弦太朗「俺はチュウタネロボ部と友達になる男、如月弦太朗だ!」 (150)

以前某所で途中で終わってしまったので再チャレンジ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1388851989

賢吾「如月!奴は時計座の怪人、ホロロギウム・ゾディアーツだ!」

アストロスイッチカバンを開きながらフォーゼに変身した弦太朗に伝える。

弦太朗(フォーゼ)「時計座?って聞いたこと無いな」

「まあ関係ねぇや!」

\スパイク・ON/\ハンマー・ON/

弦太朗(フォーゼ)「いっくぜ!」

ユウキ「いっけー!トゲトゲ&ぼこぼこ攻撃だー!」

腕のハンマーと足のスパイクで連続攻撃を決める。

たまらず逃げるホロロギウム・ゾディアーツ

ホロロギウム・ゾディアーツ「いてッ!この!やめろ!」

流星(メテオ)「逃がすか」

ホロロギウム・ゾディアーツが逃げる先にはメテオが控えていた。

\OK!ジュピター!/

流星(メテオ)「ホォォアッチャァァ!」

炸裂するジュピターハンマー。
そのまま吹っ飛び地面を転がるホロロギウム・ゾディアーツ。

ホロロギウム・ゾディアーツ「ぐあぁ!ちっくしょー!」

「せっかく超人になれる力を手に入れたのに・・・」

「仮面ライダーなんていなければ・・・」

流星(メテオ)「観念するんだな」

弦太朗(フォーゼ)「このままリミット・ブレイクだ!」

友子「!?」

JK「?、どうしたの友子ちゃん?」

友子「あのゾディアーツから嫌な感じがする・・・」

「・・・何か切り札があるような・・・」

ハル「野座間先輩の予感は・・・」

JK「良く当たるんだよね・・・!」

友子「流星さん!弦太朗さん!気をつけて!!」

「そのゾディアーツ、まだ何か能力を隠してる!」

弦太朗(フォーゼ)「え!?」

ホロロギウム・ゾディアーツ「このままやられてたまるか!」

「仮面ライダーなんて、この世界から消してやる!」

「時の彼方に吹っ飛んじまえ!」

ホロロギウム・ゾディアーツが謎の球体を放った。

蘭「逃げて下さい!!」

蘭が声を上げるが、謎の球体はどんどん大きくなってゆき、その場の空間を飲み込んでゆく。
それに飲み込まれる、賢吾とユウキ。

賢吾「うわぁ!」

ユウキ「なんじゃこりゃー!」

ハル「先輩!」

弦太朗(フォーゼ)「賢吾!ユウキ!」

更にフォーゼも球体に飲み込まれてしまった。

流星(メテオ)「くっ!」

メテオは蒼い隕石の様に変化し、その場を脱出した。
次第に謎の球体はしぼんでゆき、やがて消滅してしまった。
そこにフォーゼ、賢吾、ユウキの姿は無い。

流星「弦太朗!」

「いったい何が・・・」

ホロロギウム・ゾディアーツ「よし、一人は逃したが一人は吹っ飛ばしてやったぞ!」

「次はお前だ!メテオ!」

JK「弦太朗さん達、何処に行っちゃたんだ!?」

ホロロギウム・ゾディアーツ「これが時計座の真骨頂さ!」

「今頃やつらは時間の彼方をさまよってるはずだ!」

―――うわぁー!
―――くそっ、どうなってるんだ!
―――なんぞぉぉぉ!


気が付くと、球体に巻き込まれた三人は見知らぬ土地にいた。

弦太朗「ここは一体・・・」

賢吾「?!」

アストロスイッチカバンを開き、日時を確認すると賢吾の目が点になった

賢吾「2020年!!?」

宇宙・・・


無限のコズミックエナジーを秘めた、神秘の世界。


若者たちはアストロスイッチでその扉を開き、未来を作る。


Space On Your Hand


その手で宇宙を掴め!


仮面ライダーフォーゼ × ROBOTICS;NOTES
~時・間・超・越~

フォーゼは変身を解き、二人と周囲を捜索し始めた。
ふと、大きなポスターが目に留まる。

ユウキ「・・・!おお!あれは!!」

「万博キター!?」

よくよくあたりを見回すとずいぶんと人が多かった。

賢吾「東京万博?」

弦太朗「万博?ってあれか?」

「世界のみなさんこんにちは!ってやつ」

ユウキ「おおお!あっちが会場かー!」

はしゃぐユウキ。しかし何故こんなところに俺たちはいるのか。
あの時計座のゾディアーツの攻撃を受けて・・・

賢吾「時計座・・・。そうか、奴は時間を操る力を持っていたのか」

「おそらく俺たちは強制的にタイムスリップさせられたんだ」

「これからどうしたものか・・・」

弦太朗「まあ、大丈夫じゃねぇか?」

「流星はこっちに飛ばされてないんだし」

「何とかしてくれるだろ!」

賢吾「そんな楽観的な・・・」

ユウキ「でも、ここにいても何もできないわけだし」

「あのゾディアーツのことは流星くんに任せて」

「私たちは私たちで何かしようよ!」

弦太朗「そうだぜ、賢吾!」

「せっかくだしこの万博ってやつを見に行こう!」

賢吾「まったく・・・」

――万博会場

あき穂「今日もたぎってきたー!」

「さあやるよ、カイ!」

海翔「やれやれ、あんまり無茶しないでよ、アキちゃん」

そびえたつロボット。
ガンつく2と呼んでいる、俺たちが作ったロボットだ。
ここに来るまでには色々とあった。

まずは君島レポート。
それは、ある日偶然見つけた謎の告発文章。
君島コウ、という謎の人物が種子島中に残したものだった。
あまりにも突飛な内容から、はじめはただの陰謀論か何かだと思ったが、
太陽嵐やガンヴァレル最終話流出、東京大停電の日のこなちゃんと体験した事件など、
作り話では片づけられない代物となったレポートである。

君島レポートともに現れたのは愛理というインターフェース。
ゲジ姉という人格(?)と表裏一体の、少女の姿をした謎のアプリである。
君島レポートを探す過程では、フラグ達成判定もこの愛理が行っていた。
が、昨年のクリスマスに消失してしまった。

愛理の消失と同時期に、とんでもないモノも発見してしまった。
いわゆる「コールドスリープ」で眠る少女。その姿は愛理と瓜二つ。
名前は「行船愛理」。アプリである「愛理」のモデルとなった人物。
現在はコールドスリープから目覚め、東京都内の病院で入院している。

そしてこの、「ロボ部」。
本当は「中央種子島高校ロボット研究会」として出店するはずだったが
思わぬ事故に巻き込まれた昴くんの怪我に始まって、
ジュンちゃんとこなちゃんも部活に顔を出さなくなっていった。
一度は団結した部員はまたバラバラになってしまった。

結局万博会場にこれたのは
オレにアキちゃん、顧問のミッチーにスポンサーのアメ社長。
メインはこの4人だった。

事故の為に学校の名も使用できなくなってしまい
「種子島ロボ部」として出展している。

あき穂「おじゃりもうせー!」

「種子島ロボ部、本日も始動します!」

こなちゃんに作ってもらったキルバラシステムでガンつく2を動かす。

万博も4日目か・・・。

ユウキ「おおー!」

賢吾「これが2020年のロボットテクノロジーか」

「興味深いな」

『SUMERAGI』と名付けられた機体を見上げながらつぶやく。
パワーダイザーよりもずっとずっと大きな機体のロボットだった。
こんなロボットを造る技術をみると、ここが未来であるという実感がわいてくる。

ユウキ「いっそパワーダイザーも持ってきたいね!こりゃ!!」

「ってあれ?弦ちゃんは?」

賢吾「如月?まったく・・・何処へ行ったんだ」

弦太朗「二人とはぐれちまった・・・」

「ん?」

ふと、自分と同年代の二人組が動かすロボットが目にとまった。
骨組だけでお世辞にもかっこいいとは言えないが、その大きさは結構な迫力である。

あき穂「!、そこのとんがり頭のひとー!」

「ぜひ見ていってくださーい!!」

海翔「いきなりそれは失礼じゃない?アキちゃん」

あき穂「う・・・」

弦太朗「いいっていいって!気にすんな」

「おれは如月弦太朗!これはとんがり頭じゃなくてリーゼントってんだ!」

「それよりこのロボットって、お前たちが造ったのか?」

あき穂「そう!このロボットは私たちの汗と涙の結晶!」

「ほんとうは他にも部員がいるんだけどね」

「今はうち、部長の瀬乃宮あき穂と」

「オペレーターのカイの二人で動かしてるよ」

海翔「あだ名じゃなくて本名で紹介してよ、アキちゃん」

「俺は八汐海翔」

弦太朗「すげぇな、お前たち!」

「こんなにでっかいモノ造っちまうなんて」

あき穂「せっかくだから動くところを見ていってよ!」

「カイ!」

海翔「はいよ」

ポケコンでガンつく2を動かす。
ジュンちゃんに協力してもらい、モーションを取り入れた空手の型、
スーパーリンペイの動きをしてみせるガンつく2.

弦太朗「すっげえ!」

あき穂「ぜひ居ル夫を通して見てみて!」

「そこにガンヴァレルがいるから!」

弦太朗「居ル夫?ガンヴァレル?」

「なんだそりゃ?」

賢吾「いた、あそこだ」

弦太朗を探して会場を回っていた賢吾とユウキが弦太朗を見つけた。
何やら同世代の人と話しているようだった。

あき穂「ガンヴァレルを知らない!?」

海翔「それより居ル夫を知らないって・・・持ってないの?ポケコン」

弦太朗「ポケ・・・コン」

「パソコンみたいなもんか?」

ユウキ「おーい、弦ちゃーん!」

賢吾「探したぞ、如月」

弦太朗「おお、二人とも!」

「紹介するぜ。こっちが賢吾でこっちがユウキ。俺のダチだ!」

「こっちは種子島ロボ部、このでっかいロボットを作った連中だ!」

あき穂「どうも瀬乃宮あき穂です・・・、って」

「お二人はご存じですよね、ガンヴァレル!」

「疾風怒涛の!元気一発!ガンヴァレル!ジャキーン!!」

・・・。

海翔「アキちゃん、引いてる引いてる」

「俺は八汐海翔」

「本当に知らないの?ガンヴァレル」

賢吾「おそらく有名なアニメか特撮作品かだろう」

海翔「・・・そうだ、二人はポケコンは持ってる?」

あき穂「そうだ!是非、居ル夫でロボットを見てほしいんだけど・・・」

ユウキ「ポケコン?パソコンみたいなもの?」

海翔「・・・」

「いまどきガンヴァレルも知らず、ポケコンも持ってないとは」

「タイムスリップでもしてきたみたいだね」

弦太朗「その通り!」

「俺たちはタイムスリップしてここにやってきた!」

・・・。

賢吾「そんな事いきなり言っても信じられるわけがないだろう」

「居ル夫というのはソフトウェアか何かか?」

「それならアストロスイッチカバンにインストールできるかもしれない」

早速ネットからアプリのダウンロードを試みる賢吾。
ほどなくしてアストロスイッチカバンで居ル夫が起動した。
居ル夫越しに種子島ロボ部のロボットをみてみると・・・

ユウキ「おお!カッコいいロボット、キター!!」

弦太朗「ああ!」

あき穂「でしょでしょ!」

賢吾「これは・・・AR技術か。うまい事使うものだな」

あき穂「これが、ガンヴァレル!!」

「さあカイ!もう一度動かして!!」

俺たち3人は居ル夫越しに型を決めるガンヴァレルを眺めた。
その後もしばらくロボ部の二人と話した。
特にユウキがガンヴァレルに食いつき、あき穂とともに盛りあがっていた。
なんだか波長が合うみたいだ、あの二人。

