………………………………」ウツムキ……




チビシンジ「…………」ジッ……






ガタンガタン……


ガタンガタン……




カンカンカンカンカン……






チビシンジ「…また、殺したんだね?」


シンジ「違う…!! 僕じゃない!! 僕のせいじゃない!!! だって、僕は今回、何もしてないんだからっ!!!」ガバッ…!!! ギューッ!!!!


チビシンジ「何もしてないからそうなったんじゃないの? 何かしてれば変わったんじゃないの?」



シンジ「違う!!! 違うよっ!!! 僕は何も悪くないんだっ!!!! 違うよっ……!!!!」ギューッ……!!!!




カンカンカンカンカン………



チビシンジ「僕は何も悪くないんだ? じゃあ、誰が悪いの?」


シンジ「…ぅ………!」ギューッ!!!!



チビシンジ「……」ジッ……





綾波「……」





綾波「…誰が悪いの、碇君?」


シンジ「」ハッ!

シンジ「綾波だよ! 僕の代わりに綾波が全部乗るって言ったんだ! だから僕は今回エヴァに乗る必要がなかったんだ!! 街が壊れたのは全部綾波のせいなんだっっ!!!!」ハァ…!!! ハァ…!!!





綾波「…………」

綾波「……そうね、私のせいね…。私が全部悪いの…」ウツムキ……


チビシンジ「そうやって、人のせいにして自分を守るんだ? 自分より弱い、関係ない他人を傷つけてまで」

シンジ「だって……! だって……! 僕は少しも悪くないんだ……! だから綾波が悪いんだ……! 僕はっ!! 僕はっ!!!」ギューッ……!!!!

チビシンジ「携帯電話を自分で壊した事は棚上げなんだ。憎んでるくせして、やってる事はあの大人たちと一緒だね」



シンジ「ぅぁあぁああぁああぁあぁああぁっ!!!! やめてよっ!!!! もうやめてよっ!!!! もうこれ以上、僕を傷つけないでよっ!!!!」ギューッ!!!!



ガタンガタン……



カンカンカンカン……


シンジ「…………」カカエコミ……




シンジ「……綾波が…………」ボソッ…

シンジ「……綾波が悪いんだ…………」ボソッ……

シンジ「……僕は悪くないんだ…………」ボソッ………





綾波「……そうね。……碇君は何も悪くない。…何も悪くない。…ごめんなさい、碇君。……私のせいで」ウツムキ……


チビシンジ「そうやって、他人は傷つけても平気なのに、自分が傷つけられるのは嫌なんだ? だから平気で他人のせいにするんだよね? やっぱりあの大人たちとおんなじだよ」


シンジ「嫌だっ!! 嫌だっ!!!! 嫌だっ!!!! もう嫌だっ!!! 誰か僕を助けてよっ!!!! 誰か僕を救ってよっっ!!!!」ギューッ!!!!

シンジ「誰か僕に優しくしてよっ!!!!!!」



チビシンジ「…………」ジッ……



ガタンガタン……

ガタンガタン……



シンジ「…………」カカエコミ……



チビシンジ「助けてくれた人ならいたよね?」


シンジ「いなかったよ! 誰もいなかったよ! 誰も僕に優しくしてくれなかった!! 誰も僕を助けてくれなかったんだ!!!」ブルブル!!!


チビシンジ「嘘だね。責任回避のための自己欺瞞だよ」


シンジ「違う!! 違う!! 誰もいなかった!! 僕は一人で頑張るしかなかったんだ!!! でも、もう限界が来たんだよ!! 僕はこれ以上もう頑張れないんだっ!!!」ギューッ!!!!

シンジ「無理だよ……! もう無理なんだ……!!」ポタ…ポタ…





綾波「……」ウツムキ……



……カンカンカンカンカン






吊革『』ユラ……ユラ……


ピィー……


シンジ「……」エグッ、エグッ……


チビシンジ「無理なら逃げればいいのに。もうこんなところにいる必要なんかないよね?」



シンジ「でも、まだ使徒が……!」エグッ、エグッ……

シンジ「使徒が……いるから……!!」ボロボロ、ポタポタ……


チビシンジ「使徒は綾波お姉ちゃんが倒すから平気だよ。このまま放っておいて、親戚のおじさんおばさんの家に帰ればいいんだよ」


シンジ「でも……!」ボロボロ、ポタポタ……


チビシンジ「それに、ネルフに行ってもきっと君はエヴァには乗せてもらえないよ。どうせ、また嫌な思いをするだけだよ。だから、帰ればいいんだよ」


シンジ「っ…………!」ポタポタ…… ポタポタ……





シンジ「」ギューッ!!!!



シンジ「ぅ……」チラッ……




綾波「…………」ウツムキ……





シンジ「ぅっ…! ぅぅっ………!!」エグッ、エグッ、エグッ……












ー 第三新東京市 地上 ー


シンジ「」ハァ…!!! ハァ…!!!!






シンジ「……」ハァ…!!! ハァ…!!!!




シンジ「……!」ハァ…!!!


自転車『』…………



シンジ「!」ボロボロ、ボタボタ……

シンジ「ぅっ!!!」グッ……!!!!

シンジ「!」ゴシゴシ…!!! ゴシゴシ…!!!




シンジ「」ダダダダッ!!!!





自転車『』ガチャリ!
シンジ「!」マタガリ!!




シンジ「うぁあぁぁぁ!!!」シャカシャカ!!!
自転車『』チリン、チリン!!




シンジ「っ!!」ポタ…ポタ… ポタポタ…

シンジ「ぅぅ……!!」グイッ、ゴシゴシ…!!

シンジ「うぅ、ぁあぁあぁっ!!!」シャカシャカ!!!
自転車『』チリン、チリン!!







自転車『』チリン、チリン……


ー 第三新東京市 地上 ー

ー リツコ&マヤ ー



マヤ「」キョロキョロ……


マヤ「……それにしても、ずいぶんと壊されたものですね、先輩。復旧が大変そうですけど…」テクテク…


リツコ「マヤ、形あるものはいつかは壊れるものよ。それに、私たちは人類全体を守っているのだから、これぐらい些末なものよ」テクテク…


マヤ「言われてみれば確かにそうですね。でも、使徒がまだ倒されていないのが少し気になります……。EVAはどうしたんでしょうか…」テクテク…


リツコ「シンジ君ならともかく、レイが出撃してないというのは少し気になるわね…。一度、ネルフ本部に連絡をとってみましょうか」スッ
スマホ『』デンゲンオン…


マヤ「てっきり、使徒がもう倒されていると思って避難所から出てきたのに……今日はさんざんでしたね」ハァ…


リツコ「本当ね。映画は途中で止められてしまったし、電車もストップしてるからネルフ本部まで歩いて帰らなくてはいけなくなってしまったし…」
スマホ『』ピッ、トゥルルルル、トゥルルルル…


マヤ「おまけに非常時だからという事で、上映料の返金もされませんでしたからね。ちょっと対応がひどすぎます。後でネルフの名前を使ってクレームの電話を入れときます」キリッ


リツコ「ええ、お願いね、マヤ。もし今回のようにお粗末な対応をするようであれば、こちらには全ての物を徴発する用意があると伝えておいて。そうすれば、きっと格段に応対が良くなるはずよ」
スマホ『』トゥルルルル、トゥルルルル…


マヤ「さすが、先輩。そうしますね♪」ニコッ

ー ネルフ本部 発令所 ー


Rrrrrrrr Rrrrrrrr Rrrrrrrr


青葉「はい、ネルフ本部です…。ああ、赤木博士ですか。お疲れ様です」


青葉「……EVAですか? 初号機は今、パーソナルデータがシンジ君のままなので……。はい……アクセス権限の問題で、僕らだと変更は不可能ですから」


青葉「零号機は修復中です。ええ、そうです。原因は不明ですけど……ところで、赤木博士は今どちらに…?」


青葉「……ああ、はいはい。そういう事ですか。それで今までマヤちゃんと一緒に避難所に……。確かにそうですね、命が一番大事ですから。いえ、そんな、とんでもない! 正しい判断だと思いますよ」


青葉「……え? …そちらまで迎えに、ですか? それはちょっと難しいですね…。なにせ道路があんな状態なので……。はい、そうです。車は恐らく使えないでしょうし、使徒がいる中でヘリを飛ばすのは危険ですから……」


青葉「ええ、そうです。格好の標的になってしまいますし、だいいちパイロットが嫌がって飛んでくれないと思いますよ」


青葉「ええ、はい……。そうですか……わかりました。こちらに着くのは1時間後ぐらいですね。はい、それじゃお待ちしてます」


青葉「ああ、それと、建物の崩壊とかがあるかもしれないので、本当にゆっくりでいいですよ。危ないから無理だけはしないで下さいね。はい…」ガチャッ…







青葉「さて……練習再開するか」
ギター『』ジャジャッジャッ、ジャンジャン♪


日向「オフ会かあ……どうしようかな…」カチャカチャ、カチャカチャ

ー 第三新東京市 地上 ー

ー ミサト ー


車『』メキョ…………

ミサト「……参ったわね、私の車…瓦礫で潰されてるじゃないの…」
景品『』ドッチャリ

ミサト「…… まあ、経費で新車を買えるから、それはいいとしても……」

ミサト「問題はどうやってネルフ本部まで行くかねー……。行くってメールを送っちゃった手前、ドタキャンするのは流石に気が引けるしー……」

ミサト「」チラッ



避難所出口『』…………


ミサト「しまったわねー。メールなんか返すんじゃなかったわー。っていっても、避難所に戻ってもやる事なんか何もないから退屈なだけなんだけどさあ……」

ミサト「……」ハァ…

ミサト「まあ、仕方がないわね。そこらへんにある乗り捨てられた車を使ってネルフ本部に戻るとしましょうか……」


ミサト「」テクテク…

ミサト「」キョロキョロ…


ミサト「あ、あった。キーつきのを発見♪ オマケにスポーツカー♪」

車『』ガチャ、バタン


車『』ブオン、ブオン…!!

ミサト「ま、瓦礫で道が塞がれていたら、一旦そこで降りて、また別の車へと乗りつないでいけば何とかなるわよね。それじゃ出発っと♪」フミコミ!

車『』ブロロロロ…!!

車『』キュキャキャキャキャッ!!!!


車『』ガコンッ!!! ガコンッ!!!



ミサト「あ、いつものくせでつい……。瓦礫だらけなんだから、安全運転で行かないとダメよね」テヘッ


車『』トロトロ、トロトロ……

ー 第三新東京市 上空 ー


第五使徒『』ホリホリ、ホリホリ






穴『』チョビッ……


第五使徒『』キュイー…………





第五使徒『』キョロキョロ…




ナニモナシ……





第五使徒『』キュイー…………






第五使徒『……』チラッ…

穴『』…………





第五使徒『』キュイ……





第五使徒『』ホリホリ…… ホリホリ……

ー 第三新東京市 地上 ー

ー シンジ ー




シンジ「うぁぁぁっ!!!」シャカシャカ!!! シャカシャカ!!!
自転車『』Bダッシュ!!





壊れたビル『』グラッ……

ホウカイ……





ドサッ!! ドガンッッ!!!




シンジ「ぁ!!!」
自転車『』ギュキキキキキィ!!!

シンジ「っ!!!」
自転車『』ガシャコーン!!!!

シンジ「がっ!!!!」ドサッ!!!! ゴロゴロ……!!!!



自転車『』ドカンッ!!!
自転車『』カラカラカラカラ…………



破片『』パラパラ……

モクモク……








シンジ「…………ぅ…ぅ……!」タオレ……








シンジ「……ぅ…………!!」ゴロッ……

腕、足、頭
血『』ドロッ……



血『』ツー……





血『』ポトッ……ポトッ……











自転車『』カラカラ……カラ…カラ……




シンジ「あ、ぅ……!!」ヨロッ………






シンジ「ぅぅ……!」ニジリ、ニジリ……







シンジ「…っ………!!!」ポトッ……ポトッ……





シンジ「…………ぅ…ぅ……!!!」ヨロヨロ…………








シンジ「ぐ…!!」ガシリッ
自転車『』オコシ……






シンジ「……ぁ!! ……ぅ!!!」ズキッ…!!
自転車『』マタガリ……






シンジ「…は、やく……行か、ないと……使徒が……また…………」グシュッ、ボロボロ……






シンジ「……みん、な……が…………世、界が………………」ボロボロ、ボタボタ……








シンジ「……あや、な…み………………何が…あった、の……どうしたの…………」ギューッ……!!!








シンジ「ぅ…ぁ…ぁぁぁ…!!!」シャカシャカ、シャカシャカ…
自転車『』チリンチリン、チリンチリン…

ー ネルフ本部 ジオフロント ー

ー スイカ畑の横の小さな墓 ー



冬月「……使徒が来ているのでね、将棋大会は中止になってしまったよ」

墓『』…………


冬月「……もっとも、君はチェス専門だったからあまり興味はないかも知れんがね」

墓『』…………


冬月「……すまないな、碇は今日は北米に行っていてね。二日連続で私だよ。許してくれ」

墓『』…………


冬月「……君が生きていたら、間違いなくこう言っていただろうな。使徒が来ているというのに、こんなところで何をしているんですか、とな」

墓『』…………


冬月「……だが、君が亡くなってから、私はもうこの世界の行く末については、とうの昔に諦めてしまったのだよ」

墓『』…………


冬月「……いい人なだけの碇一人ではどうにもならん。そして、私は何の権限も持たない補佐役だ。何か気にさわるような事を言えば、すぐに老害扱いされ、問答無用で皆から排除される存在だよ」

墓『』…………


冬月「……君の、本当の意味での子供を、ろくに守る事も出来ないような、無力で無意味な存在でしかない事は自分でも痛感しているよ。とはいえ、私がここを辞めたら今度は碇の方に矛先が向きそうでな……」

墓『』…………


冬月「……結果、見たくないものから目を背け続け、見てしまったものに関しても、見て見ぬふりを通す事になってしまった。本当にろくでもない人間だよ、私は……」

墓『』…………


冬月「……こんな私は、多分、死ぬ時は地獄に堕ちるだろう。だが、君は間違いなく天国に行ってるだろうから、直接謝れないのだけが心残りだ」

墓『』…………



冬月「…………」

墓『』…………









冬月「………………それでは私は行くよ。こんな役立たずの老人でも、時たま力になれる事があるのでね……」クルッ……

冬月「」トコトコ……












墓『』………………

更新出来ない日も結構あるので、基本、sageでお願いします
投下の時だけageます

ー ネルフ本部 発令所 ー


シンジ「」ダダダダダッ!!!









青葉「……」
ギター『』ジャカジャカジャン♪


日向「……」カチャカチャ、カチャカチャ


シンジ「」ハァ…!! ハァ…!!!


シンジ「すみません! 綾波は!? エヴァは!?」ハァ…!! ハァ…!!







青葉&日向「」チラッ…



青葉「……」ハァ…

日向「……」フゥ…

青葉「……」
ギター『』ジャンジャジャジャン♪


日向「……」カチャカチャ、カチャカチャ…





シンジ「あ……あの…!!」




青葉「……そんな大声出さなくったって聞こえてるよ。うっとうしい…」チッ

日向「……どっちも今は待機中。その内、出撃する予定だよ。これで満足かい?」チッ



シンジ「……その内って………!!」

シンジ「使徒がいるんですよっ!! 街がめちゃくちゃになってるんですよっ!!!」





青葉「……だから何? めんどくさいな、君。本当に」チッ

日向「迎撃都市なんだから、壊れて当然だろ? それに、世の中には壊れた方が都合がいい人たちだっているんだよ。もっと世の中の事を知りなよ、君。無知にも程があるよ」チッ








シンジ「そんな……!!」



シンジ「だって……!!!」ギューッ…!!!






シンジ「…だって…………!!!」ギギューッ…!!!







シンジ「ぐっ…!!!」ギュゥ…!!!!



シンジ「…それなら、僕が出ますっ!!!」



シンジ「僕をエヴァンゲリオンに乗せて下さいっ!!!」



シンジ「お願いしますっ!!!!!」







青葉「」ハァ…

青葉「……バカバカしい」



日向「」フゥ…

日向「遅れて来といて、今更、それ? 一体、何なの、君?」






シンジ「僕はっ……!!」


シンジ「僕はっ……!!!」








シンジ「エヴァンゲリオン初号機パイロット!!!」



シンジ「 碇シンジですっ!!!!!」





シンジ「」ハァ…!!! ハァ…!!!













青葉「……?」

日向「……??」




青葉「……いや、何を当たり前の事、言ってるんだよ? どっかで頭でも強く打ったのか?」


日向「……大体、君はEVAの補欠パイロットで、初号機パイロットじゃないよ。何をちゃっかり自分専用みたいな感じで言ってるんだか」ハァ…










シンジ「あ……! う………! ぐぅ…!!!」ダンダンダンッ!!!!



青葉「おい、その足をダンダンするのやめろよ。うるさいだろ」イラッ


日向「大体、エヴァに乗せて欲しいとか言う前に、君は他に言わなきゃいけない事があるんじゃないのか? 遅れて来た分際でさ」チッ


青葉「まあ、仮にあったとしても、もうどうでもいいんだけどな。親切で電話してやったら、逆ギレするとか有り得ないだろ」イライラ


日向「あんな態度とられて、誰がEVAに乗せてあげようなんて思う? こっちはもう君に関して、何かしてあげようなんて気持ちは更々ないんだよ」


青葉「だから、エヴァに乗りたきゃ、勝手に乗ればいいよ。ただし、俺たちは一切手伝わない。自分で何とかしなよ」




シンジ「う、あぁぁあぁぁっ!!!!!」ダンダンダンダンダンダンッ!!!!!!!!


青葉「」ムカッ!!

青葉「だからさ、その足をダンダンするのを止めろってさっきから言ってるだろ!」ゲシッ!!!

シンジ「ぐぅぁっ!!!」ズサッ…!!!






シンジ「っ………!」タオレ…

シンジ「…あ、ぅぅ……!!」エグッ、エグッ、エグッ


日向「下らない……。エヴァにどうしても乗りたいんだったら、こんな所で駄々こねてないで、さっさと格納庫に行きなよ。邪魔だよ…!」


青葉「手動でも、起動させようと思えば起動出来るんだから、そうしてくれ…! とにかくここから消えろよ! LCL臭くてかなわないんだよ、こっちは!」




シンジ「…ぅ、ぁ、ぅぅ……!!!」ボロボロ… ボタボタ…

これネルフは
ゲンドウ=マダオ
冬月=全てを諦め狂人を演じる事で自分を守る常人(ただし役に立たない)
その他職員=例外なく狂人(クズと言うより、狂ってる。言動全てが無意味、付き合うだけ無駄)
綾波=被害者その1(突き放しネルフから追い出す事でシンジを守ろうとしている?)
シンジ=被害者その2

こんな感じ?

じゃあ
綾波=被害者その1、誰も信用せず期待もしてない。当然シンジにも『ただでさえまわりがアレなのに余計な事してややこしくすんな、邪魔だから帰れ』とか思ってる
こんな感じだろうか



シンジ「ぅ……ぅ…!!!」ムクッ……







シンジ「ぐっ……………!!」フラッ……






シンジ「ぅぁあぁっ!!!!」ダダダダダッ…!!!!





ドア『』プシュン……



青葉「やっと行ったな……。うざくてたまらなかったよ、本当」チッ


日向「それにしても、どういう頭してるんだろうな。手動で起動出来るのは確かだけど、一人でそれを出来る訳ないのに」


青葉「それに、やり方も知らないだろ、あのバカガキ。そこら辺が考えられないから、あんなクズになってるんだろうな。自分の要求が全部通ると勘違いして、オモチャ売り場で泣きわめいている子供と一緒だよ」チッ


日向「わがままし放題のやりたい放題か…。絶対まともな大人になれないな」


青葉「全くだよ。あー、気分悪い。ちょっと俺、ロビーに行ってフリードリンク持ってくるわ」


日向「あっ、それなら、ついでにアイスコーヒーも持ってきてくれないか? シロップなしの、ミルクありで」


青葉「ちゃっかりしてるなw 了解」


日向「その間、ここは見とくよ。宜しく」バイバイ

ー ネルフ本部 廊下 ー




シンジ「父さんがっ……!!!」ダダーーヨロッ…





シンジ「父さんが向こうにいれば……!!!」グシュ… ダダダッ…!!!







シンジ「父さんにお願いすれば、きっと……!!!」ボタボタ… ダダッ、ダダダダッ!!!








シンジ「泣いちゃダメだっ……!! 絶対、何とかするんだっ…!!!」グイッ、ゴシゴシ… ダダ…ダダダッ…!!!







シンジ「」ダダ……ヨロッ……




シンジ「っ……!!」ダダ、ダダダッ……








ー EVA初号機 格納庫 ー




EVA初号機『』…………








シンジ「」ハァ…!! ハァ…!!









シンジ「………い、ないの…………? 誰も……!!!」グッ…… ボロボロ、ボタボタ…


ー 壁の隅 ー


レイ「…………」チョコン……
ノート型外部端末『』…………












シンジ「」ハッ!!!

シンジ「綾波っ!!」ダダダッ!!!


レイ「……」

シンジ「良かった…! 誰かいて良かった……!! 綾波がいて良かった……!!」ポタポタ……

レイ「…………碇君、どうしたの…?」

シンジ「綾波! 父さんを知らない!? それか、初号機の起動のさせ方を知ってたら教えてよ!! 急いでるんだっ!! 早くしないと街が!! 使徒が!! みんながっ…!!!!!」

レイ「…………」



レイ「……それを聞いて、碇君はどうするの…?」


シンジ「僕が初号機に乗る!! 乗って、使徒を倒してくるから!! だからっ!!」

レイ「……そう、碇君が乗るの…」

シンジ「綾波!! どっちか知らない!? 知ってたら教えてよ!!!」


レイ「」フイッ…


レイ「……どちらも、碇君に教える必要はないから」

レイ「EVAには…私が乗るから」



シンジ「……あ」


シンジ「っ…!!!」ギューッ…!!!


シンジ「…ぅ……ぅぁ……!!!」ボタボタ、ボロボロ…



シンジ「…………何でそんな事……綾波……!!」ギューッ……!!! ボタボタ…


シンジ「……だったら、綾波が今すぐエヴァに乗ってよ……!」ボロボロ… ボタボタ…


シンジ「…お願いだから……乗ってよ……!ケガしてるのはわかってるけど……!! でも、僕じゃ乗せてもらえないんだ……だから………!!!」エグッ、エグッ…




レイ「……碇君、なにを泣いているの…? EVAに乗れないのが、嬉しいの…? 悲しいの…?」




シンジ「…違うよ……!! ……そういう事じゃないよ………!」エグッ、エグッ…

シンジ「もう…………嫌だよ、僕……!」グシュ、ボロボロ… ボタボタ…



レイ「………何が?」



シンジ「綾波が…! 綾波が今すぐエヴァに乗ってくれないから……!」

シンジ「自分じゃ何も出来ないから……! …だから、悔しくて泣いてるんだよ……!」エグッ、エグッ…

シンジ「……それぐらい、わかってよ……!!!」ギューッ…!! ボロボロ、ボタボタ……





レイ「……」ウツムキ……




シンジ「……ぅ」ヒック、エグッ、エグッ……


シンジ「……僕と違って……! ミサトさんもリツコさんも、綾波の事は誉めてたのに……!!」エグッ、エグッ…


シンジ「綾波がエヴァに乗るって言ってたのに……!!!」ボタボタ、ボロボロ…



シンジ「何で……こんな所で待機してるの……!!!」ポタポタ… ボロボロ…


シンジ「何でエヴァに乗ってくれないの……!!」ボロボロ… ボタボタ…


シンジ「…何で……!!」エグッ、エグッ…





レイ「…………」ウツムキ……








レイ「…………ごめんなさい…碇君」


レイ「私は今……」

レイ「」


レイ「…………」ウツムキ…









レイ「」フイッ……










レイ「…今……乗る気がしないから……」ウツムキ……



シンジ「…!!」




レイ「……街なんて…壊れても直るもの」






レイ「……街の人がどうなったって、ネルフ本部さえ無事ならそれでいいもの」






レイ「……だから、必要ないの、みんな。…生きていようと死んでいようと、どっちでもいいの……」ウツムキ……







シンジ「っ!!!」

シンジ「綾波ぃ!!!!!!!!」

シンジ「…ぐっ!!」ボロボロ、ボタボタ…




シンジ「ぅぁ!!」グイッ、ダンッ!!
レイ「……っ」ギュッ…………
壁『』ドンッ…!!

んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

               _,|__|,_
                      ,.;x=7/>─</7ァx,
                ,ィ´///./      \//ヽ
               ,;'//////  \       ヽ/∧  安価が
               ,'//////   o|       |V∧
                  ;//////!    o!         lo}/ハ     「 'ニ)  、_
                 i//////|    o|         |o|/リ     、_,)   __) 」 だと? ルーシー
               V/////ハ__⊥ =-──┴--'--、
             ////\//|L -z、‐───=zァ7 ̄ ̄ヽ    予想外だ……
 .            //////./|ハ rテ汞ト-  ,ィァテ ∧___,ノ    この世には
           〈_//_, イ: |l:|: :〉 `冖`   /´冖'/|: |         その「安価」のために
 .              ̄ |: :|: :|l:|:/      │   ': l: :l        無償で…喜んで…
              _/l: :|: :|l:|'     -ト、ノ  / :│: ',         生命を差し出す者も
            / L:!: l : | | ヽ     --`- /l: : :l :_:_ゝ          大勢いる
      _r─‐x_ノ\l ∨ : |:l/⌒\  ー‐ ' イ┴<\
    /二二二\ \_ ∨ l:!   __` ー‐ '__|___/ ノ       たとえば
 .   /ニニニニニ∧   ヽV:/  /、   ̄二´   ,.ィ__        その者が
   {ニニニニニニハ     \/、 \____// |∧___      「女」であろうと
   /ニニニニニニニ}、 ,ィ      \_     i /  ./ ゚ \\_     ……
  r{ニニニニニニニ//。{            ̄ ̄    「 ̄\ } У \    修道女のような
  | \__二二二∠,.イ  i \_           ハ ゚ ゙ヽ 「jー-- 。〉   …………
  |ヽ.    ̄ ̄∧゚__\_l___,ノ__。 ̄了          \__厂\._/
 人 \__/  ./  / {_j       /                |  l |.l
/  \,       〈  /  /ヽ---<           -‐=   ̄ \_。_|ハ
          ∨。 ./   | |               ___|_|_∧
/`ヽ__         }/    | |        _ -‐   ̄  ̄ ̄Τl〉
ニニニ\___   l l      | |__ -‐  ̄  i:.           }ニ|

??シンジ君レイの首しめてる??

