久「大阪へ行きたいかー!」 咲「お、おおーっ///」(135)

ヒサガクルデー

トントン

照「咲、起きてる?朝ごはんできてるから」

照「あと、咲が欲しがってた牌譜、ドアの前に置いておくね」

照(返事なしか、まだ寝てるのかな)

照「――咲」

照「インハイの決勝、あれはしょうがないことだった」

照「こんなこと慰めにならないかもしれないけど」

照「お前は弱くないぞ」



照「だから、出てきてくれ」

照「もうこんなの嫌だよ……」

咲「私は」

  『テルの妹って聞いたから期待してたけど』

咲「私は、足手まとい」
 
  『たいしことなかったね。がっかりだよ』

咲「麻雀以外ろくにできないのに」

  『それで宮永を名乗るのはちょっと恥ずかしいんじゃないの』

咲「麻雀もヘタクソだった」

  『ねぇ、』

咲「私は、」


  『ポンコツさん』


咲「ぁあああぁあっあああああああぁぁぁあ!」

照「!! 咲!」ガチャ

◇◆◇◆◇◆
ピンポーン

照「……」ガチャリ

久「あら照。こんにちは。咲いる?」

照「いるよ。帰ってきてからずっと。一歩も外を出ようとしない」

久「ちょっと会わせてほしいんだけど、いいかな?」

照「いい、けど、たぶん会話にならないと思う」

久「インハイ終わった時からずっとあの状態?」

照「……うん」

久「そう。照はいつまで長野に?」

照「学校始まるまでだからあと二週間かな」

久(二週間か……、あんまり長く連れていくのは気が引けるわね)

照「なぁ、私にはわからないんだ。咲は私と会うために麻雀を始めたのだろう?」

照「だったらなんで、私といっしょにいるのに壊れてるんだ?」

照「咲にとって麻雀は手段じゃないのか?」

照「だから麻雀なんて、」


久「逆転の跳満振込み」

久「これが全てよ。あの子は大星さんに壊されたの」

照「あ、淡をせめるのか!?あいつは勝つために全力でやったんだぞ」

久「現に咲はその後個人戦で一勝もできなかった。嶺上牌に愛される事なんてなかったのよ」

照「それを私に納得しろと言うのか」

久「そうよ。それが現実」

照「っ、」

久「照はどうしたいの?」

照「どうしたいって、何が」

久「咲をどうしたいの?また一緒に笑って姉妹で仲良くしたいんでしょ?」

照「それは、そうだよ」

久「私も可愛い後輩が廃人状態だなんてシャレにならないわ」


久「相談があるの」

照「うん?」

久「彼女を三日ほど借りたいのだけど」

照「それは今の咲の状態を変えられるの?」

久「少なくとも良くはなるわ。でも期待はしないで。気休め程度にしかならないかも」

照「そ、それでも!」

照「私はもうあんな咲は見たくないよ。助けて、久」グイ

久「ち、近いわ照」

照「あ、ごめん……」

久「……嘘。おいで。今までなにもしてあげられなくてごめんね」ダキ

照「……こ、」

照「こわ、かったんだ。咲が、わ、私の前でっ、あんな」グス

久「うん。本当は部長の私がすぐにでも彼女を助けてあげられればよかった」ヨシヨシ

照「うぁあ」ポロポロ

久「一人でつらかったのね」

◇◆◇◆◇◆

久「悪いのだけど、私一人で話をさせてくれない?」

照「うん、私は部屋の外にいる」ズルル

久「鼻水出てるわよ。はいティッシュ」

照「うん」チーン

久「(かわいい)、……お邪魔します」ガチャ

咲「……」ブツブツ

久「っ!?なにこの――印刷用紙?これ」ピラ

久「牌譜……」

照「咲が、インハイの牌譜が全部ほしいって言うから、その、がんばって印刷したんだ」

久「この量、普通じゃないわ。個人戦も全部!?」

照「……うん。ご、ごめん」

久「謝ることではないわ。でも、」

久(やっぱり、肉親の保護は毒にしかならないのかしら)

久「咲」


咲「……」ブツブツ

咲「……そっか」

咲「この安牌ドラ切りでわざわざオリのふりを見せて、他家につっぱらせたんだ」

咲「それで逃げ切り二位。そっかそっか」

咲「次の局、次の局」ガシ

久「あなた、おかしくない?何やってるの?」

久「長野に帰ってきて一週間よ。ずっとこんな事してるの?」

咲「放して」ブン

久「……」

咲「放せ」ギロ

久「放さないと言ったら?」

咲「……」

咲「部長にはわからないです」


久「何が?」

咲「部長は私じゃないからわからないです。私が振り込んで大会の決勝で負けたのに」

咲「あんな惨めで、重圧で頭おかしくなりそうで」

咲「それがわから」バチン


久「なにそれ、むかつくわね」

久「立ちなさい」

咲「……」

久「あなたが負けたのは団体戦よ?」

久「団体戦はあなただけで勝つの?」

久「咲が背負って咲が振り込んだら咲が全部責任をとるの?」

久「そんなのおかしくない?」

久「私達のことなんかこれっぽっちも期待してなかったてわけ?」


咲「そ、そんなこと」

久「だったらもっと人に頼りなさい。人のせいにしなさい。他人に逃げなさい」

咲「それでも、あれは全部私が悪くて、」

久「」ブチッ

久「歯、食いしばって」スッ

 ガシッ

照「これ以上殴るのは勘弁してほしい。私の大切な妹なんだ」グググ

久(いいタイミングだったわ)