万博会場を離れて・・・

弦太朗「いやー、面白いモノ見れたな!」

ユウキ「疾風怒濤のー!元気一発!ガンヴァレルー!」

賢吾「しかし、これからどうしたものか」

「まだもとの時間には戻れそうもないな・・・」

「朔田がどうにかしてくれるのを待つしかないか」

弦太朗「今日中に戻れないなら、どっかで宿さがさないとな」

とはいえ高校生3人の所持金はたかが知れている。
ユウキもいるので野宿だけは避けたいところだが・・・
漫画喫茶か、24時間営業のファーストフード店で明かすしか無いかもしれない。

翌日・・・
まだ2020年にとどまっている俺たち。
行くあてもないので再び万博会場へ来ていた。
昨日知りあった種子島ロボ部の二人に会いに。

賢吾「?今日はずいぶん盛況みたいだな」

ユウキ「お!アキちゃんがインタビュー受けてる!」

賢吾「?なんだか様子が・・・」

インタビューを受ける姿を見物していると、
ふとあき穂の顔色が変わった様な気がした。

インタビューが終わって・・・

あき穂「お姉ちゃんが・・・ここに・・・」

海翔「あれ?昨日の」

「また来てくれたの?」

弦太朗「よっ!」

ユウキ「おーい!アキちゃん!」

「・・・アキちゃん?」

賢吾「何かあったのか?」

話を聞くと、あき穂には姉がいるらしい。
海翔も小さいころから遊んでもらっているらしく、
二人にとっては特別な存在だそうだ。
ところがその姉は、今は有名人らしく、しばらく会えなかったとか。
なんでもエグゾケルトン社という超大手ロボットメーカーの広報さんだとか。
そんな姉が会場にいる。再会する絶好チャンスだ。

弦太朗「よし!それなら二人とも会いに行って来い!」

「せっかく久しぶりに会えるチャンスじゃねぇか!」

あき穂「でも・・・」

「ああー!心の準備がー!!」

弦太朗「何言ってんだ、お前の姉ちゃんだろ?」

「ドーンとぶつかってくりゃいいんだ!」

ユウキ「ここの事なら、私たちが留守番するよ!」

「いいでしょ?賢吾くん」

賢吾「まったく・・・まあ仕方ないだろう」

「最低限、ここで必要な事を教えてくれ」

弦太朗「そういう事だ!心おきなく会ってこい!」

あき穂「・・・ここでうちが引いちゃ駄目だよね・・・」

「よし、カイ!会いに行こう!」

海翔「昨日知りあったばかりの人に留守番頼むなんて、心苦しいけど」

「ミサ姉・・・伝えなきゃならないこともある」

「行こう、アキちゃん」

二人は種子島ロボ部のブースを離れた。

二人が向かったのは関係者エリア。
万博会場は人が多いが、そこでなら確実に会える。かもしれない。

関係者エリアに入ると―――

あき穂「お姉ちゃん!」

真っ白なボディスーツを着たあき穂の姉、瀬乃宮みさ希がそこにいた。

海翔「ミサ姉!」

やっと、会えた。やっと。
あの日、種子島の空港で別れてから7年。
その間離したのは、ポケコン越しの電話で1度きりだった。

あき穂「お姉ちゃん、久しぶり・・・」

少し涙目になりながら、ミサ姉に話しかける。

みさ希「アキ・・・大きくなったわね」

あき穂「・・・うん!」

姉妹の再会を邪魔するのは申し訳ないが
オレも伝えなきゃならない事がある。

去年亡くなった、ミサ姉の親友ことだ。

海翔「ミサ姉・・・」

「俺、瑞榎さんから・・・」

みさ希「アキ」

あき穂「へ?」

みさ希「進路は決まったの?」

---え?

なぜかオレの存在を無視するように、こっちを見ない。
ずっとあき穂の方を見て微笑んでいる。

海翔「なぁ、ミサ姉、瑞榎さんの最期の言葉を・・・」

「なんでこっちを見てくれないわけ!?」

その時

?「見つけたぞ」

声の方を向くと、一人の男が拳銃を構え、こちらに向けていた。
その男は・・・テレビでも見た事がある。
たしかミサ姉の上司の・・・澤田。

こんな状況でもみさ希はあき穂の方をみて微笑んでいた。

澤田「動くな、手を上げろ」

「まさか、君が『彼ら』と繋がっていたとはな。まんまと出し抜かれたよ」

「何を企んでいる、瀬乃宮」

その拳銃は俺たちではなく、ミサ姉に向けられたものだった。

しかし――

みさ希「アキ」

「ロケットの打ち上げは、まだ?」

!?
何言ってるんだ、ミサ姉!
訳が分からない。いったいどうしてしまったんだ、ミサ姉は。

するとミサ姉は澤田の方を向き、駆け出した。

澤田「動くなと言ったはずだ!」

バン!

銃声が響く。
澤田がミサ姉に向けて発砲したのだ。

あき穂「いやあああああ!」

海翔「ミサ姉ええっ!!」

ミサ姉は正面から銃弾を食らったはずだった・・・が。
何事もなかったかのように、澤田の横を駆け抜ける。

今、撃たれたはずだよな?

澤田「瀬乃宮、止まれぇっ!」

そのまま会場へ入って行った!

あき穂「お姉ちゃん!」

後を追う、あき穂。

海翔「いったい何がどうなってるんだよ・・・」

澤田「瀬乃宮を・・・止めろ・・・!」

何が何だかわからない。
澤田は何でミサ姉に拳銃を向けたんだ?上司じゃないのか?
アキちゃんの事は心配だが、いまこいつから目を離すわけにもいかなかった。

澤田「早く君も行け!」

その時
会場に「かごめかごめ」の音楽が鳴り響いた。

~♪
賢吾「かごめかごめ?」

「会場中から・・・というより、会場にいる人たちのポケコンから鳴ってる?」

ユウキ「なんだか不気味なかんじがするよぉ」

弦太朗「いったい何がどうなってんだ?」

あき穂はみさ希を追っていた。
人間離れした跳躍を繰り返しながら移動するみさ希。
見失わないのが精いっぱいだった。

あき穂「お姉ちゃん!」

いくら呼んでも届かない。
そのまま、みさ希はエグゾスケルトン社のブースに向かい、
中央に鎮座する巨大なHUG、蜘蛛型のロボット『SUMERAGI』に乗り込んだ。
起動する『SUMERAGI』。

それに合わせて大歓声が上がった。
どうやら演出だと思われているらしい。
が、次の瞬間―――

SUMERAGIの足の1本が振り下ろされ、ブースの破壊を始めた。

会場がどよめき、一瞬静まると、今度は悲鳴に変わった。
パニックになり逃げ出す人々。
SUMERAGIが暴走を始めたのだ。

弦太朗「なんだかあっちが騒がしいな?」

「何かあったのか?」

賢吾「!?」

「あれは・・・昨日見た『SUMERAGI』?」

「暴走してるのか?」

ユウキ「あんな大きなロボットが暴走なんてしたら・・・!」

弦太朗「良くわからねぇけど、止めた方がよさそうだな」

フォーゼドライバを取り出し、腰に巻く。
右から一つずつスイッチを起動し、こぶしを握り締める。

3! 2! 1!

弦太朗「変身!」

ドライバーのレバーを引くと、コズミックエナジーの光が弦太朗を包む。
とんがり頭が特徴的な、真っ白な超人、仮面ライダーフォーゼが姿を現した。

弦太朗(フォーゼ)「ッシャア!宇宙・・・キター!」

「よし、ちょっと行ってくるぜ!」

フォーゼは騒ぎの中心に向かって駆け出した。

ユウキ「あの二人は、大丈夫かな・・・」

なおも暴走するSUMERAGI。
アームによる破壊活動だけでなく、ミサイルの様なものまで発射していた。
次々と破壊される他社のブース。

あき穂「やめて・・・」

「お姉ちゃん・・・やめて・・・!」

SUMERAGIの破壊は止まらない。
ひとつ、またひとつと他社のブース、そしてロボットを破壊していった。

あき穂「止めなきゃ・・・。お姉ちゃんをとめなきゃ・・・!」

あき穂は種子島ロボ部のブースに走って行った。

弦太朗(フォーゼ)「とまれぇぇぇ!」

\ロケット・ON/

弦太朗(フォーゼ)「ライダーロケットパーンチ!」

右腕に装着された小型ロケットの力でSUMERAGIに突っ込んでいくフォーゼ。
しかし、タイミングが最悪だった。
フォーゼが飛ぶ軌道上には、SUMERAGIが放ったミサイル。

ズガン!

被弾するフォーゼ。

弦太朗(フォーゼ)「ぐはッ・・・、っててて」

地面に転がるフォーゼをよそに、SUMERAGIはさらに破壊を続ける。

ユウキ「アキちゃん!?」

賢吾「瀬乃宮!?」

「よかった、無事だったか!」

走りながら戻ってくるあき穂に気づく二人。
弦太朗が飛び出して数分。さらに混乱は広がっていた。

あき穂はガンつく2に駆け寄った。

賢吾「何をする気だ?それに八汐は・・・」

賢吾の質問が終わるよりも早く、あき穂はガンつく2を動かしていた。

あき穂「ガンつく2・・・起動!」

賢吾「おい!」

あき穂「助けなきゃ・・・他のロボットたちを・・・」

「お姉ちゃんを止めるの・・・お願い、ガンつく2!うちに力を貸して!」

賢吾「無茶だ!」

「このロボットのもつ行動プログラムでは攻撃はおろか、ガードだって出来ない!」

分かっている。
戦うすべなんてない。性能でも勝てるわけない。
でも、ほかにやれる人がいないなら・・・

ユウキ「アキちゃん!危ない!!」

ユウキの声にハッとすると、SUMERAGIがガンつく2の目前にまで迫っていた。

―――怖い・・・

―――お姉ちゃんは、うちを[ピーーー]つもりなの?

―――どうしてこんな事するの?