>>580
引っ張って壁に押しつけてるだけです
首はしめてません

改行→多少抑え気味に
表現しにくい箇所→地の文を追加

読みにくいようなら、また考えます
書く側としては、地の文が入った方が書きやすいです

涙を流しながら、レイを壁に押しつけるシンジ

目をそらさず、シンジを見つめるレイ


シンジ「ぅ……ぅぅ……!!」

レイ「……」


シンジ「…綾波…!! 乗ってよ…!! 今すぐ乗って…!! お願いだから…!!」ボタボタ…

レイ「……」

シンジ「乗ってよ!!! 怒るよ、僕…!! このままだと本気で怒るよ…!!!」ボタボタ、ボロボロ…

レイ「…乗る必要なんか、ないもの」

シンジ「綾波…!!!」ボロボロ…


手を振りかざすシンジ


シンジ「綾波…! 叩くよ…!! 乗ってくれなきゃ叩くよ…!!! 本気だよ…!!」

シンジ「だから、乗ってよ!!!!」ボロボロ、ボロボロ…

シンジ「…お願いだから…!!!」ボロボロ、ボタボタ……

レイ「…………」


レイ「……それで、碇君の気がすむなら、そうすればいいわ」

シンジ「…ぅ…!!」ボロボロ……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ミサト「……シンジ君。次に質問に答えなかったら、あんたの頬を思いっきりひっぱたくからね…! 脅しじゃないわよ…!本気だからね…! きちんと答えなさいよ…!」

シンジ「………………」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シンジ「ぅああぁあ!!!」ボタボタ、ボロボロ…

上げたまま、手を下ろせないシンジ


レイ「…………」

それを見つめ続けるレイ

シンジ「ぐぅっ!!!」ボロボロ…


シンジ「うわぁぁあぁぁ!!!!」ブンッ…!!!

レイ「…………?」ヨロッ……


壁に押しつけていたレイを振り離すシンジ


シンジ「どうしてっ!!! どうしてっ!! どうしてっ!!!!」

シンジ「みんなっ!! みんなっ!! みんなっ!!!」ゲシッ!!! ゲシッ!!! ゲシッ!!!


泣きながら、ひたすら壁を蹴り続けるシンジ


レイ「………………」


それを無表情で眺めるレイ

シンジ「もういいよっ!!!!」ボロボロ…

シンジ「こんな嫌な思いしかしない世界なんかどうなったっていい!!!!!」ボロボロ…

シンジ「どうなったっていいよっ!!!!」ボロボロ…

シンジ「うぁぁあぁぁあああぁっっ!!!!!」ボタボタ、ボタボタ…


拳を壁に向かって振りかざすシンジ


レイ「!!!」



ベキィッッ!!!!!



思い切り、壁に手が当たる


レイ「ぁぅっ…!!!」


自分の手を入れて止めに入ったレイ
苦痛に顔を歪める

壁に挟まれて骨の折れる嫌な音
それがシンジの耳にも届いた


レイ「…ぅっ……!!!」


シンジ「綾波っ!!!?」


シンジ「何でっ!!!!!」ボロボロ…

シンジ「どうしてっ!!!?」ボロボロ、ボタボタ…

レイ「……止めないと…碇君の手が折れると…思ったから……」

レイ「……だから…」

レイ「……っ…!」ズキッ!!!


手を動かしたせい
再び顔を歪めるレイ


シンジ「そんな……! だって……! そんな……!!」ガクッ……

シンジ「…何で、そんなっ……!!」

シンジ「ぁ……ぅ…ぁ……!!」ボタボタ……


それを見て泣き崩れるシンジ

シンジ「……僕の…………」エグッ、エグッ…

シンジ「………僕の…せいで……」ボタボタ…

シンジ「綾波が……」ボタボタ、エグッ、エグッ…

シンジ「綾波を……傷つけて……!!!」ボロボロ、ボロボロ……


苦痛の表情のままのレイ


レイ「…違うわ。……碇君は悪くない」

レイ「…碇君は頼んでなんかいないもの。……私が勝手に手を出しただけ…」


シンジ「」ハッ!!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レイ《…私は頼んでなんかいない。…碇君が勝手に乗っただけ》

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シンジ「あ………………」


シンジ「うっ……」ボロボロ、ボタボタ……

シンジ「……ぁ…ぁぁ……!!!」ボタボタ、ボタボタ……


その場で泣きじゃくるシンジ



レイ「…………碇……君……?」ズキズキ……!!


痛みに耐える表情のまま、不思議そうにシンジを眺めるレイ

何故毎回中途半端なところでいったん停止するのか

>>596
初日の投下分以外は↓

その日、書き終えた分を、一度、チェックしてからまとめて投下
書く量と書き終わる箇所は、時間、都合、気分、眠気によって変化
基本的には、展開をミスりにくくするため、場面転換 or 状況の変化、までを目安

ー ネルフ本部 発令所 ー


冬月「」テクテク……


日向「……?」

日向「副司令。まだこちらにいらしたんですか? 将棋大会はどうされたんです?」

冬月「使徒が来ているのでね。将棋大会は中止だよ。それよりも、エヴァがまだ出撃していないようだが、何かあったのかね?」

日向「ああ、初号機のパーソナルデータがシンジ君のままなんですよ。だから、レイちゃんが出撃出来なくて、赤木博士待ちです。あと30分ぐらいしたら来ると思いますけど…」

冬月「ふむ……」


Rrrrrrrr Rrrrrrrr Rrrrrrrr


日向「…………」

冬月「……ところで、電話が鳴ってるが、これは出なくていいのかね?」

日向「出る必要ないですよ。どうせ日本政府に決まってますから。さっきから10分おきぐらいに、EVAはまだか、EVAはまだかってうるさいので」

冬月「そうかね。それなら別にいいが…」

Rrrrrrrr Rrrrrrrr Rrrrrrrr Rrrrrrrr


冬月「……しかし、初号機のパーソナルデータがそのままなら、初号機パイロットを出せば良いのではなかろうか? 彼は来ているのだろう?」

日向「来てはいますけど、前回、シンジ君が乗ったんで、今回はレイちゃんに譲らないと不公平かと思いまして」

冬月「……そうか、なるほど。そういう事か…」


青葉「」テクテク……

青葉「それと、シンジ君は今日、遅刻してきた上、態度があまりにもひどかったので、罰として今回は乗せないでおこうという事になりまして。ミサトさんもそんな事を言ってたらしいですから」

日向「おっ、お帰り。早かったね」

青葉「一応、第一種戦闘配置中だからな。がら空きだったよ。はいよ、アイスコーヒー」スッ

日向「悪いね。ありがとう」ウケトリ

冬月「ふむ……」フゥ……

Rrrrrrrr Rrrrrrrr Rrrrrrrr Rrrrrrrr Rrrrrrrr


冬月「…そういう事なら、致し方ないとは思うのだが、しかし……」チラッ…

青葉「…?」

青葉「どうしました?」

冬月「今回だけはそこを曲げて碇の息子を乗せてやってはくれまいか。こうも電話がうるさくては、詰め将棋をしようと思っても集中出来んからな…」

日向「シンジ君を、ですか…?」ハァ…

冬月「もちろん、遅刻してきたのはいかんし、それに対する態度が悪かったという事で、二人が憤っているのはわかるのだが…」

冬月「しかし、あの子はユイ君のたった一人の息子でもあるのでな。子供のいない私からすれば、あの子は孫同然の存在なのだよ…。出来る事なら、乗せてやりたい気もするのでな」

冬月「甘いとは思うが、どうかここは、この老い先短い老人のささやかな願いをきいてはくれんだろうか」


青葉「はあ……」

日向「……そう言われましても」フゥ…

ー 第三新東京市 地上 ー

ー リツコ&マヤ ー



リツコ&マヤ「」テクテク…


リツコ「あら」ピタッ

マヤ「またですか……。ここもなんですね、先輩」ハァ……



瓦礫の山で塞がれ、通れなくなってる道……

リツコ「それにしても、参るわね。こうも通行止めばかりだと」ハァ…

マヤ「もういい加減、やめて欲しいですよね。さっきから迂回迂回の繰り返しですし」ハァ…

リツコ「それに、道が荒れてるものだから靴がずいぶん汚くなってしまったわ…。この前おろしたばかりだというのに」チラ……

マヤ「服にも埃が結構ついちゃいましたしね…。これだけ汚い所を歩くのは、私、正直、もう嫌です……。不潔です」

リツコ「おまけに、足は疲れてしまってるし、何より、二次崩落の危険性があるのよね……」


リツコ「……」

マヤ「……」



リツコ「マヤ、私たちは今日、やれるだけの事はやったわよね?」

マヤ「はい。私たちで出来る精一杯の事はやりました。これ以上は無理だと思います」キリッ

リツコ「そうよね。私たちはもう限界を迎えているもの。今日のところはこれで諦めましょうか」

マヤ「はい、先輩♪ そうと決まったら、近くの避難所に行って、またDVDでも見ましょう♪」

リツコ「そうね。それなら先に、ちょっと日向君にメールを入れておくわ」スッ
スマホ『』ホンブンサクセイ…… ソウシン……

ー ネルフ本部 発令所 ー


日向「ん?」
アイフォン『』チャクシン……

日向「……」カクニン…

青葉「ミサトさんからか?」

日向「…いや、赤木博士たちから。瓦礫で道が塞がってて危険だから今日は来れないって。明日、また別ルートを探して来るってさ」

青葉「そうか…。それならしょうがないな。何か事故があってからじゃ遅いわけだし」

日向「……とはいえ、そうなると、今日はレイちゃん出撃出来ないんだよな。その事をレイちゃんに伝えるのはちょっと気が重いな…。誰か代わりに言ってくれるといいんだけど……」チラッ

日向「走り回って、あれだけ張り切ってただけにな……。あれを見てる俺たちとしては、少し言い辛いよな……」チラッ…


冬月「…………」

冬月「……ああ。二人とも言い辛いようなら、私が代わりに言おうかね?」

青葉「いえいえ、そんな。悪いですし」

日向「そうですよ。それに、それだと僕らがまるで副司令に嫌な事を押しつけたような感じじゃないですか」

冬月「…ああ、いや。決してそういう訳ではないのだよ。私の方から伝えた方がレイも納得すると思っての事だ。それ以上の意味はないから気にしないでくれ」

青葉「そうですか? それなら、副司令の方から伝えてもらった方がいいですかね。確かに、レイちゃんもその方が納得するでしょうし」

日向「そうですね。レイちゃんの事を考えるなら、それが一番いい方法だと僕も思いますよ」

冬月「…そうかね。それならそうするが……」

冬月「……しかし、その代わりと言ってはなんだが、二人とも、さっきの件を少し考えてはくれないだろうか」

青葉「」ハァ…
日向「」ハァ…

青葉「シンジ君を初号機に乗せてあげるってやつですか? これは現場の判断でしてる事なんで、そこにはあまり口を出さないで欲しいんですが…」


日向「一応こっちは、碇司令から、臨機応変で動いてくれ、という命令をもらってるので、それに従っているだけなんですけどね…。不満があるなら司令の方に言ってもらえませんか?」


青葉「大々、使徒が来ているっていう大事な時に、ずっと不在だった副司令から、そんな事を言われても困るんですけど、こっちも」


日向「僕らだけで色々とここまで苦労してやってきているので、これまでの状況や過程をろくに知らない人からの適当な指示は、正直、あまり受けたくないです。これまでの流れが、全部、台無しになってしまうので」


冬月「…ああ、いや、すまない。悪気があって言った事ではないので、そこは許して欲しいのだが……」


青葉「一応、そこら辺はわかってるつもりですが……。ただ、程度というのもあるんで」

日向「わきまえるところはわきまえてもらわないと、こちらとしても迷惑にしかならないですし」

冬月「…いや、それは本当にすまない。だが……」

冬月「あの子ーー初号機パイロットも乗りたがっているというし、それに、この前は強力無比な使徒と立派に戦って、一歩も退く事なく善戦し、見事に倒しているのだろう?」

冬月「その功績とこの老いぼれの顔に免じて、どうかここは彼を乗せてやってはくれないだろうか。……すまないが頼まれてくれんかね」

日向「?」
青葉「?」

日向「立派に?」
青葉「善戦?」


冬月「……?」

冬月「…違うのかね? 葛城君からの報告書ではそうなっていたのだが……」


青葉「あ……そういう事か……」ボソッ…

日向「そういえば、葛城さん。嘘の報告書を出してたんだったな。すっかり忘れてたけど」ヒソヒソ…

青葉「めんどくさい事になったな……。副司令はともかくとして、ミサトさんの顔は立てとかないとまずいし…」ヒソヒソ…

日向「だよな……。もうこの際、シンジ君を乗せてしまった方がよくないか。それで副司令も満足するだろうから、その後、ここから出て行ってもらえば万事穏便に済むだろ」ヒソヒソ…

青葉「そうするか。これ以上、うざったい事を言われるのも御免だしな」ヒソヒソ…

日向「ああいうところさえなければ、いい人なんだけどな。そこら辺はもう我慢するしかないか」ヒソヒソ…

青葉「そうだな。今回の件は、この前の飲み会代を全部支払ってくれた分だと思って割りきろうぜ」ヒソヒソ…


冬月「…………?」

ここのネルフ職員は一度ゼルエルさんに司令部ど真ん中まで使徒に攻められたらいいんだ
そしたら真面目に職務遂行すんだろう

>>613
ゼルエル「」ヌッ

司令部「何やってんだよパイロット達の役立たず」

初号機「がおー」右ストレート

シンジ「ミサトさん!早く!」

ミサト「なに?こんだけ失態やらかして謝罪も無いわけ?」

ー EVA初号機格納庫 ー


ブンッ……

ー モニター ー

日向『』不満顔


日向『…シンジ君、そこにいるかい?』

日向『…ん?』

シンジ「ぅ……ぅぅ………」ボロボロ…


地面に手をついて泣きじゃくるシンジの姿が二人の目に入る


日向『』ハァ
青葉『』チッ


日向『シンジ君、エヴァに乗れないからって、泣くのはいい加減にやめなよ。君がエヴァに乗れなくなったのは、全部自分の責任だろ』

青葉『反省して泣いてるとかならともかく、絶対そういうのじゃないだろ、君は。赤ん坊とまるで変わらない事はやめろよ。うっとうしい…!!』


シンジ「……ぁ……ぅ…………」グスッ… ボタボタ…… ボロボロ……

ー ネルフ本部 発令所 ー

冬月「…あ、いや、二人とも。どうかその辺でおさめておいてはくれんかね。あの子はまだ子供なのだから……」

日向「」ハァ…
青葉「」チッ……

日向「すみませんが、副司令は黙っててもらえませんか。子供だろうが大人だろうが、ここで甘やかす訳にはいきませんから」

青葉「と言うより、子供だからこそ、ここで叱っておかないとダメなんです。これも全部シンジ君の将来を思っての事ですよ」


冬月「…無論、それはわかるが、しかし……。少々言い方がきついように私には思えるのでな……」


日向「大した事ないですよ、これぐらい。それに、この程度でへこたれるようなら、初めからEVAのパイロットとしては失格ですよ」

青葉「日向の言う通りですね。そんな心の弱い人間に人類の未来なんか任せられませんよ。そう思うのは当然の事じゃないですか?」


冬月「いや、確かにその理屈もわかるのだが……」


日向「でしたら、もうこれ以上は邪魔をしないでもらえませんか? こちらは貴重な時間をさいてまで、わざわざシンジ君を叱ってあげてるんですよ」

青葉「もっとも、使徒が来ているっていうのに、詰め将棋か昼寝ぐらいしかする事がないような方には、時間の大切さが理解出来ないかも知れませんがね」チッ


冬月「……いや、すまない。それは…本当に申し訳なく思っているのでな。許してほしい…」シュン…

冬月「……ならば、私はいつも通り、君たちの邪魔にならないよう、司令室で大人しくしているので、どうか碇の息子を叱るのはそこまでにしといてもらえないだろうか……」


冬月「…身勝手な意見ですまないが、私としては、あの子が泣いている姿を出来るだけ見たくはないのだよ…。叱るのは仕方がないにしても、もう少し、柔らかく言ってもらえんだろうか」


冬月「孫同然とはいえ、所詮は他人の私でさえそう思うのだ。親である碇もきっと同じ事を思うだろうし、天国にいるユイ君にしても恐らくそう思って見ている事だろう」


冬月「後生だから、二人を悲しませるような事はやめてくれんかね……。どうか、頼まれてはくれんだろうか」



日向「…………」
青葉「…………」

日向「」ハァ……
青葉「」フゥ……

日向「……わかりました。この場は一度、副司令にお任せします。……碇司令の名前を出されると、僕らも弱いですからね」

青葉「その代わり、シンジ君が遅刻してきた上、傍若無人な態度を僕らに向かってとったっていう事は、碇司令には内緒にしといて下さいよ。司令が聞いたらきっとショックを受けると思いますから」


冬月「」ホッ……

冬月「それはもちろんだ、約束するよ。本当にすまないな、二人とも」


日向「いえ、こちらも少し言い過ぎたので(棒)」

青葉「お互い様という事にしときましょうか(棒)」


冬月「あ、ああ、すまないな。本当に……」

ー EVA初号機格納庫 ー


冬月『…ああ、聞こえるかね、初号機パイロット』


シンジ「……ぅ……ぅ…………」エグッ、エグッ…

シンジ「はい……」グスッ、ヒック、エグッ……


冬月『君は…遅刻してきた事を反省してるかね?』

シンジ「…し…て……ます………」エグッ、エグッ、ヒック…


冬月『そうか……。それならばもうよかろう…。私としては、これ以上は何も言うまい』フイッ…

冬月『レイ』

レイ「はい……」

レイ「…!」ズキッ…!


一瞬、苦痛に耐える表情を見せたレイ


冬月『……む』

それに気がつく冬月

冬月『どうしたのだね、レイ?』

レイ「いえ…何もーー!」ズキッ…!!

レイ「」カクシ…

冬月『なるほど…左手か……。その様子だとずいぶんと痛むようだが……。一体、何があった?』

シンジ「」ビクッ!!!

レイ「……」チラッ……


少しだけシンジの方に目を向けるレイ

怯えて震えるシンジ


シンジ「ぁ…ぅ……ぅう……!!!」ビクビク…!!

レイ「…………」


冬月『レイ、答えなさい』

レイ「……」

レイ「…………すみません。先ほどそこで転んで、くじいてしまいました。私の不注意です。申し訳ありません…」ペコリ…

シンジ「!?」



シンジ「………あ…や……なみ………?」

思わず出た小声

そっとレイの顔を伺うシンジ


レイ「……」

何も変わらない表情のままのレイ

冬月『そうか……。レイにしては珍しい事もあるものだが…。以後、気をつけなさい』

レイ「はい。…今後は二度とご迷惑をおかけしませんので、許して下さい…」スッ……

丁寧に深々と頭を下げるレイ


シンジ「あ………う…!!」ボタボタ、ボタボタ……

それを見て、再び泣きじゃくるシンジ

冬月『……ふむ。そこまで謝る必要はないが……。とはいえ、EVAの運用には多少、支障が出るか……』

レイ「……本当に、申し訳ありません」フカブカ…

冬月『……とにかく、その話はここまでだ。レイは医務室へと向かいなさい。いつまでもここで待機している必要はない』

レイ「…ですが、まだ使徒がいますので……」

レイ「…ぅ……!」ズキズキ…!

冬月『…だが、その様子では、使徒ともろくに戦えまい。それに、両手をケガをしていてはエヴァの操縦は不可能だろう』

レイ「……いえ、やれます…! 痛みは大した事ありません…! 手も充分動かせます……!」

冬月『……レイ、悪い事は言わんが、諦めなさい。それに今日はもうリツコ君は来れないそうだから、どのみち出撃は不可能だ。代わりとして、エヴァには初号機パイロットに乗ってもらおうと思っている』

レイ「……!」

レイ「それなら、私が明日乗ります…! 乗らせて下さい……!」

冬月『レイ…。これは命令だ。従いなさい』

レイ「!!」



レイ「…はい…………」

悔しげな表情を見せるレイ

だが、すぐにそれは悲しみの表情へと変化する


レイ「…わかりました……。私はこれから医務室へと向かいます……」

冬月『そうだな。そうしなさい。急ぐように』

レイ「はい……」テク…テク……



冬月『…………』


心配そうに、レイの後ろ姿を見送る冬月

去っていき、格納庫からその姿を消すレイ

冬月『……さて、初号機パイロット』

シンジ「」グスッ、グスッ……

シンジ「ぅ……!」 ゴシゴシ…

シンジ「…は……い…………!」グイッ、ゴシゴシ、ゴシゴシ…


涙をふきながら、必死の思いで辛うじて答えるシンジ


冬月『…聞いていたとは思うが、君にはエヴァに乗ってもらおうと思っている。……どうする? 乗るかね?』

シンジ「………乗…り、ます……」ポタ……ポタ……

シンジ「……乗らせ…て…下さい……!!」 ポタ………ポタ………


体をよろよろと起こすシンジ

真剣な眼差しでモニターを見上げる

その瞳からは、また涙が少しずつ溢れ出す


冬月『…………別に無理にとは言わんぞ。乗りたくないなら、断ってもよいが………』

シンジ「いえ……乗ります…!」ポタ……ポタ……

シンジ「僕をエヴァに…!!」ポタ…ポタ……

シンジ「エヴァンゲリオン初号機に乗せて下さい!!!!」ボタボタ…… ボタボタ……


強い言葉

涙をこぼしながら、真っ直ぐに冬月を見つめ、決して目をそらさないシンジ

冬月『……そうか。ならば行きなさい』

冬月『出撃準備はこちらでしておこう』

シンジ「はい!!!!」


シンジ「」ダダダダッ!!!





シーン………


静まりかえった格納庫

冬月が小さく独語する


冬月『……あの子とレイの間に、一体、何があったのかは知らないが……』

冬月『しかし、初めて見た時とはまるで別人のようだな…。ずいぶんと立派になったものだ……。男子、三日会わざれば刮目して見よとはこの事か……』

冬月『今のあの子を見て、ユイ君はどう思うだろうか……』


冬月『……あるいは、ユイ君。君の息子はもう、君の手助けを必要としないかも知れんな…。子の成長が嬉しい半面、親離れしていくのはきっと君も淋しいと思うだろうが……』

冬月『……それでも、あの子を手放しに誉めてやってはくれんか、ユイ君。ここには私も含め、誉める人間があまりにも少なすぎるのでな……』



重い息を一つ吐く冬月

ゆっくりとモニターを消す


ブンッ、プツッ……

シーン…………




EVA初号機『』…………





そして格納庫には再び静寂だけが残る…

ー ネルフ本部 発令所 ー


冬月「……さて」クルッ……

冬月「……私からの話はこれで終わったよ。それと、レイが転んで手をケガしたようだから、医務室へと向かわせておいた。あの様子だとしばらくは出撃出来んかもしれんな…」

日向「あれ? そうなんですか……。レイちゃんEVAに乗れなくなって悔しがってただろうなあ……可哀想に」

青葉「次、いつ使徒が来るかわからないからなあ……。ただ待つ身としては辛いだろうな」

冬月「……そうだな」フゥ……



冬月(……やはり、何を言っても無駄か………。レイの方が余程それをわかっているな……。当たり前と言えば当たり前だが……)ハァ……

冬月(それにしても、私が地獄へ堕ちる日はいつ来るのだろうか……。願わくば出来るだけ早目にしてほしいものだ…………)


冬月「…………それではすまないが、あの子が乗ったら、初号機の起動をお願いするよ…」

日向「ええ、やっておきますよ」

青葉「とはいっても、レイちゃんがもうほとんど終わらしてくれてるので、僕らはあと発進させるだけですけどね」

冬月「そうかね。それは良かった。二人にあまり手間をとらせずに済んだからな…」

日向「本当ですね。レイちゃんに後で感謝しといて下さいよ」

青葉「余計な手間はこれっきりにしてほしいものですけどね」

冬月「……すまないな」シュン…

冬月「」ハァ……

冬月「……それでは、私は約束通り司令室で眠る事にするよ。…何か用がある時だけ起こしてくれたまえ」

日向「了解です」

青葉「どうぞ、ごゆっくり」


冬月「」フゥ…… クルッ…

冬月「」トボトボ… トボトーー



ミサト「」テクテク……

ミサト「あらー、副司令じゃないですか。珍しいですね、碇司令もいないのに発令所にいるなんて」

冬月「…?」フリムキ…

冬月「…葛城君か……。今、着いたところかね?」

ミサト「ええ、辿り着くまで大変だったんですよー。車が瓦礫で潰されてたので、乗り捨てられた車を何台も乗り換えて乗り換えて」

冬月「…それはご苦労だったな。さぞ疲れている事だろう。しばらくの間、ゆっくりしてくれて構わないが……」

ミサト「いえ、お仕事はしっかりやらないと気がすまない性分なので。お気持ちだけは嬉しくもらっておきますね」

冬月「そうかね…。だが、あまり無理はして欲しくないのでな…。正直、私は使徒よりも葛城君の体の方が余程心配なのだよ…」

ミサト「あら、ありがたい御言葉ですわー。でも、お気遣いは不要ですから。こう見えて結構タフなので。それに、私は仕事をしていた方が調子が出るタイプですから」ニコッ

冬月「」フッ……

冬月「そうかね…。それなら良いが……」

ミサト「わざわざご心配、ありがとうございます」

冬月「いや、大した事ではないよ。くれぐれも気を付けてな」

ミサト「あ、そうそう。日向君に青葉君。ちょっち二人ともこっち来てー」クルッ… ゴソゴソ…

日向「…?」スクッ…
青葉「…はい?」スクッ…

ミサト「ごめんねー、来るのが遅れちゃったからさー。お詫びにここから好きなのとっていいわよん」
景品が大量に詰まった袋『』ドンッ

日向「あ、いえ、そんな。葛城さんが遅れたのは不可抗力なので、葛城さん自身が悪い訳じゃないですから。僕らがそれを貰う理由がありませんよ」

青葉「それに遅れてきた事なんて大した事じゃないですって。そんなに気にするほどのものでもないですから」

ミサト「いいの、いいの♪ 二人には普段から色々面倒かけちゃってるんだからさー。お礼の気持ちも込めての事よ。ほら、好きなの選んで」サシダシ

日向「そうですか…? 何だかすみません。逆に気を遣わせてしまったみたいで…」

青葉「でも、ミサトさんのそういうところ、僕、好きですよ。……それじゃあ遠慮なく…」ゴソゴソ…

ミサト「そう? やーねー、もう、青葉君たら//」

日向「」ピクッ……

日向「」ジトッ……

青葉「♪」素知らぬ顔

ー 同時刻 エントリープラグ前 ー


シンジ「」ハァ……!! ハァ……!!


シンジ(…まただ…………!)

シンジ(…エントリープラグの中に入ろうとすると……)

シンジ(…変な汗が出て……)

シンジ(…体が自然に震えて……)

シンジ(…足が動かなくなって………)

シンジ(…何で……!!)

シンジ(…早く入らないとまた怒られるのに……!!)