久「照、下に行きましょう」

照「もう話はいいの?」

久「ええ。……咲、あなたが私達に迷惑をかけたと思うのなら」

咲「……」

久「明後日の朝六時に清澄高校に来なさい」

久「さようなら」



久「はっきり言って重症ね」

照「そんなはっきり言わないでよ……」

久「でも、意外だったわ。麻雀が嫌いになったのかと思った」

照「それは私もびっくりした」

久「むしろ飢えてたわね。あんだけ牌譜を読み漁っていた。ならなぜ打たないのかしら」

照「……」

久「何か心当たりある?」

照「……いや、わからない」

久「そう。咲のリハビリを考えてたのだけど、ちょっとプランを変えようかな」

照「リハビリ?さっき言ってた清澄で何かやるのか?」

久「大阪に連れて行くの」


照「大阪?なんで?」

久「最初は気分転換のつもりで、無理やり旅行にでも連れて行こう思ったんだけど」

久「情熱が失われていないならそれはそれで結構だわ」

久「だから、彼女に二日分の着替えと旅行セット持たしてほしいの。もちろん頼めるわよね」

照「うち、お金があんまり……」

久「全国ベスト4の部に学校が何もしないと思う?それに私は議会長なの」

照「職権濫用?」

久「ま、そうなるわ。別に悪いことだなんて思ってないけどね」


照「……ありがとうございます」ペコ

久「え?ちょっと頭下げないで。私そんなつもりじゃあ、」

照「あんな妹ですが、よろしくお願いします」

久(なんか変わってる。この人も)


久「顔上げて。あと敬語もやめて」

照「うう」ズルズル

久(ま、また泣いてる)

久「照ってなんだか、思ったよりやわらかい性格なのね。会ってまで二週間もたってないけど」

照「よく言われる」ズズズッ

久「なんていうか、ギャップ萌え?」

久「可愛いわぁ」ボソ

照「!?」ビクッ

久「ねぇ、話は変わるんだけど」

久「照は、女の子同士ってどう思う?」

◆◇◆◇◆◇

その日の夜


和『なぜ私がついていっちゃまずいんですか』

久「まずいとは言ってないじゃない。意味がないと言ったのよ」

和『――っ、私は咲さんにとってそれほど無価値なのですか?』

久「ろくに言葉も話さず、やせ細った咲を見て冷静でいられるの?」

久「どうしてこうなるまで放っておいたんだと怒鳴り散らすんじゃない?」

久「咲の家まで行って照にね」

久「あなたは優しすぎるわ。悪い事じゃないけど感情的になりすぎる」

和『結構いいますね』

久「あなたのためでもあるのよ。鬱は感染するって言うし」


和『う、鬱!?咲さんが!?』

久「言葉の綾、のつもりだけど言い切れないかもしれない」

和『そんな……』

久「……ま、私がなんとかするから。お土産楽しみにしてて」

和『部長』

久「なに?」

和『咲さんがもっと悪くなったら、部長のこと許せないかもしれないです』

和『勝手なこといってすいません。でも、そうでもしないと私の中で納まりつかないんです』

和『異常だと思ってもかまいません。私は――咲さんが好きです』

久「告白は本人に言ってね」

久「それにあなたは咲に比べたらよっぽど正常だわ」

久「帰ってきたらまた電話する。じゃあまたね」

和『……はい』ピッ


久「……」

久「……重い」ズーン

久「最悪、照と和の恨みを買いそう……」

久「はー、言いだしっぺなんだから頑張らないと!」

久「可愛い後輩たちのためにも」


◇◆◇◆◇◆

久「おはよう照、――咲」

照「おはよう。ちょっと不安だから学校まで着いていくことにした」

久「そんなに妹の貞操が心配?」フフン

照「そ、そういうわけじゃないよっ。この前だって何かあったてわけじゃないでしょ」

久「あらそう。……咲、ちょっと顔色良くなったわね。ご飯食べてる?」

咲「……」コクン

久「なら結構。もうちょっと顔見せてもらっていい?」

咲「う、」カクレ

照「あ、どうしたんだ。……まったく」

久「ねぇ照」ヒソヒソ

照「なに?」


久「もしかして咲、幼児退行してる?」ヒソヒソ

照「いや、これはたぶん久にびびってるんだと思うよ」ヒソヒソ

久「あらー、この前の一発効いてる感じ?」ヒソヒソ

照「うん、顔殴られたことないから」ヒソヒソ

久「あちゃー」

照「ごめんね。嫌な役押し付けちゃって」

久「いいのよ。こっちは恩返しでもあるんだから」

照「恩返しって、ああ、全国キップのこと」

久「彼女のおかげが大きすぎるからね」

照「そうか。自慢の妹を持ててよかった」

久「あなたもいいお姉さんよ。私は一人っ子だからこういうのよくわからないけど、」

久「少しだけ羨ましいな。あ、タクシーきた。行ってくるね」

照「行ってらっしゃい。咲も気をつけるんだぞ」

咲「……うん」バイバイ


◇◆◇◆◇◆

久「やーっと新幹線のれたー」バタ

咲「……」

久(さっきから全然会話ができない……)