あき穂「お姉ちゃん・・・!」

賢吾「瀬乃宮、落ち着け!」

「今は避難を・・・!」

SUMERAGIは眼前に迫っていた。

距離を詰めるSUMERAGI。
ガンつく2へ攻撃するためアームを振り上げる。

あき穂「やめて・・・」

「お姉ちゃん、やめてぇぇぇ!」

SUMERAGIの2本のアームがガンつく2をとらえ、
そのまま機体をねじ切る。

あき穂「あ・・・」

切られた機体の上部があき穂めがけて落下してきた。

賢吾「瀬乃宮!!」

ユウキ「アキちゃん!!」

あき穂(お姉ちゃん・・・どうして・・・)

動けないあき穂。このままでは下敷きに・・・

弦太朗(フォーゼ)「うおーーーーーーーーりゃーーーーーーーーー!」

間一髪、右腕にロケットを携えたフォーゼがあき穂を救い出した。

ユウキ「弦ちゃん!」

賢吾「如月!」

弦太朗(フォーゼ)「大丈夫か!?」

あき穂は気を失っているのか、返事がなかった。

弦太朗(フォーゼ)「ひでぇ・・・よくも」

「こいつらの想いが詰まったロボットを・・・許せねぇ!」

「頭に、キターーーーー!」

SUMERAGIに向けこぶしを突き出し、弦太朗が叫ぶ。

弦太朗(フォーゼ)「タイマン張らせてもらうぜ!」

\ランチャー・ON/\レーダー・ON/

弦太朗(フォーゼ)「これでも喰らえ!」

フォーゼが左腕のレーダーでSUMERAGIをロックオンすると
右足からロケット弾を5発連続で発射する。
次々に被弾するSUMERAGI。
よろめく機体に追い打ちをかけるべく・・・

\ドリル・ON/

ランチャー、レーダーをしまい、今度はドリルを左足に出現させ、SUMERAGIを攻撃した。

賢吾「如月!SUMERAGIは本来、有人操縦機体のはずだ!」

「パイロットが乗っているかもしれない!」

弦太朗(フォーゼ)「って事は、そこを抑えればこいつが止まるってことか」

「乗っていそうな場所は・・・」

「あそこか!」

\ホッピング・ON/\シャベル・ON/

SUMERAGIの機体正面に人が乗れるであろう場所がある。
そこに向けて、ホッピングでジャンプし、シャベルをねじ込んでハッチをこじ開けた。
・・・が

弦太朗(フォーゼ)「だれも・・・いねぇ?」

「賢吾!このクモロボ、誰も乗ってねぇ!」

賢吾「という事は、遠隔操作・・・か?」

あき穂(いない?そんなはずないよ)

(うちはお姉ちゃんが乗り込んだところをこの目で・・・)

賢吾「誰も乗ってないなら、遠慮する事は無い、如月!」

弦太朗(フォーゼ)「よし!」

\ジャイアントフット・ON/

弦太朗(フォーゼ)「大蜘蛛には大足だ!」

ロケットで高い位置まで飛び、モジュールをSUMERAGIに向けると、
今度はロケットスイッチをoff、そのまま降下する。
同時にフォーゼドライバーのレバーを起動した。

ジャイアントフット・リミットブレイク!

弦太朗(フォーゼ)「ライダージャイアントステップ!!」

SUMERAGIの上空に巨大な足の様な像が現れたと思うと
そのまま思いっきりSUMERAGIを押しつぶした。
次の瞬間、フォーゼの一撃をまともに食らったSUMERAGIは、その活動を停止した。

海翔「アキちゃん!」

賢吾「八汐!戻ってきたのか!」

「いったい何がどうなってる!?」

ユウキ「アキちゃんが!」

海翔「とにかく、この会場から避難しよう!屋外に出るんだ!」

賢吾「ああ、そうだな!」

「如月!外に出るぞ!!」

フォーゼは変身を解き、弦太朗の姿に戻っていた。

弦太朗「わかった!」

弦太朗に続き、ユウキ、賢吾が走る。
あき穂をかかえた海翔がそれにつづく。

あき穂「ねぇ・・・カイ」

海翔「?」

あき穂「お姉ちゃんが・・・いないの。消えちゃった・・・」

海翔「消えた?」

活動停止したSUMERAGIを見上げるあき穂。
ハッチのあいたその機体の中にみさ希の姿は無かったのだ。

会場の外に出ると、多くの人々が先に避難していた。
だが様子がおかしい。
皆がみんな、空を見上げている。

―――何だ、あれ・・・

そこにあったのは見た事もない建造物。
昨日までは無かったのに。
頂上が見えないほどの、巨大な塔。
まるで・・・

賢吾「なんだこれは・・・」

海翔「まるで・・・軌道エレベーター」

ユウキ「軌道エレベーター・・・!?って、えぇー!」

海翔「これって・・・ガンヴァレルの“最終話”の・・・」

あき穂「グランド・・・オベリスク・・・」

弦太朗「あんなもん、昨日まであったか!?」

あき穂「あるわけないよ・・・アニメの中に出てくる軌道エレベーターなんだし・・・」

「現代の技術力じゃ、とてもじゃないけど・・・作れない」

賢吾「2020年の技術でも作れない?じゃあ一体、あれは・・・」

グランドオベリスク・・・
たしか以前流出したガンヴァレルの最終話は・・・

未完のアニメ、ガンヴァレル。
放送当時に絶大な人気を誇るも、なぜか最終回直前に放送中止。
その最終回をめぐって様々な憶測が飛んだ、が。
昨年、その最終話と言われる映像(といっても絵コンテだが)が流出した。

その内容は、
軌道エレベーターのグランドオベリスクが太陽を砲撃。
太陽は巨大な太陽フレアを起し、地球は焼き尽くされて、敵味方関係なく壊滅。

海翔「プロジェクト・アトゥム・・・」

それは、以前発見した君島レポートにもあった記述。
まさか、それが現実に!?

このまま、君島コウがレポートに残した通りになってしまうのか!?

その瞬間―――
グランドオベリスクは光を放ち―――
空が、虹色に爆発した―――

―ここで、予定を変更して臨時ニュースをお伝えします。
―先ほど、関東地方に史上最大規模の太陽嵐が到達した模様です。

先ほどの爆発的な光が嘘のように、グランドオベリスクは輝きを失っていた。
強大な光の爆発から約一時間経過していた。
この間に俺は、昨日知って今も行動を共にしている3人に、
さっきの騒ぎの前に起こった事を話した。
もっとも俺が知るのはミサ姉が会場に走って行ったところまでだが。

賢吾「一体、何だったんだ」

ユウキ「すっごい光だったね、ピカー!って」

海翔「まったく・・・レポート通り、地球が燃え尽きるかと思ってヒヤヒヤしたよ・・・」

とはいえ、君島レポートの予言はほぼ当たった様なものだろう。
太陽嵐の被害を東京はもろに受けている。
今、レポートにあった様な300人委員会によるテロが起こったら・・・

海翔「・・・だめだ、電話が繋がらない」

「これじゃ、ミッチーにも社長にも連絡が取れないな・・・」

賢吾「下手に動かない方がいいだろう」

(しかし2020年・・・一体何が起こってるんだ・・・)

海翔「・・・くそっ」

「ミサ姉はなんであんな事を・・・」

そんな時、大きな声が俺たちのもとに届いた。

社長「おお!海翔くん!あき穂ちゃん!」

「それに・・・誰じゃい、君らは?」

賢吾「?、あなたは・・・?」

海翔「俺たちのロボットを万博に出展するのを手伝ってくれた社長さん」

「いわゆるスポンサーさん、ってやつかな」

社長に昨日知りあったこの三人の事を説明した。

社長「ともあれ、無事でなによりじゃあ。心配したぞ」

「充彦は・・・おらんようだな」

海翔「ずっと行方不明ですよ。まったく、困った保護者だ・・・」

社長「それより。ネットは見たか?お台場が崩壊したとか何とか・・・」

海翔「太陽嵐で電子機器が使い物にならなくなって、情報が錯綜してるんでしょ」

社長「しかしのう、海翔くん。不思議とは思わんか?」

「わしら、いま普通にポケコンをつかえておる」

―――!?

ハッとした。
確かにそうだ。
お台場崩壊の情報も、ツイぽも見れる(投稿もできる様だ)。
繋がらないのは、電話だけ。
太陽嵐の電気機器への影響なら、そもそもポケコンの電源だって入らないはずだ。

社長「それに、お台場崩壊のニュースのせいか、周辺の駅が封鎖されとる」

「移動手段も無く、電話も使えないとなると・・・」

「まるで閉じ込められたようじゃ・・・というのは考えすぎかのう、ガッハッハ!」

海翔「・・・ちょっと周囲を見てきます」

弦太朗「?、じゃあ俺も行くぜ!」

賢吾「おい!」

「二人とも、今不用意に動くのは・・・」

弦太朗「じっとしてられねぇんだ!」

海翔「まあ、邪魔はしないでよ」

「アキちゃん、すぐ戻るから皆とここで待っててね」

あき穂「・・・」

ユウキ「アキちゃん・・・」

「大丈夫、私たちもついてるから!」

あき穂「・・・うん」

俺と弦太朗君の二人は万博会場に戻って行った。
ついさっき巨大なロボットが暴れまわった会場。
ところどころ照明が落ち、天井も崩落していた。
そんななか・・・

海翔「あそこにいるのは・・・澤田だ」

弦太朗「澤田?」

海翔「さっきの騒ぎの直前に会った奴だ」

弦太朗「ミサ姉・・・さんの上司ってやつか」

俺たちは澤田に近づいて行った。

ユウキ「大丈夫?アキちゃん」

「寒い?」

賢吾「良ければ俺の上着を貸そう」

あき穂「お姉ちゃん・・・」

なぜお姉ちゃんはあんな事をしたのだろう・・・

あき穂「もう・・・疲れちゃったよ・・・」

「ロボット、作らなければ・・・良かった・・・!」

澤田「!?」

「・・・君か。それに」

「いまどき珍しい髪型だな」

弦太朗「リーゼントは俺の魂だ!」

海翔「弦太朗君、ちょっと黙っててくれない?」

「・・・あんた、怪我したの?」

澤田「瀬乃宮が派手にやらかしてくれたおかげでな。まあ応急処置は自分でした」

「とりあえず、この箱をみろ。これが何か分かるか?」

「これは『沈黙の兵器』、君らにかけられた魔法の正体だ」

弦太朗「魔法?って・・・」

海翔「どういう意味?」

澤田「君は種子島で君島レポートを集め、そして拡散した」

「それなら分かるはずだ」

澤田「かつて君が巻き込まれた電磁波照射実験の被験者」

海翔「・・・実験・・・」

ピンときた。
俺の人生でそれに当てはまりそうな体験は一つしかない。

『あねもね号集団失神事件』
小学生のころに、アキちゃんとともに巻き込まれた。
船で鹿児島から種子島に戻る途中、船内のすべての人間が失神。
その後目を覚ましたが、皆がみんな、何らかの後遺症を残した。
今でも俺とアキちゃんは後遺症に悩まされている。