シンジ(…そしたらもう乗せてもらえなくなるかも知れないのに……!!)

シンジ(…でも、体がどうしても動いてくれない……!!!!)



シンジ「…何で……動いてくれないのっ…!!!!」ダンッ!!!

シンジ「っ!!!」

奥歯を強く噛みしめ、自分の足を思いきり叩くシンジ


シンジ「…動いてよっ!!!!」

ダンッ!!

シンジ「…ぁぐっ……!!!」


シンジ「……動け…!!」

ダンッ!!

シンジ「ぐっぁ…!!」


シンジ「…動け! 動け! 動け…!!!」

ダン!! ダン!! ダンッ!!

シンジ「っ…!! ぐっ!!!」


シンジ「……今、動かないと何にも意味がないんだ!! だから、動いてよっ!!!!」

ダシンッ!!!


シンジ「ぐうぅっっ!!!!」

シンジ「ぅ……ぁ……ぐっ……!!!」


ダンッ! ダンッ! ダンッ!

シンジ「っ……ぐっ……ぅぅっ……!!!!」


ダンッ!! ダンッ!! ダンッ!!

シンジ「ぅあっ……うっ……っぁ……!!!」


シンジ「…何で…!!!」

シンジ「…どうして……!!!」

シンジ「……動いてよっ!!!!」

ダンッ!!! ダンッ!!! ダンッ!!!

狂ったように自分の足を叩き続けるシンジ

目をつぶり、必死で涙をこらえながら

それでも体は動いてくれない

カンカンカン……


不意に階段から誰かが上がってくる音

シンジが驚いて振り向くと、そこには暗い表情のレイの姿が


レイ「…………碇君……」

シンジ「……綾…波………?」

シンジ「どうしてここに…!? 医務室に行ったんじゃなかったの!?」

レイ「……」


答えないレイ

代わりに別の言葉


レイ「……碇君。…目障りだから、今すぐここから出ていって」

シンジ「…!」

シンジ「…綾……波………」ウツムキ……

レイ「…聞こえなかったの、碇君。あなたはEVAに乗る必要がないの…」

シンジ「………………」


レイ「…すぐにここから消えて。…これ以上、私がEVAに乗る邪魔をしないで…」

シンジ「………………」


レイ「…初号機には私が明日乗るから。…だから、あなたにここで乗られると困るの。…私が明日使徒を倒せなくなるの」

シンジ「………………」



レイ「…碇君、出ていって。……迷惑なの。……面倒なの。……鬱陶しいの。……もう顔も見たくないの」

シンジ「………………」




シンジ「…………ごめん、綾波…」


シンジ「…………本当に…ごめん……」


シンジ「…………でも……それは出来ないから……」


レイ「……どうして?」

レイ「…碇君はここでは誰にも必要とされていないのに。…いる意味なんかないのに。…私の代わりでしかないのに」


シンジ「……わかってる。だから……」


レイ「だから……?」


シンジ「だから、綾波の代わりに僕が乗らなきゃいけないんだ…。僕が乗らなきゃ、綾波が乗る事になるから…」


レイ「…………碇君。言っている事が私にはよくわからない……」


シンジ「うん…………。綾波がそういう子だって事は、もう何となくわかったから、大丈夫だよ……」


レイ「…………」



シンジ「……綾波はさ、手をケガしてて……。だからろくにエヴァの操縦も出来ないだろうから……」


シンジ「…しかも、そのケガの片方を作ったのは僕なのに、それをかばってくれて……」ツー…… ポタ…… ポタ……


シンジ「その前にも僕を助けてくれて……。水をくれたり優しくしてくれて……」ポタポタ…… ポタポタ……


シンジ「確かにひどい事も言われたけど……それもそんなに間違ってなかったし……」ポタポタ… ポタポタ…


シンジ「なのに、ケガしてる綾波を僕は一度見捨てて……! 全部綾波のせいにして、逃げ出そうとして……!!」ボロボロ…


シンジ「…それで、今の綾波をエヴァに乗せられる訳ないじゃないか…!!!」ボロボロ、ボロボロ…


シンジ「そんなの出来っこないよっ!!!! 無理だよっ!!!!」ボロボロ、ボロボロ…


シンジ「だから、僕が綾波の代わりにエヴァに乗るんだ!!!! 綾波のケガが治るまでは、綾波をエヴァには絶対に乗せないって決めたんだ!!!!!」ボロボロ、ボタボタ…



レイ「…………余計なお世話、だから…」

シンジ「余計なお世話でもいいよっ!!! とにかく、今の綾波は絶対にエヴァには乗せない!!! 代わりに僕が乗るっ!!!!」ボロボロ、ボタボタ…

レイ「っ!!」

思わず手を振り上げるレイ


ヒュンッ!!!!


バシンッッ…!!!!






シンジ「痛っっ!!!」

レイ「ぅぅっっ!!!!」

シンジ「」ハッ!!

レイ「ぅっ……!!」

シンジ「綾波、大丈夫!? ダメだよ!! 手をケガしてるのに叩いちゃ!!!」

レイ「……平気…だから…!!」

シンジ「平気な訳ないよっ!! 早く医務室に行って来なよ!! 手当てをしてきてよ!!!」

レイ「いいの…!! それより、碇君…。あなたはもうここにはいないで…! いると心がズキズキするの…。だから、もう、出ていって…!」

シンジ「出来ないよ!!! ダメだよっ!!!」


シンジ「」キッ!!

シンジ「綾波、ごめん!!!」

シンジ「僕、エヴァに乗るから!!!!」

シンジ「綾波のケガが治るまでは、絶対にエヴァに乗り続けるから!!!!」キッ!!!


シンジ「」クルッ!!



エントリープラグのハッチ『』…………


シンジ「…う………!」

シンジ「…うぁぁああぁあっ!!!!!!」ダダッ!!!!!


無理矢理エントリープラグ内に飛び込み、ハッチを中から閉めるシンジ

レイ「…碇君……!」タタッ!!

それに気付き、急いでハッチに手をかけるレイ

ガシッ

レイ「っ!!」

折れた手に激痛が走るも、構わず力を込めるレイ


レイ「……開いて…っ!!」ガタッ…! ガタッ…!

レイ「…開いてっ!!!」ガタガタッ!!!

レイ「ぅっ……!!!!」ガタッ… ガタッ……

だが、ハッチはどれだけ力を込めても開かない


レイ(…………ダメ。ロックがかかってて、もう、こちら側からは手動では開けられない…!)

レイ(…だけど、格納庫に置いてきた外部端末からなら、まだ操作がきく…!)

レイ「」クルッ!!

レイ「」タタタタタッ!!!

レイ(絶対に、初号機が発進するまでには、間に合わせるから…!!)


レイ「」タタタタタタッ……!!!

ー エントリープラグ内 ー


シンジ「ぅっ……ぅ…!」ブル…! ブル…!!


シンジ(まだ……少しだけ怖い……!!)

シンジ(でも……綾波をエヴァに乗せる訳にはいかないから……!!!)

シンジ(……明日、綾波がエヴァに乗らなくてすむように……今日、必ず使徒を倒すんだ……!!)



シンジ(…………綾波…ごめん!! 綾波のせいでエヴァに乗らなきゃいけなくなったなんて言ってごめん……!!!)

シンジ(……僕が勝手に乗ったのに、その責任を綾波に押し付けて…!!!)

シンジ(…今まで綾波に対してひどい事を言ったり、思ったりして…!!!)

シンジ(…綾波は女の子でしかもケガしてるのに…!!!)


シンジ(だから…!!! 僕は…!!!)


シンジ(…綾波のケガが治るまでは絶対に逃げ出さないから…!!! 綾波がケガしてる間に来た使徒は全部僕が倒すから…!!!!)

シンジ(…ミサトさんの言う事は何でも嫌な顔一つせずきいて…!!!)

シンジ(…ミサトさんに土下座でも何でもして、綾波のケガが治るまでは、僕がエヴァに乗せてもらえるようにするから…!!!!)

シンジ(だから、綾波!! 代わりにエヴァに乗らせてもらうよ!!! 本当にごめん!!!)


シンジ(ケガをさせて、ごめん!!!)



シンジ(ごめん、綾波…!!!!!!!)


ー ネルフ本部 発令所 ー

ー 景品を一通り漁った後 ー


日向「…それじゃあ、すみません、葛城さん。僕、このゲームソフトをもらっていきますね」

青葉「じゃあ俺はこっちの財布を。今、使っているのが、丁度、へたれてきてたんで」

ミサト「あらー、二人とも。それだけでいいの? もう何個かもらってけばいいのに」

日向「いえ、流石にそれは悪いんで」

青葉「それにしても、すごい量ありますね。どれだけ勝ったんですか?」

ミサト「んー。それがちょっちわかんないのよねー。交換しようと思ったら、店員がもう全員避難してたからさー。だから、ショーウィンドウを割って適当に持ってきちゃったのよねー」

日向「ああ、そういう事ですか。まあ、確かに客を置いて先に避難する方が明らかに悪いですからね」

青葉「そういえば、ミサトさん。車も壊れたんですよね? なんだったら、こちらで新車を注文しておきますけど」

ミサト「あら、そう? じゃあ、お願いしちゃおっかな。ついでに、今、残ってる車のローンも何とか精算出来ないかな? 使徒だと災害保険きかないのよねー。車ないのに、ローンだけ払うなんて馬鹿馬鹿しいしさー」

青葉「わかりました。了解です。今回、派手に街が壊れたんで、きっと経費を誤魔化しやすいですから多分余裕ですよ。……ところで、車種は何か希望とかあります?」

ミサト「そうねー。……折角だから、ランボルギーニのムルシエラゴとかがいいかなー。……流石に無理?」

青葉「それだと確か……グレードの高いので3500万円ぐらいでしたっけ? あ、でもどうせ右ハンドルとかに改造しますよね?」

ミサト「そうねー。左ハンドルはどうにも慣れなくてねー」

日向「それなら全部込みで4000万円ぐらいで済むんじゃないですか? 多分、今回の被害額に比べたら可愛いものでしょうから、全然いけると思いますよ」

ミサト「そう? 嬉しいわー。ありがとね、日向君、青葉君♪」

日向「いやあ、お礼を言われる程の事じゃないですから。気にしないで下さい」

青葉「そうそう。ホント大した事じゃないですから」

冬月「…………」

おめでとう
「シンジ」は「できるシンジ」
に進化しました。
そういえば、レイは不器用な子だったなぁ…

ミサト「そういえばさー、ふと思ったんだけど、今回、何であんなにビル壊れてるの? レイは何してたの?」

日向「レイちゃんは、パーソナルデータがシンジ君のままだったので、出撃出来なかったんですよ。代わりに今からシンジ君が出る予定ですけどね……」

ミサト「はあ? シンジ君? 昨日、エバーには乗せないって言ったばかりなのに何でよ…! まさかあいつまた私を騙しーー」

冬月「ああ、いや、葛城君。私が無理を言ってお願いしてしまったのだよ。あの子だけでなく、この二人にも」

日向「」コクコク
青葉「」コク…

冬月「それに、出撃が遅れたのは、私がついさっきお願いしたからで、あの子はきちんとこちらに来ていた」

冬月「ただ、葛城君がエヴァに乗る事を禁止していたから、あの子はその命令を守っていてだけに過ぎんよ」

冬月「だから、悪いのは全て私なんだ。どうか許してくれんかね」

日向「…………」チラッ
青葉「…………」チラッ


冬月「」ダラダラ……


ミサト「」ジロッ…

ミサト「……そうなの? 二人とも」

日向「ええ、まあ……」
青葉「そんなところですよ……」

冬月「」ホッ……

ミサト「…………ふーん」ジロッ

ミサト「……そうですか。それならあまり私の方からどうこう言う気はありませんが……」

ミサト「ただ、エヴァの運用に関しては、私に全て一任されているので、いくら副司令と言えどもそこに口を挟まれるのは、ちょーっち健全な組織として問題があるんじゃあないかと」

ミサト「こんな風に、命令系統を無視して身勝手な行動を取られると、はっきり言ってしまえば迷惑以外の何物でもないですから」

ミサト「副司令もいい歳なんでそれぐらいの事は理解してもらえないかとは思うんですけどね」

冬月「……すまんな。以後は慎むようにするのでーー」

ミサト「いえ、慎むとかじゃなくて、今後二度とこういう事がないようにと、暗に言ってるんですが」

ミサト「横暴でいい加減な上司を持つと部下は色々と苦労する羽目になるので、キチッとけじめだけはつけてもらわないと」

冬月「………………わかった。私はもう今後一切口出しはせんよ……」ハァ……

冬月「……ただ、今回だけは見逃してくれんかね。日本政府からエヴァの出撃要請も入っていたようなので、これをずっと無視しておく訳にもいかんのでな…」

冬月「後々、碇の立場も悪くなってしまうと思っての老婆心だよ……」

ミサト「……なるほど。…そうですか。…確かに碇司令の顔に泥を塗るのは、私としても避けたいところなので、今回の一件については忘れる事にしておきますが……」

ミサト「ですが、もしまた勝手な事をされるようでしたら、こちらにも相応の考えがありますので、それだけは覚えておいていただきたいですね」

冬月「…それに関しては、今日、骨の髄まで理解したよ。…………すまんが私は疲れたので、これで司令室へと戻らせてもらおう。後の事はよろしく頼んだよ……」トボトボ… トボトボ…

ミサト「……全く、立ってるだけの仕事のくせして、疲れるも何もあったものじゃないのに」ブツブツ

日向「まあ、いいじゃないですか、葛城さん。これで副司令も自分の立場ってものをよく理解出来たでしょうし」

青葉「仕事に関してはともかく、それ以外は悪い人じゃないんで、その辺で良しとしときましょうよ」

ミサト「」ハァ…

ミサト「……まあ、そうね。これで今後はこちらの仕事がやりやすくなったし、愚痴るのはここまでにしときましょうか」

日向「それじゃあ、僕らは早速、シンジ君の出撃用意にかかりますので…」クルッ、カチャカチャ…

青葉「コントロールをリモートからこちらへ切り換えて、っと…」カチャカチャ、カチャカチャ…

ー EVA初号機 格納庫 ー


レイ「」ハァ…… ハァ……



ノート型外部端末『』…………


レイ「」タタタッ…!!

レイ「」シャガミ…

レイ(…早く……!)

レイ「」カチャカーー
レイ「…っ!」ズキィッ!!!

ノート型外部端末『』カタカーービーッ



レイ「っ…!! 入力、ミス……!」
ノート型外部端末『』ビーッ、ビーッ、ビーッ

error!! error!! error!!


レイ「…ぅっ……!!」ズキッ!!!

レイ(ダメ、なのね……! さっきので手がもう…まともに動いてくれない……!)


レイ「っ……!!」カチャ……
ノート型外部端末『』カタ……


レイ「…ぅっ!!!」カチャ……
ノート型外部端末『』カタ……



青葉「ああ、そうだ。ミサトさん」

ミサト「何?」

青葉「もういつでもEVAは発進出来るんですけど、一応、出撃する前に一言、シンジ君に何か言っときますか? 副司令みたいに、あんまり調子にのられても困るので」

ミサト「……そうねえ…」

ミサト「…………シンジ君に一言、か……」


ミサト「………………」


青葉「…ミサトさん?」

ミサト「……そうね。注意とかそういうものではないけど………」

ミサト「出撃前に、少しシンジ君と話しをしておきたい事があるの。回線を繋いでもらえる? ただし、音声だけでいいわ」

青葉「音声だけ、ですか…?」

ミサト「ええ、音声だけ……。それと、悪いけど少しの間、二人とも席を外してくれないかしら?」

青葉「……わかりました」カチャカチャ…

日向「じゃあ、僕らは少し外すんで、話が終わったら呼んで下さい」ガタッ…

ミサト「ええ、ありがとう」





ミサト「…………」

ー エントリープラグ内 ー


ブンッ…

SOUNDONLY画面『』


シンジ「…?」

ミサト『……シンジ君。聞こえる?』

シンジ「!?」

シンジ「ミ、ミサトさん!?」

ミサト『ええ、そうよ』

シンジ「あ、ああの、ごめんなさいっ!! エヴァに乗っちゃいけないって言われてたんですけど、でも、あの!!!」

ミサト『……ああ、その事なら別にいいわよ。事情は一応一通り聞いてるから。今回は特別だという事をあなたがしっかりと理解していればそれでいいわ』


シンジ「え…………」



ミサト『………あのさあ、シンジ君…』

シンジ「は、はい!」

ミサト『……昨日の事、覚えてる?』

シンジ「え…………はい…………。覚えて…ますけど………………」

ミサト『その時、私が言った事……あなたはきちんと理解してくれてるかしら?』

シンジ「は……い…………」

ミサト『…………そう。それなら言うけどね…』

シンジ「……?」


ミサト『………シンジ君。私はね……あなたがエヴァと関わる事によって、立派に成長してくれる事を期待しているのよ』

シンジ「………………」

ミサト『もちろん、最初はただ大きなロボットに乗りたいだけでもいいと思うの。男の子なら普通はそう思う事だろうし、それが乗る楽しみにつながるっていうならそれだけで充分だとも思う』

シンジ「………………」

ミサト『…でも、エヴァに乗っていく事によって、今のあなたにない、責任感だとか、使命感だとか、あるいは人を守りたいという純粋な優しい気持ち……そういった人として大切なものを色々と一緒に育んでいってほしいと思ってるのね…』

シンジ「…………」

ミサト『そして、その立派になった姿を見るのが今の私の楽しみにもなっているの』

シンジ「………………」

ミサト『……昨日気づいた事だし、その時はやっぱり少し恥ずかしくて言えなかったんだけど……』

ミサト『会ってまだ三日しか経ってないのに、こんな事を思うのは少し変だとシンジ君に思われそうで心配でもあったし、怖くもあったし、何よりも理解されずに悲しい思いをするんじゃないかと思ったから……』

シンジ「…………」


ミサト『…でも、人と人との繋がりなんて、長さではなく深さの方が大事なものだし、伝える事を恐れていてはどちらも一歩も前に進めないような気がしてね』

シンジ「…………」

ミサト『そういう意味では、だらだらと当たり障りのない付き合いをこのままずっと何ヵ月間か続けるより、お互いが思う事を精一杯伝えたこの三日間の方がよっぽどか価値があったんじゃないかと私は思っているの』

シンジ「…………」

ミサト『お互いどう思っているかを伝えなければ、それは相手には永久に伝わらないかもしれない』

シンジ「…………」

ミサト『お互いどうしたいか、どうされたいかを伝えなければ、その想いや願いは永久にすれ違うかもしれない』

シンジ「…………」

ミサト『私とシンジ君は、昨日それを、お互い傷つき合いながらもしっかりとわかりあったはずでしょ』

シンジ「………………」

ー EVA初号機 格納庫 ー



レイ「ぅっ……!!!」カチャ……
ノート型外部端末『』カタ……


レイ(これで…ハッチのロック解除……!)カチャ……
ノート型外部端末『』カタ……



ノート型外部端末『』ピーッ、ピーッ、ピーッ

error!! error!! error!!

レイ「!!」


レイ「な、んで……!!?」カチャ…
ノート型外部端末『』カタ…


レイ「……ぅっ………!!」カチャ…
ノート型外部端末『』カタ…


レイ「っぅ……!!」カチャ…
ノート型外部端末『』カタ…



レイ(……コント…ロール…がリモートか…ら変更されてる……!!)ズキズキ…!!!


レイ(…も…う一回……こちらにコン…トロールを戻して……それか…ら…!!)ズキズキ…!!!


レイ「っ!!!!」カチャ…
ノート型外部端末『』カタ……


レイ「ぅぅっ!!!!」カチャ…
ノート型外部端末『』カタ……

ー エントリープラグ内 ー


ミサト『……それでね、今日、偶然とはいえ、あなたにはエバーに乗る機会が与えられたものだから……。これは本来なら、そうはならなかった事よね』

シンジ「…………」

ミサト『……正直に言うと、最初はあなたを疑ったわ。また私を騙して、エヴァに乗りたい、乗せて下さい、って他の人に泣きついたんじゃないかってね』

シンジ「」ダラダラ…

ミサト『でも、そうじゃなかった。シンジ君は私の言いつけをしっかりと守っていた』

シンジ「…?」

ミサト『こんな幼稚園児でも出来そうな他愛もない事だけど、今までの事を思うと、その事が私にはすごく嬉しかったし、同時にシンジ君を少しでも疑った自分が恥ずかしくもなったの……』

シンジ「」ダラダラ…

ミサト『……だからね、これはもしかしたら運命の女神が私とあなたのためにくれたやり直しのチャンスなのかもしれない。…そう思ったのよ』

シンジ「………………?」


ミサト『……つまりね、シンジ君。…私とシンジ君は今日初めて会った。そんな風にしようかと思っているの』

シンジ「…………!」

ミサト『…シンジ君は昨日、どうしようもない生ゴミから少しだけマシな人間へと生まれ変わった訳でしょ?』

シンジ「………………」

ミサト『だから、私もこれまであなたに抱いてきた先入観とかを一切捨てて、全くの別人と思ってこれから接していきたいのね』

シンジ「…………」

ミサト『…そういう訳だからさ、シンジ君……。今回の出撃内容次第によっては、あなたをまた訓練以外でエヴァに乗せてあげようかと思ってるの』

シンジ「!?」

シンジ「それ、本当ですか!! ミサトさん!!!」パアッ

ミサト『』クスッ

ミサト『ええ、本当よ。そんなに嬉しい?』

シンジ「はい! ものすごく嬉しいです!! ありがとうございます、ミサトさん!!」ペコリ!

ミサト『』クスクス…

ミサト『気が早いわよ、シンジ君。あくまでそれは今回の出撃内容次第なんだから』

シンジ「はい!! 僕、精一杯、頑張ります!!! ミサトさんの期待に必ず応えてみせます!!!」

ミサト『…そう。そう言ってもらえると私も本当に嬉しいわー……』

ミサト『…私からはこんな事しか言えないけど……。頑張ってね、シンジ君。出来れば、私のためじゃなく、自分自身のために』

シンジ「はい!!!!」

ミサト『それじゃ……また後でね。真面目に戦って、ちゃんと使徒を瞬殺してきたらステーキ奢ってあげるから』

シンジ「はい!!!! ありがとうございます、ミサトさん!!!!!」

ミサト『』クスッ

ミサト『じゃあね、シンジ君♪ ……頑張るのよ』


SOUNDONLY画面『』ブツッ………


シーン……











シンジ「……ぃやったあぁぁ!!!!!!」

シンジ「良かった!! 本当に良かった!!!」


シンジ「これで綾波のケガが治るまで乗せてもらえるかもしれない!!!」


シンジ「……良かった…!!!」



シンジ「……良かった………!!!!!」ポタ…… ポタ……




シンジ「………本当に良かった…………!!!」ボロボロ…






シンジ「後は…僕の頑張り次第だから……!!!!!」ボロボロ… ボロボロ…

シンジ「」グイッ、ゴシゴシ、ゴシゴシ…………







シンジ「」キリッ!!


シンジ「…行くよ、初号機!!!」キリッ!!!!

残念
「できるシンジ」は「騙されたシンジ」
に退化した

ー ネルフ本部 発令所 ー


ミサト「……もういいわよー、二人とも」クルッ

青葉「あっ、はい」

日向「了解です」


青葉&日向「」着席…


青葉「それじゃ、ミサトさん。EVAを発進させますね」

ミサト「あ、ちょっち待って」

青葉「?」

ミサト「…………エヴァの武器の中にさー、ガトリングガンって、確かあったわよね」

青葉「ああ、はい。ありますよ」

ミサト「それ、地上に出せる?」

青葉「どうでしょう…。今回、派手にビルとか壊されてますからね」

日向「いや、地下部分はほとんど壊れてないから、地上に出すだけならいけるんじゃないか?」

ミサト「じゃあ、悪いけどそれも初号機と一緒に出してくれない」

青葉「……それは構いませんけど……少し豪華過ぎやしませんか? あんな弱そうな使徒、素手でも充分だと思いますけどね……」

ミサト「いいのよん。今回は特別サービス♪ さっきいい事があったから、今、気分がいいしねー」

日向「……いい事、ですか。さっき、シンジ君と何かあったんです?」

ミサト「ま、そんなところよん♪」

青葉「……わかりました。なら、ガトリングガンも一緒に地上に出すようにしときますよ」カチャカチャ、カチャカチャ…

ミサト「ええ、お願い」


日向「」カチャカチャ……カチャ……

日向「いいですよ、葛城さん。全て発進準備、OKです」

ミサト「わかったわ」クルッ



ミサト「それじゃあ、エヴァンゲリオン発進!」キリッ

ー EVA初号機 格納庫 ー


EVA初号機『』カチッ…


EVA初号機『』ウィーン……

レイ「!!」



EVA初号機『』シュバッ!!!

レイ「……!」

レイの目の前で発進していく初号機



レイ「……ぅっ…!!」ズキィッ!!!!

ノート型外部端末『』ピピッ……


ノート型外部端末『』ビーッ、ビーッ、ビーッ

error!! error!! error!!


レイ「…ぅぅっ……!!」ズキズキ……


レイ(だけど…まだ……!!)

レイ(モニタリングだけはしないと…!!!)


再び、外部端末に手を伸ばし、痛さで震える指を抑えながら、懸命に操作を続けるレイ

ー 第三新東京市 地上 ー


第五使徒『』ホリホリ…

第五使徒『』パキン……

やっと第一装甲板を突破した第五使徒(シャムシエル)


第五使徒『』キュイ……♪

ちょっと休憩



第五使徒『』キョロ…キョロ…

第五使徒『?』



EVA初号機『』ヒュー、ガチッ!!

地下から出てきた初号機を発見!


第五使徒『』キュイ……?

第五使徒『……』フシギー



第五使徒『』ピョン

第五使徒『』フワフワ……


掘った穴から飛び出て、ゆっくりと接近!