久「咲は、今回の旅行の目的はわかる?」

咲「はい」

久「照から?」

咲「……聞きました」

久「なら話は早いわ。一応観光も兼ねて姫松の方々と三日間打ちます」

久「姫松の愛宕さんが二つ返事でオーケーしてくれたから、変に気を使わなくていいわよ」

久「気楽にね。また元気な咲がみたいのよ。私も部のみんなも」


咲「部長は、」

咲「部長はなぜそこまでしてくれるんですか?」

久「あー、『もう引退で部とは関係なくなるのに』はナシね」

咲「全国に行けたからですか?」

久「そのお礼もないってことはない。だけどそれ以前に私達、部の仲間でしょ?」

久「部員が集まって、団体で大会に出られるってだけでも十分だった」

久「たとえ県大会で終わっても、それはそれで満足」

久「あなたたちへの個人的な評価は変わらないわ」

久「結構ね、おせっかいなのよ私」

久「一度仲間と思い込んだらずっと離れられなくなるの。心配性でいっつも他人の顔色ばかり見てる」


久「重いかな、やっぱり」

咲「……重い、です」

久「こら、もうちょっとオブラートに包みなさい」

咲「でも、うれしいです」


咲「私、みんなに嫌われたと思って」グズ

久「バカね、誰もあなたを嫌いになったりしないわよ」

久「寝たほうがいいわ。着いたら起こしてあげるから」

咲「……はい」

久(咲痩せたわ、本当に、可哀想なぐらいに)

久(――大星淡、か。なんだろうこの感情)

久(殺意かな)


◇◆◇◆◇◆

――新大阪駅――

久「どう?大阪は初めて?」

咲「修学旅行で駅だけなら着ました」

久「そう、じゃあここでお好み焼きとか、たこ焼きとかは初めてなわけだ」

 「おーい」

久「あ、洋榎!やっほー」

洋榎「ほんまおっそいからこっちまで来てしもうたわ」

久「これでも時間どおりのはずなんだけど」

洋榎「こっちの人間はせっかちやからな。時間通りなんて甘っちょろいこと言うってっと生きていけへんで」

久「(テンションたかっ)はいはい。私は生粋の長野県民だからね。一生関係なさそうだわ」


洋榎「卒業したらうちの嫁来んのかと思うとったわ」

久「……」

洋榎「だ、だまんな!これじゃあうちピエロやろっ!」///

久「いやぁ、それもいいかなーって」

洋榎「はっ!?」

久「そこはちゃんとつっこまないと。なんでビックリしてるの」

洋榎「えっ?ああ、ホンマ卑怯やわ久は……」

久「洋榎は面白いわね」

洋榎「……むぅ、そういや、一人置いてけぼりくらっとたな」


久「咲、あれ?」

咲「……こ、こんにちは」カクレ

洋榎「んん?久に隠れてどしたん?堂々せえや」

久「えっとね、電話でも言ったけど咲はちょっと傷心中で」

洋榎「関係ないなそんなん。あんた恭子ボコボコにしといてその態度はないやろ」

洋榎「あいつ、今でも口開いたら言葉の前と後ろにカタカタがつくんやで」

洋榎「まぁ、それは冗談やけど」

洋榎「……白糸台の大将にぶっ壊されたんゆうのはマジだったんやな」

咲「ご、ごめんなさい」


洋榎「なんで謝んねん!うちが脅してるみたいやろ」

洋榎「いや、これ以上言うてもしゃあないな」

洋榎「さっさと高校行くで。待たすのも悪いし」

久「あーそっか高校でやるんだよね。制服持ってきたほうが良かったかな」

洋榎「別に外部は許可書を首からぶら下げとげば問題ないで」

久「せやろか」

洋榎「せやせや……、て!関西外は関西弁使ったらあかんの!」

久「せやなー。ほらほら急ぎましょ~」

洋榎「こ、これもスルーかい」

咲「……」


◇◆◇◆◇◆

洋榎「うらー 元主将のおでましじゃい!」バタン

絹恵「おねーちゃんおかえりー」

漫「おかえりなさい」

洋榎「あ゛!?恭子と由子はどないした」

絹恵「末原先輩はなんか体調悪い言うて帰ったよ」

漫「由子先輩はドラマ見るから、」

洋榎「あーもう言わんでええ。勝手なやつらやな」

久「そんなこと言わないで。今日まだ部は休みなんでしょ?こっちのお願いだったから悪いのは私よ」

洋榎「それもそうやけど……。えー、おっほん。紹介します。魔境長野から引っ張ってきました。竹井久と宮永咲や。仲良くしといてな」

久「清澄高校元部長の竹井です。本日は私の勝手なお願いでお集まりいただき感謝の言葉もありません」

洋榎「はいおわりおわり~。そんなカチンコチンな言い方せんくてええよ。堅っ苦しいやっちゃなー」


咲「み、宮永咲です。よろしくお願いします」ペコリン

絹恵「よろしくお願いします」

漫「よろしくです」

洋榎「あっちのメガネ巨乳デコが妹の絹恵や。でそっちのロリ巨乳デコが上重漫」

洋榎「みんなお互いにしっとるとは思うてるけど、一応は紹介やっとこんとな」

洋榎「そうしないとド忘れしてたとき相手の名前呼ぶのためらうからなー」

洋榎「『そこの巨乳!』なんて言うたらどっちがどっちかわからへんもん」

絹恵「あかん、自分の発言に自分でフォローしはじめた」

漫「由子先輩いないと延々と一人で喋っとるからなー」


洋榎「立ち話もなんやし早速打とか」

洋榎「最初は漫が牌譜記録しといてや」

漫「ええっ、また私ですか?」

洋榎「安心せえ、後で絹と変わってもらうから」

漫「そ、それはそれで、」

洋榎「はいはい、じゃあカメラのセットも頼むわ」

久「カメラ?すごい、上からとれるのね」

洋榎「せやで。牌譜は咲だけ記録するけど、これならみんなの河がわかるしな」

久「流石姫松」

洋榎「もっとほめい」ドヤッ

久「あなたがドヤ顔してどうするの」


洋榎「やっと久からつっこみもろたわ。信州人はもっと日常的にボケたほうがええで」

久(この子たちも毎日大変ね)