澤田「この装置、その時に使用されたものと同じだ」

「この会場内にいくつも仕掛けられていたんだ。おそらくお台場のあちこちにもな」

「君たちも見ただろう?海から生えた、あの巨大な塔を」

「あれを“肉眼”で視認したはずだろうが・・・あれは幻影だ」

「肉眼で見えるARのようなものだ」

弦太朗「あれが・・・幻?みんなおんなじ幻を見てるってのか!?」

澤田「その為の装置だ」

「おそらく『あねもね号』の時は未完成状態だったのだろう」

海翔「俺や・・・アキちゃんが・・・人体実験の実験台にされたってことかよ!?」

澤田「最初からそう言っている」

「そしてこのお台場で今まさに起こっている事こそ、プロジェクト・アトゥムの前兆だ」

海翔「プロジェクト・アトゥム・・・」

澤田「ポケコンは使えるか?」

海翔「・・・ああ、電話機能以外は」

澤田「太陽嵐がきたはずだろう?ならば“電源すら入らない”はずじゃないか?」

「うすうす気づいているだろう?太陽嵐なんて来ていない」

海翔「!?」

澤田「だが、操作された情報により、太陽嵐が東京に甚大なダメージを与えている様に見せられている」

「それに伴い、世界中が大混乱だ。ねつ造された現実だとも知らずにな」

「ポケコンと居ル夫が世界にこの大ウソを信じ込ませたのだ」

海翔「・・・」
弦太朗「・・・」

澤田「そして、この混乱に乗じ、プロジェクト・アトゥムは完遂に向かうだろう」

「間もなく、50億人の生死の命運が決まる」

「プロジェクト・アトゥムの最終目的は太陽に干渉して人為的に太陽嵐を起す事だ」

海翔「・・・!」

澤田「太陽嵐が運んできた太陽の大気とプラズマは、地球磁気圏と衝突し、磁気圏サブストームを発生させる」

「これを人為的に起こすのだ」

「太陽嵐なんて比ではない。地球が直接太陽フレアに炙られる様なものだ」

海翔「・・・まるでガンヴァレルの最終回・・・」

澤田「そしてそれを達成する方法は、4か月前にSERNから盗み出されたという『BHB』」

「『ブラックホール爆弾』の可能性が高い」

弦太朗「ブラックホール・・・ってあれだろ?なんでも飲み込んじまう、宇宙の・・・」

「それでみんな吸いこんじまうってことか!?」

澤田「いや、ブラックホール爆弾はせいぜい関東地方を飲み込む程度の威力しかない」

弦太朗「せいぜい関東って・・・」

澤田「太陽嵐と地球の磁気圏がぶつかる場所でBHBをせく裂させ、サブストームを発生させるのだ」

「今ここで起きている混乱は、その為の目くらましだ」

海翔「その爆弾を・・・宇宙に・・・」

―アキ
―ロケットの打ち上げは、まだ?

海翔「まさか・・・」

「種子島宇宙センターで今組み立てられてるロケットって・・・」

澤田「あいつらは、種子島からBHBを撃つつもりだ」

「“本物の瀬乃宮みさ希”もそこにいる」

海翔「じゃあ・・・まさか、さっき俺たちが話したミサ姉・・・あれもAR・・・」

澤田「飲み込みが早いな」

海翔「とにかくロケット発射を止めないと・・・」

澤田「無駄だ。すでに手は回されているはずだ。この情報の混乱もそれを手伝うだろう」

「それに“太陽嵐が来ている”せいで羽田も成田もこの混乱で飛行機は飛んでいない」

海翔「あんたは・・・」

澤田「私は・・・300人委員会に反旗を翻し、やつらの陰謀を崩そうとしてきたものだ」

海翔「・・・プロジェクト・アトゥムの首謀者は、ミサ姉なわけ?」

澤田「瀬乃宮は駒にすぎんだろうな。この計画を、いままでずっと影から操っていたのは」

「君島コウだ。君島コウは生きている」

海翔「あり得ない!だって君島コウが死んだのはニュースにもなったし、遺体だって見つかってる」

「それに・・・君島レポートだって」

澤田「君は踊らされたんだ。あのレポートは、布石だ」

「君島コウは実に効果的に情報を操作し、その身をくらまし続けていた」

「きみはまんまとそれに乗せられ、踊らされたんだ、八汐海翔・・・」

「君島レポートもまた、世界をだます為のプロパガンダだったんだ」

弦太朗「・・・ッさっぱりわからねぇ!」

「八汐が言ってる事も、そのおっさんが言ってる事も!だけど分かる事は一つあるぜ!」

「ロケット発射を止めりゃいいんだろ!」

澤田「君は単純だな。そんな事が出来るなら・・・」

海翔「・・・そうだ、種子島に・・・帰えらなくちゃ」

澤田「現実をみろ。方法はどうするつもりだ」

海翔「分からないけど・・・」

弦太朗「やってみなくちゃ、わからねぇだろ!」

澤田「君たちは・・・」

俺と弦太朗君は皆のところに戻り、澤田と話したすべてを伝えた。

賢吾「ブラックホール爆弾・・・だと!?」

ユウキ「でも磁気圏サブストームなんて本当に起きたら!」

「地球はおしまいだよー!」

弦太朗「・・・!そうだ」

「コズミックステイツのワープドライブなら種子島に戻れるんじゃないか?」

賢吾「無理だ、今はおそらくコズミックステイツへのチェンジは無理だろう」

ユウキ「へ?どうして、賢吾くん?」

賢吾「以前、JK一人が離反したときだってコズミックへのステイツチェンジに影響が出たんだ」

「今の状況、俺とユウキ、如月の3人だけでは・・・」

ユウキ「そっかー・・・」

弦太朗「ダメか・・・じゃあロケットステイツで皆を種子島に!」

賢吾「もっと無理だ!」

海翔「アキちゃん」

あき穂「・・・いまは話しかけないで」

海翔「アキちゃんの気持ちは分かるけよ」

「ミサ姉にみんなで造ったロボットぶっ壊されたんだもんね、ショックでかいでしょ」

「でもそこで立ち止まるのは俺の知ってる無駄に前向きなアキちゃんじゃない」

あき穂「うちは!全然ちっとも前向きなんかじゃない!」

海翔「!」

ユウキ「アキちゃん・・・」

あき穂「泣きたいときぐらいしょっちゅうあるし!お姉ちゃんにも連絡する勇気もなかった!」

「会いに行くのも躊躇うくらいだった!」

賢吾「瀬乃宮・・・」

あき穂「うちなんて・・・お姉ちゃんにしてみれば・・・出来の悪い妹だって・・・」

弦太朗「・・・」

あき穂「もう・・・疲れちゃった・・・」

海翔「フン」

「だったらお望み通り、ここで一人でめそめそしてればいい」

「俺はアキちゃんにつきあうつもりは無いけどね」

あき穂「そんな事、いわないでよぅ・・・」

海翔「俺は何としても島に戻る」

「もう一度ミサ姉に会うんだ!」

弦太朗「だーーーー!!」

「迷う事なんてねぇだろ!」

「一度会って納得できなかったら、納得できるまで会い続けろ!」

「血のつながった姉ちゃんなんだろ!ビビる必要なんてねぇ!」

「一人が心細かったら、八汐がいる!それに」

「今はおれたちだっているじゃねぇか!」

賢吾「全く・・・昨日会ったばかりだって言うのに・・・」

「だが、ここまで首を突っ込んでしまったんだ」

「見過ごすわけにはいかないな」

ユウキ「アキちゃん!私も応援する!!」

「何が出来るか分からないけど!でも!!」

「私たちは味方だよ!!」

あき穂「・・・みんな・・・」

「・・・カイ!待って!!」


さて、問題はどうやって島に戻るか。
やはり羽田に向かって飛行機が飛ぶのを待つのが賢明だろう。
というより、それしか移動手段は無い。
羽田まで歩けば3時間くらいだろうか。
そんな事を考えていると、遠くから一台のおんぼろワゴンが姿を現した。

海翔「!よし!あれに乗せてもらえれば」

「空港に行けるかもしれない!」

「すいませーん!羽田空港まで乗せていってくれませんか!?」

しかし、そのワゴンに乗っていたのは
予想外の人物であった。

充彦「!?八汐に瀬乃宮妹!?・・・と誰だお前たち」

俺たちロボ部の顧問、ミッチーだった。

充彦「オジキを呼んで来い!島に戻るぜ!!」

海翔「ここは・・・?」

充彦「どうせ羽田に行ったって、飛行機は飛んでないんだ」

「ここは調布空港だ。・・・豆知識な」

ユウキ「きもちわるい・・・」

弦太朗「目がまわる~・・・」

賢吾「なんて酷い運転だ・・・」

あき穂「あちゃー・・・」

充彦「こっちだ!」

「あのプロペラ機だ!」

「八汐さーん!わざわざすいません!」

海翔「まさか・・・父さん!?」

飛行機のコックピットには、パイロットである父親の姿があった。

海翔「なんでここに!?」

充彦「JAXAの天王寺さんが言ってくれたんだ」

「もし東京で何か起きたら、調布空港へいけってな」

「お前の親父さんも同じだ。とにかく、あれで種子島に戻るぞ!」

賢吾「俺たちがこの時間にとどまれるのが、いつまでかは分からない。だが・・・」

弦太朗「見過ごすわけにはいかねぇ、だろ?」

「付き合えるところまで、とことん付き合ってやる!」

ユウキ「うん!」

「燃えてきたぞよー!」

全員が飛行機に向かって歩き出した・・・
その時―――

?「かごめかごめ」

「籠の中の鳥は」

「いついつ出やる」

「夜明けの晩に」

「鶴と亀が滑った」

そこにいたのは愛理・・・のモデルとなった人物。
行船愛理だった。
コールドスリープから目覚め、都内の病院に入院していたはずなのに・・・

愛理「後ろの正面、だあれ?」

海翔「まさか・・・グランドオベリスクや“あのミサ姉”と同じAR!?」

―――パンッ

あき穂「!?・・・銃!?」

愛理「無駄な事をしようとしているね」

予想外の事態に咄嗟に何故かポケコンで愛理を写してしまった。
しかしそれが更に予想外の事態を巻き起こす。
愛理とともに映しだされる居ル夫にしか映らない男の姿
肉眼では見えない。まるで亡霊。
まさか、あの男は・・・