ー 第334地下避難所 ー


トウジ「そうですか……。はい…。……はい。わかりました……。どうも、おおきに……」
スマホ『』ピッ……


トウジ「…………」ジッ…
スマホ『』……



クラス女子A「……鈴原君、電話終わった?」

トウジ「あ、ああ……すまんな。長々と借りてしもうて…」スッ

クラス女子A「あ、ううん……。それはいいけど…。向こうからかかってきた電話だから、こっちの電話代がかかる訳じゃないし……」ウケトリ…

クラス女子A「ただ………その……。病院の人からだったみたいだけど……何かあったの……?」

トウジ「ああ、いや、そういう事やあらへんから大丈夫や」

クラス女子A「…?」

トウジ「ワシの妹が入院しとるとこの看護師さんからでな。なんや妹がだいぶワシの事を心配しとったみたいやから、無事かどうか確認の電話をしたんやと」

トウジ「ただ…さっき、転校生が先生の携帯を壊してしもたやろ? だから、学校経由やと繋がらなくて、それで余計に心配になったんか、知り合いの知り合いの知り合いの、みたいな感じでずっと聞き回ってくれとったみたいで……」

クラス女子A「ああ、それで私の携帯まで回ってきたって事ね。お父さんが薬剤師だから、その関係かな…?」

トウジ「まあ、そういう事やろな。心配かけてすまんかった。妹も無事やったし、ワシも少し安心したわ」

クラス女子A「良かったね。鈴原君」

トウジ「おおきにな。…ほな、ワシはケンスケのところに戻るさかい……」

クラス女子A「ああ、うん。私もヒカリちゃんのところに戻って安心させてあげないと」

トウジ「?」

トウジ「委員長、何かあったんか?」

クラス女子A「ううん。こっちの事よ、じゃね」バイバイ

トウジ「…………なんやろか…。まあ、そない心配するような事でもなさそうやけど…」

トウジ「」テクテクテク……

ケンスケ「ああ、お帰りー、トウジ」

ケンスケ「電話、誰からだったんだ?」

トウジ「妹が入院しとるとこの看護師さんからや。妹が無事やいう事を伝えてくれてな…」

ケンスケ「へー、良かったじゃないか。使徒も倒し終わったみたいだし、後は避難命令の解除を待つだけだし、怖くて怖くてしょうがなかったさっきまでの事を思うと正に天国だよ、今は」

トウジ「……せやな」

ケンスケ「?」

ケンスケ「どうしたー、トウジー。なんか暗い顔してるけど」

トウジ「…………」


トウジ「……あんなあ、ケンスケ。少し話があるんやけど、付き合うてくれへんか?」

ケンスケ「……?」

ケンスケ「それは別にかまわないけどさ…」

ヒカリ「なーんだ、そうだったの…」ホッ…

ヒカリ「急に深刻そうな顔で、病院の人からみたい…とか言われたから、びっくりしちゃって…」

クラス女子A「ごめんね、ヒカリちゃん。でも、私もその時、理由とか全然知らなかったからさ」

ヒカリ「ううん。別にいいよ。笑い話ですむような事だったし」ニコッ

クラス女子A「……それにしても、ヒカリちゃんって、鈴原君の事になると、ホント色々とわかりやすくなるよね。見てて面白いぐらい」クスクス

ヒカリ「ち、違うの。別に鈴原だけ特別って訳じゃなくて……ただ、その、なんて言うか……鈴原は色々と私が注意する事が多かったから、それで少しだけ他の人より気になるっていうか…//」


ケンスケ「」トコトコ…

ケンスケ「委員長ー。今、ちょっといい?」

ヒカリ「あっ、な、何? 相田君、それに鈴原」アセアセ

ケンスケ「僕らさ、ちょっとトイレ行ってくるから。一応、伝えておかないとって思ってね」

ヒカリ「あっ、うん。わかったわ。でも、もうすぐ避難命令解除されるかもしれないから、出来るだけ早く戻ってきてね。寄り道とかしちゃダメだからね」

トウジ「……なんや、おかんやないんやから、そないな事まで言わんでもええがな」

ヒカリ「…鈴原!///」

トウジ「おー怖。行くぞ、ケンスケ」

ケンスケ「はいはいっと」

ヒカリ「もう!///」

クラス女子A「」クスクス…

ー 避難所 トイレ ー


ケンスケ「…で、話って何?」

トウジ「実はな、サクラがなんや上のドンパチのショックか何かで、今、熱出してしもうとるそうでな…」

ケンスケ「ああ、それで……。道理で表情が重い訳だ…」

トウジ「せやから、ワシは出来る事なら、サクラがおる避難所まで行こうと思てるんやけど、場所がようわからんくってなあ……」

トウジ「第145地下避難所ってどこかケンスケ知らんか? D731ブロックとか言われてもワシにはようわからへんからなあ……」

ケンスケ「なるほどねー……。トウジ、地名とか覚えないで、景色で覚えるタイプだからなー……」

ケンスケ「了解。そういう事ならいいよ。案内するよ。口で説明しても、多分トウジわかんないだろ?」

トウジ「ホンマか? そうしてくれるとめっちゃ助かるんやけど……」

トウジ「でも、避難命令中に外に出てるの見つかったら、多分、大目玉くらう事になるで。…それでもええか?」

ケンスケ「いいって、いいって。気にするなって。知ってる人の言葉を借りるなら、これは親切の押し売りってやつだからさ」

トウジ「……さよか。すまんな、ケンスケ。一生、恩に着る」パンッ

ケンスケ「大げさだなあ、トウジは。別にドンパチしてる中を案内するって訳じゃないんだからさあ」

ケンスケ「それに、バレたところで、先生から多少怒られるぐらいですむ程度だろ? 別に、何も問題ないよ」

ケンスケ「さ、それじゃ行こうか、トウジ。善は急げってね」タタッ…

トウジ「ホンマ、おおきになー、ケンスケ」タタタッ…

ー ネルフ本部 発令所 ー

ー 距離を置いて対峙するEVA初号機と第五使徒 ー



ミサト「シンジ君、ガトリングガンを地上に出しておいたから、それを使っていいわよ。これは私からの特別サービスだから♪」

シンジ『はい!! ありがとうございます! ミサトさん!』


ガトリングガンを拾い、それを素早く構えるEVA初号機!


ミサト「あら、動きに元気があっていいわね。好印象よ」

シンジ『ありがとうございます!!』

ミサト「それに返事もハキハキしてて、気持ちいいわねー。それも◎よ」

シンジ『はい!! それもこれも、全部、ミサトさんの親切で丁寧な指導のおかげです!! ミサトさんにはしてもしきれないぐらい感謝してます!!』

ミサト「あ、えっと、シンジ君// 確かに、お礼を言うのは良い事だけどー」

ミサト「でも、それだけストレートに言われると、ちょっち恥ずかしいからさー……// みんなの手前もあるしー……//」

シンジ『すみません! でも、本当の事ですから!! 僕をこんな風に変えてくれたミサトさんはすごく素晴らしくてステキな女性だと思ってます!! 僕の憧れなんです!!』

ミサト「やだ、もう// シンジ君たらー///」テレッ


シンジ『………』

ー エントリープラグ内 ー


シンジ(…やっぱりだ……)

シンジ(…さっきの反応からいって、もしかしたらおだてに弱いんじゃないかって思って試してみたら……)

シンジ(思ってた以上に弱くてよかった……)

シンジ(……まさか、こんなに上手くいくとは思わなかったけど……)

シンジ(…これなら何とかなりそうな気がしてきた……)


シンジ(…ミサトなんかに、こんな事言うなんて、心底腹が立つけど……!)

シンジ(でも、綾波のために、なりふりなんか構ってられないんだ、僕は……!!)

シンジ(僕の気持ちなんか、今はどうだっていいんだ!!)キリッ!!!

ー ネルフ本部 発令所 ー


日向「へー……。何があったか知りませんけど、シンジ君、急に真面目になりましたね」

青葉「動きもいいし、元気もいいし、やる気に溢れてるじゃないですか。ちょっと前とはまるで別人だなあ」

ミサト「そ、そう?///」テレッ…

日向「……ん?」

日向「………そういえば、葛城さん。さっきシンジ君と何か話してましたよね? ひょっとして、その影響だったりします?」

ミサト「ああ、うん…。多分、そんな感じ…かな?// 私も、まさか、これだけ変わってくれるとは思ってなかったんだけどね」ニコッ

日向「流石、葛城さんですね。あのどうしようもなかったろくでなしを、ここまで変えてしまうなんて」

青葉「あれぐらいの年の男の子にとっては、大人の女性の影響力ってのはものすごいだろうからなあ。結局のところ、全部、ミサトさんの魅力の賜物ってやつですね」

ミサト「もう// 日向君に青葉君までやめてよ。私はそこまで大した女じゃないんだから//」

日向「いえ、そんな事ないですよ。葛城さんは、少し自分の事を過小評価しすぎなんですよ」

青葉「優しいし、頼りがいがあるし、おまけに美人でスタイルもいいですからね。そりゃ、シンジ君じゃなくても憧れますよ」

ミサト「やめてよー// ちょっと言い過ぎよー、二人ともー///」エヘッ♪

シンジ『それじゃ、ミサトさん! 僕、今から使徒を倒してきますので、見てて下さいね!!』

シンジ『まだ慣れてないので、変な失敗もあるかもしれないですけど、僕、精一杯、頑張ってきますから!!』

シンジ『だから、いつものように、優しく見守ってくれてると嬉しいです!!!』

ミサト「//」ゴホンッ…

ミサト「あー、えーと、シンジ君。そんな心配はいらないわよ。少し気が変わったから」

シンジ『?』

ミサト「今回だけはホントのホントのスペシャル大サービスって事で、私が直接に指揮をとってあげるって事よん♪」

シンジ『え…………』



シンジ(しまった…! 調子に乗せすぎた…!!)

シンジ(…ミサトが指揮をとったら、絶対、無理な事を言い出すに決まってる!!)

シンジ(それだけは、どうにかして、やめさせないと…!!)ギューッ…!!!

シンジ『あ、あの……!』

ミサト「確かにー。シンちゃんはまだエヴァに乗って日が浅いしー、不安な面も色々とあるでしょうからねー。私がその辺のところをしっかりとサポートしてあげるから安心して♪」

シンジ『あ、あの……でも……その………』

ミサト「だいじょーV。私が指揮をとったからって、今回のシンちゃんとの約束を破るつもりはないわよ。きちんと結果だけを評価してあげるわー」ニコッ

シンジ『……だ、だけど……その……ミ、ミサトさんに悪いですし……そ、それに、ミサトさんの指示を上手くこなせられるか、僕、心配なんで……』

ミサト「いいのよ♪ 子供がそんな事気にしなくても。それに、シンジ君でもわかるような単純な指示にしてあげるつもりだから、それも安心して」

シンジ『あ、えっと…で、でも、その………』

ミサト「…………」ムカッ

ミサト「……何、シンジ君? まさか私の親切を断ろうとかしてる訳じゃあないわよね? 確かに遠慮も大事だけど、でも、今、この場でその態度はないわよね?」

シンジ『』ビクッ!!

ミサト「私の知ってるシンちゃんは、そんな空気が読めない子じゃなかったわよねー? ひょっとして、エヴァに乗れたからって調子に乗っちゃってるのかなー? 折角の機会だったのに残念よねー」

シンジ『』ビクゥッ!!!

シンジ『い、いえ!! すみません!! つい興奮しすぎちゃって、少し混乱気味だったんです!! それに、僕、ミサトさんの優しさに甘え過ぎてました!! どうか許して下さいっ!!!』ペコリ!!!




ー 第三新東京市 地上 ー


EVA初号機『!』ペコリ!!!





第五使徒『』キュイ?

第五使徒『……』



第五使徒『』キュイ

第五使徒『』ペコリ……

ー ネルフ本部 発令所 ー


ミサト「ふーん……。そうなのー……。まあ、確かにちょーっちシンちゃんに優しくし過ぎたかもしれないわねー。やっぱりシンちゃんには厳しくした方が合っていーー」

シンジ『や、やったー!! 嬉しいなー!!! ミサトさんが指揮をとってくれるなんて、僕、感激だなー!! これを一生の想い出にしたいなー!!!』

ミサト「……あら? ……そう、なの?」

シンジ『はい!! さっきはちょっと照れちゃって、どうしても素直になれなかったんです!! ごめんなさい!!!』ペコリ!!!!

ミサト「…………」


シンジ『』ダラダラ…



ミサト「」ニコッ

ミサト「なーんだ、そうだったんだー。全く、シンちゃんもまだまだ子供よねー。もう少し大人になりなさいよー。嫌がってるんじゃないかと思って、ビックリしちゃったじゃない」

シンジ「」ホッ…………

シンジ『ご、ごめんなさい。ミサトさん。次からは、嬉しい時は嬉しいって素直に言いますから……』

ミサト「そうねー。うんうん。少なくとも私に対してだけはそういう風に素直になってほしいわー」

シンジ『あ、あの、本当にごめんなさい! 僕もミサトさんに対してだけは、心を開こうと思っているんですけど、つい……』

ミサト「ええ、わかってる、わかってる。シンちゃんはお父さんに似てちょっと不器用なところがあるもんねー。でも、そういう所も結構可愛いから、帰ってきたらナデナデしてあげるわよん♪」

シンジ『わ、わーい!!』

ミサト「あらあら。ホント、可愛いらしい♪」クスッ

ー 第三新東京市 地上 ー


EVA初号機『!』アセアセ

EVA初号機『!』ビクビク

EVA初号機『……』ピョンカ、ピョンカ



奇妙な動きをする初号機






第五使徒『』キュイー?

第五使徒『』フワフワ……


その間にどんどん接近する第五使徒

日向「…あのー。葛城さん。そろそろ使徒が至近距離まで来てるんで……」

ミサト「あ、ホントだわ」

ミサト「」キリッ

ミサト「それじゃあ、シンジ君。使徒もいつの間にか接近してる事だし、今回の作戦を簡単にシンジ君に言うわね。その通りに動くのよ」

シンジ『は、はい!!』

ミサト「それと、念のため先に言っておくけど、前みたいにふざけるんじゃないわよ。遊ぶ時は遊ぶ、真面目にやる時は真面目にやる。そこら辺はしっかり守りなさい。いいわね?」

シンジ『は、はい!! 大丈夫です!! それで、今回の作戦は何ですか、ミサトさん! 僕はどう動けばいいですか!』キリッ!!


ミサト「シンジ君、今回の作戦はガンガンいこうぜよ。思いっきりやっちゃいなさい!」

シンジ『え………………』

シンジ『あ、あの、ミサトさーー』

ミサト「シンジ君! 何をボケッとしてるの? 早く行動に移しなさい!」

シンジ『え、あ……え………!』オロオロ!

ミサト「」イラッ!!

ミサト「さっさとしなさいよ!! 使徒はもう目の前にいるのよ!! グズグズするんじゃない!!!」

シンジ『あ…! う、うぁああぁああぁ!!!』ガチッ、ガチッ、ガチッ、ガチッ、ガチッ、ガチッ


ー 第三新東京市 地上 ー


EVA初号機『!!』スチャッ!!
ガトリングガン『』ダダダダダダダダタッ!!!!


第五使徒『……?』カキン、カキン、カキン、カキン、カキン、カキン
カキン、カキン



モクモク、モクモク……





ー ネルフ本部発令所 ー


ミサト「あのバカっ!! ATフィールドも中和せずに何してんのよ!!」

ミサト「オマケに爆炎で前が見えないじゃない!! いきなり人の期待を裏切るってどういう事よ!!!」ダンッ!!!

ー 避難所 地上へと通じる階段 ー


ドドドドドド……


ケンスケ「……?」

ケンスケ「な、なあ、トウジ。なんか遠くから妙な音が聞こえないか?」

トウジ「そない言われてみると、確かになあ。何の音やろ?」

ケンスケ「なあ、トウジ。……なんだか嫌な予感がするんだ。外に出るの、ちょっと待ってみないか。さっき委員長が言ってた通り、もうすぐ避難命令解除されるかもしれないからさあ……」

トウジ「別にそない心配せんでもええやろ。多分、使徒の後始末とかそないな事しとるんちゃうか? それに、もしなんかあったとしても、すぐに避難所に戻ればええだけの事やないかい」

ケンスケ「それはそうなんだけどさあ……」

トウジ「第一、そないな事を言うとる間にもう出口までたどり着いとるやないか。ほな、ハッチ、開けるでー」

ケンスケ「わ、わかったよ。腹をくくるよ。好きにしてくれよ、もう」

トウジ「よっしゃ。せーのっと」ガシッ、ググッ……

ハッチ『』ガコッ……

ー 第三新東京市 地上 ー


シンジ「うぁあぁああぁあっ!!!」ガチッ、ガチッ、ガチッ、ガチッ、ガチッ、ガチッ


EVA初号機『!!』
ガトリングガン『』ダダダダダーーガコッ…


ガコッ… ガコッ… ガコッ…



シンジ「 うっ…!!」ガチッ、ガチッ…………


シンジ「…し、使徒は……?」ハァ……! ハァ……!




モクモク、モクモク…………



ヒュイン!!!!


煙の中から第五使徒の攻撃!


第五使徒『!』キュイ!!!

EVA初号機『!?』ガシッ!!!


第五使徒はEVA初号機の足をつかまえた!


第五使徒『』ヒョイッ…

ポーイッ!!


EVA初号機『!?』

シンジ「あ…!?」



ヒューン…………




ー 避難所 地上出口付近 ー


出口『』ガコッ……


トウジ「よしっと。それじゃ早速行こか、ケンスーーぬおっ!?」

ケンスケ「どうしたんだ、トウーーうわっ!? ひどいな、コレ……! 街がメチャメチャになってる…………」

トウジ「こない壊されてしもうたんか、今回……。えげつないもんやなあ……」

ケンスケ「よっぽど戦闘が激しかったんだろうね……。ひょっとして、途中で碇が呼ばれたのも、それと関係があーー」


ヒューン……




ケンスケ「あ、あ、あ!! わーーーーっ!!!!」

トウジ「なんや? どないしたーーんぉーーーーっ!!!!」




ドシーンッ!!!!

ー エントリープラグ内 ー


シンジ「ぐっ……!!」


シンジ「……ぅ……!!」体を起こすシンジ



シンジ「」ハッ!!!



モニター画面に、初号機の手の間で怯えるトウジとケンスケを発見!

ー 第三新東京市 地上 ー


第五使徒『』フワフワ……

EVA初号機『!?』


いつの間にか接近していた第五使徒!


第五使徒『』ヒュン!!!

シンジ『っ!!』
EVA初号機『!!』ガシッ!!!


第五使徒『!?』キュイ!!!


第五使徒の攻撃を手で掴んで止めるEVA初号機!!

ー 第三新東京市 地上 ー

ー トウジ&ケンスケ ー


トウジ「うわぁ!!!」
ケンスケ「ひぃえっ!!!」


地面にしゃがみ震える二人

使徒の攻撃を手で掴まえて止めている初号機を見上げる


トウジ「…何で、使徒がまだおんねん……!」

ケンスケ「…わかんない、わかんないよ、そんな事……!」


トウジ「…しかも、エヴァは何で戦わへんのや………!」

ケンスケ「……きっと、僕らがここにいるから……!」


ケンスケ「自由に戦えないんだ…!!」

トウジ「……!!」

ー ネルフ本部 発令所 ー


シンジ『あ、あの!! ミサトさん!! 今、エヴァのすぐ横に僕のクラーー!!』

ミサト「シンジ君!! 何をチンタラやってるのよ!!! 前みたいに訳のわからない事を言って誤魔化そうとしても無駄よ!!! 言い訳なんかせずに、さっさと使徒を倒しなさい!!!」

シンジ『ち、違います!! エヴァのすーー!!』

ミサト「黙りなさい!!! 人生にリセットボタンはないのよ!!! 使徒を瞬殺するのに失敗したからって、やり直しがきくと思わないでよね!!!」

ミサト「 一度の失敗は、別の大きな成功で償うしかのいのよ!!! 前に、壊れたビルを見せて、それをわざわざ教えてあげたでしょうが!!!」

シンジ『う…!!』

シンジ『うぁああぁぁあぁあぁぁ!!!!』


シンジ『ミサトさん!! このままだと、二人が、二人がっ!!!』

シンジ『うあぁあぁあぁぁあぁぁあ!!!!!!』


ミサト「うるさい!!! 大きな声を出すな!!! そうやって後悔して嘆く暇があるなら、その間に使徒を倒す努力を見せなさい!!!」ダンッ!!!


シンジ『うあぁ!! うぁぁあぁあぁ!!! うぁあぁあぁああぁぁっ!!!!!!』


ミサト「」チッ…

ミサト「もういいわ…。日向君、初号機からの音声を全面カットして。耳障りでしょうがないから…!!」

日向「全く同意見ですね…。了解です」カチャカチャ… カチャカチャ…


シンジ『』ハッ!!!

シンジ『ミサトさん!! ミサトさん!!! お願いです!! 切らないで下さーー』ブツッ……


シーン……


ミサト「…全く…!! よくもあれだけ人に恥をかかせて平気でいられるわね……!!! あのろくでなし…!!!」ブツブツ…

日向「…まあ、怒る葛城さんの気持ちはわかりますけど……」

青葉「とはいえ、やる気だけは認めてあげてもいいんじゃないですか? ……あくまで、やる気だけは、ですけど」

日向「少なくとも、ふざけて遊んでた前回よりは遥かにマシですからね。真面目にやってこの程度だったっていう、ただそれだけの事でしょう」

青葉「…………つまり、前回の使徒があまりに弱すぎたって事か…。あのシンジ君でも、簡単に倒せるぐらいに」

日向「そういう事だろうな。多分、レイちゃんだったら、30秒もかからなかったんじゃないかな。今回の使徒にしたって、最初のガトリングガンで間違いなく終わってたはずだろうし……」

青葉「あの役立たずならこんなもんって事か……。まあ、当然と言えば当然な気もするし、仕方がないと言えば仕方がないんじゃないですか、ミサトさん?」

日向「最初の頃のダメさ加減を考えると、これでも進歩した方だと思いますけどね…」

ミサト「…………」ハァ…

ミサト「……まあ、そうね。…本人に成長しようという気があれば、今後、化ける可能性もある訳だし……。自分が失敗した事を後悔しているみたいでもあるからね……」

日向「反省の気持ちがあるのなら、まだ救いようはありますよ。どんなクズでも、人である以上は」

青葉「それに……今回はやっぱりサービスし過ぎだった気がしますからね。それで気が緩んだって可能性も……まあ、あり得なくはないでしょうし」

日向「どうでしょう、葛城さん。ここは一度、シンジ君の自立心を養うためにも、しばらくこのまま一人でやらせてみるというのは」

青葉「僕らが見ているっていう安心感が、あの子にとっては毒かもしれませんしね」

ミサト「そうねえ……。確かに突き放すのも、教育の一つよね。シンジ君に構いすぎたのはちょっち良くなかったかも知れないわね……」

青葉「元がドクズなんで、最初は仕方がないです。ただ、今は単なる役立たずに変わったんで、ここらで一度放置して見守るってのもありかなと」

日向「言ってみれば、初めてのおつかいみたいなものですね。一人で出来るっていう自信がつけば、あの子も、もう少し成長してくれるかもしれませんし」

ミサト「……わかったわ。日向君の言う通り、このまま少し様子を見ましょうか。多少、時間がかかっても、誰の力も借りずに使徒をきっちりと倒すようなら、改めて評価はしてあげようと思う。我ながら、甘いとは思うけど……」

日向「それは甘さじゃなくて、優しさですよ、葛城さん」

青葉「シンジ君が憧れる訳ですね。羨ましいですよ、あの子が」

ミサト「そんなんじゃないわ。本当にただ、甘いだけよ。この場にリツコがいたら、なんて言われてたかわかったものじゃないぐらいにね」フフッ…

ー EVA初号機 格納庫 ー


シンジ『うぁぁああぁあぁああぁぁ!!!!! ミサトさん!! ミサトさん!! ミサトさん!! ミサトさんっ!!!』



レイ「……ぅっ…!!」ズキズキ…!!!!


レイ「…っ……!!」カチャ…

ノート型外部端末『』カタ…


レイ(…念……のた…め……!)

レイ(…初号機の…コント…ロールを……リモートにし…ておい…て良かった……!)


レイ「……ぅぅっ…!!!」ズキィッ!!!


レイ「エント…リープ……ラグを一時…排出…!!」カチャ…

ノート型外部端末『』カタ…



『命令を確認… 排出信号を発信…』

ー エントリープラグ内 ー


ビュウン……


シンジ「!!?」

シンジ「景色が…!! 真っ暗に!?」

シンジ「何で!!!?」

シンジ「ミサトさんっ!!! 一体、何をーー!!」


SOUNDONLY画面『…碇君、二人をエン…トリープ…ラグの中に……! 早く…!!』


シンジ「その声…!?」

シンジ「綾波!?」

SOUNDONLY画面『急…いで…!! 今、初号…機の音声を…外部マイクに繋げ…たから…!!』

SOUNDONLY画面『……私の方か…らだと音声は外に…は伝えら…れない……!!』


シンジ「あ…!!」


シンジ「ありがとう!! 綾波っ!!!」パアッ



シンジ「」キッ!!

シンジ「二人とも!! こっちに来て!!!」

シンジ「早くっ!!!!!!」

ー ネルフ本部 発令所 ー


エントリープラグ『』ガコッ…!!


日向「…?」
青葉「…?」


青葉「……何で初号機のエントリープラグが急に出たんだ? 日向、何かいじったか?」

日向「いや、何も……。ただ、このところ誤作動が毎日のようにあるからな……。一度、赤木博士に頼んで、メンテしてもらった方がいいかもしれない」


ミサト「…ていうか……初号機のエントリープラグ辺りに人いない……? ……モニター画面、少し拡大してもらえるかな……?」

青葉「ああ、はい……」カチャカチャ、カチャカチャ……



日向「あ……」

青葉「うわ……」

日向「これは流石に…………」ハァ……

青葉「やらかしたな……完全に…………」ハァ……

ミサト「何? どういう事?」

日向「……モニター見てもらえればわかりますけど、今、縄ばしごを使って、二人の子供が初号機のエントリープラグの中に入ろうとしてますよね?」

青葉「…その二人をMAGIに照会させたところ、名前は、相田ケンスケに鈴原トウジ……。シンジ君のクラスメイトなんですよ。って事は、つまり…………」


ミサト「あのバカっ!! 友達を呼んだのね!!!?」

ミサト「使徒との戦いは遊びじゃないって教えたのに!!! これからは真面目にやるって言ったばかりなのに!!! この大嘘つきっ!!!!!」ダガンッ!!!!

ー 初号機 エントリープラグ内 ー


トウジ「な、何やねん、これ!? 水やないか!?」ドボン…!!

ケンスケ「うわっ、溺れるー!!」ガボガボ…


シンジ「綾波っ!! 綾波っ!!!」

シンジ「二人を乗せたよ!!!」



SOUNDONLY画面『…エント…リー…再スタート…!!』


ビュウン…!!


モニターに襲いかかっている第五使徒の姿が映る


シンジ「あっ!! ぐっ!!!」


突如始まる痛み、そして戦闘の続き


シンジ「ぐうっ!!!」ギリッ!!!

シンジ「うっ!!!!」ギリッ!!!


トウジ「……!」
ケンスケ「……!」

今回の投下分の補足

ミサトさんの階級は、勘違いとかではないです
オリジナル要素、多少入ってます

ー ネルフ本部 発令所 ー


ミサト「あのバカ!!」ゲシッ!!!

ミサト「バカ!! バカ!! バカ!! バカ!! バカ!! バカ!!」ゲシッ!! ゲシッ!! ゲシッ!! ゲシッ!! ゲシッ!!


壁を蹴り続けるミサト


日向「」ハァ……

青葉「」フゥ……


その背中を重い表情で見守る二人



ミサト「」ハァ…!! ハァ…!!



ミサト「」クルッ!!!!