洋榎「今なんか失礼なこと考えとったやろ」

久「毎日騒がしい先輩がいて楽しそうだなーって」

洋榎「ほめてんのかけなしてんのかわからん物言いやで」

絹恵「竹井さん、お姉ちゃん手なずけるのうまいなー」ヒソヒソ

漫「私ら関西人でさえ手に余る存在やからね主将は」ヒソヒソ

洋榎「こらー巨乳コンビ!お前らのおっぱいが振動してこっちまでヒソヒソ声伝わってくんのや!」

「……」

洋榎「うぉおおおい!誰か突っ込まんかい!」

久「それじゃあ始めましょうか」

絹恵・漫「はい」

咲「……はい」

◇◆◇◆◇◆
第一半荘
南三局

親 絹恵  36900
   久   24500
   洋榎  22000
   咲   16600

洋榎(一人浮きの絹をずりおろし、最低二位あがり)

洋榎(想定は団体大将戦の二位抜け勝ち上がりやからな)

洋榎(……)

洋榎(いや、やっぱり二位は癪や。トップがええ!)

洋榎「絹ー振り込ませたるから覚悟しいや」タン

絹恵「もう、二位で我慢しい。それもさせへんけど」タン

洋榎「なんやとこら。泣きみせたるわ」

久「私も一応、トップ狙ってるわよ」タン

洋榎「久は飛ばし圏内やで。きいつけとき」


洋榎「それにしても咲は元気ないなー。そんなんやとツモもよくならへんよ」タン

咲「あ、はい」

洋榎(……、どないしたんやホンマ。焼き鳥やし一度も槓してせえへん)

洋榎(あれだけ副露における明槓率は相当なものやったと思うけど)

洋榎(今回はポンのみ。加槓もない)タン

洋榎「漫、これ終わったら私と交代や」

漫「ええんですか?」

洋榎「ああ、気になることあってな」

咲「……」タン

洋榎「ロン。2000」

咲「はい」ジャラ

洋榎「うーむ……」


南四局

  絹恵 36900
   久  24500
  洋榎 24000
親 咲  14600

洋榎「さてさて、本気出すかー」ドサドサ

絹恵「あ?なんやそれリストバンド?」

洋榎「これ片方5キロするんやで!こいつを外したうちは無敵……」

絹恵「ま、まさか今までそんな重いものを!いったい本気になったおねーちゃんはどうなってしまうんや(棒)」

洋榎「絹、演技下手すぎ!」

久「仲いいわねー」フフフ


洋榎「とまぁ、冗談はおいといてさっさと始めるで」チラ

咲「……」ポチ

洋榎(おいおいおい!ノーリアはあかんやろノーリアは!)

洋榎(わざわざこれの仕込みのために朝から着けてたのに)

洋榎(まぁホントは300グラムもせんからええんやけど……)

洋榎「……」カチャカチャ

洋榎(ずいぶん対子多いなー)

洋榎(チートイ+2飜を絹に直ってもギリまくりなしか)

洋榎(ドラは一枚……)

洋榎(自風きとるし、染めるかトイトイでええか)


咲「リーチ」

  “!?”

洋榎(ダブリー!?そんなに待ちええんか?)タン

洋榎(ラス親であれば何順か回して待ちを増やす)

洋榎(安手でも次を狙えるのはでかい。それをしないってことは両面以上の待ち……?)

久「あたったらほんと事故ね」タン

洋榎「久があたれば儲けモンや」タン

久「あなたもやばいじゃない」

洋榎「うちはもともと三位や。失うものなどあらへん」

洋榎(せや、びびって相手の待ち読むのもあほらしい。ここは全つっぱや)


…………
8順目

洋榎(三暗刻自風ドラ1を一聴牌)

洋榎(ダマで満貫。リーチしても一発か裏がつかなきゃハネない)チラ

絹恵「むむ」タン

洋榎(まぁベタオリやな。早上がり狙わんてことは相当配牌悪かったんやろ)

洋榎(咲の当たり牌――みんなの捨て牌を見る限り筒子の1、4てとこか)

洋榎(こっちは一索と七索のシャボかな。――お、きたきた聴牌!)

洋榎(ダマでもいいけど、いい流れを感じる)

洋榎(こんだけ刻子そろっとんのや。裏がガッポリのっても神様は許してくれるはずや)

洋榎「通らばリーチ」タンッ

洋榎(そして四索を捨てる。できすぎちゃうんかこれ)

洋榎(あかんあかんフラグたちまくりやで。一発は――)


 つ 二筒

洋榎「一発ないんかーい!」バシィッ

咲「あ、それロンです。ダブリーのみ3900です」

洋榎「」

久「……へー」

一筒・三筒「スマンナー」

洋榎「か、カンチャンやとー!?」ガビーン

絹恵「お姉ちゃんええ手やったんか?」

洋榎「へ、へへ。んなことないわ」


洋榎「ケチな点棒拾う気なし」キリッ

絹恵「それ振り込んだ人間が言う台詞やないで」

洋榎「う、うっさいわ。……、」ジロ

洋榎(少なくともタンヤオピンフの形は見える。なんで手代わりせんでこんな悪待ちを……)