―――君島コウ

君島『せっかく計画は9割完了しているんだ』

『このまま邪魔をするのなら・・・』

君島コウの動きにシンクロするように、行船愛理の体が動く。
拳銃を握った右手が持ち上がり、
その銃口をこめかみに当てる。

君島『本来であればもっと完璧な形で実験は完遂していたはずだったんだけど』

『まさかこの僕が瀬乃宮みさに殺害されてしまうとはね』

あき穂「え・・・?」

海翔「今・・・なんて」

君島『死の直前に“僕自身”をデータ化にてネットワーク上へ移植したはいいが』

『生前程の力は出せず、無駄に時間をくってしまった』

『覚えてるだろ?あねもね号。あの時の被験者を生かして帰すつもりなんて無かったんだけど』

『電磁波照射実験の被験者に君たちがいると分かると、瀬乃宮みさ希はやめろと言ってね』

『それでも実験を続けていたら・・・』

『彼女の手によって僕は撲殺された。君たちを護る為だろうね』

『だがネットワーク上に僕自身移しておいた。すぐにみさ希に会いに行ったよ』

『彼女の殺人への罪の意識へ付け込むのは簡単だった。おかげで今は良い駒だ』

あき穂「そんな・・・」

君島『島に行ってどうする?もう手遅れだ』

『それとも瀬乃宮みさ希を君たちの手で消すのかい?』

『その時は僕も駆け付けよう』

『殺人を犯したお前たちに取りつき、新たな駒にするために』

あき穂「・・・君島さん」

アキちゃんが不意に声をかける。

あき穂「うちのお姉ちゃんは今でもロボットの事、好きですか?」

君島『面白い質問をするね』

『好きなんじゃないかな』

『みさ希はたまにキルバラというゲームをプレイしているよ』

海翔「!」

あき穂「・・・うちにとってロボットは絆だった」

「ロボットは夢だった。ロボットは希望だった。ロボットは仲間との努力の結晶だった!」

「・・・うちは許さない!」

「お姉ちゃんに、ロボ部のロボットを壊させるように仕向けたあなたを許さない!」

君島『許さないのは結構だけど、それでどうするんだい?』

『君たちにみさ希を止めるすべはあるのかな?』

『みさ希は種子島でもSUMERAGIで武装している』

あき穂「・・・フフ」

「悪のロボットを倒すのは―――」

「正義のロボットだって、むかしからずっと決まってる!!」

「うちらには、お姉ちゃんが設計したとっておきの巨大ロボがあるんだから!!」

海翔「まさか・・・あのポンコツのガンつく1をひっぱり出そうっての?」

無茶にも程がある。いろんな意味で。

あき穂「巨大2足歩行ロボットは、何十回も何百回も世界滅亡の危機を救ってきてるんだ!」

アニメやゲームの中だけどね。

あき穂「だから今回もロボットが世界を救う!」

「うちらの造ったロボが!うちらの夢が詰まったロボが!!」

「世界を救ってやるんだ!!!」

―だから今回もロボットが世界を救う!
―うちらの造ったロボが!
―うちらの夢が詰まったロボが!!
―世界を救ってやるんだ!!!

昴「・・・」

長深田先生のツイぽで突然始まった生放送、そこには部長の姿があった。
一体何が起こっているかは分からない。
ただ・・・

昴「夢が、詰まった・・・ロボット」

「正義のロボットが世界を救う」

何故かはわからないが、胸に込み上げてくるものがある。
涙がにじんでくる。

昴「僕は、それでも・・・」

種子島でのガンつく2転倒事故で、この足に大きな怪我をおった。
下手をすれば、一生後遺症が残るかもしれない大怪我。
それでも―――

昴「行かなくちゃ・・・僕も!」

僕は旧種子島空港に向かった。
外は土砂降りの大雨だった。

武装したテロリストがJAXAを占拠しているという話は島中に知れ渡っている。
その影響で、町の人たちは中央種子島高校の体育館に避難しているようだった。

でも、すぐ隣のこの旧種子島空港の
ロボ部のハンガーには誰もいない。はずだったのだが・・・

淳和「日高・・・くん?」

昴「大徳先輩?」

淳和「わたしも・・・さっき、あき穂ちゃんの動画をみて」

昴「僕もです」

淳和「1号機くん・・・組み立てなおすんだよね」

「・・・ごめんなさい!」

「わたし、日高くんにちゃんと誤れてなくて」

「私のせいでロボ部は終わっちゃって・・・日高くんにも大けがを」

ひざまずく大徳先輩の姿。

昴「先輩!?」

淳和「こんなことで・・・許してもらえるとは思ってないけど」

「お願い、日高くん私にも・・・手伝わせて・・・」

昴「手は差し伸べませんよ。なにしろ、片足が折れてますんでね」

「じぶんで顔を上げて、さっさと立って下さい。先輩には、誤ってる暇は無いんです」

淳和「・・・え」

昴「僕はいま思うように動けません。だから、先輩に僕の分まで働いてもらいます」

「それでチャラにします」

淳和「・・・日高くん」

「ありがとう」

フラウ「せせ、先輩女子に土下座させ、奴隷となる事を強要させる

「せ、性的な意味で」

「それなんてエロゲ!」

昴「!?」

フラウ「これからメガネのことは、鬼畜メガネと呼ぶ。い、異論は認めない」

昴「」

天王寺「みんなそろったみたいですね!」

気がつけばJAXAの天王寺さんもここにいた。

ドク「おう!そろってんな!!」

淳和「おじいちゃん!?」

こんどはロボクリニックの店主がやってきた。
部長の演説を聞いた僕たちは、自然とハンガーに集まったのだ。

とにかく、僕たちは僕たちで出来る事をしなければ!

君島『つまり、君たちは自分たちの手でお姉さんの息の根を止める、と言いたいんだね』

『だったら手始めに、君たちの選択がもたらす結果がどういうものか、現実的な事例を見せてあげよう』

愛理はあいかわらず拳銃をこめかみに突き付けている。

賢吾「やめろ!その人は無関係のはずだろ!」

君島『無関係なんかじゃない。君たちが“見捨てた”人質だよ』

ユウキ「(弦ちゃん・・・!)」

弦太朗「(おう、・・・変身!)」

\ロケット・ON/

弦太朗(フォーゼ)「さーせーるーかー!!!」

君島『?!』

海翔「!」

あき穂「あれは・・・」

フォーゼの突進が愛理をかすめ、拳銃がその手からこぼれおちた。

賢吾「ナイスだ、如月!」

充彦「」
社長「」

海翔「・・・いったい何なんだ、あれ」

ユウキ「私たちは!」

「学園と!宇宙と!未来の平和を守る!」

「天ノ川高校宇宙仮面ライダー部!」

「そしてあれが我らがヒーロー!仮面ライダーフォーゼ!」

海翔「はは・・・なんて無茶苦茶な・・・」

「そうだ、愛理!」

愛理はその場に倒れていた。
ポケコン越しに見ると、そこに君島コウの姿も無くなっていた。

充彦「とにかく、今のうちに飛行機へ!」

俺たちは父さんが待機する飛行機に乗り込み、種子島へ向かった。

俺たちを乗せた飛行機は旧種子島空港に着陸する事となった。
新空港の管制官の応答がないらしい。
すでにJAXAを抑えられていることを考えれば、新空港にも手が回っているかもしれない。

という訳で、少々危険だが旧空港へ向かっている。
種子島は大雨みたいだな。

海翔父「全員、衝撃に備えて下さい。当機は間もなく着陸態勢に入ります」

父さんのアナウンスが入る。
宜しく頼むよ、父さん。

旧種子島空港には、俺たちロボ部のガレージ(アキちゃんいわくハンガー)がある。
着陸すると俺たちはすぐに、雨に打たれながらそこに向かって走って行った。

淳和「あき穂ちゃん、八汐くん!無事でよかった!!」

俺たちを迎えてくれたのはジュンちゃんだった。
それに・・・

昴「部長の演説、聞きましたよ」

フラウ「部長先輩と八汐先輩のなんという夫婦オーラ・・・爆発すべき」

昴くんにこなちゃん、向こうにはドクや綯さんもいる。

あき穂「みんなごめん、ガンつく2、守れなかった・・・」

「あんなにわがまま言って、ガンつく2を東京に連れて行ったのに」

昴「部長、顔を上げてください」

淳和「そうだよ、わたしもそんなあき穂ちゃん見たくない」

フラウ「部長先輩マジ部長」

海翔「いまは落ち込んでる場合じゃない。そうでしょ?せっかくまたみんなが集まったのに」

「ロボ部の部長がそんなんでどうするの」

あき穂「みんな・・・ありがとう」

「チュウタネロボ部部長、瀬乃宮あき穂!ただいま戻りました!ジャキーン!」

弦太朗「俺たちもいるぜ!瀬乃宮!」

昴「うわぁ!

「・・・どちらさまですか?」

淳和「なんか、凄い頭・・・」

ユウキ「わたしたちは!種子島のピンチに駆け付けた!宇宙仮面ライダー部!!」

賢吾「俺たちも手伝うぞ、八汐、瀬乃宮!」

遅れてやってきた弦太朗くんに、賢吾くんに城島さん。
東京で知り合ったこの3人組みについても説明した。

綯「それで、種子島まで付いてきた、と」

フラウ「こ、行動力あるってレベルじゃねーぞ」

その後、避難場所でもある学校まで移動し、愛理ちゃんは父さんたちに預けた。

教室に場所を変え、昴くんから島の状況について説明を受けた。
昨日の昼に種子島宇宙センターが武装集団に占拠された事。
その際、所長がひとり、人質となっている事。
さらに、こなちゃんが襲撃をうけたことも聞いた。だがこれは綯さんが退けたらしい。
何者だよ、このお姉さんは・・・

あき穂「お父さんが・・・」

昴「幸い・・・というべきかは分かりませんが、それ以外のJAXAの職員の方はここに避難しています」

「街の人々も同様です。問題は・・・」

賢吾「これからどうするか」

淳和「話し合いとかで・・・平和に解決できないかな」

あき穂「難しいと思う。そんなんで解決できるならそもそもこんな事になってないだろうし」

今度は俺たちが東京で知った情報を話す。
君島コウのこと、澤田から聞いた事、JAXAのロケットのこと・・・
そして今回の敵の中にアキちゃんの姉、瀬乃宮みさ希がいることも。

あき穂「うちらの目的は、そのテロリストを倒し、虐殺計画を止めること」

フラウ「ささ、澤田きゅんがとんだ厨二病だった件について」

昴「話が大きすぎる・・・」

賢吾「だが、この島で今起こっている事をみれば、信じざるを得ないだろう」

淳和「それにあき穂ちゃん・・・いいの?」

あき穂「お姉ちゃんを止めるの。絶対に」

ユウキ「弦ちゃんが変身して、ドカーンって解決しちゃうってのは?」

賢吾「それも難しいだろう。如月一人で戦ったとして、ロケットを発射されてしまえばお終いだ」

「今回の目標はロケット発射の阻止だからな」

綯「・・・変身?」

そういえば調布で配信したミッチーの動画撮影、アキちゃんの演説のところで止めてたっけ。

海翔「見た方がはやいかもね。弦太朗くん、お願いできる?」

弦太朗「まかせとけ!」

3! 2! 1!