日向「」ビクッ!!
青葉「」ドキッ!!


ミサト「今すぐ初号機に回線を繋いで!! 早く!!」

日向「はい!」カチャカチャ!!
青葉「了解です!」カチャカチャ!!

ー 少しだけ、時をさかのぼって ー



ー 初号機 エントリープラグ内 ー


シンジ「ぐぅっ!!!」

シンジ「うぅっ!!!」


歯を食いしばり、第五使徒を振り離そうとするシンジ

だが、上手くいかず、状況は悪化する一方


ケンスケ「い、碇……頑張ってくれ! 頼む!!」

トウジ「ワシらで手伝える事があれば、何でもするさかい!」


シンジ「ぐっ!! …ううっ!!!」


答える余裕もないシンジ

不意にまた、レイの声


SOUNDONLY画面『…碇君、初号機のシ…ンクロ率が…一気に下…がっていって…る……!!』

SOUNDONLY画面『…二人も余…分に取り込ん…でるから…!』


ケンスケ「」ドキッ!!!
トウジ「」ドキッ!!!


SOUNDONLY画面『…だから…訓練も受けてな…い碇君では…これ以上の戦闘…は無理……!!』


ケンスケ「ぼ、僕らのせいで……!」

トウジ「だけど、今、ここから降りたら、ワシら死んでまうで!!」


SOUNDONLY画面『……わかって…る…! ………碇君…退却し…て…!! ルートはこ…ちらで用意…するから……!』


シンジ「…ダメだよ……綾波…!!! 出来ないよ……!!!」

シンジ「……使徒を倒さず帰ったら……!! 絶対にミサトさんは……僕をもう…エヴァには乗せてくれないから……!!」

シンジ「…だから……この使徒だけは…!! 今……僕が倒さなきゃいけないんだ…!!!」


SOUNDONLY画面『…………その必要はな…いから…!!』

シンジ「あるよ!!! あるに決まってるよ!!!!」


トウジ「……」
ケンスケ「……」

思わず顔を見合わすトウジとケンスケ

ケンスケ「あ、あのさ、碇……綾波って……あの綾波…?」

トウジ「ケンスケ、今、それどころやないやろ!!」

ケンスケ「あ、うん…!」

トウジ「碇! どない状況かは知らんが、綾波の言う通り逃げてくれや!! 頼むわ!!」

トウジ「それに、こんなもん、乗られへん方が幸せやろ!! 他の人間に任せられるなら、それが一番ええやないか!!」

シンジ「いいから二人は黙っててよ!!!!!!」

トウジ「」ビクッ!!
ケンスケ「」ビクッ!!


SOUNDONLY画面『………碇君…! 回収ルートは…そこのす…ぐ近くの163番を用…意したから……! …初号機に…ルートのデータ…も送信済み……!』

SOUNDONLY画面『……逃げて…碇君……!! 早くし…ないと…きっとーー』

ブンッ……
ミサト『シンジ君!! あんた、私を騙したのね!! 私の信頼を裏切ったのね!! 私の気持ちを裏切ったのね!! 私との絆を…!! 全部、裏切ったのね!!!』

シンジ「ミサトさん!!!?」

シンジ「あ、あの、ミサトさん! 裏切ったってどういうーー!!」

SOUNDONLY画面『葛城三佐…! お願いがあ…ります……!! …碇君に退…却命令を……!!』

ミサト『その声はレイ? 悪いけど、いくらレイの頼みでも、それはきけないわよ!! けじめをつけさせるためにも、この使徒だけは絶対にシンジ君に倒させるから!!!』

シンジ「え…!?」

ミサト『ただし、シンジ君!! 作戦は命令させろに変更よ!! そこの二人を今すぐエヴァから降ろしなさい!!!』

シンジ「!!?」

ケンスケ「えっ!!?」

トウジ「なんやて!!?」

SOUNDONLY画面『…葛城三…佐…! …そ…の二人は私…の独断でーー』

ミサト『レイ!! あんたは部外者なんだから、すっこんでなさい!!! これも命令よ!!!』

SOUNDONLY画面『…!!!』

SOUNDONLY画面『………………は…い……』

シンジ「…綾波っ!!?」

ケンスケ「ちょ、ちょっと待ってくれよ!! 綾波!!!」

トウジ「ワシらを見捨てるんか!!?」

ミサト『うるさい!! 外野は黙ってなさい!!! これは私とシンジ君との問題なんだから!!!』

トウジ「ちゃう!! ワシらの命の問題や!!!」

ケンスケ「僕たちを殺す気ですか!!?」

ミサト『私とシンジ君との絆の邪魔をするぐらいなら、死になさい!!!』

トウジ「」ビクッ!!!!
ケンスケ「」ビクッ!!!!


シンジ「ミサトさんっ!!!!!!!」

SOUNDONLY画面『………………』

ミサト『シンジ君!! エヴァは確かにあんたの遊び道具かもしれないけど、でも、あんたの所有物じゃないのよ!!!』

ミサト『友達を誘って三人乗りだなんて……!! そんな自転車感覚で乗るものじゃないって事ぐらいわかるでしょうが…!!!』

ミサト『どうしてそんな事もわかってくれないのよ!!! どうして、いっつも私の期待を裏切るのよ!!! どうしてっ!!!』

シンジ「違います、ミサトさんっ!!!! これには訳が!!!!」

ミサト『言い訳するなって、ついさっきも言ったばかりなのに……!! 何回、同じ事を私に言わせれば気が済むのよ…!! 何でっ……!!! 何で私の気持ちがわかってくれないのよっ!!!!』

シンジ「だけどっ!!!!!」

ミサト『こ…のぉっ…!!! !!』


バキンッッ!!!!

シンジ「」ビクッ!!!!
ケンスケ「」ビクッ!!!!
トウジ「」ビクッ!!!!

激しい音と共に、いきなり途切れる通信!

ー 第三新東京市 地上 ー


第五使徒『』キュイ?

第五使徒『』キュイ!!


第五使徒『』ビュンッ!!!!

EVA初号機『!?』フラッ…!!


シンジの気がそれたため、掴まれていた初号機の手を一気に振りほどく事が出来た第五使徒!


第五使徒『』キュイ!! キュイ!!

第五使徒『』シュバッ!!! シュバッ!!!


シンジ「ぐうっ!!!」
EVA初号機『!!』サッ!!!


アンビリカルケーブル『』プツンッ……!!


使徒の攻撃を何とか避けたものの、代わりにアンビリカルケーブルが断線!!


第五使徒『』キュイ!!!!

第五使徒『』ヒュインッ!!!!

EVA初号機『!!?』ドスッ!!!!

シンジ「ぐわぁぁあぁっ!!!!」


使徒の触手が、初号機の腹部を貫通!!!

ー ネルフ本部 発令所 ー


ミサト「」ハァ…!!! ハァ…!!!


叩き壊された端末『』…………


青葉(……ヤバいな、コレ…。放っておいたら、俺らにまでとばっちりがきそうだな……)

日向(……まずいな、コレ…。このままだと葛城さんが可哀想過ぎるよな……)

青葉&日向(…何とか、慰めないと……!)


青葉「あ、あの……ミサトさん……。少し落ち着いて下さい……」

日向「……多分、シンジ君もそこまで悪気があってした訳じゃないでしょうし…………」

ミサト「」キッ!!!

ミサト「じゃあ、どういうつもりであいつは友達を呼んだのよ!!! 我慢に我慢を重ねてきたけど、もう限界なのよ、私も!!! もう嫌なの!!!」ダガンッ!!!!

バキッ…!!!!


青葉「」ビクッ!!!!
日向「」ビクッ!!!!

叩き壊された端末、二台目『』…………


ミサト「二人とも!! もう一度、初号機との回線を繋いで!! 早く!!!」

青葉「はい!」カチャカチャ!!
日向「すぐに!」カチャカチャ!!

ー 初号機 エントリープラグ内 ー


シンジ「ぐあっ!! うぅっ……!!!」


第五使徒の攻撃によって、うめくシンジ!!

突き刺さる痛み!!


トウジ「碇ぃ!! しっかりしてくれや!!! 気を強く持ってくれ!!! お前が踏ん張らな、ワシら全員このままお陀仏やで!!!」

ケンスケ「碇ぃ!! 活動限界まであと4分とか出てるけど、これってヤバいんじゃないのか!!! 4分後には動かなくなるって事だろ、これ!!!」

トウジ「ホンマか!!? 今、この状態で動かなくなったら、間違いなくワシら使徒に殺されてまうで!!!」


ゆっくりと近付く恐怖!!

限られた残り時間!!


SOUNDONLY画面『…碇君…!! シンクロ率が…もう…起動出来…る限界まで下…がってる…!! 命令を無…視して逃げて…!!!』


突如訪れるかもしれない死!!

逃亡するという選択肢!!


ブンッ……
ミサト『シンジ君!! もう一度だけ言うわよ!! 二人を今すぐそこから降ろして、使徒を倒しなさい!!! そうすれば、何もかもなかった事にしてあげるから!!!』

ミサト『これがあなたと私との絆を元通りにする最後のチャンスよ!!! もしも、私の命令に従わなかった場合、あなたとはもう二度と会わないから!!! そのつもりでいなさいよ!!!』


悲痛な声を張り上げるミサト!!

二人を降ろせという命令!!


ケンスケ「碇!! まさかとは思うけど、やめてくれよ!!!」

トウジ「ワシら、お前の邪魔するつもりなんか、ホンマなかったんや!!! だから、許してくれ!!! 堪忍や!!!」


涙目で哀願する二人!!

襲いくる悲壮感と絶望感!!

逃げたら……綾波が明日エヴァに乗る事になる

この二人を降ろさなかったら……僕はもうエヴァには乗れなくなる

こんな事を言い出すぐらいだから……ミサトは間違いなく、綾波が乗りたいと言ったらどんな酷い怪我をしていても止めるはずがない

青葉や日向、リツコやマヤ、それに父さんも絶対に止めない……止めるぐらいなら、最初の使徒の時にケガしてた綾波を乗せようと思うはずがない



綾波は……きっと明日、使徒に殺される

でも……この二人を今ここで降ろしたら……それもまた、きっと使徒に殺される





そもそも、今の僕は……きっと逃げる事すら出来ないと思う

この使徒を倒す事も……きっと出来ないと思う





じゃあ、残るのは……?














……甘き死よ、来たれ















嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない殺したくもない殺したくもない殺したくもない殺したくもない殺したくもない殺したくもない殺したくもない殺したくもない殺したくもないうあぁああぁあぁっぁあぁっあぁぁあぁぁあぁっあぁあぁっぁあぁっぁあぁっぁあぁっあぁああぁっぁああっっ!!!!!!!!!!!!!!!!

ー 第三新東京市 地上 ー












ドックン……!!!







EVA初号機『!!』キュピーン!!!



EVA初号機『グオオォォォォッ!!!』


初号機、咆哮!!!

これは使徒も協力するレベル

>>788
使徒「目を覚ませシンジ君!今こそ真の敵と戦う時だ」
シ「真の敵?」
使「邪悪な心を持ちながら自分は正しいと信じ込んでいる人間……それこそが君の滅ぼすべき本当の敵だ!」
使「俺たちも手を貸すぜ!」
シ「あ、ありがとう……よし行け、初号機!力の限り叩き潰せ!」

ですねわかります

ー ????? ー

ー トウジ&ケンスケ ー


トウジ「……なんやろ……ここ……?」キョロキョロ…

ケンスケ「……周り中、キラキラ光ってて……」キョロ…キョロ…

トウジ「……でも、こない訳のわからん場所や言うのに、なんか落ち着くな……」

ケンスケ「……そうだね。……暖かいし…………なんて言うか、ほっとする……。どうしてだろう……」


トウジ「ん?」

ケンスケ「どうしたんだ、トウジ?」

トウジ「…あそこにおるの、碇やないか?」指差し

ケンスケ「……ホントだ。知らない女の人も一緒にいるみたいだけど……」

トウジ「……とりあえず、行ってみよか?」テクテク…

ケンスケ「…そうだね」テクテク…

ー ????? ー

ー シンジ&ユイ ー


ユイ「……久しぶりね、シンジ…」ニコッ

シンジ「母さん!」

ユイ「……やっぱり、こうして見ると、ずいぶんと大きくなったのね…」

シンジ「母さん…!」ウルッ…

ユイ「……それに、立派に成長してくれたみたいで嬉しいわ。……今まで、よく頑張ったわね……」

シンジ「母さん! 母さん! 母さん!!」ダダッ!!


泣きながらユイに抱きつくシンジ


シンジ「母さん…! 僕…! 僕…!!」エグッ、エグッ

ユイ「…ええ、わかってる……。怖かったのよね、シンジ……。ひどい目にあったのよね……」

シンジ「うん…! うん……!!」エグッ、エグッ、エグッ

ユイ「………でも、もう大丈夫よ、シンジ…」ナデナデ…

シンジ「…母さんっ……!!」エグッ、エグッ、エグッ

ー 第三新東京市 地上 ー


EVA初号機『!!』ググッ……ガシッ!!!

第五使徒『!?』キュイ!?


腹部に突き刺さっていた触手を掴む初号機!!



EVA初号機『!!』ググググッ…

……ブチッ!!!

第五使徒『』キュイーーッッ!!!!


その触手を力任せにちぎりとる!!



第五使徒『』キュイー……!! キュイー……!!


攻撃方法がなくなり、一旦、退こうとする第五使徒!!



EVA初号機『!!』グイッ…

ダシンッ!!!

第五使徒『』キュイーー!!?


引き戻して取り押さえ、地面へと押し付ける初号機!!

ー ネルフ本部 発令所 ー


青葉「あーあ、やっちまったな、シンジ君……」

日向「命令違反に、EVAの私的占有……。これはもう、流石にかばいきれないな……」ハァ…

青葉「今、考えると、あの子が最初にEVAに乗せて乗せてって言ってきたのも、そりゃうなずけるよな。友達との約束があれば、向こうも必死になる訳だ……」

日向「おい、それ……!」

ミサト「…!?」


ミサト「……青葉君。…何、それ、どういう事…!?」

日向「あ、いえ、葛城さん。これはそーー」

青葉「日向。もういいだろ、この際。副司令もいない事だしさ」

日向「いや、でも…!」

青葉「ミサトさん。実はシンジ君……最初、EVAに乗せてほしいって僕らに泣きついてきたんですよ。副司令がそれをかばったんで、僕らはそれに合わせただけです。あの場では、副司令の顔も立てないとまずかったんで…」

ミサト「っ!!」

ミサト「じゃあ、なに……。あの子は最初から……反省も理解もしてなかった……って事…………?」

青葉「ま、そういう事でしょうね。やる気があるフリをして見せたのも、友達が来る前にEVAから降ろされるとまずいからっていう、それだけの事じゃなーー」

日向「おい、青葉。もうその辺でやめときなよ……」

青葉「何でだ? お前だって、あの子に対して腹が立ってるんだろ? 真面目なふりして、人を騙して、自分はそれを利用して好き放題やってるんだぜ。こんな最低なやつ、俺、初めて見たよ」チッ

日向「……だから、もうやめろって。葛城さんを見てみなよ…」

青葉「?」チラッ


ミサト「」グスッ…… エグッ、エグッ……

青葉「あ…………」

日向「……葛城さんはさ、今まで色々とシンジ君の面倒を見てあげてたのに……」

日向「なのに…それを恩に感じるどころか、逆に全部仇であのクズは返したんだから……。葛城さんが裏切られた気持ちになるのは当然だよ。辛いに決まってるじゃないか……」

青葉「……悪い…………今、一番辛い思いをしているのはミサトさんだっていうのに、つい……」

日向「人の気持ちってものをもう少し考えなよ…。葛城さんが可哀想過ぎて、正直、見てるだけでも辛いよ……」

青葉「本当に悪かった……。これからは気を付けるよ……」シュン……

日向「……あの…ミサトさん。どうか気を落とさないで下さい……」

心配気な表情でハンカチを差し出す日向


ミサト「ぅ…………」コシコシ、コシコシ……

それを受け取らず、指で涙をふくミサト


日向「…………葛城さん……元気を出して下さい……」

青葉「……大丈夫ですか、ミサトさん…? 少し休んだ方が……」


ミサト「…大丈夫、大丈夫だから…………」コシコシ……

ミサト「ごめんね…二人とも。ごめんね……。心配かけて……」


日向「いえ、そんな! とんでもない!」

青葉「これぐらい当然の事です!」


ミサト「…ありがとう……。気を遣ってもらって……。悪いのは全部私なのに………………」ウッ…… エグッ、エグッ…


日向「違いますよ! 葛城さんは何にも悪くないです! 悪いのは全部シンジ君ですよ!!」

青葉「ミサトさんが責任を感じるような事なんて、何一つないですから!」


ミサト「違うの…! 全部私が悪いの…! 私、あいつの保護者としても、あいつの教育係としても失格だわ…!」エグッ、エグッ……

ミサト「自分が騙されている事も見抜けず、気持ちが通じ合ったと勝手に勘違いして……!! 一人、ぬか喜びしてた私が馬鹿だったのよ……!!」ボタボタ、ボロボロ………


日向「葛城さん! それは違いますよ!」

青葉「あのクソガキが僕らの想像の遥か上をいく、正真正銘のドクズだったってだけの事です! ここまで最低なやつ、誰も想像がつきませんよ!」


ミサト「でも……! でも……!!」エグッ、エグッ、エグッ


日向「くそ!!」クルッ…!!

日向「そこの生ゴミ!! 聞こえてるなら、返事をしなよ!! 葛城さんが泣いてるんだぞ!! 君はこれを聞いて、何とも思わないのか!!?」

青葉「おい、よせよ! あんな腐ったやつからまともな返事がくる訳ないだろ! それを聞いたらミサトさんがまた辛くなるに決まってるじゃないか!」

日向「あ……」

日向「そうだよな……。ごめん。もうモニターごと全部切っておくよ。多分、今は初号機を見るのも辛いだろうし……」カチャカチャ…

青葉「そうだな…。その方がいいだろ…」


主モニター『』ブツンッ……

ー 発令所でのやり取りの間 ー



ー 第三新東京市 地上 ー


EVA初号機『』バキッ!!! ズシャッ!!!

第五使徒『!!』キュイッ…!!!! キュイッ……!!!!


地面に転がした第五使徒をひたすら殴り、えぐり続ける初号機!!


EVA初号機『』バキッ!! ザシュッ!! ドシュッ!!

第五使徒『』キュイッ………!!!! キュイッ…………!!!! キュイーッ……………!!!!

EVA初号機『』メキョッ!!!! バキッ!!!! ザシュッ……!!!!

第五使徒『』キュ……イッ……………!!!

第五使徒『』…………


ついに沈黙する第五使徒!!


EVA初号機『』ググッ…!! グググッ…!!!!

第五使徒『』…………


第五使徒のコアを引き剥がしにかかる初号機!!


ブチッ!!!!



コア『』…………

EVA初号機『』グシャッ…!!!!

コア『』パリンッ………


剥がされ、潰されるコア!!



第五使徒の死骸『』…………


原形を全く留めずに、殲滅された第五使徒!!



EVA初号機『グオオォォォォォォォッ!!!!!』


再び咆哮する初号機!!!

ー ????? ー


シンジ「母さん、母さん……!」エグッ、エグッ、エグッ

ユイ「…大丈夫よ、シンジ。もう大丈夫…。だから、泣かないで…」ヨシヨシ…



ー 少し離れた場所 ー


トウジ「…………なんや、碇が抱きついとるから、誰や思うとったら、碇のおかんだったんやな……」

ケンスケ「…優しそうなお母さんだな……。ママか……。羨ましいよ……」

トウジ「そういや、ケンスケんとこも……おかんがおらんのやったな……」

ケンスケ「うん……。トウジと一緒だよ。妹がいる分、少しトウジの事も羨ましく思ってる……。僕も兄弟が欲しかったなあ……」

トウジ「無い物ねだりいうやつやな……。まあ、仕方あらへんか……。ワシもおかんがおる碇が羨ましいからなあ…………」

シンジ「母さん、僕……」エグッ、エグッ、エグッ

シンジ「今まで頑張ったんだよ……! 辛くて…辛くて……何回も泣いたけど……でも、頑張ったんだよ…!!」エグッ、エグッ、エグッ

ユイ「……ええ、知ってるわ……。…本当に今までよく頑張ったわね……。偉いわよ、シンジ……」ギュッ…

シンジ「…ぅっ………!」エグッ、エグッ

シンジ「……うん………!!」ボロボロ、ボタボタ……


ユイ「…シンジ……。もう大丈夫だから、安心して……。あなたは私が守るから…」ニコッ…

ユイ「…だから、シンジ……。心も身体も全て……私に任せて…」

ユイ「…還りましょう……。あなたが産まれる前の場所に……」

ユイ「…優しさと安らぎのある場所に……」

ユイ「…誰もあなたの事を苛めないところへとね……」

ユイ「……ね…シンジ……。行きましょう……」ギュッ……

シンジ「…母さん………」ボロボロ、ボタボタ……

ー 第三新東京市 地上 ー


EVA初号機『!』テケテケ……


第五使徒の死骸『』…………


EVA初号機『!!』グパァッ!!

EVA初号機『』ガブッ!!

EVA初号機『』モグモグ、クチャクチャ……


第五使徒の死骸『』…………


EVA初号機『!!』ガブッ!!!!

EVA初号機『』バクバク、ムシャムシャ……


第五使徒の死骸『』…………




EVA初号機『グオオォォォォォォォッ!!!!!』


立ち上がり、天に向かって吼える初号機!!

ー EVA初号機 格納庫 ー


レイ(……これは…何…………!?)

レイ(……EVAが自らS2機関を取り込んでるの……!?)


ノート型外部端末『』ビーッ!! ビーッ!! ビーッ!!

レイ「」ハッ!!


レイ(…三人も…中に乗ってい…るのに……!)

レイ(…使徒を倒…し終わったの…に……!)

レイ(…使徒を捕食し…てから…初号機のシ…ンクロ率の上昇が止…まらない……!)

レイ(…プラ…グ深度も…120をオーバー……!! …乗ってる全…員がエヴァ側に…引きずり込ま…れていく……!!)

レイ(…どうして……!?)


レイ「」ハッ!!!!


レイ(…電力…S2機関…それに人…の魂が三人分……! 動力源が過剰してるのに…まだ…力を無理矢理…取り込もうとしてるの…!?)

レイ(……そうす…る理由は……まさか……!!)

レイ(…これは碇く…んの意思……!? …それとも初号…機の意思……!?)

レイ(……だけど…!!!)

レイ(……今、ノイズが混…じって不安…定なのに……そんな事…をしたら……!)

レイ(…もう何が起…こるか予想…がつかない……!!)

レイ(…それに…このま…まだと…乗ってる三人が……!)

レイ(…人ではない…別の何かに……!!!)

―「行きなさいシンジ君!誰かの為じゃない!あなた自身の幸福のために‼ 」って言ってましたよね?

ミサト「そうでしたっけ?ウフフ」

今、本来予定していた展開ではない、別のルートを作ろうかどうかで悩んでます

新劇の(not)か not かのようなものです

更新は少しの間、お待ち下さい

S2機関取り込んだら制限時間を気にしなくて良かったっけ?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
つーか、もしも次に乗れたとしたら、
ラミエルだからやばくないか!?

シンジ「ああああああああ!!!!!
嫌だ!!もう嫌だ!!
こっから出してよ!!出してよ
ミサトさぁーーーーん!!!」

ミサト「何甘えてんのよこのドクズ!!
せっかく乗せてあげてんだから
さっさと倒しなさいよ!!!!
倒すまで降ろさせないからね!
!!!!」

シンジ「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



>>847
誰も書けなんて言ってないだろうが
出しゃばんなよ

>>848及びほかの皆様
すみませんした!
気長に待つとします。
しかし、改めてSS書くのが疲れるかが
わかった。
>>1さん、頑張ってください!!!