洋榎「久みたいやな」ボソ

久「え?なにが?」

洋榎「あ、声に出とったか。……いや、咲の待ち気持ち悪いなー思て」

咲「……」ブツブツ


何四局 一本場

  絹恵 36900
   久  24500
  洋榎 20100
親 咲  18500

久(さて、ここが勝負どころって感じね)

久(洋榎が少し落としてくれたのはありがたいけど、結局は3900以上を振り込めば一緒)

久(二位キープを意識ってのはなかなか特殊よね)

久(守るか攻めるか……)

久(もちろん攻めね。ツモ和了りされたら簡単に三位落ちしちゃう)

  
   
   『いや、咲の待ち気持ち悪いなー思て』



久(確かに、あの待ちは意味不明。なにもダブリーするような場面ではなかった)

久(以前の咲はこんな打ち方はしなかった。もっと自己完結していた)

久(悪く言えばテーブルゲームの駆け引きを無視した独りよがりな打ち方)

久(なにかしら、この違和感)

何四局は南四局の間違いです


カチャカチャカチャ

久(中の刻子に三向聴!)

久(四筒がひければ一、四、七筒待ちの好形ができるわ)

久「むふふふ」

洋榎「お、配牌ええみたいやな」

久「せやでー」

洋榎「もうそれにはつっこまん」


…………
三順目

久(いよし!ずっぽし四筒きた!)

久(あとは、三、六索もしくは筒子周りをひいて聴牌)タン

咲「リーチします」タン

久(あらら、土壇場になって聴牌速度があがってるわね)

久(、おっと三索引きあてたわ。ツモ運良すぎて気持ち悪いぐらいね)

久(咲の第一打は二萬切り。理牌前にフラッシュシンキングで切った)

久(これは通る!一萬!)タン

咲「……」ニコ


咲「ロンです。リーチ一発ドラドラで12000、一本場で12300です」

久「ひー」

久(一二三四五萬から二萬を抜いて単記待ち!?)

久(まわせる牌が少ない私を狙い撃ちした……?)

久(それとも悪待ちを意識させられてる?まさか)

咲「……」

久(表情から何も読み取れない。さっき笑ったように気がしたけど)

ゴォッ

久(なに、今の感じ……)

久「……」

久「あはは、ラス落ち……」ショボーン

洋榎「つ、次や次!」

>>43だと久姉絹(咲)って感じか

おふろんはいってました

>>70
起家が久で洋榎→絹恵→咲の席順になってます


◇◆◇◆◇◆

久「もうこんな時間ね」

洋榎「言うても三半荘しかうっとらんけどな」ジャラジャラ

久「ホテルのチェックインが7時までだからそろそろ行かないと」

洋榎「あーそれなんやけどな」

久「ん?」

洋榎「さっき便所行ったとき帰りに絹がな、あの二人うちに泊めたらどうかって」

絹恵「いやいや、言いだしっぺはお姉ちゃんやろ」

洋榎「ばっ、この流れいくってで言うたろさっきは、」

絹恵「積もる話もあるやろし、姉のわがままですが、うちに泊まりにきてくれませんか?」

久「もちろんそのほうが明日のホテル代が半分ぐらい返ってくるからありがたいんだけど」

久「咲はどう?」


咲「め、迷惑でなければ」ペコ

久「というわけでお世話になるわ」

洋榎「ほ、ホンマか」パァァ

絹恵(うわぁ、めっちゃうれしそう)

洋榎「そうと決まればスーパー行って肉買いまくるでー。今日は焼肉や焼肉」

洋榎「漫、自分暇やろ?食っていき」

漫「ほんまですか?あ、だったらおかんに夕飯いらんてメールせんと」ポチポチ


絹恵「咲ちゃんはこういうのどう?」

咲「あの、私そういうのあまり経験ないので、」

絹恵「ほー。友達んとこで夜中まで騒ぐのは楽しいで」

絹恵「ほいで帰りたくなくなったら、うちの子になったらええよ」

咲「ええ!そ、そんな私なんかがいいんですか?」アセアセ

絹恵「!」

絹恵(おっほっ)

絹恵(あぶな、本気で鼻血でそうやったわ)

絹恵(なんやこの子可愛いなぁ。冗談を素で返すとか天然由来の萌成分満載や)

絹恵(うっさいおねえちゃんも好きやけど、妹がおったらこんな子がええなぁ)

咲「?」


――その頃清澄高校では――

バズン!