弦太朗「変身!」

弦太朗(フォーゼ)「っしゃあ!宇宙キター!」
ユウキ「宇宙キター!」

綯「」
昴「」
淳和「」
フラウ「」

海翔「どう?同じ変身ヒーローとして」

「ミスター・プレアデスくん」

昴「やめてくだちゃい!」

賢吾「話を戻そう」

フラウ「こ、こんな変身のあとに平常心とか」

「メンタル強すぎワロタ」

ユウキ「これが私たちのヒーロー!仮面ライダーフォーゼ!!」

綯「すごい!ひょっとして戦ったらかなり強いんですか?」

ユウキ「どんな敵もイチコロだよー!」

作戦会議を続けるなか、

綯「今回の作戦、2チームに分かれて行うのがベストかもしれませんね」

不意に綯さんが話を切り出す。

賢吾「2チーム?」

「そうか。対SUMERAGIチームと管制室制圧チームか」

綯「どんなに頑張って敵のロボットを倒しても、ロケットを発射されてしまえば終わりです」

賢吾「その通りだな」

海翔「つまり、ロボット同士が戦ってる間に、別動態が動くってこと?」

綯「はい。むしろロボット戦闘は目くらまし」

「もちろん、あからさまな時間稼ぎをこちらがすれば、この作戦がバレる可能性がありますから」

「こちらにまともな戦闘力がある事が大前提になります」

昴「たしかに、現実的な案かもしれませんね」

海翔「澤田からもらった情報も共有するから、みんなポケコン出して」

こんどはSUMERAGIについてのデータを共有する。

「こいつがSUMERAGI。最終防衛ラインにいるとみて間違いない」

昴「JAXA職員の目撃情報と一致します。確かにこの機体があったと」

弦太朗(フォーゼ)「そうだ、そのでっかいクモロボ。たしかミサイルを撃ってきたな」

「万博会場でも一発喰らっちまったぜ」

淳和「喰らったんだ・・・」

フラウ「変身チートすぎだろ、jk」

あき穂「あと、2本の前足にはブレードがある。それにガンつく2も・・・」

海翔「さらに澤田によると種子島のSUMERAGIには、小型機体が中に搭載されてるらしい」

「それがこっちのKAMINAGI。かなり機動力が高いらしい。走ったりね」

賢吾「小型・・・全長はパワーダイザーの2倍近いぞ」

ユウキ「てことは、かなりでかいね」

海翔「SUMERAGIとKAMINAGIは2体で1セットってこと」

昴「蜘蛛を倒しても、中からもう一体。ってことですね」

フラウ「マ、マトリョーシカですね分かります」

海翔「それと、澤田は君島コウをやっつける方法を考え中だってさ」

「データだけの存在の君島コウを消し去る、コンピュータウイルスみたいなものだってさ」

あき穂「それさえあれば、お姉ちゃんを君島コウの呪縛からひきはがせるかも・・・」

「そしたら・・・」

海翔「そうなんだけど、間に合うかどうか」

今度はガンつく1について。

淳和「1号機くんって、すごく遅かったよね」

昴「その通りです。機動力強化は必須ですね」

「モノポールモータの使用すれば、以前のものより各段に機動力は上がるでしょう」

「が、それでもまだ十分とは・・・。なんせモノポール自体がまだ未知の部分が多いですし」

賢吾「モノポールだって!?」

弦太朗(フォーゼ)「モノ・・・なんだそりゃ?」

賢吾「モノポール。簡単にいえばS極だけの磁石やN極だけの磁石のことだ」

弦太朗(フォーゼ)「ふーん。マグネットステイツの右手と左手みたいなもんか」

賢吾「!」

「それだ如月!そのモーター、俺たちが改良できるかもしれない!」

「しかしどうしてモノポールなんてものが・・・」

海翔「いろいろあってね」

賢吾「信じられない・・・」

フラウ「歌星氏の横に信じられないような変身をしている輩がいる件について」

賢吾「日高くん、俺に見せてくれないか。如月も一緒に来てくれ」

昴「ですが、まだ作戦会議が・・・」

フラウ「ポ、ポケコンで中継すればよくね」

あき穂「時間がない。ここは行動しながら話を進めようよ」

昴「・・・そうですね」

「歌星さん、如月さん、ハンガーに行きましょう」

ドク「コクピットはどうする気だ?安全をかんがえりゃ遠隔操縦が1番だろうが」

海翔「コックピットは、そのまま、搭乗式で」

「ワイヤレスは反応に遅延がある。今回の相手はそれが命取りになりかねない」

ユウキ「でも、ロボットの戦いはあくまで目くらましなら」

「その危険をおかす必要は・・・」

海翔「俺は負ける気で戦うつもりは無いよ。ましてミサ姉が相手なら」

「手を抜いて戦ったら、即やられるだろうね」

昴『あまりお勧めはしません、機体が転倒しただけでも[ピーーー]ますよ』

ポケコンのから昴くんの声が響いた。

淳和「あくまでも陽動なんだし、リスクが大きすぎるよ・・・」

海翔「いや、君島コウもミサ姉もバカじゃない」

「明らかな安全第一の行動をとってたら、別動隊の動きを感づくかもしれない」

「陽動するならそれくらい命がけでやらないと」

フラウ「な、なら早速1号機用にキルバラシステムの調整をするお」

「あ、あとシステムが居ル夫と連動している件について」

海翔「君島コウがつくったアプリだもんね、居ル夫は」

「代替アプリは澤田が準備してくれるってさ」

ドク「それと、とっておきがまだあるぜ。」

「巨大ロボ用のパイルバンカだ」

海翔「なんでそんなの造ってるわけ?」

昴『あとは、せめてミサイルを防ぐ手段があれば・・・』

ユウキ「そうだ、目には目を!ミサイルにはランチャーを!ってのはどうかな」

賢吾『そうか、着弾前に如月が撃ち落とせれば・・・』

『レーダーでロックオンさえすれば可能なはずだ』

弦太朗(フォーゼ)『責任重大だな。まあやるっきゃないか!』

フラウ「もう全部如月氏でいいんじゃないかな」

ガンつく1の改良方針はある程度決まった。

こなちゃんはプログラム改良
昴くんと賢吾くん、弦太朗くんはモーターの改良、さらに機体そのものの改良にも着手してくれるらしい。
俺はアキちゃん、ジュンちゃん、城島さん、綯さんはドクと一緒に実務労働になりそうだ。

賢吾「如月、マグネットステイツにチェンジしてくれ」

弦太朗(フォーゼ)「おっし!割って、挿す!」

\\N・S マグネット・ON//

賢吾「モーターを見せてくれ」

昴「ここにあります。この中にあるのがモノポール」

賢吾「如月、右手か左手、どちらでもいいから近づけてみてくれるか」

弦太朗(フォーゼ)「どれどれ」

右手を近づけると反応するものと、しないものが。

賢吾「おそらく、いま反応したのが“S極特性”のモノポールだ」

「マグネットモジュールも左右が別々の磁気を帯びている」

「同様に左手で“N極特性”のモノポールも判別できるだろう」

昴「そうか・・・反発する極同士でモータを組みなおせば・・・」

賢吾「如月、ハンドモジュールを出してくれ」

「これからこのモーターの改良を行うぞ」

弦太朗(フォーゼ)「任せろ!」

\ハンド・ON/

昴くん達がモーター改良作業を行う中、俺たち実務部隊も作業を始めた。
パイルバンカー取り付けに、動力の付け替え。
ガンつく1の組み立て作業も行わなくてはならない。

淳和「1号機くん、ここで組み立てちゃうの?」

ドク「こいつは自力で立てねぇからな」

「向こうで組み立てるにしても、そんな設備ねえし、組み立て中を襲われたらアウトだ」

ユウキ「じゃあ現地へは・・・」

海翔「歩いて行くしかないね」

綯「まあ、堂々と歩いた方が陽動としては良いかもしれませんね」

淳和「到着まで時間かかりそうだね・・・」

あき穂「それを見越して、ここの作業を終わらせないとね」

「あとは、モノポールモーターがどれだけ改良されるか」

やることは山積みだった。
すべてを今夜中に終わらせなければならない。

海翔「でもこれじゃ時間が足りない・・・」

充彦「おーい!お前たち!」

淳和「長深田先生・・・?それにあれは」

あき穂「うげっ、教頭先生」

教頭「まったくあなたたちは、何をやっているんですか!」

「他校の生徒までいるではありませんか」

海翔「いや先生、非常事態で」

教頭「分かっています。この場であなたたちを部活動として再認定します」

「この部活動設立届けと入部届けに記入しなさい」

「そこの他校の生徒さんたちは、こっちの校内見学届け」

「そうでなければ、あなたたちに何かあった場合私たちが責任を負えませんからね」

あき穂「・・・今何て?」

充彦「教頭先生は、お前たちの活動を支持してくれるってよ」

「それに、あっちをみてみろ」

ミッチーが指さす方には、うちの学校の生徒たちに、先生がたくさん集まっていた。
それだけじゃない。父さん、母さんをはじめとする街の人々。昴の父親までいる。
アメ社長とそこの従業員らしき人々。JAXAの人々。

ユウキ「人手、キター!」

充彦「この学校が避難所になってたからな、有志を募ったんだ」

「みんなこの島の為に、お前たちの力になりたいってよ!」

「それじゃ、瀬乃宮妹、あとはお前が指揮を取れ!部長だろ?」

あき穂「うん!」

「それじゃあみなさん!お願いします!」

島中の力がガンつく1に注がれていった。
多くの人手のおかげで作業は各段にスピードアップしていった。

綯「報告します!いま発射台を監視してる仲間から連絡がありました!」

「ロケットが、VABから射点への移動を開始!」

「予想打ち上げ時間は、おそらくお昼の12時、13時ごろです!」

あき穂「あと1時間で作業をおわらせるよ!」

昴「古郡、プログラムはどうなってる!」

フラウ「い、いまやってるし。さ、最悪、移動中にアップデートするお」

ユウキ「賢吾くん!そっちは?」

賢吾「問題ない!モーターの改良、脚部の補強は済んだ!」

弦太朗(フォーゼ)「後は胴体とくっつけるだけだぜ!」

もうすぐ、夜が明ける。
決戦の時間は近づいているのだ。

作業もひと段落し、俺たちロボ部に東京の3人、綯さん、ドク、ミッチー。
みんなで作戦最終確認を行うこととなった。

あき穂「みんな、ほんとにご苦労さま!」

「手伝ってくれた人たちにもあとでお礼は言うつもりだけど、まずはみんなに」

「それじゃ、まずは昴、機体の現状をもう一度確認したいんだけど」

昴「あとは、胴体部と脚部を合わせて、立ち上がらせるだけです」

「おそらく、機動力は今までの比にならないものになっています」

「パイルバンカの設定も終了。歌星さんと如月さんのおかげで、かなり改良出来ました」

ドク「それに、ちょっとした仕掛けもある」

海翔「仕掛け?」

昴「キルバラ風にいえば、ガンヴァルアンクストライカー」

海翔「なるほど」

昴「現状でのベストは尽くしました。が、それでも粗の多い機体です」

「本当に搭乗するんですね?八汐先輩」

海翔「くどいよ、昴くん」

あき穂「次に綯さん、現地の状況を教えてください」

綯「わかりました、あき穂ちゃん」

「現在、ロケット発射台には、ブラックホール爆弾を搭載したと思われるロケットが射場にて燃料補給中のようです」

「そしてその手前にはSUMERAGIが待ち構えています」

「ロケット付近で作業する人間は少なく、多くのテロリストは屋内にいる事が推察されます」

「おそらく、人質である署長さん、あき穂ちゃんのお父さんも・・・」

あき穂「それじゃ、作戦のおさらい」

「ロボット部隊が陽動してSUMERAGIと派手に戦う」

「その隙に潜入部隊が管制室の奪還及び、人質の救助を行う」

綯「まず、潜入部隊は私。あとは島の警察官さんとJAXAの腕自慢が同行してくれます」

「それと・・・出来れば弦太朗くんにも来てもらいたいところですが」

昴「とはいえ対SUMERAGIにも如月さんは欲しい所です」

賢吾「ではこういうのはどうだ?」

作戦はこう。
最初はガンつく1に変身した弦太朗も隠れて搭乗。
戦闘が開始したら真っ先にミサイル発射部位をランチャーで破壊(あたかもガンつく1がランチャーを発射したみたいに)。
SUMERAGIがミサイル発射できなくなったらガンつく1が接近し、隙を見て弦太朗が離脱、管制室へ。
弦太朗が合流して、制圧作戦開始。