さんざ悩んだ末、2ルート書く事にしました
>>809から派生する2通りの結末です

シンジ君のメンタルが強かった場合→予定通りの展開

シンジ君のメンタルが弱かった場合→新しく書く展開

のようになります

新しく書く展開は、グロ描写入ると思いますので、勝手ながら別スレを立てさせてもらいます
スレ立ての際には、こちらにリンクを貼ります
展開は短いので、先にそちらを終わらせてから、こちらの続きに移ります
ネルフが壊滅する展開となりますので、そういうのを望まれない方は見ないようにお願いします
近い内に、スレ立て出来るとは思います


ついでに、ここで一つだけ愚痴を言わせてもらうなら、このssは、エヴァンゲリオンという作品や、ネルフ、ミサトさん、シンジ君、を憎んで書いてるものではありません

もし、憎んでいるものがあるとしたなら、それは多分、苛めだとか、虐待だとか、差別だとか、そういった類いのものでしょうが、それはあくまで全体の一部であり、ヘイト、断罪、説教、などを目的として書いている訳でもありません

単純に、新劇の序破Qの順番をひっくり返したらどうなるか、といった感じで書いてます
簡単に言うと、最悪の状態からスタートを切ったらどうなるか、というものです
シンジ君が逃げたとしても、誰も責められないと思われる状況が出来上がってるのもそのためです


ただ、書いている目的はどうであれ、結果、ネルフヘイトになっていますし、殺せ殺せと言われ続けるのにも流石に疲れてきました

とはいえ、ここまでこんなssを書いてしまっているので、その責任を取る意味でも、別ルートは書く事に決めましたが、多分、こんな結末を書くのは最初で最後かと思います


自分語りもこれで最後としたいので、このレスについてはスルーしてもらえるとありがたいです
>>1は、これまで通り、いるけどいないという、幽霊みたいな扱いでお願いします

完結した時には、ご挨拶ぐらいはさせてもらおうと思ってますが、終わるまでにはまだまだかかりそうなので、気長にお付き合い下さい

おくればせながら、ここまで読んで下さった方、レスをつけて下さった方、ありがとうございます


長文&自分語り、失礼しました

【閲覧注意】 ゲンドウ「久しぶりだな、シンジ」 【別ルート】
【閲覧注意】 ゲンドウ「久しぶりだな、シンジ」 【別ルート】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371103319/)

派生した別ルートのスレです

俺がいうのもおかしいけど、
次のスレでトゥルーエンド書いた方がいいと思う。
残りも少ないし、分割して見れるのは
結構いいぞ

>>869
次スレだけでは、終わりきらないと思いますので、そのまま続けます

ー ????? ー


シンジ「……ダメ…なんだ………母さん…」エグッ、エグッ、ヒック

ユイ「……?」


そっとユイの腕から離れるシンジ


シンジ「……僕…母さんと…一緒には行けない……」ゴシゴシ、ゴシゴシ…

ユイ「……」


淋しそうな表情を浮かべるユイ


ユイ「……どうして? シンジ………」

シンジ「……僕がここからいなくなったら……綾波がエヴァに乗っちゃうから……」ゴシゴシ……

シンジ「……このままだと…綾波が……使徒に殺されちゃうから………。だから、僕はここに残らなきゃいけないんだ……」ゴシ……ゴシ…………


ユイ「シンジ……」

ユイ「…もう、さっきの使徒が倒されていたとしても…?」


シンジ「……うん。…綾波がケガしている間に…また別の使徒が来るかもしれないし……」

シンジ「……綾波は……僕がケガさせちゃったから……。僕だけ安全なところに逃げて……それで、綾波を見殺しにする事なんて出来ないよ………」


ユイ「…………戻ったら……きっとシンジはまたひどい目にあうわよ……。それに……シンジが代わりに使徒に殺されるかもしれないのよ………」


シンジ「……うん。…………でも……」

シンジ「…綾波を見殺しにするよりは、いいと思う……」

シンジ「もし……綾波があのままエヴァに乗って使徒に殺されたりしたら………僕が殺したのと一緒だから………」


ユイ「……そう…………」

悲しい顔を見せるユイ

シンジ「……母さん………」

ユイ「……なに? シンジ…」

シンジ「………母さんがさ……さっき僕を守るって言ってくれたように………」

シンジ「……僕も……綾波を守らないといけないんだ………」

シンジ「多分……その気持ちは母さんと一緒なんだと思う………」

シンジ「綾波が…ひどい目にあうってわかってて………。下手したら死ぬってわかってて………。そのまま、放ってはおけないから………」

シンジ「それに、その責任を作ったのは僕自身だから、余計に………」


ユイ「」ウルッ……

ユイ「……ごめんなさい…………」グスッ……

ユイ「………ごめんなさい…シンジ………」ポロポロ……

ユイ「……私のせいで…………あなたをひどい目にあわせて………」ポタ……ポタ……


シンジ「……?」


シンジ「…母…さん……?」

ユイ「……私は…………」ポロポロ…

ユイ「ただ……シンジが……楽しく笑って過ごせる幸せな世界を作りたかっただけなのに………」ポタポタ……

ユイ「……でも………全部が真逆になってしまったの」ポタポタ……

ユイ「シンジのためにと思ってやった事が……全部……逆に…………」ボロボロ……


シンジ「母さん………」


ユイ「ごめんなさい、シンジ……。ごめんなさい……」ボロボロ……



シンジ「…………」



シンジ「……その…………」

シンジ「…母さんがさ…………」

シンジ「……何で謝ってるのか、僕にはわからないけど………」

シンジ「……でも、母さんが泣いてるところは、僕、見たくないんだ……」

シンジ「……だから、どんな世界でも……きっと僕は笑えると思う……」

シンジ「……それに、こうして母さんに会えて本当に嬉しかった。…僕はきっと今、幸せだよ、母さん」ニコッ……

シンジ「……だから母さんも笑ってよ。……久々に会えたんだからさ」


ユイ「………シンジ…」ポタポタ……





ユイ「」コシコシ……


ユイ「……シンジ。……強くなったのね」

シンジ「そうなのかな……? 自分じゃよくわからないけど……」

ユイ「強くなったわよ、シンジ……」ニコッ……

ー 少し離れた場所 ー


トウジ「……二人が何の話をしとるかは、ようわからんが……」

ケンスケ「……僕らは邪魔しない方が良さそうだね…。戻ろうか、トウジ」

トウジ「せやな……。ワシも馬に蹴られて死にたくはあらへんからなあ…」

ケンスケ「使い方は間違ってるけど、言いたい事は伝わったよ、トウジ。さ、行こうか……」クルッ…

トウジ「あれ? 間違っとるんか? ならどう言うねん、ケンスケ」クルッ…



ユイ「あっ……」

ユイ「二人とも。ちょっとだけ待ってもらえるかしら」



トウジ&ケンスケ「?」



ユイ「ごめんね、シンジも少しだけ待ってて」

シンジ「えっ、うん……」


ユイ「」トコトコ……


ユイ「」ピタッ……

ユイ「……まず、あなたたちに謝らせて。感情に任せて大変な事をするところだったから……。本当にごめんなさい……」ペコリ…

トウジ&ケンスケ「??」

ユイ「…それと、ありがとう。あなたたちのおかげで、シンジに私の姿を見せる事が出来たから……」

トウジ&ケンスケ「???」

ユイ「これからもシンジを宜しくね」

トウジ「はあ…」
ケンスケ「はい…」

ユイ「……勝手なお願いだけど、出来ればあの子の支えになってあげてほしいの……」

ユイ「今、あの子が抱えている問題は、一人で背負うにはあまりにも重すぎるから……」

ユイ「いつかはその重さに耐えきれず、潰れるか壊れるかしてしまうのは目に見えているから……」

トウジ「…………?」
ケンスケ「…………?」

ユイ「……今はわからなくても、元の世界に戻れば、多分、あなたたちも身をもって知る事になるわ、きっと…………」


悲しげな顔を見せるユイ……


トウジ「あの……話がようわからんのですけど……」

ケンスケ「僕も……」


ユイ「……二人とも、気を付けてね。……さようなら…」

トウジ&ケンスケ「……?」

ユイ「」クルッ……トコトコ……

ー ネルフ本部 発令所 ー

ミサト「…私ね……」グスッ……

ミサト「いつの間にか……あいつと私の事を重ね合わせてたんだと思う……」

ミサト「…最後に私をかばって亡くなった父……そのショックで失語症になった私……」

ミサト「……心を閉ざして、何もかもから逃げ出したかった……」

ミサト「でも、逃げた先には自分一人しかいなかった。もしも、あの時、今の私がそこにいたら、間違いなく私は、あの頃の私を助け出そうとしてる……!」

ミサト「…もちろん、その当時の私からすれば、きっとそれは余計なおせっかいでしかなかっただろうし、むしろ、迷惑でしかなかっただろうとも思う……」

ミサト「でも、それでも……!!」

ミサト「その事によって、私が自分以外の世界に目を向けて、この世界にはまだまだ私の知らない面白い事で満ち満ちているっていうのが、ほんの少しでもわかったとしたなら……」

ミサト「他人と触れあうのは、怖くもあるけど…。でも、それ以上に心地良さや楽しさで溢れているという事がほんの少しだけでもわかったとしたなら……」

ミサト「私はあの無駄に過ごした時間を、少しでも減らせれたんだと思う…!」

ミサト「それを思ったら、昔の私を見ているみたいで、あいつをほっとけなかった…!!」

ミサト「形はだいぶ違うけど、あいつも今、無駄で無意味な時間を過ごしているんだもの…!」

ミサト「クズには生きてる価値も意味もないから、死んでるのも生きてるのも同じだけど……! でも、普通の人間には生きる価値や喜びがあるんですもの…!!」

ミサト「だから、どうにかしてあいつをまともな人間にしてやりたかったのに……!」ポタポタ、ポタポタ…



日向「…葛城さん…………」


青葉「………ミサトさんの気持ちがわかるだけに、正直、心が痛いな……」ボソッ

日向「………ああ……」ボソッ

ミサト「……私がもうちょっとしっかりしてれば、こんな結果にはならなかったのよ………!」ポタポタ、ポロポロ……

青葉「ミサトさん。一旦、ちょっと落ち着きましょう。どこか落ち着けるところで、休んだ方がいいですよ」

ミサト「」グスッ… エグッ、エグッ……

日向「青葉。俺、ちょっと今から司令室に行って、そこを空けてくるよ。どうせ、副司令、昼寝してるか詰め将棋してるかのどっちかだから、追い出しても構わないだろ」

青葉「そうだな。……任せてもいいか?」

日向「もちろん。青葉は葛城さんとゆっくり来てくれ。頼んだよ…」タタタタタッ

青葉「了解。さ、ミサトさん。一旦、そっちに行きましょうか。ここは人目がありますし……」

ミサト「うん……。ごめんね……。ごめんね…………」エグッ、エグッ……

青葉「いえ、さっきも言った通り、ミサトさんが謝る事なんて何一つありませんって。それより、早くそちらに行きましょう」

ミサト「うん……」グスッ…

ー EVA初号機 格納庫 ー


外部端末『』ビーッ、ビーッ、ビーッ

error!! error!! error!!


レイ「っ…!!」

レイ(…どう…すればい…いの……!)

レイ(…どう…すれば……初号機の暴…走を止めら…れるの……!)

レイ(……もう…S2機関を取…り込んでしまって…るから…内臓電源が切れても…初号機は止…まらない…!)

レイ(……エントリープ…ラグはプラグ側か…らロックがかけられ…ていて強制射出…も出来ない……!!)

レイ(どう…すれば……!!)

ノート型外部端末『』ビーッ…… ビーッ……

レイ「…!?」

レイ(…プラグ深度…が125で止まった…?! シンク…ロ率も……下がってきてる……?!)

レイ(…何が……あったの……?!)

レイ「…………」

レイ「」ハッ!!

レイ(…今なら……LCL濃度を最…大限まで圧縮…すれば…! 止まる…可能性 はある…!!)カチャ…カチャ…

ノート型外部端末『』カタ…カタ…

ー 第三新東京市 地上 ー


EVA初号機『……』ドシン、ドシン……


ゆっくりとレイの用意した回収ルートへと向かう初号機……



第五使徒の死骸『』…………


四割ほど食べ残された第五使徒……

ー ????? ー


ユイ「ただいま……シンジ…」

シンジ「あ、うん……」

シンジ「」チラッ…

シンジ「……あの……母さん。あの二人と何を話してたの?」

ユイ「」フフ…

ユイ「シンジのお友だちになってね、って」ニコッ

シンジ「や、やめてよ、母さん! その……そんな事されたら、恥ずかしいじゃないか……//」フイッ…

ユイ「あら。シンジはあの二人が嫌いなの?」

シンジ「そ、そうじゃないけど……」

ユイ「」クスクス…

ユイ「……シンジ、お友だちを大切にしなさいよ。それとレイの事も…」

ユイ「とは言っても、さっきの言葉を聞く限りでは、レイについては心配ないみたいだけど…」クスッ

シンジ「え……あ、あの……//」

ユイ「シンジ」ニコッ


シンジ「う、うん………わかった」コクッ……

ユイ「シンジ……一つ聞いていい?」

シンジ「何…?」

ユイ「シンジは……レイの事を…好きなの? 一人の女の子として…」

シンジ「……どうだろう………」

シンジ「多分、そういうんじゃないと思う…。ただ……」

シンジ「綾波は……僕に優しくしてくれたから……。だから……」

シンジ「それに……綾波は今のまま放っておいたら……色々と無茶しそうだし……」

シンジ「好きとか嫌いとかじゃなくて……放っておけないっていうのが……正しいと思う」

ユイ「そう…」ニコッ

ユイ「シンジはやっぱり私に似たのかしらね。性格はお父さんに似たみたいで心配してたけど…」クスッ……

シンジ「父さん、か……」フイッ……


ユイ「……………シンジ。出来ればお父さんの事を許してあげて。お父さんは現実を受け入れられず、そこから逃げる事しか出来なかったの……」

ユイ「いつかはその事にお父さんも気付いてくれると、信じているけど……」

シンジ「母さん……」

ユイ「シンジ……。レイの事、頼んだわよ……。あの子もあなたと同じで…………」…フイッ……

シンジ「……母さん?」


ユイ「私は……あの子に対して何も出来なかったから……」

ユイ「そういう子だと……思い込んでいたから…………」


重い表情を見せるユイ……


シンジ「……?」


ユイ「シンジ、さようなら……」ニコッ……

シンジ「母さん!?」

ー ネルフ本部 発令所 ー


日向「」タタタタタッ…

日向「おい、青葉。今、副司令を追い出してきたから。……さ、ミサトさん、こっちに」

ミサト「……うん。二人とも、ありがとうね……」

日向「いえ、大したことではないですから。後の事は僕らに任せておいて下さい」

ミサト「……うん。悪いけどお願いね……」グスッ


司令室に通じるエレベーターへと、ゆっくりと向かうミサト



冬月「」ハァ……


それを疲れた表情で上から見下ろす冬月

ー 少しだけ時をさかのぼって ー


ー EVA初号機 格納庫 ー


レイ(…安定してい…るのは今だけかも…しれない…!)

レイ(…急が…ないと……!!)


レイ「…ぅっ…!!」カチャ…カチャ…

ノート型外部端末『』カタ…カタ……


ノート型外部端末『』ピッ……


信号、暴走中にもかかわらず、拒絶されずに受信!!

レイの操作により、初号機のエントリープラグ内のLCL濃度、 最大限まで圧縮!!

ー エントリープラグ内 ー


フインッ……

突然、暗くなるプラグ内

そして……



ドンッ!!!!


LCL濃度、最大圧縮!!









シンジ「うっ!!!」ゴフッ!!!
トウジ「がっ!!!」グハッ!!!
ケンスケ「ぐっ!!!」ブハッ!!!


シンジ「……綾波…………ごめん……ごめん……ごめん………」
トウジ「……サクラ……碇……ケンスケ………すまん…………」
ケンスケ「……碇…………ごめん…………許して…………」


シンジ「………………」
トウジ「………………」
ケンスケ「………………」

ー EVA初号機 格納庫 ー


シンジ『……綾…波…………』



レイ「……碇君…………」


エントリープラグ内の様子をモニターで確認するレイ


レイ(……ごめんなさい…碇君…………)

レイ(………でも……これでいいの…………)


レイ「っ…!!」スッ……
スマホ『』

レイ「……あとは…………!」
スマホ『』スイッ、スイッ、ピッ…


スマホ『』トゥルルルル、トゥルルルル、ガチャッ


レイ「…………綾波です。……はい、そうです…。初号機の回収を…お願いします……」

レイ「……乗ってい…るのは三人ですが…その三人とも…バイタルチェックを……。はい……。お願いします……。私も今から…そちらに向か…いますので……」

レイ「……いえ…。私も怪我を…しましたから……。はい……。それに…お礼もしたいので……。いえ…問題ありません……。宜しくお願い…します……」ピッ……


レイ「……これで……もうきっと……」

レイ「…碇君に……会う事は……ないから…………」


レイ「」テク…テク……


格納庫をあとにするレイ……

ー ネルフ本部 医務室 ー


シンジ「」

ベッドの上で横たわり眠っているシンジ……


レイ「…………」

椅子に座ってその姿をじっと眺めてるレイ……



コンコン

レイ「…はい……。どうぞ……」


ドア『』プシュン……


日向「あれ……? こんなところにいたんだ、レイちゃん」トコトコ

青葉「そこの生ゴミに何か用でもあった?」トコトコ


レイ「いえ……特には……」

うつむき、暗い表情を見せるレイ


レイ「…少し……伝えたい事があったので……」


日向「伝えたい事、か……。まあ、それもそうだろうね。文句の一つも言いたくなる気持ちはよくわかるよ」

青葉「いくら大人しいレイちゃんでも、流石に我慢しきれなくなったか……。まあ、当然かもな。そこのクソガキは俺たちに散々迷惑かけてくれてるんだから」

レイ「………はい……」

青葉「それにしても、ホント、とんでもないクズだったよな、コイツ。友達連れてくるわ、命令無視するわ、遊び回ってケーブル断線させるわ、頭がどうかしてなきゃこんな事出来ないだろ」


日向「報告を聞いてびっくりだからね。使徒も必要以上に無惨に倒してるしさ……。あれじゃ、蟻を潰して遊ぶ幼稚園児とかと同じだよ。優しさ以前に常識がないとしか考えられない」


青葉「自分より弱いものに対してはどこまでも残酷になれるやつってのが時たまいるけど、あのクソガキは典型的なそのタイプだな。ホント、気分悪いわ」


日向「あのまま放置してたら、もっとひどい事をしてた可能性もあるからね。スプラッタ映画みたいな要領でさ」


青葉「……そういえば、あいつの悪ふざけ。LCL濃度を調整して、レイちゃんが止めてくれたんだよな?」


レイ「はい……。…あまりに度が過ぎていたので、私の独断で止めました。…申し訳ありません……」ペコリ…


青葉「いや、いい機転だったと思うよ。さっきも二人で流石レイちゃんだなって褒めてたところだからさ」


日向「臨機応変に動けるってのは、EVAのパイロットとして優秀な素質だからね。これからも何かあった時は僕らを気にせず動いてもらっていいよ」ニコッ


レイ「…そうですか……。ありがとうございます…………」ペコリ……

日向「ところで……副司令から聞いたけど、レイちゃん、ケガの方は大丈夫なの? 転んでケガするなんて、レイちゃんらしくないドジだけど……」

レイ「はい…問題ありません。…ご心配おかけして申し訳ありませんでした……」ペコリ…

青葉「いや、いいよ。大した事じゃないからな。……ただ、そのケガだと……やっぱりしばらくはEVAに乗れそうにはないか……」

レイ「……いえ、乗れます…! 乗らせて下さい…!」

日向「いや、でも……」

レイ「死んでいる訳ではないので、乗れます…! それに、私の代わりはいませんから…!」

青葉「レイちゃん……」

日向「…………そこまで、EVAに……」



日向「そうだよね……。これまでずっとテストや訓練ばかりだったもんな。自由にEVAを動かした事なんてないから、そりゃ乗りたいよな……」

青葉「で、折角、使徒を倒せる機会が来たと思ったら、全部、そこの生ゴミが盗ってったからな……。そりゃ、何としても乗りたいか……」

レイ「はい…!!」



日向「……わかったよ、レイちゃん。次、いつ使徒が来るかわからないけど、その時が来たら必ず乗せてあげるからさ。だから、安心しなよ」ニコッ

青葉「例えミサトさんや副司令が反対したとしても、俺たちが説得してあげるよ。大船に乗った気分でいてくれ」ニコッ

レイ「…ありがとうございます……!」ペコリ…

日向「じゃあ、そういう事なら、そこで寝転がってるゴミはもう要らないから、明日にでも、パイロット登録抹消の手続きをしておくよ」


青葉「なにせ、そいつのせいで、あの気丈なミサトさんが泣いてたんだからな……。見てていたたまれなかったよ」


日向「葛城さんは、まだ、更正の余地があると思って見捨ててないみたいだけど、正直、僕らはもう更正の余地なんかないと思ってるからね。……葛城さんにそこまで辛い思いをさせたくはないから……」


青葉「それで、泣いてるミサトさんの代わりに俺たちが説教を申し出てここまで来たけど、でも、レイちゃんがEVAに乗れるんだったら、その必要もないからな」


青葉「それに、はっきり言って、そいつはもう、いるだけで迷惑だし、きっとこれからもみんなに面倒や迷惑しかかけないのは決まってるからな。だったらさっさとここから出ていかせるべきだろ」


日向「碇司令は、きっとがっかりすると思うけど……。でも、自分の息子がどうしようもないクズだって事を知らないままの方がきっと幸せだろうからね……。レイちゃんだってそう思うだろ?」


レイ「はい……。碇君はここにはいない方がいいと思います…」


青葉「だよな。じゃあもう、そこの生ゴミの処分はこれで決定だな」

日向「それじゃ、レイちゃん。葛城さんにはこちらから上手く伝えておくよ。今、ずいぶんと落ち込んでるから、このままフケて酒でも飲もうかって話になってるし、丁度いいからさ」

青葉「そういう訳だから、悪いけど俺たちはもう行くよ。本当だったら、そこの役立たずを無理矢理叩き起こして、説教するつもりだったけど、その必要もなくなったしな」

日向「僕らの代わりに、レイちゃんが説教しといてもらえるかな。ついでに登録抹消を伝えて、ここから追い出しといてくれると尚ありがたいけど」

青葉「なんせ、俺らはそいつともう話もしたくないからな。顔見てるだけで不愉快な気分になるし」

日向「それに、友達二人にはもう説教したから、少し食傷気味にもなってるしね」

レイ「」ピクッ……

レイ「……それで……二人は反省を…………?」

青葉「いや、あの子らとよく話してみたら、いい子だって事がわかったからさ。最初はそれがわからなくて、ちょっときつめに叱ってしまったけど……。最終的には、こういう事は二度としないように、って伝えて穏便に帰したよ」

日向「あの二人は、どうせシンジ君に騙されただけだろうからね。結局、あの二人も被害者なんだよ。今思うと、最初に叱った事自体、少し可哀想だったよな」

青葉「本当だよな。二人には悪い事をしたよ」

レイ「…………?」

レイ「……そう…ですか………」


日向「じゃあ、そういう事で僕らはもう行くよ。そこで寝転がってるろくでなしに伝言をよろしく頼んだよ」クルッ、トコトコ…

青葉「ああ、それと。ついでに、後の事もよろしく頼むよ」クルッ、トコトコ…

レイ「……はい……わかりました…」

青葉「じゃ……」



ドア『』プシュン……










レイ「……わからない…………。何があったの………?」


レイ「…あの二人が……怒らない訳…ないのに…………」

ー 二時間後 ー


シンジ「」


シンジ「」ハッ!!


シンジ「…………」

シンジ「…また同じ天井だ……」

シンジ「……エヴァに乗ると必ずこうなるのかな………」

シンジ「……最後の方、また何も覚えてないし………」





レイ「…………」

シンジの言葉に、悲しげな表情を見せるレイ

レイ「…碇君……」

シンジ「……?」チラッ……

シンジ「…綾波………?」ムクッ……


シンジ「」ハッ

レイの左手についているギブスに気がつくシンジ


シンジ「ご、ごめん! 綾波! そのケガ……!!」

シンジ「僕のせいで……!! なのに僕は怖くて何も言えなくって……!!」

レイ「……大丈夫。…問題ないから」

シンジ「で、でも!!」グスッ……


レイ「……それよりも、碇君。日向、青葉の両オペレーターから伝言を預かってるから」

シンジ「…!!」ビクッ!!

レイ「…碇君がした、命令違反、EVAの私的占有、この二つは犯罪行為にあたるから、碇君のパイロット登録は抹消が決定された……。以上……」

シンジ「……命令…違反……? 私的占有……?」

シンジ「」ハッ!!

シンジ「だ、だけど、ああしなかったら鈴原君や相田君たちが!!」

シンジ「それに、二人はどうなったの?! 使徒は?!」

レイ「使徒は……碇君が殲滅したわ…。二人は無事…。そんなに怒られず、家に帰ったみたい……」

シンジ「…あ………」

シンジ「良かった……」

シンジ「…本当に……良かった…………」ホッ……


レイ「……そんなに嬉しいの、碇君…?」

シンジ「うん……。二人とも無事だったみたいだし……ひどい事もされなかったみたいだし……。どうやって倒したか全く覚えてないけど……使徒も倒せれたみたいだから……」


レイ「そう…………」

シンジ「……ところでさ……綾波……」

レイ「……何?」

シンジ「……さっきの…話なんだけど…………」

シンジ「登録抹消って事は……僕って……もうエヴァには乗せてもらえなくなったって事だよね…?」

レイ「……そう」コクッ…

シンジ「そっか…………」



シンジ「…………」

レイ「…………」



シンジ「……綾波は……使徒がまた来たら、エヴァに乗るの?」

レイ「ええ…」

シンジ「……ケガ……してるのに?」

レイ「……」コクッ…

シンジ「そうなんだ…………」



シンジ「………………」

レイ「………………」

シンジ「………綾波…………一つ聞いていい……?」

レイ「…何?」

シンジ「綾波って……どうしてそこまでしてエヴァに乗りたがるの…?」

レイ「…………」



レイ「……後悔…してるから……」

シンジ「…後悔……?」

レイ「そう。後悔……」コクッ……

シンジ「……何に対して…?」

レイ「……警告に…対して……」

シンジ「…………?」

レイ「私には……もうそれ以外何も残ってないから…………」

レイ「後は……ネルフ本部が壊れないようにするだけだから…………」

シンジ「……綾波…?」

レイ「…………」



シンジ「……綾波の言ってる事が……僕にはよくわからないよ………」

レイ「わかる必要はないから……。それに、碇君はわからない方がいいの……」

シンジ「……ごめん、綾波。……余計わからなくなったよ……」

レイ「それでいいの……。これ以上、話す気は私にはないし……」

シンジ「………………そう……なんだ……」



シンジ「…………」

レイ「…………」

シンジ「……じゃあさ、綾波……」

レイ「…何?」

シンジ「青葉と日ーー」

レイ「…?」

シンジ「…………その……青葉さんと日向さんが今、どこにいるかは…知ってる……?」

レイ「……」

レイ「……それを聞いて、碇君はどうするの?」

シンジ「どうって…………その……」フイッ……

シンジ「どうもしないよ……。ただ聞いただけ……」

レイ「……」

レイ「…………パイロット登録の抹消を…取り消ししてもらうつもり?」

シンジ「ち、違うよ! 僕は、その…………お、お別れの挨拶をしようと思って……。それだけだよ……!」

レイ「碇君……。碇君の嘘は、私でもわかるぐらい下手だから…。嘘をつくなら、もう少し上手くなった方がいい」

シンジ「ち、違うってば! 本当にそれだけだよ!」


レイ「」スッ……

レイ「食事、ここに置いとくから、食べて」


シンジ「あの、綾波! それよりも二人の居場所を教えてよ!」


レイ「」スクッ……

レイ「……碇君。…あなたはもう親戚の家に帰った方がいい。…ここでは、誰もあなたを必要としていないから」

シンジ「違うよ! 僕は誰かに必要とされたい訳じゃないよ! ただ、綾波の事が心配で!!」

レイ「……前にも言ったはず。…余計なお世話だから……」スタスタ……

シンジ「ま、待ってよ、綾波!!」バサッ

レイ「……」


レイ「……前、隠したら?」

シンジ「あ///」サッ!!


レイ「……さよなら、碇君。………もう二度とここにはこないでね……。もう会いたくないから……」

シンジ「待ってよ! 綾波!! お願いだから!!」

レイ「…………」トコトコ…


ドア『』プシュン……



シンジ「綾波…………」


シンジ「何で…………」



あの後……

ミサトや……青葉、日向を探すために、ネルフのあちこちを歩き回ったけど……結局誰も見つからなかった……


父さんは……ネルフの北米支部に行ってて、しばらくこっちには帰ってこないらしい……

ネルフの……色んな人から聞いて、ようやくその事を教えてもらった


僕は……ここでは本当に嫌われているみたいだ……

みんなから冷たい目で見られたし……話しかけても無視される事が多かった……


もう夕方だ……


帰ろう……

帰って……ミサトに今日の事を謝って、またエヴァに乗せてもらえるよう頼むしかない……

夕食の準備もしなきゃいけないし……

掃除や洗濯も終わらせとかないと……また怒られるから……


怒られるのは……もういいけど……

機嫌を悪くさせるのはダメだから……


綾波をエヴァに乗せないために……どうしても僕がエヴァに乗らないといけないから……

ー 三時間後 ー


ー ミサト宅 ー


シンジ「…………遅いな、ミサト……」

シンジ「……どうしたんだろ……」


ドア『』ガチャッ……


シンジ「」ハッ!

シンジ「お、お帰りなさい、ミサトさん!」ダダダッ!