優希「おわ!エトペンの右腕が爆発したじぇ!」

和「なにやら嫌なことが起きている気がします。咲さんに危機が迫ってる……」ゴゴゴ

まこ「おいおいエトペンは神棚かなんかか」

京太郎「やっとここで俺のハギヨシさん仕込み(意味深)の裁縫が生きるわけだ」スチャチャ

優希「流石は私の犬だじぇ!」



――その頃宮永邸では――

照「湯のみの中でお茶が回転を始めた……」

バリン

照「……」ビチャビチャ

照「湯のみが割れる→不吉なことが起きる→咲の貞操が危ない」

照「いやでも、久がいるしだいじょ……」

照「逆に不安だ」ギュルルルル



久「――だから、私はまだ何もしてないって」

久「え?なんでそこ噛み付くのよ。……大丈夫大丈夫心から誓います」

久「ほんとほんと、……なんなら変わる?……あーはいはい」

久「もう切るわよ。じゃあね」ピッ

洋榎「どないした?」

久「咲のお姉ちゃんがね、ちょっと様子を聞きたかったらしくて」

洋榎「ああ、チャンプか。あんな仏長面でも妹思いなんやな」

久「ドがつくレベルでね。いいお姉さんよ」

洋榎「ふーん……、まぁ絹があんなんなったらうちも発狂する自信あるわ」

久「あれでも喋るようになったわ。ここに来て良かった」

洋榎「そう言うてもろたらうちもうれしいわ」ホッコリ

洋榎「お、ここ肉やっすいなー。おかんのカード使うまでもないな」


◇◆◇◆◇◆

洋榎「はー食った食った」

絹恵「やっぱりおかーちゃん帰ってこんかったな。千里山の集まりやったっけ」

洋榎「懇談会の皮を被った責任者への弾劾裁判やろ?ようやるでほんま。不健康すぎちゃうか」

絹恵「OBやら父兄がおると千里山の子たち全く意見言えんしな。それどころか存在すらしらんかも」

久「大変なのねー、名門にでもなると」ズズ

洋榎「うちんとこはまだましやで。まぁ代行はヤバイかもしれへんけど」

絹恵「おかーちゃんそろそろあかんかもなぁ」

洋榎「辞めろ言われたら、はいしか言わんいっとったからね」

久「ねぇねぇ、もし洋榎のお母さん辞めたら清澄にこない?」

洋榎「そういや清澄は指導者いないんか。よく生徒だけで全国これたな」

久「そうなの、来年ちょっと心配なのよね」


洋榎「……決めるのはおかんやし、うちは何も言えんけど、」

洋榎「やっぱ厳しいんちゃうかな、家空けるの嫌がるし」

久「だったら家族みんなでこっちくればいいじゃない」

洋榎「ぶふっ、アホなことぬかすな」

久「結構真面目よ。絹恵ちゃんだって清澄に来てくれたら色々はかどるんだけど」ズイッ

絹恵「え、あ、あははー、そういう判断をするのはちょっと……」

絹恵(この人なんでこんな色っぽい顔してんねん)