ユウキ「ステルス・スイッチを使えば出来るかも!」

綯「海翔くんはどう?」

海翔「どうも何も、十分すぎるよ。接近戦なら十分戦う自信はある」

「その隙に、宜しく頼むよ」

フラウ「あ、あと少しでプログラムの調整も終わるお」

「あとは澤田きゅんが送ってくれた、代替居ル夫アプリと連動させる」

昴「ガンつく1に取りつけたレーザー光充電器」

「そのレーザー照射ようの銃座は長深田先生のトラックに設置しました」

「これでガンつく1の移動にも対応しつつ充電が可能です」

「現場の指揮は、部長、お願いします」

あき穂「作戦の確認は以上!」

「それじゃ最後に、円陣組むよ!」

海翔「それ必要?」

弦太朗「いいじゃねえか、八汐!」

「円陣は青春のジェットエンジンだ!」

フラウ「こ、言葉の意味は分からないが、凄い自信だ」

淳和「ダジャレ・・・かな?」

あき穂「ほら、早く早く!」

あき穂に促されるように、みんなが近くに集まり、円陣を組んだ

あき穂「絶対に勝とうね!夢と勇気と友情と宇宙パワーで!」

弦太朗「ここまで来たんだ!やるだけやってやる!」

あき穂「それじゃいくよ!」

「チュウタネロボ部ー!」

ユウキ「天高ライダー部ー!」

あき穂「元気一発!よいらーいきー!!」

「「「「よいらーいきー!!!」」」」

さあ、ここからは、俺達のゲームだ―――

海翔「ガンヴァレル、発進ッ!」

ズシン!ズシン!ズシン!

弦太朗(フォーゼ)「うわぁ!」

「思ってた以上に速い!」

ガンつく1の肩にはフォーゼに変身した弦太朗が乗っていた。

弦太朗(フォーゼ)「よっし!やってやるぜ!」

種子島をガンつく1で進み、ついに目的地は目の前。

あき穂『カイ、一時停止』

『ゲート、開いてる』

海翔「誘ってるってことかね」

綯『天王寺です。こちらも配置につきました』

『あとは弦太朗くんの合流を待ちます』

『弦太朗くんと共に管制室を制圧、所長の安全を確保します』

『ロボ部員のみなさん、それにライダー部のみなさん、健闘を』

あき穂『みんな・・・準備はいい?』

『作戦通りにやれば、きっと勝てる』

海翔「アキちゃん、号令を」

あき穂『・・・うん』

『よーし!突入ー!!』

突入し緩やかな坂を登りきると、射場があった。
そしてその前に控えるのは・・・

海翔「SUMERAGI・・・」

みさ希『警告する』

『それ以上進むなら、あなたたちを消すわ』

『今すぐ引き返しなさい』

やらなきゃ、やられる。そんな威圧感を受ける。
しかし、引くわけにはいかない。

弦太朗(フォーゼ)「始めるぞ、八汐!」

海翔「ラウンド1、ファイトだ!!」

SUMERAGIに一歩踏み出す。
即座に反応するSUMERAGI。そして―――

賢吾『ミサイルくるぞ!』

『如月!』

弦太朗(フォーゼ)「まかせろ!」

\ランチャー・ON/\レーダー・ON/

ドゴン! ドゴン!

ミサイルは期待通り、俺の乗るガンつく1に到達することなく、爆散した。
爆発による振動がコックピットまで伝わってくる。

ユウキ『やった!』

淳和『ミサイルが届いてない!』

フラウ『もう、なにも怖くない!』

弦太朗(フォーゼ)「このまま元を断つ!」

SUMERAGIが次弾を放つよりも早く、フォーゼのランチャーが火を吹く。

ドゴン!!ドゴン!!

被弾とともにミサイル発射台は大爆発。SUMERAGIは大きなダメージを受ける。

みさ希「!?ッく!!?」

「ミサイル・・・!?こんなものまで用意してたなんて」

あき穂『カイ!今だよ!』

海翔「分かってる!!」

賢吾『良し如月、一端離脱だ』

弦太朗(フォーゼ)「ああ!」

「こっちは任せるぜ、八汐!」

\ステルス・ON/\ホイール・ON/

綯「始まったみたいですね」

警官「爆音が・・・みなさん、どうかご無事で」

そのとき、片足に車輪を付けたフォーゼがやってきた。

弦太朗(フォーゼ)「天王寺さん!」

綯「弦太朗くん、こっちです!」

警官「!見張りが・・・」

綯「よし」

咄嗟に缶を投げる。
見張りはそれに一瞬気を取られた。
その隙を見逃さなかった

綯「はあッ!」

一気に間合いを詰め、間髪いれずに顎に強烈な蹴りをお見舞いした。

綯「さあ、弦太朗くん」

弦太朗(フォーゼ)「す、すご・・・、宇津木先生みてぇだ・・・」

見張りは倒したものの、まだ油断はできない。

弦太朗(フォーゼ)「管制室は・・・あそこか」

「あいつらがテロリストか、よし。宇宙・・・」

「キターーーー!」

叫びながら、管制室へ入って行った。

テロリストA「なんだお前は!」

テロリストB「構わん、撃ち殺せ!」

\シールド・ON/

シールドを構えながら突進するフォーゼ。

弦太朗(フォーゼ)「効かねぇ!」

「このままぶん殴る!」

「ライダーシールドパーンチ!」

テロリストA「がはっ」

テロリストB「なんなんだこいつは!」

テロリストC「とにかく殺せ!撃ち殺せ!!」

弦太朗「今度はこれだ!」

\クロー・ON/

弦太朗「セイヤー!」
クローの一撃が銃身を引き裂いた。

テロリストC「俺のマシンガンが・・・真っ二つに」

「う・・・うわぁぁぁぁ」

弦太朗「逃がすか!」

\ネット・ON/

テロリストC「う・・・動けない・・・」

弦太朗「しばらくそうしてなって!」

「さて、あとはお前だけだな」

\ステルス・ON/

テロリストB「消えた!?」

「!?何!!」

姿を消したまま一気に接近し、背後からテロリストを捕まえた。

弦太朗「捕まえたぜ!」

テロリストB「・・・く」

「ふん!もう俺たちに打つ手はなさそうだ。が」

「ここで俺たちを倒しても無駄だぜ」

弦太朗「どういう事だ?」

テロリストB「ロケット発射管制システムの権限は、すでに他へ移した!」

「ここでどんなにあがいても、ロケットは止められないんだよ!」

弦太朗「ライダーデコピン」

テロリストB「ぐはっ」

テロリストはそのまま気絶してしまった。

綯「所長!」

拘束されている所長の姿があった。
周囲にはだれもいないようだ。

綯「大丈夫ですか?」

健一郎「はあ、助かったよ」

「それより、みさ希が・・・」

綯「そっちはいま、アキちゃんが向かっています!」

健一郎「あき穂が?」

綯「そうです。それに事態はもっと急を要する事になっています」

「ロケット発射を止めないと、大変なんです!」

弦太朗(フォーゼ)「天王寺さん、テロリストは片づけたぜ!」

弦太朗(フォーゼ)「ここにいた連中は片づけたんだけど・・・」

警官「どうしたんだい?」

弦太朗「あいつが言ってたんだが、ここじゃロケットは止められないって」

JAXA職員「本当ですね・・・発射管制システムの権限者が変わってます」

綯「権限者の名前は・・・君島コウ!?それにロックされてる!?」

海翔「よし!こっちから攻める!!」

一気に距離を詰める。
改造モノポールモーターのおかげでかなりすばやく敵の目前までやってきた。

あき穂『カイ!危ない!!』

SUMERAGIは前2本の腕を振りかぶり、ブレードを起動させた。

あき穂『ガンつく2をねじ切ったブレードだよ!』

『それをくらっちゃ・・・』

海翔「させるか!」

ガンつく1もパイルバンカ―を射出。
右のパイルバンカーの一撃が振り下ろされるブレードより僅かに早く直撃した。
たまらず態勢を崩すSUMERAGI。

海翔「今だ!」

さらに前進し、もう一発パイルバンカ―をお見舞いする。
狙うのは蜘蛛でいえば“頭”の部分。
澤田からの資料によると、そこに制御システムの心臓部があるらしい。

トゴッ!

昴『クリーンヒットしました!』

フラウ『さ、澤田きゅんの資料どおりなら・・・』

海翔「ああ、手ごたえアリだ!」

それでもSUMERAGIは蠢く。
だが、まともに立ち上がることもできないようだった。
やがて、動きを止め・・・

ユウキ『あれが・・・』

賢吾『KAMINAGIか・・・。』

動きを止めたSUMERAGIから、ひとまわりもふたまわりも小さなロボットが現れた。
このガンつく1の半分ぐらいの高さだろうか。

海翔「先手必勝!」

KAMINAGIはまだパイルバンカ―の間合いだった。
すかさず射出する。が

フラウ「なんぞ!?」

あき穂「あんなに軽快な動きが出来るの?」

賢吾「モノポールモーターで機動力を上げたとはいえ

「今のガンつく1では・・・」

サイドステップをするように、よけられてしまった。

海翔「機体の性能差は、思った以上かもね・・・」

前進。

海翔「くそ!」

前進。

海翔「くそぉ!!」

前進。

KAMINAGIとの機動力の差は改造モノポールモーターをもってしても歴然だった。
どんなに接近しようとしても距離を置かれてしまう。

みさ希『これで、わかったでしょう?あなたたちは、私に追いつけない』

『ロケットの発射を見守るしかないのよ』

海翔「こんなのっ・・・ミサ姉!」

昴『ロケット発射まで残りおよそ5分です!』

みさ希『君島コウはいま、私とともにある』

『私をここで殺さなければ、ロケットは止まらないのよ』

その時、綯さんからの通信が入った。

綯『聞こえますか?こちら潜入チーム』

『管制室は制圧しました。瀬乃宮所長も無事保護しています』

『でも・・・こっちからはロケットが止められない!』

海翔「何だって!?」

綯『管制権限が君島コウに奪われています。ヤツを叩くしか、ロケット発射を止めるすべは無いみたいで・・・』

『そっちは?』

海翔「KAMINAGIに苦戦中・・・!」

そんなやり取りをしていると不意にこなちゃんが声を上げた。

フラウ『おおおおおお!』

『さ、澤田きゅんから連絡ktkr!』

『繋ぐお!』

澤田『間に合ったか?』

海翔「まにあってないに等しいくらい、ギリギリ」

澤田『待たせたな、アンチ君島コウウイルスが完成した』

『そっちの代替居ル夫アプリと連動するように造られてる』

『ただしウイルスは“ARの君島コウ本人の姿”が映っている時にしか効果を発揮しない』

『一度作用さえすれば、それでカタはつくはずだ』

『以上だ。あとはまかせたぞ』

海翔「おい!」

あき穂『君島コウを直接・・・でもいまお姉ちゃんと一緒ってことは』

ユウキ『あの操縦席をこじ開けるしかないってこと!?』

昴『そんなの・・・無理だ!』

その時、不安を断ち切るような、威勢のいい声が届いた。
彼がこっちに戻ってきたのだ。

弦太朗(フォーゼ)「あきらめんなぁ!」

右手に携えたロケットでKAMINAGIに突進するフォーゼ。

みさ希『!?』

弦太朗(フォーゼ)「ライダーロケットパーーーンチ!」

とっさに横にステップするKAMINAGI。
だがよけきれず肩の部分に一撃を受ける。
一瞬バランスを崩すも、すぐに立て直した。

みさ希『ッ!?何者なの?』

海翔「おいおい・・・このタイミングで協力プレイ?」

弦太朗(フォーゼ)『へへっ、ダチが困ってんだ。乱入させてもらうぜ!』

そのとき、フォーゼドライバーのレーダースイッチが光った。
レーダースイッチをONにする。

昴『弦太朗さん、聞こえますか?』

左腕のレーダーモジュールに昴からの通信が入る。

昴『ロケット発射まで時間がありません!』

『なんとかKAMINAGIのコックピットをこじ開けてください!』

みさ希『邪魔を・・・しないで!』

KAMINAGIはガンつく1にむかって突進する。

おいおいミサ姉なに焦ってんの。
そんな考えなしの突進、格好の的だよ!