ミサト「たっらいまー」ベロベロ、フラフラ

シンジ(うわ……相当酔っぱらってる……)

シンジ「あ、あの……ミ、ミサトさん……」

ミサト「あー……らいじょうぶよー……今日はもふご飯いらなひからー……すぐ寝るー……」フラフラ、ヨロヨロ

扉『』ガチャッ……

ミサト「」フラフラ……

ベッド『』ドサッ……


ミサト「」


シンジ「………………」

シンジ(……どうしよう)

ー ミサトの部屋 ー


シンジ「………………」

ミサト「zzz……」


シンジ「………………」

ミサト「zzz……zzz……」


シンジ「……あの……ミサトさん……」

ミサト「zzz……zzz……」


シンジ「……今日の事……すみませんでした……」

ミサト「zzz……zzz……」


シンジ「……ミサトさんを裏切った訳じゃないんですけど……あの時はああするしかなくて……」

ミサト「zzz……zzz……」


シンジ「……二人を乗せた事……反省してます……」

ミサト「zzz……zzz……」


シンジ「……ミサトさんは……私のためじゃなくて自分自身のためにエヴァに乗って欲しいって言ってましたけど……でも……僕……」

ミサト「zzz……zzz……」


シンジ「……やっぱり……自分のためじゃなくて……あーー」

ミサト「zzz……zzz……」


シンジ「……その……ミサトさんのために…………エヴァに乗りたいんです……」

ミサト「zzz……zzz……」


シンジ「……本当に今日はすみませんでした……。また明日、謝ります……。許してもらえるまで、謝りますから……」

ミサト「zzz……zzz……」


シンジ「…………それだけです。……本当にすみませんでした……お休みなさい…………」

ミサト「zzz……zzz……」


シンジ「」ソッ……

扉『』バタン…………





ミサト「………………」

ミサト「…………どうすればいいのよ…………私は……。……あいつの事を……」ボソッ……

ー 翌朝 ー


ー ミサト宅 ー


シンジ(早起きして、朝御飯も作ったし、お弁当も作ったし……)

シンジ(この前言われた通り、お弁当はもうミサトのバッグに入れた……)

シンジ「」チラッ

時計『』カッチカッチ…

シンジ(……もうそろそろ起こした方がいいかな……。起こさないとまた怒られちゃうし……)

シンジ「」スーハー……スーハー……

シンジ(……よし、起こそう…!)

シンジ「」トコトコ……

扉『』コンコーー


ピンポーン、ピンポーン


シンジ「?」

シンジ「こんな朝から……誰だろう?」


ピンポーン、ピンポーン


シンジ「はーい」トコトコ……

ー ミサト宅 玄関 ー


シンジ「はい…」

ドア『』ガチャッ……

黒服「……君が、碇シンジ君だな?」

シンジ「えっ……はい……そうですけど……」

黒服「……ネルフ保安部の者だ。ネルフ本部までご同行願おうか」

シンジ「あ、あの……どうして?」

黒服「……行けばわかる。答える必要はない。さあ、来るんだ」グイッ

シンジ「や、やめて! 離してよ!!」ジタバタ!!

扉『』ガチャッ……

ミサト「ふあーあ……」あくび

ミサト「……朝っぱらからうるさいわねー、シンジ君、一体何を騒いでいーー」

ミサト「……誰よ、あんたたち?」

黒服「失礼」

黒服「葛城ミサト三佐ですね? 朝早くから、申し訳ありません。ネルフ保安部の者です」

ミサト「保安部?」

黒服「碇シンジ君をネルフ本部まで連れて来るようにとの命令が出ています。ご理解とご協力をお願いします」

ミサト「……本部まで?」

ミサト「ひょっとして、昨日の、パイロット登録抹消の件かしら?」キリッ

ミサト「あれはまだ正規通達はされてないはずだし、それに、仮にもう登録抹消されていたとしても、強制的に送還する程の拘束力は持ってなかったはずだけど?」キリッ

黒服「質問には一切お答えする事が出来ません。我々が受けた命令は、碇シンジをネルフ本部まで連行するようにと、それだけです。……ご了承下さい」

シンジ「ミサトさん!! 僕、嫌です!! ここから離れたくありません!!」ジタバタ!!

ミサト「……シンジ君…………」

黒服「暴れるな。さあ、来るんだ!」グイッ

シンジ「嫌だ! 嫌だ! 離してよ!!」ジタバタ!!

ミサト「………………」


困惑気味の表情のミサト……


シンジ「ミサトさん!」

シンジ「僕は! 僕は!!」

シンジ「ここに来る前まで、人に傷つけられるのが嫌で!!」

シンジ「人の目ばかり気にして! 怒られたり、文句を言われないように、人の言う事には素直に従って!!」

シンジ「自分の意思なんて、ほとんどなくて!!」

シンジ「でも!!」ウルッ……

シンジ「今は違うんです!!」

シンジ「僕が、人を傷つけてしまったから!! 一番僕が嫌がっていた事を僕がしてしまったから!!」グスッ…

シンジ「だから、その人のためにエヴァに乗りたいんです!!」

シンジ「自分のためじゃなくて、その人のために!!」

シンジ「だから、僕をエヴァに乗せて下さい!!」グスッ

シンジ「ミサトさん!! お願いだから、僕をエーー」

黒服「さあ、来い!!」グイッ

シンジ「ミサトさん!! ミサトさん!! ミーー!!!」

ドア『』バタン!!





ミサト「…………あいつ……」

ミサト「………………そんなにまで私の事を想って…………」


ミサト「でも……」

ミサト「これも……嘘かも知れないのよね…………」

ミサト「……信用したら……また裏切られるかも知れない…………」

ミサト「……もうあんな悲しい思いをするのは嫌…………」

ミサト「…………だけど……嘘じゃなかったとしたら…………」

ミサト「……本当にどうしたらいいの…………私…………」


悲しげな表情を見せるミサト……

ー ネルフ北米支部 司令室 ー


ゲンドウ「冬月、急な用件とは何だ?」

SOUNDONLY『……話す前に、今、そちらにはお前しかいないか確認をしたい』

ゲンドウ「ここにいるのは私一人だ。仮にも司令室ゆえ盗聴の心配もあるまい。……問題ない」

SOUNDONLY『ならば話すが、少しまずい事になった』

ゲンドウ「何だ?」

SOUNDONLY『今朝方、第三の少年がネルフ保安部を名乗る者に拉致された。恐らくゼーレの手の者だろう』

ゲンドウ「シンジが!!」

SOUNDONLY『その場にいた葛城君から、先程確認の電話が入ってきたのでな。たが、こちらはその様な指示は出してはいない。葛城君には、機密事項だと伝えてそのままにしてはあるが。……騒ぎ立てられるのはまずいと思ったからな』

ゲンドウ「冬月! すぐに諜報部を使い、シンジの居場所を探らせろ! 私も急いでそちらに戻る!」

SOUNDONLY『……碇、落ち着け。我が子を拐われて気が動転してるのはわかるが、今、こちらから動けばあの老人どもに弱味を握られるだけだぞ。現状況でさえ、油の染み込んだ綱渡り状態なのだ。ここは何もせず向こうからの接触を待った方が良かろう』

ゲンドウ「だが、冬月! やつらは人の命など何とも思っていない連中だぞ。このままだと、シンジに何をするかわからん!」

SOUNDONLY『……それはわかる。だが、少なくともここの連中よりは常識があろう。拐ったという事は第三の少年に利用価値があると向こうが考えてるという事だ。間違っても手荒な真似はすまい』

ゲンドウ「…………」

SOUNDONLY『それに、老人どもの目的はある程度予想がついている。近い内、お前相手に連絡をとって来るに違いない。その時の交渉次第で、お前の息子は無事に帰ってこれるはずだ』


ゲンドウ「…………」

ゲンドウ「……わかりました、冬月先生。この場は先生の言う通りにしましょう。ですが、万が一の場合は……」

SOUNDONLY『その時はお前の好きにするといい……。及ばずながら、私も付き合おう』

ゲンドウ「……ありがとうございます」

SOUNDONLY『……それと碇。この件が無事に片付いたらの話だが、お前の息子に会って話を聞いてやれ。直接会うのが照れくさいなら、電話でも何でも構わん。多分、お前に言いたい事があるだろうからな……』

ゲンドウ「冬月先生、それはどういう事ですか?」

SOUNDONLY『それは息子に直接聞くといい。何にせよ、この件が無事に終わった後の話だ。……それでは、こちらはこちらで手を打っておく必要があるので、そろそろ通信を切るぞ。くれぐれも焦るなよ、碇……』ブンッ……










ゲンドウ「…………シンジ……」

ゲンドウ「こんな事に巻き込んで済まなかった……。どうか無事でいてくれ……」

すみません
しばらく亀更新になると思います
気長にお付き合い下さい

ー ????? ー


シンジ「……ここは?」

縛られ、椅子の上に座らされるシンジ


シンジ「あの……これ、どういう事なんですか? 何で僕がこんな事をされないといけないんです!?」ジタバタ、ギシギシ


ブンッ……
モノリスA『碇シンジ……汝の存在は我らにとって不確定因子でしかない』


シンジ「えっ……」


モノリスB『サードインパクトのトリガー……その可能性を持っているだけに、我々としては君の扱いに困り果てているのだよ』

モノリスE『我らの重要な駒として使える反面、全てを壊す爆弾にもなりかねない。劇薬とは正にこの事を指す』

モノリスC『使い道がないのなら消せば済むだけの事だが、使い道があるとなると我らとしては消す訳にもいかん』

モノリスD『そして、我々にはあまり時間がない。しかし、看過する訳にいかないのもまた事実だ』

モノリスF『君にはしばらくの間、ここで生活してもらう事となる。我々の結論が出るまでな……』

モノリスA『碇シンジ……。汝の役目……。そして、汝の今後……。それらは全て我々の掌にある事をゆめゆめ忘れるでないぞ……』
ブンッ……



シンジ「消えた……」


シンジ(……何を言ってるのかさっぱりわからなかったけど…………)

シンジ(……逆らうなって言われてる事だけはわかった…………)

シンジ(…………どうしよう……)

シンジ(このままだと綾波が…………)



シンジ「」ギシギシ、ジタバタ……!!

シンジ「くそう…………!」

ー ネルフ本部 休憩室 ー


ミサト「…………」フーッ……

リツコ「あら、どうしたの、ミサト? 溜め息なんかついちゃって」

ミサト「ああ、リツコ……。避難所からはもう戻ってこれたの?」

リツコ「元々、使徒がいたから迎えが来れなかっただけですもの。昨日の内に本部には戻ってきたわよ。……その時、ミサトはいなかったけどね」クスッ

ミサト「あー、ちょっちねえ……」

リツコ「私やマヤを置いて飲みに行ってたんですって?」

ミサト「あちゃー、バレてた?」

リツコ「昨日、技術部の若い子から聞いたわ。あまり感心出来ないわね。日向君の家で飲んだんでしょ? オマケに青葉君も一緒で、あなたベロベロに酔ってたそうじゃない?」

ミサト「何でそんな事まで知ってるのよ!」

リツコ「呆れた。カマをかけただけなのに。まさか、本当だったなんて」

ミサト「あ、うぐ……」

ミサト「……」ハァ……

ミサト「昨日はさー、ちょっち特別だったのよね……」

リツコ「……シンジ君……いえ、あの産業廃棄物の事かしら?」

ミサト「産業廃棄物って……リツコ……。いくら何でもそれは言い過ぎじゃない?」

リツコ「あら、あなたらしくない物言いね、ミサト。何かあったのかしら?」

ミサト「何かあったのはあんたの方でしょ、リツコ。あいつの事、そこまでひどくは言ってなかったはずよ」

リツコ「ええ、確かにそうかもしれないわね。何せ昨日、MAGIのデータを見てしまったから。あの子に対しての見方が変わっていたとしても少しもおかしくはないわね」

ミサト「マギ?」

リツコ「昨日の使徒戦のデータよ。ざっと見ただけだけどまるでいいところがなかったわね。使徒が勝手に自滅してくれなかったら初号機が大破していても少しもおかしくはなかったわ」

ミサト「あー、そうなの……。へー、勝手に自滅したんだ、使徒……」

リツコ「あら、ミサト、知らなかったの? あなた昨日、作戦の指揮をとっていたんじゃなくて?」

ミサト「そうだったんだけどねー……。昨日はあの子とまた一悶着あったから……」

リツコ「そういえば、あなた、目が少し赤いわね。……昨日、何があったの?」

ミサト「んー……実はね…………」

ー 説明後 ー


リツコ「そう……そんな事があったの……」

ミサト「うん……。青葉君や日向君たちには、あいつに全く反省の色が見られなかったからって、パイロットの登録抹消を勧められてね……」

ミサト「私もその時、精神的に弱くなってたし、お酒も入ってたから、ついそれに頷いちゃったんだけど……」

ミサト「でも、その後、家に帰ったら……とても嘘とは思えない反省の言葉をあいつが口にしてね……。私はもう寝てるかもしれないっていうのに……」

ミサト「それで色々悩んでいたら、今日のアレでしょ? 副司令に聞いても機密事項の一点張りで何も教えてくれなかったし……」

ミサト「一応、パイロットの登録抹消の件は、私のところで止めてはあるんだけど……」

ミサト「あいつの事、どうしようかまだ決めかねてる時に、こんな風にいきなりいなくなっちゃったから……」

ミサト「これで良かったかもと思う反面、これじゃ良くないと思う気持ちもあって……。少し複雑なのよねえ…………」ハァ……

リツコ「ミサト。人間は……変化を求める気持ちと、現状を維持しようという気持ちの、二率相反性を持って生きている生き物よ。そのせめぎあいで私たちは成り立っているわ。……今のあなたみたいにね」

ミサト「……それって、あいつの事をこのままにして忘れるのを待つか、それとももう一度だけ信じてみるかって事?」

リツコ「そうじゃないわ。あの産業廃棄物を普通の人間に変える努力をするか、それとも社会に全く寄与しないどころか害悪でしかないゴミのまま放置しておいて構わないとあなたが思うかどうかよ」

ミサト「言い方は気にくわないけど……つまり、もう一度引き取れって事?」

リツコ「あなた、自分から一度引き取ったんじゃないの? 何もせずに投げ出す気?」

ミサト「…………嫌な事言うわね」

リツコ「この際、シンジ君が反省していようとしていまいと、嘘をついていようといまいとあまり問題にはならないわ。あなたがシンジ君をどう教育してどう更正させていくかの方が問題なのよ?」

ミサト「…………それはそうかもしれないけど……」

リツコ「例えばレイだって初めからあれほど優秀だったという訳ではないわよ。流石に今のシンジ君程ではなかったけど、最初の頃はまだまだ使えなかったしふざけたりもしたものだから、ずいぶんと叱ったものよ」

ミサト「あのレイが? にわかには信じられないわね」

リツコ「あの頃は私がレイの教育係みたいなものだったからミサトは知らないでしょうね。ずいぶんと苦労をさせられたものよ、懐かしいわね」フフ……

ミサト「そうなんだ…………」

リツコ「……それに、碇司令の悲しむ顔、あなたは見たくはないんじゃなかったの?」

ミサト「それはあんたもおんなじでしょうが……」

リツコ「…………そうね。否定はしないわ」

ミサト「……リツコ、ひょっとしてあんた、ただ単に私を焚き付けて利用してるだけじゃないでしょうね?」ジトー……

リツコ「あら、やだ、もうこんな時間。仕事に戻らないと」ソソクサ……

ミサト「あ、ちょっと、リツコ、待ちなさいよ」

リツコ「じゃあね、ミサト。また後で」

ドア『』プシュン……

ミサト「もう!」

ミサト「リツコのやつってば……ホント、調子いいんだから。ああいうところは大学時代から全く変わってないわね」ブーブー



ミサト「………………」

ミサト「…………まあ、でも…………それは私も一緒か…………」

ミサト「嫌な事から逃げ出して、辛い現実からも目を背け続けて…………加持がいたらきっと笑われちゃうわね」

ミサト「……リツコの言ってる事もあながち間違いじゃないし…………」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

シンジ『ミサトさん!』

シンジ『僕は! 僕は!!』

シンジ『ここに来る前まで、人に傷つけられるのが嫌で!!』

シンジ『人の目ばかり気にして! 怒られたり、文句を言われないように、人の言う事には素直に従って!!』

シンジ『自分の意思なんて、ほとんどなくて!!』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ミサト「人に傷つけられるのが嫌で、人の目ばかり気にしてか…………」


ミサト「私もあの子と対して変わらないのね……」フゥ……

ー 三日後 ー

ー ネルフ北米支部 ??? ー


モノリスA『碇ゲンドウ、ここへ呼ばれた理由、汝なら既に承知しているはずだ』


ゲンドウ「何の事でしょうか」


モノリスC『今更惚ける必要もあるまい。サードチルドレンの身柄と処遇、そして初号機の事だよ』

モノリスF『我々が必要としているのは道具であって神ではない。早過ぎる初号機の覚醒……我々としては見過ごす訳にはいかぬ』

モノリスB『その為にも君の息子は預からせてもらっている。DSSチョーカーも既に装着済みだ』

モノリスE『猫の首には鈴をつけねばなるまい。現状でサードインパクトなどを起こされては困るのだよ』


ゲンドウ「……初号機が覚醒したなどという事実はありませんが。MAGIのデータを調べてもらっても結構です」


モノリスD『情報操作と隠蔽工作は君の得意とするところだろう。MAGIのデータなど証明にはならんよ』

モノリスC『左様。我々とて、君達の暴走とも呼べる身勝手な行動をただ傍観している訳ではない。ネルフ内部には幾人かの情報提供者を置いてあるのだからな』

モノリスF『我々のシナリオは君達のせいで、現状、狂いっぱなしだ。これ以上狂わされる訳にはいかない』


ゲンドウ「……それで、私にどうしろと?」


モノリスA『碇ゲンドウ……。初号機の凍結とサードチルドレンのパイロット登録抹消、及び、汝のネルフ本部司令の任を解く事を命じる』

ー ネルフ本部 ジオフロント ー

ー スイカ畑の横の小さな墓 ー


レイ「…………」

墓『』…………

地面に座り込んでじっと墓を見つめているレイ


レイ「……お母さん…碇君のパイロット登録抹消が決まったみたい……」

墓『』…………


レイ「……お母さんは喜んでくれないかも知れないけど…………でも…………これでいいの……」

墓『』…………


レイ「……あの時は…………お母さん……私を………………」

何か言いかけて、唇をかみ、次の言葉を飲み込むレイ


レイ「………………」

墓『』…………


レイ「……ごめんなさい……お母さん…………そんなつもりじゃなかったの…………」

墓『』…………


ピーッ、ピーッ、ピーッ……

静かに鳴り出すアラーム


レイ「…………時間……。もう……行くから…………」

墓『』…………


レイ「……また来るわ……お母さん……」

墓『』…………


少し悲しげな表情で墓を後にするレイ……

ー しばらく後 ー


冬月「……すまんね、今日もまた私だよ」

墓『』…………


冬月「……碇はまだ北米支部でね。恐らく第三の少年の件が片付くまでは戻ってはこまい」

墓『』…………


冬月「……とはいえ、そろそろ接触があってもよさそうな頃ではあるがな……。近い内に戻って来るとは思うが……」

墓『』…………


冬月「……ゼーレの要求は大方予想がついている事だしな……。老人たちは相変わらず保守的だよ。だからこそ扱いやすいとも言えるのだが……」

墓『』…………


冬月「……恐らく今回も問題なかろう。それが良い事か悪い事か、最早、私には判断がつかんがね…………」

墓『』…………


冬月「…………」フゥ…………

墓『』…………


冬月「……初号機……というよりは、君の本当の娘を守る為、私はまた一つ人の道から外れた事をしてしまったよ…………」

墓『』…………


冬月「……第二の少女には悪い事をしたが、仕方があるまい……。いつか償える日も来よう…………」ハァ……

墓『』…………


冬月「……それでは私は行くよ。碇の事が気になるのでな」クルッ……

墓『』…………


少し悲しげな表情で墓を後にする冬月……

ー ネルフ本部 エヴァ実験場 ー


ドア『』プシュン……


ミサト「……」テクテク……

リツコ「あら、ミサト。珍しく時間通りね」

ミサト「まあねー……。今日は零号機の再起動実験日だから。遅れて来る訳にはいかないでしょ? …レイに悪いもの」

リツコ「相変わらず元気がないわね、ミサト。……あの子の事、まだ引きずってるのかしら?」

ミサト「……引きずってないと言えば嘘になるわね。あれから三日も経ってるのに、未だに情報が何にも入ってこない訳だし……」

ミサト「」フゥ……

ミサト「まあ、その事は今はいいわ。それより、零号機の修復、よく実験日までに間に合ったわね。一度リフトの誤作動とかで、前より更に壊れたんじゃなかったの?」

リツコ「レイが整備員を総動員させて直させたみたいよ。修復率は7割方というところらしいけれど、動かす分には問題ない数値ね」

ミサト「へえ……。まあ、レイにしてみれば初号機よりは零号機の方が慣れてるでしょうからねー。シンクロ率も、確か50%近くも違うのよね?」

リツコ「正確には48.1%違うわ。初号機だとレイのシンクロ率は35%前後というところかしら。その点だけに関して言えば、シンジ君の方が上ね。あまり認めたくはないけど、才能だけはあるみたいよ、あの子」

リツコ「……もっとも、人格的に問題があるから、あてにするつもりは更々ないけれど」

ミサト「…………」

ミサト「……で、レイのケガはもう治ったの?」

リツコ「左手を除けば、ギブスや包帯はもうとれたわ。まだまだ完治という訳ではないけれども、戦闘には十分耐えれるでしょうね。…………死んでる訳ではないのだし」

ミサト「ああ、そう……。まあ、それならいいけど……。使徒は待ってはくれない訳だし、レイも乗りたがってるしね……」

ー EVA零号機 エントリープラグ内 ー


レイ「………………」


ブンッ……
リツコ『レイ、そろそろ再起動実験を始めるわよ。準備はいい?』

レイ「はい……。問題ありません……」

リツコ『くれぐれも暴走させないようにね。今回もまた、前回同様、爆発事故が起きないとも限らないのだから』

レイ「はい……。気をつけます……」

リツコ『わかっているなら、それでいいわ。じゃあ始めるわよ…』
ブンッ……

レイ「………………」










レイ「…………事故………………………………」

ー 七ヶ月前 ー

ー 初号機、零号機、相互互換実験中 ー


ビーッ!! ビーッ!! ビーッ!!

マヤ「あれ……? 先輩、起動システムに異常発生してます」

リツコ「あら、また?」

ゲンドウ「………………」

マヤ「はい。パルスも逆流してます。一応、せき止めてはみますけど……」カチャカチャ

マヤ「やっぱり無理ですね……。プラグ深度もかなり不安定になってます……。暴走ですね」ハァ……

リツコ「これで何回目かしら、全く……」ハァ……


リツコ「仕方ないわね。マヤ、コンタクトを停止してくれる? ついでに6番までの回路も緊急閉鎖して」

マヤ「わかりました。……それにしても、流石にもう嫌になってきちゃいますね」カチャカチャ……


特殊ベークライト『』ジョバー! ドボドボ……


マヤ「あれ…? どうして?」

リツコ「マヤ。あなたまた間違えたの?」

マヤ「///」テヘッ

リツコ「全くもう、しょうがないわね」チョン

マヤ「すみません、先輩//」


EVA零号機『グオオォォォォッ!!』グイッ!! メキョメキョッ!!

拘束具を力任せに引きちぎる零号機!


ゲンドウ「いかんっ!」

ゲンドウ「実験中止! 電源を落とすぞ!!」ガンッ!

強制シャットダウン装置『』パリン!!

ゲンドウ「」グイッ!!


アンビリカルケーブル『』バシュン! ボトッ……


オペレーターA「零号機、予備電源に切り替わりました!」

オペレーターB「完全停止まであと35秒!」



リツコ「では、いつも通り、全員この場から一時待避します」

オペレーター一同「はい!」ダダダダダッ!!


ゲンドウ「レイ!」

リツコ「碇司令、危険です! すぐにこの場から待避して下さい!!」


零号機『!!』

零号機『グオオオオォォォォッ!!』


零号機『!!』バキッ!! バキッ!! バキッ!!

リツコを狙い、強化ガラス窓をひたすら殴りつける零号機!


ゲンドウ「レイッ!!」

リツコ「碇司令! 待避して下さい!! 危険です!!」

ゲンドウ「だが、このままにしておいてはレイが心配だ! 私は残る! 君は下がっていたまえ」

リツコ「……」

リツコ「……そうですか」スッ


そっと白衣のポケットに手を入れ、零号機のエントリープラグに仕掛けてあるDSSボックスのスイッチに手をかけるリツコ……

零号機『グオオオオォォォォッ!!!』バキッ!! バキッ!! バキッ!!

強化ガラス窓『』バリンッ!!!

ゲンドウ「!!」


零号機『……』ジロッ……

ゲンドウ「レイ…………!!」


リツコ(ここまでね……。これ以上は危険だわ……)ポチッ…

零号機『!?』ボウンッ!!


エントリープラグ付近で小規模な爆発発生!!


ゲンドウ「レイッッ!!!」

ゲンドウ「何故、爆発が!!?」

リツコ「わかりません……! 一体、何があったの!?」


ゲンドウ「レイッッ!!! レイッッ!!」ダダダダダッ!!

リツコ「!?」


リツコ「碇司令! まだ零号機は完全停止してません! 危険です!! やめて下さい!!」

ゲンドウ「レイッ!! 大丈夫か! レイッッ!!!」ダダダダダッ!!


リツコ「……………………司令………………」



零号機『グウオオッッ!!』

零号機『グウォォォォッ!!!』ガンッ!! ガンッ!! ガンッ!!


葛藤する様な動きを見せた後、ひたすら壁に頭を打ち続ける零号機……!!

ー 内蔵電源に切り替わってから35秒経過 ー

ー 零号機、完全停止後 ー


ゲンドウ「ぐっ……! ぐうっ……!」ガシッ!

零号機の背中へと必死によじ登るゲンドウ……


ゲンドウ「ぐっ…………!」ハァハァ……

ゲンドウ「……!!」

よじ登った先には、壊れ、ひび割れたエントリープラグが……


ゲンドウ「レイッッ!!」ダダッ!!