漫「うぇええ!?絹ちゃん長野いってまうの!?」ドタドタ

絹恵「いやいや、決まったわけじゃ――って酒くさ!」

洋榎「ああ!!こいつ、おかんの玉露にアルコール混ぜたわけわからん酒のみよった!」

咲「どしたんすかー」ポワポワ

洋榎「こいつもあがっとるやないか。誰や飲ましたの!!」


久「ごめんねぇ、冷蔵庫から適当に取ってきていいっていうから、これお茶かと思って」

洋榎「お前も酔ってたんか……そ、その目やめっ」

久「洋榎、お願い許して」ガバ

洋榎「おいこら、謝りながらなんで押し倒すんや」

久「本当に悪いと思ってるのよ?」ガシッ

洋榎「だ、誰かっ」

咲「仲いいですねー」ポワポワ

漫「わっふるわっふる」グヘヘ

洋榎「き、絹は、絹はどこや」

漫「カメラ探しに行きました」

久「んーー」チュー

洋榎「うおぁあああああ!!」


――――――

――――

――


久「……」ヒリヒリ

洋榎「あれはとっさに、な?うちも女の子やねん」

久「二発も叩いた……」

洋榎「だ、だから悪いって。堪忍してや。それに原因作ったのは久のほうやろ……」ボソ

久「んん?」

洋榎「はいはい! 事前に注意せんかった私のミスですよ申し訳ありませんでしたぁっ」

久「お、認めるんだね……だったら、罰として私と一緒にお風呂入りましょう」

洋榎「?? 罰なんかそれ?」

久「じゃあもっとひどいのに」

洋榎「いやいや、それで勘弁してください」


久「今は?」

洋榎「そろそろ漫を送った絹と咲が帰ってくるから、先に入らしたろ思うて」

洋榎「それにちょっと話したいことがあんねん」

久「私だけに?」

洋榎「せや、他のやつには言わんほうがええとおもってな」

久「なにー?もしかして愛の告白?」

洋榎「ちゃかすなアホ。咲についてや」

洋榎「あいつ、リンシャン上がりできんくなったやろ」

久「……」

洋榎「能力……言うたらオカルト染みてて嫌何やけど、あいつリンシャン使い言われてたやんか」

洋榎「その能力、失ったと思う、たぶん」

久「やっぱりね。みんなの前で打ちたがらなかったはずだわ」

上がり→和了り 
です


洋榎「気付いとったんか。だったら」

久「だったら何?いったい私はどうすればいいの?」

久「慰めでもすればよかったかしら」

洋榎「ぐっ、すまん、確かにやることないわ」

久「……私も、今のはごめん。カっとなっちゃって」

バタン  タダイマー

洋榎「お、帰ってきた。おかえりー」

絹恵「あら、まだ風呂はいっとらんの?」

洋榎「ああ、お前ら先に入ったらええ」

絹恵「よっしゃ、咲ちゃん一緒に入るで」

咲「ふぇ?よ、よろしくです」

絹恵「ほな行くで」グイ

ズドドド


洋榎「何が『よっしゃ』じゃスケベ」ボソ



洋榎「これ」

久「今日の牌譜?漫さん字が丁寧ね」

洋榎「そんなんどうでもええ。最後に書いてある咲の局中聴牌率見てみ」

久「67%!? でも咲は、」

洋榎「三半荘やって6回しか上がってない」

洋榎「そのうえ三回とも二位終了や」

洋榎「これを見る限りツモ運は半端なく良い。ならばなぜあがれへんのか」

洋榎「途中、当たり前のように崩してる。両面待ちだろうが、三面待ちだろうがな」

久「他の面子は?咲が崩したとき聴牌してるの?」

洋榎「それも計算してみた。およそ九割ってとこやな」

久「要するに超防御麻雀ってことかしら」

洋榎「聴牌速度は速いんやけど、最後のツモがなかなかけーへん。それは自覚してるみたいや」


洋榎「後ろで見てて気味悪かったで。聴牌嗅ぎつけたらすごい勢いで安牌集めだすんや」

洋榎「そして振込みはうちに2000と久に1000だけ」

久「それで、崩した後裏めった回数は?」

洋榎「十七回中に二回」

久「化け物だわ……」

洋榎「そんでな、まだあんねん」

洋榎「一回目の半荘、ラス親咲ん時に久でかいの振り込んだやろ」

久「満貫直撃の?」

洋榎「あんとき、嫌な気せんかった?」

久「振り込んだら誰だってそうよ」

洋榎「そうやない。何か頭ん中覗かれてるような気味の悪さ」

久「……確かにあったわ。その後、読みがぶれて咲に二回も振り込んだ」

洋榎「その二回、どちらも久が聴牌した後、リーチかけてんねん」

久「そうだった。……私に勝負させた?」


洋榎「ああ、あれはどう考えても狙い打ちやった。しかも三面待ちの好形でな」

洋榎「それまで咲の悪待ちを知ってたから、無意識に強気に打ってたやろ」

久「そういわれてみればそうね」

久「咲はなぜ、私を狙ったのかしら」

洋榎「いろいろ理由は考えられるな。一番長く打ってる人間だからクセを把握してるとか」

洋榎「その中でも、これうちの勝手な推測なんやけどな、久を狙えば安定して二位抜けができるって考えかもしれん」

久「私が一番弱いってこと?」

洋榎「ちゃうわ! ……あーごめん、久は絹や漫よりも全然うまいで」

久「ありがと」


洋榎「安定感があるんや、あの二人に比べて。あいつら爆発するときはほんま稼ぐけど、それ以外はさっぱりや」

洋榎「だから安定して二位以上を確保していた久を狙う」

洋榎「二位にぶち当てれば場合によるけど、基本は三位飛び越え二位にあがれる」

久「二位抜けでいいルールなら合格ね」

洋榎「遊びのつもりやったけど、あいつは徹底しとった」

洋榎「そして、悪待ちを使ったブラフ……」

洋榎「なぁ、あいつは前からこんな気持ち悪い打ち方できたんか?」

久「いえそんなことは」


キャアアアアア


久「!?」

洋榎「絹の声や!」

すいません、こんな時間かかると思ってなかったので区切りがいいところで一旦中断します。
たぶんあと10レスぐらいです。
続きは来週のまた同じ時間にたてると思います。
長い間保守してもらったり読んでもらったのに、本当にすいません。

いや区切りよくないっしょ

……寝るか


ガラッ

洋榎「どした、――うお、」

久「咲、その髪……」

咲「あはは、やっぱり自分で毛染めするとだめですね」

咲「昨日は洗っても大丈夫だったのになぁ。なんでだろう」

久「真っ白、」

洋榎「いつからや、それ」

咲「長野に帰ってきてからです。起きたらこんな風になってました」

久「照は?それのこと知っているの?」

咲「夜中に染料買いに行ったから、たぶん見つかってないと思います」

絹恵「う、うちがお湯かけたらこ、こここんな」

洋榎「落ち着け」ペシ

絹恵「あう」プルン

洋榎「とにかく、風邪ひかんように洗うとこ洗ってからでてき。ほら絹」

絹恵「う、うん」

>>110
あと10レス書いて中断するって意味です
書き方が曖昧でした



洋榎「えーというわけで、緊急会議です」

久「何を会議するの」

洋榎「何色に染めたら可愛いか、グエ」

久「ちょっと! 何当たり前にいじる路線に入ってんの」ヒソヒソ

洋榎「アホか、このままお通夜みたいな雰囲気嫌や。ここはいじるのが大阪としては」ヒソヒソ

久「いやいや傷心旅行言ったでしょう」ヒソ

咲「ふふ、」

久「!」

洋榎「ほらな、こういうときは無理に慰めなくてええねん。提供されたネタはおいしくいただかんと」


咲「本当面白いです。もっとひかれるかと思いました」

洋榎「んなことあらへん。関西人はな、落ちてるババにもつっこみ入れな死ぬんやで?」

絹恵「おねえちゃん、下品や」

久「ババって?」

洋榎「うんこ」

久「なるほど」

絹恵「それにしても、綺麗に真っ白やなー」サワサワ

洋榎「おう出たで、セクハラおっぱいや」

絹恵「うち、染めんでもええと思うよ」

洋榎「いや、ここは紅のように真っ赤にな」

久「だったら濃橙で」

絹恵「もし染める方向なら淡い青を入れてな、こう外巻きにすると可愛いと思うんよ」ムフー


洋榎「収集つかんから、この話ここまで!」

久「あなたが振ったんじゃない。ま、サイケな色にして帰ったら照が卒倒するわね」

咲「はは……」

洋榎「染料が落ちるってのは髪質的な問題やな。なんなら自然体で通したらええ」

久「そうね、うっかりばれるよりもカミングアウトしたほうが精神的にいいもんね」

絹恵(ほんまこの人たち他人ごとやなー)

絹恵(つってもおねーちゃんたちの言う事も一理あんな)