狙いはKAMINAGI。パイルバンカの向きを合わせ、射出!
パイルバンカはかわされる。
だが---

フラウ「よけた!?」

海翔『計算通りだよ!』

弦太朗(フォーゼ)『こっちだ!』

回避先に待ち構えていたのはフォーゼ。

\ガトリング・ON/\ランチャー・ON/

弦太朗(フォーゼ)『オラオラオラオラオラァ!』

至近距離から小型のロケット弾と銃弾をお見舞いする。

みさ希『くッ・・・』

『このミサイルは・・・さっきの』

KAMINAGIが弾かれるように、吹っ飛ばされる。
空中に浮く機体。

今しかない。

KAMINAGIの機体に向けて、パイルバンカーの向きを合わせる。
この距離ではパイルバンカーは当たらない。本来であれば。
だが、このパイルバンカーには、“ある仕掛け”がある。

---この一撃に、全てをかける!

海翔「ガンヴァル!アンクストライカーァァァ!!!」

ロケットパンチのように発射されたパイルバンカー。
完全にクリーンヒットした、はずだった。

海翔「そんな・・・」

KAMINAGIは2本の腕でパイルバンカ―をガードし、衝撃を殺していた。
まずい、このまま着地されたら反撃を―――


弦太朗(フォーゼ)「まだだ!」

\ロケット・ON/\ハンマー・ON/

落下しきる前のKAMINAGI突進するフォーゼ。

ロケット・ハンマー リミットブレイク!

弦太朗(フォーゼ)「ガンヴァル!ライダァー!!ストライカーァァァ!!!」

KAMINAGIがガードしているパイルバンカーに向けて
フォーゼはロケットで加速しつつ、ハンマーを振りぬいた。

みさ希『ぐ・・・あっ』

KAMINAGIの両腕ははじけ飛び、機体にめりこむパイルバンカー。
こんどこそKAMINAGIに致命的なダメージを与えた。
そして・・・

フラウ『は、ハッチが開いた!』

KAMINAGIのコックピットがあらわになる。
そこには、瀬乃宮みさ希の姿、そして・・・
それに重なるように現れる、君島コウのAR。

あき穂『カイ・・・!』

海翔「分かってる!」

「亡霊を・・・ここで葬る!」

ウイルス発射!

フラウ「ウイルス、君島コウに命中!」

賢吾「管制は!?」

綯『権限者のロックが解除された!』

『権限者をわたしに!カウント、停止!!』

――――

淳和「・・・間に合った?」

あき穂「ロケットは・・・!?」

綯『こちら、天王寺です!』

『打ち上げ中止に成功!!ロケットは、飛びません!!』

『作戦、成功です!』

ユウキ「やった・・・!」

君島コウ『あと少しだったのに・・・残念だよ』

突如としてポケコンから声がした。
崩壊してゆくARの君島コウの言葉だった。

君島コウ『でもこれで終わりじゃないと思うよ』

『きっといつか、第2、第3のぼくが世界のどこかに現れる』

海翔「それでも」

「正義は必ず勝つ、らしいよ」

君島コウ『・・・そうなのかもしれないね』

君島コウは完全に消滅した。

あき穂『カイ!』

『お姉ちゃん、生きてる・・・!』

今度はあき穂が映っていた。
涙ぐみながらみさ希に寄り添っていた。

俺はコックピットから出てみんなのところへ。

充彦「やったじゃねぇか!八汐!それにそっちのとんがり頭!」

淳和「八汐くん・・・良かった・・・良かった」

昴「お疲れ様でした、八汐先輩。如月さんも」

フラウ「か、かっこよすぎワロタ。あとで鎖骨ぺろぺろさせろ」

賢吾「お疲れ、八汐に如月」

ユウキ「おつかれさまー!まってたぞよー!」

弦太朗「悪いな、乱入しちまって。余計な手出しだったか?」

海翔「・・・いや」

「ああでもしなきゃ勝てなかった」

「でも今度は、いつになるかは分からないけど」

「俺一人で勝ってみせるよ」

弦太朗「お前・・・!まさかまたこんなロボットで!?」

海翔「そんなわけないでしょ!」

「ま、仮面ライダー?と共闘、なんてチートをはじめから使ってるわけだし」

「いつか別の形で再戦しなきゃとは最初から思ってたしね」

あき穂「カイ・・・」

海翔「アキちゃん、いろいろありがと」

あき穂「うん」

「お姉ちゃん、どうなるのかな・・・」

海翔「分からないけど、事情はあれど、一度は人を殺してしまったんだ」

「罪を償う事になるんだろうね」

あき穂「そうだよね・・・」

海翔「でも、ミサ姉はミサ姉だ。俺たちにとって変わる事なんてない」

「だから、ミサ姉が戻ってきたときに、困らないように、心配させないように」

「俺たちは、前に進まなくちゃ」

あき穂「うん・・・そうだね!」

弦太朗「さてと、一件落着って感じかな」

ユウキ「みんな、無事でよかったね!」

「ライダー部にロボ部!これぞ、青春!!」

賢吾「しかし、俺たちはいつまでこの時間に・・・」

「!?」

あき穂「そうだ、ライダー部の3人にもお礼を!」

「・・・あれ」

海翔「どうしたの、アキちゃん」

あき穂「あの3人がいないの」

海翔「え!?」

―――『俺たちはタイムスリップしてここにやってきた!』

海翔「だとしたら、ずいぶん急なタイミングで帰っちゃったって感じだね」

「まだ、話したい事もいろいろあったんだけど」

―――

友子「流星さん!左胸の時計を狙って!」

メテオ リミットブレイク!

流星(メテオ)「ホォォアッチャァァァ!」

メテオの必殺拳・スターライトシャワーがホロロギウム・ゾディアーツを襲う。

流星(メテオ)「ホアッチャァ!!」

とどめ一撃が決まった。

ホロロギウム・ゾディアーツ「くっそぉぉぉ・・・!」

爆発とともに、ホロロギウム・ゾディアーツのスイッチが現れる。
流星がスイッチをOFFにする。と、同時に、
ホロロギウムの力で他の時間にとばされていた3人がかえってきた。

弦太朗「!」
ユウキ「!」
賢吾「!」

ユウキ「もどってキター!」

賢吾「やっと帰ってこれたか」

「とはいえ挨拶もせずに戻ってくることになるとはな・・・」

弦太朗「・・・」

賢吾「どうした、如月」

弦太朗「いや・・・」

「友達のしるし、する前に戻ってきちまったな、ってな」

賢吾「2020年だ」

弦太朗「?」

賢吾「俺たちが、彼らと出会った時間」

「俺たちは、またそこに行く事が出来る」

「その時を目指して、前に進めばいい」

弦太朗「・・・そうだな」

流星「何の話だ?」

ユウキ「そうだ!みんなも聞いて!」

「わたしたち、さっきのゾディアーツのせいでタイムスリップして――――!!」

2020年3月某日 種子島

海翔「今日で、俺たちも卒業だね」

あき穂「・・・さみしいね」

海翔「でも、前に進む」

「そう決めたでしょ、アキちゃん」

あき穂「そうだよね」

1カ月前、種子島で起きたあの事件。
あの戦いでその役目を終えた機体はいまだハンガーに保管されている。

ミサ姉はあの戦いの後、まだ目を覚まさない。
肉体的な外傷はさほど深くなく、頭を強く打った形跡もない事から
原因は分からないらしい。
それでも、俺もアキちゃんもミサ姉が目を覚ます事を信じている。
君島コウの呪縛を断ち切ったんだから。

事件後、俺たち3年は部活を引退。
昴くんを新部長として次の代にバトンタッチした。
現在の部員はこなちゃんと昴くん・・・だいじょうぶなのか?
でも、今回の事件で嫌でも知名度が上がったんだ。
きっと来年は入部希望者が増えると思う。

そして事件の後、忽然と消えてしまった3人組。
みんなもびっくりして探したけど、結局見つからなかった。
本当にタイムスリップしてきたのだろうか。
まあヒーローに変身してしまうくらいだし、不思議ではないのかもしれない。

海翔「せっかく、いっしょに全一のミサ姉と戦ったのに」

「協力プレイで勝ったせいか、俺一人だけじゃ達成感半減なんだよね」

淳和「あ!八汐くん!あき穂ちゃん!」

「長深田先生が呼んでるよー!」

「ロボ部集合だってー!!」

海翔「行こうか、アキちゃん」

あき穂「集合って、何だろう?」

充彦「先生は、お前たちが無事卒業する事を、嬉しく思っている!」

海翔「そんなこと言う為に、わざわざ呼んだの?」

フラウ「そそ、それならそもそも漏れら2年、いらなくね?」

充彦「違う!いや違わないけど、違う!」

「お前たちの卒業を祝いたいって先生が、本土からわざわざ来てるんだ」

あき穂「先生?」

淳和「本土からって・・・?」

昴「先輩、心当たりは?」

海翔「全く、これっぽっちも」

あき穂「うちも全然」

淳和「わたしも・・・」

充彦「ちなみに先生は、その人に会ってすこしばかりビックリした」

海翔「もったいつけてないで教えてよ、一体誰が・・・」

?「よっ!」

不意に声がした。

振り向くとそこには、ほんの1か月前に共に戦った彼の姿。

見間違えるはずのない、特徴的な髪形に、あっけらかんとした声。

1カ月前は、たしか同級生だったはずだけど、

目の前の彼は、少しばかり大人びて見えた。


海翔「・・・嘘でしょ?」

「いやいやいや、先生って!」

弦太朗「ひさしぶりだな、お前たち!」

「俺はチュウタネロボ部と友達になる男、如月弦太朗だ!」

「卒業、おめでとう!」

Fin

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