慌てて破損した瓦礫をどかし、レイを探すゲンドウ


レイ「…………」

瓦礫の下から、ぐったりし、ところどころ血にまみれたレイを発見……


ゲンドウ「レイィッ!!!」

ゲンドウ「大丈夫か! レイッ!! レイッッ!!」

レイ「………ぅ…………っ……!!」

レイ「…………」コクッ…………

ゲンドウ「大丈夫だ! すぐに医療室に連れて行ってやるぞ!! しっかりしろ!!!」ソッ…

レイを抱きかかえるゲンドウ……

レイ「…は…………ぃ……………………」






メガネ『』ポトッ………… パリン…………

メガネ『』………………






リツコ「…………」

それを上から冷ややかな目で見下ろすリツコ…………

ー 現在 ー

ー ネルフ本部 エヴァ実験場 ー


リツコ「レイの様子は?」

マヤ「全て安定してますね。問題ありません」

ミサト「どうやら今回は無事にいきそうね……」

リツコ「ええ、私としても一安心というところかしら。こんな装置……二度と使いたくないもの」

ミサト「DSSボックス……。本当の本当に最後の手段ね、それ。簡単に言えば、パイロットを殺す装置でしょ? いくら正当防衛とはいえ、きっついものがあるわね」

リツコ「いいえ、ミサト。これは私達の自衛の為の最終安全装置よ。言い方には気を付けてほしいわね」

マヤ「……前回の事も踏まえて、爆薬の量は既に調整済みですから……。あまり言いたくはありませんけど、次は本当に……」

ミサト「…………死ぬって事ね」

リツコ「ミサト……わかってるとは思うけど……」

ミサト「ええ、流石に碇司令には言わないわよ。……間違いなく取り外されてしまうでしょうからね」

マヤ「信じる事を全てとしてますからね、碇司令は……。甘いと言えば甘いかも知れませんが、でも、それが司令のいいところですから、否定はしたくないです」

リツコ「だからこそ、私達が汚れ役を引き受けてでも司令を守らなければいけないのよ、ミサト。嫌な部分や黒い部分は、あの人は知る必要がないの。知らなければ、それが一番なのだから」

ミサト「言われなくても、わかってるわよ……」

リツコ「私たちは、最低限、自分の身の安全だけは保証しておかないといけないの。何せパイロットの代わりはいても、私たちの代わりはいないのだから」

ミサト「ネルフ存続の為、ひいては人類を守る為には仕方のない事、か……。そう割り切らないと辛いわね……」

マヤ「本当ですね…………」

ミサト「それにしても……あの優秀なレイがそこまで暴走を起こすなんて少し意外ね……」

リツコ「レイが初めてEVAに乗ったのが二年前……。昨日、少し気になったので調べてみたら、その二年間の間に、のべ129回暴走を起こしていたわ」

ミサト「そんなに!?」

リツコ「ええ、特に最初の半年が一番酷くて、この期間だけで全体の七割を占めているわね。前回の暴走はずいぶん久しぶりの事だったのよ」

ミサト「…………」ハァ……

ミサト「リツコ、レイが色々と優秀なのは認めるけど、でも本当にエバーのパイロットとしても優秀なの? あんたいっつもそう言ってるけど……」

リツコ「ええ、比較の話をするのであれば、格別に優秀と言えるわね。今いる四人のパイロットの内、シンクロ率が80%を越えているのはレイだけで、これはダントツの数字よ」

リツコ「もちろん、乗っている期間が一番長いというのもあるけれど、それを抜きにしても優秀である事に変わりはないわ。射撃の腕もかなり正確だし」

マヤ「それに……初号機でレイが暴走した事は一度もないんです。ですから問題があるのは、レイではなくて零号機の方で……。パイロットが乗ってない時の暴走の方が多いですし……」

リツコ「あまりにもそれが多いものだから、零号機だけは今、内蔵電源を取り外してあるわ。取り付けるのは、実験と出撃の時だけ……要はパイロットを乗せる時だけね」

ミサト「……何で? 出撃はともかく実験の時はそのままにしておいた方がいいんじゃないの?」

マヤ「それは…………」

リツコ「それをしばらくの間試したら、暴走回数がより増えたのよ。パイロットがEVAに取り込まれやすくなるのでしょうね」

ミサト「……その理由は?」

リツコ「まだわかっていないわ。研究中よ」

ミサト「ふーん……」

リツコ「何にしろ、暴走の原因のおよそ九割方は零号機によるものと推測されるわ。修復と同時に改良も少しほどこしてあるから、前よりは多少マシになっているとは思うけど」

ミサト「そういえば、マギもこの前リツコがメンテしたんだっけ? 色々と大変ね」

リツコ「ええ、母さんが欠陥品ばかり作るおかげでね。そのせいで私はずっと苦労しっぱなしよ。亡くなってからも娘に迷惑ばかりかけるのね、あの人は……」

ミサト「あ………………ごめん…………」

リツコ「…………別に構わないわよ。……今更どうでもいい事ですもの……」

ミサト「うん…………ごめん…………」

マヤ「…………?」

リツコ「…………」

ミサト「…………」

マヤ「…………」カチャカチャ……


マヤ(さっきから空気が重い…………)

マヤ(先輩も葛城さんも急に黙っちゃったし…………)

マヤ(先輩がお母さんの話をしてからずっと…………)

マヤ(口ぶりからいって、先輩がお母さんの事をよく思ってないっていうのはわかるけど…………でも、こんなに重くなるほどのものなの…………?)



リツコ「………………」スッ

リツコ「レイ、実験は終了よ。あがっていいわ」

レイ『…………はい……』

リツコ「…………ミサトもお疲れ様。零号機は調整が済み次第、即、実戦に投入出来るわ。それまでは当分初号機がメインとなるけど」

ミサト「…………了解。それじゃ、私はこれで戻るわ」

マヤ「……お疲れ様です…………」チラッ…

ミサト「………………」

ミサト「ええ、お疲れ様。それじゃあね、マヤ」

マヤ「あ……はい……」

ドア『』プシュン……



マヤ(葛城さん……私が聞きたそうにしてたのに、気づいていたとは思うけど……)

マヤ(話したくはないって感じだった…………)

マヤ(だからといって、先輩に直接聞けるような雰囲気ではないし…………)

マヤ(……一体、先輩とお母さんの間に何があったんだろう…………)

ー ネルフ北米支部 ??? ー


ゲンドウ「……初号機の凍結、並びにサードチルドレンの登録抹消には従いかねます。零号機の再起動実験はまだ済んでいませんから」

ゲンドウ「現時点での初号機凍結は、本部の無力化を意味します。承服出来るところではありません」


モノリスD『それならば問題ない。先程、ネルフ本部から連絡が入った。再起動実験は無事に終了したそうだ』

モノリスF『ドイツ支部の弐号機を本部に輸送する手筈も既に整えてある。予定をかなり前倒ししたがね』

モノリスB『エヴァ二機に加えて訓練されたパイロットが二人……当面の間、使徒を倒すのに何も問題あるまい。少なくとも、初号機と君の息子は現在必要ではないのだよ』

モノリスE『君自身に関しては必要がないどころか、最早、害悪でしかないと我々は判断しているがね。それも、かなり以前の段階から』

モノリスC『左様。ネルフの腐敗……その直接的な原因を作ったのは君ではないが、それを助長させ、ここまでの有り様にしたのは、全て君の責任だよ』

モノリスD『その温床となった赤木レポートは既に抹消され、書いた本人ももう他界している。根は断ち切られているのだから、後は残った枝を断たねばならん』


モノリスA『組織の再建は我らの手によって行う……。汝の手によってではない』



ゲンドウ「…………」

ゲンドウ「……それが私を解任する理由ですか」


モノリスE『無論、それだけではないがね』

モノリスD『我々に対する恫喝にも似た行為。忘れたとは言わさんよ』

モノリスF『故に、今回は君と同じ手段をとらせてもらった。君の息子を預かったのはその為でもある』


ゲンドウ「……息子の命が惜しければ要求に応じろと?」


モノリスB『誤解してもらっては困る。これは要求ではなく命令だよ』

モノリスC『君もいい加減に立場をわきまえた方が良かろう。妻に続いて息子まで失うのはさぞ辛かろうからな』


ゲンドウ「……その時は、私に生きる意味は最早ないでしょう。ネルフ本部ごとの自爆も辞さない所存です」


モノリスF『……またそれかね。レベルEEEの自爆装置の件についてはこちらは聞き飽きているのだよ』

モノリスD『いつもとは違い、今回、君はネルフ本部にはいない。無駄な脅しだとは思わんのかね?』


ゲンドウ「それならば、試してみられればよろしいでしょう。私が電話一本かければ済む話です。私が死ぬのはそれからでも構いませんから」


モノリスE『…………』


ゲンドウ「あなた方も既に御存知のはずです。レベルEEEの自爆装置にはパスワードもプロテクトもつけられておらず、誰もが操作可能となっているという事を」

ゲンドウ「また、その存在を知っているのは私と副司令だけです。ここから電話一本かけ、操作方法を教えるだけで、ネルフ職員の誰もが、躊躇いも疑いもせず、確実に起動させてくれる事でしょう」


モノリスB『………………』

モノリスF『君の一存で全職員、ひいては全人類を巻き込む、か。…………神にでもなったつもりかね、碇ゲンドウ』


ゲンドウ「……そのようなつもりは毛頭ありません。ただ、私の部下は私を慕っているので、一緒に連れて行くというだけの話です。部下もきっと喜んで死んでくれるでしょう」


モノリスE『……!』

モノリスB『君一人のせいで人類そのものが滅んでも構わないというのかね。残された者の事はどうなる』


ゲンドウ「息子のいない世界など、私にとっては不要で無意味なものです。……滅んだとしても一向に構いません」


モノリスD『君は狂っているよ……!!』


ゲンドウ「狂っているのはあなた方の方でしょう」


モノリスC『……!!』


ゲンドウ「愛する人の命は、人類全てよりも重い……。ユイはそのかけがえのない事を私に教えてくれました」

ゲンドウ「いつかあなた方もその事を理解してくれると願っています」


モノリスF『………………君の考えには到底ついていけんな。とても正気の沙汰とは思えんよ』


ゲンドウ「……それは私も同じです。しかし、考え方や理解は違えど、私たちの目的は同じはずです」

ゲンドウ「それに、お互いが協力しあわなければ、これまで10年以上積み重ねてきたものが一瞬にして跡形もなく崩れ去るというのも同じ事でしょう」

ゲンドウ「…………あなた方が要求してきた三つの事の内、初号機の凍結とサードチルドレンのパイロット登録抹消については受け入れましょう。ただし、サードチルドレンのDSSチョーカーは外してもらいますが」

ゲンドウ「それを考慮した上で、もう一度、よくご検討願います。私たちは共に歩む事は出来なくとも、同じ方向へと進む事は出来るはずですから」


モノリス一同『………………』


モノリスA『良かろう……。此度の一件は、一時、保留とする。また近い内に呼び出す事となるだろうが、それまでによく頭を冷やしておくのだな、碇ゲンドウ…………』


ゲンドウ「…………お互いにその方が都合が宜しいでしょう。ではまた……」


モノリス一同『………………』
ブンッ…………

ー ネルフ北米支部 司令室 ー


ガチャ……

ゲンドウ「冬月、私だ。先程、老人たちから接触があった。要求してきた事は全てこちらの予想通りだ」

冬月『そうかね。それで、首尾はどうだったのだ?』

ゲンドウ「問題ない。老人たちは保留を選択した。全てシナリオ通りだ」

冬月『ならば、あとは弐号機の件だけか。色々な意味で、初号機を今、凍結させる訳にはいかないからな。弐号機にはしばらく向こうにいてもらった方が都合がいい』

冬月『出来る事ならパイロットだけ呼びたいところだが、そうもいかんからな……』

ゲンドウ「冬月、わかっているとは思うが……」

冬月『ああ。保証は出来んが、努力はしよう。少なくとも死人は出させんよ』

ゲンドウ「………………」

冬月『』フゥ……

冬月『……碇、俺もお前も今更引き返す事など出来んぞ。生と死は最早私たちにとって等価値のところまできている。生きるのも死ぬのも似たようなものだ』

ゲンドウ「わかった……冬月」

冬月『もっとも、出来る事なら私はもう死にたいがね……』

ゲンドウ「…………冬月………………」

冬月『すまない。失言だったな。忘れてくれ……』

冬月『ああ、それと、碇……』

ゲンドウ「何だ?」

冬月『今回の一件で、ゼーレは恐らく、近々、あの男を送り込んでくるだろう。そのまま放置しておけば、レベルEEEの自爆装置の件、老人たちにバレてしまうぞ』

冬月『あの男は、性格はともかく、優秀ではある。時間はかかるかも知れんが、いつかは真実に辿り着くだろう。……赤木レポートや暴走の件も含めてな』

冬月『……どう対処するつもりだ?』

ゲンドウ「…………」


ゲンドウ「……味方に引き入れるしかあるまい。危険な賭けではあるが……」

冬月『…………本当にそれでいいのか、碇?』

ゲンドウ「どういう意味だ、冬月?」

冬月『利用した後、排除する、という手もあるという事だ。こちらの方が確実ではある』

ゲンドウ「排除したところで意味はあるまい。ネルフ本部の対人警備システムは、はっきり言えばザルだ。ある程度訓練を受けた人間であれば、誰でも簡単に忍び込む事が出来る」

ゲンドウ「下手に動かれるよりは、初めから味方として引き入れた方がいいだろう。あの男は計算の出来る男だ。自分の損になるような事はそうはすまい」

冬月『…………そうか』フゥ……

冬月(やはり、甘いな……。監禁、あるいは暗殺という考え自体が元からないのだから…………)

冬月(だが、この甘さがなければ、ネルフは最早組織として成り立たなくなっているのもまた事実か…………)


冬月『……まあ、いいだろう。その件についてはお前に任せる事にするよ。それではそろそろ切るぞ。また何か動きがあったら連絡してくれ』

ゲンドウ「ああ、ではな」

ガチャ……



ゲンドウ「」フゥ…………

ゲンドウ「…………シンジ……そして、アスカ……それにドイツ支部の職員たち…………全員、無事でいてくれるといいが…………」

ー ネルフドイツ支部 EVA弐号機格納庫 ー


EVA弐号機『』…………


整備員A「こいつとも、明日でお別れか」

整備員B「そうだな。明日の朝一番に本部へと行く手筈になってるんだろ? ずいぶん急な事だがな」

整備員C「しかし、大丈夫か……? 急いで調整を終わらせちまったからな。ただでさえ、暴走が多いってのに、そんなやっつけ仕事で……」

整備員A「仕方ないさ。予定を無理矢理変更させた上が悪いんだ。今日も最終テストを行うとかで、また予定を変更させられたしな」

整備員B「まあ、何かあれば、あとは向こうで何とかしてくれるだろ。俺らの仕事はとりあえずこれでおしまいだ。行こうぜ」トコトコ

整備員A「そうだな。……打ち上げって訳でもないが、これから飲みにでも行くか?」トコトコ

整備員B「おっ、いいね。丁度この前、いい店発見したばかりだから、そこに案内するよ」トコトコ


EVA弐号機『』…………

整備員C「…………」


整備員B「おーい、いつまでそこで見てんだよ。お前も付き合えよ」

整備員C「……まあ、心配したところで今更どうしようもないからな」クルッ、スタスタ……


EVA弐号機『』…………



EVA弐号機『!!』キュピーン


整備員C「えっ…………!」


EVA弐号機『!!』ググッ、ググググッ!!

EVA弐号機『グオオオオォォォォッッ!!』


整備員C「うわっ!! うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

整備員A「おいおい、どうしーーっ!!!」

整備員B「逃げろっ!! 弐号機が暴走したぞっ!!!」ダダダダダッ!!

ー ネルフ本部 司令室 ー


冬月「そうか。死者はゼロ。軽傷者が数名出ただけか」

工作員『はい、ほぼシナリオ通りです。こちらの被害は格納庫周辺だけで済んでいますし』

冬月「MAGIのデータ改竄と証拠の隠滅は?」

工作員『それも問題なく。原因はいくら調べても不明ですよ。間違なく暴走として処理されます』

冬月「そうか。例のものは開発途中の完全なテストタイプだったから心配していたが、問題なかったようだな」

工作員『ええ。ダミーシステム……でしたか』

冬月「私たちの切り札であり、希望だよ。これが完成しなければ、現状、全ての使徒の殲滅は難しいだろう」

工作員『危険も孕んでいるとは思いますが……』

冬月「パイロットを乗せていた方がより危険だという事は君も承知していると思っていたがね」

工作員『…………否定は難しいですね』

冬月「とにかく、ご苦労だった。また、何かあった時には頼むよ」

工作員『ええ、それでは……』ガチャッ。ツー、ツー、ツー……

ー ??? ー


モノリスB『……このタイミングで弐号機の暴走。まさか偶然ではあるまい』

モノリスE『だが、偶然でないと言い切れないのもまた一つの事実だ。アダムをコピーしたタイプは、あれが初の機体だからな』

モノリスC『左様。実戦機と謳ってはいるものの、あれが試作機である事には間違いないよ。何が起こったとしても不思議ではない』

モノリスD『限りなく黒に近い灰色という訳かね。綱渡りもここまで来ると滑稽に思えてくるがね』

モノリスF『何にせよ、弐号機の実戦投入は先送りせざるを得まい。予定された暴走と予定にない暴走とでは重みが違う。弐号機の場合は他のEVAシリーズにも関わってくる』

モノリスB『だが、それではあの男の思うつぼではないか』

モノリスE『しかし、他に手はない』


モノリスC『……どうかね、議長。ここまで来てしまった以上、かねてよりの決断の時が来たと思うのだが……』

モノリスF『かの少年とmark6、そしてネブカドネザルの鍵……。切り札は全て我らの手の内にある。槍さえ手に入れば、ネルフ本部は不要と言っても良い』

モノリスE『出来損ないの鍵による契約はあくまで保険にしか過ぎない。ならば、むしろこのまま泳がせた方が都合が良いかもしれん』


モノリスA『……よかろう。時計の針は我らの手によって進めようではないか』


モノリス一同『全ては人類の補完の為に』

ー 二日後 ー

ー ネルフ北米支部 司令室 ー


冬月『ふむ……。お前の解任もなし、初号機の凍結もなし、更にはサードチルドレンのDSSチョーカーを外し登録抹消の要求まで撤回するとはな。老人たちにしてはあまりに素直すぎる』

ゲンドウ「恐らく、老人たちは月に拠点を移すつもりだろう。mark6の建造も急がせている」

冬月『こちらは露払いどころか、完全に厄介払いという訳か。だが、そうなると予算もこれから先はあまり多くは望めんな』

ゲンドウ「初号機とMAGIのオリジナルがある以上、最低限の維持費用は出すはずだ。それだけあれば問題ない」

冬月『都市の迎撃システムなど、使徒に対しては足止めにもならんからな。いずれ壊れるものが今壊れただけという事か』フゥ……

ゲンドウ「その分の修復予算を全てエヴァに回せば、どうにかなるだろう。都市に関しては、今行わせている瓦礫の撤去作業だけで構わん」

冬月『わかった……。そうしておこう』

ゲンドウ「それと、冬月」

冬月『なんだ?』

ゲンドウ「予定を一つ繰り上げて、私はこのまま南極まで槍を取りに行くつもりだ。老人たちが先に何かしてくるかもしれないからな」

冬月『槍か……。よかろう。こちらはもう少し私が見ておく』

ゲンドウ「すまないな、冬月。苦労をかける」

冬月『構わんさ。それより碇、お前の息子はどうするつもりだ。近い内に、ネルフ本部へと戻ってくるはずだが……』

ゲンドウ「シンジは……パイロット登録を抹消するつもりだ。これ以上、危険な目に遭わせる訳にはいかん」

冬月『……息子の意見も聞かずにか? それに、初号機はお前の息子でなければ……』

ゲンドウ「何も言うな、冬月。今更、シンジに合わせる顔など、私にはない……」

冬月『………………』

ー ??? ー


シンジ「………………」



シンジ「……綾波」ボソッ

シンジ「……無事でいてくれるといいけど……」

シンジ「いつまで僕はこんなところにいなくちゃいけないんだろう…………」グッ


悔しそうに、拳を強く握りしめるシンジ……





ガチャッ

シンジ「!?」

黒服「…………」トコトコ

シンジ「あ、あの」

黒服「上から解放命令が出た。君をこれからネルフ本部まで送り届ける。出ろ」

シンジ「は、はい!」パアッ

ー ネルフ本部 入口 ー


車『』ブロロロロ……キキッ

車『』ガチャッ


黒服「…………」

シンジ「……あ、あの……送ってもらってありがとうございます……」ペコリ


黒服「…………」ガチャ、バタン

車『』ブロロロロ…………


シンジ「……行っちゃった…………」


シンジ「」キョロキョロ……


シンジ「えと……これからどうすればいいんだろう……」

シンジ「IDとか置きっぱなしで出てきちゃったから、本部には入れないし……」

シンジ「そういえば、ミサトさんから預かった合い鍵も家だ……」

シンジ「学校は…………」

シンジ「制服じゃないから行けないか…………」

シンジ「どうしよう……。公園とかで時間潰してたら、なんか補導されそうだし……」

シンジ「携帯は壊しちゃったから……父さんとも連絡とりようがないし…………」

シンジ(携帯……?)

シンジ「そういえば、戦自の人から電話番号教えてもらったっけ」

シンジ「確か……木田さんと曽根さんだったかな……。ずいぶんと親切そうな人たちだったけど……」


シンジ「………………」


シンジ「戦自の駐屯地ぐらいなら、誰かそこら辺の人に聞けばわかるよね……」

シンジ「そう遠くなければいいけど…………」テクテク……

ー ネルフ本部 研究室 ー


ミサト「はあ!? シンジ君のパイロット登録抹消が決定!?」

リツコ「ええ、そうよ。既に抹消済みよ」

ミサト「何でよ? 私はまだ司令には何も言ってないのよ! …………まさか、あんた、シンジ君の事を司令に……」

リツコ「違うわ。司令からの命令なの。サードチルドレンのパイロット登録抹消は」

ミサト「司令から……」

リツコ「私もその理由は知らないわ。副司令に聞いてはみたけれど教えてはくれなかったから。例の、シンジ君が保安部に連れて行かれたのと何か関係があるんじゃないかしら」

ミサト「でしょうね……それしか考えられないもの」

リツコ「それと、副司令からあなたに伝言が」

ミサト「伝言?」

リツコ「正確には、伝言の伝言ね。元は碇司令からよ」

ミサト「あんまいい予感はしないけど……何?」

リツコ「シンジ君をいつまでもあなたの所に預からせておくのも悪いので、親戚の家に帰す手配をした……だそうよ」

ミサト「親戚の家に……? 碇司令の家じゃなくて?」

リツコ「ええ、そうよ。私も聞き直したから間違いないわ。本当に一体何があったのかしらね。あれほどあの子と暮らすのを楽しみにしていたというのに」

ミサト「リツコ……あんた本当にシンジ君の事に関して司令に何も言ってないでしょうね。でなきゃ、おかしいわよ、こんなの」

リツコ「疑われるのは心外ね、ミサト。私だって司令の悲しむ顔を見たくはないのよ。言う訳ないでしょう」

ミサト「…………それもそうね。ごめん」


ミサト「でも、だとしたら何で……?」


リツコ「さあ、それはわからないわ。でも、なんにせよ、これであなたの悩みの種も一つ減ったんじゃないの?」

ミサト「そりゃそうだけど……」

リツコ「…………代わりに碇司令の悩みの種が一つ増えた事になるわね」

ミサト「何よ、それ……。嫌な言い方するわね、リツコ……」

リツコ「でも、事実よ。そうでしょう? もっとも司令がその事に気付くのはまだまだ先の事になりそうだけれども」

ミサト「……それ、気付いた時にはきっと手遅れになってるでしょうね。鉄は熱い内に打てって訳じゃないけど、矯正するなら早い内じゃないと……。時間が経てば経つほど更正は難しくなるもの…………」

リツコ「…………そうね。残念な事だけれど、そうなるでしょうね」

ミサト「……参ったわね…………」ハァ……

ミサト「…………」


リツコ「……どうしたの、ミサト? 難しい顔をして」

ミサト「ちょっちね……考え事」

リツコ「あの子の事?」

ミサト「そう。どうにか出来ないかなーと思って」

リツコ「あら、引き取って教育する決心がついたの?」

ミサト「まあねえ……。前にリツコが言ってた通り、あいつが反省してるかしてないかは別にして、きちんと教育だけはしてあげようかなって思って。……親戚の所に行ったら、よりひどくなるのは目に見えてるもの」

リツコ「そう……。ミサトがそう言うなら、それでいいとは思うけど」

ミサト「何だかんだで、やっぱほっとけないのよね……ああいうのって……。それに、あの子自体はそんなに悪い子ではないと思うのよ。これまでろくな教育をしてこなかった周りの大人の責任ね、きっと」

リツコ「性善説に基づいた希望的観測……とも言えるわね。根拠が何もない以上、私には判断しかねるけど」

ミサト「ま、そこらへんは女の勘ってやつよ。ロジックで固まったリツコにはわかんないかもしれないけどさ」


Prrrrrr Prrrrrr


ミサト「ん? 電話? 誰からだろ?」ゴソゴソ、スッ

ミサト「リカじゃない。どうしたんだろ、あいつ」ピッ

ミサト「もしもし、リカ、どったの? また合コンの誘い?」

小林『違いますよー。それに、葛城さん、合コン誘っても全然来てくれないじゃないですか』

ミサト「あんたと違って暇じゃないのよ、私は。仕事でやる事一杯あるんだから」

小林『そうやって仕事仕事って言ってると、間違いなく婚期逃しますよ。葛城さん、確かもうすぐ三十路ですよね? マジヤバクないですか?』

ミサト「うっさいわね、あんたは! 余計なお世話よ」

小林『おー怖。でも、ホント結婚とか焦らなきゃダメですって。もしも子供とか産みたいと思ってるなら尚更ですよ』

ミサト「言われなくてもわかってるわよ、そんな事。で、何の用なの? 早く言わないと切るわよ」イライラ

小林『あっ、すみません。つい話が横道に』テヘペロ


小林『えっとですね、碇シンジ君の居場所を知りませんか? 何か今日、彼を駅まで送るようにって森川さんが言われてたらしいんですけど』

ミサト「シンジ君? あの子、今日こっちに戻ってくるの?」

小林『ああ、はい、そうみたいです。何か今日の朝八時頃、ネルフ本部前に来る予定だったみたいなんですけど、森川さんが寝坊したとかで……。着いた時にはもう居なかったとか』

ミサト「何やってるのよ、ツボミは……」

小林『しょうがないんですよ。昨日は遅くまで飲み会やってたんで。特に森川さん、ベロベロになるまで飲まされてましたし。あの人、上手く断れないんで、飲み会の後はいっつもこんな感じです』

ミサト「まあ、ツボミは押しに弱いからね……。わかったわ。で、シンジ君が見つからないからあなたも一緒に探してるって事?」

小林『はい、そうです。なので、もし見かけたら教えて下さいね。碇司令からの直接命令なんで、流石に見つからないとまずいんですよー。諜報部でも何人かで探してるんで』

ミサト「……了解。見かけたら知らせるわ。その代わり、そちらで見つけたら私にも連絡くれる?」

小林『それは構いませんけど……?』

ミサト「じゃ、よろしくね。それじゃ……」

小林『あっ、もーー』

ミサト「」ピッ……

次スレ、立てます
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