洋榎「ほいじゃ寝るか。明日もあるし。で、咲はどっちの部屋で寝るん?」

咲「どっち?」

洋榎「うちはお客さん用の寝室空けてないから、久と咲がうちと絹恵の部屋どちらかで寝てもらうんや」

絹恵「んなもん咲ちゃんはこっちにきまっとるやろ」

絹恵(竹井さんと同じ部屋で寝たら絶対ヤバイわ。主に、貞操が)

洋榎「ま、そうなるわな。……て、久なんやその顔」


久「そんなことわかりきってんのに、なんでいちいち聞くのかなーなんて」ツーン

洋榎「ああもうなんでお前はいじけとんのや」

久「洋榎が私と寝るのいやなのかなー、て」

洋榎「いやいやいや、別にお前と寝るのが嫌じゃない……ってぇ!何言わすんじゃ!」

久「え、同じ部屋で寝るだけでしょ?それ以外になにか?」ニヤニヤ

洋榎「~~~~~っ、このアホぉ!」ゴチン

久「いったぁ、……またぶったー」ウルウル

洋榎「う、ちょっとやりすぎたわ。――え、え?マジ泣き?ごめんごめん、ほんま悪かったって」

久「うう、」ウル

洋榎「久、とりあえず部屋いこう、な?……絹、咲、おやすみっ!」

絹恵・咲「「おやすみ」なさい」

久「……」ニヤリ


バタン

絹恵「最後、竹井さんわらっとったな」

咲「ですね」

絹恵「長野県の人はこういう、なんていうかな、弱みに付け込むのがうまいんか?」

咲「長野県民の名誉のために誓って言いますけど、そんなことないです」

絹恵「あの人、魔性やで。何人あれで落としたんや」

咲「結構いるかと。たぶんうちのお姉ちゃんも」

絹恵「は!?チャンプも?」

咲「この前、会ったばかりなのに部長のことずっと聞いてきて、うんあれは、たぶんそう」

絹恵(アカン)


絹恵「咲ちゃんは大丈夫なん?」

咲「私は別に……。たぶん部長は身内の人間には手を出さないようにしてるんだと思います」

絹恵「なんで?」

咲「嫌われたくないから……かな」

咲「部長、いつもふわふわしててつかみどころがないけど、麻雀に対しては本気だし、部員のことだっていつも考えてくれてます」

咲「尊敬してます。部長のこと」

絹恵「そっか。ええね。そういう関係」

絹恵「部員少ないほうが絆が強いんやろな」

絹恵(――清澄、か)

絹恵「そろそろうちらも部屋行って寝よか」

咲「はい」


◇◆◇◆◇◆

絹恵「ほな、電気消すで。マメ電付けといたほうがええかな」

咲「あ、どっちでも大丈夫です」

絹恵「ほい」カチ

絹恵「おやすみ」

咲「おやすみなさい」


ゴソゴソ



咲「絹恵さん、」

絹恵「んー」


咲「やっぱりそっち、行ってもいいですか?」


絹恵「え?」


咲「長野に帰ってきて毎晩夢を見るんです」

咲「私が決勝卓で跳満ふりこんだ一挙一動、何を思って、何を言われたか」

咲「焼きついた記憶が延々と流れて、怖いんです」

絹恵「……」

咲「こんなこと言われて気持ち悪いかもしれないですけど、今日だけでいいんです、」

咲「一緒に寝てくれませんか」

絹恵「」ツー

絹恵(あ、やば、鼻血。シーツ汚れちゃう)

絹恵(いや、咲ちゃんがいってんのはそういう意味ちゃう。何を妄想してんのや。ほんまうちお姉ちゃんの言うとおりスケベかも)

咲「絹恵さん?」

絹恵「おいで」ポンポン

咲「ありがとうございます」ゴソゴソ

絹恵「うん――あっ」

咲「ちょっとくっついてもいいですか?」ギュー

絹恵(ンゴゴゴゴゴゴゴwwwwww)


――原村邸――

エトペン『うああああああっ』


バズンッズババババパァーン


和「え、なに!?」ガバ

残骸「」

和「こ、これ」フルフル

和「エトペーン!」ガク

和「……くっ」

和(これは間違いなく咲さんへの『危機』ッ!)

和「エトペン、あなたの命がけの行動ッ! 私は敬意を表します!」


和「大阪……、それでは荷造りを始めましょう。危機ならしょうがないですよね危機なら」キラキラ


残骸「……」


――宮永邸――

グラグラグラ

照「うわーーー」

父「地震!?」

照「咲ぃ、怖いよ怖いよ」

父「お、収まったか。結構強かったけど震度いくつだ?」ポチ

父「……」

父「あれ?どこも速報やってないぞ……」

照「!、 咲が危ない!」

父「は?」

照「咲が危ないのー!」

父「いや、意味が」

照「この時間夜行バスでてるかなぁ」


絹恵(何も考えるな何も考えるな何も考えるな)

クンカクンカ

絹恵(あー、咲ちゃんの髪ええ香り……じゃないじゃない)

絹恵(煩悩を排除するんや)

絹恵(無心)


サワサワ

咲「んっ、……お姉ちゃん」ボソ

絹恵(寝言か? はうあー。生殺しやろこれ)

咲「怖いよ助けてよ私を見捨てないで」

絹恵「……」

絹恵(ほんま最低やなうち。こんな子に手え出したら地獄に落ちるわ)

絹恵「ここにいる間はうちがおねえちゃんの代わりなるからね」



絹恵「うちが守っちゃる」

とりあえずここで終わります。
>>109でも書きましたが来週の同じ時間に続き書きます。
最後まで書ききるつもりです。
保守と読んでくれてありがとうございました。

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